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政府委員(
阪田純雄君) 第一の「
株主の責に帰すべき
事由によ
つてその
費用が増加した」と申しますのは、この
法律案の第一項に、「
会社がその
株主に
配当する
利益又は
利息は、
株主名簿に記載した
株主の佳所又ば
株主が
会社に
通知した
場所においてこれを
支拂わなければならない。」こういうことを言
つておるのでありますが、この場合におきまして
株主が
会社に
住所を最初に
通知したが、その後
住所を移轉してしま
つて、その
通知を忘れてお
つた、
通知をしておらなか
つたという場合におきまして、
会社としまとては、第一の
住所を目標に
支拂をするわけでありまするが。ところが、それが届かない、從いまして第二の
住所まで
支拂をしなく
ちやいかんとい
つたような場合におきましては、
株主の責に帰すべき
事由によりましてその
費用は増加したと、こういうことに相成りまするので、
会社としましては、
株主が
通知した
住所にやればよいのであ
つて、
株主が後で
住所を
会社に黙
つて移轉した、こうい
つたような場合を指すわけであります。同時に、この場合におきまして
支拂をするのは、普通必要とされます
方法によ
つて支拂をすればよいのでありまして、例えば
株主が
電報爲替で自分の
利益の
配当を送
つて貰いたい、こうい
つたような場合におきましては、その特別に要る
費用であります。普通の場合におきましては、
債務の
履行は、そうい
つた形でなされないのが、いわばこの場合におきまする民法の
規定によ
つて行われまする
債務の
履行であります。そうい
つた電報爲替で送
つて貰いたいというような場合における
費用、こうい
つた費用は、やはりその
増加額を
株主が
負担する、こういうことであります。
それから第二の点といたしまして、こうい
つたようなことになりました場合には、小
株主が非常に殖えて、一株二株とい
つたような連中が多くなれば、
会社といたしまして、その煩、
費用の
負担に堪えないじやないかという
お話でありまして、誠に御尤もな御
質問なのでありまするが、その点に対しましては、実は本
法律案を提案するに際しまして、
経團連或いは
銀行協会その他
関係方面といろいろ御相談したわけでありまして、同様な御
質問なり御疑問があ
つた次第でありまするが、問題は非常に技術的な問題を含みまするわけでありまして、実はその
関係方面の傘下の
会社のいわば
株式課長と申しますか、或いは
株式係長、こうい
つた実際の取扱いをなさる方々に聞いて頂きまして、いろいろ御相談をして見た次第であります。そういたしますると、現在におきましては、大多数の
会社が
株式の
配当の
支拂におきまして採
つている
制度は、いわば
領収証拂制度と申しますか、
株式の
配当の
領収証と引換えに
銀行を通じて、或いは
会社の窓口で金を渡す。こういう
制度でありまするが、もう
一つの
方法といたしましては
振込制度、こうい
つた制度がありまして、これは
日本発送電の採
つておる
制度であります。これは
会社が
銀行と契約いたしまして、
銀行に
配当金を振込みました場合に、
銀行はそれによりまして
株主の指定しました
場所に
送金をする、或いはその
場所において
支拂う、こういう
制度であります。この二つの
制度が実際上行われておるのであります。そこで
実務者といろいろ検討いたして見ますると、
日本発送電の場合におきましては、
株主の数約十七万人あるわけでございます。そうしてこの
振込制度を
從來から採
つておるのでありまするが、比較的支障のないように我々はその際に話を聞いた次第であります。この場合におきまして、その
費用がどのくらい掛かるかという点につきましては、
日本発送電の場合におきましては、
配当金に対して一%六の
費用が掛か
つております。尚千万円拂込の
会社、
株数二十万株、
株主数を二千人、実際の場合におきましては、これはこの場合におきましては一人
平均百株にな
つておりますが、実際の場合におきましては千万円
程度の
会社でありますと、
株主は二千人にはならん場合が多いのでございます。その場合に
配当率を五分、従いまして半期
配当金を、五十万円の二分の一の二十五万円、こういうような想定で
費用を概算してみますと、
拂込制度によります
負担額の場合におきましては、大体におきまして
配当金に対する割合は三%三乃至三%五ぐらいの
程度になります。最もこれには
会社の
人件費と申しますか、これには直接要る
費用だけを加算いたしまして、
会社の
人件費は除いているのであります。大体におきまして、若しこういうようなことに相成りましても、
振込制度を採りますならば、
会社に対して非常に多額の
負担にはならん、実際に
株主の分散の問題でありまするが、
現実をいろいろ見てみますると、稀には非常に少い、例えば一株二株というのもございまするが、
発送電の場合におきましても、大体の
株主の
平均は六十株乃至七十株
程度でありまして、
証券民主化に基きまして国民の多くの方に株を持
つて頂く、こういう場合におきましても、その
程度は余り極端にまで
分割されないのではなかろうか、こういうような
考えもいたしておる次第であります。