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1948-09-20 第2回国会 参議院 文教委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年九月二十日(月曜日)    午前十時開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○教育公務員任免等に関する法律案  (内閣送付) ○教育委員選挙に関する件   —————————————
  2. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) それでは只今から文教委員会開会いたします。速記を止めて……。    午前十時三十八分速記中止    ——————————    午前十時五十五分速記開始
  3. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) 速記を始めて。
  4. 左藤義詮

    左藤義詮君 その説明はずつと継続して審議をすることを希望して説明されるのですか。ただ出したままになつておるから一應説明して置くという意味ですか。やはり國家公務員法がどうなろうとも、文部省が出した案だから説明をするから、これについて審議しろという文部省の御希望ですか。
  5. 辻田力

    政府委員辻田力君) 文部省といたしましては國家公務員法がどういうふうになるか決定いたしませんものですから、それがいつの時期にどういうふうになるか、だらだらと待つておるわけに参りません。前に出した案について少くとも御説明して置きたい、できるだけ趣旨内容等について御審議を煩わして、その上で又新らしく國家公務員法改正等によつて影響を受けたものがあれば、その点については特に又御説明をするというふうにした方がいいのじやないかというわけで御審議希望するわけであります。
  6. 左藤義詮

    左藤義詮君 今政府委員は、國家公務員法が決まつても、任免等に関する今の法律影響は小部分だと仰つた、私共はそうじやないと思うのですが、極めて細かい点だけで今説明を頂いてそれを審議して、それについては大きな修正が出ないという確信をお持ちになつておるかどうか、その点を一つ伺つて置きたい。そうでないと極く小さい修正ならば我々が審議することも意味がありますが、非常に大きな修正があるとなれば、殆んど我々はこれからやることは無駄じやないか、その点今極めて小部分だと仰つたのですが、そういうことに関して確信かおありかどうか。
  7. 辻田力

    政府委員辻田力君) 先程私が申上げましたのは、教職員が適用される國家公務員法竝びに教育公務員任免等に関する法律の全般的、要するに教職員身分関係として適用を受ける実体的な内容的な面から言いますと、相当大きな修正を受け、又改正を受けて適用されると思いますが、只今提案しておりまする教育公務員任免等に関する法律案自体につきましては、比較的その改正点が小部分であるという意味を申上げたのであります。といいますのは國家公務員法は特別の規定以外は全面的に教職員にも適用されるわけでございます。從つてその國家公務員法自身改正によつて教職員身分関係が変つて参りますが、併しそれは外の公務員と同樣な資格において変つて行くわけであります。教職員自体として影響を非常に受けるという点は、この教育公務員任免等に関する法律規定されるわけでありますが、それにつきましては小部分であるということを申上げたのであります。実体的には非常に影響を受けると思いますが、併しこの法案中心として考えた場合には、改正点は小部分であるというふうに申上げた積りでございます。
  8. 左藤義詮

    左藤義詮君 いずれにいたしましても、基盤になる法律がまだ決まらない、これの原案もまだできていないのに、それに伴つて大小の差はございましようが、修正を受けるべきものを、だから從つてこの法律が前國会の最後に提出された当時とは大分事情変つて來ておるのですから、この説明を伺い、又これを我々が休会中に審議を続ける必要があるかどうか、その点については相当委員会としては考慮をする必要があるのじやないかと思います。
  9. 河野正夫

    河野正夫君 辻田局長の御説明は、私も大体公務員法がどういうふうに國会に上程せられるか分らないけれども、大体においてはこの任免等に関する法律との影響点局長お話通りだと思いますけれども、併しそれにしても人事委員会、今度人事院と改称するというような原案らしいですけれども、人事院によつて扱われる場合と、それが都道府縣教育委員会で扱う場合と、或いは大学においては協議機関というものがあつて、そこで扱うとかいつたようなことが、やはり一般公務員法改正、主として人事院の権限が強化されるに伴つて相当変化があるのじやないか、内容として……。そうするとこれは逐條審議の場合に、非常にその一方の基底になる法律の結果を持たなければ審議しても無駄な点が相当出て來るのじやないか、こう思うのであります。それから特に大学に関する協議機関ですか、行政機関、これに関する法案の方が、これはもう第二國会終つて今度の臨時國会が招集せられるまでの間の余裕があつたのですから、而もここにこれだけ相当大学行政機関の制度を予想して法律を作られておる以上はその準備もできていなければならん、それを待つて実はこの審議に要するそういう案が整備されておる、同時に審議することで意味があるのですから、それが止むを得なかつたというので、これだけの場合には了承しておつたのですけれども、ここに時間的な余裕が生じたのだから、当然私立学校及び大学に関することが何らかの意味法案として出て來なければ、同時審議しなければ意味がないのじやないか、こう思いますが、その準備の方はどうなつておるか、局長に伺います。
  10. 辻田力

    政府委員辻田力君) 只今仰せのごとく、この法案大学行政機関等につきましても到るところで引用しておりまするし、從つて大学自治法案といつたような大学行政についての法案と、又一方には私立学校に関する法案等と竝行して研究すべきものであるというふうにお話になることはよく分るのでありますが、又文部省におきましてもその積り準備を進めております。関係方面とも十分いろいろ審議を重ねておるわけでございますが、ただこの臨時國会におきましては特別の緊急を要する法案だけをかけるというふうに伺つておりまするので、或いはこの臨時國会には、そういう意味合から行きまして、今の大学自治法案とか、或いは又私立学校法案、これは両方とも仮称でありまるが、そういうふうな法案がかからないのではなかろうか、そういうふうに思われます。恐らく通常國会には提案されると思いますが、この臨時國会には、そういうふうな意味提案されないのではなかろうかというふうに思われるのでありますが、その場合この教育公務員任免等に関する法案はそれまで待つということでなく、教員身分を保障し教員が安んじて職務に精励でき得るようにいたします特別の法律でありまするので、できるだけ御審議を早めて頂いた方がいいのではないかというふうに、文部省としては考える次第であります。
  11. 鈴木憲一

    鈴木憲一君 私は教育公務員任免に関するこの法律案を出された当時、この説明が足りなかつたから今説明をしたいというふうな御意向があるようですけれども、それは先程も言われた通りに、前の立場であつて、前の立場からこれを説明しようという希望を持つておられるように思うのですけれども、今度公務員法が全面的に改正になりまするというと、我々の公務員法に対する認識というようなものも、新らしい立場に立つた認識というようなものがおのおのその議員の中に考えられて來るのじやないかと思いまするので、前の立場説明を今から受けてそうして前の立場審議をしても徒勞に属するので、新らしい立場認識の下に公務員法審議終つて、そうして我々が正しい立場認識したときにやはりこれも同時に審議されるのが最も有効な審議が行くのじやないかというふうに思いまするので、この際これを政府の方で出されて、別に説明をしなかつたからしたいというような御意思もあるのでございましようが、すでにその新らしい改正案ができて新らしい立場というものが國民全体に認識されるときが來るのですから、そういう見透しの後に新らしい立場から考えて行かなければならんというふうに全面的に考えたいと思うのです。そういう立場からこの際これを審議する必要を認めないと思うのですが、まあこれを撤回する必要はないても思うのですけれども、我々としては審議を今する必要はないのだというふうに考えます。
  12. 高良とみ

    高良とみ君 私もそれに賛成いたします。という理由は、どうせこれが修正されなければ教育公務員法に関する任免法律というものができないのですから、尚細かい修正があるときに又全面的な説明を或いは考慮をしなければなりませんので、その修正のないものなら今審議をすることができますけれども、修正に際して前後一致した考で以て審議したいと思います。それと共にさつき左委員からお話のありました通り公務員法というものが決定しないで、唯末端だけを審議するということには非常に落度があると考えますので、今の鈴木さんの御提案賛成いたします。
  13. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) それれでは教育公務員任免等に関する法律案継続審査になつておりますが、この法案は或る範囲において教育公務員法との関係によつて修正案が出されるということは確実と見ていいわけでありますから、さような状態において今審議をするということは無駄になる恐れが多分にあるので、今特にこの休会審議を続けるということは意味をなさんというような御意見鈴木君なり高良君から出ましたが、その点如何でございましようか。御異議ありませんでしようか。    〔「異議なし」「賛成」と呼ぶ者あり〕
  14. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) それではこの問題は政府側修正案を出して参つたときに、再び取上げて審査するということに御異議がなければいたしたいと思ひます。
  15. 鈴木憲一

    鈴木憲一君 衆議院の方はどうなつておりましようか。
  16. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) その点衆議院はどうですか。
  17. 辻田力

    政府委員辻田力君) 衆議院の内部の御事情は十分分りませんでございますが、今まではまだお呼び出しがあつて説明したということはございません。
  18. 河野正夫

    河野正夫君 今御決定になつたことは結構だと思いますが、この際文部当局に二つのことを、注文を付けたいのです。先程、今度の臨時國会マツクアーサー書簡に関連するいろいろな緊急処置法律化することに限るというようなお話であつたのですが、若しそれだけに限定しましても、國家公務員法ができて、それの枠内においてか、今政府当局説明によると教育公務員法を拵えると、すでに教育公務員法を土台として予想して、その任免に関する法律案が第二國会に上程されて継続審査中である、こういうような状況から考えますると、これはやはり全体として公務員に関する法規の一環をなすものなのであります。その意味においてそれと連関を持たなければ審議が完全にならないということは然当分つているのですから、準備ができるならば、この臨時國会にさつき申上げた私立学校に関する問題、大学教育に関する問題或いはその基礎となる教育公務員に関する法案、その免許に関する法案とかいつたようなものが取揃えられて上程されるように準備せられることを私は個人として希望いたします。  次に教育公務員任免等に関する法律案の中で、この前私は質問のときに伺つたら、確かにそれは草案起草者の手落ちであつたろうと思われるふしがあるのです。修正のときにはそういう点を十分考えて頂きたい。その一例を申上げますると、大学等に附設されておるところの新制高等学校新制中学、小学校といつたようなものに関する教育公務員任免に関し丁寧な規定がなくて、非常に矛盾を來すように、この法案から言えばなると私は思つてつたのですが、その点はこの前の質問文部当局も認められたかと思いますが、その点などについても、調整した修正案を若し出されたならばどうか、こう思います。
  19. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) それでは教育公務員法の問題は、今日はこの程度にいたして置きまして、次に教育委員会法に関する御質問なり、又御意見なりがありましたら……その前にちよつと申上げますが、実は大臣が先程申上げましたように今映画を撮つておられる、これはG・H・Qの方も來て一緒にやつておるので、午前中は困難だということであります。それでこれは非常に重要な問題でもありますから、或いは今日やはりこの問題についていろいろお話し願うか、それとも或いは日を改めて文部当局大臣始め出席を要望して、そのときにやるかというようなことも考えられるのでございますが、如何いたしましよう。
  20. 左藤義詮

    左藤義詮君 十月五日という期日は迫つておるのでありますが、いろいろな事情のために、その大事な教育委員選挙混迷状態にありますので、余り還延することは当委員会としていかんと思うのですが、本日の午後引続いて大臣出席を求めて開会することはどうですか。
  21. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) 午後はやはり大臣はプログラムがあつて街頭録音に行かれるそうで……
  22. 高良とみ

    高良とみ君 それでは明日は如何ですか。その理由は、教育委員立候補期日が二十三日になつておると思います。そうしますと今日が二十日ですからあと三日しかないのでありまして、若し最近東京その他の軍政官が言われる通り教育関係者は一切立候補できない或いは曾つて教員であつた人はいけない、理事者であつた人もいけないということになりますと、非常に混迷状態になるのであります。そうすると更に外の立候補者を求めなければならないし推薦しなければならないのに対して、一般がまだ極めて理解も不十分でありますし、ちよつと左藤議員の仰しやつたように非常に只今混迷状態でありますから、やはりこの際文部当局として本当にこれをどう考えておるか大臣の御説明を是非伺いたいと思うのであります。更に私箇人の希望としましては、軍政部が躍起になつて声明を種々発しておられますが、一体國会はそれに対してどういう恰好になるか一向分りません。殊に法律を作つたものの責任といたしまして、趣旨をどういうふうに徹底するか、國民自身條文に出たものと実際とは違い、いろいろ運営上困難があるのは、今日の緊迫した國際情勢によるところと思いますけれども、文部当局としても無言であり、又國会としても無言であるということは誠に世界が注視しておるこの問題に対して余りに無責任だと思います。    〔「その通り」と呼ぶ者あり〕 是非文部当局の御説明を伺い、又この法律を作り、審査しました者としての私共殊に参議院の文教委員会として、やはりはつきりと國民意志表示をする必要があるんじやないかというふうに考えております。その意味でまず文部大臣の御出席を願う。最近二十三日までの間にいつできるかということをお知らせ願つて、私共も万難を排して参集したいと思います。
  23. 河野正夫

    河野正夫君 今御発言もありましたが、私は國会して教育委員会法立法者の建前から、衆参両院國会開会中ならば決議を以てしてでも、教育委員会法重大性とその立法の氣持とを宣言する必要があるくらいに思つておるのでありますが、そういう閉会中ですから、而も継続委員会が開かれておるので、特に本院においては、文教委員会が本日も成立しておるくらいですから、文教委員会何等かの意思表示をする必要がある、國務大臣の或いは行政当局説明を求めるのはそれはその手段に過ぎないのでありまして、主体は我々委員会が持つべきものであると考えております。それ故に大臣出席ができないならできないでも……尤も万全を期するならば政務次官をお出でを願つていろいろと聞くことも差支ないと思いますけれども、とにかくこれに関しては本委員会として何等かの意思表示をする、或いは必要があれば調査をするということの方向で審議を願いたいと思います。
  24. 高良とみ

    高良とみ君 それに賛成であります。
  25. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) 只今河野委員の御発言高良委員賛成されましたが、つまり教育委員会法立法したところの國会というものの責任上、この際教育委員会委員選挙について、左藤委員が言われたように混迷状態にあるから、この際はつきりと何等かの意思表示をするという御提案でありましたが、如何でありますか、その点お諮り申上げます。
  26. 左藤義詮

    左藤義詮君 我々としては新聞等で見ておる程度でありますから、そういう重大な委員会として声明いたしますについては、その点責任を以上折衝をしておるのです。教育委員選挙について責任を持つておる文部大臣の経過、それから現在の状況、將來の方針についてはつきり一つ責任のある弁明を得て、それから委員会としての意思表示をしたいと思います。
  27. 松野喜内

    松野喜内君 時日のないことでもありますが、今日街頭録音はどんな時間まで掛りますかも分りませんが、その前後に何とか都合付かないでしようか。明日を待たずして、どうしても明日に待たなければならんというならば明日、或いは次官その他からでも聞けるだけ今日も聞いて置きたい氣がいたします。時日の遷延を許さんと思いますから、できるだけ文部当局で都合付けて頂きたい。文部省どう考えておりますか。
  28. 河野正夫

    河野正夫君 暫時休憩したら如何ですか。
  29. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) それではちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止
  30. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) 速記を始めて。それでは本委員会は休憩いたしまして、午後二時から再開することにいたします。    午前十一時三十二分休憩    ——————————    午後二時三十二分開会
  31. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) それでは午前に引続きまして文教委員会を再開いたします。大臣出席されましたので教育委員選挙に関する件につきまして当局方針なり、又各委員におかれましていろいろ御質問もおありのことて存じますので、御意見なり御質問をお願いいたします。
  32. 左藤義詮

    左藤義詮君 非常な國民の期待を以て発足いたしました教育委員会、その教育委員選挙が十月五日に迫つているのでありますが、もう一つ啓豪宣傳が足らないこともございましようが、称に一、二の地方におきまして、現職教員は勿論、曾て教員の経歴があつたものも立候補が望ましくないというような民政部方面の御方針がありまして、それも府縣によつて違つているようでありますが、法律を作りました趣旨と大分いろいろな情勢変化もございましようが、御方針違つて來ているようであります。そのために立候補いたします者も、選挙いたします者も非常な混迷状態に陷つている。選挙が迫つておりますのにこうした状態では果して立派な選挙が行われ、立派な代表が第一回の教育委員として選ばれるかどうか、非常に憂慮に堪えない状態であると思うのでありますが、こういうような現在の情勢に対して、文部大臣としてどういうふうにお考えになつているか、どういうような処置をしておられますか、先ず一つ当局の御所信を伺いたいと思います。
  33. 森戸辰男

    國務大臣森戸辰男君) 左藤委員の御質問でありますが教育委員選挙日本教育の上に劃期的な意味を持つものであるということは誠にその通りでありまして、從つて文部省といたしましても諸方面協力を得まして、この選挙がその所期の目的を達しますように最善努力をいたしているのであります。ただ何分にも期日の制限がありまするために、公布になりますと共に、最善努力もいたしておりますけれども、そして又新聞社放送協会、又皆さん方その他の御協力によりまして相当に徹底しつつある状況でありますけれども、まだ末端にまでは行つていない憾みもあるのでありまして、今後とも皆さん方の力強い御協力によりまして、我々としても最善努力をいたしいと存じておる次第であります。  尚この一般方針についてどうであるか、殊に地方によつて軍政部の関心を持たれておることが問題を起しておるというようなお話もあるのでございますが、勿論これは地方々々によつて事情が異つておりまするので、一概に申上げることはどうかと思うのでありますが、文部当局といたしましては國会を通過しました教育委員会法精神に基いて選挙が行われるように最善努力をいたしておるのであります。今日も私は日本ニユース映画に私の談話を述べたのでありますが、この談話におきまして、私は教育委員に望ましいのは、教育に対する理解と熱意を以て、而も公正な立場で全体と奉仕する心構えの人である、教育を喰物にするポスや、又教育委員を踏台にする野心家は禁物である、勿論政党人でも組合員でも結構であるが、併し自分の組合のことばかり考えて社会全体のことを二の次にするような人は困る、尚教育委員教育の專門家であることを必要としない。それどころか教育通であつて世間一般のことにうとい人よりは、むしろ視野が廣く、常識に富んだ素人の方が適当であらう、こういう意味談話を発表いたしたのでありますが、大きな線に沿いまして私共はさように考えておるのであります。又CIEのオーアーさんも過日談話を発表しておりまするが、全く私共の考えて一致しておるのであります。で地方におきましていろいろ話を聞いてはありまするけれども、要するにこれは地方事情によつて非常に異なつておるようでありまして、相当教育関係者についていろいろ制限的なことが言われておる所もあり、所によつてはむしろそういう人でも構わんという所もあるようであります。いずれの所においてもそれは私共の聞いておるところによれば勸告であると、我々はこういうことが望ましいと考えておるのである、こういうようなふうに聞き及んでおるのでありまして、私共全体といたしますれば國会を通過した法律精神則つて選挙が行われるということが当然のことであり、望ましいことであると思うのであります。
  34. 左藤義詮

    左藤義詮君 一部地方においての問題は、勸告であるから、文部省としては教員であると、或いはあつたとなかつたに拘わず、法律通り立候補することをお認めになる、少しもそれに対して掣肘する意思はない、かように伺つたのでありますが、その御方針については、文部省としては関係方面とも十分に最近の情勢変化を含んで御了解を得ておいでになるかどうか、又折角地方で心配しておりますることは、これから選挙運動をいたしましても、選挙までにそういうものが望ましくないということで、何らかの選挙運動が困難な事情に立至るようなことはないき、又当選いたしましても、その職務に就けないというようなことは起らないように、文部省が十分の責任を持つて関係方面とも了解の上で、只今仰しやつたような御処置をお取りになるかどうか、非常にこれは地方では心配をいたし、そのために一層この教育委員選挙活動というものが混迷に陷つておる状態でありますので、全國各地方一つ立候補者及びこれを推薦いたしますことについて、文部省として責任ある態度をこの機会に御言明を頂きたいと思います。
  35. 森戸辰男

    國務大臣森戸辰男君) 今のお話でございますが、各地方と仰しやるけれでも、これは極めて一部のことでありまして、全体の地方がそういう状況ではないのであります。特殊の事情のある地方において特にそういう形が出ておると思うのであります。これにつきまして実はこの問題は私共文部省の直接自由にし得る範囲以外の問題も含んでおりまするので、関係方面とも十分な話合もして、できるぎけそういうことも前後に起る摩擦と言いますか、いろいろな問題をなくしたいと私は考えておる次第であります。で実はそういう関係もあつて、ああいう問題が起りましてから早速関係方面ともよく話をいたして、一定の帰着点を得たいというふうに考えておるのでありますが、まだそういうような点に達しておりませんので、むしろ今日上りましてもその点についてはつきりとしたことが申上げられないから、むしろ明日その他少し延ばして頂いた方が適当であろうということを考えたのであります。今日はさよう状態にあるのであります。併しこれは全國到るところではないのでありまして、極めて小部分のところであります。
  36. 左藤義詮

    左藤義詮君 小部分でありますが、特にそれが東京都、全國の中心で起つておる問題でありまするので、新聞等によりまして各地方とも非常な氣迷い状態に陷つておるのでありまして、文部当局としては一日も早く安心して明朗に立候補もし、運動も推薦もできるように、一つ文部当局責任において一日も早くその点の処置を、もう十月五日は迫つておるのでありますから、そうでありますんと、私は折角第一回の大事な選挙が甚だ不成績に終らないか、私は文部当局といたしまして、一日も早く関係方面とのはつきりした御了解をお付けになつて全國にお示しになることが、文部当局責任であると思うのであります。今日その段階に到りませんことは残念でございますが、一日も早くその処置を要望したしますと共に、もう立候補の期間も二十八日に迫つておりますし、選挙は十月五日でありますので、片一方啓蒙宣傳等も努力したと仰しやいまするけれども、全國民にまだ十分滲透してないと見受けられますから、そういう点から何らかの処置によつて、もう少しこの選挙期日を延期なさる、こういうような文部省の御意思がおありになるかどうか、それに対して少くも努力して見よう、こういうようなお考えはおありになるかどうか、それをお伺いいたします、
  37. 森戸辰男

    國務大臣森戸辰男君) 第一の問題につきましては、私共もそういうことはいろいろ不安があることは非常によくないと思つておりますので、直ぐに実は問題を提起しておるのでありまして、最近の機会にその問題が何らかの形で明らかになるようにいたしたいと存じておるのでありまして、誠に御尤もな御要求と存じております。第二の点につきましても極めて御尤もなことでございまして、法律ができまして、できる前にも実は十分國民に徹底させるような論議が廣汎に行われる機会がありませんでした。できても極めて宣傳の時が短かつたのて最末端までこの教育委員会法案の趣旨が徹底しないという憾みもあるのでありまして、目下私共は先程も申しましたように、文部省は勿論諸種の團体勢力と協力いたしまして、その趣旨の徹底に努力をいたしておるわけでございます。かような事態であるから、むしろ選挙を延ばしたらいいではないかというお考えでございまして、これに対して文部省はどういうふうに考えておるか、或いはどういうようなふうに努力をしたかというようなお話であつたと思うのでありますが、これにつきましては私共も考えないことはなかつたのでございまして、これを延ばすような処置はできないものであろうかというようなことも、最近ではありませんが、もつと前にこの法律の施行されるその当初には考えたのでありますが、私共も諸種の事情でそれはなかなか困難なのであります。尚最近の事態においてこれをするということはどうかということでございますが、これは法律で決まつたことでありますから、今日では我々といたしましては法律を改めるということしか途がないと思います。ところで五日でありまするから、臨時國会が十月、或いは九月末に開かれるということであれば、それが可能でありましようけれども、それにそれを開くということにはまだ幾多の外のいろいろな事情もありまして、困難ではなかろうかということでございます。それではこういう問題について関係方面から命令か何か出して頂くということはどうかということも考えられるのでありますけれども、恐らくは日本國会がこれを決めてできた法律の実際の效果が現われるのも極めて近いときに決めたものについて、そういう命令が出されるというようなことはちよつと期待できないことであると思うので、民主主義を尊重する上からもそのことは不可能であろうと私共は考えておるわけであります。そういうような意味から、全体といたしますれば、この法律の適用の下に最善を盡してこの選挙委員会法の精神を副うように実現する方向に進むことが残された道であろうと存じておる次第であります。
  38. 左藤義詮

    左藤義詮君 文部当局も現段階の状態では、非常に教育委員選挙の結果に対して御心配になつておる。私共と同じ御心配のようでございますが、さよういたしますれば関係方面を煩わすことは勿論如何かと存じますが、國会としましては、三党首会談におきまして、十月一日召集ということが決定されておるのでありますから、それが召集できない、できないということが頻りに噂されることが私はすでにおかしいと思うのでありますが、與党三派で決つておるのでありまして、仮りに公務員法その他の法案準備が遅れるといたしましても、教育委員会の問題だけでも、又私共野党としては他の法案準備して十月一日の臨時國会召集を要求しておるのでありますが、文部省としてはこの問題は前から御心配のようで、特にその心配が最近深刻になつたのでありますので、是非十月一日に召集をせられて、そうしてこの法律を、施行期日その他法律改正審議するというようなことを文部大臣として閣議で強力に主張せられて、文部当局も恐らく國民全体が心配をしております。教育委員会委員選挙について、期日を延期して十分に内外の意見を調整をして明朗に選挙をする、かような御方針に一つ文部大臣としてお進めになる御意向はありりませんか。もう十月一日ということは三党首会談で決定されておるのでありますから私はそれを動かすのでなくてそれを推進されることが大事だと思うのでありますから、是非文部大臣として御努力をお願いしたいと、かように考えるものでありますから、文部大臣の御所見を伺いたいと思います。
  39. 森戸辰男

    國務大臣森戸辰男君) 御希望については誠に御尤もなことと思いますけれども、そうして三党首会談のお話もありまして、実際の諸種の準備が整えば十月一日ということになると思いますが、それらの準備については、尚事務当局努力をいたしておりますので、はつきりとして期日は定まつておりません。若し國会が十月一日に開ければ問題は当然審議されると思いますけれども、教育委員会法だけで臨時國会が召集されるかどうかということについては、諸種の点を考慮すべき点があると思いますので、必らずしも十月一日にその点だけでできるかどうかということは私としては申上げられないのであります。私としてはそういうことも一つの有力な方法であろうと考えております。
  40. 左藤義詮

    左藤義詮君 文部当局も私共と同じように教育委員会委員選挙について非常に御心配になつておるといたしますならば、私はこれだけでも一つ大臣の閣内におるお力から申しましても、御地位から申しましても、是非外の公務員法も勿論でありますが、これを解決するために十月一日に國会を召集するように、こういうことを大臣の政治的な責任として強力に御要求になるそういう御決心を頂きたいと思うのです。それに対する御所見を一つ……。
  41. 森戸辰男

    國務大臣森戸辰男君) これは諸種の事情によりまするので、私はその点ははつきりとお請合いすることはできません。一般の政治情勢等によりまして諸種の準備等もありまするから、全体を考えて臨時國会の召集ということは決定されると存じます。勿論その中には教育委員会法の問題も含まれるとは存じますけれども……。
  42. 左藤義詮

    左藤義詮君 その問題はあとに譲りまして、前に戻りますが、さよういたしますと文部省の御方針としては東京都、神奈川縣、その他いずこにおいてもあの法律通り立候補し、その運動をして差支えないのか、それともそういう特殊の地域は情勢に順應するように例外をお設けになるのでありますか、一つ根本の御方針を伺つて置きたいと思います。
  43. 森戸辰男

    國務大臣森戸辰男君) 法律の定めるところによれば、そういう所でもいずこにおいても立候補は不法ではないと私は思つております。ただ実際の運営では占領治下にありまして諸種の事情考慮されなければならんと思いますので、日本は今日すべて占領政策から自由な独立の状態にあるのではないのですから、諸種の問題についてその点の考慮も十分拂わるべきであると私は考えておるのであります。その点は一般の問題についても常に考慮さるべき点だと存じております。
  44. 高良とみ

    高良とみ君 今回の教育委員選挙につきまして刻々の事態の変化につきましては、文部省に情報をお集めになつておられると思うのでありますが、それについて私共立法に当る者の非常な心配と憂慮の点を大臣に御記憶願いたいと思うのであります。そのことも今朝からずつと各委員から御意見があつたのでございますが、殊に一、二の点を申上げますならば、文教関係いわゆる教員及び曾て教員であつた人達が立候補できないような情勢になりますると、その結果として却つて國際情勢から言いまして、他のもつと左のと申しますか、政党政派に属する人の方は自由に立候補しておるわけなのでありまして、その情勢等をよく國際情勢と照らし合せて御研究になりまして、その問題が教育の問題に非常におとなしく又小さいようでありますが、これが又今後数年の日本の文教を支配いたしますると共に、その中にありますいろいろな要素を考慮いたしますると、深甚な問題だと思うのであります。それについて閣議で御報告になり、各大臣或いは内閣の諸公が十分に御意見が御確立になつておられるものかどうかということを大変に差出がましい話でありますが、一應私共心配の余り伺つて置きたいと思うのであります。  それから第二には公務員法が大きな問題になつておりますために、それと公務にあります教職員の問題とが非常にこんがらがつておりまして、尚又そこに一つの不明朗なと申しますか、はつきりしないものを提供いたしております。この点を今回の教育委員選挙に当りまして、やはり内閣の根本方針が纏つておるかどうかということを伺いたいと思うのであります。と申します理由は、この法案が通過いたしましたときにはいろいろな予測はございましたでしようけれども、一應先を見越したあの法案がああいう形で出て來ました。そこへあのマックアーサー元帥の手紙が七月二十九日でございますか出たのでありますが、これはすべての公務員関係するのでありまして、それに從つて政府立法をしておるとは申しますものの、その趣旨教職員たると、公安委員たると、司法官であるとを問わず同じ意味を持つものと私共は解釈しておるのでありますが、果して政府におきましては、文教方面におきましては、それは新らしい公務員法ができるまでは、マックアーサー元帥の書翰というものはこれは效果を発しないものであるというふうにお考えになつておるかどうか、その点を御説明願いたいと思ひます。右二点についてお尋ねいたします。
  45. 森戸辰男

    國務大臣森戸辰男君) 第一点は、二三の地方における状況から、教育に直接或いは過去に関係した人の資格が問題になります結果、一部の政党に属する人が場合によると有利な結果になりはしないかというような御心配であつたと思うのであります。そういう点について閣議等でもそういう問題が考えられたかどうかというお話であるのでありますが、これにつきましては、私共も心配をしておりまするし、又そういうことも閣議において論議せられたのであります。この点は十分御了承頂けると存ずるのであります。  それから第二点は、マックアーサー元帥の書翰、その中には、公務員として教職員をも含まれるはずであるが、公務員法修正以前にも、殊に恐らく選挙に関連してと思うのでありますが、この政令の精神が適用されるかどうかという御質問でありますが、この書翰の具体的な法令上の形は政令となつて現われて來ておると御解釈頂きたいのであります。政令とそれに基く通達というものが今日の國家公務員に対する具体的な現われと存じております。で、その埓内において書翰が適用される、こういうように考えて頂いていいのではないかと思つております。ですから、政令は公務員法改正になるまで書翰の精神公務員に即して実現して行くという形を持つておるものとお考え頂きたいと思うのであります。
  46. 河野正夫

    河野正夫君 教育委員立候補なり選挙については外の委員の皆さんからいろいろ御質問がありましたし、只今大臣の御出席を求めていろいろとお尋するわけなんですが、この際更にもう一つお伺いしたい。文部大臣としてでなく國務大臣という立場からお答えを願いたいと思うのであります。それは最近の公務員法改正の問題につきましては、國内の操作としては政令及びその解釈に基く通達を以て処理せられる、これは尤もであります。その政令の效力如何ということについて一部の学者には異論があるようでありますけれども、とにかくそういう方法を以てするのが当然だと思うのでありますが、つまり占領下にあつては重要な司令部の方面の命令、或いは要求というものは政府に向つてなす。乃至は立法化する場合には國会に向つてなされる場合もありましよう。けれども一般國民を縛るべき規律としては、それは法律なり乃至は政令なりという形で出るのが当然だと思うのであります。その意味におきましては、今回の教員委員会法そのものは、幾多の御承知の通りの手続によりまして、関係筋の了解を得て修正も行われ、そうして公布せられたのでありまして、例えば現職の教員立候補も禁止していないことは事実であります。然るにそれらについて或る一方的な解釈が、権威を持つて、そうでなければならんかのごとくに國民に政令なり他の法律の施行されるといつたような形で行われる。それが國民は当然のごとくにそれを受取るということは、法治主義の建前、如何に占領治下といえども如何であろうかと思うのであります。緊急事態とか何とかいう場合に應じてそれぞれの処置がなされるということは了解が付きますけれども、そうでない場合においては、それぞれの筋道を以ていろいろな規律がなされて行かなければならん。然るにそれが例えば言葉は微妙な点なんですけれども、種々の方法で國会修正までして、而も関係筋の承認まで得て立法化したものが、そうでないかのごとく解せられる事態を生んでおるということについては、これは立法当局もさりながら、行政当局としても相当の重大関心を持たなければならんことでないかと思うのであります。特に國民の民主主義的精神の徹底という点においては、文部大臣は他の國務大臣に増して重大な関心を持たれることだろうと思うのでありますが、こういう場合において、曾て戰時中、或いは戰前に行われたような、或る納得の行く線でないようなもので以て國民が怯える、乃至は止むなく默してしまうというような方向へ出ることは、日本のほんとうの民主化という意味から言つて望ましいことではないと私は思います。それについて大臣の御所見を伺いたいと思います。
  47. 森戸辰男

    國務大臣森戸辰男君) これは大体この教育委員会法につきまして現職教員の問題では御承知のような修正通りましたので明らかに現職教員立候補しても悪いということはなくなつたのであります。これは積極的な修正があつたのでありますから、そのことは間違いないのでありまするから、現職教員立候補されることが違法であるということにはならんのであります。と同時にこの法律が私共立法趣旨から言いますと、又法律の組立てから言いますと、寧ろ教育に対する熱意のある公平な立場に立つて全体に奉仕するような考えの人々が委員になるとか期待されておつて、それを補足するためといいますか、教育長において必要な教育の知識經驗に対する嚴重な資格が設けられているのであります。こういう兩々相俟つて教育委員会の機能が十分果されるようにというのが立法趣旨でありましたので、從つてこの法律の建前から言えば寧ろ見識の廣い公平な立場に立つ、教育に熱意のある人が望ましいということにあるであります。そのことは、併し教員の前歴のある人、その他を排除する意味ではなくして、そういう過去の経歴或いは利害に囚われないで、公平な立場に立つて全体を代表する者であれば、そういう方々であれば差支えない、期待するところはそういうところにあつたのであります。そこで地方関係方面に漏らされたところは、法律の解釈は、法律の許される範囲はこれこれであらうが、併しこういう方が望ましいのではなろうかと、或いはこういう方が望ましいんだということを勸告した、こういうようなふうに考えられるのであります。そのことは又日本の政治に対して、殊に民主主義の発展について関心を持つ関係当局として当然あるべきことと思うのでありますが、その勸告というものがどういう形であるかということにつきましては私もよく存じませんが、適当な形であるならば、これは寧ろ望ましいのであるとも存ぜられるのであります。その点私は詳しいことを存じておりませんけれども、法律はこういう形ですべてできている、こういうことは法律は決して違法ではない、併し法律の目指しているところはこういうところにあるということを御了承願いたいと思います。
  48. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) ちよつと今まで大臣が御答弁されました点について伺いたいのは、マッカーサー元帥の書簡に基いて法令上では、政令が今度の現職教員立候補の規則について、どういう関係があるかということが疑問になつたわけでありますが、若し國家公務員法改正せられるまで政令が暫定的の意味において効力を持つ。今度の教育委員会法にも現職教員立候補できることになつているが、併し政令が暫定的の効力を持つということになりますと、やはり教育委員会委員選挙についても、その政令が勝つて來わしないかどうかという疑問があるので、その点伺うのであります。
  49. 森戸辰男

    國務大臣森戸辰男君) その点については、政令の場合は政令の通達にはつきり解釈された部分、これが制限的のものであるというふうに私共は解しております。從つて違法という問題は、それから悪いという解釈の規定はちつともないのではないかと思うのであります。
  50. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) ちよつとその点で、通達でもつて範囲を拡張するわけには行きませんのすか。ちよつと速記を止めて。    午後三時十七分速記中止    ——————————    午後四時三分速記開始
  51. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) 速記を始めて。
  52. 松野喜内

    松野喜内君 午前にも出た問題でしたが、予て文部省方面でも御盡力頂いておると伺つておる私学の法案、或いは大学法案というものについて御用意ができましたどうか。この第三國会にお出しになるかどうか、伺つた置きたい。
  53. 森戸辰男

    國務大臣森戸辰男君) この問題については準備を進めておるのすが、今度の臨時國会には提出できないて思います。これはこの國会においては緊急な問題が相当ございますけれども、それだけでも会議になかなか骨が折れると思いますので、これは通常本議会の方にならざるを得ぬのじやないかと思つております。併しこの法案準備については、事務当局はそれと係わりなく進めておるわけです。
  54. 松野喜内

    松野喜内君 公務員法が今度出るでしようが、それと関連することになるましようから、含みを持つて御調査、御用意願いたいと思います。
  55. 森戸辰男

    國務大臣森戸辰男君) よろしうございます。
  56. 柏木庫治

    ○柏木庫治君 文大臣ちよつとお尋ねいたしますが、私は教育者の爭議を心から嫌う者なんです。平和國家で而も最も平和的な仕事をなさる者が爭うということは、私は嫌うのでありますが、これは爭う方だけの問題ではなくて、文部省を目標としてやるならば、文部省の方々のあり方も大いに考えなければならんと思うのであります。これについて大学、專門学校の先生方が一日ストをやつたと思うのでありますが、あの時の新聞紙の報ずるところによりますと大学の先生方がせめて小学校の先生並に待遇をしてくれという文字が確かに各新聞に見えました。國民学校の先生はストをやつてつて、その結果がともかく俸給が上つた。爭わない方は大学の先生でありながら同じ格と思うもので三年か三期か存じませんが遅れているという新聞紙であつて、それを見た者は恐らく相当同情していると思うのでありますが、文部省はあの新聞は事実でありますかありませんか。若し事実とするならばそういうあり方をして文部省はいいか悪いか。私は事実であるとするならば一考を要すべきものではないか。そういうことはない。やつぱり小学校と同じ、或いは少かつたというようならば新聞が間違つてつたのでうから何も言うことはないと思うのですが、あの邊の消息を一つありのままに知らして頂きたいと思うのであります。
  57. 森戸辰男

    國務大臣森戸辰男君) 簡單に申上げますが、これは本部教官と地方教官との給與の差があると言うことなんです。二号俸、三号俸違うということは恐らく同じ仕事をした場合に問題があるのであり、小学校の先生と大学の先生とはちよつと比較になりませんが、併し小学校の先生と官立の師範学校の附属の先生と同じようなことをやりながら、地方教育は文部教官に比べると二、三号俸高いということが問題になるわけです。これはどうしてそういう不合理と言えることが起るのかということが問題なので、文部教室というのは大体この一般官吏として普通の官吏と同じレベルにになつていることなんです。元は先生も一般官吏よりは低かつた、終戰後は同じレベルになつたということですが、ところがそれであるから文部教官は一般官吏に比べて悪いのではない、同じような地位にあるということを多少十七割の計算から言うと、ややそれぞれの関係から行けばいい待遇にあるわけです。例えば文部省にいる文部省の役人と学校に出ている文部教官と比べると、文部教官の方がやや歩がいいのじやないか。ところが地方教官というのは官吏よりも更にいい。二、三号俸くらい違うのじやないか、それはどういう理由であるかと言うと地方において團体交渉その他でいい給與を得られているという状態がこれは画一的ではないのであり、地方的に違うわけです。例えば、只今これははつきりした事実は知らんが、千葉縣などは小学校の校長さんの三ケ月分ぐらいと同じような給料を貰つていたというようなことも言われておつたのです。これは特殊に高い事情にある。そういうところで聞きができているのであり、一般に文部教官が外の役人に比べて安いというのではないのです。これを地方教官と同じように上げろ、私共下げては非常に困るから上げろというが今度は大藏省の方は一般官吏の問題である、文部教官だけを上げるというわけには行かんと、こういう問題が起つて來ているわけです。從つて私共は何とか殊に附属学校の先生で町の学校に行けばこれこれ併し附属学校にいるから悪いということでは、同じ仕事をしておつて氣の毒だから、なんとか同じ方向に持つて行きたいと思つている。実はこの問題は本年のお正月頃に大体同じだつたのです。ところが地方で闇で皆上げちよつてそこで又開きができて又二号俸くらい違う。それでできるだけこれを縮めようと我々は努力しているんですが、今申したように一般官吏との問題があつてそう簡單に行かない。こういうふうな実情でありまして、足りないという不平も理由があるのです。併し直ぐそこに上らんということも、日本の全体の給與制度から言い得るのであると思うのであります。
  58. 柏木庫治

    ○柏木庫治君 今のお答は実に明瞭でよくわかりましたが、文部省の権限と申しますか、そういうどこかの新聞の中に掲げて國民を肯かしめるという方法をおとりになるわけに行きませんか。
  59. 森戸辰男

    國務大臣森戸辰男君) これは新聞なんかで発表したのであります。それから向うから交渉に來ればそういうことは話をしております。それから新聞の人が聞きに來ますからその時に発表しております。
  60. 柏木庫治

    ○柏木庫治君 文部省の声が小さくて一方國民の声の方がとても大きくて…
  61. 森戸辰男

    國務大臣森戸辰男君) これはどうも新聞の……。多少文部省の言うことよりはそちらの言うことを余計書かれるという……。
  62. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) 一應ここで委員会を打切つて、二、三の点について打合せ会にいたしたいと思いますが御異議ございませんか。
  63. 松野喜内

    松野喜内君 ちよつと今教育委員選挙について午前、午後に互つての同僚の熱心なる御意見、又文部当局の御説明も伺いましたが、結局文部当局に申上げたいのは、これまでも啓蒙運動には御盡力されましたでしようが、一段と本委員会の今日の空氣をお察し願いまして、一つこの声がよりよき教育委員を選出し得るように御盡力願いたい。干渉はしないまでも、つまり指導と申しましようか、啓蒙運動に一段の御努力を願いたい。我々文教委員はこれ程重要なる試みはないというので、個人々々にも、或いは地方に参り、殊に東京都におきましても、この人は出て欲しいがといつて諸君も折衝なされたが、なかなかその出て欲しい人には出て貰えぬ。又この勸告の線に沿うても人選をするのに現実的に困難な状態にあります。確かに政党政派を超越して一つ出ようという人もそれぞれおりますけれども、なかなか適当な人が得られぬという現実の状態である。我々文教委員といたしましても本当にこれが政党政派を超越して、教育のためと思つて眞劍に心配している。故に文部省の方にそういうことを要望して、直接我々は文教委員としてそれぞれ質問をしたり、又打合せをさせることと思いますが、これは一つさつきの関係筋との御折衝なども、強い要望があつたように、一段と努力して頂かんと、功名今や地に落ちると思いますから、だんだん御意見もおありと思いますから後は打合せにして頂きたいと思います。
  64. 高良とみ

    高良とみ君 一つ希望があるのですが、先程おつしやつた当局との交渉がおありになつた結果を、願わくば文教委員会へ御報告願つて、そのままに流してしまうようなことのないように深甚なる考慮をいたしておりますから、すべてその点は責任をもつてお願いしたい。文教委員として、又独自な立場から立法府として責任をとりたいと思つておりますから、この意思だけはお酌みおき願いたいと思います。
  65. 田中耕太郎

    委員長田中耕太郎君) それではこはこれで委員会を打切りまして懇談会に移ります。    午後四十九分散会  出席者は左の通り。    委員長     田中耕太郎君    理事            松野 喜内君            柏木 庫治君            岩間 正男君    委員            梅津 錦一君            左藤 義詮君            木内キヤウ君            高良 とみ君            安部  定君            河野 正夫君            鈴木 憲一君            中川 以良君            矢野 酉雄君   政府側    文 部 大 臣 森戸 辰男君    文部事務官    (調査局長)  辻田  力君