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1948-06-23 第2回国会 参議院 農林委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年六月二十三日(水曜日)   —————————————   本日の会議に付した事件 ○輸出入植物檢疫法案内閣提出、衆  議院送付) ○肥料配給公團令の一部を改正する法  律案内閣提出)   —————————————    午後一時三十分開会
  2. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) これより委員会を開会いたします。本日は先ず最初に昨日に引続きまして、輸出入植物檢疫法を議題にいたします。質疑を御継続願いたいと思います。尚昨日木檜さんから資料の御要求がございましたので、それはお手許の方に配られておると思いますので、それによつて御了承願いたいと思います。
  3. 石川準吉

    石川準吉君 輸出入植物檢疫法に関連いたしまして、若干の問題を申上げたいと思います。第一は、現在植物輸出入状況はどうなつておりますか。又この法律が施行される前の、最近の檢疫状況はどうなつておるか、この点を一点お聞きしたいと思います。 第二は、國内において、即ちこの法律におきましては、外國に対する輸出入関係でもありますが、更に國内におきましても、各地域におきまして、いろいろな害虫なり、或いは細菌なりというものがあるわけでありますが、これらに対しましては、たしか從來病虫害駆除予防法というような法律がありまして、それによつて各縣でやつてつたようでありますが、今度の法律に関連しまして、國内のこういうような病虫害駆除予防法に関する、内容の改善をどうされる御意思がありますか、どうか、その一点をお伺いしたいと思います。  それからもう一点は、第十四條を見ますというと、日本から出すものについて、檢査する、或いは相手國要求するものだけということに相ごつておりますが、併しながら若し日本が將來積極的に、こういうようなものを出すというような場合があるとすれば、相手國要求する、しないに拘わらず、全般的に出すものは全部檢疫いたしまして、立派なものを出すということが、相手國信用を高めるゆえんではないかと思いますが、かような点につきましては関心がないでありましようかどうか、この三点についてお伺い申上げたいと思います。
  4. 山添利作

    政府委員山添利作君) 第一の質問の点は、戰爭中は殆んど貿易杜絶状況でありましたので、人員も非常に欠けておる、設備も荒廃をしておるという状況でありましたが、本年度からこれは段々整備をして行きたいと考えておるのであります。予算的に申しましても、本年度相当殖やすことになつております。人員も或る程度増加をいたすことになつております。その関係のことにつきましては、多分参考資料として配付をいたしておるのであろうと思います。  尚植物檢査実績という点につきましては、まだ貿易もそう盛んでございませんのでありますから、そうした件数はそう沢山あるというわけではありません。併し最近でも私共のところにときどきこういう病害を発見したという報告が参つております。  それから内地における病害虫駆除でありますが、石川さんが、お述べになりましたように、これは明治三十年くらいの古い法律がありまして、これはひとり法律が古いというだけでなしに、一般状況も変つて参りましたので、是非法律の改正を近い機会にいたしたいと考えておるのであります。併しこれはひとり法律ということだけでなしに、むし内地における病害虫駆除施設を充実するということが必要なのでありまして、予算関係もございますので、その辺と睨み合せまして、やりたいと思つております。現在の施設といたしましては、郡若しくはそれ以外の小さい区域に、それぞれ病害虫発生予察嘱託員を設置いたしておりまして、常時そういう人が見て廻つておる、氣象の状況等を勘案して、これはどこどこに発生した、これはいけないということを通報いたしまして、その情報を集めて、現在は府縣ならば府縣から用心せいという天氣予報みたいなことをやつております。こういう施設を將來充実いたしまする外に、やはり病害虫駆除方法といたしましても、肩に掛けて手押しのポンプのような恰好でやつてやるのじやいけないので、もつと完備した設備を以て、且つ廣い区域に亘つて機動的に活動できるような方法を考えなければいけない。そのためには縣が、主体になりまするか、或いは協同組合主体になりまするか、或いは両方のあれを使いまするか、何らかもつと徹底した協同防除方法を作る、それに対して、國の方から相当経費を出すということを考えて行かなければならんと思いますし、又新らしい病菌等が入りますれば、早期に徹底して撲滅をするということも考えなければいかんのでありまして、今年一割増産の運動をいたしますのについても、病害虫の問題を特別に取上げたようなこともありまして、今後、現在はこの方面に関する施設が極めて不十分だと思いまするので、それと同時に、又増産といたしましても、この方面に期待することも相当多いと思いまするので、十分防除施設ができますように、予算法律相伴つて刷新をして参りたいと考えております。 それから輸出植物檢査の点でございますが、これは成るほど石川さんが仰せになりますように、國の貿易品信用を保持するという点から申しますと、あれには病菌が附いておるという非難を受けないようにする必要があるわけであります。同時に各國共國内的にも亦輸出的にも貿易制度というものが、だんだん改善されており、今の輸入の上におきましても、外國において輸出檢査等のあります、その檢査の結果によるところの病菌がないという証拠がなければ入れちやいけないということを書いておるのでありまするが、これはやはり相互主義でありまして、病菌があるものと雖も、これは外國要求さえなければどんどん出していいという趣旨ではございませんけれども、併し輸出しようとする人が必ず義務として國の檢査を受けなければならないというものは、第十四條に揚げておりまする外國からの要求があるというようなものを以て、一應足るのでないか、こういうふうに考えておるのであります。
  5. 木檜三四郎

    木檜三四郎君 ちよつと伺いますが、お仕舞の表に、植物檢査概要がありますが、その中に役人雇入れの数が揚げてあります。備考に「柑橘、百合の裁培地檢査期間中約一〇〇名の技術補佐員」を補充するということがありますが、これはこの表の外に雇うのでございましようか。その百名の補佐員というものは何日ぐらい雇つて、どこからこの給料は出すのでありますか。
  6. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 説明員から説明させたいということでありますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) それではどうぞ。
  8. 八木次郎

    説明員八木次郎君) 只今技術補佐員百名ということを書いてありますので、それの質問が出ましたが、これは柑橘なんかですと去年は三十万箱程出ております。これの檢疫を一時に僅かの植物檢査官吏だけでやることはできないので、府縣病害虫をやつておる方とか、或いは病害虫檢疫経驗を持つておる方を、植物檢疫官補佐員として使うわけであります。その費用の出所としては旅費手当であります。
  9. 木檜三四郎

    木檜三四郎君 手当及び給與金の中からと、それと旅費ですね。
  10. 八木次郎

    説明員八木次郎君) そうです。それで官公吏である人を嘱託した場合にはその人に旅費だけを出す。それから官公吏でない地方の人、経驗ある人というような者を使つた場合には手当を出しております。
  11. 木檜三四郎

    木檜三四郎君 尚雇入れ期間は何日間ぐらいですか、それを伺いたい。
  12. 八木次郎

    説明員八木次郎君) 雇入れ期間は、柑橘でありますと約一ケ月になります。それから百合も同じように一ケ月ぐらいでございます。
  13. 木檜三四郎

    木檜三四郎君 尚伺いますが、この給與は凡そどのくらいのものですか。昨年の例に比べて。
  14. 八木次郎

    説明員八木次郎君) これは予算で掣肘を受けておりますので、一人当り一千円です。旅費は実費を見る。こういうことになつております。
  15. 木檜三四郎

    木檜三四郎君 尚伺いますが、千円というのは昨年に支出なさいましたので、今年のように給與のペースが皆上つて参りました以上は千円では雇うことができませんが、やつぱり千円でやるのですか。
  16. 八木次郎

    説明員八木次郎君) これは一應の計算したときの基準がそうなつたのでありまして、人数は少くて済むような場合は幾分増加することができると思います。
  17. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 外に御質問ございませんか……。御質問がなければこれで本案についての質疑を終了いたしたいと思いますが、御異議ございませんか。
  18. 木檜三四郎

    木檜三四郎君 簡單にいま一つ……。
  19. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 簡單にお願いします。
  20. 木檜三四郎

    木檜三四郎君 出張所でございますが、場所によつては一名乃至二名というふうな出張所があるようですが、これは或るときによつて用事もありましようけれども、平素においては用事のないところがありましようが、これは本省へでも引揚げて置くのでしようか、用がなくても出張所にこの人数を配置して置くのですか、実情はどんな工合になつておりますか、ちよつと伺います。
  21. 八木次郎

    説明員八木次郎君) この予算は、全國に三ケ所檢疫所があります。その三ケ所がおのおの三ケ所ずつの出張所を持つておるわけでありますが、その檢疫所神戸横濱門司と、その三ケ所へ予算を分配してやつております。それから出張所から請求があつた場合、檢疫所長がどのくらい要るだろうという予算を立てまして、それを要るときその都度々々配付しておるわけであります。
  22. 木檜三四郎

    木檜三四郎君 そうするとこの出張所に一名とか二名とかありますのは、これは予定で、門司神戸若しくは横濱という檢疫所から必要に應じて出すので、この各出張所人数は、ただこれは目標なんですね。実情に應じて出すことになりますね。
  23. 八木次郎

    説明員八木次郎君) 一名二名は常に配置しております。
  24. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) それではこれで質疑を終了いたしたいと思います。つきましては本案採決に入りたいと思いますが、大体趣旨並びに内容簡單なものでありますから、できれば討論を省略いたしまして、直ちに採決に入りたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 御異議ないようでありますから、それでは直ちに輸出入植物檢疫法案につきまして採決に入りたいと思います。衆議院から送付されました通り、又原案通り本案を可決することに御賛成の方の御起立を願いたいと思います。    〔総員起立
  26. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 全会一致可決されました。それでは後の御審議中に多数意見者の御署名をお願いいたします。    〔多数意見者署名
  27. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) それから委員長報告もかねての例のように委員長一つお委せ願うようにいたしたいと思います。  それでは次に肥料配給公團令の一部を改正する法律案について、これは本日の公報には誤まつて予備審査ということになつておりましたが、これは参議院先議法案であります。從つてこれは本審査でございますので御了承を願つて置きたいと思います。  最初大島政務次官からこの法案提案理由の御説明を伺うことにいたします。
  28. 大島義晴

    政府委員大島義晴君) 肥料配給公團令の一部を改正する法律案提案理由を御説明申上げたいと思うのであります。  重要農業生産資材であります農藥は、その使用の対象が農作物の病虫害防除にあるのでありますが、この病虫害発生は、年により、所によりまして著して差異があるばかりでなく、傳播性を持つておりますから、農藥配給はその発生に即應して、而も時機を失せずに行われなければ全然効果がないのであります。  農藥配給につきましては、昨年九月臨時物資需給調整法に基きまして農業資材配給規則を制定し、從來の一手買取販賣統制方式を廃止いたしまして、新たにクーポン制による配給制度計画をし、実施いたしておるのでありますが、このクーポン制におきまして病虫害発生常習地に対する農藥配給は大体支障なく行うことができますが、病虫害が非常に大きく発生したり又は異常発生した場合においては、從來の一手買取機関のごとき保管施設がないために、輸送難の現状と相俟つて、これに必要な農藥配給は極めて困難であり、病虫害の猖獗に施す術もなく、不測の損害を招く虞れが極めて多いのであります。  これが対策として、これら緊急事態に対処いたしまして適切な農藥配給を行うためには、これに必要な農藥病害虫発生危險地方貯藏、保管し、いつでも直ちに配給できる態勢を整えて置くことが肝要でありますが、現配給制度におきましては、かような保管施設がないために、同じ農業生産資材取扱つております肥料配給公團に、これを行わせることが最も適当と認めまして、肥料配給公團にこの緊急用農藥取扱わせるため、必要とする肥料配給公團令の一部を改正する法律案を提出いたしまして次第であります。何とぞ愼重御審議の上御協賛あらんことをお願い申上げる次第であります。
  29. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) それでは審議に入ります前に、只今提案理枝の御説明によりますと、從來もこういうようなことをやつてつたようでありますから、それについての状況、又本年の計画予算的措置その他につきましても、一應参考のために井上技官から補足的に御説明を伺うことにいたしたいと思います。
  30. 井上菅次

    説明員井上菅次君) それでは農藥配給状況につきまして、この病害虫の大発生した場合における緊急用農藥について、どういう状況であるかということを御説明申上げたいと思います。お手許に配付いたしてあります刷物の説明に入ります前に、先ず從來の概況を御説明申上げたいと思います。 農藥配給については、昭和十五年から農業藥剤配給規則という農林省令に基きまして、農藥配給を行なつて來たのであります。從來統制会社令による農藥統制株式会社という統制團体がありまして、その農藥統制株式会社農藥製造業者から生産されました農藥を全部買取りまして、そして農業会を通じまして一元配給をしておつたのであります。それでこの病害虫発生或いは異常発生したる場合におきまする緊急用農藥につきましても、この統制團体におきまして一時保有せしめ、発生危險のありまする地方分散貯藏せしめておつたのであります。これにつきましては、一時これが金利倉敷料その他の経費につきまして國から補助をしたことがありますが、それは二年ばかりでありまして、事実上そういう統制團体をして保有貯藏せしめておつたのであります。それが昨年統制会社令の撤廃に基きまして、その統制機関によりまする一手買取販賣というものを廃止いたしまして、昨年九月に農業資材配給規則というものが制定されまして、それによつて十二月から配給制度を実施して参つておるのであります。そうしてその配給径路は、農業会一般商業者取扱つておるのでありまして、そういう緊急用農藥に対しまする貯藏保管という施設を何ら持つておりませんので、そういう大発生したような場合におきまする対策というものが実行が困難という状況になつておるのであります。  それで今提案説明にもありましたように、これら緊急用農薬肥料配給公團取扱つて貰うという趣旨から、これを計画したのでありまして、その計画内容簡單に御説明申上げますと、お手許に配付いたしておりまする印刷物によりまして御説明申上げたいと思います。その第二頁にありますが、稻作の主要比害虫発生状況を図表に示しておるのであります。この緊急用農藥対象といたしておりまする病害虫は、この図面にありますように、「いもち」或いは「うんか」というように、その発生が年によりまして相当発生の多いときと少いときとその差が著しくありまして、例えて言いますれば、「いもち」におきましては昭和十六年度うんか」におきましては十五年度のように、平年の発生よりも二倍、三倍の発生を來しておるのでありまして、こういう発生の特に甚だしい、そうして重要なる病害虫に対しまする農薬を、緊急用業藥といたしまして肥料配給公團取扱つて貰う、こういうように計画したのであります。その実施要綱は三頁から書いてありまするが、その緊急用農藥病害虫発生危險期間貯藏保管いたしまして、そういう大発生があつたような場合には、その農藥をその発生地方配給して行く。そうして大発生等がなくしてその農藥が不要になつたという場合には、適宜一般配給に廻すのであります。その配給につきましては、この統制農藥については農業資材配給規則によることは当然でありまして、肥料配給公團は、農林省指示によりまして、その緊急用農藥農藥製造業者から買取りまして、発生危險地方分散貯藏を行いまして、農林省指示によりまして配給する、その配給販賣業者にやらすのであります。  それからこの肥料配給公團取扱いまする手数料の問題でありまするが、農藥につきましては、生産業者販賣價格、それから卸賣、小賣に三本建になつておりまして、緊急用農藥と申しましても、全配給量の一部でありまして、特定の價格の設定も困難も事情もありますし、又價格をプールする機関もありませんので、肥料配給公團でこの緊急用農藥取扱いまするに必要な金利倉敷料庫入庫出料、運賃、貯藏中における減耗費その他の経費は國で負担する、こういうふうになつておるのであります。  それから第三番目に農藥種類数量でありまするが、一應先程申上げましたように、「うんか」とか「いもち」、或いは馬鈴薯の疫病、甘藷の「なかじろしたば」というような重要な病害虫発生の度が特に甚だしいものにつきまして、これに要します農薬を見込みまして計画を立てたものでありまして、一應貯藏計画数量として挙げております数量によりまして、「いもち」病が五万町歩、「うんか」が十万町歩、それから稻の「つとむし」が四千町歩、稻の「どろおいむし」が一万五千町歩馬鈴薯防疫一万町歩甘藷「なかじろしたば」五千町歩蔬菜害虫三万町歩駆除できる農薬計画したのであります。  それから次は四番目に緊急用農藥貯藏保管配給に要しまする経費といたしまして、人件費事務費といたしまして五十万良、これは肥料配給公團交付金として計上しておるのであります。それから金利倉敷料以下の貯藏配給に要します経費でありまするが、これは一應今の数量を半ケ年貯藏するものとして計算した所要経費でありまして、これは実際やります場合に、その数量或いは期間というものが違つて來るのでありまして、これの経費につきましては、予備費から支出しよう、こういう大藏省との了解済みになつておるのであります。以上簡單でありますが、これで終ります。
  31. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) それではこれから本案についての質疑に入ります。
  32. 山崎恒

    山崎恒君 二、三質問をさせて頂きたいと思います。肥料配給公団に藥品を取扱わせなければならないというような事情の立つ至つた理由をいま少しお聞きいたしたいと存じます。これは只今協同組合法が制定されて、協同組合が円滑にこれから事業を開始しようというような状況になつておる今日、こうした事業は挙げて協同事業で農民みずからが購入して行うべき仕事じやないかと、こう思うのでありまするが、いわゆる公團組織官僚統制であるのであつて肥料そのものと同一に、災害の救助の場合の應急施設だというような意見があるのでございますが、民間企業を圧迫しはしないかというような点も考えられるのであります。他の協同組合等を有利に利用することによつて、こうした仕事はできるのではないか、こう思うのでありますが、肥料公團にどうしてもやらなければならなかつたという点をいま少し詳細にお伺いいたしたい、こう思うのであります。  同時にこれに要する費用も、約一千万円掛かりまするし、この取扱高は一億五百万円というような相当数量取扱うのでありまするが、それだけ民間一般業者取扱いできないことになるというような点もあるのじやないかと思います。こういうようなことから考えまして、こういう質問をいたすのでございますが、そういうような点からいたしまして、どうしても肥料公團にやらした方がいいというような理由について一つお伺いいたしたい、こう思うのであります。
  33. 山添利作

    政府委員山添利作君) これは先程説明がありましたように、元のこういう仕事が円滑にやれた統制会社がなくなり、全國農業会がああいう解散するということになつて來ますと、今度はこの仕事を誰にお願いしたらよいか、結局最も確実なものにしたいというので、肥料配給公團を便宜使うというのでありまして、肥料配給公團がよいというわけではないのであります。只今協同組合等のお話がございましたが、成るだけ全国的な協同組合ができまして、且つ末端における農藥取扱も、大部分が協同組合の系統であるというような、協同組合中央組織ということも考え得るのでありますけれども、併しそれは今の問題ではないわけであります。それから又理窟から申しましても、この肥料取扱といたしましては普通の肥料でございません。農藥取扱といたしましては、普通の商品と同様に協同組合でもよければ、商人でもよろしい、要するに登録を受けた者がよろしい、こういう制度になつておる関係からいたしましても、これは協同組合の連合体でありますると、それを賣るのは又協同組合に限るという制限もあるわけで、そういう点も難点がございますので、肥料公團をこの際利用するのが一番確実であり、又難がない、こういうわけであります。  又非常に民業を圧迫することにならないかという御意見に対しましては、これはもともと緊急に備えての予備貯蔵でありまして、或いは普通の人から申せば、誰も損なものを抱えておるということは困るのであつて、そのために政府金利、倉敷を保証して持たせる、こういうことなのであります。これを末端配給いたしますときには、市町村の農業協同組合なり、或いは小賣商なり、それぞれの機関の手を経て農家の配給いたす、こういうことになるのでありまして、いわゆる民業圧迫にはならないと思います。
  34. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 肥料公團取扱われる農藥種類はどんなものであるか。若しその農藥種類によつて特殊のものがあるとするならば、特殊の技術を持つていなくては取扱ができないのではないか。そういうふうな場合に特殊な技術をどうやつて養成するのであるか。或いは特殊の技術を持つておる者を採用されるのであるか。嘱託されるのであるか。そういうふうな点についてどういうふうにお考えであるか、お伺いしたいと思います。
  35. 山添利作

    政府委員山添利作君) どういうものを扱うかにつきましては、参考資料の第四頁に挙げてある通りであります。もとよりこれらのことについても專門的な知識を要する事柄はあろうと思いまするが、さてそれにつきましては大体倉庫或いはその他の取扱として、そういうところにそういう人間がおるわけでありますが、公團自身としてはこれはそう多くの人を採つてどうするということは考えていない。参考資料の六頁に人件費として六名分が計上してございますが、公團はやはりこういう事業主体としていつでも指示從つて配給ができるという態勢をとつておればよい、こういう考え方を持つておるわけであります。
  36. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 農業用藥剤の特殊のものは特殊の技術を持つていなくては取扱はできない。過去において農業会あたりが取扱う場合においては、特殊な技術を持つていないから、農業会取扱うことができない。但し特殊の講習会をやつて、それに限つて特殊の技術を認めた者がおつたならば、その者をして取扱わせるということで農藥取扱はできるというのが、過去の実績であつたのであります。今回そういうふうなことで政府農藥取扱農業会にやらせておつたのが、肥料公團取扱わせる場合においては、そういうふうな技術がない者にでも取扱わせて差支ないものであるかどうか、こういうふうな点であります。
  37. 山添利作

    政府委員山添利作君) そういう例外を認める、この場合は例外だというようなことはないのが、いずれも同じことで取扱わんければいかんと思います。私は……その事情についてまだ不確かなところがございますからこちらの方から……。
  38. 井上菅次

    説明員井上菅次君) 從來この農藥につきましては、主として農業会がやつてつたのでありまするが、これの使用に関しまする指導方面は、縣なり、或いは農業会或いは今度は協同組合でありまするが、そういう面で実際の使用面は御指導を願うわけでありますが、この公團取扱いまする取扱者の技術の点につきましては、我々といたしましてはできる限り農業者の農藥に関しまする技術者と申しますか、経驗者を以てこれに当つて貰うというふうに考えておる次第であります。
  39. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 今お話を承わるというと、農藥技術を持つておる者に取扱つて貰うということでありますが、そうすると公團にそういうふうなものを嘱託するものであるかどうであるか、過去の実績を更に詳しく申上げますというと、農藥の中に劇毒藥があるのであるから、そういうふうなものを一般の者に取扱わせることはできない、必ずその資格を持つておる者でなくちやできない。併しながらその資格を持つておる者はそう各農村におらないのであるから、特殊の講習会を設けてその特殊の講習を受けた者を資格ありと縣が認めて、その者に取扱わせるというのが從來の例であつたのであります。でありまするから今回の肥料公團取扱わせる場合において、過去のそういうふうな特例を全く除外してしまつて肥料公團にはそういうふうな特殊の講習を受けた者、或いは特殊の資格がない者であつてでも、取扱わせることができるのであるかどうか、取扱わせられるということであるならば、取扱わせる方針であるということを御明言を願いたいと思うのであります。若しそういうふうなことであつたならば、今回農業協同組合その他が農藥取扱う場合においても、特殊な技術を持たない者であつてでも、取扱つていいという方針を示して貰いたいと思うのであります。
  40. 井上菅次

    説明員井上菅次君) 農藥の中劇毒物につきましては、劇毒物取締法というものがありまして、当然これを取扱いまする場合には、それの資格者或いは都道府縣知事の免許を受けた者でなければ取扱うことはできないのでありまして、これはもう当然にこの法律によりましてそれの資格者でないといけないと思います。と同時に農藥の何たるか、或いはこれの貯藏の使用上におきまする知識を持つておる者でありませんと、適切な配給ができないというふうにも考えまして、先程申上げましたのは、そういう方面の知識経驗者を、できるだけそれの六名のポストに入れて頂くということに考えておる次第でありまして、それの劇毒物を取扱う資格の点につきましては、御説のように当然に取締法によりましての資格者でないと取扱いができない、これは当然のことと考えております。
  41. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 そうしますと、これを貯藏して置くところの場所はどのくらいの予定であるか、人件が僅かに六人であるのでありますから、各肥料公團末端まで貯藏して置くというようなことであつたならば、六人ぐらいのものでは足らないことになつて來るんじやないか、結局資格がない者に取扱わせるということになつて來るんじやないかと思うのでありますが、この点お伺いいたします。
  42. 井上菅次

    説明員井上菅次君) その貯藏場所でありまするが、成るべく廣く分散いたしまして貯藏するのが適当であるのでありまするが、一方余り細分いたしますると機動性と申しますか、融通性がなくなりまして、思わん地方発生したような場合に間に合わんというようなことにも考えられますので、計画いたしておりまする貯藏個所は、肥料公團が五支部にありまして、五支部の中これは支部によりまして、又病害虫発生の危險の多い少いによりまして変つて参りまするが、大体一個所乃至二個所、こういうふうに考えておるのであります。
  43. 山崎恒

    山崎恒君 藤野さんの御質問に関連いたしましてお伺いいたしますが、先程の取扱資格の問題でありまするが、劇毒物取締規則によつてこの農藥取扱い、取締りは非常に從來むずかしかつたのでありまして、これが免許を取り、或いは登録を取るまでに相当農業技術者といたしましては、從來講習等をいたしまして登録をし、免許を取つて、現在各縣の農業会等にはその資格を保有しておるのであります。同時に町村等の農業会等にもそうした登録をし、資格を取つて現在販賣免許を取つておるような事情でありまするが、先程の御説明によりまするというと、大体この肥料公團を卸の藥務を掌るというようなことにお聞きしたのでありますが、無論この肥料公團がこれを取扱うといたしましても、劇毒物を取扱うことになりますれば、その資格者を持たなければならんことは勿論であろうと思いまするが、そうした点について改めてこの肥料公團にそうした資格者を採用するのかどうかという点を、一つお聞きいたしたいと思うのであります。これは先程局長さんの私の質問に対する御意見であつたのでありますが、全國の農業機関がなくなるから、最も適正だと思われるところの肥料公團にこれを取扱わせる。從つて民間企業は圧迫をしないというような御意見でありまするが、そうなりまするというと、連合機関が、全國的の農業協同組合ができることになりますれば、その方面にこれを直ちに委讓する御意図かどうかという点も一つお聞きしたいと思うのであります。同時にこれと対應いたしまして、政府では少くとも縣の協同組合連合会というものは少しも早く発足することを私共は考えております。そうした場合に先ず以てこの原案によりまするというと、全國を五地区に分けて、大体その支部の最も危險性あるところの一二ケ所に貯藏するというような内容でありまするが、これを縣を單位としての取扱いを考えなかつたかどうか。縣の農業協同組合連合会というものが早く発足する。そうしたものに便法として取扱かわせることを考えなかつたかどうか。こういう点についてお飼いしたい。こう思うのであります。
  44. 山添利作

    政府委員山添利作君) 先程も申しますように末端配給機関といたしましては、協同組合あり、又商人の方あり、いずれも自由にどちらの方にでも流せるような体制のものでなければならんのでありまして、その意味から申しますれば、この農業協同組合の連合体を以て当てるということは制約を受けることになるわけでありまして適当でない、全國的なものができましても、そちらの方にこの仕事を持つて行くという考えは、只今つておりませんのであります。尤もこの配給公團そのものもこれは永久施設ではありませんので、協同組合が非常に発達をして、同時にこの末端における配給までずつとやはり系統的に、系統組織で行くのだというようなシステムができ上りますれば、これは仮定の議論でございまして、勿論そちらの方に移す方が首尾一貫してよろしいということは考えられるが、これは將來のことでありますので、今何とも申すわけには参りません。差当つて、これを急に、この施設主体を変更するという考えは持つていないのであります。  それから府縣の單位で考えたことがないかという点でございますが、府縣協同組合連合会を考えましても、今申しましたような難点がございまするが、何しろ病害がどこに出るか分らない。それに対して平坦な言葉で言えば、中央予備兵力を蓄えて、どつちにも機動的に動かそうというのでありますから、府縣の範囲ではやや狹いのではないかという考えをいたしておるのでございます。  それから人件費は、ここの予算として六名取つてございます。もとより規則上何名かの專門の取扱の資格のある人を設置せられることを要求せられておる次第でございますから、新らしく人員を採用することになると思います。
  45. 岡村文四郎

    ○岡村文四郎君 少しお伺いしたいと思いますが、実は公團取扱品目、いろいろと因縁を附けて、それは殖やそうという一体氣分がありはせんかということを、先ず以てこの点をお聞きしたい。それは過般炭カル肥料肥料公團配給することにしたのでありますが、むしろこれは供給過剰になつておるものを、それを公團取扱品目にしたことの具体的の理由はどうかということを先ず以てお聞きしたい。  それから先般私が質問をいたしまして、國内産の肥料、作物の種子、それから内外産の緑肥の作物の種子を肥料公團、又は飼料公團配給統制をさすべく研究中だていう旨の御答弁がありましたが、その後の経過は一体どうなつておるかということをお聞きしたいと思います。  次に順次統制品目を整理せんとする旨のことを、先に芦田首相や安本長官は施政方針として述べられておるにも拘わらず右のような措置は政府の公約に反しておるように認めるがその点は一体どうであるか。  それから蔬菜の種子や肉類、魚介類の統制撤廃の実績に鑑みて、右のような物資は統制を廃することが最も適当だと思うが所見はどうであるか、右のような措置は物調法や公團法の濫用と認めるが一体どうか、政府は今後これについてどのような物調法や公團法を利用せんとする計画があるかということを先ず以てお伺いしたいと思います。
  46. 山添利作

    政府委員山添利作君) 炭カルの肥料を、公團が開拓地に仕向けるものについて、取扱うことになつたことについての御質問であります。肥料配給統制規則、即ち肥料公團設立当時において、炭カルの肥料を統制すべきや否やということは相当論議されたのであります。その当時の状況といたしましては、岡村さんのおつしやるように大体余つておるのではないかという見解で放つて置いたのです。ところが私も極く最近までは余つておるものと思つてつたんですけれども、実際に調べて見ますと実はむしろ足りない。その点が第一点。  それから開拓地に向けますものを肥料公團において取扱います理由は、開拓地に対する一種の助成政策なのでありまして、開拓地としては何としても金もなければいろいろな手蔓もない。そこで肥料公團においてメーカーから買入れて、これを開拓地に送り込む。言い換えて見ると、そこに一種の、言葉は悪いのでありますけれども、何と言いますか開拓地に対するサービスという意味でそういうことにいたしたのであります。又同時に開拓地の方といたしましても、今度は政府の方から金を借りまして、この炭カルの資金を増す。こういうことにして両々相俟つて……御承知のように開拓地は酸性でありますから、その土地改良をやろうということになつております。本年度の需給計画といたしましては、開拓地に持つて行くのが手一ぱいでありまして、その外に炭カル肥料を配ばる余裕がないのが実際の状況になつて來る。もつと増産をして開拓地以外に配ばる必要があると思うのでありますが、実情はそういうことになつております。開拓地に対してどうしても必要な炭カル肥料を確実且つ円滯に供給する、そのために公團が努力をするという、こういうのが肥料配給公團が炭カル肥料取扱理由でありまして、この農藥取扱うと同時に、統制のためにするのではなくて何らかの助長をするために取扱う。こういう意味であります。  それから飼料公團におきまして緑肥種子等を取扱うということについては、その方針を以て研究を前からいたしておるのであります。この緑肥種子の中でも輸入物等は、これは適当に計画配給をいたしますれば、現在の制度の下においては特別の問題はないと思いますが、なかんずくこの「れんげ」草の種子というものは、統制を撤廃してしまうならば増産ができて、そこに需給のバランスがとれて、むしろ事態を根本的に改善して行くことになりはしないか、という意見相当あるわけでありますけれども、おのずからそこにそれを生産し得るところの適地が限られておる。一方需要が非常に多い。そうすると成る程或る程度増産はされるかも知らんけれども、それ以上に價格の騰貴が甚だしくて、結局農家の利益にならないであろうという見解の下に、やはりこういう種類のものについては、統制をすることが必要であるという考えを持つておるのであります。 さて最終的にどういうふうになりましたかについては、取調べの上御返事を後でいたしたいと思います。総理大臣の言等をお引きになりましたのでありますが、私共の考えといたしましても、何も統制万能ではない、統制をやればやるだけにそこに非常に面倒なことがあるのは、我々自身として困ることが非常に多いのでありまして、できるだけ統制の範囲を少くして行きたいという考えにつきましては、いわゆる官僚でもそう考えておることを、御承知下さるようお願いいたします。
  47. 岡村文四郎

    ○岡村文四郎君 もう少し伺います。最近肥料配給公團配給されております、統制肥料の品質が非常に粗悪だということをよく聞きますが、この眞相はどうであるか。それからその次はそれに対して政府はどういう措置をお採りになつておるか、採るつもりであるか。  それから公團配給する物資に対して、私共は物にぶつかるまでそこまで考えていなかつたのでありますが、今度肥料配給によつて非常に別の面から考えなければならんことが起きて來ておると思いますが、それは農村に配給いたしまする公團扱いの品物が、百姓はいつも金を持つて配給物資を購入すべく、準備をいたして置くゆとりがないのが相当多いのであります。そこで一定の期日はありますが、それ以上貸して置きますと会計法に違反をするというので、これはのつぴきならんことになつております。そこで先程からの議題になつておりまする農藥のごときものは、急を要する問題であり、これを金がなければ出さんのだ、こういうことであつてはならんと思います。こういうものはゆとりのある、少しは延しても、引張つても、断つても余裕のあるものに扱わすことが、双方とも困らないことになりはしないかということを考えますが、政府はどうお考えになつておりますかお聽きしたいと思います。
  48. 山添利作

    政府委員山添利作君) 肥料についての品質の問題でありますが、これは一般的には化学肥料について、品質が粗悪を來しておるとは思わないのです。ところが昨年御承知のように福井縣の武生などで大きな事件がありましたし、或いは瀬戸内海に海賊、海賊というとおかしいのでありますが、機帆船が中味をすり替えて硫安として配るというような事件、いろいろな不正事要がありますことの結果、どうもおかしなものが多いのではないかというような疑いを持たれることが多いと思います。そういう極端なものが一般的に評判よ悪くするのじやないかという考えを持つておるのであります。併しこれは非常に、品質保持ということは大切なことでありますので、絶えず檢査に努めております。いろいろ見て廻つてサンプルを取つては分析をするというようなことは、励行いたしておりますると共に、それぞれの工場が自分で自己分析もやつておるわけであります。それらのレポートも、こちらに取寄せるというようなことで絶えず注意を拂つており、今後ともその点は注意を拂つて行きたいと考えております。  それから農藥等について、例の公團は現金を受けなければならんという原則に対してのお尋ねでありますが、確かに緊急用農藥等は予め計画的に購入するものではないので、これについては特別の考え方をしなければならん。或いは切符の制度というようなことも特別の考え方をしなければならんと思う。それらの点については殆んどその目的を達し得るような措置を考究したいと思います。
  49. 岡村文四郎

    ○岡村文四郎君 序でに伺いますが、藤野さんが盛んに毒藥物の取扱者に対するお話をされ、山崎さんからも非常に似たお話が出ましたが、これは今御答弁になつたようなことにおやりになる計画でしようが、実際のことに当つてその預かつた責任者が、今まで農業会がやかましく言われてやつておりましたような、眞の責任者でない者が預かつたりして、又非常に政府を責める材料ができると思います。これは余程御注意なされてもきつと出ると思います。これは全面的に最初から御注意を願つて置かんとそれ見たかということになつて断然面倒なことになることが予想されますから、公團でお扱いになる五ケ所や十ケ所ならできそうですが、さあとなるとそんなことはできない。今までは下から上までずつと看板を掛けて個人のように扱われたから間違いないです。その人はそこにおるうちに毒藥物の講習に行き資格を取ればその人の身分が重くなつて、他へ出る時分には、それは講習も済んでおるから却つて高くなつて、それだけ資格のある者がやるのですが、実際使つて見たら非常な物を出して來る。そういうことになります。この点は從つて統制を解くか、解かなければ十分な注意をしないといけないと、念のために申上げて置きます。
  50. 木檜三四郎

    木檜三四郎君 実は公團令というものは一時的のもので永久のものではないので、その問題はいわば圧迫されてできた公團、この公團を大きくするやり方は、これは御同樣注意しなければならんと思います。そうして現在農藥地方の藥屋さんなどで扱つておりますが、その規則によりますと農藥肥料配給公團に一手取扱をさせて外の者には扱いさせない。こういうことになるのでありますか。若しそういうことになると藥局をやつておる藥屋さんなどはやはり農藥を扱つておるが、ここにこういう害虫が起つたといえば農会からなり何なり沙汰でもあれば機敏に農藥を配付するだけの、いわゆる前垂れ掛ですから、それは機敏です。ところがこれが公團というお役人連中に扱いをさせることになるとそういう点がうまく行くまいと思いますが、そこでお話によるとその藥は支部の五ケ所に預けて置いて臨機の処置にさせる。その支部の五ケ所はどことどこであるか。それを一つお聞きしたいのであるが、私は公團というものに扱わせるよりは、いわゆる民主主義で、今日農業会を廃めて農業協同組合ができる以上は、そのものを大きくさせるためには、農藥もやはりその地方々々の有力で信用のできておる組織が現実に分つておりますならば、そのものに農藥を預けて置いた方がむしろ民主主義ではないかと、こう思うのでありますが、第一政府の方針が公團というものをますます助長して大きくするという方針であるのか、一方には今申上げたように農藥肥料配給公團で以て外のところには扱わせない、そうするというと機敏を欠く虞れがある、こういう点も余程考えなくちやならん。いわゆる理事者の説明によつても、ここに害虫ができたというのは予想ができないから、それがために或る五ケ所に持つてつて集めていると、こういうのでありますから、若しそうであるならば、その五ケ所はどことどこであるか。その五ケ所の代りに今日できて、又できつつある農業協同組合の堅実なるものにやらせた方が、実際問題に触れて機敏に処置ができやせんかと、こう思うのですが、第一配給公團なるものは、これは一時的のものだと、こう思うのですが、こういうものをだんだんだんだん大きくして実力を與えて、いわゆる官僚本位に育てて行くということは、我々委員としては余程考えなくちやならんと、こう思うのでありますが、この点を農政局長の御意見を伺つて、やはりそういう方針に助長するのかという点と、五ケ所の支部というものはどことどこであるか、教えて頂いて、更にその支部の方面協同組合の堅実なるものがあるならば、それに委せた方がよくはないか、農藥は今後一手販賣で外の者には扱わせない、こういうことになると機敏の処置がとれなくなりはしないか、これだけお伺いいたします。
  51. 山添利作

    政府委員山添利作君) 公團に対する根本的な考えということは、この農藥の予備貯藏をさせるということとは、実は直接関係はないのでありまして、別に公團を強化したいという考えもなければ、弱化したいという考えもございません。必要なる農薬貯藏ということだけを公團にさせるということが便利であるからこの公團を使いたいと、こういうのでありまして、從つて緊急必要とする農藥貯藏するのでありまして、農藥取扱公團が独占するのではございません。從つて公團の普通の業務とはこれは全然別なのであります。普通の業務でありますと、独占体としての公團でありますから、この農藥取扱は登録をした人ならば何人でもできる。ただ貯藏する役目をこの肥料公團が受持つ。これに対して政府金利倉敷料等を負担する、こういうことになつております。それからその貯藏したものを配給いたしますものは、農業協同組合の役目でありまして、公團末端までいたすというわけではございません。  それから次は北海道とか東北とかというように分けるのでありまして、その貯藏の場所をどこにするかということは、まだ具体的に決定いたしておりません。やはり災害の発生状況、交通の上から見て成るべく中央に位しておるところ、倉庫の設備、こういうような点を考え合せまして、具体的に決定いたしたいと思つております。
  52. 西山龜七

    ○西山龜七君 その肥料配給規則の第二條の後段に、肥料の意粉について説明をいたしておるのでありますが、これは荷粉は肥料としても扱つてもよろしい、農林大臣の許可を受けた場合はこれを適用せないでもよろしいとこうありますが、現在はこれはどういうふうに扱つておりますか、お聞きしたいと思います。それからもう一つ肥料の需要の見込みのところに欠量補填というのがあります。この欠量補填というものは、各全國の配給所にそれらのものを余分にやりまして、その結果をどういうふうに処理しておりますか。この欠量補填というものと今の荷粉の問題の実情をお聞きしたいと思います。
  53. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 安藤事務官から御報告があるそうですから……。
  54. 安藤恭

    説明員(安藤恭君) 荷粉の取扱い方について御説明申上げます。荷粉は御承知のように、肥料の製造場、輸送機関、倉庫その他これに類似する場所にたびたび生ずるのでございまするが、この中には相当肥料の成分が多量に含んでおる場合が多いのであります。從いましてこれは肥料不足の現状に鑑みまして、原則として普通の肥料と同じように取扱うのでございまするが、非常にその中に含みまする肥料の成分が不足でございまして、いわゆる汚泥のごときものにいたりましては、このようなものまで農家配給するということは却つていろいろな方面から不便ではないか。かような見地から除外例を設けまして、特別の事情があつた場合には、農林大臣が許可してこの第二條の肥料公團に賣り渡さなくてはならんという義務を負わしておるわけであります。  次は入目控除でございますが、これは御承知のように生産工場を出ますときには千分の十だけ余計に入れてあるのであります。ところが生産工場から出荷され、肥料が大運送を以ちまして著駅に着き、更にそれから小運搬を経て法律上指定業者という一般小賣業者に配給いたします場合に、大体なくなつておるのが現状でございます。そこで指定業者が農家に配給いたします場合には原則として千分の十は消えてなくなつておる。かように考えます。又更に指定業者が、小賣業者に配給いたします場合には、量り込みという現象がこれは已むを得ざる現象として起るのでございます。この場合を考慮いたしまして、千分の十五だけ余計に公團が負担いたしております。それで御承知のことでございまするが、肥料配給公團創設と同時に、配給に購入通帳制を実施いたしておるのであります。そこでその購入通帳には肥料配給量、標準耕作面積等を記載いたしまして、その通帳に記載しておりまするところの肥料は必ず嚴格に渡す。こういうような制度になつております。このことを実行いたしますためには、十貫なら十貫の肥料だけでは足らないのでありまして、輸送途中のロスや、先程御説明申上げました秤目の量を考慮いたしまして、入目控除という数量をここに掲示したのでございます。簡單でございますが、これを以てお答えといたします。
  55. 北村一男

    ○北村一男君 私ちよつと所用がありまして、途中の質疑の要領をよく呑み込めませんのですが、今の農政局長の御説明では、便宜上保管場所を肥料公團にしたという仰せでありまするが、ただ便宜というお考えでありますならば、これは先刻からお話があるように農業協同組合にお委せになる方が便利である。又官僚統制を必ずしも固執しないというお言葉を私は大変嬉しく聽きましたわけでありますが、そういう御精神ならば、尚更この農業協同組合にお委せになるのが適当である。若し公團にこういう農業を寄越して呉れと言いましたとき誰が技術者がいて、こういう病害虫発生状態を見てから出すということになりますか、どうですか。若しそんなことをするならば輸送の関係でありますとか、こいう時間を取つて間に合わない場合があると思いますが、その辺はどうでありましようか。その点が第一点であります。  それから只今量り込みとか何かというお話がありましたが、量り込まんでも今年の石灰窒素は粗末な叺の中に入れられまして、もう私達のところへ配給で届いたものは、少し言葉は大袈裟でございますけれども、三分の一くらいはどつかへ飛んでおります。そういうものは公團としてはどういうふうになさるお考えであるか。  それから私たまだま五月の二十日頃自分の郷里へ帰つておりますると、農業会と町役場に対して、肥料配給状態を調べるために安百の査察官が來られたのでありまするが、そのとき私は詳しくこの現状について、こぼれておる状態まで見せて説明したのでありますが、そういうことは肥料公團に何か査察の結果をこういうことがあつてはならんというようなことを、御注意になつておるかどうか、この三点についてお伺いしたいと思います。
  56. 山添利作

    政府委員山添利作君) 協同組合が他のあらゆる点において仮に優れておるといたしましても、農藥を扱う人は配給業者あり、協同組合あり、それらの人達を相手にして、肥料を流すというのは、やはり協同組合ではいかんわけでありまして、だから協同組合の連合体は協同組合に賣るということになるのでありますから、この予備貯藏という点からはやはりいけないのでありまして、ただそういうことから現在あります機関といたしましては、肥料配給公團が一番適切であるとこういうことを考えておるのであります。  それから配給につきましては、政府指示從つて配給をするわけでありまするが、病害虫発生した、若しくはしそうだ、これは或る地方に起り出した、氣候の條件から見てこれは大きくなるかも知れない、こういうことは今配置してあります病害虫発生査察員等の報告に基き、府縣において十分判断ができるわけでありまするので、先を見越してその地方に手を配るというようなことを指定しなければならん、手遅れにならんようにそこにいたす必要があり、又いたしたいと考えております。そのために肥料配給公團が扱うためにその出荷等が遅れるということはないように、十分いたさなければならないと思つております。又それだけ配給公團にはなかなか人沢山おりまするから、その辺のことは心配をする必要はないと思います。  それから入目のことでありますが、非常に沢山欠量のあつた場合でありまするが、元來農家そのものに対しては定量は必ず渡す。これは今までは公團制度になつてからそこが初めて実ははつきりいたしましたので、その前はなければ農家の方が結局知らん中に減らされておつた。今度は農家がその点については必ず入目を行う。そうしてこの受渡しにつきましては、肥料公團の方と、それから末端協同組合とは立会をして、たしか受渡しをしておるのではないかと思うのでありますが、若しその間に事故があるということであれば、それは当然公團の責任で、公團としては補填をいたす筈と考えております。それらの結果総合したものにつきまして、確かに受取つており、且つ肥料公團は二十三年三月二十三日附を以て、経済安定本部監査局長からその結果を報告をせられております。注意を促されております。
  57. 北村一男

    ○北村一男君 只今のお答えで、注意を促されておつて、それでどういう措置をおとりになつたか。それからさつき肥料公團には人が沢山おるから、そういう心配はない筈であるのですか、ないのですか、その点はつきりお答え願いたい。
  58. 山添利作

    政府委員山添利作君) これは心配なしに円滑にやります。それから公團の業務運営につきまして、いろいろ注意すべき点は、ひとり経済、安定本部の監査報告のみならず、農林省自体といたしましても、いろいろの話を聽いたり、或いは出張等によつて見ておる点もあり、又特に末端配給を迅速にするという点につきましては、最近非常に注意を拂つておるのであります。必要の都度公團に対しては必要なる事項を申しておるのであります。
  59. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 北村さんよろしうざごいますか。
  60. 北村一男

    ○北村一男君 どうもしようがありません。(笑声)
  61. 山崎恒

    山崎恒君 先程木檜さんの質問に対して、局長から、單に一時保管するに過ぎないのだ、貯藏保管を行う関係で、肥料公團を利用するというような御答弁ですが、一應参考資料の中で見ますると、これは貯藏保管は勿論であるが、やはり購入して賣渡すのだ、やはり商行爲をやるということに書いてあるのですが、これはどういうものですか。同時に私共は單に貯藏保管だけの業務を行うとするならば、勿論公團に或る金利、倉敷、或いは入出庫料の手数料というものを政府が助成すると、この費用が大体一千一万円だということは肯けるのですが、商行爲をやる、販賣行爲をして、その幅をやはり取るということになりますれば、これは当然商行爲であつて、それに対する補助ということは、どういうものか、この点を一つお伺いいたしたいと思います。
  62. 山添利作

    政府委員山添利作君) これは金利、倉敷を見るというのでありまして、別にそれは実体といたしましては、事の本質は何を目的とするか、賣つたり買つたりすることが目的じやないので、やはり一定の予備を持つてつて、必要な場合放出できるような態勢を持つておるというのが、この施設の本質なのでありまして、別に商行爲に対して補助をするわけでも何でもない。國の必要から一定の貯藏をやる、それに対する費用を國が負担する。こういうことになつておるのでありまして、これは公團を離れてお考えになれば、これはよく分ると思うのです。例えば全國農業会というものがですよ。昔のような機能を続けて行くとすれば、当然そういうところに抱つこするということになりますれば、当然金利、倉敷を政府が助成して、やつて貰うのだと、こういうことになるのであります。相手が公團であろうと、その他のものであろうと、それが施設の本來の目的としておる趣意というものには差がないわけであります。
  63. 山崎恒

    山崎恒君 そうなりますと、公團農藥販賣業者に賣渡すという場合には、これは利潤を全然取らないということに解してよろしうございますか。
  64. 山添利作

    政府委員山添利作君) その通りであります。
  65. 竹中七郎

    ○竹中七郎君 私も或いは重複するかも分りませんが、このような農藥公團取扱うのはまあ、今までの商行爲で言いますれば元賣捌というように、生産者から直ぐ保管者のところへ預けて置いて、その次に卸すということになりますが、そういうのは各縣の或いは公團に行くか、或いは農業協同組合の縣の連合会に行くのか、或いは業者の卸のところへ行くのか、それから小賣商に行く、こういうふうになりますか、どういうふうに相成りますか。今局長が言われました通り協同組合だけにやるのじやないから協同組合じやない他の公團取扱わせる。肥料の場合におきましても、今現在業者と協同組合でやつておりますが、その実績におきましても、なかなか業者の方が相当サービスをするためにそちらの方に行く。今までの農業会の非常に練達の士が皆追放といつてよいのか分りませんが、拔かれまして、新らしい人であるために、非常に混乱しているというような面もあるのでありますから、こういう二つの面でやられることは了承しますけれども、その点につきまして業者の方は卸というようなものができまして、それから藥局へ行くとか、いろいろな取扱人の方へ参る。もう一つ協同組合の方へ行く、こういうふうになるのでございますが、その点お伺いしたいと思うのであります。
  66. 山添利作

    政府委員山添利作君) 現在農藥配給径路はメーカーから卸、それから小賣團体、こういうことになつているわけであります。これは先程も申しますように、要するに貯藏をするということなんであります。そこで、メーカーから買取つて貯藏をする。あとは普通の配給径路通りであります。こういうわけであります。
  67. 竹中七郎

    ○竹中七郎君 そうすると元賣捌きといつた昔と同じですね、結論は……。
  68. 山添利作

    政府委員山添利作君) それに相当するものでございます。
  69. 竹中七郎

    ○竹中七郎君 それならよろしうございます。どうもそこら辺がはつきりせんから……。
  70. 藤野繁雄

    藤野繁雄君 これは特殊の縣のことでありますが、農藥関係もありますから、お尋ねすると同時にお願いしたいと思うのであります。福井縣の農業会の資材倉庫が五月二十九日に燒けてしまつて、すべての資材がなくなつてしまつたのであります。その中に農藥相当数あるのであつて、そういうふうなものは、至急に配給して呉れるようにということをお願いして、農林省はそういうふうにするということを明言しておられるというようなことであるのでありますが、こういうふうな火災や何やがあつて燒失した場合においては、それだけの不足のものを、できるだけ早く配給して貰わなくては、増産に支障があると考えるのでありますが、福井縣の場合においては約束をされたということでありますが、どのくらいのものを配給済みであるか、或いは今後配給されようとしているのであるか、その点お尋ねしたいと思うのであります。
  71. 山添利作

    政府委員山添利作君) 福井縣のことにつきましてはできるだけ早く、又できるだけの物資を配給いたしたいと思つております。今詳しい資料を持つておりませんので、後に調べてお手許まで差上げようと思います。勿論物によつては、必ずしも幾らというふうには行かないのもあるわけでありますから、その辺は予め御承知を願いたいと思います。
  72. 北村一男

    ○北村一男君 ちよつと関連しまして……、先刻、農家の手に渡るまでの間に公團と業者、若しくは協同組合農業会で受渡するとき、欠量に対して、肥科を補給するというお答えでございましたが、併しながら近頃の容器の悪いということを、政府においても公團においても認めておられることと思いますが、この農業会から個々の農家に渡す、若しくは部落に一括して持つて行く場合に非常に欠量になる。こういう場合に対しては、やはり欠量として認められますかどうか、その点……。
  73. 安藤恭

    説明員(安藤恭君) 只今質問のありました通り、必ずお渡しすることにいたしております。そのためには指定業者とか、小賣業者の前におきまして、秤に掛けて一々やるということは、非常に事務を煩雜化するのでございまするが、通帳に記入した量は必ずお渡ししたい。かような考えから励行いたしております。ただ何分にもかような事務を行いますには、必ずしも人手は潤沢ではございませんので、一部において量るというようなことを怠つておる者があるかも知れませんが、我々においては必ずこれを強行するように、公團を指導いたしております。
  74. 北村一男

    ○北村一男君 轉ばぬ先の杖で、叺をもう少しいいものをお選びになるとか、或いは石炭窒素を叺に入れるということを、見合わせられるお考えはありませんか。
  75. 安藤恭

    説明員(安藤恭君) 叺の品質に関しましては肥料の重要性に鑑みまして、極力これを改善いたしたい思つております。叺の生産不足ということが、非常に大きな阻害になつておるのでありますが、叺の生産を盛んならしめるために只今肥料をリンクいたして配給いたしております。先ず叺の原料の稻藁を提供した者に対しては、硫安換算にして三十匁の肥料配給しております。肥料工場に向つて出荷した者には、出荷にリンクして硫安換算で二十匁の窒素肥料をやつております。それから石炭窒素の点でございますが、原則としてはこれはクラフト紙袋に入れまして、いろいろな事故を防ぐようにいたしております。例えば輸送途中において破袋を生じたりすると、入れ替える必要があるので、さような場合において便宜的に叺に入れております。現在クラフト紙袋の紙質の改善について、商工省と連絡して向上に努めております。又現在の紙の大きさが少し窮屈に過ぎるとか、破袋の原因になつておるので、先般クラフト紙袋改善委員会を開いて、若干余裕を以てやることにいたしております。これは試驗成績によれば現在の規格より、相当容器の強化に資するところ大であるように思つております。
  76. 石川準吉

    石川準吉君 先程害虫の発生した状況を話させましたが、「うんか」が昭和十五年に最高に達し、又昭和十九年に相当出ております。それがどの地方において、どんなふうに出たか、一つ説明願いたい。  それから説明によりますと、今度公團農藥貯藏する場合に、約半ケ年見ておるわけです。その金を逆算すると、一億以上に上るので、半ケ年据置くには相当金融的措置が要ると思うのですが、こういうのは復興金融金庫その他に相当手を打つておられるか、伺いたい。  それからもう一つ、先程岡村さんからお話があつたのですが、緊急の場合に出すための貯藏でありますので、通常の方法で以て代金を取立ててやるとか或いはクーポンを出してやるということでは間に合わん場合が多いだろうと思います。從いまして、例えば協同組合とか、或いは市町村長であるとか、そういうようなところに責任を持たして出た場合には渡してやるというような、何らそこてに特別な措置を考える必要があると思いますが、それに対する御意見を伺つて見たいと思うのであります。
  77. 井上菅次

    説明員井上菅次君) お答えいたします。昭和十五年の「うんか」の大発生いたしました状況は、発生のひどかつた地方は九州、四國、山陽の一部、それから和歌山、大阪、三重、靜岡、大体暖かい地方であります。ずつと以前でありますが、北陸地方、或いは東北地方にも大発生した例もありまするが、大体「うんか」は靜岡、愛知以西と言いますか、太平洋沿岸に地方発生が多いわけであります。  次に緊急用農藥としてこれを購入いたします資金が約一億となるわけでありますが、これにつきましては、経済安定本部とも連絡を取りまして、復金から融資して貰うように折衝中であります。  それから緊急事態発生した場合の配給につきましては、先程も申上げましたように、卸賣、小賣という段階を経て行くのが、常道でありますけれども、緊急事態の場合にはその取扱段階を変更もできまするし、又クーポン制によつております農藥につきましても、ノー・クーポンで配給できるという配給規則にも、そういう規定があるのでありまして、いわゆる常道を踏んでおつては間に合わないという場合にはその規定を適用いたしまして、適当な、迅速な配給をやつて行く、こういうふうに考えております。
  78. 石川準吉

    石川準吉君 十九年の「うんか」は……。
  79. 井上菅次

    説明員井上菅次君) 十九年も大体地方は同じでありまして、先程もちよつと申上げましたように、ずつと以前に北陸、東北地帶に発生したことがありますけれども、最近の状況は殆んど今申しましたような地方が多いようであります。
  80. 竹中七郎

    ○竹中七郎君 九州地方につきまして、井上技官にお伺いするのでありますが、水稻晩化ということを熊本縣でやつておりまして、それが四國の方もやつておるが、現在でもあのようなことをやつておりますかどうか。現在のように二毛作、三毛作、三毛作というわけではありませんが、そういう増産でありますので、この点どんなふうになつておるかどうかという点をお伺いしたいのであります。
  81. 井上菅次

    説明員井上菅次君) お答えいたします。九州地方は御承知のように三化螟虫の大発生地帶でありまして、これの対策といたしまして播種期及び移植期を繰下げまして、やはりいわゆる第一化の発生時期をずらして行く、こういうために晩化裁培が起つたわけであります。熊本地方は大体それによつて三化螟虫を抑えておるのでありまして、私最近の詳しい実情を承知しておりませんが、大体從來のその線で行つておるように聞いております。
  82. 高橋啓

    ○高橋啓君 私も序でにちよつとお尋ねいたしたいと思います。從來虫害の一番稻に対して多いのは「うんか」であります。これまで戰爭中「うんか」について、油とかこれらを申請してもなかなか窮屈で出廻つて來ない。すでに廻つて來るまでには虫の方が発生して効果がないようなことが往々あつて、大きな被害が起つておるのでありますが、どうですか。今年はすべて虫の発生が多いということでありますが、若しそういう場合には、いつでもそれに対する準備ができておるのでございましようか。「うんか」の予防乃至駆除に対して、若しそういう場合には、いつでも駆除に対する藥品の用意はできておりましようか。
  83. 井上菅次

    説明員井上菅次君) 「うんか」に対しましては発生の馬鹿に多い時と少い時とあるわけでありまして、これに必要な農藥につきましては、いわゆる緊急農藥といたしまして取扱をしたい。本年は相当準備を進めております。一部はメーカーに保留せしめて、大部分は農家に割当をいたしまして、縣でもその一部を所有して、そうして緊急の場合に対処するように、こういう指示でやつておるのであります。  それから直接私関係がありません。仕事を担当しておりませんので、詳しい数字なり、事情は知りませんが、石油につきましては「うんか」用といたしましてすでに三千キロリツトルの配給はできております。これによりまして或る程度発生した場合の対策は立てられておるわけであります。尚それ以上に大体四千キロリツトルの一應の枠は設定されておりまして、発生した場合には、それから配給する、こういう計画になつておるのであります。
  84. 岡村文四郎

    ○岡村文四郎君 簡單な案に拘わらず非常に質問が沢山出ますので、実は私は緊急農藥を委託保管をさして置くというだけならば、そんなことにならんと思います。ところがどうもこれをきつかけに農藥を皆ここに持つて來ようという時期が來やしないか。こういうので大多数は殆んど心配しておると思います。そこで政府の方ではこれで止むを得ないから、貯藏保管の形でやるか、後は絶対にそういうことはないということをはつきり言えるだけの自信があるかないか、どうか。それを伺いたいと思います。
  85. 山添利作

    政府委員山添利作君) 農藥の統制を廣くして行こうとか、或いはそれを肥料配給公團をして取扱わしめようとかいう考えは毛頭持つておりません。現に農藥でも半分以上のものを自由にしておるのであります。又農藥のごとき本当に必要な人が使い、これは万遍なく配るのが能でない。こういうものこそ成るべく余計作つて成るべく早く自由にしたいというのが本当のところであります。
  86. 山崎恒

    山崎恒君 本日はこの程度で散会願います。
  87. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) ちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止〕
  88. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 速記を始めて、それでは本日はこの程度で散会いたします。尚明日は午後一時から自作農創設特別措置法の一部を改正する法律案、農地調整法の一部を改正する法律案予備審査をいたしたいと思いますから、予め御準備置き願いたいと思います。それでは本日はこれにて散会いたします。    午後三時二十八分散会  出席者は左の通り。    委員長     楠見 義男君    理事            羽生 三七君            高橋  啓君    委員            太田 敏兄君            門田 定藏君            北村 一男君            柴田 政次君            西山 龜七君            平沼彌太郎君            石川 準吉君            木檜三四郎君            竹中 七郎君            宇都宮 登君            岡村文四郎君            島村 軍次君            徳川 宗敬君            藤野 繁雄君            松村眞一郎君            山崎  恒君            板野 勝次君   政府委員    農林政務次官  大島 義晴君    農林事務官    (農政局長)  山添 利作君   説明員    農 林 技 官    (農政局農産課    勤務)     八木 次郎君    農 林 技 官    (農政局資材課    勤務)     井上 菅次君    農林事務官    (農政局肥料課    勤務)     安藤  恭君