○國務
大臣(野溝勝君) 青山さん、江熊さんの御
質問に対してお答えしたいと思います。大体御
質問の趣旨は、目下
地方財政委員会において二十三年度の予算編成の中に
事業税を取ることに
なつている、その
事業税の中に漁
業者が取られることに
なつているのに、
主食を作る
農民は取られぬことになる、これは不公平じやないかという点が骨子であると私は思うのであります。この点についてはまあいろいろ御
意見もあり、角度々々からいろいろ檢討批判もあるのでございますが、大体この構想をこうした際に一應私からこの機会に申上げて了解を得て置くことが最も好機会だと思いますので、大体私共の持
つている構想を申上げて見たいと思います。
申上げるまでもなく、実際日本の財政が苦しいと同様でありまして、地方の財政は全く苦しいのございます。ざつくばらんに申しますと、昨年八百七十億、二十二年度八百七十億の予算でしたが、今度は二千億近く計上しなければならぬことに
なつたというのはどういう点かと申しますと、六・三割の問題、あれは新教育制度の問題ですが、警察消防制度の問題、それから公共事業、災害等に関する地方
負担の加重の問題、こうした問題で、この予算のうち五百億ぐらいが大体新規事業とな
つて、どうしても地方が
負担しなければならぬ費用でございます。そこで問題はいよいよ財源という点にな
つてくると思いますが、財源の点につきましてはどういう構想を持
つたかと申しますと、この際思い切
つて中央地方の財政の根本的改革、これをしたい、先ずしなければならんと、かように思
つたのですが、御
承知の
通り芦田内閣ができたのは三月でございます。直ぐ四月に予算を編成しなければならんというとき、こういう根本的改革は実際問題としてできない。差当
つて地方財政としてどういうことに
なつたかということになりますと、中央地方の財政調整ということが
一つと、それから第二は中央において新税なり、独立税を創設すると同時に、税率の檢討ということ、それからそれらを執行する上において、現下の客観的社会状勢をよく見て、これらの施策に当るという建前において社会政策的な檢討を拂うこと、第四には、かくも財政が行詰
つておるのでございますから、消費の節約と行政の簡素化、この四つに重点を置きまして、地方財政の二十二年度の編成に当
つたわけでございます。ところがなかなか容易でないのでございまして、そこで特に私が就任する前に、御
承知のごとく芦田内閣ができるときに、現在の政策檢討の
一つといて、土地使用税乃至は
事業税、ランド・タックスと申しまして、その当時は大体最初の企画は土地使用税の構想でありましたが、その土地使用税を
事業税と名を改めたということに過ぎないのでございまして、大体同類項でありますが、さようなものには課税をしないということにな
つて政策協定ができたのでございます。でありますので、かような政策協定ができまして、芦田内閣に参加して入閣した以上は、いろいろの
意見批判もありましようが、その政策に基いて
政府は作
つた以上は、その政策に斃れるというのが、政治家としての任務であり使命であると
考えますので、いろいろ御
意見もありましようが、さようなことで、私は就任すると同時に、さような予算編成に当りまして
内容を檢討して見たときに、そのことが構想されておりましたので、それを改めることにしなければならんという
意見を出したことは、今江熊さんから
お話がありました
通り事実であります。私が單に
大臣に
なつたからとい
つて、財政
委員会というものを抑えるということはできないのでございます。御
承知のごとく財政
委員会というのは、
地方財政委員会法というのが昨年の議会を通過いたしまして、それによ
つて生れ出たのでありまして、その運営に当りましては五人の
委員会によ
つて運営されておるわけでございます。そこは対数決主義で行くわけであります。でありますから、私はその
委員会に向いまして、この土地
事業税中特に主要食糧として
供出しておる
米麦等に対しましては暫くの間
考えて貰いたいという
意見を出したのでございます。その理由につきましては先程矢野さんからもいろいろ御
意見がありましたが、先ず今日の
農民が
從來の食糧
供出を百%以上しておるその上に、目下農林省で積極的に努力されておりまする一割増産の問題、これを遂行しなければならん。それから最近には、特に國際
関係でございますが、ドレーパー氏が來て以來、日本に対する援助施策といたしまして、クレジツト、爲替レートの問題、いろいろその他配慮されておるようでございますが、何としましても國内体制と
生産の再開に対する計画性、健全財政の將來性というものを立証されなければかような援護を受けることができませんので、それでこれを更に具体化する場合においては、何といいましても私は國内の治安の問題、要するにインフレの問題、経済的な問題、治安の
問題等が問題にな
つて來ると思います。それらの問題が起
つた因はどこにあるかというと、私は何とい
つても食糧問題であると思います。かような点から、今國際的に好轉しようという大事な時、國内的にも
生産を再開しようという時、この基本的なるべきところの食糧を
生産する
農民の意欲を落すというようなことがあ
つたならば、私は日本の生々発展しようというこの点について非常に憂慮をしなければならん、かように感じたのでございます。ということと、いま
一つ主なる問題は、何といいましても、農村の民主化を図るために、連合國からの指令に基きまして農地改革をや
つておるんでございますが、その第二次農地改革が十月の三十日を俟たなければ完了いたしません。そこで十月の三十日を以て今まで賣渡し計画……
政府は買上げましたけれども、今度はこれを耕作
農民が自分の手取りにするということになると、ここに莫大の
資金が要ることにな
つております。この
資金の点については、
政府において証券を発行して貸出すこともできておりますが、これには限度があります。そこで
農民といたしましては一日も早く自分の土地にいたしまして、自分の意思によ
つて企画を持ち、構想を持
つて土地改良に、土地改革に当りたいという熱意を持
つておるんですが、最近のように農業所得税の増徴(「筋が違う。そんなことじやない」と呼ぶ者あり)及び肥料の購入
資金のような
問題等々から、非常に行詰りを來しまして、どうしてもこの農地改革の進行もできないというような
事情にあるのでございます。かような点からいろいろ勘案いたしまして、この際
主食の主産に当る者に対しましては、これは一應
考える用意があるのではないかということで了解を得たのでございます。尚先程言
つておりますが、農業といいましても
主食の点だけでございまして、後の農業の果樹とか或いは野菜とかいうようなものに対しましては一應別なことにな
つておるんでございます。それから特にこの青山君から力説されたんですが、
農民の方方、
水産業の方々のこのいろいろな
氣持も我々はよく分るんでございますが、併しこの
漁民の方々のうち特に今まで各縣で
相当税金として賃貸
價格による課税の例、それから漁獲によるところの課税というものは全國的に調べて見ましたが、
相当課税されておるわけです。特に今回は漁獲の方は
事業税の
範囲に入るのでありまして、要するに
從來の漁獲に対して課税したものを今度は一應
事業税の方に入る。その方はこれは一應問題は解決したのであります。賃貸
價格の方においてはそれは課税されて行くと思うんですが、併し先程から申上げています
通り、大体日本の経済の
事情から分析いたしまして、地方財政の困窮から檢討いたしまして、とにかく
負担が加重されるということにつきましては、これは我々としては誠に遺憾のことでありますけれども、かような苦しい状態を御了察を願いまして、
地方財政委員会が構想しているこの案に対しましての御了解を仰ぎたいと、かように思いまして、御答弁いたします。