○
証人(
齋藤正久君) 整理の模樣は全然分りません、経理面については。というのは一昨年の十一月から
眞木さんの実兄で通称堀切康煕というお寺の坊さんが満洲から引揚げて來てあの更生会で事務をと
つておりました。それで私が
相談役から続いて今度はとにかく一昨年の十一月一日を以て会長代理兼外務責任者にな
つた。外務というのは、要するに
警視廳とか
東京都、区役所等、各官廳に対する連絡事務の取扱いです。それに当りまして、
眞木さんの兄さんは、
経営一般の責任者にな
つたのです。勿論会計、用度、庶務一般です。それで会計面におきましては、一昨年の十一月から、大体
眞木さんの兄さんの堀切という人が会計一切に当
つてお
つた。勿論その指揮命令は、
眞木さんがや
つてお
つたことは事実です。それで、
眞木さんが解散を命ぜられ、同日
警視廳に身柄を拘引させられましてから、堀切さんという人は行衞不明にな
つた。
住所不明です。それで経理問題が分らないで、いろいろ
調査がありまして、困りました。それで私が、外務の責任者とはいいながら、古いので、どうか残
つてもらいたいというので、
あとに残りまして、五月三十日までおりましたが、会計面においては、当然あるべきはずの帳簿やなんか殆んどないのです。勿論私は会計帳簿を一回も見たこともなければ、
自分で附けたこともありませんので、具体的にこれはどうだ、これはこうだと質問或いは又
調査を依頼せられましても、私にはとにかく明確なる回答はできない事情であ
つたのです。