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1948-06-16 第2回国会 参議院 司法委員会 第42号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年六月十六日(水曜日)   —————————————   本日の会議に付した事件 ○刑事訴訟法を改正する法律案(内閣  法付)   —————————————    午前十時二十七分開会
  2. 岡部常

    理事岡部常君) これより司法委員会を開会いたします。本日は前回に引続きまして刑事訴訟法を改正する法律案について政府委員の御説明を願います。
  3. 宮下明義

    政府委員宮下明義君) 本日は第二編第一審、第一章捜査から御説明申上げるのでありまするが、その前に、昨日大野委員から御質問がございました点をお答えして進行いたしたいと思います。その点は百四十八條及び百四十九條但書の具体的な例を説明せよという御質問でございます。百四十八條の具体的な例は、この條文はすでに現行法にもある規定でございまするので、例は沢山あるわけでございまするが、例えば共犯の一人と、百四十七條親族等関係がある者でありましても、他の共犯性格等に関する証言は拒むことができない。それから共同被告人の場合には、共犯でない場合には必ずしも共犯でない場合もございまするので、そのような場合には、共同被告人の一人と百四十七條関係がある者でありましても、他の共同被告人に関する事項に関しては証言を拒むことができないと、こういうことになるわけでございます。  百四十九條但書証言の拒絶が被告人のためのみにする権利濫用と認められる場合の具体的な設例といたしましては、醫師等が被告人と意思を通じまして、本人は承諾しても差支ないと考えておるのに拘わらず、その醫者被告人を庇つてやろうというところから相談いたしまして、その本人にいろいろ説得して承諾させないで、被告人を庇うような形において証言拒絶するという場合は、この権利濫用と認められる場合に該当するものと考えております。その他裁判所規則で定める事由と申しまするのは、現在においては必ずしも……この規定本文例外規定でありまするので、多くの事由裁判所規定で定めるということは考えておりませんが、強いて例を述べよと申さるるならば、例えば一例を挙げますれば、本人が死亡しておりまして、当然承諾するような状況にある場合には、裁判所規則証言拒否権を否定するということがあり得ると考えております。又醫者にかかつた本人が年齢が非常に小さな子供等で、必ずしも名譽心或いは祕密というようなものが考えられない場合におきましては、この百四十九條本文証言拒否をすることができないという事由を、裁判所規則で決めることがあり得ると考えております。いずれにいたしましても規則制定の際に十分に論議されるわけでございまするが、この但書は必ずしも多くの事由規定するということは考えておりません。  次に第二編第一審、第一章捜査の御説明を申上げます。第百八十九條及び百九十條は司法警察組織に関する規定でございます。警察法によりますると、國家地方警察警察官及び自治体警察警察吏員警察職務を掌るわけでございまするが、刑事訴訟法においては現行法通り司法警察という權念を存置いたしまして、警察官警察吏員、或いは百九十條に規定する者等犯罪捜査の活動をいたしまする場合に、司法警察職員という資格において犯罪捜査をするという現行法建前をそのまま維持いたしたわけでございます。而して百八十九條第一項によつて國家地方警察警察官及び自治体警察警察吏員は全員が司法警察職員として職務を行うとる規定いたしました。そうしてこの警察官及び警察吏員改正案によりまするところの司法警察員司法巡査とに分れるわけでございまするが、その分け方は百八十九條で一律に規定いたしませんで、その土地々々の事情によりまして、他の法律又は各公安委員会規則の定めるところによりまして、例えば巡査部長以上は司法警察員巡査司法巡査というふうに決めて頂くという建前を取つたわけでございます。その理由は、警察法によりまして警察官又は警察吏員というものが小さな單位に細分されましたので、法律によつて一律に巡査部長以上は司法警察員で、巡査司法巡査と決めますると、僅か数名しか職員のありません警察においてはその運用が行詰りますので、そのような場合には或いは巡査をも司法警察員として職務を行わしめ得るという余裕を置いたわけでございます。百九十條の「森林鉄道その他特別の事項について司法警察職員として、職務を行うべき者及びその職務の範囲は、別に法律でこれを定める。」、これは現行法がこれらの事項について勅令に委任してありましたのを、今回の改正案におきましてはこれらの事項法律規定するのが適当といたしまして、他の法律規定するという形にいたしたわけでございます。この法律司法警察職員として職務を行うべき者の指定等に関する法律案といたしましてすでに立案も終えておりまするので、この刑事訴訟法に引続いて御審議を願う予定にいたしております。内容は大体從來ございました勅令五百二十八号の内容と大差ございません。  次に百八十九條第二項及び百九十一條第一項の御説明を申上げまするが、現行刑事訴訟法におきましては、犯罪捜査の中心は檢察官でありまして、司法警察官及び司法警察吏檢察官の補佐又は補助として犯罪捜査をするのであるという建前を取つておりまするが、改正訟におきましては、すでに成立施行されておりまする警察法の精神に則りまして、警察法警察官警察吏員等に独自の犯罪捜査権を認めておりまする趣旨に從いまして、改正案においては司法警察職員に独自の犯罪捜査権と、その責任とを負わせたわけでございます。それが百八十九條第二項の規定でございまして、檢察官は百九十一條第一項によつて補充的に、必要と認める場合に犯罪捜査するものであるという第二次的な、補充的な犯罪捜査責任というものを規定いたしたわけでございます。このことは百九十條の特別司法警察職員につきましても同樣でございまして、今後森林関係の公務員又は鉄道保安官、勞働基準監督官等はやはり獨立の捜査主体として犯罪捜査をする、こういうことになるわけでございます。百九十一條の第二項は、檢察事務官犯罪捜査機関としての性格規定いたしたわけでございまするが、檢察事務官は本來檢察廳法によりまして、檢察廳の職員でございまするから、常に檢察官指揮下に立ちまして犯罪捜査をするのであるという性格を明らかにいたしたわけでございます。  次に百九十二條でございまするが、檢察官都道府県公安委員会、市町村公安委員会特別区公安委員会及び司法警察職員とは互いに捜査に関して協力しなければならないという規定を設けました。國家公安委員会につきましては、警察法六十七條第二項の規定がございまして、國家公安委員会は常に檢事総長と緊密な連絡を取らなければならないという規定がございまするので、この百九十條においては、國家公安委員会については触れませんでした。尚國家公安委員会はそれ自体具体的な犯罪捜査の執行をいたしませんから、檢察官と直接関係を持つて参りませんという見地から、百九十二條においては、都道府縣公安委員会以下の公安委員会と直接犯罪捜査に從事いたします司法警察職員との関係規定いたしたわけでございます。  次は百九十三條でございますが、今後第二次的補充的犯罪捜査責任を持ちました檢察官が、犯罪捜査全般に関して如何なる地位に立ち、如何なる権限を行使するかという規定が百九十三條の規定でございます。即ち第一項においては一般的な指示権というものを規定いたしまして、第二項では一般的の指揮権規定し、第三項においては捜査補助をなさしめるための個別的な指揮権規定いたしまして、第四項においては司法警察職員は前三項の檢察官指示又は指揮に從わなければならないという規定を設けたわけでございます。
  4. 岡部常

    理事岡部常君) 本日はこれにて散会いたします。    午前十一時零分散会  出席者は左の通り。    理事      岡部  常君    委員            大野 幸一君            中村 正雄君            水久保甚作君            鬼丸 義齊君            宇都宮 登君            松井 道夫君            松村眞一郎君            宮城タマヨ君            星野 若樹君    法務廳事務官    (檢務局刑事課    長)      宮下 明義