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1948-07-02 第2回国会 参議院 司法・厚生連合委員会 第1号
公式Web版
会議録情報
0
昭和二十三年七月二日(金曜日)
—————————————
委員氏名
司法委員
委員長
伊藤
修君
理事
鈴木 安孝君 岡部 常君 大野 幸一君 齋 武雄君 中村 正雄君
大野木秀次郎
君 遠山 丙市君
水久保甚作君
池田七郎兵衞
君 鬼丸
義齊
君
前之園喜一郎
君 宇都宮 登君 來馬
琢道
君 松井 道夫君
松村眞一郎
君
宮城タマヨ者
星野 芳樹君
小川
友三
君 西田 天香君
厚生委員
委員長
塚本
重藏君
理事
今泉 政喜君
谷口弥三郎
君
宮城タマヨ
君 内村 清次君 河崎 ナツ君
中平常太郎
君 三木 治朗君
池田宇右衞門
君 草葉
隆圓
君 中山
壽彦君
安達 良助君
木内キヤウ
君 小林 勝馬君 藤森
眞治
君
井上なつゑ
君 小杉
イ子
君
波田野林一
君 姫井
伊介
君
穗積眞六郎
君 山下 義信君 米倉 龍也君 千田 正君
小川
友三
君
—————————————
本日の会議に付した
事件
○
少年法
を
改正
する
法律案
(内閣送 付) 午前十時五十一分開会
伊藤修
1
○
委員長
(
伊藤修
君) それではこれより
司法
並びに
厚生
の
連合委員会
を開会いたします。
塚本重藏
2
○
塚本重藏
君
司法委員会
におかれましては多数の
法案
、なかんずく重要な
法案
を御
審議
なさりつつあるその中途におきまして、私共も
厚生委員会
といたしまして、
少年法
を
改正
する
法律案
の
審議
をなさいます
機会
に、
兒童福祉
の
関係
からいたしまして、一應この
法案
の
審議
に
連合委員会
を開いて頂きたいことを申入れましたところ、これを御快諾下さいまして、この
連合委員会
をお開き下さいましたことを先ず以て御礼を申上げて置きます。 尚この
機会
に
厚生委員会
といたしましての、別に
申合せ等
をいたしたわけではありませんが、大体の意向としての多数の
意見
の意のあるところを一應簡單に申上げて置きたいと思うのであります。
少年法
を
改正
する
法律案
が印刷物にな
つて
配付せられましたときに、第三條の一項一号、二号、そうして(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)とありまするだけを見ましたときに、これだけでは
兒童福祉法
を通過させました
厚生委員
の者としましては、その立場上、責任上まだ
不当分
であると
考え
てお
つたの
であります。その
考え
ておりました点は、言うまでもなく
正誤表
によ
つて
訂正せられておりまするその次に加えられた、この「
家庭裁判所
は、前項第二号に掲げる
少年
で十八歳に満たない者については、
都道
府
縣知事
又は
兒童相談所長
から
送致
を受けたときに限り、これを
審判
に付することができる。」こういう一項が
正誤表
によ
つて
訂正加入せられましたことを承わりまして、私共としましては実はこの訂正追加せられました
條文
を是非附けて頂きたいことを念願して止まなか
つた
ものであります。
厚生委員会
の者としましては尚一、二申上げたい、希望したい点もないではありませんが、
会期切迫
の
折柄
そう十分に何もかもということを申上げるわけにも参りませんので、一應この
條項
の挿入を以て満足したいと
考え
ているのであります。併しながら
國会
全体を通して、この
條項
につきましては尚多少の議論があるやに聞いておるのであります。或いは追加せられました
條文
、或いはその他の
條文
において、これを削除してはいかんかという
よう
な
意見
もあるやに聞いて、心密かにそれを心配しておる者であります。希わくば参議院におきまする
司法委員会
におかれましては、
是非政府
が
最初
に出されました原案並びに訂正加入せられました
條項
を、削除することなく御
決定
下さいまするならば非常な幸いだと思う次第であります。 これらの
少年
というものは飽くまでも温かい心、愛の
精神
、又愛に満ちたいろいろな
施設
において、これらの
子供達
を
將來幸福
にならしむるために矯正し、善導し、教養して一人前の成人に育てて行きたいというのが我々の切なる念願なのであります。この点十分にお汲取り下さいまして、御
審議
されるとをお願いいたす次第であります。
伊藤修
3
○
委員長
(
伊藤修
君) では
少年法
を
改正
する
法律案
につきまして
審議
を継続いたします。
齋藤三郎
4
○
政府委員
(
齋藤三郎
君)
只今
御
審議
を頂いておりまする
少年法
を
改正
する
法律案
の
内容
の主要な点についてその
理由
を御
説明
申上げたいと存じます。 第一点は、
從來
の
少年法
によりまして、
少年審判所
が
犯罪
を犯した
少年
、
犯罪
を犯す慮れのある
少年
の両者について
保護処分
をいたしてお
つたの
でおります。今回の
改正
の第一点としては、この
審判所
を、
最高裁判所
をピラミツドの頂点といたしまする
裁判所法
による、
裁判所
の
制度
にいたしたことでございます。これは新
憲法
の
精神
によりましてさ
よう
にいたすのがよろしかろう、こういう
理由
でいろいろ考究いたしました結果、
少年
に関する
保護事件
を担当する
分野
で、
從來本年
の一月から発足いたしておりまする、
普通地方裁判所
の支部として現在仕事をいたしておりまする、
家事審判所
というものがございます、この
家事審判所
の
機能
、
機構
を併せましてここに
一つ
の
地方裁判所
と同格の、独立した
家庭裁判所
というものを作りまして、その
家庭裁判所
において、
家事審判所
の
從來
営んでおりました
事件
を担当いたしますと同時に、
少年
の
保護事件
を担当することにいたしたのであります。而うしまして
裁判所
の
機構
、
権限
という
よう
なものは、すべての
裁判所
を通じまして、
裁判所法
において
規定
いたす
建前
にな
つて
おりまするので、
家庭裁判所
の
機構
や
権限等
の根本のものは
裁判研法
の
改正
によることにいたしております。そうしてこの
只今
御
審議
をして頂いておりまする
少年法
を
改正
する
法律
におきましては、その
家庭裁判所
において行いまする
事件
の
手続
、その他を
規定
いたしたものと御了承願いたいのであります。 又
家庭裁判所
は
考え
まするのに、
少年
につきましては絶対に
刑罰
を科さない
裁判所
でございます。全く
少年
の健全なる育成を図るために、非行のある
少年
を
対象
としてこれを十分に
科学的調査
を用いて、そして
少年
の個々の事犯に最も適切なる
保護処分
をいたす
裁判所
でございます。從いまして
從來
の
刑事裁判所
、
刑事事件
を取扱いまする
裁判所
とは全然趣きの異
つた万事
において明るい、不愉快な
感じ
を與えない
裁判所
が生れ出る
よう
に我々も
考え
、又
最高裁判所
においてもさ
よう
な
考え
でいろいろ企画をしておられるのであります。
從來裁判所
と言いますれば
民事事件
、
刑事事件
のみを担当いたしておりました
関係
上、
事件
がお互いの利益の相反する、而も
民事事件
のごとき、或いは
刑罰
を科する
刑事事件
のごとく、その事柄からしてどうしても
嚴格
を要する
事件
を担当しておりました
関係
上、ややもすれば
裁判所
は暗いもの、冷たいものといろ
感じ
を受けてお
つたの
でありまするが、今回新たに生れまする
家庭裁判所
は、凡そ
子供
のために、或いは
家事事件
を、
裁判
によらないで円く明るく納めるというために生れ出るものでありまして、その
審議
の
手続
も非公開であり、又法廷を用いずして
関係者
が相寄りまして和やかに
話合つて
、そして
科学的調査方法
を用いまして、その
対象
となりました
少年
について最も適切なる
保護処分
を
決定
いたす
審判機関
でございます。從いまして
審判機関
に止まるのであります。執行のことについては何らいたさないのであります。
保護
の実際はいたさないのであります。
保護
の実際はそれぞれのその
家庭裁判所
が
調査研究
をいたしまして、
社会政策
を以て処置すべき
少年
は、
社会政策
の
方面
を担当される
施設
にお委せし、又
嚴格
なる
矯正教育
を必要とする
刑事政策
の
方面
をも加味した、そういう必要のあるものは、さ
よう
な
方面
にお願いをする。結局
審判
をいたすだけでありまして、みずからは何も
保護
を実際には担当しない、
從つて行政機構
とは
関係
のない、
行政
と
司法
とのはつきりした
分野
、
建前
を守りまして、
審判
のみをいたす
機関
とお
考え
を願いたいのであります。 それから今度の
改正
の大きな点の第二点は、
対象
になる
年齢
を
引上げ
た点でございます。現在の
少年法
におきましては、十八歳
未満
を
対象
といたしておるのでありまするが、
終戰後
の
犯罪
の状況を見ますると、曾ては三十五、六歳ぐらいが、大体最も
犯罪
の多い
年齢層
でございましたが、最近におきましては十八、十九、二十歳という
年齢層
が一番
犯罪
が多いのでございまして、これらについてただ
刑罰
によらずに、恩愛備えたところの
保護
の
意味合
におきまして、十八歳の
年齢
を二十歳に
引上げよう
といたしておるのであります。ただ
裁判
官の手不足、或いは物的の
施設
を急速にはできないという
関係
もございますので、附則において施行後一年間は十八歳を
対象
とするというふうに、経過的な、暫定的な措置を講じておるのであります。 次に第三に大きな変更の点は、
從來
の
少年法
の
建前
によりますると、
少年
の
刑事事件
は
警察
から
検事局
に参りまして、
検察廳
が
調査
の結果、
起訴
すべきものは
起訴
し、不
起訴
にするものは不
起訴
にいたしまして、そうしてそれを
少年審判所
に廻して、
保護処分
を加えてお
つたの
であります。併し今度の
建前
におきましては、折角
少年
のために明るい、そうして行届いた
少年
のための特別の專門的な
裁判所
を作るのでございますから、軽微な
刑事事件
は
警察
から、直接重い
事件
も、
検察廳
は、
強盗事件
でも
殺人事件
でも全部
少年裁判所
に参りまして、そうして
少年裁判所
が
身柄
を留めるべきものについては、
アメリカ
にありまする
よう
なデイテンション・ホームに該当する
よう
な
施設
を作りまして、そこに收容いたしまして、その期間に十分に科学的な
方法
を用いまして、
本人
の性格その他を鑑別いたしまして、それらの科学的な資料を十分に参酌いたしまして、
保護処分
に付すべきものについては、適切なる
保護処分
を
決定
いたすのであります。但し
罪質
その他の事情から、どうしても
刑罰処分
に付さなければならんという僅かの
例外
につきましては、
家庭裁判所
から管轄する
検察廳
に移送いたしまして、そうして
検察廳
は原則として、その
事件
を
起訴
する、そうしてこれは
普通刑事手続
によりまして、
証拠
が十分であれば有罪の判決を受け、
少年刑務所
に参る、こういうことにいたしたのであります。 第四点は
兒童福祉法
との
関係
について、我々としましては、
十分意
を用い、その調整を
考え
たのであります。この
法案
の第十八條におきましては、
家庭裁判所
におきまして、
少年
の
事件
について
調査
をいたしておる際に、
調査
の結果、これについては
強制力
を用いる必要がない、
保護処分
をする必要はない、こういうふうな
事件
については、速かに
権限
を有する
都道
府
縣知事
又は
兒童相談所長
に
送致
しなければならない。但し、
都道
府
縣知事
又は
兒童相談所長
から、強い
矯正保護
の手を加えて欲しいという認定を以て送られた
事件
については、その限りでない。か
よう
にいたしておるのであります。更に又
家庭裁判所
が
調査
の結果、
審判
を開始する必要があるということで
審判
を開始しまして、
審理
をいたすのでありますが、その
審理
の結果、やはりこれは
兒童福祉施設
の方でやられた方が適切であるという
事件
につきましては、第二十三條の第一項において、
兒童福祉施設
にお委せするということにいたしておるのであります。 尚種々の提示がございましたが、結局において第三條の第二項というものを入れたのであります。これは十八歳に満たない
虞犯
の
少年
については、
都道
府
縣知事
、又は
兒童裁判所長
から
送致
を受けたときに限り、これを
審判
に付することができるという
規定
を入れたのであります。これにつきましては、いろいろな
方面
からいろいろな
角度
で
考え
られると思うのであります。
兒童相談所
は
兒童福祉行政
の最も中心であ
つて
、これは間違いのないところでありまして、その観点から、
都道
府
縣知事
又は
兒童相談所長
から
送致
を受けたときに限り、これを
審判
に付することも一應
考え
られると思うのであります。これにつきましてはいろいろな
角度
から
考え
られるのでありまして、二十数年
來犯罪少年
、
虞犯少年
を放
つて
参りました
少年審判所
におきましては、か
よう
な
條文
は理論的にも、亦実際的にも極めて不適切であるという
よう
な陳情を
法務総裁
に出しておるのであります。この点については別途又十分に御
審議
を頂きたいと存じております。 次に
保護処分
の
内容
を非常に
嚴格
にいたしたのであります。
從來
は現行の
少年法
によりますと、一号から九号までございまして、最も軽い者は
訓戒
を加えるという
程度
のものであ
つたの
でありますが、今回は
保護処分
の
内容
を三
種類
に分ちまして、嚴重なる
保護観察
に付する者と、それから
教護院
その他
兒童福祉施設
に
送致
する者、それから
從來
の
矯正院
でございますが、
少年
院に
送致
する、この三
種類
を
保護処分
といたしたのであります。從いまして、
虞犯少年
と申しましても、
最初
から
訓戒
で結構だという
程度
の者は、その
保護処分
という最終の結果を狭くいたしました
見地
から、おのずから
相当程度
の進んだ
虞犯
ということが出て來ると思うのであります。この点も三條の二項を御
審議
の際に御考慮を賜わりたいと思うのであります。 第六点は
保護
司の
制度
を設けた点であります。
從來
は
矯正院送致
という
処分
を
少年審判所
でいたしますと、それについて爭う途がなか
つたの
でありますが、これにつきましては、
憲法
の
精神
も十分
考え
まして、そうして
本人
一
保護者
、
附添人
、
附添
の中には弁護士の方もおられるわけでありますが、そうい
つた
方々
から
決定
に影響を及ぼすべき法令の違反、事案の重大なる誤認、
処分
の著しい不当というふうな事由のあ
つた
場合には、
高等裁判所
に
抗告
をなし得る途を開いたのであります。そして更にその
高等裁判所
においての
抗告
の
決定
について、更に
憲法
上の問題があるという
よう
な場合におきましては、
最高裁判所
にまで再
抗告
の途を開いて
決定
に誤りなきことを期したのでございます。 第七には
少年
の福祉を害する
よう
な
大人
の
刑事事件
を、
家庭裁判所
が取扱うことにいたしたのであります。これは
少年
の
事件
を調べておりますると、その
原因
が
家庭
の無
理解
、雇主の無
理解
、或いは不当なる処遇ということが
原因
をなしておることが多いのでございます。從いまして、それらを奇麗にいたさなければ
本人
の救濟ということはできないのでございまして、さ
よう
な
事件
については、
家庭裁判所
に
起訴
をすることにしました。そしてこの
事件
を
家庭裁判所
が取扱うということにいたしたのでございます。尤も
家庭裁判所
は
事件
の性質からいいまして、單独の
判事
が当るのがよろしいので、單独制を用いております
関係
上、体刑を以て処断すべき場合は、止むを得ず普通の
裁判所
に移譲しなければならんことにな
つて
おります。 更に
家庭裁判所
という
制度
を
考え
まして、
少年
の
保護事件
、
大人
の
少年不良化
の
原因
を與えた
事件
を処理する外に
家庭
のもつれを解決する
家事審判所
の
機能
を加えたということは、いろいろ問題の
少年
が生れました
原因
には、
家庭
上のもつれが多いのであります。從いまして、か
よう
な
家庭
上のもつれをやはり奇麗にするということも、
少年
を本当に救濟する上において必要であると
考え
ましたので、
家事事件
と
少年事件
とを合せた
一つ
の
家庭裁判所
という
制度
を
考え
たのでございます。 尚以上が
改正
の要点でありまするが、その他にも十八歳
未満
で罪を犯した
少年
に対しては、絶対に死刑を科さないという
よう
な
改正
もいたし、
少年
が
家庭裁判所
から
普通裁判所
の方に参りまして、
刑罰
を受ける際にも、
少年
の
特殊性
から種々普通の
法律
に
例外
の
規定
を入れる必要がありますので、さ
よう
な点も考慮しまして、それぞれ所要の
改正
をいたしておるのでございます。 以上が
改正
の概要でございまして、詳細につきましては、御質問によりましてお答え申上げたいと存じます。
伊藤修
5
○
委員長
(
伊藤修
君) ではこれより
質疑
に入ります。
質疑
のあるお方はお
申出
を願います。
宮城タマヨ
6
○
宮城タマヨ
君 新
憲法
の
精神
によ
つて
、
少年審判所
がなくなりまして、
少年裁判所
になるということを私共聞きましたときに、
少年裁判所
という
看板
を掛けるところができて、
將來
のある
子供連
がここで裁かれなければならなくな
つた
と思
つた
とき、私共非常に心配いたしました。
内容
について心配するというわけではございませんけれども、
少年裁判所
で、
裁判所
というところは
アメリカ
の人が
考え
ておる
よう
じやございません。日本の今の常識としましたならば、非常に嫌なところであると思うものでございますから、その心配が一層強か
つたの
でございますけれども、今度この
家庭裁判所
に含められることになりましたことを聞きまして、大変嬉しく思いました。同時に今まで長い間、三十年近く
少年審判所
で実際の御苦労をしていらつしやる
方々
に対しましては、その
看板
がなくな
つた
というだけでも随分淋しいじやないかという
よう
なことも
考え
まして、交々の
感じ
を受けたのでございますけれども、併しどうかして
將來
を持
つて
おります
子供連
が傷が附かない
よう
に、
社会
の人から後指を指されない
よう
な、跡形を残さない
よう
な
子供
を作り出して行かなければならないという
意味
から言いますと、本当に刑は刑なきを期する。
保護
は
保護
なきを期する。私共はもう
保護処分
を受ける
子供
もないというところまで行くことを目指して進んでおるのでございまするから、その
意味
において私は
看板
の
塗替え
であ
つた
にしましても、今度の
家庭裁判所
となることを喜ぶものでございます。 その点につきまして
政府委員
にお伺いするのでございますが、今までの
家事審判所
というのは主に
家庭爭議
、又は
民事
の方に
関係
のある
事件
を扱
つて
おりましたし、それから
少年審判所
は
刑事政策
に立脚しておりますところの
保護処分
をや
つて
参りましたので、おのずとそこに
方角
の違う二つのものが一緒にされまして、そうして今
説明
を伺いましたところでは本当に
混然一体
とな
つて
、
事件
を取扱われる
よう
でございますけれども、その衝に当られる
判事
はどういうことになるのでございまし
よう
か。つまり
子供
に非常に今まで
経驗
を持
つて
いらつしやる方を以て当てるということにな
つて
おるんでございまし
よう
か。それともその反対にな
つて
おりますか。又その
混然一体
となるという御
説明
は分りますけれども、実際
余り方角
の違
つて
おります
よう
にも思うのでありますが、御
説明
願います。
齋藤三郎
7
○
政府委員
(
齋藤三郎
君) お答え申上げます。
少年審判所
の会同などにおきましても段々
少年事件
を掘下げて処理し
よう
と思うと、しよつちう
民事
上の
家庭
上の
爭い
にぶつかるということを申しておられました。何らかそこに有機的な
関係
を持ちたいということを申しておられるのでございます。又
外國
の
立法例
におきましても、
家庭裁判所
というふうなフアミリー・コートというものを作りまして、その中において
家庭
上の問題を処理すると同時に、
少年保護
のことをいたすという
立法例
もございまして、理想的な姿として私共は
家庭裁判所
を
考え
て作ろうとしておるのでございまして、当初におきましては諸種の
関係
から理想的な姿にするということは困難であると存じますが、
最高裁判所
の
方々
とも十分御協議いたしまして、
少年事件
につきましては、二十数年心血を注いでや
つて來
られました
少年審判所
の
方々
が、
少年保護
の事務を担当せられるということになることは、これはそれ以外に
方法
はないのでございまするから、さ
よう
にはるということを確信いたしております。又
少年審判所
の
方々
が何か
法務廳
から
最高裁判所
に入られまして、十分に重く見られないではないかというふうなことを
考え
られる向もございまするが、私は
社会
が現在
少年
の問題に最、も関心を集めておるのでございまするし、各種の
会合等
がございまして、やはり
家庭裁判所
において
少年
を担当する
方々
は、
社会
が要求するに比例する、
重要性
を認められざるを得ないとうふうに確信いたしております。
宮城タマヨ
8
○
宮城タマヨ
君 重ねて伺いますが、例えばこの
家庭爭議
の
事件
がございまして、それを調べているうちに、その
家庭
の内に
犯罪少年
がおるという
よう
はことが発見された場合には、例えば大変貧乏だから、母親が自分も
盗み
をしますけれども、
子供
を
使つて盗み
をさしてお
つた
という
よう
な問題が起
つて
参りますとか、或いは家が治まらないで、父親が
大変子供
を虐待するので
子供
は家に自然に寄り附かなく
なつ
し、その結果浮浪となり、不良とな
つた
という
よう
なものは、つまりここの第三條の第二項に
規定
する
よう
な
子供
が出たということが、
家庭裁判所
で、初めて発見されました
よう
なときに、
手続
としたら、やはり
地方長官
の
送致
を待ち、
兒童相談所
の
送致
を待つことになるのでございますか。
齋藤三郎
9
○
政府委員
(
齋藤三郎
君) お答え申上げます。
家庭裁判所
におきまして、
家事事件
の
申立て
がございまして、
調査
中に、家の物を持ち出しておるとかいう
よう
なことが大体
判つた
という
よう
な場合が相当多いと存じます。又現在の
少年審判所
におきまして、一人の
掏摸事件
を
警察
から送られて参りまして調べる際に、その仲間が五人、十人あるということは通例でございます。而も今度の
刑事訴訟法
が非常に
人権尊重
の
見地
から
嚴格
にな
つて
参りますと、單純な臆測では、
犯罪
として扱うわけには参らないと存じます。從いましてその場合は、
家庭裁判所
は、現在におきましては
少年審判所
といたしましては、
虞犯少年
として扱わざるを得ないことになると存じます。そういたしますると、三條二項の
規定
によりますると、
家庭裁判所
では、みずから今まで調べた結果、強い
保護
の手を與える必要があると
考え
ましても、
家庭裁判所
としては、如何ともなし難い、一遍
兒童相談所
に
参つて
そうして
兒童相談所長
がこちらの方に同じ
意見
で送
つて來
なければ、
事件
の処理はできないということになるのであります。
宮城タマヨ
10
○
宮城タマヨ
君 その点は今、重ねて質問し
よう
と
思つて
お
つたの
でございますが、一体今迄の
兒童福祉法
にも、
少年法
にも「罪を犯した
少年
」という言葉はございませんが、ここで初めて「罪を犯した
少年
」という文字が出て來たのでございますが、これはどういうことでございまし
よう
か。 それから今
一つ
、その罪を犯しました
少年
が、
犯罪
事実について
証拠
がないという事態に直面しましたとき、つまり、今回の
刑事訴訟法
を
改正
する
法律案
の三百十九條の第二項によりますと、どうしても自白だけでは、
犯罪
が成立しないということにな
つて
おりますが、この
少年
の場合におきましては、その
犯罪
事実については、
少年
はただ自白しまして、そうしてこれは「罪を犯した
少年
」であるということを
少年自身
も認めましても、それが唯一の
証拠
でごさいましたときには、「罪を犯した
少年
」ということにならないということになりますと、そこで一應は放さなければならないのでございますか。放しましてもう一遍、
地方長官
或いは
兒童相談所
から送
つて來
る
手続
をとるまで、その間の
少年
は一体どうすればよいのでございますか。その一「罪を犯した
少年
」ということになりますと、殊に今の時局では非常に数も多うございまし
よう
が、質は惡くな
つて
おると思うのでございます。それを新らしく
改正
されます
刑事訴訟法
の線に沿
つて
行きますと、この
手続
をとる
間拘束
を解かなければならない、
身柄
を放さなければならないということになると、治安の維持からい
つて
も、
子供
の
保護
という点からい
つて
も、問題になりはしないかということを私は非常に憂えておりますが、その点如何でございますか。
齋藤三郎
11
○
政府委員
(
齋藤三郎
君) お答え申上げます。この
改正
法案
の
條文
を御覧頂きますと御
理解
願えると存じますが、
刑事訴訟法
中
保護事件
の性質に反しない限り、所要の部分について準用いたすことにいたしております。今度の新らしく
改正
せられる
刑事訴訟法
において、
嚴格
な
條項
等がそのまま
少年
の
保護事件
に來るかどうかということは、非常にむつかしい問題で、ございまして、一読には
刑事訴訟法
にいう刑事
手続
、訴訟
手続
は、
刑罰
権の存在範囲等を定めるために作られたものであ
つて
、
保護処分
には必要でないというふうな説もございます。併し又唯一の自白を以て有罪の認定をしてはならんというのは、
憲法
の大きな
精神
でございまして、この
精神
が、
少年
の
保護事件
につきましても、
裁判
官が
犯罪
ありというはつきりした心証を得なければならないのでございますから、
裁判
官としては、唯一の
本人
の自白だけで
犯罪
ありと、実際の運用に当りまして断定するかどうかということにつきましては、私はお請合いできないと存じます。私も確信ございません。そういうことは
憲法
違反であるという説が必ずや出まして、そうして
最高裁判所
においてそれについて断定をされて、初めて
法律
的にはつきりしたことになるのではないかと、か
よう
に存じております。從いまして実際の運用上におきまして御役例の
よう
な場合には、「罪を犯した
少年
」とはいえないというふうに具体的に
裁判所
が認定いたしますると、その
少年
は
兒童相談所長
から
送致
を受けていない場合には、
審判
に付することができませんので、止むを得ず拘束を解かなければならん。そうして
兒童相談所長
に
送致
をするというふうなことに相成るかと存じております。
前之園喜一郎
12
○
前之園喜一郎
君
家庭裁判所
の数ですが、どのくらいお作りになるお見込みであるか、それからどこに作られるか、
家庭裁判所
の数と場所と、それからこの
法律
の施行後において大体一年にどのくらいの
審判
の件数になるお見込みであるか、それを局長に御答弁を願いたいと思います。 それから丁度総裁もいらつしやるから、この際総裁の御
意見
を承
つて
おきたいと
考え
ますが、先程宮城委員の御質問によ
つて
、局長から
判事
の任用に対する御
意見
を承
つたの
でありますが、如何に新
法律
を作りましても、これが運用に当るのにその人を得なければ効果を挙げることはできないわけであります。この
家庭裁判所
の
判事
の任用につきましては、やはり一般の
判事
と同樣な
手続
によ
つて
、
最高裁判所
が作成する名簿にお
つて
、内閣が指名するという形になるのだろうと思いますが、そうすると、結局
判事
の任用ということは、
最高裁判所
の判断によ
つて
決まるということに形式的においてはなるわけであります。併し実際において
家庭裁判所
のそれぞれの場所に送
つて來
られる、その運用に当られるのは
法務廳
の各
機関
でありまするりで、
判事
の任用について單に法規上、
最高裁判所
の任用に任せるということでなしに、その
家庭裁判所
の
内容
においては、やはり
法務総裁
から相当なる
意見
の具申もあ
つて
然るべきではないかと
考え
るものであります。最も適当なる
裁判
官を得る
方法
について、
法務総裁
の御
意見
を承わ
つて
置きたいと思います。
齋藤三郎
13
○
政府委員
(
齋藤三郎
君) お答え申上げます。
家庭裁判所
は、現在では檢事局が
起訴
すべきは
起訴
し、残りを
少年審判所
が
審理
するという
よう
な
建前
でございましたが、今回は全部
少年
の
刑事事件
、それから
虞犯少年
のある場合においては、全部
事件
を処理するということになります。而も
年齢
を十八歳から二十歳という
犯罪
の多い
年齢層
にまで
引上げ
ますので、相当数が殖えるという
よう
に
考え
ております。正確なる数字はいずれ取調べの上お答え申上げたいと存じますが、私の現在記憶しておるところでは、昨年度の統計によりまして、檢事局の
警察
から受理しました二十歳
未満
の
少年
の
犯罪
事件
の数は確か十六万数千件であ
つた
かと記憶いたしております。さ
よう
な
関係
で相当
事件
が多くなりますので、
最高裁判所
においては、目下本廳としましては、各
地方裁判所
の所在地に
一つ
ずつ四十九廳置き、それから支部としましては二百数十でございます。現在の
家事審判所
の存しまする所に
家庭裁判所
の支部を設け
よう
ということで、いろいろ御研究立案中の
よう
に伺
つて
おります。
鈴木義男
14
○國務大臣(鈴木義男君) この最も適当なる
裁判
官を得る
方法
につきまして御質問でありまするが、この点は最も大切な問題であると
考え
るのでありまして、結局は先に齋藤局長からもお答え申上げました
よう
に、
少年審判所
長或いは
審判所
の
審判
官という
よう
な人々が轉用されるであろうということは疑いがないところであります。行く行くは是非この
少年事件
を扱う專門の
裁判
官を、もつと殖やさなければならないと同時に、
家庭裁判所
は、いわゆる
家庭
的な
事件
を扱うところでありますから、ひとり
少年事件
の專門家だけでは足りないのであります。はつきりしたそういう部を分けるという
よう
なことが良いか惡いかは問題でありまするが、少くも男女の
関係
、家事に関する
爭い
、そういう
よう
な
方面
を担当いたしまする者と、
少年事件
を担当いたしまする者と、おのずから專門が分れると思うのでありまするが、そのいずれにしても、單なる
法律
の素養だけでなく、廣く
社会
的な、一般的な教養を持
つた
人が
裁判
官にな
つて
頂かなければならんと
考え
る次第であります。そういう人々をこの
方面
に招致すべき
方法
について考慮いたしておるのであります。実は
裁判
官一般を、もつとその見識を高め、立派な人を得る
方法
について、
只今
法務総裁
、
最高裁判所
長官その他と協議をいたしておりまして、大規模な委員会の
よう
なものを拵えまして、そうして新らしい任用の
制度
について
考え
てみ
よう
という
よう
なことにな
つて
おるのであります。それに伴いまして、できるだけ良き
裁判
官を得る
方法
を考慮いたしたいと
考え
ております。
前之園喜一郎
15
○
前之園喜一郎
君 よく分りましたが、各
地方裁判所
並びに
家事審判所
の所在地に置かれるということになりますると、大体
判事
の数はどのくらいになるお見込でありますか。
齋藤三郎
16
○
政府委員
(
齋藤三郎
君) お答え申上げます。
最初
、
最高裁判所
で十六万という
よう
な数を押えまして、それに対する
判事
一人の処理能力というものを算定されました数字は、相当大きな数字でございまして、併し
司法
保護事件
につきましては、專門の
少年保護
司というものが、事前に十分取調べをいたしますし、又形式を離れた実質的な
審理
をいたしまして、延期に延期を重ねるという
よう
なことも
考え
られません。それから
家事審判所
と合体することによりまして、お互いに彼此融合をするという
よう
な途もあるかと存じます。それで
最初
四百とか、五百とかいう
よう
な数字を
考え
ておられた
よう
でありまするが、実際に当
つて
は、それ程の数は要らないのではないかということは、私だけの
考え
でございまするがさ
よう
に推測いたしております。 尚
判事
の現在欠員の多い実情から申しまして、この
改正
法案
の第四條におきまして、
裁判所法
の亀二十七條の特例といたしまして、本法の第二十條の
決定
、即ち
起訴
するために檢察官へ移送すると
決定
した以外の
裁判
は、
判事
補が一人でこれを処理することができるというふうな
規定
を設けまして、運用においてできないということがない
よう
に、私共
考え
て立案いたしてございます。
伊藤修
17
○
委員長
(
伊藤修
君) ちよつとこの際申上げて置きますが
連合委員会
で、
厚生
の方も外に委員会を開かなくちやなりませんから、先ず
厚生
の委員の方に先に発言をお許しすることにいたします。
山下義信
18
○山下義信君
少年法
と
兒童福祉法
との
関係
につきましては、先程
厚生委員
長がすでにお述べになりましたので、自分としては省略いたしますが、この二大法典の重大なる
関係
の点につきまして、
関係
各位に多大の御心配を頂きましたことは、本員の誠に感謝に堪えないところでございます。この両
法案
の
関係
につきましては、御承知のごとく、すでに
國会
の意思が
決定
いたしてあるのでございまして、それは歴々として速記録に残
つて
おりますることは、申上げるまでもございません。
少年法
を御提案になりまして、その点常常に私共も心配いたしたのでございますが、
正誤表
の御配付を受けまして、実に大いに安堵いたしておるのでございます。 多くは
厚生委員
といたしまして申上げませんのでございまして、この点先程
政府委員
の御
説明
のときに、尚この点に問題があるかのごとき御口吻もあ
つた
よう
でございますが、この但書のありますることによりまして、両
法案
の実に各々眞價を発揮することができまして、私共満足に堪えないと思うのでございます。一應こういうふうに
兒童福祉法
の目的の範囲内、この
少年法
の目的の範囲内、その間がはつきりいたしましたわけではございますが、併しながらこの
少年法
の中を拝見いたしますというと、非常に両者の間は密接な
関係
がありますことは、
只今
政府の御
説明
のありました通りでございます、一應
兒童相談所長
の
送致
の範囲内が但書によ
つて
ございましても、この
兒童相談所
たるや、
少年法
によりまして
家庭裁判所
が自由に御命令に相成ることにな
つて
おります、且つ又今日全國十二万の民生委員が、今や兒童委員といたしまして、兒童問題のために昼夜研究を重ね、
兒童福祉法
の実施に向
つて
準備をいたしておりまするその全國十二万の民生委員即ち兒童委員も、この
裁判所
側の
家庭裁判所
で十二分に御命令ができる
よう
に相成
つて
おるのでございます。從いまして一應法の
建前
のその領域は判然と区分は相成
つて
おりまするけれども、この運営の上におきましては両者が
混然一体
となる
よう
に、
少年法
が御立案相成
つて
おりまする点は、私共亦十分満足いたしておるのでございまするから、この
対象
のいろいろ法の
建前
の上におきまして、どうか今後御
審議
の上にかれこれと御紛議が再燃いたしません
よう
に、政府におかれましても当初の御立案の通り、但書御加入の通りに終始一貫御堅持を相願いたいと存ずるのでございます。 つきましては私共、
少年審判所
が、しばしばお繰返し相成りまする
よう
に、二十年以上に亙
つて
の多年の御努力、御
経驗
には大いに敬意を拂うものでございまして、その
方々
が
家庭裁判所
の
判事
諸君におなりになりますることは言うまでもないこと、それだけではございません。
厚生
省側においていたしておりまするこの
兒童相談所長
、そういう
兒童福祉
事業の
方面
にも、その多年の蘊蓄
経驗
を活用なさいまして、どんどん御進出の多く相成らんことを切望いたすのでございます。 そこでこの
法案
の中を拜見いたしましても、
兒童相談所
、或いは
兒童福祉
司、そういうものと密接な
関係
がある
法律
にな
つて
おりますが、その実際の運用の面におきまして、
家庭裁判所
側と、或いは
兒童相談所
、兒童委員そういうものとの間の平素の緊密なる連絡というものは、どういうふうにしてお附けになりまして、運用の完璧をお期しになれます
考え
でおいでになりますか、この点私は
法務総裁
に御所見を承
つて
おきたいと存じます。
鈴木義男
19
○國務大臣(鈴木義男君) 誠に適切な御質問でありまして、
法律
の
建前
は非常によくできてお
つて
も、運用よろしきを得なければ結局画に描いた餅となるわけでございますから、どうか今後はこの
少年保護
のために
厚生
省的な任務と、
法務廳
的な任務、
裁判所
的な任務が
混然一体
とな
つて
うまく行くことを希望しておるのであります。そのために御承知でもありまし
よう
が、今度
少年
の
犯罪
防止及び監護、
保護観察
等のために、
一つ
の國家最高の中央
機関
として
委員長
を作りまして、
委員長
は内閣総理大臣を以て当てまして、
法務総裁
を副
委員長
とし、その他
厚生
大臣、労働大臣、文部大臣等を委員とし、及び民間の有識者を同数ぐらいつまり五人ぐらい委員にな
つて
頂きまして、そうしてこの委員会がすべてこれらの運用の最高基準を
決定
する、そうして絶えず指揮命令をして、これらの運用がうまく行く
よう
に努力する
建前
にな
つて
おるのであります。その方の立案も近く完成いたしまして、御提案いたす予定であります。非常に力を入れておるのであるということを御了承願いたいと思います。
中平常太郎
20
○
中平常太郎
君
兒童福祉法
におきまする
家庭
審判所
と申しまするのは、即ち
少年法
を
改正
される
法律案
の中に、
家庭裁判所
とな
つて
おりますのと同一なものであるかという問題でありまするが、つまり
審判所
がなくな
つて
、
家庭裁判所
にな
つたの
か、
家庭裁判所
が
審判所
の仕事を一緒にするのか、即ち
看板
が二つ掛か
つて
行くわけなのか、その点をお伺いいたしたいと思います。 それからもう
一つ
は、この
兒童福祉法
におきましては、もとより全く愛の
精神
でや
つて
行くのでありますが、この
少年法
の
改正
の
法律案
におきましても、先程から極めて親切な、愛に基礎を置いたところの御
説明
がありまして、我々大変喜んでおるのでございますが、今
法務総裁
のお話になりました
よう
に、最高部におきましては、相当理想的な協議
機関
もできますのでありますけれども、末端というものは決してさ
よう
には参りません。未端は指令によ
つて
動くのでありますが、その文頭の用い方というものが、
裁判所
という
考え
と、
審判所
という
考え
とは、すでに早や輿論、いわゆる一般の常識から
考え
まして、極めてその
裁判所
という文字を嫌うのであります。それは
アメリカ
式なれば、何も嫌うところはないのでありますけれども、日本の一般の通念といたしましては、
審判
というたら、まあやさしい
裁判
というたら、最早何かそこに
一つ
冷酷な、批判を、
裁判
を受けるという
よう
な形に思われますのでありまして、極めてそこに冷やかな観念が先に生れて來るのでありますが、そういう
よう
な
関係
からいたしまして、この
裁判所
の行爲は、とかく輿論の注視にな
つて
参ります。
子供
というものは、先般フラナガン神父が言われました通り、実際におきましては、これは惡くなるというのは、悉くこれは環境の然らしむるところでありまして一決して本來惡のあるべきはずがない。その立場から申しますというと、環境を直すということが極めて大切なことに相成りまするが、出て來たところの惡を矯正するというよりも、又環境の
方面
に力を入れなければならん問題が沢山に今日残されて、おる場合であります。併しながらそれぞれ分業的にかか
つて
おる問題でありますから、この場合といたしましては、どうしても
対象
者を愛護する以外に仕方がないのでありますが、それにつきましては、本当に環境に支配されておるということが
原因
をなしておるということに対して、
少年
の
犯罪
に対しましては、飽くまでも愛を中心でや
つて
頂かなければならんが、どうもその末端におきまして、どうしてもそいつがうまく行かない、今度付議されます
少年
院
法案
におきましては、これは私は実際におきまして
少年
院にとかくに問題が起きて來るのでありますから、これにつきましては
意見
があるのでありますが、この
少年法
につきましては、私共も今いろいろ御
説明
になりましたことによりまして、大変当を得ている
よう
に思われるのであります。 併し今申上げました
審判所
と
裁判所
の問題だけは差向きここで御
説明
願います。二つ存在するのかということ、それからしなければ何故に
裁判所
という名前にしてしま
つた
が、極めて
社会
通念の上におきましては冷やかな
感じ
を國民に與える。この
意味
におきましてどうしても
裁判所
という文学を使わなければならないという
理由
につきまして御
説明
願いたい。これは
アメリカ
かぶれにな
つて
おるわけではあるまいと思いますけれども、その辺も
一つ
御
説明
願います。
鈴木義男
21
○國務大臣(鈴木義男君) 私から必要なことをお答えして足りないところを
政府委員
からお答弁申上げます。勿論
家庭裁判所
に今までの
少年審判所
も吸収されるわけでありまして、
家庭裁判所
はその他にいろいろな仕事を持
つて
おります。それでこの
裁判所
という言葉はどうも皆さんがあまりお好きでないので、私共も
少年
時代に何かこの
裁判所
といろ所はよくないことをしたときに行く所である、こういう感想を持
つて
おりまして、
警察
は國民を
保護
するものであり、非常に大切な役割を勤めるものでありまするが、何か恐ろしいものであるという観念を持
つて
お
つたの
であります。この二つの誤
つた
考え
方は是非
一つ
止めなければならんと
考え
ておるのでありまして、
一つ
は名称をなるたけそういうものから避けることも
一つ
のやり方ではありまするけれども、そういたしまするためには、非常にこの
裁判所法
という
よう
なものを作ることがむずかしくな
つて
参るのでありまして、第一
裁判
機関
であるか、
行政
機関
であるかということの
建前
もむずかしく相成りまして、非常に立法上困難を
感じ
まするので、取敢ず
家庭裁判所
ということにいたしたのでありまするが、
アメリカ
などの実例を私は親しく見ても参
つたの
でありまするが、夫婦で喧嘩をすると、とにかくフアミリー・コートへ行
つて
一つ
決めて貰
つて來
よう
と言
つて
、無料で夫婦喧嘩の仲裁をして呉れる所と心得ている
よう
であります。
少年
などもやはり隣の
少年
が自分をいじめた、それで
判事
の所へ行
つて
解決して貰
つて來
よう
とい
つて
、
少年
がいじめた隣の
少年
を連れで行
つて
、そうして
判事
さんに相談をしているという
よう
な実情でありまして、本当にいい小父さんの所へ頼みに行き、相談に行くという
考え
が発達しているのであります。どうか日本でもそういうふうにな
つて
欲しい、これは
裁判
官その人が、いずれも皆いい小父さんであり、いいお父さんであり、行く行くは女性の
判事
も出て來ることでありまし
よう
が、小母さんであり、母親でありということになります。自然そうな
つて
、そう
裁判所
であるからとい
つて
恐ろしい所ではない、
刑事事件
だけはいつにな
つて
も恐ろしい所でありますけれども、その他の
事件
はそれ程恐ろしがる必要はないのでありまして、日常茶飯事についていろいろ仲裁をして貰
つた
り、解決をして貰
つた
り、身の上の相談に乘
つて
貰う所、こういうふうに
一つ
向けて参りたい、そこで名称を暫くこういうふうにしても、段々
裁判所
という所はそういうこともする所である、我々も
一つ
親しくそういう所へ行こう、こういう氣持に國民を誘導して行くことも亦必要ではないか、か
よう
に
考え
ておる次第であります。併し名称を変えるということになりますると、非常にむずかしい立法技術上の問題を生じまするので、名案がありますればこれを採用するに吝かではありませんが、
只今
のところ非常に困難である、か
よう
に
考え
ております。
中平常太郎
22
○
中平常太郎
君
法務総裁
の御
説明
でよく分りましたが、それでは
兒童福祉法
における
家事審判所
ということはなくなるわけですか。吸収されるのですからなくなるわけですね。そうしたらいわゆるあの方の側にあるところの
審判所
という文字は、
家庭裁判所
と変るわけですか。どうですか。
鈴木義男
23
○國務大臣(鈴木義男君) さうであります。
少年審判所
と他の
関係
法律
にありまするのは、
家庭裁判所
とみなすことになります。
中平常太郎
24
○
中平常太郎
君 みなすことになるのですか。
姫井伊介
25
○姫井
伊介
君 私も
家事審判所
ということがいままで親しみを持
つて
おります言葉であり、又それができてお
つたの
でありますから
家事審判所
がいいのじやないか、
意見
でありますが、これはこれだけにしておきます。 先つき中央に最高の委員会を作るというお話でありましたが、地方におきまして、やはり法務、法制並びに自治
方面
に緊密な連絡協調を保
つた
めの委員会をお作りになりますお
考え
がありますかということが
一つ
。 次には
子供
の
犯罪
を防止するという
方面
におきまして、即ち防犯運動を
社会
的に乃至は実質的にと申しますか、その運動を法務
関係
におきましてどういうふうに行われますか。それを伺います。 次には第二十四條のことでありますが、これは十八條並びに二十四條と
考え
合せまして、第一項第一号に「十四歳に満たない
少年
」は、若し字句の通りで行きますれば、初めから
兒童相談所
に持
つて
行
つて
いいのじやないか。二十四條の
條文
から
考え
まして、そういうふうに解釈されるのでありますが、更に第三條に今度新たに加えられました第二項は十八歳ということになりますが、非常に複雜化して來るのでありますが、
兒童相談所
と緊密な連絡をとるということから
考え
ますならば、これを一貫して十八歳とお決めになります御意思はありませんか、そういうことができない特別の事情がありますか、それをお尋ねいたします。少くとも十八歳には十四歳ということが処理されるのじやないかということを
考え
るのであります。 次に同じく第二十四條の第二号であります。その(イ)の「地方
少年保護
委員会」とありますが、それはどんな構成にな
つて
おりますか。尚
少年
観護所の構成も伺いたいのであります。更に(ロ)(ハ)の
関係
でありますが、
兒童相談所
で申すまでもなく鑑別の
施設
所が置かれているのであります。その方から送られたものは仕方がありませんが、そうでないものは直ちに(ハ)の「
教護院
又は養護
施設
に
送致
すること。」とありますが、やはりこれは
兒童相談所
から経て來ない者は、やはり一度
兒童相談所
の万へやることが適当ではないか、そこには申しました鑑別設備も持
つて
おるのでありますが、この辺の
関係
もお伺いいたします。 これは文字の点でありますが、次は第五十六條に、「監獄又は監獄内」とありますが、
從來
そういうふうな文字の使われてお
つた
関係
もありまし
よう
が、
改正
をする
法律案
でありまする以上は、やはりこういうことにも留意しなければならんのではないかと思います。以上お伺いいたします。
鈴木義男
26
○國務大臣(鈴木義男君) 細かい点は
政府委員
からお答え申上げます。
只今
御質問の第一の、中央に
少年保護
のための最高の委員会を置くと共に、地方にそういうものを置くつもりはないかと、もとより全國を網羅いたしまして、段々末端に浸透して行く
よう
にや
つて
行くつもりでありますから、各地方に置くつもりであります。地方の委員につきましては、
只今
考え
ております構想は、
家庭裁判所
長を成るべく
委員長
にして、知事、教育、
厚生
、労働検察、
警察
及び
行政
の各
関係
の
方面
、それから学識
経驗
者という
よう
な方を御委嘱して委員にな
つて
頂く、こういうつもりでおるのであります。 それから
犯罪
の防止という
方面
につきましては、もとより最も力を入れなければならんと
考え
ておるところでありまして、これは
少年
と青年とを通じまして、内閣総理大臣を最高の
委員長
といたしまして、
法務総裁
、
厚生
大臣、文部大臣、労働大臣、國家公安委員、それから学識
経驗
者という
よう
な人を御委嘱いたしまして、これ亦最高の中央委員会を作り、又これに準ずる地方の委員会を作りまして、
犯罪
の防止のために、あらゆる
角度
から努力をいたすといろ構想を以ておるのであります。それからその他の点は
政府委員
から御答えいたさせます。
齋藤三郎
27
○
政府委員
(
齋藤三郎
君) お答え申上げます。二十四條の第一号の「十四歳に満たない
少年
については、これを
兒童相談所
に
送致
する」ということは、他の
條文
と比較しておかしいじやないかというふうな御質問とも承わ
つたの
でございますが、これは立法の過程中において、十分折衝の余地のない間に入
つた
條文
でございます。速記を止めて頂きたいのですが……
伊藤修
28
○
委員長
(
伊藤修
君) 速記を止めて…… 〔速記中止〕
伊藤修
29
○
委員長
(
伊藤修
君) 速記を始めて。
齋藤三郎
30
○
政府委員
(
齋藤三郎
君)
少年
の
年齢
を二十歳から十八歳に下げてはどうかというお
考え
でございますが……
姫井伊介
31
○姫井
伊介
君 それはちよつと質問が違います。第二條の第二項の十八歳
未満
と、それから二十條の十六歳、それから二十四條の十四歳といろいろな
関係
もありますが、区々にな
つて
おりますから、
少年
の
年齢
をどうというのではなく、取扱いを一貫したものにされた方が御便宜ではありませんかということであります。
齋藤三郎
32
○
政府委員
(
齋藤三郎
君) お答え申上げます。三條の二項を十八歳に満たないという
よう
にいたしましたのは、
兒童福祉法
が十八歳まででございますから、ところが本法の
対象
は二十歳まででございますので、二十歳以上のものは
兒童相談所
に参らないものでございます。それは直接にやられるという
よう
に、やはり
兒童福祉法
の
年齢
と、こちらの
年齢
が違いますから、止むを得ずギャップが生じますので、そのギャップを埋めるためにか
よう
にいたしたのでございます。 それから「十六歳に満たない
少年
の
事件
については、これを檢察官に
送致
することはできない。」という二十條の
規定
は、これを十八歳に上げるということにいたしますると、現在の
犯罪
の情勢から見まして、十七、八くらいでは、もうその環境によりまして、
精神
年齢
においては、もう成年者と同じ
よう
な
精神
年齢
に達し、犯しまする
犯罪
も、どうしても諸般の状況から檢察官を煩わさなければならんという
事件
もたまにはございまする。これを上げることは如何がと考慮して十六歳にいたした次第でございます。各
條文
ともそれぞれ
関係
の点を考慮して、最もよかろうというところに書きましたために、一見すれば不一致の点がございまするが、止むを得ざるものと
考え
ております。 それから
少年
観護所の組織でありまするが、これは
少年
院法にございまする
施設
でありまして、この組織は、
少年
院と同樣に、院長、教官、補遺、事務官という
よう
なものから成立
つて
おります。 それから二十四條の二号の(ロ)(ハ)の
関係
についてお尋ねでございまするが、これも十分御檢討の上適当な御整理を願いたい。その方がよくなるのではないかというふうな考を持
つて
おります。
伊藤修
33
○
委員長
(
伊藤修
君)
少年保護
委員会と五十六條。二十四條の二号の(イ)ですね、
少年保護
委員会の組織はどうかということと、五十六條の監獄という文字を使うことは不穏当でないかという、この二つ。
齋藤三郎
34
○
政府委員
(
齋藤三郎
君) お答え申上げます。これは現在のこの二十四條の二号の(イ)の地方
少年保護
委員会というのは、先程総裁からも御答弁がございましたが、
犯罪
者予防更正法という
法律
を準備いたしまして、その中に、この根拠があり、その組織
権限
が書いてあるのであります。そしてこれも同時に提案する予定でおりましたところが、
関係
方面
の都合上、現在まで提案ができなか
つた
という事情によ
つて
、か
よう
なことにな
つた
わけでございます。本法が來年の一月一日を施行期日といたしておりまするので、それまでにこの
犯罪
予防更正法の御
審議
を願
つて
、施行の際には間に合うのではないか、か
よう
に
考え
ております。 五十六條の監獄という文字でございまするが、監獄法において、まだやはり
法律
上は監獄ということにな
つて
おるそうでありまして、止むを得ずか
よう
な表現を用いた次第であります。さ
よう
御了承願います。
草葉隆圓
35
○草葉
隆圓
君 この
少年法
の
改正
につきましては、多大の御苦心を拂
つて
おいでになる点に対して、敬意を表しまするが、実はいわゆる問題の
少年
、或いは不良
少年
、要
保護
少年
と申しておりまする
少年
の、
保護
という立場から、
從來
のいろんな
関係
で、昨年
兒童福祉法
を
厚生委員会
において
審議
いたしました場合には、相当論点の中心にな
つたの
であります。從
つて
兒童福祉法
と今回の
改正
少年法
との点において、第三條の第二項に今度後で追加されます分が入りませんと殆んが
兒童福祉法
の問題の
少年
、不良要
保護
少年
に対する分と、本法の
少年保護
に対する
最初
の分との混淆が再び起るのではないか。これは大変この箇條によりまして我々は安心をいたしておりまするが、併しこれにもいろいろ議論がある
よう
に今承わ
つたの
でありますけれども、どうぞ
司法委員会
におかせられましてももう時間がありませんので、
兒童福祉法
のときに直ぐ問題になりました点等を十分御了承を願いまして、この一項はどうしても置きませんと、折角の
兒童福祉法
及び
少年法
との
関係
が、曾ての
よう
な混乱が生じて來ると思いますから、この点
司法委員
の皆さん方に心よりお願い申上げて置く次第であります。 同時に私は
法務廳
総裁にお尋ねをいたしたいと存じまするのは、今度の
改正
少年法
によりますると、
年齢
が二十歳になりまして、從
つて
いろいろ現在の
犯罪
の多くの部分は、或いは半数以上はこの
年齢層
じやないか、いろいろな統計からでましても、最近そう
考え
まするので、二十歳に延長されましたことは大変結構だと思うのですが、從
つて
この
少年法
によ
つて
の中心の眼目は、むしろ先に
説明
のありました
裁判
或いは
審判
というのが中心の
方法
をと
つて
行くべきものであ
つて
、その外に政治或いは
行政
或いは
保護
というふうなものについては、むしろこれとは全然切離した形において取扱うのが、今後の日本の状態、私も
アメリカ
で
少年
審判
方面
は努めて見て廻りましたが、殊に日本の現在の國情から
考え
まする
犯罪
その他の点から
考え
まして、この
少年法
の眼目中心は、むしろその層のいろいろの問題に対する或いは
審判
、
裁判
という事項こういうものに殆んど追われる状態ではないか。だからそれに中心を置いて、あと
行政
処分
或いは
行政
的取扱い、或いは
保護
的取扱いというものは、むしろ
兒童福祉
と一本の
よう
な形にして、現在の
兒童福祉法
が不十分であるならば、それをむしろ
改正
して、そうして
一つ
の行き方で國家としては行くというのがむしろ妥当ではないか。で、こちらの方にも兒童
少年保護
司というのがあり、又一方には
兒童福祉
司というのがあり、或いは兒童委員というのがあり、いろいろ同じ
よう
な形で、以前と同じ
よう
な形で残
つて來
るということは、
内容
は相当画期的な進歩をいたしておりますが、
從來
ややともするといわゆる問題の
少年
に対する限界の相違によ
つて
、不十分な
保護
が行われてお
つた
、その弊害を取り去るのには不十分ではなかろうか。できますならば、この
裁判
、
審判
というのは敢然としてこの
少年法
によ
つて
取扱
つて
、そうして國家としましては、むしろ
保護
なり或いは
行政
的な立場というものは、それが軽い不良であろうが、相当高度の不良であろうが、どうせ参りまする系統は一本でありまするから、これを
厚生
省で取扱うとか、或いはこれを任務廳で取扱うとかという、そういう区画をなるべくなくして、
法務廳
でも結構でありますから、成るべく一本で行く方が正しい
方法
でなかろうか。このために、二十数年來相当のやはり國内に問題を起しながら、問題の
少年
の取扱については、いわゆる
社会
事業と
司法
保護
事業との中に、十分ないろいろなことがあ
つた
例を
考え
まして、そういうふうに強く
考え
るのであります。で、根本的な
考え
方において、取扱い方において、
少年法
の中心は、日本の敗戰の現状を正しく矯正する
意味
においての、
裁判
及び
審判
というものに中心を置いて、
行政
及び
保護処分
というものは
兒童福祉法
と一本にして、
一つ
の兒童
保護
という立場における行き方を採
つて
行く方が正しくないか。その点について、私は本法の
改正
にそういう観点からいろいろ疑義を持つ次第でございます。この点について
法務廳
総裁の御
意見
を承りたいと思います。
鈴木義男
36
○國務大臣(鈴木義男君) 御趣旨御尤もであります。
兒童福祉法
のときにも申上げました
よう
に、できるだけ
少年
の
保護
は、
刑罰
等を用いず、明るい
方面
で、國家的に
保護
をして参りたい、その
見地
からいえば、
厚生
保護
一本で結構なんであります。ただ実際問題としては、どうも更生
保護
だけでは持て余すことがしばしばありまするので、そういうものについての処理について考慮して置かなければならないということが、この
少年法
の補充的に必要になる所以でありまして、そういう
考え
方において変りはないのであります。併しさてそれでは
審判
並びに
刑罰
だけをこちらで取扱えばいいではないかということになりますると、余り狭くなるのでありまして、相手方が生きた人間であり
少年
でありまして、その事情に應じ、單なる
訓戒
で濟む場合には
訓戒
の
機関
に廻してやる、進んで温かい
保護
を與えるならば、その
方法
に廻してやる。
嚴格
な
刑罰
的なこと、或いは強制的な
保護
なり矯正なりを加えなければならんということになりますれば、これは純然たる
裁判
を俟たなければならない、こういうことにな
つて來
るわけでありまするから、そういうものをまるで切離して扱うというわけに行かないために、彼此混淆を生ずる
よう
な形でありまするが、これは実際の運用の上において、互に緊密に連絡をしてや
つて
行きまするならば、おのずから解決される問題であると
考え
るのでありまして、他の場合と違いまして、いわゆるセクシヨナリズム的な
爭い
を生ずるという
よう
な性質のものではないのでありますから、是非
一つ
融和して、調和を保
つて
や
つて
頂きたい、そういうふうにこれを指導して参りたい、か
よう
に
考え
ておる次第であります。
中平常太郎
37
○
中平常太郎
君 時間も経過いたしますから、極めて簡單に
法務総裁
にお伺いしたいのでありますが、第五十六條の「監獄」という文字でありますが、これは
只今
監獄法が施行されておるから止むを得ないという御
説明
でありましたが、第一
國会
において私がこの問題に触れて置いたのでありましたが、現在この「監獄」という文字は一般に使
つて
いないのに、法にのみ残
つて
おる。これは法を
改正
されて「監獄」という文字を削除する御意思がないかどうか。 それから我々遺憾に堪えないことは、
一つ
議院内におきましても衞視という問題がある。この衞視というものは、実は我々議員が置いておる。議員を守るべく、或いは秩序を保たしむべく置いてある。我々の置いておるところの衞視なるものが恩給法によ
つて
警察
、監獄職員の中に入れられている。そういう
よう
なジレンマにな
つて
おるのでありますが、これは
改正
されたら適当なものであるに拘わらず、まだ
改正
にならんのであります。その気持がいかんと思う。それでああいう監獄職員というものは名称をお変えになるという御意思があるかないか、それをお伺いいたしたいと思います。
鈴木義男
38
○國務大臣(鈴木義男君) お答えをいたします。この「監獄」という言葉が適当でないのではないかということは、監獄法
改正
審議
委員会というものが今設けてありまして、私が
委員長
でありまするが、朝野の有識者を集めてや
つて
おりますが、大いに問題にな
つて
おるのでありまして、新らしい
法律
ではなるたけこの監獄という言葉を使わない
よう
にしたいとは
考え
ておりますが、ただ非常に適当な言葉が見当りませんので、又余りこの監獄という所が非常によい所である、万人の行きたい所である。という
よう
な
考え
を持たせる
よう
な和やかな言葉でもどうか、多少はやはり人の嫌がる所であるということも実態がそうなんであります、又そこに効果があるのでありますから、そこでまあ
一つ
適当な言葉を
考え
よう
ということにな
つて
おるのであります。でありまするから、
只今
はつきりとどういう言葉に変えるということは申しかねますが、変えても余りその気持のいい、懷しい言葉に直すということには行かないと思います。 それからこの議院内の衞視が監獄の職員の一人にな
つて
おるということは
只今
初めて、承知いたしたのでありますが、(笑声)恐らくこれは恩給その他の
関係
上どつかの職員にな
つて
いないとうまく行かなか
つたの
でそうな
つて
いるだろうと思いますが、これは非常に間違いなので、苟くも最高
機関
であり立法府でありますから、先ず率先して議会でお直しになりまして、これは議会の職員として、そうして当然恩給にもなりその途で立身出世もできる。これは自治体
警察
の場合にも、もうここの世界から外へ行けないから出世は止りだ、面白くない、こういうので
警察
官の前途が塞がれたというふうに歎いておる人が多いのであります。私はこれは非常に誤解だと思いますが、この誤解を解くことはなかなか、むずかしいでございまし
よう
。それと同じ
よう
に、そうい
つた
よう
な
意味
で、なんか廣い管轄の中の職員にな
つて
おるということを非常に喜ぶ傾向があるのであります。併しそれとは別問題で、いわゆる立身出世という
よう
なことは、どういう
方法
ででも図
つて
やることができるのでありますから、これは決して監獄の職員にして置く必要はないのであります。急速に立法して改められることをこちらから希望いたします。
伊藤修
39
○
委員長
(
伊藤修
君) 簡單に願います。
中平常太郎
40
○
中平常太郎
君
只今
法務総裁
から今初めて衞視が監獄職員にな
つて
いるということについてお気が附かれた
よう
でありますから、それでまあ結構でありますが、どうか我々が監獄官吏に守られておる
よう
な形にならない
よう
に、我々が作
つて
我々が置いたところの衞視である、勿論
國会
職員である、その
意味
におきまして、監獄法によれる者がそこへ立
つて
我々を監視して奉るという形は極めて不快でありますから、近く成るべく早くこれは
一つ
職員の安定する
よう
、名称その他監獄職員の中に入
つて
いない
よう
に希望いたします。 それから又監獄については、多少嫌がる言葉の方がよいというお話がありましたが、全國ですでに刑務所という名前にな
つて
おります。そんなに嫌う
よう
な名前も変
つて
おる状況でありますから、法のみ監獄という文字を残す
よう
な、これも成るべく早く名称をお変えになることを希望いたします。
塚本重藏
41
○
塚本重藏
君 簡單にお尋ねいたします。二十四條の第一項の中に、「地方
少年保護
委員会の観察に付する」ことにな
つて
おります。こういう
制度
を委員会のごときものを設けて講じなければならない事情がそこにあるかどうか。こういう場合におきましては、地方にありまするところの
兒童福祉
委員会、或いは兒童委員にこれを掛けることができないか、これが
一つ
。それから(イ)、(ロ)、(ハ)、(ニ)とありますが、
少年
院のこの取扱いを
厚生
行政
の上に移すことはできないかどうか。先に
法務総裁
のお話の
よう
に相当重いものについては、
刑罰
的な取扱をしなければならんというお話がありましたけれども、
教護院
と分けまして、
少年
院というものを作ることは結構でありまするけれども、その取扱いにつきましては、これを
厚生
行政
に任してもいいのではないか。多少の手心はそこに加えることにいたしまして、必ずしもこれを法務
行政
の下に置かなければならんという
理由
はないと
考え
られるのでありますが、この二点についてお伺いいたします。
齋藤三郎
42
○
政府委員
(
齋藤三郎
君)
犯罪
者予防更生法の構想について申上げて、この委員会の性格として狙
つて
おることを申上げたいと存じます。今日まで日本におきましては、
犯罪
を犯し、
刑罰
の、言渡しを受けた者を満期まで入れて置くことを常態にいたしてお
つたの
であります、併しながらこれに関して仮釈放という
制度
を大いに活用いたしまして、
本人
の成績によりまして仮釈放を十分に活用いたしまして、その仮釈放の期間中この者に対して十分の
保護観察
を加えまして、そうしてその人間が万が一不当の情状がある、そうし、
保護観察
員の指導監督に從わないという場合には、取消権を與えまして、その期間を無事に終らせることにいたしますると、再犯の率が非常に少くなるということは諸
外國
の例等もありまして左樣なパトロールの
制度
を日本で
考え
たらどうかということがこの
犯罪
者予防更生法の骨子であります。從いまして從来のただ
社会政策
的の
見地
とは大分違
つた
、又
角度
のものであるか、
よう
に
考え
ておる次第であります。 それから
少年
院の所管を如何にするかという問題でございますが、これも主として
犯罪
を犯した者の処遇でありまして、一般の健康なるものをますます健康にし、
犯罪
を犯さない
よう
にする、不良なる状態に置かないとするのが
社会政策
的な
見地
であり、一旦惡い色に染ま
つて
間違
つた
者を治療して直すというここが、矯正政策的な面だとすれば、やはり
法務廳
のその途の專門家の者が担当した方が妥当ではないか、か
よう
に
考え
ます。
塚本重藏
43
○
塚本重藏
君 まだ少し申したいこともありますけれども、我々の聽きたいところも亦、後で
司法委員
各位において、
司法委員会
におきまして十分に
審議
をなされることであろうと
考え
まして、その方に信頼して御一任することにいたしまして、この
程度
において
連合委員会
の
審議
を打切りたいと思います。 〔「異議なし」「賛成」と呼ぶ者あり〕
伊藤修
44
○
委員長
(
伊藤修
君) それでは星野さんの質問が
一つ
ありますから、簡單にちよつと打切る前に……
星野芳樹
45
○星野芳樹君
少年法
が
少年
を
保護
するものであり、過重な
刑罰
などが免れるというのは非常にいいのですが、一面
少年
が監督されると思うのであります。それが行過ぎた場合には、
少年
の正常なる発達を害する点が生れやしないかと恐れるのであります。具体的に言えば、第三條の、「次に掲げる
少年
は、これを
家庭裁判所
の
審判
に付する。」という項で、一は、これは
大人
でも
裁判
に付せられるわけでありますが、二は、
大人
にはこの場合何でもないのが、
少年
であるが故に
裁判
に付せられる、而も「
保護者
の正当な監督に服しない性癖のあること。」「正当の
理由
がなく
家庭
に寄り附かないこと。」これと今回この法を十八歳から二十歳まで
引上げ
て適用すると非常に行過ぎになる点がありはしないかと
考え
るのですが、その点を
一つ
法務総裁
に伺いたいのであります。つまりこれで行きますと、親の思想に服しない思想的な問題が十八歳以上に起
つて來
る、これが十八歳以上で親の思想に服しているというのでは、却
つて
將來
仕事ができないくらいともいえるので、これが弊害がないのか。更に(ハ)という項では「
犯罪
性のある人若しくは不道徳な人と交際し」これも非常に明瞭を欠くのですし、更に「いかがわしい場所」、これは誠に明瞭を欠くのですが、
法務総裁
は「いかがわしい場所」というのは、具体的にどういうものを
考え
ておられるか、それを伺いたい。
鈴木義男
46
○国務大臣(鈴木義男君) 御尤ものお尋ねであります。これは抽象的に読みますると如何
よう
にでも解釈ができる
規定
でありますけれども、「その性格又は環境に照して、
將來
、罪を犯す虞のある
少年
」と、こういうふうに制限が附いているのでありますから、ただ「監督に服しない」、「いかがわしい場所に出入りする」とかというだけで、この
審判
に付し
よう
という
よう
なものではないのであります。それだけのことをいうのには余程事情があるものと見なければならん。
只今
までは「罪を犯す虞」という
よう
なことがなくても、皆親が
審判所
へ連れて來て何とかして頂きたい、親の手には余りましたという者が多か
つたの
であります。今度はそれだけでは
審判所
も受付けはしない。更に「罪を犯す虞のある」ことが客観的に立証されなければならないということになるのでありますから、可成りこれは制限されるのであります。実際今日行われておりまする
犯罪
は、多く先づ二十歳を周辺として、その辺の者が一番多いのでありまして、これらの人々が淨化されますならば日本の
犯罪
というものは激減すると申して差支ないのであります。それがどういう動機から來るかというと、いかがわしい場所に出入するために金が欲しい。その「いかがわしい場所」というのは実に樣々でありまして、カフエーもあれば、喫茶店もあれば、飲食店もあれば、淫賣屋の
よう
なところもあるのです。普通からいえば正しい
よう
なところでも
少年
にと
つて
はそれが惡いところに変るのであります。そういう欲望を満したいだけのために窃盗を働き、掻拂いをやり、掏摸を働き、恐喝をするということになる。そこでどうしてもそれらの事情がありますれば……。それからそういうことを好んで教える人がいるのであります。これは「不道徳な人と交際し、」というのはそれを
意味
するのでありますが、手先に使
つて
やるという
よう
なものが少くないのでありましてそういうふうかいろいろな場合、すべて罪を犯す虞ありということは、現に一度か二度犯さなければ認定しないのでありますから、すでに犯していることを仮定してよろしいと申して差支ない。そういう
意味
で、先ずこの辺ならばそう濫用される虞れはなかろうというところで
規定
したつもりなんであります。
星野芳樹
47
○星野芳樹君 いかがわしい場所の具体的な御
説明
がありましたが、それならもつとはつきりと、風紀を壞廢するとか何か限定することができないでありまし
よう
か。このままだと、どうも労働組合の本部に入るのもいかがわしいという
よう
に解される、濫用される虞れが十分ある
よう
に思うのであります。
鈴木義男
48
○国務大臣(鈴木義男君) それはあまりにも杞憂に属することだと
考え
ております。要するに
犯罪
の
原因
になる
よう
な、欲望を挑発する
よう
なところをいかがわしいと言うのでありますから、労働組合の事務所がそういうところであるということが客観的に立証されない限り、そこまで申すことはちよつと行き過ぎだと思います。
小杉イ子
49
○小杉
イ子
君
只今
法務総裁
は二十歳までの者がいかがわしいところに行くこの
機会
をなくするならば、
犯罪
の大半はなくなると申されました。それ程に二十までに多いのでございまし
よう
か。統計が出ているのでございまし
よう
か。
鈴木義男
50
○国務大臣(鈴木義男君) 二十歳近くの
犯罪
者が多い、例えば
犯罪
が百あるとすれば五十は二十歳近くの人の犯したものです。
伊藤修
51
○
委員長
(
伊藤修
君) では
只今
の
塚本
厚生委員
長の動議の通り決することに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
伊藤修
52
○
委員長
(
伊藤修
君) それでは動議の通り決しまして、
連合委員会
はこれを以て解くことにいたします。ではこれを以て散会いたします。 午後零時三十七分散会 出席者は左の通り。
司法委員
委員長
伊藤
修君
理事
鈴木 安孝君 岡部 常君 委員 大野 幸一君
大野木秀次郎
君 遠山 丙市君
前之園喜一郎
君
宮城タマヨ
君 星野 芳樹君 西田 天香君
厚生委員
委員長
塚本
重藏君
理事
今泉 政喜君
谷口弥三郎
君 委員
中平常太郎
君 三木 治朗君
池田宇右衞門
君 草葉
隆圓
君 中山
壽彦君
木内キヤウ
君 小杉
イ子
君 姫井
伊介
君 山下 義信君 米倉 龍也君 國務大臣 國 務 大 臣 鈴木 義男君
政府委員
法務廳
事務官 (
少年
矯正局 長) 齋藤 三郎君