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1948-06-16 第2回国会 参議院 通信委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    公聽会   ————————————— 昭和二十三年六月十六日(水曜日)   —————————————   本日の会議に付した事件 ○電信電話料金法案内閣送付) ○郵便法の一部を改正する法律案(内  閣送付)   —————————————    午前十時四十五分開会
  2. 深水六郎

    委員長深水六郎君) それでは只今から公聽会を開きます。今度政府郵便法等の一部を改正する法律案及び電信電話料金法案の二つの法案を提出いたしまして、郵便電信電話並びに貯金爲替振替貯金等各種通信料金を大体四倍程度引上げようといたしておるのでありまして、通信委員会におきましては、これを審議中であります。この事柄は一般國民に関係を有する重要案件でありますので、眞に利害関係を有する方及び学識、経驗のある方から御意見をお聽きして、審査の一助といたしたいと、こういう趣旨でこの会を開いた次第であります。公述人方々は、皆さん御多忙のところをお出で願いまして誠に有難うございます。厚くお礼申上げます。只今から御意見を伺いたいと思いますが、御発言の順序は、大体私達の方で勘案して決めてありますので、御了承願います。御意見賛成、不賛成を明らかにして、且つその理由を申述べて頂きたいと存じます。又御賛成の方でも、値上げは止むを得ないが、率にはどの程度でいいか、或いは一部修正の御意見がおありでしたら、その点もはつきりとお聞かせを願えれば結構と存じます。又反対の方は、この案には反対である、こうすれば値上げをしなくても済むではないかという代案をお持ちでしたら、それをお聞かせ願えれば大変結構に存じます。御発言の時間は大体二十分以内にお願いいたしたいと思つております。委員諸君公述人方々に対する御質問は、午前中の分は午前中の公述終つた後で、又午後は午後の公述終つた後で、一括して願いたいと考えております。尚公述人方々にお詫びを申上げて置きますが、この公聽会は、公告の日と開会日との間に時間的に余裕がなかつたために、御連絡も十分でなく、資料を差上げる暇もなく、先刻お渡ししたばかりの方もあるようなわけでございまして、甚だ恐縮いたしておる次第でありますが、この点も御了承願います。それでは只今から御意見の御発表をお願いいたします。御発言の際は、御氏名と御職業とを先ずお述べ願えれば結構に存じます。それでは只今から御意見の御発表をお願いいたします。有竹修二君。
  3. 有竹修二

    公述人(有竹修二君) 有竹でございます。この資料を頂きましたのが、この直前のことでございまして、十分考えが纏まつておらんのでありますが、見ますところ、これは相当料金になると思うのであります。殊に電報爲替料金のごときものは、相当高率であります。五百円まではその料金が百円、つまり百円の金子を送金するのに、その電報爲替料金に百円かかるというような高率のようでございます。それからはがきの二円これも今の物價事情から申しますと、そんなに高くはないとも見られるかも知れませんが、私はかねて逓信省関係の方に伺つたことがありますが、一つは極めて安いものがあつていいと思う。これだけは上げないというようなものを一つ置いておきたい。葉書がそうである。他の一種などは上げても、葉書は成るたけ一銭五厘とか二銭とか低廉な値段に据置きたい。丁度これは煙草に曾て労働者煙草という意味で「バツト」、「きんし」というようなものがありました。これは成るべく上げないという方針であります。外は上げてもこれは上げない。これが專賣の方において破られて、一律にみんな高くなつたと同じように、葉書も段々上つて來て二円。その上り方というものは、この数年大変な速力で、少し沢山買つた前の葉書がまだ使い切らないで沢山残つておるうちに値上げになつて、次の定價の葉書が出まして、元の葉書は切手を足して貼つて出さなければならんというようなことになる。二円という葉書料金でございますが、これは一般の方、一般の方と申しますと、そんなに葉書多量に使わない人、たまに人に手紙を出すような方にとりましては、二円の料金たるや、それ程負担ではなかろうと思うのでありますが、職業によつて多量葉書を使わねばならんという人達にとつては、大変な負担であろうと思います。即ち選挙のとき候補に立つた人、或いは保險会社というような、毎日多量葉書を使う人にとつては非常な負担である。  それと同じことが電話料金についても言えるのです。電話料金は、度数制が始まりましたときに、たしかそのときの当局者は、これによつて全体から見て加入者負担増加にはならない、つまりそれによつて逓信当局増收を期待していない、ただ使用者の余りに乱暴な電話使用を制限する趣旨に出たものである。こういう説明があつたように記憶するのであります。ところが、結果から見ますと、度数制なるものは、明らかに増收になつておる。増收になつておるということは、加入者負担がそれだけ増加しておるということになります。電話につきましても、普通の家庭、一日に二通話くらいしか掛けないというような人にとつては、それ程の負担ではないのでありますが、非常に頻繁に電話を掛ける職業の者にとりましては、大変な負担になるのであります。殊に長距離電話職業上しばしば使うところの者にとりましては非常な負担である。現に東京と大阪の專用線のごときは、一日数万円の負担になつておる。こういう特殊な多量通信機関を使うところの職業に対する負担増加というものが、たちまち物價体系影響すると思うのであります。  そこで今日通信事業の全体を見まして、何とかして或る程度増收を図らねばならないという事情は分りますが、ここに出ておるところの原案そのままには承認し難いのであります。もう少し考えようがあるのではなかろうか、私は一つの案としましては、一定限度を超えた電話度数一定限度通信料拂つた場合は、その限度を超えた分について料金を割引いて行く。つまり頻度に應じて料金率を下げて行くというようなシステムが考えられないかどうか。一つ考慮を願いたして思うのであります。それと電話の今の分布状況を見ますと、地方などでそれ程今日電話の必要でないような人、即ち昔からの名望家というような人が、自分の家の体面上電話を持つておる。それは滅多に電話を掛けないが、持つていて放さないのが可なりあるように思うのですが、その一方、新らしい階級、新興階級とか、又新らしい公共的設備というようなものに電話が不足しておる。本当に電話を必要としておる人々に廻つていない。こういうようなことがあるように承つております。即ち現在の日本國内の経済の実勢に電話普及状態が適合しておらんということになるのであります。そういう点もここで考慮をされて、何らかの措置が講ぜられないかと思うのであります。  それから通信事業特別会計そのものの問題でありますが、ここに書いてございます通り、大体において通信事業というものは黒字を出して來ておる。我々が逓信省仕事と多少の関係を持ちましてからでも、昭和九年齋藤内閣南逓信大臣のときに、通信事業特別会計として一般会計から独立をしまして、そのとき、いわゆる今日言われる独立採算制ということを逓信当局は主張しておつたのであります。これは年來逓信省の宿願でありまして、山縣伊三郎藤村義朗という昔の逓信大臣がしばしばやつて、その都度大藏当局の承認するところとならず延びておつたのが齋藤内閣行つて南逓信大臣高橋大藏大臣の話合いによつて話が付いて、そうして逓信事業というものは独立会計特別会計して一般会計から独立した、即ち独立採算制というものが形の上でできたわけであります。然るにそのとき国の財政もそれ程豊かでなかつたために、この際直ぐ完全の特別会計になつて一般会計から縁を切るということは困る、暫く一般会計の方に少しずつ入れろということでございまして、八千二百万円、毎年八千二百万円を限度として通信事業特別会計から一般会計に繰入れた。それが昭和十八年まで確か続いておる筈であります。それ以外に昭和十三年度支那事変が始まりますと、臨時軍事費の方にももう少し出せ、こういうことになりまして、たしか三千万円くらい臨時軍事費に出ております。それを合せますと、とにかく十億程度の金が通信事業特別会計から一般会計の方へ納入されておるのであります。その当時の十億円という金は大変なもので、今日の金に直しますと一千億円に相当するのであります。從つて今日非常に通信事業赤字で因つておるという際に、通信事業だけの採算で、赤字克服のことを考えないで、もつと外の方法を考えられてよいのじやないか、もう少し一般会計で心配してよいのじやないかということを、通信事業つまり逓信省の側といたしましては言い得るのではないかと思うのでございます。而もその被害たる戰災による被害で、赤字の原因は多く戰災被害、戰時中の設備の酷使によりまして生じましたところの收入の減少、こういうふうに書いてございます。それ以外に最近の人件費高騰ということもございますが、戰災に因る被害というものが相当大きい、これに因つて赤字が來ておるのでありますから、通信事業特別会計といたしましては、もう少し廣く財源を他に求めてよいのじやないか。或いは或る程度公債、即ち一般会計公債、即ち赤字公債と違う、これは一つ事業でございますから、昔も電話公債というものも鉄道公債というものもございました。事業公債というものは特に大藏省が認めておる。いわゆる赤字公債はこれを拒否するが、事業公債というものは認められておつたのでありますから、そういう意味事業公債的な公債特別会計責任において出して、この現在の赤字負担を後世に讓る、今日の戰災に因る被害なんでありますから、それを今日の現在の点からのみ取らないで、これを後世に均らして分けて取つてもいいじやないか、こういうことが考えられるわけであります。そういうふうに財源を外にお考えになつて、そうしていま少し料金高騰率を修正されることはできませんかということを聞きたいのであります。  それからこの際附加えてお願いしたいのは、この通信事業という現在の官営事業について、本質的に考え直すということが必要ではなかろうか、と言いますのは、私はもう將來の方向付けを決めて欲しい。即ち或る程度民営に移すべきものは移すべきではないか。ひとり通信事業だけに止まらず、相当多量の、余り多量官営事業日本財政が抱えておるそのことによつて國民経済の煽りを受けることが甚だしいのでありまして、なるべく民営に移す方がいい。即ち民営の方が経済の変化に対する彈力性がある。そういう意味合で、できるだけ整理をして、民営に移すべきものは移すという意味合において、官営事業に対して再檢討をこの際すべきではないかということを附加えまして、私の公述を終ります。
  4. 深水六郎

    委員長深水六郎君) そうすると、大体反対でございますか。
  5. 有竹修二

    公述人(有竹修二君) 原案そのものには反対であります。
  6. 深水六郎

  7. 工藤昭四郎

    公述人工藤昭四郎君) 復興金融金庫の副理事長工藤昭四郎であります。  先ず結論から申上げます。激動期における企業経営が非常に困難であること、国家財政現状物價改訂が全面的に行われようとしておること、及び郵便通信事業に必要ないろいろの器材の入手が困難であつて能率が上らないという点から申しまして、この際若干の値上げは止むを得ないと存じております。併し今度企図せられております約四倍の値上げには行過ぎでありまして、若しこれを実行いたしますと、所期の目的に副わないばかりでなく、弊害の方が多いよう考えられます。從つてこの倍率をもう少し改めまして、値上げは十五割程度に止めたらどうかと考えております。  以下その理由を若干詳細に申述べます。若し現在の案のごとく郵便通信料金を四倍に引上げますと、これが今度企図しております新物價体系に深刻な影響を持つて來ると考えるのであります。今度の物價改訂は傳えられるところによりますと、消費物資については大体七割の値上げ物價全体水準基準年度の百十倍見当ということになつております。然るに若し四倍値上げするということになりますと、例えば郵便料金につきましては、封書は百七十倍、基準年度の百七十倍見当になるのであります。こういうふうな急激な値上げをいたしますと、國民経済を圧迫する高とは当然でありますけれども、企業経営にも相当影響を持つて参りまして、それがすべての企業生産原價にも影響を持つて來る。又物價にも從つて影響を持つて來る。こういう循環的過程をとると思います。昨年の七月に物價改訂がありましたときに、郵便通信料金改訂はいたしておりません。併しこの際にはやらなかつめただけの理由があつたよう考えております。又從來郵便料金相当低位に据え置かれておつたということも考えられます。併しこれは國民生活と密接な関係を持つておりますからこそ、低めに抑えて置いたのでありまして、最近のよう経済の弱体化しておる時代には、尚更その点に氣をつけてやらなければならんと考えております。  次には國民生活への影響でありますが、現在我々の生活は惨憺たる生活をしておるのであります。この際一挙に四倍程度通信料金引上げられるということは、勤労者生活を圧迫し、そのために又賃金給與にまで影響を持つて來るということが考えられます。  第三はインフレ高進への心理的の影響であります。物價改訂もこの程度水準まで來ておりますと、成るベく低めにやらなければならんのでありまして、今回予想せられておりますのも、一般消費物資については七割ということになつておるのでありまして、ひとり郵便通信料金のみが四倍になる、よく世間で言われますように、官業が率先してどんどん引上げて來る、こういう心理的影響を強く與えることになる虞があります。  四番目は、急激はこういう値上げをいたしましても、予定しております收入の獲得にはならん点であります。昨年の初めに約三倍の値上げをいたしましたが、その直後におきましては、果せるかな、相当利用減がありました。所期收入が得られなかつたのでありますが、その後におきましても、予期しただけの増收にはなつておりません。或る一定限度を超えて料金引上げますと、深刻なる利用減を起して、そのために收入の方では殖えて來ない、こういうことが考えられまして、そこにやはり一定限度があるということを頭に置いて料金改訂をやらなければならんと思います。若しその点を無視いたしまして、今回のような急激な値上げをいたしますと、いわゆる便利屋と申しますか、メッセンジャー・ボーイの事務所ようなものができまして、ここで相当郵便通信に代るよう仕事をすることになる。これは或いは郵便法の違法かも知れませんが、すでに昭和の初めに丸の内界隈にはメッセンヂャー・ボーイの事務所がぽつぽつできておつたのであります。更に最近は料金の点と、確実に届くという点とを考えまして、各企業では郵送するよりも私送する面が相当殖えて來ております。これが一挙に又料金引上げられますと、こういう企業を営んでも採算的に引合うということから、そういうことが企図せられる虞があるのであります。從つてその面に食われてしまう。端的に申しますと、一通五円の封書でありますれば一日百通扱えば五百円の收入になる、こういうよう計算ができるわけであります。從つて私の考えといたしましては、さつき申上げましたように、この際はできるだけその倍率低めにいたしまして、現在のものに比べまして十五割増、即ち二倍半程度に止めたらどうかと考えておるのであります。  今その理由を簡單に申上げます。從來通信郵便につきましては、收支の面ではプール制が採られておつた考えております。郵便料金低めに抑えておりましたために、その足りないところは電信電話料金收入賄つてつたのであります。こういう三つの事業プール制に置くのがいいのか、或いは各別個に独立採算制で以て行くのがいいのか、これは問題であります。併し國の経済全体が非常に弱体化しておる現在におきまして、一挙にこれを独立採算制に持つに行くということは、非常に困難であるばかりでなく、相当の無理があります。從つて当分の間はやはりプール制を採用して、彼此相補うということでやつて行つた方弊害が少いように感じられるのであります。今度の料金改訂はどうも独立採算制が強く出ておるように私は感じておるのであります。  第二の問題は、経営合理化の問題でありまして、これはどなたもおつしやるこでありますが、敗戰以來企業はおしなべて非常に非能率な放漫的な経営をやつております。これは單に官業に限らず、すべて民間の企業もそうなつて來ておるのであります。節約心がなく、非常に無責任経営をやつております。この点はできるだけ早く改善しなければならんことは当然であります。官業である逓信通信事業におきましても、この点を余程考えてやらなければならんと思います。そのためには事業全体に対する管理の徹底化を図る必要もあると思いますし、又一面サービスを改善いたしまして、もう少し確実に早く郵便通信が到達するようにしなければならんと思います。又戰爭によつて非常に破壊された設備等復元計画がありますが、これらにつきましては一般財政面より切離した、さつき有竹さんは事業公債と申されましたが、事業公債と申しますか、投資公債と申しますか、そういうものを発行して、それによつて賄つて行つて、その面から一般財政を圧迫するようなことを避けて行つた方がいいのではないかと考えております。  十五割程度値上げを止めるというその根拠は、値上げ理由と対照という書類を頂いたのでありますが、それによりますと、現状の價格で計算し、賃金は二千九百二十円ペースを以つて、又物價水準現状通りとして計算されておりますが、それによりますと、收入は百七十八億、支出は三百三十億、差引不足が百五十一億となつております。が、若し收入計画通り四倍にいたしますと、七百十二億になります。支出の方は人件費を現在新らしい物價体系として考えております線に持つて行きましても、二千九百二十円に比べますと三割程度増加と言つてよいわけであります。これを仮に支出の六割を人件費で抑えまして、三割増といたしますと、二百五十七億、物件費は残りの四割でありますから、この物件費消費財値上げ、即ち七割見当値上げがあるものとして計算いたしましても二百二十四億、合計四百八十一億になるのであります。この支出面から比べますと、四倍にして收入を七百十二億にするということが、非常に大き過ぎると私は考ます。尤も四倍見当と申しましても、その内部の比重が違つておりますから、こういう計算は成り立たぬかも知れませんが、平均四倍に持つて行くということでありますれば、收入面をおしなべて四割増すように行くという考え方もできるわけであります。その点から申しますと、收入を私が申しをすように、現在の十五割増、即ち二倍半にいたしますと、四百四十五億になるわけであります。そういたしますと、今申しました支出と比較いたしまして三十六億のマイナスになります。この三十六億のマイナスにつきましては、経営合理化、或いは一般会計からの補填によつて賄つて頂くこともできると思うのであります。これを更に二十割程度値上げをすることにいたしますと、現在の三倍でありますが、收入は五百三十四億になるのでありまして、先の支出と比べまして五十二億の收入超過になるわけであります。いずれにいたしましても官業は一般物價水準よりも若干低めに置くことが望ましいのであります。その点から申しまして、十五割程度値上げが適当ではないかと考えております。尚十五割の値上げをいたしますと、封書は三円になります。葉書は一円二十五銭になるわけでありまして、基準年度物價と比べまして封書は百倍、葉書は八十三倍となるわけであります。この程度値上げが非常に望ましいのでありますが、仮に二十割値上げするとして計算いたしますと、封書は三円六十銭、葉書は一円五十銭になるわけであります。封書基準年度の百二十倍、葉書は百倍、まあこの程度でありますれば、大体現在考えております物價水準の中にも入つて來るわけであります。  從つて私の考え方といたしましては、値上げそのものには反対でありませんが、もう少し値上げの率を低くして、そうして合理的なものにして頂きたい。こういう希望であります。
  8. 深水六郎

    委員長深水六郎君) 千石虎二君。
  9. 千石虎二

    公述人千石虎二君) 農業復興会議企画部長をしております千石であります。  先に結論を申しますが、今回の値上げには反対であります。で、物價水準との関係におきましての今回の物價値上げにおけるところの一般基準物資値上げの百十倍、それに比べての今度の通信料金値上げは高過ぎるというような点につきましては、只今工藤さんから詳細なお話がございましたので、不肖省略いたします。  農民立場といたしましては、今日食糧増産をやる、それによつて國家再建の基本を築くということが一番の大きな責任であり、眼目であるわけであります。それをやるために、それをやろうとするために、農民大衆は今日のこの通信料金値上げに対して如何なる考えを抱くか。これを率直に申上げますならば、又鉄道の運賃が上がる、又通信料金が上がるという非常に素朴な声となつて反対の叫びが挙がるわけであります。これは單なる素朴な声でありますが、併しながらそれを冷靜考えてみますならば、決して理由のないことではなくて、そこに当然の理由があるわけであります。その現実の問題としまして、農家はそう電話料金にも、或いは葉書或いはその他の通信料金にも利害関係は比較的少いわけであります。併しながら今申上げましたようなその氣持ちいうものは、要するに現在の政府政策、今回の通信料金はその一環であると思います。それに対する一つの不信の声が端的に表明されておると思います。極端に申しますならば、今度の一般政府の課税、農民立場にしますならば、食糧供出強行ということを含めて農民からの……いわば負担を負わされるということが、農民を含めてのいわゆる勤労大衆をやはり犠牲にして、その上に立つてのいろいろな政策が行われつつあるということが、これは無意識のうちに農民に感じられつつあるわけであります。それが延いてはかかる政策に対しても反対する、反対の声を挙げるということになるわけであります。  で、この際農民の側から皆樣方に申上げて置きたいと思うのでありますが、これは本論から少し脱線するとお考えになるかも知れませんが、その点を脱線するのでないと私は考えるから敢て申上げるわけでありますが、要するに現在都市におきまして、勤労者はやはり……、殊に最近におきましては食糧が足らなくて闇買いをやつておるとか、いろいろな統計で示されるところでは、政府統計によりましても、大体俸給の、或いは労賃の六割乃至七割は主食を闇買いするために消費しておるということが言われております。その金は直ちに農民懷ろに入つてつて農民はそれによつて非常に多くの利得を得ておる。いわゆる新円が農村に一ぱい溢れておるということが言われております。併しながらそれは戰爭後の一時的な現象であり、又部分的現象であつたわけでありまして、最近におきましての農村の実情は決してそうではなくて、むしろ逆であります。非常に金に詰つておる。又或る地方におきましては食糧にも非常に窮迫しておるという状態であります。それは何故であるかと申しますならば、仮に闇の米は消費者方々の手に入りますけれども、併しその多くの部分というものは中間のブローカーの手を経て都市に流れ込むわけでありまして、その間におきまして農民の直接入るところの金額というものは、いわゆるさつき申しました六割乃至七割というものがそのまま農民の手に入るわけではないのであります。又米の生産額は、一般食糧生産をいたします場合におきまして、肥料にいたしましても、或いは農機具その他のものを含めまして、殊に衣料品、地下足袋等につきましては公定價格によつて配給されるものは全体の四割乃至六割でありまして、あとの三割乃至四割或いは五割というものは、これは闇によつてつておるわけであります。從いまして農家としましては、自分の生活をするために、或いは再生産をするために、闇の價格によつて購入する部分が非常に多いわけでありまして、從いまして農村としましては公定價格で供出をして、そうして闇の物を買うという傾向が非常にあるわけでありますが、その傾向が特に去年の暮あたりから強くなつてつております。これは御承知のように供出が非常に強行されまして、百%供出を完遂したわけであります。その裏におきましては、從來農村としては一部闇に流しておつた米も流すだけの余裕がなくなつて來た。供出の割当が強いということと、それから一つは取締が強くなつたということのために、闇に流す部分が殆んどなくなつて來ております。そうしますと、農家の收入の面から申しますと、米の量としましては仮に一割なり、二割の闇米でありましても、收入面からいえば、それが半分なり或いはそれ以上の收入になつておるわけであります。それが最近、昨年來から一方で税金が非常に強く取立てられるということと、それから今申しますような状況によつて、農家としてはそういうふうな收入面が非常になくなつておるのでありますから、そうしてその間において利得する者は、結局農機具、或いは地下足袋、その他の物を闇で流すところのいわゆる闇商人のような者に多くの利得が流れ込むわけでありまして、これは最近いわゆる新円が農村から都市に還りまして、商業部面に多くなつておるという統計発表されておりますが、それによつても明らかになつておるわけであります。そういうふうな状況でありまして、要するに現在のいろいろな政府の施策というものが、農村に対しては、肥料にしてもその他にしても、相当いわゆるリンク物資として或いは生産必需資材として必要なものは配給しておる、であるから同時に供出も百%やれ、或いは税金も他の層に比べれば、農村戰災に遭つておらないから負担能力があるということでいろいろ課せられようとしておりますが、併し事実は……、殊に最近の傾向はそうじやなくて、むしろ逆の傾向にあるわけでありまして、即ち現在の政策におきまして、利得する者は働くところの農民ではなくて、その外の中間の業者、或いはその他の経営者のうちでも比較的眞面目でないよう経営者というような人に多く利得されて、農民にとつての本当の政策が採られておらないというところに、農民としては現在の政策一般の対する不満があると思います。そういう状況に対して、新聞等でも或いは御承知かと思いますが、先般全國農民大会が五月の二十五日に開かれまして、それから今日まで全國の農民の代表が東京に留つて、米價の問題或いは税金問題等について、連日議会なり政府或いは司令部方面に対して運動を継続しておるような有様であります。  そういう見地からいたしまして、今回の通信料金値上げに対しましては、そういうふうな全体の政策の一環としての通信料金値上げであるという見地に立つて、原則的に反対することが一つと、それから技術的には先程工藤さんからお話がありましたような点におきましても反対をいたすわけであります。  併しながら、今日の國家財政が非常に窮迫しておる。財戰の事実というものは農民自身も十分にその責任を感ずるわけでありますからして、負担すべき責任は、負担すべき税金は十分に負担しなくちやならない。併しながら、それには全体の政策というものをもつと考え直して、そうしてそこから新らしい政策を立てて欲しいということであります。現実の問題といたしましては、今の一銭一厘でも値上げ反対であるということは、これは言えないわけでありまして、現在の事態において若干の値上げをされるということはこれは止むを得ないことだろうと思います。現在のよう倍率で以て、而も今のよう政策の一環として値上げをされるということに対しては反対であるということを表明する次第であります。
  10. 深水六郎

    委員長深水六郎君) 土橋一吉君。
  11. 土橋一吉

    公述人(土橋一吉君) 私は全逓全從業員組合の組合長の土橋一吉であります。本日は理解ある深水委員長並びに委員各位が、只今政府が提案しておりますところの郵便電信電話その他の通信料金値上げに関する公聽会を開催して下さつたことに対しては非常に感謝しておる一人であります。  私は政府提案によりますところの只今通信料金値上げにつきましては、全面的に反対意見を表明する者であります。  その理由といたしまして、只今政府が……予算面から私は考えて行きたいと思いますが、考えておりますところの非常に厖大なるところのこの予算というものが、結論において市民なり或いは勤労大衆の最後の膏血を搾るところの大衆的な收奪であるという点が第一点であるのであります。なぜならば、今までの政府昭和二十一年度、昭和二十二年度、昭和二十三年度のこの初年度における予算というものは、常に今までの例から見まするならば、例えば昭和二十一年度におきましては五百六十億の初年度予算を組んだのでありますが、これが当時の説明によつて追加予算は殆んどしないよう状態であつたのでありますが、三回の追加予算が計上されまして、昭和二十一年度は合計一千百億程度の厖大な予算になつたのであります。昭和二十二年度も同様初年度の予算は一千一百億程度でありましたが、更に追加予算が計上されまして二千二百億になつたのであります。昭和二十三年度の只今の予算は、皆さんも御承知の通りに三千九百九十三億であります、殆んで四千億になんなんとするところの厖大なる予算を組んでおるのであります。從つてような予算が運行されるということは、結論としまして悪性インフレの根元は政府財政にあるということが結論的に言えるのであります。尚特別会計或いはその他の地方財政を引括めて申上げますならば、約一兆二千億というような厖大な予算が全國家機構或いは自治團体を通じて、國民から收奪されまして、それが又再び國民の方に還元される結果として、悪性インフレが天井知らずに上つて参るのであります。かようなものの犠牲となるものは誰でありましようか。これは皆さんが御承知置きの一般市民であり、而も眞面目な俸給、給料によつてその殆んどを賄うところの全勤労大衆であるのであります。從つて勤労大衆を苦しめ、尚悪性インフレが高進して、收拾のできないよう國民経済と國家財政の運行を支持し、かようなものを認めんとする政府提案のこの厖大なる予算の一還としての郵便料金値上げは全面的に反対であるのであります。  次は皆さんのお手許に配付しておりまするが、政府提案によるところの料金値上げ理由と大綱という中の先ず最初の二行目を御覽になれば、公共性の要求を充しつつ企業にも採算がとれていたのでありますと、こういうことを書いておるのでありますが、これは政府も認めておるがごとく、通信料金というものは、國民の公益性が主であつて、尚且つそれによつて採算はどうにか賄なわれたということを説明しておるのであります。從つて私は通信業務は、全市民、全國民に均等妥当に而も普遍的に利用せられることが根本でありますので、その結果において尚採算がとれるのなら結構でありますが、社会文運の進展のために飽くまでも國民が均しく而も低廉に誰でもが利用ができるような方向に持つて行くのが尤もだと思うのであります。從いまして、若し政府考えておりますよう独立採算制ということも、一應の理論もありましよう、又考え方もありまするが、現在のような敗戰下における日本の我が逓信事業の内容から見まするならば、極めて不当な内容であるのであります。と申上げまするのは、逓信の施設は殆んど五割五分乃至は五割程度の荒廃と戰災を受けておるのであります。從つて先程公述人の方からいろいろ御説明がありましたように、永年に亘るところの逓信施設の改善或いはその他その補修、さようなものが全然講じられないで終戰に及んだのであります。從つて殆んど逓信の一切の施設は挙げまして荒廃とその廃墟の中に復興が見出されむとしておるのでありますが、かような点はすべからく一般会計から賄うべきものであると考えておるのであります。先程のお話にありました通りに、一般会計へ、逓信特別会計は非常な困苦欠乏と而も從業員の犠牲と負担によつて、戰爭中においては相当多額の寄與をしたのであります。ところが、荒廃と而も昏迷の際には、お前の方はお前の方でやれというような、半身不随の逓信省の内部を以て、全部の犠牲を尚將來も從業員或いは勤労者に加えつつ、独立採算制を行わんというようなことは、遺憾ながら私は反対せざを得ないのであります。  從つて然らば一般会計はどうなつておるか。一般会計から少くとも、現在の施設の五〇%乃至六〇%を補填するというようなことは極めて困難ではないかというような説明も出て來ると思いますが、私の承知しておりまする範囲におけるところの一般会計の内容を皆さんに申上げたいと思うのであります。それは現在の政府考えておりますところのこの支出面を皆さんが一應目を通して下されば直ぐ分ることと思うのであります。例えば終戰処理費等にいたしましても九百四十二億というような厖大なる終戰処理費が賄われておるのであります。この終戰処理費の中の内容を皆さんも繙いて御覽になれば直ぐ分ります。政府提案によるところの百億以上の支出費目は、九百四十二億の中におきまして六項目あるのであります。この六項目のうち、やれ兵舎だとか、やれ土建業者がどうだとか、やれ雜支出がどうだとかいうことで、一体果してそれが正当の價格の評價通り事業がやられて、それだけの財産が残りつつあるかというと残つていないのであります。この間において最近の新聞紙上においても、國会議員の一部の方及び政党の一部の方における不当財産取引調査委員会の爼に上せられて非常に問題を生じておる諸君も多々あることは、各位の今までの新聞その他の報道により御承知置きの通りであります。眞僞の程は更に追究して徹底的に分ると思いますが、少くとも國民を代表し、而も公平妥当な政治の責任の衝に当る諸君が、かような不当財産取引調査委員会の爼上に上せられておるということは、如何に、土建業者なり或いは大きな土建その他の者と相関係をしまして、さような問題が行われておるやに私は推測をしておる一人であります。從つてこれはかような終戰処理費というようなことを見ましても、かような点が説明できるのでありますが、然らばその次の價格差によるところの調整するための政府の補償金でありますが、こういうものも恐らく五百十五億程度今の政府は見積つておりますが、果してかようなものが見積らなければならんかということは、結論において、物を持てる諸君、金を持てる諸君の利益のために補填せられるところのものであります。從つてその收入面におきましては、常に間接税へ移行するというような傾向を生じておるのであります。その一端として通信料金は正に大衆課税に相当するのであります。結論的には、業者が納めるような恰好になつておるのでありまするが、出版業にいたしましても、その他の事業にいたしましても、結論は消費大衆がこれを負担するのであります。誰が何と申しましようとも、最後の結論は、最後に食べる者、最後に着る者、最後に住むところの諸君が負担せざるを得ないのであります。結論的に申上げるならば、かような大衆課税を基盤とするよう財源を組んでおるこの郵便料金値上げは絶対に反対せざるを得ないのであります。從つて我我勤労大衆といたしましては、是非共かような亡國的な、而も悪性インフレの狂奔的なこの郵便料金値上げは絶対反対を表明するのであります。  例えば公益事業費の点を見ましても四百二十五億の公益事業費がありますが、その中を御覽になりましても、河川からずつと土木、港湾その他の工事費というものが如何ように使われて、どういうようになつておるかは、相当將來は國会において十分監視して頂かないと、これが名前は公益事業費の四百二十五億でありますが、如何ようにこれが使われておるかというようなことについては、賢明な参議院の委員各位もおられますので、徹底的に追及して、或いはお調べを願えるものと確信いたしておりますけれども、こういう面においても非常にロスが國民の中に行われて、それが一部物を持つてる者、企業を断行する者、事業を営む諸君によつて、收奪的に行われて、その收入面が全國民、全勤労大衆の犠牲によつて賄われるという結論になるのであります。又復金の融資等を考えましても、復金の融資には非常に私は反対を表明する者であります。これが百八十一億程度あるのであります。その外例えば政府責任支出によるところの予算外支出は二百三十億もあるのであります。この内容はどういう方面に使つておるかというならば、皆さんはもうすでに御研究済みと思いますが、これはすべて金融諸君或いは金を持てる諸君の利益補填のために使われておるのであります。かようなものを全部この通信なり、或いは鉄道一般会計特別会計へ繰入れて頂いて、健全な補填ができる仕組をして置いて、更に独立採算というものをお考え願いたいと思うのであります。從つて私は速かに一般会計より、かような独善的な、一部金持、物持の利益補填のために使う金は全部抹殺いたしまして、すべて勤労大衆的な大衆課税にならないように、特別会計へ全部繰入れるという方針で行つて頂きたいという点が第二点であります。  次に第三点といたしまして、委員長の御承認を得たいと思つておりますが、皆さんもお分りになるように、全日本の人民大衆が、現にこちらへ持つて参りましたのは、全逓で取纏めました料金値上げ反対の署名であります。これが一千五百万名でありまして、中をお調べになれば明瞭に分るのでありますが、又本部には倉庫にこれに等しい程度のものを持つておりますが、乘物の関係で全部持つて参りません。我々労働組合は、現在四千万名の署名運動を我々は目途として進んでおるのであります。かような全人民、全勤労大衆が挙げて反対しておるところの料金値上げを、政府が断行するということが如何に非人民的であるか、非階級的のものか、労働階級に反するところの政策であるか、明瞭な証左であります。從つて賢明な委員の皆さんが是非共お見通し下さいまして、こういうように全國民が反対しておるものまでも、國会の審議権の内容とか、或いは國会は別の方向において審議するということは、私は極めて妥当を欠くものと思うのであります。現在の委員の皆さんも同じく國民の声を声として、政治のすべての方向について調査し、これをお調べになる職責を持つておられますから、現在國民が反対しておるものを十分にお認め願いたいと思う次第であります。從つてこの政府の提案によるところの理由につきましても、例えば先程工藤さんが正しいことをおつしやつたのであります。この三頁を皆さんが御覽になると分るように、二千九百二十円を据置にして、而も料金をそのまま据置にして置いたならば、ここに書いておる百五十一億五千万円程度赤字が出るであろう。從つて料金を四倍に上げて尚五十一億何千万円ですか、五十一億程度赤字一般会計から繰入れるという計算をしてかようなことになるでありましようか。算盤を彈いて頂きたい。二千九百二十円を据置きにして置いて、それで郵便電信電話通信料金を四倍に上げて、そうして若しそれで済むならば、百五十一億であるならば、今政府考えておりますところの公定價格を七〇%上げて、そうしまして郵便料金を四倍に上げて、闇物價は三・六%しかしらんという見積りであります。かような見積りで一体將來の、次の年度内においてこの追加予算を組まないでやつて行ける自信があるのでありましようか。必ずこれは又四千億或いは三千億程度の追加予算を計上せざるを得ないのであります。冒頭私が申上げたような今の財政のやり方をすれば、遺憾ながら必ず追加予算を計上しなければならんのであります。若し政府がこれをやらなんで、中間安定策というものを、全勤労者の犠牲と負担において賄うとするならば、如何に現政府が暴挙であり、外資導入を契機として全勤労大衆を威圧するところの権力、然らずんば中間安定策によるところのあらゆる方法によつて彈圧する、かような方途において全國民の財政を襲断せんとするような現政府の行き方は正に亡國的な誤つた方法であると私は確信しております。  私はかように申上げて、全面的に只今政府提案によるところの郵便料金値上げについては眞向うから反対するのでありますが、土橋個人が反対しておるのではないのであります。全勤労大衆の、ここにあります千五百万名の者が反対すると同時に、恐らく將來四千万以上の諸君が反対するでありましよう。  然らば逓信のことはどう考えておるかという御意見も出るでありましようが、私といたしましては、今まで逓信省事業的の面においては才を欠いておつたのであります。從つて財源は十分ではないでありましようが、郵便料金を上げないで、細々ながらでも將來はこのままに据置きまして、財源を生みつけるという方法によつて賄われんことを私はお願いしたいのであります。それには逓信省が現在持つておりますところの電話柱でありますが、これが約七万本あります。次は電信柱でありますが、これが概略二百五十二万本あります。郵便局舍はいろいろありましようが、大体特定郵便局を入れまして、普通局、あらゆる郵便官署、逓信省の所管の建造物を合せまするならば、恐らく一万五千戸以上は日本國土内にその建物を持つておるのでありましよう郵便函といたしましては、郵便ポストでありますが、これは約七万本程度つておりますが、かようなものに最も有効適切に、効果の上る財源として廣告権を設定するのであります。從いまして、例えば二百五十二万本の電信柱が全部は使えないでありましよう。併しながら汽車の通る所或いは街、そういうような面においてこれを使うならば、相当多額に廣告権設定の料金というものを、逓信省は、政府は上げ得ることが確信できるのであります。概算どの程度であるというようなことは詳しい統計はありませんが、これは業者の設定せしめることによつて固定的な而も確定的な財源收入があると思うのであります。恐らくこれは十億程度には現在の財政からいたせば上げられるのではないかと、腰だめで私は考えておるのであります。次は切手等においても、例えばローカル切手なり、或いは開港等があつたときの記念切手を発行することも一つの例でありましよう。又封筒なり葉書というようなものにつきましても、或いは第三種郵便物の帶封にいたしましても、規格を一定いたしまして、その上に下に或る程度の体裁と品性を、通信企業的な内容のものに悖らない程度に裝幀いたしまして、これをやることも亦一策であろうと考えております。同時に又先程申上げた不当財産と同じように、逓信省が從來業者等に不要であると言われておるところの資材の拂下げであります。かようなものについても、よろしく國会においてその適切なる面を御審議願いたいと思うのであります。曾ては三福事件というようなものも逓信省は起しておるのであります。逓信省方々もお見えになつておりますが、かような面が將來は恐らく作業官廳においては逐次頻発をするのであります。從つてこういう財産の取引についても、現在の逓信省の幹部諸君がどういうような運行をしておるかというようなことについては、よろしく國会においてお調べを願つて、速やかに競賣なり入札の方法等によりまして、收入が挙るように私はして頂きたいと思うのであります。  以上が私の、財源というものが逓信省はないないと言つておりますが、見付けようとしていないという証言の証左であります。從つて逓信省はさよう財源を、更に廳舍等の面においても、一例を申上げるならば、逓信省のやることは手がぬるい。從つて、安物を買う者は銭を失うということを言いますが、逓信省は機敏性と機動性を持つておりません。例えば澁川という所に郵便局があります。その澁川の郵便局は非常に小さい狹隘なものであります。そうして前に二階建の家があつて、非常に安く手放すという話であつたのであります。時價が丁度七万円足らずであつたと記憶しております。ところが、ああでもないこうでもないと文句を付けた結果、とうとう賣る方では賣らない。その次に他の生命保險会社が買つたときは、その價格は七万円で買つたが、今買いたいというときには、もうすでに三十万円になつてしまつておる。こういうような、何と申しましようか、役人の商賣と申しましようか、士の商法と申しましようか、至つてそういう点については逓信省は手がぬるいと同時に、全くぼんくらであるのであります。從つてこういうような面も、國会でよろしくその実行面の予算が逓信省で勝手に使われるように御指示を願わないと、現在そういう下手な手を打つておりますから、高い價格で建造物を買うと、補修もしなければならん、直さなければならんというようなわけで、現在の逓信省は極めて不器用でありますので、こういう点も、幅のある実行予算が行われるように十分監督をするならば、例えばそれが仮に非常に状況が悪くなりまして、民間に拂下げる等の場合を考えても、相当な財産を逓信省が持つということによつて、尚拂下げの一端に実際にそういう面から補助できるのじやないかと、かよう考えておる次第であります。  非常に長く申上げましたが、以上のような掻い摘んだ理由によりましてもお分りになるように、この郵便料金には絶対反対することが國民の声であり又勤労大衆の当然の叫びであるということを御賢察頂きまして、各委員の方方の是非御協力をお願いしたいと存ずる次第であります。拙ない説明でありましたが、御清聽を頂きまして誠に有り難うございました。
  12. 深水六郎

    委員長深水六郎君) 吉坂俊藏君。
  13. 吉坂俊藏

    公述人(吉坂俊藏君) 私は東京商工会議所の專務理事吉坂俊藏でございます。前弁士との重複を避けまして、簡單に申上げたいと存じます。  通信料金値上げの及ぼす影響は極めて大きいのでございますが、その一例を申上げます。生命保險会社に対する影響はどのくらいであるのであろうか。生命保險は今二十社ございます。この生命保險の契約書が三千万人に及んでおります。一年間に保險料の拂込の案内に二回封書を出すといたしますと、六千万件に上るのであります。それでこの費用が現在では七千二百万円となつてをりますが、これが今回の封書五円ということになりますと、三億万円の負担になるのであります。そういたしますと、その差額の二億二千八百万円、一つの会社当りにいたしまして一千百万円というものが新たなる負担増加と相成ります。すでに軍需補償の打切りの打撃を受けております。今回は又軍事公債の利拂の延期でありますとか、或いは取引高税とか、いろいろ負担が加重されんとしておるのでありますが、この際に保險会社の受ける通信料による費用は多大のものでございます。他方において、保險料の引上げというものはできないような事情になつております。事業経営は甚だ困難になりますが、これは生命保險だけの一例であるのでありますが、その他の業体につきましては御推察、御類推を得たいと存ずるのであります。  通信料値上げが果して止むを得ないものでありまししよか、どうでありましようか。経費の節減或いは能率の増進というような余地が果してないでありましようか、どうでありましようか。或いは他に收入増加の途がないのでありましようか、どうでありましようか。これにつきましては、郵便電信電話或いはその他に亘りまして檢討を要することと思うのであります。昭和二十二年度の通信事業收支予算を見ますというと、コスト計算が出ておりますが、電話收入が四十四億円でありまして、経費が二十一億でありまして、利益を出しておるのであります。電信は、收入が五億千三百万円でありまして、経費は十一億であります。郵便は、收入が四億九千四百万円でありまして、経費は二十五億でございます。釣合いが最もとれませんのは爲替貯金でございまして、收入は一億六千四百万円、その経費は十一億三千百万円ということになつておるのであります。先程もプールのお話がございましたが、種々の事業を合同経営いたしますということは、有利な場合もございまするけれども、今日ではこういうよう貯金だとか保險だとか通信以外の事業のために累いを受けておる程度が非常に大きいのではないかと思います。收入不足の郵便のために、他のサービスが又改善を妨げられておるということは事実ではないかと思うのであります。特に電話でありますとか、電信でありますとか、その機械設備に依存することの大きいものは、これが改善が遅れて、それがために人手を多く使わなければならないよう状態に置かれ、これが経費の増大となつておると思われるのであります。  更に又、依然として旧式な事務法が採られておりまして、能率増進を妨げておるものが少くないのであります。ちよつと郵便局へ参りまして窓口を見ましても、貯金通帳の書入をするところを見ますというと、拂戻を求めますというと、その都度算盤で加えたり引いたりいたしまして、そうして残高を書出すのであります。銀行のように、銀行の多数は、今日では横書きを採用いたしております。又アラビックの数字を採用いたしておりまして、その残高をその都度記入いたしておるのでありますが、こういうことをいたしませんで、相変らず昔風の加えたり引いたりいたしまして、その間にもう何人かが窓口に立つてつておるというような有様になつておるのであります。こういう点について、なぜ改善をせないのであるかということを、不思議に思う次第であります。それから代金引換郵便というものが、戰爭中ずつとなくなつております。幸いに本年度の初めから回復されたのであります。インフレの防止のためには非常に結構な制度だと思うのでありますが、代金引換郵便の復旧ということは、余り宣傳、周知の方法が採られておらないように思うのであります。これに反して、大衆に余り用のない國際電話というようなものの宣傳には大童になりまして、大きな字幕が郵便局に掲げられておるというようなこともありまして、こういうような点におきましても、もつと直接大衆に関係のある事務の方面において改善がされて欲しいと思うのであります。  通信從業員の数を見ますというと、昭和九年には二十七万四千人でありましたのが、二十二年には四十一万人となつておりまして、五割の増加になつております。その中で郵便の方は六万九千人から八万四千人になつております。併しながら業務量を見ますというと、昭和九年には二千百万通を処理いたしたものが、今日では九割の千九百万通に減じております。電信の方は、三万一千人から、昭和二十二年には四万二千人に殖えております。業務量は百から百三十八となつて、大体均衡がとれております。電話はどうかと申しますと、四万四千人から、今日は五万五千人となつております。この間に、電話加入者は百から九十二に減つておるのであります。通信は、御承知の通り、終戰後非常にサービスが落ちたのであります。郵便で申しますというと、配達の回数が少くなつております。そうして遅配でありますとか、誤配が多いのであります。電信で申しますというと、東京と名古屋との間は戰前十五分間でされたものが、昭和二十二年には二時間掛かるのであります。東京青森に至りましては、十九分間でやつたものが、今日では四時間以上掛かるのであります。最も悪いのは電話でございまして、電話の繋がる率というものは総体の三七%に過ぎません。六三%はどうかというと、お話中でありますとか、或いは機械の故障でありますとか、或いは中継線が塞がつておるという状態でありまして、たまたま電話が掛かりましても、殆んどあの世と語るごとく相手の声は糸のごとく殆んど聞取れないよう状態で、この点から申しまして、正に日本は四等國以下に落ちたという感じがするのであります。  こういうようなサービス状態でありますに拘わりませず、今回通信料を四倍に値上げいたすということは、甚だ虫がよ過ぎるのではないかと思うのであります。逓信白書を読んで見ましても、それでは將來これが改善ができるかどうか。こういう点について少しも自信が見られないのであります。只今郵便料金電信電話料金値上げ理由と大要を拜見いたしましたけれども、これによりまして、今回四倍の値上げをしても、尚且つ五十億円の赤字が出るのであります。只今土橋さんがお話になりましたように、恐らく本年中に又追加予算が出るのではないか、私もそう思うのであります。或いは明年になりますというと、又々値上げを、通信料値上げをせなければならんよう状態になるのではないかということを虞れるのであります。少しも根本的も解決ということについて手を打たれておらない。これで今日四倍に上げるかどうかという問題より、もつと根本的に、一体通信事業はどうしたらよいかという皆さんの御檢討を、御研究を願いたいと思うのであります。問題は、できるだけ人手を少くして、機械化するということが第一に必要ではないかと思います。特に電信電話ようなものは、人より機械設備に俟つものが多いのでありますから、こういうものは、できるだけ改善をせなければならんのであります。現在速達郵便というものは非常に増加いたしております。これがために、人手が掛かつております。経費が増加いたしております。若し電話が掛かるようになり、或いは普通郵便が早くなりますならば、速達郵便は非常に激減してしまうのじやないか。その点からでも経費が節減されます。こういう根本的な方面に向つて一つ解決をつけて進めて頂きたいと思うのであります。  併し現在の状況では、政府財政難のために永久的な建設改良の費用を投ずることが恐らくできないでありましよう。そうすると、今こそ電信電話、特に電話などにつきましては、民営に移すべき最高絶好の時であると思うわけであります。御承知の通りに、アメリカは國内の電信電話、それから対外通信も全部民営でございます。電話は三ケ月分の前金を拂いまして申込みますというと、その日のうちに、二三時間のうちに電話が掛かる。こういう状況になつております。私は長くスイッツルに滯在いたしておりましたが、スイッツルでも五十フラン出しますと、翌る日にはもう通話ができるという状態になつております。その外、民営の國は沢山あります。又民営と國営と両方認めておるところも沢山あります。例えて申しますと、イタリーでは、重要なる市外電話、それから対外通信は國営でございますけれども、市内電話というものは民営でやつております。日本でも少くとも市内電話地方電話、こういうものはもう民営でやつて行つていいのではないか。現在の國営のものと競合してもいいのではないか。或いは現在の國営を拂下げるということによつて國家の資金を増す、財源増加を図るということもできるのでありますが、そうでなくても、將來建設のできないものについては、民営によつて電話事業の改良を図ることができるのではないかと思うのであります。  それから電信電話の架設工事は民営に私は戻した方がいいと思うのであります。スイッツルでも、電話と工事とは別であつたと思いますが、独占になる危險がありまするならば、これは多数認めたらばいいと思うのであります。電話の架設のようなものは、多数の工事者があつてよろしいと思います。今回は政府事業公債三万六千円の公債を買わして初めて電話を附けてやるという話でございますけれども、これはそういう公債を賣付けなくても、これを株式にするがいいと思うのであります。会社にいたしますれば、電話の欲しい人は進んで株式を申込むでありましようし、こういうことにいたして参りますれば、外資導入の便宜を得られると思うのでありますが、現に外資導入につきましては、私は具体的な可能性があるということも聞いておるのであります。電信電話等につきましては、特に新らしい機械設備を加える必要があるのであります。又大いに創意工夫を行なつて行かなければならんのであります。それにはもう民営に限ります。現在のような官営では責任の所在すらもよく分らないのでありまして、それがいろいろな方面において発達を阻害しておると思うのであります。日本の再建を促進するためには、どうしても民営にせなければならんのではないいと思います。  通信事業赤字というものは、料金値上げだけではどうしても克服されることはできないということは、政府自身これを認めておるのでありまして、この経営民営に移すということの君に根本的の赤字克服の途はないと信ずるものであります。  私はこの機会に、國会において少くとも二つの鉄則を作る、決定して頂きたいと思うのであります。と申しますのは、通信というものは申すまでもなく面接、面談に代るものであります。鉄道運賃が上る場合には、むしろ通信料は下げてこそ会社生活の障害が除かれるわけであります。鉄道運賃も上げるわ、通信料も下げるわ、皆一緒に上げるわということになりますと、それによつて文化或いは経済その他の方面に非常に障害を受けるのであります。一方が、上げる場合には、他方は上げない、むしろ下げるというよう一つ原則を打樹てて頂きたいと思うのであります。若しも止むを得ず、私は通信料引上げには反対でございますが、若しも止むを得ず根上げなければならんというような事情があるといたしますならば、それはやはり最高限度を決めて頂きたいと思うのであります。少くとも一年については二倍以上には上げないと、最高限度を決めて頂きたい。昨年の鉄道ように一年の間に二回も上げる、又今度上げる。通信料金にいたしましても、今上げても又暮には上げるかも知れん、來年上げるかも知れんということでは、全く人心をしてインフレの將來に向つて、前途を不安にし、暗黒にするものであると思われます。こういう点について一つの鉄則を決めて置いて頂きたいと、こういうことを希望する次第であります。
  14. 深水六郎

    委員長深水六郎君) 少し時間が遅くなりましたけれども、午前中の公述人の方に対する御質問を暫くいたしたいと思います。委員の方で質疑をいたされる方は、質疑の要点と、お聽きしたい公述人の方を指名して御質疑願います。何かございませんか。
  15. 新谷寅三郎

    ○新谷寅三郎君 先程有竹さんか工藤さんから事業公債のお話がございました。御意見私も非常に御尤もだと存じておるのであります。ただいろいろ調査をいたして見ますと、どうも現在の情勢では、事業公債の発行が結局非常に通貨の膨脹ということになつて來て、その面でやはり他の障害があるような御説明を政府から伺うのであります。こういう戰災等によりまして荒廃した施設を基にして事業を建て直して行こうというのでありますから、これは一遍に建て直すことはできないので、やはり永い間掛かつてその費用を漸次償還して行くような、いわゆる事業公債というようなものが望ましいのでありますが、今申上げましたように、市中銀行では引受の余力はないだろうし、結局日銀の引受にでもなるとしますと、やはり通貨面に相当に大きな影響が來るというような点を政府では心配しているように見られるのであります。特に工藤さんは財政方面に明るい方でありますから、その関連につきまして何かもう少し具体的な御意見でも伺えれば非常に結構だと思います。工藤さんに一つお願いいたします。
  16. 工藤昭四郎

    公述人工藤昭四郎君) 戰爭と敗戰によつて、從來蓄積した國富の殆んど全部が壞減に帰した現在におきまして、経済の再建を図つて行くという建前に立ちますと、今お話になりましたような、一方においては通貨の膨脹という面、これはどうしても止むを得ざる弊害として出て來ると思います。併しその点を非常に顧慮いたしまして、手を出さぬということになりますと、結局は敗戰直後の状態に止まらなければならん。從つて経済は復興しないし、國民生活も一向向上しないということになつて來ざるを得ないのであります。從つて郵便通信事業ように非常に緊要度を持つたものにつきましては、一面におきまして通貨の増発がありましても、それが郵便、通信施設の回復によつて補い得る程度のものでありますれば、私は通貨の増発をそう顧慮することなしにおやりになつていいと考えます。
  17. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 私は土橋委員にちよつとお尋ねいたしたいと思いますが、先程あなたのお話で以て、赤字というものは一般会計負担するのが当然であるというようなお話がありましたが、これが余り厖大な赤字でなかつたらば成る程御説の通り当然かも知れません。お話のように二千九百二十円の給與水準と、又七割の値上げをしない現在の物價水準によりましても、百五十一億という厖大な赤字が出るんです。而も給與水準改訂物價水準も直して約五十億の赤字が出る。そこで今年中現在のような予算で以て政府が押通せば、一ケ年成る程五十億の赤字で済むし、併しながらあなたの仰せられる通り相当の追加予算が必要となつて來るのは当然であるというようなことを仰せられますが、そうした場合に勿論この五十億というような厖大な赤字になる。それに対して先程あなたの仰せられたように、電柱税或いは廣告税その他のような費用の捻出方法も極めて少い額しかこれを補填することができないのである、そう我々も考えられるんです。それに対しまして根本的に全逓の内部におられて、苟くも経営に直接関係のおありになるあなた方が、根本的の赤字の削除方を檢討なさつて頂くということは我々は日頃念願しておるのであります。殊にあなた方がお取りになつた全國民の署名運動、値上げは絶対反対という運動に対しましては、我々も國民の一員としては同感の点もありますけれども、あなた方が内部において反対の声を挙げられれば、國民は内部の方々値上げについては賛成されていない以上、当然これは我々としても賛成し難いというふうに思うのは当然のことであると思います。こういう点につきましても、もつて國民があなた方の事業に対して納得の行くように、徒らに幹部側のやり口の拙劣さを責めるのではなくして、よくその間に協調いたしまして、逓信事業が円満に遂行され、而も將來低廉に公共性を持つこの事業が國民に利用されるようにお努め願いたいというふうに考えます。この点について御所信をちよつとお聽きしたいと思います。
  18. 土橋一吉

    公述人(土橋一吉君) 只今の御質問でありますが、この政府値上げ理由の二ページを御覧になつて頂きたいと思うのであります。この前の二ページを見ますると、恰かも賃金を上げることによつて物價水準が上るというような一面の見方がこの説明にも窺われるのであります。これを御覧になりますと、千二百円ベース、千八百円、二千九百二十円ベース、更に三千七百円ベースというものについて、恰かも賃金がこの逓信省赤字を生む原因であるかに私はどうも取れてしようがありませんが、こういう説明をする政府諸君に私は言いたいのであります。賃金を上げることによつて物價が上ることは勿論若干そういう傾向はありますが、賃金物價高騰するために止むを得ず正当防衞的に値上げをやつておるのであります。むしろ我々の行爲は緊急避難であると考えておる次第であります。かよう政策政府において統制せられないところに、現政府國民経済に対するところの政策が適切妥当でないということを証明しておるのであります。從つて我々はこういうよう財政を組まれておる点について、最初申上げたよう反対しておるわけであります。  尚一般会計において特に支出しておるいろいろな費目を、先程も若干例を申上げたように、終戰処理費等の内容を見た場合において、百億以上の支出が六項目もあります。若しあなたがお分りなければ説明をいたしたいと思いますが、よろしうございますか……。そういうような費目について、例えばここに、これは新聞に書いておりまするから眞僞の程は……明確に政府原案そのものとは言いませんが、例えば常雇給が百六十二億であります。物件購入が百四億七千九百万円であります。その次は例えば一般工事が百一億七千二百万円であります。或いは維持管理費用が百十三億五千二百万円であります。交通費が百三十七億七千百万円であります。或いは雜費として百十一億七千六百万円であります。こういうような費目にいたしましても厖大なるものがどういう方面に使われ、どういうためにこの金が使われるかということの御審議を私はお願いいたしたい。そういうものが出るならば、七費目のうち一費目取りましても七十億という厖大なる支出面におけるところの節約が行われるのであります。それを四十万の諸君が血みどろでやつているその内容を、ただ人員を整理をするとか、そういうようなことでは解決しない事態が來ておりますので、一つの例を申上げるならば、公益事業費でも或いは予算以外支出等の二百三十億程度支出にいたしましても、これを更に國民的な立場で御檢討願いたいということを、私はお願いしたいのであります。從つて國の財政の建て方というものを根本的に御考慮願わないことには、末稍的な面において幾ら料金値上げいたしましても、全國民生活経済態勢というものはもう破綻的な立場ら來ておりますので、私は現在の政府よう財政のやり方については、根本的に反対であります。  あなたの御質問に対する御答弁にはなつていなかつたかとも思いまするが、勿論組合側としましては、事業に対して熱意を持つておればこそやつてもおりますし、又組合側は政府当局にいろいろ現実の待遇面についてもお願いをしておるのでありますので、いささかも我々は業務に対する熱意を欠いておるとは考えておりません。それには諸條件が本当に働けるだけの労働者の再生産賃銀というものを保証しないで、労働者がどこで食べて行かれましようか。この点を御考慮願いたいと思うのであります。  それから序でに言わして頂きたい点は、企業面というのは、人間が運行するのであります。企業そのものが動くわけではございません。或る企業の枠内における人間によつて動くのであります。でありますから、企業の態勢さえ整えば動くという考えは大きな間違いで、働けるに十分な、人格が保つて行かれるような態勢を國家が採らないことには行けない。特に通信事業その他作業官廳は、すべてさようであろうと確信しておる次第であります。
  19. 新谷寅三郎

    ○新谷寅三郎君 もう一つ吉坂さんにお伺いしたいと思います。先程の御意見では、結局通信事業の中の或る一部の仕事民営にする以外には、赤字を克服する途はないであろうという御結論であつたように拜聽しております。それに関連いたしまして、二点お伺いしたいのであります。吉坂さんの仰せになりました御意見は、結局現在の官営でやつております逓信事業を形の上だけでも民営にしなければならない、こういう御意見でありましようか。或いは我々もこれは或る程度痛感しておるのでありますが、如何にも官廳式の経営をいたしておりますので、この経営の仕方を、官廳事業ではありますけれども、一般企業と同じような式で経営をした方がいい、こういう御意見でありましようか。その点を伺いたいと思います。  もう一点は、民営にしなければ赤字の克服はできないであろうということでありましたが、その民営の御主張の内容の要点、民営と現在の官営との間にあります、つまり相違点の要点でございますね、それを極く簡單に項目だけでも結構でございますから、お触れになつた点で大体は了解しておりますが、それを項目でも結構でありますから、要点だけもう一度恐れ入りますが、御説明願いたいと思います。
  20. 吉坂俊藏

    公述人(吉坂俊藏君) 申上げます。例えば電話事業でありますが、電話事業は、もう戰爭前から日本電話というものは、外國に比べて非常に劣つてつたと思うのであります。電話の普及がなかなか遅々として進まないで、電話に対する権利金というようなものが進んで参りました。世界中でこんな國は日本だけだと思うのであります。又殆んど國家としての体裁をなさないような今日の電話事業状態だと思うのであります。これを変えて行きます上につきまして、政府能率をもう少し事務的に改めろということと、それから公團とか或いは公社とかいうような方法でやるということと、それから会社にいたしましても、全國一つの会社にするか、或いは地方的にいろいろの会社を認めるか、それから又取扱う電話事業にもいろいろありますが、それをどういうふうにするかとか、又その電話会社、電信会社の上に親会社を作るかとか、或いはもう作らずに、監督とか調整とかいうようなことは政府に委かせることにするとか、いろいろな考え方、コンビネーシヨンというものができると思います。けれども根本は、どうしたらば電話事業というものが普及するか、そうしてこの電話というものは、特に機動性が要るのであります。そうして御承知のように、機械設備というものは日進月歩の世の中であります。少しもじつとしていないのであります。そういうよう状態でありますから、これを今日の官業として残して置きますならば、官業というものは安定的な保守的な傾向を持ち易いものである。革新的でないので、官業の本旨というものは保守的なものだと私は思うのであります。どうしても民業にした方が発達が早い。アメリカの電信電話が発達したというようなことも、やはりそこに原因があるのではないかと思います。ただ民営にいたしますと、営利主義が出て來るために、都市に集中して、山間僻地には及ばないというような欠点もあるかも知れませんが、そういうような市外電話については、或いは國家がやるということも考えられるのであります。或いは又條件を附けて民営にこれを許すというようなこともでき得るかとも思うのであります。方法は幾らでもあると思いますが、私は根本的には民営、特に会社で以てやることがよいと思います。その会社も、今日内地で以て相当の資本を集めることができると思います。地方的の会社を沢山拵えてもよいと思うのです。東京であるならば、私は今目黒に住んでありますが、戰災電話を燒かれてしまつたのであります。今多忙な仕事をしておるのでありますが、どうしても電話を附けて貰えないのであります。目黒区というものはまだ許可になつていないからということで、まだ附けて貰えないというような状況になつておりますが、これは民営にすればどんどんと普及して行くのではないかと信じております。電話の器具にいたしましても、交換の器具にいたしましても、受話器にいたしましても、いろいろなものがあるわけでありますが、民営にすれば改善が非常に早く行われると思つておるわけでありまして、私は地方的な会社を沢山拵えることを認める、そうして國家と相並んで、競爭的な立場で國家も國家でやつて行つてよかろうと思います。競爭的な立場一つやらして行くならば、互いは刺戟になつて発達するのではないかと思います。併し政府がいよいよ財政に困るというならば、國家の施設を讓り渡す、拂下げをいたしまして、そうして赤字を補填するというようなことも一案ではないかと思う次第であります。それから現に民営にいたしますれば、丁度、問題になつております外資導入のような点からも、アメリカの会社あたりでも現に日本に投資したいというようなものもあるようでありますから、現実性もあるのではないかと思います。
  21. 堀越儀郎

    ○堀越儀郎君 千石さんにお伺いしたいのでありますが、通信料金値上げ農民に及ぼす影響は非常に大きいというようなお話でありますが、一般考えからしますと、むしろ逆なようにも思えますけれども、特に農民に及ぼす影響一般企業者よりも大きいというお考えは、どういうところからあるのか、ちよつとお伺いしたいと思います。
  22. 千石虎二

    公述人千石虎二君) 私の説明の仕方が悪かつたかも知れません。私の申上げたのは、農民には、具体的な個々の日常生活経済生活には余り影響はない。併しながら現在の政府政策の一環として、鉄道料金が上る、通信料金も上る、それによつてインフレが促進される、一方におきまして、農民の方へ相当重い税金が掛けられる、又同時に、最近におきましては供出を非常に強化され、而も強権によつて取られる、而も要求するところの肥料は、最近増産が進んでありますが、農機具なんというものは、所要の半分も公定價格で配給されないというような状況におきましては、一方そういうふうな通信料金が上るということは、インフレの促進と相俟つて農民としては、自分達が非常に勤労大衆の犠牲において、自分達の犠牲において政府政策が行われるという氣持を一層強く持つて來ておるのです。それが農民が折角増産しようというところの氣持を非常に阻害する。現に税金関係もありまして、ぼつぼつ耕地を放棄するというようなところが随時出ております。そういうふうな傾向を尚強めて行く。原則的に申しますならば、今の政府財政政策、具体的には現在の予算の政策でありますが、その政策はやはり土橋さんの言われたように、農民大衆を犠牲とする上において取られておる面が非常に強い。その一環としてのこの政策であると思います。農民はそういう点において本能的にこれに対して非常に反対の氣運が強くなつております。それは非常に農民は或る程度まで自分的ですから、その氣分が食糧の増産を折角やろうとするものに対して、マイナス影響を與えるということを私は申すのであります。それから日常生活におきましての経営生活としてはそう大した影響は勿論ないわけなんです。
  23. 深水六郎

    委員長深水六郎君) 外に御質問が……。
  24. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 吉坂さんにちよつとお伺いしたいのですが、あなたのおつしやつたお話の中で、例えば郵便年金とか、保險とか、そういつたようなものは、外の郵便貯金であるとか或いは電信電話ような……貯金は別ですが、通信とは別にした方がよろしいのではないかという御意見ですが、我々考えるに、通信だけでなしに、やはりそういう政府が多少犠牲になるような面も一緒に仕事をすることがお互いに大変都合のいいときもあるし、又同じ人数も有効に使えることがあるというふうに考えられますけれども、これはあなたのお話では全然切離して別の経営体になさつた方がいいというのですか。或いは会計だけを別にした方がいいというのですか。その点ちよつとはつきり分らなかつたのです。
  25. 吉坂俊藏

    公述人(吉坂俊藏君) 郵便局というものは全國に普及いたしておりますから、この郵便局を利用するということほど能率の上るものはないと思うのです、從つて郵便局にいろいろな事務を同時に頼むということが從來行われて來、そうしてこれが又非常に有効であつた。ところが、今日は事情が変つてしまつておる。今日の郵便局というものはもう負担が過重であつて、もう自分一人でも何かやり切れないくらいの沢山の仕事をしている。そのためにあとの仕事が邪魔をされておるのです。例えて申しますと、今電話のことを申しましたが、電話がうまく行かないということは、つまり郵便がそれに金を取られ、人を取られておる、又郵便貯金仕事に金を取られ、人を取られておるというよう状態でありまして、これは貢乏地帶に余り多くの仕事があつて今日はやり切れないような、非常に弱体化しておるのじやないかと思います。今のプール制というものは便利な点が非常に沢山ありますが、今日はプール制を棄てて行つた方がいいのじやないか。少くとも電信電話というものは離してしまつて独立でやつて行けばその方が非常に進んで参ります。そうすると、今の速達なんかなくてもいいくらいに行くのじやないか。そういう点で今の保險だとか、貯金だとかいうようなもので通信の本來の仕事が妨げられないようにするためには、私は今日の状態ではもう分けた方がいい、こういう時勢になつておるのではないかと思います。
  26. 深水六郎

    委員長深水六郎君) 外に御質疑の方がございませんならば、この程度で休憩いたしたいと思います。午後は一時半から開きます。それでは休憩いたします。    午後零時三十四分休憩    —————・—————    午後一時五十二分開会
  27. 深水六郎

    委員長深水六郎君) それでは午前に引続きまして公聽会を開きます。石川榮一君。
  28. 石川榮一

    公述人(石川榮一君) 私は全財の淀橋支部の石川榮一と申します。一組合員としての立場から、この通信料金のことを申上げて見たいと思いますが、先程土橋さんから申されたのと大体同じ観点から申上げたいと思います。從いまして、勤労者が同じような感情を以て、この通信料金のことを考えているんだということを先ず御承知置き願いたいと思います。  私は郵便料金電信電話料金等の値上げに対しては全面的に反対であります。その理由は、政府郵便料金等の値上げをやるということの理由は、一つ事業中における收支の均衡という点にあると思ます。この理論的根拠は、いわゆる通信事業会計の独立採算制を確立するということに発しているもののよう考えられます。つまりいわゆる政府の言うところの独立採算制というものを前提として、郵便料金値上げをやると、こういうことが可能なんではないかと思います。ところで政府考えている独立採算制というものを臆測して見まするに、これは総支出に見合うところの総收入つまりバランスという意味合であると考えられます。どういうわけでこのように推測するかと申しますると、政府は常に通信事業会計がその帳尻で以て赤字になりますというと、直ちに値上げのことを考える。昨年以來再々値上げの問題が取上げられまして、そのことが潰れている事実によつても大体分るのではないかと、こういうふうに考えます。これは政府通信事業の國営の意義というものを無視して、民間企業における事業採算考え方を、そのまま國営の通信事業の方に引移して考えておるためであると、こういうふうに考えます。言い換えますというと、利潤追及の考え方をそのまま政府事業の上に持込んでおるのだと、その現れが通信料金値上げてあると、こういうふうに思われます。  元來通信事業の國営というものは、その事業の特殊性及びその公共性のために、独占的な方法を採ることの必然性を生ずることよりして、その料金を單に利用の対價と、こういうふうに考えるべきではないと思います。このように單に收支のバランスのみを言うのでありますれば、通信事業は國営の意義をもう失つてしまつたと、こういうふうに言うべきだと考えます。國営の意力の上に立つて独立採算制というものは、單にもうバランスという問題でなくて、能率の標準と、こういつた意味考えられる独立採算制でなければならないんじやないかと思うのです。例えて言いますと、企業整備の今度の問題に絡みまして、いわゆる行政整理を政府の方で考えているようでありますが、この行政整理といいますというと、第一番に取上げられるのは人員の整理、これが一番先なんであります。殆んどこれは行政整理と人員整理ということは、もう切離せない関係よう一般には受取られております。これは政府考え方が、すべてこういうふうに單純であるというふうに私共は考えざるを得ないのであります。先ず行政整理ということは、機構を改革して、能率の悪い面を能率的にするということが先決問題であつて、その後に派生した人員整理なら、まだそこにも受取れるところがあると思うのでありますが、先ず先に人員の整理を頭に上げて、何割天引というふうな考え方で行くということが、もうすでに仕事というものを第二に考えているというふうに私共には受取られます。大体この物價の上るときに、まあこの値上げがいいというわけではありませんが、若し政府合理化ようというのであれば、物價を七割上げる、公定を七割上げるという場合においては、七割の限度内において、この通信関係料金引上げるというなら、まだそこにも合理性があると考えられるのですが、併しそれを飛び越して四倍にもするということになりますというと、これは勢い私共の直接懐ろの関係ばかりでなく、一般の人達にとりましては、料金値上げするということは、賃金値上げするために起る現象であるという考えを植えつける最も大きな弊害があるんじやないかと、私共勤労者立場から言いますと、そういうふうに考えられるわけです。結局現在私共が職場において経驗したところで言いますと、この電話の守保を営業にしておられる方に私はお会いして、いろいろお話したことがありますが、その方の話によりますと、逓信省の方から、まあ請負みたようにやらされておる、從つて昨年までは大体毎日のように、その請負金額で收支が償うがために、行つて電話を見ておつたと、ところが、昨年以來物價の上つたのやら人件費の上つたのやらで、とてもそれでは賄い切れないで、局長との暗默の了解の下に、一週間に一遍ぐらい廻ることにしたと、こういう話も聞いております。こういうよう状態で、電話でも何でも完全に通ずるということは考えられないと思います。私共は現実に職場において五本の電話がありましても、通常一本乃至二本しか通じておりません。これは結局こういうところから原因が來ておるんじやないかと思う。こういうのを独立採算制考え方で賄うということになりますというと、相当大きな支出によつて、現在の政府の予算でもまだ足りないんじやないか。從つてもつとこの料金値上げをしなければならないということになるのじやないかと考えます。こういうような、終戰後のいろいろ物の傷んで、通信でも何でもが殆んど壊滅の状態にあるときに、この独立採算制というよう考え方から、この問題を、通信の料金の問題を考えて行つたならば、恐らく復興などということは、何十年か先のことになるのじやないか。現在においては、先ず復興することが先であつて、そうして後に独立採算制の問題は考えてよいんじやないか。この現状を復興させるためには、やはり厖大なこの收支のバランスということを考えないで、建設費用が多分に要るということは明らかなんであります。先程ここで言われた方にも、民営にすれば、能率が上るというお話もありましたが、民営にするということは、結局今の採算に尚利潤を加えなければ民営は成り立たない。從つて民営の場合にはもつと料金が上るだろう。料金が上らなければ必ずこの採算のとれる地域に偏在する。從つてこの民営ということは、恐らく考えられないし、現在の、この郵便或いは通信事業を管理しておるのはいわゆる官廰でありまして、この会計に赤字が出ておる原因は、勿論政府に言われせば人が余つておるとか何とかいうようでありますが、根本的にいつて赤字の出ておる原因は、この官僚が本当の経営者に適していないのじやないか。常に郵便料金や何かの問題が取上げられると、直ぐに給料の問題が出るんですが、これよりももつと根本的に言つたら、経営の面に当つて、適任者が経営に当つていないということが根本じやないかと思うのであります。これは從つて経営者に民間の者を登用して、民間的な頭で経営させるということは先ず根本ではないか。  それから先程言われた方との重複にもなりますが、今言つたような特別の仕事をしなければこの通信事業が復興しないという点から考えますならば、当然これは何らか他の財源に求めなければならない。この場合には当然公債以上にはない、いわゆる事業公債以外にこの財源を求めることはできない。こういう結論になるのじやないかと思います。  全面的な通信事業の復興が文化や産業の復興の先端に立つということは当然なことでありまして、現在いわゆる戰災地域は、電話の既得権の確保と称しまして、動かない電話、通じない電話をそのまま権利金を出して確保しておる。それがために当然引けるべき電話を有効に使えないで、そのまま退職してしまつておるというよう現状であります。これは結局電話が引ける見込がないというところに、こういうよう現象が起つて、必要な方面へ廻らない。そのために産業の復興を著しく阻害しておるのではないかこういうふうに考えられます。これはそういう観念を持たせないためには、やはり先ず再建期において、十分に再建のためにその金を投じてこの事業を採上げて行く。そうして余つた人員、といいましても、この人員というのは、結局復興の部門に幾分携つておるわけです。これを一定收支関係から切離して復興の部面に廻したら、これ程の赤字にはならないわけなんであります。結局現在の過程において、いわゆるこの政府の言う独立採算制というものは産業の妨げになるという虞もあるわけなんであります。又このような利用の対價としての考え方に基いて、つまり收支のバランスという考え方に基いて料金引上げをする場合においては、その利用の度合の多い、一番大きいものは大衆でありますから、この大衆の負担を増大して、結局大衆の実質的な生活費、つまり賃金を切下げるという結果になります。例えば今度の通信事業特別会計の金額が、これは新聞の面をそのまま読みましたので、私は内容は分りませんが、八百九十一億円程度でありますが、この中から一般会計の繰入金の五十億円を差引きますと八百四十一億円、これは國民一人当りの負担として約一千円になるわけです。從つて私共二千九百二十円ベースの者にとつては、家族平均一・五人として計算されるわけです。從つてこの負担額が千五百円、こういうことになります。これは我々が直接負担しておるのではない、こういうふうに言われるかも知れませんが、結局は何かのものに掛かつて、最終的に負担が轉嫁されておるのでありますから、從つて最終負担者はやはり消費者である、こういうことになります。從つてこれを負担しておるのは、最終的な消費者である、我々が負担しておるのだ、從つて目に見えなくとも何かの中に織込まれて千五百円は私共は負担しておるのだと、こういう結論になると思うのであります。これは決して私共の生活から言いますと小さな数字ではなくして、たかが通信というこの問題でもすでに二千九百二十円ベースの中の四%を占めることになるわけなんであります。  又政府はこの値上げで一應赤字の或る程度を埋め得るといたしましても、物價が非常に上つておる今日、或いは不合理の食えないところの賃金を私共に押付けて、当面その不合理を自己瞞着に得ましても、やがて大きな赤字となつてその本当に正しい姿を私共の前に現わすことはそう遠くはないと考えます。  いずれにしろ政府の方策は、大衆の犠牲において通信の復興を図ると、こういう意味以外の何ものもないのであります。これは別の面から申しますならば、現在の政府の税制案に現われておりますところにも明らかな通り、その政策が大衆課税的な性格を持つものでありまして、この通信料金値上げも、この大衆課税と一連の関係にあると、こういうことが申されると思います。  この値上げ反対しますについては財源の問題になりますが、財源は私共税務署職員の目からいたしまして十二分にあります。一般会計の中に十二分にあります。私は歳出の面は申上げません。歳入の面について申上げましても、すでに御存じのように、この前の四月幾日かの新聞に現われておりましたが、会計年度の締括りは四月末日になつております。私共は滯納を整理しまして、四月末日を以て全課税金額を徴收すべく、その全力を挙げて徴收事務に從事したのでありますが、その際に四月末日で大体において政府のいわゆる昨年の一千三百五十億の歳入はもう完遂しておるのです。その外に新聞の傳えるところによりますと、四五十億の剩余金、黒字が出たと、こういうのでありますが、私共の目から見ますと、問題はまだその後にあるのでありまして、現在四月三十日以後五月一日に持越されておる二十二年度の課税年度未徴收高が、私共の税務署における割当額の約一割に達しておる、いわゆるその徴收目標額の一割に達しておるのであります。これだけ未徴收でまだ残つておるわけなんです。これは明らかに昨年中に徴收すればそれだけ予算を上廻つて來收入になるわけなんです。これを私共一税務署の目だけでなく全部で見ましても、恐らく、正確の数字は今ありませんが、私共の感じで今計算しまして約一割あると思います。そうしますと、まあ約百三十億以上のものは昨年においていわゆる本増しをされておるものがあつた筈なんであります。その外に直税のものから言いますと、いわゆる個人の事業所得税、これは課税目標というものが最初に示されております。これに対して達成された、いわゆる徴税を完了された割合は約六割でありますから、大体全國平均を六割と見ましても、四割はまだ課税漏れがある予定なんであります。從いまして所得税七百億の約六割に該当すると考えますと、まだ約四百億乃至四百五十億ある。今まで超過金百三四十億にそれを加えましても、六百億や七百億が優に財源があつて、それが宝の持腐れとなつてつた現状であります。從つてこれは財源はないのではなく、確実にあるわけでありますが、問題は現在の政府がそれだけの、私共の方でいろいろ提案しましても殆んど現場の意見というものを採上げておりません。これは曾て私共の爭議中に政府の方から通牒が出されたのにもありましたが、どんないい策であろうとも、組合側の発案したものは絶対に採らない。政府の案の通りやらないならば、山猫と認める。こういう通牒が出ております。こういうよう考え方から、常に私共の意見というものはもう黙殺されておるのであります。財源の根本の問題はこんなところにあるのだということをもう一度御認識願いたいと思います。
  29. 深水六郎

    委員長深水六郎君) 景山準吉君と岡本寛君はまだ見えておられませんので、齋藤貞次君。
  30. 齋藤貞次

    公述人(齋藤貞次君) 私は埼玉縣の一農村の村会議員であります。村におきまして些か農民運動その他に相当の関心を持つてつている者であります。この度参議院の深水委員長殿におかせられましては、新聞発表によりまして各地方の人民の意見を聽いて、そうしてこの大きい問題である料金値上げに対して発表さして頂くという、この光栄に公述人の一員といたしまして私選定を受けましたるこの喜びは終生忘れ得ない感激であると、この席上よりお礼を申上げます。  先ず私共農村人の見た目といたしまして、先程來から各層の権威者よりいろいろ御意見がございました。併しながら官業たると民業たるとを問わず、苟くも企業性を持つ事業、これはイデオロギー的に題ましても、資本主義或いは社会主義的見地から見ましても、やはり独立採算制を堅持しなければ將來の永遠の事業の発展というものは絶対にないと私は信ずる者であります。一軒の中におきましても、入る出ずるの收支の償わないよう仕事は永続性がない、これは断言できます。現在ソ連においてさえもそうであります。米國においては尚更のことであります。我が國におきましても、この資本主義、社会主義いずれの見地から見ても独立採算制ということは必要なのである。この見地に立脚して、私は料金値上げに対しては賛成ということはいたし兼ねますが、併し今日の終戰以來の歴代内閣の採つて政治の結果として、この破局的なインフレに導いた現在のこの状態下においては、やはり國家経済の均衡という建前から或る程度料金値上げということは、これは止むを得ないということを、私はここで認めざるを得ないのであります。  農村の我々は朝に出て働いて、そうして血の出るような供出を続けながら営々として働いております。それに比べて官業の諸君もよく働いて頂いてはおりますが、まだまだ我々の労働から見たならば軽度のものではないか、我我はひがみではないが思います。我々の見た眼においても、幾分か今日農村の方面において都会よりは惠まれた状況にあるのだから、料金値上げも幾分かいたし方ないというような認定の考え方でなく、國家経済との均衡、こういう状態から認めざるを得ないという立場になつておる、こういうふうに私は一先ず前提を置きます。  それではどういうふうに財源としてこの身代りを生むべきであるか。このことにおきまして、先程來から民営がいいとかいろいろありましたですが、やはりこの國営の独占事業というものは、民営事業と比べて非能率になる、俸給さえ貰つておればその日が通る、たしかに現在の從業員諸君が食えないことは事実であるけれども、非能率であるという譏りはこれは免れ得ないじやないかと私は思います。それではどういうふうにしてこの官僚独占の事業というものも民主的に全人民的な事業にするかということにおきましては、私いろいろ調査して見たところが、全國に一万四千の郵便局のうち一万三千特定郵便局というものがありまして、地方の民間人の有力者がこれを経営しておるのだそうであります。独立採算制にはこの特定郵便局制度を活かしまして、渡切り費的な方法によつて経営して行つたらどうかと考えます。併しながら、ここに一つ從來の管理者がボス的存在として從業員を搾取する、こういつた欠点が生れ易いから、そこにおいて人民管理、こういうものを施行したいと思います。人民管理というものは、私の言うのは各通信官署の規模の大きさにおいて、例えば中央郵便局においては國会議員、或いは地方の府縣の一番大きい局においては都道府縣会議員、更に各地方の集配局、無集配局等小さい局においては市町村会議員等の中から通信運営委員というようなものを選出して、そうして民主的に管理して行けば人民管理を俗に言われる一般の人民の意思の通るような運営が行われるのであると私は考えるのであります。そうして全國の普通局、特定局とあるのを、普通局というものは官僚的であるから、特定局というものにして、民間人を採用いたしまして、そうしてこれに人民管理を施して経営の方を進めて行くならば、例えば一年間に十億の赤字が消えて行きましても、これが更に年度を重ねる度毎にこの赤字は消滅して行くではないかと考えます。併しここにこうして経営合理化して行くことにおいて、從業員諸君を整理するのではないか、こういうような心配が起るのではないかと考えますが、併しまだまだ全逓從業員は不足であると私は考えております。なぜならば今電話の機械の被覆資材等注文するにもこれを他に注文して造つておるに違いありません。從業員配置轉換によつてみずからこれを製造しても、その人員の向け口はあると考えます。そうしてこの全人民的な経営になるところの制度に改正して行けば、やがては赤字は克服できるのではないかと私は考えるのであります。そうして現在米國におきましては四等郵便局、最も簡便な郵便局がありまして、局長一人、從業員一人というような小さい局だそうであります。これらは最も能率的に簡單に開設して、地方の通信文化に貢献しておるそうであります。これらの制度は更に現在ソ連あたりにおきましては、この事業の出來高によつて、ノルマル制と申しましようか、能率によつて賃金を與えておる、こういつた方向から見まして、一通信官署に対して、事務量等により一ケ年の経費を支給して、それは管理者が搾取することなしに、從業員がその経費を分ち合うと、例えば十人で働いたものは、八人で一定の経費を分ち合えば、余計に貰える。労働基準法といつた法はありますが、これは納得の上ならば、ここに土橋委員長もお出でですが、或いは本人が進んでやつて見るというならば、違反ではないと私は考えております。こういつた能率的な経営方法を採用すること。  以上簡單に申上げました。私は郵便赤字を克服する第一段の過程といたしましては、官僚非能率的な仕事を排して、民主的な局の制度に改革することによつて、幾分でも赤字は克服できる。先程土橋さんから、澁川の局で七八万円で局舎を買えた、ところ官僚であるから、これを四の五の言つてるうちに、外に買われてしまつた、こういつた能率は一部分で、私共の部内の権威のある土橋さんも申しておるので一部分であつて、更にこれが重なる合つて、全國においては大きなロスをしているのではないか。私は農村人の一青年の狭い視野から見て考える者であります。どうか能率的な局に、そうして、その一年の経費は、操取のないように、從業員で分ち合う、それは八人でやるともよい、或いは五人でやるともいい、從業員が納得の上で、そうして民主的に経営することによつて、この料金値上げも今回の措置としては、幾分は認めざるを得ない。併し逐年において解消するものであると私は確信いたしまして、今日これで終りたいと思います。
  31. 深水六郎

    委員長深水六郎君) 近藤吉雄君。
  32. 近藤吉雄

    公述人(近藤吉雄君) 私は日本出版協会常務理事をいたしております近藤と申します。本日この機会を與えられましたことは深く感謝いたします。  私は今次のこの郵便料の値上げにつきましては、原則的に反対を表示する者であります。その第一の理由といたしましては、これは前公述人が縷々申述べられましたところでありますけれども、結局これは大衆課税であるという点であります。その詳細につきましては省略いたしまするが、この点この郵便値上げに対する反対の眼目であります。  それから次は、この郵便値上げのもたらすインフレーシヨンの高進という問題であります。これにつきましては、やはり前公述人において、縷述されておりますので、私はここに改めて繰返しませんが、郵便料が値上げされることによつて、それは所詮それを供給する方において、郵便料の値上げを勘案して物價高騰というような要素をなすのでありますので、自然これが需要者に及んで、インフレーシヨンの高進に拍車を掛けるということは明らかな事実であります。この意味において、郵便料の値上げについては私は反対意味を表明する者であります。  第三には、この郵便値上げがもたらすところの文化的な面における影響であります。と申しますることは、私は出版に関係を持つております者でありまするし、かねてこの全國の通信教育の事業についてのお世話をいたしておる者であります。出版の読者と申しますれば、これはもう不特定、多数、幾千万というものであります。なかんづくこの通信教育を受けております者のみでも、これは國家の社会教育の一環として取上げられまして、文部省において通信教育を支援助成するということになり、民間においては既往六十年間通信教育について、いろいろ社会的な貢献をなして参つておりますが、これ亦機百万の勤労青少年が教育されているわけであります。この人々に対しましてこの郵便値上げがもたらす影響というものは実に大きいものであります。極めて卑近な例でありますけれども、若しここに五十円の書物を地方において購読せよといつた場合には、今度の政府原案に基いて計算いたしますると、これを申込む場合の小爲替料が十円、それから書留書状が二十五円、書籍の書留小包料金が四十円、合計すると七十五円という料率になるわけであります。五十円の書物に七十五円の郵便料を拂わなければ、地方においては自分の好む書物を手に入れることができないということは、正にこれ極端に申しますれば、文化的な自殺行爲であります。こういうことが由因いたしまして、地方の勤労青少年は自分の好む読書をすらすることができないというようなことに相成りますし、この結果といたしましては、書物が自然都市に集中される、そういう高額な料率を必要としない都市に集中されるというよう意味におきまして、書物が都市に偏在する、それは必然的な文化の偏在である。日本の文化の跋行的な傾向をもたらすゆえんであるのであります。これは極めて單なる一例でありますけれども、委員各位が特に一つ念慮を置いて頂きたい点であるのであります。單なる郵便料の値上げということでありまするけれども、日本全國に及ぼすこの影響たるや、今の文化の一断面を申出るだけにおいても非常に大きな影響を及ぼすのであります。この日本文化の高揚のために大なる阻害を來すという趣旨において、私はこの郵便料の値上げ反対するわけであります。  一体この民主政治は、いわば納得政治とでも申しますか、皆が納得して負担をするということに、民主政治の良さがあると私は思うのであります。この納得政治という建前から、郵便値上げの点を考えて見ますると、一兆九千億というような國民所得を考えられ、そのうちの九千億乃至一兆億円が闇の所得であつて、その残余の約一兆億が國民所得、即ち約半分が闇の所得であると称せられておるのでありますが、その闇の所得である九千億乃至一兆に及ぶような闇所得に対して、これを補促し得ずして、そうして今申上げるような諸多の惡條件を持つ郵便料の願上げがここに断行せられるということは、納得の行く政治ではないのであります。國民大衆が納得する政治ではないと思うのであります。かよう意味において、私は政府がこの郵便料にしても、運賃にしても、値上げによつて財政を賄うというような安易な方法を取らず、極めて合理的なる議論、合理的なる方法を以て、收支償わせるという点に特段の考慮を拂われたいということを私は切言するわけであります。  それは結局大衆に課税するという点は十分に考慮し、相叶うべくは、みずから生産する、みずから生み出すという建前に十分の考慮を拂われたい。例えばこの郵便料金値上げに対しましても、積極的にこれを解決する面と、消極的にこれを処理する面と両面あると思いますが、仮に積極的にこれを処理するという場合に、法律上の言葉で、権利の上に眠るものは保護せずと申しておりますが、丁度こういう財政の面において、求め得べきものを求めずして眠つておるというような、そういう事例が多々ありはしないか、收納し得べき財源を看過して、そうして放任して置くというような点が多々ありはしないか、こういうことを思うのであります。これは先程來土橋さんがおつしやつて見えた郵便の、逓信省関係においてだけでも、電信とか、電話とかいうものの電柱、それから局舍における廣告権の設置というような点を挙げておつたのでありますが、これは私は誠に惜しい財源だと思うのであります。この電信電話柱、ポスト函、局舍等の造営物に対する合理的且つ有効適切なる廣告の設置ということは決して鮮少なものではない。先程私は概算しましたが、二十五億乃至三十億円はこれ直ちに予算し得ると思うのであります。最近電話の納入告知書の下の方に清朝体の廣告を取つてある。印象的な廣告を取つてある。これは電話の納入告知書でありますから片々たるものでありますけれども、そういうような廣告を取るということに着眼せられることが私は非常に喜ばしいことだと思う。恐らくこれによつて電話告知書、電話料の告知書の印刷とか、紙代とかは收納に対する廣告料から浮いて來ると思う。これは極めて一つの例でありますけれども、そういうようなことが、逓信関係において多々ある。例えば振替貯金の通知書、それから電話その他逓信省において收納せられるものの告知書というようなものに廣告を出すことは当然考えられて然るべきことと思う。いま一つここに提案いたしたいと思いますことは、有料廣告郵便ということであります。これは不特定人に対する廣告郵便でありますので、特に配達人が段階の意を用いることなくして、不特定な人々に配付する。曾てこれは試みられたように思いますが、不特定人に対する有料廣告を設置されたならば、新設されたならば、これは莫大な費用になるのであります。これは元來この税金というものは強制して取るという建前ですが、つまり強制して取るよりも、自分から進んで希望して納めて來るというようなふうに導いて行きたいということを私は思つておる。廣告などは、自分から進んで、こういうものに廣告すれば、こういうような普及ができるというような建前から、それに対する料率は喜んで納める。こういうよう考えである。從つて今私の申上げた有料広告郵便というものは、相当活用範囲が廣いということを確信を持つて申上げられる。これを新聞に折込むとか、いろいろ試みたことがありますけれども、郵便にこれを活用するということになりますると、頂きましたこの資料の中にありますが、第一表に、昭和九年に一〇〇の郵便取扱部数、昭和九年に一〇〇の指数のものが昭和十九年には一三四、昭和二十三年には九三になつております。これは百九十八億八万一千余通になつておるわけであります。こういうような測算は許されないかも知れませんが、若しこれに二円の料金を取るということにいたしましたならば、全体をこれに計算するということは少しく暴でありますけれども、仮にそういたしましたならば三百九十七億万円、これを一円五十銭としたならば二百九十七億万円というような厖大な金額になるのであります。これは廣告依頼者に適当な寸法によつて葉書大ならば葉書大の廣告を作らせる、それは全部廣告者に持たせる、それを配達人が配つてやる、郵便を配ると共に配つてやるということによつて廣告の目的を達せられるのであります。今度の上げられた料率の葉書二円でも結構ですし、封書ならば五円でも結構、そういう建前で配達する場合に、郵便物に附けてそうして廣告有料郵便ということをやつたならば相当な額になる、こう思うのであります。これについては從業員各位の負担過重ということになりまするが、この点は從業員の方の数の推移というものが、昭和九年に一〇〇であつたものが、十九年には一二八、二十三年には一五〇と、つまり五〇%の増加になつております。これは戰後の現象として能率は低下する、或いは施設が荒廃しておるというような悪條件はありますけれども、何とか從業員の方々の中で自発的に、或いは逓信省において特段の考慮を拂われたならば、これは合理的に動く、そうして相当な予算として勘案し得るではないかと思うのであります。消費的な方法といたしましては、経営合理化とか或いは行政整理とか從業員の配置轉換とか多々ございます。このことにつきましては前公述人においてそれぞれ論ぜられたことでありまするので省略いたしまするが、本公述人の特殊的な立場について最後に若干申述べさして頂きたいと思う。  それは只今申上げますように、日本が將來に向つて戰爭を放棄して平和日本として立つという建前においては、文化的な面に相当考慮が拂われなければならんということを私はここに強く申上げたい。平和日本として立つ上においては、これの基盤をなすところの社会教育というものが高揚されなければならない。その社会教育の基盤であるところの新聞とか、雜誌とか、教科書とか、図書とかいつたものについて特段の考慮を拂われることは、私からお願いするまでもなく当然の帰結だろうと思う。その新聞とか或いは雜誌とかいうものの取扱いについて、今度の郵便料の値上げは非常に大きな関係を持つのであります。最初に私が文化的な立場において反対すると申上げたのでありますが、この郵便料の値上げによつて、新聞、雜誌或いは教科書、一般書籍というものの地方頒布が如何に阻害されるかということは先程申上げた一例によつても明らかな次第であります。特にこの料率変更の点において、逓信次官のお話では、その出版文化の高揚、延いては日本文化の高進のために、特にこの出版物に対しては、第四種便或いは第三種便においては、他の比較して低率の二三倍に止めたというお話がありました。この点政府当局におかれて、それだけでもお考えを頂けておるということは、私共としては甚だ有難いことでありまするけれども、最近の実状といたしましては、第四種便というものは、料率制限の関係で余り使われていない、小包郵便が多く使われて、而もその小包郵便が書留でなければ安全を期し得られないという実状でありまする意味において、私はこの料率変更の場合に、特にこの書留或いは小包というよう料金においては、現状のままを保持して頂きたい。更に一歩進んで社会教育の普及という建前において、新聞と雜誌は何ら違いはない、この意味において両者が第三種扱いであるならば、更にこれにこの一般書籍つまり社会教育上の教科書であるところの一般書籍、これも第三種便に包含して頂きたいということを願い出ておる次第であります。これは郵便法の改正とか、いろいろ技術的なむずかしいこともありまするけれども、文化を高揚するがための社会教育の基盤であるところの新聞、雜誌、一般書籍、教科書というものは一括して第三種便として特別扱いをして頂きたいということを申出ておる次第であります。こういうことのために、特に歳入減になるかといいますと、決してそういうことではなくして、今の高い料率にこれが変更された場合に、購買力を減殺して、そうしてその文化を都市に偏在せしめる、そういう跛行的な傾向から考えますると、料率を低くして全國的にこれを普遍、瀰漫させるということの方が、結果においては收納増になる、これは明らかな事実であります。かてて加えて、先程來私の申上げまするような積極的な收納増加を図り、つまり増收を図るという途をお考え頂きましたならば、今私が特殊的な立場において申出ることのごときは、九牛の一毛と申上げては余りに小さく申上げまするかも知れませんけれども、とにかく電信電話に対する廣告とか、或いは図書による廣告、郵便局から出されるものの廣告、乃至は有料郵便の廣告といつたようなことについて、今私の申上げたことは何ら困難なく行けることと信じておる次第でございます。どうかこの点は結構として申上げますが、インフレーシヨンの高進とか、或いは一般大衆課税とか、郵便もさることながら、日本の文化を高揚する社会教育の基礎を培うという建前においては、是非この郵便料の値上げについて特段なる緩和を拂われて、委員各位におかせられまして、これの全面的な再檢討をお願い申上げたいと思うのであります。甚だ手前勝手なことを申したのでありますけれども、一出版、一通信教育の立場に立つて申上げておるのではなくして、それが日本全國の及ぼす影響の多大なる点に私は特に思いをいたしてこのことを申上げる次第であります。  甚だ恐縮ですが、最後に一言附け加えさして頂きたいのは巷間、出版物がエロ、グロということにおいて、あのために一般社会を蠹毒することが甚だしい。出版に関係ある者が、ああしたものを店頭に汎濫させて置いて、郵便料についてのいろいろな問題を論ずるということは、おこの沙汰であるというような御批評を受ける向があります。この点については私共は痛切に感じておる。エロ、グロ出版物によつて蠹毒されることは非常に大きい。そのために私共は出版協会においては勿論、GHQ、CIEの強力な示唆に基いて、或いは檢察当局の協力を以て、ここ半年を出でずして恐らくこの市場にエロ、グロ雜誌、エロ、グロ出版物の減殺を図り得るという確信を持つて着々進めております。出版綱領実踐委員会というようなものを作つて、着々実踐に移つております。どうかこの点は私共に御信頼頂きまして、そうしてそれがために出版文化の高揚に、エロ、グロ雜誌のためにそのことを阻害されるというようなことのないように特に私はお願い申上げたいと思うのであります。長時間に亘りまして甚だ有難うございました。
  33. 深水六郎

    委員長深水六郎君) 須賀運太郎君。
  34. 須賀運太郎

    公述人(須賀運太郎君) 私は千葉の一農村人であります。官吏として六年間勤めております。  政府提案の郵便電信電話料金値上げは、少いながらも私は賛意を表明するのであります。私は千葉縣で地形に惠まれておる関係上も多分にあるとは思いますが、一應四倍という料金反対でありますが、少いながらも二倍ぐらいで止めて頂きたいと思うのです。現在の人件費及び物件費等と対照して、何の物價にしても百倍を越えないものはないのであります。甚だしいやつは百五六十倍にも飛んでおるのであります。昭和二十二年度の通信料金の國民一人当りの平均としては、十四円何がしであるとか最近の新聞に出ておつたのであります。更に現在の物價に比べて通信料金がこんなに低いであつたろうかと、私も随分この点について考えたのでありますが、先ず私が申上げたいことは、現在の逓信從業員にもう少し自覺を持つて頂きたいのです。本日の公聽会に御招待に預つた電報も、こちらでお打ちになつたのは昨日の午前十時でありましたが、電報が参つたのは今朝の午前八時半、これも東京と千葉縣でありながら、どうしてこんなに時間を要するのであろうか、これは東京の中電から自分の所は柏中継になつておると思うのですが、一日を要するような電報では到底役に立たない。電報は随分あると思うのです。これが東京と九州及び北海道に発著する電報であつたら一年に役に立たない電報が、無駄な電報ですね、どのくらいあるか教え得ないと思うのです。通信料金値上げをされては大きい打撃を受けるのは、これは一々自分も分つておるのでありますが、もう少し現在の逓信從業員に認識をして頂きたい。これが私の考えであります。  結論的に申しますと、少いながらも通信料金は二倍に上げて、正確な事業の運行をして頂きたい。あとの二倍の財政は悪質な闇屋からこれを引上げようお願いしたいと思うのであります。それで現在二千九百二十円ベースというものを我々官吏は貰つておるのでありますが、政府発表して直ちにこれが実現されない。それで組合の方がストをやると、これは山猫爭議であるとか何とか政府からは否認されるのであります。この実現できない、政府発表して政府の実現できない期間、その間政府としては何をやつておるのか。政府の山猫爭議とも我々言いたいくらいなんです。大衆の許す範囲において、通信の料金値上げを行なつてつて、あとの財源の許す範囲を國家の方でやつて頂きたいと思うのでありますが、現在はこういう本でありながらも百倍には上つておると思うのです。昔は三十銭くらいで買えたのが、今はこれは七十円から八十円金が掛かると思うのです。こんな方面から見ても通信の現在の五十銭葉書、これは少いと思うのです。現在政府が案を立てておる料金値上げについては反対であります。二倍くらいの料金値上げは私は賛成をしたいのです。  以上簡單な私の意見といたします。
  35. 深水六郎

    委員長深水六郎君) 景山準吉君が見えられましたから……、景山君。
  36. 景山準吉

    公述人(景山準吉君) 今の方と同じように、実は私電報が到着していないのであります。電話で連絡がありましたものですから、今工場から駈付けて來た次第でありまして、皆樣の御意見を伺わないで自分のことをずつと申上げますので、或いは二重になるかも知れません。  結論として私これを是認いたします。その理由は、現在の日本通信事業一般、殊に日本通信事業におきましては、郵便におきましても、亦最も機械化されておると言われておりまする電話におきましても、非常に人間に頼ることが多いのであります。恐らく電話におきましては、アメリカにおきまして從業員一人に対し五十の電話を持つておるのに対して、日本ではせいぜい十を持ち得ない程度であります。從つて非常に人間に頼つておるというのが現在の日本通信事業だと思います。第二には、私達が見ましていろいろ言いたいことがあるのですが、労働基準法というものが実施されております。議会でもすでに協賛になつております。労働基準法に照して見ますと、これは後に少し申上げますが、或る程度の人間を減らすことができるかも知れませんが、相当な人間が必要だあります。その次に、現在問題になつておりまする三千七百円ベース、これは公平にいいまして、これよりも値段を上げて呉れ、或いは給料を上げろということを私申しませんが、この給料を更に下げろということは、我々國民として同じ勤労階級に属する者として言い兼ねる次第であります。第四には。通信事業というものにつきましては、これは利用者の負担すべきものであります。最近通信事業利用者で負担することを以て大衆課税であるというようなことを言う人がある、これは非常な間違いであります。現在通信料金を一番沢山支拂うものは大きな会社であります。大きな商店であります。一般國民の負担する料金というものは極めて少いのであります。從つて若し通信料金一般の課税であるといたしますれば、我々が非常に多くの負担をいたしまして、会社なり大商店なりを助けるということになるのであります。今日の租税体系を見ますと、即ち租税の大半というものは所得税であります。所得税の大半は我々の勤労者の税金であります。從つて一般会計で全部これを負担しろとかいうような議論は、口ではそういうことを言いましても、実際上はこれは我々の勤労階級にとりまして大なる負担を強いるものであります。つまり日本通信事業が、非常に沢山の人数に依存しておるということ、それから労働基準法という認められた法律によりまして或る程度の人間が必要である、又三千七百円べースというものはこれを引上げろということは勤労階級として言い得ないことであります。同時の料金といいまするものはこれを使う者が支拂うべきものである、これにつきましては後程多少申しますが、原則といたしましては利用者負担である、その四点から計算いたしますると、まず不満足ではありまするけれども、今度の通信料金引上げというものは是認せざるを得ないのであります。  第二には、それでは如何なる率を以て可とするかというのであります。全体的に……只今御配付になりましたものを見てみますると、この表によつて拜見いたしましても分るのでありまするが、全体の物價と、それから今度引上げになる通信料金というものがほぼ平行しておるのであります。この出ておりまする物價といいまするものはこれは公定の数字でありまして、恐らく我々で手に入れる物價はこれ以上であります。從つてこの度引上げらるべき通信料金というものが先ず物價よりも高くはないと思うのであります。こういう文化的な通信料金一般物價よりも高いということになりますればこれは問題でありますが、先ず先ず一般料金と平行或いはそれ以下であれば辛抱すべきじやないかと、こう思うのであります。その次は國民所得であります。この御配付頂きました通信料金関係参考資料の第六表によりますると、我々がすべて基準にいたすべき昭和十二年、昭和二十三年、これを見てみますると、昭和十二年におきましては通信料金收入が國民所得の二・三三であります。ところが昭和二十三年には國民所得の一・五六であります。言葉を換えてみますると、我々の所得額におきまして通信料金として支拂うべきものは、今度の引上によりましても多いとは言えないと思うのであります。その次は、同じく頂戴いたしました第七表以下の都市の生計比較でありますが、これを見ましても、通信料金といたしまして我々が負担すべきものは極めて僅少であります。この三点からいたしまして私は今度の引上げくらいでいいのじやないかと思うのであります。ただここで一点疑問の点があるのであります。それは大体四倍乃至……電報料金はたしか五倍になつていると思うのですが、五倍に上つておる。電話の方は通話料は二倍になつておりますが、こういう工合に前に決めました料金を機械的にほぼ四倍に上げるように、そういう工合に世の中の情勢が平等に変化しているかどうかという問題であります。ですから、この料金引上げ方が郵便電信電話事業別の数字から行きまして、果して妥当なりや否やという点について多少疑義を持つております。併し全体からみましてこれは是認していいと思います。  ただ、ここで政府当局に対して、この議会の方で御主張下されば非常にいいと思うことを申上げます。それは第一は、先程申しましたように、日本通信事業郵便はもとよりですが、電信電話に至りますまで非常に入力に頼つております。これを機械化して頂きたいと思います。同時に現在機械化いたしました通信の設備をもう少し補修をよくして頂きたい。電話を掛けても半分しか掛らなかつたり、こつちが掛かる日は向うが掛からない、向うが掛かる日はこつちが掛からないというようなことは困るのでありまして、機械化して頂きたい。それから第二は、基準法によれば、これだけの人間が要るということを政府は御発表になつております。併しながら果して基準法通り働いているかどうか、この点についてお考えを廻らして頂きたいと思うのであります。率直に申上げますと、若し今やつておいでになるような人が工場へ來て頂きましたならば、翌日から欠勤とは言えませんが、遅刻、それからその日の働き工合によりましてどんどん給料を減らされて行くことになるのであります。ですから基準法で拘束八時間、実働七時間、その実働七時間を実際に働いておるかどうか。それを働いて頂きませんと、我々國民は非常に苦しんで、そうしてお役人の方々に対してそれをお養いするという責務を持つていないのであります。我々が主権者でありまして、通信事業の從業員、経営者という者は、むしろ主権者に使われている公僕でありますから、そのつもりでやつて頂きたいと思います。その次は時間通り働くか、働かんかという問題ではないのでありますが、時間中においても十分に創意工夫を廻らし、能率を発揮しているかというわけであります。ただ務めておればいいということでなしに、非常に能率を発揮するように創意工夫を廻らして頂きたい、こう思うのであります。私は何もこの機械化することにより、或いは基準法通りに時間一ぱい働き、創意工夫を廻らし、それによつて人間が浮くから、それで人間を減らすとか、或いは給料をどうするというけちな考えは持つていないのであります。と申しますのは、恐らくこの通信料金引上げによりまして、一時通信の取扱うべき数量は減るだろうと思うのであります。併しながら我々は直派これに慣れてしますますから、再び数量も殖え、又文化の進展に伴いまして数量が殖えて來ると思うのであります。その数量が殖えましたときに、又人を殖やして呉れというようなことを政府の方で言つて貰いたくないのであります。それと同時に配置轉換、その他の点は非常にむずかしいと思いますが、少くとも一年に何万、或いは何千と出る欠員だけは補充を止めて頂きたいと思うのであります。部数の増加に伴う取扱い、数量の増加に伴い人間を殖やさないと同時に、欠員を埋めないということにして頂きたいと思うのであります。それはどういうわけかと申しますと、三千七百円ベースというものは、現在の情勢では維持できないと思うのであります。この三千七百円がもつと安くなりますということになれば、お互いに働いておる者は非常に嬉しいわけでありますが、そうは行かないだろうと思います。現に政府に対して全官公は五千百円か二百円か要求をいたしておりますが、そういう場合に又料金引上げて、國民の負担を増して、給料を拂うというようなことは止めて頂きまして、できるだけ人を殖やさないように機械化いたしまして、それだけのものの浮いたもので賄つて頂きたい。我我の会社の経驗によりますると、人間を一割減らしますると、それに附随いたしました経費その他で一割五分は優に浮くのであります。官廳でも恐らく同じだろうと思います。そうして頂きたいと思います。  それからもう一点申し上げて置きたいのは、この料金が止むを得ないものであり、これくらいでいいとは申しますが、これでやつても、政府発表を読んで見ますと、尚且つ非常に赤字だそうでありまして、これは一般会計に要求するという話であります、私は或る程度一般会計に要求していいという議論を持つております。と申しまするのは、電話のごとき非常に便利なものは別でありまして、いささか贅沢品とは言いませんが、贅沢的なものは別でありますが、少くとも郵便電信だけは、日本の津々浦々まで配達ができるようにして頂きたいと思うのであります。勿論東京において一日に三回、五回配達するのと、田舎において毎日一回ずつ配達するということにおきまして、その場合においては、むしろ田舎の方がサービスがいいかも知れません。併しながら東京のサービスがいいかといえば、いいのじやありませんから、田舎のサービスを或る程度落すにいたしましても、又郵便なり電報を配達するのに特別の料金をお取りになるにいたしましても、それだけの実費を國民から徴收するということは、これは悪いことだと思うのであります。國民として生活いたしておりまする以上、殊に文化國家でありまする以上は、郵便電信だけは如何なる所におきましても、最低の生活の手段でありまして、最低の交通の手段でありますから、これは或る程度経済でもやつて頂きたいと思います。從いましてこの場合にどの程度において不経済であり、どの程度において收支が合わないということは御採算になりまして、その部分だけは一般会計から補給を受ければいいと思うが、その額が十億になるか二十億になりますか、それは政府の方で御算定になつたらいいと思うのであります。ですから通信料金赤字ができたら、それを全部赤字を消すべく國民の負担によつてこの料金を上げなければならんという議論は、原則としては成立つかも知れませんが、やはり通信の本当の意味に徹しますと、仮に不経済なものでありましても、文化的に見てやつて頂かなければならん。こういう点から見て、或る程度一般会計負担してもいいのじやないか、こういう議論を持つております、繰返して申しますと、私は本案を是認いたします。
  37. 深水六郎

    委員長深水六郎君) これで公述人公述終つたわけでございますが、引続いて質疑に移りたいと思いますから、御質問の方は順次御発言を願います。
  38. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 石川さんにちよつとお尋ねしたいのですが、あなたがおつしやつた点についての反対論の中で、大体物價値上げの七〇%見当つたらば、これは是認してもいいということをおつしやつておられたが、そうなりますと、今度の物價改訂で七割を値上げをする。それに対して通信料値上げしてもよろしいということをお認めになれば、先程景山さんがおつしやつたように國民所得の割合において、昭和十二年当時から比べて却つて率が低くなつておるというよう値上げ方ならば、それもよろしいのではないかという一つの法則が出ますが、それに対してはどういうお考えになつておられるか。  それからもう一つ経営に対しては民間人を登用すれば非常によろしい。大変これは結構なお話ですが、あなたが前におつしやつておられます説の中で、独立採算制赤字になるというようなことを強くおつしやつておられた。そうしますと、民間人というものは、経営というものに対しては、勿論收支のバランスを取るということが目的で経営するということは当然であります。こういう点につきまして、何の面に民間人を登用されるかという矛盾が來ますが、この点について所見を一つ発表願いたいと思います。
  39. 石川榮一

    公述人(石川榮一君) 今の点ちよつと私の言い方が悪かつたのか、或いはお聞き違いかと思うのですが、私はこういうふうに申上げたつもりであります。七割の問題はですね、全面的に私は反対しております。併し若し政府物價の今度の公定の引上げの七割の限度内に止めるというならば、まだそこにも合理性があると言えるかも知れないと、賛成した意味ではありません。そういう意味で私は先程申し上げました。  それから民間人の登用という問題は、私共現場の点からいいましても、私共殆んど事務が半分、統計事務が半分なんであります。この統計事務というものは、これは全國的に、大藏省ばかりでなく、各官廳から集めたものが統計局の資料になつておると思いますが、こういつたよう統計事務が半分のために多くの人手を費しておる、本当の仕事ができない。而もこの統計というものの意味は、一般の人が知られた外に、官廳自体が自分の官廳内における統計の事実から考えて、いろいろ反省すべき経営の面がありはしないか。要するに経営者としての中央官僚は立場がある。それにも拘わらず殆んど統計官廳の代行機関みたいに恐らくなつているのが現況なのであります。この統計を集めることに躍起となるよりも、もう少し経営の面に働けるようにして貰いたいのであります。併しやはり士族の商法で、役人の頭というものは恐らくそこまで行かないで、問題は何か内部の機構の問題を考えても、いわゆるデスク・プランに終つてしまうというような傾向が強いと思います。そういう意味でこういうところを能率的にやるのは、やはり民間の方がよろしいと思います。それで経営の方法やなんかについては、機構やなんかを実際に即したように変えて行くというような点で、十分に民間の人を登用して、その意見を取上げたらどうかと、こういうのが私の先程の議論の趣旨なのであります。若し只今の御質問のようにお聽取りになられたのでしたら、そういうふうに御訂正願いたいと思います。
  40. 油井賢太郎

    ○油井賢太郎君 もう一つ伺いますが、そうしますと一般会計における通信料の割合というものが殖えるということは、大衆課税であるというようなお話でしたが、どなたかからもお話があつた通り日本の今までの財政というものは、大体所得税において賄うという場合に、通信料赤字というものはやはり一般会計で補うということになれば、それが廻り廻つて大衆の負担となるという点については、あなたは大藏省に御勤務になつておられる專門家でありますから、その点についての御見解を一つ発表して頂きたいと思います。
  41. 石川榮一

    公述人(石川榮一君) 只今の御質問でありますが、これはまあ廻り廻つて大衆の懷ろへやはり響くということは事実でありますが、これは税制の問題になりますが、現在の税制、殊に日本のずつと來ておる税制ですね、これは所得税を中心にした体系ででき上つておるわけなのであります。即ち間接税その他の、今度出ております取引高税のようなものにしましても、これは殆んど補完税というよう意味合なのでありますから、從つて補完税においても或る一定の目安を取つて、その目安に対していわゆる平均の率を求めるのが今まで採られて來た方式なのであります。これは補完税の性質上止むを得ない方法なのでありますが、所得税はそれと逆に個人の單課税を中心にした集合した形の收入に対して課税する仕組になつておりますから、從つて應能負担の原則をこの制度の上にはつきりましておりまして、いわゆる階級税率を採つておるのであります。この階級税率の観点からいいましても、これを一般会計の方からこの差額を補充する、いわゆる繰入れをするという場合は、この應能負担によつて、大所得者が多分に割前を出すという結論になるわけであります。この意味から私はこの一般会計の方から多く補充して、一般の利用度合の高い……利用の対價というよう考え方を結局取去つて頂きたい。これは間接税が元來奢侈品を主としまして、そうして所得捕捉の方法として取上げられたものであります。今日財源の問題に絡みまして、もう一つ徴税技術の低下、これは御承知のいわゆる今まで千八百円ベースでありましたが、今度二千九百二十円ベースになりました。これでは到底私共食べていかれません。食べて行かれないがために、いわゆるこういう言葉で表現することもちよつとおかしいのですが、私は昨年非戰災者税の公聽会におきましても一應申上げて置きましたが、中央官吏はつぶしがきくのであります。率直に申上げますと、そういうことなのであります。官廳に若干奉職しますと、その経驗を基礎にしまして会社あたりにでも行くことができる。この場合は特別の待遇になるのが通例なんであります。從つて五年乃至七年、最も税界において必要なのは、この年限が一番必要なものでありますが、この者の大体会社に買收されて参ります。そのために税務官廳においても、大体平均勤務年数は二年何がしになるわけでありますが、今度新らしく人が入りましたので、余計低下したおるような事情なのであります。この二年乃至二年半に人達を以て補足するということは、今日の経済機構は御承知の通りいろいろ複雜になつておりますので、なかなかできません。それで政府はこの技術を改善するということは二の次にしまして、最も取易い面、取易い面ということで、現在一生懸命補完税を引上げて見たり、新税を作つて、大体技術を要しない方面に傾いておるということは、もうこれはこの頃出ております税法を御覧になれば分るのじやないかと思います。私共が申上げたいのは、この点を根本的に申上げたいのです。こういう態度は改めて、要するに民間へ人が流れないような方法を講じて頂いて、その上で十分にその威力を発揮したならば、こんなふうに税制でも何でも複雜にしなくても済むわけでありますし、又こういうよう一般会計から特別会計へ補給する場合の財源も多分にあるのだ、こういうことを私共は申上げたいのです。今ので御質問の答弁に合いますか合いませんか存じませんが、一應申上げました。
  42. 千葉信

    ○千葉信君 ちよつと景山さんにお伺いいたしたいと思います。先程あなたがおつしやいましたように、この料金値上げの根本的な考え方として、受益者負担であるから、これは自分として正しいと思うと、こういう御意見は分りましたが、ただそのお話の中で、地方における人口の非常に少い地方なんかに対する施設としては、これは公益的な性質からやはりやらなければいけない。そういう公共的な施設をする場合には、これは当然一般会計から繰込れてもいいという考え方を自分としては持つている、こういうお話でございましたが、この点において少し食い違いがあると思いますけれども、併しこの場合に、私共はあなたから承りたいことは、それではそういう公共性を持つておる施設に対しては、どの程度一般会計から繰入れるというような具体的なお考えを持つておられるか、その点を一つお伺いしたいということと、それからもう一つは從業員が基準法通り働いておるかどうか甚だ疑問であるというようなお話でございしたが、もう少し強い意味でお話になりましたが、これは一体どういう意味を持つておられるのか。実際の状態から見ますると、大体基準法で示されておりますところよりももつと多く超過勤務などをして、超過勤務手当なんというものが相当政府から支拂われておるようでございますが、これはどういう事実を知つておられて、只今の御発言があつたのかどうか。從つて基準法通りつておるかどうかということのお話の内容が何を意味しておられるのか、その点についてはつきりお答えを承わりたいと思います。
  43. 景山準吉

    公述人(景山準吉君) お答え申上げます。第一の一般会計との関係ですが、私逓信省のこの数字を今拜見いたしたのですが、これはどの程度のものがどうということは言えませんが、常識で考えまして、そういう山間僻地或いは島における配達その他において、一般の二円にいたしました葉書が、北海道の一番端から同じ北海道の端の所まで持つて來るのに引合うわけがないのであります。だれが考えましても、実は特別の辺鄙な所に対しては、郵便を配達しない、電報を配達しないということが許されれば別ですが、併しそういうことは日本としては許されないのですから、そういう所に対して金が掛かるから全然サービスを廃めるというようなことではなしに、或る程度落してもやつて頂かなければならない。それでも尚且つ計算して引合わない所があれば、そういう激しい所だけ、それは一般会計から補給されてもいいのじやないか、こういう考えであります。  それから第二の基準法通り働いておるかどうかという問題ですが、私が申上げましたのは、時間も遅れて働いて、そうして夜勤料を貰つておることも知つております。残業手当を貰つておるのも知つております。併しその時間中にですね、精一ぱい働いておいでになるかどうか。若しも働いておいでにならない面があるなら、それは働いて貰いたい。これは世論ですね、私は現にどこの局でどうしたということは申上げません。たつた一つや二つの例を以て全体を推すことは如何かと思いますが、一般の人はそう言つておるということは、これは否定できない事実だと思います。
  44. 千葉信

    ○千葉信君 最初の方について、ちよつと私のお聞きしたいことと食い違つておるようでございます。あなたのおつしやつておることはよく分つておるのでございますけれども、公企業性としての立場から、只今おつしやるように、どうしても商業主義的な考え方から行けば引合わない部分がある。そういう場合と雖も、この通信事業の場合には公共性の立場からやらなければならないとおつしやることもよく分りますが、ただその場合にあなたは、今度の通信料金値上げの問題に関連して、利益者負担ということが原則的に正しいから、自分はこれに対して賛成するのだという、こういうお話をなさりながら、その後で公共性という立場からの通信事業のあり方ということについても肯定しておられる。その場合にあなたのおつしやるように、それではどういうふうに通信事業の公共性という立場から通信事業が働いておる部分に対する一般会計からの繰入れという行き方を、具体的にはどういうふうに持つておられるか。つまりそういう、あなたのおつしやるような、地方における実情に即して或る一定の金額を一般会計から繰入れるというような方法にお考えなのか。それとももつと抽象的な立場から一般会計に繰入れるということをお考えなのか。その点について御質問申上げておる次第であります。
  45. 景山準吉

    公述人(景山準吉君) 今日の通信事業は、都市におきましても十分なる通信事業であるとは誰も言えないと思うのです。從いまして、この料金引上げによりまして、もつと高く上げるとか、或いは東京とか大阪の方で相当余力が出る。だからそれを廻すというわけに行かない。現在の通信事業の悪さからいつて、現に私が市内に居つても電報は配達して頂けないというところから見ても、そうなんです。そういう点から、どうしても地方のものにつきましては、抽象的にああしろ、こうしろということは私は立たんと思う。逓信省は厖大な一貫したものを持つておる、五十万の人員を置いて、そうして日本の各地に分つておるのですから、数字がありますから、そういう所はどうだということは、これは逓信省の一方の御意見では私は成り立たないと思う。やはり大藏省と御相談になり、議会に出して、或る程例えば四國或いは小笠原島に対しては、それだけ足りない、こういう所はこうなるから、こうしようじやないかという実例をここに挙げて貰つて修正なさる。そうなされば納得する者は納得する。納得しない者は納得しないのではないかという、その意見であります。決して抽象的の考えではありません。
  46. 深水六郎

    委員長深水六郎君) 外に御質問はありませんか。御質疑がなければ、今日の公聽会は閉会したいと思いますが如何でございましようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  47. 深水六郎

    委員長深水六郎君) それでは本日の公聽会はこれで以て終ります。有難うございました。    午後三時二十四分散会  出席者は左の通り。    委員長     深水 六郎君    理事            水橋 藤作君    委員            大野 幸一君            鈴木 清一君            千葉  信君            大島 定吉君            鈴木 順一君            油井賢太郎君            市來 乙彦君            井上なつゑ君            尾崎 行輝君            新谷寅三郎君            堀越 儀郎君            藤田 芳雄君   公述人    時事新報編輯長 有竹 修二君    復興金融金庫理    事       工藤昭四郎君    農業復興会議企    画部長     千石 虎二君    全國逓信從業員    組合中央執行委    員長      土橋 一吉君    東京商工会議所    專務理事    吉坂 俊藏君    税 務 官 吏 石川 榮一君    会  社  員 景山 準吉君    埼玉縣横瀬村議    員       齋藤 貞次君    日本出版協会常    務理事     近藤 吉雄君    官     吏 須賀運太郎君