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國務大臣(鈴木義男君) まず
超過勤務手当のことでありますが、仰せ御尤もでありまして、殊に
檢事につきましては、
超過勤務手当を
支給しないという合理的な根拠は何にもないのでありまして、ただ
判事の場合におきましては、自宅で執務をされるというような場合もあるので、それを一々超過勤務として
計算することはなかなかむずかしいことであ
つて、
裁判官の方で
超過勤務手当を
支給することは事実上困難であるからということと一つはできるならそういう時間で以て
計算をして、非常に高い
地位にある
官吏に対して
計算をするというようなことの煩を避けたい。そういう二つの
趣旨から
超過勤務手当を認めないということになりました結果、これと同じ立場から
俸給を決定する
檢事についても、殆んど
檢事は例外なく超過勤務をいたしているのでありまするが、この際は思い切
つてこれを避けることにしよう。こういうことにいたしたような次第でございまして、
國会において
超過勤務手当もこの外に附けることが妥当であるというお考えでありまするならば、
政府としても少しも異存はないのであります。
それからこの案が提出されるに至りまする過程における閣議の経過について
説明せよということでありまして、その点は若干世上に誤解があるように思われまして、衆議院においても熱心なる御
質問があつたのであります。一通り経過を御
説明申上げて御了解を得たいと思うのであります。それは四月二十六日の閣議にかけられたのでありまして、約二時間費やしまして、非常に熱心な討議が行なわれました結果最後に到達いたしましたのがここに原案として提出いたしておりまするように案であります。これは二十六日の閣議で決定いたした案に相違ないのであります。
裁判官の方も、
檢事の方も……。ただ
檢事の、副
檢事の
給與について数字が若干
一般官吏との比率において訂正をしなければならんものがありましたために、翌日までに大藏省の
給與局長の手で整理をして書直して閣議に報告をするという條件は附いておりましたが、その他の点は全部原案が決定をいたしまして、そうして閣僚も全部署名をして二十六日の夜に確定いたしたのであります。然るに二十七日、その時は私は神戸の方に参
つておりましておらなかつたのでありますが、二十七日の閣議に大藏省
給與局長から昨日の閣議で決定した案としてこの原案のごときものを報告いたしましたところが、閣議においてその数字を御覽にな
つて、或る閣僚がこれはどうも昨晩の了解と違うではないか。昨晩決定したのは
檢事が
判事に比べていずれも千円ずつ低いという決定であつたと記憶する。それがこれを見ると、ただ一号
俸給が違うだけで、その他は違
つていない。これは間違いではないかという御意見が出たそうでありまして、多数の閣僚もどうもそういうふうに思う。これは間違いであるから直すべきであるというようなことを仰せられてそれでおのおの千円ずつ
檢事の方が低く
なつた案が作られたそうであります。併しそれは確定に至らないでただそういう了解前日の閣議の内容がそうであつたというふうに、いわば解釈をするというような形で御決定に
なつたそうでありまするが、そのことが私は神戸の方におりまして、長距離電話で承わりまして、非常に驚きまして、前の晩の閣議決定とそれは異なる決定でありまするから、前の晩は非常に議論の末
判事を一段高からしめるために、すでに
最高裁判所長官並びに
裁判官は非常に高くな
つておるのであるが、その他の
判事の一番高いものは、
檢事が一番高くな
つても、そこには行き得ないという
地位を一つ作
つて置くならば、それで十分
判事が高く
なつたということが表現されよう。こういうので決めたのでありまするから、決して各号について皆千円ずつの差を設けるというようなことがなかつたのであります。それがそういうふうな意味に解釈されて変更されようとしておる。そうしてそれが
國会に提案されようとしておるということを承わりまして、それは非常な間違いであるから、自分が帰るまで
國会に提案することを差控えて貰いたいということを総理大臣に電話で傳言を依頼し、且つ電報を打つたのであります。その結果総理大臣は了承せられまして、これを留保して置かれたのである。それで私が帰りまして三十日の閣議に臨んで、それはどういうわけでそういうような誤解が生じたかということをその閣僚に承わりましたところがどうも自分はそういうふうに前の晩の決定を理解したのであるが、よく
法務総裁の
説明を聽いて見ると、それは自分の誤解であつたということで釈然とせられましたので、そこで前の二十七日の了解というものは誤解であつたということが明かになりまして、閣議の決定はやはり二十六日の決定が正しいのである。
從つて二十六日閣議を原案として
國会に提案するということが再確認されたわけであります。これが閣議の経過でありまして、何か
檢事の方で騒いだから閣議において変更をしたのだというふうに誤解せられておる向がありまするが、決してさようなことではないのであります。御了承を願います。