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1948-06-15 第2回国会 参議院 農林委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年六月十五日(火曜日)   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○農業災害補償法の一部を改正する法  律案内閣送付)   ―――――――――――――    午後一時五十七分開会
  2. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) それではこれより開会いたします。農業災害補償法の一部を改正する法律案を議題にいたします。先ず農林大臣から提案理由の御説明を承わりたいと思います。
  3. 永江一夫

    國務大臣永江一夫君) 農業災害補償法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由の大体を御説明申上げたいと存じます。農業災害補償法は御承知通り、旧農業保險法を継承いたしまして、更にこれを拡充強化したものとして、昨年の十二月十五日に施行せられたのでありますが、昨年の関東、東北の大水害に対しましては、水稻について本法を遡及して適用する等、施行当初より早くも新制度による農業災害補償農業生産力維持確保という重要なる機能を発揮いたしまして、潰滅に瀕した農家経営の安定、農業生産の発展に寄與するところが多大なものであつたのであります。併しながら本法施行以來日尚浅く、法律内容の不備も絶無とは言い難いので、かかる点をでき得る限り近い將來に是正することは、農業災害補償法成立の際、衆議院附帶決議中に要望せられたところでありますが、その趣旨に副いまして、農業災害補償法の一部を改正し、以て本法目的達成に遺憾なきを期することとした次第であります。  以下本法案内容を御説明申上げます。第一は蚕繭共済について、共済掛金消費者負担規定を設けたことであります。御承知通り農業保險法におきましては、桑葉保險について、保險料の一部を日本蚕糸統制会社負担し、生糸生産を確保する制度規定されておつたのでありますが、農業災害補償法施行当時におきましては、蚕糸統制会社閉鎖機関に指定されておりました等の理由によりまして、かかる制度を直ちに実施することができず、一時新法より除外したものでありますが、農作物共済に関し、消費者負担制度規定したと同樣なことを今回蚕繭共済についても早急に実施し、以て輸出の大宗である生糸生産を確保することは緊要なので、蚕繭共済に係る共済掛金の一部を製糸業者等負担せしめ、更にその負担額消費者負担するごとく、政府生糸等統制額を定めることにいたしたのであります。この消費者負担額は別に政令で定めるのでありますが、その方法は原則的には農作物共済の場合と同一であります。ただ各國共通最低掛金済掛金標準率より全國共通最低掛金部分を控除した残りの八分の七、超異常共済掛金標準率の八分の七、超異常共済掛金標準率のすべてを加えた率を、各都道府縣共済金額に乘じ、都道府縣毎に得られる金額合計額消費者負担部分となる点が異るのであります。この八分の七というのは、生産せられた蚕繭の八分の一が養蚕農家自家消費となり、八分の七が販賣されるという從來の大体の実績に基くものであります。  第二は、共済事故の拡大であります。農業災害補償法では蚕繭共済共済事故蚕兒病害及び風水害、干害、凍害又は雹害による桑葉減收について、地震及び噴火を含む氣象上の一切の原因による事故にまで、その範囲を拡大したのであります。尚前國会における衆議院附帶決議の線に副つて農作物共済事故中に雪害を明示したのであります。  第三は、農林保險審査会農業共済保險審査会と改めたのであります。從來農林保險審査会農業保險家畜保險の外、漁船保險森林火災國営保險中央審査会たる権能を有していたのでありますが、機能の強化と運営の円滑を期するため、今回各保險種類別審査会を設けることにいたすので、これを農業共済保險審査会に改めたのであります。何卒愼重御審議上速かに御協賛あらんことを切望する次第であります。
  4. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 農林大臣衆議院予算総会の方にかねて出席を求められておられますので、そちらの方に行かれますので、後は農政局長政務次官かお見えになりますので、農林大臣に対する御質問は別の機会に御割愛願いたいと思います。  只今農業災害補償法の一部を改正する法律案につきまして、御質疑をお願いいたしたいと思います。
  5. 羽生三七

    ○羽生三七君 これは第一回國会の際に、私がお尋ねした問題を繰返すことになるわけでありますが、今度の改正案の中に蚕繭につきましては、やはり同樣にこの消費者負担するように改正せられたわけでありますけれども、第二回國会農政局長からお話がございまして、この保險料の一部を消費者負担にするということは、当面の止むを得ざる予算上の必要からやることか、或いは又消費者食糧代の一部を負担することは当然であるかとか、どちらかということをお尋ねしたのであります。あのときの御答弁を私の記憶しておる範囲考えて見ますというと、予算上の措置も勿論あるけれども、こういう統制時代において災害を受けた場合には、普通の時代においては食糧代の騰貴とか或いは下落というようなことがあるが、統制によつてそういうことがなく一定の價格に釘付けされておるのであるから、消費者にその負担を分つというようなことでこういう消費者負担という規定を設けた、こういう御説明があつたように記憶しておるのであります。今度の場合におきましても亦同樣なことが行われたわけでありますが、こういうことをやはり長くお続けになるつもりでありますか。予算的に何らか財源の見通しが付けばすべてこういうことは……、つまり消費者負担というような形は撤廃して純粹の掛金だけで行かれるのか、その点を承わりたいと思います。それからもう一つは、糸の点につきましては、これは消費者という場合は國内だけをいうのでありますが、輸出貿易に対する点はどうなつておるのでありますか。この二点を承わりたいと思います。
  6. 山添利作

    政府委員山添利作君) 蚕繭を今回一部消費者負担にすることにいたしたのでありますが、これは当初からの方針であつたのであります。ただその当時蚕糸業統制形態が如何になるかということが不明でありましたので、第一回國会の当時にはこの規定を設けなかつたのであります。財政上の見通しが付けば消費者負担は直ちに止めるかという点でございまするが、もとよりこれは米なんかにつきましては價格政策、或いは社会政策、或いは生産に対する政策、いろいろな要素から眺め合せて決めるべき問題でありまして、一口の財政状況がよくなればといつても、その財政状況そのものが断えず今のような関係で、角度から眺められる、こういうことでありまするので、一概に將來のことを予測することはできないと思います。ただ感じといたしまして、私は相当長く続くということを考えておるのであります。それから今の財政上の問題と、消費者に掛けるという関係の外に、この統制時代ということを別にいたしましても、保險料の一部を持ちますということは、農民に対しまして、一つ危險の高いところと低いところを一つにプールしておるような関係に相成るわけであります。そのプールの一つのやり方として消費者負担にする、まあこういうことも考え得るのでありますから、例えば蚕繭等につきまして、價格制度將來釘付けでなくて輸出等関係で自由的なものになるといたしましても、やはりこれは消費者の方に負担をして貰うという制度が続くと思いまするし、又続けたいと考えております。それと今の生産費の中の大概の部分を、全國の養蚕者相当部分をプールする、こういう観念に基くものであります。輸出生糸にも勿論掛かるわけでありまして、これは生糸生産費の中に織込みまするから、内地消費輸出生糸を問わず同じ関係になります。
  7. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 この際二、三お伺いして見たいと思いますが、実は去年の農業保險措置ができた時分に、是非今年度は保險金及び事務費政府負担を増大して貰うようにお願いしておつたわけでありますが、そうして農家負担を軽減するように、今年の予算の面にどれだけ織込まれておるのでありますかということをお伺いします。  それから次は、共済金の迅速な支拂が非常にできないようでありますが、特殊の金融措置を講する必要があると思うのであります。政府はそれに対してどういう計画を持つておられるか、又措置を講じつつあるかという点を伺いたい。  それからもう一つは、二十二年度蚕繭共済が特に殖えたのでありますが、これが特別の措置がどういうふうに考慮されておるか、又その経過、見通しはどういうものであるか、お伺いして見たいと思います。この三点を先ずお伺いいたします。
  8. 山添利作

    政府委員山添利作君) 政府一般会計で持ちまする農業保險團体の費用について増額するようにという希望は、我々も國会農林関係の方と考えを等しくいたしておるのであります。今年の予算におきましては、通常の物價騰貴に伴うもの以外には増額はできなかつたのでありまして、やはり末端の組合におきましては、極く一部分につきましては、これは農家負担に相成つておるわけであります。負担割合は昨年の通りであります。併しこれは機会ある毎に増額努力をいたしたいと思います。  それから金融の点につきましては、これは組合自体金融、それから政府特別会計の方における金融をもう少し便利にする、この二つの点が必要なのであります。これにつきましては著著研究をいたしております。いずれ成案を得るようにいたしたい。そうして法律改正等を必要としまする分は、次の機会には是非いたしたいと考えております。ただこれはアウトラインを御説明申上げるまでにまだ至つておらないのでありまして、関係方面の方々と一緒にコンミッティーを作つて研究をしておるのであります。  それから蚕繭関係でありまするが、これは大体保險掛金は繭一貫目について凡そ十円くらいになる、四割程度製糸家負担をする、あとは養蚕家が出すということでありまして、これは蚕繭関係製糸家が繭を幾らに購入するかということは、檢定その他のとこに分つております。その数量に應じて金を特別会計の方に出して貰す、そういうことになつております。その数字につきましては差上げてありまする資料の中にございます。
  9. 山崎恒

    山崎恒君 昨年度農業保險法改正によりまして、農業災害補償法案が通過いたし、現在各府縣とも共済組合を設置いたしまして、著々その線に副つて事業を進めておるのでありますが、昨年度の旱害或いは水害地帶にそれを直ちに遡及したところは、非常に農家にとつて幸いだつたのでありますが、昨年度、この法律が出た当時、私は質問したのでありますが、今回改正される内容におきまして、まだその部分がはつきりしておらないのでありますので、その点をお尋ねいたしたいと思いますが、八十四條に共済目的がはつきり謳つてあるのでありまするけれども、特に水稻、麦その他云々、こういう規定になつておるのでありますが、昨年度、私は陸稻の問題を質問したのでありますが、政令で定めるというようなことで、そのままになつておるのでありますが、陸稻は我が國といたしましても、非常に大きな数量が耕作され收穫されておるのであります。特に陸稻の面においては、殊に旱害或いは水害等災害に見舞われる点が多いのでありますが、陸稻の面はどうなつておるか。その点を一つ伺いたい。それから同時に農業家屋及び農機具その他の面については、農業共済とどういう関係になつておりますか、これは昨年度の大水害等によりまして、すでに御案内のように、農家家屋、或いは大事な農家の手塩に掛けておるところの農機具というものが一朝にして流失しておるのでありますが、こうした面については共済方法は構じられておらないのでありまするので、こうした面について、今回の改正される点をどういう工合に結び附けをするかという点についてお伺いいたしたいと思います。
  10. 山添利作

    政府委員山添利作君) 陸稻は指定をいたしました。それから農機具或いは家屋等共済につきましては、御承知のように、協同組合機能として掲げてございます。併しこの府縣團体の方でやつた方がいいのじやないかと私共考えておりますので、この機会に又関係方面とやりましたのですけれども、実現できなかつたのであります。
  11. 池田恒雄

    池田恒雄君 私この際農林当局資料をお願いして置きたいと思うのであります。それは只今進行中の問題である雹害問題、それから麦類雹害に関するもの、この二つについての資料をお願いしたいと思うのであります。尚資料内容の詳しいことにつきましては、專門調査員の方から文書を以て本日中にお願いしたいと思います。それはこの法案にも非常に関係の深いことでございます。そういう理由一つであります。  もう一つ、本日お願いするのは、六月の三日の日に、私やはり農林委員会雹害に関する被害状況と、それに対する対策の点についてお伺いしたのであります。その時大島農林政務次官が参られました説明があつたのであります。ところがその日は大島農林政務次官群馬縣雹害しか発表して呉れなかつたのであります。それから対策について聽いて見まするというと、何ら農林省方針らしいものを御発表にならないで、ただ自分の常識か何かでお話しなすつて、單に偉大なる雄弁を御発表なつたという形であつたのであります。それで私はその日、勿論二十九日の災害でありますから、幾ら農林省といいましても、早速それに対する対策調査が纒まる筈がないのでありまして、それを無理に私はそこでどうこうという再質問はしなかつたのであります。そうして私は最後に、それでは調査纒まつたならば、調査報告を出して頂きたい。もう一つは、農林省でいろいろな具体的な対策纒まつたならば出して頂きたい、こういうことをお願いして、その質問終つたのであります。ところがその後今日まで農林省の方からこの委員会に対して調査報告もなければ、対策がこういうふうに決まつたという報告もないのでございます。これは私として非常に遺憾なことだと思うのであります。大体こういうことは、委員会から要求のあるなしに拘わらず、これは重要な問題でありますから、当然國会に対して政府報告すべきものだと思うし、又いろいろな対策も一應お立てなつたならば、要求のあるなしに拘わらず、報告をして國会批判を受けるという態度を常にとらなければならないのではないか、私はこう思うのであります。そういうようなわけで本日この資料をお願いをするわけであります。これはそれ自体として十分重要であるし、もう一つこの法律案審議について、非常に貴重な資料でございますから、そういうようなわけでお願いします。そうしてその資料が出ましたならば、次の機会にこの資料を檢討した上でいろいろな質問をいたしたいと、まあこう思うのでありますからよろしく一つお願いいたします。
  12. 平野善治郎

    政府委員平野善治郎君) 只今池田委員からのお話で、農林省といたしましても、雹害、或いは病害につきまして、できるだけ早く委員会の方に資料を提出して、その上でいろいろな御批判を仰ぎ御協力を願いたいと、こういうつもりでおりましたが、私も群馬茨城第二縣の現場を或る程度見たのでございますが、非常に範囲廣範囲であるのと、それからいろいろ供出その他の点がございますので、綿密な調査をした上でないと迂濶に発表もできかねる等の点がありますので、農林省といたしましては、食糧管理局方面、或いは又蚕糸の方は蚕糸局、それから作物報告書は、地元食糧事務所の方、それと各被害府縣調査をしておる者との間に、最初これは大まかな場合においては、可なりの皆意見の相違があつたのでございます。それでこういう可なりの相違の上に立つて、これを御報告するということは非常にいけないので、農林省といたしましては、被害地の各段別の地番毎に明細に、民主的な方法によりまして、調査員作つてそうして調査をすることを各府縣毎に要望しまして、各府縣井大体十日までに、各地目毎に被害状況の明細を纏めて、これを基礎にして、今まで農林省がいろいろな方面から調査した資料と睨み合した上で、被害地の決定とその程度を決めたい、その上で発表いたしたいと、こう存じておつたのであります。私共も非常にこの的確なる資料が早くできることを望みまして、あらゆる努力をしたのでありまするが、一昨日も茨城縣から参りましたが、私が行つた場合には、群馬縣においては六月の十日まで、茨城においては十二日までにこれを完了して、本省の方と折衝し、尚病虫害、雹害面積、或いは被害程度について決定的報告をしたいと言つておりましたが、十二日にもやはりまだ多少できかねておる点があるので、大事な資料がまだ纏まつておらないような状況でございます。併しながら一應調べたところ資料はございますので、次の機会には、纏まらない場合には、その資料で御説明申上げまして、皆さんの御参考に供し、尚的確なる資料を成るべく早く集めまして、そうしてこれを國会報告しまして、対策に御協力を願いたいと、こう考えておる次第であります。
  13. 池田恒雄

    池田恒雄君 只今大変結構なことをお聽きしたのですが、地方から出て來るいろいろな調査資料に凸凹があるというのでありますれば、それは却つて結構なことだと思うのです。農林省が調べたことと、地方で調べたこととの間に喰違いがあるならば、非常に結構なことで、それはそのままの素材で國会の方に出されることが私はいいことだと思うのです。それを農林省側で加工してこちらに出されると、私共は内容の解剖が非常にむずかしくなる。でありますから余り加工せずに、又加工したものがあつたら加工したもの、加工しないものがあつたら加工しないもの、こういうふうに資料を暴露的に出して頂きたい、その方が非常によろしいと思います。そういうふうに纏まつてからとか、或いはそれを纏めてとかいうことでなく、正直な形で出して頂きたいということをお願して置きます。
  14. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 池田さんの御質問政務次官のお答えとは、ちよつと資料について喰違いがあるように思うのです。政務次官お話になつたのは、恐らく段別調査をせられるということは、供出割当の是正とか、そういう目的のことも相当加味せられて、詳細に調査をする、こういうことでお話になつておるのじやないかと思います。あなたの御要求は、そういう段別の細かいものとか何とかいうのではなくて、至急に全貌を知り、一日も早く対策を講じなければならんから、從つてそういう意味で必要な資料を出して貰いたい、こういうことでございましよう。
  15. 池田恒雄

    池田恒雄君 一應そういうわけなんですが……。
  16. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) そういう意味で出して頂けばいいと私は思うのです。
  17. 池田恒雄

    池田恒雄君 農林省で纏まらなければ、正確なものが地方から出る場合があるわけですね、そういうものを、正確なものとして農林省で加工しないで、こちらに持つて來られて結構だと思います。その方がいろいろな関係が明瞭になつて來て分り易いのじやないか、こういうことであります。
  18. 平野善治郎

    政府委員平野善治郎君) 只今私の説明が不十分なところもあつたと思いますが、私の方は災害が起きた直後でございますので、大抵自動車で飛んで歩くとか、或いは大まかな観察をしまして、そうして地元では地元のような話を言つたり、或いは又被害程度におきましても、一村につきまして全滅したというので、そういう程度で行つて見ると、やはりそうでない個所もある。麦についても、いろいろ人によつて非常に違うようなことが最初はございますので、勿論そういうように違つても、地元でいろいろ報告されたものは、そのまま御参考に持つて参りますけれども、決して悪い意味でなくても、そのときの急場のことでございますので、非常な喰違いがあるのであります。或る面積についても、殆んど倍も見方によつて喰違つたりするものですから、その実態をできるだけ正確にしてから御報告申上げたい、こういうつもりでありますから御了承願います。
  19. 北村一男

    北村一男君 私第一回國会でこの法案審査をいたします際に、反当收量の二分の一に当るものを補償なさるということについて、收穫皆無のときは全收量補償できないかということを農政局長にお尋ねしたところが、そういうまだいろいろの統計資料のようなものがない、こういうような仰せで、又もう一つは全額を補償するということになると、農民がとかく熱心に予防に当らんというようなこともあるというような仰せでございまして、一應その時は御尤もの説明考えておりました。ところで去年大きな水害が起きまして、これにそれぞれ補償なさつたのでございまするが、実際全國の農家から掛金を取られて、そうしてこれを補償なさつたについてどんな赤字が出たか、どういう計算になつたか、資料はでき上つておりましようか。それからもう一つは、それによつて段々この全收量補償なさるというような目安が、ああいう大きな水害を通じて大体お立てになることができるかどうかということについて伺いたいと思います。
  20. 山添利作

    政府委員山添利作君) 第一点は、共済金收量金額、反当二石なら二石としたらどうか、こういうことになるのでありますが、これは農業保險道徳的危險が多いというような理由から申しまして困難であります。又半分と申しますのは、結局経費が半分と、こう見ているわけであります。その辺の目安補償をしたらどうか、又余りに高くなりましても掛金という点からも苦痛があるように考えておりますので、大体昔からやつております通りに反收の半分ということを共済金額といたしておるのであります。それから昨年の水害によりまして十二億円なにがし支拂つたのでありますが、これは非常な赤字で、確か八億くらいだと思いますが、詳細のことは一つ保險課長から申上げます。
  21. 庄野五一郎

    説明員(庄野五一郎君) 昨年水稻は非常な超異常災害でありまして、政の再保險料負担金が約十億九千万円支拂いいたしました。それで收入保險料が、大体お手許に予算書が來ておると思いますが、昨年は六億一千万円食管から繰入れになつておりまして、下から再保險料として上つて來るものと差引いたしまして、大体政府の收入保險料が六億程度でございまして、詳しいことは資料にして差上げたいと思いますが、大体六億一千万円程度でございまして、政府支拂が十億九千万円、約五億の赤字になりまして、それは大藏省を通じまして、日銀から五億の融資を受けまして、支拂を了した次第でありまして、この赤字は本年度中に支拂うということになつております。
  22. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 これは御答弁を得なくてもよいと思いますが、先方の、相手方の方に教えて貰えばよいと思いますが、そのつもりでお願いいたします。農業災害保險は非常に大事なことで、実は御承知のように今年農村が非常に資金に窮迫をいたしまして、日本初めての農業手形制度を開いて、それを実施したのでありますが、そこでこの裏書として、販賣代金からの天引き、それから農業災害保險受取委任というふうなものをつけて、そうして農業手形を発行することになつたのでありますが、そこでその時に困つたことは、現在の災害保險に該当いたしております作物以外の生産地帶で、資金が必要だと申出ましても、これは災害保險に該当してないからというので、非常に農林省でもお骨折頂いているのでありますが、どうぞ金融機関というものは非常に堅いことばかり、間違いのないということに万全を期そうというお考えであつて、如何なることがあつても取りそこないような災害保險を担保に見て、災害保險金額を越さない程度考えることの考えであるのであります。そこで非常に困つて災害保險のついていない作物から手形を取りましても、非常に困難が伴うのでありますが、これはどうぞ金融機関災害保險というものは危い作物だから保險が付いている。保險がいていない作物は、豊凶はあつても必ず取れるものだというふうに安心して金を貸してよいということを教えて貰わんと、又今度出ると思いますが、非常に金融機関の方では、殊に日本銀行ではえらい堅くお考えになつているようで、今後支障があると思いますから、この保險制度を設けまして、災害保險を付けることのできない作物に対しても安心をして金を出して貰うように、農林省の方でも一つ十分お教えを願いたいと思います。この点は今後もあると思いますから、ここでお願い申上げて置きます。
  23. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 昭和二十三年蚕繭共済における製糸業者等負担する共済掛金、この参考資料について一應保險課長から説明を求めたいと思います。
  24. 庄野五一郎

    説明員(庄野五一郎君) この法によりまして整糸業者が負担するようになりますが、負担の額というものは政令で決定いたすことになります。政令で決定いたします事項は、ここに簡單な表を出しておりますが、これが政令事項になるわけであります。その内容、数字について御説明いたしたいて思います。  二十三年度の養蚕のいわゆる掃立数量というものは、蚕糸局の計画でございますが、二千五百五十九万六千グラム、これが本年度の繭の掃立数量になつております。これに対しまして昨年の二千六百掛の生糸の價格というものによつて計算いたしまして、グラム当りの共済金額を八十円、これはやはり二分の一を補償するということで、グラム当りの災害を受ける場合の共済金の平均を八十円、それで九割以上の損害の場合はグラム当り九十円、それから九十円、七十円、五十円と三段階にいたしておりますが、加重平均によりましてグラム当りの平均共済金額が八十円ということになつております。それで総共済金額が、只今の一と二を掛けました数字になりまして、これが本年度の総共済金額でございますが、それが二十億四千七百六十八万円、こういう計算をいたしました。そうしてそれによりまして掛金を出して來るわけでありますが、從來の実績によりまして、全國平均の共済掛金の標準率が六%四九八ということになつておりますので、これによりまして掛金の総額を出すわけでありまして、いわゆる総共済金額に対しまして、掛金標準率の只今申しました六%四九八を掛けました総掛金というものが、一億三千三百五万九千円ということになります。これが本年度の農家とそれから消費者負担する掛金の総額でございまして、一億三千三百五万九千円ということになります。これら農家負担する掛金と、それから消費の負担する掛金に区分するわけでございまして、その区分の方法をここに書いてあるわけであります。それで農家負担する部分は、先程大臣の提案説明にありましたように、全國で最底の通常共済掛金標準率、これが最低が一%六六〇になつておりますが、最低の標準率とそれから総共済金額から、それはAに書いてありますが、Aの全國最低の通常共済掛金標準率、これが農家の平均して負担する部分でございますが、これによりまして、農家負担する部分が六千一百六十三万五千円、こういうことになります。これを総掛金から引きました残額が、八百九十二万八千円でございますが、この部分農家とそれから製糸業者が供出割合と保有割合によりまして、分担することになるのでありまして、從來の実績によりまして、大体農家が販賣する数量が八分の七程度になりますし、農家が自家用として使用する分が大体八分の一、こういうことになりますので、いわゆる最低標準率を飛出した部分については、農家が八分の一、それから消費者が八分の七、こういうふうに負担して、いわゆる生産者の保險料のプールというものをここでやつておるわけであります。それで五の総共済掛金から、只今Aで申しました一六%六〇の六千六百六十三万五千円を引きましたものを八で割りました分が八百九十二万八千円、いわゆるAとBを足しましたのが結局農家負担する掛金になるわけであります。その農家負担する掛金を総共済金の一億三千三百五万九千円から引きました2と書いてあります六千二百四十九万五千円、これが製糸業者、種繭業者が負担する分になるわけであります。それで農家負担部分が約七千五十六万三千円、それから製糸業者、種繭業者が負担する部分が六千二百四十九万五千円、こういうことになります。それで次の六のところには、それが各農家のグラム当りにどれくらいの掛金になるかと申しますと、農家負担するグラム当りの共済掛金は二円八十銭、これは只今農家負担の七千五十六万三千円を総掃立数量の二千五百五十九万六千グラムというもので割りました数字でありまして、グラム当りの掛金が二円八十銭、それから製糸業者がグラム当りどれくらい負担するかというと、製糸業者の負担する六千二百四十九万五千円を、繭の供出量であります本年の計画の一千百二十万五千貫というものに相当する掃立数量で割りました数字が二円四十銭、差当り繭貫当り五円五十八銭というものが製糸業者等負担するわけであります。これが法律によりまして、生糸生産統制額の中にコストとして五円五十八銭織込みまして、生糸製品の最終消費者に轉媛されて行くわけであります。  それでこれの実際の徴收方法は、蚕糸局立てます生産原價、それから製糸業者別の繭の割当数量、それに基きまして、製糸業者が実際に集荷いたしました繭の数量によりまして、貫当り五円五十八銭ずつを実績によつて計算いたしまして、納付命令を出して、政府特別会計に徴收するということになるわけでございます。
  25. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) これは農政局長に伺いますが、今年の繭に関する共済金は二千六百掛ということに、今の御説明で行くとなつておるようですが、本年は繭の値段が決まつても、これで本年は行くわけですか。
  26. 山添利作

    政府委員山添利作君) 繭にしましても、米にしましても、これを新らしい價格について行くということは、理窟の上ではさもあるべきでありますけれども、一方掛金を納めて貰う方からいいますと、あとになつて増額するということは実際困難でありますので、從つて前に決まつておるもの標準にするということにいたしたいと考えております。
  27. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 他に御質問ございませんか……。それではもう一つ伺いますが、そうしますと、今年の養蚕家に対する掛金というものは、すでに取つておられるのですか。
  28. 山添利作

    政府委員山添利作君) これは春蚕については、建前上取つておることになつております。事実まだ組合ができて早々でありまするので、現実に金を持つて來たかどうかということには疑問がありますけれども、組合ができて繭もやつておるというときには、ともかく納めて貰うことになつておるわけであります。
  29. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 実は私のお伺いした意味は、これは現に二千六百掛じやなくて、暫定價格として四千三百掛ですが、四千三百掛というものが発表になつて、それで供出をしておるという事実と、それからこういう式に製糸業者の負担させるということになると、その八分の一は養蚕家負担しなければならないので、その点が最初から決つておらないと、全体の共済掛金負担区分がはつきりしないのじやないか、こういう意味から実はお伺いしたのですが、そうすると大体お考えでは二千六百掛けで本年は行く、こういうことに了解してよろしいですか。
  30. 山添利作

    政府委員山添利作君) そうです。
  31. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 他に御質問なかつたら、これはまあ本日は一應説明をお伺いしただけで、技術的の細かい点もあると思いますから、それに予備審査でもございますので、尚皆さんの御檢討願いたいと思います。速記止めて。    〔速記中止〕
  32. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 速記始めて。それでは本日はこれにて散会いたします。    午後二時五十三分散会  出席者は左の通り。    委員長     楠見 義男君    理事      羽生 三七君    委員            木下 源吾君            太田 敏兄君            北村 一男君            柴田 政次君            西山 龜七君            平沼彌太郎君            石川 準吉君            小杉 繁安君            宇都宮 登君            岡村文四郎君            河井 彌八君            島村 軍次君            徳川 宗敬君            松村眞一郎君            山崎  恒君            池田 恒雄君            廣瀬與兵衞君   國務大臣    農 林 大 臣 永江 一夫君   政府委員    農林政務次官  平野善治郎君    農林事務官    (農政局長)  山添 利作君    総理廰事務官    (経済安定本部    財政金融局産業    金融課長)   城川雄二郎君    農林事務官    (農政局農業保    險課長)    庄野五一郎君