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1948-06-07 第2回国会 参議院 農林委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年六月七日(月曜日)   —————————————   本日の会議に付した事件 ○農藥取締法案内閣送付)   —————————————    午前十時三十八分開会
  2. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) それでは只今から委員会を開会いたします。  農藥取締法案につきまして、質疑を続行いたしたいと思います。
  3. 羽生三七

    羽生三七君 最初にお尋ねしたいことは、この第四條でありますが、この第四條の規定によりますというと、第三條第一項の規定による処分に不服があるときには、二週間以内に農林大臣書面を以て異議申立をすることができることになつておりますが、これで行きますというと、処分をする者も、又異議申立を受ける者も、農林大臣農藥審議会になつているわけであります。これでは非常に恐らく將來に不便が起ると思うので、むしろこういう場合の決定は、農林大臣一本としてその異議申立について審議する場合に、それを農藥審議会に付したらどうかと思われますが、この点に関する当局のお考えを承わりたいと思います。これが第一番であります。  それから次は、第七條のところに登録番号表示しなければならないことになつておりますが、何故登録者の住所、氏名を省略しておるのか、この点をお伺いしたいと思います。  その次は第十四條でありますが、この場合の檢査官吏はどういう性格を持つのか、例えば地方公吏に委託をするのか、或いは本省から、只今問題になつておる出先機関の整理問題がありますが、それと同様な何らかの一種の出先官廳というか、出張所を作るのか、その辺の身分関係を承わりたいと思つております。  それから尚同條の、第一四條の中、農藥審議会審議議決を経て、いろいろな虚僞の事実が発見された場合には販賣停止したり、或いは登録を取消す場合がありますが、この場合、檢査或い審議等が非常な遅延をすることがあり得ると思うのであります。長期に亘る審議の結果、実際にその当該製藥者がその製品に対しまして、悪い製品であつたということを決定された場合には問題はありませんが、事実上それが適当と認められたという場合がありましても、その檢査期間中が非常に長期亘つたという場合におきましては、相当な、その品物によつては時期を失つて販賣上損失があると思うのであります。そういう場合に、どういうような処置を取られるのか、そのこともお伺いしたいと思つております。又その他いくつかお伺いしたいことがありますが、取敢えず御答えを承つてからにしたいと思います。
  4. 山添利作

    政府委員山添利作君) 第四條の異議申立て相手方農林大臣だけにしたらどうかというのでありまするが、勿論これは名前はこの法律によりますと、農林大臣相手方ではありまするけれども、すべてのことは審議会議決による、こういう建前を取つておる。従つて異議の場合に又審議会に行くのはおかしいじやないかというお尋ねでございますけれども、これはやはり專門家を以て構成するところの委員会議決によつてすベてを処理するということがよいと思うのでありまして、この折角設けられた委員会を外にして農林大臣が独自の判断を下すということは、具体的に申しますると、実は判断の実際上は能力もないわけでありまして、やはりこの專門家に見て貰らうということがよかろうと思うのであります。これが地方機関があつて、更に上級に機関があるというならば、その辺の疑問も起らないわけでありますが、これは全國に一つ審議会でございまするので、自然異議を申します場合も、その処分をした人に異議申立てをする、こういう結果になることは形の上ではおかしいのでありまするけれども、実質上はこれ以外に止むを得ないと思います。  その次に、第七條登録番号だけで、その人の氏名名称等はどうであろうか、何故入れないかという点でございまするが、これにつきましては、番号だけでは如何にも不十分のようでありますけれども、全体を以て見まするというと、自然製造業名称でありまするとか、そこにみずから表示せられることになつておるわけでありまして、或いは法律の上でそれが義務的になつておりません場合におきましても、実際問題といたしましては、これは商品でありまするから、沢山賣ろうという意味で、必ず表示はされるということを予期をいたしております。  それから第十四條の檢査等といたします場合の機関であります。これは農藥檢査所といたしましては、これは東京に現在一ケ所きりございませんので、どうしても府縣公吏の人を委嘱することになります。その場合に、委嘱にするか、或いは無給の兼任ということにいたしまするか、形は最後的には決つておりません、委嘱をするという形がよくはないかと思つております。新らしい憲法、それから地方自治法という関係につきまして、地方廳が國の機関ではないということははつきりしましたけれども、同時に地方廳は國の事務をも司るという任務は依然持つておるわけでありまするので、地方公吏に、この國の事務委嘱することは差支えないものと解釈をしております。  それから同じく十四條の問題で、悪いものが見付かつた場合に、審議会を開くというようなのんべんだらりんとしておるのでは時期を失しやしないか、その間、何か仮処分のようなことが必要ではないかというお考えのようであります。そういうことは確かにあると思うのでございまするが、この檢査規則取締に当りまする者といたしましては、この法律によりまする限りにおきましては、農藥審議会議決を経ませんと、停止をするとか、取消しをするとかという最終的規定もなければ、又特別にその仮処分的のことをする規定はございませんけれども、一般警察取締というのは、やはりこの法律の事項にも適用があるわけでありまして、その意味から申しますけば、どうしても事実問題といたしましては、そういうものが見付かれば差止めもするということになりましようが、そういうことが法律上の権限がないといたしますれば、これは一般警察によつて、そういうことをもし得るのじやないか、これは必ずしも明確ではございませんが、さように考えておるのであります。
  5. 羽生三七

    羽生三七君 農政局長にもう一つお尋ねしますが、今の初めの一つの場合、つまりそれが不正藥品であつたという場合には、今農政局長お答えがあつたように、その間の現品をどういうふうにするかという一つの問題があるわけでありますが、今度は逆に、その藥品の正当であつたと認定された場合には、若しくは非常に長期間決定が遅延して、藥品を賣るというような商業行爲に非常な大打撃であつたというような場合、併し決定は今申上げましたように、正当な藥品であつたという決定貰つても、実際は藥品を賣る時期を失してしまつた、そういう場合の損失は一体どこかで補償してやるのでありますか。これは泣き寢入りということでありますか、その辺を伺いたいと思います。
  6. 山添利作

    政府委員山添利作君) これは一般國家補償法というのは、こういう場合にないのでありまして、そういうときには現在の実情においては泣き寢入りになると思いますが、それは苟くも一定登録を受け、又はそれについての表示をしている場合でありまして、その結果に處僞の表示があるという事実を発見したときはというのでありますから、いいものをこれは悪いものだというふうに思い間違う機会ということは先ず想像はできまするけれども、実際の事実問題としてはないのではないかと思うのですが……。
  7. 竹中七郎

    竹中七郎君 ちよつと関連して……今の問題ですが、結局官廳やなんかに届出して檢査を受ける、こうすると何日かしてそれがいいものか悪いものかという判断をして頂けますね。これは農藥審議会というものは一つしかない、地方からいい農藥ができてこれを申請した、その間一月とか二月とか、或いは二週間とかいうような期限というものがないのでありますか、この問題をお伺いいたします。
  8. 山添利作

    政府委員山添利作君) これに関する「販賣の禁止若しくは停止を命じ、」というのについて一定期間というものは、これは法律の上には書いてございません。併しながらすべての場合を通じて、登録申請がありましてから二ケ月以内でありますとか、異議申立てについてはもつと短かい期間異議申立ても二ケ月、こういうふうにございまするが、この十四條の場合におきましては、結局すでにこれこれであるべきところの農藥が、違つたものの内容にすり変えられておるという点でありまして、そういう犯罪事実の起りました場合は、これは早速分析をして、そうしてその事実を確かめるわけでありますから、日時の制限はございませんけれども、何もそういうふうに、これは悪いのだというようなことをいつたから放つて置く、而も事実は品質の正しいものである。こういうふうな事態は実際問題として想像をする必要はなかろうと、私共はそう思つております。
  9. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 羽生さんの御質問の点はこうではないのですか。十四條のこの場合は一應第二條の三項で、二ケ月以内に審議会議決を経て登録されておる農藥が賣られておつて、それが今度十四條のこういうことの檢査に引つかかるという場合だから、そこで取消されるまではその農藥は当然販賣可能だと、こういうことになるんではないんですか。
  10. 羽生三七

    羽生三七君 そうです。
  11. 山添利作

    政府委員山添利作君) その間のやつは、この法律に関する限りは販賣できるということになる。併しその事柄は同時に悪ければ罰則を受けます。それからやはり非常に害のあるようなものであれば、これは何か一般警察取締の方でその処分があるまでは自由だというのもおかしいじやないか、何か取締の途があるじやないか、こういう考えを持つております。
  12. 羽生三七

    羽生三七君 私さつき御質問の時に逐條に入つてしまつて、根本的な問題をあと廻しにしたような形でありますが、実はこれはこういう農藥取締法案というものが、今日農藥生産力を阻害しておるいろいろな病虫害を駆除するに一つの貢献をするかも知れないということについては別に異議がないのであります。又そういうものは必要だと思つております。併しこの際承つて置きたいことは、この前の種苗法案、あのようなものは実際適用されてからかれこれ第一回國会以來相当な日を経ておるわけですが、その間一体どの程度の効果を挙げられたのか、これを簡單でよろしうございますが、ちよつと御説明願いたい。今回のこの農藥取締法実施についてどのような予算的な措置が取られるのか知りませんが、実際問題として地方自治体の公吏委嘱するというような漫然たるやり方で、実際上の実効を挙げ得る御確信があるのかどうかという点について、ちよつと承わりたいと思います。
  13. 山添利作

    政府委員山添利作君) 種苗法案につきましては、その実施の実際のやり方が遅々としております。これが行きつまり、非常に遅れて整備をしておりませんのは、これは言訳を申上げるようでありまするけれども、昨年秋以來新らしい人員の設置ということを見合せるということ、ところが日本の政府としましては、種苗法に関する限りはよかろうと言つたところが、関係方面においてどうしてもこれを認めない、そういうところに障害がございましたものでありますから、これの施行も延び延びになつております。現在施行はいたしておりまするけれども、人員が揃いませんので、結局十分なる働きをいたしておりません。正直に申しますると、園藝試驗場でこの事務を扱うということになつております。併しこれは扱う以上はやはり人を置かなくちや動かんのは当り前でありまして、それはやはり行政整理等が一段落つきますので、今度は人を認めるかと思いまするが、やはり人員を設置するということが必要になつておるわけであります。それから地方の人を頼むという程度法律施行ができるかという点でありまするが、これは地方自治考え方で、昔のような府縣が國の機関であるがごとき状態と違いましたけれども、併し実際にこういう取締法令の運用といたしましては、これはやはり府縣委嘱し、且つ府縣は國の事務をやはり行うということの使命は又地方自治法ちやんとあるわけでありまして、やはり昔のような関係でやつて行きませんと、一つ一つ事柄にそれぞれの專門家地方に置くといつたところで、これは國の予算としてそういうことはできないのでありますし、やはり適当でないと思われる。やはり府縣の人に委嘱……名前委嘱と言つて非常になまぬるいようでありますけれども、働きといたしましては政府府縣とは関係を密にして運用して行きたい。この法律につきましては府縣に一名宛のそういう人を委嘱するところの経費が計上してございます。
  14. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 この法律は非常に重要な法律で、農藥檢査というのは全然技術的か何かの意味で、何もないということはなかつたと思いますが、國家として檢査するということが実際に行われれば非常に重要なことであり、いいことだと思います。それから局長羽生さんの御質問に対してのお答えは、まだしつかりこうした機構で万全を期した檢査をするという肚ができていないようにも思われますが、法律ができました以上、是非十分な檢査を行うようにして欲しいと思いますが、まだどうもちよつと肚が決まつていないように思います。  それからその次に、どうも分らんのでお聞きしますが、一條の二項に「前項防除のために利用される天敵は、この法律適用については、これを農藥とみなす。」、こう書いてあるのでありますが、これは業者から百姓が買うんでしようが、どうもどういうものか、ちやんとしたものでないから分りませんが、鳥とか蜂とか、益鳥、益虫でしようから、野放しにして置けば自然に当嵌まると思うのですが、この点ちよつとお聞きしたいと思います。  それから第二條の4の「農林大臣は、前項檢査につき、省令で定めるところにより、申請者から手数料を徴收することができる。」と書いてありますが、これはこうでなしに、「取る」……これでは如何にも國の財政上間に合えば取らんでもやる。こういうふうに見えるのですが、國の財政も樂でないのですから「取る」とした方がはつきりするのじやないかと思いますが、この点一つ。  それから第四條の2、3ですが、羽生さんからいろいろお聽きになりましたが、2の「農林大臣は、前項申立を受けたときは、その申立を受けた日から二箇月以内に、農藥審議会議決を経てこれについて決定をし、」云々と書いてありますが、実に非常に日にちが長い。その他にもありますが、農藥というものは使う時期が凡そ決つておるので、異議申立をしたり、いろいろして二ケ月も経たなければ審議会が決まらんようでは万事休すということになるような氣がするので、これは審議会の構想も示してありますが、手つ取り早く中央に直ぐに審議会を招集して、その議に付して即時決定してやるようにすることができないか。それから3に「異議申立をした者が、前項後段の通知を受けた日から一箇月以内に前條第一項の指示に基いて書面云々と書いてあります。この一ケ月というのも非常に長い。これは即時でも輝われると思うのですから、後の訂正、改良がない以上は即時通る、こういうことが一体できないか。まあ一應これだけにして置きます。
  15. 山添利作

    政府委員山添利作君) 第一條第二項の天敵は、定義といたしましてはいろいろな種類のものが含まれておるわけでありますが、併しこの法律が具体的に適用されますものは、製造者なり、或いは天敵の場合でありますと、培養して殖して賣つたりする、こういう営業の対象になるものでありまして、具体的な例を申しますると、現在では野鼠を駆除するチフス菌だけのようであります。  それから手数料を取ることができると書いてありまするのは、これは法律の文例によるのであります。事実はこれは一件について千円ということを予定をしております。  それから二ケ月は非常に長いじやないかというお話でございまするが、これは分析をいたすのでありまするから、又新らしい農藥が現われました場合には、或る程度やはり審査をする必要があるわけでありまして、分析をするとか、或いはそれについて今まで試驗された成績等を見るとか、これは調査を要するのでありますので、まあ二ケ月を要すると言いまするが、少くともその程度期間は取つて置く必要があると思います。ただおのずから藥を撤く時期があるのに二ケ月とは、そういう御質問でありますけれども、製造業者は何もその時期にあわてて來んでも、冬のうちから申請するなり、試驗するところで、これは來年から賣出そうというときに申請するなりして貰えばいいのでありまして、これはそういう意味解釈をお願いしたい。  それから第四條の第三項に、異議申立をした、それについてこれこれ直せという指図がありましたときに、一ケ月も放つて置く、こういう余裕期間を與える必要がないのではないかという点でありますが、これも取扱いといたしましては、営業者の便宜を図るという意味で、そうあわてなくても一月ぐらいは差支えなかろうと思います。
  16. 寺尾博

    寺尾博君 この法律不正農藥の横行が從來時折りありましたが、それを抑制するという点で非常に重要なものであることは申すに及ばないのでありますが、心配するべきところは、今考えられておるところの経費なり機構で以て、その取締が十分届くかどうか。殊に地方的にいろいろ時折農藥だの肥料だのには從來しばしばいわゆるインチキといつたような種類のものが出て、それが初めどこかでやはり相当拡まる。併しそれが実効がありませんがために、そこでは評判が悪くなる。今度は又場所を変えて新らしいところへ拡める、インチキのものが存外存在して、相当廣く可なりの期間もてはやされるということがしばしばあるわけであります。この法律がうまく行けば、そういうことを農藥については防ぎ得る点は非常に結構と思いますが、殊に地方などで出て來るそういう不正なものであるとか、或いはすでに申請をしたものが、登録されていたのが、実際地方的に販賣されておるものになると、内容が変つて不正になつておるというようなものを檢挙摘発がうまく届くかどうかということが心配になると思うのであります。で、そういうものがあつた場合には、この措置によつて適当な処置ができると思うのでありますが、そういうものが全國あちらこちらにあるのに対して、そうこの方の檢査官吏を全國に十分に置くことはできないと思うのであります。そのことを考えて恐らく農事試驗場等において、関係方面專門家を嘱託にするとか、何かということも考慮されるでしよう。先ずその点をどういうふうにお考えになつておるかを一つお尋ねしたいと思います。
  17. 山添利作

    政府委員山添利作君) 大体農藥取締法の立案の根本から申しますると、農藥の中味というものを正直に表示をさせて、後は農家に選択をさせるといいますか、判断をさせる、こういう建前でやつておるわけでありまして、從つてその表示には相当詳細なる表示を掲げることになつておる。そこで苟くも登録を受けたものは、即ち農藥審議会によつて認められたものであり、又その虚僞表示をしていないで、その通りのものを販賣する以上はそれでいい筈であります。ところが御指摘になりましたような場合は、現在いろいろある。これはその登録制度がないから、又このような法律施行されていないからでありまして、この法律施行されまして、すべての農藥について一定審査を受け、又その内容を詳細に書いて置かなければならんという制度にしますれば、これは自然的に悪いものはなくなる仕組であります。且つそれを犯して悪いことをするというのでありますれば、それはおのずから物を賣るのには廣告をいたしましたりいろいろやるのであります。これを取つて押えるということはそう多くの人を要しない。或る村で少し賣るということじや商賣にならないのでありまして、そういうふうに考えておりまするので、必らずしも全國到る所に網を張るとかいうような取締制度考える必要はないと思つておるのであります。併し府縣にはそれぞれ府縣の吏員の人をこの法律施行に関する檢査官吏委嘱するというつもりであります。
  18. 寺尾博

    寺尾博君 それから今の農藥製造程度では、いわゆるクーポン式などの形式による配給によるのですか、その必要の物を随時必要に随つて農家が自由に買うことができるような状態になるのですか。先ずその点を一つつて置きたいと思います。
  19. 山添利作

    政府委員山添利作君) 現在では一部のものはクーポン制度にしておる、その他のものは自由にしてございます。それにつきましてはこの参考資料の三頁に書いてあります。
  20. 寺尾博

    寺尾博君 もう少し続けたいのですが……。それからこの農藥の中には、これは病虫害防除に関する農藥なんで、その農藥の中にはそれ以外の植物ホルモンであるとか、そういつた種類のものがあるんですが、病虫害防除以外のもつて何か積極性のあるもの、これにも非常に有効なものもあろうし、ときには又不正なものも起り得るわけであります。これの助長取締、つまりこれらのこの方面処置は、この法律の中には含まれていないからして無関係のことになるわけです。この点についてはどういうふうにお考えになつておるのですか。
  21. 山添利作

    政府委員山添利作君) 植物ホルモン等につきましては、これを間接農藥といたしまして、現在取締をいたしております。と申しますのは、戰爭中間接農藥取締をいたしておつたのです。戰爭後にやりましてからは、臨時物資需給調整法に基く規則ということにして、まだその効力を持つておるというわけでありまして、將來肥料取締……、これも随分古い法律でありますから、あれは全面改正いたしまして、今の間接肥料をも含めたものとして、この農藥取締法に倣つたような恰好にしたいという考えであります。
  22. 寺尾博

    寺尾博君 それからもう一つ、この農藥取締の方と同時に、農藥進歩ということは今後の農業技術の発達の上にこれは非常に重大な一面であると思うのですが、民間の方の研究も進みましようけれども、政府研究機関もこれに相当力を注がなければならん。それともう一歩、農藥は配りさえすればいいというわけじやない。肥料でさえもまだ石灰窒素なんかどうして使つていいか分らん、極端な場合になると人糞ばかりを使つてつたので硫安の使い方も分らないという農家が、そう田舍でない大都会に近い縣にさえある。農藥になると尚更その知識は少いのですからして、是非一方で新らしい農藥発明研究と、一方では農民の農藥知識の向上を図る具体的な計画を立てることが必要であります。と同時に農藥は今配つてもしばしば使わない。で、果樹や蔬菜のような價格の高い商品を生産しておる農家は進んで農藥藥剤撤布をやりますけれども、主食の作物を作つている側においてはなかなかこれを実行しない。これはやはり共同事業としてでないと普及しないと思う。最近の非常にいい例は、靜岡縣府縣農業会田方郡支部が動力噴霧器を十台くらい備えて、郡内の麦の石灰予防剤藥剤撒布を一日に六町歩から七町歩くらいずつやつた。それを二回も三回もやつて完全にこの郡内の麦の藥剤撒布をした。こういうようなことを伴つて初めて農藥進歩主食の生産の上に具体化して來る。この法律を成立せしめると共に、一方研究助長と、そうした農家藥剤撒布に関する農家の自主的の事業というものを発達せしめるように適当な処置を講じ、そういう政策を取つて行くべきだと思います。政府においてはこういう点についての何か方法をお持ちでありか、その点をお伺いしたい。
  23. 山添利作

    政府委員山添利作君) 寺尾委員只今の御所説につきましては悉く同感であります。例えば藥を集團的に使つて、或いは共同して防除をするというような予算もこの春実は要求をいたしたのでありますが、遺憾ながら実現しませんでした。併しそういう方向に持つて行きたいと考えております。
  24. 寺尾博

    寺尾博君 もう一つお尋ねしたいのですが、第二條の第三項の第三号に、「藥効及び藥害に関する試驗成績」という言葉がありますが、この「試驗成績」はどういう意味なのですか。公共の試驗場で試驗した成績という意味なのですか。或いは製造業者がみずからやつた試驗、或いはどちらでもいい、こういうふうな……。
  25. 山添利作

    政府委員山添利作君) 特別の制限はございません。
  26. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) いいですか。
  27. 寺尾博

    寺尾博君 一應それじや……。
  28. 石川準吉

    ○石川準吉君 一條で「「農藥」とは、農作物(樹木を含む)」この樹木という意味は勿論果樹園とかそういうものが入つていると思いますが、例えば造林地帶の杉とか松、そういうような山林関係の樹木も含んでおる意味でありますか、どうか。一應お伺いしておきたい。  それから附則二号の「この法律施行前から製造され」という場合におきまして、「この法律施行後三箇月を限り、第二條第一項及び第七條規定はこれを適用しない」、こうなつております。ところが二條におきましては、登録申請してからそれが審議される期間というものは二ケ月以内であると、こう書いてあるのであつて、これは若し特例を許すならば、二ケ月間を限つて許してもいいのじやないか、こういうような感じがするのですが、特に三ケ月を限つたのは何か理由があるか、それを伺いたい。
  29. 山添利作

    政府委員山添利作君) 樹木という字を特に書入れましたのは、普通果樹に類する木でありますると、農作物の中に含むと思いますが、お話になりました山林用の植木等を指す意味で樹木という字を入れたのであります。  それから現にあるものは三ケ月間……登録は無論していない。それを入れるということは、その程度はやはり認めて置いた方がよろしい、こういう意味であります。
  30. 石川準吉

    ○石川準吉君 そのあとの方の問題ですが、登録申請すればそれは二ケ月間に審査されるわけですから、少くとも二ケ月の猶予を見ればよいと思う、それを更に一ケ月延長して三ケ月にするのは、ちつとおかしいのじやないか、こういう感じがするのです。
  31. 山添利作

    政府委員山添利作君) この法律施行になりましてから瞬間的にみんなが登録申請しますれば、石川委員のお話の通りでありますけれども、みんなが瞬間的に申請するわけじやないので、やはり登録申請するにつきましても、早く出して貰う必要がございまするけれども、若干遅れることもある、又事務の都合から言いましても、余り窮屈なのも困るわけでありまして、やはりこの程度期間を付けて置くことが適当とめ認ておるわけであります。
  32. 竹中七郎

    竹中七郎君 農業の生産上に農藥が必要であることは申上げるまでもないのでありますが、各都道府縣にこの農藥を割当られる際においては、要求に應じて割当てられるのであるか、何か切符制以外にでも割当の基準があるかどうか、そういうふうなことをお尋ねしたいのであります。それからいよいよ割当てられたところの農藥が、末端においてはどういうふうな方法で保管することになるか、業者が保管するのであるか、或いは需要者が保管するのであるか、その保管については完全なるところの設備があるのであるかどうか、又農藥を使用するのについては、どうしても噴霧器であるとかその他の器具が必要であろうと思うのでありますが、これらの準備が整つておるのであるかどうか、こういうふうな点をお伺いしたいと思うのであります。  次に、我が國のようなところでは氣候の変化が非常に激しいのでありますから、病害虫は突発的に起ることが多いのであります。そういうふうな場合に應急の農藥が手に入る方法が講ぜられておるかどうか、各地方におけるところの病害虫の発生した状況を見ましても、農藥が間に合わずして大被害を起したという例が多いのでありますから、こういう場合の臨機應変の農藥の使用方法はどういう方法でやられるお考えであるかどうか。  それから資料によつて見ますると、農業資材配給規則及び指定生産資材割当規則というものによつて現在配給しておられるところの農藥は決つておるのでありますが、これ以外の殺菌剤、殺虫剤その他の農藥があるといたならば、その農藥はどういうふうなものであるか、その名称をお示し願いたいと思うのであります。  次には、今までお話があつた天敵でありますが、私など過去の害虫駆除の結果から考えて見まして、天敵の効果が大であるということは十分に承知しておるのであります。今政府法律によつて予定しておられるところの天敵、これはどういう種類のものであるか、又この天敵はどういうふうに使用しようというお考えであるのか、又將來においてこれらの天敵を増加させるのについて、如何なる手段方法を研究しておられるのであるか、又講じようと考えておられるのであるか、こういうことをお伺いしたいと思うのであります。  それから第一條を読んで見ますというと、「製造業者」或いは「輸入業者」或いは「販賣業者」或いは「防除業者」と書いてあるのでありますが、これはそれを営業として行う者の取締であるのでありますから、農業協同組合のように業として行わないところのものは、この規定から除外されておるものと考えておるのでありますが、農業協同組合が共同防除をやるような場合においてでも、或いは農業協同組合が共同購入をする場合においてでも、或いは輸入する場合においてでも、或いはボルドー液その他を製造する場合においてでも、除外するものとして考えて置いて差支ないと信ずるのでありますが、これについてはどうであるかということをお尋ねしたいと思うのであります。  それから第十四條の「農林大臣は、その定める檢査方法に從い、」……これは農藥に関する知識が少いのでありますが、すべての農藥に対して檢査一定の規準を公に示されるのであるかどうか、どの農藥はどんな檢査方法を採るのだということを示されるのであるか、これについてお伺いしたいと思うのであります。  それから第十五條第二項に「支所を置き、」と書いてありますが、支所はどこに置かれるお考えであるかどうか、同じく第三項の「政令」の内容はどうであるか。  それから第十七條に「その対價の額以下」と書いてありますが、一万円のものであつたらば一万円、或いは一万円を超えた場合においては一万円を超えた範囲内においてというのであるが、「その対價の額以下」というのはどういうふうなものであるか、お尋ねしたいと思うのであります。  それから現在の防除業者は大体どのくらいあるというお考えであるか、その見通しがついておればどのくらいの数であるということをお示し願いたいと思います。
  33. 山添利作

    政府委員山添利作君) 私からお答えをいたしまして、更に補足するところは説明員の方から述べさせることにいたしたいと思います。第一に現在割当てております農業の取扱でありますが、農藥の中にもここに規則の方で統制いたしておりますものの外には、例えばボルドー液とか、普通に使われておるものは大体現在需要のバランスが取れて來ましたので、自由なる取扱にいたしておるのであります。そういう農藥も沢山……ただ砒素でありますとか、或いは除虫菊製剤、こういうものにつきましては割当をいたしておるのでありますが、その割当をいたします基準は、地方の需要によるのでありまして、これは需要調書を取つております。又過去におけるそれぞれの消費の実績というようなこともございますので、それらのことを勘案してやつておりますが、大体府縣の需要を取りまして、これを基礎においてやります。それから農藥を使う噴霧器等は十分あるかどうかという点でございまするが、今年一割増産をいたしまするについて、御承知のように病害虫の防除ということに相当力瘤が入つております。その場合に噴霧器は相当問題にしたのでありますが、大体あるようであります。数はあつてもそれは果樹地帶に固つておるのじやないか、こういう考えもあるわけであります。併しこれは聞いて見ますると、只今こういう農機具を出す。ところが実際農家の方から返品になつて來るというものも案外噴霧器が多いそうでありまして、そういうところを以て見ても大体あるのじやなかろうか。固よりすべての農機具に亘つて不十分だという一般的な状況はございまするけれども、特に農藥についての噴霧器が足りないという事実は認めておりません。それから保管の設備等につきましては、これは今までやつておつたことでありまして、新らしくいろいろの設備を最近いたしたわけではございません。これは從來通りその事柄についてはしかく不便がないであろうと考えております。私自身はこの事柄について別に聞いたことはございません。それから病害虫は仰せのように、あるところで不意に効果を発生するというのでありまして、その用意をして置かなければならん。個々の農家に万遍なく配つて置いたのでは、これはだめだということは御尤もでありまして、こういういわば中央予備と申しますか、農藥を貯藏することにいたしております。今年はそういう制度をやつておりませんが、予算といたしましては、今年から計上してありまするので、いずれこの本会期中に法律案が出ると思いまするが、肥料配給公團にそういう予備貯藏をさせる。全國数地区に亘りまして予備貯藏をさせる。それに対して政府は補助をする、そうして大きな害虫の発生がありました場合に、消防ポンプが馳けつけると、こういうような恰好にいたしたいと考えておるのであります。尚この統制以外の農藥の主なるもの、それから將來見込みがある天敵につきましては係の者の方からお答えをいたすことにいたします。協同組合はこの法律適用を受けるや否やということでございますが、協同組合が協同購入をするという範囲においてはこの法律適用はございません。協同防除をするという意味におきましては適用はございません。併し購買事業の関連として、みずから作つてこれを外にも賣るとか、或いは農藥を賣るにいたしましても、組合員のみならず廣く他の方面にも賣るという場合になりますれば、これはこの法律適用を受けるわけでありまして、今度の協同組合法の立て方としては利用事業といいますか、その組合員外の事業の利用ということを相当廣く認めておりますので、それはどつちに見るかというような場合も起ろうと思います。まあ原則として協同組合が協同組合としてその組合員を対象とするという場合にはこの法律適用はない。少々の組合員外事業ということであれば大体適用はない。こういう解釈をいたしております。それから檢検をする場合、即ち十四條の檢査報告でありますが、これは農林大臣一定の方法を定め、且つこれを公示することにいたしております。十五條に支所と書いてございまするが、これは將來関西方面、まあ大阪というような農藥製造の中心地等に支所を設けたいつもりであります。政令の内容は、これは職務権限並びに定員を記載することでございまして、現在のところ、定員等につきましては参考資料農藥取締法に関する参考資料として御配付をいたしております。それから罰則の十七條の対價の問題でありまするが、原則として一万円以下でありますけれども、不正農藥販賣した、その價格が百万円あれば、そこまでは取られ得るということでありまして、現在のインフレ時代に対應する一法だというわけであります。現在防除業者というようなものはございません。併し將來段々進んで参りますれば、こういうものも出て來る可能性があるのでありまして、そういう意味からこの法律規定してあるわけであります。
  34. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 説明員を許可いたしてよろしうございますか……。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  35. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) ではどうぞ……。
  36. 田口昌廣

    ○説明員(田口昌廣君) 統制外の農藥名称でございますが、これはお手許に差上げてあります参考資料の第一にございます。これが現在生産配給を行つております農藥の主なものでございますが、この中クーポン制によつて配給をいたしておりますのは、最初の砒素剤の砒酸鉛、砒酸石炭、次のニコチン剤の硫酸ニコチン、除虫菊剤の除虫菊粉、除虫菊乳剤、それから除虫菊エキス、その次のデリス剤のデリス根、デリス粉、デリス乳剤、それから鉱油乳剤の機械油乳剤、尚ホルマリンと農業石鹸は指定生産資材割当規則によつております。クロールピクリンはクーポン制に則つてつております。以上でございます。又D・D・Tにつきましては、最近これが実驗被究が開始されましたもので、近くクーポン制に乘るかと思います。それから天敵でございますが、これは現在配給を行つております天敵は野風チブス菌のみであります。これを試驗場におきまして培養をいたしまして農家に配給をしております。尚今後の予想は勿論つきませんが、ベタリヤ、テントウ虫は一部では斃死しておる模樣でございます。現在こういう培養菌を以て病害虫を殺すという研究の方法は割合に進んでいるようでございまして、將來はその点相当廣範囲の天敵を加入するようなことにもなるかと思います。それから防除業者でありますが、現在のところないと予想しております。併しこの食糧一割増産を機といたしまして、或る地区では賃仕事的のようにいたしまして、トラックその他で防除藥品を運びまして、賃仕事的なものをやつておる地区がままあるように見受けられますので、それにつきましては調査研究をいたしまして、これの該当非該当を決定したいと思つております。
  37. 竹中七郎

    竹中七郎君 今後病害償の駆除のためには今お話のように防除業者が或る程度増加するものと考えなくちやできないと思うのであります。その場合に防除業者であるというようなことを農林大臣まで届出なくても知事に届出ただけで、その知事に届出たのを農林大臣に報告するならば、報告するというくらいなところで止めて置いて差支えないではないかと、こう考えるのでありますが、やはり農林大臣まで届出なくちやできないということであれば、この防除業者というものがなぜ届出なくちやできないのであるか、そういうふうな重大な責任があるかないかということについて一つお伺いいたしたいと思うのであります。
  38. 山添利作

    政府委員山添利作君) これは届出は農林大臣宛でございますのでありますが、結局地方聽を通じて農林大臣のところに届出るということになつております。全般的に國の事務地方事務ということをはつきりさせました思想から、大体國の事務については農林大臣ということにいたしておるのであります。この前の実は種苗の法律におきましても販賣業者の問題もこんなものは地方でよいじやないかというような氣もあるのでありますが、國の事務というような意味から農林大臣にいたしておるのであります。併しこれはいわゆる登録と違いまして、單なる届出でありまして若しその届出の中に届出になつたところの防除の方法というようなものに拙いというふうなことがあれば、これは直す機会を農林大臣が持つておるという、こういう程度の取扱いであります。
  39. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 一つお伺いをいたしますが、普通農耕に使います農藥は大分生産が向上して参りまして、指定農藥と称するものが大体九種類あります。指定生産資材に該当するものが二種類、自由販賣になつておるものが十三種類あるようでありますが、大体これは普通の百姓の使う農藥なのであります。そこで最も原料の不足であり、困難と見られておりまする実は指定農藥の中の除虫菊乳剤ニッキス粉、これが入つておりますが、今年になつてから農林省でもいろいろ御心配願つておるようでありますが、業者の方から除虫菊の干花の統制を外せ、價格を外せという希望があつて、大分それが実現そしうな傾きがありましたから、私は会議でもありませんでしたから、自分の意見は農藥として絶対に必要とするならばこれは少いものは統制を解いては困るのではないか、そこで農林省の方で数量を決めて農藥として指定する必要がなくなれば解いても結構だと思うが、今の中は集荷製造の統制を完全にするべきであるということを申上げて置きましたが、どうもまだはつきりしないような、うやむやになつて、來年度これの撤廃をしやせんかと心配しておりますが、これはよく御存じだと思いますが、是非とも生産が挙りますまで、非常に除虫菊については業者があらゆる面に策動いたしまして、非常に心配いたしておりますから、農政局長は十分そのことは御承知だと思いますが、先ず当分統制から外すことのないようにして貰うことが農藥として一番いいと思うのであります。若し御意見がありましたからお伺いいたします。  それから製造の方も大事でありますが、この價格について物價廳がお決めになるのでありますが、特に私共考えるには農藥業者一般から申しますと、丁度種苗業者と同じような傾きで、非常に巧妙に働きます部類が多いのでありますが、去年の今頃でありますか、除虫菊乳剤エキス粉の原料になります除虫菊の小賣價格をお決めになつて、そこでその当時から断然いけないということを思つておりましたが、それを言つて行く暇がない。知らん中に取決められた。その後ちよつと疑問を持つておりましたが、今年は始めたようでありますが、去年の二十二年度産の菊に対して一貫目に十五円という、何でもない、扱いをせんで、ただクーポンを廻すに過ぎないものを、一貫目について十五円という手数料を取つておる。これはエキス一ポンドを生産しますと五貫要りますから、七十五円という百姓即ち使う者は余計なものを拂わなければならないことになつております。今年はお蔭樣で始めたようでありますから、これは今後そういうことのないように十分に御注意を願いたいと思いまするから、お願い申上げて置きます。  それからいろいろな技術その他のことでお話申上げましたが、各方面からいろいろと拠りどころがあり、その技術も必要であるようでありますが、実は非常にお仕事がお忙しい関係もありましようし、いろいろな関係でクーポンが下まで廻つて行く、配給せん分でも非常に遅れております。現在北海道では「うんか」が発生しております。使おうと思つても今クーポンによる配給が來ておりませんので、私岡村個人が責任を持つから、藥がなくて撤布ができないということで方法が付かん。若し文句を受けた場合には岡村個人が責任を持つから、是非間に合うように配給して欲しい。又持つておる人も渡して呉れというようなことを言つて、そういうことでクーポンによつて配給されると思いますので、いろいろ支障が起きます。農藥は時期の問題でありますから、今後そういう時期に十分に間に合うように仕事をして貰いますことを特にお願い申上げて置きます。
  40. 山添利作

    政府委員山添利作君) 除虫菊の問題につきまして、統制を外したらどうかという問題があつたことは事実であります。これは御承知のように最盛期から見ますると、今は一割か一割五分というような状況に來ております。何としてもこれは生産が第一であり、その生産をするにはいろいろ考えても價格以外に手はない。これは除虫菊に限らず工藝作物について現在のパリティー方式では到底いけない。そんなことは説明するまでもなく実際的にも理論的にもいけないのでありまして、併しパリティー方式というのは非常に強い主張を持つております関係上、何かそのところについて價格を適当にし、増産をする方法がないかという観点から統制を解除したのでございまして、こういうような点は多くあります。その價格統制を止めても私は或る意味でよいと思うのであります。且つ一般の統制も農藥に対して今のようなクーポン制度じやなくて、農藥製造業者等にこの需給調整法に基くところの農藥の生産命令を出すということにすれば、そういう統制方式を取れば、まあ集荷等の面倒な統制はせんでもよいじやないかという考え方は持つておるのでありまするけれども、この問題はこの春いろいろ研究されただけで、それなりになつております。いずれにいたしましても、これは價格が適当であることさえできれば、後は附け足りないのでありますから、今岡村さんのお述べになりました点につきましては、今後この問題がいろいろ研究されます途上において、私も十分氣を付けて行きたいと思います。それから農藥のクーポンが間に合うようにということは、まだ規則施行以來そう日にちが経つておりませんので、そういう御迷惑をかけたのであります。併し間に合うように使つたらよかろうということは至極適当でありまして、私共そういうふうにすべての行政が非常にうまく行かんときには、そこを補つて貰うということは結構だと思います。
  41. 岡村文四郎

    岡村文四郎君 もう一つお尋ねをし、お願いして置きますが、局長のお話で除虫菊の統制のお話でありますが、私は非常にお話のように干花の数が減つておりますので心配をいたしておりますから、價格の統制を撤廃して、物の統制をしても何にもならんと考えております。これは局長を御承知だと思いますが、現在の日本の除虫菊を作つております業者は、今のところでは農産物であるとか、或いは農機具であるとかいうものの製造業者の中でも一番えらいのがおると考えております。そこであらゆる手段を講じて、金の儲かる方へ行つて残されたのでは、結局必要なものがなくなりはせんかという嫌いがありますから、生産が向上して少々取られても、増産が間に合う時期までそれは統制をし、價格は喜んで作るように上げて貰つて、パリティー計算はお話のようにとても間に合いませんから、少し上げて貰う必要があります。大体それに菊は三年目でないと收穫が見られんので、今年價格が高くなつたからと言つて來年即座にできるというものではありません。そのために下手すると、ここに農林省の方で製品の出荷命令を出しましても、数が或る点まで行つていないと、どこに行くか知れんようになるのじやないかと承知いたしておりますから、この点は御研究は結構でありますが、間違いのないように、まだ当分價格の、……品物の統制をして貰うより途がないと考えておりますから、念のためにお願い申上げて置きます。
  42. 北村一男

    ○北村一男君 簡單に三点お尋ねいたします。この二條の二項、これの二と三が檢査の対象になると思うのでありますが、一体檢査というものは、何を檢査するのであるか、ただこの藥品の成分とか何かだけを檢査するのか、それからこの三つの「適用病害虫、使用方法並びに藥効及び藥害に関する試驗成績一を重ねて檢査するのでありまするか。その点を伺いたいと思います。若しもこの藥の効果などを檢査なさるとすると、季節外に二ケ月ぐらいの中で作物に対して檢査をして見ようがないと思うのでありますが、果して申請を受けて二ケ月以内に農林大臣登録し、且つ、左の事項を記載した登録票を交付しなければならないということになつておりますから、二ケ月以内にこういうことができるかどうか、この点についての御見解を伺いたいと思います。それから私は他の方と違つて農藥のようなものは、できるだけ農民がこの農業の知識を向上させて、自分でいい、悪いを判別することができることが窮極の目的でなければならん、又それを早くやるようにしなければならんと思うのであります。いつまでも役所の御厄介にならんければならん、又厄介をしてやるというような態度は、私は賛成ができんのであります。それで農林省としては、農民の知識、特に農藥に対する知識の向上普及について、何らかの対策をお採りになるお考えがあるかどうか、私は採ることは当然のことと考えますが、その辺についての御見解を伺いたいと存じます。それからこの効果がないか、若しくは不合格品と申しますか、そういうような藥品は、結局農林省としてはどういうふうに処置なさるのか、賣らせないということだけは分りますし、或いは新品種の改良というようなことについても、ここに書いてございますが、これが一週間ばかり前の朝日新聞にも、肥料の例を引いて心配をしておつた記事が出ておりましたが、これがもう品質の改良などをしないで、直ちに横流れをする。肥料にはこういう例が多くございまして、むしろ横流しをした方が、採算の面から言えば、算盤にうんと合うというようなことから、もう改良をしない、或いは大した効力がないということを業者は知りつつ横に流すという心配が非改に多い、こういうのに対して、これだけのことでは、私はただ賣らせないとか、或いは改良をすべきことを指示するということだけでは足らんと思うのでありますが、そういう点については、どういう御処置をお取りになるか、この三点についての御見解を伺いたいと思います。
  43. 山添利作

    政府委員山添利作君) この檢査をいたしまするのは、先ず藥品でありますと、その分析という意味でありまして、これを或る時期に植物に施して見てという意味の試験ではございません。それはこの申請書に書いてございます藥の効能であるとか、或いは又試験成績の結果を、という点から判断をするのでありまして、專ら化学的な成分内容という点が檢査の対象になるわけであります。  それから普及の対策でございますが、大体この法律の立て方、又この法律の根本観念になつておりまするのは、北村委員に仰せになりましたような基本的な態度を持つておるのであります。又今後農業生産一般がそういうことでなくちやならんと思うのです。それについて新らしく農業技術の普及体制というようなものが確立されることに相成りますと、それらの機関を通じまして、絶えず農民自身が疑問を起させ、又農民自身が工夫をして見ると、こういうような形において進めて行きたい。そこでこの農藥取締法におきましても、全然効能のないものは賣らせないことは勿論でありまするが、さればといつて一定の規格を定めて、これ以上でなければならんとか何とかいうむずかしいことは言つていないのです。ただ内容を明らかにして農家判断をせしめる、即ち不正直な点はなくしてやる、こういうところでありまして、同時にこの法律が全き効果を挙げますためには、やはり農家判断力ということが前堤とされておるのであります。從つて今のように新らしい技術、施説というようなものを通じて、農家農藥に対する知識を進めるということも考えら参らなければならんと思つております。それから又沢山の農藥について、あれだのこれだのという非常に、これは個人の選沢としては迷うのは当然でありまして、それについては農林省の方で前から認定農藥という制度を作りまして、一定の優秀なものは、一定の規格に合いましたものは、これを進奨する制度を作つておりまして、そういうものを使えば間違いないということもいたしておるわけであります。それから不正なものは、或いは効能のないものは、これは登録をさせないというのでありますが、即ち初めから販賣はできない、又そういう不正なものを賣つておれば、その品物は没收されることがあるとか、これは後ろの方に書いてあります。
  44. 北村一男

    ○北村一男君 ちよつと第三番目のお答えですが、これはまあこの法律正面に謳つておるだけでございます。肥料つてやはり横には流れない筈の肥料が少し品位の落ちておるのは、今一俵四千五百円くらいで農村に硫安が出ておるという状態から考えまして、農林省の眼の届かんルートを通じて、農藥であれ、肥料であれ、流れて行くということは、ただあれさえ買いたければどんな苦労をしてでも流れることは、これは私が申すまでもないことでありますが、ただそうさせないことにするとか、登録しないということだけで十分だとお考えになるかどうかということを、重ねてお伺いいたしたいと思います。それでそういう不正の農藥が農村に入ることを防ぎ得るとお考えになつておるかどうか。実際においてそれを伺いたいと思います。
  45. 山添利作

    政府委員山添利作君) 農藥につきましては、これは肥料とは多少事情も違つておると思いますので、農藥については先ずこういう法律でもできまして、すべての農藥を一度登録をして見て判別をいたしますれば十分目的を達し得るのじやないかと考えております。肥料とはそこに多少事情の違う点があると思います。
  46. 寺尾博

    寺尾博君 第二條の三項ですが「農藥審議会議決を経て」と、こういうことがありますが、農藥審議会議決によつてこれは登録さして然るベきものか否かということが決まるわけです。その決まつた結果は個人の営業の上に著しい影響が來るわけです。從つてこの農藥審議会議決というものは非常に重要な関係を持つて來るものであると思います。これはどういうことを基準にして、登録すベきか、すべからざるかの可否を決定するようなことになるか。この点は非常に法律施行上重大な問題になつて來ると考えますので、相当しつかりした基準でも示してないと、問題が起るのじやないかと思うのですが、これに関する政府の用意はどういうふうに考えますか。  もう一つそれと自然関係して來ますが、同條第二項の二号「に農藥種類名称、物理的化学的性状並びに有効成分とその他の成分との別にその各成分の種類及び含有量」というのと、それから先程北村さんも御質問になりましたが、その次の第三項の「適用病害虫、使用方法並びに藥効及び藥害に関する試験成績」と同じようなことが当然第七條にあるわけです。そういう技術的の記載があるわけであります。これはその記載の仕方は精祖如何なる程度にも現わし得ると思う。極く荒つぽくも書かれるし、又非常に詳しくも書ける。これもみずから申請者としては、どんな標準でこの記載をすベきかということを知る必要があると思う。で、これについて何か特に施行細則のようなもので説明するようなことになるかどうか、そういうような点についてお伺いしたいと思います。
  47. 山添利作

    政府委員山添利作君) この登録を実際やるかやらぬかという何らかの基準がなければ非常に問題があるということは、仰せの通り法律には現われておりませんが、結局この法律の鍵みたいなことをなすのではないかと思います。今の点が……そこでこの法律を通じまして、一定の規格というような、登録をするところの一定の規格というようなものも、法律で決めてもおりません、要求もしておりません。併しこの農藥審議会議決を経てやる。そこで自ら、例えばニゴチンにしても、私は素人でよく分りませんけれども、何%含んでいなければ駄目だというようなことが勿論あるに違いない。そういうことが、農藥農藥として効力を発揮し得るような最低限度の要件はこれは当然備えていなければならんと思います。それらのことにつきましては、農藥審議会において、左樣な一つの規準というようなものを審議して貰つて設けるということにいたしたい考えであります。又第二條登録申請いたしますについての記載の精粗であります。成る程化学的性状といいますと、どこからどこまでと切りがない話であると思う。つきましては一つのサンプルを取つて、これにはこの程度というようなことを、農藥審査に必要な程度事柄を、雛形でも作つて、これは農藥協会というようなものもございますので、そちらの方と連絡をいたしまして、業者の人達にも知つて貰うという手続方法を取ることが適当だと思つております。
  48. 寺尾博

    寺尾博君 今の点で、農藥審議会議決につきましては、これだけで見るというと、農藥審議会が冒すべからざるような恰好に見えるのです。実際はそうすると、今日までの農藥に関する化学的或いは学物学的研究の結果に基いて、その当該農藥登録に適するかしないかということを決定すると、こういうような意味にもなるのですが。
  49. 山添利作

    政府委員山添利作君) 農藥審議会の構成メンバーは、主として農藥に関する專門家が多いのでありまして、固よりそういうことでなければならんと考えております。関係の官吏でありますとか、或いは学識経驗者でありますとかがなるのは固より、農家の代表も加えますけれども、この審議会はそういう專門家を以て構成するのでありまして、それではそれが普通のいわゆる輿論のごとき恰好であるかと言えば、それはそうではない。やはり今までの学問的な試驗研究に基く基準というものに即してこの審議会が決める、こういうことだと考えております。
  50. 寺尾博

    寺尾博君 どうもまだ審議会が学識経驗者、專門家、それだけのオーソリティのある人によつて構成されるから、審議会決定したものは権威がある。こういうような意味か、又こういうような個人の利害に関することを、そんな程度のことで決定し得るかどうか。即往の研究の根拠により、例えば或る成分を、これ以下に含んでおるものは有効と言わないというようなことが確立された事実としてあるような場合、それがすつかり明らかになつたような場合は、これは権威ある個人の感想や、そういうことでなく、自然法則によるものだろう、併しそれらの場合でも、こういう個人の利害に関したことを決定するに当つては、相当規則のような、法律のような何か形式的の基準が必要ではないかと思います。ただ権威、学識とかということのオーソリティーによつて決定するというようなことでは、法律的にはどうもやり得ない場合があるかと思うのであります。この農藥審議会議決ということについては、專門家を中心に入れることは勿論のことですけれども、議決の形式なりその実質については余程愼重な考慮を要すべきものだと私は思う。特にその点を政府は十分にお考えになつて頂きたい。希望を申上げて置きます。
  51. 楠見義男

    委員長(楠見義男君) 本日はこの程度で散会にします。    午後零時十一分散会  出席者は左の通り。    委員長     楠見 義男君    理事            羽生 三七君            高橋  啓君    委員            木下 源吾君            北村 一男君            西山 龜七君            石川 準吉君            木檜三四郎君            竹中 七郎君            宇都宮 登君            岡村文四郎君            河井 彌八君            寺尾  博君            藤野 繁雄君            廣瀬與兵衞君   政府委員    農林事務官    (農政局長)  山添 利作君   説明員    農林事務官    (農政局資材課    長)      田口 昌廣君