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1948-08-25 第2回国会 参議院 司法委員会眞木事件に関する小委員会 閉会後第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年八月二十五日(水曜日)    午前十一時八分開会   —————————————   本日の会議に付した事件眞木事件に関する調査の件   —————————————
  2. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) それでは裁判官の刑事事件不当処理等に関する調査小委員会を開会いたします。中川勝太さんですね。
  3. 中川勝太

    証人中川勝太君) さようでございます。
  4. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) それでは宣誓して下さい。    〔総員起立証人は次のやうに宣誓を行なつた〕    宣 誓 書 良心に從つて眞実を述べ、何事もかくさず、又何事もつけ加えないことを誓います。   証人        中川 勝太
  5. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 宣誓した上は虚僞の陳述をすると刑罰に処せられますから。
  6. 中川勝太

    証人中川勝太君) 分りました。
  7. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) では中川勝太さんですね。
  8. 中川勝太

    証人中川勝太君) はあ。
  9. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 年齢は。
  10. 中川勝太

    証人中川勝太君) 四十九。
  11. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 住居は。
  12. 中川勝太

    証人中川勝太君) 台東区入谷町二百五十一番地濱野方
  13. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 職業は。
  14. 中川勝太

    証人中川勝太君) 只今新聞の原稿を書いて生活しております。
  15. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 特定の新聞ですか。
  16. 中川勝太

    証人中川勝太君) いいえ、違います。まあ今出ておる特殊の新聞がございますね。ああいうふうな新聞から二、三頼まれております。
  17. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 眞木康年という人は承知ですね。
  18. 中川勝太

    証人中川勝太君) はい。
  19. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) いつ頃から。
  20. 中川勝太

    証人中川勝太君) 眞木さんと知り合になりましたのは、昭和二十一年の十月です。
  21. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) それまでは知らない人ですか。
  22. 中川勝太

    証人中川勝太君) そうです。全然知りません。
  23. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 眞木と知り合つた事情はどういうのですか。
  24. 中川勝太

    証人中川勝太君) これは、私は二十何年間ずつと一貫して新聞生活をしております。終戰と同時に浅草浅草新聞というものを二十一年の三月に出しまして、それで九月まで私やつておりましたのですが、御承知通り当時は割合新聞が少いですけれども、丁度経営の面が非常にどうも辛いのです。それで廣告に依存して結局出すより仕方のない状態でした。たまたま私の使つておる者が、眞木さんをお訪ねして、そうして経営ちよつと苦しいことを言つたらしいのですね、それから眞木さんが、それじやおれのところへ持つて來い。おれが何とか一つつてろうではないか、ところが迂闊にもその男がお願いしますと、こう言つたらしいのです。それで私は実は眞木新聞手傳つて呉れるというから会つて呉れ。こういう話になつたので、私は初めて会いました。そうして、それじや一つ手傳つてろう、こういうわけで眞木さんとの繋がりができたわけです。
  25. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) あなたのやつてつた新聞は、何か特に主張とか目的とかというものは、何かありましたのですか。
  26. 中川勝太

    証人中川勝太君) ありません。本当の大衆の、いわゆる浅草人相手にしておる新聞です。
  27. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 眞木の方では、それじやあなたの新聞手傳つてろうと言つたのですか。
  28. 中川勝太

    証人中川勝太君) さようです。
  29. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 眞木の方でその新聞を引き受けてやろうというのでなく……。
  30. 中川勝太

    証人中川勝太君) いいえ、その後になりまして引き受けてやろう、こういうふうな話になりましたのですが、どうも眞木さんという方は非常にはつたりの強い方ですから、私も多少そこで考えたのですが、なる程眞木康年という名前浅草では聊か知れているようにも考えましたし、それからお願いしますと、とにかくおれがやろう、こういうわけでしたけれども、私はとうとうその話は乘りません。但し御承知通り社長はいつ変えてもよいものだから、それじやとにかく社長眞木さんにやつて貰おう、こういうわけで眞木さんと繋がりを持つたわけです。
  31. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 眞木社長になつて新聞社新聞実権というものは……。
  32. 中川勝太

    証人中川勝太君) ありません。
  33. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) あなたがやつてつたのですか。
  34. 中川勝太

    証人中川勝太君) さようです。当時私が一万四千円程の赤字が出ておるわけなんです。それを眞木がおれが一つそれを出してやろうということを言いましたので、そいつはありがたい、それじや一つこつちもさばさばするから、そのときはしようがない眞木に委せなくちやならない。こういうように私共考えたのですが、遂にそれは口ばかりであつて……。
  35. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 口ばかりで実際は世話を余りして呉れなかつたのですか。
  36. 中川勝太

    証人中川勝太君) そうです。而も経営の面についても多少第一回出しますときは、さすがに眞木君の顔でちよつと成績が上りましたですが、併しそれは、結局こをだけの成績が上つたらおれの方へ半分貰う、そこういうわけなんです。それですつかりあの人のやり方が分りましたので、とうとうその新聞実権というものは眞木さんに渡されずに、どこまでも私がやつて來たような……。
  37. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) そうすると今はその新聞はどうなつておるのですか。
  38. 中川勝太

    証人中川勝太君) 今は大衆娯樂名前を変えまして出ておりますのですが、それは今年の五月に出しました。
  39. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 初めて会つたときの眞木という人のあなたが覚えているのはどういうふうな感じを持ちましたか。
  40. 中川勝太

    証人中川勝太君) そうですね。とにかく戰災者相当收容してやつており、自由党では相当の地位にあるようなお話でしたし、これは年が若いけれども相当いけるのじやないか。こう考えました。大体あの人の親分と言いますか、主人と言いますか、近松三次という人のことはよく承知しております。近松程にいけるのかとも考えました。最初の私の考はですな。
  41. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 近松三次という人はあなたよく覚えておりますが。
  42. 中川勝太

    証人中川勝太君) よくは覚えておりませんが、大体私はあの辺で育つた者ですから、近松三次という者の腕と言いますか、そういうものはすでに人から聞いておりましたですが、併し眞木という人間は知らなかつたのです。近松あとに來た人間というようなことを聞いておりましたし、相当に私も眞木という人間を少し高く買つてつたわけです。
  43. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 近松あとに來たというのはどういう意味ですか。
  44. 中川勝太

    証人中川勝太君) それは浅草のいわゆる何と言いますか、地附きの者が二、三言つたのを聞いておりますから……それに眞木さんをお尋ねした時には近松三次事務所なんという標札も出ておりましたし、こりはやはり浅草で聞いた通り近松さんのあとに來た人、殊にあの場所ですし、やはりこの意味でこれは近松さんのあとに來た人かなあと、かように考えました。
  45. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 眞木から直接に……。
  46. 中川勝太

    証人中川勝太君) それは聞いたことはないのです。
  47. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 聞いたことはなくとも今の眞木の家は近松の家であつたし、又世間近松三次あとに來た人だと言うので、それで近松の跡取りというふうに……。
  48. 中川勝太

    証人中川勝太君) そういうふうに私は解釈しました。
  49. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 近松相当子分のあつた人ですか。
  50. 中川勝太

    証人中川勝太君) 大体あの方は事件屋ですから子分というような者のない方です。殊に浅草でああやつて事件扱つてつた人ですから、浅草やくざ連中には附合いがあつたり、或いはやくざ人達と兄弟分の縁を結んでおるということはあつたかも知れませんが……。
  51. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 眞木近松と同樣なことをやつてつたのですか。
  52. 中川勝太

    証人中川勝太君) 眞木さんですか。それは全然知りません。
  53. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 眞木自由党だと自分で稱しておるが、自分政党を作りましたか。
  54. 中川勝太

    証人中川勝太君) それは新鋭大衆党です。
  55. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 新鋭大衆党機関新聞として、あなたの新聞経営することになつたのではありませんか。
  56. 中川勝太

    証人中川勝太君) そういうことは絶対にありません。
  57. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 眞木からはどれくらい世話になりましたか。
  58. 中川勝太

    証人中川勝太君) 一銭を世話にはなつておりません。眞木の所におる者で眞木から本当に多少共補助を受けて仕事をしたという人間は一人もおりません。ただ齋藤君が本願寺厚生会にいて厚生会から月給を受けておりましたが、それ以外に一人をおりません。
  59. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) あなたと眞木のやつてつた新鋭大衆党との関係はどうですか。
  60. 中川勝太

    証人中川勝太君) 眞木新鋭大衆党を結成した当時、私は新聞経営しておりましたし、非常に魅力のある名前ですし、これの提灯を持つたこともあります。私の新聞で。そうして昨年の十月私と眞木との繋りができまして、併し新鋭大衆党というものはただ看板だけであつて党員というものも、そしていわゆる党の組織委員とでもいいますか、そういうものが齋藤君恐らく一人くらいだつたろうと思います。新井という者もおりましたが、これはすぐいなくなつたのですが、当時の新鋭大衆党組織した者でいたというものは齋藤君一人だけです。私が行つたときには……從つて新鋭大衆党というものに対して、私も関心を持つておりませんし、一体眞木組ということを世間ではいいますが、眞木組はどういう仕事をしておるとか、大衆党がどうなつておるのかというようなことも全然私は知らなかつたわけです。ところが例の十月攻勢がすか、あれでちよつと派手にビラを書き始めました。併しそれは本願寺厚生会連中がやつておることで、私は遂にそれにタツチしたことがないのですが、例の一月の末に聽濤事件が起きましたね。あれで急に大衆党がクローズ・アツプされるというとその調子に乘つてビラを書き始めるというので、結局私もそれに手傳う、手傳うというと相当地方からあのときには人が見えました。本当に新鋭大衆党というものをどういうふうに解釈するのか、実に熱心な人達地方から出て來まして……。
  61. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 地方から。
  62. 中川勝太

    証人中川勝太君) はあ、そうするというとそれらの人達に應待をするに眞木さん一人じや應待し切れなくなつてしまう、結局一つ頼むというわけで私が應待して來る、そうして勢いそこで私が大衆党責任者というふうに看做されもし、いつの間にかそういうことになつてしまつたんですね。從つて新鋭大衆党というものはこの聽濤事件を契機としてクローズ・アツプされたので、それまでの新鋭大衆党とというものは殆んど零に等しいものだつたんです。
  63. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) この新鋭大衆党の綱領とかいろいろ宣言のようなものがありますね。これは誰が書いたのですか。
  64. 中川勝太

    証人中川勝太君) 最初に書いたのはわからないんです。併しその後に書いたのは私が書きました。
  65. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) おいでになつてから党の役員とか党員の数というようなものはどういうふうになつたんですか。
  66. 中川勝太

    証人中川勝太君) 聽濤事件以後ですか。
  67. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) ええ。
  68. 中川勝太

    証人中川勝太君) 聽濤事件以後か、あれは以前でしたか、浅草の公会堂で國際青年何とかいう会がありました。そのときに自由党進歩党、社会党、その他の政党、各團体青年部代表が出てメツセージを読んだことがありましたが、そのときに地元であり、眞木が多少世話をするという関係で、新鏡大衆党青年部代表を出して呉れというので、初めてそこで青年部というものを形だけでも拵え上げたのですか、そういうふうなわけで、この際だから一つ何とか部署を決めなくちやいかんじやないかこういうことになつて青年部党務部ですか、そういうものを初めて拵えたわけです。
  69. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) それは新鋭大衆党の中にあるのですね。
  70. 中川勝太

    証人中川勝太君) そうです。
  71. 鈴木安孝

  72. 中川勝太

    証人中川勝太君) ええ。
  73. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 青年部は誰がやつたんですか。
  74. 中川勝太

    証人中川勝太君) これは遠山という男に青年部長に、まあ名前だけですかやらせたわけです。
  75. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 遠山
  76. 中川勝太

    証人中川勝太君) はあ。
  77. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 遠山何というんですか。
  78. 中川勝太

    証人中川勝太君) 遠山直樹というんです。
  79. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) それから。
  80. 中川勝太

    証人中川勝太君) それからやはりこれは新聞で入つて來た男で、平原という男があります。この男も幹部に入れました。
  81. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 平原……。
  82. 中川勝太

    証人中川勝太君) 平原嘉胤です。それから齋藤君と私とそれだけの筈です。
  83. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 大衆党では資産というものはありましたか。
  84. 中川勝太

    証人中川勝太君) 大衆党財産というものはペン一つ、金一銭ないのです。というのは只今申上げました通り大衆党ですから、結局眞木がやり、眞木が一切を切廻す大衆党でありますから、そうして事務所というものは眞木の玄関は机一つ置いてあるただそれだけであります。物に應じてペンがなければ、奥さん、ちよつとペンを買うのだからというふうなやり方ですから、実際に新鋭大衆党財産というものは何にもないわけです。
  85. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 何か使うことがあれば眞木か出るのですね。
  86. 中川勝太

    証人中川勝太君) 金がですか。
  87. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 金が……。
  88. 中川勝太

    証人中川勝太君) そうです。そうして大体眞木さんという方は割合に金銭には非常にこだわる方ですから、一切金銭事で金のかさの多いものは例えばビラだとか……ビラが最も一番金を使つて、外に使つた金は殆どありませんが、そういうものは、私共知らないうちに眞木さんが註文して眞木さんが拂つてしまう、こういう状態ですから全然金銭には関係がないのです。ところが連合軍当局から党の経理を差出せ、こういうことを言つて來られまして、それからこれはいかん、こんなことをしておつとは駄目だし、殊に構成員変更届とか何とかを当然しなくちやならないのだ。もうこれは眞木大衆党でなくなつたのだ。一應形だけはきちつとしなければならない。それからポスターは幾ら金を出した、そういうふうにして、眞木から出した金を聞いてそれを初めて経理薄につけて、それを連合軍……に出したことはありましたけれども、それ以來そういうふうにして出納をつけて行つたわけで、実際において金銭を扱う責任者は勿論おりませんし、一切眞木さんが出納をやつてつたわけです。
  89. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) そうすると、党員から党費といつたようなものを集めたこともないのですか。
  90. 中川勝太

    証人中川勝太君) ありません。
  91. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 結局党の会計というのは、眞木自身の出す金でそれで以てやつてつたという形ですね。
  92. 中川勝太

    証人中川勝太君) そうです。
  93. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 党に対して後援する何か財閥とか政党というものは……
  94. 中川勝太

    証人中川勝太君) 全然ないのです。まあ聽濤事件以來昨年の衆議院の選挙の終るまで、私が殆ど関係しましたのですが、併し眞木のために金を出してやろうとか、新鋭大衆党一つ闘爭資金を出してやろうとか、ありそうなものなんですが、曾てないのです。
  95. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 聽濤事件というのはあなたの新聞大分その事件被告人を讃美したような記事があるとかいうことですが……。
  96. 中川勝太

    証人中川勝太君) そうでしようかね。格別讃美したように考えなかつたのです。ただあれは事件経過を一方的に聞いたには違いないのですが、ただ事件経過を書いた積りでいるのですけれども、取立てて讃美したという所は、私も何回も読直して見ましたが、あとからちよつと二三行ここらかなと思う。節がありました。そう讃美したと考えてはいないのですが。
  97. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) その被告になつた連中は何ですか、眞木とはどういう関係の人ですか。
  98. 中川勝太

    証人中川勝太君) 眞木とは恐らく関係がないと思うのです。眞木とは大した関係がないと思うのです。現に事件が起きて、私は初めて見るというような……。ああこの男なら去年見たことがあつたつけなという程度ですな、それは眞木のところへ遊びに來ておつたのですな二人は……。話しを聞くというと大分大塚作間眞木さんが眼をかけてやつたというような話を聞きましたが、私としては事件が起きるまで知らなかつたですな。
  99. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 新聞社のために何か働いたことはないですか。
  100. 中川勝太

    証人中川勝太君) 私はありませんです。
  101. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) あなた知らなかつたのですか。
  102. 中川勝太

    証人中川勝太君) 知らなかつたです。ただ大塚廣告を取つて廻つたということを後で聞きました。それというのが、廣告を取る者は眞木さんのところにいた者をですな、八方へ飛ばして、眞木名前廣告を第一回目のときに集めましたですから、誰が集めて來たかそれはちよつと私分らないわけですな、初めてなものですから……そのとき大塚はそういう仕事ちよつということを聞きました。後で大衆新聞の社員であつたとかいうようにあの当時の新聞に出ておりましたのですが、私直接としてあの男を使つた覚えはないのです。
  103. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) この大塚とか、あの連中は、眞木の教唆によつて聽濤事件をやつたのだというふうに眞木に近い人で言うている人がありますがね。
  104. 中川勝太

    証人中川勝太君) それは私全然知りませんのです。何せ私が眞木さんと繋がりを持つたのは、二十一年の十月の末でして、それから新聞関係以外のことでは、眞木さんをお尋ねしませんですし、十二月の新聞が出まして、それからちよつと栃木へ行きまして、栃木から帰つて來て暫くして、あの事件のときも自分のところで新聞を見てたまげて、眞木さんのところに行つたというような実情ですから、全然その間の実情を知らないのです。
  105. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 眞木組というのはなんですか。
  106. 中川勝太

    証人中川勝太君) 分りませんです。
  107. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 何か事業をやつてつたのですか、眞木組という名前で……。
  108. 中川勝太

    証人中川勝太君) やつていないのでないですか、何しろ終戰の直後ですから何々組というのが非常に出て來ましたし非常にそれで顔が利くのですから眞木組というものができたように私も承知しておりますし、眞木さんをお尋ねしたときには、確かに眞木さんの家の屋根のところに眞木組と筆太に書いてありました。併し眞木組というのがどんな仕事をしておつたか、恐らく仕事はしていないんじやないでしようか。それから眞木組という存在も私はないと思いますね。苟くも組という名前が出た以上は、親分なり乾分なりの繋がりがあり、乾分とか阿兄とかが出入りする筈なんですが、併し眞木さんにはそれが一人もおりませんです。
  109. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) この新聞経営というほかに、眞木厚生会のことに関係しておりませんか。
  110. 中川勝太

    証人中川勝太君) 戰災者厚生会ですね、戰災者厚生会の会長ですから……。眞木さんがやつていたのです。
  111. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 戰災者厚生会というものの組織はどんなものですか。
  112. 中川勝太

    証人中川勝太君) それは全然知らないです。
  113. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 知らない……。
  114. 中川勝太

    証人中川勝太君) それは全然知らないですな。それで私はこちらへこの前來た齋藤君が一切やつているものだというふうに考えておつた。そうすと実際のあの齋藤君がやつているようでもないようにだんだんおぼろげながら分つて來た。厚生会には私達殆んど出入りしませんし、まあそう言つちやなんですが、ルンペンに構うなというようなことを言つて、殆んど厚生会へは出入りしておりませんので全然分らないのです。
  115. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 名前だけというのは……。実際の仕事はどうか知らんが、眞木組という名前もあり、一方には新鋭大衆党の党首であり、又一方戰災者厚生会というものをやつてつて眞木自身財産は一体どんなものがあつたでしようか。
  116. 中川勝太

    証人中川勝太君) これも全然分らないのです。例えば二、一ゼネストですな、あのときにビラを貼つて相当運動をしましたが、実際に一体幾らかかつているか、私達には分りません。眞木さんはあの通り大風呂敷ですから、十万円かかつたの、十五万円かかつたの言つていました。併しそんなにかかる筈もないし、そんなに金が眞木さんにある筈もないのだ。私達も実際不思議に思つておりました。ですから眞木がどれだけの資産があつたか、どれだけの收入があつたかということは、私共には分らない、最近になつてから、眞木さんの口から女房の方から持つて來ておつた金があつたとか、品物があつたとか、俺はそれを賣つて運動して來たのだというようなことを聞くようになりましたけれども、それまでは全然眞木さんの收入がどれだけであつて、どんなことをしているか全然知りません。まあ不思議に考えておつたくらいです。
  117. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 戰災者厚生会の方では相当東京都の方から手当のようなもの、そういうものが來ておるでしようか。
  118. 中川勝太

    証人中川勝太君) それは來ているのだろうと思いますけれども……。
  119. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) それも分りませんか。
  120. 中川勝太

    証人中川勝太君) 全然分りません。新鋭大衆党の解体と同時に大衆党財産厚生会財産、そういうものを調べに参りました。私は大衆党の方の財産は無しとして、まあ結局東京都の監理局の方としては、とにかく中川さんあなたが一つつて貰わなければ困るというわけで、東京都と私と往來するようになりました。そのときに東京都の方で眞木さんの方へこれだけは金が行つているとか、これだけの配給物資が行つているということを東京都の御連中から聞きまして、そういう金が行つているのかと初めて知つたようなわけです。
  121. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 眞木が、大衆党解散になつて、その財産調査をしたときに、初めて東京都の方から厚生会のことやらいろいろなことを聞いたというのですか。
  122. 中川勝太

    証人中川勝太君) そうなんです。それまでは全然知らなかつた
  123. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 眞木のところにはトラックそれから乘用自動車二台そういうようなものがありましたね。
  124. 中川勝太

    証人中川勝太君) ありましたが、れは眞木のものではないですよ、厚生会のです。
  125. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) ところがこの自動車大衆党名前をつけて乘り廻したのじやないですか。
  126. 中川勝太

    証人中川勝太君) それは私はとにかく眞木とこれだけの繋がりがついたのだから、立候補もする男だし、この男は人格はどうあろうと、とにかく上に立つ器だからどつちみち持ち上げた御與なんだから、納めるところまで納めろという、こういうつもので盡して來たわけなんですが、昨年の選挙に入りまして、これは駄目だと私は匙を投げたのです。選挙責任者も結局私がなつてしまつたわけです。それでこれはもう選挙が済んだら、お暇ましよう新聞まで渡さないでいいことをした。という思つて、四月の選挙か済みまして、それから私は眞木と縁を切つたつもりで、眞木のところに行かなかつたのです。もう四月からずうつと眞木のところに参りません。ところがその間まあ本願寺の若い連中が來まして、どうして來ないのか、先生が怒つておるぞというけれども、こつちでは相手にしなかつた、もういよいよ新鋭大衆党もお終いだぞといつておりました。そうすると新鋭大衆党トラックが動き始めましたから厚生会自動車が要るのかなと思つておりました。ですからあの当時名前自動車に入れてやつたということは、私は全然知らない。たまたま解散事件が起きたので、わざわざ私が引張り出された。ですからあのトラックの横にいろいろなものを書いたときは私がいなかつたときです。ですから其の間何をされたか、その間のことは知らないのです。昨年の六月からこの解散騒ぎまでの間のことは私は知らない、全然行きませんから。
  127. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 去年のあの石炭の國営問題、國管問題、あのときに眞木大分動いたですか。
  128. 中川勝太

    証人中川勝太君) その頃私はおりません、でしたから全然知りませんが、動かないと思いますな。動く筈がないし、動けない筈です。いくら眞木地團太を踏んでも兵隊はいなかつたのですし、これはできないと思つております。私あの近所におりますけれどもさようなことを聞いたことがありません。
  129. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 眞木子分大分各方面にビラを貼つたというようなことは聞きませんか。
  130. 中川勝太

    証人中川勝太君) それはビラは頼んで貼らせておる筈です。
  131. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 眞木が頼んだのですか。
  132. 中川勝太

    証人中川勝太君) そうでしよう。私は選挙のときには、ビラを貼るのを頼まれました。眞木の若い者はおりませんから、又若い者を置くような親分でもなし、私は金を拂つてビラを貼らせたくらいですから、若い者はおる筈がありませんから、恐らく金を拂つて本願寺の労務者に貼らせたものだろうと思います。
  133. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) あなたは見ませんか。あの時のビラを……。
  134. 中川勝太

    証人中川勝太君) 國管反対のビラですか。見ました。併しただそれだけのことではないでしようか。私は全然その間のことについては知らないのです、併しなにか動きがあれば私のところへ知らせてくれる筈です。つまり党の者といつても二、三人はおるんですからそれらが数えてくる筈ですから併し石炭の例の國管反対のときには、別に私のところへ教えてくれる者もいませんでしたし、まあ二、三ビラを見た程度ですから、まあの程度で外のことはしていないと思います。
  135. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 各方面にこの大衆党の支部というものがありませんか。
  136. 中川勝太

    証人中川勝太君) ありません。辛うじて七尾村に新鋭大衆党南多摩支部というものができました。これは立派にできまして、ちやんと届出をしておりましてこの支部の発会式には私と眞木と行きました。そうして山根福平という男が支部長になりまして、それで支部ができました。この支部一つです。ところがこの南多摩もやがて解散して、新たに勤労大衆党という党に独立してしまつたわけです。新鋭大衆党の支部というものはこれ一ヶ所です。
  137. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 宮城縣の仙台市になかつたですか。
  138. 中川勝太

    証人中川勝太君) この仙台のは昨年の九月私が眞木ところへ行かないときの話です。これは大衆党に出入りする鈴木という男がおるのです。鈴木傳明の甥と称していましたが、なかなか喋らせるというと相当なことを喋る男ですが、この男が私のところへ來まして新鋭大衆党の東北支部を拵えたいと思うが、どうだろうという話でしたので、それはいいだろう、それは眞木さんにやつたらいいだろう、だがその前に地固めをして置きたいから編集長來てくれないかというような話なんで、丁度私も暇でしたから、行つて見ようじやないかというようなわけで私が仙台に行つたのです。八月の三十一日に行つて九月の二日に帰つて來ました。そうすると新鋭大衆党の東北支部結成準備会というような名前で芭蕉の辻で演説をしたいというので、それから私はその演説をする所へ行つて見ましたところ、なかなか反響があるのです。それでこれじやいいぞというので、市長に会つてみるというので、市長に会いましたが、仙台市長は台東区下谷区長をしておつた方で、話も合います支部を結成するなら相当應援をするからやれというような話でした。それから私は鈴木に、とにかくおれは眞木さんと縁を切つたが、おれの見たところじやよかろう、拵えたらいいだろうというので、早速拵えよう、こういうわけであります。ところがどうもはたから出て來た人間がどうも芳しくないのです。
  139. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 鈴木なんというのですか。
  140. 中川勝太

    証人中川勝太君) 鈴木正義というのですが、この人間も私は買い被つておりまして、集まつて來人間が鈴木という人間を武井君、武井君と呼ぶのです。それから、ははあこれは贋の名前使つておるなと私は見たのです。それから私は臭いなと思つてだんだん聞いて行くと、武井保というのが本名らしいのです。鈴木という男はこれはいかんぞ、これは眞木のためにもよくないし、これは大衆党のためにも駄目だぞ、こう思つたのです。それからおれは先に帰るからといつて、それで私は九月の二日に帰つて來ました。それであの調子では支部はできつこないから、放つて置いたらいいじやないか、誰か來たらそれとなく教えてやろう思つてそのままにしておつたのです。その後その話は全然ありませんので、まあ支部も結成できなかつたんだろう、あの連中ならできつこないと思つておりました。ところが十二月新鋭大衆党解散騒ぎのときに、新鋭大衆党の仙台支部の支部長と称して一人の妙な男が見えまして、それで新鋭大衆党は仙台支部なんかある筈がないじやないか、何時拵えたかと言つたら、いや鈴木君が創つたというので、あんなものは駄目だ手続きはしたのかと、いうといやしてないしてないならいいけれど、こんなものは駄目なんだ、それで済んでしまつております。  それから私法務廳に行きました、ところ法務廳で、新鋭大衆党は南多摩支部がある。それから仙台支部もあるというようなことを法務廳で言いましたから、仙台支部はこういうことになつておるからこれは駄目だ、これは全然違うからこれは消して置いて、下さいよ、仙台には支部がないのですからと、今の事情は私は法務廳でも申上げました。そういうわけですから仙台支部というのは嘘です。
  141. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) そうすると準備会だけで終つてしまつたのですね。
  142. 中川勝太

    証人中川勝太君) そうです。芭蕉の辻に集まつたのは鈴木の他にもう一人鈴木という男がいましたな。それから名前は分りませんが、市川という男がおりました。
  143. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) そういう二、三の人が……
  144. 中川勝太

    証人中川勝太君) そうです。
  145. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 街頭で演説をしたんですか。
  146. 中川勝太

    証人中川勝太君) そうです。なかなかあそこはいわゆる赤の勇しい所らしいので、まあ市長などもこれを見てくれこの間暴れ込まれてこれだけ壞されたので、記念のために取つてあるといつて、市長が破れたガラスなどを見せてくれましたが、そういう所で相当威勢のいい演説をすると受ける所でした。
  147. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 青森縣にはなかつたのですか。
  148. 中川勝太

    証人中川勝太君) ありません。南多摩以外には支部はないのです。
  149. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 千葉にも。
  150. 中川勝太

    証人中川勝太君) ありません。
  151. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) それから新鋭大衆党事務所を新橋の方へ作るというような計画をしたことはありませんか。
  152. 中川勝太

    証人中川勝太君) これは計画ではないのです。新鋭大衆党は、私に言わせるというと、あれは浅草新鋭大衆党ではない。あれは千束町の新鋭大衆党なんですが、併し相当に高く買われておりますし、どのくらいの中味があるのか皆さん御存じないわけです。併しいずれにしても、あそこの場所に事務の本部があるということは、これはうまくないので、適当なところがあつたら行くという話がありました。たまたま眞木さんのこれは極く近しい方だそうですが、吉村さんという方が、あの新橋へマーケツトを建てて、そうして細君に何かやらせたらどうかという話が出たそうです。その間のことはよく分りませんが、大分あの奧さんが乘氣になつて、結局坪一万五千円で、十幾坪ですか、二十何万円の権利を買つて、そうしてあそこへ建てる。そうして角店に何か商賣をやる。上で何をやろう、上でやるものがないので取り敢えず事務所だけでもあそこへ持つて行こう、それは結構だそれじやできたら早速あそこへ持つて行つたらどうか、この程度です。ですから本部にするためにやつたとかそういう意味合のものではないのです。
  153. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) ただもつと眞木の方の個人的の何か仕事をし始めようというときに、大衆党事務所をそこへ設けたらよかろうということになつたので、大衆党事務所を作るためにそこを借りたのではないというのですね。
  154. 中川勝太

    証人中川勝太君) そうです。そういうわけではないのです。
  155. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) そういう権利金などはどこから出たのです。
  156. 中川勝太

    証人中川勝太君) 知りません。全然知りませんけれども最初に五万円の手金を打ちました。その金はどこから出たか知りません。それからこれも丁度私が行つたときですが、眞木が小切手を出して、ちよつとすまないけれども、ここに二十万円と書いて呉れと言われて、私二十万円と書きました。眞木さんが小切手を持つておるのは私初めてですし、どこから金を出しておるのか、これをどうするのですかと聞いたら、これは吉村へやるのだ、何処から……いや銀座から借りて來た。銀座というのは細君の妹さんですが、そこから借りて來た。こういうことを言いましたが、私もそうだと思いました。ですからあの金はどこから出たかそれは知りません。
  157. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 誰か眞木に、そういう大衆党にいろいろな眞木仕事をするについて金を出してくれた人があるのじやないですか。
  158. 中川勝太

    証人中川勝太君) ないのです。私の知つている限りもう一人もありませんが、そんなことを言うのは……。
  159. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) それでは候補に立つ時にも自由党で立つておりますが、そういう選挙についてなども自由党の本部の方から大分厄介になつたというようなことはありませんか。
  160. 中川勝太

    証人中川勝太君) ありません。眞木さんは、よく自由党がどうの、吉田がどうのというようなことを言われますが、どうも私あそこで出入りしてる限り、自由党の方で見えたという者は一人もおりません。但し眞木さんは自由クラブの方で大分お友達があるとか言う話ですし、それから自由クラブに成るほど労働部長という肩書きもありました。併し自由党としては殆んどもう関係はないのじやないかと思うくらい交渉がありませんでしたが、自由党の方で眞木さんの家に見えたという方は全然ありませんです。
  161. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 自由党の中の自由クラブだね。
  162. 中川勝太

    証人中川勝太君) そうです。
  163. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 自由党は丸の内の常盤家の中にありましたね。その常盤家の中に又自由クラブがあつたのですね。そのクラブの労働部長ということは、これははつきりあなたは知つているのですね。
  164. 中川勝太

    証人中川勝太君) 知つております。現に眞木が私に、俺はクラブの労働部長になつたのだが、俺は何にも知らねえ、こう言つたことがあります。それだから私は、知らねえからいいのだ。なまじつか知つていると勤まらないから……知らないから勤るのだと私は言いました。  又聽濤事件が起きたときに私は自由党に行きましたが、そうすると労働部長眞木康年という名前が墨で消してありましたから、自由党も氣が小さいなと嫌味を言つて來ましたが、確かに労働部長であつたことは間違ありません。
  165. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 自由党の幹部だつたろうか。
  166. 中川勝太

    証人中川勝太君) 幹部じやないでしよう。
  167. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 幹部の大久保留次郎なんという人は來たことはありませんか。
  168. 中川勝太

    証人中川勝太君) 大久保さんとか、そういう方で來た人は一人もおりません。松岡さんは相当な方でしようが松岡さんを眞木さんがお訪ねしたことはありましたけれども、松岡さんが見えたということもありませんし、とにかく相当な方で以て眞木さんを訪ねた方は一人もありません。
  169. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 眞木の口から言うのでしよう。
  170. 中川勝太

    証人中川勝太君) 吉田がどうしたとかと言いますけれども、併しそういうところの方で訪ねた人は一人もありません。
  171. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 解散になつて間もなく眞木は拘禁されましたね。それで勾留後に大衆党なり、厚生会なりの、眞木の金もあるだろうが、その財産を整理しなければならんということで東京都の方から催告されておつたが、その清算というものは眞木がいなくても会計係か何か又あなた方が、実際を調べたならば……調ベ得るような事情ではなかつたか。
  172. 中川勝太

    証人中川勝太君) 勿論調べられるでしような。
  173. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 私の聞きたいのは、眞木自身が勾置所から出なくとも、周囲の人が調べたならば、その財産というものははつきりし得たのじやないかということです。
  174. 中川勝太

    証人中川勝太君) その點ですが、とにかく何にもないのですから、はつきりと眞木がいなくてもどんどん分りますが、厄生会に至つては全然知りませんから、厚生会がどうなつていたか全然知らないことですから、厚生会のことは私はどうもはつきり述べられませんな。
  175. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 厚生会の会計は誰がやつておりましたか。
  176. 中川勝太

    証人中川勝太君) 知りません。私は齋藤君がやつてつたとばかり思つておりました。ただあの人の兄さんの堀切さんという方が内の責任者、それから齋藤君が外の責任者なとつたということは聞いておりましたですが……。
  177. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) それは厚生会の人……
  178. 中川勝太

    証人中川勝太君) そうです。
  179. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 堀切が内部の責任者で……
  180. 中川勝太

    証人中川勝太君) 齋藤藤君が外部の責任者です。
  181. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) その堀切はどうしましたか。
  182. 中川勝太

    証人中川勝太君) 次の日からいなくなりました。十二日か十三日からいなくなりました。
  183. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 今でも分らないか。
  184. 中川勝太

    証人中川勝太君) 分らないでしような。
  185. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) どういうわけでいなくなつたか。
  186. 中川勝太

    証人中川勝太君) それも分りません。いなくなつたというから、臭いのじやないかと思いますが、割合に氣の小さい人らしい。線の弱い人です。何もいなくならなくともよいのじやないかと思いますが。
  187. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 眞木個人の財産大衆党財産厚生会財産といつたようないろいろな関係は、大衆党の方はあなたがよくわかつておるんだから厚生会の方は齋藤氏が居れば齋藤で大体分るというんだね。
  188. 中川勝太

    証人中川勝太君) それも私はつきり申上げられません。厚生会のことは全然知らないんですから。
  189. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) さつきあなたの話したので、眞木の妻君が大分財産を持つてつたという眞木使つてつた金はそういうところから出たというんだが、それは実際どうですか。
  190. 中川勝太

    証人中川勝太君) 実際と申しますと……。
  191. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) その通りだと思いますか。
  192. 中川勝太

    証人中川勝太君) 確認するかというんですか。
  193. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) あなたがその通りだと思うか。
  194. 中川勝太

    証人中川勝太君) さあ、どうも人の竈ですから、そう別に眞木さんは事業をしておるとも思えませんし、どこから收入があるかそれは自分でも不思議だと思つていたのですから、奥さんが多少持つていたのだ、よくいいます。俺は嬶の箪笥を空にして運動資金を出しておるというようなことをよくいつておりましたから、それでやつていたんぢやないか、こう考えるより仕方がないでせうね。
  195. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 聽濤事件被告が保釋で出て來ましてから、大塚とかあれが出て來てから眞木の家を訪ねたところが、眞木が大變御苦労であつたといつて労らつて、そうして二人に一万円の金を呉れておるというんだね、それは知つておりますか。
  196. 中川勝太

    証人中川勝太君) はあ、聞いております。丁度これは二十八日の日でして、四月の二十八日で、二十九日が宮城で反共國民大会をやる日なんです。ですから私はそれの責任者でもありましたのでビラを書かせたりいろいろ指圖しておりまして、七月頃大塚帰つて來たんです。そうすると丁度眞木さんが大塚よく帰つて來た、佐久間はどうしたといつたら、後から來ますといつておりました。まあ上れといつて酒になつたことは知つておりますが、私は次の日のことが忙しいので、すぐ本願寺の方へ行つて舞台や何かを見なくちやならないので、それで眞木さんの家を出てしまいまして、その後のことはわかりません。併し一万円やつたというようなことは後から聞きましたのですから、やつたんぢやないかと思うんです。それは……
  197. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 後からあなたは一万円やつたことは聞いたんですね。
  198. 中川勝太

    証人中川勝太君) そうです。
  199. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) そのときにあなたは何と解したんですか。それは眞木が、單にもと出入りしておつた者が……。
  200. 中川勝太

    証人中川勝太君) これは私別に不思議に考えないんですが、それは、眞木は別に世間でいう親分でもありません。素人です。素人ですけれども氣持は非常に親分のような氣持を持つておる男なんです。それで例えば淺草のチンピラがまあパクられてしまいますね。警察から帰つて來て、先生帰つて來ましたというと、そうか、床屋にでも行けなんといつてよく百円なり二百円の小遺を見ず知らずの者にも與える男なんです。そういう男なんですから、つまり親分振るといいますか、そういう男ですから、ですからこの事件を起して、新鋭大衆党をクローズ・アツプさしただけに、それはそのくらいの労らいをすることは、それは私不思議じやないと思います。そういう男なんですから、ですからその一万円は私はやつたろうと思いますね。
  201. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) まあそういつたようなことで特にその事件関係があるから、そういう意味でやつたんだとは思はないですね。
  202. 中川勝太

    証人中川勝太君) それは思うかも知れませんね。
  203. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) それはあなたのことを聞いておるんです。
  204. 中川勝太

    証人中川勝太君) それは一万円ですから。百や二百なら、よくありますね。現に私の新聞の方におる者が喧嘩をして淺草署へパクられた、そうして五日程繋がれて出て來た、馬鹿なことをするものじやないなんといつて五百円呉れたことも私見ております。それだけにあの二人があれだけのことをしでかして出て來たんですから、一万円くらいの労らいはしたろうと思います。
  205. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 眞木のやつておる新鋭大衆党というのは大分各方面に反響のあつたことは……。
  206. 中川勝太

    証人中川勝太君) 事実です。
  207. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 事実だね。
  208. 中川勝太

    証人中川勝太君) そうです、北は北海道、南は鹿兒島の果、少し日でも五、六通です。多い日には二三十通の激励の手紙が來ます。
  209. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 眞木は常に大衆党党員はどれだけあると言つてつたですか。
  210. 中川勝太

    証人中川勝太君) 党員はどれだけあるとは言いませんか、支持者は十万人と言つておりました。
  211. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 支持者は……
  212. 中川勝太

    証人中川勝太君) そうして眞木さんは恐らく党員は何人だか知らないでせう。
  213. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) その十万というのは今のいわゆる各方面から激励の手紙が來た……
  214. 中川勝太

    証人中川勝太君) そうです。
  215. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) そういうようなことから大雜把に割出して……
  216. 中川勝太

    証人中川勝太君) そうです。恐らく眞木さんは党員何名ということは御存じないでせう。
  217. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 昨年の二月の聽濤事件の起る前、あの時に各方面に大衆党名前で各方面のそういつたような連盟とか何とかといつたような所に呼出しを掛けたのかね。
  218. 中川勝太

    証人中川勝太君) 何の連盟ですか。
  219. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 反共の大会をやるとき……
  220. 中川勝太

    証人中川勝太君) それは私がやりましたのですから、それはビラを書いて見たところがどつちみち集る人がないのです。それから再三警視廳に呼出されましたし、警視廳では警備課長、が君一体どのくらい呼ぶ積りでおるか。三万、四万來るでせう。來なかつたら大事だぞこういうことを言はれましたので、これは確かに大事だと思いまして、それから私警視廳の右翼のリストがありますですな、そこから私適当に書取つたのです。そうしてそれを私が発送しました。
  221. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) それ宛に警視廳のリストでやつたのだね。
  222. 中川勝太

    証人中川勝太君) そうです。右翼のリストを私拜見してそれによつて私が出したのですから……
  223. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) それは眞木の指圖でもないのですか。
  224. 中川勝太

    証人中川勝太君) そうです、私がやつたのです。
  225. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) あなが自分でやつたのですか。
  226. 中川勝太

    証人中川勝太君) それは再三警備課長から、君一体二百や三百だつたらどうするのだ、責任問題だぞ。俺の方の責任問題になるぞということを言はれましたから、これは相当に納得の行くだけの人を集めないと、新鋭大衆党も恥をかく、警視廳の責任にもなるかように考えましたので、それから私一存でやつたのです。
  227. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) そうしてその結末はどうなつたのです。
  228. 中川勝太

    証人中川勝太君) さよう、好い塩梅に三、四千集りました。ぱらつと一ぱいという所ですから恥はかかずに済んだのです。
  229. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) それから四月二十九日の会合というのは……
  230. 中川勝太

    証人中川勝太君) それは、ですから反共國民大会……
  231. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) これになりますか、このときですね。
  232. 中川勝太

    証人中川勝太君) このときです只今申上げましたのは、昨年の四月二十九日の反共大会のときの話で、十二月十四日のときの話ではございません。
  233. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 十二月十四日の話は……
  234. 中川勝太

    証人中川勝太君) これは私は全然知らないのです。先程申上げました通り、私は眞木さんの所に行かなかつたものですから知らなかつたのです。それで十二日に眞木さんが持つて行かれたというので皆がばたばた騒ぎ出しましたので、それで私は行つたわけなんです。眞木の所に行つたわけです。眞木さんが捕らない前に、警視廳が十重二十重でやつているというような知らせがありましたので、それから行つたのですから……
  235. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 一昨年の秋のね、日本映画演劇組合とかいうのがありますが、そのゼネストがあつたとき淺草の方の從業員がそれに加わろうとしたときに、眞木におどかされて参加することを中止したというようなことはありましたか。
  236. 中川勝太

    証人中川勝太君) 全然私覺えはありませんな、知りません。
  237. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 全然知りませんか、眞木はこの淺草のテキ屋との関係はどんなですか。
  238. 中川勝太

    証人中川勝太君) これは近松さんとの関係で知り合いではないでようが、眞木さんという方は全然知らんと言はれておりますな。いわゆる親分連中に言はせますと、眞木という者はただ近松のところに二、三年手傳いをしておつた若僧だつたということを覺えているが後は知らないと土地の人は言つておりました。但し近松さんと特別な関係のあつた人達ですな、例えばあすこに御所組という組がありますが、この人達近松さんと関係が深かつたという方は、眞木さんを知つているが外の親分方は全然知らないという方が多いようです。というのは、あの人は渡世人ぢやないのですから、素人なんですから、知つている筈はないと思います。
  239. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) テキ屋に対して、テキ屋を保護するというような、或いはテキ屋の親分の格好でいたようなことはないですか、眞木さんは……
  240. 中川勝太

    証人中川勝太君) 眞木さんですか、全然ありません。むしろテキ屋の親分と言われれば不良つ子ですか、ダブルの洋服を着て頭を光らせて、そうして歩くという性質の人ですから、全然肌も違います。
  241. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 佐々木松夫というのは知つておりますが、これはどんな人ですか。
  242. 中川勝太

    証人中川勝太君) これは私面識はありますけれども、附き合いはありませんですこれはやはり戰災者厚生会関係眞木さんと多少の繋がりを持つている人ではないですか、なかなか快男子ですから……。面識はありますけれどもお附き合いはしておりません。
  243. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) それから中井勝太というのは……
  244. 中川勝太

    証人中川勝太君) 私が中川勝夫なもんだからよく間違えられたが、これは全然私は知りません。これは厚生会の方の関係の人らしいですな。
  245. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 大衆党の元の幹部ということになつているが藤田求馬というのは知りませんか。
  246. 中川勝太

    証人中川勝太君) 知りません。
  247. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 遠山直樹、これは今どこにおりますか。
  248. 中川勝太

    証人中川勝太君) これはやつぱり淺草にいるのではないでしようか。
  249. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 住所は分りませんか。
  250. 中川勝太

    証人中川勝太君) 分りません。
  251. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) それから新井清この男は……
  252. 中川勝太

    証人中川勝太君) 知つておりますけれども、彼は前から行方不明になつております。
  253. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 眞木との関係は新井清は……
  254. 中川勝太

    証人中川勝太君) 眞木との関係というのは、やはりルンペンで收容されてきての関係じやないですか。そういう男ですから……
  255. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 戰災者ですね。
  256. 中川勝太

    証人中川勝太君) ええ。
  257. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 收容されておつた關係から眞木と關係を生じて……
  258. 中川勝太

    証人中川勝太君) そうです。そうと私は思います。
  259. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 大衆党の方でも党員として活動したのでか。
  260. 中川勝太

    証人中川勝太君) 活動はしません。
  261. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) しない。新井京二は……
  262. 中川勝太

    証人中川勝太君) 知りません。その人間は……
  263. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) さつき話した平原嘉胤、これは今おるんですか。
  264. 中川勝太

    証人中川勝太君) これはおります。私と往き來しております。
  265. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) これが自動車の強盗かなんかで……
  266. 中川勝太

    証人中川勝太君) そうです。
  267. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) それは問題にならなかつたですか。
  268. 中川勝太

    証人中川勝太君) いやそれは問題になつたと思いますな、執行猶予になつたのじやないですか罰金か何か……
  269. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 今控訴中だ。
  270. 中川勝太

    証人中川勝太君) ああそうですか。
  271. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) この事件の内容は知りませんか。
  272. 中川勝太

    証人中川勝太君) これはよく知つております。これはなんです。あの辺をうろうろしておつた浮浪者ですかな。天野という男と高松という男と、これが丁度眞木の家の前の眞木青年部という看板を掛けた物のような小屋があつたわけですな。そこへ收容してしきり夜番をさせておつた男なんですがな。これが選擧のときに少し働かせましたが、どうも使い方が荒いのか、ちよつと眞木さんに驚かされて出て行つてしまつた、そのあとそこらをうろうろしておつたのです。ところが惡いことに新鋭大衆党のバツチを拵えましてな、昨年の四月頃ですが、そのバツチをつけさせておつたわけなんです、本人達にも……それから実際において飯をこそ食わせませんが、眞木さんの家の前の小屋に寝泊りさせておつたのですから、大衆党の者だと思われた。結局金がないので、何でも新橋から自動車に乘つて、その自動車を持つて吉原に行つて平原を呼び出してそうして平原にばらして貰うというような予定で來たのです。それで平原もその話に乘つて原田という自動車屋を紹介してタイヤを賣つた、本人達はそれで吉原に出て來たところを掴つた、こういう事件であります。
  273. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 世話をしたということが問題になつたのですね。
  274. 中川勝太

    証人中川勝太君) そうです。
  275. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) さつきも訊いて見ましたが、眞木が選擧に出たとき大体選挙費用はどれくらいかかつたでしよう。
  276. 中川勝太

    証人中川勝太君) 二万幾らです。眞木くらい理想選挙をした奴はないと思います。本当にもう二万幾らであげました。とにかく選挙に酒と御飯は附物ですが、とにかく酒はおろか飯さえ出さないのですから、而も氣の毒なのは、本当に愛知縣あたりから米を背負つて手傳に來た純眞な男がおります。それから演説をさせてくれといつて若い青年が來ましたし、そういう人達の心持は受けて相当働いては貰いましたけれども、そういう人達にすら報酬を出さなかつたのですからまあ本當にあれ以上の理想選挙はないと思います。ですから私は皆に言いました。これで何だぞ、一万票集つたらとにかく一万票の得票があつたら何でもかんでも皆に酒を飲ましてやるから、一万票集つたら万歳だぞ、こう私は皆にいつたのですが、本当に理想選挙です。
  277. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 後で選挙費用の届けを出したでしよう。その費用の届けと同じですか。
  278. 中川勝太

    証人中川勝太君) 同じです。
  279. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 結局七十なんぼですか。
  280. 中川勝太

    証人中川勝太君) そうです。ですから私の予想より……恐らく七千でも万歳だと思います。併し皆にとにかく一万だぞ、一万集つたらとにかく万歳だぞと言つてつたのです。例えば厚生会のトラツクなんかも新鋭大衆党でも使つておりますけれども、選挙のときには厚生会のトラツクの使用料は支拂いました。それで二万幾ら……
  281. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) その二万幾らの金はどこから出たか。
  282. 中川勝太

    証人中川勝太君) 知りません。
  283. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) どこから出たか分らないのが眞木が出したのだね。
  284. 中川勝太

    証人中川勝太君) そうです。
  285. 大野幸一

    ○大野幸一君 反共大会のときに警視廳を訪れた時、あなたに應接した人は何という人ですか。
  286. 中川勝太

    証人中川勝太君) 私思い出せないでおるのですが、警部補の方です。團体係の……名前は何と言いましたか……。
  287. 大野幸一

    ○大野幸一君 團体係ですか。そういう係がありますか。
  288. 中川勝太

    証人中川勝太君) そうです。
  289. 大野幸一

    ○大野幸一君 警視廳の何課ですか。
  290. 中川勝太

    証人中川勝太君) 二課です。
  291. 大野幸一

    ○大野幸一君 二課……
  292. 中川勝太

    証人中川勝太君) 一課ですか。その方がとにかく書き取つて教えてくれたのでから。
  293. 大野幸一

    ○大野幸一君 右翼のリストを書き取つて……。
  294. 中川勝太

    証人中川勝太君) そうです。
  295. 大野幸一

    ○大野幸一君 そのリストによつてあなたが反共大会の招待状を発することを知つてつたのですね、向うでは……
  296. 中川勝太

    証人中川勝太君) 向う樣ですか。それはどうですか。
  297. 大野幸一

    ○大野幸一君 何のためにリストを渡したか。
  298. 中川勝太

    証人中川勝太君) 私はリストを見ませんが、リストに書き取つてつたのです。
  299. 大野幸一

    ○大野幸一君 何のために必要であつたのですか。
  300. 中川勝太

    証人中川勝太君) …私は招待状を出すためにお伺いしたのです。
  301. 大野幸一

    ○大野幸一君 そのことは言いましたか。
  302. 中川勝太

    証人中川勝太君) 言つたと思います。
  303. 大野幸一

    ○大野幸一君 二つに分けて訊かなければならんね。そうすると反共大会に招待状を出すのだということを言つて、係の人からリストの原簿は見なかつたけれども写して貰つてつてつたというのですね。
  304. 中川勝太

    証人中川勝太君) そうです。
  305. 大野幸一

    ○大野幸一君 それを出した人は誰かれの命令によつて出したものですか。
  306. 中川勝太

    証人中川勝太君) それは分りません。
  307. 大野幸一

    ○大野幸一君 例えば誰かに紹介されて出した。あなたは誰かの紹介を持つて……
  308. 中川勝太

    証人中川勝太君) この方は團体係で時々見える方です。私とは極く面識があつたのです。
  309. 大野幸一

    ○大野幸一君 それから先程委員長から訊かれた、あなたといろいろの話の上、集つて來ないと大事だという……
  310. 中川勝太

    証人中川勝太君) それは警備課長です。三枝という人ですか。
  311. 大野幸一

    ○大野幸一君 警備課長ですか。
  312. 中川勝太

    証人中川勝太君) そうです。
  313. 大野幸一

    ○大野幸一君 その意味はどういう意味ですか。
  314. 中川勝太

    証人中川勝太君) それは宮城前廣場を五月一日のメーデーの日にこつちは屆け出て來た。ところがメーデーの日だから当然メーデーの團体も届け出て來た。ところが仕來りとして、これは先願優先である。先願優先の立場からこれは新鋭大衆党に貸さなければならん。こういうことになつたのであります。そうするとメーデー側はそんな馬鹿な話はないといつて、当時の警視総監まで乘り込んで行つたわけであります。これは後で聞いた話ですから果して事実であるかどうか知りませんが、とにかく警視廳は司令部に伺いを立てた、そうすると司令部の方では、それは先願の人々に貸すべきであろう、若しもその間において事故が起きた時はそれは、警視廳の責任だからよろしくやれというように指令されたということを、私は嘘か本当か聞いておりますから、これだけに警視廳は大事を取つたわけであります。若しもお前の方で二百か三百人しか集らなかつた時には警視廳の方は顔がない、当日は相当連合軍の方からも警戒に出る筈だから、とにかく集めて貰わなかつたらえらいことになるぞ、こういう意味なんです。警視廳の方は……
  315. 大野幸一

    ○大野幸一君 警視廳の責任問題というのはそういう意味ですね。
  316. 中川勝太

    証人中川勝太君) そうです。それで結局この時に初めて大野伴睦氏が眞木さんに会見を申込んで來たのです。四月二十四日頃ですな、初めて自由党から使いが見えたのです。丁度私は眞木の演説に別働隊を出してやつたところに使いが見えた自由党から來たという。自由党は何のために來たか、とにかくこつちは弁士がない、眞木さんがそれ程自由党に顔があるならば自由党から弁士が來そうだが、一人の弁士も手傳つて呉れないというので、眞木さんの言うほどじやないと思つてつたところに、使いが見えた、大野さんの使いだというので、これは面白い、それでは会おうといつて、私はその使いを連れて眞木の演説会に行つた、大野さんが至急会いたい。何で会いたいのだろう。まさかこの話とは思わなかつた眞木さんが直ぐ会うと、結局メーデーの会場の問題を何とか一つつてやれという橋渡しらしかつたです。それから眞木は、どうすると言いますから、私はこれは讓つた方がよい。それは馬に喰わせる程人間は集まらない。それは讓るに越したことはないから、何とか名目を附けて威張つて讓れ。ではそうしようか私もそれでほつとした。でその次の次の日に私と眞木と警視廳に行きました。そうして総監室で向う側が原……彪さんではない。
  317. 大野幸一

    ○大野幸一君 原虎一……
  318. 中川勝太

    証人中川勝太君) ……さんです。それからあと二人です。向うは三人です。それから私行こうとしたら警備課長が、ちよつと君は出るな、と言うので、眞木だけ出た。それで、話があつたそれから讓つてろう。こういうことになつて、急に四月二十九日に変更したのです。そういう経緯です。ですですから警視廳の責任というのはそこです。
  319. 大野幸一

    ○大野幸一君 警視廳では五月一日に優先先願を重んじて新鋭大衆党の方へ貸そうという氣持があつたわけですね。
  320. 中川勝太

    証人中川勝太君) 貸そうと決つたのぢやない。新鋭大衆党がそれを出しましたのが、たしか三月の始めだつたでしよう。三月の中頃でしたか、向うが願い出ないうちにこつちで願い出てしまへ、こういうわけで機先を制してしまつたわけです。
  321. 大野幸一

    ○大野幸一君 大野さんがしたいならば、大衆党に顔がよいからとか話が附き易いと考えたらですが。
  322. 中川勝太

    証人中川勝太君) それは全然知りません。大野さんが見えたのじやないですよ、使いが見えた。それは全然知りませんでしたから、私は或いは警視総監と大野さんと関係があるのじやないかと思います。大野さんは恐らく眞木とそれ程の近付きはない筈ですから……
  323. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 一昨年の十二月の四日、日比谷で自由党の大会があつたことがありますね。そのときに新鋭大衆党から党員を出して会場の警備をしたと書いてありますが……
  324. 中川勝太

    証人中川勝太君) 話に聽いております。それは丁度新聞ができ上るので、私千葉へ行きましたのですが、その当時私は眞木さんと繋がりができたばかりで、そう別懇でありませんでしたから、立入つた話は全然ありませんでした。ただ自由党の大会があるので俺の方から若い者を遣るのだということを眞木さんが言いましたので、それじや眞木さんの方では若い者がいるかという程度に考えておつた。それは後で聞いたのですが、新鋭大衆党は行かなかつたそうですな。何でもトラツクの横に眞木組名前を書いて行つたそうですが、これは私見たわけじやないですから……。それから若い者と言つたて、眞木さんのところに若い者がいる筈がないのです。それはやはり淺草の連中を連れて行つたのではないでしようか。これは私は全然後から聽いたのですからはつきりは……
  325. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 大衆党を連れて行かなくても、眞木の方がそういう若い者を連れて行つたのですか。
  326. 中川勝太

    証人中川勝太君) もう眞木は当時齋藤君も一諸にトラツクに乘つて行つたそうです。ですからその間の、これはこの間も聽かれたのですが、これは私知らないのです。全然後から聽きまして、丁度眞木さんのところに繋がりができて直ぐの話ですから……。その当時はこつちは何と申しますか、お客樣みたいな立場でしたから、全然知らないのです。
  327. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 眞木が若い者を連れて、齋藤などと行つたということは……
  328. 中川勝太

    証人中川勝太君) それは前から聽いております。
  329. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) 何人くらい行つたか知りませんか。
  330. 中川勝太

    証人中川勝太君) 知りません。ただトラツクへ乘つて行つたという話だけです。
  331. 鈴木安孝

    委員長鈴木安孝君) それでは本日はこれは以て散会いたします。    午後零時三十七分散会  出席者は左の通り    委員長     鈴木 安孝君    委員      鬼丸 義齊君            大野 幸一君   委員外委員    遠山 丙市君   証人       中川 勝太