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1948-04-08 第2回国会 参議院 通信委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年四月八日(木曜日)    午前十一時九分開會   —————————————   本日の會議に付した事件 ○電話加入申込者等公債を引き受  けさせるための臨時措置に關する法  律案内閣送付)   —————————————
  2. 深水六郎

    委員長深水六郎君) それでは只今から通信委員會開きます。電話加入申込者等公債を引き受けさせるための臨時措置に關する法律案、これが豫備審査のためにこちらに參つておりますので、この法律案を議題にいたします。  これは前に提案理由だけの説明を伺つておりまするので、先ず最初政府委員からもう少し敷衍してこの法律案を出された理由等につきお伺いして、それから質疑に入りたいと思います。
  3. 中山次郎

    政府委員中山次郎君) この點につきまして、御説明申上げます。  この法案につきましては、前内閣におきまして、本年の一月二十八日に法律案國會の方に提出さして頂いたのでございます。その後遞信大臣からこの委員會におきまして、提案理由説明を一應申上げたのでございますが、大分日が經つておりますので、又それに敷衍して私から御説明さして頂きたいと思います。  それで先ず最初に、この法律案が今度の新内閣におきまして、やはり御審議をお願いし、實現方を考えておるかどうかという點につきまして、先般三月の二十三日に閣議におきまして、この法律案を新内閣としても議會に御審議願い、實現方を希望しておるかどうかという點について、閣議決定を得まして、やはり是非お願いしたいということに決つた次第でございまして、引續いて御審議をお願いいたしたいと思うのであります。  法律案提案理由につきまして、更に簡單に申上げますと、御承知のように現在國家財政事情によりまして、第一囘國會に提出いたしました昨年度追加豫算の編成に當りましては、一般公債發行額が非常に極度に抑制されました結果、昨年度加入電話新規開通及び戰災復舊に要します費用の全額を一般公債財源によつて賄うことができなくなつたのでございまして、このために昨年十二月以後の電話開通及び復舊は、殆んど全面的にこれを停止しなくてはならない實情に立ち至つてつた次第でございます。併し昨年度はどうにかこうにか工事費豫算を差繰りまして、できるだけ引續いて新規開通復舊に力をいたして參つてつたのであります。併しながら本年度におきましては、當初から豫算がありませんので、非常に因つておる次第でございまして今年度やはり電話増設を行いますにつきましては、是非とも新らしい財源によらなければならんと思うのでありますが、この電話開通の整備は、どうしても本年度におきましても、日本經濟再建上忽かせにできないものでありますと考えるのでありますが、又一面一般利用者方面からも非常に要望が熾烈なのでございまして、この際一般公債によることができない現在におきましては、臨時的の措置といたしまして、是非とも今囘御審議をお願いしておりますこの法律案内容に基きまして、加入電話利用される方々、即ち新規加入申込者又は戰災電話復舊を請求される方々、及び加入電話を新らしく讓り受けた方々から、政府が直接に加入電話架設又は復舊に要する資金を拜借しまして、これによつて加入電話設備の増強を促進いたしたいと考えて、この法律案を提案いたした次第でございます。  次に、法律に規定しております内容は、どういう點が主なものかということを御説明申上げますと、今後の加入電話新規開通は、加入申込者一定額公債をお引受け頂いた場合に限ることといたしたいのであります。現に開通しておる電話を讓り受ける場合におきましても、讓受人は新たに電話利用關係に入つて來るという點からいたしまして、新らしく開通される方と同じように電話公債を引受けて頂くことによつて電話利用を實現するということにいたしたいと思うのであります。併しながら戰災電話及び動員電話で、まだ復舊しないものにつきましては、これは加入權のみで利用實體のないものでありますから、讓受人公債を引受けなくてもよいということにいたしたいと考えておる次第であります。  次に、戰災電話復舊につきましては、加入者電話公債を引受けないものは當分の間はその復舊を繰延べさせて頂きたいと思うのであります。動員電話強制疎開等によりまして、休止中の電話につきましては、この法律施行の後にその電話讓渡があつたもののみにつきまして、加入者電話公債を引受けて頂いて復舊し、引受けて頂けない場合には、その復舊を、繰延べさせて頂きたいと思つておる次第であります。  次に例外といたしまして、國及び地方公共團體地方に供します電話につきましては、これは現在の會計制度その他から言いまして、公債を引受けて頂くよりも、むしろ別途の財源によりまして賄う方が妥當と思われますので、これにつきましては電話公債を引受けずに、一般公債によつてこれを開通させて頂きたいと思つておるわけであります。それから本電話でなしに増設機械につきましても、新たにこれを装置する場合には、加入電話新規開通の場合と同じように請求する加入者電話公債を引受けて頂くことによつて、これを受理いたしたいと思つておるわけであります。  まあ以上が大體電話公債を引受けて頂いて開通したいという範圍でありますが、では電話公債の額はどの程度かということになりますと、加入電話につきましては、最近の六ケ月間の電話新規開通及び戰災復舊に要した經費をその期間内に開通又は復舊しました電話及び讓渡のありました電話總數で除しました額を基準といたしまして、將來の費用の變動特に非常な物價變動というような場合を考慮しまして、會計年度毎に政令で以てこれを定めることにいたしたいと考えておる次第であります。で差當つて本年度におきましては、一加入者電話は大體二萬圓程度に計算が出て來るのじやないかと考えておる次第であります。それから増設機械につきましては、その装置に要する實費基準として定めたいと考えておりますが、その額は設備の規模の大小によつて違いますので、一定してはおりませんが、これは自動なり又は共電式なり磁石式という方式により、又一面その收容します囘線の量によりまして段階を付けまして、一覧表としまして、公債負擔額を決めたいと考えております。  それから、この電話公債の發行條件はどういうふうかと申しますと、無記名證券といたしまして、發行價格は額面百圓につき百圓といたしまして、償還期限は一應十五年以内といたしておりまして、通信特別會計事情の許す限度において、成るべく早く償還申上げたいと思つております。利率は年四分といたしておりまして、利息支拂い方法は毎年一囘支拂わせて頂きたいと思つております。この公債の引受けにつきましては、一般公債でなしに特殊公債にいたしました意味からいたしましても、封鎖支拂いを認めず、現金納入ということにいたしたいと考えております。それから公債及公債を擔保とします貸付金日本銀行で銀行券發行に對する保証に充當することができないようにいたしております。右のように現在發行されておる一般公債と異なる特殊の性質を帶びさせておりますのは、この公債發行特殊性によるところでございまして、大體以上によりまして電話公債のアウト・ラインを申上げたのでありますが、經過的の措置といたしましては、この法律は昨年度内に實は實施する場合を考えておりましたので……。併し現に加入申込を受理はしましたが、まだ開通していない申込が相當ございましたし、又復舊の通知は受取つたが、まだ未開通のものがございましたので、この附則條文を必要といたしておつたのでございます。現在本年度に入りましてからその後極力開通に努力いたしました結果、この法案が通過いたし、施行されます頃には、大體全部消化してしまいまして、申込は受理したがこの公債を負擔させるというような不義理なことはせずに濟むのではないかと思うのであります。從いまして、この附則條文につきましては削除して頂くのが妥當かと思うのでありますが、併しまだ施行期日も未確定でありますし、まだ多少殘つておりますので、一應この條文は殘させて頂いたらと考えておる次第であります。併しこの今申上げました加入申込者の中で、又復舊を希望しております加入者の中で電話開通又は復舊に必要な資材又は勞力を提供して頂いておる方があるのでございまして、その價格はいろいろございますが、一應ある一定額以上に達しております分につきましては、電話公債をお引受け頂かないでも、これを開通したいと考えておる次第でありますが、これも前に御説明申上げましたように殆んどこれは開通いたさしておりますので、これも前に申上げましたと同じように要らない條文化するのではないかと考えておりますが、今のところではやはり殘して頂いて萬全を期したいと考えておる次第であります。大體以上によりまして、概略的の御説明を申上げました。又詳しい點につきましては、御質問によりまして、御説明さして頂きたいと思つております。
  4. 深水六郎

    委員長深水六郎君) それではそれから本法案につきまして質疑を行いたいと思います。御質疑の方はどうぞお願いいたします。
  5. 堀越儀郎

    堀越儀郎君 只今の御説明で大體分りましたが、昨年度豫算は大體四分の一くらいに削られたように記憶しておりますが、その結果昨年度復舊なり新設はどのくらい實現できましたか。
  6. 中山次郎

    政府委員中山次郎君) 昨年度十四億の電話架設豫算を希望いたしたのでありますが、現實には四億程度しか認められませんで、あと十億をこの電話公債によつて賄なおうというふうに考えておつたのであります。その後電話公債案も成定いたしませんでありましたが、一般電話増設の希望が熾烈でありますし、又地面電話の他の工事豫算にも多少この方面に融通付けられる面がございましたので、できる限り融通いたしまして、結局昨年一ケ年におきまして新設されました數が約四萬でございます。それから復舊できましたのが八萬、合計いたしまして約十二萬架設いたしたわけであります。豫算面といたしましては一應十二萬五千豫定しておつたのであります。これだけいろいろな費用を差繰つて實現できたわけでございます。今年度はもうぎりぎりになりまして、年度當初からやはりこの新らしい財源を求めなければ、差繰りではなかなかできにくいというふうに考えております。
  7. 堀越儀郎

    堀越儀郎君 復舊の遲れるのは單に財政事情だけでなく、工事能力或いは機械供給が非常に遲れるというような點がないのでありますか。
  8. 中山次郎

    政府委員中山次郎君) お話のように財源だけでなしに、資材關係、又その中でも特に機械關係、それから一面工事能力というような點からも制限が加えられるのでございますが、大體昨年度實績から見、又今年度豫定しております増設數の大體の範圍内から考えますと、資材關係におきましても賄えるじやないか。それから又工事能力關係からいいましても、只今説明しましたように、昨年度においても十二萬程度できておりますので、この點についても大体いいではないか。ただこれだけの數をこなす資金關係において非常な隘路と考えておる次第でございまして。資材關係その他工事能力關係につきましての細かい説明は、關係官が来ておりますので又御説明さして頂きたいと思います。
  9. 深水六郎

    委員長深水六郎君) 安本通信局平山資材課長が参つておりますので、説明員として説明をお願いいたします。
  10. 平山温

    説明員平山温君) 資材のことにつきまして簡單に御説明いたします。御承知のように電氣通信工事をやつて行きますには非常に多くの種類の資材が必要でございます。その中で、通信關係として特に基本になりますのは鐵鋼關係電線セメント木材、こういつたものが中心になると思います。それで昨年度配當と今年度の一應年間計畫というものができておりますが、比較いたしますと、全般的に通信關係が相當よくなつております。それでここで申上げますのは安本通信局で主管しております資材でございますので、勿論その中に今の遞信省電話加入者開通の分が含まれておりますけれども、その外に鐵道、警察その他各方面通信資材も含まれております。併し大部分が遞信省關係でございます。それで昨年度實際配當數字と、今年度年間數字を御参考のためにちよつて讀上げますと、鐵鋼關係といたしましては昨年度は約四千三百トン、これが通信關係配當なつた数字でございます。それから電線關係が四千八百トン、セメントが九千トン、それから木材が百十五萬石、こういつた數字が昨年度實配でございます。これは先程鐵鋼と申しましたが、資材の分類で行きますと、普通鋼鋼材と稱するものでございます。鉄鋼第二次製品その他は含まれておりません。で普通鋼鋼材が四千三百トンでございますが、これに對して今年度年間計畫としては七千トン豫定されております。それから電線の四千八百トンに對しまして今年度は六千トン豫定されております。それからセメント木材、これは實はまだ數字ちよつと固まつておりませんので、はつきりした數字は申上げられませんが、第一四半期配當數字が決まつておりますから、それによつて大體の趨勢を見て頂きたいと思います。全般的に結論を先に申上げますると、セメントは昨年度よりも相當上廻つております。ただ木材が幾らか、極く僅かですが、昨年度より下廻るのじやないかと思つております。それでこの今年度年間計畫に對しまして、第一四半期において配當決定いたしております數字は、鐵鋼普通鋼鋼材が七千トンに對して千四百トン、電線は六千トンに對しまして千四百五十トン、それからセメントは第一四半期だけで六千七百トン、それから木材は二十三萬石、この外に電柱といたしまして約五萬石豫定されておりますから、木材として第一四半期配當は二十八萬石とこういうふうになつております。それで木材は先程申上げましたように、昨年度實配よりも幾らか今年度供給力が不足しておりますので、逼迫しておりますので、幾らか下廻ると思いますが、その外の鋼材電線セメント、これらにつきましては、資材割當の面から見ますと昨年度より相當好轉いたしておるような實情であります。簡單ですが資材關係について御説明上げました。
  11. 水橋藤作

    水橋藤作君 只今説明によりますというと、電線とか、或いはセメント、あらゆるものが昨年よりも相當額殖えている。併し木材だけが昨年度より下廻つておるということになりますと、その資材バランス方面から行きまして、遞信省としては工事をする上において支障とか或いは特別な不便とか、そういう方面の見解は如何でしようか、ちよつとお伺いしたいのです。
  12. 中山次郎

    政府委員中山次郎君) 只今安本から御説明がございました数量を、私共も勘案いたしまして、大體本年度遞信省といたしまして電話増設を希望しております數は約二十萬でございまして、これに對します財源といたしまして、通信特別會計全體としましては、建設勘定で五十億要ると思うのでありますが、電話基礎設備に對する費用といたしましては約五億圓程度ではないかと思うのでありまして、それに基きまして電話の擴張數を考えておるのでありますが、目下安本の方その他で豫算決定をまだ見ておりませんが、今のところ大體十二萬五千程度に削減されるのじやないかというように考えられておりますが、遞信省といたしましては、この數字ではまだまだ一般需要に應ぜられませんので、少くとも十五六萬には復活さして頂きたいと考えておるのでありますが、この十二萬五千の場合ですと、大體公債發行額としましては、二十五億圓程度必要なんでありまして、これに増設の方を加えますと五億プラスになりまして約三十億は少くとも要るのじやないかと思つておるのであります。この數字十二萬五千の程度ならば、安本の方としても、足りない資材についても十分お世話願えるのじやないかと思うのでありますが、私共といたしましては十五、六萬の場合でも、何とか資材の方もお考え頂けるのじやないかというふうに折衝中でございます。
  13. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 今の質問に關連しまして、前内閣當時から、通信事業の白書といいますか、實相報告というか、それに伴つて今後の長期建設計畫、そういつたものを出すということを當局の方は約束をしておられるように記憶しておるのですが、これについては當局の方で御準備があるのでしようか、若しあれば、成るべくこの機會にお示しを願いたいのです。只今のいろいろの資材關係とか、或いは年間十二萬とか、或いは十六萬とかいう數字がありましても、斷片的に伺うだけでは判斷に苦しむので、今後どういうふうにして復舊するか、大體何年くらい經てば、電話というものが、國民が相當自由に利用できるという状態にまで持つて行けるかというような基礎的な判斷資料としたいのです。これについては、若し只今なければ早急に作つて頂いて、この機會に御提出願いたいと思うのですが、委員長から當局に希望して頂きたいと思います。
  14. 深水六郎

    委員長深水六郎君) 承知しました。
  15. 大野勝三

    政府委員大野勝三君) 只今お話通信事業現状報告とでもいいますか、前々からもお話申上げておりました通り、準備を進めまして、この程大體印刷できましたので、今少し印刷の誤りの所を訂正中でございますので、それを終り次第最近の機會當委員會にも御提出できると思います。
  16. 堀越儀郎

    堀越儀郎君 安本の方にもう一つお伺いしたいのですが、先程お尋ねしました鐵鋼なり電線木材セメント實際生産される生産量と國内に振向けられる分との間に相當の開きがあるようでありますが、そのパーセンテージはお分りでございますか。それと同時に、國内に振向けられることを許される範囲内において、通信のためには今大體何%ぐらいになるのですか。
  17. 平山温

    説明員平山温君) お答えいたします。先の御質問はその配當豫定數字實際生産されるものとの違いはないかということでございますか。
  18. 堀越儀郎

    堀越儀郎君 そうではなしに、通信だけでなしに、實際に、例えばセメントとか木材とか國内で生産されるものと、國内で使い得るものとの間に相當の開きがあるのではないか、その開きがお分りならば御説明願いたいのであります。
  19. 平山温

    説明員平山温君) 需要生産との關係でございますが、全体のことは、例えば普通鋼材で言いますと、本年度は百萬トンという生産の計畫になつております。それからセメントは二百萬トンでございます。それでその百萬トンの中におきまして、通信として普通鋼材が七千トン、セメントが二百萬トンの中で、第一四半期數字しか決まつておりませんでしたが、二百萬トンの中で假に四分の一が第一四半期であるとすれば、五十萬トンの中、六千七百トン、こういう關係にございます。それで外の通信關係以外需要のことは私存じませんけれども、通信關係といたしましては、セメントは比較的需要に對して供給力が十分あるように思います。併し二十三年度といたしましては、やはり鋼材が外の資材と比較いたしますと窮屈のようでございます。併し今の七千トンでも、現在、先程話に出ました十二萬五千トンの仕事に十分とは思いますけれども、例えばセメントの六千七百トンに對しての鋼材……、第一四半期セメント六千七百トンに對する鋼材の割合は、セメントの方が遥かに多い勘定になつております。
  20. 堀越儀郎

    堀越儀郎君 もう一度お伺いいたします。今お答え頂いたのは、供給し得る生産力ですか。日本国内全般生産力ですか。
  21. 平山温

    説明員平山温君) 日本國内全體の通信以外の各部門に對する總供給力でございます。
  22. 堀越儀郎

    堀越儀郎君 私のお伺いしたいのは、供給量生産される量との間の開きを、御存じでしたらお伺いしたいのであります。
  23. 平山温

    説明員平山温君) 私主管しておりませんので、確かなことは申上げ兼ねます。
  24. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 今の御問に關連しますが、安本の方では、いろいろ計畫を立てましても、實際にその割當てられた資材というものが圓滑に入つておるかどうか、若し入つていないとするならば、非常に通信事業運營上ずれが來ると思います。その點が一つと、第二點は、こういう資材が、果して一般商人の手から入るのですか、工場直接から入るのですか、私もよく存じませんが、マル公で以てちやんと入つておるのであるか。この二點について當局説明を伺いたいと思います。
  25. 林一郎

    政府委員林一郎君) 只今の御質問にお答えいたします。通信機器生産に必要な資材供給につきましては、安本で計畫され、これが商工省に参りまして、それから發券されるわけであります。それで商工省には電氣通信機械局というものができまして、そこで通信關係をやつておりますが、相當整備せられまして、この發券事務は、私は圓滑に行つておると聞いております。又適當な時期にそれが行つておるかどうかということでございますが、これも現在までの生産から見ますと、相當改善されて、それが實施されておると私は考えております。尚、マル公でそれがメーカーに引取られておるかどうかということにつきましては、私は十分に存じませんけれども、これも現在の状態では、私共の遞信省資材を買うという側の經驗から言いまして、殆んど總てがマル公で行われておるのじやないかと私は考えております。  尚、生産のことにつきまして、御参考までに申上げますと、現在までのところでは、計畫は決して大きいものではございません。通信復興の計畫は、いつも豫算に制約されまして、半分も行かないというのが實情でございますので、生産は決して多いわけではございませんが、むしろこれを買いまして施設するという面において困難が出ておるのでございます。結局インフレに伴うだけの資金がない、豫算がないということで、非常に困難を來しておる實情でございます。二十二年度の後半期におきましても、私共資材を扱つておる者に取りまして、非常に苦い經驗をいたしましたのは、豫算が切れまして、折角の安本の計畫、商工省資材補給等は來ましたけれども、豫算切れになりまして、その生産されたものが全部は買えなかつた。この量も非常な量でございます。そういつた現に生産せられまして、生産復興資材として非常に大事なものが政府として支拂ができないということで、これも政府の責任として金融に相當の力を入れなければ、メーカーがもう倒れてしまうというような状況になつておりますので、こういつたことは、單に資材だけではなく、豫算安定性、計畫が十分に豫定通り行けるというような態勢にすることが、何より今は大事であるというふうに痛感しておる次第でございます。
  26. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 先程政府委員の御説明で、十二萬個電話を新設するに約二十五億の公債を發行する必要があるというお話ですが、そうすると一個について大體二萬圓というふうに考えられるのですが、新設するのに二萬圓を以て十分賄い得られるのか、或いは又別に遞信省の方の費用として、その二萬圓にプラスして、或る程度費用を見るのか、この點が一つ。もう一つは、發行された公債というのは大體十五年以内という短期間に返済をされるという規定になつておるのですが、この返済方法はどういう工合に考えておられるか、これについて御説明を願います。
  27. 中山次郎

    政府委員中山次郎君) 先ず一個二萬圓費用で今度の増設費用が賄えるかどうかという點につきましては、大體私共といたしましては、この公債で賄えます範圍は、電話加入者宅内裝置、それからその加入者が今度新たに使うべき線路、それから局内の設備というような點を、最近六ケ月間の實費を調査いたしまして算定しまして、一應現在では二萬圓程度で賄えるというように考えておりますが、それ以外にやはり電話の擴張につきましては、數年後の需要を豫想いたしまして、終局計畫といいますか、まあ何年度計畫という大幅の計畫を實行いたさなければならんのであります。そういう點につきましては、相當投下資本が要るのでありますが、併し現實に増加する加入者個々については、その方に要する實費だけを頂こうというので、大體二萬圓になつたのでありまして、それ以上に又いろいろの既存設備等につきましては、これは一般公債の方の建設財源として要求いたすことにしておりますし、又國又は公共團體その他外の財源で支辯するのが妥當とされます分につきましては、そちらの方で支辯いたしまして、この二萬圓の方に負擔はさしておらないわけでありますが、この最近六ケ月の基本的の數字等につきましては、又御要求によりまして御説明いたしたいと思います。  それから第二の償還方法につきましては、先程も概略の御説明の時に申上げて置きましたように、大體十五ケ年でまあ通信の器材その他設備の償還を考えておりますので、大體十五年といたしましましたが、通信特別會計の今後の收入状況の如何によりましては、その年限以内において、まあできるだけ通信事業の經營を脅やかさない限度において、成るべく早く償還申上げたいと考えておる次第であります。それからその償還の方法は、大體毎年度の償還計畫につきましては、まだ實は大藏省の方と具體的にどの方法によるかということが確定いたしておりませんので、今折衝中でございますが、大體今年度なら今年度に公募しました額の何分の一ずつを償還して行くか、又は加入者に負擔して頂いておる二萬圓の内、どの程度、何分の一を償還するかというような點につきまして、まだ研究中でございまして、この點につきましては、又後日御説明申上げたいと存じております。
  28. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 この電話公債引受加入者は、戰災の復舊、戰災に遭つた電話復舊という點も入つておるのですか、これは一般新設と違つて、或る程度まあ安く引受けさせるというようなことは具體的にあるのですか。
  29. 中山次郎

    政府委員中山次郎君) 戰災復舊電話加入者方々につきましては、新らしく申込まれる方と同一に公債を負擔して頂くということについて、私共も非常に心苦しく考えておつた次第でありますが、併し現實の問題といたしまして、新らしく加入して頂く方に架設する場合と、戰災復舊のために架設する場合とで、大體費用は同じでございますし、又そういう方面からやはり資金を拜借しないと金體の計畫にも影響を及ぼしますので、大體新規加入者と同じ額を拜借したいというふうに考えた次第であります。
  30. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 そうしますと、その場合戰災者の復舊ということを優先的に取扱うのですか、それとも新設と戰災者との區別はどういうふうにするのですか。
  31. 中山次郎

    政府委員中山次郎君) それは大體工事可能地域、不可能地域によりまして大體の輪郭は確定するのですが、工事可能地域なり又は困難な地域におきまして、希望者の方が、そこに設備します數を非常にオーバーしておりました場合には、先ず復舊の方に或る程度優先的に考慮したいと思つております。併し新規加入者の方でも、非常に公共なり公益なり、又は國家的に重要度の高いものについては、その間に割込むというような處置いたしたいと考えております
  32. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 もう一つ伺いたいことがあります。官廰方面架設に對しては、この工事は引受けないということになつておりますが、官廰方面はどこの官廰とも頗る電話の數は輻湊しておつて一般公衆としてはここへ掛けるのには困難を來しております。これに對してはもつとどんどん増設するというような方法は採られないですか。
  33. 中山次郎

    政府委員中山次郎君) 官廰方面電話につきましては、大體會計その他の法規の上から行きまして、一般公債によりまして支辯して今後も増設いたして行きたいと思つております。それには大體今年度において二萬個程度は必要とするのじやないかというふうに豫定して、計畫いたしております。從いまして國家又は公共團體の電話のよりまして、公衆等の通話關係において、成るべく現在のような不便を緩和して行きたいと考えておる次第であります。
  34. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 今の油井委員の質問に關連いたしまして少し伺つて置きたいのでありますが、官廰なり地方公共團體電話ですが、今のお話だと、これは公債と離れた別の御豫算でおやりになるのですか。若し假りにこれが公債で以て得た資金によつて建設をして行くということになると、結局一般加入者公債という形によりまして官廰或いは公共團體の電話架設費を暫く貸すというように轉嫁されるわけだろうと思うのですが、別の豫算でおやりになるのか、この公債で得た資金によつておやりになるのか、その點もう一度はつきり伺つて置きたいと思います。
  35. 中山次郎

    政府委員中山次郎君) その點先程私ちよつと御説明して置きましたように、國又は公共團體、將來は、若し國家的にその加入者に負擔させることが妥當でないと考えられます方面につきましては、一般公債といいますか、外の財源によりましてその加入者に關する費用は支辯いたしまして、この法律案に基きます公債を負擔して頂いた加入者には、別の經理で以て架設して行きたいと考えている次第であります。
  36. 井上なつゑ

    ○井上なつゑ君 お伺いしたいのですが、本年度二十萬個電話増設するようなお話でございますが、その電話増設がございましたときに、その電話の事務に從事しておりまするいわゆる電話の交換手でございますが、これらの人の増員もやはり見込まれておるわけでございましようか。實はこの頃皆さんも御承知のことでございますが、私共時々市外電話をかけたいと存じまして百十六番にかけますと、とてもかからないのでございます。それからこの間もどこにかければよろしいでしようと伺つて見ましたら、中央電話局でございますか、丸の内二千何百番に掛けろということで、とうとう一日かからなくてしまつたということもございます。それからあの電話の交換手の人に出て貰いましてもなかなか忙しそうでございまして、疲れた氣もございましようが、何だか十分に親切に取扱つて貰われなかつた電話はたびたび皆さんもおつしやつておられるように、産業經済上の大きな神經だとおつしやつていらつしやいますが、電話の交換手の人の神經と申しますかが、非常に大事じやないかと思います。それには、餘り疲れ過ぎるとか……どうせ勞働基準法でうまく時間の割振りなどやつておられるでございましようが、そういうことがございましたら困ります。殊に深夜業、夜業と申しますのは、人の本當の生理に反した仕事でございますから、時間をきちんと、八時間制度をやつておられるでございましようけれども、非常に疲れが大きい仕事でございますが、それに對しまして、どういうふうな御措置をお採りになつていらつしやいますか、一つ、お伺いしたいと思います。  それからもう一つ伺いたいことは、只今電話の賣買のことは、これに書いてございましたが、普通の電話仲介商と申しましようか、電話の賣買と書いてございますが、これと公債とは別に關係ございませんのですか、ちよつとそのことも一つ伺いたいと思います。
  37. 中山次郎

    政府委員中山次郎君) 御説明申上げます。最初の、今年度電話増設と、それに對する要員の配置關係でございますが、これはやはり今年度十萬以上も増加いたしますとなりますと、要員關係につきましても非常に負擔過重という點が現われて參りますので、遞信省といたしましても、この要員關係について、勞働條件を充たしまして、尚且つこのサービスに悪影響を及ぼさないように要員の配置をいたしたいと思います。それにつきましては、増員につきましても考慮いたしますと同時に、現在の人員につきましても、戰前と大分その通信状態が變つておりますので、暇の所もあります。負擔過重の所もありますから、人員の配置換えをいたしたいと思つております。それから又同時に最近は非常に人的要素につきまして能率が落ちておりますので、この方面につきましても或る程度の訓育養成をいたしまして能率を高めまして、この通信量の殖えました點につきましては消化して行きたいと考えている次第でありまして、夜業その他につきましても、私共として一應考慮の對象にいたしております。  それから次の電話賣買と公債關係でございますが、現在電話供給が非常に不圓滑なために、需要と、それから現在の經濟社會の状態の動きから見まして、非常な高値で電話が賣買されておることは事實でございまして、從いましてそれの世話をいたします電話業者というものが相當數、約五百店くらいあるかと思いますが、これらの人たちが間に入りまして、或る程度電話の需給の圓滑に參加しておりますと同時に、なかなか弊害の方も非常に起しておるようでございまして、誠に遞信省として申譯ないのでありますが、電話業者につきましては、戰時中に相當統制の面で協力を仰いでおりましたが、現在では自由の立場で商賣をいたさしております。從いまして良心的に組合、その他店の歴史のある者は眞面目にやつておりますが、その以外の者で相當不正な、弊害のある行爲をやつておる者もございますので、その點につきましては、私共十分今後も取締つて行きたいと思いますが、この電話公債を發行しますとなりますと、新らしく加入を申込んで開通する方も、從來のように、現在の電話を買つて架設する方も同じような條件に置いてありまするので、電話業者が間に入つて、そういう仲介する電話の賣買というのが非常に少くなるのじやないかというふうに考えております。又一方賣買によりまして非常に高價な額の外に、又二萬圓公債を負擔しなければならんということによりましても、その讓渡というものが非常に少くなつて、新らしい申込の方に轉化されるので、自然にそういうような業者の存在、それの仲介におきます不正というものが減少して參りますが、根本的にはやはり電話需要供給とが一致しなければこの現象は根本的に消滅しないと思いますが、漸次改善されて行くのじやないか。この電話公債發行によりましてそれらの弊害が一層助長されることはないだろうと私共考えておる次第であります。
  38. 大島定吉

    ○大島定吉君 戰災前の電話臺數と、現在の復舊の臺數はどのくらいになつておりますか。
  39. 中山次郎

    政府委員中山次郎君) 大體戰前には百八萬個の……。
  40. 大島定吉

    ○大島定吉君 東京都内で。
  41. 中山次郎

    政府委員中山次郎君) いや全國で、それが現在復舊いたしましたのは大體八十萬個くらいじやないかと思つております。
  42. 大島定吉

    ○大島定吉君 東京都内ではどうでございますか。
  43. 中山次郎

    政府委員中山次郎君) 東京都内でございますと、大體の概數で申しますと、東京都内には二十萬ございまして、それが現在約十萬、約半分囘復しておるのじやないかと思います。これは大都市ほど囘復の率が遲くなりまして、小都市ほど囘復の率がいい。大體全國で言いますと、全國で六十何%でしたか、開通率は七十%を最近では越したと思つております。
  44. 大島定吉

    ○大島定吉君 東京都内ですと……。
  45. 中山次郎

    政府委員中山次郎君) 東京都内では四十%に達していないのじやないかと思います。
  46. 大島定吉

    ○大島定吉君 東京都内だけで、復舊新規申込を受付けておるのは、どのくらいありますか。
  47. 中山次郎

    政府委員中山次郎君) 復舊の…。
  48. 大島定吉

    ○大島定吉君 復舊新規加入で…。
  49. 中山次郎

    政府委員中山次郎君) 東京都内でございますね。
  50. 大島定吉

    ○大島定吉君 都内。
  51. 中山次郎

    政府委員中山次郎君) じやちよつと東京都内につきまして概略的に申上げます。東京都の戰前の總加入者數は十九萬六千八百四十六でございました。それが戰災を受けましたり、動員しました數が十六萬九千三百八十でございます。從いまして戰災の率は八十六%に上つてつたのでありますが、その後二十二年の九月末現在におきましては、復舊いたしましたのは三萬八千八百六十九でございまして。復舊率は二十三%、未復舊加入者が十萬五千五百二十四でございまして、これを從來開通しておりました加入者數と合せますと、約九萬一千三百二十二で、開通率は四十六%になつておるわけであります。
  52. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 先程の官廳方面は二萬程度架設するということになると、これはさつきの總體的の十二萬の中に入るのですか、外に出るのですか。
  53. 中山次郎

    政府委員中山次郎君) 開通としては入つております。十二萬五千の中に入つております。若しそれだけの幅において工事能力資材に餘裕がありますれば公債によつてそれ以上一つ殖やしたいと考えております。
  54. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 もう一つ極めて簡單ですが、償還方法についてはさつき御説明があつたのですが、これは非常に重大な點と思います。大藏省と打合せの結果我々に報告されるというようなお話ですが、この償還方法如何によつては、この公債を引受ける法案が果して是か非かということは大分觀念が變つて參りますから、至急打合せて御報告願いたいと思います。
  55. 深水六郎

    委員長深水六郎君) それでは時間も大分經ちましたからこれで休憩いたしまして、午後は一時から開きたいと思います。    午後零時十二分休憩    —————・—————    午後一時四十八分開會
  56. 深水六郎

    委員長深水六郎君) それでは午前中に續きまして、通信委員會を開催します。
  57. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 電話公債に關する法律案に關連いたしまして、午前中も多少御答辯があつたのでありますが、今後の電話事業の復舊につきまして、資材方面から二、三御質疑をしたいと思います。  私の承知しておりますところによりますと、二十二年度における通信用の資材割當が、第一・四半期から第四・四半期に至りますまで、漸次硬化しまして、第四・四半期のごときは、非常に分量が少かつた。そのために電話復舊、或いは補修が非常に遲れて今日の電話は、二十二年度當初において豫定せられました復舊の状況とは非常な開きができていると思うのであります。申すまでもなく、通信事業はあらゆる産業の神經でありまして、殆んど中核的な作用をするものでありますから、先般遞信大臣にもお尋ねしたのでありましたが、政府において或いは石炭とか、電力とか、或いは輸送方面に非常に重點を置いて、二十三年度資材配當をするのだという説明は前内閣當時からあつたのでありますが、今後におきまして、通信事業に對する資材配當については、やはり從來通りに第二義的なものとして取扱われる意向であるかどうか。幸い安本から關係政府委員が見えているそうでありますから、その點につきまして、安本としてのお考えを先ず第一にお伺いしたいと思うのであります。
  58. 石原武夫

    政府委員(石原武夫君) 只今の御質問にお答えいたします。先ず二十二年度當初の御計畫から比較いたしまして、第一、第二、或いは第三、第四と非常に資材供給割當が減少いたしまして、關係の各方面に非常に御迷惑を掛けましたことは、我々としても非常に恐縮に存じておりますが、實は二十二年度當初計畫を決めました當時におきましては、いろいろ不確定な要素を多量に織り込みまして、計畫を作つてありました關係上、この計畫がそもそも豫定通り實現しなかつたという點が第一點で、第二點には、昨年の秋以降になりまして、非常な渇水等が起りました關係で、石炭が電力に非常に食われたというような關係から、石炭が第三、第四と割當が非常に減るというような状態になりました關係上、各部門とも非常に生産が落ちて來たというような事情がありまして、當初の計畫と非常に大幅の狂いを生じて、從つて通信方面におきましても御承知のような結果と相成つたわけでございます。二十三年度の計畫につきましても、一應現在我々の手許で二十三年度の暫定計畫というものを作つておりまして、一部新聞等にも、國會等にも發表がございましたように、鐵鋼につきましては百萬トンというような一應の案を作つてあります。併しこれは一應暫定計畫として現在我々の一應の見通しを持つておる程度でありまして、これには一應相當の未確定の關係を前提としていたさなければなりませんので、今後も状態の推移によつて順次變更して行くという考えでございまするが、實は昨年の實績に應じまして、今年度は現在見通し得る確實なデータで大體間違いのないというところで計畫を作つておるつもりでございます。主要な物資につきましても鋼材が百萬トンセメント二百萬トンというようなところを狙つてございますが、これによりますと、各部門とも昨年度供給實績に比べますと、相當大幅な増加に相成る豫定でございます。今お尋ねのございました、今年度の物資需給計畫を作りまする根本の方針として、通信部門を如何に考えておるかという點について、一應只今考えておるところを御説明いたしたいと思いまするが、本年度も、よく言われておりますように、日本經濟再建の最重點というような趣旨からいたしまして、今度の計畫で狙つておりますのは、いわゆる産業復興の基盤をこの際作るということ、それを第一主眼に置きます。次に或る程度國民生活の水準を維持するという、前年度よりも若干上廻るような計畫にしたいというような點と、それから輸出につきましては、極力これの増大を圖るという三點を主眼に置いて計畫をいたしております。この中産業部門の點に關しましては、從來通り石炭に最も重點を置きまして、本年度承知の通り三千六百萬トンという目標を掲げてこれの完遂を期しておるわけでありまして、この石炭に重點を置いておりますことは前年通りでございまするが、これと竝行いたしまして、すでに御承知のように各物資の生産の溢路が現在は石炭よりもむしろ電力にあるというような状況にございます關係上、電力とその外尚石炭は掘りましてもなかなかそれが運び切れんというような現在の輸送力の状況を考えまして、石炭と電力と輸送という方面に最重點を置いて考えております。併しながらその他の部門につきましても、先程申しましたような生活水準の問題とか、或いは輸出の問題とか、その他各種産業のバランスということをできるだけ考えて參りますようにできるだけの調整をいたしておるつもりでございまして、通信部門につきましても、これが各種の産業活動その他の基礎となるという點は十分考慮いたしまして、でき得る範圍でこの部門につきましても支障のないように考えて參つておるわけでございます。我々といたしましては今申しました三部門に最重點を置いておりまするが、それ以外の部門においてもはつきりA、B、Cというようなランクを置いて考えてはおりませんが、各産業間のバランスをできるだけ調和の取れるようにするという考え方で計畫をいたしております。それで通信部門につきましても、鋼材につきましては三千トン配當の計畫をいたしておりまして、約一八〇%くらいの計畫をいたしております。鉄鐵につきましては一六八%という程度の計畫をいたしておりまして、もとよりこれで通信部門といたしまして、現在の緊急の需要に十分間に合うというようには到底參りませんけれども、現在のバランスの上からいたしまして、差當りこの程度配當で止むを得ないというふうに考えておる次第でございます。
  59. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 安本の大體の御方針は伺つたのですが、それについて我々通信委員としては多少の異論を持つておるわけなんです。成る程電力も石炭も輸送も非常に重要なものであることは十分我々も承知しておりますが、併しそれと比べて通信が今お話のように非常に重點を置くとして、その間に開きがあるかどうかということにつきましては、この通信というものが御承知のように石炭の事業につきましても、電力につきましても、或いは輸送につきましても半面缺くことのできない一つの作用をしておるわけです。卑近な例で言いましても、非常に電話の疏通が悪い。電話がなかなかかけてもかからない。或いは電話がもう全然ないというので、わざわざ人がお使いに行つて用を足さなければならんというようなことで、輸送方面に非常に重壓を加えておるというような部分も相當あると思うのです。そのあらゆるものが、例えば電信とか電話とかによりましてどんどん早く取引ができる、或いは早く打合せができて、それがどんどんと囘轉して行くというので全體の生産が非常に上ると思うのです。それをこの電氣通信というものに對しまして、輸送或いは石炭、電力等に比べて比較的重要度の低いものだというようにお考えになつておるところに私は多少の疑問を持つておるわけなのであります。これは閣議でも御決定のようでありますから、政府委員の方に政治的の問題としてこの點をお尋ねをしても無理かも知れませんけれども、とにかく今ここで問題になつております電話のごときは、今後五ケ年なら五ケ年くらいの間に、或る程度他の産業部門が復興するに從いまして、それにマツチした復興状況を示すというところは、これは是非持つて行かなければならんものだと思うのです。具體的になりますと、そういう五年なら五年の計畫を立てまして實行して行く場合に、今お述べになりましたような資材で以て、果してその計畫ができるかどうかということが問題になるんだろうと思うのです。その點につきましては遞信省關係政府委員はどういうふうにお考えでしようか。尚今申しましたような意味において、安定本部としては、電氣通信につきまして相當に重要性を認めておられるのかどうか、その點をもう一遍お伺いして見たいと思うのであります。
  60. 石原武夫

    政府委員(石原武夫君) 只今お話がございました點は誠に御尤もでございまして、我々といたしましても通信部門が産業活動その他の經濟活動に非常に重要でありまして、現在いろいろ支障があつてそのために非常に無駄のありますことは十分承知しておるところであります。我々といたしましては通信部門に相當重點を置いて考えておるつもりでありますが、これは皆さん見方によりまして尚非常に不足だというお感じはあると思いますが、我々といたしましては各産業間のバランスを考えて現在資材配當をいたしておりますが、通信部門には相當重點を置いて配當いたしておるつもりでありまして、御趣旨のごとき點は、殊に石炭にいたしましても、電力にいたしましても、輸送にいたしましても、それらの状況が當然通信部門を伴わなければならんということを我々承知いたしておりますので、通信部門の資材配當に當つては、我々としてはそういう重點部門にマツチするように、できるだけ御配慮願いたいということを希望申上げておる次第であります。現實の數字が實態に副うような結果になつておらんかも知れませんが、さような御趣旨の點は十分承知いたしておるつもりでありますし、今後も關係方面とも連絡いたしまして十分御趣旨に副うようにいたしたいと思います。
  61. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 それでいろいろそれにつきましては具體的な數字もありましようが、その點は止めまして、御參考に電話というものに對する國民の聲をこの機會にお傳えして置いた方がよいかと思うのです。先程午前中にお述べになりましたような數字でも明らかなように、戰災に罹つた電話も相當復舊しておるというふうに出ております。又年間に新らしい電話が相當の數附いておるということの數字も出ておるのであります。これらのために今日の日本電話が相当の囘復率まで達しておるということを即斷されるのは、これは非常に私は疑問があると思うのでありまして、試みに官廳の電話をずつと御覧になりますと、これは戰爭の前或いは終戰當時よりも非常に數が殖えておると思うのです。一般國民が使用し得る電話というものは殆んど殖えていない、或いは復舊していないと言つてもよいんじやないかと思うのです。而も足りない資材で以て復舊工事をやられるわけでありまするから、自然復舊せられるものは民間におきましても非常に重要度の高いものしか復舊せられない、或いは新設せられないというので、今日の状況では大多數の國民は殆んど電話というものから見放されておるという結果で、國民電話の使用ということについては殆んど諦めに近い感じを持つておるというのが實情であろうと思うのであります。從いまして先程申上げたような、數字上の囘復率、復舊率或いは増設の率というものだけを机の上でお考えになつたのではいけないのでありまして、やはり日本の産業を全般に引上げるというためには、先程申しましたような意味におきまして、もつと電話を廣く利用させるということを頭に置いて頂かなければならない。こういうことが國民の聲だろうと私は思います。從つて今後遞信省や安定本部でいろいろの長期計畫をお立てになりましようが、この電氣通信につきましては、できるだけ短期間において、少くとも戰前の状況に復歸するように御計畫になりませんと、實際國民利用し得る電話というものは、或いは電信というものは極めて低い所に落付かざるを得ないという結果になるのでありますから、その點を十分お考えの上で今後の御計畫を樹てて頂きたいと思うのであります。尚この點につきましては、他日もう少し安本の御計畫が決まりました場合に、その實績を見まして質問したいと思うのでありますが、以上申しましたような考えを持つておりますので、その點十分御考慮下さいまして、今後の資材方面につきましても、計画の遂行に差支のないような特段の御配慮をお願いして置きます。  それから遞信省政府委員の方に二、三お聽きしたい點がございますが、第一に、これは事實でないことを希望するのでありますが、不幸にして、在る程度これは事實であろうと思います。と申しますのは、電話工事を依頼と言いますか、申請をいたしました場合に、相當に電話工事に關していろいろ思わしくない事實があちらこちらに發生しておるように聞くのであります。この法律が通過いたしまして、とにかく加入者は一應二萬圓公債を引受けなければならいということになるのでありますが、これをやります以上は、そういう工事上の、假に不正があるとしますれば、これを絶對に今後はやらない。やらせないということを遞信省においては言い切る御確信が勿論あるだろうと思うのでありますが、その點につきまして御確信の程を伺つて見たいのであります。尚不正防止の方法一つといたしまして、現在この區域は事實上電話工事が困難である。或いは不可能である。又加入者の資格によりまして、こういう加入者は今のところ申込があつても、電話を附けてやらない、こういうものだけに附けてやるのだ、という認定の基準が内部においてあるように伺つておるのでありますが、こういう不正の防止をいたします場合に、必要なことは技術的に不可能であるとか、或いは加入者の資格の重要度が違うとか、そういつた事柄につきまして、むしろそれを内規のようなものを公示されまして、そういつたものは誰が行つても駄目なんだ、或いはこういつたものはどういう資格があつても駄目なんだということを、豫め國民に知らして置くということが、そういう不正を防止する上に非常に役立つのじやないかと思うのであります。そういうことにつきまして、何かお考えがありますか、どうですか、その點を伺いたいと思います。
  62. 中山次郎

    政府委員中山次郎君) お答え申上げます。只今質問のありました工事の施行に關しまして、從來非常に問題になつておりました不正事件と申しますかというような忌まわしい事實、そういうものは、今後これを根絶する方策及びそういうことの起る心配のあります優先受理というようなことについての方針につきまして御説明申上げます。  今囘こうやつて加入者に莫大な公債をお引受願うことにつきましては、政府といたしましても非常な決心の下に、又責任を以ちまして、これを實行いたしたいと思うのであります。それにつきましては、今度若し公債をお引受願いますれば、それより大體三ケ月以内において、工事を完全に終了いたしたい。これを省令で以て國民に周知いたしたいと思つております。それから又年度を通じまして、大體四半期に分けまして、一期毎に、その間の受理する數を大體確定いたしまして、これも公表いたしたいと思います。それにつきましては、大體その期間に可能な工事數を調査いたしまして、それに基いてその數字を考慮いたしたいと思うのでありして、又その數字、それから又工事の可能地域につきましては、關係の局の局前に地圖を掲げまして、この地域については工事が可能だ、この地域についてはまだ非常に困難だ。それから不可能だということを明示すると同時に、この地域については何本開通ができる見込だというようなことも告示いたしたいと思うのでありまして、それによりまして、一般新設復舊の希望者が、自分の申込について可能なのか、不可能なのか、それから又その間にいろいろ不正の事實が行われはしないかどうかというような心配を防止したいと思うのでありまして、又こちらの受理いたしましたその後の手順といたしましては、受理いたしましてから大體三ケ月という期間を限りまして、それぞれの關係の局での部門で、そのカード式のようにいたしまして、その工事がどういうふうに進捗しておるか、又完了しつつあるかということをチエツクいたさせまして、それに基いて三ケ月以内に必ずこの通話ができるように、最後のところまで監視を嚴重にいたしたいと思います。從いまして、その結果といたしましては、從來現場の人々に加入者の、一般公衆の方が特別の取計らいについて個別的に交渉をせられ、又その他の關係が生じますような機會が自然なくなり、公正に又表面的に皆に分つておるところで、仕事が進捗して行くというような手順にいたしたいと考えておる次第でありまして、遞信省といたしましては、受理いたしましてから三ケ月以内に必ず全部實現するという決心でお引受いたしたいと考えております。又御懸念のありましたように、若しもその期間におきまする受理數と、公衆の架設の希望者數との間に非常に開きができまして、そこにやはり優先的受理をしなければならんというような場合もありますので、それは從前からもそういう優先受理につきましては、一應一般に周知させておる筈であつたのでありますが、これが不徹底の嫌いがありますので、そういう優先受理につきましては、これも十分に周知せしめまして、その間に不正の行われないようにいたしたいと考えておる次第であります。
  63. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 非常に結構だと思います。是非工事が可能であるかどうであるか、或いはどの仕事が前の受理であるか、後の受理であるかということを十分に皆が知るようにして頂かないと、例えば或る電話屋に頼めば非常に條件は惡いのだが何とかなるんじやないかというので、ついその間に不正が行われる、或いは午前中に井上委員の御質問のありましたような、電話の業者がその間に入つて不當な利得をするというような事實が生れて來るわけでありますから、この點は是非何もかも明るみに出して、是非その計畫を實行せられるように希望するのであります。  それから次に伺いたいと思いますのは、この法律案によりますと、全然工事を伴わない單なる形の上の名義變更というものにつきましても、公債を負擔せしめるようになるように考えるのであります。これは考えようによりまして行き過ぎじやないかと思うのであります。自分の工事に關する費用が相當掛かるので、その分を全國平均して大體二萬圓程度のものを公債として引受けさせるということだろうと思いますが、名義變更だけということに對しても公債を負擔せしめるようなことは如何であるかと思うのであります。その點についてはどういうお考えでありますか。
  64. 中山次郎

    政府委員中山次郎君) 只今の居拔き、いわゆる居拔き讓渡、そのままで名義變更して電話利用者が變らないという場合におきまして、この公債を負擔して頂くといいますことにつきましては、その個々の場合につきましては誠に恐縮に存じておる次第でありますが、併し新らしくこの電話利用關係に入つて來られたという點につきましては、やはり新規に加入されたもの、又戰災によつて復舊を希望せられる方という方々と同じような立場におられますので、今度のこの増設資金をやはり一應分擔して頂く、利益者負擔というような範疇の中に入つて頂いた方がいいじやないか、事實上居拔き讓渡の場合には費用が掛からないこともありますが、併し又一面新規加入者でも前に住んでおられた方が、そこに電話を持つておられた場合には、そこの家までの外線路がございまして、ただ電話機を附ければいいという場合もあり得るのでありまして、その方々との權衡も考えられますし、又全然費用が掛からないということになりましても、これはやはり若しこれが架設費とかいうような場合でありますと、この負擔をお掛け申すのが誠に不合理なんでありますが、ただ資金を一應借りさして頂くというのでありまして、これに利子を付け償還する計畫の場合には、居拔き讓渡の場合にもやはり公債を負擔さして頂きたいという考えで、法律案の中にもその場合を含めておる次第であります。
  65. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 それから昨日參議院を通りました財政法第三條の特例に關する法律との關係につきまして、法律論としては勿論そういう問題は一應了承できるのですが、あらゆる料金を法律で決める、或いは國會の議決を經なければならんということになりました結果、この法律案關係におきまして、引受けべき公債の額はすべて省令に委されておるので、如何にも兩者均衡を得ないように考えるのですが、これは省令で決める場合に、國會の議決を經るというような手續きをお取りになる考えでありますか。或いはこれは省令で決め放しで、遞信省の方で自由に引受けるべき公債の額を決め、或いはこれを變更せられるという建前でありますか。恐らくこの法律案は、この財政法第三條の特例に關する法律が通過する前に立案せられたものと思いますので、その點念のために伺つて置きたいのであります。
  66. 中山次郎

    政府委員中山次郎君) その點につきまして、私共一應研究いたしておるのでありますが、今度財政法三條の關係におきまして、通信關係の料金は法律で規定することになりました。ただその規定する場合に、法律數字をはつきりと規定します場合と、場合によりまして或る程度基準をそこに規定するという場合も考えられます。又或る程度範圍のものについては、この法律を以て省令なりその他政令にお讓り願う場合もあり得ると考えまして、この公債の額又はその他ここに規定しております金額につきましては、この法律によりまして各政令なり省令なりにお讓り頂いても差支ない程度の金額の性質なりと考えましてこういうふうに規定いたした次第であります。
  67. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 そうしますと、これは政令でお決めになるので、別に國會の議決は經ないという、手續上はそういうことになるわけでありますか。
  68. 中山次郎

    政府委員中山次郎君) そういうことになります。大體これは毎年法律の改正を議會に提出するような段取りになつておりますので、一年限りでございますから、その範圍内でお讓り頂いても、公衆に對して甚だしく政府が不合理なことをやることは防止して頂けるのじやないかと考えております。
  69. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 最後にもう一つお伺いしたいと思うのであります。これは勿論關係の各省と御相談の上こういつた法律案ができたと思うのでありますが、これを立案せられます場合に、同じような電話公債でありましても、新規加入者だけに對して引受けさせるような公債ではなくて、加入者の全體であるとか、或いは一般國民に對してであるとか、もつと廣い意味の公債を發行されることをお考えにならなかつたでしようか。私はこの方面に素人でありますけれども、例えば電話の料金收入を擔保として公債を發行させるといたしますと、これは相當に確實なものでありますし、その他の公債發行の條件につきまして多少の考慮が加えられますれば、一般公債の消化を妨げることもないと思います。又金融市場をそのために非常に混亂させるというようなことにもならないかと思うのでありますが、今申上げたような料金を擔保とするような電話公債というものは、全然初めからお考えにならなかつたのでしようか、お考えになつた結果それをおやりにならなかつたとすれば、どういうわけでおやりにならなかつたのでしようか、その邊の事情を伺いたいのです。
  70. 中山次郎

    政府委員中山次郎君) このような加入者に特別の負擔を掛けます公債發行に方針を最後的に決めましたにつきましては、いろいろ研究しました結果でございまして、大體現在の國債發行の方針といたしまして、大藏省の方で統一して發行する方針になつております關係上、遞信省の方で電話に關しまして、電話の料金を基礎にいたしまして公債を發行するというような個別的の發行方法に現在としてはよれなかつたわけでございます。それ以外にいろいろ富籤とか、その他一般國民の人を、借り入れる對象としてのいろいろな計畫も考えたのでありますが、電話事業の擴張計畫といたしましては、或る程度安定性のある計畫を樹立しなければならん關係上、この財源のその年度における收入にも安定性を持たす必要の關係上やはり電話加入者といいますか、電話を希望される方に限定しまして、その借り入れ負擔の確實な方にお頼りするということにいたしました次第でございます。尚この公債發行の方針その他につきまして、大藏省からも關係官が來ておりますので、御希望によりましては又御説明を附加えたいと思います。
  71. 深水六郎

    委員長深水六郎君) 大藏省の理財局の事務官がおいでになつておりますから、今の問題について説明を伺つて置きましよう。
  72. 伊藤正則

    説明員(伊藤正則君) 私からちよつとお答えを申上げます。國債の發行につきましては、これはいろいろな官制その他法規の建前からいたしまして、大藏省においてこれは行うことに大體なつておりまして、從いまして國債の發行を遞信省において行うということは、現在のところではできない事情にあります。
  73. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 私の質問の趣旨を誤解されておるのですが、私は遞信省で發行しようと、大藏省で發行しようと、そういう官廳内部のことを言つておるのではないのであります。どこでやられてもいいのでありますが、今囘の法律案によりますというと、例えば加入の申込をした人とか、加入電話を讓り受けた者が、この公債を特別に負擔するということになつておるのであります。これをもつと廣く加入者の全體であるとか、或いは一般國民を對象としたような公債を發行されることをお考えにならなかつただらうか、つまりこれには恐らく大藏省方面でもそうすると一般公債の消化が惡くなる、或いは金融市場に惡影響を來すとかいういろいろの全般的な面から多少の故障があるだろうという考えを持つておられるのではないかと思うのであります。併し特別に電話の料金というものを擔保にしまして、そういつた電話公債といつたものを發行すれば、假に利率であるとか、或いは償還期限につきまして、一般公債と違つた特例を設けて行けば、大藏省の本來の一般公債というようなものには悪影響を與えずして、而もこれと同じような目的を達し得るのではないかということを考えるのでありますが、その點は全然お考えにならなかつたのか、或いは考えた結果お止めになつたのか、お止めになつたとすればどういう理由でお止めになつたのか伺いたいということを質問しておるのであります。
  74. 中山次郎

    政府委員中山次郎君) 御質問の點分りまして御答辯申上げます。先ず分けまして、既往の加入者なり現在の加入關係者全體に、この公債を負擔させたらどうかという點につきましては、一應既往の加入者はすでに一定の設備費を負擔しておりますし、又料金體系によりましてそれぞれの費用を一應分擔しておりますので、今囘増設に要する費用につきましては、新らしく利用關係に入る方々に負擔して頂いたらば妥當なのではないかと考えまして、一應新規關係する方々に限定したわけであります。  又一般公債と申しますか、電話の料金なりその他收入を擔保にしまして、特別の生産公債見たいなものを發行しても、一般公債公募の方針に悪影響があるかないかというような點でございますが、これにつきましては私共も一應檢討いたしたのでありますが、現在の金融市場、又公債發行計畫からいたしまして、そういう特殊な公債にいたしましても、これが一般公債以外の公債發行ということになりますと、金融を壓迫し、又その他に金融界に悪影響を及ぼすという見解の下にそれを取り止めまして、この公債發行ということに決めた次第でございます。
  75. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 私實はこの問題については素人でありますから、質問の仕方が悪いかも知れませんが、假に遞信省というものが一つの事業體である、それがたまたま國家が經營しておるから、そこで出すものは社債じやなくして公債であるということになつておると思うのでありますが、これは一つの事業體として見れば、一般の會社で出す社債のようなものと殆んど變りがないものだろうと思うのであります。その場合この債券を或る特別の者に負擔をさして、そうして電話の擴張の經費に當てるというやり方がいいかどうか、非常に疑問だろうと思うのであります。これも極く當面の資金を得る方法として極く短期間實施されるならば或いは只今のような經濟界の状況でありますから、それも一案として了承することもできないことはありませんけれども、先程も御説明があつたように、一應期限が二十四年の四月一日までとあるけれども、毎年今後これを更新して、今後はこの方針でやるんだということになりますと、このやり方が果して今後の電話擴張のためによいかどうかということについては非常に私は疑問を持つのであります。そういうような觀點からいたしますと、今後の電話に關する擴張資金を獲得するための公債と申しますか、債券と申しますか、そういう式のものはもつと加入者全體であるとか、或いは國民全體を對象としたようなものにしなければ、遞信省の考えておられるような大きな資金は得られませんし、これでは今のような方法を取つて行かれますと、電話復舊率が逆に非常に悪くなる。そうして遞信省の考えておられるように國民全體が電話利用する方法とは逆の方に向うのであります。ということを非常に私は心配するのであります。そういう意味におきまして、今申上げたような料金を擔保とする電話公債のようなものを特別にお考えになつたかどうかを伺つたのでありますが、その點は餘りお考えがなかつたようでありますから、今後そういう方向で是非考えるだけでも考えて頂きたい。そうして來年度以降におきましては、この方式も一つの方式でありますが、更に料金の問題、或いは設備擔保の問題等とも考え合せて、もつと電話復舊率が一面においてよくなる。又資金の獲得ももつと大幅にできるというような方式を取られた方がよいように思うのでありますが、その點について最後にもう一つつて置きたいと思います。
  76. 鈴木恭一

    説明員(鈴木恭一君) 只今の御意見私共電話復舊擴充に對してのいろいろなお考を承わりまして、非常に參考になり、我々も何とか電話の擴張のために將來とも資金の獲得に對して考えて行きたいと存じております。ただ今囘こういうような公債の發行方法を取りましたのは、只今説明いたしておりまする通りであります。これを電話の施設を擔保といたしまして、一般から公募する方法もあるじやないかというお話でありますが、その點も我々最初の頃いろいろ考えた問題であります。併し現在の國が公債を發行いたしまする場合に、國の資産を擔保にして特別の公債を發行するということが、やはり一般公債と同じような結果になるのでございます。要するに現在の公債というものは國の信用その他を以ていたしておるのであります。結局或る一つの國の施設を對象といたしまして、これを基礎としてその施設を擔保とするというふうなことになりますと、一面におきましては現在の公債の發行方法と非常な變革を來しまするし、場合によりますと競合する場合も起つて參ります。併し一つの財團というふうなものを作りまして、その財團の特殊の行動としての公債發行ということは、或いは考えられるかもしれないのでありまするが、まあこれをやりますといろいろの面で問題が輻湊して參ります。そういつた考え方は確かにあるのでありまするが、今日差迫つておりまする場合、何とか一般公債の制限の外に電話の事業擴張にふさわしい一つ公債發行方法はないかというのが、結局この案に落着いたわけでございまして、それは只今申しまするように利用關係というものはやはり今日の電話にはあるのでありまするから、而も相當の利用者が今日一般にあるのでありまして、そういうふうな面でも十分この公債は消化し得て、而も今日の資材能力、或いは勞働力からいたしまして、私共の計畫に對してそう齟齬を來すことはないのではないかというふうに考えて、この案を決定いたしたのでございます。お示しのような案につきまして、若しそれが……電話の擴張に對して最もふさわしい案がやはり必要なのでありまするから今後とも一つ考えて行きたい。現在ではそう御答辯申すより外ないと存じます。
  77. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 鈴木次官のお話で大體お氣持も分つたし、經過も分りましたが、私先程から申上げておりますように、電話の事業はたまたま國で以て經營しておられまするために、名前は公債という名前が付くのでありますが、實態からいいますとこれは他の一般行政費の不足を充足するための公債とは非常に違うのであります。一方では非常に事業の收入があり、その事業收入があつて、それで特に獨立採算制を強調しておられる遞信省としましては、その中から順次償還する可能性がある、確信があるというので、公債を發行しておられると思うのであります。でありますから形に囚われないで、内容的に行きますと、こういう事業體としては場合によりまして一年の間でも或る時期には料金收入が入つて來ない、それで支出する費用を賄うに十分でない場合には、これは場合によりまして一般の金融機關から金を借りるという必要も起つて來ますし、又こういうような建設のための借入金、或いは債券というふうなものも當然必要なのであります。それを今鈴木次官のお話になりましたように、電話事業にふさわしいような、つまり電話事業をやつておる官廰でありますが、實態にふさわしいような形で以て今後は資金の獲得を圖るようにして頂きたいというのが、私の希望なんであります。その點につきまして今日將來に對するはつきりとした見通しがつかないというお話も御尤もでありますが、今後できるだけ早くそういう見通しをつけて頂いて、來年度におきましては事業の實態に相應するような案を御提示願いたいと思うのであります。これは私の希望であります。
  78. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 先程政府委員お話の言葉尻を捕えるようですが、今までの加入者費用を負擔しておつて電話架設してある。そこで新らしい加入者だけに公債というものを持つて貰いたいというふうに私は聞いたのでありますが、若しそうであるとすれば、新らしい加入者は何か費用を安くして貰えるとか、或いは免除して貰えるとか、特別の恩典でもそこに必然的に起りはしないかというふうにも考えられ勝ちであります。何かこの點はお誤りになつてつたのではないかと思われますが、一應明白にしておいて貰いたいと思います。
  79. 中山次郎

    政府委員中山次郎君) 先程の御説明、言葉が足りませんようでありましたので、もう少し附加えて御説明申上げます。既往の加入者につきましては、すでに架設の場合に一定の設備費を負擔して頂いております。それはもう納め切りにいたしております。又加入されましてからいろいろな料金を納付して頂いておりますが、その料金體系によりまして一應今までの電話に關する費用を分擔して頂いて來たわけでございます。で今囘新たに増設します分につきましては、これはまあ新らしく加入される方からも、若し財政状態が從來通り許すならば一應前の建前で同じように設備費なり、又料金を負擔して頂くべきであると思うのでありますが、先般來御説明いたしましたような財政事情で、その費用をやはり借入れさして頂くというふうな事情になりましたので、一應借入れさして頂くのでありまして、それを全部費用として政府の方に納入して頂くというのとは、事情が違いますので、その點で今後この公債を負擔して、加入して頂いた方に特別に料金なりその他の減免ということにつきましては、私共は別に差別を付けず、むしろこの負擔して頂いた公債額を早く償還するなり、又適當の利子によりまして、そこに負擔して頂いた負擔を少しでも輕減して頂くように考えておる次第であります。
  80. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 どうもまだはつきりと了承できないのですが、そうしますと新加入者は今までの加入者が負擔した費用というようなものと同樣なものを、公債を引受ければ負擔しないでもいいという結論になるのですか。それともやはり今までの加入者同樣負擔するのだということになるのでありますか。公債引受以外の費用です。
  81. 中山次郎

    政府委員中山次郎君) 公債引受以外の料金は、やはり前の加入者と同じように負擔して頂くつもりでおります。
  82. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 そうすると何らそこに新加入者と今までの加入者との差はないわけですね。
  83. 中山次郎

    政府委員中山次郎君) さようでございます。
  84. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 そうすると結局先程のお話の今までの加入者は料金や何かを負擔しておつたのだから、これには公債を持つて貰うということをしないで、新加入者だけに持つて貰うのだという御説明ちよつと矛盾を來しはしないかと思うのであります。それを明白になさつて置いた方がこれから新加入者に對する疑惑の點がないようにできやしないかと思います。
  85. 中山次郎

    政府委員中山次郎君) その點でございますが、まあ私共といたしましては若しも國家財政が許しまして一般公債を公募できまして、その財源に基きましていろいろな設備をし、それを本にして新らしい加入者を募集し架設でました場合には、それの費用を償還でききる範圍内において料金體系その他架設費を確定いたしまして、從來通り加入者に負擔して頂くという方針で進みたいと思うのでありますが、その方法もできませんで、こういう公債を發行するということになりますと、そこに從來との制度を變えまして、この公債はやはり加入者に臨時的措置なのでありますが、まあ御迷惑をそれだけ負擔させるというのでこの法律案を出したのでありまして、そこに從來の加入者よりは非常に場合によつて不利な立場に置かれているということも私共自認しているのでありまして、この暫定的措置は先程新谷委員からも御意見がありましたように、できるだけ元のようになり、又正常な状態に復歸しまして、こういうような御迷惑を掛ける案は成るべく早い機會に消滅させたいというように考えました次第であります。
  86. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 この際電話の加入とちよつと違う用件を質問してもよろしうございますか。
  87. 深水六郎

    委員長深水六郎君) どうぞ。
  88. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 實は先般來の遞信從業員のストライキ問題に關連することでございますが、最近の新聞等において電話のストのために火災報知が遅れた、或いは急病人が醫者を呼ぶのに間に合わなかつたという非難が頻々として掲載されておるのであります。これに關しまして、そういう場合のストライキ最中において、やはり災害防止上或いは人道上から見て、そういう際は特に取扱を遞信省方面から了解を得ておつたか、或いは了解を得てあつたとすれば、そういう事故というものは非常にこれは從業員の取るべき態度でなかつたという點が出ますが、そういうふうな場合に從業員に對して處罰であるとか、或いは責任をどの程度負わせるのであるか、そういう點について次官の御説明を伺いたいと思います。
  89. 鈴木恭一

    説明員(鈴木恭一君) 今囘の爭議に際しまして、國民各位に、各方面に御迷惑を掛けておりますことは、管理する者の一人といたしまして誠に相済まないと思つております。勞働組合法竝びに勞調法によりまして、遞信從業員が爭議行爲をいたしますことは、或る制限はございまするが合法的に認められておりまするので、同盟罷業といつたようなものが通信事業の間に起りますことは、勿論私共としてはできるだけ避けなければならないのでございまするが、又止むを得ない事情もここにあるのでございます。ただその罷業の及ぼす影響が通信事業のごときものにおきましては殊に甚大でありますので、特別な配意が私共としてなされなければならないことは申すまでもないのであります。罷業が起ります危險を豫知いたしました場合は、私共といたしましては確保して貰いたい線につきましては、相當詳細に亙りまして組合の方に申入れをいたしております。氣象、火災その他重要な通信、殊に進駐軍等もそうでありますが、そういうふうな問題は罷業中と雖も確保して貰いたいということを申入れたのでございますが、御承知のように多數の從業員を擁しております局が罷業が入りました際、極めて少數な管理者を以ていたしましては、どうしても運用はできないのでございまして、結局そうした通信も止まつたという結果に相成つたのでございます。合法的な罷業をいたしました場合に對しまして、いわゆる電信法上の通信を阻害した行爲としてこれを罰することは、今日としてはできないと私共は考えております。併しそれが勞働組合法で認められました正當な爭議行爲でなければならないことは申上げるまでもないのでありまして、それが正當であるかどうかということは問題になつて來ると思うのでありますが、今日勞調法の第七條でありますかにもあります通り、自分たちの要求を貫徹するために正常なる業務の運營を阻害する行爲が爭談行爲ということになります以上は、その逸脱しておるかどうかということは一般論としては問題になりますが、法律上は非常に困難な問題と考えております。從つてこれだけの爭議が社會に及ぼす影響の甚大なることをお互いが心いたしまして、組合といたしましてもよくその點を認識した行動に出て貰いたいということを管理者としては念願いたしておる次第でございます。
  90. 堀越儀郎

    堀越儀郎君 國又は公共團體の用に供する場合には、この法律は適用されないと思いますが、この場合の名義人は個人名義でも公共團體の用に供すれば適用されないのですか。
  91. 中山次郎

    政府委員中山次郎君) この條文に使つてあります「用に供する」というのは、その名義の電話というふうに御解釋願いたいと思います。個人の電話を國又は公共團體が借入れるというような意味でございませんで、名義人が國又は公共團體というふうに御解釋を願いたいと思います。
  92. 井上なつゑ

    ○井上なつゑ君 三十日以内の電話を架ける場合には公債を買わなくてもいいと書いてございますが、三十日以内の電話と申しますと、誰でもどこでも、どんな目的にでも架けられるのでしようか。若しそうだといたしますと、こういう電話に特に公債でも買つてつた方がいいじやないかと思いますが、何か理由がございましたら。
  93. 中山次郎

    政府委員中山次郎君) 三十日以内の電話と申しますのは只今臨時電話と申しまして、冠婚葬祭その他いろいろの催し物のときに、特に電話を持つておられてもその数が少いとか、それから持つていないために不便だというので、臨時に申込まれました者につきまして、別な料金で以てお掛けしておる電話なのでございまして、やはり最長一ケ月ということを期限にしておりますので、その方々に二萬圓公債をその度に負擔して頂くことは餘り妥當でございませんから、これを除外しておる次第でございます。これはどなたでもお申込になりまして、大體各電話局にその豫定數は用意してございまして、その需要に應ずるようにいたしております。
  94. 深水六郎

    委員長深水六郎君) 油井委員の午前中の御質問の、公債の償還方法について、政府委員から御説明があるそうですから……。
  95. 中山次郎

    政府委員中山次郎君) 大藏省とその後連絡いたしまして、大體大藏省の方の方針も決まり、遞信省との話合で電話公債の償還につきましては、通信特別會計におきまして收入状況がよくなつた場合に、償還期限前におきましても、買入れの方法その他によりまして償還することに考えております。これは通信特別會計の減債基金の繰入れの範圍内におきまして實行いたしたいと考えておるのであります。この買入れの方法につきましては、國債市場が將來開設せられました場合に、その國債市場を通じまして買上げするか、又それとは別に或る程度特殊な場合を考慮いたしまして、公債を負擔して頂いたが、生活がその後非常にお困りになつておるというような場合、その他にも或る程度優先的に買入れまして頂くということも考えたいというふうに存じておる次第であります。
  96. 深水六郎

    委員長深水六郎君) 外に御質問ございませんか……政府委員の方から何か御説明がありませんか……ございませんならば、本日はこの程度で散會して、次囘に讓りたいと思いますが、如何でしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  97. 深水六郎

    委員長深水六郎君) それでは本日はこれを以て散會いたします。次會は公報を以てお知らせいたします。    午後三時三分散會  出席者は左の通り。    委員長     深水 六郎君    理事      水橋 藤作君    委員            大島 定吉君            油井賢太郎君            井上なつゑ君            尾崎 行輝君            新谷寅三郎君            堀越 儀郎君            藤田 芳雄君   政府委員    總理廳事務官    (經濟安定本部    生産局次長)  石原 武夫君    遞信事務官    (總務局長)  大野 勝三君    遞信事務官    (電務局長)  中山 次郎君    遞信事務官    (資材局長)  林  一郎君   説明員    總理廳事務官    (經濟安定本部    通信資材課長) 平山  温君    大藏事務官    (理財局國庫課    勤務)     伊藤 正則君    遞 信 次 官 鈴木 恭一君