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岩間正男君 第一の
質問の要点でありますが、これに対しまして、
山間の人数の二、三人いる所、そういう所では、わざわざその
職員を雇うのは困ると、こういうようなことを
理由に挙げまして、これを
理由としまして、そうして
教員の
日直、
宿直を、
國庫から
半額負担することが必要であるというような
論点であ
つたと思うのでありますが、大体先ずこのような特殊な、これは
山間僻地の
学校というものは、全
教員の何パーセントにも当らない。このような特殊の例を挙げて、
日直、
宿直を現在において
負担させなければならないような
実情であるということが、その
論点が私は先ず
移薄だと思うのであります。それを措きましても、とにかく
教員の從來の
習慣、そういうような
習慣を、新らしい現在の段階におきまして、尚これを縛り附けようとする意識を、なぜ
一体文部省は今日取られておるのであるか。
文部省こそは、もつとこういうような問題について、率先して
教員の解放、それから
勤務時間の充実、そういうことによ
つて教育の質の内容を、これは改善するために率先されなければならない当然の
責任者であると私は
考える。私達は
日直、
宿直を、恐らく全國五十万の
教員諸君が、今日反対しておられる
理由は、私も
教員をしておりましたので、これは
はつきり分る。つまりこれは動かなくなるのであります。
責任の
負担だけ重くて、そうしてその結果、非常に
疲労が激しい。その結果は、
宿直、
日直をや
つた翌日の
勤務は非常に不完全である。そういう
観点から、
教育を本当に実質的によくするためには、どうしてもそのような措置が必要なのであります。これを單に
一つの
義務から逃れる。そういうような
考え方では、この問題を新らしく
解釈することにはならないのであります。こういう点からいたしまして、
文部省だけが、外の
官廳などでも行われないところの、
一つの
残存形態を何故にこの法の中に残さなければならないかという、その
理由が甚だ不明瞭であるということを言わなければならない。この点について重ねて御
意見を伺いたいと思います。
次に第二の問題ですが、この
超過勤務手当を謳わなか
つた。これはこの前の
日教組との
團体交渉において、ここに決定したことがある。このことについて十七割が決定された。十七割を決定することについては、そこに
教育労働の
特殊性がある、
教員としての
特殊性があるから、その
特殊性を
考慮に入れて、そうして
超過勤務手当というような形でなくて、それを
本俸の中に繰入れて支給したのであるというようなことを、これは今
説明でされたのであります。併しながらこれは甚だ
文部省の一方的
解釈に過ぎないのじやないか、と言いますのは、
中労委の調停の中にそれを見ますというと、新
給與の決定に際しては、
教育労働の
特殊性に鑑みて特別の
考慮を拂うことが、この前の
日本教職員組合の
中労委に対する提訴に対して、
中労委から與えられたところの
裁定であ
つたと思います。この
特殊性とは、そも何ものであるかと言いますと、これは
教員の
文化生活に関わるところの
特殊性だというふうに
解釈せざるを得ない。
中労委の
解釈も、正にその点にある、つまり
教員におきましては非常に
文化費が要るのであります。
修養費が要るのでありまして、本を読まなければならない。それからいろいろなこれは見識を蓄えなければならない。これによ
つて重要な
教育的な
一つの責務を果す。このための
特殊性であ
つて、何らこれは
教育のいわゆる
保守性、
教員がかような現存した形に対する
特殊性は、與えられたものでないことは余りにも明らかだと思うのであります。然るに
文部省はその
観点から、これを今の
中労委裁定線を逆に、これを利用するような
立場に立
つて、そうして
超過勤務手当を含めたというような了承の下に十七割支給されておる。ここは、それならそれに対して
一般教職員組合が了承しておるならば問題はないのでありますけれども、この点に対しては、その後
團体交渉において何回となく、これは対立した
意見のままで今日に至
つておる。尚これは今日これに対して
一つの問題が解決していないということは、私は聞いておるのでありまして、こういう点からするときに、
教員だけがそのような
一つの特殊な
労働條件の下に置かれている。その結果からいろいろな
教育の不完全が起るということについては、絶対にこれは私達の了承することができないところではないかと思うのであります。
先つき申しましたように、
文部省はむしろこれらの今までの不完全なる
状態、
教育の眞の機能を発揮することに障碍にな
つておるようなものを率先して除去するために努力して、そうして
教員の期待に應えるべきではないか、こういうふうに思うのでありますが、以上二点に亘りまして
策弁を願う次第であります。