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1948-02-05 第2回国会 参議院 水産委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年二月五日(木曜日)   —————————————   本日の会議に付した事件 ○水産物増産対策に関する件   —————————————    午後一時三十七分開会
  2. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) これから水産委員会を開会いたします。この前の前の委員会で決議になりまして、鹿兒島縣縣知事縣会議長縣水産議会長見舞電報を打ちましたところ、縣知事から「突風災害に対し特別の御配意感謝申上ぐ、よろしくお願い申上ぐ。」という返電が参りました。それから水産議会長の森さんから「風水害のお見舞電を賜わり、誠に感謝に堪えず、以來関係箇所一体となり、復興に全力を傾注しあり、御安心を請う。」という返電が参りました。報告いたします。縣会議長からはまだ参りません。  この前の委員会においても要求がありましたから、水産局長物價廳生鮮食料品課事務官浦上一郎氏が見えております。水産局長漁業法改正法律案並びに水産業團体法説明の前に、成るベく短時間だけこの前の質疑の御発言をお願いいたしたいと思います。
  3. 青山正一

    青山正一君 これは大体小賣の問題についていろいろお聞きしたいと思いますが、その前に先般矢野委員からお話しになりました鹿兒島報告書は、これは水産課報告かどうか知りませんが、どうも余りに船の損害などの関係が非常に少いように思われるので、一つ改めて水産局の方で十分に御調査の上、若し必要であるならば調査員でも派遣すると、こういうふうにしたらどうかと考えております。  それから鹿兒島突風の問題と同樣に、長崎の方にも同じ日に相当被害を受けたように思われるので、若しその機会があるようならば、委員長から委員長名関係係りの方に見舞電報一つ打つて頂きたい、こういうことを考えております。  それから水産物末端配給面について、一つほんの短時間でありますが、緊急質問を申上げたいと思いますが、先般來の委員会生産面或いは出荷面につきまして、いろいろ論議されたわけでありますが、荷受面末端の方も当然水産委員会において審議さるベき筋合のもので、この方面仕事は行政府の上においては当然水産局担当部面なつておりますが、これは往往にして等閑に附されがちでありますが、立法府の我が水産委員会におきましては、でき得る限りの一つ御面倒を見てやつて頂きたいと思うのであります。本日はこの議会に提案されるベき漁業法改正法案とか、或いは漁業協同組合法案の内容について、水産局長からいろいろ御説明があるわけでありますが、その前にこの貴重な時間を割いて頂きまして、ほんの十分間なり十五分間なり割いて頂きたいと思うのであります。  先ず最初に、水産局長お願い旁旁質問申上げたいと思いますが、尚この席上物價廳の方もお見えになつておりますが、この方にも関係ある問題について一つお答え願いたいと思うのであります。それから荷受機関手数料の問題と小賣のマージンの問題であります。御承知の通り荷受機関は現在のところ複数制であり、勿論私的企業独占禁止ということと、或いは個人の自由を尊重する建前からなされた処置と考えるのでありますが、この統制の理念から考えましても、或いは統制の技術の面から見ましても、この複数制は非常な矛盾があるのではなかろうか、同種のものを増加する程統制は困難となり、更にこの機関に僅か三分の手数料範囲内で自由競争を強うることは混乱を來たす最大の原因ともなり得るのでありまして、この複数制を認めるとなれば、單数に近い最小限の方がよくはないか、これを一つ局長に御意見を承わりたいと思います。この事柄は前議会において水産委員長からも報告があつたようにも思われるのであります。ところがこの荷受機関手数料三分の手数料を五分位に引上げる氣持はないか、この点もどうか一つ意見を承わりたいと思います。  それから末端配給適正化ということにつきまして、御意見を申上げると同時にお尋ねいたしたいと存じますが、現在の小賣公價配給量から見ますと、小賣経営が非常に困難であり、小賣商の最低生活を到底維持することができないような状態にあるのであります。先般の政令発令前の実相というものは、自分生活に必要な收益だけはどうしても貰わなければいけないというので、價格違反とか或いは量目の不足というものが、その取扱高の多い少ないによつて生れて來ただろうと、私はそういうふうに考えております。つまり生活維持に必要な最小限度利潤を與えん限り、この種の不正は根絶することができなかつたと思うのであります。ところがこの政令発令後はどうなつておるか、取締りが余りに嚴重過ぎておるために價格違反などとてもできるわけはない。目切れの分の負担とか或いは小運送料負担まで全部小賣商に掛かつて來まして、政令発令以前にしんにゆうをかけまして四苦八苦の苦しみを受けておるような現状ではなかろうか、こういうふうに考えておるのであります。現在の小賣マージンは大体一割四分から三割程度でありますが、平均は二割弱、大体一割七分くらいの見当だろうと思うのであります。この一割七分のマージンでは現在のような物價高時代、或いは生活費の高騰とかその他納税の関係から見ましても到底店舗経営は成り立たない、こういうふうに私は信じております。他の商業者に比ベまして、この労力の点では格段の相違がある。利潤というよりこの労力に対する正しい報酬といたしまして、最低利潤を、つまり平均三割程度に上げる氣持はないかどうか、現状においては大体三割ということになつておりますけれども、実際の点におきましては一割七、八分の見当でありますが、これを三割丸々に当るようにして頂けんかどうか、配給の増大を望めない今日、何か手段を講じなければいけないと私は思うのであります。いずれにしましても末端配給の適正を確保することにつきまして、農林省意見なり、それからこの小賣マージンにつきまして物價廳意見、今現在持ちつつあるお考えはどういうふうなお考えであるか一つお伺いしたいと思うのであります。  次にお尋ねしたいことは、末端配給登録制の問題であります。この問題も前の小賣マージンの問題と共に、片山総理大臣宛に私から質問書を提出したわけでありますが、この水産物配給規則によります末端配給登録制の問題は、小賣業者の信用と誠実において自己の業務の拡張発展が約束されるものであり、如何にもお役人の机上プランは立派でありますが、事実は必ずしも計画のごとく運営されてはいない。登録を集めるために相当運動費を使用しておるものもかなり沢山あるようにも見受けられるのであります。私は本日荻窪の方の警察大学治安委員会の命令で視察に参つたわけでありますが、本日もあの附近でこの魚の登録ということで非常な戰爭が行われておる。そういうような現状はできるだけ私は避けなければいけないと、こういうふうに考えておるのであります。その他いろいろなからくりがその間に生れて來ておりまして、絶対にこの登録を短期間に決めるということは、私はどうかと思うのであります。こういうふうな運動によりまして消費者自由選択権を奪うということは、この制度精神に反するものでありまして、かかる不純な運動は当然排除さるべきだと考えますが、政府の御意見は如何でありますか一つ承わりたいと思うのであります。  それからこの制度期間三ケ月毎に登録更新をなすことに規定されておりますが、固よりそうすることが小賣業者の努力を要請する精神に他ならないと思いますが、小賣業者としての営業権はその更新毎に動搖いたしまして、職務に対する安定性を欠くようなことになります。つまり自分の天職が三月ケ先にどうなるか分らないということは、つまり落付いて努力するということよりも不安が先に立ちまして、眞の能力を発揮せず、却つて萎縮させる結果となりはしないか。この期間更新につきまして、今少しく愼重に檢討する必要がなかろうか、一年くらいする氣持はないかどうか、一つ是非共考えて頂きたいと思うのであります。もう政令が出ましてから惡い事をしようといたしましてもできないような今日の状態なつておりますからして、私はこの三ケ月を更新して一年くらいにしたらどうか、こういうふうに考えておるのであります。この点十分に一つ御留意願いたいと思います。  最後に、前議会木下委員長から参議院本会議の席上におきまして、水産委員会といたしまして、統制の在り方について結論的に申上げたことを一つ是非取入れる氣持はないかどうか、つまり統制を継続するならば、この「いわし」とか「あじ」「さば」「ぶり」「いか」というような多獲性の大衆魚に限定いたしまして、その他の魚種につきましては、流れは統制にいたしますが、價格を自由にする。これは最近安本、或いは農林省かどこか知りませんが、何かそういつたこうをするというような空氣があるようにも思われますが、この問題はどこまで進んでおるかどうか、これも物價廳なり農林省一つ意見を承りたいと思います。以上の問題につきまして一つ御返事を願いたいと思います。
  4. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 青山委員最初委員長にお尋ねになつたことについて、私の考えを申上げます。  鹿兒島縣風水害に対する実情は、鹿兒島縣水産課長が八日に向うを立つて上京されることになつておりますので、十分その話を承りまして、被害状況その他について特に見舞或いは調査、派遣する必要があれば又改めて委員会を開いて議したいと思います。  それから長崎縣の方は私まだ聞きませんが、十分それは調査しまして、その上で必要があれば後程お諮りしたいと思います。では水産局長からお答えを願います。
  5. 藤田巖

    政府委員藤田巖君) 只今御質問のございました問題の中で、手数料関係むしろ物價廳の方からお答え頂いた方が適当であろうと思います。それ以外の問題についてお答えをいたしたいと思います。  先ず第一に、荷受機関複数制はむしろ弊害があるから、これを單数に近いものにする必要はないかという御意向かと考えます。この荷受機関單数複数の問題は、これはどちらにも一長一短のある問題でありまして、一概には申せないと思うのでありますけれども、最近の企業独占排除の大きな原則からいたしまして、あらゆる部門について独占を排除して健全な自由競走をやらして行くというふうな趣旨からいたしまして、荷受機関につきましても複数制を採用したのであります。複数制を採用いたします場合に、これが幾つがいいかというふうな決め方がなかなかむづかしいわけであります。從つて決め方といたしましては、最低責任数量というものを決めまして、苟くも最低責任数量を完遂し得るところの能力がある者、又それについて大体確実だという見込のある者についてこれを認めて行こうというふうな方針から、現在のこの荷受機関公認制度ができておるわけであります。この実施状況を見ますると、各都市々々で非常に違つております。で極端に申しますと、お話のように單数に近いところの制度を取つておられる場所もあります。又或いは非常に沢山な荷受機関が出ておるところもあり、これは一様には申せないのであります。我々といたしましては併しながらこれはそれぞれの場所実情に即して、又荷受機関荷受機関特殊性もあります。從つてそれらの実情に即してこれを処置したということで、現在のところはこれを各都市々々のいわば自由なお考えに任しておるわけであります。我々といたしましては、これを今直ちに單数に近いものにこいつを決めてしまうということまでは、どうもはつきりそうするまでに至つておりません。極端に申しますと、二十近くあるところ、或いは二十幾つかあるというふうな荷受機関場所相当あるのでありますからして、これを一挙に二つ、三つにするということも、これは非常に困難な問題であると思います。今暫く事態の推移を見まして、尚今後の統制方式とも関連をいたしまして、これは十分檢討いたします。要は各荷受機関がそれぞれその特徴を発揮をして、できるだけ沢山荷を引いて來る、而も徒らなる競走、不正の競走というものをやらさないように、不正な荷受機関というものはこれを整理をし、そして正当な荷受機関についてこれを安定せしめるというふうな方向で、これはやはり具体的に各都市々々の状況に即應して考えて行きたい、こういうふうに思つております。  それから末端配給機構の問題でございますが、統制が行われましてから、生産部面、それから荷受部面、或いは末端配給部面で、從來は余り問題になつておりませんでしたこと、或いは問題になつておりましても、相当程度のルーズは取扱いが行われております関係上、まあ默認の形で然るべくやつておつた問題が、取締り強化に伴うて嚴格に行うことになりました結果、いろいろの問題が起つておるのであります。小賣の手数料の問題にいたしましても、その一つの現われであろうかと私は思つておるのであります。現在の末端配給統制実施の今日と雖も、まだ満足すべき状態とは考えられないのです。併しながらこの状態は正当な小賣業者の問題と、それからいわゆる不正なる登録を受けない、いわゆる闇屋末端配給における不正行為と、こういう二つの問題があるのであります。ただ末端がうまく行つておらないからとて、登録を受けられたところの小賣店が悪い。全部をそのせいにすることも、私はこれはできないだろうと思います。不正は闇屋さんの行爲については、これは取締るより以外に方法はないと考える。これは嚴重に取締つてゆく以外に方法がないと思います。それから眞面目な登録小賣店が正当な仕事をやつて行くような対策、これはやはり必要であろうかと思つておるのであります。そういうふうな点については、私共も今後十分に考慮をして考えて見たいと思つております。ただ問題は小賣業者方達の側においても、やはり実行をして頂きたい問題があるのであります。現に緊急措置において定められておりますところの事項、そのすべてが完全には行われておりません。それから又例えば共同計算の問題につきましても、これはまだ解決しておられないところの都市もあるわけであります。我々はそういうふうな問題については、やはり緊急措置で定められておりますことを正確に実行する、正確に実行し、眞面目にやつて結果、どうしても成り立たないというものは、我々が考えると、こういうふうな態度で進んで行きたいと思つております。  それから登銀期間の問題でありますが、この問題も現在起つておるのであります。末端の登銀小賣店舗事情についても、私共は事情があることと考えております。これは十分各方面と御相談をいたして考究をいたしたいと思つております。現に考究をいたしております次第であります。ただ年限を現在三ケ月でありますのを、一年にできるかどうかということについては、これはまだ相当疑問があることだと思つております。私は併しながら全体的に考えまして、末端配給機構を將來どうすればいいか。どういうふうにすればいいかという問題でありますが、現在の小賣業者の方が眞面目な人が安んじて生業に就かれるような施策を取つて行くということが一つ必要であります傍ら、一方或いは職域組合でありますとか、或いは生活協同組合でありますとか、相当考え方の異つたところの團体末端配給仕事をやつて行く。それによつて両者がお互いにそのいい長所を発揮して、消費者のために利便になるように競爭をして行くというふうなやり方を取ることが、一つの案ではなかろうかと私自身として考えておるわけであります。  それから高級魚統制撤廃の問題でございますが、これについても從來参議院委員会で御決定のありました問題であります。現在殆んで一般にこの高級魚統制撤廃意見というものは相当廣く唱えられておる問題であります。私共といたしましても、十分これにつきましては、事情のあることは了承はいたしておりますけれども、尚現在行なつております統制やり方、或いは資材の関係その他をもよく睨み合せまして、これを決定しなければならないと思いますが、まだ結論は出てはおらないわけであります。十分この問題も考究中でありますことを御了承願いたいと思います。
  6. 浦上一郎

    説明員浦上一郎君) 青山さんの御質問なさつた点につきましては、水産局長が御説明なさつたと思いますが、その他の点につきまして、物價廰といたしまして関連のあることで、水産局長がまだお答えなつておらない点につきまして一言述べさして頂きます。  先ず第一に、荷受機関手数料のことをおつしやいましたけれども、現在マル公の立て方は、卸賣價格につきましてはいわゆる内マージンと申しまして、卸賣價格を一本で定めまして、その中から必要な手数料を差引いて、その他が生産者手取りになるという立て方になつております。生産者價格プラス卸賣マージンが卸賣價格ということになつておりません関係上、これは公定價格関係と申すよりも、むしろ市場荷受機関に対する関係と申しますか、そういう市場機関の問題と相当関連して参りますので、これはむしろ物賣廰独自の立場としてお答えするというよりは、これはむしろ水産局は御相談申上げていろいろお答えする点が多いと思いますから、この点につきまして物價廰としてのお答えはするのは聊かどうかと思いますけれども、併し現在一律に三%と申しますが、私の知つておる範囲では必ずしも三%として物價廰として抑えているわけではないのでありまして、いわゆる市場の荷引きのためのいろいろ競爭と申しますか、そういうふうな競り合いと申しますか、そういう関係からこのマージンを多く取れば取るだけ生産者手取りが少くなるというような事情から、自然三%に落ちておるというような関係なつておりますので、この点を五%にするか、しないかという点につきましては、むしろ先刻申しましたように、公定價格改正して生産者價格に五%のマージンをプラスしたものが、卸質價格になるということになると、價格の問題でありまするが、今のような價格の立て方といたしますれば、物價廰といたしまして、これに対して改正すると申しましても、なかなか独断の立場では参りませんから、その点をよろしく御了承願いたいと思います。  それから小賣マージンの点でございますが、この点成る程御指摘なさつた通りに、公定價格表には魚の種類が百八十種くらいあるが、各魚種についてマージンの点で必ずして小賣マージンが妥当でないと思われる点が物價廰としても認めておる次第であります。小賣マージンというものは、考えますと、成る程御指摘なさいましたように、小賣商の生活費という色彩が非常に強いと思いまして、それを一々に何%何%と申しますよりも、むしろ絶対額として押えて、絶対額として小賣商の立場から見て、マージン一貫当り何円何十銭になる、一級魚については何%、二級魚については何%というパーセンテージというものは、むしろ原因ではなくて結果と考えておりますから、現在水産局の方とも協力いたしまして、小賣商のいわゆる経費の実態調査をやつておりまして、大体結論も出ておりますから、小賣マージンというものについての研究と申しますか、物價廰としての考え方というものは近日中に纏まると思いますが、必然的に卸賣價格の場合と違いまして、それを実行に移す場合には、小賣價格改正ということになつて参ります。小賣價格改正ということになりますと、やはり統制額改正でございますから、なかなか関係方面、その他との関係がございまして、ではいつやるのか、では、果して小賣マージン一級魚については何%が適当と決めて、それを直ちに改正して貰えるのかというお話になると、些か困るのでございますけれども、大体物價廰といたしましては、小賣マージンというものは、或る程度理論的でない点は認めておりまして、種々研究中であるということだけはお答えいたして置きます。高級魚の点につきましては、水産局長より御答弁なさいましたから、物價廰といたしましては何も申上げることはないと思います。以上であります。
  7. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) 水産局長は二時四十分くらいからGHQの方に行かれる用がありますので、この質問はこのくらいにして頂きたい思います。
  8. 青山正一

    青山正一君 又この次の機会に延ばします。
  9. 木下辰雄

    委員長木下辰雄君) それでは本日はこれにて散会いたします。    午後二時六分散会  出席者は左の通り。    委員長     木下 辰雄君    理事           尾形六郎兵衞君    委員            門田 定藏君            丹羽 五郎君            松下松治郎君            川村 松助君            青山 正一君            岩男 仁藏君            江熊 哲翁君            三好  始君            矢野 酉雄君            千田  正君   政府委員    農林事務官    (水産局長)  藤田  巖君   説明員    経済安定本部物    價廳生鮮食料品    課       浦上 一郎