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政府委員(大野勝三君) 先程
大臣から、今年の
通信會計の
赤字は、大體五十三億に上るという御
説明がございましたが、その
赤字五十三億と申しますのは、これは偶然でありますけれども、丁度二十二年度の當初
豫算に計上してございました借入金の數に合致しております。併しこれは偶然でありまして、當初のあの五十三億の借入金と申しますものは、御
承知の
通り、當時一方におきましては、千二百
圓ベースによりまして、歳入の不足を補填いたしますために、
料金の値上案が同時に
國會に掛か
つておりまして、それでその値上案が成立をいたしますれば、それによる
増收、この
値上げは即ち現在の
料金でございます。現在の
料金となりますための
増收が約五十億八千萬圓でございますので、少し足りませんけれども、その少し足りない部分は、更にいろいろ
増收策その他を講じ、いわゆる努力
目標といたしまして、このギヤツプを埋めまして、どうにかこの
赤字を消せるものという
豫定で、この二十二年度に辷り込んだわけであります。ところが四月に入りますと、とたんに千二百
圓ベースは、二十一年度に屬する、つまり昨年の一月に遡
つて、千六百圓に
引上げられた。又二十二年の七月以降は、それが更に千八百圓に
引上げられた。又
物價のごときも、これも先程
お話のございました
通り、三倍内外にも上
つて來るというわけで、どうしてもこの當初
豫定した
通りの
赤字なしの、本當の健全
財政でや
つて行くことができなくなりました。その形が次々の
追加豫算という形にな
つて參りまして、今日まですでに
特別會計におきましては、補正第六號まで、
國會の御承認を得ておるわけでありますが、その中で、最も
追加豫算の中で、大きうございましたのは、昨年十月のたしか第三次目の
追加豫算であ
つたかと思いますが、これによりまして、一擧に歳出面が百億以上にも上ることになりました。それで當初は、當初
豫算にございました五十三億の
赤字借入は、ゼロになるべかりしものが、ゼロになりませんで、結果においては、十八億六千萬圓の
赤字を更に必要とすることになりまして、數字の上から見ますと、當初の
豫算に出ておりました五十一億の
赤字が、十八億に少くな
つて來ているという形にな
つて來ておりますが、實質的にはそれだけ
豫定外の
赤字が出て來たということになりました。又十八億の
赤字は、それだけで借入金は全部賄えるかというと、決してそうでない。第三次の
追加豫算の際には、關係
方面ともいろいろ折衝いたしましたし、少くとも二倍の
値上げは必要であるという、大體御
了解といいますか、むしろ二倍
程度の
値上げは少いのではないかとい
つたような、無論これは口頭でございますけれども、文書でそういうものを頂いたわけでありませんけれども、口頭によ
つて、そういう御慫慂があ
つたわけであります。その後の推移におきましては、御
承知の
通りその當時で、十二月から
値上げをいたすとして、
豫定されておりました歳入増加額にほぼ對應いたします二十五億圓の金を一
般會計から
通信特別會計の方へ繰入れて頂くことになりましたので、これは暫く見送ると、こういう經緯にな
つて今年に入
つたわけであります。そういたしますと、この一
般會計から二十五億の繰入はございますけれども、これ亦法律でもう御
承知の
通り、決して貰いつ切りのものでございません。最も早い
機會に、一
般會計に返さなければならんという條件が附けられて、いわば一
般會計から
特別會計への借入れと見てよろしいかと思いますが、そうすると、今の十八億六千萬圓プラス二十五億が、これがネツトの借入れであります。その外に本當に
經費を一ぱい一ぱい見ますと、もつと
赤字が殖えるものです。これも先程
大臣が御
説明がございましたように、
料金の
値上げでもしなければならん實情でございます。然るに一層積極的に
増收を圖ると同時に、消極的にも
經費の節減もしなければならん。先ず事業内の積極的な緊縮政策というものを採らなければならないというので、
人員を、當時本
豫算のときに成立いたしておりました損益勘定だけの人間が四十七萬四千人ございましたが、それをぐんと切り詰めまして四十一萬五千人、四十七萬四千人を四十一萬五千人に落しました。その金が約十一億でございます。これ又
大臣が先程申述べましたあの數字でございます。この十一億というものがつまりマイナス面に働いて來ておりますから、それだけ
赤字を内部において減してお
つた。その結果が十八億六千万圓の借入にプラス一
般會計からの繰入二十五億、こうな
つたわけでございます。この二十五億というのは先程申上げましたように當時の千八百
圓ベースて、又昨年の七月のあの新
物價によりましたならば、大體この二倍
程度の
料金是正によ
つて、すべての條件がそのままであるといたしますならば、
通信料金はどうにか健全
財政を保持できるという見通して倍率でございました。それで年末から今年に掛けてでございますが、忽ちこの推定が崩れましたのは、例の年末の
生活再建資金と申しますが、例の二・八ケ月分の支給問題でございます。二十五億圓の繰入を貰
つたというのはそういうものを豫像しない、つまり千八百
圓ベースと、それから新
物價で而もこれは部
經費などもあります。今申し落しましたが、部
經費のごときも當時人件費をそういうふうに落すと同樣に、この二割以上
節約したものを、更に二割天引したものを一割落とすとい
つたような随分無理を加えまして、これで多額の
節約をいたしておるのでございますが、そういうことをした結果、外の條件が狂わなければどうやら二十二年度は、これは借入金は随分ございますけれども、その借入金はとにかくとして、何年か經過して行く中には健全
財政が保持できる見通しであ
つたのであります。ところが今申しまするような事に
生活の再建資金の二・八が出る。これが
財源がございません。ここで又暮に二囘に分けまして一ケ月分、一ケ月分と合計二月分の支給をいたしますために、必要な
財源を一
般會計から十億圓繰入れて参りました。これによ
つて赤字は三十五億となります。一
般會計から繰入れ分が三十五億であります。それに今の十八億が加わりますして五十三億というのが先程も申しました本年度の
赤字。隅然にも五十三億というのが符合いたしましたが、實は全く當初の
豫算に出してありました
赤字借入五十三億とは全く別のプラスの
赤字として現われて來たわけであります。そういうわけでありますから、これ又
大臣の
お話にございましたように、本來ならばもう今二・八が出ただけの關係からだけでも二倍では足りませんといわれるかも知れません。併し今の二・八は全く一時的のものでありますから、給料のようにこれがベースにな
つてずつと將來繼續的の支出になるものでございませんから、それはそれで
考えようもございますが、他の條件が變らずに、つまり千八百圓がそのままで維持される、
物價もそのままであるということならば、先ず倍で以てどうやら辻褄を合せて行くと申しますか、健全
財政を維持して行く
措置ができるという見通しの
一つの基本的の倍率になるわけでございます。そういう
意味合で一應二倍という数字が今度取られたのでございますけれども、併しそれぢや二倍でずつと先々や
つて行けるかといえば、それは又先程
大臣から
お話がございました
通り、千八百
圓ベースというものはすでに組み直すということが既定の
事實となりました。早晩一月に遡
つてプラス、アルフアーという形に變えられるものと
考えなければなりません。それから
物價のごときもこれは當然このままで推移するものとは、すべての情勢から見て
考えられませんから、いろいろ思い合せますというと終極的にこれでいいとは勿論申せませんが、併し去年の第三次の
追加豫算以來の經緯を
考えて見ますと、大體二倍というのが先ず中間の段階における
一つの倍率として妥當であろう、かように
考えておる次第でございます。