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1948-06-21 第2回国会 参議院 農林委員会 第12号
公式Web版
会議録情報
0
昭和二十三年六月二十一日(月曜日)
—————————————
本日の会議に付した事件 ○
獸医師会
及び
裝蹄師会
の
解散
に関す る
法律案
(
内閣送付
) ○
家畜傳染病予防法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣送付
)
—————————————
午後一時四十五分開会
楠見義男
1
○
委員長
(楠見
義男
君) これより
委員会
を開会いたします。本日は
獸医師会
及び
裝蹄師会
の
解散
に関する
法律案
及び
家畜傳染病予防法
の一部を
改正
する
法律案
の
予備審査
を行います。
羽生三七
2
○
羽生
三七君 この際申上げて置きたいことがあります。それは
只今財政
及び
金融委員会
に付託されております
所得税法
の一部を
改正
する
法律案
の中にあります第一條の「左に掲げる
所得
については、
所得税
を課さない。」の第三項の次に、 四、
食糧管理法
によ
つて
供出せしめられた米、
麦類
、甘藷、馬鈴薯及び雜穀に対して
政府
から支拂う
奨励金
及び
報償金
の一項を加え、
奨励金
及び
報償金
に対しては
所得税
を免除して貰いたいと考えるのであります。これは農民に対しては、極めて大きな
影響
がありますが、
政府
に対しては
財政
上に大して
負担
とはならないと考えます。
從つて
本
委員会
で決定して
財政
及び
金融委員会
に申込まれたらよいのではないかと思います。聞くところによりますと、衆議院でも本日この問題を議することに
なつ
ているとのことでありますので、両院一致して同一歩調を取
つて
行きたいと思います。
楠見義男
3
○
委員長
(楠見
義男
君)
只今羽生
さんから御
提案
に
なつ
た件につきましては、以前にも問題に
なつ
たことがありますし、大谷各
委員
も別に御
異議
はないと思いますから、各派が協同して実現し得るようにしたいと思います。
從つて本件
は
農林委員会
としては
全員一致
で決定することとしたいと思います。尚
委員長
より然るべくそれぞれ連絡すべきところに連絡をいたし実現を期したいと存じます。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
楠見義男
4
○
委員長
(楠見
義男
君) それでは
政務次官
より
提案理由
を聽取することにいたします。
大島義晴
5
○
政府委員
(
大島義晴
君)
家畜傳染病予防法
の一部を
改正
する
法律案
及び
獸医師会
及び
裝蹄師会
の
解散
に関する
法律案
の
提案理由
を
説明
いたします。 先ず
家畜傳染病予防法
の一部を
改正
する
法律案
につきましては、御
承知
のごとく我が國は周辺に
各種家畜傳染病
の常在地を控え、常時これら
傳染病
の
侵入
に暴露されておるのが実情であります。過去数十年に亘る
努力
の結果、朝鮮、台湾から牛疫、
口蹄疫
、
牛肺疫
のごとき
悪性傳染病
を駆逐し、更に滿蒙、華北からの掃蕩に着々その実を納めつつあつたところ、
敗戰
によ
つて國内家畜防疫
と一連の
関係
にあつたこれらの
家畜防疫施設
を一挙にして
失つたの
であります。加うるに
終戰
の混乱に乘じて、これらの地域には再び
各種
の
傳染病
が流行している
模樣
であり、
家畜
の密輸入の絶えない事実等を考えます場合、実に寒心に堪えないものがあるのであります。よ
つて
これらの新
事態
に対処するために
家畜傳染病予防法
を整備強化して、その万全を期さなければならない次第であり、又御
承知
の
通り畜産
の振興に対する世論の要請眞に切なるものがありますので、
政府
といたしまして、この線に副うて
折角努力
中でもあり、この意味からいたしましても表裏一体の
関係
にある
家畜防疫
を從前より更に強化する必要に迫られておりますので、
本法
案を
提案
した次第であります。 次に、この
改正案
の要旨について簡單に御
説明
申上げたいと存じます。 第一は海港において行う
家畜檢疫
は
税関長
において実施し得ることに
なつ
ておりましたのを、
農林省直轄
の
動植物檢疫所
が発足いたしましたので、
税関長
を
動植物檢疫所長
に改めた点であります。 第二は、
侵入
又は
蔓延
し、
畜産
に重大な
影響
を與える虞れの対い
傳染病
を
家畜傳染病
として定め、すでに危險のないと認められるものを除き、又一部の
傳染病
を獸医学の進歩に伴
つて
病因的に
配列換え
をいたした点であります。 第三は、以上のように
家畜
や
傳染病
の種類を定めておりましても、これ以外に発生して
畜産
に重大な
影響
を及ぼす虞れのあるものが過去の例におきましてもありましたので、かかる
事態
の発生しました場合、
農林大臣
が臨機の
防疫
をなし得るよう改めた点であります。勿論
本法
を適用いたしますれば個人の経済にも制約を加えることになりますので、この
措置
は極めて暫定的なものとし、引続き必要ならば、
法律
を
改正
してこれに当るべきものでありますから、
改正案
におきましては、その
有効期間
を一年間以内に定めたのであります。 第四は、第二の
改正
に伴いまして、
本法
の
傳染病
から削除したものにつき、又新たに
本法
に加えたものの
病性
を考慮し、
防疫措置
に
寛嚴
の度を設け、
関係條文
の整理を
行つた点
であります。 第五は、新たに
輸出家畜
及び
畜産物
についても輸入の場合と同様、
本法
に基く
檢疫
を実施するよう改めたことであります。 第六は、
都道
府縣外に
家畜
を移動せんとするときは、
都道
府
縣知事
又は
都道
府
縣知事
の指定する
獸医師
の発行する
健康証明書
を要することとした点であります。
家畜傳染病
の
蔓延
を防ぎ、健康な
家畜
を入手せしめることが、
畜産
振興延いては
農業経営
の改善にも
農業生産
の
増強
にも必要でありますので、この
措置
をいたすものであります。但し
屠殺
の
目的
を以て
屠場
に直行するものであることを
都道
府
縣知事
において証明したものは、
証明書
を必要としないことにいたしております。その
理由
といたしましては、到着後一定の一場所で短期間伺われるものであることと、徒らに拘束することは延いては
畜産
の発達を阻害することを考慮したからであります。 第七は、罰則の金額を
改正
した点であります。第八は、
從來勅令
で定められることに
なつ
ていた
費用負担区分
を、
地方財政法制定
の精神に副
つて法律
の中に組み入れた点であります。第九は
屠場
において
屠殺解体
の結果、
傳染病
に罹
つて
いることが分り、食用に適せずとして廃業したものに対して
手当金
を交付することに
なつ
ていた
條項
を削除した点であります。その
理由
は
出荷地
において
防疫施設
をし、又屠に入る際
生体檢査
をすれば概ね
防疫
の
目的
を果し得ると考えることと、過去において、この事例の少かつたことで、この
條項
を設ける必要を認めないからであります。 第十は、
從來家畜檢疫
に
限つて國
又は
宮内省
の
家畜
その他のものに適用することに
なつ
ておりましたのを、
檢疫
に限らず全般的に適用するよう改め、又軍に関する規定を除いた点であります。第十一は、馬の
傳染性貧血
に罹
つた馬
の殺処分に関する
法律
と
畜牛結核病予防法
を廃止し、これらの
傳染病
を
本法
に加えたことであります。馬の
傳染性貧血
は近年ますます
蔓延
の傾向にありますが、幸い
診断法
も或る
程度見通し
の付いたのを機会に、他の
傳染病
と同様な方法によ
つて防遏
を図るのが至当と考えるからであります。又牛の
結核病
は永年の
予防
によ
つて重症
のものは殆んど一掃され第二段階として、その根絶を期する域に到達しているものと考えますので、
綜合防疫
の効果をも考慮し、
家畜傳染病予防法
一本で参ることといたした次第であります。 以上要約いたしますに、現下の
國情
の下において最も効果的な
家畜防疫
を実施し、
畜産
の振興延いては
農業経営
の安定、
農業生産
の
増強
を図らんとするのが
本法
案の趣旨であります。 次に、
獸医師会
及び
裝蹄師会
の
解散
に関する
法律案
の
提案理由
を
説明
申上げます。
獸医師法
及び
裝蹄師法
に基いて設立されている現在
日本獸医師会
、
都道
府
縣獸医師会
、
日本裝蹄師会
及び
都道
府
縣裝蹄師会
は、
強制創立
、
強制加入等
種々現在の情勢に即應しない要素を含んでいる点があるのに鑑みて、これを
解散
する必要がありますので、これがこの
法律案
を提出する
理由
であります。 これで二
法案
の
提案理由
の
説明
を終りましたが、何とぞ
愼重御審議
の
上速
かにお協賛願いたいと存じます。
楠見義男
6
○
委員長
(楠見
義男
君) この際皆樣に御了承をお願いいたしたいのでありますが、それは
委員会
が多数開かれておりまして、
採決等
の行われる他の
委員会
に
速記
を振り向けねばなりませんので、その方に
速記
を割愛いたしたいと存じます。
從つて
甚だ申訳ありませんが
速記
なしでも何とぞ御質疑をお始め下さるようお願いいたします。
速記
を止めて……。 午後二時十五分
速記中止
—————
・
—————
午後三時五十八分
速記開始
楠見義男
7
○
委員長
(楠見
義男
君)
速記
を始めと。本日はこの
程度
で散会いたしたいと存じます。 午後四時散会
出席者
は左の
通り
委員長
楠見
義男
君 理事
羽生
三七君
委員
門田 定藏君 北村 一男君 西山 龜七君
平沼彌太郎
君 石川 準吉君
木檜三四郎
君 竹中 七郎君 宇都宮 登君
岡村文四郎
君 島村 軍次君 徳川
宗敬
君 藤野 繁雄君
松村眞一郎
君 板野 勝次君 池田 恒雄君
政府委員
農林政務次官
大島
義晴
君
農林事務官
(
畜産局長
) 遠藤 三郎君
説明員
農林事務官
(
畜産局衞生課
長) 齋藤 弘義君