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1948-05-24 第2回国会 参議院 司法委員会 第29号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年五月二十四日(月曜日)    午前十時四十三分開会   —————————————   本日の会議に付した事件裁判官刑事事件不当処理等に関す  る調査の件(尾津事件に関し証言あ  り)   —————————————
  2. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それではこれより裁判官刑事事件不当処理等に関する調査会を開会いたします。証人の方に申上げますが、今日は裁判所の執られた処置について少し調査することがございますものですから証人として御出頭願つたわけですが、先ず証言をする前に嘘僞りを言わないという宣誓をお願いたしたいと思います。宣誓書は各人朗読して宣誓して頂きます。    〔総員起立証人は次のように宣誓行なつた。〕    宣誓書   良心從つて眞実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。         証人 大谷 菊夫    宣誓書   良心從つて眞実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。         証人 小峯 忠生    宣誓書   良心從つて眞実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。         証人 大澤常太郎    宣誓書   良心從つて眞実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。         証人 望月 作平    宣誓書   良心從つて眞実を述べ、何事もかくさず、又、何事もつけ加えないことを誓います。         証人 吉田 チヨ
  3. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それでは吉田チヨさんからお尋ねしますから、あとの方は控室にお待ち願います。  お年はお幾つですか。
  4. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 四十五でございます。
  5. 伊藤修

    委員長伊藤修君) お仕事は何をやつていますか。
  6. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 藝妓業を営んでおります。
  7. 伊藤修

    委員長伊藤修君) いつ頃からやつておりますか。
  8. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 商賣でございますか、大正八年頃から約三十二、三年やつております。
  9. 伊藤修

    委員長伊藤修君) これから述べられることに嘘を言つたり隠したりすることは僞証の制裁がありますから、御注意して置きます。あなたは藝妓をやつていらつしやるうちに、尾津さんにいつ頃からお知合いになつておりますか。
  10. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 昭和二十一年‥‥。
  11. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 二十一年のいつ頃からですか。
  12. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 二月頃と思いますが。
  13. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どういう関係で。
  14. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 最初何かの宴会で見えたと思います。
  15. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それからちよいちよいお出でになつたのですか。
  16. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) いいえ、そんなにちよいちよいは見えないのですけれども。
  17. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 月にどのくらい見えるのですか。
  18. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 二度くらいと思うのですが。
  19. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは主にお連れがあるのですか、お一人ですか。
  20. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 一人で見えるときが多いです。
  21. 伊藤修

    委員長伊藤修君) お連れのあるときもあるのですね。
  22. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) そんなに始終‥‥一人の方が多うございます。用が多いので、私の所だけじやないのでしよう。
  23. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 宴会や何かおやりになつたことがありますか。
  24. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) そんなに私、宴会という程に派手な宴会をやつたことないと思います。
  25. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 尾津君が宴会を催して、あなたが斡旋に出られたことがありますか。
  26. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) そんな宴会という程のこともないと思います。
  27. 伊藤修

    委員長伊藤修君) おやりになつたことはあるのでしよう。
  28. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) そうでございますね。丸きりないわけでもございません。
  29. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういう宴会お客さんは、どんなような人が見えられますか。
  30. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) そうでございますね。どなたという記憶も別にないときもございます。そういうお客様は分らず仕舞でございましたときもあります。
  31. 伊藤修

    委員長伊藤修君) でも特にあなたはお親しいのですから、尾津君のお知合のお客さんなら大切にしなくちやならんのですから、お客さんの種類や人柄はよくお分りのことと思います。お名前くらいは。
  32. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) そんなに大事なお客様が來たときは余りありません。
  33. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 大事なお客さんでもないというけれども、どういうようなお客さんですか。
  34. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) ちよつとそういうふうに記憶がないものでございまして、別に‥‥
  35. 伊藤修

    委員長伊藤修君) けれども、客の斡旋をされる御商賣ですから、お客さんが今日はどういう政治家だとか、今日は実業家だとか、今日は子分衆だとか、そのくらいのことはお分りのことと思います。そのお客さんは、主だつたお客さんも、大事にしなくちやならんお客さんもあるのでしようから、そのくらいのことはあなたとしては相当の御年配だからお分りにならなくちやならんでしよう。
  36. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 方々宴会しておりますものですから、氣にしておりません。
  37. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは一見のお客さんかなんかならそういうこともあり得るでしようけれども、あなたの御関係お客さんでしよう。あなたが主として座敷を取持たなくちやならん指揮者でしよう。それを大姐さんのあなたが知らんという理屈はないでしよう。
  38. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) いつ幾日どういう‥‥
  39. 伊藤修

    委員長伊藤修君) いや、いつ幾日とは言いません。どういうような人がお見えになつたかと聞いておるのです。知つていることを知らないとおつしやつても処罰されますよ。
  40. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) でも、忘れてしまつて‥‥
  41. 伊藤修

    委員長伊藤修君) いや、忘れるということは考えられないね。
  42. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) そういうお客様名前というものは別に浮ばないのでございます。
  43. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 全然知らないとおつしやるのですか。あなたは御自分置屋をやつておいでになる‥‥
  44. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) そうでございます。
  45. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたの屋号は‥‥。
  46. 吉田チヨ

  47. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたの藝名は。
  48. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 小吉と申します。
  49. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたの方で尾津君と出入りされるところの待合とか料理屋は。
  50. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) それは出入りいたしません、主人は。
  51. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 家の他の者は。
  52. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) は、私の家は藝者屋でございます。
  53. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 主人お客さんをしたときとか、子分衆を呼ぶときとかというときは、待合とか料理屋に行かれるでしよう。どういう家へ行かれるのですか。
  54. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) そうでございますね、芝浦の方へ行くときもございますし‥‥。
  55. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 芝浦の何という所ですか。
  56. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) それも余程前のことでございまして‥‥。
  57. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 行つた先の覚えのある家だけおつしやつて頂きたいと思います。
  58. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 東京港のそばの日本なんとか‥‥壽々木屋というのですか、何というのですか分りません。そこへも余程前に行きました。
  59. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ずつとおつしやつて下さい。料理屋とか待合名前おつしやつて頂きたいと思いますね。他はどこですか。
  60. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) そうでございますね、葭町の方でございますか。
  61. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どこでも今まで出入りされた所、尾津君のお客さんされたとか、尾津君とあなたと一緒のときとか、主にどういう所へ出入されたか。
  62. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 葭町で一番最初では竹内という家です。
  63. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは待合ですか。
  64. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) そうでございます。
  65. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それから。
  66. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) あとは三河屋。
  67. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それから‥‥それも料理屋ですか、待合ですか。
  68. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) それは料理屋でございます。今料理屋というのは‥‥貸席でございますね。
  69. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 他に‥‥
  70. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) あとはないと思います。
  71. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると三軒ですか。
  72. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) はあ、余りそんなん派手に遊んだことはないのでございます。
  73. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それら以外の所で宴会や何かやられたことないのですか。
  74. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) は。
  75. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それ以外の所で宴会をやられたことないですか。
  76. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 別に余りやつておりません。
  77. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 若しかお客樣を呼ばれたことないですか。
  78. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) そういう席へ余り伺すません。家へ月に一度か二度帰つて來るのが例でございましたが‥‥。
  79. 伊藤修

    委員長伊藤修君) お家へ行くのですか。
  80. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 私の家へ。
  81. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたの家へ、そういうお客さん泊りに來ることがありますか。
  82. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) ございませんです。狭い家だものですから。
  83. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたの所へ行くときには、尾津君と子分衆ぐらいですか。
  84. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) いいえ、子分も見えません。一人で見えます。
  85. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 一人で‥‥、あなたの所へ來るときはいつも一人ですか。
  86. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) はあ。
  87. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたは小芳とか何とかいうのじやないのですか。
  88. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) それは私の妹でございます。まだ始めましてそんなに経ちませんでございまして、私が主人一緒になつたの昭和二十‥‥その時分にはそこにございませんでした。
  89. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 小芳というのはあなたの妹藝者ですか。
  90. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) いや、本当の妹でございます。
  91. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 藝者に出ておるのじやないのですか。
  92. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 出ておりません。ただ小芳という家を経営しております。
  93. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 小芳という家を‥‥置屋ですか。
  94. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) いいえ、それは貸席でございます。
  95. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 貸席を‥‥妹がですか。あなたがですか。
  96. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) いいえ、妹がやつております。
  97. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そこに行かれるようなことはありませんか。
  98. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 私の家の方が直ぐ隣りでございますから。
  99. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 尾津君はそこに行きませんか。
  100. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) きたない方に‥‥私の元建てた住いの方へ。
  101. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 小芳へ行くということをよく言うのですが‥‥。
  102. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 私が小吉でものですからそういうふうに言われておるのでございます。
  103. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 料理屋は、妹さんが経営しておる方に行くのじやないですか。
  104. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 余り普請ができてから参つたことはありません。
  105. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 小芳というのは屋号ですか。
  106. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) はあ。
  107. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたと尾津君とは最初、初会は、そういうふうだが、いつ頃から関係なつておるのですか。
  108. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) そうでございますね、三、四月頃じやないかと思います。
  109. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その年のね。
  110. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) はあ。
  111. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それからずつとお世話なつておるのですね。
  112. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 別にお世話といつて、毎月どうこうということはございません。
  113. 伊藤修

    委員長伊藤修君) とにかく世話されておるわけですね。
  114. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) まあ、私のあれは委せましたけれども、そういうことは‥‥。
  115. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 月に三、四回、外に見えてないのですか。
  116. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 二、三回でございますね、用が多うございますから。
  117. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたの所に來て酒を飲まれるのですね。
  118. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) まあ嫌いじやない方でございますから。
  119. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どのくらい飲まれますか。
  120. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) そうでございますね、そのときの氣分でございます。
  121. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どのくらいいける人ですか。
  122. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) そうでございますね、別に家でどのくらいと‥‥。
  123. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 一升ぐらいいけるですか。
  124. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) そうでございますね、そんなにも飲めないと思いますからね。飲むときもあると思います。
  125. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 一升ぐらい飲むときもありますか。
  126. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) そんなにないと思いますけれども、あるかないか、しみじみそこにいたことはございません。
  127. 伊藤修

    委員長伊藤修君) お宅ではどのくらい飲む‥‥。
  128. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 飲んで來ておるときもございますから‥‥。
  129. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どのくらい飲みますか。
  130. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 弱い方ではございません。
  131. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どのくらい飲むというのですか。
  132. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 三、四合くらい……。
  133. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 三、四合飲む……それはウイスキーですか。
  134. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) いいえ、お酒だけでございます。
  135. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたの所に月に二、三回じやない、月に半月ぐらい來ておるのじやないか。
  136. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) いいえ、そんなに参りません。
  137. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 半月ぐらいあなたの所に泊つておるという話だが……。
  138. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) いいえ、そんなことはございません。
  139. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 月に二、三回來て泊るだけですか。
  140. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) はあ。
  141. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 外に、あなた以外に尾津君に関係の女の人がおりますか。
  142. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) さあ……。
  143. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 御存じないですか。
  144. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) はあ。
  145. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなた一人だと思つておりますか。
  146. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 私は自分でそう思つております。
  147. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたは本宅の方に出入されますか。
  148. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 今、分るようになりましてから、別に出入はしておりませんでございますけれども、あとは会えば仁義だけはしております。
  149. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 尾津君の細君とは知つておるわけですね。
  150. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) はあ、お目に掛かつております。
  151. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると、尾津君は今度事件が起りまして勾留されましたね。御存じてすね。
  152. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) はあ。
  153. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 勾留されてから面会に行きましたか。
  154. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) はあ。
  155. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何回ぐらい行かれたですか。
  156. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) そうでございますね。一週間に一度ぐらいでしようか。
  157. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 一週間に一度ぐらい……。
  158. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) それは昨年でございますか。
  159. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 昨年……。
  160. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 昨年の初まりは全然参りません。
  161. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 昨年の初めからね。
  162. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 参りませんです。
  163. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 一遍途中で、あとでお聞きしますけれどもね、途中で一遍出て來ておるでしよう。それまでの間に……。
  164. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) それまでの間は殆んど参りません。
  165. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 面会には行つたわけでしよう。
  166. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) そうでございますね、月に一回ぐらいじやないでしようか。
  167. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 月に一回ぐらい、そのときはどんな話をしておりましたか。
  168. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 身体のことをこちらから伺いました。それで私は何のあれもないし、ただ顔だけ、丈夫なことだけ見て帰つて参りました。別に外に用件はございません。
  169. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ただそれで病氣のことは何か尋ねたのですか。
  170. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) その後ああいう所に入つておりますから、身体工合はどうですかということを聞いたのです。
  171. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたの見るところではどうですか。
  172. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 大分なんですか爪なんかが白くなつておりまして、工合の惡そうなときがございました。
  173. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 特段重病人とは思わなかつたのですか。
  174. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 先から尤も胃が惡かつたのでございますが、出ていた時分によくのざいておりました。ゲーゲーゲーゲーいつておりました。工合が惡いことを始終知つておりますものですから。
  175. 伊藤修

    委員長伊藤修君) お宅の方へ訪問したことあるのですか。
  176. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) そうでございます。一度お祭のときに新宿の方へ伺いました。
  177. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そのときはどういう用事でお訪ねになつたのですか。
  178. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 我々が新宿の方へ行つたときにちよつと寄りました。
  179. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 別に特段のお話はないのですね。
  180. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) はあ。
  181. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたの所に子分が訪ねて來たことはないのですか。
  182. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) その子分なんていうものは、あちらにはないのでございます。
  183. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 子分なんていうものは主人にはないというのですか。
  184. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) はあ、子分なんて……。
  185. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 関東一の親分ですから子分がないということはないでしよう。子分とは言わなくても輩下の人とか、あの人が使つている人とかいう意味において、手足となつて働く人がいるのでしようが。
  186. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) そういう詳しいことは存じません。
  187. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたは裁判傍聽に行つたことがあるのですか。
  188. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) はあ、たまにございます。
  189. 伊藤修

    委員長伊藤修君) たまにですか。裁判のたびにですか。
  190. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) そのたびには参りません。
  191. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 一遍出て來るまで、仮釈放になつて出て來るまでの裁判に、何回ぐらい行つたのですか。九月十二日までに何回ぐらい行つたのですか。
  192. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) ちよつと記憶にないのです。
  193. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 凡そ何回ぐらい行つたのですか、一回とか、二回とか、三回とか、何回ぐらい行かれたのですか。
  194. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 五、六回ぐらい行つたのじやないかと思いますけれども。
  195. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 五、六回ぐらいね。
  196. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 四、五回じやないかと思います。私別にはつきりしておりません。記憶にないのですが。
  197. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 弁護士が沢山ついてますね、尾津君には。
  198. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 並んでいたところを見ました。
  199. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その弁護士の中でどなたを知つていますか。
  200. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 先から知つているのは上條さんです。
  201. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 上條さんね、上條さんは昔から知つているのですか。
  202. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 今度の法廷のときにお会いしました。
  203. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 法廷のときにね。それまでお会いになつたことはあるのでか。
  204. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) ございませんです。
  205. 伊藤修

    委員長伊藤修君) この法廷が始まつてから何回ぐらいお目にかかつたのですか。
  206. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 法廷の中でお目にかかつたことはありません。
  207. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 家へ行つたことはありませんか。
  208. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) いいえ、全然知りません。
  209. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 別に上條さんにお願いしたいことあるのですか。
  210. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 全然ございません。
  211. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 会つたときにはどうですか。
  212. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 別にそんなにお話したこともございません。
  213. 伊藤修

    委員長伊藤修君) だけれども、大切な御主人だからね。お頼みになることはないですか。
  214. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 私がやる立場じやないと思いまして‥‥。
  215. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 立場じやないといつたつて、あなたが関係していらつしやるのだからね。
  216. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 法廷でお目にかかるだけです。
  217. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 早く保釈して欲しいとか‥‥。
  218. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) さあ、そういうことは私別に口に出しません。
  219. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 弁護士特段主人のことをお頼みになることはないのですか。
  220. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 別にそういうこと、私自分のあれとしては、そういうことを無暗に言つて分りませんですから。
  221. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 人情としてはそういうことがあつてもいいように思うのですがね。
  222. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 中では思つておりましても、そういうことは言う立場じやないと思つております。
  223. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 子分の中に岡戸という人がいますね。
  224. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) あのマーケツトの方でございますか。
  225. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ええ、事務所の方ですか。
  226. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) はあ。
  227. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 板谷さんは。
  228. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 存じません。
  229. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 杉谷という人は。
  230. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 知つております。
  231. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 杉谷さん、岡戸さんはあなたの所に來るのですか。
  232. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 全然岡戸さんという人は來たことはなかつたのです。
  233. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 杉谷さんは。
  234. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 杉谷さんはたまに見えました。
  235. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 尾津君と一緒に來るのですか。
  236. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 見えたこともあると思います。
  237. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは尾津君の祕書をしておるんですね。
  238. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) さあ、そういうふうに受取れません。私には分りません。
  239. 伊藤修

    委員長伊藤修君) まあ始終ついて歩いておる人ですね。
  240. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 家では、帰つてからのことは全然行動が分りません。
  241. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 裁判所傍聽に行かれたときに、そういう人が來ておつたのですね。
  242. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) さようでございますね‥‥。
  243. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 傍聽の中に岡戸君やら杉谷君は來ておつたのでしよう。
  244. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) それは九月いつ‥‥。
  245. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 九月十二日までのことを今は聽いておるんです。
  246. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 前のことですか。
  247. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 來ておりましたんですね。
  248. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) さあ‥‥。
  249. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 顔見知りの人だから傍聽しておれば分るでしよう。
  250. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) それははつきりあれしておりません。
  251. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたの知つておる人で誰と誰が來ておつたのですか。
  252. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 傍聽ですか。
  253. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ええ。
  254. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 奧さんは見えておりました。
  255. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それから杉谷君、岡戸君は來ておつたでしよう。
  256. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) はあ、あとは知らないと思います。
  257. 伊藤修

    委員長伊藤修君) いや來ておつたでしよう。
  258. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) はあ。
  259. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 傍聽人沢山來ておりますか。
  260. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) さあ、そんなにいないときもございました。
  261. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 法廷に入りきれん程來ているんじやないですか。
  262. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) そんなことございません。
  263. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうじやないんですか。
  264. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) それは見学に來るのやなんかで來てるんじやないでしようか。
  265. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 傍聽人はいつも大体一ぱいじやないですか。
  266. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 私の顔見知りの方は余りおりません。
  267. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 顔見知りの方はあなたのおつしやつた三人くらいとしても、その外に顔を知らない傍聽人沢山來ているでしよう。
  268. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 來ておりましても私氣にしておりません。
  269. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 沢山來ておるか、來てないかということを聽いておるんです。沢山來ておるか、いないかくらい分るでしよう。氣にしなくても。
  270. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) まあ大勢のときもございますし、それからそんなに入つていないときもございます。
  271. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは多く子分の人じやないですか。
  272. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) さあ、それは全然分りません。
  273. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたも客商賣をしておる人だから人柄で以て直ぐ分りそうなものですね。これは子分の人だ、これは一般の人だくらいは分るのじやないですか。法廷で非常に尾津君が怒つて証人を毆りつけようとしたということがあつたですね。
  274. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) そのときは知りませんでした。
  275. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そのときはいなかつたですか。
  276. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) はい。
  277. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 尾津君が執行停止なつて出て來ることをいつ知つたのですか。
  278. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) それは私があの刑務所へ行きまして、病氣帝大に入つたということを‥‥奧さんの所へ電話したのです。
  279. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 刑務所へ行つたときに聞いたのじやないのですか。
  280. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 奧さんの方へ電話したのです。
  281. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 奧さんに電話して聞いたのですね。
  282. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 暫く伺わなかつたので、その後刑務所の方へいらしていますかと、そうしたら帝大へ入つておることを伺つたのです。
  283. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 電話だというと、出て來てからのことですか。
  284. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) はあ、九月過ぎ、十四日でございました。
  285. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると、九月十二日までは知らなかつたのですね。
  286. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) はあ。
  287. 伊藤修

    委員長伊藤修君) いつ出て來たのか知らなかつたのですか。
  288. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) そうでございます。
  289. 伊藤修

    委員長伊藤修君) たまたま奧さんの所へ電話をかけたら‥‥。
  290. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) たまたまでございません。暫くぶりでちよつとお電話したら、入院しているということを聞いたのです。
  291. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 十二日に出たということは‥‥。
  292. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 全然存じません。
  293. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 十四日に知つたのですか。
  294. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) はあ。
  295. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そのとき新聞に出ませんでしたか。
  296. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) さあ、記憶にないのでございますけれども‥‥あ、出ましたでしようか。
  297. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それでお電話したのですか。
  298. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) ちよつとそこのところはつきりしませんが。
  299. 伊藤修

    委員長伊藤修君) さつきちよつと言い掛けたのですが、刑務所で先に聞いたのじやないですか。證人吉田チヨ君) いいえ、そうじやございません。
  300. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 前から出られるというような噂は聞いておつたでしよう。
  301. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 全然そんなこと存じません。
  302. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それも知らない。
  303. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) はあ。
  304. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 誰かから、上條さんか誰かから聞きはしませんか。
  305. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 全然知りません。法廷でお目にかかつただけでございますが、それでもお話は申しません。
  306. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 病院の方へはそれですぐ電話をおけたんですね。
  307. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) いいえ、病院にはかけません。それで私が十五の日にちよつとお見舞に伺いました。
  308. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 十五日に。
  309. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) はあ。
  310. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 十五日の何時頃に出掛けたのですか。
  311. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 十一時かそこらだと思います。
  312. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 十五日の午前十一時頃ですね。
  313. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) そうだと思います。
  314. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何時間くらいおられましたか。
  315. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) そのときは十五分か二十分くらいじやないかと思います。
  316. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どういう話をしましたか。
  317. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 別に話もいたしません。
  318. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 顔も見に行つただけですね。
  319. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) はあ。
  320. 伊藤修

    委員長伊藤修君) すぐ帰つて來たんですか。
  321. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) そのときには主人が手前の所に來ました。
  322. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そのときにはあなたが迎えに行つたんですか。
  323. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 全然そんなことはございません。
  324. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 十一時頃行つて別に話もせずして、今度主人一緒に出掛けたのですか。
  325. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) いいえ、そうじやございません。私が帰ろうと思いましたら、主人がぶらつと、氣分があれだから散歩するといつて支度して‥‥。
  326. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 散歩するといつて自動車に乘つたのですか。
  327. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) それで私と一緒に‥‥。
  328. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 一緒連れつて出掛けたのですか。
  329. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) はあ。
  330. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 自動車はそのとき用意しておつたのですか。
  331. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) そこのところは分りません。表にあつたことはあつたんです。
  332. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 自動車は前からあつたんですね。それであなたと尾津君と‥‥。
  333. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) あつたのがどうか、とにかくそのところは記憶はありません。乘つて家へ來たことは確かです。
  334. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それであなたと尾津君と誰と乘つたのですか。
  335. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 上條先生です。
  336. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 上條さん、それから。
  337. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) それだけだと思います。
  338. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 岡戸君や杉谷君は乘つたんじやないですか。
  339. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 岡戸さんはお乘りになりません。
  340. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 杉谷君も。
  341. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) はあ。
  342. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 一緒に行かないのですか。
  343. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 乘らないと思いました。
  344. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 一緒に行つたんじやないですか。
  345. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) ‥‥。
  346. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 病院へあなたが訪問したときにどんな人がおつたんですか。
  347. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 奧さんがいきました。
  348. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 奧さんと上條さんと‥‥。
  349. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) それだけでございます。
  350. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その他に誰もいなかつたんですか。
  351. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 岡戸さんがいらしたかも知れません。
  352. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 岡戸さんがおつたんですか。その外に‥‥。
  353. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) さあ、あと分りかねますけれども。
  354. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 杉谷君はいないんですか、病院に。
  355. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) いたかも知れません。
  356. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 自動車は三人きりですね。
  357. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) と思いましたけけども。
  358. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それからすぐあなたの方へ行つたわけですね。
  359. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) はあ。
  360. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それから勿論酒を飲まれたんですね。
  361. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 主人がですか。
  362. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 三人して。
  363. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 主人工合が惡いので、全然私も病人扱いにしておりましたから飲ませませんでした。
  364. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 飲んだといつていますよ。
  365. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 上條さんには差上げました。
  366. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 上條さん一人きりですか。
  367. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 配給のお酒があつたもんですから。
  368. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 配給にしろどつちにしろ、三人して会食されたんだから普通でしよう。折角出て來られた祝いですから、心祝いとしても普通そういうことは常職でしようね。
  369. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) でも主人は口を付けないと思います。
  370. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 付ける付けないは別として、ともかく酒が出たわけですね。そうして三人して酒宴が始まつたわけですね。
  371. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) まあその席で‥‥。
  372. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 上條さんは相当飲まれたのですか。
  373. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) いいえ、一本かそこらしかお銚子を持つて参りません。
  374. 伊藤修

    委員長伊藤修君) いける口だから尾津君も黙つていないでしよう。
  375. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) いいえ、工合が惡いのでそのときは全然あれしておりません。横になつておりました。
  376. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 外の証人の人も病院でも飲んだと言つておりますよ。正直におつしやつて頂かなければ困りますね。別にそこで飲んだからといつて、罪が重くなるわけでもなし、尾津君の罪の軽い重いには関係ないことですから、今日あなたが証人に出て頂いたことは、尾津君の身柄のことには関係ないことですから、だから実際あつたこは正直におつしやつて頂かないと困りますね。あなたの関係しておる御主人のことを、御心配の余りいろいろなことを隠そうとされては困ります。
  377. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) いいえ、本当のことを言つておるのです。
  378. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 外の人から、とにかく尾津君はあなたの所で酒を飲んでおるというように、私の方では聞いておるのですがね。
  379. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 全然私は勧めません。
  380. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 勧めなくても、酒が出ておれば飲んでおるでしようというのです。
  381. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 口にしないと思いますが‥‥。
  382. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 沢山の人でない、尾津君と上條君とあなたとの三人でしよう。口にするとか、しないとか、いい加減なことを言わずに、一升もいける人が酒を見て手を付けんということはないじやないですか。
  383. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) それは昔二十一年ぐらいのときでしたら、ふだん飲んでおりましたが‥‥。
  384. 伊藤修

    委員長伊藤修君) とにかく酒は好きな人だから、酒を前にして口を付けんということは考えられませんね。而も心祝いの日ですから。それは各方面で調べておるのですから‥‥あなたは調べていないが、今まで外の関係はよその方でも調べておるわけですから‥‥どうですか。
  385. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 全然飲ませておりません。で調べておるのですから‥‥あなたは
  386. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 飲まんと言い切れますか。
  387. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) はあ。
  388. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 尾津君は酒を飲まずにどうしておつたのですか。
  389. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 横になつておりました。
  390. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それから。
  391. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) それから私はその間長い時間おりません。丁度お晝時でしたから食事の仕度をしておりました。
  392. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 三時間も過しておつたのですか。
  393. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 三時間はいないと思いますが。
  394. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 三時間ぐらいおつたのじやないですか。尾津君はあなたの家におるときどうしておりましたか。
  395. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 横になつてこうやつて(手枕の恰好をする)おりました。少し身体を休めておりました。
  396. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それでどういう話をしておりましたか。
  397. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 話は別に‥‥。そこには私なにしておりませんでした。
  398. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 上條君は一緒におしまいまでおりましたでしよう。
  399. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 上條先生は家にお帰りになりました。お酒一本飲んで‥‥。それからお晝時ですからお食事も上りました。私の手料理を。
  400. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それから尾津君と二人になつて、床でものべたわけですか。
  401. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) いいえ、そんなこともありません。
  402. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それからどうしました。
  403. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) そこに横になつておりました。私は下に用事がありましたから‥‥。それで別に薄團を被せたわけでもなく、ちよつと横になつておりました。
  404. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 尾津君一人おつぽり出しておつたわけですね。
  405. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 休んでおりました。
  406. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 久し振りに出てきた祝いの日だし、あなたに会いたがつて上條さんを先棒にしてあなたの所にわざわざ危險を昌して行つたんじやありませんか。それがそんな平凡に放り出して、あなたがよそへ行つてしまうという、そんな水臭い話はないじやありませんか。あなたの氣持からいつても、尾津君の氣持からいつても、そんなことは常識で考えられません。いい加減のことを言つては仕方がない。
  407. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) そんなに長い間ではありません。
  408. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 長くても短くても‥‥短いなら短い程お互いの氣持はもつと進むべきものではないですかね。折角尋ねて來たものを、あなたが誘い出したとはおつしやらんけれども、少くともあなたの顔を見て行く氣になつたのだから、酒も呑まん、床も敷かないというようなことでは‥‥一体尾津君は手枕で、一人ぼつちで放つて置くということは考えられません。
  409. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 全然そういうあれはないのでございます。
  410. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたははたにおつて介抱するとか、いろいろお留守中のお話をされるとか、そうあるべきことじやないですか。
  411. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 割合に細かいことをあれすることを主人は嫌いなものですから‥‥。
  412. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 細かいことは言わないでも、監獄の中での苦しいことを不平を言うとか、保釈で非常に苦しんだとか、いろいろそういう話をすべきだが、あなたの話を聞いておると、まるで赤の他人のように水臭い話ですね、三時間酒を呑んでおつたとか何とかいうなら又‥‥。
  413. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 絶対にそんなにあれしておりません。二時間くらいだと思いました。
  414. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 酒も呑まず、どうもしないで、横になつておるということは考えられないんですよ。あなたもいないなんという、尾津君そんなに‥‥。
  415. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) まるきりいないのではございません。下に留守番も要るし‥‥。
  416. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 尾津君は非常に氣の短い人で、そんなことを承知しないでしよう。
  417. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 家あたりに來たときは‥‥。
  418. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは自由ならとにかく、自由でないときだから、仮に許されても‥‥而も許されておつたところが、一月しかおられないという、全くたまに逢う瀬だから、折角行かれてそんなに無意味に時間を過すことはあり得ないと思います。あなたとしても又再び逢えるか逢えんか分らん絶好の機会に、酒を呑んで語り合うとか、或いは寝まれることがあり得ることだ。或いは話に夢中になるとか、この三つのうち何かあるべきです。
  419. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) ただあれして時間が過ぎて、直ぐお帰りになつた。
  420. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 酒も呑まんというのですね。寝まれもしなかつた、横になつておられたというのですね。
  421. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) ただ自分で横になつておつた
  422. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 横にただごろつとなつておる‥‥そのところは外の人が皆言うてみえるんですから、若しあなたが言いにくければ傍聽を禁止してもいいのですが、あなた一人でお伺いしてもよろしいのですが、皆さんの前で言いにくいというのなら‥‥どうですか。
  423. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 決してそういうことはございませんものですから、今私が申上げた通りなんでございます。
  424. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 若し間違つておるとあなたは僞証になりますよ。‥‥それから何時頃帰られたのですか。
  425. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 二時ちよつと過ぎだと思います。
  426. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それまで自動車は待つてつたのですか。
  427. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) はあ、あつたと思います。
  428. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 帰るときは一人ですか。
  429. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) そのときは岡戸さんなんかみえたと思います。
  430. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 岡戸さん自体も來ておつたのではないのですか。
  431. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 病院のときだけです。
  432. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたの所から帰るときに、尾津君一人で帰つたのですか。
  433. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 岡戸さんが寄つたと思います。
  434. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 岡戸さんは最初から來ておつたのではないのですか。
  435. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 家にちよつと寄つたのです。
  436. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 尾津君がおるときに來たんですか。
  437. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 参りました。
  438. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何時頃來たのですか。
  439. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 時間のことははつきりしません。上條先生が帰られた後で‥‥。
  440. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 上條さんが帰られた後、二時間くらいおつたわけですね。
  441. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 二時間はおりません。
  442. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 一時間乃至二時間くらいおつたわけですね。岡戸君と尾津君と何を話しておつた‥‥。
  443. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) それもはつきりしません。私聞いておりませんから‥‥。
  444. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたは、おつたのではありませんか。話は聞かない‥‥。
  445. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) はあ。
  446. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どういう用事で來たと思つたか。
  447. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) お畫どきですから、お畫をあれして‥‥。
  448. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 岡戸さんもお畫を食べたのですか。
  449. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) はあ、出したでしよう。ちよつと主人に用があつて來たのではないかと思いました。それは私存じません。
  450. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうでなくて、初めから岡戸さん、上條さん、尾津君、あなたの四人がお膳を揃えて‥‥。
  451. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 全然岡戸さんはおりません。最初上條先生と私‥‥。
  452. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そこで祝い宴会という程ではないが、内祝いをしたのではないですか。
  453. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) いいえ、そうではありません。上條先生と主人と私と先に‥‥。
  454. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どういうような話をしておつたのですか。何か用事がなければ來ない筈でしよう。
  455. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 話のことは私に聞き取れませんでした。
  456. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 帰りには二人で帰つたのですね。
  457. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) はあ。
  458. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたは送つて行かなかつたか。
  459. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 送つて参りません。
  460. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それから十六日まで‥‥。
  461. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) はあ、十六日は全然存じませんでした。まだ病院に見えるものとばかり思つて‥‥。
  462. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 病院へ訪ねて行きませんか、病院におるうち。
  463. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 訪ねません。
  464. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 尾津君が出ておるうち会つたのはそれ一回ですか。
  465. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) はあ。
  466. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 電話は掛けませんか。
  467. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 掛けません。病院へ電話は全然掛けません。
  468. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 上條さんがおつしやるのは、上條さんがたまたま病院を訪ねたら、病院から出てならんことになつておる。それはあなたも御承知でしよう。知つてるでしよう。
  469. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 私は上條先生が付いて見えたから‥‥。
  470. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 病院から出てならんことは知つてるでしよう。
  471. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 全然私存じません。上條先生が付いていらつしやるくらいだから、こつちは別にその方は‥‥。
  472. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 上條さんに非常にだだをこねて、怒つて、あなたの所へ行つたわけですから‥‥。
  473. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 私がですか。
  474. 伊藤修

    委員長伊藤修君) いいえ、尾津君が。
  475. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) そんなこと主人が言うわけないと思います。
  476. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 上條さんはそう言つております。
  477. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) そんなに私の所へ來たいとは‥‥。
  478. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたに非常に会いたいために、上條さんを怒りつけて、我意を通して無理に出掛けた、それ程切なる思いをして、あなたの所へ出掛けたのですから。
  479. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) そんな無茶苦茶な人でないと思います。
  480. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 上條さんは弁護士ですから、軽はずみのことは言つていない。相当責任を持つて言葉を注意しておるようです。
  481. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) それは私存じません。そういうふうに主人上條さんに言つたことは存じません。
  482. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 外にお尋ねになる方はございませんか。
  483. 中村正雄

    ○中村正雄君 尾津さんが病院に入つているということは、九月十四日に御承知になつたのですか。
  484. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) はい。
  485. 中村正雄

    ○中村正雄君 それは自宅の方にお電話があつたのですか。
  486. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) はい。
  487. 中村正雄

    ○中村正雄君 奧さんから聞かれたのですか。
  488. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) はい。
  489. 中村正雄

    ○中村正雄君 九月十四日には奧さんは自宅に居られたのですか。
  490. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 奧さん直かじやございません。奧さんの所の御親戚の方が始終居りますから‥‥。
  491. 中村正雄

    ○中村正雄君 奧さんから聞かれたわけじやないのですね。
  492. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) はい。
  493. 中村正雄

    ○中村正雄君 もう一つ、病院からあなたと一緒にお宅に行かれるときに、自動車に乘るときに上條さんと尾津さんと何か口論しませんでしたか。上條さんは行つちやいけないと、それを無理に上條さんを尾津さんが自動車に引摺りこんだという事実はありませんか。
  494. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) さあ、そんなことはないように思います。ただ普通にお乘りになつたと思いますが。
  495. 中村正雄

    ○中村正雄君 上條さんも普通と同じような態度で、普通に外出するような態度で乘つたのですか。
  496. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) さあ、そのところはただ普通にお乘りになつたように思いますが‥‥。
  497. 中村正雄

    ○中村正雄君 併し、これは古いことだとおつしやいましたけれども、非常に印象に残つている筈だと思いますが‥‥。あなた御自身が御主人に何ケ月かにお会いになつてお宅に行く場合ですから、自動車に乘るときの樣子ぐらい、小さなことなら分りませんが、上條さんが普通の態度で乘つたか、御主人が無理に乘せたか御記憶にあると思いますが。
  498. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 無理に引摺り入れたようなことはないと思います。
  499. 中村正雄

    ○中村正雄君 それからお宅へ、岡戸さんは上條さんがお帰りになつた後においでになつたのですか。
  500. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) そうでございます。
  501. 中村正雄

    ○中村正雄君 それで上條さんがお帰りになつたのは何時頃ですか。
  502. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) そうでございますね、一時‥‥。
  503. 中村正雄

    ○中村正雄君 一時頃ですか。
  504. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) そのくらいだと思いますが。
  505. 中村正雄

    ○中村正雄君 それから岡戸さんは入れ違いくらいに來たのですか。
  506. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) はい。
  507. 中村正雄

    ○中村正雄君 そうすると、岡戸さんがあとからおいでになつて、それからその病院にお帰りになる間は一時間くらいですね。
  508. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) そうだと思います。
  509. 中村正雄

    ○中村正雄君 その間岡戸さんと尾津さんと話をしておつて、あなたはその席に居らなかつたのですか。
  510. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 一時か一時半だかはつきりいたしません。
  511. 中村正雄

    ○中村正雄君 勿論時間ははつきりいたしませんが、大体の時間ですが、そうすると岡戸さんがおいでになつて、尾津さんと話をしている間に、あなたはその席に居らなかつたのですか。
  512. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) はい、そのとき畫の仕度をして‥‥。
  513. 中村正雄

    ○中村正雄君 岡戸さんの食事の仕度をしておつたのですか。
  514. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 主人上條さんに出しましたあとの整理をしたり、自分の食事もしなくちやなりませんので、片附けておりました。
  515. 中村正雄

    ○中村正雄君 一時間以上おりましたか。
  516. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) そんなにおりませんでした。
  517. 中村正雄

    ○中村正雄君 御主人と皆お宅に帰つたのは何時くらいですか。
  518. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 二時‥‥。
  519. 中村正雄

    ○中村正雄君 いいえ、お宅に行つたのは、病院からお宅に行つたのは何時頃ですか。
  520. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 十一時半頃じやないかと思います。それから十二時頃かとも思います。
  521. 中村正雄

    ○中村正雄君 そうすると、お宅に尾津さんと一緒に居られた時間はどのくらい、一時間くらいですか。
  522. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 一時間も居りません。
  523. 中村正雄

    ○中村正雄君 一時間も居らないわけですね。
  524. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) そうです。
  525. 中村正雄

    ○中村正雄君 一緒にお話したのは一時間もない‥‥そのときは上條さんと一緒ですか。
  526. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 上條さん‥‥。
  527. 中村正雄

    ○中村正雄君 お帰りになつて、入れ替りに岡戸さんが來たのですか。その間‥‥。
  528. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) その間五分か十分くらい‥‥。
  529. 中村正雄

    ○中村正雄君 その間あなたは居らなかつたのですか。
  530. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 上條さんが居られたあと岡戸さんが見えて、その間主人と話しておりました。
  531. 中村正雄

    ○中村正雄君 お話を‥‥。
  532. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) お話は別にありませんでした。
  533. 中村正雄

    ○中村正雄君 上條さんと一緒に食事したのですか。そのとき一緒におられたのですか。
  534. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 席には居りました、食事中は。私がお給仕いたしました。
  535. 中村正雄

    ○中村正雄君 たまたま岡戸さんと尾津さんと一緒に居られる間はあなたは居らなかつたのですね。
  536. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) はい。    〔証人望月作平君着席〕
  537. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 今日は当委員会で裁判所の処置について少しく調べたいことがありますので、そのことについて証人としてあなたを御出頭願つたわけですが、先ず嘘、僞りを言わないという宣誓をお願いいたしたいと思います。
  538. 望月作平

    證人(望月作平君) 先程いたしました。
  539. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 宣誓なさつた以上は、これからお述べになることに嘘、僞りがありますと、僞証の制裁がありますから、そのつもりでお願いいたします。
  540. 望月作平

    證人(望月作平君) はい。
  541. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたはお年は。
  542. 望月作平

    證人(望月作平君) 四十三歳。
  543. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 御商賣は運轉手ですか。
  544. 望月作平

    證人(望月作平君) そうでございます。
  545. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 自分で自動車を持つておるのではないのですね。
  546. 望月作平

    證人(望月作平君) 現在は雇われております。
  547. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 昨年の六月から九月頃までの間はどうですか。
  548. 望月作平

    證人(望月作平君) 現在の会社から尾津さんのところに雇われて行つておりました。
  549. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 会社から雇われて‥‥。
  550. 望月作平

    證人(望月作平君) そうでございます。
  551. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 車はどこの車ですか。
  552. 望月作平

    證人(望月作平君) 会社の車です。
  553. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 專属というのですか。貸切というのですか。
  554. 望月作平

    證人(望月作平君) 貸切で月極めで毎日‥‥。
  555. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 毎日行つてつたのですね。
  556. 望月作平

    證人(望月作平君) 毎日行つておりました。
  557. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その以前はどうですか。六月以前はどうですか。六月尾津君が勾留される以前はどうですか。
  558. 望月作平

    證人(望月作平君) 以前は行つておりませんでした。いつも会社から行つておりましたが、他の運轉手が行つておりました。
  559. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 尾津君はあなたの方の会社に始終自動車を頼むのですか。
  560. 望月作平

    證人(望月作平君) はい、終戰直後から行つておりました。
  561. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたの会社はどういう会社ですか。
  562. 望月作平

    證人(望月作平君) 國際自動車の四ツ谷営業所から行つておりました。
  563. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 主にどういう名前の人が行つておりましたか。あなたの前はどういう名前の人が行つておりましたか。
  564. 望月作平

    證人(望月作平君) 一番先に松川という運轉手が行つておりました。
  565. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 名前は。
  566. 望月作平

    證人(望月作平君) 名前ちよつと記憶しておりません。
  567. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その人は今おりますか。
  568. 望月作平

    證人(望月作平君) おります。
  569. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それから‥‥。
  570. 望月作平

    證人(望月作平君) その次には何人も変つて、よく存じておりませんが、一番最初は松川という運轉手が行つておりまして、その次は臨時で笠原という運轉手が行つておりました。その運轉手が臨時のために、行つておられないので、私はその後を交替をして行きました。それは去年の八月、よく存じておりませんが、八月の中頃かと思いましたが、その頃からずつと今年の正月中頃まで殆んど続けて行つておりました。
  571. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたが。
  572. 望月作平

    證人(望月作平君) はい。
  573. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 六月頃から八月頃までは。
  574. 望月作平

    證人(望月作平君) 笠原という運轉手が行つておりました。
  575. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その前は。
  576. 望月作平

    證人(望月作平君) その前は松川さんが行つておりました。
  577. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 終戰後‥‥。
  578. 望月作平

    證人(望月作平君) 終戰後暫く行つておりました。
  579. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 終戰後大体一人ですね。
  580. 望月作平

    證人(望月作平君) はい。
  581. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 今この会社は月極めでございますね。
  582. 望月作平

    證人(望月作平君) 月極めが殆んどでございます。
  583. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何台ぐらい‥‥。
  584. 望月作平

    證人(望月作平君) 現在四ツ谷営業所は二十五台ぐらいです。
  585. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 尾津君に提供する車は一台ですか。
  586. 望月作平

    證人(望月作平君) 一台です。
  587. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたは尾津君が勾留されてから後のことでございますね。
  588. 望月作平

    證人(望月作平君) 後でございます。
  589. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 尾津君は元から知つておりましたか。
  590. 望月作平

    證人(望月作平君) 殆んど知りません。
  591. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたは今の会社はいつ頃入られましたか。
  592. 望月作平

    證人(望月作平君) 私はずつと戰爭が始まりしても間もなく入りました。
  593. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 入つてつても知らなかつたですか。
  594. 望月作平

    證人(望月作平君) 入つてつても知らなかつたです。
  595. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 乘せたことはないのですか。
  596. 望月作平

    證人(望月作平君) ありません。
  597. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 八月のいつ頃からあなたが專属になつたのですか。
  598. 望月作平

    證人(望月作平君) 八月の中頃だと思いましたが、はつきり覚えておりません。八月の中頃からだと思いました。
  599. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どういう人が乘るのですか。留守中は。
  600. 望月作平

    證人(望月作平君) あの当時は、奥さん、それから杉谷さん、それから副組長の岡戸さん、支配人の松井さんというのですが、数は乘りませんけれども、ちよいちよい乘る人が奥さん、杉谷さんという人が乘ります。たまに岡戸さん、今の松井さんという方が乘ります。
  601. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういう奥さんとか、幹部連中が殆んど專用でございますね。
  602. 望月作平

    證人(望月作平君) そうでございます。
  603. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 他の人は乘るようなことはございませんか。
  604. 望月作平

    證人(望月作平君) ありませんでした。
  605. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 尾津君の所に來る重要な大切なお客さんを乘せたようなことはございませんか。
  606. 望月作平

    證人(望月作平君) 殆んどありません。たまには家から行くお客さんもおりますけれども、殆んど名前分りません。たまには知らない人を送ることがありますけれども、滅多にそういうことはありません。
  607. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何か有名な人をお送りしたようなことがありませんか。
  608. 望月作平

    證人(望月作平君) ありません。
  609. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 尾津君のお客さんを送つたようなことは何回くらいあるのですか。
  610. 望月作平

    證人(望月作平君) いや、そういうようなことは、余り送つたようなことはないのですがね。
  611. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると、今のあなたが主に乘せる四人ですね、それはどこに主に行つたのですか。
  612. 望月作平

    證人(望月作平君) 主に刑務所面会に行くことが多かつたのです。それから弁護士に‥‥。
  613. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 弁護士はどこの‥‥。
  614. 望月作平

    證人(望月作平君) 上條さんだとか、澁谷の、名前は知りませんが、道玄坂の上を上りまして、ちよつと行つた所であります。名前を覚えておりませんけれども、そこの弁護士宅と上條さん宅と柏木の野村專太郎さんの家くらいのものですね。主に歩く所は殆んどそんな所だつたと思います。
  615. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その他は余り行つたことがないですか。
  616. 望月作平

    證人(望月作平君) その他には、たまには外に変つた所へ行きましたが、歩く所はそんな所ですね。
  617. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 変つた所で覚えておる所はありませんか。
  618. 望月作平

    證人(望月作平君) 最近ですか。
  619. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 最近のことじやない、その当時のことです。九月頃までのことです。
  620. 望月作平

    證人(望月作平君) 九月頃のことですね。たまに区役所だとか、変つた所は淀橋の区役所ぐらいのものです。
  621. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 役所じやなく、個人の所で‥‥。
  622. 望月作平

    證人(望月作平君) 個人の所は、たまにはあすこへも行つたことがあります。下谷の竹町の大澤さんという所ですが、名前ははつきり覚えておりませんが、機械や何か陳列してあります家で、そこへも一、二回行つたことがあります。
  623. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何か有名な政治家の家や何かへ行つたことはありませんか。
  624. 望月作平

    證人(望月作平君) ありません。
  625. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 政治家のような人をお送りしたことがありませんか。
  626. 望月作平

    證人(望月作平君) 記憶ありません。
  627. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 尾津君が刑務所から出て來たことは知つていますね。
  628. 望月作平

    證人(望月作平君) あの仮釈放を受けた日ですか。
  629. 伊藤修

    委員長伊藤修君) え。
  630. 望月作平

    證人(望月作平君) 知つております。
  631. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そのときはあなたが迎えに行つたのですか。
  632. 望月作平

    證人(望月作平君) そのときは何か、覚えておりませんけれども、車の故障か何かで行つておらないと思います。仮釈放を受けて病院へ入られたときから行きました。
  633. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 病院へ入られたときは、あなたの車で行つたのじやないですか。
  634. 望月作平

    證人(望月作平君) 病院に行つたのは私の車じやないと思います。
  635. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると、刑務所へ迎えに行つたのも病院へ送つたのも、あなたの車じやないというのですね。
  636. 望月作平

    證人(望月作平君) はあ。
  637. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると、いつから病院の方に車を持つて行つたのですか。
  638. 望月作平

    證人(望月作平君) 入られた翌日から行つたと思います。
  639. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 十三日ですか。
  640. 望月作平

    證人(望月作平君) はあ、病院へ入られた翌日から丁度車が直つたので、それから行つたと思います。
  641. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 十三日ですか、十四日ですか。
  642. 望月作平

    證人(望月作平君) 日は殆んど覚えておりません。
  643. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 出て來たという話で翌日から行つたというのですか。
  644. 望月作平

    證人(望月作平君) そうです。
  645. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それからずつと、又び刑務所へ行かれるまで、病院の方へ詰め掛けていたのですね。
  646. 望月作平

    證人(望月作平君) はあ。
  647. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 用事があれば直ぐ行かれるわけですね。
  648. 望月作平

    證人(望月作平君) そうです。
  649. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 病院から乘られるのはどういう人が乘つたのですか。
  650. 望月作平

    證人(望月作平君) 病院から乘られたのは、私の覚えている程度では、二回に亘つて外出したと思います。
  651. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 尾津君がですか。
  652. 望月作平

    證人(望月作平君) そうです。それから覚えておりませんけれども、前後するかも知れませんけれども、一回は浅草を廻りまして、上條さんの宅へ参りまして、それから竹町の大澤さんというのですが、そこの家へ行きまして、病院に帰られたのが一回と、それからその後だか前だかよく分りませんが、今度は葭町へ行つたことを覚えております。
  653. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 前のことから話して下さい。
  654. 望月作平

    證人(望月作平君) それは前後するかも知れませんが、それはよく覚えておりませんけれども、二回に亘つたということは大体記憶しております。
  655. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 十五日と十六日じやないですか。
  656. 望月作平

    證人(望月作平君) そうかも知れません。何しろ二回外出したときは私乘せております。
  657. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 午前出たというのはどつちですか。
  658. 望月作平

    證人(望月作平君) 午頃出たのは‥‥。
  659. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それが葭町の方へ行つたのじやないですか。
  660. 望月作平

    證人(望月作平君) 葭町の方へ行つたのかも知れません。それは‥‥。
  661. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 先ずそれから伺いましよう。
  662. 望月作平

    證人(望月作平君) そのときには、はつきり人数は覚えておりませんが、尾津さんに杉谷さん、それから上條弁護士、それから岡戸さんが乘つていたように思いました。それからいま一人事務所の若い方で、何という名前かよく覚えておりませんが、その方一人乘つたと思つております。
  663. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それから葭町の姐さんですね。小吉さんですか。
  664. 望月作平

    證人(望月作平君) 小吉さんです。
  665. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると六人ですね。
  666. 望月作平

    證人(望月作平君) はあ。
  667. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 六人も乘れますか。
  668. 望月作平

    證人(望月作平君) 定員七人の自動車で、六人乘れます。
  669. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それで病院の玄関へ皆出て來たわけですね。
  670. 望月作平

    證人(望月作平君) そのとき大將は、尾津君はどうだつたですか、玄関へ出て來たときの模樣は。
  671. 望月作平

    證人(望月作平君) そのときの模樣は、私よく分りませんでしたけれども、すつと乘られまして、何だか別に私も記憶はありませんが、普通に思つおりました。
  672. 伊藤修

    委員長伊藤修君) でも久し振りにあなたは尾津君を見たのでしよう、そのときに。
  673. 望月作平

    證人(望月作平君) 顔を見れば尾津さんだなということが‥‥分りますけれども、その前に行つていたわけじやないですから、余りそれ程感じておりません。
  674. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どの人が尾津さんか知つていたでしよう。「まあ、親分お先に‥‥」というわけで。
  675. 望月作平

    證人(望月作平君) はあ。
  676. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それで尾津君が先に乘つて來たわけですね。
  677. 望月作平

    證人(望月作平君) はあ。
  678. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そのときの尾津君の模樣はどうだつたですか。
  679. 望月作平

    證人(望月作平君) そのときには普通のように思つておりましたけれども、よく分りませんでした。
  680. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 立派な人で、親分らしい人だとか‥‥。
  681. 望月作平

    證人(望月作平君) そんなにも考えなかつたですれども、殆んど何も考えないで‥‥。
  682. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 別に病人らしくも思わなかつたですか。
  683. 望月作平

    證人(望月作平君) 殆んどそんなに思わなかつたです。
  684. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ひよろひよろと竹の杖をついて出て來るというわけじやないのでしようかね。
  685. 望月作平

    證人(望月作平君) はあ。
  686. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 別に病人だとも思わなかつたのですか。
  687. 望月作平

    證人(望月作平君) 普通に思つておりました。
  688. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そのとき六人行つたことは間違ないですね。
  689. 望月作平

    證人(望月作平君) はあ。
  690. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それから小吉さんの所へ行つたのですね。
  691. 望月作平

    證人(望月作平君) そうです。
  692. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 小芳さんへ行つたのですか。小吉さんの家へ行つたのですか。小芳さんと小吉さんの所と別々だそうですね。隣に小芳というのがあるそうですね。
  693. 望月作平

    證人(望月作平君) はあそうですか。私はよく知らないのですけれども、いつでも行く所ですが、そこが小吉さんの家だと思います。
  694. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは何時頃ですか。午頃でというのですがね。
  695. 望月作平

    證人(望月作平君) お午頃か何か、大体早いとは思つておりましたが、よく覚えておりません。
  696. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 向うへ送つて、あなたが待つていたわけですね。
  697. 望月作平

    證人(望月作平君) 向うへお送りしまして、それから直ぐに岡戸さんと事務所の若い方は又自動車に乘りまして、直ぐに今度は三河島の方へ出ました。三河島の先に尾竹橋という橋がありまして、その橋の際の工場へ行きました。それからそこで以て約一時間か一時間半くらい用足しをしまして、再び葭町に帰られました。で、直ぐに又尾津さんも出られまして、一緒にそれから又病院に帰られました。
  698. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると、送り込んで直ぐ出て來たのですか。
  699. 望月作平

    證人(望月作平君) そうです。送る間もなく直ぐに二人だけは自動車に残りまして、それから三河島の方へ行きました。
  700. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 一旦下りて、中に入つたのですか。
  701. 望月作平

    證人(望月作平君) いいえ、入つて行きません。
  702. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると四人の人だけ降して、岡戸君と事務員の人は車に残つてつたのですか。
  703. 望月作平

    證人(望月作平君) 残つていたのです。
  704. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたは御飯はどこで食べたのですか。
  705. 望月作平

    證人(望月作平君) 御飯は殆んど弁当を持つておりました。
  706. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 弁当‥‥別に向うでよんでくれたわけじやないのですか。
  707. 望月作平

    證人(望月作平君) そうです。
  708. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そのまま降りずに岡戸君は三河島に行つたのですか。
  709. 望月作平

    證人(望月作平君) そうです。
  710. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 三河島まで大分掛かるでしよう。
  711. 望月作平

    證人(望月作平君) 時間ですか、約三十分くらい掛かります。
  712. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると、三河島の尾竹橋の工場ではどのくらいおつたですか。
  713. 望月作平

    證人(望月作平君) 一時間半くらいおつたと思いました。
  714. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それから又三十分くらい掛かりますね。
  715. 望月作平

    證人(望月作平君) そうです。
  716. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると二時間半ばかり費したわけですね。
  717. 望月作平

    證人(望月作平君) そうです。
  718. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それで帰られて、一緒帰つて來たのですか、みんな‥‥。
  719. 望月作平

    證人(望月作平君) それから再び‥‥。
  720. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 再び又岡戸君も事務員も帰つて來たのですか。
  721. 望月作平

    證人(望月作平君) 帰つて來ました。それから小吉さんの所から直ぐに尾津さんが出られますと、今度は‥‥
  722. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 二人は降りたのですか。
  723. 望月作平

    證人(望月作平君) 降りて家へ‥‥
  724. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 入つたのですか。
  725. 望月作平

    證人(望月作平君) 入つて行きました。それから十分か十五分して直ぐ出て來たと思います。
  726. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 十五分ぐらいですね。まあ、そうすると、池河島へ用事があつてつて、用事の報告をして、そうして一緒に出て來たというふうですね。
  727. 望月作平

    證人(望月作平君) そうです。そのくらいの程度でした。
  728. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると結局病院を出てから帰るまでに三、四時間ぐらい掛かつたわけですね。
  729. 望月作平

    證人(望月作平君) はあ、そのくらい費しております。
  730. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 正確な時間は分りませんか。
  731. 望月作平

    證人(望月作平君) ええ分りませんです。
  732. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは間違いないですね。
  733. 望月作平

    證人(望月作平君) はあ、ありません。
  734. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 自動車の中で何か話をしておつたことを聞いたことはありませんか。
  735. 望月作平

    證人(望月作平君) 何か話をしておりまましたようですが、殆んど、記憶しておりません。
  736. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 特段に耳に残つておるようになことはありませんか。
  737. 望月作平

    證人(望月作平君) ありません。
  738. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 刑務所のことを憤慨しておつたようなことはありませんか。
  739. 望月作平

    證人(望月作平君) 殆んど記憶しておりませんです。
  740. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その次の日は。
  741. 望月作平

    證人(望月作平君) その次の日には、それは前後しておるかも知れませんけれども‥‥。
  742. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その次の十六日の午後四時頃出て八時頃帰つたというのですがね。
  743. 望月作平

    證人(望月作平君) 次の日ですね、次の日は帰りりはもう勿論遅くなつておりました。
  744. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 四時頃出られたのですね。
  745. 望月作平

    證人(望月作平君) 何時頃出られたか時間も覚えておりません。
  746. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 明るい中に出られたわけですね。
  747. 望月作平

    證人(望月作平君) はあ、明るい中に出、帰りは暗くなりました。
  748. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 暗くなりました、夏のことだから暗くなつたというと相当遅いですね。
  749. 望月作平

    證人(望月作平君) はあ。
  750. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そのときはどこに行かれたのですか。
  751. 望月作平

    證人(望月作平君) そのときは名前は覚えておりませんが、伊東の方という若い女の方ですね、若いといつても三十七、八ぐらいの方ですね。それからその人のお父さんに当るぐらいの方‥‥。
  752. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 伊東というのはどこですか。伊豆の伊東ですか。
  753. 望月作平

    證人(望月作平君) はあ、伊豆の伊東のお姐さんということを聞いております。
  754. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 顔を見たのは始めてで分りませんでしたか。
  755. 望月作平

    證人(望月作平君) そうだと記憶しております。その人と、その人のお父さんに当るくらいの年恰好の人といま一人は杉谷さんと思いましたが、杉谷さんと、そのくらいのものだと思いましたが、何か人数もはつきり覚えておりませんが、とにかく出て來ました。それから尾津さんが浴衣を着まして、病院のスリツパを履いて、自動車の乘り口のところまで送り出して來ました。その方を駅まで送るのかと思つて直ぐドアを閉めてしましましたから、僕もそこまで送つて行くからというので、ドアを明けまして、尾津さんも病院から外に出ました。
  756. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 結局四人ですか。
  757. 望月作平

    證人(望月作平君) そうです。どちらへおいでになりますと聞きましたところが、上野駅の附近の喫茶店にでも行こうということを言いましたから、上野駅を中心に進んで行きました。そうしたら何か思い直して、上條さんの所へ行つて部屋を借りようというようなことを言つたことを記憶しております。
  758. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 上條の所へ行つて部屋を借りる‥‥
  759. 望月作平

    證人(望月作平君) 上條さんの所へ行つて、ドアを開けて入つて行きましたが、上條さんが留守であつたと見えて直ぐ出て來ました。今度は自動車に乘りまして、目的は東京駅へ行くと言つておりましたので、東京駅へ向つて行きました。それから暫くして下谷方面へ向つて行きますと、竹町の大澤の所へ行こう、大澤の所へ行つてお茶を一杯御馳走になろうというようなことを言いましたが、そこへ行きますと暗くなりました。
  760. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 大澤の所へ行つて、そこで皆降りたのですか。
  761. 望月作平

    證人(望月作平君) え、全部降りまして、私は外で暗くなるまで待つておりました。
  762. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 大体上條の所で部屋を借りようと言つたり、最初喫茶店を捜したり、どこか会合の場所を見付けておるようなふうですね。
  763. 望月作平

    證人(望月作平君) そうです。
  764. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何か話があつたわけですね。
  765. 望月作平

    證人(望月作平君) はあ、そうです。
  766. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 自動車の中で話はありませんでしたか。
  767. 望月作平

    證人(望月作平君) 何かあつたようですが、殆んど記憶しておりません。
  768. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 大澤の所へ行つてどのくらいおられたのですか。
  769. 望月作平

    證人(望月作平君) 明るい中に行つて暗くなつて帰つたのですから、二時間ぐらいおつたと思いますが、はつきり覚えておりません。
  770. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そのときは別に食事は出ないわけですか。
  771. 望月作平

    證人(望月作平君) そのときに大澤さんの家で御馳走になりました。
  772. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 大澤さんの家で食事が出た、相当ゆつくりしておつたわけですね。
  773. 望月作平

    證人(望月作平君) はあ。
  774. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると、そのときは酒でも飲んでおりましたか。
  775. 望月作平

    證人(望月作平君) それはあのときは停電で以て眞つ暗で殆んど分らなかつたのです。
  776. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 醉つたような振りも見えなかつたですか。
  777. 望月作平

    證人(望月作平君) ええ。
  778. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その外に出たことはないのですか、病院から‥‥。
  779. 望月作平

    證人(望月作平君) その外に記憶はありません。
  780. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それで病院に帰つて來たわけですね。
  781. 望月作平

    證人(望月作平君) それから今度は杉谷さんと尾津さんだけ病院に帰られました。
  782. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 杉谷さんと尾津さんだけがですね。
  783. 望月作平

    證人(望月作平君) はあ、病院に帰られました。そうして私も会社に帰りました。
  784. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 外のお客さんはどうしたのですか。
  785. 望月作平

    證人(望月作平君) 外のお客さんはそこに残つておりました。大澤さんの所へ‥‥。
  786. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 大澤さんの所へは伊東から來た姐さんとそのお父さんと残つておりましたのですか。
  787. 望月作平

    證人(望月作平君) そうです。残つておりました。
  788. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると、杉谷君と尾津君だけ乘せて病院に帰つたわけですね。
  789. 望月作平

    證人(望月作平君) そうです。病院に帰りました。
  790. 伊藤修

    委員長伊藤修君) よく車庫等の話で、そこに出入りするお客さんと、どこへよく行くとか、どつちの方に行くとか、運轉手同士の話には出ませんでしたか。
  791. 望月作平

    證人(望月作平君) どういう話ですか。
  792. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 尾津君とお客さんをどこへ乘せて行かなければならんというような話が出ますね。そんなことで、どこへよく行くというようなことは聞いておりませんか。
  793. 望月作平

    證人(望月作平君) 殆んど記憶はありません。
  794. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 前の運轉手の方からそういうことの話はありませんか。運轉手の人がどこへ行くとか‥‥。
  795. 望月作平

    證人(望月作平君) そんな話もあるようですけれども、殆んどそういうことは覚えておりません。
  796. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 外にお尋ねになることがありますか。
  797. 小川友三

    ○小川友三君 お尋ねしますが、竹町の大澤さんの所へ行つたときに、玄関の靴や下駄が降りた人の数以外に何足くらいありましたか。
  798. 望月作平

    證人(望月作平君) それは記憶がありませんが、お客さんが大勢おつたことは覚えております。
  799. 小川友三

    ○小川友三君 そうすると、その間に花博奕でコイコイとか、ああいうことをやつてつたような感じはしなかつたかどうか。
  800. 望月作平

    證人(望月作平君) それはそんなことは覚えておりません。
  801. 小川友三

    ○小川友三君 樣子は分らんのですか。
  802. 望月作平

    證人(望月作平君) はあ。    〔証人吉田チヨ君着席〕
  803. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 吉田さん、こちらの運轉手を御存じでしたね。
  804. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) はい。
  805. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 今運轉手のお話を伺つておりますと、あなたの所に行かれたときに、あなたのおつしやるのとは人数が違うのですがね。あなたと尾津君と上條君と杉谷君と岡戸君と‥‥。
  806. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) そんなに乘つておりましたかしら。
  807. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それから事務員と六人乘つておるわけですね。あなたを混ぜて六人、あなたの思い違いでないですか。
  808. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) そうかも知れませんが、そんなに乘つておりましたかしら。
  809. 望月作平

    證人(望月作平君) 私もはつきり記憶はありませんが、それだけ乘つておりましたと思いますが。
  810. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 運轉手さんの方の記憶がはつきりしておるようですね。
  811. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 何しろいきなり言われたものですから、ぽつとしておつたものですから、そのときは夢中に‥‥
  812. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 六人行かれた、そのときに運轉手さんのおつしやるのには、岡戸さんと事務員は、そのまま車を降りないでよそに使に行かれたそうですが、そうすると、あなたの所に残つたのは、降りたのは、あなたと尾津君と上條さんと杉谷君とがおつたわけですがね。さつきあなたがおつしやるのと大分違いますがね。
  813. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) でも上條先生と主人だけ、大変あれしたものですから‥‥。
  814. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 杉谷君もおつたわけですか。
  815. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) そのとき一緒に降りたことは、私はさつき申上げませんでしたか。
  816. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 言われませんでした。何遍か念を押したけれども、三人きりだとおつしやつたのです。杉谷君も結局降りてずつとしまいまでおつたわけですか、どうですか。
  817. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 降りたと、私記憶はあれしませんが。
  818. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 三人であつたか、四人であつたかくらいは分るでしよう。そうでしよう。
  819. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) じや、きつとそうでしよう。降りたと思います。
  820. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうだろうと思いますか。——それから約二時間ばかり経つてから、又自動車が帰つて來て、そうして岡戸君と事務員が帰つて來て、あなたの家へ何か用事の報告を、まあ尾津君にしたらしいのですがね。
  821. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) そのとき私おりませんでした。ただ岡戸さんが見えた‥‥。
  822. 伊藤修

    委員長伊藤修君) だから、上條さんと行違いに岡戸君が來たということならば、上條さんがずつと二時間くらい、帰り間際までおつたことになるのじやないですか。あなたがさつき行違いだと、上條さんが帰られて直ぐ岡戸さんが來たのだとおつしやつたことが正しいことになれば、上條さんというものは、最初あなたが十五分とか二十分おつたというお話と違つて來て、上條さんは殆んどしまいまでおつたことになるのじやないですか。
  823. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) いいえ、そんなにおりません。
  824. 伊藤修

    委員長伊藤修君) さつきの岡戸さんと上條さんと行違いだということは間違いないでしよう。こちらからお尋ねしたときにお答えになつたところによると、五分くらい経つてから岡戸君が來たとおつしやる。岡戸君があなたの家に來たのは少くとも二時間後だということははつきりしておりますね。
  825. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 上條さんが帰つてからですか。
  826. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 上條さんは別として、岡戸君があなたの家の玄関に上つたことが二時間後であるということが確かなように考えられるのですがね。そうすると、それから五分差引いた時間まで上條さんがおつたことになるのじやないですかということです。あなたとは逆になりますよ。
  827. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) そんなに長く上條先生はいらつしやいませんでした。
  828. 伊藤修

    委員長伊藤修君) さつきの記憶が確かとすれば、時間をお尻から繰上げて勘定すると、そういうことになるのじやないですかというのです。
  829. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 上條先生は二、三十分しかいらつしやいませんでした。
  830. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたはそういうことを言うけれども、岡戸君が入れ違いに來たということが正しいということになれば、岡戸君は三河島の尾竹橋まで行つたのですから、尾竹橋で用を足して來たのですから、少くとも往復するだけでも一時間という時間が自動車でも掛かる、向うで用をしておるのですから、常識的に換算しても二時間くらい費したものと見なければならん。その帰つて來岡戸君と入れ違いに上條さんが帰つたということになれば、上條さんのおつた時間は相当長いものだということが言えるじやないかというのです。あなたは‥‥。
  831. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 食事の仕度をしておりましたから‥‥。
  832. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 時間の点が確かでないとすれば、岡戸君の入れ違いというものを標準にして考えなければ仕方がないでしよう。そうして今の岡戸君が帰つたのは、二時間くらい経つてから帰つて來たという、そうすると上條さんはそれまでおつたことになる、帰り際までおつたことになる。
  833. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 岡戸さんがいらつしやつたときには上條先生はいらつしやらないように思いました。
  834. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 入れ違いに帰つたというのですね。それは間違いないですね。
  835. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) 間違いないと思います。
  836. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何遍か念を押しても間違いないと言つておりますが、その点間違いないですね。
  837. 吉田チヨ

    證人吉田チヨ君) と思います。
  838. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それではお二人ともあちらでお持ち下さい。  それでは午前はこの程度で休憩いたしまして、あと証人は午後一時からにいたします。    午後零時五分休憩    —————・—————    午後一時三十二分開会
  839. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 午前に引続きまして審査会を開きます。
  840. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 証人の方は大澤常太郎さんですか。
  841. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) さようでございます。
  842. 伊藤修

    委員長伊藤修君) お年は。
  843. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) 五十六歳。
  844. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 御商賣は。
  845. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) 会社員です。
  846. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何か機械商か何かやつておられますか。
  847. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) そうです、機会の製造会社です。
  848. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何か重役をおやりになつておりますか。
  849. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) 社長をやつております。
  850. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 今日は尾津君のことについて、裁判所が執られた処置について少し調べたいことがございますから、証人として御出頭願つたわけでございます。嘘、偽りがありますと偽証の制裁がありますから、どうぞ御承知の通り‥‥。
  851. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) よろしうございます。
  852. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 尾津君とあなたとの関係はどんなですか。
  853. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) 関係ですか。
  854. 伊藤修

    委員長伊藤修君) え。
  855. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) 私は今申上げたのは会社の関係ですが、実を申上げますと、もと八百屋なんです。そんな関係で約三十年ばかり八百屋の組合の理事長をしております。現在もやつております。そこで去年の四月頃に青物を賣る者は許可を得なければならんという許可制になりました。今もそうですが、そんな関係尾津さんの関係しておりまする露店商でも相当に沢山青物を賣る者がありまして、それが許可を取つて、そうして商賣をしたいというようなことから、東京都の役人から紹介がありまして、私の組合に入りたいという申込があつたのです。それで尾津さんが私の組合へ加入について希望を言つて來ました。それで初めで知つのであります。
  856. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その以前は少しも‥‥。
  857. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) 全然知りません。
  858. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは去年のいつ頃ですか。
  859. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) 去年の四月だと思います。
  860. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると、青物の関係についてお附合が始つて、それ以來何か外のことでも附合つていましたか。
  861. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) 別に外のことで‥‥利害関係は全然ありませんし、懇意にいたしておりますが、組合に入りましても一組合でありませんでして、当時東京の露店商組合の組合長をしておつたのですが、そんな関係で露店商組合を代表して、大勢の人を連れて一遍に入つて來ましたのですが、そこで私の方でも普通の業者と違つて、露店商を統制するのはなかなか面倒ですから、どうしても尾津さんに万事その方の責任を持つて貰わなければならん、こういうような考え方から、それ以來尾津さんと特別懇意にしまして、そんなことで向うも來たことがありますし、私もお伺いしたことがあります。從來いろいろ御懇意願つております。
  862. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 他の事業関係では。
  863. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) 事業関係は全然ありません、一切ありません。
  864. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 私交上のことは。
  865. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) 私交上のことは、いろいろお話を伺つたこともあるし、私からお話したこともあります。
  866. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 飲んだり食つたりされたことがありますか。
  867. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) それはありました。
  868. 伊藤修

    委員長伊藤修君) しばしばありましたか。
  869. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) しばしばでもありませんが、私は酒は飲みませんし、胃潰瘍を患つておりますので、進んで尾津さんにおごつたことはありません。尾津さんの家に催しがありましたり、それから又招待を受けたこともありますし、お宅へ遊びに行きまして御馳走になつたこともあります。私から呼んで御馳走したことは一遍もありません。
  870. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 尾津さんは相当飲めるのですか。
  871. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) 誰ですか。
  872. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 尾津さんは。
  873. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) お酒は相当好きです。
  874. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どのくらい。
  875. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) どのくらいいけますか。
  876. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 一升くらいいけますか。
  877. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) 飲むときには、そのくらい飲むと言つています。
  878. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 酒の癖は悪いですか、よいですか。
  879. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) 酒を飲んでも、態度乱れることはありません。
  880. 伊藤修

    委員長伊藤修君) しつかりしておるのですか。
  881. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) はあ、私一遍御馳走になつたことがありましたが、そのとき、まあ一升くらい飲んでいたのでしようか、随分疲れたような態度でも、何か話をするようなときには、きつとしますから。
  882. 伊藤修

    委員長伊藤修君) なかなかお強いのですね。
  883. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) お酒は相当飲める人でしようね。
  884. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたは今四月頃とおつしやつたが選挙の前ですか、後ですか。
  885. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) 前です。
  886. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どのくらい前ですか。いろいろの選挙が沢山始まりましたね。東京都長の選挙、それが一番先、それより前ですか。
  887. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) 前ですね。そういう選挙の前です。
  888. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 三月頃ですね。都長選挙が四月五日ですから。
  889. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) そうすると三月ですね。三月に規則が出たのですね。
  890. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 勿論選挙や何かも頼みに來たのですか。
  891. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) そうです。衆議院の選挙のときには、私も少し手傳つたことがあります。
  892. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 尾津さんの政治的のあれは自由党ですか。
  893. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) そうです。最初はそういうことを知りませんでしたけれども、後で自由党に入つたように聞いております。
  894. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 自由党に入られるのは、どういう紹介で入られたのですか。
  895. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) そういうことは知りません。それは選挙を手傳うといつても、組合から出ておるのですから、そうしてまあ私の家の近所で演説会をやつた場合と、それから市場で以て演説会をやつたときに、お手傳いしただけです。
  896. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どういう主だつた偉い人が應援に來たおつたですか。
  897. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) 應援弁士ですか。
  898. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 若しくは名前を推薦した人ですね。
  899. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) そうですね。私が演説会に立会つたときには、大した人はおりませんでした。
  900. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 推薦状か何か出たでしよう。
  901. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) 出たでしような。そういう事務的なことは一切知りません。
  902. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 政治家の偉い人で尾津さんを應援しておつた人はありませんか、御記憶ないですか。
  903. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) そうですね。それだけですから、演説会に出ておつただけです。
  904. 伊藤修

    委員長伊藤修君) この候補者は誰と誰が背景であつて、選挙を應援なさるということもあるでしようし‥‥。
  905. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) そんなことはありません。尾津さんが私共の組合に入りまして、組合員の立場にありましたから、私は應援したのです。
  906. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 尾津さんを應援しておる政治家の偉い人の名前くらいは御存じありませんか。
  907. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) そうですね、事務長は知つておりますがね。
  908. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 誰ですか。
  909. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) たしかあのときの事務長は石森という人です。もと警察かなんかに関係しておつた人です。
  910. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何か商賣上の取引はそれ以外にはないのですね。
  911. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) ありません。組合員の資格になつたために、こういうふうになつたのです。
  912. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 尾津君の出入りする料理屋なんか御存じですか。
  913. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) 私が行つた所は知つておりますが‥‥。
  914. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたのお出でになつた所は。
  915. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) 私が行つた所は、新宿の花園という家です。
  916. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そこへしばしば行かれるのですか。
  917. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) そうです。宴会なんかやられるときには、そこへ呼ばれたことがあります。
  918. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 小話するときには待合かどつかに行かれますか。
  919. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) 小話なんかする必要はありませんから。
  920. 伊藤修

    委員長伊藤修君) いや、お二人とか三人とか小さい会合のときには、そういう待合とかどつかに行かれることはありませんか。
  921. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) 私がですか。
  922. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたが。
  923. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) そうですね。一遍ありましたね。人形町の方の何という家ですか‥‥。
  924. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 小芳ですか。
  925. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) いや、そうではありません。あれは何といいましたか、ちよつと記憶ありませんけれども、人形町の待合で相当の家です。
  926. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 活動の近所ですか。活動の常設館がありますな。
  927. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) そうですか、そんな所ではありません。
  928. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 元の郵便局の近所ですか。電話局の。
  929. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) 確か甘酒屋あたりの横丁の左の方に入つてつた所だと思いました。
  930. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 入つて直ぐ突当りにありましたね。
  931. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) 何といいましたかな。
  932. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その近所ですか、三河屋とか。
  933. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) そうそう三河屋です。角の家だと思いました。
  934. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたは尾津が勾留されたことは御存じですね。
  935. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) 知つております。
  936. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 昨年ね。
  937. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) ええ。
  938. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 面会にいらつしやつたですか。
  939. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) ええ。
  940. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何回くらい。
  941. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) そうですね、二度行きましたかね。
  942. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何んの用件で。
  943. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) 何の用件でなく、見舞に行きました。
  944. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そのときに保釈やなんかの話はありませんでしたか。
  945. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) そんな話はありませんでした。私一人で行つたのではありませんで、外の人が行くのでついて行つたのです。
  946. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたの方からお見舞弁護士でも附けやしませんか。よく組合からお見舞弁護士を出すというようなことがありますが、そんなことはありませんか。
  947. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) そんなことはありません。それ程組合ではお世話なつておりませんから。
  948. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 尾津君が釈放されて出て來たということは、いつ頃知つたのですか。
  949. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) それは私の家に來たのでしたか‥‥。
  950. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その前には。
  951. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) その前には、帰つて來たということは聞いたことはありましたかね。
  952. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 電話か何かで聞いたのですか。
  953. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) 誰かに聞きましたね。新聞に出たのですかな、何なで知つたのです。
  954. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたの所に、尾津君が釈放になつて出て來たときに、自動車で行つたことがありますですね。
  955. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) あります。
  956. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 十六日ですか。
  957. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) たしかそのくらいだと思います。
  958. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 九月の十六日の午後。
  959. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) 九月の十六日頃でしよう。
  960. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 午後四時頃。
  961. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) そうですね、日が暮れるちよつと前でしたからその頃かも知れません。
  962. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そのときに自動車で來たのですね。
  963. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) 自動車で來ました。
  964. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 誰と誰が來ましたか。
  965. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) そのときは伊東の‥‥。
  966. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 伊豆の伊東ですね。
  967. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) 伊豆の伊東の寳屋という待合の女將、それとその人のお父さんと称する人ですね。それからもう一人御親戚の人だかなんだか男の人が來ました。
  968. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 杉谷という始終ついておる人はないですか。
  969. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) それは違います。それはその外です。
  970. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その外に‥‥。
  971. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) え。
  972. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 杉谷一緒に行つた
  973. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) 杉谷一緒です。それから尾津さんとたしか五人だと思いました。
  974. 伊藤修

    委員長伊藤修君) もう一人の人は伊東の人の親戚ですか。
  975. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) さあ、よく知りませんがね。
  976. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そう思えたですか。
  977. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) 口もきかないし、初めて会つたのですから。
  978. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その伊東の人というのは、寳屋の女將ですね。
  979. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) そうです。
  980. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何という名前ですか。
  981. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) 杉山という人です。
  982. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 杉山何という人ですか。
  983. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) それは知らないです。
  984. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 伊東町で寳屋という待合を開いておるのですね。
  985. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) そうです。
  986. 伊藤修

    委員長伊藤修君) これは尾津君の二号ですか三号ですか。
  987. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) まあどつちかでしようね。
  988. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 俗にあれは二号だとか三号だとか言うでしようが、あなたがお聞きになつた範囲では三号ですか。
  989. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) どつちか知りません。まあどつちかに相当するでしよう。
  990. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 二号か三号に相当する。
  991. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) そうでしよう。
  992. 伊藤修

    委員長伊藤修君) これは年配はどのくらいですか。
  993. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) 若く見えますけれども、四十くらいじやないでしようか、四十になつたかくらいでしようかね、三十八九かも知れません。
  994. 伊藤修

    委員長伊藤修君) この人には初めてお会いになつたのですか。
  995. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) いや、その前に会いました、選挙のときにも來ておりましたから。
  996. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そのときにその一行がお宅に寄つたのはどういう用件なんですか。
  997. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) 別にどういう用件というものはないのですけれどもそのときの状況をお話ししますと、突然來ましたのですね、突然來まして、二階の應接で私と全部の人とお目にかかつてお話をしていました。一遍ちよつとお会いをした程度でおりますと、丁度そのとき、私共の業界が取引の状況が変つたのです。これは專門的な話になりますがね。戰爭中は御案内の通りすべてが統制でした。東京に入る青物、果物は全部組合が一手で買いまして、これを組合員に人口に割りまして配給さしたのです。ところが終戰後、そういうことがもういけないというので、今度組合が新規に変るようなことになつたわけです。これは今年になつて変つたのですけれども、それで今度統制がいけないというので、個人に戻すということになつたのです。そうするというと、何千人という人が個人で市場から物を取引をするということになると、支拂の責任が誰にあるかということが問題になつて來たのですね。個人々々では貸倒れができたりなんかして困るから、だから組合で以て何とかして、それを安心して取引のできるように協約をして貰いたいという市場側の方からの要求があつたのです。これはなかなか大きな問題なんですからね。そんな関係から、個人々々が取引したものを組合がどこまで責任を持つか、持てるかというような問題で丁度交渉をしておる最中だつたのです。而もその日に市場の方から代表者がみんなやつて來る日なんですよ。尾津さんの一行が上つて來て挨拶をしておるときに、どかどかと自動車でやつて來たのですよ。市場の代表が約五人ばかり來ましたかね。それでまあこれは私にとつては一番重要な問題ですから、誠に済みませんけれども、今日はこういう会合があるので失礼をさせて貰いたいと、こういうので、その市場の連中を迎えまして、そうして別室で尾津さんの一行に待つていて貰つて、そうしてその人と話をしたんですよ。二時間くらい掛かりましたかな。二時間くらい掛かつたと思います。とにかく眞暗になつてしまつた。丁度その日は停電でして、眞暗闇で電氣なしで相談したんですからね。約二時間くらい掛かつたです。その交渉は、向うも眞劍で、私も眞劍ですからね。それでそのときに話が纏つたのですよ。それで話が纏つて仮契約書みたいなものができまして、そうして一同が帰つたのです。で、まあそんな眞劍な話をしておりましたものですから、尾津さんを待たしていたのを忘れてしまいましてね。こちらの待たしておる間に家の者が御飯を上げましてね。尾津さんも挨拶して帰りたいというので待つておりました。そうして一行が帰りまして、間もなく暗闇だし、御厄介になりましたというので帰つたのです。それからまあ尾津さんの家にいたのは二時間や三時間いたのじやないですか。しつかりとしたことは忘れましたけれども、後先そのくらいは私の家にいたと思いますね。
  998. 伊藤修

    委員長伊藤修君) まあ停電の日ですから、暗くなつてからどのくらいおつたのですか。
  999. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) そうですね、暗くなつてからもいい加減いましたね。
  1000. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 暗くなつてから二時間くらいですか。
  1001. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) そんなことはありません。もうとにかく今の市場の方と私の方とお互いに交渉をしておるとき暗くなつたのですからね。見えなくなつたものですから「ろうそく」を立てて話をするような工合になりましたからね。
  1002. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 暗くなつてから三時間くらいですか。
  1003. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) そうじやないです。はなからの話ですよ、それは。
  1004. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 暗くなつてからどのくらいですか。
  1005. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) 暗くなつてから一時間や二時間いたと思いますね。一同が帰りましてから、直ぐ帰りました。
  1006. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 暗くなつてから二時間くらいいたのですね。
  1007. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) 暗くなつてから二時間くらいいたかも知れませんね、ちよつと以下かも知れませんがね。
  1008. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 一時間半乃至二時間くらいとお聞きしていいですね。
  1009. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) そうです。
  1010. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 夏のことだから、まだ日が長いときですからね。そうすると、そこは應接間で話をしたのですね。
  1011. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) そうでございます。最初は應接間で、組合の人とは……、いや尾津さんと最初は應接間で話をしておりました。そうすると、その人達がどかどかやつて來たものですから、誠に済みませんが今日は重大な会議だから、この方を先にするというので、隣の部屋で持つていて貰いました。
  1012. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 座敷ですね。
  1013. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) そうです。日本間です。
  1014. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そこへ來たのは伊豆の人三人と、一人は違うかも分りませんが、その関係の三人と杉谷君と尾津君とそつちの方に行つてつたのですか。
  1015. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) え、そうです。
  1016. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 隣の部屋に行つてつたわけですね。
  1017. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) そうです。
  1018. 伊藤修

    委員長伊藤修君) こちらの方に市場の方ですか。
  1019. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) そうです。
  1020. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたが組合の人と話をしておる間に御飯を出したのですか。組合の人が帰つてからですか。
  1021. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) そうじやないのです。組合の人が帰ると間もなく帰りました。
  1022. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたが話をしておる中に御飯が出たのですね。勿論酒も出たわけですね。
  1023. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) 私の家に酒はありませんし、殊に尾津さんが病氣でしたから、私の家としては酒は出したことはありません。
  1024. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 持つて來たようなことはありませんか。
  1025. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) それは分りませんがね。
  1026. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 後でその座敷にあなたはいらしたのですか。
  1027. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) ええそうです。
  1028. 伊藤修

    委員長伊藤修君) いらしたときの模樣は、酒でも飲んでおるような模樣でしたか。
  1029. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) それは氣が付きませんでしたがね。何しろ停電なものですからね。ほうほうの体で帰られましたからね。
  1030. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どんなような……あなたには殆んど用事がないようなものですがね。
  1031. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) それはこういうことを、後で聞いた話ですけれども、そのときに停電になりましてね、それでまあ伊東の人が暗闇を帰らなければなりませんし、地理が暗いしね、お困りだと思いましたからね、家へお泊りなさい、そうして明日の朝お帰りなさいというと、ちよつと躊躇しておりましたが、それではというのでその人は泊つてつたのです、家に。皆は帰りましたが、その人だけ泊りました。そうして後で話を聞いたのです。
  1032. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どういう話だつたのですか。
  1033. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) そのときの寳屋の御主人の話では、まだあれが、マーケツトの問題が解決が着いておりませんでして、何か調停裁判の途中にあつたのですよ。それでまあいろいろのお客さんが出入りするので、或る親切なお客さんがおつて、まあ尾津さんは相当腕のある人だから、ここで裸になつても、事件が解決が着けば、ゼロから出発することができる人だから、この際すべてを投出してきれいに解決を着けて出直したらどうだろうという親切な人がある、それでお父さんと二人で、そういう話があつたから、又そういうことで話が進むようなら、又その人にもお世話になれると思うから、それで示談にするために実は見舞いながらやつて來たのだと、こういうお話でした。
  1034. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それはどういう有力な人の話だというのですか。
  1035. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) それは知りません。
  1036. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 或る人と、こういうのですか。
  1037. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) お客さんか何かのように聞いておりますがね。
  1038. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そんな話なら病院でもできそうなものですね。
  1039. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) そうですね。
  1040. 伊藤修

    委員長伊藤修君) お宅をわざわざ借りなくても……。
  1041. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) そうですね。私の家へ來るつもりで來たのじやないですね。
  1042. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 十分病院で話ができなくて、喫茶店とか何か捜して歩いて、結局話の前後を推察すると、お宅を知つておるので、お宅の座敷を借りたということに推察できるのですがね。
  1043. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) それは外の家で座敷を借りるかどうか知りませんが、外へ行つたのじやないかと思います。その帰り道かなんかにちよつと寄つたのじやないですかね。
  1044. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どこもなくてあなたの所を思い出して、あなたの座敷を借りることにしたのじやないですか。
  1045. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) そうです。
  1046. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういう話なら病院でもできそうなものじやないですか。よそへ持出さなければならんとも考えませんが、どういうわけですか。
  1047. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) それはどうか分りません。こつちで呼んだのではなく、向うが來たのですからね、聞かなければ分りません。
  1048. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その後は話は聞かないのですか。
  1049. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) その婦人から、どういう話ですかと聽いたら、そういうことを言いました。
  1050. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると、尾津君と杉谷君は帰つたのですか。
  1051. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) ええそうです。みんな帰りました。その婦人だけ残して。
  1052. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 婦人は泊つたのですか。
  1053. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) 婦人は泊つたのです。翌る朝帰つたのですから。
  1054. 伊藤修

    委員長伊藤修君) お父さんも帰りましたか。お宅へ泊つた婦人だけ残してみんな帰つたのですね。
  1055. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) ええ帰りました。
  1056. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その後尾津君に会いましたですか。
  1057. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) そこでですか。
  1058. 伊藤修

    委員長伊藤修君) いや出ておるうちに。
  1059. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) いや、その後会いません。その翌日引つ張られたということを聞きましたがね。
  1060. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それからお会いにならない。
  1061. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) ええ、その翌日引つ張られたと新聞で見ました。    〔証人望月作平君着席〕
  1062. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 望月さんにお伺いしますがね、今大澤さんのお話だと大澤さんのところへ行かれたのは、伊東の姐さんと、そのお父さんと、それからその人のまあ連れの人一人と、それから杉谷君と尾津君と行かれたようですね。
  1063. 望月作平

    證人(望月作平君) ええ大体……。
  1064. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 一人あなたと違つてますがね。
  1065. 望月作平

    證人(望月作平君) ああそうですか。古いことで私は記憶がはつきりしておりませんが、そのくらい乘つてつたかも知れません。それで間違いないでしよう。
  1066. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると五人ですね。
  1067. 望月作平

    證人(望月作平君) はあ。
  1068. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 帰りに、あなたは尾津君、杉谷君が乘つてあとの人人は全部残つたとおつしやるんですかね。
  1069. 望月作平

    證人(望月作平君) はあ、そうです。間違いありません。
  1070. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 大澤さんどうです。
  1071. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) 自動車に乘つて行つたのはどうだか知りませんが、お父さんともう一人の人というのは途中で帰つたのですね。きつと隣で待つてるうちに。
  1072. 望月作平

    證人(望月作平君) 自動車に乘つてつたのは、尾津さんと杉谷さんが乘つただけなんです。
  1073. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あとの人は歩いて行つたのですか。
  1074. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) 残つたのは二人ですね。
  1075. 望月作平

    證人(望月作平君) 歩いて行つたんでしよう。
  1076. 伊藤修

    委員長伊藤修君) じや乘つたのは二人で、あとは歩いて帰つたのですね。
  1077. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) 何しろ片つ方のお客さんがいるし、私も氣を揉んでいましたし、それにああいう人だからここに置くのは悪いと思つて氣を揉んでいました。それに停電中でもあり物騒だからというので、女の人だけ泊つたのですね。あとはそれぞれお帰りになつたのでしよう。
  1078. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 女の人は翌朝お帰りになつたのですか。
  1079. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) 私は朝早く家を出ちやいますから、それで朝飯上げてお呉れと頼んで出ましたのですが、その留守に帰つちやつのです。
  1080. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何か証人の方にお尋ねの方はありませんか。‥‥。大澤さん、あなたにお尋ねしますが、あなたの所へお伺いした日、どうでしたか、尾津君の健康状態は。
  1081. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) 顔色は惡かつたですね。
  1082. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 顔色は惡かつた‥‥特段に惡いという程でもないですか。まあ長くああいう未決におりますと、顔色は惡くなりますけれどもね。
  1083. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) あのときはたしか和服で來ましたかね。
  1084. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 浴衣掛けだとか‥‥。
  1085. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) そうですね。そのせいかも知れません、何だかこう弱々してような感じがしましたね。
  1086. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そのくらいの感じで、そう特段に病人らしくも考えられないのですね。
  1087. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) 病人だから出て來たんじやないんですかね。
  1088. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたの感じは。
  1089. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) ですから、ふだんの元氣のような顔じやありませんでしたね。
  1090. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 顔色が惡い程度だつたと‥‥。
  1091. 大澤常太郎

    證人大澤常太郎君) ええ。
  1092. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 序でに望月さんにお尋ねしますが、毎月自動車はどのくらい拂うんですか。
  1093. 望月作平

    證人(望月作平君) 会社の方の取引で‥‥。
  1094. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 御存じないですね。
  1095. 望月作平

    證人(望月作平君) 分りませんでありませんか。‥‥それじや御苦労さんでした。    〔証人大谷菊夫君着席〕
  1096. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 大谷さんですね。
  1097. 大谷菊夫

    證人(大谷菊夫君) はあ。
  1098. 伊藤修

    委員長伊藤修君) お年はお幾つですか。
  1099. 大谷菊夫

    證人(大谷菊夫君) 四十八です。
  1100. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 警察官をしていらつしやるのですか。
  1101. 大谷菊夫

    證人(大谷菊夫君) ええそうです。
  1102. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 現在もね。
  1103. 大谷菊夫

    證人(大谷菊夫君) 現在もそうです。
  1104. 伊藤修

    委員長伊藤修君) お述べになることに対しては、やはり僞証の制裁がありますから、御注意願いたいと思います。警察官はいつ頃からおやりになつたのですか。
  1105. 大谷菊夫

    證人(大谷菊夫君) 大正十四年五月です。
  1106. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 昨年の九月の十二日から十六日頃までのことで、尾津君が仮釈放になつて、病院に住居を制限せられておつて、その間尾津君の行動について、あなたはお調べになつたことはありますですね。
  1107. 大谷菊夫

    證人(大谷菊夫君) そうですね、私が調べたのは‥‥。
  1108. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その調べられたことを、ちよつとここで述べて頂きたいですが。
  1109. 大谷菊夫

    證人(大谷菊夫君) 丁度私調べを命ぜられたのは十六日の日なんです。それまではこれは本富士の警察でやつたわけです。行動の調査は。私の方はGHQの方からか何か調べが行つたそうですよ。病院の方に。それからこつちの方に通知があつて、調べろと、こういうような話なんです。それで私の方で十六日に調べが始まつたんです。それで調べたのは、結局あすこの看護婦ですね、石原洽子ですか、これの証言と、それからあすこへ出入りの自動車のナンバーを拾つて、そのナンバーによつて運轉手を発見しまして、運轉手を衝いて、運轉手の証言によつて報告したようなわけです。
  1110. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その外の捜査材料は。
  1111. 大谷菊夫

    證人(大谷菊夫君) その外のことは私の方では関係なかつたのですが‥‥。
  1112. 伊藤修

    委員長伊藤修君) まあそれによつて調べになつた結果はどうですか。
  1113. 大谷菊夫

    證人(大谷菊夫君) 結果は、運轉手の証言に基いて、歩いた所全部調べたところが、本人が行つておるという所の家族の話で、これは事実と認め、報告したようなわけです。
  1114. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その調べたあなたのお聞きになつたことをおつしやつて頂きたいのです。
  1115. 大谷菊夫

    證人(大谷菊夫君) 書面を見てよろしうございますか。
  1116. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ええどうぞ。
  1117. 大谷菊夫

    證人(大谷菊夫君) 看護婦の話で行けば、尾津喜之助氏の入院は、九月の十三日の午前十一時、帝大の佐々内科の十一号に入院したのです。それで石原が婦長代理として檢診に行くんですね、体温の‥‥。それがいつも午前七時と十一時、それから午後は三時と七時、これだけ檢診に行く、その間不在だつたのが九月十五日午後零時から午後四時頃まで出ていたという、こういうような‥‥、それから翌日の十六日は午後三時頃から八時頃まで。こういうような石原看護婦の証言です。それから運轉手の方は、九月の十五日正午非頃病院から、尾津それから上條杉谷岡戸と他に三十歳くらいの子分を乘せて中央区浪花町六番地小吉吉田チヨという家へ乘せて行きまして、そこで下車させた。その中の子分岡戸と、それから岡戸等を乘せて尾久町の工場へ行つて約二時間くらいで帰つて來た。それから浪花町に帰つて三時半頃まで、尾津岡戸子分を乘せて、もう一人の子分を乘せて病院に帰つた、こういうような証言です。それから十六日の方は、午後三時半頃尾津とそれから杉谷、それから伊東の姉さん外二名程乘せて浅草の田原町の上條弁護士の事務所に行つた。それから約五分、それから台東区竹町十二番地大澤常太郎に行つて約三時間くらい。そうして午後八時頃帰つた。こういう話です。
  1118. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その外はお調べになつていないのですか。
  1119. 大谷菊夫

    證人(大谷菊夫君) その外はやつておりません。
  1120. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 外に関係者は尋ねたことはないんですか。その両名以外に関係者は尋ねたことはないんですか。
  1121. 大谷菊夫

    證人(大谷菊夫君) 両名以外は病院の佐々先生にちよつと当りましたが、これは佐々先生の話では、裁判所より自動車で、自家用の自動車で連れて來て入院した。入院後高本一という檢事さんですね、その入院した日の午後二時半頃來た、こういう話です。
  1122. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 高木檢事は入院した日‥‥
  1123. 大谷菊夫

    證人(大谷菊夫君) 入院した日の午後二時半頃‥‥
  1124. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 二時半頃ね、そうすると、入院した日だと十三日ですね。
  1125. 大谷菊夫

    證人(大谷菊夫君) 十三日と思いますが。
  1126. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 十三日の午後二時半頃ですね。
  1127. 大谷菊夫

    證人(大谷菊夫君) こういうのです。
  1128. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは佐々教授の所へ來たのですか。被告の所へ來たのですか。
  1129. 大谷菊夫

    證人(大谷菊夫君) いや、被告の所だと思いますね、病院へ來たと言うから。
  1130. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 病院へ來たんですね。
  1131. 大谷菊夫

    證人(大谷菊夫君) はあ、そのとこは何かやはり院長も会つたという、話をしていました。
  1132. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 佐々教授も会つたんですね、被告に。
  1133. 大谷菊夫

    證人(大谷菊夫君) 会つたようです。そういう話です。それから一松判事さんなんかも見えた、そういう話です。これはまあはつきり分りませんが、そういう話もあつたように思います。
  1134. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは被告が病院へ來てからですね。
  1135. 大谷菊夫

    證人(大谷菊夫君) 病院へ來てから‥‥來る前に判事さんか何か‥‥判事さんは來る前に來た。
  1136. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 來る前に行つたんですか。
  1137. 大谷菊夫

    證人(大谷菊夫君) 交渉に、席があれば入れて呉れ、こういうような交渉があつたという話です。
  1138. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 判事の方は來る前ですか。檢事が來てから‥‥。
  1139. 大谷菊夫

    證人(大谷菊夫君) 來てからです。
  1140. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 佐々教授が言うたのですね。
  1141. 大谷菊夫

    證人(大谷菊夫君) そうです。それから後、外に訪ねて來たのじやないかと言うたら、或いはまあ家族の者だけで、家族とか、お客さんですね、十六日の日には客人が十人くらい見えたというのですね。それから十五日の日には男が四五人、女が二三人見えた。客人の方の関係だけは、これは看護婦の方から聽いたのです。それからその前の日曜ですね、日曜の日には、日曜は十四日ですね、十四日の日には女が三人くらい、男が七人くらい、入院した日は男が八人に女が二人くらい見えたと、こういう話です。
  1142. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それから病院で酒を飲んだようなことは聞きませんでしたか。
  1143. 大谷菊夫

    證人(大谷菊夫君) そういう点は知りません。
  1144. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 知らないのですか。
  1145. 大谷菊夫

    證人(大谷菊夫君) 聞いたけれども、そういうことには触れなかつた。看護婦には聽きましたが、先生には聽きませんが‥‥。
  1146. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは分らなかつたのですか。
  1147. 大谷菊夫

    證人(大谷菊夫君) ええ。
  1148. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その他お調べになつたことはありませんか。
  1149. 大谷菊夫

    證人(大谷菊夫君) 外に何も調べません。
  1150. 伊藤修

    委員長伊藤修君) この捜査について、今おつしやつた以外について何かあなたが知つたことはないですか。
  1151. 大谷菊夫

    證人(大谷菊夫君) 私のこれは專門じやありませんものですから、命令されたので‥‥。
  1152. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 命令されたので、特定事項だから‥‥。
  1153. 大谷菊夫

    證人(大谷菊夫君) 特に時間を限つて直ぐやつて呉れと、臨時にやつたもので、余り詳しいことは知りませんでした。
  1154. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたのお調べになつたので知つた範囲はその程度ですか。
  1155. 大谷菊夫

    證人(大谷菊夫君) そうでございます。結局保釈中に入院していて、あそこを出た、外出の確証を握つて呉れ、こういう話だつたもので‥‥。
  1156. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 外出先で何をやつておるかということは……。
  1157. 大谷菊夫

    證人(大谷菊夫君) その点は当つておりません。
  1158. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 外出事実だけを調べたわけですか。
  1159. 大谷菊夫

    證人(大谷菊夫君) はあ、そうです。
  1160. 伊藤修

    委員長伊藤修君) さつき小吉に会いましたか。
  1161. 大谷菊夫

    證人(大谷菊夫君) へ?。
  1162. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 二号に会いましたか。
  1163. 大谷菊夫

    證人(大谷菊夫君) 会つておりません。今日こつちの控室で会つておりますが。
  1164. 伊藤修

    委員長伊藤修君) いや、あなたの捜査するときは。
  1165. 大谷菊夫

    證人(大谷菊夫君) 会つておりません。
  1166. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 子分やなんか会つたことはないですか。
  1167. 大谷菊夫

    證人(大谷菊夫君) 会つておりません。
  1168. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたは尾津君の事件に対して、捜査はその範囲であつて尾津が起訴された事件の捜査に関係をしましたか。
  1169. 大谷菊夫

    證人(大谷菊夫君) その方は関係しておりません。私の方は大体強盗殺人の方の係ですから。その方は臨時に宿直の番でしたからこれをやつたのです。
  1170. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 尾津君の現在起訴になつたおる事件のは関係していないですか。
  1171. 大谷菊夫

    證人(大谷菊夫君) 関係しておりません。
  1172. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 尾津君の事件の捜査はどこでやつた御存じないですか。
  1173. 大谷菊夫

    證人(大谷菊夫君) 捜査第二課でやつたんです。
  1174. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 二課ですか、警視廳の。
  1175. 大谷菊夫

    證人(大谷菊夫君) はい。
  1176. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 外にどなたかお聽きになる方がありますか。‥‥それではどうぞ。お待せしました。    〔証人小峯忠生君着席〕
  1177. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 小峯さんですね。
  1178. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) そうです。
  1179. 伊藤修

    委員長伊藤修君) お年はお幾つですか。
  1180. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) 四十五です。
  1181. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 警察官をしていらつしやいますね。
  1182. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) そうです。
  1183. 伊藤修

    委員長伊藤修君) ここでお述べになることは、やはり偽証の制裁がありますから、御注意申上げて置きます。
  1184. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) はい、承知しました。
  1185. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 警察官の御経歴は。いつなられましたか。
  1186. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) 昭和二年の五日です。
  1187. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それから現在も。
  1188. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) そうでございます。
  1189. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 尾津君とは、いつ頃から知つていらつしやいますか。
  1190. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) 昭和十七年の六月頃と思います。月日はよく記憶しておりませんが、たしか十七年の六月頃と思います。私が丁度淀橋の刑事部長をしておりましたときでございます。そのとき、これは死にましたけれども、小島という刑事がおりまして、それと尾津と非常に仲がよかつたのです。当事尾津君は中野の方に住いを持つておりまして、中野の方で仕事をしていたらしいのです。その十七年の六月頃、小島君が、尾津君が新宿に出たいというけれどもどうだろうという相談を受けました。そのとき、あそこには、新宿はテキ屋が大勢おりますから、差障りがないならいいだろうという話をしたのですが、その後本人が新宿の方へ來て露店をやるようになつたと思つています。それから知るようになつたのであります。
  1191. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは職務上ですか。
  1192. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) そうです。
  1193. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何か職務上で尾津君と始終そういう関係が起るのですか。
  1194. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) 当時の尾津組のテキ屋仲間の若い者が、非常に悪い者が多くいましたから、尾津組の者が何か犯罪を起すときは、本人を呼んで保証を出さしたりしたようなことがあるのです。
  1195. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 尾津君は何か事件を起したようなことはないのですか。
  1196. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) ありません。私のいた当時はありません。その後、安田と尾津の喧嘩があつたようです。
  1197. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どういう喧嘩ですか。
  1198. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) 安田と尾津との要するに勢力の喧嘩です。
  1199. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どんなものですか。
  1200. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) 喧嘩の原因は、私は捜査課の方へ行きましたからよく知りませんでしたけれども、双方ともまあ二三百名ずつ集めて、衝突の一歩手前まで行つたところが、和解になつてことがあります。
  1201. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それはどこで出入りするということになつたのですか。
  1202. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) 出入りは、片方の安田の方は安田の事務所ですね。それが本陣で、尾津は今の尾津の家です。
  1203. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どこかで出入りするというのですね。
  1204. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) いや、どちらも要するに本陣の襲撃しつこだろうと思います。
  1205. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 両方が毆り込みをするわけですね。
  1206. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) ところが、毆り込みしないで‥‥。
  1207. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 事実はそれで終つたけれども、そのときの氣勢として、両方が毆り込みするわけですね。
  1208. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) そうでございます。
  1209. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それが一歩手前で收まつたわけですね。別に喧嘩にはならなかつたわけですね。
  1210. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) はあ。
  1211. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それはどういうわけですね。尾津はそういう大きな親分であつて、聞くところによると、飯島一家の分れだそうですね。本流ですか、分れですか。
  1212. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) 本流じやないですか。
  1213. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 飯島一家としてはよい方ですね。
  1214. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) 当時一番勢力があつたように思います。
  1215. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どのくらいの子分があるのですか。
  1216. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) 子分というのは‥‥。本人は子分の躾け方が下手らしいですね。当時の喧嘩の模樣を、私淀橋の主任あたりに聞いてみますと、まああの当時喧嘩の決死隊と私共は称しておりましたけりども、十名くらいしかなかつのじやないですか。
  1217. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 三百名中、決死隊は十名くらいですか。
  1218. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) そのくらい。これは私共仲間の想像ですけれども、安田の方が五十名くらいで、尾津は十名くらいだろうと話です。
  1219. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 三百名というのは、やはり尾津の息の掛かつたものでしようね。
  1220. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) いろいろな関係でしようから‥‥。
  1221. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 盃を貰つておるとか、貰つていなくても尾津の準子分というものでしようね。
  1222. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) 準子分というよりも、兄弟とか、同じ組の友達同士とか、そういうものを集めたのだろうと思います。
  1223. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 盃兄弟分の子分ですね。
  1224. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) そうだと思います。
  1225. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 尾津の盃兄弟はどういうのがあるのですか。
  1226. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) 三十人くらいきりいなかつたのじやないでしようか。
  1227. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは兄弟附合いですね。
  1228. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) 兄弟附合というと、新宿では野原、それから渡辺くらいだろうと思います。
  1229. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それから東京市には。‥‥その他関東一円では。
  1230. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) テキ屋の方は‥‥。
  1231. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたのお知りになる範囲において。
  1232. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) ちよつと覚えせん。
  1233. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その他もあるのですね。
  1234. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) あります。
  1235. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 叔父分とかいうものがあるのですね。
  1236. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) それもあると思います。
  1237. 伊藤修

    委員長伊藤修君) とにかく関東においては、飯島一家の本流であつて、今日の飯島一家として第一の親分ですね。そうお伺いしてよろしいですね。
  1238. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) そうでございます。
  1239. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 從つてその勢力というものは相当なものですね。
  1240. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) 世間で言われておる勢力というものは、相当大きいものと思います。
  1241. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 大きいですね、実質はともかくとして。
  1242. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) 本人に会うと、そうとは思えませんけれども。
  1243. 伊藤修

    委員長伊藤修君) けれども、一朝事があると、兄弟分からそういつた子分が狩り出されて三百人も寄るというのだから、相当なもんじやないですかね。
  1244. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) 相当なものと思います。
  1245. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 尾津は、終戰後財産を作つたわけですね。
  1246. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) は。
  1247. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どんなことをして作つたのですか。
  1248. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) 私は淀橋に昭和二十一年の一月までおりましたけれども、その当時は、相当世間で大きいと言つておりましたけれども、今話しました兄弟分の渡辺あたりに聞いてみても、尾津は金というものは、殆んど百万あるかどうかと言つておりました。
  1249. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 現金はなくとも、どんどん物を作つて行くでしよう。マーケツトの建物を使うとか、いろいろな事業をやつて行くでしよう。そういうものに投資されて行くわけですね。そういう金は、どこかから集めて來たわけですね。儲けたか‥‥。
  1250. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) それは儲けから段々起して來たのじやないかと思います。
  1251. 伊藤修

    委員長伊藤修君) だから、そういうものによつて儲けたものは、結局動産、不動産こめて、どのくらいあると想像されたですか。
  1252. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) とにかく、安田なんかよりは金を持つていないという評判でした。
  1253. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 現金は持つていなくても‥‥。
  1254. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) あの場所は早晩取られるという噂でしたから、そこまでは考えておりません。
  1255. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それはどうして儲けたのですか。
  1256. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) 結局、終戰後あの場所へ本人が陳取りまして、いろいろな日用品その他のものを貰つて儲けたのだと思います。
  1257. 伊藤修

    委員長伊藤修君) まじめな商賣で儲けたりですか。ゆすりや脅迫して儲けたのですか。
  1258. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) その方は殆んど聞きません。ただ、後になつてから仕入れの金を返して貰わなかつたとか、或いは仕入れたけれども金は貰わなかつたとかというようなことがありました。
  1259. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 仕入れても商賣の利鞘だけであれだけの大きな事業が短時日の間に成り成つということは考えられませんがね。
  1260. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) 露店の場合は、どうも普通の商人とは同一に考えられないと思うんです。
  1261. 伊藤修

    委員長伊藤修君) かすりの取りようがないのですか。
  1262. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) 要するに品物の相違じやないかと思います。
  1263. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 博打はやりはせんでしたか。賭場を開いてやりはせんですか。かすりを取つてつたんじやないですか。
  1264. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) 博打は、本人は博打はやつていない‥‥。
  1265. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 本人はやらんでもですね。
  1266. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) 中野にいたとき、一遍中野署で檢挙されたことがあるのです。これは本人はたしかやつていなかつたと思います。けれども、一應送られまして、結局罰金で帰つたような氣がします。
  1267. 伊藤修

    委員長伊藤修君) だから自分の繩張の中で賭場を開いて、博打を開帳させて、そうしてテラ銭を取つておるというようなことはないのですか。
  1268. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) そんなことはありません。
  1269. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 世間でよく聞くと、いろいろなものを強要をして、そうして不当な利益を占めておるように聞いておるんですがね。
  1270. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) まあいわゆる露店の品物ですから「ばち」、「ちばし」と言つておりますけれども、場違いの品物を普通に賣つて儲けておるんじやないかと思います。
  1271. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それが主な物ですか。
  1272. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) はあ。
  1273. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 露店の商人は勿論でしようが、普通の眞面目な商賣に対して、或いは事業家に対しては、相当圧力を加えておつたんじやないのですか。そうして不正な利益を搾り上げておつたんじやないのですか。
  1274. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) あの当時はとにかく今みたいに商店が殆んどありませんでしたから、利用をするのはみんな大概マーケツトですから、從つて利益が多く入つたんだろうと思います。
  1275. 伊藤修

    委員長伊藤修君) マーケツトは、あれは商人があそこに出店をするのですか、自分が直営ですか。
  1276. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) 尾津のマーケツトは、あれは本人の直営だと思います。
  1277. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 自分で投資をして、品物を仕入れて、そうして賣つておるわけですね。
  1278. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) そうでございます。
  1279. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 相当警察に対しても圧力を加えておつたんじやないですか。
  1280. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) いや、絶対ありません。
  1281. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたがそこに在動して見えるから、そうお考えになるかも知れませんが‥‥。
  1282. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) 口は大きいことをきくんです。併し大きい口をききますけれども、こつちで以て別に何とも思つていないと、向うで却つて引つ込むような‥‥。
  1283. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 署長やなんか‥‥。
  1284. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) その方面では或いはそうかも知れない。
  1285. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それでも尾津が顔を出せばぴりつとしたんじやないですか。
  1286. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) 私があそこにいたときの署長は、今安本に行つております安方さんですけれども、別にそうは思わなかつたですね。その当時から安田、尾津の軋轢が相当ありましたけれども、喧嘩にならなくて済みましたから。
  1287. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 今度の事件御存じでしよう、所轄で以てよう挙げなくて、本廳で挙げたんじやないのですか。そういうところから考えても、所轄では手が着かんじやないですか。
  1288. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) ‥‥。
  1289. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そう考えられませんか。
  1290. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) 手が着かんじやなくて手が著けられ‥‥
  1291. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 手が着けられなかつたじやないのかなあ。
  1292. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) そんなことはありません。
  1293. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 尾津の勢力、財力というものは、或いは所轄警察では抗し得なかつたというのじやないのですか。
  1294. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) そんなことはありません。
  1295. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 手を着ける事実はなかつたというのですか。手が着ける事実があつても、手を着けられないのじやないですか。
  1296. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) 手を着ける事実がなかつたかも知れません。
  1297. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それはあつたんじやないのですか。
  1298. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) それは後で分つたことです。
  1299. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは怖いものですから、手を着けられなかつたんじやないのですか。
  1300. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) そんなことはないと思います。
  1301. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 触らぬ神に崇りなしというわけですね。
  1302. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) そんなことはないと思います。
  1303. 伊藤修

    委員長伊藤修君) こんな沢山の事実が続々あとから起訴されたのですから‥‥。
  1304. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) その事実は、マーケツトの問題なんかは全然刑事の方ではタツチしておりませんから、その事情は分りません。
  1305. 伊藤修

    委員長伊藤修君) タツチしなくても、不当に強要やなんかして、社会に害悪をなしておるのだから‥‥。そうして不当な利益を得て社会に害をなした。その結論の正否は分りませんけれども、そういう事実で起訴されておるのです。そこであなた達が御在勤中の書類をそれを挙げ得なかつた。結局本廳でそれを手を着けてやつた。そういうような事情ですから‥‥。
  1306. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) あれは、ですから要するに、淀橋署に檢挙せよという命令があつたならば必ずやつたと思います。
  1307. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 淀橋署ではよう手を着けられない、威圧に屈服して手を着けられないというように見たんじやないですか。
  1308. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) そういうことはないです。世間ではよく尾津の勢力を誇大視しておるような感じがいたします。
  1309. 伊藤修

    委員長伊藤修君) けれども、所轄署に若しその能力があるとするならば、所轄署に命令すべきじやないですか。所轄署はちよつと足をすくわれたような形ですね。
  1310. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) それは所轄署にやらせればやれたのだと思います。
  1311. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それがよう手を着けなかつたのですから、看過したのですから、見過したのですからね。
  1312. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) とにかく経済の方の違反とか何とかいうのは、刑事の方では殆んど分りませんから。尾津に手を着けるのは経済から行かなければならんのですから。本人が暴力を振うとか、或いは子分衆が何とかすれば必ず刑事の方でやつていると思います。
  1313. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは強力犯でなくても、知能犯的な強要罪に類したような犯罪が犯される場合もあるのですからね。
  1314. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) それが殆んど暴力を加えたとか、或いは不当な圧力を加えたというような場合、警察の方へ告発とか、告訴とか、或いは刑事に話さえすれば、やれないことはないと思います。
  1315. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういう投書はなかつたんですか。
  1316. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) ありません。一回もありません。
  1317. 伊藤修

    委員長伊藤修君) けれども、投書をすれば半殺しになる、叩つ殺されると思うからやらないんじやないですか、一般市民は‥‥。そういうふうにも聞いておりますよ。
  1318. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) ‥‥。
  1319. 伊藤修

    委員長伊藤修君) むしろ警察で保護して貰うよりは叩つ殺される方が先だというように感じておるんじやないですか。
  1320. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) ところが、さつきも話しましたように、尾津のいわゆる決死隊、この子分というものは殆んどいないですよ。どうしてかといいますと、本人は身内の若い者は余り可愛がらんらしい。從つて金拂いも惡い。女あたりには相当金を使う。そういうふうにして、尾津の所に、初め尾津新宿に來たときには相当若い者がおりましたけれども、終いには殆んど尾津の盃を貰つて働くという者はいなかつたように思います。尾津のマーケットの所も、普通考えると、尾津がやつているので、尾津のマーケットに働いておる者は尾津の盃を貰わなければならんというわけですけれども、あすこに尾津組と名乘つておる者は殆んど皆素人の者ばかりのような氣がいたいます。
  1321. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういうのは素人の人も皆盃を貰うのじやないですか。
  1322. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) 尾津と名乘つておる以上は、盃を貰つておるのだと思いますけれども、とにかく貰わないにしても、尾津の直系というのは殆んどいなくなつてしまつたようです。
  1323. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 体を張つて尾津のために盡す人は、段々尾津が親分らしくなくて、金拂いが惡くて、女の方にだけ金を注ぎ込むというので、自然離れるかも知れませんけれども、そういうことを知らない素人のやくざの連中は、尾津の勢力というものを誇大視して、それに盃を強いて貰いに行くというような傾向があるのじやないですか。
  1324. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) マーケットに関連して尾津名前を用いるというのは、盃を貰つて親分子分の誓いをするというようなわけではなくて、要するに商賣をするためにやつた手段の一つじやないかと思います。
  1325. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 世間では、安田との出入りに三百人も寄せるのだから、尾津の勢力というものは相当大きく買うでしようね。
  1326. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) それは買つております。
  1327. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そういうような暴力團体の背景を持つているとすれば、警察もちよつと手が着かんのじやないですか。
  1328. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) そんなこともないと思うのですが。
  1329. 伊藤修

    委員長伊藤修君) いずれにしても、結局あなたの方ではよう手を着けなかつたわけですね。
  1330. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) そうです。尤も署長さんがやれと言えばやるつもりでおりました。
  1331. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたの方としては結局やらず終いで、本廳でやられたわけですね。
  1332. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) 結局そうなると思います。
  1333. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 尾津は政治方面はどうですか。
  1334. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) 政治方面には私がいたときには別にタツチしたようなことは聞きませんけれども、その後あれは衆議院か何かに立候補したことは知つています。
  1335. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 政治家の人と交際をしているようなふうに見受けられませんか。
  1336. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) 見受けません。
  1337. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 尾津のいわゆる交際関係というものをお調べになつておりますか。
  1338. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) 政治方面の交際関係ですか。
  1339. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 政治方面その他の実業家の方面でも、主だつたところはどんな人と交際をしていますか。
  1340. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) 野村專太郎さんあたりと附合つたことがあるのかも知れません。
  1341. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その他有名な人に‥‥。
  1342. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) さあその他は知りません。
  1343. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 何か尾津組で常盤会とか、桂会とかいうものはありませんか。
  1344. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) 常盤会ですか、存じません。
  1345. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 桂会というのは。
  1346. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) そういう社交團体がありますのですが、何か尾津組の中か外にそういうような一種経済團体或いは社交團体、そういうものはありませんか。
  1347. 伊藤修

    委員長伊藤修君) お聞きになりませんですと、いわゆる傍系團体というものは聞きませんか。
  1348. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) さあ、私のいるときは聞きませんでした。
  1349. 伊藤修

    委員長伊藤修君) あなたは尾津が今度釈放になつて來たことを、いつお知りになつたのですか。
  1350. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) 私、丁度あれは九月の十四、五日だと思います。どうしてかといいますと、十六日の午後の九時頃家にいますと、丁度呼出しが参りまして、淀橋署へ行つて参りました。事件は何とも言いませんから淀橋署へ行きましたら、十二時半頃今の大谷、及川という二人の刑事が参りまして、実はこれから尾津の保釈後の行動を調査する、明日の朝までやらなければならん。私が淀橋から來たのだから一つ本人の行動のよく取れるところを一つあれして貰いたい。それで以て一緒に行きました。前の十四日か十五日だと思います。朝丁度家に所用がありまして、役所に出勤するのは遅れて、九時半か十時頃家を出まして、電車に乘り遅れて尾津の前を通つて三四軒行つたとき、尾津が改正道路の方から顔見知りの若い者三人に囲まれて出て來たのです。どうしたのかと言つたら、今保釈になりました、今日出て來ましたと言うんです。「氣を付けた方がまあいいね」と、そう言つて、「ちよつて急ぐから」と言つてそのまま出ましたけれども、その後、たしか自動車を呼んで、病院に薄團を持つて行けとかいうことを言つておるのを聞いたように覚えてます。そのとき初めて本人が出て來てから会つたのです。
  1351. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは九月十三日の朝のことですか。
  1352. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) それは十三日か‥‥とにかく十五、十四、十四日じやないか、その近所だと思います。
  1353. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 十三日の朝ですね。その十時頃病院に行つたのですからね。
  1354. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) ああそうですか。
  1355. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そうすると、尾津は何で仮釈放になつたかということを御存じですか。そのことをお聞きになつたのですか。
  1356. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) 保釈というのですから、病氣で出たのだろうと思いました。
  1357. 伊藤修

    委員長伊藤修君) どういう理由で保釈になつたかということを聞きませんでしたか。
  1358. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) 聞きません。
  1359. 伊藤修

    委員長伊藤修君) そのとき尾津はどうでしたか。病氣かなんかと思つたくらいですから‥‥。
  1360. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) 幾分やつれておるような氣がしました。
  1361. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは二月も勾留されておるのですから多少やつれるでしようけれどもね、どうですか、平常と元氣は変りなかつたのですか。
  1362. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) そうですね、変つてないとは思いました。
  1363. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 元氣だつたのですね。
  1364. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) 割合に元氣だつたです。
  1365. 伊藤修

    委員長伊藤修君) まあ保釈は病氣か何かの理由で出て來たのだろうと、割合に元氣だつた、別に平常と特段の変つたことはないと、こうお聞きしてよろしいですね。
  1366. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) それは大概保釈で出て來る人は病氣を理由に出て來ますから‥‥。
  1367. 伊藤修

    委員長伊藤修君) まあやはり普通出て來る人は病氣を理由に出て來るからそうだろうと、特段に、本人が重病人のように思えなかつたと、こういうわけですね。
  1368. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) 重病人とは思えません。
  1369. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは普通あり來りのことだと、こう思つたのですか。
  1370. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) はあ。
  1371. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その他そこで以て、僅かの時間だつたらしいですが、何かお話になりましたか。
  1372. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) 何にも話しません。
  1373. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 子分衆は寄つてつたですか。
  1374. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) 三人たしか後についておりましたから、或いは出た直後かも知れません。
  1375. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 誰がおつたですか、御存じですか。
  1376. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) 顔は知つてますが、名前ちよつと‥‥。
  1377. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 分らないですか。
  1378. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) 杉下というのがいたかも分りません。
  1379. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 杉谷じやないですね。
  1380. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) 杉下です。
  1381. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それは子分の重要なところですか。
  1382. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) 今の残つておる中では本人ぐらいかと思います。
  1383. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 今残つておる子分で重要なポストを持つておるのはどんなところですか。
  1384. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) マーケツトの方には殆んど尾津組の者はいないと思います。重要なポストを持つているのは。やはり杉下というのはその方面じやなくて、遊んでいる方の部類と思います。
  1385. 伊藤修

    委員長伊藤修君) 少し言葉の行き違いですけれども、あなたがこの前報告書を出されたときに「尾津は昨日出て來ました。」と言つておるのですが‥‥。
  1386. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) それは言つたかも知れません。
  1387. 伊藤修

    委員長伊藤修君) その方が正しいのですね。前の報告書ですから‥‥。
  1388. 小峯忠生

    證人(小峯忠生君) そういえば「昨日出て來ました。」といつたかも知れません。
  1389. 伊藤修

    委員長伊藤修君) お尋ねになることはありませんが。‥‥では御苦労様でした。  大体こちらの調査部で行なつ調査、今後の調査要綱は一應朗読して皆さんの御参考に供したいと思います。
  1390. 鬼丸義齊

    ○鬼丸義齊君 懇談会でやつて頂きたいと思いますが‥‥。とはありませんが。‥‥では御苦労様
  1391. 伊藤修

    委員長伊藤修君) それでは懇談会でやることにいたしまして、委員会は本日はこれを以て散会いたします。    午後二時五十二分散会  出席者は左の通り。    委員長     伊藤  修君    委員            齋  武雄君            中村 正雄君           大野木秀次郎君            水久保甚作君            鬼丸 義齊君           前之園喜一郎君            宇都宮 登君            松村眞一郎君            星野 芳樹君            小川 友三君   証人    警視廳巡査部長 大谷 菊夫君    警視廳巡査部長 小峯 忠生君    会  社  員 大澤常太郎君            望月 作平君            吉田 チヨ