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1948-08-04 第2回国会 参議院 司法委員会資格審査不実記載に関する小委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年八月四日(水曜日)    午後二時二十八分開会   —————————————   本日の会議に付した事件証人平野力三君の喚問に関する件   —————————————
  2. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それでは資格審査不実記載に関する小委員会を開会いたします。  昨日平野力三氏が当委員会喚問に應ぜず不出頭に終りました。その不出頭理由につきまして、果して正当なる理由があやり否やということについて本日臨床尋問いたした次第でありますが、その当時におけるところ本人の正当な理由供述に対しましては各委員のお聞きの通りでありますが、これに対しまして果して正当な理由ありや否やということについて各委員の方の御意見をお伺いいたします。
  3. 小川友三

    小川友三君 診断書を拜見いたしますと平野氏は精神的疾患診断書でありまして、これは非常に愼重を要するものと考えられるのでありまして、本議員考えでは委員会におきまして最も権威ある精神病の医師を依頼し、診断をする必要があると考えられます。今日の臨床尋問におきまして、大体外から見た健康は非常にいいというような感じを本委員は受けたのでありますが、併し前申上げました通り精神学の権威あるドクトルの診断によりまして、それから又委員会によつて審議いたしたいと、かよう病氣の点は考えられます。
  4. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 只今小川委員の発言は供述がし得るや否やという点に対するところの御意見でありますが、そうでなくして問題になつておるのは、昨日出頭しなかつたことについての正当なる理由ありや否やという問題について、今日平野自身供述から総合して認められたや否やという点についての御意見をお伺いしておるのです。
  5. 小川友三

    小川友三君 昨日の証人出頭しなかつたということにつきまして一言本委員としての考えを申上げます。平野氏は曾つて病氣裁判所に行きましても周知の事実の答弁不可能を主張しておるのでありまして、参議院からの書簡によりまする喚出しに対しまして來なかつたということが、今日本人が言うておる通り全く罰則を知らなかつたというようなわけでございまするから、この点につきましては臨床によるところ委員会によりましても、成る程まだ診断はしていないが、本人の口述によりましては精神病的な点があるように思われますので、喚出しに対して來なかつたということは誠に惡いことでありますが、幾分考慮の余地があるのではないかとかよう考えております。
  6. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 松村さんの御意見は……
  7. 松村眞一郎

    松村眞一郎君 私は本日の本人陳述出席されました状況から考えまして、身体的には出席は可能であつたということは本人もよく申しておるのであります。結局するところ出席しても陳述ができないだろうという意味の陳述本人がいたしておるのであります。出席しなかつたということについては、やはりこちらの出頭を求めたことに対しましてはその通り從わなかつたということになると思います。出頭しても実益があつたかないかということの判断は、これはこの委員会判断すべきものでもないと思うし、本人からそういうことを予断の下に出なかつたということは如何かと考えられますので、本人出頭せざりしことについては、当委員会としてはこれをそのまま理由ありとの結論は下し得ないと存じますけれども、もともと出席を求めて陳述を聞くというのは実質を要望しておるのでありますから、本人が実際正しい陳述ができないということがあるならば、その点について更に考慮する必要があると考えられますが、私は果して纒まつ陳述をなし得るや否やということを確かめることが実質的に必要だと考えますので、本人病状について我々の判断を下すために、專門医の診断を必要とするのじやないかと私は考えます。診断の結果によりまして判断すべきであるというよう考えております。
  8. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると第一の問題に対するところ結論と、第二の問題に対して診断をした結果において決定をする、こういう御意見ですか。松村さんは……
  9. 松村眞一郎

    松村眞一郎君 ええ、私はそういうことです。結果によつて判断をするというのじやありませんけれども、こちらの出頭に対しては本人出頭していないのだから、その点においては本人についてそこに欠点があると思います。併しながら実質はやはり價値ある陳述を聞くことに要点がありますから、それを確めた上で出頭できないことについてその措置を考える方が常識的じやないか、法律の手続から言えば出頭せざることそれ自身で責めていいわけでありますが、もう少し内容に立入つて処理した方が適当ではないか、こういうふうに考えます。
  10. 來馬琢道

    來馬琢道君 本日臨床尋問をしたときの状況について少しく記録しておく方がいいと思います。それは家人本人に対する態度であります。我々が訪問したのに対して先ず弁護士が出て來ていろいろと陳弁をして成るべく面会をしないようにするという態度を採り、又我々の同僚である参議院議員平野成子夫人は、私に向つて、これはどこからこういう命令があつたのかというようなことまで質問されまして、何か我々が自ら野心のようなものがあつて、それから描き出されたものであるかのごとき態度を以て臨まれて、新聞記者がここで開かれるのは委員会でありましようから、我々も傍聽さして呉れと言うても、ここは私の宅でありますから傍聽を拒むことができるというようなことを言われたりして、相当家人本人行動に対していろいろ一種の牽制をしているよう考えられる。あの調子では平野自身は昨日出頭してもいいというよう考えがあつたにしても、お止めなさいと言うて止められたかとも思うし、この辺の事情は我々も又政治に携わつている者といたしましては諒とするところがあつてもよいと思います。併しながら示されたる診断書を見ますと、本人の述べたことを医者が聞いてかようようのことがあるということを筆記したものであつて、何となくあの診断書には現実性が欠けているような氣がする。これは私もいい年をして多忙の生活をいたしておりますから、ときとしては平野氏があの診断書の中に述べてありますような心境に陥つて、或いは非常に非觀し、或いは非常に樂觀するようなことがありますので、私共宗教的訓練によつてこれを是正すべく努力をいたしておりますが、平野氏のあそこに書いてありますような氣持は、我々と雖も時々ああいう状態に陥ることがあることもないとは思われないのであります。ですからあれ程までに陳述を拒むという程重い病氣なりや否やということについては、我々も分りません。折角参議院から伴つて行きました医員に向いましても、あなたは精神上の病症について專門ですかという質問をして、医員をして答弁に困らせるようなことがあつたりいたしまして、本日の臨床尋問においては我々は余り愉快な必持で見ることができん状態になつたのですが、諸般の事情只今お話のあつたように、本人の周囲の者の行動も多少影響しておると思いますから、ただ本委員会における調査が成るべく早く終ることを希望するのでありますが、荏苒延引することなく、委員長において成るべく促進して、持続睡眠とかいうことが若し本当に行われるものとするならば、それが終つたところで速かにこの問題を解決するようなことにして貰うことが、私をしての希望であります。いろいろ世間に誤解をされるようなことに相成りますことは、甚だ私の不可とするところであります。この点委員会において然るべく取計われることを希望いたします。
  11. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 本日御承知通り先ず面会を求め、二階に通されまして以來、代理弁護人が絶対の衝に当り、種々陳弁せられて、結局面会を拒否するという態度を終始一貫続けられた次第でありまして、殆んど面会不可能というところまで行つたのでありますが、最後に漸く妥結されて面会は可能となつたのであります。次いで医師診断をということになりまして、医師の立会をも拒む、こういうよう状態であつたのでありますが、幸いにして平野氏の供述を聴くに至つたのでありますが、それまでの平野氏及びその関係者態度というものは、全く参議院調査を極力阻止せんとするようなふうに見受けられたことだけは、一應ここで明らかにして置きたいと思います。  では只今松村さんから御意見がありましたが、第二のいわゆる証言供述の拒否の点をも併せまして審議いたして行きたいと存じます。今松村さんのお話では、第一の不出頭の問題は、形においては不出頭であつたということは最早争えない事実でありまして、それに対して正当なる理由があるかどうかという点については、只今松村さんの仰せのように、出頭しても不可能であつたということは実質的の問題であるから、ただ本人の認定、考えだけでは判断の資料にならないから、一應第二の問題について適当なる診断を得て、その結果を待つて第一の問題の結論も下したらどうか、こういうような御意見ですが、如何ですか。
  12. 小川友三

    小川友三君 松村先生の御意見に賛成であります。
  13. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ではそういうよう決定することに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ではさよう決定いたします。  ついては第二のいわゆる供述可能なりや否やという点に対するところ病状及び精神監定を適当なる医員二名をしてこれを診察監定せしめるということに取計いたいと存じますが、御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  15. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ではその選任及び日時は委員長に御一任願いますことに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ではさよう決定いたします。追つて医者の監定書が提出されましたら、改めて委員会を招集することにいたします。本日のところは期日は未定ということに。
  17. 來馬琢道

    來馬琢道君 この小委員会でもう一度審議いたしますか。
  18. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 勿論そうです。
  19. 來馬琢道

    來馬琢道君 それから後、本委員会を開かれることになりますか。
  20. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 小委員会でその結論を得なくちやなりませんから、その結論を得た結果を本委員会に持出すわけであります。たまたま中間において起訴、不起訴の問題が起つて参りますれば、これはここの小委員会の御意見が纏まれば、それによつて起訴すべき場合には、本委員会に小委員会意見を述べて、本委員会決定を持つ、こういう方向に行かなければならんと思いますから……
  21. 來馬琢道

    來馬琢道君 ちよつとこの際伺いますが、委員長は過日本問題についてどこかに出張されたのですか。この問題ではないのですか。
  22. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 小委員会の問題です。それはこの際御報告申上げて置きますが、京都大阪奈良と、三縣に参りましたのです。これは大阪は、奈良事件及び京都事件上告中でありますから、大阪参つたのであります。ところ大阪におきましては、上告はされておりますけれども、上告記録は、当委員会調査があると思つたから、原審へいずれも記録を送付しておりまして、記録大阪高等裁判所にないために、十分なる調査はできなかつたのであります。ただ裁判所の事務の上におきまして、事件如何ように運行されておるかという点のみの調査終つたのであります。次いで京都に参りまして、京都の地方裁判所及び檢事局において、京都に関係あるところ事件裁判所調査をいたしました。続いて奈良に赴きまして、奈良に四件ありますが、四件に対する裁判所及び檢事局調査をいたしまして、この種の事件取扱状態調査いたしました。尚調査員をして爾後奈良の各關係者調査せしめ、及び京都の各關係者調査せしめた次第であります。以上において奈良京都大阪関係部分調査を完了した次第であります。尚本件につきまま支北海道調査が一件ありますが、これは星野さんが行つて頂けるようになつております次第でありますから……
  23. 來馬琢道

    來馬琢道君 まだ行かれないのですね。
  24. 伊藤修

    委員長伊藤修君) まだ参られません。尚この事件は全部で五十何件あります。それから裁判所が指示して参つたものが十六件あります。關係方面が指示したのが八件あります。それでいずれを基準にしてこの調査を進むべきかということについていろいろ研究いたしましたが、先ず調査対象は全部で五十余件を調査対象といたしましたが、大体御承知通り事案内容は同種の事案でありますから、同じことを繰返すということも到底僅かな日にちで全國に馳け廻らなくちやなりませんから、無駄なことと存じますから、その中で政治關件において、例えば衆議院議員とか縣会議員とか知事選挙とか或いは教員の資格とかいうふうに各種類の違うことを標準にし、或いはその人の政治活動の大小を比較し、それから事案の思想問題に影響するものを主として取上げる、こういうよう標準からいたしまして、その中からピック・アップいたしまして代表的なものを当委員会において調査し、その余は調査員をして調査せしめる、こういう行き方に進行したいと存じます。そういたしませんと委員会の各委員諸君が全國殆んど歩まなくちやならんという状態に立至りますから、そういうふうな取扱にいたしたいと存じますが、御了承願いたいと思います。では日本はこれを以て散会いたします。    午後二時五十二分散会  出席者は左の通り。    委員長     伊藤  修君    委員            小川 友三君            來馬 琢道君            松村眞一郎君            星野 芳樹君