○
政府委員(
鳥居博君) では省略させて頂きます。
第
二條に参りましては、
放送というものは御
承知のように
相当技術を使いますので、今後
放送委員会の
規則その他で非常に
技術の要が出て参ります。それを明らかにして置きますために、第
二條に「(
定義)」というものを掲げまして、今後の用語を明確にいたしました。この
定義で一番はつきりさせました点は、
放送とは何を言うかということでございますが、第一号に掲げましたように、「
放送」とは
電氣通信の送信及び
受信からなるものでございまして、この
定義から申しますと、例えば
選挙演説のときに、
普通マイクロフオンを置きましてそれに
拡声器を付けて話をする、これは
放送ではない。こういうことになりす。併しこれを線を延ばしまして随意に電線に繋いで、そうして好きな人がこれを適当な場所で聽けるようにする、こうなりますと話す者は
送信者であり、取る者は
受信者になりますので、これは
一つの
放送だということになります。併しこの
法律ではそういう
放送一切を取締るということを
考えておりませんで、この
法律を適用される範囲は次の五種に分けることといたしまして、凡そ
無線というもの、
電波を利用いたします
放送につきましてこの
法律は対象にしておる、こういたしておりますのが第一の
放送の
定義でございます。それからこの
定義であと問題になるかと思いますのは、最後の十二号「
放送番組」でございますが、この
放送番組と申しますのは、この表を見ても非常にむずかしく書いてございますが、
放送されるもの、
放送の
内容一切を申すわけでございます。
第三條に参りまして、只今申上げました
放送の
番組、こういうものにつきまして
雜誌新聞の
編集権同様に
編集権の確立を狙いまして、
法規に基く以外の
干渉を排除いたしました。ただこの
法律では
新聞法と違いまして、
編集責任者というものを特に指定しておりません。從いまして後の御
説明申上げます
一般放送につきましては、
放送の免許を受けた者、それから
日本放送協会につきましてはその
代表者、これが
放送番組編集の
責任者ということに相成ります。
この後の第四
條五條、これは
放送の
内容につきまして
法律を以て
規定した
制限事項でございます。すべての
放送というものは第四條、
五條を適用されるわけでございます。先ず第一に、四條におきましてはいわゆる
ニユース、こういうものはどうなければならないかということを決めまして、これは御
承知のように
放送というものは非常に
傳播力が強うございまして、
影響力も大きいのでございます。従いまして現在の
新聞法よりも嚴格に
眞実を守る、守らせるということにつきまして
規定をいたしました。これは
関係方面からの
終戰後における
新聞ラジオ等に関する指示に合致しておるわけでございます。これは一言に申しますれば、先ず
ニユースというものは
眞実に基いて作られなければならないということと、同じ
眞実に基きましても事実の一部を省略いたしましたり、又は一部だけを誇大に解扱いまして、そこに何かの意図を盛り込んで、自分の
意見を強くそこに出して行くというようなやり方を禁じた次第でございます。若しこの報道が事実でないということがありました場合には、第八十
八條によりまして
罰則が適用されます。この
原則は
時事評論、或いは
時事分析、
時事解説、こういうようなものも適用されます。從いまして、この
時事評論というものの解釈に將來多少問題が出るかと思いますが、凡そ時事問題を批判的に取扱う
内容は、
時事評論、乃至は
時事分析だと
考えられますので、
放送番組の名前に、この時間は
時事評論と書いてあるとないとに拘わらず、
内容を以て判断さるべきものと
考えております。それから
放送の
制限に関連いたしまして第八十
八條を御覽頂きたいと思うのでございます。それから
法規といたしましては
禁止をいたしておりませんが、このような
放送をすると
罰則を科すぞという
規定が第八十
八條にございます。それは新らしい
日本國憲法を
暴力で破壞するような
放送をした者、又憲法に基いてできた
政府を
暴力で破壞することを主張した
放送をした者、これは七年以下の
懲役に処することになります。それから風俗を壞乱するような
放送をした者、これも二年以下の
懲役又は五千円以下の罰金に処する。こういうふうに
規定いたしまして、
放送の
表現、言論の自由ということは一應尊重いたしまして、
禁止は入れておりませんが、こういう
行爲がありますと
國家の安寧を害しますので
罰則を加える、こういう
立場に立ちまして立案いたしました。
第
五條に参りまして
國際放送でございますが、
國際放送と申しますのは、ここでは
日本から
外國へ
放送をする、或いは
外國で作る
番組を
中継放送によりまして
日本の國内の國内に
放送している。こういうものを
國際放送と言
つております。こういう
國際放送は、
國際親善を害するものであ
つてはならない。こういう道義的な
規定でございます。
その次に第六條へ参りまして
受信の自由ということを特に
規定いたしました。これは御
承知のように現在
無線電信法がまだ
効力を持
つておりまして、
無線電信法の
規定によりますと、凡そ
無線通信を行い得る
施設を行いますには、
逓信大臣の
認可が要るわけでございます。その
規定を見ますと、
ラジオの
受信機を付けるにも一々
逓信大臣の
認可が要ることになりますので、この
法律を以てこの
規定を排除いたしまして、
ラジオの
受信機を自由に
施設し、自由に聽くことができるというようにいたしました。このようにいたしましたので、第七條で
放送の
設備に特殊な取扱をいたしておりますので、その
設備を以て
放送以外のことに充ててはならない。こう決めました。これで
放送全般の概括的な
規定を第一章に掲げたわけでございます。
第二章に参りまして、今度はこのような方針で
日本の
放送というものを維持して参りますために、どういう
行政機関を
設置するかということが
規定してございます。で、そのためにこの
法案では
放送委員会という特殊の
行政機関を
設置いたすことにいたしました。この
行政機関は
会議制の
機関でございまして、五人の
委員から成ります。そういたしまして、
委員一人々々では如何なる
処分も如何なる
行爲もできません。すべての
委員会の
行爲、又は
処分は
会議によ
つて成立いたします。尚この
委員会には第九條に掲げます
職権というものを與えてございますが、この
職権は如何なる
機関からも制肘を受けることなく、
委員会が独立してこれを行使する、こういたしまして
委員会の
自主性と
独立性を明確にいたしまして、時の
政党勢力、或いは國内の
種々の
情勢の変化によりまして強く
影響されて、
放送政策が始終ぐらつくということのないように留意いたしました。但し
放送政策というものは
永久不変だという
考えは持
つておりません。やはり社会の進運と共に
放送に関する
政策も変
つて行くべきだと
考えておりますが、時の
勢力関係によりまして
種々変動するということのないように留意いたしたわけでございます。このような
委員会を
設置いたしまして、第
八條に
規定いたしましたようにこれを
内閣総理大臣の
所轄の下に置きました。
所轄ということは面倒を見て貰うこと、こういうふうに
考えております。
さて、それではこの
委員会にどのような
権限を與えたかと申しますと、これは第九條に掲げました。これは
行政組織法の
考えで申しますれば
所掌事務というものに当ります。それと同時にこれは
放送法でありますから、その
所掌事務を遂行するに必要な
権限を
規定いたしております。第九條で特に御
説明を要すると思いますのは
放送委員会規則でございまして、これは大体
政令と省令の間ぐらいの
効力を持つものでございます。この
放送法の
施行については、
原則といたしましては
政令を用いずに、
放送委員会規則で以て
施行細則を決めて行く、こういう
立場でございます。特に
種々の
情勢上
放送委員会規則で定めることの不適当なものだけは、この
法案に特にこれを
政令で定めると書きまして、それ以外のものは、
施行に関する
細目はすべて
放送委員会規則でこれを定めることにいたしております。これから
無線電信法に基きます
逓信省と、
放送法に基きます
放送委員会の
権限を明確にいたしますために、第九條の第二号にその
関係を
規定いたしました。これを端的に申上げますと
放送の
電波統制に関する
技術上の問題、これはすべて
逓信大臣の
権限に属します。それから
放送の
政策的な
部面並びに
技術上におきましても
放送の音質、或いはこれはテレビジヨンなどで申しますと画質と申しますか、質の問題、單なる
電波の混線を防ぐところの
電波警察の問題以外の文化的な
内容を持つ
技術上の問題、これは
放送委員会の
権限に属します。ここで
放送の
施設の取締りにつきまして二つの
権限が被さるわけでございまして、いわゆる二重
行政の弊に陷る危險もありますので、この
法律では次のように
規定いたしました。公衆に対する一切の窓口、これは
放送委員会に集中いたします。從いまして、凡そ
放送と名の付きますときには、一切のことはすべて
放送委員会が
責任を持
つて処理いたしますことになります。処理いたしますことになります。併しながら、只今申上げました
逓信省の
権限に属するものにつきましては、
放送委員会は
逓信省とよく協議いたしまして、その意を以て
処分を行う、こういうふうに相成ります。後は、
放送を如何に
國民の満足する形に持
つて行くかという
細目の
政策を決めること並びにそれに必要な調査をいたしますことと、それから
日本放送協会並びに
一般の
放送局を監督いたしますこと、それから
放送局の
設置につきまして許
認可の
権限を持つというのが、大体
放送委員会の大きな
所掌事務であり、同時に
権限でございます。
第十條の
構成につきましては、只今申上げました。
第十
一條の
委員の任命につきましてちよつと御
説明いたします。
委員会は、只今申上げましたように、あらゆる
勢力の支配から、或いは
影響から離れまして、独自の
立場から
不偏不党で
行政の
処分に当
つて貰う、こういう
委員会でございますので、この
委員の
構成につきましては、できるだけ一党一派という力が強く出て來ないように、或いは非常に大きな
経済的勢力の
影響を受けるというようなことがないように
考えました。そのために、第十
一條の第二項に掲げましたように、
委員になる資格に
制限を付けました。
先ず、既往において
法規の定めるところによりまして処罰を受けた者又は破産をした者、こういうような者を
禁止いたしますと同時に、
國会議員或いは
政党の役員のように、
政党という
立場から重要な任務をお持ちの方の就任を排除いたしまして、又
放送施設その他のいわゆる
関係業者、こういう
立場を強く取られ得る
可能性のある方も排除いたしまして、そして
社会公共のために非常に深い
経驗と豊富な学識を以て処理なされるような方を是非選びたい、こういうふうに決めたのが第十
一條でございます。
それでこの
委員の人数を五名にいたしましたので、これにつきまして各
方面から非常に御
意見がございまして、五名は少過ぎるという御
意見が非常に多いのでございます。私の手許で以て、現在
日本におきますこの種の
行政委員会の
構成を調査いたしましたが、大体三名乃至七名、このところが大体の常識でございまして、
行政委員会といたしましては、多人数ということは
行政の
能率を阻害いたしますので、
少数の方がよろしいのでございます。それで一番
少数の例は三名でございますが、この
放送のような場合には、三名では
公益の保護ということに多少無理があると
考えまして、五名にいたしました。
一般に私の方で伺いました御
意見では、これを三十名乃至五、六十名の多数
委員会にして、單なる
行政機関でなく、
審議機関を兼ねたものにして、そしてその中から
執行委員のような者を五名くらい出して、その
議決事項の執行に当らせる、こういうふうに
規定したらどうかという御
意見を多数承わりました。併しこれはよく
考えて見ますに、やはり
放送の分野におきまして、
國会に類似して
國民の
代表機関を作りまして、そしてその
代表機関の中から
政府に類似した
一つの
執行機関を作るという思想にも非常に以て参りますので、私共としてこれを採りかねた次第であります。從いましてこの
法律では、
委員会は嚴確に
政府の
一つの
行政機関である、こういうふうに
規定いたしまして、そして
政策を審議なさるのは飽くまでも
國会であるから、
放送に関する根本的な
政策は、この
法律に盛り込んで
法律の
條項に入れる。若しこれを変更する場合は、
國会において
政策を変更して頂く。これは
法律の改正という
手続に相成るわけでございます。このように
考えまして、多数
委員会制を排除いたしました。
それから第十
二條は、これは
公務員として当然のことであります。
それから第十三
條兼職の
禁止、これも只今申上げましたように、
委員会が
独立自主の
考えで進んで貰いますためには、やはり
委員の
兼職がありますと、その
兼職の
関係の
影響も
考えられるわけでございまして、一應
兼職を
禁止いたしました。
次に
任期でございますが、
任期は五ケ年といたしました。これは後に御
説明いたしますが、この
法律を
施行後大体五ケ年くらいの期間でもう一度実績を研究して頂きまして、そしてこの
法律の再檢討をして頂くように
規定してございますので、從いまして、
委員の
任期も五年がいいのではないかということが
一つと、それからもう
一つは、
委員の
任期が余り短こうございますと、こういう
放送というような
事業の
監督行政を行いますのに、
経驗を積む暇がないということも
考えられます。それから
委員を五人にいたしましたので、毎年一人ずつ交替して貰うのに、やはり五年が適当であると、こういうような
考えから五年といたしまして、そして
委員の
任期を
附則の第百
一條に
規定いたしましたように、一番最初の
委員の
任期を一年、二年、三年、四年といたしまして、
委員長を五年、こういたしまして、毎年一人ずつ交替されるように
考えました。これによりまして、例えば
内閣が更りましても、その
内閣の存在中に恐らく五人の
委員が全部交替するというようなことは
考えられませんので、
從つて放送委員会の
構成に重大な
影響があるというようなことはないものと
考えております。
それから退職につきましては、これはお読みになりました通りでございまして、これは
國家公務員法に基きます
人事委員会の
規定と同樣でございまして、
委員の
保護規定にな
つております。但し、
國民が彈刻によりましてこの
委員を糺明することの
規定をしております。
それから第十
八條報酬、これも
一般の
委員会の
委員と大体同じにいたしまして、
委員長は
國務大臣に準ずる俸給、その他の
一般の
委員は
一般職の官吏よりも低くなくて
國務大臣を超えない程度の報酬を受ける。その具体的なことについては、予算で承認を得るというふうに
規定をいたしました。
それから今後は二十
一條に参りまして、
議事手続でございますが、ここで他の
委員会と違
つております点が
一つございます。他の
委員会では、大体
会議を行いまして、
可否同数の場合には
委員長が決するところによると、こう書いてあるのでございますが、この
法案では、特にそれがございません。從いまして、この
放送委員会におきましては、
委員長は二重
投票権はないものと明確になるわけでございます。但し、後の
審理手続の場合だけは、この
規定を入れまして、第七十
五條で、
可否同数の場合は
委員長が決するといたしました。それは、
審理の場合の
議決と
一般の
議決とは多少性質が異りまして、
審理の場合は採るか採らないかを決めるわけでございます。從いまして、
可否同数の場合には議長の二重
投票権を認めましても
議事を決する必要がございますが、
一般の
議事の場合には、
可否同数の場合は、
議事は成立しないという
原則を適用いたしまして一向支障がない、こういう
考えでおります。
それから第二十
二條に参りまして、
事務局でございますが、こういう
仕事をいたしますに、どうしても小規模な
事務局が必要と
考えられますので、ここに
事務局の
設置を
規定いたしました。この
法案は、
行政組織法が改正せられます前に立案せられましたので、
内部機構を置いてございません。現在私共が
考えておりますこの
事務局の
内部機構は、三部と思
つております。
一つは
総務部、それから
放送部、
技術部、この三部を
内部局として置きたい、こう
考えております。それからこの
放送委員会の
地方事務局でございますが、これは現在の
國家に課せられております
行政機構の
簡素化、こういう
立場から
考えましても、
放送委員会を作りましたために、又
地方に十乃至十以上の
地方事務所を新らしく作るということは、経費の点から申しましても、又人員の点から申しましても、非常に無駄ができますわけでございます。從いまして、現在
逓信省の
電波局の
地方機関が全國に十ケ所ございまして、これが近い
將來逓信省設置法を御承認になれば、
電波廰として独立しまして、
電波廰の
支分局と相成るわけでございます。この
電波廰の
支分局を利用いたしまして、これに
事務を担当させたならば、一番経済的で、且つこのような
行政に慣れておる人が沢山おりますから、
仕事の
能率も上るのではないかと、こう
考えまして、この
法案では、
電波廰の
地方支分局をこの
委員会が監督しまして
地方事務を司らせると、こういうふうに
規定いたしました。
電波廰の
地方支分局に
仕事はやらせますが、飽くまでも
放送委員会の命令でやらせるのでございまして、この点に関しましては、
逓信大臣の
権限は及ばないわけでございます。
それから二十三條に参りまして、
放送委員会はこういうふうに独立して、自己の判断においてこの
法律を執行いたしますので、その結果を取纏めまして、毎年一回
國会に報告をして、同時にその
内容を
國民に廣く知らせるようにいたしましたのが、二十三年の
規定でございます。
このようにして、
放送委員会の
自主性を守りまして、そうして又これが
独断に陷らずに飽くまでも
國民に盡す公僕、而も
不偏不党な公僕だということを
規定して來ましたので、この第二章の
放送委員会の
規定でございます。
それから第三章に参りまして、今度は
日本放送協会でございますが、現
在社團法人日本放送協会がございまして、昨日來御
説明いたしましたように、これが
日本の
放送事業というものを独占的に経営いたしております。すでにこの
協会は二十数年に到りまして歴史を持ちまして、
最初芝蒲の小さな
放送局から出発いたしまして、現在は
日本全國を蔽い、そうして
放送の
内容も、
ニユースからあらゆる教養の面に亘りまして、非常に優れた
放送を行うことに努力しておられまして、その功績は非常に大きいのでございます。併しながら、御
承知のように、戰爭前に数年來、又その戰爭中、
政府のこの
協会に対しまする
干渉というものは非常に大きくなりまして、その大きくなりました原因というのが、この大事な
公共放送を行な
つておる
事業体を、單なる
社團法人として、一私設の
法人として
規定しておりまして、これを
公益として保護する
法律上の
規定が何もなく、そうして又、
放送の
内容についての
規定、或いは
放送についての
政策というものも立法化せられておらなかつたためでございましたので、今回
放送法案を立案いたしますにつきまして、この
公共放送の
企業体の
在り方というものを
法律を以て明確にいたしましても、今後如何なる
政府といえども、この
法律を改正する以外にはこの
協会に対して恣に
干渉はできないように
規定いたしました。又
政府以外の如何なる
團体も、この
法律に基く以外の
干渉はできないようにいたしております。これによりまして、
公共放送の
事業体というものが
日本において確立されることと相成ると思うのでございます。從いまして、この
法律では、現在の
社團法人日本放送協会を改組いたしまして、
社團という性格を取除くようにいたしました。これは、
日本では從來こういう
公益という
仕事を
社團法人或いは
財團法人という形で行わせて來たのでありますが、今日各
方面で問題にな
つておりますように、
財團法人或いは
社團法人を完全に
公益に合致させるための
監督権根、或いはこれを本当に
公益から外れないようにする
法規的な根拠というものが、残念ながら極めて薄弱でございまして、現在多くの
社團法人或いは
財團法人が、営利に走
つております。これは今各
方面から研究されまして、近いうちに何らかの具体的な措置がとられると思いますが、現在の
日本放送協会が必ずしも営利に走つたと申しておるわけではないのでありますが、走り得る根拠は多少残
つておるのでございます。そういたしまして、現在の
日本國民全部に非常に大きな
影響のございます独占的な
放送を、
社團の形で行うということは、
少数の結社が、
國民のすべての
情報、それから教養、文化というものに非常に大きな
支配力を及ぼし得る因にもなる、こういう
考えから、
社團という形を取りまして、そうしてこの
法律によりまして、新たに
日本國民全部を基礎に持つところの特殊な
法人であるというふうに直しました。この際に一番困難を感じましたのは、この新らしい
法人の
財政的基礎でございまして、今後少くとも
國民の滿足し得るような
公共放送を行いますには数十億乃至それ以上の資金が必要になると思うのでございます。でこれを全部
國家の出資で行えば非常に都合がよろしいのでございますが、又
関係方面も強くそういう
意見を表明いたしておつたのでございますが、何分御
承知のように
國家財政の現状から申しまして、
日本放送協会を只今改組するにつきまして数十億の
國家出資を行うといううことは極めて困難なことでございます。それと同時に
國家が出資いたしますと、その出資を通じまして非常に一部官僚の
支配力というものがそこに伸びて行きますのが、今までの何と申しますか特殊
法人に対する忘れ得ない例であります。このような
影響も排除いたしたいと
考えているのが、そもそもこの
法案の立法の精神でございます。從いまして、この
法案におきましては基本金のない
法人、こういう極めて特殊なものを
考え出しました。そしてこの新らしい
法人は社債を発行いたしまして、すべて建設資金は社債によ
つて賄う、これが第四十
二條でございます。そういたしまして尚困りましたことにはこの
公共放送事業の独立、それから他の一切の
勢力からの
影響を排除するというために
放送の財團と申しますか、
放送用
施設は一切これを担保に供することを
禁止しております。從いましてこの
放送委員会が社債を発行する場合に、その発行いたします根拠が極めて薄弱になるわけでございます。これを償いますために社債償却積立金というものを法定化いたしまして、そしてこの社債の限度でございますが、これをこの
法案では一應十五億と
考えまして、十五億といたしました。根拠は二つの
方面から見て参りますと、
一つは先ず必要な資金の面から見て参りますと、これは先般來
日本放送協会が
関係方面とも連絡されまして作られました五ケ年の整備計画というものがございますが、これに要すると思われます資金が大体七億余円でございます。これは大体現在の
放送を多少よくするために新規
施設というものを
考えているだけでございまして、現在の
放送施設というものが相当老朽化しているものの入れ換えというようなものにつきましては、
考えてたしかおられないのであります。こういうものを
考えまして大体二倍は当座必要であると
考えられまして、これは当面の所要資金が大体十五億ぐらいになるのではないかということが
一つでございます。この十五億には新規の
事業の開発費というものは
考えておりません。それからもう
一つは今度財政的の面からでございますが、先程も申し上げました社債というものは、この聽取料の收入から償還されるわけでございます。從いまして
地方債と同じように
地方債が税金を担保にいたしまして、公債を発行しますと非常に似た形で、極端に申しますれば
放送聽取料を担保にして社債を発行する、こういう形に相成るわけでございます。現在聽取料金は加入につきまして、月三十五円に値上げになりましたが、この
法案立案当時は十七円五十銭でございます。これを年額に直して見ますと大体十二、三億という收入が
考えられたのでございます。そしてこの総收入の中一割乃至一割二、三分というものを社債の償還資金に当てましても、経営をそれ程圧迫するとは
考えられませんので、この程度が常識として一番取り得るところではないかと
考えます。総收入の中一割乃至一割二、三分というものを社債償還資金に充てまして、尚社債を十五年位で償還いたして、計算いたして見ますと大体そこに十五億というマーヂンが出て來るわけでございます。この両方を睨み合わせまして本
法案は発行限度を一應十五億といたしました。併し最近の物價の再改訂、それから
放送事業の新らしい開発というようなことを考慮いたしますと、この限度を近い中に引上げなければならなくなるかとも存ぜられます。それから次にこの
協会の役員でございますが、これは第三十
二條を御覽下さいますと役員の任命というところがございます。役員を七名にいたしまして、これは一名を会長、一名を副会長、こういたしまして、この役員は先程申上げました
放送委員会が
國会両院の御同意を得て任命いたす、という形に
規定いたしました。これにつきましては、現在
放送協会にも御
意見があります。又
國民の各
方面からも御
意見を寄せられまして、そして
放送事業の自立性ということ、又
放送協会の自立性ということから言えば、
放送協会の役員というものは内部から選んだ方が望ましい、という
意見も伺
つております。併しながら先程も御
説明いたしましたようにこの
法律で決めました
日本放送協会というものは
社團法人の
社團を解体いたしました。從いましてこの
法人の内部というものはないわけなんでございます。内部というのはすべて
國民と、こう
考えて然るべきかとも存じております。それ以外は從業員でございますが、從業員は
法人の
構成体にはならないわけでございまして、
法人の内部というのはちよつと
考え難いものにな
つてしまいます。そのために、特に
一つの
機関として評議
委員会というようなものを作る、或いは聽取者の
代表機関というようなものを作るということも
考えられるのでございますが、これ亦、多額の費用を要して
放送の
審議機関、或いは
一つの
代表機関というものを
構成することになりまして、折角の
放送聽取料、入つた聽取料というものをすべてこういうものの
機関の費用に多くの
部面を使
つて行くということは、芳ばしからんことでございまして、そういう無駄な費用をなくして、而も公平に人事が行われるようにしたい。こういう
考えから
不偏不党の
構成を建前といたします。
放送委員会が選考いたしまして尚且つ
國会両院の御同意を得て任命するという形を採りましたわけでございます。それから今度は
受信料でございますが、第三十九條、これは
受信料を取る特権は
日本放送協会だけに與えました。第三十九條で
日本放送協会は、
協会が行う
放送、現在は中波のいわゆる標準
放送しかしておりませんから、標準
放送を聽ける
受信機、將來短波の、或いは超短波の
放送をいたしますとそういうものも聽ける
受信機、そういう
受信機を
設備された方から
放送聽取料を取ることができる、こう決めたのでございまして、それから前の第一章に戻りまして、第六條に凡そ
日本放送協会の提供する
放送を
受信することのできる
受信設備を
設置した者は第三十九條に定める
受信料を拂わなければならない、こうして今度は
國民の
受信料を支拂う義務というものを
規定いたしまして、両方の権利義務を合わせまして、ここに
日本放送協会は
受信料を徴收し得る特権を享有しているわけでございます。
一般の
放送局にはこのような特権を
規定しておりません。從いまして
一般の
放送局は聽取料を取れないのではございません。拂う方があれば取れますが、
放送協会に対しては拂う義務があるわけでございます。それから
一般の
放送局に対しましては契約によ
つて拂いたければ拂
つてもよろしいという
立場になります。從いまして
一般の
放送局は恐らく
日本放送協会と競爭をする、同じ波長帶で
放送する限り聽取料は極めて取れにくい。こういう
立場にありまして、
一般の
放送局は
從つて廣告收入によ
つて事業を経営して行くのが本筋になる、こういう形に相成ります。それから今まで
政府が
社團法人日本放送協会に対して持
つておりました嚴重な
法人監督権、或いは規律権と申しますか、こういうようなものは大部分廃止いたしました。ここに残りましたのは会計監査を行う
権限、それから貸借対照表を調査する
権限、それから
放送協会の業務につきまして報告を求むる
権限、この程度でございまして、
政府の、或いは
行政機関の
干渉というものはなく
なつたわけでございます。併しその反面今まで
行政機関にすべての
法律権を委任しておりましたものを、今度は
法規に入れましたので、この
法規に
從つて日本放送協会が
仕事をしているかどうかということを監督する
権限は、
放送委員会の
仕事の大きな
部面でございます。このようにして
日本放送協会を改組いたしまして、新たに本当の
國民のための
公益放送を行う
機関といたしまして
一つの特殊なパブリック、コーポーレーシヨンをなすように、
規定いたしましたのはこの第三章でございます。
次に第四章に参りまして
日本放送協会以外にも今後は
放送事業を開放しようじやないか、こういうことを
規定いたしましたのが第四章でございます。先ず第一に開放はするが、こういう方には
放送をや
つて貰
つては困るということを決めましたものが第五十
五條でございまして、
放送の免許申請の資格を限定いたしました。これは先ず第一に
日本の国籍のないもの、第二には
外國政府又はその
代表者、第三には
外國の
法人又は
團体、第四には
日本の
法人又は
團体であ
つて、前に申上げました三つのものがその
代表者とな
つておる者、第五には
法人又は
團体であ
つて第一号から第三号までに掲げる者が、その役員の三不の一以上又は
議決権の五分の一以上を占めるもの、こういうふうにいたしまして、この第五十
五條に掲げましたものを排除いたしました。これはいろいろ問題もございましたが、凡そこれから
日本が文化
國家として立
つて行こうといいますときに
日本の
放送を全部
外國の
勢力、或いは
外國人の手によ
つて行われまして、そのために
日本の國内に思想の混乱を來し、又は方々に我々の納得し得ないものを流布されるということに相成りましては、我々として非常に大きな混乱を感ずるわけでございます。凡そ世界各國の文明國の
放送に関する
立法例を参照いたしましても、一流の文明國であり限り、
放送は自分達の
國民の手に確保するような立法措置をと
つております。今回
関係方面ともよく了解を得まして、
日本の
放送につきましても同樣な原理を適用いたしまして、第五十
五條と相成つたわけでございます。それ以外の方はすべて
放送の申請ができる。こういうふうに
規定いたしました。今度は申請が出ますと
放送委員会が勝手にこれを判断して、お前は許す。お前は許さんということができないようにいたしまして、審査の基準というものをはつきり
法律で謳いました。これが第五十六條でございます。この五十六條の
規定に合
つておりますれば、もうこれは自動的に免許されることになります。それから免許されますと次には
放送の
施設を先ず建設してもよろしいという
処分をいたします。これは設計図で以
つて最初大体
放送委員会が定めた
技術的な條件を満足しているかどうかを審査いたしますが、それに合
つておれば建設の許可が出て、建設が今度できますとそれを檢査いたしまして、もとの建計図通りできておればそのまま使用の承認が出る。若し設計図通りできておらなければ改修を命ずる。こういうふうにいたしまして
技術の完全を期しております。それからでき上
つて初めて
放送の許可が出る。こうなります。それから
放送の許可を申請いたしまして、これを拒否するような、つまり第五十六條に合わないと、こう
委員会が判断いたしますような場合に、凡そ
委員会は公平を期して行いますが、それでも尚
独断に陥る虞れもございますので、後に申し上げます第五章の
審理手続というものを適用いたしまして、申請者にあらゆる陳述、
意見の申聞きの機会を與えまして、そうして公平な判断を下すような
規定を設けております。尚これでもうまく行かない場合は
審理のやり直し、こういう
規定も作りました。この
審理のやり直しを以て昔の
行政裁判の第一審に当るように
考えております。このように今後の
行政処分というものが
独断に陥らないように周到な注意をいたしたつもりでおります。このようにして
放送局というものが免許されますと、この免許を受けました者は、最初の申請にありました範囲の
放送というものを自由にできるわけでございます。若し申請いたしました範囲を超えまして違つたことをやりますと、これは
委員会によりまして、業務の停止、或いは免許の取消し、こういう
処分を受けることになります。それからこの免許の期限は五ケ年といたしまして、五ケ年を超えれば一年ごとに更新する、こういう形にいたしました。この期限を五ケ年に切りまして、一年ごとに更新するということは、五ケ年経つたら御破算になるということではないのでございます。五ケ年経つたらもう一遍檢討し直す機会を
放送委員会は保留する、こういう建前でございまして、それ以後は一年ごとに再檢討する機会を保留する、こういう意味でございます。從いまして、五ケ年経てば何でもかでも自動的に
放送を行う権利は皆消えてしまう、そしてそれから先は全然新規巻き直しだと、こういうわけでは決してございません。ただ五ケ年後に、今までや
つて來た業績をよく檢討いたしまして、この
法律の趣旨に合わないような局であれば、これは更新を許可いたさない、こういう建前でございます。
それからもう
一つ、それから以後一年ごとに更新いたしますのは、將來
放送局というものの数が相当数殖えて來るであろうということが
考えられますことと、
技術が非常に進歩して行くということも
考えられるのでございます。從いまして、一年ごとに檢討いたしまして、波長の割当てその他全部に亘りまして公平に合理的になるように
考え直し得る機会を
放送委員会が保留するということでございまして、これも一年ごとに全然新規に許すか許さないかを
考え直すというようなことではないわけでございます。このようにして、
一般放送局というものの安定を
考えました。ただ
一般放送事業というものは、先程も申上げましたように、聽取料、或いは
受信料、こういう收入に依存することは可なり困難でございます。フアクシミルとかテレビジヨンにおいては、相当受料料に依存できると思いますが、
一般電話
放送におきましては、極めて困難になると思います。從いまして、この
事業の根拠は
原則として廣告收入にな
つて來る、こういうふうに我々は
考えております。
これで大体
一般放送局の御
説明を終りまして、次に第五章
審理手続、不服の
審理及び訴訟に移らして頂きます。
審理手続と申しますのは、先程も申上げましたように、
放送事業の新たに申請がありまして、この申請を拒否する場合、それから一遍免許いたしました
放送事業者に対しましてその免許を取消すような場合、それから
日本放送協会の聽取料、これを改正いたします場合、この三つの場合に、
委員会が
独断で判断を下し
処分することを
禁止しております。そういたしまして、必ずこれから御
説明いたします整理
手続を経てから
処分を行わなければならないように
規定いたしております。この三つの場合は、公衆に
影響すること極めて大きい、特に大きいと
考えられましたので、この
審理手続を法定化いたしたわけでございます。その他のことにつきましても、
委員会の発意によりまして自発的に
審理手続を取ることはできますが、今申上げました三つの場合は、法定化いたしまして、必ずこれを開かなければならないようにいたしました。この
審理手続と申しますのは、アメリカの非常に廣く今まで行われている
審理の方法でございまして、向うでヒアリングと言
つておりますが、極く簡單に申しまして、申請者或いは
関係者、そういう当事者の
意見、或いは不服を、正式に十分聽いて、そうしてそれを記録に取りまして、その記録をよく分析檢討して判断を下す、こういう
手続でございます。今まで私共がこういう許
認可を行います場合に、大体申請書だけを一應読みまして、そうして申請者の
説明を聽きまして、後はいろいろの
情勢などを判断いたしまして、一方的に許
認可を決める、或いはひどいときには、修正
認可と称しまして、申請の
内容を
政府側で勝手に変えまして
認可する、こういうようなことも行な
つておる次第でございますが、そういうようなことは、一切
放送に関しては今後止めまして、若しこの
放送事業の申請というものがこの
法規に合わないと
考えられます場合には、
委員会はその合わないと
考える点を指摘いたしまして、申請者に通告いたします。そうしまして申請者は、その通告に基きまして、弁護士を雇うのもよろしうございましようし、然るべく
代表者を使
つてもよろしいし、又みずから陳弁してもよろしうございますが、その
放送委員会の
意見につきまして、証拠等を挙げまして十分に陳述する機会を公の席で與えるわけでございます。これは
原則として公開でございます。そうしてこれを記録いたしまして、必要があれば参考人、或いは第三者の
意見も聽きまして、その結果によ
つて最後の判断を下す、こういうふうに
規定したのがこの
審理手続でございます。
それから、そういうふうにやりましても尚間違いが起り得ますし、又法定いたしました
審理手続を必ず行うことを法定いたしました以外の
委員会の
行政処分につきましても、
独断も起り得るし、又間違いも起り得ると思いますので、只今申上げましたような
手続を一切の
放送委員会の
処分に関して適用し得るようにいたしまして、これを不服の
審理とここで呼びまして、そうして凡そ
放送委員会の
処分に不服のある者は、
放送委員会に申出まして、只今のような
手続を取らせるということができるようにいたしました。これが不服の
審理でございます。そして裁判上はこれを以て
行政裁判の第一審の形といたしまして、今後裁判所に訴え出ますには、この不服の
審理の
手続を経てからでなければ裁判所への訴えはできないようにいたしております。
從つて、裁判所の裁判は第二審から始まるという形に相成ります。そうして尚
放送委員会というものは、凡そ
放送ということにつきましては
日本の最高権威でございますので、
放送委員会が事実に対してなした判断は、十分な証拠がある限り裁判所を拘束することにいたしております。裁判所の裁判の主たる
目的は、
法律の解釈の問題にな
つて参ります。このようにして、
放送委員会の
処分というものを
独断から防ぎますと同時に、紛爭というものを、複雜な裁判
手続を経ないで、比較的短期日間に、尚経費を掛けずに解決し得るように
考えましたのが、この第五章でございます。
第六章の
罰則につきましては、先程御
説明いたしました八十
八條以外には、特に御
説明申上げますような
條項はございません。
第七章の雜則に参りまして、九十九條に、これは今までの
法律に余り例のないような
規定がございます。この
法律の改廃、これはちよつとお読みいたします。「第九十九條
内閣総理大臣は、この
法律施行の日から五年以内において、
放送に関し識見がある十五人以上の
國民各層を代表する
委員会から成る審議会を
設置して、
放送に関する
政策を調査せしめ、この
法律の存続、改正又は廃止についてその勧告を求め、且つ、
放送委員会の
意見を徴さなければならない。」、こう
規定いたしました。こういう
規定を置きました理由は、先般來御
説明いたしましたように、
放送事業というものの
規定の仕方につきまして、世界に二つの大きな潮流があるわけでございます。
一つは、ヨーツロパ諸國で行われておりまして、殊にイギリスのやり方が典型をなしておりますところの、特殊なパブリツク・コーポレーシヨンと申しますか、
公共的な
法人を作りまして、これに独占的に行わせる、その代りに、この
機関は飽くまでも独立した
政府の別動隊であるというような形で行な
つております。これが
一つの行き方でございます。
もう
一つは、アメリカ合衆國がや
つておりますのが典型をなしておる自由競爭の
放送のやり方でございまして、すべて民間のコムペチシヨン、競爭原理によ
つて放送を行わして行くという行き方でございます。
日本は、從來前者を採
つております。ところが、今度の戰爭の終結の結果を見ましてもお分りになりますように、前者を採りました國は、すべて
放送通信に関する
技術が極めて遅れまして、現在アメリカだけが通信
技術につきまして、抜群の
立場に立
つております。このよ
つて來るところは、やはり通信というものが自由
企業であ
つて、その刺戟によりまして
技術の進歩した面が極めて大きいのでございます。それと同時に、通信
技術の進歩というものが、單なる通信だけの恩惠だけでなくて、これが
國民のらあゆる生活
部面に入
つて参りまして、最近では、通信
技術から発達した高周波の
技術というものは、アメリカの
國民生活のあらゆる
部面に浸潤いたしまして、生活の文化程度を上げるのに大きな貢献をいたしておるわけでございます。
それから次に
考えられますことは、昨日も
電波局長が申上げましたように、両方の折衷案を採
つておるところがございます。これはオーストラリヤを典型といたしまして、カナダその他ございますが、これはいずれも余り成功しておるとは見えないのでございます。この度
日本におきまして、両者の折衷案を御提案申上げたわけでございますが、これは、從來の歴史から申しますれば、この折衷案が將來非常によい効果を挙げるということは、大きく期待はできかねるかとも思われるのでございます。併し
日本におきましては、今まで自由な
放送事業というものの
経驗を全然持たないのでございまして、今後
日本の
放送というものを、イギリス流の
公益独占の
事業で行くか、或いは民間に委せまして本当のフリー・レイデイオーで行くかということを決めます前に、先ず
日本では民間
放送というものはどういうふうに伸びて行くだろうかということを一應見て、その実際の資料もよく取りまして、これを綿密に分析いたしまして、そうして將來
日本の永久的な
放送政策をどうするかということを御決定頂きたいと
考えまして、そうして只今御審議頂いております
法案を御提案いたし、この成果を五ケ年間綿密に注意深く見て参りまして、その結果を判断いたしまして、最後の永久的な
放送政策というものの御樹立を頂きたい、こう
考えておりますのがこの第九十九條の趣旨でございます。
以上お疲れのところを主な点だけ御
説明申上げましたが、尚細かい点につきましては、又御質問を頂きまして、御
説明申上げたいと思います。