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1948-05-28 第2回国会 参議院 水産委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年五月二十八日(金曜日)   —————————————   本日の会議に付した事件水産物増産対策の件   —————————————    午後一時十九分開会
  2. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 只今から水産委員会を開会いたします、水産物増産対策の件について御発言を願います。
  3. 尾形六郎兵衞

    尾形六郎兵衞君 我が國の水産業は世界に冠たる大産業でありまするが、そういう大きい産業であります場合に十分に発展ができなかつたという原因がさまざまありますけれども、特に行政部門においてその大きい仕事を負担する上に甚だその規模が小さい、その性質を異にせる農林省の中に水産局が隷属しておる。これが根本的な一つの誤まりじやないかと、こういうことを言われておつたのであります。我々も選挙へ出ましたときから水産業政治力獲得ということを目指してやつて來たわけでありまするが、漸くにしまして今回水産廰の設置、農林省外廓團体として水産廰ができるということは非常に喜ばしいこととこう思つております。現在は行政整理の最中なのでありまして、思う程の大きいものにはならないのでありますけれども、とにかく農林省の中に外局としてそういう機構ができるということは、非常に業界のために喜ぶべきものだと、こう思つております。この際これを主宰する長官というものは極めて重要なものであります。今までのように何回も局長が変るとか、或いは繊維局長をした人が水産局長なつたり、常に素人が役所の都合のために局長の椅子に坐るというようなことになりますと仕事がうまくいかん。どうしましても私が水産業の大勢に通じ、又それに対する経綸、抱負も十分ある、且ついい意味における政治力を多分に持つた民間人をこの長官に登庸して貰いたいという熱烈なる希望を持つております。この参議院の水産常任委員会におきましても、相成るべくは各位賛成を得まして、それを委員長から一つ政府に通告して貰いたい、こういうことをお諮りしたいと思います。  第二点は、先般水産廰設置の問題で芦田総理と面会したのであります。その時にこういう新らしい機構を持つということも國民輿論であると同時に、行政整理をせよというのも國民輿論であると、ここに二つ喰違つた要望があるんだがこれを如何にして解決すべきかということを芦田総理我我に言われたのであります。私共思いますのに、今政府出先官廰整理するということは、非常な地方の熱望でありまして、先般東北の各知事が集つな折には、各参衆両院議員に向つてこの要望を傳えなければならない、或る新聞のごときはこれに賛成しない人はこの次の選挙において援助しないというようなことの記事が見えます。私はそういう空氣に恐れをなすものではありません。ありませんが。現在の各縣にあります資材調整事務所というものが、実は政府一つの有力なる地方出先機関でありますので、これがなくとも十分仕事ができる。やつておりますことを見ますると、全然水産に知識のない人が多く集つておる。そうして民主主義的なやり方だというわけであります。業者を集めて資材をどうして分けるかということをお互いに相談しようというようなことをやつております。ああいうことならば、今までの各縣の水産課で十分できる。敢えてああいう出先機関を設ける必要は私はなかろうと確信します。でありますから、この際芦田総理の言に見るごとく、何か整理せいというお話でもあるし、又我々もこの際一つ資材調整事務所というものは必要なかろう、むしろ各縣の水産課にあの仕事をさせて、若し人員が少なかつたならば、その方面で充実してやることができるということを確信しておりますので、この件につきましても各位にお諮りをした上で、各位の御賛成を得まして、これも政府に進言して貰いたい。この二つの件につきまして一つ委員長からお諮りをお願いしたい、こう思います。
  4. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 只今尾形委員から、來るべき水産廰長官には民間人を登庸して貰いたい。又地方資材調整事務所を廃して貰いたいという二つ発言がありました。これに対する御意見要望します。
  5. 江熊哲翁

    江熊哲翁君 数千年來の我々の希望が漸く達せられたのでありまして、水産廰ができるということは御同慶の至りでありますが、初代長官は私共しばしばこの委員会においても話題にしたのでありまするが、この際尾形議員から御提案になりました水産廰初代長官として民間人から登庸するということに対して全幅の賛意を表し、本委員会においてそのことに決定して進んで行きたいと思います。  尚地方出先機関整理問題につきましては、芦田総理が云々という言葉もあつたようでありますが、そういうようなことは私共敢えて意に介するに足らないのでありますが、実際問題として私共審さに地方実情を見まするに、確かに尾形議員が言われるように、今日の地方出先機関は私共余りその存在の必要性を認めておりません。むしろこの際廃止した方が適当であるということを信ずるのであります。從つて尾形議員提案通り決定することをお願いする次第であります。賛成の意を表します。
  6. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 外に御意見はありませんか……。御意見がなければ只今二つ発議を採決します。尾形君の発議江熊君の賛成二つ発言に対して賛成の方の起立を求めます。    〔総員起立
  7. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 全員賛成と認めます。今の二つ発言に対しましては、この委員会決定事項委員長から政府に通告いたします。
  8. 千田正

    千田正君 只今政府を代表して平野政勝次官藤田水産局長がお見えになつておりまするから、この際特に水産物集出荷並びにその配給統制強化に関する件について一言質したいと思うのであります。というのは今月の初め新聞紙上において再びこの水産物集出荷に対して強硬なる態度で統制を強化すると可なり詳細な当局のその方法その他についての事項を述べた新聞を読みましたのでありまするが、先般第一國会におきまして、最初の配給統制強化に対して何ら國会に諮ることなく政令一本ここれを強化した。そのために業界並びに漁民あらゆる経済界に及ぼしたところの影響は非常に大きかつたと同時に、我々が國民の代表としまして、殊に水産委員会といたしましては、何ら当時の片山内閣が我々に諮ることなくして、政令一本で強化したという点について、我々は不満の意を表すると同時に、政府責任を追究いたしました。当時において、片山首相は誠にこれは遺憾である。今後そういうことは絶対にいたしませんという陳謝の意を表されたのでありまするが、現芦田内閣といたしましても、恐らくその構成分子というものは、殆んど前内閣を引継いだ一つ構成分子であるところの芦田党内閣であると私は承知しております。再び同じようなことを繰返しをするならば、我々水産委員会としては、相当の決意を以て政府にその責任を追究しなければならないとこう思うのであります。なぜならばこの統制強化というような問題が経済界或いは水産業界に及ぼすところの影響は非常に大きい。或る者は統制を強化されるということを予想して不正なる取引をする、資材を隱す、先般も荷受機関或いは出荷機関において、あらゆる不正事件が起されたことが最近の檢察廳の摘発によつて続々として挙がつて來た状態であります。而もそうした矢先に再び統制を強化する、止むを得ないことにしましても、それが政府の祕密なる事項に属するようなものが、我我國会においても何ら知らない中に新聞において発表されたというようなことにつきましては、我々は政府意思が奈辺にあるかその点を一言承わりたいと思うのであります。  第二点は統制強化は現在の日本の産業復興のために止むを得ない、インフレを抑止するための政策としてどうしてもやらなければならないというようなことがはつきり証明できれば我々も納得する者でありますが、しばしばこの水産委員会が幾度となく政府に注意したごとく、統制を強化する以上はその裏付としまして、資本資材並びに檢察とそして運輸とこの四つのものが完全に実施されない限りにおいては、統制強化というものは徒らに國民を昏迷に導くだけであつて、何ら効果が挙らない。その点におきまして十分に今度の統制強化に対しては用意があるかどうか。局長はしばしば本年度におきまするところの資材の面につきましては、昨年よりはよい方に向つておるということを言明されております。我々もその点は信じて疑いませんが、資本の面、運輸の面、檢察の面と、この三つが果して統制を強化する裏付として十分なる用意をなされているかどうか、先程尾形議員からの提案によりましたごとく、各地方自治團体、各地方自治関係から言いまして出先機関整理とうことを要望されております。あらゆる官廳出先機関に対して絶対反対だといつも要望されながら、政府は逆にこの統制を強化するためには相当機関を強化して行かなければならない。例えば資材調整の問題、檢察の問題、あらゆる面においてこの統制を完全に強化するためには、相当機関の整備が必要と思われますが、この矛盾した行政に対して政府は果して責任を以てこれを敢行するだけの自信ありや否や、この二つの点を伺いたいと同時に、まだ政令が出ておりませんので、政府としまして我々委員会に諮るべきところの事項がありますならば、この際是非政府の今度の統制強化に対しての意向をお傳え願いたいということを要望して質問と要望二つ兼ねて申上げる次第であります。
  9. 平野善治郎

    政府委員平野善治郎君) 只今千田委員からお尋ねがございましたが、水産物統制強化につきまして、これを國会に諮る意思があるかどうかという点でございまするが、昨年片山内閣行なつた際においても國会意思を尊重しなかつたことにつきまして、当時政府が声明した通り私共といたしましても十分に國会の、特にこの方面に非常に深い造詣を持ち、又熱心に政策の檢討に当られておりますところの水産委員会意向を十分に尊重いたしまして、この御意見を拜聽いたしまして、その後においていろいろな施策を実行したいと、こう考えておる次第であります。尚まだ國会の方に御相談もしない中から新聞等においていろいろ統制強化の具体的問題が発表なつたということにつきましては、農林当局といたしましては新聞等には発表はしたことがないのでございますから、この点御了承を願いたいと思います。  第二点の統制強化をするということに若しなるとすれば、それに裏付けとなるところの生産資材適期確保、こういうような問題につきまして遺漏がないか、或いは又その他資本運輸檢察等の対策について確信を持つておるかという話でありまするが、これは將來統制を強化することに若しなるといたしまするならば、勿論各般の問題につきましても十分現下の我が國のでき得る範囲内においてこれらのことを総合的に考えまして、この点におきましても亦皆さんの御意見を承わりまして遺漏のないようにいたしたい、こう考えております。尚生鮮食料品生産出荷配給確保のために新らしい施策をなさんとするようなこの場合も來ておるようにも政府としても思つておりまするので、後程その内容並びに農林当局として考えておるようなことを詳しく御説明申上げたいと、こう考えておる次第であります。
  10. 千田正

    千田正君 出先機関の問題は政府の方ではどう考えておられますか。
  11. 平野善治郎

    政府委員平野善治郎君) 出先機関でありまするが、先程尾形委員並びに江熊委員からお話のありました物資調整事勝所の問題でありまするが、これは水産方面のことばかりでないのでございまして、國全体の臨時物資調整法睨み合つてこの存廃がいろいろ閣議でも論義されておりますので、これは綜合した観点から近い中に存廃のことが決定になるだろうとこう考えております。尚千田さんの仰せになりました、一方において行政機構の改革を行う一環として出先機関を整備しなければならん時に反面において統制強化によつて、これと矛盾したところの実際のことをやらなければならんのではないかというお説でございまするが、政府といたしましては、たとえこの統制強化を將來やることに決定いたしましても、でき得る限り行政面でいろいろな負担のできないような措置を講じながら進めたいと、こう考えおる次第であります。
  12. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 速記を止めて。    午後一時四十一分速記中止    ——————————    午後三時十二分速記開始
  13. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 速記を始めて。それでは本日はこれで散会いたします。    午後三時十三分散会  出席者は左の通り。    委員長     木下 辰雄君    理事     尾形六郎兵衞君    委員            青山 正一君            丹羽 五郎君            松下松治郎君            川村 松助君            城  義臣君            寺尾  豊君            田中 信儀君           前之園喜一郎君            岩男 仁藏君            江熊 哲翁君            小川 久義君            三好  始君            千田  正君   政府委員    農林政務次官  平野善治郎君    農林事務官    (水産局長)  藤田  巖君    商工事務官    (繊維局長)  鈴木 重郎君   説明員    経済安定本部生    活物資局次長  木村  武君