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1948-05-25 第2回国会 参議院 治安及び地方制度委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年五月二十五日(火曜日)    午後一時二十七分開會   —————————————   本日の會議に付した事件鐵道公安維持に關する件   —————————————
  2. 吉川末次郎

    委員長吉川末次郎君) これより治安及び地方制度委員會開會いたします。最初に緊急に、岡元義人委員から最近の交通機關内における治安問題についての御質問がありますので、この御質問を御開陳願うことにいたしたいと思います。岡元義人君。
  3. 岡元義人

    岡元義人君 最近ソ連からの引揚げが開始されまして、七十萬の同胞が逐次函館、舞鶴に上陸いたしておりますのですが、この上陸して來ます復員者に對しまして、各上陸巷及び末端の下專驛に至る輸送間におきまして、物凄い疊一疊くらいの大きさの赤旗をば持出して、而も甚だしいものはホームの中に、列車の中までも赤旗を持込んでおる。又プラカード、これも實に大きなプラカードでありますが、そういうものをば各驛或い汽車の中へ持込み、甚だしきに至つては又パンフレットを列車内に撤いておる、こういうような状態であります。これに對しまして私数ケ所をば實際に見聞して參つたのでありますが、驛當局はこれに對してただ默つてこれをば通しておる。又地方警察その他においても、目前でどしどし廳構内に入つて行くのに對して、これをば無關心でおるという状態であります。尚京都驛等におきましては、列車が發車してから、そのあと機關手が後を振り返つて赤旗を振つておるのを認めますと、又汽車をば停める。かような種類のナンセンスがしばしば繰返されておるような状態でありますが、これに對して運輸當局はどういう處置をばとられ、又指令を出しておるかという一點と、尚國家公安委員の方におかれましては、どういうお考えを持つておられるか、この點この席上で伺つて置きたいと思うのであります。  尚もう一點お尋ねいたしたいのでありますが、これは公安委員の方に多分に關係がございますけれども、折角上陸地で以て渡されました復員者に對する被服その他の物をば、集團的に闇屋が押掛けまして、殆んど大半の物をば買上げてしまつておるというような状態にあるんですが、これらに對して御承知であるかないか。この以上の二點について、御囘答を承わりたいのであります。
  4. 木下榮

    政府委員木下榮君) 只今お尋ねになりました引揚同胞に對し、その歸還の汽車の中等において、アジビラを撒き、又、赤旗等を立てておるというようなことでいろいろな宣傳をする、これは實際事實でございまして、それに對しましては、相當な處置をとることになつております。詳細なことは、私がお答えするよりも當の責任官吏から、詳しく御説明申上げた方が適當と思いますので、只今御答辯いたさせます。
  5. 川原道正

    説明員川原道正君) 引揚列車の中におきまして、宣傳ビラを配り、或いは赤旗を振るという、こういつたような事實がございましたし、それから又驛頭におきまして、その方々と學生同盟方々引揚者のいろいろなお世話をして下さつておられますが、その方方と、品川驛上野驛等において、衝突があつたことも事實であります。そういつた事件がございましたので、我我といたしましては、この引揚者に對して迷惑を掛けないということと、もう一つは、營業法によりまして、列車の中、及び驛頭におきましては、濫りに宣傳することはできない、又、一般物品を販賣することはできないという、こういつたような營業法上の規則もございますので、そういつた宣傳ビラを撒く、或いは演説をするというような行爲につきましては、その營業法上の規定を適用いたしまして、これを禁止いたすことに處置をいたしております。  それから又、引揚者方々が、一般出迎えられる方々が、澤山驛頭に入つて來られます場合には、自分家族を見付け出すということに非常な御困難を感ぜられるといつたようなこともございますので、約一週間程前からは一般入場禁止いたしまして、身内の方々だけを、その品川驛、或いは上野驛入場させるという、こういつたような處置を講じました。又、引揚列車に對する一般人の乘車というものを禁止するという、こういつたような處置をいたしまして、最近におきましては、そういつた事件は、殆んどなくなつておるようでございます。運輸當局といたしまして、とりました處置は、そういつた、結局一般者入場禁止、それから一般人の、その列車に對する乘車禁止、及び營業法の適用によつての、その物品販賣或いは配付或いは宣傳禁止、こういつたようなことをやつております。これには、只今私の方で立案いたしております鐵道取締官が、活躍をいたしまして、その處置を嚴に今やつております。以上でございます。
  6. 岡元義人

    岡元義人君 第二點の方は後にいたします。今の御囘答に對しましては、從來そういうような規則というものがあつたにも拘わらず、驛長あたりが、これをば無關心で入れるということに對しては、如何ような處置をばおとりになつたか。その點、もう一點伺つて置きたいと思います。  それから出迎え方々が、家族は中に入れる。これは結構でございますが、知事その他が、地元から各驛に押掛けて、出迎え挨拶をいたしております。こういうような場所をば、この際指定された方がいんじやないかと考えられるのでありますが、若し、そういうようなお考えがありましたならば、はつきり構外ならば構外、驛の構内じやなくて、構外一つのそういうような場合を設けて、そこで御挨拶をするというふうに御指導をして頂くような通牒をば出して頂けば非常に圓滑に行くんじやないかと思います。ホームの眞中で、大概知事等挨拶をして、そうして非常に歸つて來る者も家族の顔も見たいし、途中で挨拶も受けなければならない。そういうような指揮系統といいますか、そういうものが、非常な亂雜になつておるためにどの驛でも混雜しておるのではないかと思います。そういう點を承わりたいと思います。
  7. 川原道正

    説明員川原道正君) そういつた、御挨拶をされる場合のいろいろな場所を指定するとか、こういつたことにつきましては、今後十分氣を付けまして、各地に對しましても注意いたしたいと、かように考えております。何分にも、ああいつた場合においては、特に驛頭が混雜しておりますので、昔は、出征軍人を送る場合に随分そういう適當處置を講じておりましたが、現在そういつたことが少いので、各驛長も、不慣れな點がありましたと思いますので、直ぐそういう處置を講じたいと思います。  それから前の處置につきましては、十分今までそれができなかつたことにつきましては、非常に殘念であつたのでありますが、そこまで十分な人手が行届かなかつたといつたような點もあつたのではないかと、かように考えております。從つて取締りをやつておりますのは、取締り警官は特に状況に對處してそれぞれの驛に對して増員をして、そうして取締りをやらしておるのであります。今後もそういつたことについては、十分注意をして行きたいと考えるのであります。
  8. 岡元義人

    岡元義人君 非常にくどいようでありますが、私の質問の要點は、かねがねこういうような場合には、どういう工合に處置する驛だということを決められておつたが、驛の從業員が知らなかつた、むしろどうしていいか分らなかつたというのが、むしろ私が現場を見た感じであります。こういうような、驛長や、そういう者に對して、責任者に對して、ああいう事態をば、これは、全國到る所がありますから、かねがねそれだけの規約そのものを呑み込んでいないという點も考えられるのでありますが、この點につきましては、規則規則としてあるものをば、無斷でその規則を無視して入れたのでありますから、十分當局におかれては、責任を追求する必要があると思います。以上
  9. 吉川末次郎

    委員長吉川末次郎君) もうよろしうございますか、それでは……。
  10. 川原道正

    説明員川原道正君) 十分注意いたしまして、よく取締りまして、そういつたことのないようにと、かように考えております。ただあの方々は、不法入場でなく切符などを持つてつて來られるので、非常にむずかしかつたのであります。
  11. 吉川末次郎

    委員長吉川末次郎君) 公安委員の側からの政府委員の御出席がないので、今日はこれでよろしうございますか。
  12. 岡元義人

    岡元義人君 はあ。
  13. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 それに關連して、運輸省の方がお見えになりましたから、只今の問題に關連いたしまして、鐵道公安關係問題について一、二伺つて見たいと思うのであります。  新聞でしばしば現われますが、東北本線と申しますかの列車におきまして、集團強盗が發生しておる。これは前からたびたび新聞に出ておりますに拘わらず、最近に至るまで、やはりそのあとを絶たない。これは、どういうふうにお取締りになつておるのか。この前、二月の中旬でしたか、鐵道公安事務局の方から、御説明を承つてはおりますが、ああいう事故は、外の所では、餘り新聞には現われませんが、東北本線限つて小山附近とか、それから仙臺附近とかに現われるようでありますが、取締り状況はどうなつておりますか。それを伺いたい。
  14. 川原道正

    説明員川原道正君) 東北線事故につきまして、丁度一月の末に、非常に大きな百五十人ばかりの、朝鮮人を主體とする強盗團が現われまして、非常に乘客に迷惑を掛けた。その後におきましても、宮城縣下に、東京地方に住んでおります朝鮮人を主體とする人人が、米の買出し行つて、その人々がときどきいろんないたずらをする、こういつたような事件がたびたび起つたわけであります。それにつきまして、私共の方におきましては鐵道取締官を今養成いたしておりますが、それが教習所を出た者で實際に現在現場に配置されております者が、約全國を通じて千二百人ばかりおりますので、その者を、その最もそういつた事件の頻發する列車に、只今三名或いは五名宛それを乘込ませて、そうして取締りに當つております。その後こういつた事件がときどき起りはいたしたのでありますが、そういつた連中乘つておりますと比較的輕微である。又そういつた連中乘つております關係上、先般來比較的お客さんの方の申告も早かつたがために、一般警察の御協力を得まして、仙臺におきまして一味十五名を捕え、それが引續きまして警察の御活動によりまして、淺草を根城とする者で、その一味の者二十五名を捕まえております。  それからつい一昨日の新聞に載つておりますが、今度は歸りの列車におきまして福島附近暴行を働き、直ぐそれが車掌申告をされた、車掌はその驛から宇都宮の驛に手配をいたしまして、そうして宇都宮一般通常警察方々の御協力を得まして、その一味八名を捕えた、こういつたことで、申告が非常に早く行われた場合には、非常に成績を擧げてこれを捉まえる、こういう成績を擧げております。それで私の方ではずつとそういつに要注意列車につきましては、取締官になるべき者を先程申上げましたように三名或いは五名宛乘せております。こういつた事件が起つておりますのは東京中心として、そういつた方面への買出しの所、結局、東北線それから關西を中心といたしまして、北陸ではあれ程の目立つた事件は起つておりませんけれども、ちよくちよく暴行それからすり、こういつたようなものが起つております。それからもう一つ北九州中心といたしまして、この線が幾分治安が悪い、こういつたようなことになつておりますが、その點につきましては、私の方のそういつた將來鐵道保安官になる者を乘せますと共に、一般警察とも十分協力をいたしてやつております。  ただ非常に残念なことには、旅客申告が非常に遲いがために、ときどき犯人を取逃がしておるというのが實情でありまして、私の方では驛の放送、或いはパンフレツト或いはポスターで以て旅客への御協力を願いまして、皆で一諸になつて鐵道中心とする犯罪の防遏に努めて行きたい、かように思つております。
  15. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 買出しに行くのは東北本線だけでなくて、各方面行つておりますが、東北本線に特に事故が多いという理由は、これは私は誤解をしておつたのですが、あすこの鐵道關係方々でいわゆる山猫とか、何とかいうことが大分ありまして、それがやはり鐵道保安にも及んでおるのじやなかろうか。それで當然保安官と申しますか、それを鐵道の中に乘込ませなければならんのを、乘込ませないことがこれまであつたようです。そういう手薄になつたところを襲われるのではないか、こういうふうに私は誤解しておつたのですが、そういう虞れはありませんか。
  16. 川原道正

    説明員川原道正君) そういうことは全然ないのでありまして、丁度そういう方面には非常に残念なことには第三國人買出しが非常に多い、そういう方々がどうも暴力に訴える傾向が非常に多い、こういつたことになつておるのでありまして、鐵道取締りが手引になつておるというたことから、そちらの方が多いという傾向は全然ございません。
  17. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 尚もう一つ伺いますが、この頃は大分鐵道の運輸の状況もよくなりまして、我々が、先ず不輸快でなくて、殊に二等車の方はよく旅行ができるよう、なりました。その點は非常に感謝をいたしております。併し三等車になりますと、闇商人が非常に乘つて、これは田舎の驛なんかで見ておりますと、どんどん改札口を通らないで、外の所から入つて來て、それを驛員が、別に咎めもしないで、あれは無札で乘つておるに決まつておると思いますが、それから大都市近くになつて來ると、もう本當に、例えば大阪ならば大阪難波驛ですか、ああいう所に行く前に、小さい驛でどんどん塀を、柵を乘り越えて出てしもう。そういうことも驛ではちつとも取締つてないように思います。如何車内だけの取締りでやつても、そういうことがあると徹底しませんし、又車内取締りというものも闇商人でなく、外の旅客の中にも非常に迷惑を掛ける問題であります。そういう柵を乘越えるのは悪い奴に決まつておるのでありますから、まあ人手が足らんと言われればそれまでですが、大體乘越えそうな所は分つておるのでありますから、現場の見張をもう少しよくせられた方がよいのじやないか、私はこういうふうに感ずるのであります。邪推をする人は、あれは鐵道驛長以下とぐるになつておるのだから、ああいうのは大目に見ておるのだとまで言う人があるのであります。その點はどういうふうに、お考えになつておりますか。
  18. 川原道正

    説明員川原道正君) 私の方では、手廻品の非常に大きな物を持つて入る者、そういう者については十分な取締りをする、又しろということでやつておるのであります。けれども、たまたま買出しに出られるような場所は、驛員の非常に少い場所でありまして、從つて人手が少いがために、そこを突破される、或いは相當に取締りを嚴重にしたがために、その驛員が相當に脅迫されていろいろな事故が起つた、こういつたような事件もたびたびあつたのでありますが、そういつたことにつきましては、今後とも十分正義感を以てそれに當るようにして行きたい、かように考えております。  そうして事實東北本線の瀬峰、その他の買出しの部隊の、今の集團強盗關係のある所では、驛員だけでは十分でないということで、取締り權限を持つております、鐡道司法警察權を持つております、鐡道保安官というものを十五名ほど、あそこの附近の二、三の驛に配置いたしまして、十分の取締りをやる、こういうことをいたしております。  外の地方そういつた驛につきましても、私の方の今の取締官というものは、將來は大體九千人にいたす豫定にいたしておりますが、只今のところ養成できておりますのは、僅かに千二百名程度であります、ですが將來人手が増し次第そういつたような特別の人間をそこに派す、そうしてその取締りに當る、こういうことをやつて行きたい。何分にも驛員がそこに、小さな驛で非常に人手も少い。それからずつとその驛におるということで、相當に脅迫を受け、又暴行を受けた、從つてその驛員殘念ながら若い驛員でありますために、幾らか見逃がしておるという傾向がなきにしも非ずであります。この點につきましても、今後とも十分取締つて行きたいと思つております。
  19. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 委員長もう一點……。
  20. 吉川末次郎

    委員長吉川末次郎君) どうぞ。
  21. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 少い鐡道從業員方方で、多いそういう闇商人、その他の不良者のお取締りになることは非常な苦心が要ることと思います。併しもつと本氣になつて取締りになれば、大きな荷物を持つて入る者はあやしいということは決まつておるのですから、もう少しそういう不正行爲を防ぐことはできるのじやないかと思いますから、尚一層の御努力を願いしたいと思います。  そこでもう一つお伺いして置きたいのは、その公安官鐡道乘つております公安官と、それから警乘しております普通の警察官と、移動警察との連絡關係、これはどういうふうになつておりますか、從前通り移動警察官を乘せておりますが、公安官の充實するに從つて移動警察官の方は警乘を止めるのでありますか、それはどういうふうにお考えになつておりますか。それから又保安官旅客荷物を調べる、それからそれを不正品として没收するというようなことをなさるのか。なさるとすればこの根據はどうなるか、それを伺いたいと思います。
  22. 川原道正

    説明員川原道正君) 今保安官乘つております場合におきまして、移動警察の方はずつとやはり國家警察の方で續けておやりになる。こういうことになつております。武装警官の方は警察法の改正及び豫算關係で、本年の一月から一部長距離列車のものは取止めることになつております。それでは私共の方も十分力がございませんし、その列車内の保安維持が十分でないということで、地方々々でお願いいたしまして、地方の非常に治安の悪い列車には、現在は地方國家警察管區本部にお願いいたしまして適當處置して乘つて頂いております。その連絡は十分缺くることのないようにやつておるのでありまして、今まで乘つておりますときには、通常警察官方々が五人お乘りになつて私共の方が一人、こういうようなことで武装警官のお乘りになつておりますときに、必ずそこに鐡道職員がくつついておる。移動警察官の乘るときには證標を持つて車掌及び私共の方の保安官乘つておりますときは、今度私が乘るぞというような通知を受けることになつておる。今度私の方の制度ができ上りましても、警察法で差支えない範圍豫算が十分とれ次第、一般警察方々武装を以て一つ乘つて頂きたいという、私共の方では希望を持つております。  それから鐡道職員經濟取締り等に對する權限でありますが。これは鐡道司法警察權制限がございまして、經濟取締りについては濫りにこれに觸れない。こういうことになつておりますので、私の方ではこの嵩が非常に大きくて手廻り品制限を超えるという場合につきましては、私共の方でこれを取締るということをやつておりますが、その内容如何につきましては、必ず經濟警察がこれをなさるということになつておりますが、内容如何については私共の方では觸れない。經濟取締の方には警察官が一人とか、或いは二人とか乘つて、ただ私共の方では協力をする、權限はない、こういうことになつております。
  23. 柏木庫治

    柏木庫治君 只今お話を承わりまして、非常に皮肉なような質問でありますが、嵩の大きい、小さいはあなたの方でなさつて内容警察官がする、實際問題としてそうすると、あなたの方の取締りが一番悪いというふうに感ずるのです。と申しますのは嵩の大きいのが、實際、ときどきお乘りになつて……例えていいますと、東北本線とか中央線とか、その他にお乘りになつて棚の上を御覧になつて見れば、隙間もなく嵩の大きいのが実際竝んでおると思います。あれは鐡道の親心でじつと見逃しておると私は思つておる。見逃しておるというと何ですが…苦しい運送であると思つております。眞劍取締るということであればそれはまだ人が少いとか、若い者がおるとかいうようなことは言い逃れか、言いくるめるように聞えるのでありまして、そこには驛長さんもおることでありますから、實際の問題はあなた方の態度如何によつて、成るべくとか、然らばということでなくて行くのではないかと思うのですが、實際の御所見はどうなんですか。これを本氣に、事の如何に拘わらず、嵩の大きいのは取締るという態度でお臨みなつて今の程度しかできないのか、實際は少しは見逃しておるというような氣持なんですね。お答えにならないでもよろしい。(笑聲)私はそれだけ申上げて置きたいと思います。
  24. 吉川末次郎

    委員長吉川末次郎君) 國家公安委員會委員長が見えておりますが、先程岡元義人委員から御質問があつたのですが、おいでにならなかつたので、岡元委員から國家公安委員長お尋ねになることを概略もう一度申上げて頂きたいと思います。
  25. 岡元義人

    岡元義人君 先程運輸當局にはお話申上げて置きましたけれども、關連性のある問題ですが、今囘引揚げが再開されまして、復員者等自分の郷里に上陸港から歸りつつある途中の輸送におきまして、赤旗、それも非常に大きな赤旗とか、疊一疊ぐらいのプラカード等を随時にホームに持ち込んでおる。又列車内におきましてはパンフレツトを配付いたします。これは共産黨の入黨用紙までも配付しておるというような状態なんであります。随所にこられの學生同盟との紛爭も起きておりますが、各地方現場を見ておりますと、警官は黙つてこれをば實に無關心で見送つておる。こういうような態度につきまして、どのようにお考えになつておるのか。今後どういうような措置をばお取りになるつもりか。先程運輸當局驛長十分知つておりながらこういうことをさしたのだから、これに對する處置をば講じて行きたいということをば申したのでありますが、公安委員長のお氣持をば聽かして頂きたい。  尚序にこの際申上げて置きますが、これは公安委員方面運輸省との兩方に關連して行く問題でありますけれども、いろいろ途中において、列車の先程來お話がありました闇物資の摘發とすいうことをするが、これに非常に汽るが相當な連絡をば保つておるにも拘わらず、二時間も三時間も列車をば停めていられる。警官の方ではこれだけの時間が掛かるからこれだけの間は列るをば停めて置く。先日も特にひどいのは、御存じだと思いますが、名古屋から龜山通つて拓植に行く終列車、この終列車早岐に行くあの列車連絡しておるのでありまして、あの附近から出來る客は、若しあの列車が二時間遲れますと、早岐に行くのに京都にて連絡しておりまして、京都以つて皆迷惑いたしまして、一晩泊らされる、京都の近所で歸れない。こういうような状態がしばしば起る。これは一體どこの責任か。運輸省がこれを認めておるのか。それとも警察との連絡が十分でないと考えられるのですか、その點を併せて御囘答を願いたい。
  26. 辻二郎

    政府委員辻二郎君) 只今共産黨宣傳等の問題でございますが、これは程度によると考えられるのでありますが、宣傳ビラを撤いたり、或いは入黨用紙を配つたり、赤旗を振るという程度では、警察取締りの對象となりにくい。そのために人に危害を加えたとか、何か不法行爲があれば、警察官としては當然取締るべきだと、こういうふうに考えております。ただ宣傳だけではちよつと取締りにくい、今の警察法では不可能だと考えます。  それから只今列車を停める問題、これは運輸省の方からもお答え願いたいと思うのでありますが、警察の方といたしましては、列車を停めるということは、ダイヤを狂わせ、非常に後に支障を來たすのでありまして、それは極力避けておるという方針を取つておる筈でございます。ただ特定の縣におきましては、縣知事責任において、特に縣境の取締りを嚴にしておられるというようなことは聞いております。警察としては列車はできるだけ停めないという方針で、指令いたしておる次第であります。
  27. 岡元義人

    岡元義人君 第一點の質問に對しましては、運輸省にいわゆる規則自體にも驛の構内、そういう所においては、かような赤旗を持込んで大衆的な何をやるということは、これは禁じられておる。その禁じられておることし、驛と密接な連絡がある、警察官規約を知らないといえばそれまでの話でありますが、併しながら、そういうふうな場所でやつておることに對して、全然無關心でおるというような公安委員長の御囘答では、これは滿足できないのであります。非常に今の御囘答は甚だ、我我は、こういうことで以て將來治安實際保てるかという、懸念を抱かされるのでありますが、重ねてこの點、はつきりした御囘答を願いたいのであります。  第二點でありますが、そういうことは絶對ないようにしておるという話でありますが、最近、これは頻々として行われておるのであります。汽車を二時間も三時間も停めておるのであります。それには勿論闇列車と名の付く程でありますから、乘つておるお客さんの半分ぐらいはこれは闇商人かも知れませんが、併しながら闇商人でない人も乘つております。そういうことが事實現在行われておるのでありますから、これについて重ねて運輸當局の御囘答も願いたいと思うのでありますが、もう一度はつきりした、そういうことは絶對ないのか、してはいけないと言つてあるのか、それをもう一度はつきり御囘答願いたいと思います。
  28. 辻二郎

    政府委員辻二郎君) 只今おつしやいました宣傳その他については不法行爲がない限り、取締れないと申しましたが、それは範圍程度の問題だと思うのであります。その點については警備部長から詳細にお答え申上げます。
  29. 樺山俊夫

    説明員(樺山俊夫君) 只今のは鐵道營業法違反の問題になると思いますが只今までの取締法といたしましては、警察の方といたしまして、鐵道從業員の方と連絡を取つておりますが、鐵道營業法違反で、宣傳をしていけないということもあります。これが取扱いにつきましては鐵道の方の御判斷によりまして、御協力申上げる、そういう建前でやつておるのであります。
  30. 柏木庫治

    柏木庫治君 私は、さつき辻公安委員長の岡本委員の質問に對するお答えで、岡元君同樣に不滿を感じた者でありますが、あれはあの中で演説をすることも、商賣をすることも、何か話し掛けをすることも、鐵道の營業妨害で現に禁ぜられておるのであります。驛構内におきまして騒ぐことも、赤旗を振ることも、そういうことは實際驛員の判斷であるとかないとか一々御相談をするわけには行かないと思うのでありまして、例えば個人の商店で家宅侵入みたような問題が假にありましたときに、私は警察官警察官の、公安委員は委員の立場として、みずからの使命に嚴たる態度がなくてはならんと思うのでありますが、實際問題といたしてああいう思想家のやつていることだからといつて公安委員なり警察が見逃しておるのか、讓つておるのか、あとがうるさいからと避けておるとしか思えない。さつきの岡本氏の質問に對しては一つ、言い逃れでなくて、眞劍な、驛と相談とか云々とかいうことでなく、法の前に如何に處するかということをはつきり一つお答えを願いたいと思います。
  31. 辻二郎

    政府委員辻二郎君) お言葉のごとく、新警察法、新憲法になりましてから、人權蹂躪の問題が非常に強く取上げられておりますために、警察官はそれをむしろ極度に、人權蹂躪というようなことを惧れるというような氣構えから、非常に警察官の意氣が低下しておりますということは、爭われない事實であると考えます。併しこれに向いましては、その限界を明確にして、今後勇氣を出して法の範圍におきまして、十分に活動するように、督勵いたすつもりでおります。現在ではお言葉のごとく當然取締まられるべきものでありながら、警察官が人權蹂躪に觸れやしないかということを極度に惧れるというか、甚だ意氣が低下しておるという事實は、認められるのではないかと思います。併しこれは一般の士氣を昂揚いたしまして、今後嚴重に取締りをいたすように心掛けておる次第であります。
  32. 岡元義人

    岡元義人君 或いはこれ以上質問いたしましても無駄かも知れませんが、今度の問題は非常に全國組織立つてつておるということであります。それで前の神戸、大阪におきましての朝鮮人の騒擾問題とか、これを考え合せましたときに、今度のこの問題が苟しくも國家公安の委員長が今のような御囘答をされたということに對しまして、私は日本の將來というものに對して、非常な危惧を抱かざるを得ないのであります。勿論當委員會の同僚議員でございましたならば、十分お分りになつて頂いたと思うのでありますが、この問題を大きく愼重に考えました場合におきましては、輕犯罪法の適用も必ずできる筈であります。にも拘わらず、委員長の先程のお言葉は全く解釋に苦しむのでありまして、勿論この點については尚一層委員長におきましては、よく内容を、これは單に形式でなく、將來どういう影響を與えるかということをお考え合せの上、十分御處置をして頂くようにお願いするのであります。  尚第二點の方に關しまして、運輸當省局のダイヤを遲らせるという問題について、この際御囘答をお願いいたしたいと思います。
  33. 川原道正

    説明員川原道正君) 經濟取締のために列車を停める、この問題につきましては、私の方といたしましてはもう實際はやりたくないのでありまして、ダイヤを狂わせる虞れのあるようなやり方はして貰いたくない、こういつたことでしばしば折衝をいたしておるのでありますが、なかなかその實現がうまく行かない。ただ一部の不心得者のために大勢のお客さんに迷惑を掛けるということは、非常に残念に思つておる次第であります。併し最近におきましてはその取締りも非常にうまくなりまして、昔は一時間二時間停めておつたんでありますけれど、今は大體三十分程度で以てその取締りの效果を擧げておられるようであります。それもできるだけ私の方といたしましては、警察官が途中驛から乘込んで頂いて、そしてその列車の中で或る程度調べて貰い、そしてその警察官の澤山溜つておられる大きな驛へ來て、短時間で違反者を降すなり處置をして頂きたいという希望を持つておるのでありますが、なかなかそれもうまく行かないといつたような状況のようであります。ただだんだんと停車時間は短くなつたということだけを御承知置き願いたいと思います。私達はそのために列車を停めるということは、できるだけ避けたいという希望を持つております。
  34. 吉川末次郎

    委員長吉川末次郎君) では次の議題に移ります。速記を中止して……。    〔速記中止〕
  35. 吉川末次郎

    委員長吉川末次郎君) 速記を始めて。  本日はこれにて散會いたします。    午後二時二十三分散會  出席者は左の通り。    委員長     吉川末次郎君    理事      中井 光次君    委員            青山 正一君            羽生 三七君            大隅 憲二君            草葉 隆圓君            岡本 愛祐君            岡元 義人君            柏木 庫治君            阿竹齋次郎君   政府委員    國家公安委員  辻  二郎君    國家消防廳長官 新井 茂司君    運輸政務次官  木下  榮君   説明員    國家地方警察本    部警備部長   樺山 俊夫君    運輸事務官    (鐵道公安事務    局長)     川原 道正君