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1948-04-06 第2回国会 参議院 通信委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年四月六日(火曜日)    午後一時五十一分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○郵便爲替法案内閣提出)   —————————————
  2. 深水六郎

    委員長深水六郎君) それでは只今から通信委員会を開きます。提案理由説明は先に済んでおりますので、政府委員からこの法案の大要について少し詳細にお話を頂いて質疑に入りたいと思います。政府委員から御説明願います。  次官がおいでになつておりますから、今日の新聞にあつた資材局お話ちよつと伺いますか、どうしますか。
  3. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 できればそれを聞きたいですね。
  4. 深水六郎

    委員長深水六郎君) それでは分つている範囲において、ちよつと簡單にでも次官から今日の読賣新聞記事にあつた資材局お話をお伺いしたいと思います。
  5. 鈴木恭一

    説明員鈴木恭一君) 実は今朝ほど読賣新聞逓信省資材の問題について記事が載つてつたのでありまして、私共実は驚いたような始末でございます。何分今朝ほどの新聞で実は私も知りましたようなわけで、早速事務当局と申しますか関係者集まりまして、今調査いたしております。終戰前東京相当爆撃を受けまして、その際市内にあります倉庫のものを各地方に疎開いたしましたことは事実でございます。山梨縣方面にも行つておりまして、新聞に出ておりました倉庫に疎開したのも事実なんでありますが、その後、市内倉庫相当燒けました。特に最も大きな倉庫でありまする木挽町の倉庫が全燒いたしたような関係で、当時の書類等はつきりいたさない点もございます。疎開いたしました荷物を回收するにつきましても、当時物品会計官吏の手許にありました書類と照査いたしまして回收いたしたのでありますが、多少この中に帳簿の燒けておりましたようなこともございまして、はつきりその点がいたさなかつた点もあるやに思われるのでありますが、その辺の事情が今のところ分りませんので、目下調査いたしております。勿論帳簿の抹消とか、そういうふうな事実は全然ないと存じますが、私共といたしましては、臭い物に蓋をするというふうなことでなしに、こういうような事実が仮りにありといたしますならば、徹底的に調査いたしまして、はつきりさせたいという考えでおります。只今のところその程度より申上げられないのであります。いずれ調査いたしました結果お答えしたいと思います。
  6. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 次官の御説明ですが、今日の新聞によると、誰ですか忘れましたが、山梨縣の方で、從業員用の被服を持つて賣り歩いたというようなことが載つてつたように思うのでありますが、そういう事実はあるのですか、ないのですか。
  7. 鈴木恭一

    説明員鈴木恭一君) 実はその点もまだはつきりいたさないのでございます。実はあすこに、新聞に載つておりました平嶋倉庫関係のものも、よくその辺も今日午後寄りまして調査いたしたいと思つております。
  8. 深水六郎

    委員長深水六郎君) それぢやこの問題は調査ができてからのことにいたしまして、議題の方に移りたいと思いますが、よろしうございますか。    〔「異議ない」と呼ぶ者あり〕
  9. 深水六郎

    委員長深水六郎君) それでは貯金局長から御説明を願います。
  10. 村上好

    政府委員村上好君) それでは只今から郵便爲替法案につきまして、その法案概要を申上げたいと存じます。  現行爲替法は僅かに十八ケ條、その爲替規則は六十九ケ條、その他各種の命令がございますが、これらの中から重要な部分を抽出して新爲替法制定しようとするのでありますが、新爲替法は四十二ケ條、從前の爲替法に比べて相当條文が殖えておるのであります。併しこの四十二ケ條法律だけでは、全部をこの法案のみを以てするというわけではありませんので、細部の点は更に爲替規則を作る予定でございます。尚新法旧法の一部改正ではございませんで、旧法を廃止しまして、新たに新法制定するという建前を執つております。改正の要点は、先般提案理由説明の際に概要を示したのであります。  総括的に申上げますると、業務の実体は大した重要なる変更を來たしてはいないのであります。実は法案條文説明を逐條的にやる予定で用意して参つておるので、この概要を抽象的に敷衍して申上げる準備をしておりませんが、これをかいつまんで、できるだけその御趣旨に副うように御説明を申上げたいと存じます。  法案概要は、從來郵便爲替に関する法令を整理統合して、制度の目的及び運営の主体並びに制度内容利用條件等基本的事項は、すべて法律で定めることにいたしました。その次には官業の御主化の見地から制度の一部に改正が加えられましたが、その主なる事項は次の通りであります。  その一つは、從來郵便爲替利用について無能力者がなした行爲は、法律規定によつて能力者がしたものと看做され、民法規定が排除されておりましたが、これを一般の原則によることにしたのであります。  その次には、郵便爲替に関する取扱の遅延によつて生じた損害については、從來法律規定によつて一切責任を負わないとされておりました。即ち民法の責務の遅滯の規定が排除されておりましたが、今回は不可抗力その他止むを得ない場合の他はすべて損害を賠償するということに改めたのであります。以下便宜この法文の條文從つて、今申上げた点を申上げて見る方がよろしいかと存じます。  第一章の総側は、これは從來郵便貯金法の場合と同じく、通り立てて申上げることはございません。十四條までは取立てて申上げることはございません。  十五條、これが先程申上げました免責條文でございます。この免責は一号、二号、三号とこの三つの場合は損害賠償の責に任じないという條文でございます。それからその次には十六條、これは郵便爲替証書金額制限でありますが、これが多少従來のと変つております。これは從來代金引換取立金の場合に、それを局から依頼者に送金する場合には、金が高額になると何枚も爲替券を切つていたものですが、これは一枚の爲替券で差支えないという改正がございます。  それから、その次に変つておる点は、十八條從來郵便爲替は有料か然らずんば無料のどつちかであつて減免という制度を認めていなかつたのでありますが、今回の法律におきましては料金を底減する道を開いたのであります。これは將來通信事業組織が如何様に相成りますか分りませんが、郵政、電政その他の逓信省事業の中には、独立採算建前嚴格にとるとすれば、その会計嚴格に分けなければならないという要素を含んでいるのがあるのであります。そういう場合も考慮いたしまして、將來妥当料金を設定するような場合には減免という方法を開いておいた方がよかろうというので、この途を新らしく開いて行こうとするわけであります。  その他は先程概括的に申しましたこと以外に取り立て申上げることはありません。料金を五十銭を一円とするといつたような極く僅かな修正を加えただけであります。  最後に附則に入りますが、この法律の施行を三月一日といたしてございます。これは一月に提案をいたしました関係上こうなつているのでありますが、すでにこの日も経過しておりますので、この取扱については別途に、この法案が参議院を通過するまでには、この日を何らか、形式の問題でありますが、修正をお諮りいたしたいと存じます。  それから四十一條でありますが、現在業務停止若しくは制限中のものが残つているのであります。これは戰災を被つて、その善後処理のために停止制限をしているのでありますが、その一つ爲替金拂渡済否の取調べ、もう一つ拂戻済通知といつたようなものは、これを停止しているのでありますが、これらの業務新法制定と同時に復活する予定でございます。  それから四十二條、この四十二條は金融緊急措置令に基く料金の甚だ安い制度であります。これは措置令が生きている間はこの安い料金で継続するということをここに掲げているのであります。大体以上の通りでありますが、これで旧法にあつて新法で削除したところは、先刻申上げました無能力者行爲の擬制、この條文を撤廃いたしましたので、これが削除されてます。  大体以上の通りであります。甚だ要を得ませんけれども、御質問に対して、お答えすることにして、審議を進めて頂きたいと存じます。
  11. 深水六郎

    委員長深水六郎君) それじや暫く休憩いたします。本会議終了後直ちに再開いたします。    午後二時十一分休憩    ——————————    午後三時二十三分開会
  12. 深水六郎

    委員長深水六郎君) それでは休憩前に引続きまして会議を開きます。
  13. 堀越儀郎

    堀越儀郎君 この審議に当りまして少し質問申方げたいのでありますが、先ず総括的にお聞きしたい点が二、三ございますから、簡單に御答弁願いたいと思います。この第一番目には、爲替経営上どうなつているか、收支の状態がどういうふうになつているか、御説明願いたい。それから第二番目には、最近よく新聞などに出ることで、これは逓信行政の上で非常に重要な問題になりまするが、犯罪に殖えておる、これに対して部内部外の数はどういうふうになつておるかということをお聞きしたいと思います。  それから最近の組合運動などによつて、官の権限が無視されることによつて、即ち職場の紀律が緩んで來る、そのために発生して來る犯罪のようなものが出て來る傾向がないかというふうなことに対して御所見を承ります。又これを防遏して行かなければならないのでありますが、どういうふうな御方針で政府としてはお進みになつておるか、その辺もお伺いいたしたいと思うのであります。  それから三番目には、戰災によつてどういう影響を受けているか、これは水害と違つて大したこともないと思いますが、全然影響もないということもなかろうと思いますが、こういう点についてお聞かせ頂きたいと思うのであります。
  14. 村上好

    政府委員村上好君) お答えいたします。只今爲替関係に関するこの経営状況について御質問がございましたが、爲替関係は本年度のこの予算におきましては、歳入を二億二千八百万、歳出は二億一千二百万、差引歳入過剰千六百万という予算を以て事業経営しております。決算におきましては多少数字が変ると存じますが、大体目安は以上のようであります。  次に犯罪関係についてお答えいたしたいと存じます。犯罪につきましては、戰後非常に逓信関係犯罪、特に爲替貯金犯罪が簇出いたしまして、誠に申訳けがないと存じております。その数字を挙げて見ますと、最近の数字におきまして、本年度の四月から十月までの数字が最も新らしいのでありまするが、部内犯罪におきまして二百三十二人、金額にして千九百五十五万一千円、部外犯罪は五百四十四人、金額にいたしまして二百七十八万八千円という、何れも厖大数字を示しております。これを一ケ月平均に直して見ますと、部内職員にありましては二百七十九万三千円、部外におきましては三十九万八千円という数字を示しております。この犯罪の趨勢を見ますと、昭和二十年度から二十一年度、二十二年度、毎月の一ケ月平均を比較して見ますと、部内犯罪におきまして、二十年度におきまして十二万五千円、二十一年度は百三十一万九千円、二十二年度はさつきの数字であります。それから部外犯罪す二十年度八万五千円、二十一年度三十二万九千円、二十二年度が先刻の三十九万八千円、何れも著しい増勢を示しております。誠に遺憾なことと存じます。でこの犯罪が誠に多いので、この防遏には政府といたしましていろいろの方法を講じて努力しておるのでありまするが、犯罪の種類を申上げますと、一番多いのが金融緊急措置令違反であります。これが部内におきましては四月から五月までの間に千二百万を超えております。その他の犯罪が七百四十万であります。それで七百四十万の内訳は、保管資金、つまり郵便局長の保管しておる資金であります。それが一番高額を示しております。その次には郵便貯金犯罪であります。これが二百二十二万七千円、その他は百万にはならないのであります。それで、これらの原因は、戰災を蒙りまして今までの事業経営方法を非常に簡素化して参つておりましたので、戰後この間隙に乘じて犯罪をする。それから貯金におきましては原簿その他が非常に焼失いたしましたので、これらの不備に乘じて犯罪をやる、それから從事員が非常に質が下つておるといつたようなこと、これらのものが一、二原因と考へられております。それで第一の戰災を蒙つたこの事業を一日も早く整備復旧するということをいたしておりまして、この復旧も着々と進捗して参りまして、もうすでに大体峠を越えたかと考えられます。それから戰時中にいろいろ業務取扱を簡素化しておりましたので、その間隙を衝いてやる犯罪、これらに対しては逐次整備と共にこの業務の業態を復元させつつあります。これらによつて犯罪防遏に努めております。それから從事員の質の低下、これに対しましては從事員業務上の訓練をいたして質の向上を極力図つておるわけであります。尚犯罪が非常に殖えて参りましたので、監察制度の強化ということが強く叫ばれまして、最近逓信省におきまして、監察制度を強化して、中央で一元的に監察をするという方法を取つて、これも犯罪防遏に鋭意努力しておる次第であります。抽象的に申上げまして大体以上のようなことに相成るのであります。
  15. 堀越儀郎

    堀越儀郎君 只今犯罪の殖えることに対してのいろいろ理由を御説明になりましたが、私の所見からいたしますると、この逓信省で扱われる爲替にしても、又貯金にしても、そうでありまするが、零細な数字を扱いまする上において、数字というものは生命になるのではないか、その大事を数字を扱う上において、この逓信省管内において非常に軽く見られるような欠点が根本になつておりはしないかと私は思うのであります。その一つの例を申上げますると、これは昨年私は質問申上げたことでありまするが、何でもないと思われるような資料とお考えになつたのかも知れませんが、以前に審議いたしました法案参考資料として頂いたときに、つまり國民所得発表大藏省逓信省との発表が違う、それに対して私はどうお考えになつておるかということをお聞きしたところが、逓信省の方が誤まりで大藏省の方が正しいと思つて貰いたいという御答弁を頂いたのであります。ところがあの書類を見ますると、年度始めにできた書類らしくありますが、訂正したところがあり、又その状況によつて変化すると思われるにも拘わらず訂正もせずにそのまま放つてある個所も見受けられるのでありますが、こういう点を、大事な数字を扱うべき生命とも考えられる数字を、非常に軽視しておるという点が犯罪を惹起する一つの私は大事な原因になりはしないかということを考えておるのであります。これに対して政府としてどうお考えになつておるか御所見を承わりたいと思うのであります。
  16. 村上好

    政府委員村上好君) 只今痛いところを御指摘に相成りまして誠に痛み入つておるのでありますが、意識的に数字を軽視しておるわけではないことは無論でありますが、計数は非常に厖大組織から集めるので、なかなか或る一定の時期に正確な数字纒めることが実際において困難の場合が非常に多いのであります。一方どうしても早く出さなければならんというので、その時期を異にしたりして出さざるを得ないような結果になつて、甚だ不調和になるようなことがあつて、その点は非常に申訳ないと思つております。由來、これはその筋からも日本の統計について非常に杜撰であつて日本人はこれを改めなければいかんということを強く喧しく言われまして、日本人にはそういう欠点が確かにあるということを我々もこれを認めざるを得ないと思つております。只今指摘なつた点は誠に御尤もだと思う。將來数字の正確については更に細心の注意を拂つて正確を期したいと、かように存じております。
  17. 堀越儀郎

    堀越儀郎君 只今の御答弁を承わつて意を強うしたのでありまするが、逓信行政においては、この点については御留意を願いたいと、重ねて希望いたしたいと思うのであります。  それから先程お聞きした中で御答弁を頂かなかつたのでありますが、これは國民が非常に不安を感じておることでありまするが、最近の組合運動によつて官権威が大分失墜されておるように思う。先程からも公報の配達時間の問題でいろいろ御意見が出ていたようでありますが、我々は直接関係すること以外に、随分そういう点が多かろうと思う。これに対して國民逓信省の仕事に対してどれだけ不安を感じておるかわからないのでありまするが、それと同時に、そういうような官の権威を無視することから職場規律弛緩して、そのために更に犯罪が殖えて來はしないかというようなことを、私は非常に懸念するのでありまするが、そういうことに対して政府としてはどう処置されるのか、その点も重ねてお伺いしたいと思うのであります。
  18. 村上好

    政府委員村上好君) 組合運動によるこの規律弛緩から生ずる犯罪という点でありまするが、組合運動が熾烈になつて参りまして、その結果といたしまして、或いは定時退廳の励行とか、地域スト頻発等がございまして、時に業務の運行に支障を生ずるようなことがあります。又ストライキと関連しまして、先般連合軍軍法会議に付せられたような事例もないではないのでありますが、只今までのところにおきまして、組合運動のために業務上の犯罪が増加するという事実はまだ認められてないのであります。併し組合員自体部内犯罪のみならず、官紀の弛緩といいますか、組合運動のそれらの業務上の間隙に乘じて外部からの犯罪ということも考えられます。まだその事例はございませんが、これらの点は將來十分戒心いたしまして、これらの防遏に努めたいと考えております。只今のところ別にまだ具体的に申上げる程の措置は講じておりません。  次に先刻御質問のありました戰災によつて爲替に及ぼした影響はどうであるかという御質問でございますが、戰災によつて爲替は、御指摘のごとく原簿等があるわけでありませんので、さして影響はなかつたのであります。從いまして直接爲替利用者に対して戰災影響を與えて現在に及んでおるということは余り今ないと考えます。但し戰災を受けましたために制度制限停止爲替関係においてやつておりますので、例えば小爲替を発行いたしまして、必ずそれには拂渡局と受取人とを指定せよといつたようなこと、その他爲替の拂渡しの照会といつたよう制限をやつておりますので、戰災影響と申しまするとそういう業務上の制限停止が起つております。これらは新法制定と共に復元いたしたいと考えております。
  19. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 ちよつと速記を止めて下さい。
  20. 深水六郎

    委員長深水六郎君) 速記を止めて。    〔速記中止
  21. 深水六郎

    委員長深水六郎君) 速記を始めて。
  22. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 只今説明経営状況ですが、歳入歳出とで以て、歳入の方が一千六百万円多いというようなお話であつたのですが、若し郵便爲替関係で以てこういうふうな收支状況だとするなら、差当つて料金改正を行わなくてもよろしいと思いますが、政府の御答弁を願いたいと思います。
  23. 村上好

    政府委員村上好君) これは年度初頭に千六百円ベースを基礎にして作りました予算を、次々に修正してここまで参つたのでありますが、これが更に現在の千八百円ベースが漸増して参りますと、当然この歳出が殖えて参ります。人件費においても又物件費においても相当増嵩を示すと考えられます。從いまして千六百万円程度の黒字では到底郵便爲替事業というものは、收入支出がバランスというわけには行かないと考えられます。
  24. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 只今千六百円ベース基準としてこの予算は立てられたというお話がありましたが、千八百円でも訂正しなくちやならん。然るに今日二千九百二十円ベースということの実施ということは明かにつておるのですが、そうすると非常なここに赤字が出るということは明白だと思うのです。これにつきまして逓信省部内從業員の側から、通信料値上げは絶対反対だということを先般來盛んに唱えられておるのでありますが、この関係について、いわゆる幹部側においては、当然これは相当値上げを必要とするのは明白であるのですが、逓信部内において通信料値上げというものに反対するというような非常な摩擦があるのですが、どういうことが原因になつておるか。或いは幹部側の意向というものが少しも滲透してないということがあるのか、又は從業員自体が自分らの從事しておるところの事業に対する認識が全然ないのか。そういう点を少し、御説明願いたいと思います。
  25. 村上好

    政府委員村上好君) お答えいたします。ちよつと速記を止めて頂きたい。
  26. 深水六郎

    委員長深水六郎君) 速記を止めて。    〔速記中止
  27. 深水六郎

    委員長深水六郎君) 速記を始めて下さい。他に御質問ありませんか。
  28. 堀越儀郎

    堀越儀郎君 総括的の質問が他の方になければ、個々の條文について少しお尋ねしたいのですがよろしうございますか。
  29. 深水六郎

    委員長深水六郎君) どうぞ。
  30. 堀越儀郎

    堀越儀郎君 第三條の逓信大臣職権委任でありまするが、委任予定しておる内容があるならば一つお知らせ頂きたいと思います。
  31. 村上好

    政府委員村上好君) 職権委任逓信局長への委任と、郵便局長への委任と二つを想定しております。逓信局長への委任は二十三條にございます利用制限及び業務停止、この場合は、「天災その他やむを得ない事由がある場合において、重要な業務の遂行を確保するため必要があるときは、逓信官署を指定し、且つ、期間を定めて、郵便爲替利用制限し、又は業務の一部を停止することができる。」これは風水害とか、或いは地震とかいつたような突発的の天災のあつた場合に、逓信局長をして、これらの官署をして指定、期間、それから業務の如何なるものを委任するかといつたようなことを、逓信局長委任する予定でございます。二十四條の非常取扱、この二十四條も逓信局長委任する予定であります。  それから郵便局長委任する場合は、二十八條便宜拂であります。「銀行爲替金を拂い渡す場合において、銀行の請求があるときは、第八條規定する拂渡郵便局以外の郵便局において、爲替金を拂い渡すことができる。前項の規定により爲替金を拂い渡すことのできる郵便局は、銀行の申出に因り、逓信官署において承認した郵便局に限る。」これは郵便局において委任された便宜拂、この処理郵便局長委任するという予定でございます。
  32. 深水六郎

    委員長深水六郎君) ちよつと大臣がお出でになりましたから、大臣に関する御質疑を願いたいと思いますが、その前にちよつさ挨拶いたされるそうでありますから、ちよつと速記を止めて下さい。    〔速記中止
  33. 深水六郎

    委員長深水六郎君) 速記を始めて。大臣がお見えになつておりますから、大臣に関する御質疑の方は一つどうぞ。
  34. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 この法律案関係ない問題で質問してよろしいですか。
  35. 深水六郎

    委員長深水六郎君) どうぞ。
  36. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 逓信大臣がお見えになりましたので、只今衆議院予備審査をやつております財政法第三條の特例に関する法律案につきまして、簡單な問題であるますが、一應この委員会としましても、政府の御見解を明らかにして置く必要があると思いますので、その点お伺いしたいと思うのであります。  その第二号に郵便、電信、電話、郵便貯金郵便爲替及び振替貯金に関する料金という字を使つてあります。これは昨年來いろいろ政府との折衝によりまして、今回こういう基本的なものは國会議決を要するということにされまして、そういう意味の法律案をお出しになつたことにつきましては、我々も賛意を表するものでありますが、その振替貯金に関する料金という字であります。こういうふうな字句でありますと、結局あらゆる料金について、國会議決を経なければならないというように解せられるのじやないかと思うのであります。  第三号の國有鉄道におきましては、旅客及び貨物運送基本賃率という字を使つたのでありますが、結局これは常識的に基本料金國金議決を経て、それからなにか基準になるような規定がありまして、具体的な各賃率というものは、それによつて自然に出て來る、基本的なものだけを國会議決を経るというようになつておるように思うのです。例えば電話について申上げますと、長距離電話で、これは大体においてキロ数に應じての料金が決つておると思うのですが、あらゆる料金國会におかけになる積りでありますか。或いは政府の方でそれとは違つて、基本とはありませんが、基本の料金だけを國会におかけになる積りでありますか。その点について先ずお伺いしたいと思うのであります。それから序でにもう一点大臣にお伺いしたいことは、先般通信委員会質疑をいたしまして、政府委員から御答弁がありました。それによると、前内閣当時から恐らく芦田内閣でもその方針は踏襲しておられるのじやないかと思いますが、特に石炭、電力、輸送というこの三つの事業に重点をおかれまして、資材資金その他あらゆる面において重点的な取扱をするということを伺つたのであります。併し通信事業は遺憾ながらその重点的産業からこの際は除かれて、只今大臣が縷、お話になつたように通信事業は非常に目立たない、いわば縁の下の立持ちのような仕事ではありますが、決してこれらの三つの重要産業に比較して優るとも劣らない重要性を持つておると思います。通信事業を第二次的に考えて、これの復興を怠られると、結果において予想外の障害が起つて、これらの重点産業を恐らくその復興が非常に遅れるのではないかと考えます。私は私見としてはこれらの事業と並んで通信事業も最重点的の取扱をされる必要があるのじやないかと思うのであります。これに関し逓信大臣はどういう御見解をお持ちになりますか、又今後國内においてそれについて積極的に推進しようという御決意をお持ちになつておりますか、その点を伺います。
  37. 冨吉榮二

    ○國務大臣(冨吉榮二君) 誠に適切なお尋ねであると思いますが、第一の料金の問題に関しては次官から申上げることといたしまして、特に政治的な問題である第二の御質問にお答えいたします。御指摘の如く通信事業が重点的に取扱われていないことは事実でございます。大体從來石炭、電力というようなものを重点産業として取扱つて、運輸、通信は並べられてあつたのでありますが、最近における輸送力の欠乏が我が國産業の発展を阻害すること夥しいという一般の輿論に聽從し、又そうしたことを政治的な意味からも非常に重大視しまして、そうし今年の一月でしたが、はつきりいたしませんが、前の内閣において鉄道を石炭と同樣、重点産業として取扱うという内閣の閣議決定をいたしておつたのであります。從いましてこの度一億三千万トンの輸送計画に対しては、その線に沿うて資金資材、労需物資等のあらゆる面から、運輸省は相当の物を要求いたして参つたことは御承知の通りであります。私共はこの運輸事業が重点産業として指定せられることには全く同感であります。と同時に、通信事業も又只今お述べの通り、これは非常に重要な産業の一つとして当然政府が採上げるべきものであるという知念を持つておるのであります。この意味合いにおきまして、私は閣議におきましても、すでにこの問題に関しまして発言をいたしまして、極力、閣内における通信事業に対する認識を深めたいと努力いたしておるのでございまして、今回起りましたいわゆる全逓の爭議というような問題も、実は遠くこの源を正せば通信事業に対4る無理解と軽視が一つには原因をいたしておるのではなかろうかというようなふうのことを申しまして、理解を深めるべく努力をいたしておるのであります。全く今御指摘の点全然同感でございまして、この問題は私の任期中の最も重大な問題として、実はその努力をして見たい、こういうふうに考えておるのでございます。他の問題に関しましては、次官以下有能な事務当局諸君が努力いたして呉れますが、この問題だけは、私が特に努力しなければならん点であろうかと存じまして、事務当局の協力を得まして、これに対する資料の整備等々、各般の用意を目下いたしつつあるような次第でございます。ただ先程もちよつと申しました通り、運輸省といたしましては一億三千万トンを輸送するというように数量の上にはつきり出て参ります。通信事業は、主としてサービスでございまするので、今年は電話が何百万通話、何千万通話がかかるであろう、郵便物を幾ら幾ら運ぶ積りだという予めに計画が立てにくい爲に、ややともいたしまするというと、それらに対する資金の面、資金の面、労務の面に対する國家の待週もやや落ちる憾みがあるのであります。ここではつきり申上げ兼ねますけれども、安本等におきまして策定されまする労需物資の中におきましても、ややともすると、物資の不足が勿論原因ではございますが、通信從業員の方は、少し運輸の方よりも下位に置こうという嫌いなきにしもあらずと考えまして、これらに対しましても、大いに警戒しつつ、更に積極的な努力を各角度から檢討をいたして努力をいたしておる次第でございまするが、何を申しましても、單に渺たる蒼海の一粟に過ぎない大臣の、而も私の如き微力な者の一人角力では一向、一人の努力では埓が明きませんから、通信委員会におかれましても、特にそれらの問題に対しましては、我々にお力添えが願いたいと思う次第でございます。
  38. 深水六郎

    委員長深水六郎君) それでは逓信次官の御説明を願います。
  39. 鈴木恭一

    説明員鈴木恭一君) 財政法の三條の問題でございますが、御案内のように、財政法の三條の意味いたしておりますることは、政府の徴する料金、この問題につきましては、もうすでに國会の方におきましても、いろいろ論議されておりまして、御承知のことと存ずるのであります。通信或いは貯金、保險の料金に対しましても、廣い意味から申しまするといろいろ問題がございます。殊にこのインフレの時代におきまする國家事業料金というものは、單に料金問題という以外の問題がそこにあるのでありまして、私共もこれに対しては、いろいろそういつた面からも考慮しなければならないのでありまするが、通信或いは貯金振替貯金爲替料金といつたようなものは、生活費に影響いたしまする点はごく僅かでありまして、やはり財政法第三條の線に沿うて今日の場合といたしましても影響力は少いのではないかというふうな結論を私共事務当局としては持つております。從つて財政法第三條の趣旨に則りまして、成るべく具体的な個々の料金までも國会に決定をお願いするというのが、やはり筋ではないかというふうな関係で、鉄道の運賃或いは料金等と違いまして、通信振替、爲替料金というものは、料金という言葉を変えまして具体的に決定をお願いするということにいたしております。ただ只今お話のございましたように距離制のものにつきましては、個々の料金を決めるといたしましても、或いは困難が伴うのではないかとも想像されます。從つてそういうふうな場合におきましては、一定の、或程度までの分類を余儀なくされるのではないかというふうにも考えられるのでありますが、要は個々具体的な料金にいたすというふうに私共は考えております。
  40. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 大臣お話非常に力強く拜聽いたしまして、二十三年度資金計画或いは物資需給計画等におきましても、通信事業の方は他の三大重要産業と違つて比較的にその額は小さいものだろうと思うのであります。それについていろいろ通信局が困難をしておられるということも聞きますので、資材資金等につきましても、そういうもののためにその復興が遅れるようなことのないように、大臣において今後格段の御配慮をお願いしたいのであります。それから次官からお話の、この財政法三條の特例に関する法律の中の料金に関する解釈でありますが、これは只今財政及び金融委員会の方に予備審査審議されておる問題であります。併し具体的な料金で出て参りますと、当然これは通信委員会の方で審議することになるわけでありますから、今お話のような解釈で、或る部分は、例えば距離制の料金の如きは、この基本的なものを出すような、詰り分類をして基本的なものを出すようなことになるかも知れんというようなことでありますと、その点を解釈として、この國会で決定されます場合に明瞭にして置いて頂きたい。このまま文字通りに解釈いたしますと、この料金というのは、或いは具体的な料金を全部國会で決定する責任を持つておるというふうに考えざるを得ないのであります。この点は審議の際にその解釈を明確にして、國会政府側とでは意思が十分疎通しておるように、解釈上お互いに誤解のないように明瞭にして置いて頂きたい。
  41. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 大臣が御就任になられまして、以前商工省にも次官としておられ、経済界にも非常に明るい、又労働関係にも非常に経驗の多い方を迎えたことは誠に我々幸いとする次第であります。この通信事業におきまして、今まで逓信省管轄の事業というものは、大体昨年度においての予算等を拜見しても、幾分の歳入の剩余が出るというふうになつておるのであります。併しながら御承知のように、通信事業の大半というものはやはり人件費によつて賄われるというのがこれは原則であります。今回千八百円ベースより一躍二千九百二十円ベース等に躍進するということを前提として、この程度料金の訂正ということも必然的に行われるものと承知いたしておるのであります。然るに先般二月当時でありましたが、通信料の二倍の引上げということを政府からその当時提案されましたところが、從業員の諸君全部によつてこれの反対を見たというようなことがあつたのであります。國民といたしましては、或る程大衆課税にも等しい通信料値上げということに反対することを喜ぶのは当然でありますが、國家財政の見地から見ますと、或る程度のバランスを取るということは又必要であると思われるのであります。そういう点に対しまして逓信当局の今後の從業員に対する適正なる料金をよく納得して貰えるかどうかということはこれは大きな問題になると思うのであります。而も從業員の側におきましては、料金値上げというものが実施されなかつたということを以て、我々の勝利であつたというふうに世間に報道までしておる状態になつておるのであります。これについて大臣就任早々非常なる難関に直面しておられますと思いますが、今後國民としてのあり方、又同じ國民でもありまする逓信省從業員の立場といたしまして、適正なる料金等の算出について如何なる方針を以て指導され、又当られるかということを御説明願いたいと思います。
  42. 冨吉榮二

    ○國務大臣(冨吉榮二君) 御承知のごとく、逓信省会計は特別会計でございまするが、この独立採算制の問題はすでに相当論議されておるのでありまするが、遺憾ながら現在のところ、運輸、逓信両方共それが実現していないのは全く事実でございます。長い間特別会計は一般会者の方に御奉公をいたしておつたことは、すでに皆樣御承知の通りでございますが、このインフレの昂進に伴いまして、諸種の悪條件が出揃いましたために、只今では相当の赤字を見込まなければ経営ができないというのが実情であります。從いましてこの料金の物價に対する、或いは賃金に対する相当値上げということは当然過ぎる程当然な問題でございますが、現在のいわゆる千二百円のベースを以て決められたるところの料金を以てしては、とても独立採算など夢にも思われないし、今後サービス官廳として職責は果して行けないのでございまするから、私共は、これらの点に関しましては、どうしても財政の建前からいたしましても、又現実の一般の均衡の上からいたしましても、料金の引上げということは好ましいことではないけれども、止むを得ないことではなかろうかと、こういうふうに考えておつて目下それを如何なる点に線を引くかということについては仔細に檢討中でございまして、閣議におきましても、この問題に対しましても具体的にまだ結論を得るに至つておりません。御指摘の全逓從業員組合が、この問題に反対いたしましたことは全く遺憾でありまするが、事実でございます。而もそれらの理由といたしまするところは、大衆課税であるというふうの理由が立つておるようでございまするが、私はどうもこの理屈には遺憾ながら納得できないのでございます。凡そ通信料金の國民の日常生活に及ぼす影響、比重というものは決して大したものでないと私は考えておるのであります。それよりも以上にこの國家財政が著しく損われつつあることこそ重大視すべき問題であると思いまするが、全逓の從業員組合等におきましては、大衆課税反対というような抽象的な観念論が相当支配したというふうにも受取られまするし、又一面から申上げますと、自分たちの最低賃金その他の生活改善に、國民から取上げて料金の釣上げによつて賄うのは、どうも組合が大衆から理解されにくい、愛されにくいといつたような政治的の含みも多少あるやに私は承つておるのであります。併しながら大衆課税というふうにものを考えること自体にも再檢討を加えられまするが、次に申上げましたような、政治的意図というようなことに相成りまするならば私はかくのごときことは断乎として排撃しなければならんということを考えておるのでございます。併し問題は、その理屈で行けないというような議論が、このはき違えられた民主主義の下には随分行われ勝ちでございます。私は常に民主主義とは良識と叡智の上に立つところの納得と了解の形式であるということを、從業員に対しても申しておるのでございまするが、理屈はあつてもなくても、なんでもかんでも政府の言うことに反対だという行き方も、又或る方面の政治的意図の中には相当強いようでございまして、私は熱心にこれらの問題に対して了解を求むるならば、一部にいわゆる爲にせんとする人は別でございまするが、從業員の大多数は必ず政府の、私共の意のあるところを理解して呉れるにやぶさかではないと、私は確信を持つてこの問題に対しても十分に今後從業員の協力を求めるべき努力をいたすつもりでございます。又一旦これらの問題を採上げまして閣議決定の曉には、それらの組合やなんか如何なる反対をいたしましても、断々乎として私は臨む。そうして國会において、國民の輿論の府であり、國権の最高機関たる國会の御承認さえ得れば、敢て労働組合がこの問題に反対しようと何しようと問題じやない。こういうふうな一つの信念を以て進みたいと、こう考えております。
  43. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 只今大臣の心強い御回答に接しまして甚だ意を強うするものでございます。お言葉中、値上げというようなお話があつたようですが、これは値上げするというお誤りであると思います。尚逓信從業員相当の人数を擁しておるのでありますが、行政整理問題に関連いたしまして、世間ややともすれば逓信從業員相当数が多いのである。仕事の分量が戰前に比べて左程殖えてもいないのに從業員が殖えておつて、而も能率が下つておるという世評をたびたび聞くのであります。こういう点に対しまして大臣として今後の方針を示して頂きたい。
  44. 冨吉榮二

    ○國務大臣(冨吉榮二君) はつきりした数字は分りませんが、大体昭和九年乃至十一年の労働量が基準といたしまして、この労働基準法に基いて算定した結果によりますると、逓信省は現在の事業内容におきましては、尚三万八千人の増加をしなければならんというのが事務当局の見解のようであります。勿論私はまだこれに対する研究の時間的余裕もございませんので、数字的に一々それが適確であるかないかは今日保証はできませんが、恐らく私は決して当らずと雖も遠からざる議論と事務当局を信じておるのであります。そこで問題はこの逓信從業員の首切りの問題でありまするが、行政整理の問題になりますれば、行政の機構の改革等により、國家が逓信行政におけるこの点を落す、あの点を落すということになりますれば、これは或いは相当数の減員ということも望まれると思いまするが、少くとも現在或いは現在以上に仕事を拡充しようとするならば、現在のところにおいてこれを減員するということは、殆んどあり得ないのではなかろうかと、このように考えておるのでございます。併しながらこのことは社会政策的に考えまする場合と、通信事業一つの企業体として考える場合とは、おのずからそこの結論が違つて出て参りまするが、私共といたしましては、それらの二つの面を睨み合せつつやるのでございまするために、將來必ず首を切らんとか、必ず切るとかいう結論を申上げる機会に今日立ち至つていないと思うのであります。尚これらの問題に対しては、もう少し徹底した調査と研究を続けたいと思うのでございます。お示しの点はサービスの問題であると思いますが、確かに私自身サービスは下つておると思うのでございます。これは大体常識として二つの面が考えられるのではないかと思います。それは一つは人的なことから來る質の問題、つまり從業員の質が相当低下したということも考えられると思うのであります。固よりそれは單なる学力とか或いは年とかいうような関係でなくして、御承知の通り長い間、軍國主義の下に、ヒユーラー・システムの下に指導されて來た日本國民思想全体として、サービスとか或いは日本語で言う奉仕とかいう観念がややともすると薄らいで來たという感じがするのであります。そこに民主主義の自由の面や権利の面だけが主張されて、その民主主義の半面であります義務の面と責任の面がややともすると軽んぜられて來たという、ちぐはぐな行き方、過渡的な形態でありますが、世間では民主主義の行過ぎとか言われておりますが、これらの点が手傳つて全体としてサービス的な観念の稀薄という問題が一つある。それからもう一つ資材の面から來る設備が完全でない、機械が不十分であるということからする不可抗力的なサービスの低下ということがあり得るかと思うのであります。これらの面等を今後仔細に檢討いたしまして、できるだけ……固より我が國の現在の経済の許す範囲内において、十分なることはできないとしても、その許し得る範囲内における最大のサービスを私は回復したい、こういうふうに考えて、今後指導して参りたいと考えるのでございます。更に又今一つ大事な点は、この逓信從業員のいわゆる待遇の問題でございます。これは今日成程ベースといたしましては、等しく官公労の諸君は二千九百二十円でありまするけれども、これは勿論こういう席で申上げてよいか悪いかは先ず別の問題として、とにかく事実として運輸省の如きにはパスの制度があり、同時に官給でなくても制服制度なるものが現在ある。その他一般家庭用生活物資の輸送によるところの優先的な一つの面がある。こういうようでございまするけれども、不幸にいたしまして逓信從業員は切手を闇にすることはできんし、又無料で出させて貰つたところで大した生活の補助にもなりませんし、電話が無料になつて見たところで毎日電話をかけるわけでもありませんので、從業員といたしましては、生活必需物資並びにその止むを得ざる家計支出費という点において、他の省の如き恩惠がないという点は決して見逃してはならないと私は考えるのであります。從つてこれらの問題についていわゆる名目賃金にあらざる実質賃金の向上という点について、私は先きに申上げました線に沿いまして、大いに努力し、從業員從來の行き過ぎは勿論是正しなければなりません。何が彼の女をそうさせたかというその原因を探究して、一つ禍いを芟除するように努力をいたしたいと考えます。
  45. 油井賢太郎

    油井賢太郎君 只今大臣お話によつて十分了解はつきましたが、逓信從業員はややともすると、他の從業員に比べてとかく待遇の点や何かが劣つておるというような声が強いのであります。商工省において長らく御経驗があつて資材等の面においても相当ルート等に明るい大臣は、特に逓信從業員のために地位の向上をお図りにならんことを希望して質問を打切ります。
  46. 藤田芳雄

    ○藤田芳雄君 先程の油井委員の質問に対しましての大臣のお言葉で、私ちよつと速記に残つておる関係上、大臣の言葉が少し足りないところがあるのじやないかというような氣がいたしますので、一二申上げたいと思います。組合の力で大衆議税に反対だということは、ただ單に料金値上げそのものが大衆課税なるがために反対であると言つておるのじやないと考えます。言い分を聞きますると、他に取るべき財源があるのにその方面を取らないで、やることをしないで、ただこうした料金のみを値上げしようということに対して反対しておるのであります。要するに他の條件が一つある。ただ大衆課税なるが故にというだけじやなしに、そこには前提があるということをお考えになつて、これを取上げて頂かないと、將來問題が出て來ましたときに、相当紛乱の元になるのじやないか、殊に労働問題に対しては相当御経驗の深いことと思いますので、その点一つ同じく賃金値上げが政治的な意味を含まれておるというお話がありましたが、これも他の方を構わずに、いわゆる賃金値上げの叫ばれておるときに、賃金の値上げは即ち料金値上げによるより外賄われないというような印象を與えるというような意味が、強調されたのでありまして、殊に國会内でも相当反対の声があつたのでありますから、賃金値上げ即ち料金値上げだというようなことよりも、料金値上げをするなら、少くとも、それに應じて他の物價体系をも改訂することを考慮に入れてやるのでなかつたならば、料金値上げだけでは生活に相当な響きを持つておる。要するに料金値上げするならばそれに應ずるところの物價体系というものも考慮の中に入れなければならないのじやないか、その考慮なしに値上げすることに反対であるということが、やはり裏付けにあると思うのでありますが、この二点は重要な問題だと思います。これを除いて單に大衆課税とか、或いは料金値上げということを、それのみ引出して話をするということは随分間違つた観点に立ち、又変な意見になつてしまうのじやないかと思いますので、御承知と思いますけれども、言葉が落ちたのじやないかと思いまして、ちよつと念のためにお伺いいたします。
  47. 冨吉榮二

    ○國務大臣(冨吉榮二君) 只今好意的御質問誠に感謝いたします。全くお説の通りでございます。併しながら物價と料金という問題は、丁度御承知の通り鶏と卵のような関係でございまして、全般的な物價改訂というような問題と必ずしも同時的にこれは行われなければなら、このことによつて從つて物價に多少の改訂をし、從つて賃金に影響をするということは、これは十分考えつつやらなければなりませんけれども、すべての物價改訂ということを言いましても、御承知の通り現在の物價が千八百円のベースで大体決められておるのに拘われませず、御承知の通り通信料金は千二百円ベースのときの改訂のままでございまして、それらが政治的な諸種の関係等も手傳いまして、実は今日まで放任されてある姿でございます。現在本当に独立採算制を採り得る状態にまで値上げをいたしまするならば、相当大幅の引上げをやらなければならんことに相成ろうかと思うのであります。勿論私は労働組合等の反対の大衆課税という問題についても、言葉は足りませんでしたが、お示しの意味はよく了解いたしておりますが、直ちに料金が物價に響き、若しくは響かなければならんものと、或いはそうでないものとあると思うのであります。これらの点から考えまして当然通信料金という問題は、この國家財政のバランスの上から見て取上げられなければならない問題であります。こう考えておる次第でございます。從業員組合等におきまして、この問題に関して外に取るべき財源があるじやないかということは、しばしば言われる言葉であります。併しこれは幹部諸子とお会いしたときにも、具体的にそれではどういう線からどれだけのものが取れるような御計画があるかというようなことを聞いて見ますと、今まで実は余り具体的に財源を示されたということがないので、ただブルジヨアにかければいい、新円階級にかければいいというようなことは一般的に通念として、概念としては議論されておりますけれども、課税対象となりまして國家が財政の見地から歳入と見まする際には、單なるそういうような概念論だけでは決らないのでございまして、実はその点について大分苦慮をいたしておるような次第でございます。固より私はそれらの大衆課税反対というところの議論を、一概に私は否定しようとするものではございません。お言葉の通り、その中には随分傾聽に價する面もございます。ございますけれども、又必ずしもそうでない面も存在いたしまするので、それらを睨み合せて、眞に、ただ單に政府のやることでは何でもいかんといつて反対して來るものと認めた場合であれば、という前堤の上に立つて私は断々乎として國会に向つてその御審議を願つて國会の御承認を得れば、敢て組合が反対してもと言つたのは、そういう意味合いで使つた言葉であることを御了承願いたいと思います。
  48. 藤田芳雄

    ○藤田芳雄君 その点御了解の上お話であればいいと思いまして、ちよつと申しました。それから尚、独立採算制のお話がございましたが、先程事務当局の方では現在の形においては人員を殖やしても、減らす指数は出て來ない。これは尤もなお話だと思うのでありますけれども、これは相当重要な問題でありまして、殊にまあそういうものが出て來るとすると、すでに先日予算委員会方面では運輸方面と連合して、そうした独立採算制というような建前から見るときに、事実、行政の整理なり、企業の整備なりをするときは、相当実地について見なければならないのじやないかというお話が出ておりまして、多分合同の委員会にしようということができるかと考えますが、やはり通信関係でも具体的に中に入つて見ますと、相当考慮しなければならん部面もあるのじやないか。ただ今の労働基準法によつて机の上で数だけ彈き出して見ところで、疑問な点があるのじやないか。相当その方面に明るい或る人の御意見の一つとしては、一体一人の作業能率をどの程度に見るか、作業能率の單位をどの程度に見るか、その置き方によつては数などはどうにでもなるのじやないかという考え方を持つておられる方もあるように聞いておるのであります。それらの点もそれぞれの業務状況によつて相当違うことと思いますが、簡單に数を殖やしても減らすことができないとか、或いは料金だけ上げれば、それで採算制が取れるというものでないように、お考え願いたいと思つております。
  49. 冨吉榮二

    ○國務大臣(冨吉榮二君) その点も全く御同感でございます。若し私の意味がそういうふうに受取られたならば甚だ私の意と反する点でありまして、今私が申上げた通り、いわゆる経営体としての面から見る通信事業と、先程のお言葉に当つておるかどうか別問題として、社会政策的に見る人数の面と、二通りの面があるので企業という方から見ると、これはできるだけ人数を節約して、現実に人件費を整理するという建前が出て來るが、社会政策から言えば失業者を出したり、労働不安を惹起することが果してどういうものか。だから、それらの点を睨み合して申上げたので、現在のところ結論は出ません。ただ事務当局が彈き出した、先の具谷的な昭和九年から十一年までの労働量を基準として、労働基準法によつて算定すると三万八千人程あるということを申上げたわけで、勿論現在では國家財政の都合上認められもいたしません。そういうような関係でございまして、この労働組合等の非常に國家再建に対する熱意と協力とによりますれば、今お示しのようなことが今直ぐにも極めて簡單……左程難事ではないと考えまするので、私共日本の労働組合の健全化ということに対しましては非常に関心を以て当つておるということを申上げまして、できるだけ皆樣の御希望、國民の輿論の帰赳に從い得るような方向に持つて行きたい、こういうふうに考えております。
  50. 深水六郎

    委員長深水六郎君) 今日はこの程度で散会いたしたいと思いますが如何でしようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  51. 深水六郎

    委員長深水六郎君) それでは本日の委員会はこれで散会いたします。    午後四時五十二分散会  出席者は左の通り。    委員長     深水 六郎君    理事            水橋 藤作君    委員            千葉  信君            油井賢太郎君            井上なつゑ君            尾崎 行輝君            新谷寅三郎君            堀越 儀郎君            藤田 芳雄君   國務大臣    逓 信 大 臣 冨吉 榮二君   政府委員    逓信事務官    (貯金局長)  村上  好君   説明員    逓 信 次 官 鈴木 恭一君