○
鬼丸義齊君
衆議院の方でこの第一項の場合に「
兇悪」という文字を入れるということでありまするが、
兇悪とか或いは非
兇悪とかいうものは
程度の問題でありまして、勿論
法的根拠がない。さような
法的根拠のなきものに対しまして、刹那の
出來事の場合に、刹那の間に判断し、なさなければならないことが多いのであります。そういう場合に非常な解釈において困難なようなことの、殊に
法律的根拠も指針もないようなことによ
つて、それが而も憲法の保障に係りますうちの、最も重大となりまするとこその
生命身体に対しまする
問題等に係
つておりまする場合ならば、一段とその点は法を作ります場合に注意を要しなければならんと思います。成る程正当なる
理由であるとか、或いは相当なる
理由であるとかいうような
規範、
一つの
條件があるようであります。併しながらこれは誠に実際問題といたしましてはむつかしい問題でありまして、私は
幾多の
事例を知
つておりまするが、
警察官は
職務に忠実でありますために、
一つの
被疑者を
逮捕するという場合に刹那の
出來事でありまするので、
職務に忠実なるために往々にしてその
規範というものを逸脱いたしまするのが殆んど大
部分である。そこで嚴格なる
規定を
一つ設けてありましても、尚且つその
範囲を超えまして、
從來幾多の問題を起しております
事例は乏しくない。從來は帶劍を佩せられておりましたのでありまするが、今後は
武器となりますれば、
只今までは
挙銃である、或いは
機関銃等もやがては持たせなければならん場合もあるでありましよう。その他の
武器も相当なる威力のあるものを持たせるということになるでありましよう。而もこの
規定には何もございませんから、時に應じてその
武器というものを決める必要があるのであります。そうしたような場合には
從來帶劍を命ぜられております時においてすら、
幾多の
越権或いはその
規範を脱しまして問題を起しておるのでありますからして、況んやまだこういうような
法律がないにも拘らず、その間におきましてすら各所にいろいろ
挙銃使用によりまする、いわゆる
脱線的行為がありまするような
事例があるのです。でありまするから、ここに
一つの
法的権力を與えまするには、相当な嚴重な
規範を與えて置いてすら、私は尚且つ
職務に忠実のために、その
範囲を越えはしないかということを憂うる者であります。その意味におきまして、私はこの
長期三年以上というようなふうなことになりますると、先程申上げました通りに、殆んどもう
刑法の
処罰になりまする、反
則行爲というものは大
部分これに当るのでありまするが、それにしては
危害を與えてよろしいということになりまするのは、余りにもこの
権利が強過ぎはしないかと、必ずや私は、この
法律を制定いたしますることによ
つて、
警察官に対しまする、いわゆる
越権と申しましようか、とにかく
規範を脱しまする
幾多の
事例の起
つて参るのであろうことを憂らるものであります。
故に私は、若しこういうことに対しまする
規定をどうしても置かなければならんとするならば、尚このいわゆる過剩殺傷の場合における
規定ですね、これは少くとも何故この
本條に置かなかつたか。先回私はこの
委員会においてお尋ねいたしたのでありますが、それはもうすでに当然であるから、その結果として、必ず超過の罪については、
責任を負うべきであるということを御説明しておりましたが、
刑法にありますごとに、
正当防衞、或いは
緊急避難の場合にその
限度を越えまするならば、その
責任を免れることができないということが明記してありまするごとくに、この場合にも明記しておかないと、法から與えられたる
一つの
権利であると、こういうふうに解釈する虞れがあります。で、あるから、
一つの何を抑えんとすれば、結局この過剩の
処罰に対しましては、当然
最小限度において、私は
規定しなけれれば、
危險この上もないものであると思います。
政府の所信はどうでありましようか。