○
政府委員(
宮下明義君) 引続いて第二節
証拠の節を御
説明申上げます。
三百十
七條は
現行法の三百三十六條に相当する
規定でありまして、
刑事訴訟において、事実の認定はすべて
証拠によらなければならないという
原則を揚げたわけでございます。三百十
八條は、
現行法に三百三十
七條に相当する
規定でありまして、いわゆる自由心証
主義を
規定した條文でございまして、
証拠の
証明力は、
裁判官の自由なる判断に委ねるということを
規定したわけでございます。この点は
現行法と何ら異るところがないわけでございます。
次に三百十九條は、
憲法の
趣旨に則りまして、特に自由について
規定を設けたわけでございます。
從來の
刑事訴訟の実際の
運用が、自由偏重の弊に堕しておつたということは、今更多言を用うる必要もないくらいに皆さんにおいて御承知ことと考える次第であります。
憲法の三十
八條第二項におきまして、「強制、拷問若しくは脅迫による自白又は不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白は、これを
証拠とすることができない。」という
規定がありまするので、これを受けまして三百十九條第一項の
規定を設けたわけでございまするが、更にその
趣旨を敷衍いたしまして、
憲法の掲げる自白のみならず、「任意にされたものではない疑のある自白は、これを
証拠とすることができない。」という
規定を設けたわけでございます。第二項は、
憲法三十
八條第三項を受けた
規定でございまして、
被告人の自白が
公判廷における自白でありましても、或いは
公判廷外における自白でありましても、その自白が、自己に不利益な唯一の
証拠である場合には、有罪とされないという
規定を設けたわけでございます。この点に関しましては
最高裁判所の判例が異る判断を下しておるのでありまするが、
憲法の解釈は判例のごとくであるといたしましても、今後の実際の
刑事訴訟の
運用におきましては、
改正案第二項の
趣旨の方が適当であるという考えから、
公判廷における自白であると否とを問わず、單に自白しかないという
事件につきましては有罪とされないということにいたしたわけであります。第三項は、「前二項の自白には、起訴された犯罪について有罪であることを自認する場合を含む」という
規定を設けました。自白は積極的な犯罪事実についての告白でありますが、單にそれのみでなくして、
憲法が言うておる自白は起訴された犯罪についてギルティーであるという認諾をも含んでおるという
趣旨を明らかにいたしまして、この有罪であるという自認だけでも、それだけでは有罪とはされないという
趣旨を明らかにいたしたわけであります。
三百二十條以下は書面又は
供述の
証拠能力に関する
規定でありますが、
憲法三十
七條第二項におきまして、すべて
刑事被告人は十分に
証人を審問する
機会を與えられなければならないという
趣旨に則りまして、應急措置法においては一應十
二條の
規定がございまして、
尋問調書であると、聽取書であると否とを問わず、
被告人の
請求があつた場合には、その
供述者を
公判廷において
尋問しなければ、これらの書面を
証拠とすることができないという
規定を設けたわけでございまするが、本案におきましては、更にその
趣旨を敷衍いたしまして、三百二十條以下の詳細な
規定を設けたわけでございます。
三百二十條においては、「第三百二十
一條乃至三百二十
八條に
規定する場合を除いては、
公判期日における
供述に代えて、書面を
証拠とすることはできない」という
規定を設けたわけでございます。この條文について、昨日お手許に配付になりました
刑事訴訟法を改正する
法律案の正誤表の中で、正誤をいたしてありまするので、特にその点に触れますると、「
供述に代えて書面を」というのを、「
供述に代えて書面を
証拠とし、又は
公判期日外における他の者の
供述を内容とする
供述を
証拠とすることはできない」と、この
ように改めました。
趣旨とするところは異
つておらないのでありまして、單に書面だけでなく、
供述を内容とする、
供述の
証拠の能力をも三百二十四條等において制限を加えてありまするので、その
趣旨を明らかにいたしたわけでございます。次に三百二十
一條を御
説明申上げまするが、その第一項は、
被告人以外の者が作成した
供述書又は
被告人以外の者の
供述を録取した書面の
証拠能力に関する
規定であります。即ち
被告人以外の者が作成した
供述書、例えて申上げますと、始末書のごときものでありまするが、それと
被告人以外の者の
供述を録取した書面で、
供述者の署名若しくは押印のあるもの、例えて申しますれば、聽取書等でありまするが、これらのものは、一号乃至三号の場合に限
つてこれを
証拠とすることができるということにいたしたわけでございます。一号は、
裁判官の面前における
供述を録取した書面に関する
規定でありまして、これは第二項との対比によりまして、この
裁判官と申しまするのは、二百二十六條、二百二十
七條の
規定による
裁判官の面前における
供述を録取した書面及び
証拠保全、
裁判官の面前における
供述を録取した書面に限られるのでありまして、
公判準備における
供述を録取した書面はこの第一項の制限にはよりませんで、第二項の
規定によりまして、当然
証拠能力があるということにいたしてございます。從いまして第一項第一号は、只今申上げました
ように、第二百二十六條、第二百二十
七條及び
証拠保全の場合の
裁判官の取りました調書、この調書は、その
供述者が死亡、心身の故障、所在不明、外國にいる等の
事由で、その
公判準備又は
公判期日に呼んで参りまして
供述させることができない場合、又はその
供述者を
公判準備若しくは
公判期日に呼んで一應
供述をさせたのでありまするが、その
公判期日等における
供述が前の
供述と異な
つておる場合、この場合には前の調書を
証拠にすることができると、いずれを信用するかは、
裁判所の自由心証に委されるわでございます。第二号は、
檢察官の取りました調書に関する
規定でありまするが、
檢察官の面前における
供述を録取した書面は、その
供述が死亡、心身の故障、所在不明、外國にいる等の
事由のために、
公判期日等に呼んで來て
供述をさせることができないとき、又は
公判期日等において、前に
檢察官の前でいたしました
供述と全く相反する
供述をするか、若しくは実質的に違つた
供述をした場合には、これを
証拠とすることができる。併しながらこの場合には、特に
但書の
規定がありまして、諸般の情況によりまして、
公判期日等における
供述よりも、
檢察官の面前における
供述の方が、より信用すべき特別の情況がある場合に限られるわけでございます。第三号は、一号の
裁判官の面前における
供述を録取した書面、及び二号の
檢察官の面前における
供述を録取した書面以外の他の書面についての
規定であります。即ち司法警察職員の取りました聽取書等は、すべてこの三号に入るわけでございまするが、この書面につきましては、
供述者が死亡、心身の故障、所在不明、國外にいる等の
事情がありまして、
公判期日等に呼んで來て、
供述をさせることができない、而もその
供述が、犯罪事実の存否の証明に欠くことができない重要なものである場合に限
つて証拠とすることができる。併しながらこの場合にも、
但書の
規定がございまして、この警察官の面前等における
供述は、その
供述をいたします情況が、特に信用すべき情況の下になされたものでなければ
証拠とすることができないという制限が設けてございます。第二の
但書の制限よりも更に強い制限でございまして、例えて申しますれば、被害者等が、今まさに死なんとする時に、司法警察職員に対し、或る
供述をいたしまして、それを司法警察職員が、聽取書に取つたという
ような、特に信用すべき情況の下になされた
供述である場合には、この書面も
証拠とすることができるわけでございます。次に、第二項の
規定でありまするが、第一項の
規定に拘わらず、
公判準備又は
公判期日におきまして、
被告人以外の者が
供述をして、これを録取した書面、言い換えますれば、
公判準備における
証人尋問調書又は
公判調書等は、第一項の制限を受けませんで、そのまま
証拠能力を認めておるわけでございます。これは事柄の性質上何らの圧迫も受けておりませんし、又公正にその調書ができ上
つておるものでありまするので、当然に
証拠能力を認めて差支ないものと考える次第であります。尚第二項において、
裁判所若しくは
裁判官が、檢証をいたしまして、その檢証の結果を檢証調書に記載しておるわけでありまするが、これも亦そのまま
証拠とすることができるということにいたしたわけであります。第三項は
檢察官、司法警察職員等が檢証をいたしまして、その結果を記載した檢証調書は
公判期日にその檢証いたしました
檢察官、司法警察職員等が出廷いたしまして、
証人として正しくその調書を作つたものであるという
供述をいたしますれば、これを第一項の
規定に拘わらず
証拠とすることができるということにいたしました。これは必ずしも傳聞証言とも言えないものでありまして、要するに
檢察官又は司法警察職員等が
自分自身で檢証をいたしました結果を記載した書面でありまして、それをその
檢察官が
公判廷に
証人として出廷いたしまして、眞正に作成したものであることを証言し、
被告人側から反対
尋問を受けてその眞正に作成されたものであることについて立証がされまするならば、それをそのまま
証拠としてもよろしいという見地から、この
ような
規定を設けたわけであります。鑑定の経過及び結果を記載したいわゆる鑑定書につきましても、その鑑定人が
公判期日に
出頭いたしまして、
証人として反対
尋問を受けるならば、これも亦
証拠とすることができるということにいたしたわけでございます。
次に三百二十
二條の
規定は、
被告人の
供述書についての
証拠能力の
規定でございます。この條文につきましても、昨日のお手許に配布いたしました正誤表で第二項を附加してございますので御注意願いたいと思います。第一項は
被告人が作成した
供述書、即ち上申書のごときもの、又は
被告人の
供述を録取した書面、即ち
被告人の聽取書のごときものは、その
供述が
被告人に不利益な事実の承認を内容とすのものであるとき、又は特に信用すべき情況の下にされたものであるときに限
つて、これを
証拠とするこができるという
規定を設けたわけであります。
被告人はこの
改正案におきまして、本來默秘権を持
つておりまするし、その
取調を受ける際には、特に搜査
機関から不利益な
供述を拒むことができるということを告げられた上
取調を受けるのでありまして、その
ような情況において尚且つ自己に不利益な事実を承認しておる場合には、これを
証拠として差支ないのではないか。又後段につきましては、或る特別な情況がありまして、その
被告人の
供述を信用するに足りる
ような情況下になされた
供述であるならば、これも亦
証拠としてよろしいのではないかという見地から、この
規定を設けたわけでございます。併しながら、この場合におきましても
但書の
規定を設けまして、
被告人に不利益な事実の承認を内容とする書面は、その
証人が自白でない場合におきましても、任意にされたものでないという疑いがあるときには、これを
証拠とすることができないということにいたしたわけでございます。三百二十
二條第二項につきましては、
被告人の
公判準備又は
公判期日における
供述を録取した書面につきましては、これをそのまま
証拠とすることができるという
規定を附加いたしたわけでございます。
三百二十三條は、前
二條以外の書面についての
証拠能力に関する
規定でありまするが、その第一号は、いわゆる証明文書、例えば戸籍
謄本、公正証書
謄本等のごとく公務員が職務上証明することができる事実についてその公務員の作成した書面、第二号は、商業帳簿、航海日誌等のごとく、業務の通常の過程において作成された書面、第三号は、その他特に信用すべき情況の下に作成された書面、例えて申しますれば、日記帳のごときもの、これらは事柄の性質上、特に今問題とな
つておりまする
刑事事件を頭に描きながら作り上げた書面でもございませんし、当然信用して差支ないという性質のものでありまするので、三百二十三條におきまして、これについては例外的に
証拠能力を認めたわけでございます。陪審法第七十
二條等にもすでに先例のある
規定でございます。
次に三百二十四條は、
供述に録取した書面ではございませんで、他人の
供述を聽いた者自身が
公判廷等に
証人として立ちまして
供述をする場合、即ち傳聞証言の場合に関する
証拠能力の
規定でありまするが、第一項は、
被告人以外の者が
公判期日等に
出頭して証言をいたしまする場合に、その
証人が、
自分は
被告人からこれこれの事柄を聽いたということを証言し
ようとする場合には、三百二十
二條の
條件に当嵌まる場合に限
つてその証言をすることができる。第二項におきましては、
証人が
公判期日に
出頭いたしまして
供述をする場合に、他の
証人がこれこれのことを言
つておつたということを聽いたという証言をする場合には、三百二十
一條第一項第三号の
條件に当嵌まる場合に限
つて、その証言をすることができるという傳聞証言についての
証拠能力の制限の
規定を設けたわけでございます。その
趣旨は三百二十
一條及び三百二十
二條と同様の
趣旨に出ておるわけでございます。
三百二十
五條は、前四條の
規定によ
つて証拠とすることができる書面又は
供述でありましても、
裁判所は予めその書面に記載された
供述又は
公判期日等における
供述の内容となつた他の者の
供述が任意にされたものかどうかということを調査した後でなければ
証拠とすることができない。特に
証拠として採用いたしまする前に、その任意性の調査をしなければならないという
規定を設けたわけでございます。
三百二十六條は、以上の
ような
証拠能力に関する
規定に拘わらず、
檢察官及び
被告人が
証拠とすることに同意をした書面又は
供述はその書面が作成され又は
供述のなされたときの状況を考慮し相当と認める時に限り、これを
証拠とすることができるといつた
規定を設けました。從いまして三百二十
一條乃至三百二十
五條の嚴格な制限があるわけでございまするが、若し
檢察官及び
被告人がその書面を
証拠とすることに
異議はない、或いはその
供述を
公判延に提出することについて
異議がないという場合には、これを
証拠とすることができるということにいたしたわけでございます。第二項において
改正案は、或る場合には
被告人の
出頭がなくても
証拠調を行うことができると
規定いたしておりまするので、この場合においては
被告人の不
出頭ということは同意があつたものとみなされるという
規定を設けたわけでございます。
三百二十
七條のはいわゆる合意文書に関する
規定でありまするが、
檢察官及び
被告人又は
弁護人が合意をいたしまして、或る文書を取寄せたならば、その文書にはこれこれの内容が書かれてあるのに相違ないという合意をいたしまして、その合意書を
裁判所に提出した場合には、これを
証拠面とすることができる。又或る
証人を
裁判所に
公判期日に
出頭させたならば、これこれの証言をするに相違ないということを両
当事者が認めまして、その合意書を
裁判所に出した場合には、その
証人を
取調べなくてもこれを
証拠とすることができるという
規定を設けたわけでございます。これは
審理の迅速を期する
趣旨におきまして特にこの
ような
規定を設けたわけでございます。
以上は事実認定の資料とすることのできる
証拠に関する
証拠能力の
規定でありまするが、三百二十
八條はそれと異なりまして、いわゆる反証に関する
規定であります。即ち第三百二十
一條乃至三百二十四條の
規定によりまして
証拠とすることができない書面又は
供述でありましても、
公判準備又は
公判期日における
被告人、
証人等の
供述の
証明力、即ち信用性を爭うためには、如何なる
証拠でありましてもこれを使用することができるという
規定を設けたわけであります。從いまして、例えて申しますれば、三百二十
一條第一項第三号によ
つて証拠能力が否定されまする司法警察職員の聽取書でありましても、
被告人の
公判廷における
供述の信用性を爭うためには勿論これを
公判廷に提出して差支ないのであります。併しながらそのものを事実認定の資料に使
つてはならないということにな
つておるわけでございます。
次に第三節
公判の裁判につきまして御
説明申上げます。この第三節は殆んど
現行法と変
つておりませんので、特に
現行法と異なりまする改正の要点だけを御
説明申上げたいと思います。その他の点は御設問に應じてお答えいたしたいと思います。
先ずその第一点は、三百三十
五條第一項の
規定でありまするが、即ち「有罪の言渡をするには、罪となるべき事実、
証拠の標目及び法令の適用を示さなければならない。」ということに改正いたしました。
現行法におきましては、有罪の言渡をいたしまする場合に罪となるべき事実、
証拠によりこれを認めた
理由及び適用すべき法令を示さなければならないということにな
つておりましたのを、「
証拠の標目」と改めただけでございます。この点は
從來裁判所の実際の
運用から可なり強い
意見がございまして、
從來のいわゆる
証拠説明というものが形式に堕しており、一面又
裁判官の重大な負担になりまして、
審理が遅延するという結果もございましたので、今度の
改正案におきましては、
判決を書く手数というものは成るべく省きまして、実際の
公判において事実の眞相を発見する面において
裁判官の主力を使
つて頂きたいという
趣旨から、三百三十
五條第一項のごとく「
証拠の標目」で足りるということにいたしたわけでございます。
次の重要な改正点は三百四十條の
規定であります。
現行法三百六十四條によりますと、
檢察官が
公訴の取消をいたしまして、
公訴棄却の決定があつた
事件について再び
公訴を
提起いたしますると、
判決で
公訴棄却の言渡をされたのでありまするが、
改正案の三百四十條においては、
公訴の取消による
公訴棄却の決定が確定した場合に、
公訴の取消後犯罪事実について新たに重要な
証拠を発見した場合に限
つて、同一
事件について更に
公訴を
提起することができるということに改めたのであります。この点は
改正案によりますると、搜査
手続というものが著しく困難になりまして、起訴前の短
期間において搜査
機関が十分な
証拠を集める可能性というものは、
現行法よりも可なり少なくな
つて参りましたので、
檢察官は勿論確信を持
つて公訴の
提起をいたすわけでありまするが、
公判審理の経過に鑑みまして、到底その
事件について有罪の
判決を得る確信がないという場合には、
現行法以上に
公訴の取消を或る程度自由に許しまして、その後若しその犯罪事実について新たな重要な
証拠を発見した場合には再起訴ができるということに改めたわけでございます。これは一旦
公訴の
提起をいたしました
事件について、若し無罪の
判決があ
つて、その
判決が確定したしますると、
憲法の
関係から申しまして、ダブル・ジェパディによ
つて再びその
事件を起訴するということができかねますので、その点の調節を図る
意味において、この三百四十條の
規定を設けたわけでございます。
次の重要な改正点は三百四十三條の
規定であります、即ち
禁錮以上の刑に処する
判決の
宣告があつた場合には、保釈又は
勾留の執行停止は、その
効力を失うという
規定を新たに設けたわけでございます。前に御
説明申上げました
ように、一定の
事件については、
被告人は
権利として保釈を受けることができるのでありまするが、その
趣旨とするところは、第一審の
判決前においては、
被告人は一應無罪の推定を受けておりまして、從
つて軽微な
事件につきましては
権利として当然保釈を許されておつたわけでありまするが、すでに一日第一審において
禁錮以上の刑に処する
判決の
宣告がありますると、この無罪の推定というものは破れまして、その
宣告と同時に保釈又は
勾留の執行停止は
効力を失いまして、一旦直ちに身柄を拘束される、それで、その後には三百四十四條にございまする
ように、
権利保釈ではなくして、
裁判所の裁量による保釈が許される場合があるということになるわけでございます。これと相表裏いたしまして三百四十
五條におきましては、
現行法三百七十
一條と異りまして、無罪、免訴、刑の免除、刑の執行猶予、
公訴棄却、
管轄違い、
罰金等の裁判が必ずしも確定いたしませんでも、その
判決の
宣告があると同時に即時
勾留状の
効力がなくなりまして、その場から
被告人が放免されるということに改めたわけでございます。
次に重要な改正点は三百四十
八條の
規定であります。これは
改正案が新たに設けました
規定でありまして、
裁判所は
罰金、科料玉は追徴を言渡す場合に
判決の確定を持
つてお
つてはその執行をすることができなくなり、又は執行をするのに非常に困難になるという場合には、
檢察官の
請求により又は
職権で、いわゆる仮納付の裁判をするという
規定を設けたわけでございます。即ち
罰金、科料、又は追徴に相当する金額を仮に納付するということを明じまして、この仮納付の裁判は本案の
判決の確定を待ちませんで、即時執行することができるということにいたしまして、執行の確保をいたそうというのであります。その他の点は
現行法と殆んど
趣旨において変
つておりませんので、御
説明は省略させて頂きたいと思います。