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1948-06-11 第2回国会 参議院 農林委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年六月十一日(金曜日)    午後一時二十九分開會   —————————————   本日會議に付した事件 ○農藥取締法案内閣提出衆議院送  付)   —————————————
  2. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) それでは只今から委員會開會いたします。かねて豫備審査をいたしておりました農藥取締法案衆議院で可決されまして、本院に囘付されましたので、これから正式の審査に入ります。大體質疑豫備審査の際において、終了に近くなつておりましたが、尚一、二殘つておるように存せらますので、この際その質疑をやつて頂きまして、後採決に入りたいと思いますから、そういうふうなお運びを頂きたいと思います。
  3. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 簡單にもう一言お伺いして置きたいと思います。  農藥の中で、非常に生産が不足で統制の必要があるというものの中で、除巖菊を原料とする品種が三種類ほどあるわけでありますが、これが最近その統制價格數量も解きたいという業者の切なる聲がありまして、役所の方でいろいろと協議をいたしておるようでありますが、私は先刻も申上げましたように、生産が殖えるまで、若し國が農業として必要な數量を確保しなければならんということになりますれば、統制を外すことは不適當であるというふうに申上げておきましたが、昨日も農林省へ行つて局長にお聞きしますと、局長はやはり外したいという意向を持つているのでありました。これは甚だ變則でありましてその理由は、外せば高くなるから生産が殖えるだろう、こういう見方をしておるようでありますが、とんでもないことでありまして、外しますと價格も當然上りましようが、その品物はどこへ行つたか影が分らなくなるようなことが事實であります。そこで製造命令を出すということを言つておりますが、製造命令を受けますと、農藥販賣價格が決つておりまして原價がどんどん上つたのでは、それは買つて製造する人は大きな被害を被るのでありますから、そういう馬鹿なことをする人はないと思う。  それで私の意見としては生産が殖えるまで價格を上げて、生産を殖やすまでは價格數量も、生産はあつて統制はすべきである。若し價格も集荷も統制を外すなれば、國で必要な數字は出さないことにして、自由にするのでなければ絶對不可能であるということを考えております。すでに實際に耕作その他やつておりまして、はつきりとその点は承知しておりますからこの際重ねてお伺いをし、どういうお積りかこの際御答辯を願つて置きたいと存じます。
  4. 平野善治郎

    政府委員平野善治郎君) 今除蟲菊統制について御發言がありました。農藥の必要な數量が確保されないとすれば、これは非常に支障がありますので、若し増産のために統制を外した方が非常にいいという場合においては、統制を外して行きたいという考えを持つておりますけれだも、今直ちにこの統制を外すことは却つて混亂を招く虞れもあるので、目下その點について考慮中でございます。
  5. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 それではもう一言申上げておきますが、絶對に必要なものと考えておりまするために、思い切つて價格を上げて、そうして増産ができるように措置することが適當であり、増産をしようと思いましても、少くとも三年はかからなければその増産效果が見えませんので、即時除蟲菊價格に對しましては大幅の値上げをして、そうして現在三十萬貫程度しかないと存じますが、昔ありました百五十萬貫、或いは二百萬貫になるように政府の方ではお考えになり、それと同時に増産いたしました曉には、これは當然統制を解いて輸出もし、國内にも使うことを適當と存じますので、増産の見えるまでは、國が必要とする農藥を確保するために統制は必ずしておくことを特にお願い申上げておきます。
  6. 寺尾博

    寺尾博君 この機會農藥協會というものについての御説明をお願いしたい。この取締法案の内容の説明の際にも、第二條等の屆出に關する記載をどういうふうにするかということをこの前に質問いたしましたときに、農藥協會などにその型を作らせるようなお話もありました。社団法人農藥協會がその點でどういう關係でそういう役割が演ぜられるようになるのか。又この成立及びその事業等、この取締法案とも或る程度關係があるか、この際御説明を願いたい。
  7. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) これは説明員からして頂いた方がよいと思いますが、よろしうございますか……それでは……。
  8. 村田豐三

    説明員村田豐三君) お答え申上げます。農藥協會はこの法律施行に伴いまして當然協會を使つて行くべく何ら豫想はいたしておりません。從つて法律施行農藥協會というものとは全然關係がないものであります。但し實際には農藥の研究或いは優良農藥普及という面においては協會の活動する分野があろうかと思います。以上お答えいたします。
  9. 寺尾博

    寺尾博君 この農藥協會成立とそれからどういう事業をするものであるかを參考のために御説明願いたい。
  10. 村田豐三

    説明員村田豐三君) 當初農藥協會成立いたしましたときは、農藥製造業者竝びに農藥に關する各種の試驗研給機關、及び直接政府農藥事務に携わつておりまする政府職員、これらのものが中心になりまして農薬の品質の改善だとか、或いは農藥知識普及だとか、更に農薬生産業者督勵、こういつた趣旨の下に設立されて今日に至つております。特に現在農藥終戰後品質が相當低下いたして參つた關孫上、現在農藥協會業者の作りました農藥檢査をいたして參つておりますので、これはいわゆる自治檢査ということに相成ろうかと思います。併しこれは今度の取締法とは全然關係のないものである、こういうふうに了解いたしております。
  11. 木檜三四郎

    木檜三四郎君 ちよつと伺いますが、この前説明のときにも伺つたのだが、第一條の「前項の防除のために利用される不適は、」というのですが、これは今日の時代ですから、成るべく大衆に分るようにしたいので、この天敵については、もつて農家の人などにも分りよい文字はございませんですか。(笑聲)その點を一つ、我々は農民ですけれども、我々にも分らない。天敵とは神様の與えたものであるかどうか理解に苦しむのでありますが、これを專門家の側で素人に分り易い、いい文句がございましたら、一つこの際御發表願つて贊成をした方がよくはないかと存じております。この點をお伺いいたします。
  12. 村田豐三

    説明員村田豐三君) 御趣旨は御尤もであると存じます。現在でも一應これは農業のいわゆる專門家と言いますか、一般農業會においては天敵という言葉は常に通用いたしているのでありますけれども、個々の農家までにはなかなか天敵意味は徹底いたしておらないと存じます。從つてこの法案の作りましたときでも、できるだけ分りいい平易な表現を用いたいということで、いろいろ苦勞はいたして參つてのでございますけれども、的確に天敵というものを表現する用語に實は非常に苦しんだのであります。從つて向うの原語でありますところのナチュラル・エニミーをしのままに利用したようなわけでございまして、御了承頂きたいと思います。
  13. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 外に御質疑なければこれで質疑打切つてようございましようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) それでは質疑は終了したものといたします。それではこの農藥取締法案について只今から討論に入りたいと思いますが……。
  15. 羽生三七

    羽生三七君 農業生産を高めるために、信用のおける農業藥品を提供させるということは、重要であり、この意味法案には異議はありません。ただ注意しなければならんことは、農民自身が今日までの經驗と注意深い考慮によつて、みずから藥品選擇をして來たわけでありますが、法律施行によつて登録された藥品であるならば、なんでも信用できるということになつて、みずから拂つて來た注意深い考慮というものが失われ、安心感を持つことがあると思います。若しそうなつて法律效果が十分發揮できない場合におきましては、安心感却つて逆結果を生ずることがないでもないと思います。尚又第十四條の先日の私の質疑に對する當局の御答辯を承つておりますと、多少我々として理解に苦しむ點があるのでありまして、この解繹如何によりまして取締效果を喪失せしめることもあるし、又業者の對して不當な損害を與えるなど、大きな問題が存しておるわけであります。併し本法の立案の趣旨そのもの賛成でありますので、今後ともこの運用上遺憾なきを期してやられるよう、農家に供給されるものの價格の低減、或いは末端における農業の對する農民の知識の向上等に、萬全處置を講ぜられんことを希望いたしまして、本案賛成する次第であります。
  16. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 外に御發言ございませんか。御發言もないようでありますからそれでは直ちに本案採決に入りたいと思います。農藥取締法案について原案通り賛成の方の起立をお願いいたします。    〔総員起立
  17. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 全會一致であります。從つて農藥取締法案は本委員會におきまして可決すべきものと決定いたしました。  尚恒例でありまするが、御同意の方方の御署名をお願いいたしたいと思います。それから委員長報告も例によりまして、この委員會の今までの審議状況を本會議で御報告いたしたいと思いますから、これはお任せ願いたいと思います。今書面を廻しますからどうぞ署名をお願いいたします。    〔多數意見者署名
  18. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 尚この際この問題以外で御質問がありましたら願います。  その前に私から申上げますが、法案審議に關連して、御承知のように参議院は先般會期が延長によりました際に、法案は必ず六月十日までに提出するように政府に申入れておつたのであります。昨日の常任委員長會議及び運營委員會におきまして同樣の趣旨が確認せられまして、六月十日までに出て來た法案は別として、それから後のものについては審議の責任を負わないということを重ねて政府に申入れております。六月十日までに出て來た法案は本日の公報に載つておりますように六つの法案豫備審査のために付託されております。これ以外にも尚出て來るとは思いますが、これらはいずれも重要な法案だと存じますので、衆議院農林委員會とも十分連絡を密にして進みたいと存じます。同時に會期も段々切迫して参りましたので、議員の皆さんには大變御苦勞でございますが、來週から水曜日、土曜日を除いて毎日審議をお願いいたしたいと思います。つきましては大體豫定のところは、午後一時から開會したいと思います。差當りの問題の一つ食糧確保臨時措置法案、これは御承知のように例の生産調整法なのです。この取扱については衆議院とも連絡しなければならんのです。差當り月曜日から農業改良助長法案からでも手を着けたらどうかと思つております。この點について豫め御了承願つて置きます。
  19. 北村一男

    北村一男君 只今請願に懸つております問題の中で、これは寺尾委員長からいずれ打合があると思いますが、私はただ日取りの關係希望を申上げて置きたいのは、農村工業に關する資金資材の問題で、全國的に請願者が出ておるわけですが、その中、資金は今どうなつておるか、七月から九月までの分は今手を打たんとこれはなかなか困難と思います。委員長もお聞きのようにこれは安本、大蔵省邊りの了解を得なければいけませんと思いますから、あの問題を一つ急いでお取上げ下さいまして、第二・四半期の枠を設定できるような御處置を取つて頂きたい、かように希望いたすものでありまするが、よろしく一つ御配慮願います。
  20. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) その點は今の法案審議と睨み合せて、大體今おつしやるように早くしなければいかんと思いますから、來週早目のときに、これは月曜日になりますか、火曜日になりますか、とにかくその問題について一應政府当局意見の交換をして見たいと思つております。
  21. 島村軍次

    島村軍次君 協同組合法改正案より農業改良助長法ですか、その方を先にということですが、地方から言いますと、協同組合法改正案を急いで頂きたいと思います。
  22. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) これはこの前の第一囘國會の際の審議状況でも御承知のように、實はこつちの方はざつと一遍かかつておる法案總ざらいをやつて、それから二度上げ、三度上げというようにして行つたのですが、恐らく農業改良助長法も、一日くらいで質問應答をやつておるうちに、又次のことが思い浮んだりして來るのじやないかと思います。それから衆議院との關係もありますから、衆議院がどこから先に取上げてやるか、それも分りませんので、一應總ざらいをずつと一遍やつて見たらどうかと思つております。從つて今の農業協同組合法の問題も、改良助長法案の方が一應大雜把な審議が済めば、直ぐその次に移るとか、できれば委員長希望としては、豫備審査における總ざらい的のものは一週間くらいでやつて頂ければ、非常に有難いのじやないかと思つておるのでありますが、御趣旨の點ばよく了承して置きます。  それでは本日はこれで散會いたします。    午後一時五十三分散會  出席者は左の通り    委員長     楠見 義男君    理事            羽生 三七君            高橋  啓君    委員            北村 一男君            柴田 政次君            西山 龜七君            木檜三四郎君            小杉 繁安君            石川 準吉君            岡村文四郎君            河井 彌八君            島村 軍次君            寺尾  博君            徳川 宗敬君            山崎  恒君            廣瀬與兵衞君   政府委員    農林政務次官  平野善治郎君   説明員    農林事務官    (農政局資材課    長)      村田 豐三君