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1948-03-26 第2回国会 参議院 水産委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年三月二十六日(金曜日)    午前十時三十五分開會   —————————————   委員の異動 二月二十四日(火曜日)委員加藤常太 郎君辭任した。 二月二十六日(木曜日)議長において 城義臣君を委員に選定した。   —————————————   本日の會議に付した事件 ○水産物増産對策に關する件   —————————————
  2. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) それでは水産委員會開會いたします。大臣が來られるまで小時間休憩いたします。    午前十時三十六分休憩    ——————————    午前十一時九分開會
  3. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 再開いたします。總理施政方針演説にも、安本長官演説にも、亦各派の委員質疑及びこれに對する應答にも、水産問題が論じられなかつたのは甚だ遺憾に思つております。幸い本日は農林大臣がお見えになりましたので生産の増強に對するいろいろな問題がありますので、この際忌憚ない御意見の御發展をお願いいたしたい。
  4. 丹羽五郎

    丹羽五郎君 永江農林大臣が今度新しく御就任になつて只今の御挨拶で、自分水産に對しては全然素人であるという御謙遜なお言葉を頂いたのでありますが、永江氏は兵庫縣に長らくいられまして、相當日本水産ということについては、よく認識もしていられますし、且つ私どもは非公式に永江氏のお話を時々拜聽いたしておりますので、どうしても日本水産行政確立するについては、獨立廳にして掛らなければならんというかねがねのお話も聞いておつたのでありますが、私は本日大臣お尋ねをいたしたいのは、前任波多野君が農林大臣なつた折に、就任當初聲明といたしまして、どうしても日本の國には水産廳設置して、そうして水産行政確立を圖らなければ相成らないという聲明就任第一に發しられたのでありますが、大いに私どもは意を強うして、一日も早くこの水産廳設置に相共に協力して、設置を圖つて見たいという熱意に燃えておりましたるところ、政變によりまして何人が今度農林大臣に御就任になるかということについては、深い關心を持つておりましたるところ、幸い永江君がここに農林大任に御就任になつて是非とも日本のこの行詰つた水産行政を打開しなければ、この主食と相俟つて漁業というものは、主食に對しての漁業ということは完備ができないというお言葉を頂いたので、非常に先程も申上げたごとく意を強うしておる次第でありますが、たまたま私どもが昨年七月二十七日以來參議院におきましては、どうしてもこの行詰つた日本水産業開發水産廳設置して、そうして水産行政確立を圖らなければならんということにおきまして、參議院におきましては數十囘この水産廳設置のことにつきまして、各委員は非常な努力拂つて來たのでありますが、中間いろいろGHQとの關係上途中において二、三挫折をいたしましたところ、幸い最近におきましてはGHにおきQましても是非とも水産廳を近い時間において、少くとも五月の十二日までの間において、水産廳設置せいていうお話があるように聞いておりますが、非常に私ども水産委員といたしましては、我々の熱望したときが來たということにおいて喜びを持つておる次第でありますが、その喜びと同時に今後ここに拵えますところの水産廳というものは、私形式的のものじやなくして、實質的のものを拵えて見たい。かように考えておるので、大臣はその點についてどういうお考えがあるかを一つお尋ねしたい。かように考えておる次第でございます。
  5. 永江一夫

    國務大臣永江一夫君) 只今の御質疑にお答えいたします。御説のように我が國の食糧事情から申しましても、亦我が國の占めておりまする地理的關係から申しましても、水産業重要性ということは何人もこれを否むことができない、ただ私も農林省に參りまして關係方面、或いは省内のそれぞれの關係者から説明を聽きまして、尚一層現在において水産が重要なものであるということを痛感いたしました。  今具體的にお示しになりました水産廳のことにつきましては、前任波多野氏と同樣、或いはそれ以上の熱意を以ちまして、私はこれが實現に努力をいたす積りでおります。今いろいろ御質疑の中で、この水産廳の形式的なものでなしに、實質的な内容についてお尋ねがありましたが、これは關係方面と今非常に順調に交渉中でありまして、まだ最後案には到達しておりませんけれども、その經過において差支のない範圍は、局長から一應説明をさせるとこにいたしますけれどもただ局が廳になつたというだけでは十分でありませんし、それに附隨いたしまする豫算措置につきましては、何れ皆さんの又御協力を得まして、可なり内容のある豫算措置をいたしたいと思いまして、今折角考慮中でございます。
  6. 藤田巖

    政府委員藤田巖君) 只今大臣からお話のございましたように、現在司令部水産部の方と水産局具體的機構の問題について、御相談をいたしておりますが、水産部におきましても非常に好意のある、理解のある態度でいろいろと御指示を得ておるのであります。その話合は順調に進んであるわけであります。水産廳ができます場合の局の分け方、或いは課の分け方というふうなものにつきましても、現在大體のお話合が付いたのであります。  ただ一點今度作りたいと思つております調査局というものの内容につきましては、これは私共といたしましては、近く水産關係する調査關係この機構を如何にして作るかという点について、これは從來司令部の方のお話もございまして、委員會を作りまして、その委員會結論によつて調査部機構作つて參りたい。かように考えておるのであります。その委員會は大體初顏合せをこの三十日にいたしたいということで準備をいたしております。委員會結論を得ますればそれによつて調査部内容を決めて參りたいと思つております。從つてそれが決りますれば、大體水産部との間の話合というものは、一應話がつくであろうと思います。  尚司令部部内の他の部の關係、及び國内的な手續關係が殘つておるわけでありますが、こういうふうな問題についても、できるだけ急ぎまして、できるだけ早くこの水産廳を作りたい。かようなつもりで現在急いでおります。
  7. 丹羽五郎

    丹羽五郎君 私共がいろいろ水産廳設置に關する最終案として持つておりましたのは、六局にするということで、一應參議院水産廳設置委員會においては了承を得ておるのでありますが、今局長の話には六局の中の調査局に對して、これは調査局として設置をして、その局の制度委員制度にするというのでありますか。その調査局というものをなくして調査に對する委員制度を以て立つという構想であるのか、ちよつとその點をはつきりお尋ねしたいと思います。
  8. 藤田巖

    政府委員藤田巖君) 大體私共の考えております水産廳内容は、局を大體四つに分けて、そうして調査統計局とでも申しますか、それから水産局施設局漁政局、こういうふうに四つに分けてやつて參りたい。そうしてやがて又水産廳設置されました曉におきまして尚機構整備擴充を要します點は、漸進的にこれを進めて參りたい、かように考えておるのであります。  で今申しました他の三局につきましては大體問題はないのでありますが、この調査統計局の作り方につきましては、これは調査というものに將來非常に重點を置いて、調査の結果に基いて行政をして行くという建前を取りたいと思つております。從つてその調査局内容をどういうふうに編成して行くかということにつきましては、調査事業に關する委員會というものでその内容檢討して頂きまして、その委員會結論によつて調査局内容を決めて參りたい、さように思つております。
  9. 丹羽五郎

    丹羽五郎君 これは大臣に、私もう一遍過去の參議院の動きを御參考に申上げて置きたいと、かように考えております。昨年の七月衆議院におきまして水産廰設置に關する小委員會ができまして、水産廰設置に關するいろいろのことを取り扱つておられたのでありますが、參議院におきましてもやはり参議院と同樣昨年七月二十六日に初めて水産廰設置に關する小委員會を聞きまして、不肖私が小委員長に互選をされまして、即ち參議院の熱望は、水産廰じや甚だ貧弱である、少くも水産省をこの場合に設置しなければならんものだということで、參議院水産省設設ということに小委員會は議決になりまして、水産省設置に對していろいろ構想を練り、折衝を重ねて來たのでありますが、たまたま先程申上げたごとく、或いは運輸省又は商工省というような關係合がありまして、又省を設置するということは内閣方針にも悖るというような關係があつて水産省設置は少し不可能になつて來まして、ここで參議院は再び衆議院と合同の委員會を開きまして、そうして參議院水産廰設置に今度は方向を變えまして、そうして衆議院と同調して、今日まで水産廰設置ということについて歩みを取つて來たわけであります。  大臣も御承知のごとく、現在の三百萬漁民というものは、殆んど日本の現在の行政においては燈臺を失つたような關係である。少くも我々漁民に對して一つ燈臺を與えるということは、即ち水産廰設置で、その水産廰設置は官僚的のやり方設置でなく、實質的の設置をして貰いたいというのが、これが非常に熱望する聲であります。私は先程申上げたごとく、形式的なものは拵えずに實質的なものを拵えて貰いたいということを、これは特に大臣にお願いをして置きたい。  又水産廰設置に關しましては、參議院委員會を開いていろいろ委員諸君意見を聞いて私も委員會態度を決して見たい、かように考えておりますが、藤田局長もこの水産廰設置に對しては、相當今日まで苦勞もし、艱難をして來られましたが、ここに生れるものが、若しも弱體なものができるなれば、我々は敢てここを水産廰設置の要望もしないのであります。少くとも實質的の水産廰設置を特に私はこの場合要望いたしまして、私の質問は打切りにいたしておきます。
  10. 永江一夫

    國務大臣永江一夫君) 重ねて今參議院におきまする御審議の御方針なり御決議を承りまして、私もこれは今後の水産廰具體化のためには、國會意思を尊重したものとしたいと思います。重ねての御發言でございましたから、一應この點に關連いたしまして、私の考えておりますことを聊か申上げておきたいと思います。  それはやはり農林省というものに對しまする一般考え方、まあ第三者的な考え方というものが、むしろ日本の現在の食糧事情から申しまして、諸種食糧に對する配給省というような印象が非常に強いのではないかと私は思つております。今水産廰に關連いたしまして御發言がございましたように、むしろ現下の我が國におきまする農林省仕事としては、食糧配給に重點を置いておるという印象よりも、やはり食糧生産省であるという仕事をもつと強化して行く必要があるのでないか、こういうように私は考えておるのであります。  從つて水産廰仕事の中にも直接食糧増産意味からこれを強化して參りまするその線に沿うて、水産廰というものが非常に重要な役割をして行くような建前で行かなければならんのじやないか。それでいろいろ水産物配給だとかというようなことについても、勿論重要でありますが、生産の面において大きな仕事のできるような機能にすることが、現下日本水産行政において必要なことである。こう考えておりますので、前に申上げたように、國會意思の線に沿いまして、私はやはり水産廰の官制というのほそういう面に重點を置きたい、こう考えておりますので、この際附加えて申上げて置く次第であります。
  11. 青山正一

    青山正一君 現内閣方針として政務官を二人置くというように聞き及んでおるわけでありますが、その中に一人を水産關係者からお選びになるお氣持がないかどうか。今年度は、先程から丹羽委員からいろいろお話のあつたように、水産方面に取つて最も重大な時でありますから、局長一人きりでは倒底切り廻すことができないでしようから、是非とも水産關係議員からその一人を選んで貰いたいということを率直に希望しておきます。  今一つ、これに附隨する問題としまして行政機構刷新、これはこの頃叫ばれておりまする整理の問題ではありません、刷新です。御存じのごとく、水産行政面内容局長ただ一人きりの孤軍奮闘で、立法府との受け答えから或いはGHQとの折衝どもただ一人きり、誠に涙ぐましいまでの努力振りであります。その下にいる漁政課長でも或いは企畫室長でも、或いは資材課長でも、或いは生産課長、すべて斯界第一人者揃いですが、併し分り易く申上げますと、例えば統制の問題について申上げますと、その統制という面にタツチしておる人が、たとえ斯界第一人者であつたといたしましても、その問題で三年問四年もタツチして來ただけに、その方針というもの、その施策というものは或る一點より伸びない。戰時中と同樣でいつまで經つてもその線に沿つた仕事しかできない。その方策を他の違つた形式に變えるときには、どうしても自分が他に榮轉させて貰いまして、そうして外の方にその仕事を任せるようにしなければ、これはいつまで經つても、よいということも或いは悪いもその通りに行かなければならんことになりはしませんか。これは賢明なる大臣に私のこの言外の意味を十分に御諒察願いたいと思うのであります。  更に申上げたいことは、この現在の行き方は、例えば生産から配給一般消費者に至るまでの段階におきまして、從來集出荷荷受、荷賣というようないろいろな部門があるわけでありますが、その部門の一々が孤立しておる。孤立しておるどころか、部門がそれぞれの立場において骨肉相食むの状態を呈しておる。漁業といたしましても、沿岩漁業海洋漁業の方とが餘り仲がよくない。つまり一貫性というものが少しもない。統制の問題も、或いは魚價といつた問題も、ただ生産だけの問題ではないと思うのであります。消費者の口へ入るまでに集出荷配給荷受、小賣それから沿岩漁業海洋漁業等、これは一貫したものであり、全部を考えての統制であり、全部を考えての魚價というのは、結局この行政機構がまずいからだと私は考えておるのであります。こういつた點について大臣の今後の方針というものを是非共承りたいと思うのであります。  第二番目にお聽きいたしたいことは、金融豫算の問題であります。最近の金融事情が非常に切迫しておることは御承知通り水産の面には、生産の方も先程申上げた通り出荷荷受、小賣のあよゆる段階、その他資を購入するにいたしましても、或いは船を建造するにいたしましても、四苦八苦の状態でどうしても立ち行かない。大藏省方面では金融に餘裕がないから餘り方産の方も見ていけないとの見解でありますが、この金融に關する見通しについて、一つ具體的にお示しを願いたいと思うのであります。  尚農林省豫算關係につきまして、例えば例を漁港關係に取つて見まするに、今年度の豫算額の十一億五千萬圓に對しまして、四月分の暫定豫算は千九百三十八萬圓、というほんの僅かしか與えられなかつたのであります。この暫定豫算を一年分としまして、これを二千萬圓と換算しますと、二億四千萬圓に過ぎず、約五分の一の豫算當初の切詰められた施設費を更に切詰めまして、二割程度のもので補うことは、これは絶對に不可能と思うのであります。これは安本あたりの指金、いわゆる水産に對する不認識から來ておるものと思いますが、安本あたりはここにお見えになつておるかどうか知りませんが、この取締りばかりを嚴重にいたしまして、そのお返しといたしまして、恩を仇で返すというような胴慾千萬なやり方、今少しく栗栖大臣も新大臣となりました引出物としまして、この點十分に御留意願いたいと思うのであります。  私は京都の水産業會に勤めておりますが、私の水産業會安本お方が一月か、二月かに亙つて入れ替り立ち替りにいろいろな名目で御滯在なすつております。私の所の會にそのまま泊り込みで、いろいろな迷惑を受けておる。私の方としても餘りほじくられるのが嫌さにたまに御馳走しなければならんし、その氣苦勞というものは大變なものである。(笑聲)それに非常に凄い官僚と來ておる。恐らくどの水産業會も、或いはどの農業會安本に對しては箒を逆さにしてそれに手拭を掛けて、(笑聲)その上で團扇で煽ぐようなお考えを持つておるに違いないと私は斷定するのであります。そういつた義理に對しましても、今少しく水産方面認識を新たにして、そういつたお氣持を持つて頂きたい。農林大臣安本長官とか大藏大臣の心臓にへこたれるようなことがなく、大いに豫算を取つて大臣としての手腕、力量をお示し頂きたいと思うのであります。これに對する農林大臣の御意見を伺いたいと思います。  まだいろいろありますが、それは他の方から述べることにいたしまして、最後原始産業に對する事業税の問題についてお聽きいたしたいと思うのであります。これは漁業者に取つて最も重大な問題であります。私が先般來休會中に國會から派遣を命ぜられまして地方財政調査京阪神方面を廻りましたが如何なる部落へ參りましても、市なり、或いは町なり、府なり、或いは縣廳なりに參りましても、この地方財政のこの豫算の中に水産税とか、或いは漁業税というものが織込んであるのであります。これは漁業者に取つて誠に由々しき問題でありまして、漁業者自身國家から優遇を受けておるならばそれでもよい。現在の状態では非常な悪條件でいろいろな規制を受けておるのであります。そういつた漁業者に對しまして原始産業事業税というわけで、百分の八程度税金を徴收することに内々内定しておるとのことでありますが、何ら特別の恩惠もなき漁業者に對しまして市民税とか、或いは所得税船税漁船登録税物品税財産税、非戰災者税と數え上げればこれは限りのない程、税金々々で責め立てられて、今度は漁業税地方税としまして新しく賦課される。これは誠に不當課税の極みと確言せざるを得ないのであります。  殊に地方財政委員會委員長でありまする野溝國務相が、このお方は度々農林大臣になるという噂もあつたわけでありますが、又長野縣水産業會長など、淡水面とはいいましても直接漁業者と深き關係あるに拘らず、農業關係はその税金はオミツトする、併し水産營業税は課すべしと、衆議院委員會に強調いたしておつた由であります。これは誠に不都合千萬で、私共水産に直接關係ある者としまして、特に漁業者の窮状をよく承知しておる者としまして、この野溝大臣の言質を飽くまで捉え、これを問題に付する必要があるのであります。永江さんは同じくこの社會黨の出身であります。野溝氏にも私の意のあるところを一つ御傳達願いまして、適當機會一つ辯明して頂きたいと思うのであります。又これに對する農林大臣としての御所見も承りたいと思うのであります。以上。
  12. 永江一夫

    國務大臣永江一夫君) 第一の政務次官の點でございます。これは今お話のように水産關係者から採つたらどうかということであります。これは衆議院の方の水産委員會の方からもさようなお話がございました。實は今の政府は御承知のように三黨連立でできております。そうして政務次官も亦大臣同樣に三黨間における適當比率によつて次官を決めることだと思います。それから參議院衆議院との關係もございましよう。そして比率が決まりましてから、この省にはどの政黨に所屬する次官を出すかということが更に次に決まつてくると思います。そういう點で單純には私の希望通りには行きかねる點がありまするから、その點は率直に申上げておきます。そこで農林關係から一名、水産關係から一名、こういうように採ることが、農林省關係に二つの委員會がありますので、その面から見ても私は公平だろう、こう思つております。併し前述のような事情がありますので、これは結論的に申しまして、必ず水産關係國會議員の中から一人出て頂くということを、ここで言明するという時機に至つておりませんことを御了承願いたい。  これも餘談になるかも分りませんが、私は關係方面に廻りましたときにも、すでに皆さん御想像になつておるように、國會委員會を整理統合するということが漸次具體化して來ると思いますが、その際においても一省一委員會という建前から、或いは農林委員水産委員と統合するというような意見も多少あるように聞いております。私は關係方面には飽くまで水産委員會農林委員會を二つ置いて貰うということを主張しておるような次第でありまして、從つて次官の採用についてもそういう角度から選考して貰いたいという氣持だけは持つております、御了承願います。  それからそれに關連いたしまして、水産局或いはそれが水産廳になりました際の人事刷新のことでございますが、これは御意見は十分に私は拜聽いたしたのでありまして、今後の人事につきましても、新たに二人の政務官ができるわけでありますが、それらの諸君と十分協議いたしまして、私は水産廳人事については善處して參りたいとこう思つております。  それから金融のことでありますが、これは本會議におきましても私はお答えした積りでありますが、水産及び農業面におきまする長期の金融ということを考えますと、これは民間資本だけでは十分でありませんので、やはり國家資本を導入するという建前から復金と同樣の性格を帶びた、新たなる金融機關水産業方面にも設置して貰いたい。こういう積り關係方面折衝をいたしまして、そうして政府の正式の決定をして皆さんに御審議を願う機會があるだろうと思います。この點をお答えいたします。  豫算の點でございますが、これは私は農林省責任者でありますので、今お話のように豫算は十分にどの面においても取りたいという希望で、今後その積りで閣議において奮鬪するつもりでおりますが、今お示し漁業關係についても不十分であることを十分承知しております。事務當局とよく連繋いたしまして、そうして國會側の更に御鞭撻を願つてこういう面の豫算の獲得に努力いたします。  尚原始産業の税につきましても、これは關連いたしまして、本會議で私も答辯をしたと記憶いたしておりますが、この面における税は、ただ財政という角度から税を創設して取るという、普通の獨立した國家の税というような見地から今日の日本の税は考えられないのであります。それでいろいろ皆樣の中にも御意見があると思いますが、私は先程申上げました日本食糧事情から申しまして、こういう食糧生産の面に課税をいたしまする際には、それが次の再生産段階に影響がありまするものは、單なる租税の觀念から離脱したところの、別個の角度から檢討をしなければならん、かように考えております。水産業に關連しまする諸種の税もその角度から私は新に再檢討を加え、そうしてすべての生産業者が、非常な困難な事情努力をして食糧増産、收穫に當つておる。この際においてそれ等の人々が更に進んで、その線に協力をし得るような心持を傷つけるような税の取り方、これは單なる大藏省的な考え方安本的な考え方ではいけないということで、折角この點についても私はできるだけのことをしたいと、こう考えておりますので御了承を願います。
  13. 千田正

    千田正君 時間もありませんから簡單に御質問申上げます。集出荷配給統制に關する問題でありますが、我が參議院水産委員會は、昨年の夏以來國民の怨嗟の的になつておるところの魚の配給及び集出荷に對する問題の調査のために、各方面を亙つて萬般調査をいたしまして、昨年末において參議院としての結論を生み出しまして、これを農林省に提示する直前に、御承知の政令によつて配給統制強化、すべて生鮮魚絶對配給のルートに載せて統制強化する。こういうことになつたのでありますが、この統制強化によつて果して現在完全なる、或いは完全に近いまでの配給が實施されておるかどうかという點と、將來もこの配給統制強化して行くかどうか。我々はあの時結論としまして、配給統制強化するならば、その裏附として資本資材連輸と建設と、この四つの面に農林省において十分なる用意なくんば、完全なるところの配給統制強化はでき得ない。それで我々として生み出した結論としては、三魚種竝びに八魚種、これだけを農林省において十分なる用意をして、萬全の配給をすべきであるという結論を出したのに拘らず、全面的に統制強化する。こういうので現在やつておりますが、これによつて果して十分なる配給統制ができるかどうか。尚又食糧増産における漁民生産意欲をこれによつて湧き立たせることができるかどうか。現在日本政府においてこの裏付けにするところの資金、資材、運輸竝びに建設、そういう方面における十分なる用意が今後ともなし得るかどうか、この點。  それから今迄の配給統制の大體の主たる目的は六大都市に向つての輸送でありました。現在においてはこの配給統制強化以來、六大都市以外の各府縣における國民の俎上に末だ魚は十分に上つていない。恐らく益々上つて來ません。殊に農繁期を控えている農村においては殆んど魚が入つて來ない、こういうような意味において、六大都市を中心とする消費階級に向つて配給統制であるか、或いは七千萬を有する國民全般に對する配給統制強化するところの行政措置をとるのかどうか。この點をお伺いしたしのであります。昭和二十三年度において尚この統制を實行するというならば、それだけの資材資本、あらゆる面において十分なる用意をしておらるるかどうかということを特に御質問申上げたいと思います。
  14. 永江一夫

    國務大臣永江一夫君) 今の配給の點でありますが、これはどうしても御承知のような状態の下においては、統制及びリンク方式の強化ということを行なつてまいらなければならぬということは、私は原則的に考えております。從つて魚の點についていろいろ消費者側からも不平を聞きますし、又業者の側からもいろいろな御意見があります。個々にそういう面については尚檢討を加えまして、改善すべき面があれば、改善をしてまいりたいと思つておりますが、原則としてはやはり配給強化、リンク方式の強化という方法によつて行きたい。こう考えておるわけであります。勿論國民のいろいろな食糧を通じてのあらゆる榮養を考えてまいりまする處置からいたしまして、ただ魚が大都市だけを中心に配給される機構であつてはならんということは勿論のことであります。今までそういう方式で行なわれている點に弊害があると考えまするならば、今お話のように全面的にその配給については都市中心から、農村に公平に行くようにいたしたいと思つております。  尚こういうものを潤澤にするための裏付けとしての資金及び資材の點でお尋ねがありましたが、資金の點は先程お答えをしましたように、適當水産面に對する金融機關というものを具體化してまいりたい。資材の點はできるだけ本年は勇撈に關する資材の確保に努めつつありますから御諒承願いたいと思います。
  15. 尾形六郎兵衞

    ○尾形六郎兵衞君 只今千田君よりお尋ねになりましたことにつきまして御答辯がありましたのですが、大都市集中の魚の配給ということについて、一月に波多野氏に私は同樣なことを質問しました。で、そのことを話しますと、君、ああいうことになつてるのですか。僕は全然知らなかつた。こういう話であります。私は博士でありますあの方が、水産のそういう細かいことを知らないことを不思議には思わないのでありますけれども、どうぞこの機會に新大臣によく頭の中に入れて貰いたいのは、全く現在のお魚の政策というものは六大都市と海なし縣のみに集める政策である、値段についても、報奬物資についても金を貸すにも……。我々山形縣でありますが、金融の順位が丙種でありまして、荷受しましても金を借りることができません。そのために農民はお魚を食べ得ないので、非常に嘆いております。私實は山形縣に歸る度にお魚の配給が悪いと言うて責められますので、非常に氣持が悪い。東京で何もしないわけではありませんが、どうも自分の如きは力がないとみえまして、いくら主張しても通じないのでありますが、私どうしてもこの際永江大臣にこの點はまず早速に一つ變えて欲しい。  一般論によりますけれども私都市の形成というものは田舎の培養によつて成り立つものと思います。米を増産する農民、石炭を掘る坑夫、材木を切る樵夫、この運搬人がいずれも蛋白質の缺乏に嘆いております。私先月休みのときに山形縣の炭鑛に行つて座談會をしまたしたところ、そこの婦人會の連中が集まつて、どうも、先山と申しますか、山へ掘りに行つておる自分の夫になんにも魚を喰わせることができないので、甚だ氣の毒に堪えない、なんとかお前の力でできないかということを始終言われます。大問題も相當ありますが、こういう問題については農林省だけではできないのじやないか。或いはこれに對して先程青山議員が言われた通りに、安本方面の力が相當かかつておると私は思います。私も青山君のようなことを考えておつたのですが、いろいろやつて見まして、我が敵は正に本能寺じやない、安本にあるのじやないかと、こう考えるのであります。本常であります。あの本能寺溝の深さという詩を思い出しまして、どうも我が敵は安本にあるのじやないか、こういうことを感じております。  去年平野農相に話しましたが、やがて北洋の水もぬるんできまして「にしん」がとれます「にしん」のとれたあとに「みがきにしん」がとれます。去年はとうとうその「みがきにしん」を東北の農民は配給では食べることができなかつた。なぜかというと、安本がその方の實權を握つておる。八月が濟んでからその「にしん」を配給しました。東北の農民はとうとう「にしん」を正式の配給で受けることなしに、漸く流れた「にしん」を、季節はずれの味の悪くなつた「にしん」を食べて濟んだのであります。どうぞ稻を肥やす前にまず人間に活力を與える方法、政策を一つ……、去年からのお約束でございますから、平野さんが罷めましても農林大臣に違いはない。どうぞ水産局長忘れずに今年はああいう弊に陷らないように、今からはつきり政策を一つ立てておいて頂きたい。  次に先程新大臣農林省配給省でなく、生産省にしたいというお話でありました。波多野大臣大臣になつてみて、一番自分が意外に思つたことは、要するに農林省というものは米を出せ、お魚を出せと言われる省であつて資材配給計畫もなし、現物も持たざる最も弱い省なることを認めた、こういうことを述懐しておりますが、どうぞ生産省にするためにいろいろな政策が實現できるように十分なる政治力を發揮するように願いたい。  次にアメリカの對日政策の大轉換によりまして、今正に我が日本の經濟界というものは、蘇つて來たかの感がありますが、何といいましても、今日の日本水産物生産額が戰前に比較しまして、約半額となつております所以のものは、いろんな原因がありますけれども、漁區が非常に狹いことが最も大なる原因であろうと思います。これにつきまして、漁區の擴張問題は、極めてデリケートな問題でありますので、アメリカの援助だけではできないことも多少ありますけれども、この機會を掴みまして、成るベく功妙に漁區を擴張できるように農林大臣として善處願いたい。殊に東經百六十五度の線、或いは北緯二十二度のこのマツカーサー・ラインを擴大して、「まぐろ」を澤山獲りますことの如きは、敢て面倒でもなかろうと思いますので、こういう點につきましても、一つ十分お骨折りを願いたい。これは私のお願いであります。今日は時間がありませんのでこの邊で私質問を打切ります。
  16. 永江一夫

    國務大臣永江一夫君) 先程お答えいたしましたように、都市中心の魚の配給につきましては、尚一段と私は具體的なことを研究いたしました上で善處いたしたいと思います。  第二番目の物資の裏付けのことについて、大いに御激勵がありまして、私はまだ參つたばかりで、十分分りませんが、この物資の裏付けについては、すベての絶對量の不足の際でありまして、それを特定の省が、完全に把握しておるという形は、どうしても崩すわけには參らない事情があろうと思いますので、併し各省々々がセクト的にやつて參りました弊害が、漸次政黨政治の復活によりまして、緩和されつつあると私は思うのであります。この内閣におきましても、各省のセクト主義を政黨の壓力によつて打波して行くということが、政治的に前進して參りますれば、このセクト主義は或る程度緩和される。  從つて從來のようにこれは餘談になりますけれども、私は農林省の省内の意見を持つて閣議に出ておる、外の大臣はおのおの省内の意見を持つて閣議に出て來るということでやつておりますれば、これは何時まで經つても、各省の官僚のセクト主義という弊害を除去することができないと思います。できるだけこれは、各政黨間において、そういうことの話分いをつけて、特に三黨政策協定が決めましたもの以外のことも、できるだけ民主的な機構としての政黨の活用を行いまして、その政黨間でその時々の事柄についても、話合をつけたものを閣議に移しまして、閣議で決定をして、それを各省へ持つてつて、實行に移すという、今までと逆のコースをできるだけ強化することによつて、今お示しのような物資の裏付けの面に大きな一つの道を開いて行きたいというように、甚だ漠然たることを申上げたようでありますが、こういう意味で、政治的にできるだけのことをやつてつて政黨政治というもののいい面を生かしたい、こんなふうに現在私は思つておるのであります。  それから三の、やはり漁區の擴張のことでありますが、これは最も重要なことでありまして、關係方面に對しましても、今までの大臣同樣の方針で私は懇請を續けて、できるだけ多くの漁區を得るようにいたしたいと思つております。
  17. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) まだ各委員から大分御質問も殘つておるようでありますが、農林大臣は十二時半から閣議がありますし、その前に食事もなされなければなりませんので、もう一人だけ質問を許します。
  18. 江熊哲翁

    ○江熊哲翁君 そういう委員長お話がありましたので、極めて簡單に、率直にお尋ねいたします。  漁業協同組合法は第一囘の國會當時からやり出すといつたようなふうのお話を承つた。その際段々切迫するが第一囘の國會にも御提出がない。そこで私共政府に御質問申上げましたところ、第二回國會の劈頭においては必ず出すといつたようなお話もあつたのでありますが、尚今日までのところ出そうもないような空氣も若干あるようでありますが、この漁業協同組合法を至急に公布せられることが極めて重要な段階にあることは、私縷々御説明申上げるまでもないことであります。このことについて本國會に御提出になる意思があるかないかということをお尋ねしたい。必ず漁業法の改正がなければやれないというようなことをいうのでありますが、今日の漁村の實態は、漁業法の改正とは切り離しても、早くしなくちやならないというような實態にあるのであります。このことについては農林大臣は恐らく十分なる御研究ができていないと思います。  併し日本全國の沿岸漁村というものは、漁村とはいつてもこれは同時に農村なんであります。漁村の現在の漁業會員の七割は現在の農業會員であります。一方農業協同組合は御承知のようにどんどん進んでおる。然るに漁村の最も重要な民主化問題がまだ何ら取上げられない。この協同體の中においてこそ生産が確保され、生活が安定される、民主化が行われる。そのことについては何ら取運ばれようとしていない、誠に殘念であります。私は漁業法の改正ということは非常に重要な問題であると思うが、事實これと切り離してでもやり得るという、又そういう意見を持つておるのであります。こういうことについて第一囘の國會の時に御質問申上げましたところ、詰り切り離してでもやる意思はないかといつたところが、漁業法の改正ということが重要である。農地法が制定されて初めて農業協同組合法というものが生れて來ておるんだというような言い方をされたのでありますが、そういう見方も無論ありますが、今日の漁村の實態は、漁業法の改正とは切り離しても急いでやらなくちやならないという實情にあることを繰返して申上げて置きます。これに對する大臣の明確なる御答辯をお願いしたいと思います。  それからもう一つ、私はこの漁村が非常に混亂状態にある、いろいろな意味において混亂の状態にあるといつたようなことが禍いしてか、こういうことが風の便りに耳に入つておるのでありますが、府縣水産業會が閉鎖されるんではないかというような話のあることであります。このことは協同組合法の實施の遅れることに更に輪をかけて非常な混亂を起しつつある實情にある。これはいろいろと原因もあることと思います。併しこういつたようなことが風聞の流れるままに放任されておるということは、非常に私は害のあることであるので、こういうことについては大臣としての、政府としての方針をはつきり明確にして、安心して我々が生活ができ、生産ができるようにして頂きたい、このことであります。
  19. 永江一夫

    國務大臣永江一夫君) 今水産協同組合法規を出す意思があるかどうかということでありますが、できるだけ早い機會に出したいと思います。漁業權を中心とした問題が御承知のように漁業法と關連しておるのであります。その問題を何とかして解決しまして、關係方面の話をつけて、この國會開會中に提案をいたしたいと思つております。  尚水産、海産等のことについていろいろ風評があるやに私も聞いておるのでありますが、その點については事實を審かにいたしておりません。御承知を願います。
  20. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) まだ大分御質問もあるようですけれども、先程申上げましたように農林大臣も閣議がありますし、時間も經ちましたから、これを以て閉會いたします。    午後零時十一分散會  出席者は左の通り。    委員長     木下 辰雄君    理事     尾形六郎兵衞君    委員            門田 定藏君            丹羽 五郎君            川村 松助君            寺尾  豊君            青山 正一君            岩男 仁藏君            江熊 哲翁君            三好  始君            千田  正君   國務大臣    農 林 大 臣 永江 一夫君   政府委員    農林事務官    (水産局長)  藤田  巖君    總理廳事務官    (物價第二部    長)      長谷川 清君