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1948-05-05 第2回国会 参議院 水産委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年五月五日(水曜日)   —————————————   本日の会議に件した事件 ○水産物増産対策に関する調査の件   —————————————    午前十時三十分開会
  2. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 只今から水産委員会を開会いたします。  御紹介いたします。熊本縣選出城義臣君が水産委員になりましたから御紹介いたします。
  3. 城義臣

    城義臣君 城義臣でございます。どうぞよろしく。(拍手)
  4. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 皆さんにお諮りいたします。瀬戸内海水産関係代表者林君以下五名の陳情者と、石川縣干拓事業に関する陳情者の五、六名の人がお見えになつておりますが、傍聽して差支えありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 御異議ないと認めます。それでは水産物増産対策要綱につきまして、水産局に関する件について皆様の御質問なり、御意見の御発表をお願いいたします。
  6. 江熊哲翁

    江熊哲翁君 中國、四國、九州、西日本関係の人達が陳情参つておりますので、その方々代表者から私共幸い好い機会でありますので、陳情参つて、その上でいろいろ研給して見たいと思いますが、そういうふうにお取計らい願いたいと思います。
  7. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 只今江熊君の御発言瀬戸内海代表者から一應陳情を聽きたいという御発言でありますが、許可してよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 御異議ないと認めます。それでは林さん、陳情の御趣旨を一應御説明願います。
  9. 林興一郎

    説明員林與一郎君) お許しを得まして貴重な時間を拜借いたしまして要点だけ御説明申し上げ、皆様方の絶大なる御支援を賜わりたいと存ずるのであります。  私は大阪以西の一府十八縣の水産連合体が去月九日に組織されまして、その委員長といたしましての立場から代表して大阪以西西日本水産の問題につきまして、急を要するお願いだけをかいつまんで皆様方にお聽取り願い、格別の御考慮を頂いたいと存ずるのであります。  大体五つ程でございまして、第一は、高級魚に対しまして價格統制廃止して頂きたい。これはすでに政府当局並びに諸賢各位の連日の御奮鬪によりまして、近くこの高級魚に関しまする價格撤廃統制廃止が実施されるやに漏れ承つておるのでございまするが、私共が更にここに言葉を新らしくして陳情いたしまする趣旨は、申すまでもなく、瀬戸内海一円といたしまして、すでに「たい」或いは「さわら」等の高級鮮魚が鮮獲の最中なのでございます。從いましてこの價格を外して頂き、統制撤廃して頂くお氣持は、私共は飛び立つ程嬉しいのでございまするが、時期の問題でございまして、これが本年六月以降に若しこの廃止を見るに至りましたときにおきましては、鮮期が済みまして、生産が終つたときにこの枠が外れるということに相成りましたときには、効果が全くないのみならず、私共の予期いたしておりまする價格の或る一定度の安定を確保し責任を持つということが、非常に困難と相成る実情皆様方お分かり下さることと存ずるのであります。從いまして今日のどんどん生産されておりまする時期に、折角の御厚意によりまして、生まれんとするその撤廃の実現が、速かにこの時期に外して頂きますなれば、効果百パーセントのみならず、沿岸漁民生産意欲というものはいやが上にも高揚いたすことは明らかな事実でございまするので、一つ御英断を以ちまして、この高級魚價格統制撤廃の具現を速かにお骨折りを願いたいというのが第一のお願いのことなのであります。  第二の問題は、沿岸漁業者に対しまして労務加配米を交付して頂きたいという問題であります。これは私が説明申上げるまでもでございませず、今日の食糧事情から申しまして誠に難事中の難中とよく承知いたしており、御当局並びに議員各位の御労苦の程も重々お察し申上げておるのでございますが、今日までのことは、私申上げるまでもなく、この労務加配米を交付される対象とされておるものは、殆んど沿岸漁業の零細なる漁民対象とせずして、大仕掛を以て、大資本を以て漁業を営んでおるものを対象とされておる事実が、沿岸漁民零細漁民に取りましては、言うに言われん生産に支障を來しておる実情でございます。僅か一日二貫、三貫の漁獲をいたしまする零細漁民といたしましての筋肉労働その他の点につきましては、私共をして言わしむれば、大資本を以てやるものよりも、時間におきましても、実際の筋肉労働の点から申しましても、私共はこの方がその意味から申しますると、政府の方で特別に考慮して頂かなくてはならない点ではないかと、かように勝手かも知れませんが考えるのであります。僅かばかりの漁獲によりまして一家生計を保ち、これによつて供出もし、これは量かに考えますると甚だ微々たるものかとも考えられまするけれども、國家に盡すところの業を通じての氣持というものは、これ亦格別に斟酌を願わなくてはならないものではないか、かように考えまして、沿岸漁民の永年の宿望、要望でございまするこの労務加配米も、営業に大資本を以てやれる方と同様に、いろいろな制度におきましてお與えを願いたい。この点のお願いが第二点でございます。  第三は、業具に対しまして保險制度を設けて頂きたいというお願いなのであります。これも余りに知れ渡つた問題でございますので、喋々御説明の要はございませんが、漁船に関しましては政府の並々ならん御苦心、御努力によりまして、大体漁船保險制度確立の域に達しておると私共も喜んでおるのであります。併しながら今日の漁船以外に水産業に從事する者の一番大事な、大切なものは、何と申しましても漁具であろうと思うのであります。例えば沿岸漁業でやりまするところの巾着一統を新設いたしまするとするなれば大体六、七百万円の金を要するのでございます。而もこの六、七百万円の巾着網一統漁具に対しまして漁具に関する保險制度が何ら設けられていない関係上、親類、縁者、銀行、あらゆる努力をいたしまして融資を願つたその資材も、一朝にして天災に罹かり、或いはその他の思わざることからふいになりまして、これらは万劫末代親族一同と共に浮ぶことのできない実態が所々方々に起つておる実情は、途様方御承知下さつておることと存ずるのであります。從いまして「いわし網一統につきましても数十万円、又巾着等におきましては先程申上げます通りに七、八百万円の漁具が要るとするなれば、何とかの方法漁船を同様に、漁具に対して保險制度を設けて頂く途を構じて頂きたい。このお願いが第三点でございます。  第四におきましては、漁業に対する税制を改善して頂くと共に、漁業事業税対象より除外して頂きたい、このお願いなのであります。これも申上げるまでもなく、本年の課税につきまして農村同様に漁村におきましては全く往生、参つておるのであります。金があるかのように見られた漁村に手を著けて見れば案外金のないことは税務関係当局の僞らざる告白であると同樣に、全くこの今日行われました課税に対しましてはもう手を挙げておるのであります。その上に何とかしてこれらにつきましては、地方々々におきましていろいろ事情がございます。各同じ縣の税務署が変れば、同じ種別の漁業であつても、相当な格差ができておるとか、誠に漁業者として納得行きかねる諸点を沢山見出しておるのでありますが、日本実情からでき得るだけかようなことは抑えて、私共は國策に從順に應じておるつもりなんでございますが、新たに事業に対する税金を附せられるというようなことがありました際におきましては、これこそ特に零細なる沿岸漁業者に取りましては、致命的のことと言い得られるのでございまして、具体的に申述べますると、人を傭員いたしております縛網とか、或いはトロールとか、「いわし」網とかいうようなものにつきましては、收入からそれらを完全に差引いて課程をして頂くことになつておりまするけれども、零細なる沿岸漁業者漁業状態は、私が申上げるまでもなく、女房子供一家全員労務に参加いたしまして、船に乘り込みまして、女房子供も全部親爺を助けて漁業に從事して、そうして零細なる漁獲によつて生計を維持し、又國に対して供出をいたしておるのでございますが、これらの女房子供が差引かれるということが若し具現いたさないといたしますれば、これこそ生計の途ははつきりと立ち得ないということを考えまして、この点につきましての格別なる御考慮を願いたいというのが第四点なんでございます。  第五点は、農林水産復興金庫を設置して、沿岸漁業者の長期の融通に一つもつと便利を與えて頂きたい。そうしなかつた場合におきましては、今日の漁業経営におきまして、どうやりくりいたしても、今日の金融関係、いろいろな資材購入等におきましては、漁業を持続して行くことがむずかしいというので、これらにつきまして、水産部門に対しまして、もつと途を開いた金融の方途を特に政府においてお考え願つて水産日本復興に我々が突入をして見たい。その意願から農林水産復興金庫の設置によるところの金融の途を講じて頂きたいというのを第五点のお願いにいたしておる次第でございます。  第六は、系統團体燃油配給事業を復活して頂きたい。この問題でございますが、これは現在の水産業会法によりまして、かような取扱いが許されていないので、これを現在の水産業界に云々というのではございませんけれどもが、水産がこの日の本にある以上は、どうしてもこれらの正当に組織を持ちました業者の集いというものは、どうしてもあり得べきことは申すまでもないことでございまして、これらの來るべ連合体組合等ができました際におきましても、これらの業者の使用いたしておりますところの燃油配給は、その業者連合体等におきまして取扱いでき得るように格段の御配慮を願いたい。これが最後お願いでございます。  更に要望事項といたしまして二つ程お願いをいたしたいと決議になつておるのでございますが、先ず甚はだ不遠慮に申上げて恐縮でございまするが、各道府縣にありますところの資材調整事務所一つ廃止して頂きたい。この理由は、私申上げるまでもなくいろいろございまして、地方調整事務所の問題につきましては、政府当局並びに議員各位も常々お聽取り下さつておることと存じまするが、この調整事務所廃止希望は各府縣とも一致いたしておる問題でございまするので、思い切つてこの地方調整事務所廃止を断行して頂いて、速やかにこれらの完全なる資材取扱いを元のようにやつて頂きたい。かような煩瑣の事務所は一日も早く一つ廃止して頂きたい。これが要望事項一つでございます。  第二は、この組合法案につきまして政府当局並びに議員各位の御熱情によりまして、近く本議会に提案されますやに漏れ承つておるのでございまするが、御承知の通り、もういろいろな事情の下に今日まで相成つておる実情は、私どもよく承知したしておるのでございまするが、何と申しましても爼上に上つた現代水産業界実情にいたしましても、各府縣とも事業はできず、更に收入の途はなし、いろいろ諸費用は要るのみであつて括くられて、そうして働くこともできず何することもできない。こういう場合におきまして、途やかに一日も速くこの協同組合法案國会に提案されまして、そうして待望のこの法案が正式に具現いたしますように、必ず今議会是非とも可決通過して頂くよう、この上とも政府並びに議員各位のお骨折りを願いたい。この問題でございます。  以上の問題で、甚はだ説明等不行届きでございまして、貴重なる時間を拜借いたしまして誠に有難うございました。
  10. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 農林大臣はGHQのシエンク中佐と会見中でありまして、十一時半頃までに必ず出席するということであります。水産局長物價廳の第二部長が見えておりますが、その方面に対して何か御質問がおありになりましたらお願いいたします。
  11. 矢野酉雄

    矢野酉雄君 今林さんの二十五分に亘る六ケ條の重大問題と、二ケ條要望については一つ一つ御尤もな御意見があり、切実なる要望であると思いますが、これは委員会としても早急に取上げまして研究して、直ちに政府に通達すべきは通達するというように、委員長において然るべく取計いを進めて頂きたいと思います。その中にも出ておりましたが、加配米の問題は僕の郷里は大牟田でありますが、石炭の都大牟田であるが、あそこはいわゆるマル炭景氣と申しまして、魚でも、米でも、酒でも、いわゆる農村その他漁村に比べると氾濫していると言つてもいい。盆前のある都市のごときは一度に一人に対して三升ずつの酒を配給したので、一家四人、三人と炭坑に働いておる家庭では一回に一斗も、一斗以上貰つて、ために出勤率却つて下つたというようなことさへも私達に報告して呉れた者もある。加配米もです、あそこの山の中に地下千尺も下に入つて働いて、呉れておる兄弟達だけが加配米貰つておるかというと、実は大牟田市の大通りに面しておるところの事務所に働いておるところの諸君も、率は違いますけれども、加配米貰つておる。こういう問題は水産委員会としての問題もさることながら、國家全体として平等原則から不平不満が生じないように、これは檢討すべきだと思うのです。そうして若しも不平等に甘んじて負担を受けておるところの者は当然享有すべき権利を行使することのできないような、今の零細漁民加配米の問題のごときは、これは水産当局において、又この委員会においても速急に適当な手を打つように処置しなければならんと思うのありますで。こういう問題等いろいろ挙げますと、今の陳情の中に今日おいでになつております水産局長物價廳の第二部長あたりのお考え願がわなければならん切実な問題が沢山あつたと思うのです。それはそれだけの問題といたしまして、私の所信を以て当局質問をし意見を述べたいと思います。  第一は、第四四半期漁業資材の割当を見ると、これは非常に事情困難な際にも拘わらず、増産用として相当各府縣にその出荷の成績に應じて、漁網その他を増加配給したということは、最近における私は水産当局の手柄だと思つて非常に欣快に思つております。こういうような一つ基礎ができた以上は、更に百尺竿頭一歩を進めて、大いに資材増加配給を更に計画し、マニラ麻等輸入もある程度できて、そうしてロープの配給も或る程度僅少でありますが、第四四半期にはできておる。ますますこれらの資材輸入を懇請して、そうして大いに水産日本の自立を図るように水産当局は一層の力をいたして頂きたい。今も陳情の中の第一に挙げられましたが、水産局長或いは物價局方面において生鮮魚介のいわゆる昨年末に取つた統制方式というものについて全國実施をして見て長短それぞれあると思いますが、当局はこれに対して現在どういうような対策を講ずるか、局長の或いは部長の御所見を伺いたい。すでにこの問題は我が参議院の水産常任委員会は、千田君を緊急質問者として本会議登つて貰つて、そうして当局に対する建設的の問題として具体的の案を委員長から報告しました。それに基いて政府に、單に政府を責めるというのでなくして、最も実地に即したる統制方式、いわゆる大衆魚は或る程度必要なる統制をするとするも、高級魚はこれを自由に販賣し、統制の形式を撤廃するというのが大体の原則であつたと思うが、これについて当局は今如何なる構想を持つておるか、それからこれは水産物増産して行く上に非常に重大なる基礎をなすものでありますから、この点は十分一つ実情に照らして当局は考えて頂きたい。それから増産立場から、私は水産当局にも各関係官廳に対して要望しますが、私自身引揚者でありますから、特にその同僚の諸君の窮状を知つております。引揚者の中有数なる水産業経驗を持つた諸君資材資金の梗塞のためにその尊い経驗を十二分に発揮することができない、そういう点から考えて見て、是非水産当局にはこれらの諸君に対して資材、或いは金融の便を積極的に図つて頂くだけの親心を持つて頂きたい。二十三年度の第一・四半期魚網その他の資材配給等においても、この点是非実行的の立場から何らかの手を打つて頂きたい。それからこの問題はこれ亦増産の重大問題であり、又これは國家根本的國策として今から十分に手を打つて置かなければならないのは、沿岸漁業の收獲というものも非常に我が日本食糧増産に大きな役割を持つておりますが、更にいわゆる海洋漁業というものは、今日この食糧の貧困な現状におきましては、ますます海洋漁業の持つところの國家的使命というものは重且つ大である。然るに現在においては敗戰というこの大きい枠によつて手を縛られ、足を縛られて、曾て公海において十二分に日本民族水産方面におけるその天分と経驗を発揮して、そうして食糧増産に大きな役割を果しておりましたが、この敗戰の結果、海洋の自由という國際公法上の原則が我が國においてはこれが行われておらない。今回講和会議が行われますに当りまして、敗戰國日本としては、單に連合國の提示する諸條件を受諾するというような態度が、大体において敗戰國の嘗めなければならない根本的態度であるかも知れないけれども、併し事前の工作において、乃至は講和会議に臨んだときの、或る程度外交的折衝によりまして、今申上げました敗戰國として默々として受くべき態度を乘り超えて、連合國各位の友愛に訴えて、或る程度の途を開くことは、私は可能であると思う。そういう点から考えて見まして、早く公海に対する如何なる定義を國際公法上採るべきかというようなことなんかについては水産当局も、外務省と十分の連絡を取つて、そして世界に誇る知識と技術を持つている我が日本民族が、縦横無盡に公海において活躍して、そして先天的な食糧不足と言われるこの日本食糧面の一切の隘路を打開するように我々は政府と共に協力をして進まなければならないと思うのであります。これに関する水産当局の予めの肚をお聽きする次第であります。以上数点に亘りまして意見並びに質問を申上げました。  それから最後に、これは希望として、事が起つてから後の、事後の処置にならないように、轉ばぬ先の杖として、私は当局に御参考までにお耳に入置て置きたいと思います。過般私は朝鮮人騒擾問題で丁度大阪におつて大阪府知事赤間君、府会議長廣瀬君とあの渦中のただ中に、知事室で会見いたしまして、身の毛のよだつような思いをしたのであります。この問題が事前日本政府の打つべき手によつて防止し得たかどうかは問題でありましようが、神ならんお互としては、かかる問題が惹起したことに対しては、謙虚に顯みなければならんと思います。そういつたようなことも、私がここに持ち出さざるを得ないような問題が起りはしないかと想像せられる問題は、いわゆる干拓事業である。私は現在の農地法によるところのいわゆる開墾事業については、徹底的に反省しなければならん数々の事実を持つている。今のような開墾によつて勝手に委員会が決定して、耕地適地として五年の後自分の所有になるというような、あのやり方で、日本の山が殆んど大部分禿山になつて行く姿は、実にこれは恐るべき亡國への象徴とさえ考えられる節々があるのであります。熊本縣の葦北郡等のあの禿山になつている姿、或いは四國のあの禿山の姿を考えると、大正年間のまさに朝鮮のそのままである。そういう点から考えて見まして、干拓事業に対しては、その開墾事業に比べて非常に安心して思い切つてどしどし政府干拓事業を奬励すべきものであるという、私は一つ政治的見識を立てておるものであります。併しながらすでに一千五百五十町歩の割合干拓に対しても、福岡縣大和村、その他沖繩の約一千名の漁民諸君干拓によつて全く生活権を脅やかされることについて、すでに私の手許まで如何に手を打つべきかについて、眞劍なる意見と私に対する要望も來ておるくらいでありまして、これは全國各地各所に起る問題であります。干拓それ自身國家としての策は双手を挙げて賛成するものでありますが、これによつて漁民生活権を奪われて、直ちに失業者となるというようなことが生じないように、事の起る前に政府としては適当な処置をして行わなければならん。これについても水産当局干拓事業の直接の主務官廳ではありませんけれども、主務官廳にこの問題を大いに折衝せられて、そうして事の起らない前に万全の策を講ぜられるように要望する次第であります。以上。
  12. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 只今林君の陳情に対して、矢野君から委員長要望があましたが、林君の陳情は改めて請願として本委員会に提出される筈でありますから、その際に皆樣も十分御審議を願うようにお願いいたします。
  13. 青山正一

    青山正一君 ちよつと簡單に述べさせて頂きます。只今矢野先生から干拓の問題につきましていろいろお話がありましたが、それに附随いたしましてお話申上げたいと思いますが、ちよつと局長さんにお聽きしたいと思います。この政府の方針といたしましては、日本各地におきまして、潟とか或いは湖を干拓しようという計画があちらこちらと見受けられるのでありますが、干拓事業というものが、その施行地の適不適によりまして、その生死の分れるものであります。現に各地干拓の実際を見まするに最適地の施行したものが成功し、不適の土地の耕地は最大の犠牲拂つて尚且つ不成功に終つたものが多いのでありますけれども、例をこの石川縣色知潟に取つて見ますると、この湖は漁業の産地として相当名前が知られておる漁村でありますが、天明年間以來沿岸農村に対抗いたしまして、徳川幕府に出訴すること数回事ある毎にこの漁業專業権を獲得して來ておるのであります。ところがこの頃はやりの干拓事業に捲き込まれまして、この潟も犠牲に供せられんとする一歩手前まで來ておるのであります。勿論現在の食糧事情より考察いたしまして、食糧増産に利用し得られる部面は剩すところなく利用し、活用されなければならんことは当然でありますが。この干拓計画が無用であり、むしろ無謀であつた場合、むしろ潟の有する使命というものを効果的に生かしてこそ本來の姿ではなかろうかと思うのであります。殊に食糧不足に起因する國民体位の低下を防止しまして、これが維持向上を計ることは最も重要な問題であります。この主食の増加が期待が持てない今日、この重要な問題を解決するものは、この魚を除いては他に求めることは絶対にないのであります。この潟を干拓しても、耕作地として向かない場合は、漁業に依存するより方法がないのであります。全國のこういつた意味の湖なり、潟というものが沢山あります。そうしてそこには沢山の魚族があるが、それを無視いたしまして、僅かばかりの耕作地として干拓され、而も効果の見通しもなく、失敗に終る干拓事業、こういつた干拓事業に対しまして、水産局水産物増産という角度から、或いは何百年來魚に依存いたしまして、魚によつて生活して参りました潟沿岸漁業者生活権確立のため愼重に考えてやつて頂きたいと思うのであります。これに対する問題を、只今矢野議員質問に準じましてお伺いいたします。
  14. 藤田巖

    政府委員藤田巖君) 只今いろいろお話のございました中で、水産局としてお答えいたします分を私から申上げようと思つております。生鮮食料品対策についての御質問でございますが、昨年の十二月十五日以來実施いたしております生鮮食料品の強化の緊急具体措置につきましてやりました結果につきましては、これはいろいろの点が出て來ておると考えておりますが、私共といたしましては資材を確保するという意味におきまして、私共の資材確保を主張する立場というものが非常に強くなり、又資材をどうしても水産に流さなければならないというところの必要性、或いはその認識というものが各方面に持たれたということは、一つのよい結果であつたと考えております。その結果、お話のでございましたように対策を裏付けいたします物資につきましては、尚不十分の点は沢山あるのでありますが、段々と増加をいたして参つております。今後この対策をどうして行くかということにつきまして、現在私共の方でも研究をして、閣議でもかけられておるのでありますけれども、現在の日本事情といたしまして、生鮮食料品の全面的な統制撤廃ということにつきましては、これは実行はできないのでありまして、やはり從來の生鮮食料品に採つておりますところの統制的な措置の線に沿いまして、その惡かつた点を改善し、そうして尚一層実情に即した方式に改めなければいけないというふうなことで現在研究をしておるのでありますが、私共といたしましては、少くとも從來の措置を根本的に、大体原則的にはこれを継続をして行くというような場合には、どうしてもこれの裏付けとなるところの資材が必要である。資材の裏付けなくして統制ということは到底できないというふうな立場は強く取つております。從つて私共といたしましては、水産に必要なる資材の需要量が確保できなり限り、我々といたしましてはその統制的措置についての責任を持つことができないというふうな立場で強くこれを主張しておるわけであります。今度の対象につきまして、私共の考えております点は、この裏付けとなりますところの資材を確保したいという点に重点を置いておりますことを御了承置き頂きたいと考えます。  尚高級魚價格統制撤廃の問題につきましては、物價廰の長谷川部長からお答えがあることであろうと考えております。  それから引揚者対策の問題でございますが、これにつきましては私共も從來方針を決定いたしまして、外地その他から引揚げて來られた人達につきまして、特にそれが水産上の抜能或は経験を持つておられるような方達には、できるだけ水産方面の生業に就かれる機会を與えたいというふうな趣旨からいたしまして、許可方針その他についてもこれを十分に考慮をいたして、優先的に取扱つております次第であります。尚お話のございました資材方面でございますとか、或いは資金の融通につきましても、できるだけの考慮を私共といたしましては拂つておるつもりであります。今後共、この種の引揚者の救済については遺憾のないように処置して参りたいとかように考えておる次第であります。  それから公海に関する定義の問題につきまして、講和條約の締結の際に起ります問題、或いはその後に起ります問題について、日本立場からいたしまして十分に連合國側の理解を得て行く、或いは認識を深めて行く問題につきましての御質問でございましたが、この点につきましては私共も全然同感に考えております。これは想像ではつきりはいたさないのですが、私は講和條約が締結をされ、日本が言わば独立國としての地位を確保して、國際國家の一員として参加を許されるというふうなことの時期が参りました場合に、公海において日本人はどこでも魚を獲ることが許されるかどうかという問題があるのであります。私の懸念が中つておらなければ幸いでありますけれども、私はそういうふうな場合には國際的な漁業については、恐らく國際的な協約というものが関係國間に起り、その協約の規定によつて日本漁業も約束した範圍においてこれがやり得るというふうな事態になるのじやないだろうかと考えております。公然自由にどこでも公海ならばやれるというふうな時期は恐らく当分は來ないのじやないかというふうに考える。從つて問題は公海の範囲を三浬に決めるとか、六浬に決めるとか、十二浬に決めるとかいうふうな問題ではなく、公海であつても果して日本が遠い地域の公海に出て行けるかどうかということが、先ず第一の問題だろうと思う。そして仮にそれが出て行くにいたしましても、その近接をしておりますところの國との承諾なくしては、これはやはり行えない事態だろうと思います。仮にその近所で操業をいたしました場合に、領海侵犯その他の問題で船が拿捕されるとか、いろいろな問題が起りました場合に、日本の現在の実力といたしまして、これは解決をすることが非常に困難な問題があろうと思います。どうしても関係國間の了解の下に出漁する、こういうふうな状態にならざるを得ないというふうに私共は考えております。かそういうふうな前提を置きまして、私共といたしましてはいろいろの調査もし、準備もし、尚そういうふうな点に対する日本側の立場というものについては、できるだけこれを連合國側によくお話をいたしまして、勿論敗戰國でありますからして、日本の主張を通すということはできないと思いますけれども、講和條約締結されます際に連合國側で決められます場合に、日本立場というものを十分に認識をされて決めて頂くということが必要でありますから、そういうふうな事情を十分に説明をして行くということに重点を置きまして、現在いろいろ準備もし、又外務省方面とも相談をしておるのであります。そういう点につきましては將來とも十分注意をいたしまして遊んで参りたいと思つております。  それから干拓の問題につきましては、これは水産局立場といたしましては、從來とも開拓局に対していろいろ話をしておるのであります。私共といたしましては、蛋白質の給源というものの必要が非常に痛感せられております現在であります。その土地なり水面というものを如何に利用することが國家的に見て最も合理的で、又最も効果的であるかというふうなことによつて、その土地なり水面の利用を考えなければならないというふうなことを話しておるのであります。從つてその水面を干拓をして畑地にし、それによつて農作物を收穫することが、果して合理的であり効果的であるか、その水面をむしろ水産業方面においてこれを利用することの方が、魚獲物その他に面においてより合理的であり、或いは効果的であるかという、いろいろの判断をいたしまして、これを決定しなければならないということを主張いたしております。干拓に予定をされます場所は、実際問題といたしましては、水産方面でも例えば稚魚の繁殖地でありますとか、産卵地でありますとか、重要な場所が多いのであります。そういうふうな意味合からいたしまして、私共といたしましては、そういうふうな場所が干拓として潰されることについては、相当反対を唱えて來ておるわけであります。從つてこの問題については、干拓の予定地を決定いたします場合に、そういうふうな綜合的な判斷をする必要上、開拓局と水産局とよく協議をして決めるということに了解をつけておるわけでありまして、いろいろ具体的な場所についても、現実に起つておる問題のことにつきまして、青山さんからもお話がございましたことも十分了承いたしております。そういうふうな具体的な事実につきましては、先程申し上げましたような意見から、水産上どうしてもそれが必要であり、それが干拓による利益よりも更に大きな利益を挙げ得るという場所につきましては、私共としては極力これを残すように折衝を続けて行きたい、こういうふうに思つております。
  15. 長谷川清

    政府委員(長谷川清君) 高級魚價格撤廃の問題につきましては、昨年本委員会で魚價の決定についての希望條件として高級魚撤廃するように考えよという御意見がありましたので、我我といたしましても、その後水産局或いは関係業者方々といろいろ研究を進めて参りまして、大体特に高級的である品物、逆に申しますれば、一般家庭の配給に不適当なものにつきましては、これを廃止する方がよりよく一般の大衆魚配給統制を完全にするゆえんであるというふうな結論に到達いたしましたのであります。先づ手初めといたしまして、本年三月に魚價の暫定的な改訂をやります際にこの問題を取上げまして、関係方婦ともいろいろ折衝をいたしたのであります。その際に一應魚卵と「はまぐり」の類を取敢えず撤廃をすることにいたしまして、後の問題につきましては、高級魚の範囲をどの程度に仕切るか、更にこれは外した後におきまする取締をどういうふうに考えて行くかという問題について、もう少し具体的に案を練つて決めようということに相成つて参つて來ておるのであります。たまたま一般の価價改訂がいろいろな情勢上遅れております。かたかた瀬戸内海沿岩におきます「たい」、「さわら」、「すずき」というようなものにつきましては、すでに漁期に入り、又近く入らんとしているものもあるようでありまして、この時期を逸しますと、結局においてそれらのものの價格撤廃せられたといたしましても、漁期を過ぎ去つたのでは意味がないということにも相成りますし、その点に関しましては、衆議院の委員会或いはこちらの方からも、その実情についてのお話がありましたので、取敢えず、この緊急を要する問題につきまして、更に関係方面と打合せを進めることにいたしました。大体の結論には到達しつつあるのでありますが、ただ一つ問題は、外しました後は取締をどうするかという問題につきまして、尚もう一度先方の係と日本側の取締当局との間の協議会を持ちたいということになりました。恐らく今週中にそれが行われることと期待しておりますけれども、それによりまして問題は大体解決するだろう、こういうふうに考えている次第であります。問題は時期を差控えておりまして、而も決定が遅れておりますことにつきましては、いろいろ御迷惑をかけている関係方面も多いと思いますけれども、今申上げましたような状態になつておりますので惡しからず御了承をお願いいたします。
  16. 江熊哲翁

    江熊哲翁君 西郷次官にお尋ねしたいと思いますが、事業税のことについて私まだ十分研究いたしておりませんですが、新聞などによつて大体私了承している程度でお尋ねするわけでありますが、この西日本水産代表者の連中の陳情も先刻あつたのでありますが、その際次官は御出席なかつたのでお聽取りになつていないと思いますが、丁度お出席になつて大変いい機会だと思うので、私からお尋ねしたいと思います。  御承知のように、沿岸漁業者達は家族挙げて子供や年寄も総動員で一年中働いて、少しずつの労力が集積させて生産というものを挙げているという実情なんであります。その人達は又同時に農業も併してやつている、極く零細な生産力を持つている。そういう人達の事業税というものの性格から考えて見ましても、私はこういう人達の事業税が、今後いろいろな税金と併せて考える時に、必ず重複された課税になるという懸念を多分に持つのであります。こういう形の課税敗戰の姿であるという考え方もあるのだろうかとも思うのですが、これは何としても私はこの事業税のあり方にどうも承服しかねる、こういつた原始産業に対して取らなければならん程のものであるか、又取らなければならないものは随分沢山あると思うのだが、私はこの最近農業関係者の非常に強い反対に会つて、何だか新聞に書いてあるところで判断するのですが、間違もあると思いますが、その反対によつて事業税の在り方がずつと初め言われたのと違つたようにも言われておるのであります。水産関係者はそういうことに対して余り知識を持たないものだからただ黙つておる。このことについては今どういうふうにお考えになつておるかというこは私自身知らないのですが、そういうことについては現在どういうふうに政府は考えておるか、水産関係事業税についてはどういうふうにお考えになつておるのか、それから沿岸漁業者の実際の在り方について農業と同じようにお考えになつておるのかどうか、私はこの沿岸漁業者というものの在り方というものに対して恐らくお分りになつていないで、事業税というものを取上げておるのではないか、極く普遍的な意味において取上げたというだけで、非常にそこに無理があるということについては、まだ考え及ばないのではないかという氣がしてならないのであります。非常にそこに無理がある。そのことについて大体どういうふうにするか、技術的の方法も私十分知らないで御質問申上げるのは甚だ失禮ですが、一体今日お考えになつておる程度を十分私共の納得の行くように御説明して戴きたいということであります。  それからこれは別に御答弁は要りませんが、御参考までに申上げますが、干拓のことであります。私長年この干拓事業に対して深い関係を持つて來た一人として水産局長に特に御参考に申上げて置きます。どうもこの干拓関係の官廰の役人は來干拓事業は從來國家の仕事であるというので、一時に目がくらんで、相手が無智な漁業者であるということを、もつけの幸として、そして干拓事業を急ぐ余りに、惡く言えばペテンに掛けたようなことでこの干拓事業を急速に実現しようとすることを考えることであります。例えばこれは最近山口縣下に起つた事実でありますが、土地ができたら何反歩やる、そうしていよいよ決定された後にああは約束して見たが、どうもうまく行かないから何畝にして呉れという事実が現実に起つておる。それから漁業者は一時に金をいくらか貰うとちよつと喜んで承認するのですね。非常に貴重な先祖傳來の漁業権が無價値になつても如何にもそのことについては考えずに一時金の入るのを喜んでおる。干拓ができて見れば自分の父祖傳來の仕事というものは全くできない、又仮に多少できても非常に遠距離を行かなければならん、そのため一生涯受けるところの不便、打撃というものは非常に大きなものであるというようなことについての計算は毛頭考えていないというようなわけで、事もなげに應するのであります。又役所から來て何とかかんとかうまいことを言われる。干拓ということは國家のために大事なことだと言つて、無智な漁業者を煽動して調印を取る。そして今の金で何十万円やれば結構じやないかというので、漁業者は金を持たないものですから、何十万円という金が漁業会に入ると大変な大金が入つたと思う。ところが今はそんな金はなんにもならない金である。こういう実情でありますから、今後地方水産局に課長会議でもあつた際に、こういう点については十分注意して頂きたい、このことであります。  それから魚價の問題でありますが、これも別に御答弁して頂く必要はないのであります。漁村に限らない水産全体として漁價問題は重大な問題でありまして、殊に沿岸漁業関係者においては、漁價の現在のあり方については非常に困つております、それで一日も早く。前に西日本代表者から陳情されたような趣旨、これはたまたま先に参議院の方で決定された方向と大体において一致しておるのであります。この方に向つて一日も早く速かに決定されることを特にお願い申し上げて置きます。以上であります。
  17. 西郷吉之助

    政府委員(西郷吉之助君) 只今江熊委員の事業税に関します点につきまして、我々の所管に属します点につきましてお答えしたいと思います。  事業税について現在政府はどういうふうに考えておるかという点につきましては、我々地方財政委員会といたしましては、地方財政委員会に諮りまして、現在その案に基きまして政府関係各省と折衝を続けておりまして、原案は決定しておりませんけれども、一應地方財政委員会といたしましたの考えを卒直に申述べて見たいと思います。今回の我々の考えておりますところの事業税は、從來御承知の通り営業税としてあつたものを、今回それを廃止いたしまして、それに加うるに更に原始産業であるところの農業であるとか、水産業であるとか、更に又自由業であるところの、例えば医師であるとか弁護士、公証人、こういうようなものを加えまして、從來のものにつきましては百分の十五又今回の新たに加えましたところの原始産業であるとか、自由業につきましては百分の十程度課税をいたして行きたいとかような考であります。又先般も衆議院の食糧対策委員連盟における公聽会におつきまして、水産業者の方々のこの点に関する御質問もあつたのでありまするが、今回の事業税につきまして、殊に農業方面におきましては只今江熊委員からも御指摘がありました通り、農業に関する限りは、その事業税の枠の外においてくれというふうな強い希望も私共しばしば聞くところでございますが、現在私共といたしましては、農業に関する事業税につきましては、御承知の通り、現在主食の供出ということがすべての問題の鍵ともなるような非常に重大な問題でありまして、主食であるところの米麦その他食糧管理法に基くところの藷等につきましては、これに今回更に事業税を課するというふうなことは、現在一方において農地改革が実行中でありまして、これにより農村の民主化、農地の開放等を図らなければならんような重大な時期でありますし、なかなか現在の供出農村に取りましては相当嚴しいものであり、一方におきましてそのマル公が十分でない、そういうふうな現状にもございますので、今回はそういうふうな事業税を更に供出しておるところの農民に課税するというふうなことは、農地改革を阻止する結果とならんとも限りませんし、殊に御承知の通り、本年度も更に一割増産を叫ばれておるのでありまするから、今回更に事業税を課しまして、そういうような農村の各位の非常な増産意欲を阻害するような結果になつてはならんと、さような見地からも今回し供出をいたしておりますところの主食並びに食糧管理法に基くところの藷等につきましては、農業の事業税の枠の外に置きたいと、さように現在我々は考えておるのでありまするが、これも目下関係各省といろいろ折衝しておりますので、まだ決定に至つてはおらんのでありますが、地方財政委員会の案に基きまして目下考えておるのであります。更に水産業におきましてはこれも供出をいたしておるのでありますが、農業の場合における主食と比較いたしまして、いろいろの点について異なる点があると思うのであります。例えば主食の方に関しましては、これが年一回で、その回轉率に非常に制約せられておりまして、農業の経営等は水産業の場合とは余程異なる点もございますし、又その價格等においても大分違うところがあると考えるのであります。併しながら又一方において水産業におきましても、天候の工合であるとか潮流の関係で非常なリスクもあるというふうなことは勿論考えられるのでありますが、両者とも同じ供出ではございますが、その点いろいろの点において差異も考えられるので、今回水産業につきましては事業税を課する、こういうふうなことを考えておる次第であります。併しながらこれらの事業税に関しましては、目下いろいろ各方面の御意見も伺いますし、又國会におけるところの各位の御希望等も、十分我我といたしましても参酌いたしまして、そうして決定いたして参りたい、さように今日は考えておる次第であります。
  18. 城義臣

    城義臣君 西日本代表者からの陳情の六項目について、私も九州の産の一人として、特に二、三の点をお伺いしたいのであります。  先ず第一に、消費者の立場から今の当局の御説明を伺つて見ますというと、魚價の問題、高級魚と下級魚というふうになつていますが、國民の我々の耳に入る声では、統制されたからお蔭で安く配給を受けたというようなことは、我々の耳に達する限りは入つていないのです。どうかしますとまるつきり一ケ月の中に配給のないというようなことがあるのであります。そこで今度この高級魚というようなもの、値段の高いものは、これは金持が買うのだろうからというようなことを常識的に考えられるのでありますが、その高級とか下級というような技術的の区別、これらは我々素人には分らないのですけれども、我々に言わしむるらば、そういう余りに細かい人爲的な統制の枠をいじることを止めて、私は率直に一つ突つ込んで自由に販賣させて貰いたい。そうすれば全体として考える場合、消費者から見れば高い魚でうんと儲かれば安い魚も或いは犠牲的に出せるのではないか。ところが高い魚は金持がうんと消費するのだからというようなことを前提として考えると、一方で余りこれじや儲からないから配給の方にはうんと惡い魚をということになるのは、これは人間の弱点であつて、それをただ機械的に配給するというようなことは結論としては國民は有難迷惑としているというのが率直な今日の実情ではないかと思うのであります。そういう我々は建前を取つておりますので、この高級魚とか下級魚というふうに分ける場合、その見解にも先ず疑問を持ちますが、今日の俸給生活者のベースから考えて見ても、本当を言えば魚は食えないというのが実情じやないかとも考えるのであります。それでも配給だからというわけで受けに参りますが、この給配の魚を買うそのことさえ今日の生活に國民の大多数は困つておるのが実情ではないかと、私は國民の声として、政府当局の方に考えて頂きたい。それ程勤労者お互は困つておるのでありますからして、ここでそういうふうに余り技術的に細かく高級だの下級だのということで色分けしないで、でき得べくんば私は統制の枠を外して貰つて業者に儲けるところは儲けて貰う、その代り又安く供出のものは氣分よく出して貰う、又そうすることが、実は細かい理論を超えた本当の増産への道ではないかと、こんな考えを持つのであります。というのは……(「結論々々と呼ぶ者あり)というのは、物價廳の長谷川さんの取締云云のことが出ておりましたが、取締というようなことについては、私はやはり米穀その他についても、國民生活において日常に知り過ぎておる程取締りということが非常に上滑りなものであるということを休驗しておるのであります。統制をしたり撤廃をしたりしておりますが、こういうことがますます物を高くするのだというふうに、一般の國民はよく疑問を持つのでありますからして、よくその辺はお考え頂きまして、成るべく統制というようなことを度々やつたり解いたりするということのないように、十二分に御檢討頂きたい。尚且希望を申上げれば、絶対な取締は不可能であるとすれば、折角の要望もあることでありますからして、速かに私は盛漁期に間に合うように実現して欲しいということを、当局の方、政府の方に希望申す次第であります。
  19. 千田正

    ○千田正君 幸い大臣もお見えになつておりますので、間もなく二十三年度の予算で上程されると思いますが、水産関係におけるところの予算の面において、我々の委員会政府に協力する点が大いにあると思いますので、この面を実はお伺いしたいと先程からお待ちしたわけでありますが、特に水産局長が先程高級魚統制を廃し、從來の我々が結論を出しました高級魚廃止したあとのものを、統制強化するとするならば、どうしても裏付けとしての資材資本がなければならん。この資本資材をどういうふうに本年度においては農林省当局として、水産局として、どの程度の予算を持つておられるか、尚同時にこれを強行して取締るかどうか、その如何によつて統制が完全に実施され、或いは庶民階級に、先程他の議員からも述べられたように、食べようとする魚が來るのであつて、その予算の如何が間もなく発表されるところの六月の本会議にどういうふうに上程されるか、この辺をお差支なかつたらば御提示して頂きたい。それによつて我々委員会としましても十分に研究した上において、政府の予算に或いは協賛し、或いは反対しなくちやならない立場に置れるかも知れませんが、その面を特に水産面における農林省としまして、政府に提出した予算の面、同時にこの統制撤廃の或いは統制を強化するための資材資本を要求するところの予算は、どれ程含まれてあるか、この面をお差支なかつたらこの際御提示を願いたいと思うのであります。
  20. 青山正一

    青山正一君 千田君の問題に絡んで、附随して質問いたします。今年度の水産関係の予算は、大体七十億の当初予算に対し、僅か四分の一の八億程度に内定のようでありますが、ただ一局のこの水産局がこの度四局なり或は五局の水産廳に昇格しようとする際、果してこの十八億の予算で水産関係の仕事ができるかどうか、例を漁港とか或は船溜に取りましても、当初予算は約百ケ所の船溜の設備費として一億四千万円要求されていたいうでありますが、五十ケ所分三千四百万円に削られまして、これを六十ケ所分五千六百万円として復活要求しておるようでありますが、この安定本部辺りの取締りのみに嚴重にせず、こういつた面にも協力する氣持があつて欲しいと思うのであります。又農林大臣も、この切詰められた予算で水産方面で仕事ができるかどうか、そういつた面も一つ承りたいと思います。これを千田君の問題に絡んで御質問いたしたいと思います。
  21. 永江一夫

    ○國務大臣(永江一夫君) 今二つの点についてお尋ねございましたから、詳細の数字については、今ここで一々お答えをすることができないかも分りませんが、一應現在までの予算の審議の中間におきまして、大体の点を御報告申上げたいと思います。一應当局といたしまして、政府部内で今組んでおりまする予算がまだ未決定であります。併し私どもが要求する予算がその儘通るとは考えておりません。そこにはいろいろ制約された條件がありますので、できるだけその制約された條件下において水産関係の予算を多く取る、この面につきましては特に水産委員の皆さんから強力に御鞭撻を願いたい、こう思つておるわけであります。ただ原則的に申上げますと、私どもが予算を組みまして、これを詳細に水産委員会水産関係の予算をお話をして、そうして或る程度の御了承を事前に得て、それを次には閣議を経まして予算委員会にかけ、そうして予算委員会で御決定を願う、こういう順序になると思いますが、ただ事前審議の範囲をどの程度にすることが妥当であるか、これは政府の直接関係のない部分でありますが、國会運営上、予算委員会水産関係のある水産委員会と、予算に関する審議のいろいろな形式につきましても、私は非常にこれを愼重に取上げなければならない、こう思つておるわけであります。そこで只今これこれの予算を一應農林省の水産関係の予算として大藏省に出しております。それを大藏省がどれだけに削つておるかということをまだ未決定の際に、委員会において公開の席上で私から申述べるということは非常に困難な事情があるのではないか、こんなに思つておるのであります。これは一應私がこれから申述べますことのすべてに関連がございますので、さよう御了承を願いたいと思います。第一の御質疑の点でありまする統制を行なつて行くならば、それに裏付けにるなリンク物資について、或いはそれに附随する予算について、今農林当局はどれだけの確保を持つておるかという点であります。リンク物資につきましては、実は先般の閣議で大体の話合いをいたしまして、これは魚の統制上一番重要な面を持つておるものでありますから、可なり閣議でもいろいろ議論がありました。併しこのリンク物資の殆んどすべては輸入に俟たねばならんものがあるのであります。閣議が決定をいたしまして、関係方面においてそれだけの数涼を了承せられなければ本決りにならんわけであります。而もその数量についても経済安定本部で一應の決画を立てて、マニラ・ロープならマニラ・ロープこれだけ、或いは油はこれだけという数字を一應立てておるのであります。併し農林省の立場といたしましては、デスク・プランだけで了承するわけには勿論参りません。実際それだけの数量のものが農林省の手を通じて直接生産者の手に渡るという確信がない以上、私は魚の完全なる統制について責任を負うことができない。こういう意思を強く表示しております。從いまして先般の閣議で経済安定本部がプランとして出しました数量について満足すべき数量もありましたけれども、例えば冷藏庫を作りまする亞鉛板などにつきましては満足すべき数量でありませんので、そういう点でいろいろ折衝をいたしまして、すべてを未解決のまま一應関係方面のこれに対する最後的な回答を得てから、改めて閣議で決定をするということにいたしまして、その間残念でありますが、それらのリンク物資の綜括的な数量について政府がこれを発表することができない事情にございます。若しそのリンク物資につきまして安定本部が計画しております数量が、完全に農林省を通じて生産者の手に渡るものでありますならば、私は本年の魚の供出というもの、は順調に行くという確信を持つております。先程お話がありましたように統制を外したらどうかという議論もしばしば聞くのであります。統制には勿論多くの弊害を伴つておることはよく承知しております。併しこの弊害があるために統制を外すというよりも、全般的の見地からいたしまして、統制を外した方が生産者にも或いは消費者にも有利であるという際には外したい。從つてその角度から局長からもお話をしたと思いますが、一部の魚については、枠を解除して行くという考えでやつておるわけであります。併しこの点も國際的な見地から見ますると、一應主食についても年間二百万トンの食糧放出を願つておる今日の状態におきまして、日本食糧の中で仮に生鮮食料品すべてが自由販賣を許されておるという事柄自体は主食を中心といたしまして、食糧事情の非常に逼迫しておることを基盤として、政府が司令部に食糧放出を願い、或いはこの裏付けになるところのいろいろな物資の輸入を懇請する場合に、自由販賣ということが必ずしもよい條件にはならないのであります。こういう角度から或る物資につきましては、これはマル公を外した方が、いずれの角度からもよいという結論を得ておりましても、國際関係におきましてさようなことができ得ないという事情もあるということも合せて御了承を願つて置きたいと思います。重ねて申上げますが、今一應閣議で内定いたしておりまする物資が、ただ單に机上のプランでなしに本当に生産者とお約束して必らずそれが生産者のお手許に届くという見通しが付きますれば、私は責任を以てリンク物資を通じての魚の統制ということはやり得ると、こう思つております。從つて今までどういう方法でやられたか知れませんが、今後の閣議の取扱い計画者は経済安定本部である、それをいろいろ生産配給する一つの責任者は商工省である、それから農林大臣としては同時に生産者に約束の物を配給するという、この三者が明らかに責任の分野を決めまして、そうして單なる安本が勝手に計画したものを新聞にどんどん出すということで、生産者にただぬか喜びさせる、逆に政府が約束を破つたとこういうことのないように、本年はその責任の分担を明らかにしなければ、私としては責任を持つことができないということで、先般の閣議も大体その方針でやるということにいたしております。今のリンク物資の数量等については、今申しましたような手続を終つた後に、一應委員会で皆樣に私から御説明を申上げたいと思うわけであります。  それから第二の漁港、船溜について非常な不満足な状態で今折衝しておりまして、これも皆樣の御協力を得まして、尚漁港、船溜の重要性については、政府の各関係方面にも十分御支援を願いたいと思うわけであります。これも今数字を挙げてお話がありましたが、最初にお断りをしておりますように、政府部内で折衝の過程において、私が委員会でその過程全部を公開の席上でお話をして、御相談を願うということが妥当であるかどうかということについて、少しまだ私として結論を得ておりません。今後御審議を願う上においても、そのことは重要なる関係を持つておりますから、今数字を持つてお話がありましたが、その通りになつておるとは私から申上げかねるという点を御了承願いたい。適当に本予算が決定以前に、皆さんに適当な時期に、更に、私の方から御報告をして御協力を得たい、こういうふうに思つております。
  22. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 本日はこの程度で散会いたしまして、引続いて明日の午前十時から開会いたしますから、委員各位はどうぞ時間励行をお願いいたしたいと思います。本日はこれにて散会いたします。    午後零時七分散会  出席者は左の通り。    委員長     木下 辰雄君    理事     尾形六郎兵衞君    委員            青山 正一君            大畠農夫雄君            門田 定藏君            丹羽 五郎君            川村 松助君            城  義臣君            田中 信儀君           前之園喜一郎君            岩男 仁藏君            江熊 哲翁君            三好  始君            矢野 酉雄君            千田  正君   國務大臣    農 林 大 臣 永江 一夫君   政府委員    地方財政政務次    官       西郷吉之助君    総理廳事務官    (物價廳第二部    長)      長谷川 清君    農林事務官    (水産局長)  藤田  巖君   説明員    西日本水産振興    会代表     林 興一郎君