○政府委員(木内曾益君) お答えいたします。只今岡部委員から
お話になりました御心配の点につきましては、私共も一番頭を痛めた点であります。ただ理想といたしましては、判事、
檢事或いは
裁判所の書記その他職員を
相当増員する必要もあると
思つておりますし、法廷等の設備につきましても十分考慮しなければならん点があると考えておるのであります。併しながら、とにかく
刑事訴訟法は前にも申上げました
通りに、新憲法の要請しておる基本的人権擁護について最も重大な
関係のある法案でありまして、結局如何に新憲法が実施されたといたしましても、これに照應する
刑事訴訟法が実施されなければ、到底新憲法の趣旨を実施することができない、かように考えておるのでありまして、その
意味におきまして、かような法案を急いで提案いたしたようなわけでありまして、どうしてもこれは一日も早く実施しなければならんという情勢にあるわれであります。そこで先般の刑事
訴訟應急措置法の実施の場合に当りましても、当時私はその一線を承
つてお
つたのでありますが、從來よりかように急激な変化を來した手続を実施するということは、到底人手の
関係等から見てもやれない。我々はかようなことを早急に実施されても、治安維持の重責を完うすることはできないとまで当時申していた次第であります。併しながら実施された以上は、私共はこれは責任を持
つて何とかや
つて行かなければならんというので、手不足その他不十分ながらも一生懸命や
つてみますと、今日までその点についてさしたる支障もなく、むしろよい結果を來しておるような次第であります。そこで今度の改正案のような手続が若し突如として出たといますれば、
相当の齟齬を來したであろうということを考えられるのでありまするが、ま
あとにかく應急措置法の戦で、
相当期間訓練をされて、而もその結果は誠に良好に進んでおるのであります。その点から考えまするならば、大体
裁判手続は更に変
つておりますけれども、少くとも捜査の面から申しますけば、この應急措置法の線を條文化したわけでありまするから、私共は手不足ながらもとにかく何とかしてや
つて行けるという確信を持
つておる次第であります。
尚
裁判手続の方につきましては、成る程一審の方は非常に鄭重になりまして、その日数は或いは今日よりも長くなるのではないかということは考えられるのでありまするけれども、その半面におきまして、控訴審以後の手続が從來の控訴院のような覆審制を採
つておりませんので、更に同じ手続を繰返すことは必要がないというような点から、
裁判所ならば高等
裁判所の判事、或いは
檢事ならば高等檢察廳等の
檢事を配置轉換するなりいたすは勿論のこと、その外、実施の予定が來年の一月一日としておるわけでありますから、その間におきましてできるだけの努力を拂いまして、この手続を円満にや
つて行けるようにいたして行きたいと、かようにえ考ておる次第であります。