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1948-09-27 第2回国会 参議院 司法委員会眞木事件に関する小委員会 閉会後第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年九月二十七日(月曜日)    午前十時二十五分開会   —————————————   本日の会議に付した事件眞木事件に関する調査の件   —————————————
  2. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) それではこれから裁判官の刑事件等に関する不当処置調査委員会の小委員会を開きます。  証人お出で願つたようでありますから、証人の調べに入ります。三枝三郎さん。
  3. 三枝三郎

    証人三枝三郎君) はい。
  4. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 伊藤誠さん。
  5. 伊藤誠

    証人伊藤誠君) はい。
  6. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 兩名共御出席のようでありますから、証人のお方に本日証人としてお訊ねいたしますが、その前に宣誓をして頂くことになります。この宣誓刑事被告人になるような危險のある場合は拒否することができますが、若しそういう危險がないならば、宣誓をして頂きたいと思います。如何でございましようか。
  7. 三枝三郎

    証人三枝三郎君) 宣誓いたします。    〔總員起立証人は次のようの宣誓行なつた。〕    宣誓書  良心從つて眞実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。    証人       三枝 三郎    証人       伊藤  誠
  8. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) それでは三枝さんの方から先にお伺いいたしますから、伊藤さんは別室でお待ち下さるように……。  御承知通り宣誓した後、虚僞陳述をいたしますると処罰される場合もありますから、その点を御考慮下さいますように。
  9. 三枝三郎

    証人三枝三郎君) 承知いたしました。
  10. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) あなたの年令はお幾つですか。
  11. 三枝三郎

    証人三枝三郎君) 数え年三十六歳です。
  12. 大野幸一

  13. 三枝三郎

    証人三枝三郎君) 現在は、東京練馬練馬南町二の三千六百五十五番地です。
  14. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 現在の御職業は。
  15. 三枝三郎

    証人三枝三郎君) 警視廳警備交通部警備課長をしております。
  16. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 昨年五月一日に宮城前でメーデー催しがございましたことを御存じでございますか。
  17. 三枝三郎

    証人三枝三郎君) 知つております。
  18. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) その当時あなたは警視廳でどういう係りにお出でになりましたか。
  19. 三枝三郎

    証人三枝三郎君) 現在と同じです。
  20. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 警備課長になつたのはいつ頃ですか。
  21. 三枝三郎

    証人三枝三郎君) 昭和二十一年の十二月でございます。
  22. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 新鋭大衆党というのがございましたことを御承知ですか。
  23. 三枝三郎

    証人三枝三郎君) 知つております。
  24. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) これがメーデー催しをするといつて宮城廣場使用方許可というものをあなたの方へ申請して來たことがございますか。
  25. 三枝三郎

    証人三枝三郎君) ありました。
  26. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) そのときの事情を御説明願いたいと思います。
  27. 三枝三郎

    証人三枝三郎君) 昨年の四月七日に正式に届出をしたのであります。
  28. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 誰が參りましたか。
  29. 三枝三郎

    証人三枝三郎君) 私は直接受けておりませんが、多分新鋭大衆党幹部が來たと思います。
  30. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) あの五月一日のメーデー廣場を使用するについては、どういう方法で、誰に許可いるというような標準でもありますか。
  31. 三枝三郎

    証人三枝三郎君) これは現在警視廳の管内では、集会示威運動を催す場合は、四十八時間前に所轄の警察署に、或いは直接警備課届出でしなければならないのです。その結果届出でた場合、秩序を維持できるかどうか。例えば交通上の秩序を紊すような場所であるかどうか、そういうような観点から許可許可警視廳が與えます。これに從いまして新鋭大衆党も四十八時間前ならいつでもよろしいのですが、非常に早く、四月七日に届出たのです。これには、届出責任者、または目的場所、その他必要な事項を記載するようになつております。それで私の方ではそれを受けまして、当時第十八回のメーデーが五月一日に昨年通り、昨年通りといいますのは昭和二十一年通りおそらく宮城廣場であるのだろうということを考えましたので、一應届出たので受理はしたのであります。併し許可許可というようなことについては何らまだ意思を表示しなかつたのであります。
  32. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) その他の團体などからも使用許可申請がありましたか。
  33. 三枝三郎

    証人三枝三郎君) これは正式に届出はないのですが、第十八回メーデー実行準備委員会、これがまだそのときは結成されておらなかつたように思いますが、いずれにしてもそういうような労働組合関係人たちが集まつて計画を持つていたということは聞いておりました。それは昭和二十一年と同樣であります。正式にはまだ四月七日にメーデー実行準備委員会の方では届出はないのであります。
  34. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) そこで、いわゆる新鋭大衆党が先に申込んでおり、それから次にまあ毎年例年のごとく行われる労働祭が行われると、まあそういう事情にあるときにどういうことが起りましたですか。
  35. 三枝三郎

    証人三枝三郎君) 実はその新鋭大衆党の方で申込んだのは、共産党打倒、それから生産復興というのが目的なんであります。その年の一月にいわゆる聽濤事件と申しますか。聽濤氏のあの事件がございましたので、若しメーデー当日反共團体が一方で多数集まり、又同じ場所新鋭大衆党その他の反共団体が、或いは対象にしているかも知れないような團体が企てた催し物が地方にあるということは治安を維持するという立場から極めてこれは考えなくちやならないという工合に私共は考えて、何とかここはうまく行かないものだろうかというわけで、実は樣子を見ておつたのであります。ところが四月の二十一日にですね、その前にメーデー実行準備委員会の方でやはり正式に警視廳宮城廣場を使いたいという申入がありまして、いよいよそれがはつきりした形になつて現われましたので、四月二十一日に警視廳に兩者の責任者を招致したのであります。その際に新鋭大衆党から眞木康年メーデー実行準備委員会の方から産別代表としまして細谷松太氏、それから總同盟代表としまして原虎一氏、高野実氏が見えた。そこで話合いました結果新鋭大衆党の方では、メーデーというのは健全な労働組合の精神に基いた年一度の労働祭である。その意義を我々は認める。又その通り実行されるなら何も五月一日にどうしてもあそこでやらなければならんと主張するわけではない。自分たち勤労者であるというようなことで、うまい工合に話がつきまして、共産党打倒生産復興の方の新鋭大衆党その他の團体催し物は四月の二十九日の天長節の日に宮城前で行う。メーデーは昨年通り、その前の年通りやはり五月一日に宮城廣場で行う。そういうことに決まりまして無事に二十九日と、それから五月一日を迎えて事なく終つたわけであります。
  36. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) そのときにですね。新鋭大衆党の方をまあ説服させるというか、特にその方面にまあ顔のいいとか、親しいとかいうような意味で、入つた人は、ありませんでしたか。
  37. 三枝三郎

    証人三枝三郎君) 別にございませんでした。
  38. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 新鋭大衆党の方の人の話によると、自由党の大野伴睦氏がそれに入つたということを証言している人があるのですが……
  39. 三枝三郎

    証人三枝三郎君) 誰が何ですか。ちよつと聽取りかねたですが……
  40. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 大野伴睦氏が入つたというようなことは……
  41. 三枝三郎

    証人三枝三郎君) そういう事実は全然ございません。当日は私もその席に出ましたが、先程言いました四名だけです。
  42. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) そうですか。
  43. 三枝三郎

    証人三枝三郎君) そうでございます。
  44. 大野幸一

  45. 三枝三郎

    証人三枝三郎君) 總監は出ております。
  46. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 出ておりますか。
  47. 三枝三郎

    証人三枝三郎君) はあ、出ております。總監室でやりました。
  48. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) そこで新鋭大衆党が五月一日を特に選んだということについてはあなた方の受けた感じはですね。どういうふうに感じられたですか。まあいわゆる労働祭を毎年やるところを先に正式に申込んであつて、その場所を乘取るというよな、こういうようなことであるし、それから一面においては、その前に聽濤事件なかんで、ああいう傷害事件が発生して、そのバツクには新鋭大衆党がいた……と言わなくても、新鋭大衆党党員であつたというような事実から、あなたがたが受けられた印象はどういう印象を受けたか……
  49. 三枝三郎

    証人三枝三郎君) 印象と言いましても私共は全く事務的に取扱つているので……。当時ちよつと大きな集会になりますと、他に適当な場所がなくて、宮城廣場を使うことが非常に多いのであります。それでやはりそういうような状況新鋭大衆党も宮場前廣場を使うようになつたのであります。ただ五月一日を選んだことにつきましては我々としましては印象というよう非常に都合が惡い……、五月一日は恐らく又メーデー宮城廣場を使うのだろうから、これはぶつかると非常に都合が惡いことになるという点だけであります。あとはただ事務的に一應処理しておつたわけであります。
  50. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 四月七日に新鋭大衆党申請をしたので、一應この新鋭大衆党に使わせるということになつたのですか、それは受理のままで決定しなかつたのですか。
  51. 三枝三郎

    証人三枝三郎君) 決定しておりません。
  52. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) しておりません、若し当事者というのが二つ團体においてそういうように協議ができなかつたら、まああなた方が決定されることになるのですか。
  53. 三枝三郎

    証人三枝三郎君) そういうことです。
  54. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) そういう場合に立至つたらどういうことになつたのですか、想像ですがね。
  55. 三枝三郎

    証人三枝三郎君) そのときは大体話はつくだろうという見通しもあつたのであります。それから若しどうしても話合ができないということも考えたのですが、そういうことでなしに何とか話合がつかないものかという希望を非常に強くいたておりました。
  56. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) そのことについて関係方面の方へ伺いを立てたような事実があるのですか、ないのですか。
  57. 三枝三郎

    証人三枝三郎君) あります。
  58. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) それはどういう按配だつたのですか。
  59. 三枝三郎

    証人三枝三郎君) これはまたやはり決定しておりません。
  60. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) そのままになつている……
  61. 三枝三郎

    証人三枝三郎君) そのときもイエス、ノウは貰つておりません。
  62. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 新鋭大衆党幹部のいうところによりますと、まあ伺いを立てた結果、出願の先順位でやれ、こういうことに一度は決つたのだ、そこで若しそうなつて五月一日にやるということになつた場合、余り人数が少しと困るから成るべく多くの人を集めて呉れないと、警視廳の面目にも関するからという話があつたと、こういうことを申している証人がいるのですがね、そういうようなことはあつたのですか。
  63. 三枝三郎

    証人三枝三郎君) あとの方については少くとも私に関する限りは知りませんが、ただ先願優先ということは、これはもう向うの原則でございます。これは今までも四十八時間前に一つ場所二つ團体が申込んだような場合は、必ず先願優先という原則で処理しておつたのであります。それで、そのときも一應先願優先で行くということを伺うには話してありますのですが、最後の先程言いましたようにOKその他はまだやつておりません。
  64. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 先程申しました集まらないと困る、我々の責任問題になる、成るべく多勢集めて貰いたいというように意見を発表されたことはありますか。
  65. 三枝三郎

    証人三枝三郎君) そういうことは絶対ありません。
  66. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) そのときに謂わゆる右翼團体を集めるために、眞木康年が、新鋭大衆党が集めるために、全國のそういう右翼團体リストを調べたらいい、こういつて話したことがありますか。
  67. 三枝三郎

    証人三枝三郎君) そういうことはありません。
  68. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) そこで、そういう右翼團体のようなものの調査はされているのですか。
  69. 三枝三郎

    証人三枝三郎君) これは警備課はそういう仕事は扱つておりません。それは勅令百一号の團体調査仕事は当時は内務省の調査局でやつておりました。警備課関係ございません。
  70. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) そうするとあなたの方ではゆわゆる反共團体というようなものについて全然リストもなければ、そういうことを調査する機関じやないわけですね。
  71. 三枝三郎

    証人三枝三郎君) そうでございます。集会示威運動届出を私共はやつております。そういう反共團体その他の調査とか何かは全然関係のない仕事です。
  72. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) どうも御苦労樣でございました。    〔証人伊藤誠君著席〕
  73. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) どうもお待たせしました。宣誓の上僞証すると刑罰に処せられる場合があるのですが、それに氣を附けて下さい。御年令は、
  74. 伊藤誠

    証人伊藤誠君) 五十一歳でございます。
  75. 大野幸一

  76. 伊藤誠

    証人伊藤誠君) 台東区松葉町八十番地。
  77. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 現在の職業は。
  78. 伊藤誠

    証人伊藤誠君) 警視廳警部でございます。
  79. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 警視廳の警部であつて何課に属しておられますか。
  80. 伊藤誠

    証人伊藤誠君) 警視廳保安少年部生活第二課勤務でございます。
  81. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 昨年二、三月頃から五月頃までは、どこにどういう職務にお出でになつたのですか。
  82. 伊藤誠

    証人伊藤誠君) 警視廳捜査第二課第二係でございます。現在は第三係で、当時は第二係におつたのであります。
  83. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) その当時のあなたの仕事をされるのはどういう仕事をされていたのですか。
  84. 伊藤誠

    証人伊藤誠君) 勅令第百一号による團体取締であります。
  85. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) その取締をするためには各團体はやはり調査するわけでありますか。
  86. 伊藤誠

    証人伊藤誠君) そうでございます。
  87. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) その中には新鋭大衆党というのがありましたか。
  88. 伊藤誠

    証人伊藤誠君) ありました。
  89. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) それは何ですか。反共團体というようなものもありましたか。
  90. 伊藤誠

    証人伊藤誠君) 反共團体であります。
  91. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 新鋭大衆党が昨年五月の一日に宮城廣場反共大会を開きたいというので、その場所借入れ方を申込んで來たことを御存じですか。
  92. 伊藤誠

    証人伊藤誠君) それは私が大衆党事務所へ行きまして、大会をやりたいが手続はどうだということを聞かれたことがあります。併し手続の方は私の方ではありませんので警備課の方へ行つてよく話して、そうして手続したらいいということを話したことがあります。
  93. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) あなたのか会いになつたのはどういう人ですか。
  94. 伊藤誠

    証人伊藤誠君) 眞木さんです。
  95. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 眞木さん。それからあなたの所へ五月一日の新鋭大衆党催し大会に参加するように各團体招請状を発したいという目的で、それをあなたに言つたか言わんかは分りませんが、あなたの方へその時にどういう團体があるかということを聞きに來たことはありますか。
  96. 伊藤誠

    証人伊藤誠君) そういうことはありません。
  97. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 中川勝太という人は御存じですか。
  98. 伊藤誠

    証人伊藤誠君) あすこ機関紙である大衆新聞編集長か何かやつておりました。党の役員の一人であります。
  99. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) その中川勝太が言うには、あなたの方の係まで行つて、そのリストを写して來たと、こういうのですが。そうして招請状を出したというのですがね。
  100. 伊藤誠

    証人伊藤誠君) そんなことはありません。
  101. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) あなただけがいつでもリストというのを保管されておるのじやなくて、自由に見せようと思えば見せられるわけですか。
  102. 伊藤誠

    証人伊藤誠君) 自由について、係の方ではそう簡單には見せないわけでございます。併し百一号の規定によりまして、区役所或いは都の方へ行けば閲覽をさせなくちやならんことになつております。そういう方面で見せれば別であります。係としてはそう簡單には見せないわけでございます。
  103. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 中川勝太証言によりますと、そういうようなことを証言していたように記憶しますので、今後ですね、そういう團体に特に便宜をはかるがごとき嫌いがあつてはどうかと思いまして、そういう事情をお尋ねしたいためにお呼びしたのであります。証言は幾分食い違つておるようですけれども、そういう点を確かめてみたいと思いましただけであります。
  104. 伊藤誠

    証人伊藤誠君) 実は招請状を出した團体、十幾つかありましたのですが、それは私が事務所行つて、こういうところへ招請状を出したというのを聞いたのでございます。私の方の仕事といたしましては、そういう方面のゆわゆる團体的の繋りはどの程度であるかということを見るのが私の方の仕事一つでありますから、いろいろその点につきまして内偵をしてみたのであります大体において余り繋りはないようであります。ただあの当時で高崎かどこかにあります救國立正党であります。これは二月頃ですか、何んか高崎の方で大会がありました時に、こちらの方からも二三名が行つて演説が何んかやつておるという通報を受けました。これはそういつた関係でやつておるわけであります。それから外の方の團体関係は大して團体的関係はない。ただ私の方で内偵してみた結果、新鋭大衆党聽濤事件以來余りにも有名になりましたので、方々からいろいろな人が樣子を見に來たことが沢山あります。それにもう一つは二月から四月頃に掛けてと思いますが、毎日のように街頭演説をやりました。その際に端書を謄写版で刷りまして、そうして聽衆に配つたのであります。賛否を書いて呉れというような文句のやつを方々配つたようであります。そういつたのがいろいろな團体が集まつて來た。そういうことを材料にして出したのじやないかというように私共は考えております。
  105. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) あなたは新鋭大衆党について調べられたことがあるわけですな。
  106. 伊藤誠

    証人伊藤誠君) 私は調べると言いますか……
  107. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 調査する……
  108. 伊藤誠

    証人伊藤誠君) その團体活動状況ちよちよい見に行きました。
  109. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 新鋭大衆党というのはどんな党員の集まりですか。
  110. 伊藤誠

    証人伊藤誠君) まあ本人は余りにも有名になりましたものですから、何か國士氣取りでおつたようにも考えました。本人は卒直に申上げれば大した人物ではない。それから親分子分の繋りが少しあつたようでありますが、これは大した親分じやないと思います。結局そういつた右翼團体であるというようなふうに私は見ておりました。
  111. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 戰前に存在したまあ暴力團團体のようにも見受けられるのですか。
  112. 伊藤誠

    証人伊藤誠君) そういつた傾向も幾分あつたようにも思われました。聽濤事件から考えますと、暴力的に出る虞れはあると考えましたが、具体的事実は私には掴めませんでした。
  113. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 資金なんかはどこから出ておるらしいですか。
  114. 伊藤誠

    証人伊藤誠君) 資金の問題につきましても、相当あれだけの活動をやつておりますから、資金がどこから出るかということについて、私共も非常に関心を持つていろいろ内偵しましたのですが、どこから纏まつて出たということは掴めませんでございました。ただあすこ党員が約二百近くおりまして、これが会費を集めましたり、それから淺草の大願寺の地下室戰災者更生会というのを総営しております、そんな收入でやつておるのだと思いました。それ以上は掴めませんでした。
  115. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 炭鉱國管が問題になつて來ました時に、相当運動したような形跡があるのですか。
  116. 伊藤誠

    証人伊藤誠君) 炭鉱國管問題の時には私はおりませんでしたのでよく分りません。
  117. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 本人自由クラブ会員で、ゆわゆる常盤亭ですが、常盤クラブですか、出入していたというようなことは御存じないのですか。
  118. 伊藤誠

    証人伊藤誠君) その話は聞いております。團体関係の一番大きな関係團体としては、自由クラブのなんか労働部長かなんかやつておるというような話を聞いております。
  119. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) どうも有難うございました。これで終ります。    〔証人千正清夫出席
  120. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 千正清夫さんですか。
  121. 千田清夫

    証人千田清夫君) そうでございます。
  122. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) これから証人としてお聽きしたいと思います。先ず宣誓をして頂きますが、併しある場合には宣誓を拒否することができますが、それは自分刑事被告人になる虞れがあるというような場合は拒否することができますが、宣誓をされても差支えありませんか。
  123. 千田清夫

    証人千田清夫君) 差支えないと思います。
  124. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) それでは宣誓をお願いいたします。    〔総員起立証人は次のように宣誓行なつた〕    宣誓書  良心從つて眞実を述べ、何事もかかさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。    証人       千正 清夫
  125. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 御承知通り宣誓の上で虚僞陳述をいたしますと処罰される場合があります。  住所はどこですか。
  126. 千田清夫

    証人千田清夫君) 東京都板橋区小柳町千四百二十四番地。
  127. 大野幸一

  128. 千田清夫

    証人千田清夫君) 四十四歳。
  129. 大野幸一

  130. 千田清夫

    証人千田清夫君) 計理士です。
  131. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) いつから計理士をされておりますか。
  132. 千田清夫

    証人千田清夫君) 昭和七年からです。
  133. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) あなたが解放連盟というようなものをお作りになつたことがありますか。
  134. 千田清夫

    証人千田清夫君) あります。
  135. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) それはどういう目的で作られたのですか。
  136. 千田清夫

    証人千田清夫君) これは丁度日本が戰爭に敗れまして、経済界混乱状態にあつたときに、どうしても、日本の現在の経済組織を或る程度行き方を変えなければ日本経済の再建ができないと考えまして、少しでも戰時中の統制経済というような形式のものを成るべく早く撤廃して、國民自由意思によつて経済活動が十分にできるような機構を作るのが一番いいのじやないかというふうに考えましたので、当時の官僚的な拘束とか、或いは法律によるいろいろなる窮屈な統制経済を一日も早く撤廃して、合理的な経済組織を作るために國民を或る程度解放しなければならん。即ち解放というのは要するに自由主義経済を推進するという意味作つたのであります。
  137. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) どう人が連盟構成員ですか。
  138. 千田清夫

    証人千田清夫君) それはですね、余り余計会員がおらなかつたのですが、私と実はその外二、三の人が中心になりまして作つたわけであります。
  139. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) それで運動としてはどういうことをされたのでありますか。
  140. 千田清夫

    証人千田清夫君) 最初は相当資金を集めまして、全國的な運動を届開しようという考えを持つて、おりましたが、なかなかその運動が具体的に進行しなかつたものですから、別に最初はさしたる運動をしておらなかつたのであります。たまたま石炭の國家管理の問題が世間でうるさくなりまして、これが一種の日本の産業を社会主義的な、或いは國家管理或いは國営といつたような方向に進んで行くということは我々の主張と非常に反するのでありまして、これに対する反対運動をやろうという計画をしておりました。
  141. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) それからどういうふうにそれを実行されて來たのですか。
  142. 千田清夫

    証人千田清夫君) その計画を持つておりましたときに、たまたま九州の炭鉱業者野見山佐一というのがおりました。それが十万円ばかり寄附して呉れました。それでいろいろなビラを貼つたりして実際運動に着手しました。
  143. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) それはどういう人ですか。
  144. 千田清夫

    証人千田清夫君) 炭鉱業者です。
  145. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 運動方法はどういうふうに考えられたのですか。
  146. 千田清夫

    証人千田清夫君) まあ、要するに社会の反響を呼ぶという意味でいろいろなポスターを貼つたり、或いはパンフレツトなどを作つたりして方々へ貼つたり配つたりしました。
  147. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) ビラはどれくらい刷られましたか。
  148. 千田清夫

    証人千田清夫君) その枚数は余りよく覚えておらないのでありますが、何千枚か貼つたと思います。
  149. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) その解放連盟を作られたのはいつ頃ですか。
  150. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 届出はいつ頃ですか。
  151. 千田清夫

    証人千田清夫君) 多分九月頃ではないかと思います。
  152. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) それは石炭國管反対運動が始まつてからでございますか。
  153. 千田清夫

    証人千田清夫君) そうでございます。
  154. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 政党人と会われたことがあるでしよう。運動をするのには……
  155. 千田清夫

    証人千田清夫君) 別に、そうですね、まあ今取立てて申上げる程記憶に残つておらないのですが……
  156. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) ただ市中にビラを貼つて歩くだけの運動ではないように思えるのですが……。運動には、反対者を國会議員の中に求めるとか、或る有力なる政党の幹部に陳情をするとか、そういうことをしなければ運動にならないと思いますね。
  157. 千田清夫

    証人千田清夫君) そういうことは一切やらなかつたです。
  158. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 請明書とか、反対理由書というものを発送して各議員に配つたようなことはないですか。
  159. 千田清夫

    証人千田清夫君) ありません。
  160. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 新鋭大衆党というのを御存じですか。
  161. 千田清夫

    証人千田清夫君) 名前だけは存じております。
  162. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) それに眞木というのを知つていますか。
  163. 千田清夫

    証人千田清夫君) 私は会つたことはありません。名前だけは聞いております。
  164. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 眞木の方から君のやつている運動をもつと一生懸命に激しくやれというようなことを言つて來たことがありますか。
  165. 千田清夫

    証人千田清夫君) それは最近私がそつちの運動をしておりました田中彰治というのがおりまして、これに会つてそういう事実がないかどうかということを聞きましたところが、新鋭大衆党つたと思いますけれども、どなたかが私の方の事務所に見えて、我々もこういう運動をやつているんだが、君たちもやつているのだから、一つお互いに提携しようではないかという申入れがあつた。その当時私はおらなかつたのですが、田中もその人に会わないで、我々は全く違つた立場で運動をしているのであるから、皆さんと協力する意思はないということを申上げてお断りしたということを聞いております。
  166. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 断らなくてもよさそうなものですがね、こういつて來たら……。どうして断つたのですか。
  167. 千田清夫

    証人千田清夫君) それはよく分らないです。私は断つた当人じやないです。
  168. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 石炭國管反対國民連盟というものを作つたことがありますか。
  169. 千田清夫

    証人千田清夫君) あります。
  170. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) どういう人がそれに加入したわけですか。
  171. 千田清夫

    証人千田清夫君) それは大体解放連盟と同じメンバーだつたと思います。ただ解放連盟では余りよく分らないから、直ぐ分るようにという意味で石炭國管反対國民連盟というのを作つたわけです。
  172. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 解放連盟を拵える前にあなたは何かこういう運動をされたことがありますか。
  173. 千田清夫

    証人千田清夫君) 全然ありません。選挙運動をやつたことはありますが……
  174. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 野見山とはどうして知つたのですか、最初……
  175. 千田清夫

    証人千田清夫君) 田中彰治の紹介で知りました。
  176. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 野見山というのは相当資産を持つていますか。
  177. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 結局はいく分かなんですか、正直言えば十万円の中からいく分か使つたけれども、いく分かはまあ生活費にもなつたのですか。
  178. 千田清夫

    証人千田清夫君) いや、全然ならないです。十万円の中から我々は自分の個人的な意味に使つたことは全然ありませんです。
  179. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 全然ない。
  180. 千田清夫

    証人千田清夫君) はあ、全然ありません。
  181. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) それから、ビラを貼つただけだとおつしやるですがね。政党人を訪問したこともなければ、國会で運動をしたこともないとおつしやるんですが、その当時の十万円で、今の十万円とは幾らか違うので、僕はそういう運動をされたように思うのだがね。
  182. 千田清夫

    証人千田清夫君) いや全然そういう記憶はないのですが……。
  183. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 平井代議士が石炭國管反対運動をしていたということは知つていたのですか。
  184. 千田清夫

    証人千田清夫君) それは私は知らなかつたのです。最近田中が來まして、田中が最初反対運動をやつてつたということは我々は全然知らなかつた。ところがその後会わなかつたのですが、何か田中君が不当財産に喚び出されて最近帰つて來た。そのときに、この前専門委員の方にお目に掛かつていろいろお話をお聴きしましたのですから、そういう事実があつたかなかつたかということを確めましたところ、眞木さんが平井代議士からビラを貰つたというような話が出たんです。併しそれは我々が運動する前の話で、全然我々の運動とは関係がなかつたわけです。
  185. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 肥田理吉という人を知つておりますか。
  186. 千田清夫

    証人千田清夫君) 肥田理吉という人は全然知らないです。
  187. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 全然知らないですか。
  188. 千田清夫

    証人千田清夫君) 最近あそこの不当財産委員会ちよつと傍聴に行きましたのですが、そのときにお目に掛かつたです。
  189. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) まあ、あなたは別として当時民間にこういう機運に乘じて炭鉱業者が焦つているところへ少し金を出させて、何かビラでも貼つて運動資金を取るというようなことは外に一般に流行つたことですか。それとも……
  190. 千田清夫

    証人千田清夫君) それは私よく知らんです。そんなことなかつたのじやないですかね。
  191. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 併しあなたのおつしやる部分で政党人に何ら運動しなかつたというのは受取れないように思えるのですがね。ビラ貼るだけだつたら人夫を雇つて印刷してやるだけで……
  192. 千田清夫

    証人千田清夫君) 実際しなかつたです。その外に何にもしなかつたです。
  193. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) ビラだけですか。
  194. 千田清夫

    証人千田清夫君) はあ。
  195. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) あなたは全國の商工会議所へこの賛否を求めたようなことがあるのですか。
  196. 千田清夫

    証人千田清夫君) それは出しました。それは何か当時誰だつたか知りませんが、商工業者が全部國管に賛成だというような声があると、大臣か誰だか言われたというようなことがあつたので、それが事実かどうかというような意味でその賛否を求めるためにパンフレツトみたいなものを作りまして、そうして全國の商工会議所へ出しました。
  197. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) そうして帰つて來ましたか、その返答が……
  198. 千田清夫

    証人千田清夫君) 返事は大分返つて來ました。
  199. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 返つて來たものは材料ですね、それはどうしましたか。
  200. 千田清夫

    証人千田清夫君) それを議会に何か陳情書みたいなものを出して……
  201. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 誰がですか……
  202. 千田清夫

    証人千田清夫君) それは私は当時ちよつといなかつたのですが、陳情書みたいなものを持つてつたということは聞いております。併し事実自分では見なかつたですから誰がやつたか覚えておりません。
  203. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 誰か政治家を通じては出したのですね。
  204. 千田清夫

    証人千田清夫君) それがよく分らないのです。陳情書は自分の所で書いて、何かそれに返事をつけて出したように覚えております。
  205. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) そうすると先程聞いていると、田中という人が別にやつていたわけですね。
  206. 千田清夫

    証人千田清夫君) そうそう我々がやる前にやつてつたらしいのです。
  207. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 田中も相当の資金を野見山から取つておるらしいですか。
  208. 千田清夫

    証人千田清夫君) いやそんなことはありません。田中は野見山よりは金持ですから、野見山から取るというようなことは恐らくないと思います。
  209. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 業者ですからね。
  210. 千田清夫

    証人千田清夫君) はあ。
  211. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 運動本部はどこですか。
  212. 千田清夫

    証人千田清夫君) 神田の鍛冶町一丁目一番地の竹中ビル三階。
  213. 松井道夫

    ○松井道夫君 新鋭大衆党は石炭國管反対運動をしておつたということなんですが、具体的にどういうようなことをしておつたか少しでも御承知ないですか。
  214. 千田清夫

    証人千田清夫君) 私は知らないが、ただそういう意味のビラをですね、貼つてあることを見たことがあるのです。
  215. 松井道夫

    ○松井道夫君 大衆党の何という人がやつてつたというようなことは分りませんか。
  216. 千田清夫

    証人千田清夫君) ビラには眞木康年という名前が……
  217. 松井道夫

    ○松井道夫君 眞木康平という名前が出ておつた
  218. 千田清夫

    証人千田清夫君) ええ、出ておりました。
  219. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) ビラは多くどこで見ましたか。
  220. 千田清夫

    証人千田清夫君) 日本橋本石町の停留場の角のところの塀みたいなところに貼つてつたのを私は覚えております。
  221. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 眞木康年というのは面識はないのですか。今でも……
  222. 千田清夫

    証人千田清夫君) 今でもありません。全然会つたことがない。
  223. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 党員で名前を知つている人はありませんか。
  224. 千田清夫

    証人千田清夫君) 全然ありません。
  225. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) いやどうもありがとうございました。  それでは件憩いたしまして午後一時から開きます。    午前十一時四十五分休憩    —————・—————    午後一時十三四分開会
  226. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) それでは午前に引続き小委員会を開きます。続いて証人調べをいたします。本日お出でになつているのは小野寺幸一郎さんですか。
  227. 小野寺孝一郎

    証人(小野寺孝一郎君) そうです。
  228. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) これから証人としてお訊きいたしますが、宣誓書をお願いいたします。但し自分刑事被告人になるような虞れがあるというような場合には拒絶ができます。宣誓しても差支えないですね。
  229. 小野寺孝一郎

    証人(小野寺孝一郎君) 一向差支ありません。    〔総員起立証人は次のように宣誓を行つた〕    宣誓書  良心從つて眞実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。    証人      小野寺幸一郎
  230. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 宣誓の上慮偽の陳述をいたしますと制裁を受ける場合がありますから御注意を願います。  年令はお幾つですか。
  231. 小野寺孝一郎

    証人(小野寺孝一郎君) 四十二歳です。
  232. 大野幸一

  233. 小野寺孝一郎

    証人(小野寺孝一郎君) 横浜市港北区長津田町三四六〇番地。
  234. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 現在の御職業は。
  235. 小野寺孝一郎

    証人(小野寺孝一郎君) 職業は会社の社長をしております。
  236. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) どういう会社ですか、何という……
  237. 小野寺孝一郎

    証人(小野寺孝一郎君) 一つは家具製造とベルトの製造販賣、もう一つは船舶装艤とそれから各種漁船のロープ、或いはそうした繊維ロープの代行店であります。
  238. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) いつ頃から今の職業をしているのですか。
  239. 小野寺孝一郎

    証人(小野寺孝一郎君) 昭和十四年頃からです。
  240. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 郷里はどこですか。
  241. 小野寺孝一郎

    証人(小野寺孝一郎君) 郷里は東京でございます。
  242. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 東京……。眞木康年という人を知つておりますね。
  243. 小野寺孝一郎

    証人(小野寺孝一郎君) 知つております。
  244. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) どういう関係でお知合いになつたのですか。
  245. 小野寺孝一郎

    証人(小野寺孝一郎君) 眞木君と知合になりましたのは十五年くらい前だと思いましたけれども、内藤傳六というて安藤謙藏さんのところにしよつちよ行つている人がありましてその人の紹介で知つたのです。
  246. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 当時眞木は何をしておりましたか。
  247. 小野寺孝一郎

    証人(小野寺孝一郎君) 当時やはり浪人のやうな女街のようなそんなことをやつていたのだと思います。
  248. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 眞木眞木組を拵えたこと御存じですか。
  249. 小野寺孝一郎

    証人(小野寺孝一郎君) 眞木組というのを作つたのは終戰後知りました。
  250. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) どんな仕事をやつていたのですか。
  251. 小野寺孝一郎

    証人(小野寺孝一郎君) 土木請負やら清掃やらをやつているということです。
  252. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) あなたと眞木とはどういう程度の交際をされていたのですか。
  253. 小野寺孝一郎

    証人(小野寺孝一郎君) 特別に深い交際はないのですけれども、進駐軍の家具のマツトレースを作るときに、二十一年の年です。それで工場が狹いものですから神奈川縣でどうにもならんので、納め先が東京なものですから、何とかならんかというので、ちよつとその前に選挙のことや何かで居るところが分つたものですから手紙をやつたら來てくれまして、往つたり來たりちよちよいしておりました。特別に交際しなかつたのですが、そのときに手狹なものですから、どこか廣い場所を借りたいという話をしました、浅草の山谷堀の小学校の運動場を借りて頂いたのです。それでそこからちよちよい私のところへ來るようになつたのです。
  254. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 眞木とはそれで氣が合うようになつたのですか。
  255. 小野寺孝一郎

    証人(小野寺孝一郎君) 氣が合う……、特別に合う程でもありませんけれども大体ああいう氣象の人ですからこつちでがんがんいうのも何だと思つて、どちらかというと合せていた方です。
  256. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) あなたは政治運動とか政党に關係されたことはありませんか。
  257. 小野寺孝一郎

    証人(小野寺孝一郎君) 多少ありました。
  258. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 何党に属されていますか。
  259. 小野寺孝一郎

    証人(小野寺孝一郎君) これは、こちらの新聞に出ている松岡さんとは違うのですけれども、日本改進党という小さい政党なんです、それに關係しておりました、多少その方に關係をしております。
  260. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) それは何時頃……
  261. 小野寺孝一郎

    証人(小野寺孝一郎君) それは終戰後でございます。
  262. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) あなたは立候補か何かされたことありますか。
  263. 小野寺孝一郎

    証人(小野寺孝一郎君) 届けを出しましたけれどもいろいろな關係で止めました。
  264. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 眞木新鋭大衆党を拵えたのですね。
  265. 小野寺孝一郎

    証人(小野寺孝一郎君) 作りました。
  266. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) そのとき相談を受けましたか。
  267. 小野寺孝一郎

    証人(小野寺孝一郎君) 作るときは相談を受けません。私は眞木のいるところが分つたの新鋭大衆党というものを作つてからのちでございます。
  268. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) それで作つてからどういう……
  269. 小野寺孝一郎

    証人(小野寺孝一郎君) 作つてからよく私のところへ來まして、役員になつて呉れと大分攻めておりましたけれども、多少金でも引張り出す考えで攻めていたのでしようけれども、私も金を出す意思もなし、ですから特別拒絶するのも何ですから默つておりましたが、勝手に総務とか名前を附けておりましたけれども、迷惑だから断わると断わつておりました。よく若い者が使いに來て幹部会だから、演説会だからといつて來ましたが、一向も僕は出たことはありません。
  270. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) あなた総務会長かとになられたのですか。
  271. 小野寺孝一郎

    証人(小野寺孝一郎君) そういつて勝手に……、僕は困るといつたのです。
  272. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) あなたから何か金錢の後援を受けたことがありますか。
  273. 小野寺孝一郎

    証人(小野寺孝一郎君) 党そのものには別にやつたことありませんけれども、借りて頂いたときに、場所も大分廣い、二百四十坪か借りたものですから、お礼という意味じやないけれども、そんな意味合で、何とも付かずに十万円ほどやつたことあります。その後五万円ずつ二度程、保証金を積むのがどうとかいうことで貸してやりました。それは一札取つてございます。十万円は取つてありません。これは皆使つて良いのかというから、お礼として上げるのだからといつて上げました。何でも全部で二十万円ぐらいだと思います。金錢の授受というものはそれ以外ありません。
  274. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) それは先程ちよつと聞きましたですが何のお礼ですか、もう一度言つて下さい。
  275. 小野寺孝一郎

    証人(小野寺孝一郎君) それは家屋を借りて頂いたのです。
  276. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) あなたが。
  277. 小野寺孝一郎

    証人(小野寺孝一郎君) 僕が使うので、そういう進駐軍のマツトレース、緊急命令でやつていたものですから、綿を詰めるのに相当廣い場所が要るものですから、それで山谷堀の小学校を借りたのでございます。眞木君のお世話で小学校を借りたわけです。
  278. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) それは今はどうなつていますか。
  279. 小野寺孝一郎

    証人(小野寺孝一郎君) それは直ぐ空きましたから、四ヶ月程で空きましたからお返ししました。
  280. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 眞木が立候補した時に選挙費用でも出されたことがあるのですか。
  281. 小野寺孝一郎

    証人(小野寺孝一郎君) 立候補した時に別に出しません。金錢の授受はその二回だけです、それは立候補の大分前だと思います。
  282. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 日にちにして何年何月……
  283. 小野寺孝一郎

    証人(小野寺孝一郎君) 第一回は昭和二十一年の八月頃だつたです。それからその後は昭和二十二年の三月の六日だと思いました。それ以外には金錢の授受というものはありません。
  284. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 近藤參次という人の葬式があつたことを御存じですか。
  285. 小野寺孝一郎

    証人(小野寺孝一郎君) 知つております。
  286. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) その時にあなたはお会いになりましたか。
  287. 小野寺孝一郎

    証人(小野寺孝一郎君) 行きました。それは私大阪から歸りまして、その足で眞つすぐ行きました。その時分大阪に出張しておりましたものですから、三月十日の朝私は歸つて參りまして、その足で眞つすぐ私は浅草に行きました。
  288. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) その時に花環なんかが多かつたという話ですが、そうですか。
  289. 小野寺孝一郎

    証人(小野寺孝一郎君) 大分あつたようです。私のも出ておりましたから、お金を拂いました。
  290. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 自由党から花環があつたことを記憶しておりますか。
  291. 小野寺孝一郎

    証人(小野寺孝一郎君) 自由党からの花環がありました。
  292. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) どういう表題で……
  293. 小野寺孝一郎

    証人(小野寺孝一郎君) 大分幹部諸公の名が並んでおりました。
  294. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) それは自由党名儀の人が承諾しているのですか。
  295. 小野寺孝一郎

    証人(小野寺孝一郎君) それは私には分りません。私は二時間半くらいおりまして、歸つて來てしまいました。
  296. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 今記憶のあるのはどんな人の名前を附けたらしいのですか。花環の名前、自由党の……
  297. 小野寺孝一郎

    証人(小野寺孝一郎君) 当時の総理だつた自由党の吉田さんを始め、多大臣のがありました。
  298. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) あなたはその時の感じで、これは自由党の総裁が本当に贈つたんじやなくて、眞木が勝手に虚勢を張るために、見栄を張るために附けたと思われませんでしたか。
  299. 小野寺孝一郎

    証人(小野寺孝一郎君) 私はそうじやないかという感じもございましたが、ああいう氣象ですから、批評めいたこともどうかと思いましたのですから、私は遠慮しておりました。
  300. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) そういう感じはしましたか。
  301. 小野寺孝一郎

    証人(小野寺孝一郎君) そういう感じはしました。
  302. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 自由党の人で弔辭を読んだような人がありましたか。
  303. 小野寺孝一郎

    証人(小野寺孝一郎君) 何垣、大垣の垣という字の附く人が何か読んだように記憶しております。何垣というのか、私はちよつと、紹介されたのでもない、会つておりません。
  304. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 松下権八という人……
  305. 小野寺孝一郎

    証人(小野寺孝一郎君) 知りませんが、近頃新聞に出ておる人です。顔を見れば分るのですが、私も余り知り合いでもないのですから。
  306. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 松崎権四郎というような人は記憶ありませんか。
  307. 小野寺孝一郎

    証人(小野寺孝一郎君) 名前は聞いておりますけれども、顔がどういうお方だか分らんです。
  308. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) あなたは葬式の費用で幾らか負担されたのですか、負担されなかつたのですか。
  309. 小野寺孝一郎

    証人(小野寺孝一郎君) 香奠として私は千円包みました。
  310. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) それだけですか。
  311. 小野寺孝一郎

    証人(小野寺孝一郎君) それだけです。
  312. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 自由党関東大会があつた時に、眞木自由クラブから場内の整理を頼まれたようなことがありますか。
  313. 小野寺孝一郎

    証人(小野寺孝一郎君) 私はその時には大衆党には関係しておらんのであります。全然知らないのであります。そういう話があつたということは、後でこの大衆党で時たま私のところへ党員が來るようになつてからはお話を聞きましたけれども、当時私は関係しておらなかつたから分りません。
  314. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 眞木に十五万円程あなたが出されたのですか。
  315. 小野寺孝一郎

    証人(小野寺孝一郎君) そうです。
  316. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) あなたは余程資産をお持ちなんでしような。
  317. 小野寺孝一郎

    証人(小野寺孝一郎君) 資産といつても特別にありませんけれども、仕事をやつておりますから、殆んど会社そのものが私の個人資産ですから、どうにかやつております。
  318. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 眞木とあなたとの間柄では、眞木は康年というので、やつちやんやつちやんと呼んでいたというような間柄だというのですが……
  319. 小野寺孝一郎

    証人(小野寺孝一郎君) 私のことも孝ちやん、孝ちやんと言うものですから、私もやつちやん、眞木君と言うのもいかんし、なんだからまあまあそう言つたらいいだろうというので、皆んなやつちやんとか、孝ちやんと言うものですから。
  320. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) あなたの外に誰か眞木を訪ねて來るとか、物質的に後援しておるような人が多いようでありますが、あるのですか、ないのですか。
  321. 小野寺孝一郎

    証人(小野寺孝一郎君) はつきりした記憶はありませんけれども、先程話のあつたように、話は現実にぶつかつたとか、会つたことはないのですから分りませんが、自由党から誰々が來たとということは非常に聞いておりました。
  322. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 自由党から……
  323. 小野寺孝一郎

    証人(小野寺孝一郎君) 自由党の自由クラブから誰が來たという話を聞きましたけれども、多少眞木君はどつちかというと、これは法螺吹くのが少し多いものですから、多少割引して聽かんと……
  324. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) あなたから金を貰う時には、新鋭大衆党の党費に使うのだというようなつもりで、そういうことを言つておりましたですか。
  325. 小野寺孝一郎

    証人(小野寺孝一郎君) 私はそれは君に上げるのだからそれはどう使おうと構わんと言つておりました。党の党費という問題がありましたけれども、それはどちらにも心配は掛けないというようなことは言つておりました。
  326. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 一体新鋭大衆党というか、眞木の子分というのかね。そういうのはどのくらいおつたのですか。
  327. 小野寺孝一郎

    証人(小野寺孝一郎君) 幹部としては十五、六人おつたですかな、その他大勢の口というのがあるかないかは分りませんけれども、まああれでも四、五十人おつたのでしようかな。私の見た眼では……
  328. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) それではどうも有難うございました、よろしうございます、御苦労樣でした。    〔証人遠山直樹君著席〕
  329. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 遠山直樹さんですね。
  330. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) そうです。
  331. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 証人としてお訊きすることがありますが、お訊きする前に宣誓をして頂きます。その宣誓自分が刑罰に掛かるような虞れがあるときには拒むことができるわけです。宣誓されてもよろしいですか。
  332. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) 構いません。
  333. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) それでは宣誓をお願いします。    〔総員起立証人は次のように宣誓行なつた〕    宣誓書  良心從つて眞実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。    証人       遠山 直樹
  334. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 宣誓の上に虚僞陳述をいたしますと制裁がありますから、お氣附けになつた方がいいです。  年令はお幾つですか。
  335. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) 明治四十一年六月一日生れ、四十一歳です。
  336. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 現在の住所は。
  337. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) 東京都台東区浅草千速町一丁目二番地です。
  338. 大野幸一

  339. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) 東京都土建工業の事務を総括的にやつております。土建工業株式会社浅草出張所です。
  340. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 会社のどういう仕事をされていますか。
  341. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) 事務をやつております。会計事務もやりますし、総括的の……。名前は東京都土建と大きく聞こえますが、極く小さい土建のあれです。いろいろ材料の出し入れとか、そういうものを総括的にやつています。
  342. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 今の職業はいつ頃からですか。
  343. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) それは昨年九月頃からです。
  344. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) あなたは東京にいつ頃から住んでいらつしやいますか。
  345. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) 終戰後東京に來たり、福島へ行つたりしていました。その前に長く東京におりましたけれども、終戰後はまだ三年位です。終戰直後です。
  346. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) あなたが眞木を知つているのは、終戰前からですか。
  347. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) 終戰前からも知つておりました。
  348. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) その頃眞木さんは何をやつていましたか。
  349. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) その時分はあの方は東洋人会というようなものをやつていたように思つていますけれども、私は別に東洋人会に参加しませんけれども、そういうのをやつていたように思います。
  350. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) その会はどういう趣旨でできましたか。
  351. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) 親しい交りがありませんから、趣旨とか綱領とかいうものは見たことがありませんけれども……
  352. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 新鋭大衆党ができましたですね。その頃は御存じですか。
  353. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) その前に、眞木さんが選挙に立候補しまして、反共を標榜してやつていまして、それから眞木さんが反共をやり出したのだなということで、訪ねて行きましたら、新鋭大衆党を作るのだから、是非参画して呉れという話がありまして、それから新鋭大衆党に私入りました。
  354. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) そこで青年部長とかいうのをあなたはおやりになつたのですか。
  355. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) そうです。
  356. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 青年部というのは何名ぐらいいたのですか。
  357. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) 全部で党員は二百名か三百名だと思いますけれども、その人数のこととか、書類のことに関しては中川勝太という方が総括的にやつていまして、青年部というのは、籍があつても極く少数なのです。
  358. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) それは何年の何月頃ですか。
  359. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) 詳しいことははつきり分りませんけれども、新鋭大衆党というのはちよつとインチキなもので、聽濤事件があつて始めて新鋭大衆党というのが世の中に分つたのであつて、その前は同じ町内の人ですら新鋭大衆党というものを知らなかつたのです。聽濤事件がありまして新鋭大衆党というものがクローズアップされた、と同時に青年部というのができたような工合で、その前後というものはいい加減なものです。
  360. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 新鋭大衆党ができて、青年部というのはむしろ聽濤事件の後にできた……
  361. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) まあそうです。実際は……
  362. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 党のバッジなんかが出來たそうですが、それはどれくらいの数を作つたのですか。
  363. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) その点もはつきり記憶ありませんが、党のバッジは二回に亘つて作りました。最初つたバッジと、二度目に作つたバッジが違うのですけれども合計でやつぱり七百個ぐらいではないかと思いますが、はつきり記憶しません。バッジを作つても、外の方も言はれると思いますが、眞木さんの奧さんというのが面白し方で、バッジを皆來ると自分で持つているのです。党員になつたりしてバッジを呉れというと、一個十円拂つて奧さんに貰つてつているという工合で、新鋭大衆党そのものに奧さんが非常に力があつたものですから、いい加減なものには違いなかつたけれどもバッジの数そのものは全部分りません。
  364. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 党の活動資金というものはどういうところから出ていたのですか。
  365. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) その点先般も御質問がございましたが、活動資金といわれますけれども、活動そのものが二・一の官公廳ゼネストに反対するというときだけが活溌に反共運動をしたのであつて、その前には眞木さんが巾八寸ぐらいの、長さ一尺ぐらいの白い紙に檄という字を赤く刷りましてその、横に新鋭大衆党眞木康年と書いてありました。そういうビラの余つたのが大分ありまして、それを使つたけれども、それは全部で何千枚ぐらいですか、枚数は分りませんが、反共運動にあれを使つたことがあります。反共の鬪爭資金というものは我々が聞いていたのは、眞木さんの私財であるということを聞いていたのです。あの方は東洋商事というのを鹿兒島なんかでやつていたらしいのですが、そのとき大分儲けたという話です。同時に夜光塗料を持つていて大分儲けたということを本人から聞いたことがあります。
  366. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 今來ていた小野寺孝一郎さん、あの人から援助を受けましたか。
  367. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) 私は小野寺から援助を受けたということは直接聞いておりませんけれども、小野道さんがやつたということは聞きました。どれくらいの額面であるかということは知りません。
  368. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 本人は自由党からも相当援助があるというようなことを言いふらしていたというが、そういうことは言わないですか。
  369. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) そういうことは別に聞きません。
  370. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 加藤清次郎という人あたりからどうですか。
  371. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) 加藤……、須田町食堂の社長ですね、あの方が反共の鬪爭資金として出したのかどうなのか知りませんけれども、戰災直後東京都内の須田町食堂の建物が破壊しまして、その一つである新宿の土地を管理されていまして、そのときに管理料として貰つたのか分りませんけれども、それも眞木さんのやり方は或る意味において全くの独裁ですから、我々の見ている前で以て金を受取るということはしない人ですから、どれくらい貰つたかはつきり分りませんが、土地の管理料は貰つていたということを聞きました。
  372. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) どれくらいのものですか。想像するところによると……
  373. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) 私が大衆党の青年部に入つたときはすでに管理を頼まれて一年も経過していた、戰災直後ですから……、どことどこの土地を管理されているということも知らない、ただ新宿の武藏野館の近くに一ヶ所管理していて、あそこに和田さんという方がおりますけれども、和田さんと何か関係があつて頼まれて管理しているということを聞きました。そこには浅野さんという男がいて番をしていました。
  374. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 眞木が二十一年の総選挙に自由党の公認候補として出ようとして、その公認を本部へ要求したというようなことがありますか。
  375. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) そのときは自分はまだ眞木さんには関係しません。第一回目の選挙のときですね、松岡などの係していたときの選挙だと思いますけれども、そのときはまだ大衆党などというものはなかつたのです。この間の選挙にはありましたが……
  376. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) それではその後でもあなたが関係を持たれるまでの間に自由党と眞木との間はどんな関係であつたのですか。
  377. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) よくは知りませんが、自由クラブに出入していたことは事実ですし、自由クラブ労働部長と書いたのを見ましたけれども、常盤の三階で……。そういう程度は知つておりましたけれども、自由党の党の方の関係は恐らくないのじやないかと思います。
  378. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 労働部長として会合のあるときにはしばしば行つておりましたか、眞木は……
  379. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) 会合には行つても、労働問題の何ものかも分らない人ですから大したものじやない。眞木さんが自由党の除外團の労働部長になつたんだから大したものじやないか。それでは、天下に謳われている自由党あたりに眞木さんあたりが労働部長になつているんじや、これでは自由党の傀儡だと我々は言つておりました。
  380. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 自由クラブでは眞木新鋭大衆党をやつておるということは知つておりましたのですか。
  381. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) それは知つておる筈です。
  382. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) ビラなんかは自由党から貰つて來てやるようなことがあるのですか。
  383. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) よく分りませんが、浅草の公会堂を借りまして、あそこで官僚統制の枠を外せというのと、それから生産を破壞するゼネストの指導者に断乎たる処置を取れというようなスローガンで区民大会を開いたことがあります。それには自由党の名前は書いてないが、出た代議士連中は自由党の人ばかり出たんですけれども、それで土地の人が区民大会に自由党が出るんだから、自由党の宣傳だから、そんなことは馬鹿々々しいといつて笑われた記憶が残つております。
  384. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) そのときに自由党から出た代議士の人はどういう人なんですか。
  385. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) 原侑、キヤラコで引張られた原侑、それから松岡松平、本多市郎、それから自由党の青年部長をしておりました江崎真澄というのがありましたね。あの方と思います。
  386. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) それは何年ですか。
  387. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) やはり昨年じやないかと思います。
  388. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 選挙前ですかな。
  389. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) 昨年じやないかと思いますけれども、何だか民主擁護生活というようなむずかしい名前で書いておりましたけれども、そんなものは全然有名無実なものじやないかと思います。
  390. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 昭和二十一年十一月二十三日市民生活擁護、産業復興同盟主催の浅草公会堂におけるゼネスト反対浅草区民大会と、こういうのじやないですか。
  391. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) そうです。区民大会といつても、聽く人は十人か十五人しかいないので、本願寺の地下室からルンペンを引つ張つて來たのです。それで聞かして、わけの分らんものを作つて共産党の本部にも、首相官邸にも決議文を持つてつたことがあるのですけれども、何だか三十人くらいルンペンを連れて來たのですが、決議文は作りましたのです。
  392. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 昭和二十一年四月十二日頃ですか、日比谷に自由党関東大会があつたときに、眞木自由クラブからというので、場内の整理を頼まれて行つたことがあるですか。
  393. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) あります。その点この間十三日に江崎さんに御質問されたので非常にひどい感じがしたのですけれども、どうも警備人員が数が間違つておるらしいですよ。どうもあんなに大勢は行かなかつたらしいですよ。あのときに私も鈴木仙八というビッコの人に会つたんですけれども、自由党が近畿大会のときに朝鮮の連中と電産の連中に襲撃されて、吉田さんがM・Pの護衞で漸く難を逃がれたような状態ですから、東京はどうしても電産のやかましいところだから、恐らく今日は共産党とか、朝鮮の連中が暴れ込むだろうが、無事に関東の自由党大会を済ましてやりたい。俺は自由クラブにいるのだから頼まれたから行つて呉れというので、行つたことは事実です。
  394. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) あなたも行きましたね。
  395. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) 行きました。
  396. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) それであなたは謝礼かなんか貰つたのですか、あなたが貰わなくても眞木が……
  397. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) その点は我々の誰に聞いても分らないです。あの方は貰つても絶対に貰つたということは言わないし、ちよつと大きく言う方ですから……
  398. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) それで聽濤事件が起きたから自由党から嫌われだして労働部長のまあ役目を追われたというようなことがあるのですか。
  399. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) あります。聽濤事件が起きて眞木さんが警視廳に佐久間、大塚という青年を連れて行かれまして、後かれ聞きましたが、原田という警部が取扱つたのですけれどど、一應眞木さんの身柄を拘束されまして、直ぐ帰つたときにわれわれは自由クラブに、私自身も行つたんです。大政党であつて反共を標榜している自由党が何にもならんじやないかということから話になつて、それで大衆党の青年部の大塚と佐久間が引つ張られた。帰つて來ましたら労働部長という名前が削られてあつたということに対して少し何ですかね、極端に言うと文句を言つたことはありますけれども、自由党の人たちは、頭から笑つておりました。高木松吉さんなんか……
  400. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) それは自由クラブにいるんですか。
  401. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) そうです。
  402. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 松岡のところへ行つたことがありますか。松岡松平の家へ……
  403. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) 私ですか……、あります。一緒に行つて呉れというから行つたのです。
  404. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) そこでそれかせ大分劍幕であつたということですがそうでもないのですか。
  405. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) よく御存知ですね、私はどういうわけで劍幕をいつたか知らんけれども、あのときに松岡さんが病氣で寝ていた筈なんです。そこへ行つて大分大きな声をしたことはあります。
  406. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 今の自由党の反共政策をやつているけれども何にもしないというのはどういう意味ですか。何にもしないじやないかというのはどういう意味ですか。
  407. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) ゆわゆる二・一の官公ゼネストを、あれを何して自由党も自由クラブも反対的な意思表示を何故しないというような意味合のことを詰め寄つたことがあつたのです。青年部の人間がやつた眞木さんが捕つてつて來たところがこうなんです。眞木の名前を削つたろう、だらしがないことをするのじやない、こういうことを言つたことがあります。
  408. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 何にもしないというのは、加害者を助けないという意味ですか。
  409. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) そうじやありません。要するに官公廳のゼネストを決行するというのに対して、反対運動をしない。
  410. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 反対運動をしない……
  411. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) はあ、そういう意味であります。
  412. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 近松彦次の追悼葬儀ですね、自由党から花環が來たと、こういうことがありますね、自由党から來たか、各自由党の所属の政治家から來たのか、自由党からも來ましたか。
  413. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) 自由党からは來ない筈です。自由党としては來ません。
  414. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 吉田茂という肩書に自由党総裁と書いてありましたか。
  415. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) 内閣総理大臣じやないかと言いました。
  416. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 内閣総理大臣吉田茂という花環を……
  417. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) 確か石橋湛山というのが大藏大臣と書いてありましたから、恐らく内閣総理大臣吉田茂じやないかと思います。
  418. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) それは本当に名義人が承諾していたとは思わなかつたでしよう。
  419. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) 私らは眞木さんが一人でやつた芝居だと思つておりました。
  420. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 自由党から來て、自由党代表という意味で來て、弔辞を読んだ人がありますね。
  421. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) 自由党代表として読んだのですか、松下権八さんという人が読みました。
  422. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) それからもう一人の人。
  423. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) 一色さんという方も見えておりましたけれども、私が知つている範囲では松下権八さんという人が読んだのを記憶しております。
  424. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 今新聞に出ている松下権八ですね。
  425. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) そうです。
  426. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 石炭國管のときに反対札を貼つたでしよう、新鋭大衆党が……
  427. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) その点は我々全然知らない……。皆さん方お考えになるような大衆党じやないのです、全くいい加減な党なんです。
  428. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 石炭國管のときにいうていることはいうておつたでしよう。
  429. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) 國管反対をですか、大衆党がですか。
  430. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) そうです。
  431. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) 知りません。
  432. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 石炭國管のときには……
  433. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) ただ私達が表を歩きまして、石炭國管反対というビラがありましたから、やりだしたのだなと話をしましたので、選挙が終りましてから殆んど誰も眞木さんのところへは足を入れませんでしたから……
  434. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) そうすると、この新鋭大衆党というか、眞木と手を切つたのは何時ごろですか。石炭國管の前ですか。
  435. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) 選挙が終りまして間もなくです。
  436. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 選挙が終つて間もなく……
  437. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) はあ。
  438. 松井道夫

    ○松井道夫君 松岡松平さんのところへ行つたときに、これは先程はつきりしなかつたのですが、どういうわけで行つたのですか。
  439. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) 松岡さんのところへ行つたときは、眞木さんが警視廳から釈放されてから行つたと思いますから、確かに眞木さんの考えのことですから、どういう考えで行つたかよく分りませんが、労働部長という名前をオミットされたというのと、それから眞木さんが入つている中に大した釈放の運動もしないという意味で行つたのじやないかと思いますけれども、どういう意味で行つたかということは分りません。ただ今日行くから一緒に行つて呉れ、と言われました、いわばお供して行つたのです。
  440. 松井道夫

    ○松井道夫君 松岡氏は出て來たのですか。
  441. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) 病氣で寢ておりました。あの人の寢ている部屋に入りました。私は入つて直ぐ右側の應接間におりました。相当離れておりました。ただ應接間に入るときに突当りの襖が三尺程離れておりましたから、ちよつと見たときに松岡さんが薄團の上に寢間着を着ておりました。
  442. 松井道夫

    ○松井道夫君 眞木はどんなことを言いましたか。
  443. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) それは分りませんけれども、最初の中は相当大きな声でしたけれども、段々声が低くなつて、一時間以上もいたじやないかと思います。時間的にはつきり記憶しておりませんのでありますが、一時間以上だと思いますけれども……
  444. 松井道夫

    ○松井道夫君 あなたは最後までその部屋に入りませんでしたか。
  445. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) 入りません。
  446. 松井道夫

    ○松井道夫君 その話の模様、結末などあとで聞かなかつたのですか。
  447. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) 聞きません。如何なることも話しませんし、何も聞く人じやないのです。
  448. 松井道夫

    ○松井道夫君 何か松岡さんの家に大きな猫がいたというのは本当ですか。
  449. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) 猫ですか、本当です。
  450. 松井道夫

    ○松井道夫君 あなたに食いつかれたというのは本当ですか。
  451. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) 食いつかれません。
  452. 松井道夫

    ○松井道夫君 あなたに言わせると、眞木という人物は労働部長、自由党の院外團の労働部長、になつた、あんな者が労働部長じや自由党もいい加減なものだというようなお話でしたけれども、そういう人をどうして又党首としてやつておられるかちよつと意外になるのですがね、矛盾したような感じなんですが、その点はどうです。
  453. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) 御尤もです。我々は大体において共産党であつて野坂とか徳田というようなのは、一つのちんぴらだという考えを持つているのです。その裏面に本当の共産主義者がいるだろうと思つているので、新鋭大衆党眞木さんが党首であつても、これは一つのロボットだというので、一つのロボットでもいいのだ、どうせ担いだ御與だから神社に納めようというようなことをお互いが思い合つていたのですね、地方から來た青年にも随分いいのがおりましたけれどもただ眞木さん自体が共産主義理論の根源のマルクスの何ものかも実際は知らない人ですけれども、併しあの人が常に、共産党は生産を破壞する、國内を牢獄化しめる、或いは祖國をソビエツトロシヤの植民地に提供するがごとき活動をしている日本共産党を反対するのだという論旨を待つておりましたからそれで結構だろう、実際において事態がまだ活動する時期ではないけれども、理論的にやつている時期だろうけれども、それだけの理論だけを持つていたのでは結局党首として名乘り、みずからが新鋭大衆党を結成したのだから結構だろうというような意味合の下に、彼を党首としてやつたのであつて、今質問のように、自由クラブ労働部長という要職を與えられても、労働問題の基準の分らない人が労働部長をやつた、という問題に対してはそういう回答であります。
  454. 松井道夫

    ○松井道夫君 眞木という人はどんう傾向の人ですか。
  455. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) あの人は非常に良いところもあるのです。人に眞似のできない良いところもあるのですがお酒を飲むと惡いらしい。
  456. 松井道夫

    ○松井道夫君 良いところというのはどんなところです。
  457. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) 私の知つておる範囲では、人に頼まれるといやだと言わん良いところもありますし、俺は相当曾て世間に惡いことをした、だからその罪滅しとしても日本共産党の反対運動をやるという信念を持つていた、こういうことを我々聞いております。その点は日本人として良いという感じだけです。
  458. 松井道夫

    ○松井道夫君 酒を飲むといかんというのは具体的にどんなことですか。
  459. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) 知らんですね。
  460. 松井道夫

    ○松井道夫君 多少乱暴でもしかねないのですか。
  461. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) 酒を極端に飲み過ぎると何が何だか分らなくなつちやう傾向が確かにあります。
  462. 松井道夫

    ○松井道夫君 暴力というものについてはどんな考えを持つていたのですかね、正義のためには暴力も辞せずというような考え方ですか。
  463. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) あの人の反面には実に面白いことがあるのです。暴力を第一定義とするような傾向があるじやないかと思われますけれども、大衆党の連中が混棒を持つて歩いておると、犬殺しみたいなことをするな、暴力は絶対にするなといつて、人の前で怒鳴るような、暴力を不定するようなこともあります。
  464. 松井道夫

    ○松井道夫君 あの松岡の家へ乘り込んだ時などですね、やはり松岡の返答の如何によつては、多少はこらしめるといつたよつな氣勢じやなかつたですか。
  465. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) あの時にはやはり相当酒を飲んでおりました。酒を飲んでいない松岡さんのことを我々には随分賞めておりました。あの男はもと赤かつたけれども、共産党を轉向しておるけれども、併し警戒しなければならんところもあると言つておりました。併しなかなか立派な男だと言つておりました。松岡さんのところへ行つた時に相当酒を飲んでおりました。
  466. 松井道夫

    ○松井道夫君 それから今の聽濤事件ですね、あの事件はあなた方から見て、今の眞木自身は多少でも原因を與えた、精神的にでも、物質的にも、或いは今まで眞木が直接、間接何らかの原因を與えたというようには考えておりませんか。
  467. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) それが私は福島縣の平から郡山に行く汽車の途中に小川郷という所がありまして、そこに行つておりまして、電報で呼ばれたのです。ですから聽濤事件の起る時には私は東京におりません。その十日程前から留守をしておりまして、新聞を見て驚いたところへ、警視廳から電報が來て、田舎から警視廳に直接來たような次第で、聽濤事件の前後を通じて約十五六日程前から不在でしたから分りません。
  468. 松井道夫

    ○松井道夫君 その点で質問する趣旨は、ああいうことが……暴力的なことですが、最も暴力的なことですが、仮りに眞木の煽動というか、精神的の影響、そういつたものを受けて、あんなことをやつたんじやないかというような節はありませんか。
  469. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) 全然ありません。
  470. 松井道夫

    ○松井道夫君 二名の青年は聽濤事件が起る二日前まで眞木さんという男を知らない、会つたこともない、大塚という人間、佐久間という人間は私は彼らが青年部員でも、大衆党員でもない、名簿にも載つていないのですから……
  471. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 自由党の関東大会にあなたがいらしつて眞木らは演説をやつたのですか。
  472. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) やりません。
  473. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君)  浅草の方から、何と言いますか、まあそこを護る人ですね。そういう何で行つた人数というのは一体どのくらいですか。
  474. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) その点私は大分勘違いしたけれども、やはりあとから斎藤君にもその後会いまして、二十七日に來るようにというお話がありましたのですから、いい加減なことを言つたのではとんでもないことになるのですから、來たのですが、握り飯を作つた数から言うと七、八十名じやないかと思います。
  475. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 司会者は誰ですか。
  476. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) 司会と言いますと……
  477. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 大会の司会者は……
  478. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) 鈴木千八さんじやないかと思います。
  479. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) その護るというばかりじやなくて、聽衆が余り少いといけないから、狩り出すという意味も含まれたじやないですか。
  480. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) 含みはしません、ただ共産党が騒ぐといけないから、騒いだらぶん殴つちやえという意味合のことがあつたのでしよう。
  481. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 今まで例がありますか、自由党とか、民自党が大会を開いた時に共産党を暴れ込んだということは……
  482. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) 近畿地方ではあつたというのです。東京だから尚ひどいだろうからやつて呉れというのです。
  483. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 具体的にはどこであつたということは知りませんか。
  484. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) 近畿地方でそういうことがあつて、大変騒がれて演説妨害をされて、全然出來なかつたから、東京だから尚ひどいだろうからというのです。
  485. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 先つき共産党の徳田や野坂はちんぴらだと、あなたはおつしやつたね、その意味はどういう意味ですか。
  486. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) あの人たちは大した人間じやないという意味なんです。
  487. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) その外にあるというのは……
  488. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) その裏面に細胞の指導者があるということを指摘されております。
  489. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 細胞の指導者、それと同様にとおつしやつたね。眞木康年の外に共産党に対抗するような、隱れたる指導者がおるという意味かね。
  490. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) そうではないです。眞木というのは民主自由党の労働部長であつて、併し労働問題の何ものかも知らないというような人を何故党首として仰いでいたかというような御質問だつたじやないかと思いますから、その問題に対して比較檢討したのです。
  491. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 眞木を表面に立てて、隱れたる、それよりも強いというか、矯激な人物がおるという意味じやないね。
  492. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) そういうふうに御質問されると非常に……
  493. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) そういう意味ではないね。
  494. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) そうではありません。
  495. 松井道夫

    ○松井道夫君 先程自由党の大会の時に眞木が会場の警備を引受けて、眞木もあなた方と一緒に行つたんですね。
  496. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) 行きましたけれども、会場について、大体に人が滿員になりましたら、どこに行つたのか分りません。殆んど正門に私は行つておりました。
  497. 松井道夫

    ○松井道夫君 そうするといざという場合にはどこに行つたか分らないじや、あなたが何ですか、指揮をとつたのですか。
  498. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) そうです。
  499. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) あなたが関係したのは青年部ができて、部長になつた。それから罷めるまで、總選挙の後まで、その間あなたは党からとか、或いは眞木から生活費の給與があつたのですか。
  500. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) 新鋭大衆党では、誰一人として眞木さんから貰つた人はいない筈です。
  501. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) どういうふうにあなたは生活されたのです。
  502. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) それでもそういう者は四苦八苦でしたけれども、全然貰つておりません。自由党の、名前は忘れましたけれども、君たちは場合によつては体も張つて反共のためには全生命を投ずるといふような場合があるのだから、相当の恩典はあるだろうと言われましたから、冗談を言つちやいけない、自由党が出さないのだから、眞木が出す筈はないじやないかということを言つておりました。誰一人として眞木さんからは貰つておりません。
  503. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) それでは常識上あなた方の生活費はどういうところから得るかということになる。
  504. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) ですから遺り繰りをしていたじやないですか。最初はただ固まつておる連中は純眞だつたですよ、事、共産党に対しては命を捧げる信念をはつきり持つております。いつ死んでもいいという連中の固まりだつたために、一日に飯を一回抜いてもいいから國賊的共産党反対という連中の集いだつたと思います。皆さんのお考になるのは一銭も貰わない。煙草錢も風呂錢も貰わないでよくやつたと僕は思つたのです。皆さんは矛盾をお考えになるでしようが、實際に一錢も貰つていません。
  505. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 生活はどうされていましたか。
  506. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) 生活は皆ひどい生活をしていました。中川さんなどは随分ひどかつたのです。
  507. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 自由党の関東大会でお禮が出たのですか。
  508. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) お禮は私達ちは一人当り二十円貰つつたと記憶しております。
  509. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 誰から……
  510. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) 眞木さんから……
  511. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 眞木はどこから貰つたのですか。
  512. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) それは分りません。恐らくあの人はその点を質問されても、でたらめなことを言うでしよう。
  513. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) あなたの方から何名ぐらい出たのですか。
  514. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) 青年部と、本願寺の浮浪者と收容者を合計しましたら三十名か四十名、精々そんなものでなはいかと思います。
  515. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 後は……
  516. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) 後は確か稻村さんという甲州屋さんの若い人と、新宿の和田さんの若い人と、吉原の小千鳥組の若い人ではないかと思います。
  517. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 和田は一人も出していないというが……
  518. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) その点は本人が出さんと言われるならば仕方がないが……
  519. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 稻村は眞木からそのお禮として三千円貰つたというが……
  520. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) それは眞木さんが自身でやつたか分りませんけれども、私達は幾らお礼をしたかということは聞きません。これはお礼をしてやるのが大体常識だと言いますけれども。
  521. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) そうするとそれはどこから出たものと思いますか。自由クラブか、どこから出たか分りませんか。
  522. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) 眞木さんは自分自身私財があるということを言つておりました。
  523. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) それから國管反対問題ですが、あなたは本当にやらないですか。
  524. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) やりません。
  525. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 別に差し障りもありませんですから、やつたらやつたといつて下さい。
  526. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) やりません。竹中ビルの三階におつた國管反対のビラを方々に大分貼つてありまして、そこの人が來て、遠山さんやつて呉れ、あなたは新鋭大衆党の青年部長であるし、なかなかいい青年がいるということを聞いていますから、やりませんという意味合の話がありましたけれども、やりませんでした。
  527. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) どこに來てそんな話があつたのですか。
  528. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) 眞木さんの元の青年部です。
  529. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) いつ頃ですか。
  530. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) あの眞最中です。夏でしたか。
  531. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 反対のビラを誰が盛んにやつたのですか。
  532. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) さあ分らないです。自由党か何かの代議士が反対の部長であつたらしいのです。
  533. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 名前をこちらから言つたら分りますか。
  534. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) 何だかむつかしい名前でしたね。竹中ビルの三階の事務所に行けば多分分ると思います。そこにビラを山程積んでありましたが……
  535. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) そこへあなたは行つたことがありますか。
  536. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) あります。どんなところだろうと思つて行つて見たのです。
  537. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) そのときあなたは誰に会つたのですか。
  538. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) 事務員らしかつた、外の幹部はと聞くと、全部出ているというのです。
  539. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) どんな話をしたのですか。
  540. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) 事務員では話をしても分らないと思つて直ぐ歸りましたが、ビラは大分ありました。
  541. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) あなたのことだと誰でも掴まえて一席弁じそうな氣がするが、事務員にでも……。
  542. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) 事務員と若い女の子で言つても分らないし……
  543. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 君たちのやり方は生ぬるいということを言いませんでしたか。
  544. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) 言いません。聽濤事件でこりこりしていましたから僕は言いません。
  545. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 片山の頭の一つもひつぱたいてやらんと駄目だというようなことは……
  546. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) 言わなかつたのです。
  547. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) どうもあなたらしい。スタイルからいろいろ聞いて見ると……
  548. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) 片山の頭をひつぱたいたところで石炭が出るわけでなし、私も相当無茶なこともやりかねないし、追放も何もへつたくれもないから……。併し人の頭をひつぱたいて石炭が出るか出ないかはないかは分りますから、片山の頭をひつぱたいても仕方がないから、私は片山の頭をひつぱたけというようなことは言わなかつたと思つていますが……
  549. 松井道夫

    ○松井道夫君 今の石炭國管反対のときに、眞木康年の名前が入つた反対のビラが貼られていたという人がありますが、あなたは見ましたか。
  550. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) 私は名前を印刷したのは見ません。眞木康年というのを書いてあるのは見ません。新鋭大衆前衛党と書いたように記憶しております。
  551. 松井道夫

    ○松井道夫君 それは誰がやつたかわかりませんか。
  552. 遠山直樹

    証人(遠山直樹君) その点質問されましたけれども、全然見当がつきません。
  553. 大野幸一

    委員長代理大野幸一君) 終りました、どうも御苦労樣でした。    午後二時五十三分散会  出席者は左の通り。    委員      大野 幸一君            松井 道夫君   証人    警視廳警備交通    部警備課長   三枝 三郎君    警視廳警視   伊藤  誠君    計  理  士 千田 清夫君    土建工業事務員 遠山 直樹君    家具製造会社社    長      小野寺孝一郎君