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1948-05-29 第2回国会 参議院 治安及び地方制度委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年五月二十九日(土曜日)   —————————————   本日の会議に付した事件地方自治法の一部を改正する法律案  (内閣送付)   —————————————    午前十時五十五分開会
  2. 吉川末次郎

    委員長吉川末次郎君) ではこれから委員会を開会いたします。速記を止めて……。    〔速記中止
  3. 吉川末次郎

    委員長吉川末次郎君) 速記を始めて……。次に地方自治法の一部を改正する法律案議題に供します。前回の続きを審議いたします。政府委員説明を願います。
  4. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 本日は第九十六條第一項のところでありますが、これは議会議決事項に関するものでありまして、普通地方公共團体議会は一号から十三号まで掲げてあります事件議決しなければならないことに改正いたしたのであります。  第一号は、條例を設けること。第二号は、歳入、歳出予算を定めること。第三号は決算報告を認定すること。第四号は、法律又は政令規定するものを除くほか地方税使用料手数料分担金加入金又は夫役現品賦課徴收に関すること。第五号は、法律又は政令規定するものを除くほか、違法に賦課又は徴收された地方税使用料手数料分担金加入金又は夫役現品の拂戻しに関すること。第六号は、基本財産又は減債基大その他積立金穀等設置管理及び処分に関すること。第七号は、條例で定める財産取得又は処分及び営造物設置又は処分することでありまして、それから第八号は、これは現在の第六号を整備したのでありまして、「負担附寄附又は贈與を受け、及び権利を放棄する」、……この「負担附寄附云々という点を新たに書き加えて整備をいたした次第であります。それから第九号は、契約議決事項にいたしたのでありますが、これは從來には特に明らかに定めてなかつたものを書き加えたわけであります。これも一切の契約ではなくて、條例の特に重要であると認める契約だけを議決事項にするわけであります。第十号には、現在異議の申立、訴願、訴訟、及び和解だけが第七号に規定してあるのでありますが、尚裁判乃至準裁判行爲とも申すべき労働関係調整法等に関します斡旋、調停、仲裁というような事項もここに書き加えた次第であります。それから十一号、これも新たに書き加えた事項でありまして、「法律上その義務に属する損害賠償の額を定めること。」、とこれも重大な利害関係を持つものでありますから書き加えたわけで、あります。十二号は現在の第八号であります。それから十三号も現在の九号であります。
  5. 吉川末次郎

    委員長吉川末次郎君) 只今政府委員説明に対し、御質問があればお述べを願いたいと思います。
  6. 鈴木直人

    鈴木直人君 第七号に「條例で定める財産取得」ということがあり、第九号に「條例に定める契約」ということがありますが、この二つの場合において、その條例で定める内容の大要をお聽きしたいのでありますが、この條例で定める財産取得とい基準につきましては、全然地方公共團体個々の自由に任して置くのであるか、或いは全國一都二府四十三縣を通じてこの程度財産取得議会議決を経なければならんというようなふうに、大体の基準を中央において示すような用意ができておるのであるか、この第七号の内容についてお尋ねしたいのであります。
  7. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 法律上は地方團体がどういう範囲の財産取得営造物設置議会議決事項にするかということは自由に定め得るようになつております。ただ後に申します二百十三條等との関係によりまして、おのずから軽重の度合が決つて來ると思うのであります。非常に重大なる財産営造物関係処分というものが右に該当いたしますれば、それは一般投票、そこまで行かなくても……。相当重要なものであれば、出席議員の三分の二以上の議決、そこまで行かないのがこの過半数普通議決でありまして、もつと程度の軽いものは、即ち條例で何ともその規定のない財産取得といものは、これは執行機関だけでやれるわけでありますが、その間の大体の段階をどういうふうに定めるかということは、各地方團体自己財政状態と睨み合した上で、又町村なり、都市なり、それぞれ自己自治権能の具体的の発動の事態と照應いたしますように決めるべきであろうと思いまするが、余りにちぐはぐになるということは、これはやはり必ずしも適当でないと思いまするので、やはりこの法律が幸いに國会決定を見まして施行になりまするならば、そういうときにはやはり何らか共同の協議会のようなものを開きまして、一應の参考案というようなものを、地方には資料として示したいというように考えております。
  8. 吉川末次郎

    委員長吉川末次郎君) 他に御質問ございませんか。
  9. 鈴木直人

    鈴木直人君 第九号も同じですか。
  10. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) さようでございます。
  11. 吉川末次郎

    委員長吉川末次郎君) 御質問がなければ、それでは次に移りまして、第百七十六條第一項云々より九頁の終りから三行目までを議題に供します。政府委員説明を求めます。
  12. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 百七十六條の改正は、現在の議会違法議決に対する再議、或いは違法の選挙に対する再選挙規定があるのでありますが、その前の方に、新らしく第一項乃至第三項として三つの項を加えるのでありまして、これはいわゆる一般的な地方公共團体の長の拒否権規定いたしたのでございます。違法でありまするとか、或いは收入支出についてバランスが合わず、從つて執行できないような議決議会がしたとか、或いは必要な事務に属する経費を削除、減額したといつたような場合におきましては、現在規定があるのでありまするが、その他の何ら違法でない、又今申しましたような特別の事項に該当いたさないような議会議決でありまして、條例の制定、改廃、或いは予算に関するものがありました場合におきましても、その内容につきまして、長が異議があります場合におきましては、その議決の日から十日以内に理由を示してことを再議に付することができるというのであります。そうして再議に付しましても、尚その議決が前と同樣に議会議決をいたしましたならば、その議決確定をすのでありまするが、ただその二回目の議決につきましては、出席議員の三分の二以上の同意がなければいけないというふうにしてあるのであります。確定いたしましたならば、長は直ちに條例であれば、その告示の手続予算をあれば、それを執行する手続を取らなければならんのであります。  それから百九十三條の改正は事務的な改正でございまして、選挙管理委員会書記制度につきまして、百七十二條一般の知事の補助機関である吏員の規定を準用しておりのでありますが、その項目の中で、第二項の任免権規定を準用することをいたしておりませんので、任免の所在が果して長の場合のごとく、管理委員長自己補助機関である書記を、選挙管理委員会任免し得るや否や、明瞭でございませんので、百七十二條の第二項も併せて準用いたしまして、選挙管理委員会委員長が、選挙管理委員会書記任免できるというふうにいたそうというのであります。現在そういうふうにいたしておるのでありまするが、明瞭を欠きまするので、第二項も準用するようにいたした次第であります。  それからこれは正誤に差上げてありますが、二百七條は費用のでありまして、公聽会証人出席をいたして参りました場合の実費の弁償の規定に、新たに二百十七條第三項という、今回加わりました分担金徴收條例を作ります場合に、公聽会を開かなければならんという規定がありますので、その場合に出て参ります証人に対する給與のことを規定いたしたのであります。それが二百七條正誤の中に加えてありまする改正案趣旨であります。  それから二百三條は先程申も上げましたように、腐敗防止という見地から、條例で定めました特に重要な財産又は営造物については、選挙人一般投票に付して、その過半数同意が得られなければ、その独占的な利益を與えるような処分、或いは十年を超える期間に亘る独占的な使用を許してはならない、又そこまで重要性は持つていないでも、尚相当重要な財産営造物の独占的な利益を與えるような処分、或いは十年を超える期間に亘る独占的な使用の許可は、出席議員の三分の二以上の者の同意がなければ、これを行うことはできないというふうにいたしたのであります。この例といたしましては、例えば東京都が都電を賣拂つてしまつて特定の会社に経営をさせる、或いは、賣拂わないでも、十年以上の期間亘つて経営権を委託するというような場合におきましては、やはり恐らくは一般投票で決めるべきものであろうと思うのであります。そこまで至らないでも、相当重要な営造物、公会堂を賣拂うというような場合におきましては、やはり三分の二以上の同意を得るようにすることが適当であろう。これは一つの例になるのではないかと思うのであります、これから但しそういうようなことは、國なり公共團体に対する場合におきましては、これは適用しない、私の法人なり、私人に対する場合にのみ適用するというのであります。それからその投票方法を以下に規定してございますが、長が特定財産処分したい、或いは特定財産についての独占的な使用権を設定したい、こういうような通知がありましてから六十日以内に選挙人一般の賛否の投票に付すのであります。その投票方法は大体選挙方法を準用いたしておりまして、特例は政令で書くようにいたしております。尚その投票は、外に若しも選挙でありますとか、解散投票、或いは解職の投票があれば、それと同時に行うこともできるというようにいたしてあります。投票の結果が判明すれば、選挙管理委員会がこれを長に通知して公表するというわけであります。
  13. 吉川末次郎

    委員長吉川末次郎君) 只今政府委員説明に対し御質疑があれば、お述べ願います。
  14. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 最後の百七十六條についてお尋ねいたします。これでは、「議決の日から十日以内に理由を示してこれを再議に付することができる。」とありますが、そうすると、その間は、初めの議決確定しない、從つて效力はない、再議に付して初めて確定すると、こういうことになるのですが。
  15. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 再議に付しましたならば、再議に付してそれが同じ議決であつたというときは、その議決のありましたときに確定をするのでありまして、確定後は速かに直ちにその告示なり、予算執行措置を講じなければならんということであります。
  16. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 ちよつと質問のし方が悪かつたのでありますが、この「再議に付することが、できる」で、再議に必ずしも付せなくていいのでありますから、一應議決をする、そのときに確定しておるのでありますが、再議に付するまでの間は效力がなくなるのかとこういうのであります。
  17. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) それは今回こういう制度が入りました関係上、議決の日から十日以内、即ち議決の翌日から起算して十日目までの間、この間というものは議決が一應可決せられましたならば、一應有效になつておるのでありますが、まだ最終的に決定していないという状態に、この新らしい規定によつて切変つて來るわけであります。
  18. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 もう一度お尋ねいたしますが、そうすると再議に付せなかつた場合で、この初めの議決の日から效力があり、又再議に付した場合で、同じ議決をしたにしても、再議に付した場合は、再議に付した日から效力が出るのですか。その点をもう一度伺いたいと思います。
  19. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 今申上げましたように、その十日間は一應フェンデング状態にあるのでありますが、再議に付せられましたならば、再議によつてその議決のありましたときに確定をいたしまするし、十日間の間に遂に再議に付せられなかつたということになりまするならば、やはりその翌日から起算をして十日の日に確定をするということになると思います。
  20. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 それで、そうしますと、この現在の改正にならない前の規定ですが、百七十六條の、現在の第一項で「普通地方公共團体議会議決又は選挙がその権限を超え又は法令若しくは会議規則に違反すると認めるときは、当該普通地方公共團体の長は、理由を示してこれを再議に付し又は再選挙を行わなければならない。」とこうあるのでありますが、このときは、今度の改正の場合と同様再議に付する権能といいますかが、公共團体の長にあるということになつておりますが、これは勿論何日間に再議に付せなくちやならんということは規定がない、いつまでもこれは再議に、何日たつた後においても再議に付することができるように規定上はなつておるのでありますが、その場合と、今度の改正の場合との、初めの議決再議のときの再議決と、その関係ですね、少し喰い違つて來やしないかと思うのであります。
  21. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) この今回新らしく入りましたものは、その議決自体が違法でもなく、又終始執行し難いものでもない、要するにそういうような法律上の支障のないものであるに拘わらず、尚これに対してその決定力を延期せしめよう、或いは決定力を失わしめようという措置でありますから、これはやはり一定の期間を設けてその期間内にその手が打たれなかつたならば、確定するということを定めて置く必要があると存ずるのでありますが、百七十六條の今御指摘の場合におきましては、とにかく違法の場合でございまして、これはやはり十日間という仮に制限を付けるということは違法であるに拘わらず、それを肯定してしまうということになりましては適切を欠きまするので、やはり、そういう期限を設けませんで、違法の場合におきましては、それを現実に執行に移す前におきましては、要するにその状態を市長がそれを違法と認める限りは、「これを再議に付することができる」ようにして置く方が適当ではないだろうかというので、このままにしてある次第であります。
  22. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 それは現在の百七十六條の第一項のこの問題ですが、このとき議会議決をしまして、その権限を超えておるという場合に、その議決は、再議がありましたときは初めからもう議決は取消すと、こういうことになるのですか、現在の規定は……。
  23. 鈴木俊一

    府委員鈴木俊一君) それは再議に付しまして……。ちよつと今の質問趣旨がはつきりいたしませんが……。
  24. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 はつきりしなかつたかも知れませんが、普通地方公共團体議決をする、その議決をした日から一應は効力があるのでしようか。
  25. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 違法の議決についてでございますか。
  26. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 初めは違法かどうか分りませんが、とにかく……。
  27. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 一應は効力が出て來るわけです。
  28. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 効力が出て來るわけですね、そうしてそれを公共團体の長がどうもこれは権限を超えておる、そういうので理由を示してこれを再議に付する、それが決まればそれが違法だつたということになつて、初めから効力がなくなるというわけですね。その再議に付した間に、その議決によつて何かしてしまつたら、それは有効なのか、それが再議で、それはいけない、違法だということになつて、外のまあ議決をするわけですが、それによつて取消されるわけでしよう。
  29. 鈴木俊一

    政府委員鈴木俊一君) 再議に付せられました結果、議会がみずから前の議決を改めるということになりますならば、前の議決に基いて若しも行いました行爲がありまするならば、その行爲はやはり法律上は根拠のないものとなつて從つて無効、取消ということになるわけでございますが、併しその場合において又別に公共の秩序、利益の擁護というような点から別個の救済的の問題は考えなければならんと思いますが、理窟はそういうことになるわけでございます。併し多くの場合、長が再議に付する場合には、執行するのは長でございますから、議決執行する段階に入つてから、違法であると言つて長再議に付するということは、先ず先ずと申しますよりも、理窟上は先ずないのでありまして、從つてそういうような事態は万々起るまいというふうに存ずるのであります。
  30. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 大体分りました。
  31. 吉川末次郎

    委員長吉川末次郎君) 他に御質問がなければ本日はこれを以て議事を止めることにいたしまして、これを以て散会いたします。    午前十一時五十九分散会  出席者は左の通り。    委員長     吉川末次郎君    理事            鈴木 直人君    委員            村尾 重雄君            岡田喜久治君            草葉 隆圓君            黒川 武雄君            鬼丸 義齊君            岡本 愛祐君            岡元 義人君            阿竹齋次郎君   政府委員    総理廳事務官    (総理廳官房自    治課長)    鈴木 俊一君    國家地方警察本    部次長     溝淵 増己君