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1948-06-17 第2回国会 参議院 治安及び地方制度委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年六月十七日(木曜日)   —————————————   本日の会議に付した事件 ○消防法案衆議院提出)  (右案に対し証言あり)   —————————————    午後一時二十五分開会
  2. 吉川末次郎

    委員長吉川末次郎君) これより治安及び地方制度委員会開会いたすことにいたします。  今日は消防法に関する審議をいたすことになつておるのでありますが、それに関しまして、学識経驗ある方から、証人として今日御出頭を願つておるわけでありますが、右の証人といたしまして、参議院公報に公告いたしております方以外に、東京都の府中の町長でありまして、府中町外二ヶ村の消防組管理者である府中地区消防本部森谷森三氏を更に証人に追加いたすことにいたします。よろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 吉川末次郎

    委員長吉川末次郎君) ではそのようにいたします。それでは規定によりまして、御出頭になりました証人の方方の御宣誓を願うことになつておりますので、只今係りの者から宣誓書を持つて参りますから、御宣誓を願います。    〔総員起立証人は次のように宣誓を行なつた〕    宣誓書  良心に從つて眞実を述べ、何事もかくさず、又何事もつけ加えないことを誓います。        証人  内城 九藏        証人  亀井幸次郎        証人  鹽谷 隆雄        証人  茂野征次郎        証人  尾館 春治        証人  森谷 森三
  4. 吉川末次郎

    委員長吉川末次郎君) 只今内城九藏君から、証人代表者としての御宣誓がありました。宣誓の手続は済みましたものと思いまして、これよりそれぞれ証人の方の御証言を願うことにいたしたいと思いますが、開会に当りまして、一言御挨拶申上げたいと思うのであります。  先きに申しましたように、本日は消防法審議につきまして、皆さん達学識経驗ある各位から、委員会審議参考となるべき事項につきましての御意見を伺うこととなつておるのであります。消防法は第一國会に置きまして、衆議院で立案議決されたものでありますが、参議院におきましては、第一國会においては右の衆議院の提案は審議未了となつたのであります。更に第二國会におきまして再び衆議院から提出せられて來ておるのでありますが、法案内容國民権利義務に影響するところが非常に多く、又日常生活にも法律的に各種の制限等を伴う重要な法律案でございますから、我々の委員会におきましても愼重審議を盡して誤りなからんことを期しておるのであります。本來ならば公聽会を開くべきでありますけれども、時日の関係各位には証人という形式で御出席を願つておる次第でございますから、以上の趣旨を御了解下さいましてこの法律案審議の上におきまして我々が檢討を要する事項について御腹藏のないところの御意見の御発表を願いたいと存じておる次第であります。右の御意見発表の時間は一人十五分以内といたしまして、発言の順序等は適宜委員長にお任せを願いたいと存ずるのであります。尚又関係政府委員諸君にも御出席を願つておりますが、これはこの法案が各方面に影響がありまして、政府当局の御見解を伺う事項が多いので御出席を願つたわけであります。公務の御都合等によりお急ぎの方はその旨私の方に予めお申出で下さいましたならば、順序を都合して早くお尋ね申上げることといたしたいと存じております。それでは御宣誓も済んだのでありますから早速これより御証言を頂くことにいたします。  先ず第一に警視廳内東京消防廳消防総監鹽谷隆雄君に証言を願います。
  5. 鹽谷隆雄

    証人鹽谷隆雄君) 消防組織法が昨年の暮当議会において議決されました。これによりまして消防は独立して專心消防行政に当ることができるようになりましたことを、この機会に皆樣方に対しまして衷心から感謝の意を表する次第でございます。我々消防といたしましては、國民のために消防技術を更に錬磨し、機械の整備に万全を盡して火災予防警戒防禦に当つて参つたのでありますが、今後はこの定められました新らしい組織法の下に新たな意氣込みを以てこれに邁進しておるような次第であります。  ところで、この消防組織法ができまして、私共の消防組織に関してはここに新らしい制度が出発したのでございまするが、遺憾ながらその消防活動の基準となるべき実体の問題につきましては、今日まで未だ消防法制定がありませんために、我々といたしましては徒らに形だけ與えられて中味を與えられないというようなことで、非常に仕事がしずらいような状況にありましたところ、今回今議会におきまして、我々消防陣が待望しておりまする消防法をお取上げになりまして、この制定についていろいろと御盡力下さつておりますことに対しまして、消防陣の一人といたしましてここに重ねて深甚なる感謝を捧げたいと存ずる次第であります。私共消防陣といたしましては常に日本は世界一火災の多い國であるから、火の用心を第一にして下さいと申しておりますが、実は日本は世界一火災の少い國なのでありまして、これは單位人口あたり平均火災発生件数を取つて見ましても、日本は人口一千に対しまして〇・三八件でありまして、これは昨年でございますが、これはアメリカ或いはドイツ、或いはフランス、イギリス等に比べましてもずつと低い数字を示しておるのでございます。一口に日本火災の國であるというのは、これは火災の数が多いというのではなくて、実は火災損害が極めて多いということを意味するのでございます。日本の昨年度における火災損害額は、建築物だけの燒失で約百十八万坪であります。その他の損害を合せますというと、実に百八億六千四百十九万余になるのでありまして、これらは建築物にしろ、衣服、食糧にしろすべて申すまでもなく公定價格によつて算定した額でありまして、これがそれ以外におきまする間接的な損害による事業操業の停止、救済復興等費用を加算いたしまするならば、けだしこれの幾倍、幾十倍の費用を計上することになると思うのであります。又戰災復興建築面におきましても、全國におきまして新築が六百四十万八千余坪であるのに対しまして、燒失総数前述通りでありまするからして、新築に対しまして十八・四%というものが建てる傍から燃えておるという計算になるのでありまして、これは住宅復興にも著しい障害をなし、その他の貴重なる生産資材食糧その他の物の燒失というものは、それぞれ日本復興に大きな悪影響を與えておるところでございます。從來消防は御案内のように火災防禦にその力を盡して参りましたのでありまして、終戰後建築樣式欠陷からして火災防禦というものは極めてむずかしくなつて参つたのでありまするが、我々はこれに対しまして非常に愼重を期してこれに当つておるのであります。併しながら一旦発生いたしました火災防禦に我々が身命を賭して全力を傾注するということに搗てて加えまして、事前において火災発生を防止する予防措置が講ぜられましたならば、これに越したことはないのでございます。予防を積極的に強力に指導いたしましたならば、次に申上げまするような事例を見ましても、火災件数並びに損害程度をはつきり減少し得るということを私共は確信を以て申上げることができるのでございます。即ち東京消防廳進駐軍の命を受けまして、東京都内におけるその関係建物建築物に対しまして予防視察権を與えられ、毎日視察を実施しておるのでございまするが、この最近一ヶ年間の統計を申上げまするというと、視察対象物が激増いたしましたのにも拘わらず、火災件数は百四件であります。その前年の百九十三件に比べまするというと約半減いたしております。又最近一ヶ年間の燒失坪数の延坪は三千四百八十八坪でありまして、この前年の八千百四十四坪に比較いたしまするというと、約三分の一に減少しておるような成果を得ておるのでありまして、これは一に予防査察権を賦與せられた結果に外ならないと思うのでございます。かように進駐軍関係火災におきましてかような実績が現われておるのでありますが、ここにおいて日本人一般に対しましても、從來のような火の用心的精神指導を数歩踏み出しまして、建築物新設等事前予防指導権、事後の維持管理に対する予防査察権、一般火氣の取締権、又は既発火災根本的に調査して、今後の予防の基礎とし、合せて原因早期究明による人心の安定を図るため火災調査権等を與えられますならば、前述の莫大な火災損害を著しく減少し公安を更に保持することができるものであるということを、私共希望いたしておる者でございます。尚從來行なつて参りました火災警戒或いは防禦報道面におきましても、所要の法的権限を得まするならば、予防警戒防禦の立体綜合的な消防行政を完遂いたしまして、國民福祉増進に寄與するところ極めて大であろうということを信じて際わないところでございます。かような意味におきまして、御審議中の消防法案が議決せられますならば、邦家再建のため慶賀に堪えないところでありまして、先程も申上げましたように、形だけの消防組織法を與えられて、その内容について未だ何ら與えられておらない我々といたしましては、二日も早くこの消防法が成立いたしまして、我々に必要な権限をお與え下さいますならば、非常に幸いに存じておるところであります。重ねて一日も早くこの法案の成立せんことを衷心から望んでおる者でございます。
  6. 吉川末次郎

    委員長吉川末次郎君) 証人の方にこの際私から申上げて置きたいと思いますが、予て衆議院より送付の只今申しました消防法申につきましては、お手許に法案の案文がお届けいたしてある筈でありますから、消防法全般についての概括的な御意見というよりも、我々が審議いたします上においての、この衆議院で作案いたしました法案中心として、具体的にどういう箇所についてどう思うかというような表現方法において、成るべく具体的な点をいろいろ指摘してお述べを願いたいと思いますので、ちよつと申上げて置きます。  次に、東京消防廳予防部長茂野柾次郎君にお願いいたします。
  7. 茂野柾次郎

    証人茂野柾次郎君) 御質問ございますか。
  8. 吉川末次郎

    委員長吉川末次郎君) お証言が願いたいのです。あなたとしての…
  9. 茂野柾次郎

    証人茂野柾次郎君) 本案に対しまして……。
  10. 吉川末次郎

    委員長吉川末次郎君) そうです。
  11. 茂野柾次郎

    証人茂野柾次郎君) 私共といたしまして、先程消防総監から話もありましたごとく、予防権を與えられまするならば、相当の、今日日本復興を遅らしておりまする火災予防に、重大なる力ができると信じておる次第であります。特に本法の第七條等條文は、我々といたしまして是非このようにして頂きたい、かように念願しておる次第であります。尚この中に、消防自動車の速力を決めてあるのがございますが、これが最高六十マイルとなつておりまするが、他のすでに出ました法によりまして八十キロ……間違いました、六十キロを八十キロに御訂正願えればいい、かように存じております。以上でございます。
  12. 吉川末次郎

    委員長吉川末次郎君) それだけですか……。それでは次には東京立川消防署長内城九藏君にお願いします。前に申しましたように、我々がこの法案審議の上において参考になりますような具体的なことについての意見を主として求められておりますから、それを御承認の上御証言を願います。
  13. 内城九藏

    証人内城九藏君) 消防法案を御送付いたされまして、この内容を私共拜見いたしまして、先程東京消防総監証言の中にありましたように、私共は從來消極的消防でありましたゆえんのものも、結局ここに実体法がなかつたというのが根本であつたと思うのであります。どうしても積極消防で行かなければ、致底災害の防遏は望み得ないと思うのでありまして、この点につきましてこの法案を拜見いたしまして、誠に要を得ておつて、私共これが公布相成りまするならば、從來何かと私共日常におきまする警戒に、或いは火災現場に、事前における建物調査視察、かようなる点につきまして、從來根本法がなかつたのでありますが、ここの示されてありますこの本案を見まして、誠に私共力強く感じておるのでありまして、どうしてもこの点をどうか一つ制定願いますることを、私共は先ず以て本委員の皆樣方にお願いする次第であります。從つてここにありまするように、先程予防部長からの証言の中にもありましたように、第七條に定めてありまする本文でありますが、私共火災現場におきまして、又事前におきましての防禦に、或いは警戒に、或いは防禦計画を樹立する上におきましても、從來根本法がなかつたのでありまするが、実際問題としてこれを視察をし、又これに対する施設方面につきましては根本原則はありませんでありましたが、私共の見地からいたしまして、或いは水利施設に、或いは避難の段階とか、或いは隣接建物に対する問題という点につきまして、これまで担当いたしておりました各管内の関係方面の方々に対しましての御協力を得ておつたのでありますが、なかなか現在のような諸情勢におきましては、これが実現は不可能であつたと思うのであります。ここに本案を見ますると、第七條にここに示されておりまするこういう点は、同意を得るということになつておりますが、これは当然のことと私共は思うのであります、でき得ますならば、一歩を進めてというような考えも、現地署長といたしまして私共は痛感するのであります。是非この点は実現して頂きたいということを、私はここに念願するのであります。  第三章の危險物でありますが、これもすでに都條例におきまして、危險物取締條例公衆集会所取締條例というものが出ておりまして、すでにこういう面につきましては、学校であるとか、或いは工場、劇場、病院、こういうような点につきましての火災予防上、人命の救護上につきましての問題をすでに取扱つておるのでありまして、危險物におきましても同樣でございます。この点につきまして本法を見ますと、よくこれが示されておりますので、私共は待望久しきにおりましたこの問題が解決できると思うのでありまして、將來消防が如何に積極的に、又発展できるかということを、私共は確信を持つておるのであります。  第四章の消防設備でありますが、この設備につきましても同樣でありまして、從來都市建設だとか、大きいことを申上げますと都市建設、又建物建設という点につきましては、これまで市街地建築物法に何とか示されておるようでありますが、併しながら消防の面といたしまして、水利、或いは消火栓であるとか、こういう点は示されてありまするけれども、独立法として、專門法としてはなかつたと思うのであります。ここに消防設備に対しまするところのこの第十七條或いは十八條、十九條、二十條、二十一條、二十二條と、こういうふうに詳しく挙げてありますので、こういう点も私共は待望しておるのでありまして、誠に結構と思うのであります。  第五章の火災警戒、これにつきましても、すでに氣象台から気象が通報されまして、特別火災警報非常火災警報が発せられました場合におきましては、管下全般亘つてこれを徹底し、そうして火災予防の面に盡瘁して参つておりまして、この点も私共誠に結構と思うのであります。是非御通過されますよう願つて置く次第であります。  第六章の消火活動、この諸條でありますが、これは誠に私共これまで現場におきまして痛切に感じておつた点がここに織込まれておりまして、非常に私共は將來消防の面におきまして、或いは活動の面におき、或いは予防の面において、誠に將來が明るくなつたという考えをしております。この火災調査でありますが、これもすでに損害であるとか、或いは原因であるとかいう点は、それぞれ研究をし、又これに当つておるのでありまして、ここに本章が挙げられまして盡されておると私考えられるのでありまして、私共將來消防上におきましても、実体法がここにできましたことを私共非常に喜んでおると同時に、將來消防の発展ということは、これまで声を大にして何かと施設や或いは宣傳などに努めておりましたけれども、なかなか徹底し得なかつたと思うのであります。その点は、要するにこれまで消防としての独立法がなかつたことと、これに対しまするところの実体法がなかつたという点が結局根本原因をなしておつたのではないかということを、私共は現地署長として考えておるのであります。本法がここに法律として御制定になりまするならば、私共は非常にこの法のよつて以國民福祉に、公共福祉に寄せられる点が多々あるであろうことを痛感しておるのであります。
  14. 吉川末次郎

    委員長吉川末次郎君) 重ねて証人の方に失礼ですが申上げますが、総括的に抽象的な立場で、この法案が必要であるとか、こういう法律が必要であるとか、或いは消防組織法のみあつて実体法がなかつたのであるから、実体法としてこれができることは結構であるというような、この法案の法定的な立場の御証言勿論結構でありまするが、ただそれだけでは、実は多少我々にはあつけない感じがするのでありまして、特に皆樣達に今日御出頭を願いましたのは、先に申しましたように、皆樣達の実地の御経驗に基いて、もう少し綿密に、もう少し深く掘り下げて、この法案中心として批判的な見地から、こうこういう個所についてこういうような再考の余地があるのではないかというようなことを、もう少し深刻にいろいろ批判し、又指摘して貰いたい。それを皆樣達の貴重な長い間の御経驗から言つて頂くことを期待いたしておるのでありますから、どうぞそのおつもりで、多少我々にあつけない感じを與えますような抽象的な総括的な法定論というようなものでなくして、もつと綿密な深刻な掘り下げた一つ証言を成るべく伺うことができれば非常に結構だと我々は思つております。それで途中でありますが、尚我々の委員会では、この法案相当に逐條的に今まで審議して参つたのでありますから、どういうことが特に問題になつておるかということを、証人の方にも多少御理解を願う意味におきまして、本委員会において今日までの審議の途中において、特に今日政府委員諸君に來て貰いまして、それはこの消防廳側の役人の方でない他の役所の政府委員に來て貰いましてお伺いいたしたいと思つておりまする二、三のことを、私から代りましてちよつとこの機会に一、二お尋ねいたしたいと思いますから、御答弁願いたいと思います。  先ず建設院水政局長の方に御答弁願いたいと思うのでありますが、今申しましたように、この委員会におきまして、二、三の委員諸君からこういうことが問題になりました。この消防法案は、火災は勿論水災の場合にも準用することになつておるのであるが、水害に際して本法準用するという場合において問題となるべき事項がありとすれば、どういう点が問題となるべき事項であるかというようなことについての一つ意見を御開陳願いたいと思います。
  15. 目黒清雄

    政府委員目黒清雄君) 大体この法案を見ますると、火災が主のようであります。水災に対しては、準用する程度の附け足りのような感じがするのであります。勿論水災火災とを一緒に一つ法案を作るということは、恐らく根本的に不可能なことではないかというふうな感じがするのであります。と申しまするのは、火災は比較的都市或いは一局部的な問題でありまするが、水害に至りましては、大きな面積、或いは関東地方、或いは関西というふうな、大きな区域に亘つて起る問題であります。從つて局部的な問題としてこれを片付けるということは殆んど不可能であるのであります。これがこの法案に盛れないだろうと思われる第一点であります。  次に、河川は管理者は都道府縣の知事であります。即ちころが公共的な施設で、当然この管理者がこれに対して水防を行い、或いは町村をして水防を行わしめるというような形に持つて行くべきだろうと思うのであります。一方火事は、大体において私有財産といいますか建物対象であります。そこにこの二つの相違があると思うのでありまして、もう一つ火災予防水害の予知といいますか、これはまるで違うのであります。水害は御承知の通りに氣象に支配されることが非常に多い、從つてこれに対して事前にこれを予知し、それに対策を講じなければならん、或いはある程度講じ得るのであります。尚又相当出水がありましても、この欠陷早期に発見されますれば、この災害を未然に防止し得ることが、たまたまあるのでありまして、この点におきましてもまるで火災とは違うと思うのであります。  次に、消火消防技術水防に対する技術とはまるでこれも差があります。消防技術を以てしてこれを直ちに水防技術に轉化するというようなことは恐らく不可能であります。ただ実際問題といたしまして、水防の行われておる下部組織は、或いは水害予防組合とか或いはその他の商工業團体活動しておりますが、この人そのものは恐らく消防團員であり、或いはそれに類する人で同一の人間であるということが考えられるのであります。例えばこの條文でもありまするが、準用をするといういろいろの條文がありまするが、すべて火災中心にして考え條文でありますので、このままこれを水防準用するということにいたしますれば、ある程度これも修正を要するという点があると思うのであります。一々挙げればありまするが、というようなわけで、これは消防活動第一線部隊水防活動をするということは肯けるのでありまするが、この消防法を以てして、水防法律に当てるというようなことは不可能じやないかと、こう考えております。
  16. 吉川末次郎

    委員長吉川末次郎君) 先程來の三名の政府委員以外の証人の方に対する御質問は一括して、全部の政府委員以外の証人証言が終りました後にして頂くことにいたしまして、議事の便宜上只今建設院水政局長の答弁に対しまして特に御質問等がありましたらお述べを願いたいと思います。
  17. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 お尋ねいたしまするが、例えば埼玉縣において荒川とか、元荒川とか、そこの村落の消防組というものは、水防組でも消防團防火をやると同時に水防もやる。それだから防火のための消防点檢もやれば、又年に一回か二回は水防演習もやる、こういうことになつて、そういうことから言えば消防という中に準用規定を設けることも、そう不自然ではないということが言えると思うのです。大都市の場合にはそうは行かないだろうと思います。おつしやる通り水防防火とは全然防禦も違つておる。練習も違い、本当言えば組織も違わなければならん。その防禦の器具なんかも全然違つて來るということはあると思います。將來もつと完備すれば、水防法というものを設けてよいかも知れないが、まあ消防法準用するという程度にして置いたらよかろうと私は思う。そこでこの水防法ができないとすれば、この消防法でこの準用以外に差当つて水防について何か規定を置くことはないだろうかというようなことが氣になる。この外に水防関係規定はないわけでありますから、足らないところがあればこれに加えて置きたい。こう思うのです。
  18. 目黒清雄

    政府委員目黒清雄君) 全く人の実態はその通りであります。町村に行きますと、消防組が今の水防組合の役員であるというのが当然で、その通りであります。実際両方活動いたしております。それでこれを若し水防に必要なようにこの消防法を変えるといたしますと、まあ一番問題になりますのは、知事が今の公共物管理者であるということから、これは町村單位にできておるようでありまするが、それを知事町村との結び付きをどうするかということが、当然これは起つて來るだろうと思います。それからもう一つは両方も問題でありまするが、火事が起つてから、或いは警報も今のように氣象台から出ます警報警戒警報程度と言いますか、或る意味においては水防より軽い意味でありまするが、若しこれを警報を出すといたしますと、これでは町村長、或いは水防長が出すようなふうに考えられますが、こういう局部的な警報では到底間に合わない。やはり縣を單位にするか、或いは地方單位にするかして警報を出さなければならん。警報発令者は当然そういうふうに考えなくちやならんという問題がここにあると思います。それから予防或いは堤防の監視といいますか、これに対する義務付けるものが全然ありません。これを怠りますと、結局水防は何もならん。水害が、堤防が崩れてからの防禦や救護は、これは消防組でも、何でも一般の人でも、警防團でもできますが、その前に堤防を切らさんということが非常に重要でありますから、これをもう少し義務付けないと水防にはたらん。それから最後の費用の問題でありまするが、現在は我々の方でも、これは公共團体の負担でありまするが、公共團体でも負担し切れないという現状であるので、國で以て補助をしなければならんじやないかというふうに考えておるのであります。これには消防費用というのは、恐らく公共團体じやなく、町村の負担のように考えられまするが、町村のみの負担に水防を任して置くということは、厖大な資材と器材をあれする関係上恐らくやつていけないのじやないかというふうに考えられます。費用負担の点でちよつと行き悩みが生じておるようであります。こんなふうな点が一應考えられるのであります。
  19. 吉川末次郎

    委員長吉川末次郎君) 更に水政局長にお尋ねすることがございませんでしたら、次に移りたいと思いますがよろしうございますか……。  それでは次に移ります。建設院の建築局長にお尋ねいたしたいと思います。さつき申しましたように只今までの審議中におきまして、本委員会で問題になりましたような点を代弁して申上げるのでありますが、委員の方におきましても私が申上げることで不十分にお思いになる点がありましたら、どうぞ補正して頂きたいと思います。伊藤五郎君にお尋ね申上げたい点は、消防法案の第七條によりますると建物新築、増築、改築等は從來の建築許可手続の外新たに市町村消防長又は消防署長の同意がなければ許可又は認可をすることができないという規定になつておるのでありますが、この点についての政府の見解、あなたの建設院立場からの見解を承わりたいということが第一点であります。  第二点は、この法案の第五條によりますると、火災予防上必要があるときは建物の改修、移轉、使用禁止等の処分をなし、又この場合損害の補償をなすことになつておりまするが、市街地建築物法の第十七條によりますれば、行政官廳が同一の命令をすることができるけれども、これに対する損害の補償の規定というものが、市街地建築物法には規定されておらない、この点についての政府の見解を承わりたいと思います。右の二点についての御答弁をお願いします。
  20. 伊東五郎

    政府委員(伊東五郎君) お答えいたします。最初の第七條の問題でありますが、実は今日始めてこれを拜見いたしましたので、まだ上司とも相談いたしておりませんけれども、私建築局長としての意見を申上げたいと思いますが、この第七條につきましては遺憾ながら私反対の意見を持つておりまして、削除或いは相当修正をして頂きたいと考えております。その理由を申上げますが、第一点は「建築物新築、増築、改築、移築、用途変更又は使用について許可又は認可をする権限を有する行政廳は」、これは現在建設院の出先府縣におります者、又は知事でありますが、これが建築の許可をいたします場合に消防長又は消防署長の同意を得なければならんということになつております。この法律によりまして、消防長又は消防署長の與えられております権限火災予防上どうであるか、こういうだけでありまして、具体的に規定がないのであります。全く消防長又は消防署長の判断常識に俟つということになつておりますが、実はこの点につきましては先程もお話が出ましたように、市街地建築物法、それから出ておりますいろいろな規則がございます。その中には防火関係のことが可なりの部分を占めておりまして、これには詳細具体的に規定がしてあるわけでございます。それとこの規定関係になりますが、具体的に法律に基いた規定を政府が出しておりまして、更にそれも規定するというのが、何ら具体的な規定なしに消防長、消防署長の自由に判断によつてやるという点が如何かと思うのであります。  それから第二点は、これは苟くも建築物は全國津々浦々まで、それからたとえ一坪でも、全部の建築について全部同意を得るということになつておるようでありますが、これは実は最近建築の出願というものが相当数ありまして、申請件数が二十二年度四月から本年三月までの統計をちよつと見ましても、全國で百十二万件余であります。東京だけ見ましても十七万件以上になつております。一年間にそれくらいな数がありまして、現在におきましてもこの種類の審査処理がなかなか日数が掛かるのであります。それでしばしば國会でも、いつも何とかもう少し早く処理する方法がないかということを御注意を受けまして、そういうふうに努力をしておりますが、仮に第七條のようになりますと、悉く消防長又は消防署長の同意を得るということになりますと、官廳が違いますから、ここへ一一書類を送らなければならん、そのために相当の日数を要すると思います。それでこの建築関係には現在全國で三千人程の技術官その他を配置しておりますが、こういうことになりますと、消防署にも技術的な判断のできる職員を相当数配置しなければならんと思いますし、それにいたしましても、処理日数というものは相当長引くのじやないか、これはこの案では一應國民に対しては窓口は一本にはなつておりますが、そういう中で許可までにそういう手数を要しますので、結局國民にこれは相当の迷惑を掛けることになりはしないかということを虞けるのでありまして、それらの二点につきましての理由によりまして、第七條は削除或いは修正をして頂く方がいいのじやないかというふうに考えるわけであります。  それから第二点の第五條についてでありますが、市街地建築物法の第十七條によれば、補償なしに命令をなし得る、除却その他の命令がなし得るということがあるが、この点についてのお尋ねでありますが、市街地建築物法の十七條による命令というのは、目前の非常に逼迫した危險の場合を予想しておりまして、家がもう潰れかかつて、生命の危險があるというような場合に対する措置であります。この消防法でいいますような場合には、やはり市街地建築物法におきましても別條がありまして、これは補償する建前になつております。第五條については大体結構じやないかと思つております。但し第五号の四行目の但書がありますが、これは第七條と関連した問題であると思いますから、第七條と一緒に考えなければならんと思います。
  21. 吉川末次郎

    委員長吉川末次郎君) 中井さん、あなたや羽生君なんかが問題におしになつた点でありますが、途中でお出になつたので、私がちよつと代弁したわけでありますが、不十分であつかと思いますが、只今の伊東建築局長の御答弁に対して、重ねて御質疑がありましたらどうぞお申し出を願います。
  22. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 私用事がありまして今参りましたので前の関係はよく分りませんが、只今の御意見について一点お伺いいたしたいと思いますが、非常に煩雜になるということと、それから許可認可の條件が法律規定されていない、はつきりしていないというような点であつたと思うのであります。條件の方は條例で規定することになつて、各市町村が自由にその判断に基いてやるように法令にはなつておるようですが、消防見地から見て、全然いわゆる消防見地に基くことがなくして建築の新築、増築というようなものを今許可しておるのか、或いは現在許可をいたしておる場合に、すでに消防見地から條件を加えて、それに附加して今許可をしておる。であるからして更にそれ以上消防的な見地から條件を附加してやる必要はないという点でありましようか、私事務の方はまだよく分らんのですが、一つそれをお伺いしたいと思います。
  23. 伊東五郎

    政府委員(伊東五郎君) お答えいたします。この條例のことは私今日初めて見ましたので氣がつきませんでしたが、條例で具体的なことを規定するということになりますといたしますと、これは市街地建築物法と関連いたしまして、非常にむずかしい問題になりはしないかと思います。これと違つたものでありますと、多少混和したような点につきましては、國民はどちらを取るかというようなことになりますし、非常にうるさい問題になりやせんかと思いますので、條例ではむしろこれは市街地建築物法関係のものに、消防見地から不備があればこれを訂正するというような考え方で進んだ方がいいのじやないかと思います。それから消防見地から從來やつておるかどうかという問題でありますが、実は現在の資材その他の條件下におきまして、消防見地からやつておるというふうに申上げ得ると思います。ただ現在の資材の状況下においてと申しますのは、御承知のように非常な沢山の住宅その他建築物が戰災を被りまして消滅いたしました、それを復興いたしますために、どうしても、成るべく数を多く建てようということを急ぎますために、とかくこの消防見地が疎かになり勝ちである。乏しい資材で十分なことが行かんということが起き勝ちなのであります。併し法令としましては、十分整備したものがあるのでありますし、又これを多少最近の事情によつて修正しようとも考えておりますが、現在の規定を十分に働かし得ない状況にあるわけでありまして、これは併し終戰後相当年数もたちまして、資材状況も若干はよくなりつつありますので、最近にこの規定なども余り現在の状態でできないようなことは修正いたしまして、現在の事情に合うように多少修正し、そうしてこれを強力に施行したい。それから資材などもついこの第二・四半期から防火建築の目的に若干枠を定めまして、そうしてその規定が完全に働き得るようにしようというふうに考えております。過去におきましては、防火見地ということは、その時時の事情に應じてやつておるわけでありますが、実際問題としては、なかなか行かなかつたということはあるのでありまして、段々この点を改善いたしたいと思います。何分資材の状況に非常に支配される問題でありますので、我々もこの防火の必要は十分認織して、非常に困つた問題だと思つておりまして、努力はいたしておりますが、逐次これを改善いたしたいというふうに考えております。
  24. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 只今の條例の件は、條例が法律に違反した條例であつた場合には、その部分については無効になりますし、又市町村條例が縣條例に違反したという場合にも、やはり重複して……違反しておる部分については無効になるということになりますから、その点は問題はないと思いますが、私の質問をいたしました要点は、現在の建築の許可條件のみで以て、後はもう必要ない、これだけでいいと消防見地からも考えておる、これは資材関係から見て、思う通りには行かんけれども、許す範囲内においては、消防見地からも考えて一緒にその條件を具備するようにして許可をしておる、であるからして更に消防署長の同意を必要としない、こういうことであるならば非常に都合がいい、こういうふうに考えるわけなんです。それで現在建設院において許可しておる條件だけではどうも不足するということが、全國の市町村の特殊條件によつてはあるかも知れない。その部分は條例で規定をするという形になると思うのでありますが、私は全國農村にまでそれが必要だというふうには考えておらないのであります。大都市あたりにおいては、更に消防見地からも、それに加えて條例で規定するということも、或いは必要ではないかというふうにも考えておるのでお聽きしたわけであります。
  25. 伊東五郎

    政府委員(伊東五郎君) 全國一本の規定の外に、市街地建築物法の施行命令の中にも、やはり防火上必要な規定を設けるという規定があるわけであります。ですから東京都について、全國的規定の外に、もう少し追加しようという場合には、その根拠の規定がありますから、これに基いて作れば差支えないわけでありまして、その点も市街地建築物法で整備しております。從つてその外に、建築物新築、増築等に関する限り、他の規定は必要はないと考えております。ただ消火器を置くとか、いろいろな設備につきまして、建築物以外のことについては、これは別問題ですが、建築については、そういうふうになります。
  26. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 先程この第七條規定は、削除又は修正をせられたいという御意見の開陳がありましたが、削除するのはともかくとして、修正するとすればどういうふうに修正したらいいという御意見ですか。
  27. 伊東五郎

    政府委員(伊東五郎君) 修正の案につきましては、今日突然で考えておりませんが、一番困りますのは、先程おしましたように、全建築について同意を得るということは不可能なことじやないかと思いますが。仮にやるとしましたならば、少し限定する必要があるのじやないかと思います。更にこれを個々の事案でなく、何か規定を定めるとか、法律を定めるとか、そういう場合に包括的に同意を得るというようなことにすれば、少しも異存はございません。これは消防見地もございますから、それを取入れてやるということになつては結構なことだと思います。ただこういう一々の事件につきましては、全面的に各個の事件について一々同意を得るという点に支障があると考えるわけでございます。
  28. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 もう一つよろしうございますか、これは我々非常に審議の上に迷つておる問題なんであります。これは非常に重要な問題であります。修正をしたいが、どういうふうに修正したらよいかということを檢討しておるわけです。今の修正について消防署長……御意見聞いてよろしうございますか。
  29. 吉川末次郎

    委員長吉川末次郎君) この問題に関連してならどうぞ。
  30. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 実際やつておられる消防署長立場から見て、現在の建築許可の状況なり、それから見て現在の許可條件だけで、消防的にはもう差支えないんだというふうに見ておられるか、或いは更にやはり條例や何かで補足して行つた方がよいというふうに考えておられますか。実際やつておられる消防署長から一つ忌憚のないところをお聽きして見たいと思います。
  31. 吉川末次郎

    委員長吉川末次郎君) どなたから伺いますか。誰でもよいのですか。立川の消防署長さんに……。
  32. 内城九藏

    証人内城九藏君) 問題の第七條でございますが、私共消防立場からいたしまして、現在の建築物に対しまして、こういう建物が建つから、こういう学校が建つから、こういう工場が建つからして、私共あちらこちらの署長をやつておりまするが、まだこういう点について、これまでも法もありませんし、私共に会議するとか、或いは同意という点がありませんので、結局私共は、そういう方面もこれまで存じておりません。從つて一旦でき上つて、でき上つても、まだ市長の同意を得て初めて調査し、水利調査をし、或いは建物調査して、こういう建物が、こういうものができた、こういう建物で隣接したものに対しては、こういうふうな関係だというようなことで初めて、そういうふうなものを知るというような状態であります。從つて市街地建築物法に掲げてありますが、私共実際見まして、今後におきましては、どうしても消防は、この建築物、ここに掲げてあります第七條の條項でございますが、こういう方面につきまして、防火消防上の見地からいたしましては、どうしても私共は現地における消防署長はこれを知つておらなければならないということは私は強く感じておるのであります。從つてここに法案を見まして、私共この法案を拜見いたしまするときに、この法案根本問題は第七條と私は信じております。從つて実際問題といたしまして、実際の消防対象物はかような第七條に掲げておる問題が大部分であります。そういうような際におきまして、消防が、それを許可認可という点について強力なる権限ということは別問題といたしまして、これに対するところの消防施設、或いは防火施設であるとか、或いはその設置する場所であるとか、周囲の状況であるとかいうような点については、結局これに対しましての関係を持つて行かなければならんと思うのであります。從つて建築物方面火災等を見ましても、私共ここでは場所も名前も憚かりまするが、実際に中学校を建築する、そういう話がありましたので、私はあそこには水道がないし、施設もない。故に厖大なるそういう建物を建てるならば、貯水池か何かを作つて、或いはプールか何かを作つて、そうして実際におきまする火災予防の責任者であるとか、こういう点はとにかく御心配願いたいということを良心的に注意勧告したのであります。併しながらそれもなさらずに、ただ原つぱのところに大きな建物を作り始め、資材も入れてそうして実際に建設に当つた。防水壁もできて、簡易防火壁でありますが、それも施設されたようでありますが、それに対しまして大体建築も大分できてから僅かの不注意から災害に遭つて全燒してしまつたというような点、こういうような点につきましても、どうしても予防という点からいたしまして、或いは消防という立場からいたしまして、この点についてはどうしても消防が、この第七條の條項から、削除されるということは、私共は実際問題として遺憾と思うのであります。どうしてもこの点は必要であろうと思うのであります。
  33. 吉川末次郎

    委員長吉川末次郎君) 地方財政委員会の事務局長にお尋ねします。これも委員会におけるところの審議の経過に伴いまして、他の委員のいろいろ御質問のあつた点を私代弁いたすわけでありますが、この消防法案によりますと、市町村損害賠償をする場合が規定してありますが、國家賠償法との関係はどうであるか、並びに地方財政との重大の関係があると思うのでありますが、そういう点について檢討を要する点がありはせんかと思うのでありますが、地方財政委員会の事務局長の立場から見解を一つ伺いたい。地方財政委員会の事務局長は見えていないのですか。代りの人も見えていないですか。誰も見えていない。それではこれは又後のことにしまして、もう一点、一つ代弁して私よりお尋ねいたしますが、法務廳の調査意見第一局長が見えておりますね。
  34. 岡咲恕一

    政府委員(岡咲恕一君) おります。
  35. 吉川末次郎

    委員長吉川末次郎君) あなたにお聽きしたいことは、國家賠償法によると「國又は公共團体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、國又は公共團体が、これを賠償する責に任ずる」となつております。けれどもこの消防法案の市町村の災害補償は右の限度より相当拡張しておるようであるけれども、本法案の條項の適否についての法務廳の見解をこの機会一つ伺いたい。
  36. 岡咲恕一

    政府委員(岡咲恕一君) お答え申上げます。國家賠償法によります損害賠償は公権力の行使に当る公務員がその職務を行うに当りまして、不法行爲をいたしました際における賠償責任でございまして、國家賠償法の考えておりまするこの法律要件と、本法案において國若しくは公共團体ですか、損失を補償いたしますのは、これは不法行爲でございませんので、五條或いは二十九條に規定いたしてありまする消防長、或いは消防署長、或いは消防職員の適法なる行爲に対しまして、私人に財産上の負担を與えるという場合にその負担を補償するというのでございまして、その法律要件とは全然相違いましております関係上、國家賠償法で認めておりまする損害賠償と、本法案に認めておりまする損失補償とは一應関係もございませんし、從いまして國家賠償法の認めております以上の損害賠償を本法律案によつて認めておるというふうには考えられないであろうと考えております。
  37. 吉川末次郎

    委員長吉川末次郎君) 尚法務廳から見えておりまする政府委員に対して御質問等がありますれば、お述べ願いたいと思います。ございませんか。なければ本日御出頭証人の、政府委員以外の証人の方の証言を続行いたすことにいたします。
  38. 岡咲恕一

    政府委員(岡咲恕一君) ちよつと補足的に申上げたいことがございますが……。
  39. 吉川末次郎

    委員長吉川末次郎君) それでは法務廳調査意見第一局長。
  40. 岡咲恕一

    政府委員(岡咲恕一君) 先程拜聽いたしました第五條と第七條関係が、非常に重大なる條項のように承つたのでございますが、私もこの法案を拜見いたしまして、この二つの條文は非常に潔い相関関係がございますので、特に若し御修正になるようなことでもございましたならば、格段の御留意を煩わしたいと存じます。と申しますのは、若し第七條が、建築物に関する新築その他に関して許可或いは認可を要する権限官廳が、その官廳限りで建築の許可を與えるというようなことになりました場合に、そういたしますと、必ず五條の但書というものは多少の修正を受けなければならないと思いますが、そういたしますと、折角建築が行われましたにも拘わらず、消防見地から、その建築物に対して除去或いは工事の停止、中止というような命令が行われる機会があるであろうと想像いたすのでございます。そういたしますと、一般人民といたしましては、折角認可があつて家を建てて間もなく、又別の機関によりまして、その建物の撤去を命ぜられるというふうなことになりますと、非常な負担を與えることになりますし、國家といたしましても、或いはそのままにしておけないというので、それを補償する。或いは不服である場合には裁判所に取消しの訴えを起すというふうなことになりますので、成るべくそういう関係將來起りませんように、五條と七條とを十分檢討して頂きまして、苟くも認可が與えられるならば消防長又は、消防署長は、その建物に対して消防上の見地から必要とする措置を講じなくても済むというふうに事柄が取運ばれますように、一つ法案の御檢討を願いたいと考えるのであります。蛇足を申上げるようで恐縮でございますが、一應参考までに意見を申上げたいと思います。
  41. 吉川末次郎

    委員長吉川末次郎君) 次に千葉縣市川市の常備消防の次席である尾館春治君に証言を願います。
  42. 尾館春治

    証人尾館春治君) 私は常備消防員の一人といたしまして、ここに常備消防員というのは明文に全然ありませんが、全國に相当な常備消防員がおられると思うのですが、職務を執行するに当りましては、明文には市町村長、これが消防長若しくは消防署長になつておりますが、実質的には團長そのものが命令を下すのであります。それで常備消防員と、義勇消防、要するに地方消防團員は、その限界がどうもはつきりいたしませんので、もう少しはつきりして頂きたい、そう願うのであります。
  43. 吉川末次郎

    委員長吉川末次郎君) 次に東京府中町長の森谷森三君の証言を願います。
  44. 森谷森三

    証人森谷森三君) 第七條関係で些か所見を申述べさして頂きます。  建築池の新築、増築、改築等の認許可権は、これを当該建築物の工事施行地を管轄する消防長又は消防署長意見を徴して、その権限地方公共團体の長に與られるように、第七條の御改正をお願いいたします。その理由は、衞生、日常生活の利便或いは資材の面等、各面から檢討いたしまして家屋の新改築等をされるのでありますが、最も強く檢討せねばならんことは、消防見地でございます。それが理由でございます。  もう一つは、消防の行動の経費は、当該公共團体が負担をするということが原則になつておりまする関係上、その区域を統轄するところの公共團体の長が、その許可権を持つということは、即ち行政の裏付けとなるところの経備を負担するところの長がこれを持つということは、当然であると存ずるからでございます。
  45. 吉川末次郎

    委員長吉川末次郎君) 次に日本損害保險協会火災技術部の調査課長である亀井幸次郎君の証言を願います。
  46. 亀井幸次郎

    証人亀井幸次郎君) 第四條と第七條を見まするに、第四條予は防の面におきまして「当該消防職員にあらゆる仕事場、工場又は公衆の出入りする場所」という文句がございますが、最近の学校火災に鑑みますと、その中にどうしても学校という文字を入れて貰いたいのであります。それは第十七條設備の点におきましては、いきなり「学校、工場事業場」という言葉になつておりまして、片方の方では、設備のところで明らかに学校という言葉を入れておりながら、第四條においては学校に対して予防査察ができる途が、「公衆の出入する場所その他」というものを、学校にまで拡大して解釈していいならば話は別でございますが、若しそうでないとしたならば、それを入れて頂きたいと思います。  それから第十九條と二十條の問題でございますが、二十條におきまして、「消防に必要な水利の基準」という言葉がありまして、これは國家消防廳がこれを勧告するということになつておりますが、水利のみならず、消防に必要なという消防対象物、殊に都市の問題を考えますと、これを綜合的に考えねばなりませんので、「消防に必要な」の次に「施設及び水利」という言葉を入れて頂きたいのであります。それによりまして、國家消防廳が一つの基準を作り勧告するというな段取りにした方が、水利のみならずその他の諸條件が具備されて、始めて消防の効果が挙ることは申すまでもないのでありますから、第二十條中「消防に必要な」の次に「施設及び水利」という字を入れて頂きたいと思います。例えば消防のポンプの台数をどのくらいにしたらいいか、或いは望楼の数をどのくらいにしたらいいか、或いは各種施設としても非常報知その他の設備は何台くらいどこどこにどういうふうに分布したらいいかというような基準が決められてこそ、始めてその土地の綜合的に消防力が発揮されるのでございますから、「施設及び水利」というように入れて頂きたいと思います。  それから二十三條でございますが、二十三條の中のおしまいの方で、これは私共が常時強く主張しておる問題の一つなんでございますが、戰時中折角我々が努力しまして、そうして防空法の中におのおの防火群というものを作りまして、隣組の消防に対する義務付けをしておるのでありますが、消防法につきましては、こういうものは全部抜けておるのでありますが、特に我々の希望して、最も金を掛けないで端的にできるものといいますと、二十三條の「一定区域内におけるたき火又は喫煙の制限」の次に、「若しくは消火用水の準備をせしめる」という字を挿入して頂きまして、制限の次にある「をする」を除いて頂きますと、大体私共の望んでおる……即ち段々この火災警報というものが最近出されるようになりまして、特別火災警報、普通火災警報というものがありますと、その火災警報に應じました、その都市民なり、國民の初期消火に対する義務付けというものが、どんなにかボヤを、火災を防ぐことができるという現実は、すでに幾多の実例を以て証明することができますので、我々としましては、そこにその戰爭中にバケツを一應用意して、二つ炊事用のバケツと、それから消火用水のバケつと、二つ用意して頂きまして、消火用水のものは、いつでも特別火災警報が出たときには、水を張つて置くだけの用意が、今の脆弱性を持つた木造建の家屋に住け我々としては、当然必要じやないかと、こう思いますので、こういう條項を一つ入れて頂きますと、大変いいと思います。  それから先程の第七條でございますが、第七條におきましては、私共建築を出願しまして、それから建粕物法の草案当時から私関係しておりまして、大体建築物法というものは、アメリカのフアイアー・アンダー・ライタース・ビルディング・コードを翻訳したものでありまして、少くとも防火ということがその根本なんであります。それで、それはそれを一本にしたいというので、これが法案としてできましたものは、今度はこれは一本に、建設院の当該管廳にこれを縛めて今練苫りをしておりますし、先程建築局長から話があつたように、材料の必然的なにらみによつて、不本意ながら、非常に火災に、それに消防の統督に携つておる人が、消防力を発揮できないような位置に立つておるということはこれは現実なんでありますが、それは先程局長が言いましたように、材料の然らしむるところであつて、それを現在持つておる方を許可して頂けば、少くともその事由は除かれるのじやないか。我々の方から言わせますれば、もう一つ窓口ができて、書類を提出しなければならぬ。それでなくても、一月も二月もかかるにの、尚又それによつて手が込まされますということになると、最初に出したときに大分、幾ら幾らと許可になつたものが、それにプラス・アルフアーしなければ建築ができないということになると、非常に大きな迷惑を及ぼすと思いますので、この点は十分御考慮を煩わして頂きたいと、こう思います。
  47. 吉川末次郎

    委員長吉川末次郎君) 尚亀井さん、何か保險業者の立場からお話しになることはありませんか。
  48. 亀井幸次郎

    証人亀井幸次郎君) 保險の方の立場といたしましては、その二つを入れて頂きますと、大火災防禦することによつて現在の國民に大きな負担を掛けておることが軽減できますので、我我の方といたしましては、二十條、二十三條並びに先程申上げました七條の点を申上げれば、一應済けのでありますが、前にいろいろ陳情したこともございますが、この陳情したことにつきましては、そういう打割つた話でございますが、大体盛られておるからいいだろうという我々の方の責任者の言葉でありましたから、それ以上申上げませんが、ただ國家消防廳で基準を作るというようなこと、器材の檢定という点が大分はつきりどこにも出ていない。檢定という面が、國家消防廳の方で完全に取上げて頂くようになつていない。ただ勧告するだけであります。それからもう一つは、今の二十條に関連するんですが、自治体は、その最小限度を設備しなければならんことを規定して、ここにこの規定を入れて頂きたい、つまり水利條件の最小限度をどの程度にしなければならんかということ、そういうことを入れて頂きたい。それだけであります。要するに今度の保障の立場におきましては、今までは單に保險契約を取ることばかりでありましたが、家を燃やさないことにすることの方が、結局保險の方からも相当利益であるので、それで保險の公共性というものに、重きを置くという建前になつておりますので、家を建てる場合においては、家を燃やさないように、大火にしないようにということの方に動いておりますから、今の二十條、二十三條並びに七條程度であるということに……。
  49. 吉川末次郎

    委員長吉川末次郎君) いつかあなたが代表者になつて、防訓のことについて、我々の委員会に御陳情になつたことがあると思いますが、これはこの法案に関連性がないことですか。
  50. 亀井幸次郎

    証人亀井幸次郎君) 関連性が非常にあります。
  51. 吉川末次郎

    委員長吉川末次郎君) この機会にお述べになつたら……
  52. 亀井幸次郎

    証人亀井幸次郎君) じや言わして頂きます。條件が五つあります。その一つは、二十條でできておりますから略さして頂きます。第二の消防用品の製作ですが、今の十九條に関連します。十九條の「消防の用に供する機械器具及び設備の規格は」云々とあります。併し私共の方としましては、それらに対して、規格及び基準、更にそれらの製品に対しては、制定をなし得るがごとき條文をどこかへ入れて頂きたいということでありますけれども、その理由といたしましては、各種消防器具及びその他の消防に関する諸機械の製作及び販賣に対しては、一定の規格を與え、その製品に対しては、一定の基準を與えなければならんということの法律上の根拠を欠いておるということであります。これも我々の方で檢討したが、勧告するという言葉が出て來たのは、民主化されたので、これを上の方から命令するのでなく、下の方から自主的にやるというので、勧告という言葉が出て來たと思います。併し製品がばらばらにならないで、消防器具その他の機械が消防能力を達するような基準を定めて欲しい。その三であまますが、これは先程言いましたが、バケツの用意ということでありりすが、この点は省略いたします。一審当初におきまして、消防総監からも話されましたからこの点は省略いたします。第四でありますが、これはちよつと、我我の方としましては、おこがましいと思いますが、その條項が、第三十三條におきまして、災害があつた後におきましては、我々はこの場合その場所に立入れるということになつている。事前に立入るということについては、ちよつと我々の方としては出過ぎじやないかというので引つ込めたが、第三十三條におきましては、この條件が入つておりますから、これはこれでいいのじやないかと思うのであります。即ち「消防長又は消防署長及び関係保險会社の認めた代理者は」云々とありますが、これはこれで充たされている。但し前に我々は、我々の方の仕事が、契約物件の予防と、それから予防の面、その予防に対する技術の面が、大体我我の方の仕事の主たるものであるということから、その線に沿うて行こうとしておつたが、考えて見ますと、その契約物件が、都市全体の一割、大体一割か二割ぐらいのもので、そういうことをやつて見ても、却つておかしいという結果になりますので、それを省略さして頂きます。アメリカのごとく、逆に契約物件が八〇%で、契約にならないものが二〇%といつた場合には、こういつたことは当然行わなければならんと思います。これはアメリカの場合でない。日本の場合であるからそれでいい。それから第五の條件は、電氣器具に対する檢定の問題であります。これは電氣條項の方にありますから、これは消防法の中に入れなくてもいいだろうというので、これについての意見を省略したのであります。第六の條件は、危險物品に対する貯藏の問題でありますが、これは今度の中によく取上げられておりますし、この貯藏に対する條件というものは、はつきりしておりますから、これも今回陳情は必要ないということを考えておるのであります。
  53. 吉川末次郎

    委員長吉川末次郎君) それではこれで証人証言を終つたわけでありますが、証人証言並びに尚残留臨席の政府委員等につきまして御疑問がありましたらお述べを願いたいと思います。
  54. 黒川武雄

    ○黒川武雄君 予防部長の茂野さんにお願いしたいのでありますが、先程消防自動車の速力を六十キロを八十キロに直して頂きたいという御意見でありましたが、消火消防署に帰るときの速力等は普通の交通規則でよろしいのでございましようか。
  55. 茂野柾次郎

    証人茂野柾次郎君) 私共消防といたしましては、帰る場合におきましてもいつ何とき又次の火災に備えなければなりませんので、分秒を爭つて車庫に帰りたいわけでございますが、実際問題といたしまして、あらゆる交通の優先権を持ちまして出場いたしますので、この点は行きが何といつても大切でございますので、希望といたしましては、帰りも成るべく早く帰つて來て次の火災に備えたいというわけでございますが、行きだけの優先権を與えて頂ければ差し詰め防禦に支障ないと思います。
  56. 岡田喜久治

    ○岡田喜久治君 建設院の建築局長にお尋ねいたします。例の七條の問題に絡まりましてあなたの御意見御尤もな点が多々ありまして、十分参考になつたのであります。但し一番我々の心配するのは、電氣工作物、殊に電氣架線ですね、あれが非常に火災原因になるのは御承知の通りですね。あれは建築許可の際にはどういう程度の審査をやつておられるのですか、あれはやつておられんのじやないですか、別に架線の……。
  57. 伊東五郎

    政府委員(伊東五郎君) 電氣工作物などの規定は別に商工省関係から出ておりまして、建設院関係の市街地建築物の方ではやつておりません。
  58. 岡田喜久治

    ○岡田喜久治君 やつておりませんね。あれは何ですか、電氣架設物の許可規則というようなものが商工省にあるのですか。
  59. 伊東五郎

    政府委員(伊東五郎君) あるのでございます。それでちよつと速記は止めて下さい。
  60. 吉川末次郎

    委員長吉川末次郎君) 速記を止めて。    〔速記中止〕
  61. 吉川末次郎

    委員長吉川末次郎君) 速記を始めて。
  62. 茂野柾次郎

    証人茂野柾次郎君) 全國一般につきましては、取り炭、焚き火というものが首位を占めておりますが、都会におきましては今言われましたが、電氣関係が首位を占めております。併しこの首位を占めておりますものは配線関係も勿論多いのでありますが、王座を占めておるのは電氣器具の取扱いの不完全、悪いということ、こういうものが占めております。電燈の配線等につきましては末だ東京消防といたしまして一般家庭のものにつきましては、何らの権限もございませんけれども、市民の許可を得まして指導的にヒユーズの取換え、配線の抵抗試驗等をやつておりますが、火災予防、失火予防の問題につきましては、先程申し上げましたように、電氣関係でございますので、この面につきまして、建築と併せて強い法規が欲しいものと考えております。
  63. 岡田喜久治

    ○岡田喜久治君 続いてその問題でお尋ねして見たいのですが、これは毎年一回とか、半年に一回とか、期間を決めて一齊に所轄内の電氣工作物を中心に、その他のものに関係したことを調べるのも当然でありましようが、主として電氣工作物に関する取調べをするというようなことが今度の消防法でやり得るわけだと思います。権限の上においては十分にやり得る。実際問題としてそれをやつて見ることにしたらどうなるだろう。非常に人手が要るだろうとか、專任者を要するだろうとか、或る程度人員を要すれば消防でやり得る筈だ、やつて見たいというような点についての御意見はどうですか。
  64. 茂野柾次郎

    証人茂野柾次郎君) 只今その実例としまして、先程消防総監からちよつとお話が出ましたGHQ並びに八軍の東京都内におきまする建て物につきまして、建築物のでき上りましてからの檢査、それが済みませんと東京都では金を拂わんことになつております。並びに電氣関係その他の関係、すべて消防廳にあります以上の権限を與えられております。それを六十名の檢査員を以ちまして、これは專門の消防手上りの者もございまするが、中に大学、專門学校等の者もやはり消防の学校に入れて卒業した者、これらの者が半々ぐらいの程度に寄りまして六十名が定期的に檢査をやつております。このために最も進駐軍関係火災の中、やはり王座を占めました電氣関係火災並びに煙突の不完全のための火災、こういうものは一年々々と減少といたしまして、本年は件数におきましても、損害におきましても驚くべき減少を示して來ておるわけでありますので、只今言われました権限が與えられますならば、この今十六名でやつて実績を挙げましたごとくに、東京都内におきましても火災件数におきましても、損害におきましても必ず実績を挙げて見ることができると信じておる者であります。
  65. 岡田喜久治

    ○岡田喜久治君 それでは何ですか、一齊に全部調べておるのですか、新築に拘わらず、即設の建物、若しくは建設物に対しても、各戸毎に半年に一回ぐらいずつ調べて行こうということになつておるのですか。
  66. 茂野柾次郎

    証人茂野柾次郎君) いろいろ只今第一相互のマツカーサー司令部というようなオフイスにつきましては、向うの命令によりましては二月に一回以上はやれというような命令が來ておりまするが、近時住宅の方が非常に殖えまして、而もその住宅は木造が多うございますので、その関係上、鉄筋コンクリートのものにつきましては、多少手を拔きまして、あとは特に木造のものにつきましては、一月に一回ぐらいの割でやつております。
  67. 岡田喜久治

    ○岡田喜久治君 大変結構ですね。そうあるべきだと思います。その筋の関係から來ているわけでありますね。今度は消防法に根拠して当然やり得るのでありますから、やらねばならん。そうして改修命令、改造命令を出し得るわけでありますから、そういう方面に向つてどういても力を一層注いで頂くようになると思います。
  68. 茂野柾次郎

    証人茂野柾次郎君) 今申し落しましたが、現在やつておりまするのは、東京都におきましては、公衆集合所取締條例並びに危險物取締條例、この二條例を三月七日からでありましたか、公布されまして、これによりまして、公衆集合所につきましては消防法に則つてつております。危險物につきましてもやつております。普通一般の建物につきましては、大体各消防署におきまして、不定期的にその町内の人々の協力を得ましてやつており、全般的には秋の防火週間中に各署一齊にこれも市民の協力を得まして宣傳かたがた火の元檢査をやつております。こういう程度でございます。
  69. 岡田喜久治

    ○岡田喜久治君 分りました。有難うございました。今度は保險協会の方にちよつとお尋ねしたいのであります。今まで保險協会で超過保險の取締というか、それの超過保險を避けるために実際どんな程度の仕事をおやりになつているのですか。申合せ、契約の内容とか、実際やりつつあるやり方とか、或いはその結果、尚且つ事実において超過保險に対する事実が相実あるのかないのか、それらの点に関して少し御説明を願いたいと思います。
  70. 亀井幸次郎

    証人亀井幸次郎君) 保險につきましては、甚だ恥かして話でございますが、僅か一年前に突入したばかりで、目下非常に勉強中なので、保險協会としての答弁はちよつと私としてはできませんが、最近に起きました事実からしまして、大体業者間の契約がございまして、そういう起過保險については契約破りというふうになつて、懲罰をするような仕組みになつております。
  71. 岡田喜久治

    ○岡田喜久治君 どんな程度の懲罰でありますか。
  72. 亀井幸次郎

    証人亀井幸次郎君) それがどの程度であるかということにつきましては、勉強しておりませんから分りませんです。それで例えば無意職の中に調査不行届きの中に、あとで災害がありましてから、超過保險だつたということがありますが、最近では料率委員会というのがございまして、そこで各当核関係者が皆集りまして、契約対象物につきましては、超過保險をしないような仕組みになつておりますが、代理店を経由して來まして超過保險になるようなことがたまたまございますので、それに対する関係会社の責任者が集りまして、いろいろ契約を破つた場合の罰則等を作つておるらしいのですが、我々はそういうことを今までちつとも内容は聞いておらないので、残念ながらお答えはできないと思います。
  73. 岡田喜久治

    ○岡田喜久治君 そうですか。私実は伺つて見て大体の相樣は分りますが、実は意外に思うんです。どうかしてこれは超過保險の取締の励行手段をどうも取る途がないかと思つて、例えば地区別に皆各代理店が相当に保險協会か何かに対して、それの届出でを義務付けた。これに対する監査、監督の專門的な仕事を扱つて行く、これに対する違反事件に対しては極めて嚴重な処罰を與えて行く、商工省はこれに対して極めて嚴重な監督をするというようなことは当然あるべきじやないかと思いますが、伺つて見ると余りありそうにないということになるんですね。実際はどうも近時やはり御承知でもありましようが、相当放火原因として超過保險原因というものが実に重大な状態にあるように聞いております。それだけにこれは火災予防見地から見たら大変重大だと思います。そこでいろいろこの案に対しましても修正案が現われておるわけであります。今後保險会社に対しましてこれを義務付けて、只今申したような徹底した一つの取締の手段を講じて行かなければならない。そういうように、ここに消防法制定機会にこれを追加織込んで行きたいという意見が多々あるのであります。それは当然なことと思いますから御異存はありますまいが、それに絡まつて協会の立場から御意見があつたら聞かして頂きたいと思います。
  74. 亀井幸次郎

    証人亀井幸次郎君) その問題につきましては、いろいろな問題が、あるらしいんです。而も大藏省の事務当局の保險課の方からもそういう話がありまして、代理店業者の選定ということを、先ず川下を浚渫する前に川上を十分整理しなければならんというので、末端の代理店業者が直接取るものに対して会社が責任を持つて契約を取る。これに対しては相当責任のある、又筋道の通つたものについて契約をやるようになつておりますが、代理者を経由してやる場合には、いろいろ過去に問題が起きましたので、殊にマーケツトの火災で大きな道徳的損害が重なつて來ましたので、これではならないということで、業者自身が非常に自粛しなければならないということと、それから関係方面よりもこの点については重要な申入れがあつたように思います。從つて今御意見のような線に沿つて進みつつあるということは断言できると思います。
  75. 岡田喜久治

    ○岡田喜久治君 もう一つだけあなたにちよつと御意見を聽いて見たい。それは保險事業と御承知の通り消防施設とは非常に絡まつておるわけで、利害を互いに一にしておるんですね。消防施設がかくのごとき新制度制定によつて、或いは新制度の充実によつてぐんぐん増すことは、直接てき面に保險会社は利得する。保險会社は相当消防に対して助成するとか寄附するとか、樣々のことがあつたと思います。これを制度の上から何か考えて見たいというのが一つの構想ですね。もう一つの構想は、税金の形において保險会社から何といいましようか、保險掛金の附加税的の税金の形においてやつてつておる。その税金はいうまでもなく目的税であつて、保險施設の方に全部振り向けるというようなことをやることは、消防施設の向上を図る面においては、現実に効果を挙げんですね。こういう意味において、すでに地方において、すでに地方においてもいろいろ保險掛金に対する附加税金というものを主張する向が多々ある。これをお聞きでしようが、この点に対してどういうふうなお考えをお持ちですか、協会の方の立場から見て……。
  76. 亀井幸次郎

    証人亀井幸次郎君) 極めて適切なお考えなんでございますが、税金の形においてそれを取立てるか、つまり目的税として取立てるか、或いは一遍保險に集まつた金を別の形において融資し、保險目的に、つまり火災保險の方でございますが、災害防止といいますか、火災防止の方に流れて行くようにするという問題になると思いますが、これは日本都市を一應頭に浮かべて御想像下されば一番お分りなんでございますが、まあ消防施設の拡充は無論申すまでもなくやらなければなりませんが、その消防対象物が強化されなければ、いくら施設してもその施設が無駄になるというように考えます。若しそういうことが可能ならば、それに使われる金が少くとも過去に、大正十二年の火災後に行われましたように、その都市の燒ける方向、その他過去の大火災のいろいろな実情に鑑みて、建物それ自身の強化と、それから空地を取り、道路を適切にすること、それから消防対策をやる。そういうように綜合的に事業が流れて行くようにしなければ、單に消防力を拡充しても、飯田の火災のように消防力が動けなくなるようなことになつて消防に全部責任を負わせるようでは、やはり都市火災の防止ということは到底できない。だから税の流し方についても相当御檢討を煩わさなければならない。これは私一個の考えであります。
  77. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 只今岡田委員から御質問がありましたのに関連して、皆さんにお尋ねして見たいと思うのですが、この超過保險が放火原因になるということは、これは今非常に行われておるので、これは何とかしてそういうことのないようにしなければならん。そこで一つこの消防法ができるのを機会に、防止の一助になる條文を加えて見たらということが、この委員会の研究題目になつたわけです。そこで例えばこういう條文を書いて見たらどうか。これは皆さんの御意見を聽くのですが、とてもそんな煩雜なことはできないという御意見ならば、それを遠慮なくお聞かせを願いたい。まあ申しますと、火災保險会社は、防火対象物につき、火災保險契約を結んだときは、当該防火対象物の所在地を、管轄する消防廳、又は消防署長に、その契約内容を届出なければならない。これは火災保險会社が火災保險契約を結んだときに、その防火対象物の所在所を管轄する消防廳に届出る、こういう義務を持たせる。それから、そうしますと前項の届出があつたときは、当該消防廳又は消防署長は、國家消防廳の定める基準に從い、当該防火対象物につき超過保險の事実の存否を調査し、著しい超過の事実が存すると認めるときは、当該保險会社に対し訂正の勧告をしなければならない。つまりその保險会社から、こういう契約を結んだという届出があつた。そうすれば消防廳は國家消防廳が予め基準を決めまして、こういう建物についてはこのくらいのことが保險の基準である、それ以上は保險だという基準を作つて置きまして、そうしてその基準に從つて実地の調査をしまして、これは非常な超過保險である。少少の越過保險ならば、これは構わないとして、こういうインフレの時代にはどんどん建物の値が上つて行くからいいようなものですが、著しい事実があるときには、これはおかしいのですから、そういう事実があると認めるときは、保險会社に対して訂正の勧告を消防廳からするということにして見たらどうか、それからもう一つ、今度は火災保險会社は保險契約を結んだ防火対象物につき、毎年一回以上これを調査し、超過保險の事実が存するときは訂正しなければならない。こういう義務を火災保險会社に課したらどうか、これはただ私が、試案として、この委員会で論議されておつたことを書きなぐつた見た案です。大体の考え方はお分りだと思いますが、これについて御意見を聽かして頂きたい。保險会社の方から一つお答えを願いたい。
  78. 亀井幸次郎

    証人亀井幸次郎君) これは至極……。私個人の意見でございますが、内部でもそういう問題がこの夏……殊に大阪の難波マーケットの火災、それから新橋その他しばしば起きる火災に鑑みまして、内部でもそういうものをしつかり決めなければならないという御意見があつたように思いますので、そういう行き方は至極私自身としては結構かと思つております。
  79. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 これで保險会社としては非常に面倒じやないでしようか。一一消防廳に届出るということは……。
  80. 亀井幸次郎

    証人亀井幸次郎君) その点、面倒だとかその他については今のところ内部のことで、そういう消防廳に届出るとか、それから消防廳の意見を聽こうとか、或いはそれから基準を云々という問題がございましたけれども、まだそれにつきましてはしつかりした私自身も、それから内部の意見も纏つておりませんし、ここでちよつと答えられないのです。
  81. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 消防総監意見は如何でしようか。
  82. 鹽谷隆雄

    証人鹽谷隆雄君) 契約の内容を届けて貰うということは我々としては非常に結構なことだと思います。併しながら届出でたものにつきまして一々現地に行つて職員が調査をするという問題につきましては、例えば東京における契約数、それが一日当りどのくらいあるか。それにどのくらいの調査人員が要るかということを仔細に檢討して見ませんというと、ここで直ちに御意見をまだ申上げられないと思います。
  83. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 今のお話ですが、まあ何坪の建物で、それは木造で、保險には幾らかけた。建てた後何年経つておるというようなことで、大体書面で、超過保險であるかどうかということは、大体分ると思うのです。國家消防廳の方で基準を示されれば、それに照し合せて大体分る。これは著しく超過すると思われるものは調査すれば、それ程手数はかからないのじやないか。こういうふうに思いますが、國家消防廳の長官の御意見は如何ですか。
  84. 新井茂司

    政府委員(新井茂司君) 超過保險の問題は、消防見地からも十分関心を持たなければならんのでありますが、只今のような御提案に対しましては、相当のまだ研究すべき余地があるように私は考えます。損害保險契約を締結いたしました際に、消防廳の方に届出るということは、原則的には火災の監視というような点に寄與するところがあるのでありますが、一面から言いますと、これを國家消防廳の定める基準によつてやるということになりますれば、なかなかこの基準というのは具体的に決らんではないか。何坪の建物といいましても、その中に入つている物は千差万別でありまして、これは実際を見なければ本当のところはその契約が妥当なものであるかどうかというような点は分らんと思います。ですから、國家消防廳で定める基準というようなことは拔きにして、保險業者の方でかような届けをすることは一向に差支えないという御意見であるならば、消防廳の方に届けて、そうして超過保險からの放火というような点を予め警戒をするということは結構だと存じます。繰返して申上げますが、國家消防廳の基準の定め方は、この場合非常に実際問題としてむずかしいだろうと思います。
  85. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 私は國家消防廳の方で基準の定め方がむずかしいことを認めますが、併し普通の賣買と違つて、これを賣る場合に非常に嚴格な値段を判定しなければならんという場合ではなくて、非常に著しい超過保險があるかどうかということを認定するに足る基準なんですから、これはお考え方によつて割合そう御心配なく作られるのではないかと思います。これは一つ至急御研究を願つて置きたいと思います。
  86. 岡田喜久治

    ○岡田喜久治君 今の問題から参りまして、やはり亀井さんにちよつと伺つて見たいと思うのです。今岡本さんの提案がこういうことになつておりますことはお聞き及びの通りでありますが、保險協会等にこういうふうな何か事務責任を取らせる方法がないか。又現在の保險法にこの超過保險禁止に関するどういう程度の規則があるものか、実は私承知しませんものでありますから、若しないとすれば、少くとも保險法でこれは規定してもよいです。今の基準でも何でも、超過保險の禁断に関する明快な規定を設けることは当然です。併せて又届出の事務というものを、保險協会というものがあるわけですから、担当これは組織的のものであつて、歴史的のものでもあると思いますから、これに義務付けて、これから消防署に届出るというか、通知さして、消防署がこれを承知しておる場合もある。場合によつて消防署は必要がないかも知れません。保險協会が嚴重にこの取締をやるならば目的を達することができますから、要するに超過保險を禁止すればよいのですから、それについてあなたの御意見は如何でしようか。
  87. 亀井幸次郎

    証人亀井幸次郎君) それについてお答えできる範囲内は、GHQが非常にその点につきまして指導して下さつておりまして、結局今御質問のように、保險協会が、例えば今の基準の問題でありますが、我々の方で建物査定委員会というものができまして、それでかくかくの建物ならば時價どのくらいに査定してよい、それから睨んでこの保險はこの程度で止めるというような線を引くべく、そういう研究は我々の技術部でやつております。その線は、今お話のように、去年の大きな事実に鑑みまして、どうしても業者自身が、殊に協会のあり方といたしましては、そういう方面にできるだけ持つて行くべきであろうと考えております。協会でできなければ、場合によりましては、商法の中の保險法に載せるとか、多分約款にはそういうものが盛り込んであると思うのですが、來る前に約款を十分読んで來ませんでしたので失礼なんですが、約款の中にはそういう道徳的危險に対することが盛り込んであると思うのですが、なければ、十分に入れるべきではないかと思つております。去年の事実と、それからGHQが道徳的危險に対する保險会社の任務というような立場でいろいろ指導しておられますが、恐らくそういう線に漸次副つて行くのではないか、私共そういう希望を持ちまして、與えられた仕事に対して、特に建物の價格の問題は、直ちに損害査定、契約する場合の事前の契約金額の問題が出て來るわけでありますので、技術的に專門家が集りまして、一つの基準を出しつつありますので、恐らくそういう基準は、その線に從つてやられることと思います。それで私といたしまして、今の御質問に対して、然らば保險協会が嚴格にそういう線に副うかどうかということにつきましては、丁度保險協会が殻から脱皮しつつある状態で、殊に占領軍の指導はその線に行くものとして、人員も整備しております。それでその行き方といたしましては、消防廳は無論のこと、各関係官廳と緊密に連絡を取りまして、誰が見てもこれは超過保險できないかと……超過保險の場合には、業者仲間で自主的に大きな罰則があるような結果になるのではないかと、私共はそう睨んでおるのでありますけれども、それがそう行くのだか行かないのだかということにつきまして、明確なるお答えができないことを遺憾といたします。
  88. 岡田喜久治

    ○岡田喜久治君 私は規約や何かに書くなんということではなくて、やはり商法の中に謳うことも一策であるし、保險法でやるのも一つでしよう。商法の中に何か具体的に書いてしまう。これに違反した者は、被保險者も罰を受けるし、又保險会社自身も嚴重な処罰を受けると、こういうふうな程度にまで法規で明定してしまつて、その取扱いの事務の責任を保險協会みたいなものに、場合によつたら任せる。つまりこれは数十社の保險会社が協力して超過保險の結果というものはやるのですから、これは一会社だけ縛つたつていけないから、全面的に義務付けて置く。その事務の集計をしないとその事実が現われて來ないので、そこでこの集計事務を保險協会みたいなものにやらせる。ここまで立法手段を講じなければならんのではないかと、こういう考えなんです。
  89. 吉川末次郎

    委員長吉川末次郎君) 他に御質問はございませんか。
  90. 黒川武雄

    ○黒川武雄君 亀井証人にお尋ねいたしますが、もう一遍第七條に対する保險業者としての御意見を伺いたいと思います。
  91. 亀井幸次郎

    証人亀井幸次郎君) 保險業者としての立場を取るのは、この際遠慮さして頂きます。保險業者としてのやつは先程全部申上げましたのでありますが、一般に第七條は、我々保險業者の仲間でも、一つ建物を届け出るのに窓口が多過ぎる、だから窓口が一本で、つまり消防の目的が達せられるならば、それに越したことはないじやないかという程度の、極めて常識的な業者の意見でございまして、それが新築などをいたします際に、又もう一つ窓口が多くなると非常に遅れてしまう。そのために坪單價がそれだけ高くなるという現時の状態で、それは非常に財政的損害を建築をしようとする者に掛けるというような意見であります。
  92. 中井光次

    ○中井光次君 大体私遅く参つて伺うのもどうかと思いますが、ちようど水政局長がお見えになつておりますので、水防の問題についてかねがね心配いたしておりましたが、大体只今においては消防の第二義的で、水防に対する責任は二義的の意味しか持つておらないと解釈いたして了解をいたしておるのでありますが、然らば大河川の沿岸、或いは大阪のような高潮のあるような市内におけるところの水防に関する根本的の……今までの水防組合というような根本的の法律の措置につきましては、どういうようにお考えになつておりまするか、やつておるのでありまするか。又消防との関連における関係をどういうようにお考えになつておるかということをもう一遍お話があつたかも知れませんが、伺つて置きたいと思います。
  93. 吉川末次郎

    委員長吉川末次郎君) さつきお話があつたのですが、只今の中井さんの御質問中心にしてお述べを願いたいと思います。
  94. 中井光次

    ○中井光次君 もう一つ、同時に別に規則或いは法律があるといたしましても、私は水防の別の規則において消防用の望楼とか警鐘台に対する損壊の罪を重く罰しておると同樣に、水防小屋等に対する水防用具の損害等に対する罰則も相当なものがなければならないのじやないかと思いますが、それは外の方にありまするかどうか、その二つだけを伺つて置きたいと思います。
  95. 目黒清雄

    政府委員目黒清雄君) 只今水防に関する法律といたしましては、水利組合の中に水害予防組合というもので組合を作らしてやつておるのであります。ところでこの組合は任意組合で、大体その沿岸の被害を被むる人が自発的に組合を組織してやつておるというような現状であります。若しこの予防組合のないところは、只今では市町村消防團と言いますか、過去の消防隊ですが、それが市町村長の下で活動いたしてやつておるというのが現状でございます。これは組合の方の行き方ではありませんで、やはりどこまでも自発的な行き方でやつておられる、こういうことであります。それから消防との関係はどうかといいますと、実際問題といたしましては、殆んど活動水防組合員にいたしましても、消防團員であるということが事実であります。でありますから同一人は目的の違つた二つの方向に働くというような現状であります。それで水防に対する……、それならば責任ということになりまするが、これは結局管理者が、知事でありまするところの管理者においてこれが防護の責任を持たなくちやならんというふうに考えておるのでございます。それから最後の水防小屋の今の罰則でありまするが、これに対しては只今のところこういうふうな法的な罰則方法は規定されてありません。從つてこれに対しては相当盗難その他に十分危險があるわけであります。
  96. 中井光次

    ○中井光次君 只今のお話によりますると、水防に関しては極めて任意的な微温的な現在までの状況に任されておるように思いまするが、その点について政府においては或いは関東の水害とか……まあこれは非常に大きなものでありまするけれども、そうでない毎年の出水期におきまする予防というものは、沿岸の組合の活動によつて大きな災害に至らずして予防し得る面が少くないと、私は経験によつて思うのでありますが、それを單に任意組合にして放任しておるというような状態でありますが、更に積極的にこの毎年起る水害に対する措置をお考えになつておるのでありますか、それを一つ伺いたいと思います。
  97. 目黒清雄

    政府委員目黒清雄君) 只今のところでは、これらを指導助長するということを考えておりますが、指導助長の方法といたしましては、これらを技術的に指導する面と、これら水防に要するいろいろの機材、その他の用具の準備のために要する費用、或いは水防に出るための人に対する費用というようなものに対して、府縣、或いは國からこれを補助して行く、その一部を補助して行くというやり方によつて助長政策を取つておるのでありますが、ただそこでそれならばこういうふうな非常に重要な水防を等閑に付しておるという非難はありまするが、水防は御承知の通りに非常に複雜であります。と申しまするのはこれを府縣行政にやるか、或いは数府縣を連合した組織体にするか、或いはそうでなくて数ヶ町村の連合体で行くべきか、その河それ自体によつて非常に状態が異つておるのであります。決してこれを画一的に町村だけに水防隊を作るということそれ自身が相当考究を要する問題だと思うのであります。從つてその河の形に應じまして今のところは助長行政をやつているというのであります。勿論今後ともこの問題は我々としても重要でありまするから、或いは水防法というようなものを作らなけりやならんじやないかというふうな議論も起きております。  それから消防團消防隊との調整、或いは協調援助というような点につきましても、相当まだいろいろのむつかしい問題があるのじやないかと思いまするので、これは相当今後の研究をしなければならんと考えております。
  98. 中井光次

    ○中井光次君 お答え大体了承いたしましたが、私は水防に関して今少しく関心を持つて、お話のように水防法と申しまするか、災害対策の一連の問題として、いわゆる関東水害等に対する一連の問題として、全國的にお考えを願うことを強く希望いたしたいと思います。又それから規則を決める際に、ちよつとお話にありましたように、規則が常に画一的であるということは私はいけないのであつて水防のようなことは連合府縣、府縣或いは町村の連合の個々いろいろの場合があると思いますから、画一的な規則でなければならないというようなお考えでなしに、御研究あらんことを希望いたします。
  99. 目黒清雄

    政府委員目黒清雄君) ちよつと水防というお話が出ましたが、只今水防活動ばかりでなしに、水害の防除という一般的な問題として、水害防止法というような話も実は出ておるのであります。それは昨年の水害から鑑みまして、山林が相当伐採され、或いは河川の堤防を耕作する、或いはその他の原因のために水害を助長しているようなこともありますので、これらを何とか水害防除のため或る一定の制約を必要とするのではないかというような議論が、参議院の國土計画委員の方々から出ております。いずれこれは非常に利権拘束の問題でありまするから、相当、紆余曲折があると思いまするが、そういう空氣は出ておるということだけ御承知願いたいと思います。
  100. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 私は立川の消防署長にお聽きしたいと思います。この消防法によりますると、火災が起きた場合においては、その現場の処理は消防職員が來るまでは臨時警察官がこれに当ることになつておりますけれども、消防手が到着した後においては、消防主任が一任の責任を以てこれに当る。そうして警察官は消防警察官としてではなくて、消防職員の資格において消防主任の指揮の下に働く、こういうような建前になつておると思うのですが、從來の関係は警察署長などが相当強い権限を持つておりましたのですが、そういうような建前で行つた場合に、非常に警察官と消防職員との間においてうまく行けるようになるものでございましようか、その点を現場において、実際やつておる方からお聽きしたいと思います。
  101. 内城九藏

    証人内城九藏君) 只今のお話でございますが、この法に挙げてありますように、火災現場におきましては、從來出火の際におきまして、私共現場に参ります。警察と違いまして、消防署長は皆廳舎の一角に、或いは廳舎内にそれぞれ官舎を持つておる。從つてボヤであろうと、或いは望楼から見えておるような延燒火災であろうと、自分の管内におきましては署長が第一線の車で現場に到着しております。從つてそこの災害現場に出まする車におきましては、第一第二第三第四とこういうふうにいろいろなその地域と、或いは水利の状況、土地の状況、そういうような関係からいたしまして、車が大体出場いたしております。從つて現地に参りましては、必ず署長現場の第一線に行つております。そうしてこれまで現場におきまして、私共は現場に参りまして、警察官が私共より早く行つて現場消防作業をやつてつたということは、私は非常に長い間消防をやつて現実に署長をやつておりますが、これまで余り少ないようであります。回数から言いまして殆んどないと言つても、殆んど少いということを申上げても差支えないと思うのです。從つて從來におきましては、そういうようなわけで結局晝間であろうと、或いは夜分でありましようと、現場消防署長を始め、各指揮者がそれぞれの車に乘車し、指揮監督して現場に行つております。そういうような関係で、現場におきまする消火活動、又延燒防止に当り、その当地におきまするところの、現場の周囲におきまするところの交通の整理、非常線の設定でありますとか、こういうような点につきましても、結局從來から警察署と消防署と、そういうような関係で、現地において警察官と私共消防職員と、その間において、現場において蟠りのあつたというようなことは一つもございません。從つて消防組織法によつて、從來の消防は警察の手にあましたが、今度の消防組織法によつてすつかりと消防と警察が分離されており、権限をはつきりさしておるのであります。從つて現場におきまして、私共郡の地域の火災であるとか、或いは街の火災であるとか、相当立川は火災が多いということは新聞紙上で皆さん御承知でありまして、組織法施行当時からもすでに出火がございました。併しながら現場におきましての、そういうような点についてのいざこざというのは一つもございません。その点は御安心なさつて頂きたいと思います。そこで私共現場を見まして、大体延燒防止がなり、そうして引揚げるというときにおきましては殆んで残火鎭滅してから帰るのであります。從つて残火鎭滅の残り火の跡始末という点につきましては、とにかく現地消防團にこれを委ねて帰るのでありますが、立川地区におきましては、特に軍の施設の面におきましては、もう水を掛けて火の粉が少くなつてからでないと引揚げさせません。そういうような関係であの地区の附近におきましては、M・Pが現地に必らず参つておりまして、私共が帰る場合におきましても最後まで居る。そういうような関係で、現地におきましての残火鎭滅又は周囲の非常線の設定こういうような点につきましては、先程御心配を頂いたような御質問の趣旨でありますが、一向この点につきましては御心配ないと私は現地におきましての長い間の経驗から今後におきましてもないと信じております。
  102. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 もう一点府中町長の森谷さんにお伺いしたいのでありますが、破壞消防の際に、破壞されたところの物件を時價を以て算定して、その市町村が補償するということになつておるわけですが、これについては、或いはお話があつたかも知れませんが、私おらなかつたので、或いは聽いていなかつたとも思いますが、これを算定したという場合に、立場によつて非常に違うと思いますが、時價を算定するところの方法はどういうふうにしたらよいか、消防署長が最後の決定権を持つという説もありますし、市町村長がやつた方がよいという説もありますし、或いはこれはどうせ市町村が補償するのですから市町村議会にした方がよいという説も出て参りますし、どういうような方法で時價を算定するかということについて町長さんに伺いたいと思います。
  103. 森谷森三

    証人森谷森三君) お答えいたします。破壊消防をしたような場合の負担は町村の義務になつておりますから、それは当然町長が執行するのでありまするが、その指揮權は議会の承認を得なければならん関係が存しておりますから、予め予算の上に幾ばくの程度のこういうものがあるというようなことを勘案しまして計上して置きまして、そしてそれらの一定の標準によりまして、それによつて出費したらよかろうと思つております。
  104. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 尚破壊消防をするのは現地消防主任の指揮權になつておるわけです。消防関係消防署長なり、消防主任が独断的に最も妥当と思われるところを破壊するということになるわけですが、その破壊する判断でありますけれども、これは一に消防関係に委ねて置く。それが特に不必要な破壊をしてしまつたというようなことが後になつた批判をされるような場合がありましようし、そういうような際に國家補償というようなものが適用されるのかどうか、國家がその分について國家負担をする、國が賠償をするというように國家が補償するのかどうか、その点は如何でしようか。
  105. 吉川末次郎

    委員長吉川末次郎君) それについては先程政府委員から御説明があつたのですが、それじや國家消防廳長官からもう一度……。
  106. 新井茂司

    政府委員(新井茂司君) 國家賠償法との関係のことにつきましては、先程法務廳の方から説明がありましたので、この法案の二十九條、私共これを読んでの解釈ですが、これを予めここに申上げておいた方が話の筋が通ると思いますが、第二十九條第一項の前段は、現に火災発生しておる、或いは発生せんとしておるところについて破壊処分等を消防のためにやることができるという規定だと解釈します。又第一項の後段の方は、やや書き方が大雜把ではございますが、いわゆる破壊消防のことを規定しておるのでありまして、現に火災発生しておるものの近くにある消防対象物へ延燒の虞れのあるものについても、やはり建物を破壊処分をすることができるというので、通常に言われる破壊消防はこれに該当するという解釈を取つておるのであります。そうしてこの前段のもの並びに後段のものの破壊処分をした場合の補償は、この法案ではやらんことに相成つております。同條の第二項の方の規定はむしろ通常言われる破壊消防というものではなくして、消防のために緊急の必要があるときには、その家自身は火災発生しておらなくとも、又延燒の虞れがなくとも、具体的に延燒の虞れのあるところ、或いは燒えておるところの火を消すために、外の家を破壊し、その他のことをやることができるというのでありまして、これは外の家を消火するために必要な手段として、その家を処分するわけですから、この場合に補償をする、從いまして一般に言われる破壊消防の場合には補償のことはなくして、ここに先程申上げました、さような非常に限定した手段のために、例えば消防自動車を通すために塀を打ち壊すとか、ホースを引くために庭を打ち壊す、相当よごすというようなことをしたときに、補償をするということになつておる、さように先ず我々は解釈しておるのであります。それでありますので、この法律に補償の規定はない。いわゆる破壊消防を行なつて、その破壊消防が事実上必要なかつた、又は破壊消防に名を籍りてかような不法行爲を行なつたという場合には、一般の原則によつて取扱われるのではないかとかように考えております。
  107. 吉川末次郎

    委員長吉川末次郎君) 坂東委員長の答弁と多少違うわけですね。
  108. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 私の考えているのは自動車を通すときに道路が足りないから、狹いからそこを破壊するということになつて、この家が燒けておる、そこでこの隣の家を破壊してなくさないというと、そこに延燒して行く、そうしてそれが段々又燒けて行く、そこでまだこの家は燒けてはおらんけれども、その現場において判断するというと、先ず隣の家を破壊してしまう、そうすればその背後にあるところの多くの家が延燒を免れるであろう、こういうような考えの下に消防一つの方法として建築物が破壊される、こういう場合を私は破壊消防であると、こう考えて、実は質問をいたしたわけなんです。それでこの場合にはまあ考え方によつては燒けた家は仕方がないが、この家はその背後にある多くの家の犠牲になつたのだからして、市町村が補償をする、こういうふうな考えから立案されておるのだと、こういうふうに私は実は考えたわけです。そこでこの家の評價はどうするかということと、或いは考え方によつてはあの家を壊さなくてもこの家は大丈夫、もうこれだけで鎭まつたのだ、或いは壊さなくていいものまで慌てて壊してしまつたというようなことが、火事が終つた後にいろいろ考えられることがありはしないか、そういうふうな場合に、やり過ぎたということで批判される場合に、而もそれは消防主任の判断によるのでありますから、その外の権限はないということになる、そうして、その判断によつてつたところのものが、後になつてはそこの市町村が全部負担をしなければならんということになるのであります。その火事のときにおいては、非常なこれは緊急の場合なのだから止むを得ないであろうが、後になつて町村民から見ると、あの消防署長が慌ててあそこまで壊さなくてもよかつたのじやないか、それも補償しなければならんのは困るということが起きはしないかということが考えられるわけです。そこでそういうふうな場合には一切批判は許さないで、すべてそれは妥当なものであるというふうに、すべての場合において判断しなければならんということになるか。或いは非常にこれは判断が間違つたという場合に、その点については國家が補償するのだというような意味が解釈上許されるかという点なのです。國家が補償するということになると、大抵の市町村は自分が補償するのはいやですから、あれは非常に安いとか高いとかいうことで、これは國家が補償する、この分は町村が補償するが、あの家は不法にやり過ぎたから國家が補償するのだというようなことが起るということになると、この問題については將來時價によつて補償する場合に相当問題が起るわけです。その点について私はお聽きしたのであります。從つてその破壊消防という私の観念が全然間違つておるということであれば別ですが、そういうのが破壊消防というのじやないですか。破壊消防というのはそのことでしよう。ですからその場合に、國家が賠償するところの範囲というものは、今の消防廳長官の言うように、全然ない、そのときにやり過ぎた不法行爲というものはあり得ないのだ、すべてが町村が賠償すべきものである。こういうふうに御解釈になるのかという点をお聽きして置きます。
  109. 新井茂司

    政府委員(新井茂司君) このときの國家の賠償責任はないと考えております。すべて公共團体である市町村の責任になると考えております。
  110. 森谷森三

    証人森谷森三君) お答えいたします。仰せのごときものが破壊消防としまして、その破壊された犠牲によりまして他が助かるという、公共の目的のための破壊でありまするからして、それは消防行政の責任者であるところの当該の市町村が負担をする。こういうふうなのを原則に私は考えたいと存じます。そうして適切なる犠牲を供して効果が挙つたという場合も、又そうでなくして、挙らない場合、つまり行き過ぎのような場合でありましても、これは市町村長の責任とすることは当然であると存じます。そうして後段の行き過ぎのことをしたということの関係は、市町村長消防長の関係でありまして、第三者の犠牲は、行き過ぎがあろうがなかろうが、全部当該市町村長の責任とすることを原則と私は承知しております。
  111. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 よく分りました。
  112. 吉川末次郎

    委員長吉川末次郎君) それではこの際ちよつと御相談申上げたいことがありますが、予て社会の問題になつておりました教育地方委員会法案でありますが、あれが地方行政にも至大の関係があるという意味におきまして、前以て文部省当局からのそれについての説明を先般求めたのでありますが、昨日でありましたか、一昨日でありましたか、正式に文教委員会に、國会に提案されました政府案が付託されましたので、皆樣の御意思によりまして、地方行政、地方財政に密接な関係がある法案として、文教委員会と連合委員会を開く提案をするかどうかということについてお諮りいたしたいと思うのであります。併し我々の委員会に付託されておりまするところの議案が非常に沢山ありまして、現在のところそれでも相当に手一ぱいに忙しいのでありますので、明日文教委員会で右の法案に対する審議を開始いたしまして、政府当局の提案理由の説明を聽くそうでありますが、これは極く大雜把な概括的な説明を聽くだけに止めて置くという話でありますので、その次の第二回目くらいに、一回を限りまして大体その本法内容を十分に我々が理解し、又質問をするというような機会を持つようなことを條件といたしまして、文教委員会に正式に合同委員会開会を申込んで置いたら如何かと私考えておりますが、そのように取計いましてよろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  113. 吉川末次郎

    委員長吉川末次郎君) それではそのように取計らいたいと思います。それでは本日はこれで閉会いたすことにいたします。証人の方大変どうも御苦労樣でございました。    午後四時十四分散会  出席者は左の通り。    委員長     吉川末次郎君    理事            中井 光次君            鈴木 直人君    委員            青山 正一君            羽生 三七君            岡田喜久治君            草葉 隆圓君            黒川 武雄君            岡本 愛祐君            柏木 庫治君   政府委員    総理廳事務官    (建設院建築局    長)      伊東 五郎君    総理廳事務官    (建設院水政局    長)      目黒 清雄君    國家消防廳長官 新井 茂司君    法務廳事務官    (法務廳調査意    見第一局長)  岡咲 恕一君   証人    日本損害保險協    会火災技術部調    査課長     亀井幸次郎君    東京消防廳消防    総監      鹽谷 隆雄君    東京消防廳予防    部長      茂野柾次郎君    東京都立川消防    署長      内城 九藏君    千葉縣市川市常    備消防部次席  尾館 春治君    東京都北多摩郡    府中町長    森谷 森三君