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1948-05-06 第2回国会 参議院 水産委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年五月六日(木曜日)   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○水産物増産対策に関する件   ―――――――――――――    午前十時四十六分開会
  2. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 只今から水産委員会を開会いたします。昨日に引続いて水産事業税の問題、それから水産法令の問題、水産廳問題等について、皆さんに御意見なり、当局に対する質疑なりを今日は御遠慮なくお願いいたします。今水産局長しかおいでになつておりませんので、水産局長に対する御質問がありましたらお願いいたします。
  3. 丹羽五郎

    丹羽五郎君 これは大分話が古びたような嫌いがあるのでありますが、水産廳問題について過日水産局長は五月十五日までに或るはつきりしたものにやるべく努力し、且つGHQの方からも或る内示を頂いて、今鋭意これが考究中であつて、五月十五日には恐らくこれを開くようにして見たいという考えであるということを、過日の委員会で私共拜聽しておるのでありますが、その後一向何らの音沙汰はないし、私共も漁民大衆水産廳ができるという一つ手形を出しておるので、その手形の決済ももう時期が迫つておるので、何とかしなければならんと思つて、非常に苦慮しておる次第であります。この点についてはつきりした一應見通しと、それから当局考えとを一つお尋ねしたい、かように考えております。
  4. 藤田巖

    政府委員藤田巖君) 水産廳の問題につきましては、私共の方と天然資源部の方とが相当細目に亘つて話合いを進めておつたのであります。大体細かいところまで或る程度の御了解は得ております。ただ問題は天然資源部だけでも決まらないわけでありまして、ガヴアメント・セクシヨンとの間の話合いを付けなければならんのでありまして、この点につきましては私共の方から天然資源部ガヴアメント・セクシヨンとの間に、一つ話合い至急に進めて頂きたいということを前から話しておつたのであります。先月の二十九日、天長節の日でありましたが、別の問題で参りましたときに、水産廳の問題が出ましてガヴアメント・セクシヨンいろいろ話をしたその結果、政府から一應行政調査部の方へ話をして、そうしてその行政調査部との話合い模樣至急に知らせて呉れというふうなことになつておるのであります。で、私昨日行政調査部へ参りましたが、あちらの方の御都合で、昨日は話合いができませんでした。今日実は一時に参ることにいたしております。一時に参りまして、行政調査部によくお話をいたしまして、その結果によつて、更に天然資源部の方から司令部部内意見を纏めて頂きたい、こういうふうに考えております。併しながら最近國家行政組織法というものが別に出ておりますので、これは至急に進めるというふうな態勢でやつております。新らしい機構は一應見合せにしたいというふうな意向行政調査部で持つておられるのであります。從つて今日参りました結果が果してどういうふうになりますか、私共としては分りませんのでありますが、行政調査部としては相当難色を示されるのじやないかということも懸念されるのであります。併しながらこの問題は、從來から國会でもすでに取上げられておる問題であり、又天然資源部におきましても御賛同を得ておる問題であります。私共としては是非実現したいというようなふうに考えております。その結果によつて至急に打つべき手を打つて、そうして解決して行きたい、こういうふうに思つておるわけであります。尚その模樣によりましては、一つ國会方面においても御協力を頂きたい、かように思つております。
  5. 丹羽五郎

    丹羽五郎君 今局長お話で、又曇り後雨、嵐というようなことで、又第何回かの暗礁乘上げたようなことを聞いて、非常に憂欝な思いをするのですが、先般の委員会での局長の御意見は非常な強い御意見であつたものですから、我々も各地の大会に行きまして、漁民各位に、水産廳ができるから是非水産業界からも應えて貰いたいということを、各委員も言つておられるのであります。今の行政調査部の方も、又一つ暗礁ということが今度新らしく発生したように考えられますが、これは相当大きな問題だろうと思いますが、本当にこれができるかできないかという端的な一つ局長の御意見を聞いて、我々も直接漁民会つて話をするのに、相当自分の心構えをして行きたいと、かように考えておりますので、端的なる見通しがどうかということを一つもう一回お願いいたしたいと思います。
  6. 藤田巖

    政府委員藤田巖君) ちよつと速記を止めて頂きたいと思います。
  7. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 速記を止めて。    〔速記中止
  8. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 速記を始めて。
  9. 青山正一

    青山正一君 水産局長にお伺いしたいと思います。後から農林大臣が参りました節に金融の問題と、それから野溝大臣が來た場合に税金の問題とをお聞きしたいと思います。  先ず水産局長ちよつとした問題についてお伺いしたいと思います。一つは、荷受機関手数料及びマージンの問題でございます。先般の魚價改訂並びにこれに伴う通牒によりまして、卸賣手数料は五分に引上げておりますが、又最近六分に引上げられるというようなことを承つておりまするが、たとえ五分でありましても、六分であつても、結構でございますが、これを全部が全部生産者とか或いは出荷業者負担させるということはどうかと思うのであります。で、これを生産者に三分、それから消費者に三分、半々に負担させる氣持はないかどうか。又こういつた事柄は、はつきりと農林省の告示として明示して置かなければ、荷受機関として、どちらから手数料を取るにしましても、非常に取りにくいのではなかろうかと、こういうふうに考えております。  又この小賣の利潤の問題でありまするが、最近三割くらいに改訂する意思があるとかないとか承つておりまするが、これはどういうふうなことになつておりまするか、一つお聞きしたいと思います。それから現状では一割二・三分の程度で、その主なる原因は、やはり自然目減りが非常に大きいことと、それから荷受市場よりの運搬費経費上大なる負担となつておるようであります。これに対する対策はどういうふうになつておりますか、こちらに安本次官も來ておいでになつておりますが、そういつた点についてお聞きしたいと思います。  それから出荷経費及び船積運賃の問題に対してお聞きいたしたいと思います。梱代とか運輸料或いは小運送料箱代といつたような経費政府とか或いは場合によれば消費者負担させる氣持があるかどうか。で、若し仮にそうなるとすれば、政府の思う所へ思う所から出荷させるという工合で、非常に都合がよかろうと思うのであります。又別に甲級とか乙級陸揚地の必要もなかろうと思うのであります。これに対する政府のお考えを承わりたいと思います。それから若しどうしてもこの出荷経費負担がむずかしいというならば、船積運賃だけでも私は負担しなければならないのじやなかろうかと思いますが、これに対するお考えはどうですか。  それからこの貨車運賃船運賃差額の調整につきましては、船運賃を基本といたしまして販賣價格と立てまして、そうして貨車輸送の場合は、船運賃との差額相当額政府において收納する氣持があるかどうか、この点についても承わりたいと思います。  以上四点についてお聽きいたしたいと思います。
  10. 藤田巖

    政府委員藤田巖君) 荷受手数料を一部を生産者負担せしめ、一部を消費者負担せしめるようなことを、はつきり價格形成の際に決めるということについての御意見であります。從來御承知通り、これは野菜の價格決め方と魚の價格決め方とは違つておりまして、魚は大体委託出荷で出ます関係上、卸の手数料というものはいわゆる内には計算している、そうしてその中に私共といたしましては今度の價格におきましては五分というふうに計算をして出しておるわけであります。これは値段決め方でありますので、私率直に申しますれば、どう決めようが各方面に異議がなければ差支えはないと思います。併しながら從來やり方相当変つた決め方になるわけです。このやり方で行きます場合は、生産者販賣價格というふうなものがはつきり低く仰えられてしまう、價格で仰えられてしまうというふうな結果になるように考えております。尚この点につきまして田、今度の價格改訂の時期にこういうふうな問題をどうするかということを一つ十分研究をいたしまして、相談をいたしまして政処いたしたいと、こういうふうに思つております。  それから小賣の手数料でありますが、これは今度やりました價格改訂の時期には大体小賣の手数料が三割近くになりますようにマージンを見ております。小賣の手数料については、從來業者からの御要望は大体達せられたものと考えておる。日減りその他についても相当從來よりもよく見ておると思つております。  それから出荷経費並びに船積運賃消費者負担させる問題でありますが、こういうふうな決め方をいたしますと、結局各地における末端配給價格というものはそれぞれ違うというふうな結果になるんじやなかろうかと思つております。つまり同じ場所からでも運賃のうんと掛かるような場所へ送りましたものはそれだけ高くなる。近くへ送りましたものは安くなる。こういうふうな値段決め方をすることになるんではあるまいか。従つて各地とも同じ値段で賣るというふうなことにならないのではないかと思うのであります。それから又同じ大阪なら大阪に入りましたものでも、遠くから運賃が掛かつた所は高く買う、それは小賣値段では高くなつている。それから近い所が安くなつておるというふうな結果に実はなるのではないかと思つておりますので、そういうふうな末端配給價格各地でまちまちであり、又つまりそのものによつてまちまちであるような値段というものについては、これはちよつと取締の関係その他で実現をいたしますことが相当困難ではないであろうかと思うのであります。或いはこれをプールで何か平均的な値段を出せというふうな御趣旨でありますれば、むしろ現在大体そういうふうなことで値段が彈き出されておるわけでありますからして、その彈き出します場合に尚出荷経費なり実際の運賃諸掛りが適当に見ておられない、少いという問題でありますれば、これは尚実情に即しますように價格が改訂になるという問題であろうかと思うのであります。  それから船積運賃につきましては、大体私共の考えとしましては、これを差当りのところは從來続けております國庫助成やり方、船で以てやりましたために、貨車で來ましたものとの差額につきましては、國庫助成をするというやり方を続けて参つております。從つてお話のように船積運賃ですべてのものを計算をしてそれを一定の價格にし、貨車で來ました場合にはその差額業者の方から國が取上げる、このやり方につきまして相当実際問題といたしまして困難な点が出て來るのではあるまいかと思つております。尚このやり方はもう少し研究をして見たいと思つております。
  11. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 外に御質疑はございませんか。
  12. 青山正一

    青山正一君 金融の問題につきましていろいろお聽きいたしたいと思いますが、先月下旬の水産委員会の席上におきまして農林大臣から、水産金融については長期的金融の可能なる水産金庫というものを檢討中であるという力強いお言葉を承つて非常に感激しておるものであります。併しその後どういうふうに檢討いたしたか、これはどういうふうになつておるかということを水産局長から一つ承わりたいと存じます。私の見たところでは水産に関する金融はますます悪くなつていはしないか。最近融資準則改正に当りまして、その融資が甲の段階より乙の段階に落されはしないかとの噂が飛んでいるのであります。その噂の眞僞の程を、こちらへ安本次官おいでになりますからして、一つはつきり承わりたいと思います。  又これは水産局長にお聞きしたいと思いますが、復興金庫とか或いは農林中央金庫又は普通銀行等水産金融をいま少しく改善しまして、融資の簡易公正を図るとか、沿岸漁業中小漁業をも軽視しないようにして頂きたい。又復金と中金に水産関係民間人を加えたいわゆる貸付委員会を設置するというわけに行かないか。これについて御意見を承わりたいと思います。
  13. 藤井丙午

    政府委員藤井丙午君) 只今水産関係資金の面につきまして、昨今漁業方面においても、相当資金が窮屈になつて参つたという実情につきましては、我々も段々と事情を伺つておる次第であります。申上げる迄もなく、この食糧問題の有力なる支柱としての水産業の振興並びにその配給の確保につきましては、今後とも特段な力を注がなければならんということは当然でございまして、従つてこれに関連しまして金融の問題につきましても、只今御心配になりました点が若干議に上つておるやに聞いておりますが、第一生産関係資金につきましては、当然現在の通り甲類で行くことはこれは間違いございません。ただ問題は荷受機関、その他の融資につきまして、これを甲類より乙類に落すかどうかということに、大藏関係当局にはそういうふうな意見もあるようでございますが、私共の立場としましては、現状を維持するように極力主張しておるような次第でございます。尚段々御意見を伺いまして我々も十分努力いたしたいと思う次第でございます。
  14. 藤田巖

    政府委員藤田巖君) 復金融資の場合にそのやり方について改善をする必要がないか。例えば融資範囲でありますが、それを拡げるとか、或いは沿岸漁業者も軽視せずに何かやるというふうな問題でありますが、復興金融金庫から金を水産方面で借ります場合に、水産枠というものが一應從來は限定されておりまして、特定のものしか借りられないような仕組になつてつたのであります。例えば漁船建造資金でありますとか、或いは製氷冷凍設備でありますとか、その外まあ養殖或いは製造加工設備、これも非常に枠を設定することが困難になつております。大体そういうふうな範囲しか融資の枠が設定されておりません。大体復興金融金庫はその性質上、特殊な金融だけをする。その他のものは大体一般金融で賄うというふうなやり方のために、そういうふうな結果になつてつたのであります。私共といたしましては、できるだけこの復金融資の枠を殖やしたいということで、例えば運轉資金加工設備でありますとか、或いは荷受機関、その他の運轉資金というふうなものにつきましても、復興金融金庫で出す途を開いて頂きたいということは再三要求をしたのでありますが、まだその点は遺憾ながら実現を見ずに終つております。ただ実情を申しますと、沿岸漁業者に対する分は、我々の方針としては寿してこれを棄ててはおりませんのでありまして、その点は從來水産会社、大きな会社に対する復金貸出しばかりが多くて、小さいものが非常に抑えられておるというふうな問題が起つておりますが、私共といたしましては十分注意をいたしまして実施をしておるつもりであります。恐らく私共の方といたしましては、この沿岸漁業者の分につきまして、その内容が適正であるものについては、これをはねておることはないのであります。資金関係も、資金が非常にないから、資金枠がないからこれは持出せないというふうなことではねたものはございません。すベて必要なものと認めたものは全部これを通すように私共としては努力しております。実際問題といたしまして、復金でいよいよ借ります場合に、信用その他の関係でなかなか現実に借りられないというふうな問題も起つておるようであります。尚この点については、將來とも十分注意をしまして、沿岸漁業者方面の、或いは引揚者その他の者の金融逼迫からいろいろの仕事ができないというふうな実情については、できるだけ私共といたしましてもこれを援助して参りたいというふうに思つております。  それから貸付についての委員会の問題でございますが、これはむしろ復興金融金庫貸付問題でありますので、私共といたしまして御答弁をするわけにもならんのであります。私共の氣持といたしましては、できるだけ水産方面意向を十分反映し得るような組織の下に、この貸付方針を決めて頂くというふうにして頂くことについては、私共も至極結構なことだと思います。そういうふうに実現いたしますように努力したいと思います。
  15. 大畠農夫雄

    大畠農夫雄君 貸付の問題でありますが、内容如何によつて沿岸漁業者から申込があつた場合に拒絶したことはない、こういうふうな局長の御説明でありますが、併しこの貸付表を見ましても、大変資本金の少い……ちよつとこの表を見ましたときに、果して局長の言われるような内容を持つておる、そういつた水産業界貸付けてあるかというようなことを考えまして、ちよつとこの表を見ますと、百万円くらいの資本金のものに対して一千万円を貸しておるというふうなものが沢山あるのであります。そうなりますと、結局この貸付目当会社を設立した、こういうふうに我々は見受けるのでありますが、一般沿岸漁業者に対してさつぱりこの資金貸付が出ていないというふうな事実から見ましても、又私は曾て沿岸漁業者から頼まれまして、その貸付を聞いた際には相当……私たちがいたときには貸出申請に対する内容を持つてつた漁業家であつたにも拘わらず、殆んど相手にされなかつたというふうなことがあるのであります。こういう点から見ますと、何らか局長の言われる、その内容如何によつて貸付けるというお言葉に甚だ腑に落ちない点があるのでありますが、特に貸付に対しては御注意を願いたいと存じます。
  16. 江熊哲翁

    江熊哲翁君 私は水産局長にお尋ねしますが、漁業法改正漁業協同組合法提出の問題は数回お尋ねし、その都度何だか、非常に近い内に内ににというので、私共安心して持つてつたのですが、未だにその氣配が見られず、遂に本日を以てこの國会は終るわけでありますが、大体六月二十日まで延長されるという見通しのようでありますが、一体準備は着々進めておられるようには承つておりますが、本月末……仮に十七日頃から又我々も國会が再開されるとして、月末頃にはその法律の御提出ができるお見込があるのかどうか。或いは本月末にはできないが、來月初めにはできるかというそのお見越だけでよろしうございますから、簡單に承つて置きたいと思います。
  17. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 速記を止めて。    〔速記中止
  18. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 速記を始めて。地方財政委員会の政務次官も、事務局長も見えておりますが、御質問がありましたら……。
  19. 江熊哲翁

    江熊哲翁君 事業税の問題について野溝國務大臣がお見えになるということだつたのですが、おいでになりますか。
  20. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) おいでだそうです。
  21. 江熊哲翁

    江熊哲翁君 私は西郷次官に昨日伺いまして、大体何だかはつきりしたようなことを言われておるが、非常に不満に思つております。今日大臣が御出席になればその上で……。
  22. 田中信儀

    田中信儀君 事業税の問題につきまして、昨日次官からお話を聞いたのでありますが、事業税につきまして、主食供出する農民に対しては事業税を課せられない。主食に準ずる全面供出をやつておる漁民に対しては事業税を課せられるということに対しましては、漁民としては非常な関心を持ち、若しこれが課せられるとすれば、生産意欲を非常に減退せしめるのではないかと考えよおります。若し課せられるとすれば、課せられるだけの漁民の納得する根拠がなければならんと思う。昨日西郷次官からお話を聞きました点は、私の思い違いかも存じませんが、主食生産する農民といたしましては、主食價格が非常に安い、而も全面供出をするという点において漁民方面においては價格の点が主食の異るようなお話でありましたが、我々の記憶しておりますところでは、價格算定主食漁獲物も同じパリテイ計算によつて算出されておるように承つておるのであります。この点につきまして次官の御意見を聞きたいと思いますし、尚主食の方は年一回の代金の回收であるにも拘わらず、漁獲物は数回の回收になつておるから、その点も課税の対象になるように私は拜聽したのであります。併し同じ算定の基礎によつて價格算定されておるものとすれば、漁獲物農産物と同じくそのトータルにおいては全然変りがないのであります。これが事業税を課する課せんという対象になるとは考えられません。この点につきまして西郷次官の御意見をお伺いしたいと思います。
  23. 西郷吉之助

    政府委員西郷吉之助君) お答えいたします。只今の御意見でございましたが、私が昨日簡單に申上げましたので、そういうふうな主食米麦等に比較して、別の意味から魚類の方が値段が安いというふうにお聽取りになりましたかも知れませんが、私はそういうふうな考えで申上げたのでなく、只今の御意見と全く同感なんでありまするが、いろいろの点におきまして主食たる米麦水産魚類、そういうふうなものとを比較いたしまして、両方共供出されておるのでありまするが、片方におきましては、主食は年一回の回轉率であつたり、いろいろのその他細かい点はあると思うのでありまするが、水産業と比較いたしまして、やはり農産物、殊に現在最も重要な問題であるインフレの克服の問題であるとか、経済再建の問題とかいろいろ言われておりますが、その結局の主たるものは主食供出ということが最も緊要だと考えるのでありますが、勿論水産物におきましても、現在のような食糧事情の非常に悪い時期でありまするので、それが重要であるということは勿論我々も考えておるのでありますが、いろいろな点を比較いたしまして考えました際に、我々の方の地方財源等につきましても、御承知通りいろいろの國家財政との影響もあり、財源等もなかなか補促し難い点もございますので、今回は水産業につきましては、主食たる米麦と別に今回の我々の考えておりますところの事業税対象といたしたい。そういうふうに考えておる次第であります。
  24. 大畠農夫雄

    大畠農夫雄君 関係政府委員がおらないかも知れませんが、漁港セメントに関する件であります。勿論これは当局におきましても漁港を造るにセメントが足りないということは御承知だと思います。ただ足りないからといつてこれを放任して置きますると、到底我々の見通すような年度には漁港はできません。私は茨城縣でありまするが、茨城縣漁港へ行つて見ますと、全然セメントがなくてできないと言つておるのであります。その場合に地元においてセメント工場を造らしてセメントを使用させるというようなことができれば甚だ結構なんでありますが、それにつきまして政府見通しがおありでしたらお伺いいたします。
  25. 藤田巖

    政府委員藤田巖君) 現在公共土木事業セメントが非常に不足していることは私共も承知しております。これは御承知通りその大部分連合軍司令部の方の必要に当てられるわけであります。それの残りの部分を各種の公共土木事業その他に割振るわけでありまして、從つて水産部面に対する配当は極く僅かしか渡らないという実情になつております。只今お話の、地元セメント生産工場造つてどんどん生産さしたらどうかという点については、実は私共その方の担当者でございませんし、実情がよく実は率直に申しまして分りません。セメント生産が上らん原因が、工場が足りないために上らないのか、或いは原料が足りないために上らないのか、如何なる原因に基くものであるかということを研究いたしませんと、單に新たに工場造つただけで生産が殖えるかどうかという見当は私は付かないと思つております。その方の事情がまだ分りませんのでちよつとお答えいたし兼ねます。
  26. 藤井丙午

    政府委員藤井丙午君) 御指摘のように漁業関係のみならず一般民需が非常に窮迫しておりますことは皆樣御承知通りであります。昨年度におきまして、大体年間百二十八万トンばかりの生産でございましたが、これも御承知のような事情でその半分以上を特殊の事情に使うという関係で、これがために一般民需が非常に逼迫しておる次第であります。本年は特にその点も考えまして、大幅の生産、つまり年間二百万トンの生産を目標の下に計画を立てているのであります。ただ具体的に、只今指摘のように各地域に、特殊の産業用向けセメント工場を創設するかどうかということにつきましては、これは資材の面、資金の面或いは又原材料等の関係で今直ちにこれは具体的にお答えを申上げることはできません。今申しますように全体の数量としては約二倍近く生産考えておりますので、相当民需方面も今年度は十分とは申しませんけれども緩和されて行くような状況でありますので、特に私共漁港の修築等につきましては、各方面からいろいろの陳情も來ておりますので、できるだけその方には配当でき得るように、これは確約はできませんけれども、実情に即して努力をいたしたいと考えておる次第でございます。
  27. 城義臣

    ○城義臣君 簡單に伺いたいと思います。昨日原君が陳情されました中に、高級魚の價格の統制撤廃の問題がありましたが、私考えますのに、若しそういうことになれば結局は安い魚が出廻らないようになるじやないか、そうして結局國民大衆が甚だ迷惑を被るというようなことになるじやないかという懸念がするのであります。というのは、以前にやはり高い魚の統制を撤廃して枠を外したということがあつたように記憶いたします。ところが業者はその枠の外れた高いものの方に力を注いだということが、結局安い魚が出廻らないということになつたことがたしかあつたと思います。今回もそういうことになつたら大衆は甚だ迷惑を被るのじやないかという杞憂を持つておりますが、局長さんあたりどういうふうな御見解を持つておりますか見通しについて伺いたいと思います。
  28. 青山正一

    青山正一君 城さんに簡單に御説明申上げます。実は高級魚の統制撤廃の問題について昨日いろいろな話合いが出たわけですが、これまでに至るまでに、参議院の水産委員会の方で九州班と北海道班二班に分れまして、それぞれ実地調査をやりまして、その後数回に亘りまして委員会が開催されて、その後大体参議院の委員会の決議として報告されたのであります。いわゆるそういう因縁故事来歴というものを、あなたは最近出られましたので未だ專門調査員の方から御報告がなかつたのだろうと思います。一つの專門調査員の方からそういつた実情について十分資料もある筈ですから、一つあれして頂きたい、こういうふうに考えております。
  29. 千田正

    ○千田正君 農林大臣がお見えになつておりますので、昨日同僚の江熊議員から漁業税問題についての質問があつたわけであります。御承知通り農村の農民に関する課税の問題については、それぞれ減免その他の方法によつて農民生産意欲を興隆させる方法を採つておるのに、今日漁民方面に対して、生産面に対して漁業税というものを賦課しなければならないという理由はどうしても我々に納得行かないので、農林大臣としましては何故にこの漁業税を賦課しなければならないかという点について一應大臣としての御意向を承わりたいと思うのであります。
  30. 永江一夫

    ○國務大臣(永江一夫君) 今お話のことは、結局地方税の事業税のことだと思いますが、これはむしろ私より野溝君の方が今主管でやつております。農林省としては勿論原始産業に対します税については、それが再生産に支障のあるようなものは全部反対をしておるわけであります。いろいろ事前に反対をいたしましたけれども、やはり事業税の中で地方財源の関係上取るということであります。まだこれは閣議に掛かつて正式に決定したものではないのでありますが、私は閣議においては今申しましたように、水産といわず、漁業といわず、林業といわず、再生産に支障のあるような税については私は飽くまで反対をしたいと思つております。
  31. 千田正

    ○千田正君 どうか特にこの点は漁村のために大臣の特段のお力添えをお願いしたいと思います。
  32. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 今の城君の質問に対して、局長の答弁を求めます。
  33. 藤田巖

    政府委員藤田巖君) 御趣旨は、高級魚の統制を撤廃いたしました場合に、生産者はその撤廃させた魚種のみを取ろうというふうに変つて行く結果、大衆魚は出なくなるというふうな御意見に伺いました。これは勿論一部的にはそういう現象があるかと思います。全然関係がないとも私は申せないと思つております。例えば特殊な「たい」を外しました場合に、それを目的とするところの釣漁業者なり或いは網漁業者というようなものがやはり相当殖えて参ります。局部的には本当殖えて参ります。そうしてその方面に資材が流され、或いは又輸送その他についてもその方に重点的に考慮されるというようなことが起らないではないと私は考えます。それは丁度この高級魚の統制を撤廃します場合に、そういう現象が起るのではないかということで、撤廃について反対する側においてそういう意見を言つておるのであります。併しながらそういう現象は、私共はないとは申しませんけれども、そうすることが大きな現象になつて現われるようにも考えません。勿論これは外し方如何の問題、どの範囲において外すかという問題であります。從つてそういうふうな懸念の非常にありますものについては、やはり外せないというふうなことになるだろうと思いますけれども、併しながら現在非常に何と申しますか、資材もそう大した必要でない、或いは又全体の統制から考えまして、そうさしたる影響も及ぼさないというふうな程度のものにつきましては、やはり撤廃ということについて考えて行くことも可能じやないかというふうに私は思つております。
  34. 尾形六郎兵衞

    ○尾形六郎兵衞君 この水産常任委員会というものができましたから丁度一ケ年になります。一ケ年になりまするが、どうも私考えますると、非常に停頓状態じやないかと思つております。去年から幾度も繰返して、お魚の價格をどうするか、資材をどうするかという問題が主として論議されておりますが、大体におきまして私は魚價の問題、資材の問題等は、まだ解決しないものもありまするが、大体において見通しが付いた、この上はもつと水産常任委員会、或いは我々の水産業、我が國の水産業というものは、もつと前進すべきものじやなかろうかということを私は考えております。で、水産業は皆さん御承知通りに非常に勇ましい産業でありまして、青海原を遠洋漁船が波を切つて行く姿を考えますると、私はどうもこの会というものがああいうような水産業の状態に副つていないとこう思うのであります。いろいろ水産局長の御説明もありまするが、未だに水産廰問題は解決を見ない。漁業協同組合法も、農業協同組合法はすでにできておるが、未だにその実施を見ない。私はこういう状態につきまして、非常に遺憾に堪えないのであります。先般以來永江農林大臣を迎えまして、非常に私は期待しておるのでありまするが、先ずこの水産廰問題につきましては、局長が主として当つておられます。昨年以來非常に御苦労しておられますが、何とか大臣にもこれにもう少し手を貸して貰つて、そうして局長をもつと押して、或いは大臣自身が関係方面とも御折衝下さつて、早くこの問題を解決して頂きたい、こういうことをお願いしますると同時に、この問題につきましての大臣としてのお考えも、或いは現在の成行きがどうなつておるかにつきましても、簡單で結構でありまするから、一應お話を承わりたいと思います。  尚水産の基本問題としましては、まだまだ沢山問題がありまするので、そういう問題を漁価とか資材問題の直ぐ後に沢山並べて問題を推進して行かなければならんと思いますが、先程金融問題につきましてもさまざま質問がありまして、当局では、沿岸漁業に金を出さないわけじやないと言つておりますが、事実において金を借りますには非常に手続が面倒である、金融について專門の事務員を置かなければ書類の作製ができないような状態になつておる。水産局ができましても係官が二名おりまして、いつでもとても人が一ぱいで、我々が行つたつてとても懇談できない、あれではどうにもならんから、もう少し人間を殖やして、そうしてそういう事務的なことを知らない沿岸漁民に対して、親切にその根談に應じ或いはこれを指導する。私は先般來申上げておるのですが、何とか金融に関する案内所のようなものを水産局内に置かれて、親切に指導して貰いたい。單に沿岸漁業に金を貸すことに吝かではないと言つておるけれども、事実事務的にこれを貸してやる方法がなかつたならば、局長のお答えはお答えだけに過ぎんと私は思う。あそこの二人の係官では、どうにもならない状態であります。何とかもう少し、この案内所とか相談所というものを置きまして、実行できるように取運んで貰いたいと私は思う。昨日永江大臣お話で、安本関係につきまして、資材等が、安本独自の立場から、こういう配給をやるというようなことを言つて、ぬか喜びをさせないようにするというお話がありましたが、私は非常に昨日の大臣のお言葉は適切なお言葉つたと、こう大変嬉しくお聽きしました。先般も、去年の十二月に安本で発表されたのを見ますると、ロープ等を配給するということを書いて、嘘を言つておる。これについて私は生活物資局次長木村君に質問をしたのでありまするが、そのお答えは、速記を止めたために、速記録には載つておりません。載つておりませんが、どうも政府みずからが、できないことをああいうふうに声明する。私は政府の不信を責めたいと思つておりましたのでありますが、何卒農林省と安本との関係が、独自でなく、お互いに連絡を取りまして、ああいう問題は農林省が中心になつて発表して貰いたい。実行可能のことを発表して貰いたい。  それから、水産局はお魚を生産させる局でもあるが、同時にお魚の配給水産局でやつております。これにつきましても、私は去年以來、都市のみにお魚を集める政策は、断乎としてこれを直して貰わなければならん、地方におきまして、却つてお魚の食えない多くの農民がおり、或いは石炭を掘る人人がおるということを申しておりまするが、依然としてその配給方法は改まつておらない。この間私が水産局で調べて見ましたが、依然として改まつておらない。私は幾度も申すのでありまするが、水産局長は、水産常任委員会における我々の発言に対して、この点はどうも余り尊重されておらないのじやないかということを、この間申上げたのでありますけれども、もう少し速記録でも御覧になつて一つ是非ともその政策を実現するようにお運びをお願いいたします。而も余り安本等の計画に押されることなく、水産局独自の計画を立てて安本によく了解を得まして、やつて貰うようにして貰いたい。まあ大体私の言わんとするところは、どうもこの水産常任委員会というものが、去年より一歩も前進していない。これにつきまして、もつと、農林当局もそうでありまするが、水産常任委員長ももつと活溌にこれに努めて貰いたい。而もこの水産常任委員会が、或いは今度國会法が変つて消滅するんじやないかということの噂があります。(「ノーノー」と呼ぶ者あり)衆議院等におきましては、相当悲観的な見方をしております。これにつきましても、是非とも木下委員長におかれましては、最善の努力をしまして、この常任委員会が、今後とも継続してやれるように盡力して貰いたい。尚この際水産常任委員長としまして、この委員会の運命に関する見通し等につきましても、お答えがあるようにお願いいたします。
  35. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 永江國務大臣は、ちよつと十二時から用事があつて行かなければならんそうであります。御質問がある人は……。
  36. 矢野酉雄

    ○矢野酉雄君 その問題は事業税についての問題だ。
  37. 江熊哲翁

    江熊哲翁君 事業税を先にやつて呉れ。國務大臣に、事業税の問題を徹底的に解決して貰わなければ駄目だ。
  38. 青山正一

    青山正一君 事業税の問題並びに漁業方面にかけられておる税金の問題につきまして、一つお尋ねいたしたいと思います。これは現在行われている税制の改革要綱と、今後行わるべき漁業税の適用の反対、この二つの事柄であります。御存じのごとく、漁業者というものは、戰爭中徴用とか、或いは戰災によりまして、漁船、漁具その他のいろいろな施設は殆んど失つてしまい、被害の大きなことは、いろいろな産業中類例がないのであります。で、大きなことはこれは勿論外の産業なんかと比べものにならない。その上政府の補償金及び保險金は悉くこれを凍結されまして、その再建復興に当りまして、復金その他の金融機関の援助を仰いで、辛うじて漁船、漁具を調達して、最近漸く復興の緒についたのであります。その漁業経営というものは、資材難と、公定價格による全漁獲の供出によりまして殆んど利潤を生ずる余地のない赤字経営であります。又精神的にも安本からの目の見えない圧力というものが加えられまして、二進も三進も動けない状態にあるのであります。で、漁業は從來から漁業権税或いは特別漁業税、船舶税、同所得税附加税、同所得税というような幾多の重税、過税に悩んで來たのでありますが、最近御存じのごとき苛酷極まる所得税を課せられたために、経営を放棄する者すら続出せんとする傾向にあるのであつて、この上新たなる事業税を課さんとするがごときことは、今後の漁業の存立を否定せんとするものであります。で、昨日の西郷次官の報告は、事業税というものは、農業方面に絶対に取らずに、水産方面に課すがごとき、すでに内定しているがごとき感を抱かしめるがごとき報告でありまして、水産委員会としてここに満腔の遺憾の意を表する次第であります。こういつたことが、若し漁業者方面に分つたとすれば大問題で、一体野溝大臣或いは西郷次官は、この漁業の方をよく研究なさつておられるかどうか。農業方面はどういうふうな種類の税金を取られているか。又漁業の方面はどんな種類の税金を取られているか。この農業方面漁業方面と比較檢討しているかどうか。若し漁業者の方が農業者に比べ税金を取る率が少いというならば、これは仕方がありません。併しそういつた点を十分に研究して頂きたいと思うのであります。同時に漁業の実態調査と、現状というものをよく一つ御調査願いたいと思います。こういつた点を研究して、漁業税というものを課す氣持があつたのかどうか。野溝さんは、我が社会党出身の関係の閣僚であります。又長野縣水産業会長という、我々の同僚の役目でもあるのであります。そういつただけに非常に感慨無量であるのであります。こういつただけに、まさか農業と漁業と使い分けをいたしまして、片手落な裁断を下されるようなことはなかろうと私は考えておるのであります。以上、私の質問は終ります。
  39. 矢野酉雄

    ○矢野酉雄君 民主政治の本領は、少くとも下評においては、その政党の主張というものを良心的に実行するということである。民主党は、現内閣の首班であつて、今回新たに組織をした、その直後の全國大会において、確かにいわゆる漁業事業税というようなごとき悪税は、断じて立党の精神として課せないということを全國に表明しておる。(「そうだ」と呼ぶ者あり)然るに、相当民主党に対して、実質的に好感を持つておる政務次官西郷君は、昨日の本委員会において、今同僚青山君が指摘したごとく、否、内定でなくて、我我の方においては、農業の事業税は課さないが、水産漁業の方においては、事業税を課するということを言明したのであります。その地方税の委員会の責任を持つ野溝國務大臣は、これに対してどういうような見解を持つておられるか。又この問題は相当政治的の重大な責任問題が、昨日の西郷君の策弁には含まれておると思つておる。殊に昨日、瀬戸内海その他西日本の沿岸漁業者諸君が、本当に羽織を質に入れて、そうして旅費を作つて上京し、その衷情を披瀝した。その委員会の眞つ只中に、無情にも、こうした政府の態度をここに表明せられたことは、青山君及び大部分委員諸君、遺憾の意を表しておると思うのであります。この点に向つて、青山君の質問と、矢野の質問に、共に答えて頂きたいと思います。
  40. 江熊哲翁

    江熊哲翁君 時間がありませんが、質問します。この事業税の問題については、昨日この時間に御質問申上げたのでありますが、図らずも、甚だ不満足な御答弁を得て遺憾千万に思つております。それで本日大臣の御出席を特にお願いしたわけでありますが、農業関係事業税も、当初においては――これは新聞によつて私の知識でありますから、間違いであればいつでも訂正いたしますが――取られるということが報せられた。非常に、各農業も漁業もこういえことになるが、これは困つたことだと私は非常に歎いていた。ところがその後、農業関係の方は、非常に大きな爆撃があつて、遂に方向を轉換したように私は承つておる。当然同一な性格の生産である。生産業で第一線に働いているこの部門に対して、同一な性格である。どこに農業と漁業と線を引き得るか。私は長年の行政官であるが、絶対にこれは引き得ない。沿岸漁業においてはどこにも線は引き得ない。こういうような性格のものに対して、一方と又他の方とに、全然差別的な行き方になるというような、そこの事態が私は甚だ不満足です。これは日本全國敗戰の今日あらゆる者が何らかの形において税金を負担しなければならない、そこで以ていろんなことが研究されて行くのだろうと私は思います。併し農業の方と全然同じ形においてあるものは、そういう差別的な行き方になることを非常に遺憾に思う。農業関係において取上げたる問題は地租の関係、或いは所得税との重複課税であるといつたようなことが取上げられておるようでありますが、それは地方の実態を御存じないから、農業の理論だけを聞いたら御尤もだとお考えになるかも知れませんが、それは全然五十歩百歩の理論であつて、農業、漁業もその通りである。併しまあそれは農業をどうというのではなく、私は農業にそういう税金を取ることも勿論いけない。それで農業の方面が引込められたということは大変結構だと私は慶賀に堪えないというように思うのであります。と同時に、漁業方面においてもこの悪税を取るということには、私共としては絶対に反対するということを申上げて、別にそういうことを御答弁頂くまでもなく絶対反対であるということを申上げて置きます。他の委員の方の御質問にお答え願います。
  41. 野溝勝

    ○國務大臣(野溝勝君) 青山さん、江熊さんの御質問に対してお答えしたいと思います。大体御質問の趣旨は、目下地方財政委員会において二十三年度の予算編成の中に事業税を取ることになつている、その事業税の中に漁業者が取られることになつているのに、主食を作る農民は取られぬことになる、これは不公平じやないかという点が骨子であると私は思うのであります。この点についてはまあいろいろ御意見もあり、角度々々からいろいろ檢討批判もあるのでございますが、大体この構想をこうした際に一應私からこの機会に申上げて了解を得て置くことが最も好機会だと思いますので、大体私共の持つている構想を申上げて見たいと思います。  申上げるまでもなく、実際日本の財政が苦しいと同様でありまして、地方の財政は全く苦しいのございます。ざつくばらんに申しますと、昨年八百七十億、二十二年度八百七十億の予算でしたが、今度は二千億近く計上しなければならぬことになつたというのはどういう点かと申しますと、六・三割の問題、あれは新教育制度の問題ですが、警察消防制度の問題、それから公共事業、災害等に関する地方負担の加重の問題、こうした問題で、この予算のうち五百億ぐらいが大体新規事業となつて、どうしても地方が負担しなければならぬ費用でございます。そこで問題はいよいよ財源という点になつてくると思いますが、財源の点につきましてはどういう構想を持つたかと申しますと、この際思い切つて中央地方の財政の根本的改革、これをしたい、先ずしなければならんと、かように思つたのですが、御承知通り芦田内閣ができたのは三月でございます。直ぐ四月に予算を編成しなければならんというとき、こういう根本的改革は実際問題としてできない。差当つて地方財政としてどういうことになつたかということになりますと、中央地方の財政調整ということが一つと、それから第二は中央において新税なり、独立税を創設すると同時に、税率の檢討ということ、それからそれらを執行する上において、現下の客観的社会状勢をよく見て、これらの施策に当るという建前において社会政策的な檢討を拂うこと、第四には、かくも財政が行詰つておるのでございますから、消費の節約と行政の簡素化、この四つに重点を置きまして、地方財政の二十二年度の編成に当つたわけでございます。ところがなかなか容易でないのでございまして、そこで特に私が就任する前に、御承知のごとく芦田内閣ができるときに、現在の政策檢討の一つといて、土地使用税乃至は事業税、ランド・タックスと申しまして、その当時は大体最初の企画は土地使用税の構想でありましたが、その土地使用税を事業税と名を改めたということに過ぎないのでございまして、大体同類項でありますが、さようなものには課税をしないということになつて政策協定ができたのでございます。でありますので、かような政策協定ができまして、芦田内閣に参加して入閣した以上は、いろいろの意見批判もありましようが、その政策に基いて政府は作つた以上は、その政策に斃れるというのが、政治家としての任務であり使命であると考えますので、いろいろ御意見もありましようが、さようなことで、私は就任すると同時に、さような予算編成に当りまして内容を檢討して見たときに、そのことが構想されておりましたので、それを改めることにしなければならんという意見を出したことは、今江熊さんからお話がありました通り事実であります。私が單に大臣なつたからといつて、財政委員会というものを抑えるということはできないのでございます。御承知のごとく財政委員会というのは、地方財政委員会法というのが昨年の議会を通過いたしまして、それによつて生れ出たのでありまして、その運営に当りましては五人の委員会によつて運営されておるわけでございます。そこは対数決主義で行くわけであります。でありますから、私はその委員会に向いまして、この土地事業税中特に主要食糧として供出しておる米麦等に対しましては暫くの間考えて貰いたいという意見を出したのでございます。その理由につきましては先程矢野さんからもいろいろ御意見がありましたが、先ず今日の農民從來の食糧供出を百%以上しておるその上に、目下農林省で積極的に努力されておりまする一割増産の問題、これを遂行しなければならん。それから最近には、特に國際関係でございますが、ドレーパー氏が來て以來、日本に対する援助施策といたしまして、クレジツト、爲替レートの問題、いろいろその他配慮されておるようでございますが、何としましても國内体制と生産の再開に対する計画性、健全財政の將來性というものを立証されなければかような援護を受けることができませんので、それでこれを更に具体化する場合においては、何といいましても私は國内の治安の問題、要するにインフレの問題、経済的な問題、治安の問題等が問題になつて來ると思います。それらの問題が起つた因はどこにあるかというと、私は何といつても食糧問題であると思います。かような点から、今國際的に好轉しようという大事な時、國内的にも生産を再開しようという時、この基本的なるべきところの食糧を生産する農民の意欲を落すというようなことがあつたならば、私は日本の生々発展しようというこの点について非常に憂慮をしなければならん、かように感じたのでございます。ということと、いま一つ主なる問題は、何といいましても、農村の民主化を図るために、連合國からの指令に基きまして農地改革をやつておるんでございますが、その第二次農地改革が十月の三十日を俟たなければ完了いたしません。そこで十月の三十日を以て今まで賣渡し計画……政府は買上げましたけれども、今度はこれを耕作農民が自分の手取りにするということになると、ここに莫大の資金が要ることになつております。この資金の点については、政府において証券を発行して貸出すこともできておりますが、これには限度があります。そこで農民といたしましては一日も早く自分の土地にいたしまして、自分の意思によつて企画を持ち、構想を持つて土地改良に、土地改革に当りたいという熱意を持つておるんですが、最近のように農業所得税の増徴(「筋が違う。そんなことじやない」と呼ぶ者あり)及び肥料の購入資金のような問題等々から、非常に行詰りを來しまして、どうしてもこの農地改革の進行もできないというような事情にあるのでございます。かような点からいろいろ勘案いたしまして、この際主食の主産に当る者に対しましては、これは一應考える用意があるのではないかということで了解を得たのでございます。尚先程言つておりますが、農業といいましても主食の点だけでございまして、後の農業の果樹とか或いは野菜とかいうようなものに対しましては一應別なことになつておるんでございます。それから特にこの青山君から力説されたんですが、農民の方方、水産業の方々のこのいろいろな氣持も我々はよく分るんでございますが、併しこの漁民の方々のうち特に今まで各縣で相当税金として賃貸價格による課税の例、それから漁獲によるところの課税というものは全國的に調べて見ましたが、相当課税されておるわけです。特に今回は漁獲の方は事業税範囲に入るのでありまして、要するに從來の漁獲に対して課税したものを今度は一應事業税の方に入る。その方はこれは一應問題は解決したのであります。賃貸價格の方においてはそれは課税されて行くと思うんですが、併し先程から申上げています通り、大体日本の経済の事情から分析いたしまして、地方財政の困窮から檢討いたしまして、とにかく負担が加重されるということにつきましては、これは我々としては誠に遺憾のことでありますけれども、かような苦しい状態を御了察を願いまして、地方財政委員会が構想しているこの案に対しましての御了解を仰ぎたいと、かように思いまして、御答弁いたします。
  42. 千田正

    ○千田正君 只今野溝大臣お話の中に、客観的情勢においてこの税金を賦課するというようなお話がありましたが、農業と漁業との分野においてどういうふうに客観的情勢が違うか、我々はやはり原始産業の一つとして漁業というものは日本の農業と共に守り育てて行かなければならない立場にある、こう思うのであります。而も農業においてのあらゆる資材資本の面を、それと同じような兄弟にあるところの漁業に、果してこの地方税を徴收するというようなことは、私は現在の芦田首班内閣においてそういう政策が行われるとするならば、決して民主的な政策じやないという意味において、そういうことに対しては絶対反対したい。むしろまだ中小工業などをやつて闇の商賣をやつてどんどん儲けている連中が沢山ある。そういう連中に課けるべき方法をむしろ見出して行くことこそ本当の政策の行き方じやないか、これは今生産意欲に燃えつつある面と、それから先程米麦主食とする主食の問題に対して農業の方はそれを除外した。併し魚の方だつて、やはり同じような主食として、代替食として殆んど全部がそういう状態にあるわけであります。そういう面にも兄弟分であるところの農業の方が苦しいんだから、だから漁業の方へ或る程度轉換するというような行き方であつたとするならば、現在の芦田首班内閣の政策というものは行詰つておるんじやないか。本当に民衆のための民主政治を行なつておるかどうか。先程は三党協定のためにその政策を掲げて入つた以上、どうしてもそれを実行するというような氣構えのようでありましたが、先般矢野委員質問をいたしました――すでに芦田首班内閣としてやらないということで天下に言明しながら、更にその内部においては鼎立したところの三党協定によつてやる、矛盾した方向を辿つておると、こう思うのであります。この二つの点、いわゆる矛盾した方向の点と兄弟分であるところの農業の苦しい立場を漁業が背負わなくちやならんという点は私も納得できない、こう思うのでありますが、この点において他に何か轉換する方法を見付ける方法はないか。敢えて地方税の……今の事業税の問題につきましては、轉換する方法を他に求める方法がないかということを一言聽いてみたいと思うのであります。
  43. 野溝勝

    ○國務大臣(野溝勝君) 千田君にお答えします。第一点は漁民農民の方の課税のものを轉換したんじやないかというようなことでありますが、これは非常に誤解されているんじやないかと思うのであります。決して農民の方のあれを漁民に轉換したというようなことはありません。さようなことは最初から事業税のパーセンテージというものは率が出ておりまして、それに対して一應農民の方のあれをあれしただけです。尚お話申上げますが、確かに漁民の方々も蛋白給源としての供出をやつておることは事実でございます。併しこれにつきましては養蚕の方も畜産の方も、それぞれやはりこれは水産と同樣な意見が出ておるのでございます。で、さような点から見ると、まあ養蚕などにおきましても、蚕糸は貿易政策上実に重大な問題である、國を挙げてその施策をやつているじやないか。又畜産においても同樣でありますから、かような水産業委員会におけるような意見として各種委員会においても相当出ているのでございますが、先程申したようを事情で、何といいましても私は日本の國を好轉させるというには、主要食糧の一割増産を達成させたい。それと農地改革を十月三十日までに完了するのであるから、さような点を睨み合せまして、一應他の農水産業関係されておる方々もいろいろの意見もありましようけれども、さような点において我慢をして貰いたい。こういう点がざつくばらんの意見でございます。  尚千田君からのお話通り、そんなものに課けなんで、よその方に課けたらいいじやないか、もつとないのか。全く同感でございまして、私共はその点については血眼になつてあらゆる面を檢討したのであります。特に最近においては、医者、弁護士、人を雇う、甚だしきに至つては、電燈を使う、この人々にまでも課税しなければならんというような、全くみずから身振いのするようなことをしなければ実際やつて行けないような事情にありますので、この点非常に情ない次第でございますけれども、あらゆる方面に財源を漁つていろいろとやつておるわけでございますが、なかなか目下のところ地方財政委員会において構想したような税の財源しか見当りませんので、甚だ遺憾としておるのであります。併し、一面かような点は地方においてできることになつておりますので、その方面で又独立新税として地方において取ることにして貰うようにはなつております。例えば地方において、庭園税であるとか、或いはその他「わさび」税であるとき、或いはそういうようなものに対して、地方において独立税として彈力を持つた制度になつておりますので、新たにそういういい財源だと思う場合におきましては、只今千田氏から言われたように、それを徴收することになつておりますので、一應議員においてさような財源の点は檢討して貰いたいと、かように思つておる次第であります。  次に芦田内閣の政策協定にあることをやるというが、そういうことは、民主党としては決めてなかつたと、こういうようなことを言いますが、これは政策協定の問題でございまして、別に三党政策の枠から外れたというような意味でやつておるようなわけではないのでありまして、大体その線に沿つて我々はやつておるわけでございます。併しこの政策の運営上については、いろいろ意見もあると思いますが、大体その方針におきましては、我々の三党政策協定をするときの方針からやつております。ただ細かくいえば、いや農業の中でも、農業事業税といいましようか、土地使用税といいましようか、そういうものでも、その範囲からいえば、こういうものは一体その範囲に入つておるじやないか、或いは果樹も入つておるじやないか、何も入つておるじやないかということも、考えようによつては言えましようが、先程申したように、社会政策的な彈力のある方面に対して成るべく多く負担を持つて貰うというような建前において、農業事業税の施策を考えたのでございまして、以上大体構想をお答えして置きます。
  44. 青山正一

    青山正一君 不満の意を表します。
  45. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 農林大臣、大畠君の御質問に対してお答えを願います。
  46. 永江一夫

    ○國務大臣(永江一夫君) 先程大畠さんから水産廳に対しての御質問でございますが、御承知のように、今度は外局になります場合には、法律で決めるということになつておりまして、農林省では水産廳以外に林野局、食糧管理局等がございますので、これらと併せて水産廳一つの法律として國会の協賛を得るつもりでおります。從つて國会で参衆両院議員の方から、水産委員会を通じまして、水産廳設置について非常に強力な御希望がありますので、その線でやつて参りたいと思います。それから第二の金融について、実際は親切にやつていないという御注意がありましたから、この点では実際の取扱上につきましては、私は具体的に事務当局と相談をして考えて見ることにいたします。  それから第三の、しばしば発表しておるという点については、昨日も私はお答えをしたと思いますが、どうも閣議で極秘と判の捺してあるものでも、翌日の新聞に載つておるので、閣議でも問題になりまして、一体どこからこれが漏れるかということで、そういうように非常に注意をしておるのでありまして、私も農林省に参りまして、局長の参集を求めましたときに、第一に申上げたことはこのことであります。特に今までのデスク・プランだけを発表すれば役人の手柄だのようなことは今後やつて呉れるな。特に農林省に関しまする限りは、プランを発表した限りは当該局長に責任を負つて貰う。こういうことを私は嚴重に希望して置きました。それでよく地方へ参りまして、漁民の皆さんからも、リンク物資が約束通り來ないじやないかということでありますが、その際に縷一々私はこうお答えしておるのであります。これからお約束するということは、本当にお約束をいたしますから、今までのように、ただ新聞に書いておつたから、政府がだましたじやないかというようなことには、私共は新聞には責任を負えません。これからは飽くまで農林省の役人が出て参りまして、生産者とお約束した文書に対しては飽くまでも責任を負う、そうしてそこには責任の帰趨を明らかにしますように、昨日ここでも申しましたように、計画は安本、その実施については、生産面は商工省でおやりになる、それからその配給は農林省ということになつて、おのおのの責任の帰趨を明らかにするように、文書を農林省と商工省と安本の中で明白にいたしまして、その上で私は直接に生産者とお約束する。若しそういう手続を履まずして、農林省の中の局長局長の責任において発表したものは、それは飽くまでも責任を取つて貰う、こういうつもりでおります。從つて特に食べる物につきましては、皆ひもじい目をしておる際でありますから、漫然と数量を発表して、これくらい取れるというようなことで、個々の消費者の口にどれだけずつ入るというような数量の明らかになつていないものは、逆に消費者から怨みを買うというようなことになりまするので、そういう点は非常に注意しております。若しそういうようなことがありますれば、どしどし御指摘願いますれば、私が在任の限りは、局長なり課長なりに責任を取らせます。  それから第四の、魚の配給の不公平にして、都市に重点を置いてはいかんじやないかということでありますが、これはこの前もお話がありまして、ちよつと研究して見ましたが、やはり今主食、特に米を中心としまして、非常に凸凹があるのであります。生産縣が米を持つておりまして、消費縣が非常に窮屈であります。こういう凸凹についても、実際の主食の中の米食い率を平均化しようとして非常に努力しておりますが、何としてもやはり農村が有利な立場にあるのです。そこでやはり食生活全体から見まする場合に、魚のみを農村も都市も公平にと行かないのでありまして、やはり都市に重点が置かれると、こういうように御了解を願いたいのであります。
  47. 千田正

    ○千田正君 重ねて申上げますが、大臣及び次官並びに局長がお見えになつておりますので、農林当局としましては、先程野溝國務大臣事業税に対して、我々水産委員会としては誠に不満と思いまするので、是非閣議において、これは悪税撤廃の点において特段の御努力を願いたいということを、ここで御要請申上げます。(「賛成」と呼ぶ者あり)
  48. 大畠農夫雄

    大畠農夫雄君 私は税金の方でなくちよつとお聞きしたいのですが、船舶讓渡、漁獲に大変重きを置いているのですが、併し漁獲の根本條件をなす船舶讓渡という点について、甚だどうも我々納得できない点が沢山あるのであります。それは漁業許可権というものが、船舶に附いておるものか、或いは漁業者その個人に附いておるものか、この点が腑に落ちないのであります。それは例えば一つの漁船を持つておる者が他にその漁船を讓渡したという場合に、その許可権を渡してやらなければ、その船舶を讓り受けた者は何ら漁業ができないというような現在立場におるのであります。そして又一遍船を賣りながら、その賣つた者はその漁業許可証を持つておりますと、更に代船を造つて漁業ができるというような立場になつておるのでありまして、買つた者は結局その船を宙ぶらりんに遊ばして置く。これは恐らく日本には数十、数百隻あると思うのです。現在漁獲漁獲とうるさく言われているときに、船が宙ぶらりんに遊んでおるという状態は、この船舶讓渡なるものが甚だ不完全だ。例えば船舶讓渡につきまして、何故讓渡するかというようなことを農林省に申請して、農林省の許可がある。その場合に讓渡ということになりますれば、賣り拂つて代船を造るということもできるかも知れませんが、現在の状態で行きますと、農林省としても何のために賣るのかさつぱり分らない。分らないための又代船を造らせて見たりしている。船を買つた者に対しては何らの許可を與えない。こういうような関係で、船が全く宙ぶらりんに遊んでいる。そういうのが沢山ある。この船舶讓渡に関する法規、それを何とかもう少しはつきりして、お互いに買つた者も或いは賣つた者も、本当に漁業に対して誠意がある讓渡ができるようなふうに、法規を改正する意思があるかどうかということをお聞きしたいのです。
  49. 藤田巖

    政府委員藤田巖君) 手続の問題でございますので、私からお答えいたす方がよかろうかと考える次第であります。現在の許可漁業、いわゆる船舶漁業は、大体特定の船とそれから人と両方を睨んで許可をいたしております。從つてその船について、例えばその船による漁業を対象にいたしまして、そうしていわゆる営業讓渡と共に船が讓り渡されるというふうな場合には、新らしく船を買いました者に許可をするというふうなことは、これは認めせれておるわけであります。併しながら現実の場合にはいろいろなことがございまして、例えば從來漁業を経営しておつた人が、從來の船が非常に老朽になつたということで新らしく船を造りまして、古い船は人に渡す。買う方もこれは從來例えば底曳網漁業でありますと、底曳網漁業をやるつもりで買うような人もあるわけであります。買つてしまつてから後で、許されるつもりで申請をして置きましたところが、それは前の人が廃業をしないから駄目だということで非常に困られるというような事態がこれはままあるわけであります。併し許可方針としては、この点ははつきり書いてあります。許可いたします場合、許可いたしません場合とちやんと書いてあるわけでありまして、よく事情に明るい方はそういうふうな点に誤解がないのでありますけれども、初めてやろうとかいうふうな方で、その方面についての行政方針の御理解の行かない方にはそういうふうな問題がまま起るわけであります。私共といたしましても、事情を知らずに買われた方は非常にお氣の毒だと考えております。併しながら從來の人はやはり継続して許可をしてやつておる。新らしい人も許可しなければならんというふうなことに相成りますと、許可は二つに殖えて行くわけでありますから、やはり許可の制限のあります漁業についてはそういうようなこともできないと考えております。でありますからして、私共といたしましては、できるだけそういうふうな事情を知らずに買われて、非常に御迷惑なような方の起らないように、將來とも許可方針を徹底せしめて行くというふうなことについては十分努力するつもりであります。私共の希望から申しますれば、大きな金を掛けて買うような場合につきましては、予めやはり漁業の許可については、縣廳その他にでも御照会頂けば直ぐ分ることでありますから、十分事情を御了承の上船の讓り受けその他のことをやられるようにお願いしたいと、かように考えております。
  50. 大畠農夫雄

    大畠農夫雄君 今の点について更にお伺いいたしますが、そうしますと、漁業許可というのは、船に許可されるのではなくて人にされるというふうに解釈してよいのでありますか。
  51. 藤田巖

    政府委員藤田巖君) 先程申しましたように、船舶漁業は特定の人が特定の船によつて営む漁業に対して許可するのであります。そうして人に重点を置くか、船に重点を置くかという問題でありますが、現在の許可方針では人に重点を置いております。從つて例えば特定の人が甲の船によつて漁業を営んでおつた。ところがその甲の船は古くなつたから新らしい船でやりたいという場合にはその代船を認めております。ただ実問題としまして、例えばその甲による船を人に讓渡と同時に、その甲によるところの事業そのものも一緒に讓渡いたします場合には、それは営業と船舶とを共に讓受けたところの新らしい讓受人に対して許可をする。こういうふうなやり方をしておるわけであります。
  52. 大畠農夫雄

    大畠農夫雄君 そうすると先ず第一に、どういうわけでそれを讓渡するのだということを農林省に申請させる、こういつた方法を取らなければ、結局金儲けで譲つたのか、或いは老朽のために讓つたのか分らんけれども、代船を許すというようになりますと、結局讓受けた者も非常に迷惑を受けますし、又資材の点から申しましても、無い資材をただ遊ばして置く、こういうふうな恰好になるのではないかと思います。その点において法規をちよつと改正すれば、非常にお互いに不利益を被らないという結果になるだろうと思いまして、法規改正の意思があるかどうかということをお聽きしたいのです。
  53. 藤田巖

    政府委員藤田巖君) その点につきまして現在の漁業法におきまして船舶の讓渡と共に許可の讓渡をいたします場合を書くように考えております。併しながらこれはいろいろの場合があるわけでありまして、必ずしもそう簡單に書くだけで十分でございません。併しながら先程お話のございましたように漁業法改正の際にはその問題も考慮しておる。その規定が入るということは申上げてもよかろうと思います。併し方針といたしましてやはり船だけを讓渡する場合と営業権も一緒に船を讓渡す場合と両方起るわけであります。でありますから、そこははつきりと船だけについてその船が人に讓渡した場合には許可は消えてしまうというようなふうなやり方をいたしますと、却つて実情に即しない場合も十分出て來ようかと思います。やはりこれは許可方針でその点を補つて行かなければならんと思つております。尚御参考までに申上げて置きたいと思いますが、大きな漁業につきましては、單にこの船が古くなつたからといつた代船をさせるようにはいたしておりません。その船の船齢を睨みまして、大体その船が船齢が古い、或る程これでは老朽であつて非常に能率が悪かろうというふうなものについてのみ代船を認めるというふうなことで、新らしい船を造るというふうなことは極力抑えておるわけであります。御趣旨の点は十分私共も今後氣を付けてやつて参りたいと思います。
  54. 大畠農夫雄

    大畠農夫雄君 人に重きを置くということになりますと、船を賣つた者が更に代船を造つて活用する場合には、人に重きを置いても効果はあるのですが、船は賣つてしまつて船を造る能力がない者が、そういう権利を持つてつても意味をなさん。同時に買つた者が新たに設可を受けられないことになれば、両方共困つてしまうという立場になる。こういうことを考えますると、人に重きを置くというのは間違つてつて、船に許可権は專属すべきものだ、こういうのが当然じやないかと思うのであります。船は賣つちやつて権利は持つておる、その権利は又別個に賣る、これが現在の実情であります。結局人に重きを置いて許可をする、こういう結果になる。漁業という点から考えるならば、やはり人間に重きを置かずに、船に基礎を置いてやるべきが当然だと思う。人間に基礎を置くから、そこにいろいろな金儲けができて來る。そうして結局辺を買つた者がどうにもならん。権利を持つてつても船を造う能力がないからどうにもならんという恰好になつておるのであります。こういう点をお考え願いたいと思います。
  55. 藤田巖

    政府委員藤田巖君) この許可を持つておる人が船を賣つてしまいまして、そうして代船を造らない場合は、それは法規の関係からいえば許可は失効いたします。これは規則にはつきり書いてございます。つまり從來許可を受けた船を他に讓渡したり、或いは使用権を喪失いたしました場合には、その許可は効力を失うというようにはつきり書いてございます。ただ実際の問題といたしましては、そういうふうな事情が或いは私共の方に分らない結果、いわゆる空権賣買というようなことが現実に行われておるというふうな御指摘であろうかとも私は考えております。そういうような点がはつきり分りました際には、私共といたしましては直ちに失効の手続をいたすように考えております。そういう問題がございました場合は一つお知らせを頂きたいと思います。
  56. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) それではこれで散会いたします。    午後零時四十三分散会  出席者は左の通り。    委員長     木下 辰雄君    理事            遠山 丙市君           尾形六郎兵衞君    委員            大畠農夫雄君            門田 定藏君            丹羽 五郎君            松下松治郎君            川村 松助君            城  義臣君            寺尾  豊君            田中 信儀君           前之園喜一郎君            青山 正一君            岩男 仁藏君            江熊 哲翁君            三好  始君            矢野 酉雄君            千田  正君   國務大臣    農 林 大 臣 永江 一夫君    國 務 大 臣 野溝  勝君   政府委員    経済安定本部政    務次官     藤井 丙午君    地方財政政務次    官       西郷吉之助君    農林事務官    (水産局長)  藤田  巖君    総理廳事務官    (地方財政委員    会事務局長)  荻田  保君