○
國務大臣(
野溝勝君)
地方財政委員会今後の動きに対しては、どういうように
考えているかという御
意見でございますが、勿論
地方財政委員会は、飽くまでも
地方自治体の裏付けとしての、
財政確立のたるに最善の努力を拂いたいと思います。その努力を拂う
運営の機構といたしまして、
委員の補充を一日も早くいたしまして、
財政委員会の決定案の達成のために努力をするつもりであります。
次に、
農業事業税のいきさつについての御質疑がありましたが、この点はこの際私は明かにして置きたいと思います。私は確かに就任する以前におきましての
財政委員会の構想といたしましては、
農業事業税中、主食を省くということは入
つておりませんでした。併し一應
農業事業税と、その他
事業税全体に関するすべてのものは全部入
つてお
つたのでございます。ただ私が就任してから変えたのは、主食に関する
農業事業税を省くという、この点だけでありました。どういう理由で私がそれを省いたかということになるのでありますが、これについては、御
承知のごとく、現下の日本の経済の事情、特に今日の食糧事情から申しますと、何といいましても、日本の食糧は、余程奮発し、努力をしないというと、自給自足の態勢には至らんと思います。特に日本の生産の再開の問題に関しましても、いろいろと
方法なり
意見はありますが、やはり基礎的のものは、基本的のものは何とい
つても食生活の解決から出発しなければならんと思います。かような場合に、その食糧を外國から輸入に仰いでいると、二百万トン近くの耕糧を輸入に仰いでいるというようなことであ
つたならば、如何に貿易が再開をされましても、將來の日本経済の再建は、容易に目度が付かない。尚私の
考えている大きな点は、生産を再開して、貿易を振興することにいたしましても、今日のごとく、カロリーを割
つたところの食生活の事情の下におきましては、労働方面の意欲も高揚いたしませんし、又すべての点において経済混乱を招いて來る、インフレ
措置に対しても私は永久に解決ができないと、かような点を重要視いたしまして、特に主食の点につきましては、私は省くことにしなくてはならないという説を強く主張したのであります。尚それに敷衍して、申上げて置きたいことは、特に現下の農村といたしましては、先程吉川
委員長のお話によりますると、統制経済の段階にな
つて、非常にもう平等に
なつた。こう申されますが、何といいましても、農民の生活の樣式においては
彈力のないことを御了承願いたいと思います。大体農民というのは、一年に一回の收穫でありまして、勿論二毛作地帶は
例外といたしましても、大体一年一回の收穫といいましようか、
收入の
最高限度にな
つておるのでございます。かような農民の事情、尚農民が、最近勤労所得税によるところの
課税より、生産、再生産のたるに預金をしてあ
つたものを、殆んで吐き出してしまい、
中央農林金庫等においては二百何十億という預金があ
つたのでありますが、五月六月のこの一ケ月半に百何十億の引出しを行
つた。尚肥料の購入資金に事を欠きまして、
中央農林金庫には殆んど金がないという事情であります。然らば他の方面において金融はどうかということになりますと、金融においては、御
承知のごとく今日は清算
状態にあるのでありまして、殆んど金融の余地もありません。短期はあ
つても、長期の金融面はないのであります。かてて加えて、御
承知のごとく、日本農村民主化の唯一の制度といたしまして、農地改革制度が行われておるのでありますが、これ亦十月の三十日を待
つて完了をするという際におきまして、この資金がないという
状態でございます。勿論政府におきまして貸付をすることにはな
つておりますが、かくては政府の
財政がより一層危險になり、弱体化する形勢にありますので、かような点をも非常に憂慮したのであります。かようなわけで、私といたしましては、主食に対しましては特に以上の理由から当分の間これを省くということにいたしまして、特にこれと同時に農民にも大いに供出をして貰うことにし、生産、増産もして貰うことにし、そうして早く二合八勺なり、或いは今日の二合五勺量以上の配給をすることにしなくてはならん、かように
考えまして、以上の方針を以て
委員会を試案を示したのであります。
委員会におきまして、先程の御
意見を聞きまするというと、少数
意見のようであ
つたと、こう申されますが、
委員会は原案を可決をする場合におきましては多数を以て決定するのであります。よ
つて五人の
委員の中三人は賛成者があ
つたということでありまするならば、多数決でありまするから決して間違
つておらんと思います。それから特にこの点は御理解願いたいと思うのですが、私は成る程農民運動をや
つて來てはおりますが、
國務大臣として自分が責を持
つた以上は、勿論私は
國民的な規模において政治を
考えて行きたいと思います。私の
考えは
農業事業税のうち特に主食を省いたという点において、農民に偏
つておるというようなお
考えが中にはあるかも知れませんが、現在の農民が以上申したような低位にあるというような立場において、尚食生活の解決にも努力したいと、かような点で私は
國民全般の地位の向上という観点から以上の
意見を出し、それを決定案として閣議において主張したのでありますから、さよう御了承願いたいと思います。
最後に
住民税の問題でございますが、この
住民税は、
農業事業税中の主食を省いたから
住民税が多く
なつたというような御
意見に拜聽いたしましたが、決してさようなことではないと思うのであります。或いは幾分その方面に影響はあるかも知れませんけれども、決してそういうわけではないことを御了承願いたい。なぜかなれば、この
住民税につきましては、先程局長は四百円と、こう申しておりましたが、確かにその
通りであります。併し
制限外課税といたしまして、今日まで東京都におきましても六百円以上、取
つて來てお
つたのであります。恐らく
制限外課税として十数
府縣取
つて來ておりました。よ
つて前の
議会におきましては、四百円ということでありましたが、
制限外課税としてすでに六百円乃至はその前後取
つてお
つた所もありますので、決してその
農業事業税を廃したためにそちらへ轉稼するという理由にはならないのであります。但しこの点は御了承願
つて置きたいと思います。今回は
住民税一人千円ということにはな
つておりますが、大体大頭割を決めまして、その他資産所得に應じまして、その率を決めようと
思つております。これは
地方の
條例において決定して貰うことに、社会政策的に案を
考えております。さよう御了承願いたいと思います。
最後のこれに対する
法案はいつ出すかという
委員長からの御
意見でございますが、この
法案は閣議決定にな
つておりますので、その筋の了解あり次第提寿いたして、御審議を願いたいと存じております。大体十四、五日までには出せるのではないかというように
思つております。