運営者
Bitlet
姉妹サービス
kokalog - 国会
yonalog - 47都道府県議会
nisalog - 東京23区議会
serelog - 政令指定都市議会
hokkaidolog - 北海道内市区町村議会
aomorilog - 青森県内市区町村議会
iwatelog - 岩手県内市区町村議会
miyagilog - 宮城県内市区町村議会
akitalog - 秋田県内市区町村議会
yamagatalog - 山形県内市区町村議会
fukushimalog - 福島県内市区町村議会
ibarakilog - 茨城県内市区町村議会
tochigilog - 栃木県内市区町村議会
gunmalog - 群馬県内市区町村議会
saitamalog - 埼玉県内市区町村議会
chibalog - 千葉県内市区町村議会
tokyolog - 東京都内市区町村議会
kanagawalog - 神奈川県内市区町村議会
nigatalog - 新潟県内市区町村議会
toyamalog - 富山県内市区町村議会
ishikawalog - 石川県内市区町村議会
fukuilog - 福井県内市区町村議会
yamanashilog - 山梨県内市区町村議会
naganolog - 長野県内市区町村議会
gifulog - 岐阜県内市区町村議会
sizuokalog - 静岡県内市区町村議会
aichilog - 愛知県内市区町村議会
mielog - 三重県内市区町村議会
shigalog - 滋賀県内市区町村議会
kyotolog - 京都府内市区町村議会
osakalog - 大阪府内市区町村議会
hyogolog - 兵庫県内市区町村議会
naralog - 奈良県内市区町村議会
wakayamalog - 和歌山県内市区町村議会
tottorilog - 鳥取県内市区町村議会
shimanelog - 島根県内市区町村議会
okayamalog - 岡山県内市区町村議会
hiroshimalog - 広島県内市区町村議会
yamaguchilog - 山口県内市区町村議会
tokushimalog - 徳島県内市区町村議会
kagawalog - 香川県内市区町村議会
ehimelog - 愛媛県内市区町村議会
kochilog - 高知県内市区町村議会
fukuokalog - 福岡県内市区町村議会
sagalog - 佐賀県内市区町村議会
nagasakilog - 長崎県内市区町村議会
kumamotolog - 熊本県内市区町村議会
oitalog - 大分県内市区町村議会
miyazakilog - 宮崎県内市区町村議会
kagoshimalog - 鹿児島県内市区町村議会
okinawalog - 沖縄県内市区町村議会
使い方
FAQ
このサイトについて
|
login
×
kokalog - 国会議事録検索
1948-06-18 第2回国会 参議院 司法委員会 第43号
公式Web版
会議録情報
0
昭和二十三年六月十八日(金曜日) ――
―――――――――――
本日の会議に付した
事件
○
刑事訴訟法
を改正する
法律案
(内閣 送付) ――
―――――――――――
午前十時十三分開会
伊藤修
1
○
委員長
(
伊藤修
君) それではこれより
司法委員会
を開催いたします
刑事訴訟法
を改正する
法律案
について
審議
を
前回
に引続き継続いたします。
宮下明義
2
○
政府委員
(
宮下明義
君) 前回百九十三條の
檢察官
の
司法警察職員
に対する
一般的指示権
、
一般的指揮権
及び個別的な
指揮権
を御説明申上げましたので、本日は百九十四條以降を引続き御説明申上げたいと思います。
檢察官
が百九十三條によりまして一般的な
指示
、一般的な
指揮
、或いは個別的な
指揮
をいたすことができるわけでありまするが、この
指示
又は
指揮
に正当な
理由
がなく、
司法警察職員
が從わなか
つた
場合において、必要があるときは
檢事総長
、檢事長、檢事正は、それぞれの
公安委員会
、又は
特別司法警察職員
を
懲戒
、
罷免
する
権限
を有する者に
懲戒
、
罷免
の
訴追
をすることができるというのが百九十四條第一項の
規定
でございます。
警察官
は多くの場合には
都道
府
縣國家地方警察
に属しておりまするので、
警察官
につきましては、それぞれの
都道
府
縣公安委員会
に
懲戒
又は
罷免
の
訴追
をすることになろうと思
つて
おります。ただ
警察官
の中にも各
都道
府
縣國家地方警察
に属しませんで、
國家地方警察本部
又は
國家地方警察管区本部
に所属いたしておりまする
警察官
がありますので、それらの
警察官
については
國家公安委員会
に
訴追
をするということを予想いたしております。
警察吏員
につきましては、それぞれの
市町村公安委員会
又は
特別公安委員会
に
訴追
をするということになるわけでございます。
特別司法警察職員
につきましては、例えて申しますれば、
鉄道職員
で
司法警察権
を持
つて
おりまする者につきましては、これを
懲戒
、
罷免
する
権限
を有する者に、
森林官吏
で
司法警察権
を持
つて
おりまする者については、これを
懲戒
、
罷免
する
権限
を有する者に、それぞれ
訴追
をするということになるわけでございます。第一項によりまして
懲戒
又は
罷免
の
訴追
がありました場合は、それぞれの
公安委員会び特別司法職員
を
懲戒
罷免
する
権限
を有する者は、その
訴追
が
理由
あると認めるときには、別に
法律
の定めるところにより
訴追
を受けた者を
懲戒
又は
罷免
しなければならないという
規定
を第二項に設けたわけでございます。第一項及び第二項におきまして、特に
訴追
という言葉を使いましたのは、單なる勧告とは違いまして、この
訴追
がありますれば、当然に
法律
の定めるところによりまして
懲戒手続
又は
罷免手続
が開始されるという意味でございます。而してこの
懲戒手続
、
罷免手続
につきましては、第二項の
規定
によりまして、他の
法律
でこれを定めるということになるわけでございます。本
來公安委員会自体
は
警察官
又は
警察吏員
に対しまして
懲戒
、
罷免権
を持
つて
おらないのでありまするが、この
刑事訴訟法改正案
百九十四條第二項によりまして、特別の
懲戒罷免権
が與えられたものと、こう考えております。 次に、百九十
五條
を御説明申上げます。本條は
現行法
二百五十
二條
に相当する
規定
でありまするが、
現行法
においては
檢察官
のみではなくて、
司法警察職員
も又事実
発見
のため必要がある場合には、
管轄区域外
に出て
職務
を行うことができるという
規定
にな
つて
おるのでありまするが、
警察官
又は
警察吏員
につきましては、新たに制定されました
警察法
五十七條、五十
八條
、五十九條の
規定
がございまして、
警察官
又は
警察吏員
の
管轄区域外
における
権限行使
につきまして特別な
規定
がございまするので、それと相矛盾する
規定
を
刑事訴訟法
に設けるのも
警察法
の精神と矛盾すると考えまして、百九十
五條
におきましては、
檢察官
及び
檢察事務官
についてのみ
管轄区域外
における
権限行使
の
規定
を設けたわけでございます。
檢察官
及び
檢察事務官
はその属する廳の
管轄区域
の外に出まして、
捜査
のため必要があるときには
職務
を行うことができるという
規定
を設けたわけでございます。
現行法
のごとく事実
発見
のためといたしませんで、
捜査
のためといたしましたのは、
現行法
の事実
発見
のためという表現では、例えて申しますれば、
管轄区域外
において
逮捕
行爲
までなし得るかということについて、
解釈
上疑問ががございますので「
捜査
のため必要があるときは」と改めまして、
証拠蒐集
のみではなく、
管轄区域外
において
逮捕
行爲
もなし得るという
趣旨
に改めたわけでございます。 次に、百九十六條を御説明申上げます。
檢察官
、
檢察事務官
及び
司法警察官
並びに
弁護人
その他
職務
上
捜査
に
関係
のある者につきまして、特に
被疑者
その他の者の名誉を害しないように注意しなければならない。又
捜査
の妨げとならないように注意しなければならないという
規定
を設けまして、
捜査
に從事する者が、
被疑者
その他の者の名誉を傷つけないように、又
捜査
に
関係
する者が、
捜査
の妨害となるような
行爲
をしないようにという
趣旨
の
規定
を設けたわけでございます。 次に、百九十七條を御説明申上げます。この
規定
は、
現行法
と
趣旨
において同樣でございまして、
捜査
については、その目的を達するために必要な各種の
取調
をすることができる、いろいろな任意の
捜査
をすることができるということを
原則
に掲げまして、
改正案
におきましても、
捜査
の
原則
は、
任意捜査
であるという建前を明らかにいたしたわけでございます。而して但書において、強制の処分は、この
法律
に特別の定めのある場合でなければこれをすることができないと
規定
いたしまして、
強制処分
というものは、例外であるという
趣旨
を明らかにいたしたわけでございます。第二項の
捜査
について、
公務所
又は公私の團体に紹介して、必要な事項の報告を求めることができるという
規定
は、
現行法
と同樣でございます。 以下、百九十
八條
以下におきまして、
捜査手続
を詳細に
規定
いたしておるわけでございまするが、その根本の
考え方
を申上げますると、
憲法
第三十三條及び第三十
五條
の線に副いまして、
捜査機関
が
強制捜査
を行いまする場合には、すべて
現行犯
の場合を除いて、
権限
のある
司法官憲
の
令状
によらなければならないという
原則
を貫きまして、
現行犯
の
捜査
以外の場合においては、すべて
裁判所
のジュディシアル・チエックを掲げまして、
捜査機関
の
捜査活動
が、法に
適つて
正しく行われるように配慮いたしたわけでございます。
司法官憲
の意義につきましては、
日本國憲法
を審議いたしました当時の議会におきましても、いろいろ論議があ
つた
わけでございまするが、当時の
政府
は、
司法官憲
の中には、
檢事及び司法警察法
を含むということを主張いたしたのでありまするが、
基本的人権
に重大な
関係
がある事項でありまするので、
解釈論
は別といたしまして、
政府
といたしましては、この
改正案
におきましては、
憲法
のいわゆる
司法官憲
は、
裁判所
及び
裁判所
の
職員
に限るという建前を取りまして、
檢察官
及び
司法警察職員
に
令状発布
の
権限
を認めなか
つた
のは、
應急措置法
と同樣でございます。これによ
つて捜査
というものが、
裁判所
の
司法的チエック
を受けまして、正しく行われることを期待いたしておるわけでございます。 次に、百九十
八條
の
規定
は、
檢察官
、
檢察事務官
又は
司法警察職員
が、
被疑者
の
取調
をする場合の
規定
でございます。
檢察官
、
檢察事務官
、
司法警察職員等
は、必要がある場合には、
被疑者
の
出頭
を求めて、これを
取調
べることができる。併しながら
被疑者
は
逮捕
又は
勾留
されておる場合を除いては、
出頭
を拒み又
出頭
後何時でも退去とすることができるという
規定
を設けまして、
檢察官
、
司法警察職員等
の
被疑者
の
取調
は、任意的なものであるという
趣旨
を明らかにいたしたわけでございます。第二項におきまして、その
取調
に際しては、
被疑者
に対して、予め
供述
を拒むことができる旨を告げなければならないという
規定
を特に置きまして、
憲法
三十
八條
第一項において、何人も自己に不利益な
供述
を強要されないという
趣旨
に
則つて
、
被疑者
の
取調
についての準則を掲げたわけでございます。
從來
の
刑事訴訟法
の実際の運用におきましては、可
なり自白
を偏重いたしまして、
捜査機関
も、
被疑者
の
取調
に際して、
自白
を得ることに極力努力した傾きがあ
つた
わけでございますが、今後の
捜査
においては、この百九十
八條
の
規定
によりまして、
被疑者
は
出頭
も拒むことができまするし、又
出頭
後退去することもできまするし、
取調側
においても、予め
供述
を拒むことができる旨を告げなければならないということにな
つて
おりまするので、今後の
捜査
は、
被疑者
の
自白
を求めることよりも、他の傍証を極力
捜査
するという方向に変
つて
行くものと期待いたしております。第三項、第四項、第五項の
規定
は、
被疑者
の
取調
に際しての
調書
についての
規定
でございます。
調書
につきましては、
裁判所
については、
裁判所
の規則によ
つて
適当に定め得るわけでございまするが、
捜査段階
の
檢察官
又は
司法警察官
の
調書
について、
裁判所
の規則で定め得ないという
考え方
を持
つて
おりまするので、特に百九十
八條
第六項乃至第五項の
規定
を設けたわけでございます。 次に、百九十
八條
の
規定
でございまするが、これは
普通逮捕状
による
逮捕
、或いは
通常逮捕
と呼んでおる
規定
でございまするが、
應急措置法第八條
第一項の
規定
を更に敷衍いたしまして
規定
いたした
規定
でございます。即ち
檢察官
、
司法警察職員等
は、
被疑者
が罪を犯したことを疑うに足りる相当な
理由
があるときは、予め
裁判官
の発する
逮捕状
によ
つて
、これを
逮捕
することができる、こういう
規定
を設けたわけでございます。
應急措置法
におきましては、とにかく
刑事手続き
が
憲法
に即應するように應急な措置を講じまして、
原則
的な簡單な
規定
を設けました
関係
上、百九十九條第一項但書に相当する
規定
がなか
つた
のでありまするが、
現行犯
についても軽微な罪については
除外規定
がありますが、権衝を考えまして、本條につきましても五百円以下の罰金、拘留又は科料に当る罪については、
被疑者
が
住居不定
の場合、又は正当な
理由
がなく、
出頭
の求めに應じない場合に限て
逮捕状
によ
つて
逮捕
することができるという
規定
にいたしたわけでございます。これによ
つて
軽微な
犯罪
について徒らに
逮捕状
によ
つて身体
を拘束するということのないように配慮いたしたわけでございます。第二項は
逮捕状
の
請求
は
檢察官
又は
司法警察員
の
請求
によ
つて
これを発するということを明らかにいたしたわけであります。
檢察事務官
は自己の判断によ
つて裁判所
に直ちに
逮捕状
の
発付
を
請求
することはできないから、一應自己の
捜査
によ
つて
或る
被疑者
に対して
逮捕状
を得たいと考える場合には、その
事情
を
檢察官
に報告いたしまして、
檢察官
を通じて
裁判所
に
請求
する。
司法巡査
につきましても同樣、
司法巡査
が
捜査
によ
つて
いろいろな資料を得るわけでありまするが、これらの資料を
司法警察員
に報告いたしまして、
司法警察員
の判断を通しまして、その上で
裁判所
に
令状
の
発付
を
請求
するという
規定
にいたしたわけであります。これによ
つて檢察事務官
又は
司法巡査等
が直接に
裁判所
に不確かな謙疑によ
つて
令状
を
請求
するという幣を避けようといたしたのであります。第三項は
檢察官
又は
司法警察員
は、
逮捕状
の
請求
をする場合に
同一
の
犯罪
事実について、その
被疑者
に前に
逮捕状
の
請求
があ
つた
、或いは
逮捕状
が
発付
されたことがあ
つた
という場合においては、その旨を
裁判所
に通知しなければならないという
規定
を設けたわけであります。これによりまして
裁判所
は前に
逮捕状
の
請求
があ
つた
けれども、その
請求
を却下したという場合には、今回の
逮捕状
の
請求
につきましても、
十分愼重
な考慮をいたすのでありましようし、又前は
逮捕状
の
発付
があ
つた
というならば、その
発付
された
逮捕状
によ
つて
何故に
逮捕
しなか
つた
かというような
事情
を十分考慮いたされるであろうと考えております。
改正案
につきましては、
同一
の
被疑者
に対して二回以上
逮捕状
が
発付
されるということを予想いたしております。それは
逮捕状
の
有効期間
がございますので、
有効期間
内に
逮捕状
によ
つて
逮捕
することができない場合もございまするし、又場合によりましては
逮捕
後一旦
公訴
を提出いたしましたが、その
起訴状
の謄本を二ケ月以内に
被告人
に送達することができない場合には、
公訴
の提起が無効となりまするので、その後新たに
被疑者
の所在を追及いたしまして、
逮捕状
を得て更に
逮捕
して、
公訴
の提起をするという場合も考えておりまするので、一回以上
同一
の
犯罪
事実について、
同一
被疑者
に対し
逮捕状
が
発付
せられることがあるということを予想いたしておるのであります。 次に、第二百條の
規定
は
逮捕状
の
記載要件
に関する
規定
でございます。これらの
規定
は
應急措置法
におきましては明確な
規定
がございませんで、
解釈
上
勾引状
に関する
規定
を準用するものとして運用して参
つた
わけでございまするが、今回の
改正案
におきましては
逮捕手続
のみならず、
捜査手続全般
につきまして、可なり詳細な
規定
を設けてその明確を期したわけでございます。
逮捕状
の
記載要件
の内、特に新らしいものといたしましては、
有効期間
及びその
期間経過
後は
逮捕
することができないで、その
令状
はこれを発した
裁判官
に返還しなければならないということを特に記載しなければならないという
規定
を設けたわけであります。これによ
つて
一旦発せられた
逮捕状
というものがいつまでも
檢察官等
の手にありまして、或いはそれが濫用されることを防ごうといたしたわけでございます。 次に、二百
一條
以下の
規定
は
逮捕状
による
逮捕
についての
規定
でございまするが、先ず二百
一條
においては、
逮捕状
によ
つて被疑者
を
逮捕
するのには、
逮捕状
を
被疑者
に示さなければならないという
規定
を設けたわけでございます。而してその第二項におきまして、第七十三條第三項の
規定
を準用いたしまして、
逮捕状
が発せられておりますれば、たまたま
被疑者
を
発見
した際に
逮捕者
を所持しておりませんでも、緊急を要する場合には
逮捕状
が発せられておるということを
被疑者
に告げまして、そのまま
被疑者
を
逮捕
することができる。併しながら
逮捕状
はその後速かに
被疑者
に示さなければならないという、第七十三條第三項の
規定
を準用いたしたわけでございます。これは七十三條第三項の御説明の際にも申上げましたように、
憲法
の
趣旨
から申しましても、
逮捕状
がすでに発せられておりますれば、たまたま
逮捕
の際に
逮捕状
を持
つて
おりませんでも、
逮捕状
によ
つて被疑者
を
逮捕
したということになりまするし、必ず
逮捕
の際に
逮捕状
を所持していなければならないということを、嚴格に要求いたしますると、非常に沢山の
逮捕状
を発しなければならないという、実際上の不便もございますので、このような
規定
を設けたわけでございます。 次に、二百
二條
の
規定
は、
檢察事務官
又は
司法巡査
が
逮捕状
によ
つて被疑者
を
逮捕
したときは、直ちに、
檢察事務官
はこれを
檢察官
に、
司法巡査
はこれを
司法警察官
に引致しなければならないという
規定
を設けたわけでございます。これは
應急措置法第八條
第四項におきまして、
現行法
の
現行犯逮捕
後の
規定
を準用いたしておりまするが、
應急措置法
の
規定
は、何と申しましても、簡單な
規定
でございまして、明確を欠く点もございまするので、特に詳細な
規定
を設けたわけでございます。 次に、二百三條の
規定
は、
司法警察員
は、
逮捕状
によ
つて被疑者
を
逮捕
したとき、又は
逮捕状
によ
つて
逮捕
された
被疑者
を
司法巡査
から
受取つた
ときは、直ちに
犯罪
事実の要旨及び
弁護人
を選任することができる旨を告げた上、
被疑者
にその
犯罪
事実について弁解の機会を與え、
留置
の必要がないと思料するときは、直ちにこれを釈放し、
留置
の必要があると思料するときは、
被疑者
が
身体
を拘束されたときから四十八時間以内に、書類、
証拠物
と共にその身柄を
檢察官
に送致する
手続
をしなければならないという
規定
を設けたわけでございます。これも
趣旨
においては
應急措置法
と変りのないところでありまして、
被疑者
を
逮捕
した後、或いは
司法巡査
から
被疑者
を
受取つた
場合に、直ちに
犯罪
事実の要旨及び
弁護人
を選任することができる旨を告げなければならないというのは、
憲法
の
趣旨
によりまして、このような
規定
を置いたわけでございます。 次に、二百四條の
規定
は、
檢察官自身
が
逮捕状
によ
つて被疑者
を
逮捕
したとき、又は
逮捕状
によ
つて
逮捕
された
被疑者
を
檢察事務官等
から
受取つた
場合の
規定
でございまするが、この場合におきましても、二百三條の
規定
とほぼ同
趣旨
の
規定
を設けたわけでございます。而して二百四條の場合におきましては、
檢察官
が用い得る時間は四十八時間といたしてございます。
應急措置法
の下におきましては、二百四條に相当する場合において、
檢察官
が用い得る時間は二十四時間でございましたが、如何にも実情に合いませんし、又
檢察官
が
檢察事務官
から
受取
る場合もございまするし、この場合においては、
檢察官
はとにかく四十八時間以内に
起訴
するか
勾留
の
請求
をするということを決定いたすわけでございまするから、四十八時間の余裕を置くことが相当ではないかと考えまして、
應急措置法
の二十四時間を四十八時間に延長いたしたわけでございます。 次に、二百
五條
の
規定
でございますが、
檢察官
が二百三條の
規定
によ
つて司法警察員
から送致された
被疑者
を
受取つた
ときは、弁解の機会を與え、
留置
の必要がないと思料するときは、直ちにこれを釈放し、
留置
の必要があると思料するときは、
被疑者
を
受取つた
時から二十四時間以内に、
裁判官
に
被疑者
の
勾留
を
請求
しなければならないということにいたしたわけでございます。而して二十四時間の時間の
制限
は、第二項によりまして、
被疑者
が現実に身柄を拘束された時から七十二時間を超えることができないといたしましたのは、
應急措置法
と同樣でございます。第三項によりまして、この時間の
制限
内に
公訴
を提起したときは、
勾留
の
請求
をすることを要しないと
規定
いたしましたが、これは二百八十條第二項によりまして、この場には、
檢察官
から
勾留
の
請求
をいたしませんでも、
公訴
を受けた
裁判所
の方で、
勾留
の必要があるかないかということを決定するということにいたしておりまするので、
檢察官側
から、必ずしも
勾留
の
請求
をする必要がないという
規定
を設けたわけでございます。 次に、二百六條の
規定
でございまするが、これは
應急措置法第八條
第三
号後段
の
規定
を、そのまま
本案
におきましても採用いたしたのでありまして、
檢察官
又は
司法警察員
が止むを得ない
事情
によ
つて
前三條の時間の
制限
に從うことができなか
つた
ときは、
檢察官
は
裁判官
にその
事由
を疏明して
被疑者
の
勾留
を
請求
することができる、
裁判官
は、その遅延が眞に止むを得ない
事由
に基く正当なものであると認める場合には
勾留状
を発しまするが、その他の場合においては
勾留
の
請求
を却下いたしまして、
被疑者
を釈放するということになるわけでございます。 次に、二百七條の
規定
は、前三條の
規定
によ
つて勾留
の
請求
を受けた
裁判官
に、総則の
勾留
の
規定
を準用いたしたわけでございます。併しながら
起訴
前の
勾留
につきましては、
保釈
に関する
規定
はこれを準用しないことにいたしまして、
起訴
前においては
保釈
ということを考えなか
つた
わけでございます。これは
起訴
前の
勾留
即ち搜査のための
勾留
という特質を考えまして、特にこの
勾留
には
保釈
ということを考えなか
つた
わけでございます。 次に、二百
八條
の
規定
でありまするが、前條の
規定
によりまして
被疑者
を
勾留
した
事件
については、
勾留
の
請求
をした日から十日以内に
公訴
を提起しないときは、
檢察官
は直ちに
被疑者
を釈放しなければならないといたしまして、これは
應急措置法第八條
第五号の
規定
を、
本案
においても採用いたしたわけでございます。この十日の
期間
は勿論
勾留
の
請求
をした日、その日から起算するわけでございます。
應急措置法
においては
起訴
前の
勾留
は嚴格に十日と
限つて
お
つた
わけでございまするが、
應急措置法実施後
の
運用等
に鑑みまして、実際の必要においてはその十日では十分な処理をなし得ない場合もございまするので、特に第二項におきまして例外を設けて、
檢察官
の
請求
によ
つて裁判官
は、止むを得ない
事由
があると認めるときは前項の
期間
を延長することができる。
裁判官
は実際の必要を考えまして或いは三日、或いは五日、或いは七日という適宜な
期間
を延長いたすわけでございますが、この
期間
の延長は通じて十日を超えることができないということにいたしました。從いまして
起訴
前の
勾留
は如何に
複雜困難
な
事件
でございましても、二十日以上には延びないということになるわけでございます。 次に、二百九條の
規定
は、
被疑者
を
逮捕
した場合にその護送の際必要のあるときは一時監獄に
留置
することができる。
被疑者
を
逮捕
してこれを引致して後に必要があるときは一時監獄に
留置
することができる。又
逮捕
された
被疑者
が
弁護人選任
の申出をすることができるという勾引、
勾留
に関する
規定
を
逮捕
にも準用いたしたわけでございます。 次に、二百十條の
規定
は
應急措置法第八條
第二項にございましたいわゆる
緊急逮捕
の
規定
を、
本案
におきましてもそのまま採用いたしたわけでございます。即ち
檢察官
、
司法警察職員等
は「死刑又は無期若しくは長期三年以上の懲役若しくは禁錮にあたる罪を犯したことを疑うに足りる充分な
理由
がある場合で、急速を要し、
裁判官
の
逮捕状
を求めることができないときは、その
理由
を告げて
被疑者
を
逮捕
することができる。この場合には、
逮捕
後直ちに
裁判官
の
逮捕状
を求める
手続
をしなければならない。」という
規定
を設けたわけでございます。この
規定
が
憲法
第三十三條に照しまして果して合法かどうかという点につきましては、
應急措置法
を御審議の際においても問題にな
つた
点でございまするが、
政府
の
解釈
といたしましては、
逮捕
には或る幅がありまして、現実に
身体
を掴んでから一定の場所まで連れて來る、その幅のある
行爲
である。その
逮捕
行爲
の継続中に直ちに
逮捕状
の発行を
請求
いたしまして、その
逮捕状
によ
つて
裏付られる
逮捕
であるから、
憲法
のいわゆる
逮捕状
による
逮捕
であるという
解釈
を採
つて
、
憲法
の
趣旨
に副う
逮捕
であると、こう考えておる次第でございます。 二百十
一條
の
規定
は、二百十條の
規定
によりまして
緊急逮捕
をいたしました場合において、その後の
手続
はすべて第百九十九條の
規定
による
通常逮捕
後の
規定
を準用いたしまして、その場合と同樣に
手続
を進めることといたしたわけでございます。 次に二百十
二條
の
規定
は、
現行犯
及びいわゆる準
現行犯
に関する
規定
でございまするが、先ず第一項におきまして「現に罪を行い、又は現に罪を行い
終つた者
を
現行犯人
とする。」と
規定
いたしまして、第二項において、
從來現行法
の百三十條第二項に
規定
してございました準
現行犯
の範囲をやや狭めまして、
本案
においても採用いたしたわけでございます。即ち
從來
の
現行犯
につきましては、犯行時と
逮捕状
の時間の
経過
ということが可なり間を置きまして長い
経過
を辿
つた
後であ
つて
も、準
現行犯
と認められてお
つた
のでありまするが、
現行犯
の
趣旨
から考えますると、犯行時と
逮捕
時との或る程度の接着ということを必要とすると考えまして、
本案
におきましては「左の各号の一にあたる者が、罪を行い
終つて
から間がないと明らかに認められるときは、これを
現行犯
とみなす。」ということに改めまして、
從來
の準
現行犯人
の観念をやや狹めたわけでございます。而して第一号乃至第四号につきましても、その第二号においては、
從來
は「兇器、
臓物其
ノ他ノ物ヲ
所持シ
」とございまして、やや不明な点がありましたので「臓物又は明らかに
犯罪
の用に供したと思われる兇器その他の物を所持しているとき。」と
規定
したしまして、その他の物も明かに
犯罪
の用に供したと思われる物でなければならないということにいたしたわけでございます。 次に二百十三條は、
憲法
第三十三條を承けまして「
現行犯人
は、何人でも、
逮捕状
なくしてこれを
逮捕
することができる。」という
規定
を置いたわけでございます。而して
現行犯人
を
逮捕
した後の
手続
も二百十六條の
規定
によりまして百九十九條の
逮捕状
によ
つて被疑者
が
逮捕
された場合の
規定
を準用して、それと同様な
手続
で
逮捕
後の
手続
が進行するわけでございますが、
現行犯人
については特に
檢察官
、
檢察事務官
、
司法警察職員
以外の
一般常人
がこれを
逮捕
することがございますので、その場合の特別
規定
を二百十四條と二百十
五條
に置いたわけでございます。二百十四條におきましては、常人が
現行犯人
を
逮捕
したときは、直ちにこれを
檢察官
又は
司法警察職員
に引渡さなければならないということにいたしまして、二百十
五條
におきましては「
司法巡査
は、
現行犯人
を受け取
つた
ときは、速やかにこれを
司法警察員
に引致しなければならない。」その場合に
司法巡査
は
逮捕者
の氏名、住居及び
逮捕
の
事由
等聽き取り、必要がある場合には
逮捕者
に対し共に官公署に行
つて
呉れということを求めることができるという
規定
を設けたわけでございます。 次に二百十七條の
規定
は、
現行法
の百三十
二條
と
趣旨
においては同様でございまするが、
現行犯
につきましても、五百円以下の罰金、
勾留
又は科料に当る罪の
現行犯
については、犯人の住居又は氏名が明らかでない場合又は犯人が逃亡する虞れのある場合に
限つて
現行犯逮捕
ができるということにいたしたわけでございます。從いまして五百円以下の罰金、
勾留
、科料等に当る軽微の
事件
につきましては、犯人の名前が分らない、或いは
住居不定
、逃亡の虞れがあるというような場合でなければ
現行犯逮捕
ができないということを明らかにいたしたわけでございます。これによ
つて
軽微な
事件
について重い強制力を使いまして、人権蹂躙の非難を受けることを避けようといたしたわけでございます。 以上が
逮捕状
による
逮捕
、
緊急逮捕
及び
現行犯逮捕
に関する
規定
でございまして、次に二百十
八條
以下押收、捜索、檢証等に関する
規定
でございます。二百十
八條
は「
檢察官
、
檢察事務官
又は
司法警察職員
は、
犯罪
の
捜査
をするについて必要があるときは、
裁判官
の発する
令状
により、差押、捜索又は檢証することができる。」という
規定
を設けました。これは
憲法
三十
五條
に則
つた
規定
でありまして、
應急措置法
七條第二項の
規定
は余りにも不明確な
規定
でございましたので、
改正案
におきましては、
檢察官
、
司法警察職員等
が
裁判官
の発する
令状
によ
つて
差押、捜索、檢証することができるという
趣旨
を明らかにいたしたわけであります。而してこの場合において、檢証のための
身体
檢査をいたします場合は、特に
身体
檢査
令状
によらなければならないという
規定
を設けたわけでございます。從いましてこの場合の
令状
は、差押状、捜索状、普通の檢証状及び
身体
檢査
令状
という四種の
令状
が
発付
されるわけでございます。この差押、捜索、檢証等の
令状
は、
檢察官
、
檢察事務官
又は
司法警察員
の
請求
によ
つて
、これを発するという
規定
を第二項に設けました。これは必ずしも
逮捕
ほど嚴格な判断と必要といたしませんし、又
檢察事務官
が差押、捜索、檢証等をするについても、すべて
檢察官
を通さなければならないということにいたしますると、実際上の不便もございまするので、この
令状
の
請求
権は、
檢察事務官
にも亦これを認めたわけでございます。次に
檢察官
、
司法警察員
等が
身体
檢査
令状
の
請求
をする場合には、特に
身体
檢査を必要とする
理由
及び
身体
檢査を受ける者の性別、健康状態その他
裁判所
の規則で定める事項を示さなければならないというように
規定
を設けまして、特に
身体
檢査が適正に、妥当に行われまして、
身体
檢査を受ける者の名誉を害さないように配慮いたしたわけであります。末項におきましても、「
裁判官
は、
身体
檢査に関し、適当と認める條件を附することができる。」という
規定
を設けました。 次に二百十九條の
規定
でございますが、これは前條の差押、捜索、檢証、
身体
檢査等の
令状
の
記載要件
に関する
規定
でございます。これらの
令状
につきましても、
有効期間
及びその
期間経過
後は差押、捜索、又は檢証に着手することができず、
令状
はこれを返還しなければならないということを特に記載しなければならないことといたしました。 次に第二百二十條の
規定
でありますが、これは二百十
八條
の
裁判官
の発する
令状
によ
つて
する差押、捜索、檢証の例外
規定
でございまして、
應急措置法
第七條第二項但書の
規定
を更に合理化いたしまして明確ならしめたのであります。
檢察官
、
檢察事務官
又は
司法警察職員
は、通常の捜捕状によ
つて被疑者
を
逮捕
する場合、又は
現行犯人
を
逮捕
する場合、又は
緊急逮捕
をする場合におきましては、
令状
を持たないで人の住居、又は人の監視する邸宅、建造物、若しくは船舶の中に入
つて被疑者
を捜索することができる。又
逮捕
の現場におきましては、
令状
を持たないで差押、捜索、又は檢証をすることができるということを特に
規定
いたしたわけでございます。これは
憲法
第三十
五條
におきまして「第三十三條の場合を除いては、」とございまして、
現行犯
の場合に限らず、
権限
のある
司法官憲
の発する
令状
によ
つて被疑者
を
逮捕
する場合においても、亦差押、捜索等の
令状
を持たないで、差押、捜索をすることを
憲法
自身が許しておりまするので、二百二十條の
規定
を設けたわけであります。これが又実際の
捜査
の実情にも合致する所以と考えておるのであります。第四項の
規定
は
本案
の第百二十六條と吻合する
規定
でございます。百二十六條は
起訴
後
勾引状
、
勾留状
を執行する場合に、
被告人
の捜索をすることができるという
規定
でありまして、二百二十條末項の
規定
は、
檢察事務官
又は
司法警察職員
が、
勾引状
、
勾留状
を執行する場合に、その執行の現場で差押、捜索又は檢証をすることができる。又
起訴
前の
被疑者
に対して発せられた
勾引状
、又は
勾留状
を執行する場合においては、人の住居などに入りましてその
被疑者
を捜索することができるという
趣旨
を明かにいたしたわけであります。 次に二百二十
一條
の
規定
でありますが、これは
檢察官
、
司法警察職員等
が、
被疑者
その他の者が遺留した物又は所有者等が任意に提出した物を領置することができるという、領置の根拠
規定
を設けたわけでございます。遺留物又は任意提出物等につきましては、必ずしも強制力を以て差押をする必要もございませんので、二百二十
一條
によ
つて
これを領置することができるということにいたしたわけであります。 二百二十
二條
は大変に長い條文でございまするが、これは只今御説明申上げて参りました
檢察官
、
檢察事務官
又は
司法警察職員
が、
捜査
中にいたしまする押收、捜索について総則の
裁判所
のいたしまする押收捜索の
規定
を準用し、檢証につきましても総則の
裁判所
の檢証の
規定
を準用するという
規定
でございます。二百二十
二條
の第二項におきまして、二百二十條によ
つて
令状
を持たないで
被疑者
の捜索をする場合において、急速を要する時には第百十四條第二項の
規定
によることを要しないといたしまして、特に隣人等の立会を必要としないということを
規定
いたしましたが、これは
現行法
百七十四條第三項にある
規定
を受けて参
つた
のでございまして、このような二百二十條のような場合におきましては、急速を要する場合でありまするので、必ずしも隣人等の立会を必要としないということにいたしたわけでございます。 次に、二百二十
二條
第四項の
規定
は、
裁判所
のいたしまする檢証については、特に百三十條の
規定
がございまするが、この場合において、
檢察官
、
司法警察職員等
が、
裁判所
の発する
令状
によ
つて
檢証する場合においては、その
令状
に夜間でも檢証することができるという記載が特にございませんと、日出前、日沒後には人の住居等に入ることができないという
規定
を設けまして、押收、捜索等との釣合を取
つた
わけでございます。 次に、二百二十
二條
第六項の
規定
でございまするが、
檢察官
、
檢察事務官
又は
司法警察職員
は、
裁判官
の発する
令状
によ
つて
差押、捜索又は檢証をするについて必要があるときは、
被疑者
をこれに立会わせることができるという
規定
を設けましたのは、
裁判所
のいたしまする差押、捜索、檢証につきましては、百十三條、百四十
二條
の
規定
がございまして、
被告人
及び
弁護人
はすべて立会権を持
つて
おるのでありまするが、先にも御説明申上げましたように、
捜査段階
における差押、捜索、檢証等にすべて
被疑者
が権利として立会権を持
つて
おるということにいたしますると、
捜査
の性質とも合致いたしませんので、
檢察官
、
檢察事務官
又は
司法警察職員等
が必要があると認めて
被疑者
を立会わせるという場合に
限つて
これに立会うことができるという百十三條、百四十
二條
の特別
規定
を設けたわけでございます。 次に、二百二十三條の
規定
でございまするが、この
規定
は、
檢察官
、
檢察事務官
又は
司法警察職員
は、
犯罪
の
捜査
のために必要がある場合に、
被疑者
以外の者の
取調
又は鑑定、通訳若しくは飜訳の嘱託をすることができるという
規定
でありまして、この場合についても
檢察官
、
司法警察職員等
には、いわゆる強制権は認めませんで、これらの
捜査
はすべて任意な
捜査
ということになるわけでございます。第二項において、第百九十
八條
第一項但書及び第三項乃至第五項の
規定
を準用いたしまして、証人に相当するところの
犯罪
事実について或る知識を有する者を、
檢察官
が
出頭
を求めて、いろいろ
事情
を
取調
べるという場合におきましても、その者は
出頭
を拒むことができまするし、
出頭
後退去することもできる、この場合においてその者に
檢察官等
が特に
供述
を拒むことができるという旨を告げるという
規定
を準用いたしませんでしたが、これは
被疑者
については
憲法
上特に不利益な
供述
を強要されないという
規定
がありまするので、特に百九十
八條
第二項の
規定
を設けましたが、証人に相当する者につきましては、必らずしも
憲法
上の要求でもありませんし、又一般証人に相当する者は
捜査
にも協力して頂かなければなりませんので、百九十
八條
第二項の
規定
はこの場合に準用いたさなか
つた
わけでございます。 次に、二百二十四條の
規定
でありまするが、前條の
規定
によ
つて
鑑定を嘱託する場合において、百六十七條第一項の
規定
は
被疑者
の
留置
を必要とする場合におきましては、
檢察官等
は
裁判官
にその処分の
請求
をしなければならない。
裁判官
はその
請求
を正当と認めるときは
裁判官
自身が
留置
の
手続
をしてやるという
規定
を設けたわけでございます。 次に、二百二十
五條
の
規定
でありまするが、同樣二百二十三條の
規定
によりまして鑑定の嘱託を受けた者が、
身体
の檢査、墳墓の発掘、物の破壞等の処分を必要とする場合には、
裁判官
の許可を受けまして、これらの処分をすることができるという
規定
を設けたわけでございます。 次に、二百二十六條の
規定
でありまするが、これは二百二十三條によりまして、
檢察官
の証人に相当する者の
取調
は任意の
取調
ということになりまして、これらの者は
出頭
を拒否することもできまするし、
出頭
後退去もできまするので、そのようなことでは
捜査
に事欠く、こともございまするので、
犯罪
の
捜査
に欠くことのできない知識を有すると明らかに認められる者が
檢察官等
の
取調
に対して
出頭
又は
供述
を拒んだ場合には、
裁判官
にその者の証人尋問を
請求
することができる。これによ
つて捜査
の円滑を期しようといたしたわけでございます。 次に、二百二十七條の規行は
檢察官等
の
取調
に対して任意の
供述
をした者が、その後公判期日においては他から圧迫を受けまして
供述
を飜えすという虞れのある場合であ
つて
、而もその者の
供述
が
犯罪
の証明に欠くことができない場合には、同樣
檢察官
から
裁判官
にその者の証人尋問を
請求
いたしまして、その証言を確保して置くという制度を設けたわけでございます。而して二百二十
八條
によりまして前
二條
の
請求
を受けた
裁判官
については総則の証人尋問に関する
規定
を準用するということにいたしました。但し二百二十
八條
第二項にありまするように、これは
捜査
中の証人尋問の
請求
でありまするので、総則の百五十七條のごとく
原則
として立会権があるわけではございませんで、
裁判官
が
捜査
に支障を生ずる虞れがないと認めるときに
限つて
立会をさせるという特定
規定
を設けたわけでございます。 次に、二百二十九條の
規定
は
現行法
百八十
二條
に相当する変死体の檢視に関する
規定
でございます。
趣旨
においては
現行法
と変りございませんが、
現行法
のごとく檢視に引続いて「檢証」という
規定
は設けませんで、檢死に引続いて檢証をする場合にも、やはり改めて
裁判官
の
令状
を得まして檢証をしなければならんということになるわけでございます。 二百三十條は
現行法
二百五十
八條
に相当する
規定
で、内容は同樣であります。而して二百五十九條及び二百七十條を削除いたしまして、尊属に対する告訴、告発の禁止を撤廃いたしましたことは、提案
理由
の説明において触れましたので省略いたします。 二百三十
一條
は
現行法
の二百六十條に相当する
規定
であります。この場合において
現行法
におきましては、夫が妻のために独立告訴権を持
つて
おりましたが、新
憲法
の精神によりまして、夫のみが妻のために独立告訴権を持つということは、
憲法
の精神に合致いたしませんので、夫を特に削除いたしたわけでございます。 次に、二百三十
二條
の
規定
は、
現行法
二百六十
一條
と全く同樣であります。二百三十三條は
現行法
二百六十
二條
に相当する
規定
でありまして、
現行法
の遺族又は後裔という言葉を死者の子孫という言葉に改めましたが、内容においては変りないと考えております。二百三十四條は
現行法
の二百六十三條に相当いたしまして、内容においては変りございません。
現行法
二百六十四條を削除いたしましたが、これは姦通罪が廃止されました結果当然のことでございます。 次に、二百三十
五條
は
現行法
の二百六十
五條
に相当する
規定
でございまするが、第一項但書に特に外國の代表者が行う告訴又は外國の使節が行う告訴について、六ケ月の
期間
に対する例外
規定
を設けました。 二百三十六條は
現行法
の二百六十六條に相当する
規定
でありまして、
趣旨
においては変りございません。 二百三十七條は
現行法
二百六十七條に相当し、
現行法
におきましては、告訴は第二審判決があるまで、これを取消すことができるということにな
つて
おりましたのを、
改正案
におきましては、すでに告訴がございまして、
公訴
の提起がありました以上、その
事件
は國家の手に移
つて
おりまするので、これを告訴人の意思によ
つて
第二審判決があるまでその
手続
を止めるということは適当でないと考えまして、
改正案
におきましては、
公訴
の提起前に
限つて
告訴の取消ができるということに改めたわけでございます。 二百三十
八條
は
現行法
の二百六十
八條
に相当し、二百三十九條は
現行法
の二百六十九條に、二百四十條は
現行法
の二百七十
一條
に相当いたしておりまして、内容においては変りございません。 二百四十
一條
は
現行法
の二百七十
二條
と二百七十三條を一緒に
規定
しただけでありまして、これも
趣旨
においては変りございません。 二百四十
二條
は
現行法
の二百七十四條に相当する
規定
でございます。 次に、二百四十四條は新たな
規定
でありまして、刑法二百三十
二條
第二項の
規定
によ
つて
外國の代表者が行う告訴又はその取消は、勿論
檢察官等
に対してこれをすることもできるのでありまするが、外交上の
関係
を考慮いたしまして、この場合には外務大臣に対してこれをすることができるという特別
規定
を設けたわけでございます。外務大臣はその告訴を受けました場合には、これを
檢察官
の手に移して、その後の
捜査
がなされるということになるわけでございます。日本に派遣された外國の使節が行う告訴又はその取消についても、同樣外務大臣にこれをすることができるということにいたしたわけでございます。 二百四十
五條
は
現行法
と同樣、自首についても告発の
規定
を準用いたしたわけであります。 二百四十六條は新らしい
規定
でありまして、
司法警察員
が
犯罪
の
捜査
をいたした場合には、速かに
檢察官
に書類、
証拠物
と共に
事件
を送致せよ、但し
檢察官
が特に指定いたしましたところの軽微な
事件
については、
從來
通り微罪処分を許しまして、この場合には必ずしも
檢察官
に送致しなくてもよろしいという
規定
を設けたわけでございます。
伊藤修
3
○
委員長
(
伊藤修
君) 以上、第一章、
捜査
に関する説明に対して御質疑がありましたら、この際御質疑をお願いいたします。
松村眞一郎
4
○松村眞一郎君 この章の
規定
を通観して考えられますことは、いろいろな條件があ
つて
、
檢察官
なり
裁判官
の行動が発動するわけであります。その原因である條件が、客観的に考えられる方のものであるか、主観的に考えられるものであるかという点をお尋ねするのであります。それは
憲法
の第三十
五條
を見ますというと、正当な
理由
に基いて発せられたる
令状
がなければ、侵されないということが書いてあります。この正当な
理由
に基くということは、それは主観的のものでないと私は思うのです。客観的に眺めて、正当な
理由
がなければいけないのであ
つて
、ただ
裁判官
とか
檢察官
が正当な
理由
があると認めたからとい
つて
、それは正当なる
理由
に基くものでないと私は思うのです。ところがこの
規定
を見ますと、
裁判官
が認めればいいのだというような工合に私には感じられる。客観的なそういう
理由
がなければいけないのであ
つて
、主客的に
裁判官
なり
檢察官
が認めさえすれば、それで発動していいというような工合にお考えにな
つて
おるかどうか、その点が私の質問の要点であります。この
刑事訴訟法
を起草される場合に当
つて
は、主観的の考えで進まれてはならないものと私は考えております。この
規定
を見ますと、
裁判官
は、認めるときは、認めるときは、という
規定
が非常に多く繰り返されていて、
裁判官
が認めさえすれば、客観的にはそうでなくてもよろしいのだという工合に考えられるのでありますが、その点は如何ですか。
宮下明義
5
○
政府委員
(
宮下明義
君) 例えて申上げますると、普通、
通常逮捕
と呼んでおります百九十九條の
規定
を御覧願いますると、「
被疑者
が罪を犯したことを疑うに足りる相当な
理由
があるときは」と
規定
いたしております。それから二百十條の「死刑又は無期若しくは長期三年以上の懲役若しくは禁錮にあたる罪を犯したことを疑うに足りる充分な
理由
がある場合で、」と
規定
したしております。從いましてこの
改正案
におきましても、ただ單に主観的に認めるというだけではありませんで、これを裏打ちいたしまするところの
資料
を必要とする、その
資料
に基きまして、これを疑うに足りる相当な
理由
或いは充分な
理由
がある場合に
逮捕状
の
発付
ができる、こういう
考え方
を取
つて
おります。その他の場合も大体そのような
考え方
を取
つて
おるわけであります。
松村眞一郎
6
○松村眞一郎君 大体では困るのです。そういう主義であるかどうかということを私は伺
つて
おるのです。如何なる場合でもそういう思想であるか。大体それであるが、他の場合は
例外
があるのだという
考え方
であるというのはいけないと思います。それは例えば二百十
二條
を題ますると、準
現行犯
の場合、それは第二項にどういうことが書いてあるかというと、「罪を行い
終つて
から間がないと明らかに認められるときは、」とあります。それは「認めるときは」ではないのです。認められるということは、客観的事実をいうて、ただ
檢察官
が認めたからとい
つて
、それは許されない。客観的情勢から見て認められなければならない。私は大体これを通観いたしまして、
檢察官
の場合には、そういう工合に読まれる
規定
の方が多い。
裁判官
の方は認めるときは、と書いてある。私は
裁判官
と雖も、認められるときは、という二百十
二條
の二項のごとき用意を以て條文は
解釈
されなければならないものであると考える。先程申上げました
憲法
の第三十
五條
は、そういう
趣旨
なんですから、正当な
理由
に基いて発せられなければならない。正当な
理由
があると認められるときに発せられるということは、決して委任していない。
憲法
は決して
裁判官
に委任しておりません。國民全体が考え、客観的に見て正当な
理由
があるときは、初めて
令状
が発せられる。ところが
裁判官
は、大抵皆、認めるときは、認めるときは、と書いてある。そこでこれを起草されるに当
つて
、
裁判官
と
檢察官
とは違うという見解から御起草にな
つた
かどうかということを先ず伺いたい。
宮下明義
7
○
政府委員
(
宮下明義
君)
捜査
の章に
規定
してございます
令状
の
発付
も、或いは
期間
の延長等も、すべて
裁判所
の
判断
は裁判でございまするので、この決定乃至命令の裁判をいたしまする場合には、その認定をする根拠となる
資料
を必要とするものと考えております。從いまして、ただ
裁判官
が、何ら
資料
なしに、これを認めるということは許されないものと考えております。
松村眞一郎
8
○松村眞一郎君 それでありますと、
裁判官
も雖もやはり客観的に考えて、
理由
があると認められるときは、というお考えでありますか、どうですか。
宮下明義
9
○
政府委員
(
宮下明義
君) お説のごとくなると考えております。
松村眞一郎
10
○松村眞一郎君 それであると、例えば二百
八條
の第二項におきまして「
裁判官
は、やむを得ない
理由
があると認めるときは、」というのは、私はおかしいと思う。これは「
裁判官
が認めるときは、」ということになると、それはいけないのであ
つて
、「やむを得ない
事由
があると認められるときは、
裁判官
」云々と、こうならなければならないと私は思う。
檢察官
の場合は、多くそういうことが書いてある。例えば二百十條におきまして、「禁錮にあたる罪を犯したことを疑うに足りる充分な
理由
がある場合で、」と書いてあります。これは客観的に認められなくちやいかない。「
檢察官
は、疑うに足りる充分な
理由
があると認めるときは、」じやないのです。
檢察官
にそういう認定は許してない。こういう
理由
があるということが、客観的に見て明瞭であるという場合に、初めて
檢察官
はそこで発動するわけです。併し
自己
の
判断
でやりますのですから、一應は自分で
判断
して、そういう事実がありと考えて行動するでしよう。併しながらそれが
理由
がないということになれば、その
檢察官
の発動が不法だ
つた
ということになるわけです。それと同じく、
裁判官
と雖も、私は同等であると思う。
裁判官
も又「認められるときは」でなければならないのであ
つて
、その個々の
裁判官
が認めさえすれば、他の
裁判官
が認めない場合でもよろしいという考ではいけないと思う。
事件
に当面しておる
裁判官
が認めれば、他の
裁判官
が適当ならずと認めた場合でもよろしいということではないと思う。凡そ
裁判官
が皆適当
なり
と認めた場合でなければいかないと私は思うのですが、どうですか。
宮下明義
11
○
政府委員
(
宮下明義
君) 二百
八條
第二項の、「
裁判官
は、やむを得ない
事由
があると認める」場合におきましても、勿論その認定の根拠となる
資料
を必要といたすわけであります。而してその
資料
は、
請求
をいたします
檢察官
が、これを
裁判官
に提供するわけでありまするが、この場合において、その
資料
に基いて、その
裁判官
が「やむを得ない
事由
があると」認定いたしまするならば、この
期間
の延長ができると、こう考えております。
松村眞一郎
12
○松村眞一郎君 私のお尋ねする要点は、先程の
政府委員
の御答弁で明瞭でありますが、客観的の
理由
がなければならないということは、お認めにな
つた
わけですね。客観的でなくちやいかん。その
裁判官
は、個々の主観で許すものではない。それはよろしいのでしよう。その点は如何ですか。
宮下明義
13
○
政府委員
(
宮下明義
君)
裁判官
は、
自己
に提供された
資料
に基きまして、
法律
の命じ又は許しまする裁判をする
職員
を持
つて
おりまするので、その
裁判官
が具体的提供された
資料
によ
つて
、適当であるか或いは適当でないかという
判断
をすることは、
裁判官
の專権であろう、こう考えております。
松村眞一郎
14
○松村眞一郎君 それでは先程の答弁と私は矛盾すると思います。客観的に適当
なり
と認めなければ
裁判官
は発動してはならないのであるという大体のことをお認めにな
つて
おる。大体と申しません。
原則
を、私はこういうことを申すのです。只今個々の事柄によ
つて
、或る部分は
裁判官
に私は認めてもよかろうと考える。私の考えはですよ。全部客観的
理由
でなければならんということを私は結論するつもりじやないんです。併しながら
原則
としては
裁判官
はやはり客観的に
理由
がその間において発動させるということにして置いて、或る事柄については主観的に認めてもよかろうと、こういう私は区別を考えておる。そういうような区別を以て立案されておるかどうかということをお尋ねするのであ
つて
、あなたの御答弁のごとく、全部
原則
的にお認めになるというと、私は場合によ
つて
困るのじやないかと思うのです。全部主観的では勿論いけません。大体において、全部客観的でなくちやならんと思いますが、或る場合には主観的に認定権を認めてもよくはないかということを私は考える。そこでこの
刑事訴訟法
の議論にな
つて
おります章を通観しますというと、大体においてそういうような思想に
解釈
して立法して行
つた
方がよいんじやないかという心持はよく分るのであります。何故かと申しますと、これは偶然の結果かも存じませんが、
檢察官
の場合には、そういうような客観的の場合に
解釈
する方がよいような書き方にな
つて
おる。
裁判官
だけには認定を認めておる、ところが、
裁判官
には独立の
判断
があるからとい
つて
、個々の
裁判官
に客観性までも否認するがごとき認定権を認めることは、先つき申しました
憲法
の
規定
に反すると思う。その点を十分お考えにな
つて
各條文について区別して頂きたい。そういう区別をして立法にな
つて
おるということは今の答弁で私は明瞭に分るんです。この部分々々としては客観的に考えて見る、この部分は主観的でよいということを私は区別してお考え願いたいということを要望いたします。私の
考え方
と
政府委員
の
考え方
とはどういうところに相違があるかということを御答弁願いたい。
宮下明義
15
○
政府委員
(
宮下明義
君) お説の通り、
檢察官
、
司法警察職員等
が或る行動をいたしまする場合の條件につきましては、認められる場合という言葉を特に使
つて
おりまして、客観的なものを要求しておることは御指摘の通りであります。
裁判官
につきましては先程もお答えいたしましたように、
裁判官
に提供されました
資料
に基いて
裁判官
に許されておる裁量権、認定権を行使いたしまして、正当な
判断
をいたすことを
法律
自身が予定しておるものと考えております。而してその
裁判官
の
判断
が正いかしどうかということは、更に上級審によ
つて
再批判されるわけであります。
松村眞一郎
16
○松村眞一郎君 私は大体におきまして、やはり司法官、
裁判官
にはその程度の主観的認定を認めておると考えておる。その範囲を何とか考えて立法に対する用意が必要である。そういうことを申しますのは、私はこの司法委員と治安委員とに、今合同の
審議
をいたしております
檢察官
に関する問題でありますが、
職務
に関する問題、その
規定
を見ますと客観的の思想が余程なくな
つて
おる。主観的のような態度で
規定
してあることが私は考えられますので、その方の合同の委員会で質問しようと思
つて
おります。まだ質問しておりませんが、その点についてどういうような用意をされて警察に関する
規定
を司法省としては考えるか。
刑事訴訟法
によると警察の場合とやはり同じ考えを以ていたさなければならんのみならず、警察の
職務
の方が尚更主観的の行動をされることは危險であると私は考えておる。
現行犯
なであ
つて
進みます場合には、余程積極的でありますけれども、
警察官
の発動します場合にはもう少し愼重に主観的の考慮よりも客観的の考慮に非常なる重点を置かなければならんと思いますが、その点についてどういうような考えにな
つて
おりますか、伺いたいと思います。
宮下明義
17
○
政府委員
(
宮下明義
君) 御質問の点は現在
審議
中の
警察官
等の
権限
に関する法案を御覧にな
つた
上の御質問でございますか。
松村眞一郎
18
○松村眞一郎君 それは司法省と会議の上での
法律案
を考えます。司法省といいますか、法務廳といいますか、檢察廳、そういう
関係
から御考慮にな
つて
おると私は考えますが、
警察官
の場合と檢察の場合と私は異ることはないと考えます。大体において客観的の思想で一貫すべきものであるというお考えと私は
受取
つて
おる。先程からの答弁で……。
伊藤修
19
○
委員長
(
伊藤修
君) 連合委員会で審査しておるのですよ。
宮下明義
20
○
政府委員
(
宮下明義
君) 承知しております。御説の通りと考えております。
伊藤修
21
○
委員長
(
伊藤修
君) 他に御質疑は………。
松井道夫
22
○松井道夫君
逮捕状
を
請求
する
裁判官
はどういう
裁判官
ということにな
つて
おりますか。
宮下明義
23
○
政府委員
(
宮下明義
君) 第百九十九條、第二百十條等にはただ單に
裁判官
とございまして、その
裁判官
がどの
裁判所
の
裁判官
であるかということは
法律
の上では特に
規定
してございません。從いまして
法律
といたしましてはすべての
裁判所
の
裁判官
に百九十九條による
請求
、又は二百十條の
規定
による
請求
等がなし得るわけでございます。而してこの
法律
といたしましては
裁判所
が、最高
裁判所
が、
裁判所
の内部規律といたしまして適当な
裁判所
の
規則
を定めるということを予定いたしております。
松井道夫
24
○松井道夫君 次に百九十九條の
逮捕
の
関係
でありますが、
但書
を見ますと「五百円以下の罰金、
勾留
又は科料にあたる罪については、
被疑者
が定ま
つた
住居を有しない場合又は正当な
理由
がなく前條の
規定
による
出頭
の求めた應じない場合に限る。」ということにな
つて
おります。そうしてこの正当な
理由
がなく、喚び出しに應じないという場合に、
逮捕
できることにな
つて
おるわけにありまするが、これを引続いて後に出て來る條文で、
勾留
までもできるというようにな
つて
おります
理由
を伺
つて
置きたいと思います。ちよつと質問の意味が分らなければ、附加えますが、六十條によりますと、
裁判所
が
被告人
を
勾留
する場合については、五百円以下の罰金、
勾留
又は科料にあたる
事件
については、
被告人
が定ま
つた
住居を有しない場合に
限つて
おります。そうい
つた
ことから対照いたしますと、
出頭
に應じないので
出頭
させる、それで
逮捕
するということは、結構なんでありますが、その後
勾留
することができるように読める、或いは、これはできないという
趣旨
かも知れないが、その点をお伺いいたします。
宮下明義
25
○
政府委員
(
宮下明義
君) 百九十九條第一項
但書
によりますると、五百円以下の罰金又は科料にあたる罪については、
住居不定
の場合と
出頭
に應じない場合には、
逮捕状
の
請求
をして、
逮捕
することができる、こう
規定
してございます。御指摘のように、六十條の
但書
によりますると、五百円以下の罰金、
勾留
又は科料にあたる
事件
につきましては、
住居不定
の場合に限
つて勾留
ができるのでありまするから、百九十九條第一項
但書
き後段の
出頭
の求めに應じない場合は、
逮捕
はできまするが、
勾留
はできない。こういう
解釈
になるわけであります。
松井道夫
26
○松井道夫君 そうすると、この
被疑者
の
勾留
も亦六十條の
被告人
の
勾留
の條件によるという工合に了承いたします。
宮下明義
27
○
政府委員
(
宮下明義
君) 二百七條第一項の
規定
によりまして、
起訴
前の
被疑者
の
勾留
につきまして、総則の
被告人
の
勾留
の
規定
を
原則
として準用いたして、ただ
保釈
についてだけ除外例を設けておりますので、総則の
規定
がすべてかぶ
つて
参りますわけでございます。
松井道夫
28
○松井道夫君 次に、やはり今の百九十九條の二項でありますが、
同一
の
犯罪
事実について、
逮捕状
が数回
発付
されることがあるということを予見しておるというお話でありましたが、それについては何らかの條件を附ける必要がないか、この点についての御意見を伺います。
宮下明義
29
○
政府委員
(
宮下明義
君) 最前御説明申上げましたように、
同一
の
犯罪
事実について、
同一
の
被疑者
に対してはただ一回しか
逮捕状
の
発付
を許さないということにいたしますると、
有効期間
の
関係
或いは
起訴状
の謄本の発達が不可能にな
つて
公訴
提起
が無効になる、或いは一旦
起訴
いたしましたが、その后
公訴
を取消しまして後に新たな証拠を
発見
して再
起訴
をするというような場合におきましても、尚且つ二回以上の
逮捕状
の
発付
が許されなく
なり
まして、実情に副いませんので、この案といたしましては、二回以上の
逮捕
赤の
発付
を容認いたしておるわけでございます。而して只今御説明申上げましたように、実際の必要に基きまして妥当な場合に二回以上の
逮捕状
が
発付
されるということは許されなければならないことでもあり、又必要なことでもありまするが、御心配のように、この
起訴
前の
捜査
の時間というものが
嚴格
に
制限
されておりまする
趣旨
をくぐる意味において、引続いて二回、三回と
起訴
前の
捜査
期間
を脱法的な手段によ
つて
得ようという
趣旨
において
逮捕状
の
請求
をするということは、法の濫用でございまして、そのような場合には、百九十九條三項の
規定
によ
つて
その通知がございまするので、
裁判官
の方で適当に考えまして、その
制限
をする、そういう場合には、
逮捕状
を
発付
しないということによりまして是正ができる。從いまして、
法律
の明文上必ずしも再度の
発付
について條件まで附ける必要はないのではないかと考えております。
松井道夫
30
○松井道夫君 その点でありまするが、
法律
では、殊に
憲法
の
趣旨
からでございます。今の
被疑者
の
勾留
ということを非常に
制限
しておるのでございます。それで
運用
の適正に讓るという御意見でありまするが、この第百九十九條の第三項によりまして、二回以上
発付
される場合があることは明白に分るのであります。それで実際の
運用
によりまして、これがどうも紊れ勝ちになるという虞れもあるのであります。先程いわれた
期間
を相当の
理由
でもあるために満了してしま
つた
、或いは
被告人
が逃げてお
つた
ために
起訴状
の謄本が送達ができない、或いはそれに類した場合に、條件を
限つて
再
発付
ができるということにしても、何らそれによる弊害というようなものはないと考えられるのであります。その点について重ねてお伺いいたします。
宮下明義
31
○
政府委員
(
宮下明義
君)
政府
といたしましても、勿論法の濫用は絶対にこれを禁止する、又今後の
運用
におきましても、通牒等によりまして御心配のないように嚴重に注意を加えまして、適正な
運用
をして参りたいと、こう考えておるのでありまして、只今御説明申上げたような、絶対に必要な場合であ
つて
、又妥当な場合にのみ再
発付
というものを考えておりまするわけで、
法律
上明文の條件が
規定
してございませんでも、そのような
運用
をして参りたいと、こう考えておるわけであります。 〔
委員長
退席、理事岡部常君
委員長
に着く〕
松井道夫
32
○松井道夫君 次に二百七條、二百
八條
の
関係
で、只今松村委員からお尋ねがあ
つた
ことと関連いたすのでありますが、二百七條では「但し、
勾留
の
理由
がないと認めるとき、」
勾留状
を発しない。それから二百
八條
の第二項では「やむを得ない
事由
があるときは、」云云と、こうい
つた
ことがあるのでありますが、二百七條の「
勾留
の
理由
がないと認めるとき、」というのはどういうことを指すのでありますか。それから二百
八條
の方の「やむを得ない
事由
があると任めるとき、」というのはどういう
事由
を指すのか、この点を一つ……。
宮下明義
33
○
政府委員
(
宮下明義
君)
勾留
の
理由
は
本案
の六十條に
規定
がございまするように、「
被告人
が罪を犯したことを疑うに足りる相当な
理由
がある」ことでありまして、これが二百七條第一項の
規定
によりまして、
起訴
前の
勾留
にも準用されまするので、
被疑者
が罪を犯したことを疑うに足りる相当な
理由
がございまするならば、
裁判官
が
勾留状
を発するということになるわけでございます。而してその
理由
があるかないかということは、
檢察官
が提供いたしまする
捜査
に基く
資料
によ
つて裁判官
が
判断
をいたすわけでございます。二百
八條
第二項の「やむを得ない
事由
」と申しまするのは、具体的な事例といたしましては、いろいろな場合があろうかと存じまするが、一例といたしましては、
被疑者
が非常に多数の
事件
、共犯が非常に多数の
事件
でございまして、手も少ない檢事局において一時に多数の
被疑者
を
勾留
いたしまして、十日間にその処理ができ得ない、例えて申しますれば、生産管理等の
事件
について沢山の
被疑者
を一時に
勾留
したというような場合、或いは例えて申しますれば、小平の
事件
のごとく非常に沢山の強姦、殺人等を犯しておる、これを十日内に
捜査
を遂げるということは、実際不可能の場合もございまするので、そのような場合には
裁判官
が実際十日内に
捜査
を遂げることができなか
つた
かどうか、止むを得ない
事情
を
判断
いたしまして、その
期間
を延長するということになろうと考えております。
松井道夫
34
○松井道夫君 二百七條の今の「
勾留
の
理由
がない」ときということが、六十條の今の「罪を犯したことを疑うに足りる相当な
理由
」、即ち罪を犯したということであるということにな
つて
参りますると、
檢察官
がいろいろ証拠等に亘
つて
その
理由
があることを
裁判官
に
申出
なければならないことに相成る。先程の御答弁で
檢察官
が
資料
を提供するのであると言われたのはその
趣旨
に相成るかとも思うのでありまするが、この
裁判官
が刑事訴訟の管轄
裁判所
の
裁判官
ということに
なり
ますると、それが例の
起訴状
一本主義、先入感を與えないという要請と矛盾して來るように思うのであります。勿論
裁判官
の除斥とか忌避とかいう
理由
には、かかる場合は入
つて
おらない、忌避の場合は別でありますが、除斥については入
つて
おらないのであります。その点問題があると存ずるのであります。例えば
現行法
の
勾留
原因、逃げるとか、或いは証拠堙滅の疑いがある、そうい
つた
ことに相成りますると、又別個の
資料
でよろしいのであります。
事件
の内容に入
つて
資料
が必ずしも必要でないのでありますけれども、この改正法の
建前
から行きますと、さような
事由
ではないのであります。
起訴状
一本主義と差支えるのでありますが、その点について……。
宮下明義
35
○
政府委員
(
宮下明義
君) その点は立案者といたしましても十分に考慮いたした点でございまして、御指摘のように
勾留
の
請求
を受けまして、
勾留
の
理由
があるかないかという
判断
をいたすことによ
つて
、その
裁判官
は或る程度の証拠を見、或る程度の先入感を持つということは誠に御指摘の通りであろうと考えます。從いましてこの場合においては、二百七條においては受訴
裁判所
がこの
勾留
の決定をいたすのではございませんで、單独の
裁判官
が
勾留
をするという
建前
を採りまして、必ずしも
現行法
のように受訴
裁判所
が
勾留
をするというようなことは考えなか
つた
わけであります。而して二百八十條の第一項に特別の
規定
を設けまして、「
公訴
の
提起
があ
つた
後第一回の公判期日までは、
勾留
に関する
処分
は、
裁判官
がこれを行う。」という
規定
を設けましたのも、只今御心配のありました
趣旨
を十分考慮いたしまして、
起訴状
一本主義との調和を図る
趣旨
において、このような
規定
を置いたのでありまして、
起訴
後におきましては、受訴
裁判所
が
勾留
に関する
処分
、例えば
勾留
の
理由
の開示の
請求
がありまして、その開示の
手続
をする、或いは
保釈
の
請求
がありまして、
保釈
をするかどうかという決定をするのは、すべて
事件
が係属いたしました受訴
裁判所
がいたしませんで、他の
裁判官
がするという
規定
を設けまして、
起訴
後においては
起訴状
一本主義との調和を図
つた
わけであります。而して
起訴
前においては、二百七條の
規定
によりまして、これも又受訴
裁判所
ではないところの單独の
裁判官
が
起訴
前の
勾留
を定めるわけでありますが、これらの
裁判官
がすべて二十條の
規定
によりまして除斥されるということにいたしますと、現在の実際の
裁判官
の陣容においてはその
運用
が付きかねる心配もございまするので、
勾留
に関與した
裁判官
をすべて除斥するという
建前
は取らなか
つた
のであります。二十
一條
によ
つて
、当事者から忌避の申立をされることは予想されておりますが、除斥までは考えなか
つた
。而して
起訴
前の
勾留
をいたしまする
裁判官
も、
起訴
後
勾留
に関する
処分
をする
裁判官
も、必ずしも受訴
裁判所
ではないということを考えて、
起訴状
一本主義との調和を図
つて
おるわけでございます。
松井道夫
36
○松井道夫君 それから二百十七條でありまするが、これは先程の百九十九條の際の御説明で問題は解決したと思いまするが、尚念を入れて伺
つて
置きたいと思います。住居、氏名が明らかでない、又は逃亡する虞れがあるということで
逮捕
された
被疑者
、
現行犯人
、これについてはやはり
勾留
に関する限り、今の住居不足の場合だけが
勾留
できるのであるというふうに了承いたしたいと思うのであります。尚続いて二百二十條でございますが、その末項によりますると、
檢察事務官
又は
司法警察職員
が
勾引状
又は
勾留状
を執行する場合、これは
被告人
に対するものか、或いは
被疑者
に対するものか、この
勾引状
、
勾留状
はいずれのものであるか、はつきりしないのでありますが、その点御説明願いたいと思います。 次に後段の方に、「
被疑者
に対して発せられた
勾引状
又は
勾留状
を執行する」ということでありますが、以前御説明を伺
つた
ところによりますると、
被疑者
に対しては
勾引状
という制度はなくな
つて
、それに代
つて
今の
逮捕
という制度によ
つて
、召喚に應じなか
つた
場合を保障したのであるというように聞いてお
つた
のでありますが、ここには「
被疑者
に対して発せられた
勾引状
」と書いてありますが、その辺の御説明を願いたいと思います。
宮下明義
37
○
政府委員
(
宮下明義
君) 第一点の二百十七條に関する御質問の点は御
趣旨
の通りでございます。 次に、二百二十條の末項の前段の
勾引状
、
勾留状
は
被告人
に対する
勾引状
、
勾留状
と、
被疑者
に対する
勾引状
、
勾留状
と両方を含んでおります。 後段の被留者に対して発せられた
勾引状
というものはないのではないかという御質問に対しましては、この場合僅かに予想しておりまするのは、
改正案
におきまして二百六十
二條
以下に、
檢察官
が人権蹂躙
事件
について
公訴
を
提起
しない
処分
をした場合に、これに対してその
事件
を
裁判所
の審判に付することを
請求
する制度を認めておりますが、この場合に
被疑者
に対して
勾引状
が発せられることがあるということを予想いたしておりまするので、これが僅かの
例外
になろうかと思います。本則といたしましては、
被疑者
に対しては
勾引状
というものは考えておりません。
逮捕状
で参いりまして、
裁判所
の
被疑者
に対して
勾引状
を発するのは二百六十
二條
の場合だけであるということになるわけでございます。
松村眞一郎
38
○松村眞一郎君 先程百九十九條の末項の再度
逮捕状
を
発付
する場合についての説明が
政府委員
からあ
つた
のでありますが、
裁判所
はよく考えて
発付
しないことがあるだろう。だから再度の
発付
、三度
発付
というようなことがあ
つて
も弊害がなかろうというような御答弁でありましたが、
発付
しないということについては何らかのそこに
判断
の材料がなければならないと思います。で、前に
請求
をした、又は
発付
したというだけの通知では
裁判官
は
判断
し得ないと思います。更に再発行を否認するという原因はそこに何ら示してないのであります。私はこういう再度発行を
請求
するならば、單に前に
発付
したということを通知するのみならず何故に再度
なり
三度も
逮捕状
を
発付
しなければならんかという
事由
ぐらいは、併せて示していいのじやないかと思いますが、先程仰せに
なり
ました
発付
しないことあるべしということの
判断
は、何によ
つて
やるのでありますか、單の通知だけでは私分らんと思いますが如何でしよう。
宮下明義
39
○
政府委員
(
宮下明義
君) 立案当局として予想いたしておりまするのは、
勾留状
を発するか、或いは
勾留
の
請求
を却下するかということも
裁判官
の裁判でございまするので、四十三條第三項の適用がございまして、決定又は命令するについての必要がある場合には、事実の
取調
をすることができるということにな
つて
おりまするので、
裁判官
が若しこの通知によりまして、而も引続いて二度三度と
逮捕状
の
請求
をしているような場合であ
つて
、確かに法の濫用と認められる場合にはこの四十三條の
規定
によ
つて
調査をし事実の
取調
をして、その
判断
を下すということを予想いたしているわけでございます。
松村眞一郎
40
○松村眞一郎君 私はこの事実を
取調
べる前に、單に通知だけでなくて、何か出させた方がいいのじやないかということを申している。單純なる通知だけでなく、再発行をする、三度も発行するということになれば、こういうわけでというようなことを何か書かせた方がいいのじやないかということの方面から申しているのでありまして、ただ二度來たからというので、一々事実の
取調
をするというのは非常に煩鎖であるから、非常に弊害を生ずる虞れがあるのでありますが、
請求
する方も或る程度の愼重な処置をした方がいいという考から申しているのでありますが、そういうようなことは立法の際にはお考えにならなか
つた
のですか、どうですか。
請求
の際に何らかの申入をさした方が便利であるという御考慮があ
つた
かどうか。
宮下明義
41
○
政府委員
(
宮下明義
君) 立案に際しましてその点も考慮いたしましたが、立案当局といたしましては、必ずしもそれまでの必要はないのではないかというところから、百九十九條の第三項のごとく、單なる通知という形に
規定
を設けたわけでございます。
松村眞一郎
42
○松村眞一郎君 私は文字論をかれこれ申すのではありませんけれども、元來そうい
つた
逮捕状
を、二度以後の
逮捕状
は、第一項の
逮捕状
といういい方でなくて、第三項の
逮捕状
という方が私はむしろいいと思います。そうでありますから、第一項の
逮捕状
を
請求
する場合においてということになると、
逮捕状
の再度、三度発行するということを第一項の初めから想像しているというような書き方でなく、むしろそうでなく第一項は初めて発行する場合の
規定
をしているのでありまして、二度目の時には、これは二度目の考えとして
例外
的に考慮するという立法をするのが当然で、初めから二度三度出すことは当然入
つて
おるのだという
考え方
の立法は私はよろしくないと思います。第一項は率直に初めて発行する場合のことを書いて、第三項において初めてそういう二度も重複の発行を考えるのだということの方が私はいいのじやないかと思います。立法する場合において、第百九十九條を書く時に、二度も三度も発行することを考えて、第一項を起草したという
考え方
であるならば、これは甚だよくないことである。
逮捕状
というのは一遍しか発行しないものであるという頭から進んで、
例外
として、二度、三度発行するという
考え方
をするのが当然で、初めからそれが第一項の
逮捕状
に入
つて
いるという立法のやり方は甚だ当を得ないと思います。第二項の場合は「前項」という字は要らない、第三項に至
つて
投捕状はこういうものだと
例外
に的に書く、こういう
考え方
の方がいいので、第三項を読んで見ると、再発行はやはり第一項の
逮捕状
だという
考え方
を以てできるというのは、これは普通の立法のやり方ではないと思います。それを御考慮を煩わしたい。これは我々の方で修正するときに考えるべきであるかも知れないが、こういうふうに私は考えます。
宮下明義
43
○
政府委員
(
宮下明義
君) 百九十九條第一項につきましては、第一回目の
逮捕状
の
請求
、第二回目の
逮捕状
の
請求
というような回数のことは考えませんで、ただ
逮捕状
の
請求
についての條件を
規定
したわけでございます。御指摘の点は十分研究して見なければならん点かとも考えておりまするが、現在私共の
考え方
といたしましては、必ずしもその必要はないのではないかと、かように考えております。尚
本案
におきましては、
逮捕状
というものは、
有効期間
が過ぎますと無効と
なり
まして、
裁判所
にその都度返すものでありますので、
逮捕状
を貰いましても、十日或いは二週間という
期間
を限ぎられた
逮捕状
が出まして、その
期間
内で
被疑者
を探すわけであります。必ずしも捕えられない場合は引続いて貰うということが予想されすので、一回、二回ということを別に考えずに、抽象的に百九十九條第一項の
規定
を設けたわけでございます。
松井道夫
44
○松井道夫君 二百二十六條、二百二十七條、それと関連しまして二百二十
八條
、この
規定
は公判中心主義と牴触するような
例外
の場合であるのでありますが、殊に二百二十七條の場合は不当でないかと思います。更に「
裁判官
は、搜査に支障を生ずる虞がないと認めるときは、
被告人
、
被疑者
又は
弁護人
を前項の尋問に立ち合わせることができる。」ということにな
つて
おるのであります。これは
憲法
に
規定
してあります刑事
被告人
は、すべての証人に対して審問する
機会
を充分に與えられるという
趣旨
からいたしましても、不穩当ではないかと思います。この点についての御意見を伺います。
宮下明義
45
○
政府委員
(
宮下明義
君) 二百二十六條、二百二十七條は確かに御指摘の通り公判中心主義の
例外
をなす
規定
であると考えます。つまり二百二十七條は、
檢察官
、
司法警察職員等
の証人に相当する者の
取調
は全く
任意
に
なり
まして、
檢察官
、
司法警察職員等
がそれぞれの者の
出頭
を求めましても、
出頭
を否むことができ、或いは
出頭
後随次退去もできるということにな
つて
おります
関係
上、搜査をいたすものといたしましては、この人の言うことを聞いたならば実際の眞相が分ると考えるのに拘わらず、その人の言うことが分りませんと、
起訴
、不
起訴
の
判断
もできない、或いは証人の申請をしてもいいかどうか分らないというような場合も考えられますので、二百二十六條の
規定
を設けまして、このような場合には
裁判官
に証人尋問を
請求
することができるということにいたしたわけでございます。二百二十七條の方は、例えば兇惡の恐喝
事件
等で、その
被告人
が証人等にいろいろな圧迫を加えまして、後の公判期日において証人が正しい証言をしない虞れがあるというような場合に、その証言を適当に保全いたして置きませんと、有罪に爲し得るものも有罪とすることができない、殊に
被告人
は終始默秘権を持
つて
おりますので、この二百二十七條のような
規定
がございませんと、
犯罪
の証明にも事欠くという点からこの
規定
を設けたわけでございます。而して
憲法
との
関係
において証人を十分に尋問する
機会
を與えないのは、
憲法
違反の疑いがあるのではないかという御議論でございますが、後に御説明申上げますように三百二十
一條
第一項第一号の
規定
によりまして、この二百二十六條、二百二十七條の
規定
によ
つて裁判官
が証人尋問をいたしましたその書面というものは、
供述
者が死亡、心身の故障、所在不明、又は外國にいる等のために、公判準備、若しくは公判期日において
供述
することができないとき、又は
供述
者が公判準備、若しくは公判期日において前の
供述
と異な
つて
供述
をしたときにおいて始めて証拠能力を得るわけでありまして、この二百二十六條、二百二十七條によ
つて
取られました証人尋問
調書
というものがすべて証拠能力を持
つて
おるわけではございませんので、その点は十分に説明が付くと、こう考えております。
松井道夫
46
○松井道夫君 今の御説明了承するわけでありますが、ただ証人尋問に
被告人
、
弁護人
を立会わせないことができるという、その点について御意見を聽きたい。
宮下明義
47
○
政府委員
(
宮下明義
君) 三百二十
一條
の前段の死亡、心身の故障等の場合には、改めてその証人を公判で
取調
べることができませんので、
憲法
の要求する証人を十分に尋問する
機会
を與えることが事実上できないわけでありまするが、後段の場合においては、その
供述
者を改めて公判に喚びまして証人尋問をいたしておるのでありまして、この場合には
被告人
が公判におりまして、その証人に対して反対尋問をいたしておるわけであります。而してその公判における証人の
供述
と二百二十六條、二百二十七條によ
つて
取りました証人尋問の書面の内容とが違
つて
おるわけでありまするが、その両者のいずれを採るかということを
裁判所
の裁量に委せまして、両方の証拠能力を認めたというわけでありまして、
憲法
の要求する十分に証人を尋問する
機会
を與えなければならないという要求は充たされておるものと、このように考えておるわけであります。
岡部常
48
○理事(岡部常君) それでは本日はこの程度で散会いたします。 午後零時三十五分散会 出席者は左の通り。
委員長
伊藤 修君 理事 鈴木 安孝君 岡部 常君 委員 大野 幸一君 中村 正雄君 水久保甚作君 池田七郎兵衞君 鬼丸 義齊君 前之園喜一郎君 宇都宮 登君 來馬 琢道君 松井 道夫君 松村眞一郎君 宮城タマヨ君 星野 芳樹君
政府委員
法務廳事務官 (檢務局刑事課 長) 宮下 明義君