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1948-06-14 第2回国会 参議院 文化委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年六月十四日(月曜日)    午後二時十九分開會   —————————————   本日の會議に付した事件 ○祝祭日の改正に關する件   —————————————
  2. 山本勇造

    委員長山本勇造君) これより文化委員會を開きます。今日はかねがね問題になつておりました祝祭日の問題について改めて又お諮りをいたします、これは十二月の五日に初めて政府から話がありまして、突然政令で出したいということでありましたので、翌日の六日に衆議院合同委員會を開いて、それからずつとここまで來ておるわけであります。そうして政府のいう政令というのを止めにしまして、法律で出すということに決定をいたしました。又その法律政府で出してもよろしいのでありますけれども、これは國民祝祭日であるのだから、立法の府である以上、この國會で出したいということになりまして、それ以來ずつと兩院共この問題につきまして、研究、調査を重ねて來ておるわけであります。只今までやりましたところのこの囘數は、委員會その外の打合會を混ぜますと三十七囘やつております。隨分丁寧にやつたわけであります。そうしてこれは二院制度建前から申しますと、參議院參議院衆議院衆議院別々の案を出すことがむしろ當然であるのでありますけれども、併しながら祝祭日の問題は國民思想感情に及ぼす影響が非常に大きいものでありますから、最初から衆議院合同の形をとつて進んで來ておりますので、この衆議院との合同を續けて行くためにこの二人三脚では相當に我々は難航を續けて來ておるわけであります。四月の十五日に合同をいたしまして、そうして一種の大變不完全なものでありましたけれども、祝祭日に關する一種試案を得たわけでありまして、その時に紀元節の問題が非常に問題になりまして、あちらの委員長においてはこれに對して或る考え方がおありのようでありましたのでその委員會の席上でそれを述べて貰うべくお話しをしたのでありますが、そこでは話しにくい、それで翌日私に電話をして申上げるということでありましたが、翌日お電話も何もないので、二、三日過ぎても何のあれもありませんでしたから、こちらから伺うに電話をし、又その外にいろいろ間に人を立てましてやつたのでありますが、まだこちらに話すまでに至らないということでありまして、遂に實は今日に至つたわけであります。勿論これは向う委員長もこの祝祭日の問題については非常に心を痛められ、又國民意思をできるだけ傳えるようにという意味でお計らいになつておると私は信じていますけれども、併しその間大變に長い期間を過してしまつております。ところがあちらにおいては委員長が交代するということになりまして、新委員長になりますと前からの引繼ぎ、その他のために大變遲れてしまいまして、向うとの合同ができましたのは、やつとこの間の土曜日の六月の十二日でありました。その結果先程お手許に差上げておりますような、一種兩院の小委員の打合會におきまして祝祭日一つ試案を得たわけであります。この試案につきましては大體お分りと存じますので、詳しい説明は別に申上げませんが、こういう試案を得ましたのにつきまして、今度は改めて正式なる合同委員會を開きまして最後の決定をいたさなければならん段取になつて參つておりますが、この間の小委員の打合會におきますこの試案につきまして御意見を伺いたいと思います。
  3. 久松定武

    久松定武君 この間の十二日の衆、參合同打合會の案を見ますると、私は古い日本歴史に關する記念日というものがないように思います。私はやはり日本の古い歴史ということも尊ぶべきことと存じまして、ここに四月の十一日の聖徳太子の日を記念日として御採用願いたいということを希望する者でありまするが、ただ四月の十日の婦人の日とその翌日と二日續きになるという點において、私はむしろどちらを採るかという場合には聖徳太子の日を採つた方が有意義だというように私は考えるのであります。
  4. 赤松常子

    赤松常子君 私この試案を拜見いたしまして、豫ねて婦人の日を強く主張いたして參りましたものでございますから、これが決定かと思つて實は喜んだのでございますけれども、これはまだまだ試案であるというので、ちよつとがつかりいたしましたが、私、婦人の日を特に主張いたしますことを今更繰返して申上げる必要はないくらいこの前申上げたと存じますが、何も婦人の權利のみを主張して云々というふうにしたくないのでむしろこれを婦人啓蒙教育を強く意味する日ということにして、そうして婦人男子方々と同じような實力を持ち得るように、そのために婦人の問題を國民全體に關心を持つて考えて頂く。又その中には母を讚えるというような民族的な問題も含めて、強く婦人重要性を皆様に考えて頂くという意味にこれを使いたいと考えておるわけでございます。そうして地方に參りましていろいろ婦人の會、又男女合同の會合などでこの問題が取上げられて、いろいろ輿論を聽いて見まするに、やはり婦人はそういう日を是非國で取上げて頂くということに全部贊成いたしておりまするし、又地方男子方々によく事細かに話して聽いて見ますと、やはりそれはあつた方がいいし、國民全般の高まる意味においても、今まで餘り婦人のことが疎かにされていたし、これから兩方考え合うという意味においても、あつた方がいいという御意見の方が男子の中からもあるという工合でございますので、私そういうことでこの日を設定して頂く。これを切にお願いしたいと存じますが、これから日本を獨立いたしまして國際的な舞臺に出て參ります場合にも、先進國にはすでにこういう婦人の日が歴史的にも長く取上げられて、そうして今日の婦人の地位にまで高まつたことを思いますと、婦人の日がないということは國際的に見ても非常に日本の恥辱ではないかというくらいに考えておりますものですから、是非この日の設定をお願いする次第でございます。
  5. 團伊能

    團伊能君 只今赤松委員からお話がありましたが、この婦人の日を置くにつきまして如何なることをするかということ、如何なる意味婦人の日を置くかということが、私は相當問題でないかと思います。ただここに擧げられておりますように、いわゆる婦人の日というものが子供の日と共にございますことは、從來の日本社會といたしまして、婦人に十分なる立場を與えてなかつた歴史がまだ殘つておりまして、女、子供といういわゆる社會の從屬的な、何と申しますか、デイペンダントというような觀念からこれをいたわるというふうにこの婦人の日がとられはしないかと思うのです。過去における日本婦人の待遇は、誠に我々として遺憾なことでございましたが、今日新憲法下におきまして、そういうことは消え、たとえあつたといたしましても、これは我々の努力によつて婦人立場男子と同等に上げて行かねばならず、又現在上げているのでございますから、特に婦人の日というものを設けることは、却つて婦人がいたわられるものだというような感じを殘しまして、如何がと私は存じますから、或いはその意味において、ない方がいいのではないかと思います。但し、婦人の日が外の形におきまして、いたわられる日ではなくして、もつと積極的な意味を持つ、又婦人ばかりでなく、婦人が專ら代表していられる文化的な平和的な又國際的な面を強調した一つの日を作つて、それは專ら婦人中心でやられるというようなことになると、私、却つてよいと思いますが、甚だ抽象的な議論で、この時間のないときに私がこういうことを申上げることは御迷惑かと存じますが、そういう感じを持つております。  第二は、ここに實際問題として四月十日、四月二十九日、五月三日、五月五日、この間に國際的ではございませんが、メーデーというようなものも入つて來ると、四月の末から五月の初め約一週間は休みのような感じがしますが、これは秋と比較いたしまして、先程委員長もお示しになつたように、非常に偏つておりますから、この問題だけは何かここでお考え頂いて、秋と大體釣合が取れるようにお考え頂きたいと思つております。
  6. 岩本月洲

    岩本月洲君 先刻久松委員の御發言なつた御意見を持つております。在來委員會の節にお述べ申しましたようなことで、重ねて申上げる必要はありませんが、やはり四月の十一日という日を選んで頂いて名稱は聖徳太子の日或いはその外適宜なものがあればお考え願うとして、とにかく聖徳太子といういわゆる日本歴史的、傳統的に日本を代表することのできる人格者でありますし、この人を通して日本の國を思うという日柄として、特に私はお考えを願いたいと考えておる者であります。赤松委員の御意見婦人の日とは、ただ日にちが竝ぶという點において遺憾な感じがいたしますけれども、私は竝べた場合、久松委員と同じでありまして、四月十一日を聖徳太子の日として、乃至は國の初めを思う日として、一つ取上げられれば大變結構だという意見でございます。
  7. 赤松常子

    赤松常子君 先程團委員のおつしやいました、婦人の日をどういう意味考えたらよいかということでございますが、私先程申しましたように、婦人實力が非常に劣つておるので、あらゆる面で低いので、これを高めるにはやはり自分達が能力、實力を持たなくてはいけない。であるからこの教育、つまり何と申しましようか、高まつて行くというところにこの婦人の日の大きな意味を持たせたいのでありまして、ただ女であるからいたわつて欲しいといにようなことは、やはり我々から言えばそういう卑屈性を持つことは封建的であるし、男子の方から御覧になつて一種の封建的の氣持ではないかと思いますので、私はそういう臭を拂拭するために婦人の日が重要性を持たなくてはいけないと、こう考えております。具體的に申しますならば、良き母になるために、或いは勤勞しております婦人は良き技能を持ちますためにというような高い目標を以て、特にその日に考えて行くというようにこの日を使いたいのでございまして、現在の婦人でそのままいたわつて欲しいというような、そういう消極的な奴隷根性は持つておらないわけであります。今の状態ではいけないから、そのためにこの日の意味を高く廣くして、そうして教育的に持つて行きたいと、こう考えておるわけでございますので、そのために婦人の日が特に必要だと、こういうふうに考えております。
  8. 山本勇造

    委員長山本勇造君) ちよつと申上げます。この問題についての議論は盡きないと思いますが、同時に今までに二十何囘もやつておりますので、僕はもう大體において盡きておるとも考えられます。それに時間も餘りございませんから、この問題を、婦人についてどうする、その次に聖徳太子の日についてどうするというように、決を採つて行くというふうにしては如何でございましようか。まだ早うございますか。もう少しまだ御議論なさる餘地がございますか。又あなたのおつしやつた感謝日等の問題も順々にそういうふうにやつてつた如何かと思いますが、如何でしようか。
  9. 若木勝藏

    若木勝藏君 決を採る前に簡單に私の意見を申上げさして頂きたいと思います。  今婦人の日の問題と聖徳太子の問題が出ましたが、どちらも入ればよいと思うのでありますけれども、何しろ日にちが續くというような問題が一つ出て來るのでありますが、そこでこの全体の配分の上から見まして、聖徳太子の日というようなものの意味は、元日、或いは憲法記念日、或いは文化の日、或いは平和の日、そういうような方面において史實として取扱うことができるのではないかと思うのであります。そういう面から考えまして、聖徳太子方面一つの行事とか史實に現われまして、祝祭日の項目としては、合同委員會の樣子も伺いまして、この場合婦人の日を採つたらどうかと、こういうふうに考えます。
  10. 高田寛

    高田寛君 この試案によりますと、國の初めの日と建國記念の日というものがないのでございますが、これは前の二月十一日というものは、史實に徴して科學的にはつきりしていないという點、その他の點もあつて、これを殘すことは無理だと思うのでありますが、併し一般の輿論調査關係などから見ましても、やはり國の初めを記念する日というものが欲しいという氣持國民に相當深いものと思われるのであります。然らばどういう日を初めの日とするかということになると、なかなかその日を選ぶのにむずかしいのでありますが、併し何か史實に徴して縁りのある日を決めなければならんという點から考えますと、やはり先程問題にもなつております四月十一日聖徳太子の日というものを、一つ日本文化國家ができた記念の日という意味で、國の初めの日という考え方で、四月十一日というものを採るということは相當意義があることと私はこういうことを感じているのであります。
  11. 大隈信幸

    大隈信幸君 私も今高田さんの御説に非常に同感でございまして、輿論調査の結果があのように紀元節というものをいつまでも置いて呉れという結果が出ているのでありますが、紀元節というものはいろいろな事情から置くことができなくなつたのでありますが、先程委員長お話ですと、いずれ將來に國の初めを思う日とか、或いは建國記念日というものを考えるというようなお言葉もあつたのでありますが、將來への考えといたしましては、結局そう新らしい史實というものが出て來るわけでもございませんから、大體先程の御意見もございましたように、聖徳太子というものを一つの國を思う日と申しますか、そういうものに持つて參りまして、婦人の日も私は是非置いた方がよいと思いますが、これを何とか四月十日というものは婦人が參政權を得られた記念すべき日なのでございましようが、別の日を何か婦人の日にしよう、向上というものを圖られるような日から選ばれれば非常によいではないかとそういうような感じを持つております。
  12. 三木治朗

    三木治朗君 この祝祭日の問題が大體日にちにおいて追い詰められている形になつておりますので、只今聖徳太子の日を設置するのも御尤もと思うのでありますが、要するに參議院獨自の案で持つて行くのでなければ今更どうにもならんというので、この場合に衆議院と同調しないで行くか、參議院獨自の案で行きかというこの二つ考えますときに、私はできるならばやはり衆議院合同で以て決まつたところで行くことがよいのではないか、かように考えるのです。こういう觀點からいたしまして、この合同の案に全部が必ず滿足すべきものとは思いませんが、これで行くことがよいと、かように考えるのであります。  ただその中で私の意のあるところを申上げるならば、十一月二十三日の感謝の日というものを、十月には何もありませんから、十月の適當の日に、いわゆる生産感謝の日として設置して繰上げて頂きたい、こういうことを私は希望いたします。
  13. 山本勇造

    委員長山本勇造君) 生産感謝の日の問題は暫く後に廻しまして、一つ一つ今のようにやつて行きませんと、これは今日は決を採らなければ仕方がないだらうと思います。今のような場合決議して行かなければならんと思いますが、併し只今三木さんのお話の中にもありましたように、ずつと合同して來たのでありますが、併しただ合同して來たからといつて、何でもかんでも衆議院に從わなければならんということは無論ありませんけれども、又一方においてはずつと合同して來たのでありますから、その點も考慮しなければならんと思いますが、又參議院だけで出したときに、果してそれが通り得たかどうかということも考えなければならんと思いますが、併し又一方においてそういうことを一々顧慮しておつて、そうしていい案が出ないでしまつてはいかんと思いますから、勿論全體としては參議院としてできるだけよい案をお出し願うようにしたいと思うのでありますが、その意味におきましてそれらのことを十分お考えの上で、これも決を採つて行くより仕方がないだろうと思いますので、如何でございましようか。
  14. 金子洋文

    金子洋文君 只今委員から申上げられたそれぞれの御意見は、十分理由があることとして、いずれも私は贊成でありますが、問題はそういう一つ一つ檢討から離れて、政治的な面で以て考慮しなければならん段階に來ておるだらうと思うのです。  それで參、衆それぞれ別個に祝祭日の案を出すということは勿論或る場合は必要でございますが、參議院文化委員會がこれまで非常な檢討をし、長い時間を掛けて辛抱をして來た所以のものは、この問題が國民思想感情に大きな影響を與えるからして、できるならば參、衆兩院一つになつた案を以て臨みたい、こういう苦衷が今日まで延引したことと思います。從つて兩院文化委員會の私案が非常に違つておる場合は、これはそれぞれ別個に案を出すということを止むを得ないと思うのです。今や問題は掛つて聖徳太子婦人の日それらの點に掛つて來ておるように思う。であるからこの問題で今までの苦衷を水泡に歸して別々にして出すということは、どうも政治的に甚だまずいのではないかというふうに考えますので、この際私としては、皆さんの方の御意見は尊重し、贊成でありますが、過日兩院打合會において大體決まつた案と基として、幾分日にちを變えるものは變えて、これを以て兩院の案として出すことが政治的に見て妥當でないかと考えます。
  15. 山本勇造

    委員長山本勇造君) 實は大變御尤もな議論だと思います。實は私今日朝から衆議院文化委員長に會見を求めておりますが、あちらも大變忙しくて、今ちよつと見えたようでありますが、一つ委員長同士で話合いますと、それらの點についてもやや幾らか見通しのつく點もありやしないかと考えられる點もございますので、若し委員會のお許しを得られますれば、そこに來ておられるようでありますからどなたか理事の方に代つて委員會を續けて頂いて、私は暫く委員長と話をする機會を與えて貰いたいと思いますが、如何ですか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 金子洋文

    金子洋文君 その間休憩することも一つございますが、それとも今まで御意見をおつしやらなかつた方は意見を一應……。
  17. 山本勇造

    委員長山本勇造君) 殆んど皆さん發言なつたと思いますが、御發言にならない方は……、それでは淺井君。
  18. 淺川一郎

    淺川一郎君 私の考え皆さんのお説は御尤もだと思う。それで婦人の日も聖徳太子の日も眞つ先に贊成するのでありますが、一般空氣からいつて、又衆議院兩方の何からいつて可能性がないと私は思うのですが、大體において四月十日を削つてしまう、そうしますれば全般に亙つてスムースに行くと思うのです。私は大體そういうように考えております。この案を通すにはこれを除かなければ決定できないと思つております。
  19. 山本勇造

    委員長山本勇造君) それでは一旦休憩いたします。    午後二時五十一分休憩    ——————————    午後三時四十九分開會
  20. 山本勇造

    委員長山本勇造君) それでは引續いて會議を開きます。只今衆議院委員長が見えましたので、いろいろ懇談をいたしましたのでありますが、眞つ先にあれしましたことは、何よりもこれからやつて行きますのに、兩方合同審査會をいたしませんと進みませんから、先ず明日の午後一時から合同審査會參議院の第二號委員室で開くことを定めました。  それからこの祝祭日を定めますにつきましては、參議院としてはこういう腹で臨むという建前から、當然こちらはこちらとして決議をして臨むことが當然と思いまして、先程も一つ一つ採決して行こうかと思つたのでありますが、先程の三木委員金子委員等のお説もありますし、委員長只今話してみましたら、大體において何とか合同して行ける途もあるように考えられますので、委員會の御同意が願えますならば、今日はこれらの問題について、できるだけ意見鬪わしますけれども、決を採らない形にして臨んだ方がよろしくないか。決を採つて臨みますと、或いは決裂を豫想するようにもなりますししますから、委員會が一々の決を採らないくてよいというお考えであれば、あれらの問題につきまして、こことしてはできるだけ意見鬪わして置くだけということに止めたいと思うのですが、この點如何でしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  21. 山本勇造

    委員長山本勇造君) 御異議ないと認めます。それではそういうふうなことにいたしまして、婦人の日、それから聖徳太子の日について決を採らないようにいたします。併しそれらについて尚御意見があるなら、明日臨むに當りまして、決は採らなくても腹が決まるという上で尚御意見があれば伺いますが、尚外に申上げたいことがありますから、先程の程度でよろしくばその程度に止めて置きたいと思います。
  22. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 凡そ婦人の日については、この前も私の考えを訴えたのですが、やはりこういうふうに段々決まつて行きますと、全體の記念日國民に與える感じが、どうも古い記念日に代つて新らしい記念日に對する國民の期待というものに副い得ているかどうかということを考えるのですが、いろいろな點がありますが、その中の一つの點は、今までの日本祝祭日というものが、塀を廻らした日本の國の中ばかりに通用するもので、ちつとも國際的に通用しない、即ち國際的に積極的な意思というものは現われていなかつたので、そういう點から、日本がこれから國際的な意識を持つて進んで行くということを、是非現わして頂きたいというふうに考えるのであります。それで、やはり國際的な積極的な意識を現わした日が一つもないというので、國民記念日としては、國民の全體の祝う日だという御趣旨が今まで述べられておつたわけですが、その中でも特にこれからの日本が、やはり勞働階級の信頼というものを持つて行かなければならない。そういう意味では五月一日のメーデー、或いは婦人の日というものも、この四月十日というのが、去年から始まつた日ですが、もう今では恐らく二十年來三月八日という國際的な婦人の日として、長い間祝われて來た國際的な有意義な日がありますので、そういう國際的な日をやはり一つ乃至二つくらい入れて頂きたいというふうに切望するのですが、そういう意味で五月一日のメーデーか、或いは婦人の日を四月十日という、これも日本だけにしか通用しない日ですから、國際的な婦人の日という三月八日が採られると、三月八日についてはいろいろ誤解があるようですが、元來三月八日というのは、特にイデオロギーというふうなものでなく、婦人の政治的な向上という意味で、いろいろな立場の人が一致してその日をやつて來たのです。殊に日本中華民國との將來關係を囘復して行くという意味でも、中國で三月八日を國際婦女節として祝つておるので、日本でもその日を婦人の日にして頂くということを希望いたします。
  23. 山本勇造

    委員長山本勇造君) 問題としては、皆さんのお手許に差上げてあります、この參、衆合同打會祝祭日案というのが、ほぼ兩方合同でこういう形のものができております。勿論これは試案でありますけれども、今あなたのおつしやつた日はこの中に入つておりません。それでこれは衆議院からもその案は出ておりませんのと、參議院の方ではあなた以外にはその日を述べておる人はないのではないかと思うのですが、三月八日のことは、勿論そういう請願もあることはありますけれども、委員としてはあなた以外にはないので、從つてこの打合會にはそれは出て來ておりません。もうここまで押詰つて來ますと、どこまでも合同で行くという建前で進んで來ておりますから、又ここで急に新たな日を出して來ると、到底この會期中に出すということが困難だろうと思いますから、それらの點を一つ考えを願いたいと思います。  それでここに出ておりますものとしましては十あるわけでありますが、今の婦人の日の外に、只今聖徳太子の日、或いは國を思う日というので、四月十一日が問題に上つております。併しこれは決を採りません。その意味はこういうふうに私了解いたしております。日本では、今までの祝祭日は大體宮廷の祝祭中であつて、殆んど宮廷中心になつておりますが、その中で神武天皇祭というのがあつて、これは人ですね。あと大正天皇祭というのがあつて、人もございますけれども、やはり宮廷中心です。ところが今度のあれになりますと、天皇誕生日はありますけれども、日本の偉人の日というのが一つもないわけなんで、外國では大抵その國の立派な人が何人か出ておるのに、今度の新らしい祝祭日にはそういう立派な人が一人も出ていないじやないか、誰も日本にもそういう人があり得るだろうというのが、一つ聖徳太子が出て來たあれだろうと思うのです。  もう一つの原因は、憲法十七條という日本で最初の、あれより先にああいうものはないのでありますが、法治國といいますか、文化の國といいますか、そういうようなものの土臺になるようなものを發表されたものは、あれ以前には文書としては全然ないのです。而もその十七條の第一は、「和を以て貴しと爲す」という平和思想であり、それから第十七條には、「大事をば獨り斷ず可からず、必ず衆と輿論にうべし」と、こういう言葉がある。つまり獨斷でやつてはならない、必らず衆と共にやれという、まあ千何百年も前のことでありますから、勿論民主主義というようなことはありませんけれども、一種の民主主義思想がこの十七條の最後に出ておるのです。第一條は平和的なものであり、第十七條が一種の民主主義的に通うものがありますので、そういうものを千何百年前に出されたというところに非常に大きな意味があるのだと思います。勿論この中で「詔を承けては必ず謹め」という言葉があつて、これは戰時中濫用されたわけでありますけれども、同時にこれに對する亦誤解等もあるかも知れませんけれども、併しこの詔というのは恐らくは、よろしく衆に諮つて決める、それで決まつたものを詔として出すというふうにも考えられますし、この間パーンズが見えましたときに、パーンズは古い人の書いたものであるから多少の異論もあるけれども、これは聖徳太子の場合はアクセプタブルのものだからと申しておりまして、それらの點も御考慮に入れられて然るべきものと考えます。  後の問題は三木さんの言われました感謝の日を十一月の二十三日では遲くなる、寒くなるからもう少し先にしてはどうかという御意見でありましたが、この二十三日が遲過ぎれば、これは幾日がいいか、それについて案がありますか。
  24. 三木治朗

    三木治朗君 前の祝祭日か何かの因縁でございますか、そういう意味でとれば新嘗祭のような日が如何かと思いますが、これは必ずしも向うの欲するところでないと思いますので、外に別段生産の日として何か結び附くものがあれば結構です。けれどもないとすれば十月の十五日ぐらいがいいのじやないかと思いますが。
  25. 山本勇造

    委員長山本勇造君) つまり十月がないからというのですね。併し十月の十五日じや一層早くなつて、或るところでは刈入で忙しいという問題が起りはせんか、若しも十月にするならば、十月の末あたりにするか、或いは十一月の二十三日というものを繰上げるか、或いはカストムのないところには無理な點がありますので、これらについてのお考は如何でしようか。
  26. 三木治朗

    三木治朗君 二十三日を選んだというのは新嘗祭……。
  27. 山本勇造

    委員長山本勇造君) 新嘗祭のそういうカストムを重んじてやつているので、衆議院の方から歸つて來ますと、又ここで議論が起るだろうと思いますが、勿論起つてもそれは國民の守らなければならない日を決めるのですから、できるだけこことしましては愼重に議しまして、いい日を選ばれて、そのために衆議院議論になつても構いませんけれども、餘り議論になりますと日がないところに以つて來て、法案を作ることに時間がなくなつて來ますから、何か言うならば相當なことがなければいかんと思いますな。
  28. 三木治朗

    三木治朗君 そうすると結局僕の主張したのは神嘗祭ですね。
  29. 山本勇造

    委員長山本勇造君) それはちよつとまずいのですね。
  30. 三木治朗

    三木治朗君 そうすると據り所は即座に發見できません。
  31. 金子洋文

    金子洋文君 據り出はいい季節を選ぶということですね。
  32. 山本勇造

    委員長山本勇造君) それは新らしい日を設けてもなかなか國民は附いて來ないと思います。やはり季節がよくて米も穫れ、その他の物も穫れ、何にかとやりいい時なら全く新らしい日でも國民は附いて來ると思います。併しどちらかというと成るべくカストム的のものを利用する方が利益です。例えば十一月十五日という日も考えられますが、これは七五三の日で、生産に對する感謝の日としてはどうですか。
  33. 羽仁五郎

    羽仁五郎君 新らしい記念日を作る場合に、これに決定されていないものを新らしい記念日とするのを排斥する意味でない。これ以外にも五月一日、或いは三月八日とかいう日を國民記念日として持つことも妨げないという意味ですか。
  34. 金子洋文

    金子洋文君 その點はこの委員會でもしばしば問題になり明らかになつております。民間でそういう記念日をやつても差支ない。例えば五月一日のメーデーとか、三月八日を婦人の日とすることは一向差支ない。
  35. 山本勇造

    委員長山本勇造君) 今金子君が言われた通り、民間でやられるなら何をやつてもいいのです。時間が參りましたから後は懇談會に移りまして、委員會はこれで散會いたします。    午後四時八分散會  出席者は左の通り。    委員長     山本 勇造君    理事            金子 洋文君            久松 定武君    委員            赤松 常子君            三木 治朗君            若木 勝藏君            團  伊能君            徳川 頼貞君            淺川 一郎君            大隈 信幸君            藤森 眞治君            岩本 月洲君            高田  寛君            三島 通陽君            羽仁 五郎君