運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1948-10-08 第2回国会 参議院 治安及び地方制度委員会 閉会後第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年十月八日(金曜日)    午後一時三十七分開会   —————————————   本日の会議に付した事件治安問題に関する件 ○地方財政に関する調査の件 ○治安及び地方制度に関する調査の件   —————————————
  2. 吉川末次郎

    委員長吉川末次郎君) それでは治安及び地方制度委員会を開会いたします。  先日の委員会におきして非日活動委員会のようなものを設置するか、或いは、そうした委員会が取扱うべきところの事務を本委員会が管掌するかということの問題に関係いたしまして、先般來それについての構想を練るための準備的な調査をして参つたのでありますが、その準備調査は先日の委員会で一應打切つて、第三國会において新たに選出されるところの委員によつて構成された委員会にその仕事を讓渡するというようにお決めを願いましたのでございますが、その節予定いたしておりました警視総監が、帝銀事件容疑者が自白しましたところの翌日でありまして事務上差支があつて來ることができなかつたので、その後警視総監と会いました節、行つて親しくお話申上げるというような田中警視総監の話でありましたので、本日更に來て話をして貰うようにいたして置いたのでありますが、ところが俄かにまたいろいろ事務上の差支ゑがありまして田中警視総監が私の約束して墮きながら來ることができないようになりました。それで代り警視廳警備課長三枝君が見えておるのでありすが、三枝君は説明員でありますが、その話を本日聽取いたしよろしうございますか。    〔「異状なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 吉川末次郎

    委員長吉川末次郎君) それでは三枝警備課長にお願いいたします。  尚資料の提出をするように田中警視総監より私には話があつたのであますが、その準備が今日できておらぬようなことでありますが、後日でも更に詳細な資料を印刷して廻して頂くようにお願いたして置きます。
  4. 三枝三郎

    説明員三枝三郎君) 只今御紹介に預りました三枝であります。総監は今日横浜で六大都市の警察長会議が朝からありまして、どうしてもそちらの方に出なければならので、私が代りに参つた次第であります。これから警視廳管内おける最近の治安状態につきまして、簡單に、極めて大雜把に御説明申上げようと思います。それで警視廳としまして、現在どういうような根拠で最近の……先程委員長からお話がございましような非日活動に関連するような、事態にタツチしておるかと申しますと、現在東京憲兵司令官の口頭による指令に基きまて、警視廳管内集会とか、デモンストレーシンヨを催す場合に四十八時間前に所轄警察署にその責任者届出でなければならないことになつております。そうして警視廳としましは、届出でられた集会なりデモンストレーシヨン責任者の名とか、簡單内容とか、デモの場合はそのコースとか、そういつたものを二十四時間前に東京憲兵司令官に報告しまして、そによつて承諾、或いは非承諾をするのであります。それでその続きによりまして、本年三月から九月までに警視廳管内において行なわれましたデモンストレーシヨン、或いは集会の開催された数を一應申上びますとデモは三月が十一件四月は九件、五月は十五件、六月は六件、七月は六件、八月は四件、九月は五件、九月末日までで合計五十六件ということになつております。このデモの中には、例えばメーデーというような非常に大きなものから、或いは数百名の小さなものもございます。それから集会は、これは非常に数が多いのでありまして、平均一日二、三十件あるのであります。そうしてこの集会の数を労働組合関係集会と、それ以外の政治、或いは文化関係その他の集会に分けて統計して見ますと、労働組合関係集会につきましては、三月が百六十九件、四月は百七十件、五月は百二十三件、六月が百六十三件、七月は九十九件、八月は百五十件、九月が三百十件、合計百八十四件という数になります。この労働組合関係集会内容を大雜把に申上げますと、特に最近につきましては國家公務員法改正問題を繞りまして、労働組合が今後如何なる方針の下に行かなくてはならないかということを議題にした集会が大多数であります。  次に政治文化その他の関係集会の数を申上げますと、三月は百八十五、四月は百五十八、五月は二百五十四、六月は百八十一、七月は百四十七、八月は百九十三、九月は百六十五、合計千三百十三件となつております。この政治文化その他の関係集会の中、最近著しく特徴づけられておりますのは共産党によりますところの街頭の演説会が数が多くなつておる事実であります。このようなデモ集会或いはそれ以外の管内に起きましたいろいろな事態を基礎にしまして、最近の治安情勢簡單に申上げて見ますと、先づ第一に我々としまして非常に憂慮しておりました問題は、いわゆる八月攻勢の流れとも考えられましたところの國鉄全逓労働組合職場離脱鬪爭がどのような形で中央に波及して來るかということであります。結論的に申上げますと、幸い警視廳管内においては職場離脱の実際の行動はなかつたのでありますが、その結果になるまでにも、やはり都下において北海道とか或いは福島方面職場離脱者が上京して参りまして、特にその一部は青年行動隊員と称されるような、極めて若い血氣盛りの人達がやつて参りまして、國鉄の各職場とか或いは都下の比較的急進的な人達のおりますところの印刷工場などでアジ演説をやつてつた事実があるのであります。しかし何れも大した劾果を挙びることもなく終りまして、又一面都下いろいろ労働組合の一部でも急進分子が相当胎動した事実があるのでありますが、結局全体的に見ますと実際職場離脱行動移つたということはなくて済んだのであります。  第二番目に問題となつておりますのは電産の停電ストであります。若し都下におきまして非常に長い間期に亘つて全面的な電源ストが行なわれるとしたならば、先ず第一に交通機関が止ることになりまして、これは治安維持上非常に影響がありまして、若しそのような具合に発展したならば、我々としては何とか考えなくてはならないと深く憂慮しておつたのでありますが、幸い九月二十二日と九月二十五日に御承知の通り極めて小規模の停電ストがあつただけで、その後は現在のところ格別の動きを示しておりません。私共としましては中央労働委員会のとき調停が一日も早く行われまして、早期の解決ができますことを望んでおる次第であります。  次に順序が少し前後しますが、國鉄全逓支部の一部の者がいわゆる傾斜鬪爭と申しますか、さみだれ戰術言つておりまして、二人々々が各自要求を持つて來まして所属長に対して鬪爭する、一人一要求鬪爭が現在行われておるのでありますが、これは詳しく申しますと、國鉄では新橋管理部長に対して、全逓につきましては東京逓信局長に対して地域的な個人的な要求を掲げまして、大きな場合は四、五十人の者が、小さいものは四、五人ぐらいの者が個々にやつて來まして、廊下その他のところに坐り込んで要求をするのでありますが、逓信局の方は今月の二日にはつきりと要求を断わりましたので、その後はやつておりません。ただ新橋管理部におきましては、今でも執拗にそのような形の要求行なつておりますが、全体的に見ますと、いずれも職場内のものでありますし、規模も小さいので、今直ぐ警視廳として何とかしなければならないというような程度のものはございません。  次に米寄こせ運動についてお話し申上げますと、いわゆる救護米寄こせでありまして、救護米制度は全國的にはないのでありますが、特に東京都においてこれは全面的に各地域に取上げられておる闘爭でありますが、これが取上げられたのは今年の七月末頃からであります。そうしてそれが最高潮に達したのは八月末から九月の初めにかけてでありまして、警視廳として取上げた事件一つあるのであります。その一つは品川、荏原地區で数千名の者が無届りの集会行なつたわけであります。無届け集会と申しますのは、先程初めに申上げましたように、四十八時間前の届出でをしないところの一部の指導者による集会でありますが、この場合に大田區區役所荏原支所関係係官に対して彈圧的に救護米配給要求いたしまして、その場合は無届け集会によるこの集会を解散しないということで、進駐軍の指令を破るものとして責任者が一名逮捕されまして、これは軍事裁判の方に現在かかることになつております。もう一つ事件といたしましては、九月十日に澁谷區役所に対して約六十名ぐらいの者が押しかけて、やはり救護米の強要したのでありますが、これは前々日の九月八日の日にあの地區の者は配給を受けておるのでありまして、米がないという理由は成り立たないのでありまして、全く計画的なこれは米寄こせの闘爭であつたのであります。この場合は區役所の助役、或いは会計課長といつた幹部に対して数名の者が來て強圧的に手足を捉えたり、その他暴力に訴えて要求をしたのでありまして、所轄支部警察署から参りまして業務執行妨害で五名の者を檢挙いたしました。更にそれの釈放方要求して警察署に数十名の者が押しかけたのであります御承知のように赤旗を立てて参つたのでありますが、これもそれぞれ解散を命じたのでありますが、それに應ぜず遂にやはり公務執行妨害で五名の者が檢挙されたのであります。合計十一名の者が檢挙されたのでありますが、この場合警察官も二名怪我をしております。これは國内法で全部やつておりまして、十一名の中三名の者が起訴されました。あとの者は起訴猶予ということになつたのであります。併し現在米寄こせ運動澁谷事件以來漸次平静に復しているような情況であります。  次に反税闘爭について申上げますが、これは今年の春頃一時盛んに活溌に惡税反対闘爭が行われまして、特に中小工業者が、これに意識的に、或いは知らず知らず参加して相呼應して、あちらこちらで集会をやるということがあつたのでありますが、夏頃になりまして比較的平静になつたのであります。ところが最近これは東京財務局警視廳と打合せもあつたのでありますが、この九月、十月には昨年度の滯納者が滯納処分を強行するという方針が示されまして、それが現在強行されておりますが、その結果又春のような惡税闘爭というものが各地に起きるのではないかと愼重に我々はその動向を見ております。  次に治安維持上やはり考慮しなければならない問題としまして、第三國関係の問題がございます。御承知のように朝鮮は南北に分れまして八月十五日に南朝が独立して、アメリカがこれを承認する。それに次いで北鮮もソ連の擁護によつて独立したのでありますが、その微妙な空氣そつくりそのまま國内の朝鮮人の各團体に現われておりまして、御承知のように北鮮を代表するものとして朝鮮人連盟朝鮮民主青年同盟それから南朝を代表するものとして居留民國及び建國促進青年同盟の二つの陣営に分れておりますが、この対立がしばしばやはり手を付ふなければならない不法行爲を生み出しておるのであります。すでに建國促進青年同盟が、八月十五日以來勢いを盛り返しまして、都下各地區支部の未結成の所を結成するようになつておりましたところ、それに対して連盟側実力でこれを妨害するという挙に出でたのであります。それで例えば台東地區において、或いは中野の地區において結成式を妨害するところのトラブルが二三あつたのでありますが、それが漸次激化して行くような向きが現在見られるのであります。特に最近連側がすでに各支部において二、三ヶ所北鮮人民共和國政府の樹立を祝賀するところの集会を開いておるのでありますが、都下全体の大きなやつをこの十七日に催す予定になつております。これに対して反対側であるところの居留民國建青は若しGHQ憲兵司令部、或いは警視廳においてこの集会を許可するならば、たとえ許可しても実力を以て自分たちは絶対に反対をするということを、すでに幹部中にも言つておる者があるのでありまして、同日或いはそういうようなことのトラブルが起きるのではないかということを心配しております。結局最近におきまして都下集会とか、デモとか、或いはその他のいろいろの事件を通して見ましたところの治安状況というものは、概括的に平穏な状態にあるということが言い得るのでおりますけれども、ただ最近この政情が不安な状況にありますので、或いは公務員法改正がいよいよはつきりして來ますと、それに対するところの反対闘爭というものが活溌に行われるというようなことで、現在の平静さを以て、將來はその侭で大丈夫であるというような工合にはいかないのでありまして、我々としましては、先程申上げましたような、例えば労働運動に伴うところのいろいろな活動或いはその他の市民闘爭、或いは一般の中小工業者と結び付けられたところの闘爭そういつたものに対して、今後十分に注意して行くようなつもりでおります。非常に簡單でありますが概活的に申上げた次第であります。
  5. 吉川末次郎

    委員長吉川末次郎君) 只今三枝警視廳警備課長説明に対しまして御質問がございましたらお述べを願いたいと存じます。御質問ございませんか。
  6. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 ちよつと伺いますが、この間國家警察本部長に聞いたのでありますが、反税闘爭といいますか、税が高いというので、ある人が、又ある党が、自分が皆の代表となつて交渉してやるから皆ついて來いというので、百名ぐらい人を連れて税務署に行き、それがまあ非常に強圧的な、暴動に類したことになれば、これは勿論違法ですけれども、そうでなくて、強硬な談判をして負けさせることに成功したときに、まあ謝礼として皆から何百万円負けたのだから数万円出せというので、金を取るというようなことは、これはそういう謝礼とか何とかいうことで、不問に附せられるかどうかという点ですが、これはどういうふうにお考えになつておりますか。
  7. 三枝三郎

    説明員三枝三郎君) 警視廳管内では、また現実にそういう問題は起きておりませんが、ただその初めの方の段階ですね、強圧的に、例えば税務署長に対して実際上もう承知せざるを得ないような雰囲氣にしておいて、この税率を更新させるというようなことが、どの程度であるか、その程度によりまして、程度が過ぎますと、公務執行妨害とか強要暴行罪とか、いろいろそういう事件になります。後の場合は、これはどうゆうものでございましようか。私の方としましては、捜査関係の方が実はその専門なんですが、普通合意で、謝礼の意味で出すならば問題が起きないかとも思いますが、又出させるのも個人の意思を無視して強圧的に、これを出さなければ又後で組合を除名するとか、いろいろなことでやれは、これは又背任横領とかのいろいろのことになるかも知れません。特に具体的な事件にならないとちよつと分りません。
  8. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 これは合法的にやつておられるのだろうと思いますか、まあそういうことがしばしば成功するものだから、結局それじやその税を負けて貰うにはその党に入つてつた方が得だということになつて、商人の人たちとか、その他農民の人々とか入党するというようなことが非常に多くなつて來る、飽くまで合法的にやつておられるでしようが、その合法と非合法との線員非常に曖昧な点が多いだろうと思うのです。まあ入党を阻止するとか、そういうことは到底できないが、相当考えて頂かなければならん点だろうと思うのです。それは政治のやり方としても考えなければならん。政治惡いからそういうことが起り勝ちだから考えなければなりませんけれども、そこの線のどこまでを合法と見るか、どこまでを非合法と見るか、相当はつきりして置いて頂く必要があると思います。
  9. 三枝三郎

    説明員三枝三郎君) 米よこせの場合でございますね。あの時には、主として集つた者は家庭の主婦なんでございます。その時に実際配給を受けた者が何世帯何人、その数は分つておりますが、あとで、返しに行つた事実があるのです、一部の者は。これなどに非常に面白い現象だと思うのです。それから今言つてどこに線を引くかというようなことは、これはなかなか私共としましては、具体的に犯罪が起きる、或いは犯罪が起きる可能性があるといつた場合に、その團体を檢挙する、或いは鎭圧する、或いは防犯的な見地からこれを阻止するというのが任務でありまして、どこに線を引くというような直接には関係ないのでございます。
  10. 吉川末次郎

    委員長吉川末次郎君) 他に御質疑ございませんか。なければ次の議題に入りたいと存じます。  地方財政調査をして参つたのでありますが、それにつきましては立教大学の教授である藤田武夫君を特に本委員会嘱託いたしまして、その調差嘱託をやつて貰つて來たのでありますが、藤田君の調査は九月末日を以て完了いたしまして、調査報告書が皆さんのお手許へ提出されておるわけであります。今お手許プリントにしまして提出いたしました地方財政に関する調査は、藤田君の調査報告、それ以外に委員会専門員手許で取縟めました地方に派遣されました委員報告書、その他の資料も一括いたしまして、お手許へ差出したわけであります。詳細はこの印刷物を御覧を願いたいと思うのであります。藤田嘱託が見えておりますのが、藤田嘱託り先に所得税附加税に関する意見を聽取したのでありますが、尚それ以外にこの調査報告書に開会して特に報告される事項があつたら、この機会に報告して頂きたいと思います。
  11. 藤田武夫

    嘱託藤田武夫君) 七月の地方財政調査を委嘱されまして、その一部を九月の始めに中間報告をいたしまして、それが調査が一應纒りましたので、先日それを纒め國会の方に提出いたしまして、それがプリントなつておりまして、委員方々手許へ参つておることと思いますから、大体それを御覧願えればいいわけでございますが、見て頂きます便宜上極く簡單にそこへ纒めましたものの内容をかいつまんで一應申上げておきたいと思います。  調査内容は、その目次を御覧願いましても分りますように、初めにこの七月に行われました税財政制度改正以後の地方財政状況を一應調べましたところを掲げたわけでございます。それを大体地方財政の総観的なものを先ず見ましたのですが、ここでは詳しいことを止しまして大体の要点を申しますと、大体やはり地方財政全体として約二百六十五億円の歳入欠陷が出るという状態なつております。これは地方財政委員会事務局の算定で大体間違いはないようであります。ところがこの地方税財政制度改革が行われました以後のインフレーシヨンの昂進によります人件費物件費の膨脹ということは、ここには織込まれておりませんので、例えばその中の人件費だけについて見ましても、三千七百九十一円ベースに一時問題になりました五千二百円ベースに上げただけでも二百億円の金が要る。それはほんの一例でございますが、そういう状態で、今後この赤字が益々大きくなるという一種のそういう状態にございます。從つて第二次の地方税財政改革が必要であるということは最早説明を要しないところだと存じます。それが大体の現状の総観でございますが、その次に各道府縣市町村、これにつきましては、委員方々が調べておいでになりました資料、それから私が少し集めましたものをそこへ掲げたわけでございます。これは詳しい説明は省略させて頂きます。  それから第二に地方税財政制度の、この前の改革の当時に現われました意見でその税制改革に採入れられなかつた意見並びに、改革以後に表われました意見一覧表のような形でそこへ御参考のために纒めて見たわけでございます。税制関係改正意見とそれから地方財政法関係改正意見、それから地方團体中央金庫地方災害復旧その他に関する意見、大体そういうふうに分けまして、その意見要点と、その理由と、その意見を提案している提案者、それを極く簡單に掲げておきました。そういう現実地方財政状況とそれから各方面改革意見というものをいろいろ斟酌いたしまして、又自分でもいろいろ考えて見まして税制財政改革案というふうなもの、まだ十分熟したものではないのでありますが、立てて見わけではございます。そうして、その税財政改革案の一番基本的な前提になりまするものは所得税附加税復活の問題でありましてその所得税附加税復活の理論的な又実際的な根拠というものにつきましては、この前に御説明中間報告でいたしましたので、省略させて頂きます。それで所得税附加税復活ということを前提條件といたしまして、地方税制改革案の要綱をそこへ纒めて見たわけでございます。それで所得税附加税復活要点は、大体附加税税率を道府縣市町村共で本税に対する百分の三十、道府縣で百分の十五、市町村で百分の十五、これは中日事変以前の昭和十一年、まあ割合平常の時代の税率が大体道府縣市町村合せまして百分の四十五くらいになつております。その後所得税が非常に増徴されておりますので、そういう点を斟酌いたしまして、大体百分の三十というふうに見て來たわれであります。そうして所得税附加税につきましては御承知のようにそれの徴税が技術上いろいろな困難性を伴うということが問題になつておりますが、それも所得税附加税復活論の中に書いてございますが、その中の利子配当所得に対しまする所得税については附加税を徴收することが事実上困難でありますので、その利子配当所得につきましては附加税相当額を本税において増徴して、それを配付税の財源に繰入れる、ひういうことを考えております。
  12. 吉川末次郎

    委員長吉川末次郎君) 簡單にひとつ……。
  13. 藤田武夫

    嘱託藤田武夫君) その外には権利金税とか、それから煙草消費税、これはいろいろな方面要求されておりますので、極く軽い率の、小賣價格の百分の五程度煙草消費税を新設する、その外空地税とか庭園税商品券発行税保雄特別税、こういつたものが新説の税種といたしまして適当だというふうに考えた次第であります。まだ外にもいろいろ財産税とか土地増價税なども唱えられておりますが、実際問題としてなかなかむずかしいのではないかと思われます。  それが新税でございますが、現行税制修正といたしましては、先ず第一に住民税につきまして所得税附加税復活いたしまするので、住民税につきましては、これを現在の三分の一程度府縣民税市町村民税と合せまして大体三百円というのを標準にいたしまして、且つ住民税本來の精神でありますところの負担分任精神を生かすために均等割の部分を多くする。そうして所得税附加税違つて建前の下に賦課する。そういうものに改めたい。それから地租及び家屋税、これにつきましては賃貸價格改訂を是非行わなくてはならん。併しこの賃貸價格改訂は非常に困難でありますので、暫定的な方法といたしまして評價委員会というようなものを各府縣市町村に作りましてそうして台帳登録家屋土地賃貸價格について、毎年度それに対して大体今年はどれくらいの倍率に見積ればよいかという倍率委員会で決めて、その倍率を掛けて賃貸價格を決めて行く、そうしてその倍率地域家屋の種類によつて変えて行く、そういう便宜的な方法賃貸價格改訂を行い、そうしてそれに伴つて税率を整理する。  それから事業税も、主食の供出の主要食糧について免税をしておりますが、それはやはり課税した方がいいというふうに考えられます。  それから酒消費税、これは現在百分の五を掛けておりますが、煙草消費税を創設いたしまして、百分の五といたしまする均衡上、百分の十に引上げる。その細かい修正点がございます。  それから配付税につきましては、所得税附加税復活いたしまするし、配付税を一定の税收に結び付けるということは、配付税本來の調整的な機能を十分発揮し得ない欠点がございますので、交付金という形で國庫から交付する。そういう建前に改めるべきだというふうに考えられます。これが税制改革についての案でございます。  地方財政関係については、いろいろな問題がございますが、地方財政法に、國が地方財政に協力するという建前を第二條に規定してございますが、もつと積極局にその協力の責任を明かに規定する。そのことから地方團体中央金庫法とか、災害復旧基金法というふうなものが考えられて來るだろうと思いますが、そういう積極的な協力規定を説け又公営企人について、一般的なもつと整備された規定を設けなくてはならないというふうなこと、それから自治体警察の創設、消防の強化に伴う施設の軽費とか、警察及び消防の職員の費用、そういつたもの、それから道路、河川、港湾の維持修繕費、そういうものについて國庫負担金の制度を設ける必要がある。  その他いろいろございますが、地方財政委員会の権限をもつと強いものにしなくてはならんという要求が相当ございます。それで政府の決定しました案と、地方財政委員会の決定案とが食い違いました場合には、委員会の原案を政府の案に添えて國会に、提出して、國会の審議に付する。そういう建前に改めるべきであるというふうに考えられます。  その外地方團体中央金庫案、これはもうすでに地方財政委員会事務局から詳しいものが出ておりますが、この地方團体中央金庫並びに地方財政復旧基金、これを設置することが地方團体の自主的な金融組織を作り上げるという意味からは、非常に重要な、是非実現さるべき問題だというふうに考えられます。なるたけ簡單に、大体の筋道だけを報告させて頂いて終らせて頂きます。
  14. 吉川末次郎

    委員長吉川末次郎君) 只今藤田嘱託の報告に対する御質問などがおありのことと存じますが、後刻地方財政委員会の荻田事務局長から、最近の地方財政事情などについての説明がありますので、それと一貫しまして、後程御質問がある場合はして頂くことにいたします。  それでは次の議題に入りたいと思います。  閉会中における継続調査といたしまして、各委員が元般四班に分れまして、專ら地方財政についての調査地方に参りましていたしましたのでありますが、その四班中の一班でありまする、北海道方面への参りました岡本愛祐委員並びに私、一名の調査報告はその要旨をここに謄写版にいたしまして、皆樣のお手許に差出してございますので御覧を願いたいと存ずるのであります。尚この調査増告要旨に関連いたしまするところの、各地において持つて帰りました資料等につきましては、專門調査員室に保存してございますので、御要があれば御覧を願いたいと思います。岡本君、あなたの方からお言いになるようなことはございますか。
  15. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 でございません。
  16. 吉川末次郎

    委員長吉川末次郎君) それでは、できるだけ報査報告に関連いたしましてこれをば速記録に殘して置きたいたいと存じますので、他の地方においでになりました委員の方から、簡單で結構でございますから、口頭で以てお話を願えれば結構と思いますが……。
  17. 中井光次

    ○中井光次君 私共は、黒川委員と二人で、三重、和歌山兩縣に調査に参りましたが、その調査報告書は、只今印刷中でありますので、不日お手許への配布して、御覧を願いたいと思います。尚いろいろの資料につきましては、同樣持つ帰つて、專門委員室の方へお届けしてございますから、御覧を願いたい。
  18. 吉川末次郎

    委員長吉川末次郎君) それでは、二班の方、鈴木さん御報告願います。
  19. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 私は、小野哲君と二人で、東北地方を視察をいたしたのであります。視察の方針としましては縣廳におきまして、縣全体の財政関係調査する。尚それぞれの縣におきまして、特殊的な市町村を選びまして、そうしてその市町村の、財政関係を視察するこういうような方法によつて視察したわけでありますが、その中で、二、三成程と思われるような御意見がありましたので、御報告いたして置きたいと思うのですが、その中の一つは、東北地方は、米の單作地帶が非常に多いのです。それでこの單作地帶における財政がどんなふうになつているかということを注意をして調査したのでありますが、その時に、山形縣の知事さんの御意見でありましたが、山形縣の如きは、米を非常に沢山政府に供出する、その供出した物が消費縣の方に運ばれて、一般に消費される。こういえ段階になるわけですが、この米の價格を上げるというようなことは、直接生産の農家の收益にはなるのでありますけれども、生産の縣なり市町村の財政に響かない。それは事業税とか、米麥等の主食の税金を取らないというようなことになつておりまする関係からして、幾ら米が上りましても、その農民は收益が多くなりまするけれども、その農村の或いはその縣の收益というものが一つも上らないわけです。そういうことからして非常に單作地帶における財政が貧弱になつているわけです。これをカバーする方法として山形の知事さんの言われるのは、縣外に移出した分をいうだけに限定しておりまして、いわゆる政府に供出したものの中で、縣内において消費されるものは別でありますが、縣外の方に移出される分については、それを消費者から例えば一升について幾らというような消費税というものを取るわけです。丁度酒の消費税や煙草の消費税と同じように、米を消費税と同じように、米を消費する人から一升の公定價格の他に一定の税を取るわけです。その税を移出したところの数量に應じてその縣なり市町村の税として還元して貰うというとその財政が非常に豊かになる。こういうような御意見であつたわけです。即ちもう一度申上げますと、米の消費者をら一升について幾らというふうに税として取るわけです。そうして取つたものを米の生産者になるのじやなくして、生産したところの縣なり或いは市町村の財政にそれを配給してやる。こういうことをするわけです。それが事業税と違うところのものは、事業税として取りますると、その税を納めるのは、その農家が納めることになる。ところが山形縣知事の意見によると、それを消費した人が納めるということになるわけであります。そうしてそれが生産した市町村の收入になるとまあこういうふうなことができないかというような御意見がありました。  それと同じようなことが……福島縣に参りましたところが、福島縣は煙草の生産地だそうです。で、相当煙草を生産しているけれども、生産に必要なところのいろいろな生産奬励金とかそういうものはない。そこでこれも又煙草消費税というものの中から一定のものを貰いまして、それをその煙草を生産しているところの市町村の財源に組入れて、貰うというと煙草を生産しているところの市町村においては大いに力を入れて、そうしてその煙草の生産に力を注ぐことができるのだというようなことがありました。  そういうふうな考え方が山形縣或いは福島縣にありましたので、これは実現するとかしないということにつきましては、相当檢討を要することだと思いますけれども、尊重すべき御意見であると思つてつて來たのであります。  次にその第三点でありますが、第二点に東北地方の自治体警察の費用につきましてでありますが、私は先に関西地方の自治体警察の関係を調べた。大阪あたりを調べたのでありますが、大阪あたりなり或いは愛知などにおきましては、自治体警察の方の俸給が非常に多いのです。國家警察の俸給よりも非常に多く貰つているのです。ところが東北地方を歩きますというと、逆でありまして、國家警察の收入の方が自治体警察の收入よりも多いというふうになつていることを発見したのであります。これは殊に関西地方の大都市におきまして相当税收入、入場税とかそういうものが多い。財政が豊かだからして相当待遇をすることができる。從つて國家警察に比較するというと自治体警察の方が非常に優遇されるという形になるのでありますが、東北地方の方は逆に單作地帶であつて税收入が少ないものだから、殆んど大部分の自治体警察を持つておる市町村においては、如何にしてその経費を捻出するかということに苦慮しておるために、十分なるところの待遇を自治体警察にすることができない。從つて自治体警察の方面と比較すると、國家警察の方が相当優遇されておる。かような状態であつたのであります。この一例を見ても、如何に東北地方財政的に困難をしておるか、いわゆる單作地帶というものが如何に財政的に困難なものであるかということが裏書できたと思つて來たわけであります。その他いろいろありますけれども、それは別途にいたします。
  20. 吉川末次郎

    委員長吉川末次郎君) 他のもう一班の方は今日委員が御欠席のようですから、調査報告書の御提出を願うなり適宜の方法を講じたいと思います。  つきましては院議に基きまして休会中継続調査をして來た案件については、調査報告書を松平議長の手許まで提出する必要がありますので、右報告書については皆様の多数意見者の署名を付しまして、その經過及び結果を報告しなければなりません。その報告書内容につきましては委員長に御一任を願いたいと存じますが、よろしうございますか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  21. 吉川末次郎

    委員長吉川末次郎君) 御異議がなければそのように取計います。つきましては御署目をお願い申上げます。  尚荻田事務局長より地方財政の現状等につきまして説明を聽取する件は、本日は市長会議行つておるそうですから、又他日を期することにいたしたとい思います  尚この機会に取極めを願つておきたいと思うのでありますが、実は來月の四日から三日間大阪市において第十回全國都市問題会議というのが開かれるのでありまして、それは全國の市が共同いたしまして日本都連市盟というものを組織いたしておるのであります。そこで本年開かれるものが第十回になるのでありますが、その都市問題会議議題として、都市財政の確立に関する方策でありまして、第一部会第二部会、第三部会という三つに部会を分けまして、都市の經営に関する問題、都市の租税收入に関する問題、都市の税外收入に関する問題について研究討議を行なう予定となつておりまして、國会に対し会も私宛に參賀を要望して參りました。で、本委員会といたしましてはこれに參賀することは委員会調査審議の上に極めて有益であると考えますので、右の会議委員の方から若干名それから專門調査員一名くらいでいいと思いますが、派遣しまして、同会議に集りまする学界、実際家及び官界等の各分野におけるところの報告及び研究討議を聽取するようにいたしたいと思うのでございますが、本委員会は十日を以て大体その翌日から第三國会に入つて改組せられることになつておるのでありまするが、ただこの会議に參加いたしますることを申込みます期日が急を要しますので、むしろ新地方行政委員会に決定を任すべきであるかとも思いますが、そうした期日の関係上御異議がなければ參加することだけをここでお取極めを願つておきたいと思うのですが、如何でしようか。
  22. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 參加というのはどういうことですか。その都市が構成しておる会議に參議院の地方制度委員会の人として出席するんですか、或いは參加してそこに審議に加わつて何か陳情したり何かという……。
  23. 吉川末次郎

    委員長吉川末次郎君) そういうことではないのです。討議の実情を見る、ただ出席するだけなんです。殊に私に対しては來賓のような意味で言つて來ておるんだと思いますが、參加して呉れというようなことが向うの案内状にあるわけなんですね。有力な地方行政に関する研究的な会合なんで学界の会議のようなものですが、有志の方が、委員会の代表として若干の人が治安及び地方制度委員会、或いは地方行政委員会の代表として加わつておくことは必要じやないかと思います。
  24. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 今のような場合には正式の出張のような形で行けるのですか。調査と同じように……。
  25. 吉川末次郎

    委員長吉川末次郎君) それはここでお決めになればいいと思います。
  26. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 議員派遣ですか。
  27. 吉川末次郎

    委員長吉川末次郎君) 私は一人か二人くらいでいいと思いますね。
  28. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 どうでしようかね。形式論としては、治安及び地方制度委員会というのはなくなるのだから、この会から誰か代表で出席するということは、もう十一月中ですか、になれば、不可能なことであつて、代表者を出席させるとすれば、新たな地方行政委員会から出るのだから、今ここでそういうことを言つたつて駄目なんじやないですか。法律的効力もなし、何もならないのであつて、だから新たに委員会ができてから、遲蒔きながら出席する必要があれば出るように言つてやればいいのであつて、今ここでやつたつて何もならんと思います。
  29. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 例えば今ここで決議するでしよう。それは十日までの間ならば、それはやれるけれども、十一日になつてはもう消減してしまうんですからそうすると十一月以後において正式に派遣する場合にはもう一度正式の委員会を開かなければ駄目だということになるんですね。
  30. 岡本愛祐

    岡本愛祐君 そういうことなんです。
  31. 吉川末次郎

    委員長吉川末次郎君) 大体委員会としては、これの後身としてできるわけでありますし、それから実質上まあ各会派を通じて、委員会の方の相当多数の方がやはり後継の地方行政委員会委員になられることかと推察するんですが、ただ申込の期日がそうしたわけで間に合にいませんから、そうした意見があつたということに止めておくだけで、法律上、形式上の効果は生れないかも知れませんが、実際上の効果に生ましめるように……
  32. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 ですから正式に派遣はもう一度どうしても正式にやらなければ……
  33. 草葉隆圓

    ○草葉隆圓君 今委員長のいわれるようにやつて、後は正式にやれば……
  34. 鈴木直人

    ○鈴木直人君 申込というのはどういうわけですか。
  35. 吉川末次郎

    委員長吉川末次郎君) それもおかしいんですよ、嚴重な会議のことでございませんから、向うか予定するのに申込んでおくだけでね。それじやそのようにお決めを願つたこととして、本日の委員会はこれを以て完了したことをいたします。散会いたします。    午後二時四十五分散会  出席者は左の通り    委員長     吉川末次郎君    理事      中井 光次君            鈴木 直人君    委員      羽生 三七君            岡田喜久治君            大隅 憲二君            草葉 隆圓君            黒川 武雄君            奧 主一郎君            岡本 愛祐君            岡元 義人君   説明員    警視廳警備交通    部警備課長   三枝 三郎君    立教大学教授  藤田 武夫君