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1948-08-31 第2回国会 参議院 通信委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年八月三十一日(火曜日)    午前十一時二十二分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○放送法案内閣送付)   —————————————
  2. 深水六郎

    委員長深水六郎君) それでは只今から通信委員会を開きます。昨日に引続きまして質疑を続行いたします。
  3. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 大藏省政府委員の方にお尋ねをしたいのですが先般來放送法案について本委員会審議を続けております。御承知のように放送事業というものは非常に今後の日本の國に対する文化の普及、教育、その他万般に亘りまして非常に重要な問題であります。この放送法案によりますと日本放送協会という特殊の法人を作ると同時に一方一般放送局といたしまして民間放送会社のようなものの設立免許によつて並行的にやらして行こうという建前になつておるようです。その場合に逓信省政府委員にいろいろ質疑をいたしましたところが、一般放送局に関しましては資金についても資材についても逓信省としては只今のところ十分な準備がないというような御答弁でありました。本委員会では大体の各委員の意向も一般放送局をできるだけ設立させて、そういて國民要望するようなよう放送を一方でやらすようにすることがよいのではないかという意見が強いのであります。一般放送局設立に関しましては御承知のように相当多額資金が要るわけであります。その資金につきましてまだこの放送法案が出ないのですから金融順位とか、具体的な細かい問題は將來の問題に残つておることは分るのですが、この法律案をお出しになる以上政府としては一般放送局免許があつた場合にはそれに対する所要資金の割当と言いますか、そういつたものについては十二分に御配慮前提としてあつて然るべきではないかと思うのです。この点について大藏省としてはどういうふうにお考えになつておりますかお伺いしたいのです。
  4. 三井武夫

    大藏省銀行局次長三井武夫君) 只今民間放送事業に対する資金の問題につきましてお尋ねがあつたのでございます。民間放送事業をこれから起して参りまする必要の点につきましては只今お話があつた通り大藏省といたしましても十分その点の意味を認めておる次第であります。それに要しまする資金の問題につきましては、卒直に申上げましていろいろの難点があるのではないかと存じております。一般的に申しまして、御承知のように只今極く長期資金供給につきましては非常に困難が多い状況になつております。お尋ね一般民間放送事業につきましての資金の面でも主として要望されるものは長期設備資金、それに関連いたしまして短期運轉資金ということになろうかと思うのでありますが、その極く長期設備資金の点につきましては、只今申しまするように現状非常に困難な問題が多いわけであります。御承知のように長期設備資金供給に当つておりましたものが、從來の例で申しますれば、いわゆる特殊銀行が主としてこれに当つておつたのでありまするが、これらの特殊銀行が現在のところ大部分その個有の機能を停止しておるというような現状でありまするので、從つてこの民間要望いたしまするところの一般設備資金がなかなかに供給がむずかしい。市中銀行あたりが幾分この長期資金供給いたします場合にも形は誠に短期手形貸付をいたしまして、それを何回か切換えて、結果においては一年なり二年なりといつたような期間に当ることになるのでありますけれども、その場合でも初めから一年なり二年なりの貸付期間というものが十分に約束されておらない。從つて借受人手形切換えごとに改めて銀行と交渉して僅かに交渉の上で手形切換えを認めて貰うというような非常に不安定な借入の状況を続けておるような状況なんであります。從來のような特殊銀行長期債券発行いたしまして、その債券によりまして得たる資金によりまして或いは三年、或いは五年、十年というような長期の、始めから長期間を前提といたしました貸付けというものが殆んど現状ではなされておらないという状況なんであります。かような状況でありますので、民間各種企業につきまして、この長期設備資金を何とか円滑に供給して貰いたいという要望が非常に強いわけです。お話のこの民間放送事業の場合におきましても、こうした一般的な状況が当然前提として考えられなければならないのでございまして、その意味から申しますればこの民間放送事業要望しておりまするような長期設備資金現状においてはなかなか調達が困難だろうと卒直に申上げなければならない状況にあると私は考えるのであります。そこでこうした特に長期設備資金につきましての調達困難という状況を何とかして緩民いたしまするために、御承知復興金融金庫という特別の銀行が臨時的に設けられておるわけでありまして、これが現状におきましては他から調達が困難な設備資金供給をできるだけ引受けて、その仕事に当つておるというような状況に相成つておるのでございます。復興金融金庫の場合におきましては、御承知のように、本來でありますれば全額政府出資金によつて資金調達されるわけでありまして、現実には政府の運びがなされるまで一時一年の復興金融債券発行いたしまして、それによりまして作りまして、その資金を基にして長いものは十年、十五年、次金長期貸付を行なつておるような状況なのであります。先程來申しまするように、民間金融機関長期貸金供給が不円滑でありまするために、復興金融金庫に対する長期資金需要が各方面から殺倒しておる。そのために復興金融金庫資金計画といたしましては、相当額計画を毎四半期作つておるような次第でありまするけれども、尚且つ旺盛な需要には應じ切れないというような状況になつておるのでございます。かような状況を基にいたしまして、民間放送事業の必要とする資金、特に長期資金如何ようにして調達することを考えたらよろしいかということにつきましては、先ず第一にはこの民間放送の場合にはできるだけ自己資金多額に持たなければならんということを先ず第一に私共としては希望したいのであります。成るべく多額自己資金を持ちまして当初に必要とされるような固定設備、その以後にも設備放送改善といつた方面にできるだけ多くの部分自己資金株金によつて調達するということを考えて頂き必要があろうと思うのであります。この株金によつて調達の足りない点或いは一時増資等の行われますまでの繋ぎ資金といつたようなものにつきまして、株金自己資金の保管といたしまして長期資金供給する金融機関から供給するということを考えなければならないかと思うのであります。その場合に長期資金供給する機関といたしましては、先ず考えられるのは先程申述べておりまする民間金融機関一般市中銀行、それから特殊銀行ということに相成るかと思うのでありますが、この場合に一番必要でありますることは、結局民間放送事業というものが如何なる財産が保障されておるかということに相成るかと思うのでありまして、たとえ或る程度長期資金でありましても、確実に收益が保障され、償還が保証されるということでありますれば、私はその金額につきまして場合によりましては市中銀行共同融資、或いはこの特殊銀行貸付ということによりまして、その資金供給が確保されるということは考えられるかと思うのであります。尤も特殊銀行の点につきましては、御承知只今金融業法立案問題等も生じておるのでありまして、この際には、現在の特殊銀行制度或いは廣く特殊金融機関制度如何ようにするかという問題が、当然解決されなければならないと思うのでありますが、仮にこれが何らかの特殊金融機関が設けられまして、そこから長期資金供給が可能であるということになりますれば、そうした方面の利用をも考えられると存ずるのであります。その場合に、只今申しまするように、やはり放送事業收益性ということが前提になるのでありまして、その点で十分な保証見通しがありまするならば、こうした一般金融機関からの資金供給ということが十分考えられるかと存ずるのであります。  尚そうした一般金融機関からの資金供給だけでは不十分である困難であるという場合に、只今の問題でありますれば、やはり長期資金でありまするから、復興金融金庫活用ということが当然考えられなければならないことになつて参るかと思うのであります。この場合には、先程來申しまするように、復興金融金庫資金計画は、常に需要に対しまし前は過少なんでありまして、各方面から、いわば復興金融金庫資金を爭つて奪い取つて行くというような、言葉は極端に過ぎるかとも存じまするが、それに近いような現状になつておりますので、そのうちには民間放送事業というものを考えに入れまして、民間放送事業日本経済復興に対する重要性という点を十分に考え合せまして、適当な順位において、復興金融金庫資金計画の中には民間放送事業所要資金というものを組み入れます。勿論これにつきましては、関係方面愼重檢討協議を要することでありまするが、そうした檢討協議の結果、復興金融金庫資金計画の中にこの所要資金を組み入れるということになりますれば、その計画に基きまして、復興金融金庫から時々この放送所要資金供給されるということになろうかと思うのであります。  只今考えられますることは、結局一般金融機関特に市中銀行又は特殊銀行活用復興金融金庫活用、この二つ方法に相成るかと思うのでありまするが、この二つ方法範囲内におきましては、大藏省といたしましても、冒頭に申上げましたように、民間放送事業重要性につきましては十分に認識いたしておりますので、でき得る限りの御援助をいたし、御要望に應えることにいたしたい、又いたさなければならないと存じておる次第でございます。
  5. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 大体大藏省の御方針を伺いまして、一應了承をしたのですが、今お話の中で、結局一般市中銀行を先ず考えて見て、できない場合に復金の方の融資を受けるようにする以外にないだろうということですが、もとよりこれは民間企業でありまするから、或る程度、できれば大部分を株式で以てやつて行くということは当然であります。併しながら先般來政府委員からのいろいろ説明を聽きましても、民間放送局設立いたしまするのに、設備資金相当多額を要するのであります。中波の放送一つやろうと思いましても、大体今日の價格で、完全にと思えば一億円くらい掛かるだろうということを言われております。そういう点から考えますと、市中銀行が今後新らしくできる仕事に対して、而も長期金融をそう簡單にやつて呉れるとは考えられないのであります。やはりこれを相当盛り立つて行こうということであれば、これはどうしても復金或いは特殊銀行に初めの中は依存する以外には方法がないのじやないか、こういう氣がする。これはお話のように、金融業法なんかの改正もあるようでありますから、將來例えば船舶なんかに対して供給してやつております興業銀行なんかどうなるか私存じませんけれども、一方で、例えば交通機関に対して交通銀行を拵えて呉れというような要望も出ておるようであります。この交通通信なんかは相当長期金融設備資金相当大きなものでありますから、これらに対するやはり根本的な対策を講じて貰わないと、交通の方も、通信の方もその復興は望めないということではないかと思うのであります。この放送局の問題も、その一環としてお考えになる必要があるのであります。先ず取敢えずともかく復金の方から在る枠を拵えて、その範囲内において融資をするように決めて行くということが現状から見まして最も適当であるかとも思いますが、復金が若しこの法律案が通りました場合には、大藏省として復金の方の融資の枠の中にこういう一般放送局問題も取入れて、或る程度それに優先的に融資をするような手配をして頂くような御準備を、そういうお考えを持つて頂くわけに行かないだろうかということを我々希望するのですが、これは勿論あなただけで簡單には答えて頂けないだろうと思いますが、この点につきまして十分我々の意のあるところを大臣にもお話しになつてできるだけ一般放送というものが、資金だけのためにできなかつたということにならないように御配慮願いたいと思います。  それから序でありますから、もう一つお伺いしたいのですが、日本放送協会放送債権、十五億を限度にして放送債券発行することができるという規定が四十三條にある。その放送債券というのは、勿論ここには簡單限度なり、積立金なりの規定があるだけで、詳しいことはありませんが、いずれは放送委員会におきまして詳しいことを決められるのだろうと思いますが、現在の状況から行きますと、普通の債券は殆んど消化が困難じやないかと思います。從つてその放送債権につきましては、何か特殊の発行條件をお決めになるおつもりであるか、或いは又、場合によつては、これは日銀で以て引受けてやろうというようなお考えでもあるのか。この債券消化しませんと、日本放送協会の基本的な施設の拡充というものができないわけであります。この限度につきましても、場合によつては十五億では足りないのじやないかという考えも起つて來るのですか、それはともかくとして、この十五億を消化するためにも普通の債券発行したらいいじやないかというだけの考えじや、これは実行は非常にむずかしいだろうと思う。これに対して大藏省の方では、この債券を十分に消化させるためにどういうふうな措置をおとりになるつもりであるか、この点を伺つて置きたい。
  6. 三井武夫

    大藏省銀行局次長三井武夫君) 初めの復興融資計画の中で、この民間放送事業所要資金を十分に考えて貰いたいという御希望につきましては十分御陳述の点を了承いたしました。ただ私念のために申上げて置きたいのでありまするけれども、先程申上げましたようにこの復興金融金庫に対する資金需要が非常に莫大な額に上つておるのでありまして、その各需要を十分に満たすだけの資金というものを到底得られないというような現状でありまするので、そうした現状、又その中に新らしい御要求が入るということになりますれば、ますますこの全体の御要求を満たすことが困難になるという、誠に止むを得ない現状であるという点を十分に御承知願いたいと存ずるのであります。  尚もう一つ念のために申上げて置きまするけれども、復興金融金庫供給いたします資金は、日本経済復興に必要な資金ということになつておるのでありまして、この経済復興に必要な資金という言葉範囲は、どこまで含まれるのかという点は、常に問題になる点でございます。例えば教育事業とか、或いは医療の施設とかいつたようなものまで、考えようによりましては勿論この経済復興に必要な施設であり、事業であるに違いないのでありまするけれども、一應の金庫法の解釈といたしましては、さような間接的なものまでは含まれない、一應直接にこの経済復興に必要な資金という範囲に限定をいたしておるような実情でありますので、その点この放送事業経済復興に対する関連性如何というような点が、一應問題に相成るかと存ずるのであります。さような問題が関係当局の中で解決されまして、この資金計画の中にどういうような順序で、どういうような金額程度で組入れるかということに協議がつくと思いますれば、その計画に基いて十分の一この民間放送事業につきましても資金的に援助をいたして参りたいという考えであるわけであります。それで念のために申上げて置きました。  それから尚第二のこの放送債券の問題でありまするが、この点につきましては理財局の方からも或いは答弁があつたかと思うのであります。私の直接の担当ではありませんので、一應私の只今考えました点だけを申述べて置きまして、尚関係の方に連絡いたしたいと存ずるのでありますが、この債券につきましては、可なり長期期間前提としておられるのではないかと想察するのでありますが、只今この起債市場現状から申しますれば、國債地方債以外につきましては長期事業債発行ということは可なり困難な状況になつておるのでありまして、暫く前に配電会社の社債が出された例があつたかと思いまするけれども、それも随分前でありまして、その後はこの長期債発行ということが中絶いたしております。又長期債発行條件というようなことにつきましても、具体的な基準が定つておらないというような状況でありまするので、そうしたところへ持つて参りまして、この放送債券を出すということは実はなかなか実行上困難な点が多いのじやないかと考える次第でございます。從つてこれを発行するということになりましても、その條件如何によると思いますが、これを如何なる方面消化できるかということにつきましては、卒直に申上げまして、只今私といたしましてもちよつと途方に暮れる次第でございますが、そうした場合に何らかの特別の消化方法考えなければならないかというようなことにつきましては、私一存では簡單に御答弁申上げかねますので、そうした必要がありまする場合にはその特別の方法につきましては、関係方面愼重に協議いたしまして、十分に実行可能の方法考えなければならない。普通の方法で参りますれば、現状といたしましては、こうした長期債券はなかなか消化が困難ではないかというふうに存ぜられる次第であります。
  7. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 この放送債券の方は御承知のようにまだ日本放送には、國民一般には繰り入れられておりませんので、全國平均して僅か四〇%に過ぎないという悲しむべき状態にあります。地方に参りましても又非常に待遇の悪いところがあつて放送が聞えない所が沢山にある。それを昨日委員会でも問題になつたのですが、今後できれば電力を強くして、つまり大電力放送切換えて行こうというような計画ができつつあるようですが、そういうためにはどうしても放送協会資金が必要になつて來るわけです。そのための放送債券だと考えております。そういたしますと、これは國民全体に放送を聞かせるというために是非必要になつて参りまするので、單なる普通一般債券違つて相当公共性を持つたものと思います。そういう意味におきましても、大藏省におきまして、この債券発行に関しては特別に考慮して、これが十分に消化し得るように配慮を願いたいと、私はそういう希望を持つておるのであります。逓信省政府委員の方も、これらの問題につきまして、十分大藏省関係方面に折衝されまして、この條文が單なる空文に終らないように是非御審議願いたいと思います。大藏省政府委員に対して私の質疑は終りました。
  8. 深水六郎

    委員長深水六郎君) 外の方は大藏省政府委員に御質疑ありませんか。それでは必ずしも大藏省政府委員のみに限らず、一般放送方面についての御質疑をお願いいたします。
  9. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 安本政府委員は見えておりませんか。
  10. 深水六郎

    委員長深水六郎君) 安本は午後にして頂きたいと言つておりますが。
  11. 大島定吉

    大島定吉君 六十一條の、放送局協会から免許を取つてやるというのは、どういう理由免許期間を五ケ年間としたか、そうして永続性を持つべきものを五年間にしたのは、どの辺にその理由があるのか、御説明を願いたい。
  12. 網島毅

    遞信省電波局長網島毅君) 只今の御質問に対して御説明申上げます。この法案におきましては、日本放送協会及び一般放送局に対しまして、免許有効期間は一應五年ということにいたしておるのでございますが、これに対しましては、私共といたしましてはこういうふうに考えておる次第であります。現在までの日本無線事業或いは放送事業に対しましては、実はこの許可有効期限というのは無期限でございまして、但し許可條件といたしまして、政府において電波管理上その他必要と認めた場合には、この許可を取消すという條件が加えられておるのでございます。こういう行き方でありますると、一見非常に長い間であると許可が保証されておるように見えまするが、一方又政府行政方針、或いはその他の事情によつて、いつこの許可が取消されるかも分らないというこの不安もこの免許を得た者にとつて非常にあることかと思うのであります。從いまして今後の行き方といたしましては、一應この免許を與えた場合にはそれに対して一定の期間を保証するということが必要ではないかと思います。勿論特に事情のある場合にはその期間と雖も法律その他によつて取消されるということは当然でございまするが、一應許可に対しましては或る期間を保証するという行き方が必要かと思つております。從いまして今後この放送事業に対しましても一應許可された者に対しましては五年という数字を決めて行きたいというのでございます。この五年の根拠でございまするが、現在諸外國のいろいろな例を見て参りますると、或る所では、三年、或る所では五年、又特殊な例として十年という所もございまするが、大体そういうふうに期間を区切つております。この放送法におきましては、先般御説明申上げましたように、一應この法律そのものが、五年以内において再檢討されるということになつておるのでございまして、この立案者考えといたしましては、五年の間にこの法律がいろいろの角度から檢討されまして、或いは或る程度修正が加えられるかも知れない、その場合にはすでに免許を受けた放送事業に対しても若干の條件変更、或いは取消しというような処分も法律によつて行われるかも知れないというようなことも予想いたしますので、一應五年という期間を決めたのでございます。
  13. 大島定吉

    大島定吉君 それから更新期を一ケ年と決めた、こういつたことでは長期建設計画を立てる上においてもどうかなと、こんなふうな感じがあるのですが、而も永続性を持たせるという建前から言つても、今お話によると、この法律が五年後に改正されるというような建前から一應五年としたというようなお話ですが、更新期を一年にするということは、そうなるとちよつとうなずけない点があると思うのですが。
  14. 網島毅

    遞信省電波局長網島毅君) 五年経つた後の免許更新を一年としたことについてでございまするが、現在の状況から判断いたしまして、それから又過去におけるところの一般無線及び放送件業の驚異的な発達から考えまして五年後の我が國及び各國の放送事業がどういうふうになるかということは今俄かに速断することができないような状況でございまして、且又この放送事業といいますのは御承知のように電波を使用するものでございまして、この電波の使用に関しましても四ケ年ごとに行われまするところの國際会議においてその都度いろいろ変更が行われて参つております。そういうようないろいろな條件がございまするので、一應五年後の更新有効期間を一年といたしまして、一年経ちましたら改めて又その変申修正を出して頂く。勿論條件が備わり、又その当時の情勢が変つておりませんならば、恐らく放送委員会といたしましてもその免許の特権につきましては、これを変申するにおいてやぶさかでないと存ずるのでありまして、仮にここに一年ごとということになつておりましても、実質的には放送從事者に対しまして支障ないのではないかというふうに考えておるのでございます。尚又五年経ちましてこの法案がいろいろその間に檢討されまして政令條文につきましてもこのように短期間において免許更新をする必要がないともう少し延ばしてもよろしいというようなことになりましたならば、勿論法律條文改正して頂ききして、それによつてつて頂きたいというように存じておる次第であります。
  15. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 放送法案に直接関係はありませんが、先般來新聞等でよく見ておりますと、逓信省が郵政と電氣通信二つに分れるということを報道しておるのでありますが、内閣の方ではこの問題に対してどういう方針をとつておられますか、この点伺いたいのとそれからもう一つマツカーサー元帥の書簡によりましての政令でありますが、引続いて第三國会に提出せられる予定の公務員法改正の問題、これにつきまして政府審議の経過は現在どの辺まで行つておりますか、その点もお聞きしたいと思うのですが、事務次官からでも政務次官からでもその点御説明願いたいと思います。
  16. 深水六郎

    委員長深水六郎君) それでは鈴木次官がお出でになつておるますから、次官から伺うことにいたします。
  17. 鈴木恭一

    ○逓信次官(鈴木恭一君) 只今お尋ね逓信省の機構の問題、並びに公務員法の問題について、非常によい機会でございますので申上げたいのでございますが、実はこれは御承知のようにまだ内閣審議中の問題でございまして、関係方面との関係もございまするので、実は速記を止めて頂きたいと思うのでございますが如何でございましようか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 深水六郎

    委員長深水六郎君) 速記を止めて下さい。    午後零時三分速記中止    —————・—————    午後零時二十五分速記開始
  19. 深水六郎

    委員長深水六郎君) 速記を始めて……、休憩いたします。    午後零時二十六分休憩    —————・—————    午後二時三十二分開会
  20. 深水六郎

    委員長深水六郎君) それでは午前中に引続きまして通信委員会を開会いたします。法案に対する質疑を続行いたします。
  21. 大野幸一

    ○大野幸一君 法案第四條のニユース記事の放送についての原則に規定してあるその第三項に一般放送局又は日本放送協会が眞実でない事項を放送した場合に関する規定がここにあるようであります。それは事実上のいわゆる回復を目的としておるようであります。併し被害を被つた被害者に回復を與えるのは事実上の回復だけでは足りない場合があるし、又困難な場合もあるし、或いは又それが完全でない場合もあるので、金銭による賠償も予定しなければならないと思うのであります。そこでこういう場合には民法の規定に従つて請求すればいいのであるという説も一應御尤もでありますが、併し私が短い経驗ではありますが、由來裁判所というものは多くは私人間においての損害賠償については比較的公正に裁判ができるのでありますが、その一方が國家である場合においては、どうしても今までの心理的慣習上とでも申しましようか、國家の責任を非常に縮少するということがあり得るので、そこで特に日本放送協会というものがどの程度のいわゆる國家的協会であると申しますか、公益的協会であるというような程度もはつきりしないで、具体的な場合に当つては裁判所は恐らく政府委員が今想像されるがごとく、害を被つた人に対して完全の慰安をするということが甚だむずかしい問題でありますから、この際ここにその旨の規定一つ挿入されて差支えないものであるならばした方がいいと思います。特に若し規定しないでおいて、或るときには一面において非常に大きく解される危險もあります。例えば間違つた放送において、それを廣義に解すると、その被害者が、放送者側の予期しなかつたような損害も生ずるでありましよう。被害者が特定の取引をしようというときに、その放送のために取引ができなかつた。こういう場合に、段々拡張して來ると、余りにその被害の範囲、賠償の範囲というものが拡張されるのであります。又一面、我程申しましたような、裁判所が國家的事業に対する加害者に対して、從來考えから、余り保護し過ぎる、同情し過ぎるというようなことがあるから、各法案ごとに、少くともそれを規定して置いた方が、被害者に保護が與えられるだろうと思います。そうして又そのいずれの場合でありますが、こういう法人若しくは法人に類似したような当事者に対しては、その当事者を誤まる場合があるのでありまして、そういう場合に法人にも請求できるし、又当該の放送從事者に対しても請求できるとか、或いは又放送協会には請求できるが当事者にはできないとか、内部関係においては求償権があるとかないとか、こういうような場合を規定して置いた方がよいと思うのであります。又放送の確実性を期する意味においても、この法案によつてこれを直ちに知つて置くことが、放送担当者に対する警告ともなると思いますから、この点についてどうお考えなさいますかお尋ねしたいと思うのであります。
  22. 鳥居博

    ○臨時法令審査委員會主査(鳥居博君) 只今の御質問につきまして御答弁申上げます。第四條は、いろいろの意味で非常にむずかしい問題を含んでおりまして、今御質問のございました点も、御尤もな点と存ずるのでございます。第三項の規定は、民法に規定いたします賠償請求の権利を排除いたすものではございませんので、その趣旨を尚推し進めまして、この規定は民法のそのような規定を排除するものではないことを附加えますことにつきましては、私共は関の異存もございません。ただこの條文を扱いますにつきまして、これは將來制定されると思います新聞紙法と非常に密接な関係が出て來る問題でございまして、新聞収法は現在半分効力が停止されておりまして、当然近い中に新らしい新聞紙法というものが制定されることと思います。その場合にはこの放送法のこの部面と新らしい新聞現法の記事の取締りに関する部面とは、軌を一にしなければならない問題と存じます。そうしてこのニユースの扱いにつきまして、何が眞実であるかということにつきましては、この放送法では規定してございません。從いましてここでは一應は各当事者の判断に基きまして考えられ、その判断がお互いに話合いが付きませんときには、これが司法権による裁定に任されることになるわけでございます。その場合にいろいろ問題が起ると思いますが、その場合の求償権の細かい点まで民法と重ねましてこの法規で規定しますことは非常にこれは大変な仕事だと思いますので、果して放送法でそこまで細かく各人の利害関係の権利者の規定を置くということは、この法案の趣旨全体から見まして多少細か過ぎるのじやないか、こういう考えを私共持つております。御答弁いたします。
  23. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 大野委員の御質問に関連して第四條の三項でもう一遍伺いたいのですが、結局民法の規定によつて損害賠償の関係は決まつておる。そういう立法の趣旨であるということは了承したのです。一般法人の方は普通の会社の恰好を採れると思います。從つて個人と同じような意味で民法の当然適用があると思います。ところが日本放送協会は特殊の法律の基く法人でありますから、而も公益性の非常に強い法人ですから、そういうものについて果して民法がそのまま適用があるかどうかが問題であります。ですから國又は公共團体に類するような性質のものであれば、國家賠償法の規定を準用するとか、或いは民法の規定の適用に関しては、日本放送協会も個人と同じような地位に立つのだというような意味規定説明的にでも置いて置かないと、この点が大野委員の言われるように実際問題としては非常に裁判所の解釈がまちまちになつて、或いはその解釈が、あなたが今答弁されたと違つたところに行く惧れがある、若しもこれによつて損害を受けた人の利益を保護しようということであれば、何らかの説明規定を置いた方が正しいのじやないか、私もそういう考えを持つております。
  24. 鳥居博

    ○臨時法令審査委員會主査(鳥居博君) 御趣旨につきまして、政府側といたしまして異議ございません。
  25. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 それじや少し細かいですけれども、整理の意味質疑の漏れたところを若干拾つてお尋ねしたいのですが、日本放送協会が特殊法人であるということは明瞭なんですが、これには日本放送協会の財産の管理ですね、管理に関して何人が、どういう規定によつて管理の責任を負うかということが明瞭になつておりませんが、その点私詳しく調べたわけでありませんが、民法の準用條文なんかによつて考えられておるのですか。或いはそれの当然理事会の理事の責任としてお考えになつておるのですか。これによりますと、理事が会務の審議をすることになつてつて、理事会が審議機関に一應なつておるようですね、その点詳しく調べたわけじやありませんが若し具体的に御説明願えれば結構かと思います。
  26. 鳥居博

    ○臨時法令審査委員會主査(鳥居博君) 只今日本放送協会の財産の管理権の問題でございますが、この法案の立法の趣旨といたしましては、新らしく設立されました日本放送協会の財産は公共財産である建前を取りまして、そしてこの財産の管理運営は日本放送協会の役員にこの法律を以て委任するのだという考えをとつております。これは理事会の委任するのではござませんで、役員としての理事に委任されるわけでございます。そういたしまして、この財産の処分権というものは、この委員には認めませんで、この法人の解散については法律を以てこれを決めるといたしまして、法律によつてこれを決める、こういう構想を持つております。
  27. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 役員である理事に財産の管理を委任するのだということは、どつかに書いてあるのですか。
  28. 鳥居博

    ○臨時法令審査委員會主査(鳥居博君) この放送協会の章の第二十五條に、放送協会の業務を規定しておりますが、この第一号で放送を行う設備を設置し、維持し、運用することを放送協会の業務として規定しております。從いまして設備を設置し、維持、運用するということは、これに必要な、放送に必要な財産を持つということに相成ると思います。そういたしまして、今度は役員の條に参りまして、第三十一條に、協会の会長は協会を代表し、その業務を総理するということで、この業務につきまして全責任を持つのだ、こういう建前にしておりまして、そしてその他の役員につきまして会長を補佐いたしまして、その職責を遂行する、こういうふうに規定いたしました。
  29. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 今お話なつ協会の業務に列挙してありますが、二十五條のこの規定からは、役員員当然に資産の管理をする責任があるということが出て來ないと思うのです。後で言われた三十一條の会長がその業務を総理すというところへ、会長としてはこれを業務全般を総理するのですから、その中には資産の管理ということも当然入るということは一應考えられるのですが、それと違つて、先程御答弁せられたように、理事がやはり共同の責任で以て資産の管理に当るのだということは、この條文からはどこからも出て來ない。会長を補佐するということにすると、理事はその意味においては会長に対する補佐機関になつて、理事自体の責任ではないということに解釈されますが、それでよろしいですか。若しその点必要があれば御研究になつて明日に更にはつきりと御答弁を願つても結構ですから、答弁を留保して貰つてもいいと思います。
  30. 鳥居博

    ○臨時法令審査委員會主査(鳥居博君) 只今の御質問は第二十五條からは法人が当然財産管理権を持つ決定にはならんと、こういう御質問でございましたが、私共といたしましては第一項で法人に施設を持つ権限を與えまして、且つこれを維持運用する権限を法律に與えまして、以上は法人は当然財産を所有する團体でございますから、その制度に基きまして、第一項によつて如何なる財産も持ち得るのではないが、この法律の二十五條に規定された要務を遂行するに必要な財産は持てる、こう解釈しております。  それから理事の連帶責任の問題でございますが、これは只今の御質問の通りでございまして、この法律で第三十七條に民法の準用規定を置いてございますが、この民法の第四十四條では理事その他の法人の代表者の連帶責任ということが規定されてございます。それをこの放送法にも準用いたしまして、法人の民法のこの規定は準用するということを規定いたします。
  31. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 三十七條の規定に準用しておる民法四十四條に、理事の職務権限が書いてあればそれで解決されておるので、最初言われたような二十五條から、これはただそういう仕事ができるというだけであつて、ここからは理事の職務権限はちつとも生れて來ないので、この点は質問の趣旨を誤解しておられるのではないかと思います。  次の質問に移りますが、先般の御説明で、一般放送局ができる場合に、將來は超短波が一番いいように思うという説明があつた。これは技術的に言えば成る程そうだと思いますが、今日超短波で一般放送局を作るということは殆んど受信機の関係で困難だろうと思います。やはり殆んど今は中波を主体とする……今度併し中波の放送施設を作つた場合にはこれを変更するということは非常に困難だろうと思います。余程先になつて情勢でも変れば別ですが、そうでない限りは……午前中大島さんからの御質問もあつたように、特に適当でないという情勢が出て來れば別ですが、そうでない限りは、やはり理想は理想として超短波が行われてもよいが、免許があつた場合にはやはり中波の放送を続けさして行くという建前を事実上取らざるを得ないと思いますが、その点逓信省としてどう思いますか。
  32. 鳥居博

    ○臨時法令審査委員會主査(鳥居博君) 逓信省といたしましても、只今御質問の御趣旨の通りでございまして、当面直ぐに超短波による放送日本で可能であると考えておりません。やはり中波、この法律で申します標準放送によつて行う外ないと存じております。それから先程からの御質問によりましても、中波で許されました場合に免許期間が五ケ年である。その後一年一年で更新されるので非常に事業が不安定になるのではないか、こういうお話でございましたが、この法律免許更新ということを認めております趣旨は、事業の継続性と認めておることでございます。ただ今までの法規と多少違いまして、強権による監督ということをできるだけ排除しておりますので、毎年一回ずつ各放送局の実績を檢討し分析する機会を持つために免許更新期間を一年としております。又最初の設立に当りましては一年ではなかなか実績が出ませんので、少くとも五年ぐらい最初は経たなければその企業としての特徴も出て來ないし、実績も掴み得ない。こういう立場から最初五年と区切りまして、その後は毎年、一年ずつ檢討し、分析してそうして必要な監督も又助言もして放送事業の健全なる発達に盡して行きたい。こういう建前でございます。そうして極く悪い場合にはこの免許更新の拒否或いは免許の取消しというようなことも行われるわけでございますが、この場合につきましては十分被免許者の権益を保護いたしますためにこの法律では放送委員会が独断で以てそのような処分を行わないように規定しております。それから超短波の問題でございますが、私共がたびたび申上げましたのは將來の日本放送考えますと、どうしても超短波の開発ということが必要でございまして、將來は超短波による放送というものが発達いたしませんと、すでに御承知の通りに標準放送におきまする放送というのは極く限られておりますので、僅か超えたくらいの一般放送局というものができますと、もう満員になつてしまう。それでは最初に申請を出した者に非常に特権が参りまして後から申請を出すとできなくなる。こういうような状態も考えられますので、これは非常に日本放送の將來に危惧すべき傾向になると存じます。從いましてこの法律案が通りました以後は我々も力を盡します。又現在の日本放送協会並びにこの案によりまして免許を受けられた放送事業者に対しましても協力を請いまして超短波という新らしい分野を極力開発いたしましてこれによつて放送文化の及ぼし得る部面というものをできるだけ拡げて、そうして將來に新らしい局の設備の可能性を開拓して行こう、こういう意味で超短波放送というものを積極的に開発したいと申上げましたので、全部を超短波に切換えてしまうというような趣旨ではございません。
  33. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 それで更に免許に関してはこれは法規裁量の範囲でやるというお話が再々ありましたが、この免許の取消しとか、或いは更新についても恐らく同樣に放送委員会の規則でその基準を決めて、こういう場合は止むを得ないが取消をするというようにその免許更新或いは取消という問題についても法規裁量でやられるものと思うのですが、その点はどうですか。
  34. 鳥居博

    ○臨時法令審査委員會主査(鳥居博君) 御説の通りでありまして、免許の取消につきましてはこの六十八條に規定してございます。これによりまして六十八條に規定してある限り、これに触れたものは免許の取消という処分を受けるのでございますが、これ以外には從つて免許の取消という処分はできないことになります。それから免許更新の場合の拒否もこれに準じて行わるべきだと考えております。
  35. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 それはよく分つておるのですが、この六十八條の一項の第二号に「この法律又はこの法規に基く放送委員会規則に違反した場合」この放送委員会法則ではこれを更に具体的にいろいろ明確に規定せられるものと思うのです。その点を放送委員会の方で明確にして貰わないと、法規裁量だとおつしやつても事実上は自由裁量と同じような結果になりますから、委員会規則でこれをもつと具体的にすべき点を明確に書いて貰うことを希望すると同時にそういう御意思であろうということを確めて置きたいと思います。
  36. 鳥居博

    ○臨時法令審査委員會主査(鳥居博君) 御質問の通りに考えております。
  37. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 それから字句の問題になるかも知れませんが、先般の國家行政組織法では、行政官廳の組織は大体局部以上のものはこの所掌事項も合せて法規に明文で書くことになつたのでありまするが、放送委員会の事務局もやはりその行政官廳の一つですね、お話によると総務部、放送部、技術部というような三部になろうというようなお話ですが、その点は國家行政組織法が変りまして修正されましたから当然これは法規で書かれるものと思うのですが、そう考えてよろしいですか。
  38. 鳥居博

    ○臨時法令審査委員會主査(鳥居博君) 第二十二條の問題につきましては今御質問の通りでありまして先般の國会におきまして行政組織法が改正せられましたので、これに伴う必要な修正を來國会早々に政府より提案いたしまして御承認を得たいと存じております。これには今御質問のございました通りに一番上の部局に当ります多分部となると思いますが部の名称並びにその所掌事務、それを規定いたしまして行きたいと存じております。
  39. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 それから電波廳という字を使つておりますが、これは來國会に出される逓信省設置法案にある電波廳を言つているのだと思います。逓信省設置法案が遅れておりますから、電波廳というものに対して、何かこの法案が早く出るとすると、これに対しても適当なこれに代るべき字句を作つて行かなければならないと思うのですが、これもよいですね。
  40. 鳥居博

    ○臨時法令審査委員會主査(鳥居博君)御説の通りでありまして、政府といたしましては、次の第三國会逓信省の設置法案を又御審議頂くことになるわけでございますが、恐らくこの法案の方が先に御審議頂けるのじやないかと、こう考えますのでこれも來國会劈頭に、字句を纒めまして、附則に経過規定をつけまして、逓信省関係の設置法が施行されますまでは、電波廳は逓信大臣或いは逓信省が読み変えるものとする、こういうような附則を設けたいと存じております。
  41. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 これは重要な問題、字句の問題でないのでございますが、もう一つ質して置きたいと思います。それは放送委員の選任の手続の問題でありますが、先般逓信大臣はこの問題については今余り明確にお答えはできないというような答弁があつたのです。併し経驗のある有識者五名というだけを法規に書いてありますので、これが國民の中からどういうふうにこういう有識者を選んで來るか、更にこの有識者の中からどうして内閣総理大臣が放送委員として國会の方の承認を求めて來られるか、その選任の手続については何ら規定がないのでありますが、それは法規で必ずしも明文に書く必要はないかと思いますが、大体どういう方法放送委員を選任しようと思つておられるのか、これは相当重要問題で、國会の特にこの委員会ごときは相当事前に協議を受けてお互いに十分に審議をして、成るべくこの放送委員に適した人を廣く選ぶことがいいかと思つているのであります。この選任の手続につきまして只今のところ政府としてはどういう考えを持つておられましようか。その点を伺いたいと思います。
  42. 鳥居博

    ○臨時法令審査委員會主査(鳥居博君) 只今の御質問につきましては、むしろ大臣から御答弁申上げた方がよいと思うのでございますが、只今のところ事務的に考えまして別に具体案というものを作つておりません。それで私共といたしましてはむしろ國会の皆樣の御意見をよく伺いまして、そうしてこういう方法が一番よい、皆樣のお考えになる方法で選ぶのが一番よいのではないか。從いましてこの法律ではその選び方は規定いたしませんでしたが、この法律が成立いたしましたならば、この問題につきまして、関係の皆樣の御意見をよく伺つて、これに基いて必要があるならば、政令又はその他の規則によりまして選考方法規定する。こういうふうにするのが一番よくはないかと存じております。
  43. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 非常に結構だと思います。我々の通信委員会として十分研究をして又別の機会に意見を申上げることにしたいと思います。細かい問題でありますから一括してお尋ねいたしますが、第四條にニユース関係についての原則が書いてありますが、この原則は恐らく次にあります第二項の時事解説とか時事評論、そういう原則等にも大体において共通の問題でないかと思うのですが、特に放送記事についてこういうことを書いたのはどういうわけか、その点をお話を願いたい。  次は三十九條に規定がありますが、恵一項に慈善、救護その他公共の目的に供するものであつて放送委員会規則で定めるものはこの限りでない、こういう言葉を使つてあるのですが、慈善、救護その他公共の設備で聽取料を拂わなくてもいいということは、大体具体的に言うとどういうものを意味しておられるのかお伺いしたいと思います。
  44. 鳥居博

    ○臨時法令審査委員會主査(鳥居博君) 先ず第四條の原則の問題でございますが、只今の御質問の趣旨がちよつと私呑み込めなかつたのでございますが、第四條の第一項ではニユース記事について原則を掲げまして、第二項につきましては時事評論、時事分析及び時事解説につきましてもその原則に從わなければならない。結局同じ原則を適用いたしておるわけでございまして、ただ法文の立案技術から二項に分けましただけで、実際の効果は時事評論、時事分析その他にも同樣な原則が適用される、こう考えております。この場合の時事分析、時事解説或いは時事評論と申しますのは名目的に言うだけではなくて、実質的なものを含む、こういう解釈を取つております。  それから第三十九條の公供の目的に供する受信設備でございますが、これは現在では孤兒院、それから結核、癩病等の病院、それから養老院、こういうものにつきまして放送聽取料を免除いたしております。併しこの法案といたしましてはこれだけに限りませんで、凡その國内法規で公共の目的に供するということが明らかなるものにつきましては放送委員会規則で特例を設けまして、これを免除又は減額できるように考えまして、この規定を設けました。
  45. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 私の質問の仕方が悪かつたのです。間違つておつたのです。時事評論、時事分析、時事解説と言つたのが間違いで、これには原則の適用があるのですが、結局ニユースと第二に書いてある時事評論、時事解説以外の放送、そういつたものにその中の幾つかは適用があつて然るべきだ、例えば演藝と申しましても演藝の中で特殊の宣傳的な意図を以てやるようなものであつてはいけないというようなことは当然考えられて然るべきだと思うのですが、その点どうでしようか。先の質問は私の間違つておつたのですが、それ以外のものについてやはりこの中の幾つかの原則を適用すべきものがあるんじやないかという疑いがするんですが。
  46. 鳥居博

    ○臨時法令審査委員會主査(鳥居博君)御質問の点は、私共の立案中にも非常に問題が出まして、又内閣におきまする審議におきましても、この点は疑問が出ました。我々といたしましても、非常に愼重に研究いたしたのでございます。併しながら一般の演藝その他におきまして、いろいろの内容を放送するわけでございますが、こういう演藝には、えて虚構と申しますかフイクシヨン、作り話というものが土台になるものが沢山あるのでございまして、たまたまこういうものに出て來る小説上の例えば名前というものが、実在する御本人と同じ名前のことがあつたというような場合に問題が非常に起り得るのでございまして、若しそういう規定を設けまして、尚且つこの第三項と第八十八條の罰則をこれに加えますと、もうこれは演藝その他の藝術に対する創意というものを完全に踏みにじつてしまう。そのような事態になつて來ると、もう放送でそういう演藝的な部面はあぶなくてできないというような印象を與えまして、藝術家に非常に、何といいますか、萎縮したような立場に立たせてしまつて、結果は非常に悪いのではないか。こういう結論に達しましたので、一般の演藝その他にはこれを適用しなかつた。併し適用しませんでも、取消すという強いあれを適用いたしませんでしたので、一般民法に基きまして、名誉き損その他の損害につきましての賠償を求め得ることは、当然であると存じております。
  47. 新谷寅三郎

    新谷寅三郎君 御趣旨は分りましたから、その点は意見の相違になるかも知れませんが、放送を非常に活溌にやらせようと思えば、或る程度こういう條件から開放してやらないといけないということになるし、一方から言うと、演藝というようなものに名を藉りる場合もありましようし、又故意の場合もありましようが、多くは善意で以て、非常に特定の人或いは團体の名誉を傷付けたり非常に不利益な結果になる放送をやる場合が起つて來るだろうと思います。そういう場合にも、やはり國民に対して保護の規定が何か要るのじやないかという氣が私はするのですが、この点は多少意見の相違があるかも知れませんから、質問は止めにして、尚よく檢討して見たいと思います。尚次の問題はありますけれども、私の質問は大体これで終ります。
  48. 深水六郎

    委員長深水六郎君) 他に御質疑の方はありませんか。それでは次回は明日の午前十時から開くことにしまして、本日はこれで散会いたします。    午後三時十九分散会  出席者は左の通り。    委員長     深水 六郎君    理事            千葉  信君            水橋 藤作君    委員            大野 幸一君            大島 定吉君            鈴木 順一君            井上なつゑ君            新谷寅三郎君            藤田 芳雄君   政府側    逓信政務次官  下條 恭兵君    逓 信 次 官 鈴木 恭一君    逓信事務官    (臨時法令審査    委員会主査)  鳥居  博君    逓 信 技 官    (電波局長)  網島  毅君    大藏事務官    (銀行局次長) 三井 武夫君