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1948-07-05 第2回国会 参議院 財政及び金融委員会 第51号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年七月五日(月曜日)   ―――――――――――――   本日の会議に付した事件 ○割増金附貯蓄取扱に関する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○当せん金附証票法案内閣提出、衆  議院送付) ○物資割当に関する手数料等徴収  に関する法律案内閣提出衆議院  送付) ○大藏省預金部特別会計昭和二十三  年度における歳入不足補てんのため  の般会計からする繰入金に関する法  律の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○外國貿易特別円資金特別会計法案  (内閣提出衆議院送付) ○簡易生命保険事業における戦争危険  に因る死亡に基く保険金支拂によ  る損失補てんに関する法律案(内  閣提出、衆議院送付) ○金融機関再建整備法の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○所得税法の一部を改正する等の法律  案(内閣提出衆議院送付) ○取引高税法案内閣提出衆議院送  付) ○印紙をもつてする歳入金納付に関す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○昭和二十三年六月以降の政府職員の  俸給等に関する法律案内閣提出、  衆議院送付) ○復興金融金庫法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付) ○軍事公債利子支拂特例に関する  法律案内閣提出衆議院送付)   ―――――――――――――    午前十一時三十四分開会
  2. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) これより委員会を開会いたします。本日は先ず割増金附貯蓄取扱に関する法律案議題といたします。本案については質疑終了の御決議になつておりますから、直ちに討論に入りたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) それでは只今より討論に入ります。御意見のおありの方はお述べを願います。別に御発言もないようでありますから、直ちに採決に入ります。割増金附貯蓄取扱に関する法律案議題といたします。本法案を可とせられる方の御挙手を願います。    〔挙手者多数〕
  4. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 多数と認めます。よつて本案は多数を以て可決せられました。次に当せん金附証票法案議題といたします。本案について問御質疑のおありの方はお願いしたいと思います。
  5. 山田佐一

    山田佐一君 今直ぐでなくてもいいのでありまするが、当せん金附のいわゆる宝くじの売出でありまするが、今回政府において発行せられるのでありまするが、私外の観点からいつて当局で御調査が願いたいと思いますのは、浮動購買力の吸収といわれますが、今日の状態において左程浮動購買力があるわけがないと思うのです。國民全体が最低生活に喘いでおる際に、た易く何十億、何百億の浮動購買力があるとは思われないのでありまするが、初めのうちは本当の余裕を以て当せん金附宝くじ買つていたけれども、終いには一朝当つたらば百万円の資産家になるんだというので、この宝くじを買うために犯罪をするようなことはないか。今日の犯罪者の中で宝くじ興味を持つて買つてつたのがどのくらいあるか。更に宝くじというものを犯罪者の中でも更に買つておらなかつたかどうかというその調査願つて、後でいいから一つ報告が願いたいと思うのであります。
  6. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) それでは、今政府委員がおりませんから、この法案は後に廻すことにいたします。それでは次に物資割当に関する手数料等徴収に関する法律案議題といたします。本案も尚御質問がありますればお願いしたいと思います。
  7. 山田佐一

    山田佐一君 昨日の質問におきまして、物資割当に対する百分の一の手数料を取る、この基礎数字をば出しで頂きたいと思いましたが、御調査ができておりますれば伺つてみたいと思います。
  8. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 今政府委員が見えておりませんので、今呼びにやつておりますから。それでは先程採決をいたしました法案につきましては、本会議における委員長報告は例によつてお委せを願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 御異議ないと認めます。尚報告書には賛成された方の御署名を要しますので、順次御署名願います。    〔多数意見者署名
  10. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) ちよつと速記を止めて。    〔速記中止
  11. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 速記を始めて。それでは次に、大藏省預金部特別会計昭和二十三年度における歳入不足補てんのための一般会計からする繰入金に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。本案についての御質疑のある方はお願いしたいと思います。
  12. 中西功

    中西功君 これは四十五億七千九百万円程度不足となるとありますが、これは預金部なのですが、これはどうしてこれが損失になつておるのか、その内訳をちよつと知りたいと思うのであります。
  13. 福田赳夫

    政府委員福田赳夫君) 預金部におきましてはその収入になる元であるところのものが大部分國債であります。従いまして昔の國債でありますからこれが三分五厘ということになつておるわけであります。三分五厘の収入しか入らん。そこに持つて参りまして、預金部支出の対象になるものは何であるかというと、これは全國の郵便貯金を扱つておる経費であります。これが賃銀の高騰等に伴いまして、相当多額に殖えて來ておるのであります。そこにどうしても赤字が出て來るという状況になつておるのであります。即ち預金部運用利息というものが固定しておるのに対しまして、支出面人件費物件費、これは高騰しておるという、かような関係になつておるのであります。
  14. 中西功

    中西功君 そうすると、その三分五厘というものは、今の状態から見れば非常に安いのですが、更に銀行利子も引上げがあつたのですが、今後これを変えるという意向はないのでしようか。
  15. 福田赳夫

    政府委員福田赳夫君) 預金部につきましても、これは独立会計でありまするから、政府の採つておりまする独立採算制の線に沿つてその経理の改善を図る考えであります。このためには御説の通り当然その運用收入増加ということを図らなければならん。そこで一般金利上つて來るということに伴いまして、預金部貸付金利も多少の調整は加えなければならんと思います。それから運用物件の多額な部分を占めるところの國債、これにつきましても三分五厘から四分公債というふうに上つておりますという状況で、多少の改善は見ているのでありますが、今後におきましては貸附運用の面におきましては、一般金利趣向等も併せ考えまして、成るべくこの独立採算制が達成するようにいたしたい。そのためにはどうしてもこの郵便貯金が集まつて新らしい特別な資金が出なければいかんわけであります。この新らしい郵便貯金が集まるかどうか、これが預金部の運命を決する重大な点になつているというわけなのであります。郵便貯金の増強に対しては今後特別の努力をいたしまして、そうしてこの会計の収支を改善いたして行きたい、かように考えております。
  16. 中西功

    中西功君 そういたしますと、これで公債或いは有償証券以外に預金部が今貸附けているのは大体何パーセント、そうしてそれが大体どの方面に貸附けられているかということと、二番目に新らしい郵便貯金の殖える趨勢は大体どういうふうに政府考えておるか。その点を聞きたいと思います。
  17. 福田赳夫

    政府委員福田赳夫君) 預金部運用資産につきましては、別途貸借対照表を以ちまして御説明いたしたいと思いまするが、今後の問題といたしましては、預金部資金は、大体地方團体にこれを貸附けるというふうにいたしたいと思つております。本年度資金計画におきましても、地方團体に全部融資をするというふうにいたしたいという考えであります。地方国体に貸附ける場合におきましては、普通の一般金利というふうにも只今状況では参りません。多少この地方團体に対する関係、又地方国体がその下部機構に貸附ける関係、これが相当公共的要請に基くものでありますから、これを一般並みにするというわけにも参りませんが、併しながら独立採算という見地も十分考慮しながらやつて行きたいというふうに考えております。
  18. 中西功

    中西功君 先の質問はそういう公債所有以外に、現在の預金部会計で他の方面に貸附けれておるのはどれだけあるかということ、今のような経済状態の下で、即ち一般に非常に金利が高いのですが、そういう状態の下でこの郵便貯金が大体どの程度殖えて行く見通しがあるのか、こういう点なのであります。
  19. 福田赳夫

    政府委員福田赳夫君) 郵便貯金が 今後如何ような殖え方をするかという問題につきましては、後刻銀行局当局よりお答をいたしたいと思います。
  20. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) それでは只今法案はその程度にいたして置きまして、次に外國貿易特別円資金特別会計法案議題といたします。本案につきましては一應質疑終了になつておりますが、尚御質疑があればこの場合お願いします。
  21. 中西功

    中西功君 この点は私予算委員会の第一分科会主計局長にいろいろお尋ねしたのですが、法案を見まして新らしいことが出て來ましたので、その点をちよつとお聽きしたいと思います。これは第十一條の「この法律の施行に関し必要な事項は、政令でこれを定める。」というわけでありますが、一体必要な事項というものは大体どんなことであるか。更にその政令というのは、これはポツダム政令なのか、それとも普通の政令なのか、その点はつきりして貰いたい。これが第一点です。  序に言いますれば、附則の第三項の「自作農創設特別会計法の一部を次のように改正する。」という点がありますが、その点不解散團体の管理及び処分に関する政令で、一体自作農創設関係でどんなものがここに引掛かる可能性があるのかという点なのであります。
  22. 村上一

    政府委員村上一君) お答え申上げます。先ず第一の御質問でございますが、第十一條規定しております政令は、ポツダム政令ではございませんで、普通の政令を予定しております。それの規定内容といたしましては、実質的なものは予定しておりませんので、この特別会計に、例えば六條、八條とそれから十條に貿易資金特別会計法規定を引用しておりますが、例えば歳入歳出予定計算書を添附するとか、或いは送付するというようなことがあります。それの様式でございますとか時期等につきまして細かい細部的な規定は、各特別会計につきましてはそれぞれ政令規定しております。そういつた事項をこの十一條に基きます政令規定するつもりであります。  それから第二の御質問でございますが、自作農創設法関係の御説明を申上げますと、自作農創設特別会計には御承知のように、財産税特別会計から物納されました農地がこの会計に移されるわけでございます。それから一般会計所属でございましても、例えば営林財産等でもはや一般会計としては必要がなくなつたものをこの会計に移すわけでございます。そうしまして、この自作農創設特別会計自作農創設の目的に従いまして、それぞれの、結局耕作者でございます、それに費渡すわけでございます。そこで一般会計財産税特別会計関係は、自作農創設特別会計がその物件を賣りました時期にその代金を拂う、かような規定をいたしております。ところが、今御審議を頂いております外國貿易特別円資金特別会計につきましては、政令趣旨にもございますので、賣れるまで待たずに、土地を貰つたときにその代金を先ず拂う、こういう特例措置をいたしたいために、この法案附則を以ちましてこの趣旨規定している次第であります。
  23. 中西功

    中西功君 そういたしますと、財産税によつて取立てられた物納土地も実はこの特別会計に入るというようなことを聽いたのですが、それでいいのですか。
  24. 村上一

    政府委員村上一君) お答え申上げます。説明が或いは不十分であつたかと思いますが、財産税物納になりました土地代金は、この外國貿易会計に入るわけではございません。外國貿易会計として貰いますものは、解散團体所有農地等でございまして、それを自作農創設特別会計に移したものの代金だけが外國貿易会計に入つて來わけであります。
  25. 中西功

    中西功君 それで現実に農業関係、そういう解散團体……農業関係でなくも結構ですが、相当の土地がここで予定されておるのですけれども、土地を持つておるいわゆる團体というのは、大体具体的に言えばどういうふうな團体になるわけですか。
  26. 村上一

    政府委員村上一君) お答え申上げます。土地を持つております團体といたしましては、農地というふうな恰好で非常に大きなものを持つておるものは殆んどございません。今回予定しております解散團体財産の総額が大体十億見当ございまして、その中で今細目を取調中でございますが、大体分つておりますところでは、農地としてこの自作農創設に行くようになるのは二、三十万程度考えております。極く僅かのものであります。
  27. 中西功

    中西功君 実は閉会が迫りまして、特にこの問題は今度の與党三派の新らしい修正予算案の中で、こういうものが突如設けられておつたわけであります。この点ついては私はガリオア・フアンド円資金の問題に関して、今まで政府としばしば討論して来たわけなんであります。その円資金の問題が十分解決を見ていないとき、横合いから突如こういうものが上程されることになつたのでありますが、本來ならばああいうふうなガリオア・フアンドその他のものの円資金を、この特別会計で処理するのが実に当然なことだと思うのであります。ところが、そういうものはこれに入つていなくて、殆んど貿易には関係がない、物の面でも殆んど関係がないと思われるようなものが、それを賣つた代金或いはそれの引換えによる代金というようなものがこの会計に入つておるわけでありまして、この趣旨がどうも私には納得できないわけであります。日本政府として、こういうふうなものの、いわゆる國庫に帰属したものの賣拂代金或いはその見返り代金というようなものを、外國貿易特別円資金というふうな会計で整理するということに対して、一体どんなお考えを持つておられるのか、全く私共は趣旨が分らないのですが、日本政府として何が故にこういうものはこの会計において処理しなければならないのだという説明はつきり聽きして置きたいと思います。
  28. 福田赳夫

    政府委員福田赳夫君) 只今の問題につきましては、これはいろいろ考えがあろうかと思うのであります。併しながらこの特別会計を作るということ自体が、昨日も申上げました通り、本年三月一日附の日本政府宛連合軍最高司令部覚書によつてつておる、覚書においてこの資金貿易輸出入計画の実施のため利用することができるというふうになつておるわけであります。これはかかる解散国体から生ずるところの資金をどういうふうに使うか、使い道についてはいろいろ考え方があると思いまするが、さような指令が出ておりますので、その指令をそのまま実行するという体系にいたしておるわけ下であります。さよう御了承願います。
  29. 中西功

    中西功君 私はその指令のことを言つておるのじやないのです。政府が一應この法案を出されたのは、政府の責任として出されておるのでありますが、日本政府自身としてどういう見解で、こうした方がいいと考えて出されておるのかという、その日本政府見解を私はお聴きしたいと思うのであります。
  30. 福田赳夫

    政府委員福田赳夫君) その点につきましては、解散国体がら生ずる収入、これを如何ように使うかという問題でありますが、これは一般会計に受入れまして、これを一般の財源にするという考え方もありましよう。それから又他の用途に充てるというようなこともあろうかと思います。これは考え方いろいろあろうかと思うのであります。併しながら、これは指令によつて限定されておる。日本政府においてはこれを他に使うことはできません。そこで、只今お話のように、これに貿易資金に専ら使う、かようなことにいたしておるわけであります。
  31. 中西功

    中西功君 私の聴いておるのは、二つの問題があつたのです。一つはこういう会計名前外國貿易特別円資金特別会計というふうな名前がふさわしいかどうかという問題と、それからその資金專ら貿易資金特別会計の方に使用するという問題、二つあつたと思うのであります。私は後者の問題についても、これは相当問題であると思うのでありますが、そもそもこの名前自体がどうもふさわしくない、こう考えるので、それを言うわけなんであります。尚将来例えばいろいろのガリオア・ファンドとかいろいろファンドの問題に関連して來るものを、今後主としてここで取扱つて行くのだというふうなことになれば、私は話は分ると思うのでありますが、ただ解散團体土地とか建物とか、そうしたものを処理する会計がこういう名前が附くというのは、どう考えてもその点が解せないので、日本政府としては、日本語もよく知つておちれるわけでありますから、そういう点を聴きたいのです。
  32. 福田赳夫

    政府委員福田赳夫君) 御尤もなお尋ねかと思うのでありますが、この特別会計名前如何ようにいたしますかということについてはいろいろして見たのであります。例えば、大蔵省といたしましては、解散團体資産特別措置特別会計というようなことも考えられるわけであります。ところが、この連合軍指令に基きまして作る特別会計でありまして、その指令におきましては、「日本政府は更に日本銀行内に外國貿易円口座なる名目の口座を設定すべきことを指令する。かようなことになつております。この日本銀行口座に対應する政府会計になりますので、その関連をさような見地から、明らかならしめる、それから同時に、この資金貿易資金にこれを使用するという法の実体、この両者の関係から見まして、只今提案いたしておるような名前としたというふうに御了承願います。
  33. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 他に御質問がなければ討論に入りたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  34. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 御異議ないと認めます。それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方はお述べを願いたいと思います。
  35. 中西功

    中西功君 私はこれには反対であります。その理由は実は先つきからもちよつと述べておつたのでありますが、先日私が本会議貿易資金特別会計の一部改正法案が上程されましたときに、特別に少数意見を述べましたのは、この日本外國貿易関係会計が非常に反乱しておるという極めて重大な事実がありましたために、わざわざ意見を述べて朝野の注意を喚起したいと考えたからなのであります。で、貿易資金特別会計運用の問題にいたしましても、亦その会計自体の構成の問題にいたしましても、非常な大きな問題があるのでありまして、これは取立ててここに申しませんが、そのとき私が指摘いたしましたことは、ガリオア・ファンド円資金は実際どこで会計されておるのかわけが分らんではないか、これは決して貿易資金特別会計というような中で処理さるべきではなくて、別の特別な会計において処理さるべきであるというふうに主張したわけでありますが、そういうことに対して政府側答弁は、私の感じました範囲では極めて興味であつたと思うのであります。こういう問題が非常に起つておりますときに先にも申しましたごとく、突如として今度の修正案の中にこの問題が飛出して來たわけであります。このことによつてますます日本外國貿易、今日の外國貿易関係がいよいよ紛糾したというふうなことを感じます。それで與党三派の修正案として出された修正案の中から、こういうふうな特別な駒が飛出して来たということに対しては、私はただ非常に驚いておるばかりなんです。で、この点については、前に申しましたように二つの点があります。第一は、若しここに出された名前のごとく、外國貿易特別円資金特別会計というような名前を以て特別会計が設立されるならば、それこそ私が今まで主張しておりましたようにガリオア・ファンド資金やその他の特別の資金をここで会計すべきなのであります。然るに出されましたこのような名前内容は、先きに政府委員自身が述べられましたごとく、解散團体財産特別処置特別会計というふうな名前を附けた方がもつとはつきりしてよろしい、又論理的にも実際的にも正しいというふうなものがここに入れられておるというわけなんであります。何と言いますか、我々はその会計の仕組に対しては全く理解に苦しむのであります。かくのごとくにしていよいよ外國貿易に絡まる日本側会計制度をますます波乱に導いて行くものじやないか、こう思うのであります。と申しますのは、今後この特別会計には、單に解散團体というふうなことに止らず、その都度々々適当な名前で適当なものがここにどんどん入れられて行く、そうして專ら貿易という特別の部分的な事業のために、いろいろのものが勝手に使用されて行く可能性がますます増大して來るということになるだろうと思うのであります。即ちそういう危険性を我々は強く感ずるのであります。更に解散團体財産そのものが、貿易だけに使われるというふうな点にも私達は異議を持ちます。やはりこれは解散された團体が主として日本の軍國主義的な、或いは強度な國家主義的な諸團体解散であつたわけでありまして、こういう財産ポツダム宣言趣旨から申しましても、亦その後連合軍の我々日本國民に対する種種の指示趣旨から申しましても、こういう軍國主義的な團体財産は、反対民主主義的な、即ち日本において民主主義を培養し、更に又促進するというふうなものに主として充当されて行くことが私は本來の趣旨でないかと思うのであります。で、そういう意味から行きましても、この使途については我々は異議を持つのでありまして、これがさつきも政府委員説明のごとく、連合軍の方からの指示によつて、そのまま行つておるのであるというふうなお話でありますがその点について私は何もここで申そうとは考えていないのでありますが、併し日本政府としては、もう一度よくこういう点を考慮して、そうしていろいろ努力をすべきではなかつたかと思うのであります。そういうふうな意味におききまして、私はこの法案に対しては反対するわけであります。
  36. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 他に御発言もないようでありますから直ちに採決に入ります。外國貿易特別円資金特別会計法案議題といたします。本法案を可とせられるお方の挙手を願います。    〔挙手者多数〕
  37. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 多数であります。よつて法案は多数を以て可決せられました。  次に大藏省預金部特別会計昭和十三年度における歳入不足補てんのための一般会計からする繰入金に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。先ず中野君の御質問に対する政府答弁があるそうであります。
  38. 磁田好裕

    政府委員磁田好裕君) 先程今後郵便貯金見通しはどうかという御質問であつたのであります。この点にいてお答え申上げます。今後の見通しについて説明いたします前に昨年度実績について御報告いたしたいと思います。昨年の四月、五月におきましては、まだいろいろな関係におきま郵便貯金増加を見ず、むしろ減退を辿りまして、二十億円の減少をいたしたのでございます。ところが、漸次その後一般預金に対する信用の増加その他各般の情勢によりまして、郵便貯金増加が好轉して参りまして、普通預金におきまして、昨年度実績といたしましては合計三十一億九百万円の増加をいたしております。これに更に元加利子、それから振替貯金等増加分を合計いたしますと、合せまして昨年度郵便貯金増加実績は四十六億五百万円と相成つておるのでございます。それから本年度におきます増加状況を振返つて見ますに、四月におきましては、学年の新学期、それから農村の関係、その他の関係で極く少しの減少をいたしまして、普通預金におきまして九千七百万円の減少、それから振替貯金におきまして八千四百万円の減少をいたしまして、合せて一億千百万円の減少をいたしたのでございまするが、五月になりまして非常に好轉いたしまして、これは六・三制の便貯金につきまして特別の増加運動いたしました等の影響もあるかと存ずるのでございまするが、その結果といたしまして、五月におきましては、普通郵便貯金におきまして十三億五千円の増加をいたしております。他方振替貯金におきまして五千五百万円の減少をいたしまして、十二億九千九百円の純増をいたしております。それら先月の六月の二十九日現在におきまする状況におきましては、普通預金におきまして八億八千八百万円の増加いたしまして、振替貯金で三千万円減少をいたしました。差引八億五千百万円の増加をいたしております。いうふうに漸次郵便貯金増加の途を辿つておるのでございまして、これに対しまして私共の方といたしましては、本年度郵便貯金といたしまして、でき得るならば月平均十五億くらいの増加をいたしたい、さように考えております。尤も月平均十五億と申しますると、これは少し過大なようなふうにも見えるのでありますが、御承知通り年度は六・三制の関係の地方債の分一が非常に多いのでございます。他面又自治体警察等の関係におきまして、地方公共團体の負担分が相当あります。こういうような関係におきまして、本月の初めから六・三制関係の特別の郵便貯金増加運動、或いは自治体警察関係郵便貯金増加運動ということをいたしまして、こういう特に地方公共團体の負担となるべき部分におきまする地方債の資金郵便貯金によつて確保し、これを全額地方債還元したいと、さような観点から特別の運動をいたしまして、こういう関係の特別の増加による分と合せまして、でき得るならば百八十億ぐらいの郵便貯金増加をいたしたい、かのように考えておる次第でございます、それから尚先程の中西さんの御質問の中に、今後の昭和二十三年度における地方債に対して預金部資金をどういうふうに割当てるかというお話でございますが、昭和二十三年度の計画といたしましては、全体計画といたしましてはまだ決定いたしておりませんが、昨年度実績についてこれを御報告いたしますると、昨年度の地方債の発行高は約百十一億に相成つております。そのうち八十八億五千九百万円は預金部によつてこれを消化いたしておりまして、残りの三十三億円程度のものはこれを大体地方銀行において消化いたしております。こういうふうにいたしまして、昨年度におきまする地方債につきましては、預金と地方銀行等との協力によりまして完全消化をいたしておるわけでございますが、今後におきまする運用の方針といたしましては、御承知の通り、戦時中におきましては、預金部資金はこれを殆んど挙げて國債の消化という方向に向けていたのでございまするが、最近の地方財政の逼迫状況等に鑑みまして、この運用方針を地方債消化という方面に重点を置きまして、その殆んど大部分を地方債の消化に充てたいと、さように思つておるわけでございます。而して本年度の第一・四半期及び第二・四半期の大体の推定によりまする預金部資金増加を七十六億と見まして、その中の六十億という、ものを第二・四半期は地方債の方に向けたい、その他の十六億というものが国債の消化、その他の止むを得ざる関係資金に向けたいと、さように思つておるわけでございます。全体といたしましての昭和二十三年度におきまする地方債の発行高は二百億を遥かに上廻つた相当大きな金額になるかと存じまするが、先程申上げました郵便貯金増加が月に仮に十五億ということに見まするならば、その関係で約百八十億、その他厚生年金、簡易保険その他の関係資金増加によりまして、できるだけ預金部を中心にして地方債の消化につきまして迅速且つ円滑なる消化を図りたい、さように思つておる次第でございます。
  39. 中西功

    中西功君 非常に詳細な説明を受けまして非常に明瞭になつたと思うのでありますが、現在の預金部特別会計については私別に何もよく調査したわけでも何でもないのでありますが、殆んど知らないのでありますが、ただここで今説明を聞きましてちよつと不思議と感ずる点は、大体百八十億というもりの今後の貯蓄を極力図ると、こういうふうなわけでありますが、ところが、そういうふうな百八十億のために、実は一般会計から四十六億の繰入をしなければならん、こういう計算になります。一体こういう障害を果して突破し得るかというふうな大きな問題があるのじやないかと思うのであります。また國家的に見て、そういうふういうふうなことがいわれると思うのですが、預金部の問題といたしましては、結局私達はこれを見ておりますと、政府の財政上の赤字或いは地方財政における赤字をいわばこの預金部に轉嫁しておるんだというふうな気がいたします。そしてこの百八十億の今後の貯蓄も、主として六・三制のあの特別の預金或いは地方自治体の預金というふうなものによつて、まあ主としてなされる見通しがあるということになりますが、この六・三制の貯金は実は強制貯金であります、私も最近納めたわけであります。これは殆んどPTAを通じまして強制的に來る寄付と同じであります。こういう点を見ましても、ここにも非常に矛盾があつて、要するにこういう形で、いわば地方財源の赤字を國民に轉嫁して、而もそれがスムースに行くならばまだよいと思うのですが、その仕事のために國庫から四十六億からの資金を注ぎ込まなければならんというのが、果してそのやり方が妥当かどうか、この点に私は非常に矛盾があると思う。もつと根本を突いて行けば、預金部が主として國債と或いは地方債だけを引受けて、而もそれが收入の面から安いわけであります。そうして又從つて預金の預入利子も安いわけでありますが、全体の均衡から見てやはり闇金融が非常に横行しおる、こういう状態と併行してこれをやつて行かれれば、結局は地方財政の赤字を六・三制云々やその他の形で、預金の形で、大衆に押付けて行くという作用しかないのじやないかと思うのでありますが、そういう意味からいえば、全体として実に無意味なことをやつておるという気がするのであります。そういう点について政府当局意見伺つて置きたいと思います。
  40. 福田赳夫

    政府委員福田赳夫君) お答えいたします。只今御指摘の通り預金部に対する一般会計からの繰入金、これは一種の價格差補給的な性質を持つておるわけであります。即ち一般会計にありまする價格補給金、又鉄道、通信両特別会計に繰入れるところの繰入金、こういうようなものと似た性質を持つておると存ずるのであります。これを預金部においても独立採算制を一挙にやりまして、そうして繰入を止めてしまう、そうして各重要企業におきましても独立採算制を確立いたしまして、そうして繰入金をなくす、鉄道通信会計も同様な措置によりまして繰入金を止めるということになりますれば、これは非常にしつくりいたしておるのでありますが、政府としては大原則としましてはそういう方針をとつております。併し今俄かにそれを実行するということになりますと、これは鉄道関係からいいますれば、價格面に非常な断層を生ずるというようなことになる。補給金についても同じような結果になる。それから預金部関係におきましても同様な結果を生じますので、これは独立採算制というものは近き將來における目標としておりますが、併しながら、本年度のところにおいてはまあ大体鉄道もあの賃率、通信も同様にまあ價格補給金というものを制限はいたしますが、或る程度は実行しなければならん、その利子補給的な性質を持つておる預金部、これもやらなければならん。理想と現実との違いがあるわけであります。理想においではお説の通りであります。
  41. 中西功

    中西功君 それでただ独立採算制の建前がいいとも考えていませんし、又それをやれとも言つてやしない。決して問題は独立採算制云々の問題ではないと思うのです。根本は闇金融が横行しておるというふうなこと、或いはこの預金部において戦時中かち非常に起きて來たところの國債或いはそうしたものを徹底的に処理しないでは、全然建直しはできんであろうというふうな点に根本問題があるのであつて、單に独立採算制云々じやない。こういうような方法で行かれると、結果としてはただ我々が無理に百八十億を納めなければならんという結果だけが出て來るのじやないかという点を、私は結論として言いたかつたのであります。ただそれは意見でありますが、それだけに止めて置きます。
  42. 田口政五郎

    ○田口政五郎君 先程の当局説明で非常によく分りましたが、郵便貯蓄の目標を月額十五億円、年額百八十億というようにおつしやつたように思つたのでありますが、これをもう少し増額する御意見はありませんか。只今中西君のお話で、或いは半強制的なような手段を講じておられるというようなことも私聞いておりますが。或る程度貯蓄は強制、というと語弊がありますが、奨励するのが多少強制的になつてもいいくらいの程度でおやりになることは私は差支ないと思います。奨励して頂いて、その代りその集めた郵便貯蓄を、今のお話ではパーセンテージが非常に多く地方の方に還元するようにおつしやいましたが、もう少し殆んど全部を六・三制或いは地方警察なりの費用に、郵便貯金の全部を地方に還元するということを声明して頂けば、私地方の郵便貯金というものは年額百八十億でなしに、もつとた易く増額し得るじやないかと思います。いつ切られるか分らないような公債を持つたり、他に廻されず、全部地方にこれを還元するということに方針を決めて頂きたいと思います。それに対する御意見を伺いたい。
  43. 三井武夫

    政府委員(三井武夫君) 只今郵便貯金の目標月額十五億というのが少額に過ぎるのでもつともつとこれを引き上げる余地はないかという御意見があつたわけでございます。この点につきましては誠に御意見通りでありまして、私共当局といたしましても月額十五億の目標で決して十分であるというふうには考えておらないのであります。何とかいたしまして、この実績をもつともつと上げまして、多額の資金を得るようなふうに努力いたさなければならないということには全く同感なのであります。先程も説明いたしましたように、最近の実情等に鑑みますれば、なかなかいろいろの問題があるわけであります。少くとも月額十五億程度の最低を確保しなければならないといつたような趣旨を以ちまして、一應月額十五億というものを立てておる次第であります。目標は目標でありますけれども、できるだけこの目標を実績において殖やして行くようにいたしたい。この点は精々努力いたしたいと考えております。それから集まりました資金がどういう方面に廻りますかという点につきましては、お話にありましたように、地方債を第一にするということにつきましては全く同感でありまして、最近の方針も正にそのように運用いたしておる次第であります。大部分資金を地方債にし、できるだけ多くの資金を地方に預金部資金という形で還元するというふうに努力いたしております。最近の実績等もその通りになつておりますから、お尋ねのような実績によつて第一線に働く者が元気を失うといつたような点は、最近の実績か段々と分つて参りますれば、十分誤解を一掃でき、そこから金を集めれば、地方にどんどん還元さして貰うという点において元気が出て來るというふうになると考えておる次第であります。
  44. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) それではこれにて休憩いたします。    午後零時五十一分休憩    ―――――・―――――    午後二時五十一分開会
  45. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) これより休憩前に引続きまして会議を開きます。大藏省預金部特別会計昭和二十三年度における歳入不足補てんのための一般会計からする繰入金に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、これについて御質疑の続行をお願いします。
  46. 西川甚五郎

    ○西川甚五郎君 午前中の中西委員の質疑の中で、貯蓄の本年度の目標は月十五億というようなお話でありましたが、昨日銀行局長からお伺いいたしますと、貯蓄の目標は三千億、この目標を定められたのは大蔵省ではないのでありますか、ちよつとお伺いします。
  47. 愛知揆一

    政府委員(愛知揆一君) 三千億の目標は大藏省で推計をいたしまして、閣議の決定を経たものでございます。それからその中の一環として郵便貯金増加、それから各金融機関その他の金融機関全部、その内訳もございますが、総計が三千億ということで閣議決定を経たのでございます。
  48. 西川甚五郎

    ○西川甚五郎君 そういたしますと、午前中にお話のありました郵便貯金の総額は月十五億といたしますと一年に百八十億、そんなものでありますか。えらい率が少いと思いますが。
  49. 愛知揆一

    政府委員(愛知揆一君) 三千億の内訳を申上げますと、郵便局の目標額としては年間二百四十三億となつております。これは午前中に月十五億と申しましたのは、主として預金部運用計画の方で見ます基礎の推計を手堅く見ましたために、目標と運用計画の基礎といたしましたものとの差がそうなるのでありまして、貯蓄の目標三千億の内訳は二百四十三億となつております。尚参考までに申上げまするが、銀行預金は二千百七十七億、農業会系統で三百七十二億、無盡会社で八十五億市街地信用組合四十六億、信託七億、生命保險会社で六十一億、漁業会七億、商工中金二億、この合計が三千億ということになつておるのです。
  50. 山田佐一

    山田佐一君 今の年間総額として二百四十億でありまするが、やはり郵便局の第二封鎖は全部打切りまして、現在第一封鎖の残額は幾らでありますか。第一封鎖でも何でも、預金の総額でよろしいです。
  51. 愛知揆一

    政府委員(愛知揆一君) 郵便貯金の本年五月末現在で合計五百二十六億一千九百五十余万円であります。
  52. 山田佐一

    山田佐一君 そうしますと、五百二十六億が本年の年末に行つて約七百億になる、こういう計算になりますか。
  53. 愛知揆一

    政府委員(愛知揆一君) さようでございます。
  54. 山田佐一

    山田佐一君 七百億の預金をするのに、一年に四十五億ずつ補給をして行かなければできないという計算になるのですか。
  55. 愛知揆一

    政府委員(愛知揆一君) そういうことになるわけでございます。それから先程お尋ねの郵便貯金の第一封鎖、これは三月末現在でございますから、先程申上げましたものの内訳とちよつと食違いがございますが、三月末現在で二百八十二億九千七百万円、これが第一封鎖、その次に只今お尋ねでございますが預金部一般会計からの繰入れの問題に関しましては、他の特別会計と同様にいわゆる独立採算制がとれるかどうかということにつきましては実は非常な大問題でございまして、只今御指摘の通り、昨年度から非常に多額の繰入れを止むなくしておるような現状でございます。なぜこういうふうになつておるか、又その経過等につきまして極く簡単に御説明いたしたいと存じます。先ず例えて申しまするならば昭和二十年度におきまして預金部の収支の状況といたしましては、剰余金が三億九千二百万円出ておるわけであります。それから二十一年度におきましても二億一千六百万円の剰余金が出ております。然るところ二十二年度になりまして、決算で申しますと二十三億二千百余万円の赤字になつておるわけでございます。それから二十三年度の見込は先程御指摘の通り四十五億七千余万円の赤字になる、こういう状況になつておるわけでございます。この昭和二十二年度及び二十三年度におきまするかのごとく多くの赤字を生じました原因につきましては、いろいろの原因も挙げられると思うのでありまするが、他面におきまして通信事業特別会計に対しまする預金部特別会計からの繰入金を見まずると、昭和二十二年度におきましては決算額で二十四億三千四百万円の繰入れをやつております。それから二十三年度におきましては四十二億二千八百万円の通信事業特別会計に対する繰入金をいたしておるのでありまして、要するに通信事業特別会計の経費で、貯金その他預金部に入りました金を入れまするための費用と一應形式的に思われますものは、通信事業特別会計に対する繰入金になるわけでありますが、それが非常に増嵩しておる、丁度その額と預金部の赤字とが大体似たところになつておるというような状況で、結局通信事業特別会計において人件費の増嵩その他経費の増加ということがこういう結果を招來しておることになるわけでございます。この点につきましては、実は只今丁度御指摘のような問題は、私共としましても非常に重要視しておる問題でございまして、まだ関係各省の御同意は十分得ておりません。御相談も十分できておりませんが、大藏省といたしましてはこの問題を根本的に取上げまして、果してこの郵便貯金制度或いは簡易保険制度というようなもの、それから入りまする預金部の金というものの運用方法等につきましては、この際徹底的に再検討いたして、いろいろと将來の対策を考えなければならん。このままに放置いたしますると由々しい問題になるのではなかろうかということを考えておるわけでございます。
  56. 山田佐一

    山田佐一君 承りまして、第一封鎖の二百八十二億というのは最近の時期において解除になる、或いは年々殖えるでなくして、この二百八十二億の中からは減るものがあるのじやないか、待つておつた封鎖預金が解除になつたら自由預金が減るということも見て行かなければならんと思うのであります。而して現在の四十何億の欠損は預金部の損でなしに、通信事業の欠損をこの預金部から補充しているというように承わるのですが、そういう計算になるのでありまするか、お伺いいたします。通信事業の補填というものは一般会計からは出ておりませんか。ただこれだけでありますし。
  57. 村上一

    政府委員村上一君) お答え申上げます。一般会計と通信特別会計関係につきましては、多少複雑でございますが、御指摘のように一般会計からの埋合せにつきましては、通信事業につきましては御承知の通り赤字繰入れというものが別に一般会計から繰入れております。それから先般御審議を頂きました、何と申しますか、通信企業としては必ずしも本來その会計に属すべきでないという電波管理の行政費が現在通信会計の経費になつておる、その分を一般会計から繰入れることといたしております。預金部の方から繰入れておりますのは、何と申しますか、そういう赤字の繰入れという観念ではございませんので、通信会計がそれぞれ將來人件費支出いたしまして、又物件費支出いたしましても、結局郵便局という窓口を、何と申しますか、経営しているわけであります。そこから入つて参ります郵便貯金というものは挙げて預金部に入れているということになりますので、その郵便局の実際の事務のために要しまする経費を預金部から拂つておるという関係になるのでございます。実際掛かつた経費を拂うというような金でございます。赤字繰入れは別の方で考えております。従いましてこういうものを入れても尚且つ赤字になるというものが別の赤字の繰入れに出て來るわけであります。
  58. 山田佐一

    山田佐一君 そういたしますと、四十何億というものは預金総額の約七分程で、今日随分高率な利子支拂つて行くわけだと思うのであります。而してこの四十五億をば通信事業の方へ廻して、尚且う通信特別会計へ五十億ぐらい出ておるのであります。そういたしますと、預金部の方と通信事業二つ合せると約百億程の赤字になるわけでありますか。
  59. 愛知揆一

    政府委員(愛知揆一君) 百億にはならんと思うのでありますが。
  60. 山田佐一

    山田佐一君 九十何億になりますね、九十五億七千幾ら、二つ合せるわけでしよう。
  61. 愛知揆一

    政府委員(愛知揆一君) 併し、何といいますか、これは單純に両方合せたものが全部経費というふうにはならんと思うのであります。
  62. 山田佐一

    山田佐一君 幾らか電波管理とか何とかいうものがあるように承つたのですけれども、大体はそれだけで。
  63. 愛知揆一

    政府委員(愛知揆一君) 併しともかく非常に経費が掛かるということだけは嚴然たる事実でございます。これを一應現状を基礎としていろいろ研究する方法があると思うのでありますけれども、一應現状を基礎にして、そうして十ケ年間ぐらいに、相当郵便貯金の将来の増加ということも考え合せまして、何とか赤字を消そうという方法は一應はできるわけでありまするけれども、ともかくもそれは十年ぐらいの非常に長い期間を掛けて、而も予想し得る、予想し得ない、いろいろ十年間には変化もあると思うのでありますが、そういうことを一應考慮の外に置きましても、非常な努力をいたしませんとこの収入改善はできないわけであります。又一面におきましては、それをやりまする場合は、預金部運用をいたします資金は相当高利に廻さなければならない。ところが、これは御承知の通り、現在では預金部資金というものは殆んど大半は地方債の引受けということに限定されております。そうして地方財政の現況は御承知の通り状況でありますので、そこにも非常な難点を感じておるようなわけであります。只今のところ率直に申しまして、この改善対策については、具体的にこれで行けるという確たる見通しはついておりませんのでありますが、先程申しましたように、何とかして良き具体的な方法を見出したいと思つているわけであります。
  64. 山田佐一

    山田佐一君 そういたしますと、この通信事業特別会計の五十億を補給いたしまして、而して片一方の預金部の方からも行くのだが、これをなくする方法はまだ見当らない、而して通信事業ですから、この基礎は今度の料金改訂を基礎として見ると思うのでありますが、それだけ料金を上げても尚且つ赤字だけ、而も預金取扱つて七分の総預金に対する七分ずつの欠損をする、通信事業はそう簡單にも行かんでしようが、預金を集めることは一般銀行からでもやれるのですから、いつそのことお止めになつたらどうでしようか。五十億が浮いて來ると思うのでありますが、その辺の御感想はどうでしようか。
  65. 愛知揆一

    政府委員(愛知揆一君) この点は軽軽に結論を出し得ないと思うのであります。と申しますのは、いささか他と比較いたしますことはどうかと思いまするが、現在は貯蓄銀行等におきましても非常に経営に困難を感じておるような状況でございます。今後郵便料金、通信料金の値上げというようなことは、それから給料の引上げというようなことは、ますますそうい困難を大きくするのではなかろうかと思つております。一面におきまして、貯蓄銀行等についても再建整備の関係で普通銀行業務をやつて貰うというようなことで、貯蓄銀行自体の收支改善策を考えておるわけでございます。でありますから、國家の事業であつてかくのごとく大きな赤字が出ておるというようなことは、正しくその通りでありますが、そうだからといつて、これを止めてしまつて例えば民間にこれをやらせるというようなことを考えまするにつきましても、余程これは愼重に考えませんことには、非常に経費の掛かる事業でありまするがために、そう軽々に結論を出しにくいのじやないかと思つております。
  66. 山田佐一

    山田佐一君 軽々にやつて貰おうとも思いませんが、如何にも我々考えてみまして、総預金額の七分というものをば、國家から補助をして貰わなければ経営が成立たないというような事業に対しては、大いに考慮すべき問題じやないかと思います。それに対して大藏大臣が幸いに民間の金融業にも御関係して御経験があると思いますから、大藏大臣に御感想をお伺いしたいと思います。
  67. 北村徳太郎

    ○國務大臣(北村徳太郎君) 只今の御質問は非常に重大な意義を持つと思いますが、これは日本の金融政策全般にも係わることだと思うのであります。ただ郵便貯金は通分多年に亘りまして全国に非常に細かい窓口を持つて大衆の預金を吸收して参りましたので、今後日本のインフレーシヨン克服というような面から申しましても、成るべく早く一應流れ出た金が吸收せられるということが必要でございますので、さような國策の観点から申しますと、細かく全國に預金網を持つておる郵便局の活動を通して、資金が成るたけ早く環流する、吸收せられるということは非常に重大な問題であります。從つてそういう面から考えます場合に、郵便貯金等の持つ重要さというものは非常に重いと思うのであります。ところが一方、その收支の計算になりますと、独立採算というようなことを言つておりますけれども、只今御指摘の通りでありまして、それ程赤字を出すなら止めてしまつたらどうかという議論が一應出たのでありますが、これは國策として又金融政策全般として考えなければならん点がございます。それからこれを改善するにどうしたらいいか、これはひとり郵便貯金の問題だけでなく、共通の問題として最近漸次こういう金融事業人件費の割合というものが段々上昇して参りました。これは時代の一つの止むを得ない結果であると思うのでありますが、相当に人件費の占める割合が多くなつて來た、從つてひとり郵便局だけでなく、從來の貯蓄銀行のごときは経営がなかなかむずかしいというようなことになつておるわけであります。それと又もう一つは、一般銀行と申しましても、恒久性の預金と長期性の預金とが非常に少い、これはやはりインフレから來るわけでありますけれども、從つて投資の方面においてもやや長期性のものは投資しにくいという観点から制約を受ける。況んや一般金融は國家の一つ資金の配分計画或いは財源の流れ方等について規制をいたしておりますから、その方向に持つて行かなければならんというような点から非常に困つておる点がある。郵便局におきましては、これは先程銀行局長より申しました通り、大体地方債の消化に努めておる。そうすると地方債の利率と現在のコストとがどうも逆になつて來るというような現状なのでありまして、これはもう少し一部分のものを有利に運用することができるといたしますればカバーすることができるのでありまするけれども、これも先程銀行局長が申しましたように、地方財政の現状というものは多く郵便貯金の線に依存しなければならん現状である。これは漸次改善されると思いますけれども、今のところ止むを得ないのではないか。止むを得ないからこのままでいいかということになりますと、そうも行きませんので、いろいろ檢討いたしておるわけでございます。これは先にも申しましたように、日本の金融政策全体としての観点と、郵便貯金については独立採算制の立場から考えなければならんと思います。考えるといろいろあると思うのでありますが、ただこの際少くともこの生産増強のための資金を通信料金だけに掛けては不当だと思われる。行政監督費は一般会計で負担するということにいたしまして、多少身軽にとて、そうして独立採算制に一歩を進める。こういうことに相成つておるのでありまして、只今的確に今後の方針はこうと申上げる段階に入つておりませんけれども、これは十分研究しなければならないこことがいろいろありまして、大きな國の問題でありますから、大いに檢討しなければならんと思つて、今檢討中でございます。
  68. 中西功

    中西功君 それでこれはまあ非常に大きな欠陷が現にここには現われておるわけだと思うのでありますが、大藏大臣に少しお聞きしたいのは、結局この赤字がいろいろ問題になつて來るというのは、郵便貯金が昔みたように廣汎に集まらないというところにあると思いますが、そういう点と、それから財政的の負担が非常に重い。特に最近において地方財政の負担が非常に重い。こういう二点から來る結果、今のような現状が出て來ると思いますが、結局はそうしたことも、要は金融の面でいえば、今現に発展しておりますところの闇金融、これは又單に闇金融だけでなくして、インフレの金融部面における現われでありますが、そういうものに対して何らか徹底的な処置をとらないでは、幾ら考えてもこれは考えがつかないと思うのです。闇金融についてはいろいろのことが言われておりますが、政府としてはこれをどういうふうにして大体なくするお考えなのか。実はなくするということはよく聞きますが、ますます甚だしくなつておるというのが現状ではないかと思います。大藏大臣の大体のお考えをお聞きして置きたいと思います。
  69. 北村徳太郎

    ○國務大臣(北村徳太郎君) これは闇をどうしてなくするかという問題と同じ問題であつて、これはなくさなければならんのでありますが、然らばどうするかということになると、具体的にはなかなか困難の問題である。それから闇物資の取締とか、正常なルートを外れる物を押さえるというようなことは、割合にそれでもやりいいと思いますが、それに比べると、若し闇という言葉を使いまするならば、闇金融の場合は捕捉するのに困難である。それから現に金融には統制がないわけでありますから、これを例えば私の金融においてどういう金融が行われても、これで似て闇金融が行われておるということはできないというところに難点があると思います。実質的にどうするかということは、それぞれに應じてやらなければならんと思うのでありますけれども、要するに、一面においてはインフレの状態が今のような段階にありますのと、いつでも共通のことではありますけれども、これは非常に金詰りの傾向を持つておる、こういう段階を経なければならんと思いますが、從つて金詰りの状態が非常に濃厚になると、正常な金融機関以外の活動というものが一面において現われることは止むを得ないと思います。これはどうしてそういう闇を取締るかということは、金融の供給力がもう少し潤沢になるということにならなければならない。從つて、そういう面において我々は一層各般のことをして努力をして行かなければならん。ただ郵便貯金の神力が非常に弱いとか、及びいろいろの点において現在吸收が甚だ十分とはいえない。併しながら昨年度におきましても、全体から見まして、貯蓄目標は三百億を突破するというような結果になつておるし、本年は今までのところでは四月がちよつと悪かつた、これは悪かつた理由がありますけれども、大体その外は順調に行つておると思いますが、こういう方向へうまく持つて行けば、そういう正常のルートから資金力が必要な方面に流れるということを通してそれよりも遥かにコストの高い闇金融などは、段々駆逐されて行くのではないか、要は正常な金融が力を増して、力が強くなるということ以外にはちよつと参りかねると、かように考えておるわけであります。
  70. 中西功

    中西功君 それで今の闇については、政府資金においても非常に闇の取締の強化をしておられるというようことになつておるわけです。物の闇も金融の闇も同じ原因から出ておると思います。ところが、物についてだけは非常な積極性がある。殊に小さなものについては非常な積極性がある。大きな闇についてはまあ別問題としましても、小さな闇については取締は政府は非常な積極性があるものと見える。併し実際問題として、これはインフレそのもので、闇の横行の根元を衝かないから闇の根元はなくならない。ただ併し、ここで問題なのは、物だけにそういう統制がなされて、金融面に対する統制がなされない。それならば物を幾らやつたつて意味をなさないといわれるだろうと思いますが、そうなれば物を幾らやつたつて、今までの闇はどうにもならない。これも結局止めた方がいいということになろうと思います。参なぜ金融だけが物と違つたようなことをなされておるか。それについて明確なお答えを願いたいと思います。
  71. 北村徳太郎

    ○國務大臣(北村徳太郎君) 金融的な取締方法がございませんが、從つてこれを取締るといつても、今の正常なルート以外にはみ出すものと、この金融を取締ることは疎意が違いますから、非常に困難である。從つてどうしてこれを根本的になくするかということは、正常な金融機関の資金力が豊富になつて來て、供給が増大するということにならなければならん。併し今の段階におきましては、購買力が一般に低下しておるというようなこと、それから物が、今までは相当のストツクもあつたであろうと思います。が、これが可なり減少しておること、等々から考えまして、一体闇金融というものはいろいろ取沙汰されておりますが、言われる程それ程多いものであるかどうか。これが対象になる商品の総量というものは大体私共が想像がつきます。從つて闇金融々冷々と言われておりますけれども、その量は果して何程か、捕捉することは困難であるが、一部に言われておるごとく大きなものではなかろうと思います。先程申しましたごとく、個人間で貸借の行われることは、これは取締る途はないと思います。從つてどうして取締るかと言われましても、そういうことは政府としては望ましいことではないけれども、これは止むを得ない。強いて言いますれば、先程申しましたように、金融機関の資金が豊富になつたときに、必要の量が正しく流れるというような状態になることが一番いい方法ではないかと、こう考える。
  72. 中西功

    中西功君 個人間の貸借は現に取締る方法がないのです。現に法律がない。問題はやろうと思えば法律を作ればいい。これは我々が今日個人的な米の賣買でも、若し法律がなければこれは取締る方法はない。けれども、政府は取締つている。金融の個人的な貸借においても取締ろうとすればやれる。問題はやる意思があるかないかということに盡きると思うのです。ただ闇金融の量はそれ程多くないと、こういうふうに言われますが、一体政府として、それならば大体どの程度に推定されてそう言つておられるのか、その点をお聞きしたいと思います。
  73. 北村徳太郎

    ○國務大臣(北村徳太郎君) 闇金融がどれだけあるかということは、これは捕捉することができません。私の感想を申上げたのは、世間で傳えられる際、非常に厖大なことを言う人があるのでありすが、そんなに多くあり得ないと、こういうことを申上げたので、世間で一部で噂されているようなそれ程のものではないと、こういうふうに私の感想を述べたのでありまして、これは無論的確な数字を以て申上げることはできません。
  74. 中西功

    中西功君 実際普通正常の貸借だと言われているように、而もそのように帳面に載つている。それが今日の世の中では実際に二回三回に亘つて闇的に動いているということは、これはもう私は何も経済界のエキスパートでも何でもないので、よくそう経験を以て申上げるわけじやありませんが、我々が聞く範囲においてはそういうことを開くのであります。一應正常の取引のように見せて、その裏で非常にいろいろ問題がある、闇的に動いているというふうなことがあるので、私はこれをもつと政府として眞劔に考えなければいけないと思うのです。そう数量は大したことでないと思うというふうなことでやられておつたのでは、決して私はいわゆるインフレ対策というものが軌道に乗らない、何ら行われ得ないということになると思うのです。若しこういう点に政府が今大したことないと思うというふうな意味で手を着けないというお考えならば、それはむしろもう本当の意味でインフレを克服しようとする意思がないということの表明のように聞えるわけであります。最後にこの点を申上げて置きたいと思います。
  75. 北村徳太郎

    ○國務大臣(北村徳太郎君) 只今の中西君の御質問は、先の御質問と多少違う意味に解していいのじやないかと思います。それは闇金融とは正常なる金融機関以外の金融というふうに私は理解しておつたのですけれども、今のお話は正常なる金融機関において正常な取引のごとく仮装して闇が行われているじやないかと、こういうような御質問であつたと思います。從つてさような御質問であるといたしますれば、問題はおのずから異つて來わけでありましてそれでこれは食いろいろ融資準則等がありまして、金融機関の貸出については相当重点的な規制を行なつているということは、中西君の御承知の通りであります。それがその通りつているかどうかということについては、これは嚴重にいろいろな監督もやつております。私はこういう正常な金融機関を通じて闇金融が行われていることはないと、こういうふうに確信しているのであります。ただ最近、例えば特に重要産業等で、これは設備資金であるか運轉資金であるかというような点において設備資金であるといつて出たものの中で、嚴密な檢査をしたものの中に、若干それが外れて運轉資金的に使われたというような例があつたのです。最近それもないではなかつた。それらに対しては嚴重に戒告をいたしまして、その取扱い方の改善を嚴重に注意をいたしております。そういう点は檢査の結果あつた例もあります。けれども、これは極めて稀な例であつて、大体金融機関を通つての金融というそのものは、正常な又國家目的に定められたような方向にやられているというふうに考えますので、正常機関を通じての闇金融があるかという御質問に対しては、大体そういうものはないと考えております。
  76. 中西功

    中西功君 結局これは見解の相違でどうにもならん。
  77. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 他に御質問はございませんか……。御質問がなければ、大藏省預金部特別会計昭和二十三年度における歳入不足補てんのための一般会計からする繰入金に関する法律の一部を改正する法律案につきまして討論に入りたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  78. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 御異議ないと認めます。それでは只今より討論に移ります。御意見のおありの方はお述べを願いたいと思います。
  79. 中西功

    中西功君 これはいろいろ理由もあるでしようけれども、理由は省略いたしまして私は反対いたします。
  80. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 他に御発言もないようでありますから直ちに採決に入ります。大藏省預金部特別会計昭和二十三年度における歳入不足補てんのための一般会計からする繰入金に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。本案を可とせられる方の御挙手を願います。    〔挙手者多数〕
  81. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 多数と認めます。よつて本案は多数を以て可決せられました。  次に当せん金附証票法案議題として御質疑を願います。
  82. 中西功

    中西功君 これですね、私は今までの質疑の経過を知らないので、或いはダブつているかも知りません。或いはダブつておつたらダブつておつたで結構であります。それは今まで宝くじを始められてから段々どんなふうに成績を収めているか。特に今後國民の消賣資金の問題と関係いたしましてどんなふうにお見込みをなされているか、その二点、若し今まで余り進んでいなかつたら、具体的にお話願いたいと思います。
  83. 愛知揆一

    政府委員(愛知揆一君) 昭和二十年度から申上げますと、発賣の総額は、二十年度三億二千万円、百万以下は省略させて頂きます。昭和二十一年度十四億五千六百余万円、二十二年度二十三億二千八百余万円、二十三年度五月末現在で五億一千三百余万円、こういうような状況になつております。要するに、昭和二十年度以降合計いたしまして、本年五月まで四十六億二千余万円の実績になつております。尚それによりますると、政府の納付金は十八億九千七百余万円、それからこれは今申しましたのは政府即ち中央政府が発賣せしめましたものでございまして、その外に各都道府縣が発賣せしめましたものの実績は、二十一年度におきまして二億三千余万円、二十二年度が五億四百余万円、二十三年度本年五月まで一二億三千五百余万円、合計九億六千九百余万円、こういうふうな状況になつております。
  84. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 只今質問でもう少し伺いたいのは、発行額はどのくらいになりますか。
  85. 愛知揆一

    政府委員(愛知揆一君) 只今発賣総額と申しましたのは、発行総額と大体同じでございます。
  86. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 殆んど完全に捌かれておりますか。
  87. 愛知揆一

    政府委員(愛知揆一君) はあ、ただ昨年暮に、百万円の賞金を初めて附けまして賣りました宝くじの場合におきましては、当初発賣の予定が五億円だつたと思いますが、そのときの発賣の実績は、あの百万円の宝くじを出しましたときの実績は、從來に比しまして賣れ残りが可なり顕著に出まして、そのときの発賣の実績は四億三千八百余万円でございます。それ以前の場合におきましては、もう原則的に発行額を賣捌けるものである、こういうような状況になつております。
  88. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 私今伺いまして、よく聞取りにくかつたんですが、今後の財政の補填のために、中央において或いは地方において、相当活溌にこういうような証券を発行されるんではないかと考えるのでありますが、その場合に、國民の経済力からいたしまして、或いはもうすでにこういうものに射倖的な魅力を失いつつあるというような点からいたしまして、相当に賣れ残りが出て來るんではないかと考えるのです。その場合に一番、もうすでに過日の「新生」の宝くじのときにも國民の中でいろいろ話題になつておつたことでありますが、当せんの番号を決定されまするときに、賣れ残つたものの関係はどういう工合に御処置になるのか、その問題を一應伺いたいと思います。
  89. 三井武夫

    政府委員(三井武夫君) 只今質問がありましたのでありますが、最近におきまして、宝くじの賣れ行きが幾分從來のように好成績を維持いたしませんでして、多少不人氣になつておりますという点はお説の通りでございまして、可なり賣れ行き等におきましても、宝くじの人氣が下向きになつておるということは認められるのであります。從いまして、かようなものでもその含みでやつておりましたが、今後におきましては、特に賣れるであろうという見当を余程的確につけまして、月月の発行総額、種類、発賣場所といつたような点につきましては、余程愼重に考慮いたしまして、できるだけ賣れ残りを生じない程度の金額を消化させて行くという点に特に努力いたしたいと思つております。  それから只今お尋ねの賣れ残りが起つた場合にはどうするかという点でございましたが、その点は、締切までに賣れませんでしたものは、番号を落しまして、たとえそれから当せんのものが出ましても、それはもう賣れ残り物で、発賣しなかつたものと認めまして処理いたしておるのでございます。
  90. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 そこのところが非常に國民が疑惑を持つでおるところでございますが、賣れ残つたものの番号を抽せん前に公表されることが必要じやないかと私は思うのでございますが、この辺に対する御見解を伺いいたします。
  91. 三井武夫

    政府委員(三井武夫君) 実際の状況を申上げますると、大体抽せんの前日ぐらいまでは、できるだけ消化を図ろうということで発賣に努力いたしておりますので、大体抽せん前日に締切りまして、そのとき現在ではつきり何番から何番まで賣れ残つたということを確定いたしまして、翌日の抽せんに用意をいたしますということにいたしておりますので只今お話がありましたように、その間に相当の日数を置きまして、何番から何番までははつきり賣れ残つたということを公表いたしまして、その上で抽せんするということが確かに一つの方法であろうと思いますけれども、只今ではそうやつておらないわけでございます。できるだけ発賣の額を、成績を挙げるという方針で最後の瞬間まで努力するというようなことでやつておるわけでございます。
  92. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 そういたしますと、賣れ残つた、賣れ残らないという限界点をどこでお決めになりますか。発行元から最末端の小賣人まで全部やるわけでありますか。それをどこで一体線をお引きになるか。第一それを伺いたいと思います。
  93. 三井武夫

    政府委員(三井武夫君) 只今の御質問の点につきましては、実際には大体二つの方法がとられておるわけであります。小賣人によつては全部引き取るということを、つまり賣れ残つた場合には全部自分が引取るということをはつきり契約いたしまして発賣を引受けてもらう、それから賣れ残つたものはあとへ又戻すからという約束で賣つている者とこの二つあるわけであります。前の場合につきましては、たといその小賣の手許に賣れ残りが生じましても、それは小賣人が買つたものということで、それだけの金は小賣人が自分で出しまして、勧業銀行へ納入しなければならんということになつております。ですから、この場合においてはいわば問題は起らないわけであります。それでなくて、賣れ残りの分については勧業銀行が引取つて呉れるという約束で賣つておる者につきましては、特に締切の時を嚴正にいたしまして、このときには銀行から直ちに人を出して、何番から何番までが賣れた、何番と何番は賣れ残つたということをはつきりして引取つている。それは問題が起り易いので、可なり銀行としても人を使い、愼重に処理いたしておるような現状であります。
  94. 中西功

    中西功君 さつきのあれで、二十三年度五月末の実績は示されたのですが、これは二十三年度としては大体どの程度発賣の予定になつておりますか。
  95. 三井武夫

    政府委員(三井武夫君) 実はこれにつきましては先日御質問がありましたので、一應御説明もいたしたのでありますが、本年度におきましては約二十六億円程の発賣の予定をいたしております。今後の分でございます。御承知のよう宝くじがいろいろ種類がございますので、少しく詳しく申上げますれば、御承知の五十万円くじ、百万円くじといつたような名前で出しております、普通宝ぐじにつきましては約十六億円、今後八月、十一月、來年の二月といつたようなときにこの発賣を計画いたしまして、その総額が約十六億円、それから三角くじと称しておりますものがございますが、これは大体只今申しました普通宝くじを発行いたしません各月に出すごとにいたしまして、大体五億円、それからその他のいろいろのくじがございますが、これは大体各月いろいろの種類を出して参ることにいたしまして、これが大体五億円、合計いたしまして二十六億円というのが今年度のこれからの計画になつております。
  96. 中西功

    中西功君 それから私達に渡された説明書の中で、「第六は」というのがありまして、「政府又は都道府縣自らが発賣者となるため歳入及び歳出の処理に必要な規定を設けると共に、発賣等の委託を受けた銀行の経理については、これを通常の業務と明確に区分せしめ、これを通常の業務に流用することを禁止する規定を設けることとし、尚必要な罰則を規定いたしたのであります」というふうになつておりますが、この從來大体受託銀行は勧業銀行であつたわけでしようが、今度はこの趣旨を読みますと、もつと廣汎に希望する銀行に受諾させるということになりますので、まあ相当いろいろ引受銀行が出て來ることと思うのです。それで第一どういうふうな銀行に引受けさせられるような手筈になつておるのかということ、もう一つは、從來まあ第六の規定ができましたというふうなことを考えますと、多少他の業務に流用したような例もあつたかと思うのでありますが、そう、いう例が事実上あつたのかどうかということと、それからこういう規定を設けて、果して受託銀行がそういう流用をするということを阻止し得るかどうか、この三点を質問したいと思います。
  97. 三井武夫

    政府委員(三井武夫君) 第一点でございまするが、從來は御承知のように、実際上は日本勧業銀行が独占してその発行事務をやつてつたのでありますが、今後の規定におきましては、日本銀行以外の銀行でありますれば如何なる銀行でもこの事務を受託できることになつたのであります。実際問題といたしましても、從來でも例えば地方くじなどの場合によくその話があつたのでありますけれども、地元の銀行がその仕事をやりたいといつておるというような話があつたのであります。今後におきましては、勧銀に限らず、地元銀行等におきまして、適当である、又経費も安くやれるというような場合でありますれば、その受託を認めて行く考えでおるわけであります。  それから第二のお尋ねでございまするが、全國の窓口でこの宝くじを賣つておりまして、その代金收入いたしまして、それを纏めまして國庫購入するまでには実際上多少の日数があるわけでございます。それを極く短い間銀行の本來の仕事に流用できるということは考えられるわけであります。又銀行といたしましても、多少その間に資金を本來の業務の方に活用しておつたというような事実は認められておるわけであります。この点につきましては過日もいろいろと御質問もあつたわけでございますが、そうしたことにつきましては、何と申しましても本來の銀行業務の経営を堅実化するという趣旨から申しますれば、やはりそうしたことは認めるべきでない、はつきりとその間の計算を区分すべきであるという趣旨を以ちまして、今回の法律案におきましては、宝くじ関係の経理は本來の銀行勘定とは明確に区分して経理するということにいたしたわけでございます。今後におきましては、只今申しまするように勘定を明確に区分されることになります。たとえ收入金でありましても、その收入金は如何なる形で以て管理されておつたか、極く短かい時間でありましても、如何なる形で以て管理されておつたか、これを明確に経理しなければならないことになつわけでございます。今後におきましては、その資金を実際上も他に流用するというようなことは許されないことになつたのであります。又経理の上からもこれが不可能になつたということに相成ると考えるのであります。
  98. 中西功

    中西功君 それでこの規定を設けられているのですが、十五日以内にこれをたしか報告するというふうになつております。これだけで、例えばその外に言えば賣上げたならば直ちに政府の所定の銀行に入れるとか何とかいうようなことをやらなくてただ報告書を出すということで、これでそういう流用が防げるかどうかという問題でありますが、賣上高は直ちにそれを短かい期間に他の政府の所定の銀行に納めさせるというふうなことがあつた方がいいような氣がするのですが、そういうことはどうなんでしようか。
  99. 三井武夫

    政府委員(三井武夫君) 只今お尋ねの点でありますが、大体今後の扱いにおいては、法律の上においてもこの宝くじ関係の経理を他の銀行業務と区分いたしまして、明確に経理しなければならないことになつておるわけでございますが、その上に更に法律の七におきましては、十六條でありますが、発賣期間の満了した後一月以内にその賣得金を政府なり或いはその発賣いたしました都道府縣なりに納入しなければならんということになつておりますので、この期間内には必ず銀行は賣得金を納入しなければならない、一月と申しますと如何にも非常に長い期間のように或いはお考えになるかと思うのでありますけれども、実際におきまして宝くじを発賣いたしますには、全國のあらゆる発賣機関、いろいろの発賣機関を使つておるわけでありましてそうした非常に沢山の発賣者から順々に金を上の方へ順繰りに送つて参りまして、最後に勧業銀行の場合で申せば、勧業銀行の地方の支店に入ります、それが東京に集まりまして國庫に納入される、或いは府縣に納入されるということになるわけでありまして、この一月と申しまするのも、実は余程嚴重に考えての期限であつたのであります。尚一月以内の間でありましても、実際に大藏大臣或いは当該府縣におきましては実地檢査をすることができることになつておりまして、十七條にその規定が設けられております。この檢査によつてすでに相当の金が勧銀に集まつておる、或いはその他の受託銀行に集まつておるということでありますれば、直ちにその分については先に國庫なり都道府縣なりに納入を命ずるというような扱いもできるわけでございます。御説を待つまでもなく、そうした点につきましては、今後余程嚴重にやつて参りたい。殊にこの規定におきましては非常に重い罰則の規定もあるわけでございます。銀行としても十分その点については嚴正に経理をいたして行くことになります。当局といたしましてもさような方向に嚴に指導をいたして参りたいというふうに存じている次第であります。
  100. 尾形六郎兵衞

    ○尾形六郎兵衞君 ちよつと大藏大臣に私お伺いしたいのですが、この法案の理由書では「浮動購買力の吸收を図り」云々とありますが、この言葉が最初出ましたのは、政府が煙草を上げるとき、汽車賃を上げるときなどに最初に使つたと思いますが、現段階になりましては、煙草から一千万円もの收入を図る、それから汽車賃も二倍半に上げる、こうなりまして、さすがにその方面には浮動購買力の吸收という言葉は使わなくなつたと思います。今この富くじの発行につきましては未だにこういう言葉を使つておるのだが、事実において私共自分達の生活を見ますると、もうすでに浮動購買力というものは全然あるどころじやない、逆になつておるのでありまするが、未だに浮動購買力というものが日本の経済界或いは各方面に相当おありなさるというお、見込みであるかどうか。或いは当局においてはこういう言葉は今までの惰性として使つているのじやないか、私はどうも浮動購買力がそうありそうに思えないのであります。このことにつきまして大臣の御所見を伺いたいと思います。
  101. 北村徳太郎

    ○國務大臣(北村徳太郎君) お答え申上げます。私は現在通貨の分布状態から考えまして、やはりこの箪笥預金と称せられるものが尚相当にある。今ここで的確な数字を持合せませんから申上げることは困難でありますけれども、荷金融機関を通して吸收せられるか、或いは政府の手に財政資金の吸收せられるべき筈のもので待機状態になつているものと申しますか、或いは箪笥預金にさしているものが通貨の分布から見まして相当ある。從つてこれは勿論或る時代の非常に浮動購買力というものがいろいろ働いたときに比べますと、ここまで物價が上つて参りましたのでありますから、その浮動購買力の実質的な量は減つておりますけれども、尚やはり吸收すべきものがある、こういう観点に立つております。これは通貨の分布の状態等から見ましてかような判断がつく、私共必ずしも惰性で使つておるものではございません。
  102. 西川甚五郎

    ○西川甚五郎君 私はこの富くじというやつをいつも見ておりまして、実にいつも嫌な感じがしておるのでありますが、大藏大臣においては、この富くじを賣つておる場所とか買つておる人人の状態を御覧になつたことがありますか、又自分でおやりになつたことがありますか、ちよつとお伺いしたいと思います。
  103. 北村徳太郎

    ○國務大臣(北村徳太郎君) これは私個人的な興味から申しますと、全然勝負事は嫌いでございまして、一体当せんするというふうなことに興味が全然ありませんのであります。それからこれは率直に言えと言われると、私はどうも浮動購買力をかような方法を以てして吸い上げねばならんということは、極く率直に申しますと決して喜ぶべき現象じやない。それでこれはまあ経済の問題と一面道徳の問題とどこで線を引くか、浮動購買力はどうしても吸收しなければならない、できるだけ政府の散布金が早く吸收されるということは、これは努力しなければならん点でありますが、ただこういうことをやつて射倖心を次第に釣上げ釣上げして、しまいにこれは麻痺してしまうというところから、おのずからこれは限界があると思うのであります。併し今の段階において、或いは言葉は惡いかも知れませんけれども、私の率直な考えを申しますと、止むを得ず……悪ということは惡いかも知れませんが、止むを得ざる惡とも考えられるのであります。從つて或る限度は守つて行かなければならん、かように考えております。これは個人的感想でありますけれども、どう思うかというお話でありますから率直に申上げました。
  104. 西川甚五郎

    ○西川甚五郎君 若しその場合、大藏大臣の御子息がそういう富くじを行いになつたらどういうお感じがするでしようか。
  105. 北村徳太郎

    ○國務大臣(北村徳太郎君) どうもなかなかむずかしいことでございまして……。
  106. 西川甚五郎

    ○西川甚五郎君 いや、私がそういうのは、國民全体がやはり大藏関係は大藏大臣に御信頼申上げておる時代でありますから、やはり御子息も同じようなことでございますから、若し御子息がそういうことになつたらどうお考えになるかということを聞くのであります。
  107. 北村徳太郎

    ○國務大臣(北村徳太郎君) どうもお話が大分むずかしいのでありますが、私は個人的な考え方としては、一切勝負事は好みません。子供も同様でありまして、從つてそういうようなことを生活の雰囲氣から申しますと、実は富くじ関係のものは率直に申しまして非常に嫌いなのであります。これはまあこういうもので資金の吸收が早められ、又一方において必要なる財政資金、産業資金の吸收がこれによつて行われるとすれば、弊害のあることも今の段階においては止むを得ない。やはり実利の方が大きいから止むを得ないのじやないかというような考え方をいたしておるのでありますけれども、これは將來拡大拡張等をするということについては、これは十分檢討しなければならんと、こういうふうに私は考えております。
  108. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 私大藏大臣に伺いたいのですが、もうこの富くじと申しますか、宝くじと申しますか、こういうものの弊害は如実に出て來ておるのでありまして、まあ反対わけでありますが、今の状態でどうしても止むを得ないということならば、これで生れましたところの金の使途を教育とか、社会事業とか、厚生事業とか、そういうような方面にだけ限定をして、そうしてもう少し使途が社会公衆一般の利益のために使われる、そのためにはせめて買うときに少しでも氣持のいい、明るい氣持で買う、こういうような心構えを國民に與えるような方法をお考えなつたことがないかどうか。そういうことをおやりになるつもりはないか。今までも若干そういうような傾向はあるにはありましたけれども、大額のものになりますとそういう傾向が全然ないように思いますので、その辺を伺いたいと思います。
  109. 北村徳太郎

    ○國務大臣(北村徳太郎君) 富くじ的なものがいいか惡いかという判断でございますが、仮にこれがいいものじやないということになりますと、いいものじやないという方法を通して得たものが、教育なら教育という明らかな目的を決めてその方向に持つて行くということは果してどうかというふうに考えられることです。今はとにかくそういうことよりも散布された資金が早く吸收されるということが必要なんで、そのためにかような興味をくつ附けて、そうして尚早く國家目的に副うように吸收したい、こういう観点から探つております。吸收することが目的であつて、吸收されたものの配分は又別に……現在では例えば貯蓄の三千億目標については三五%が國並びに地方の財政資金になる、二〇%ですかが産業資金になるというような、大体國家目的に副うような配分をいたしまして、さような目的で吸收いたしておりますので、これらについて特にこの分は直ちに教育だというふうに言わない方が却つていいのじやないかと考えております。この御意見は承わりまして、今後こういうことについてはいろいろ問題になるだろうと思います。尚改善を要すべき点が多分にあるかと思いますが、そういうような場合には眞にその御意見を採入れて研究いたしたいと思います。
  110. 田口政五郎

    ○田口政五郎君 只今大臣の意見を伺いまして、私も同感でありますが、私はまだ富くじ、宝くじというようなものは、これは如何に財政上の都合があつて浮動購買力を吸收する……多少惡いこともあるが、止むを得ないとおつしやいますが、この点に関しましては私と多少意見を異にするものがあるのであります。私は購買力の吸收の手段として、こういう富くじ的なことをやる、その弊害の方が私は購買力吸收の利益よりも大きいと私は感じております。今日到るところにおきまして、殊に学生などがこれに関與しているような風景を到るところに見るのでありますが、これはただ財政上の問題と徳義上の問題と、或いは種類が違うから比較がむずかしいかも知れませんが、私の判断するところによりますれば、これは國民として実害を受ける方が遥かに大きいと思つております。これはまあ意見でありますが、こういうことは一つ何か外の方法でこの際浮動購買力の吸收をお考え下さいまして、例えば煙草を買つた、その煙草の箱の中にそういう富くじ券的なものが入つているというふうな附随的な方法を以てせられたならば、又弊害の点も少いと考えまするが、今日はもう富くじそのものが目的で、街の到るところに大きな店を出して、これを客に勧めておるというような、ここに至りますれば弊害の及ぶところは実に恐しいものがあると考えております。毎日あの模様を見て実に不快な感じを受けておるものであります。どうか一つ他の方法をお考え下さいまして、一日も早くこういう方法で浮動購買力の吸收を図るというような点はお止めになることを、私は特に希望いたしたいのであります。万一止むを得たければ、どつか区域の制限をするとか、又余り大びらに、ああいうふうに競馬なんかのような方法で、一定の区域を限つて一期目を限つてやるというようなことにすればまだいいと思いますが、この点を一つ御研究下さいまして、惡い弊害の及ぶところを一つ御考慮あらんことを切にお願いいたす次第であります。
  111. 北村徳太郎

    ○國務大臣(北村徳太郎君) 御意見は誠に御尤もで、私個人の考え方からいうと全然同感なんであります。ただ今の段階において、これがどうしても散布された資金の吸收等を早くしなければならんというような観点に立ちましてやつておりますことでありまして、これは將來拡大拡張はしない方針を採りたいと思います。先程から申上げております通り、併しこれは一面においては人間の或る本能的なと申しますか、子供が三四人おつてもじやんけんして或る射倖をやるというふうなこと等がございまして、なかなか理想と現実とはうまくマッチしない点があります。併し理想の状態に持つて行くように努力しなければならんと考えますみので、いわば安易な方法と申しますか、富くじすると申しますが、この言葉は悪いのですか、こういうふうな安易なものでない堅実な預金なぞを以て吸收しなければならんと思います。そういう方向に持つて行くように努力する点については、只今田口委員のおつしやつたことと私は大体同じような考えを持つておりますから、將來は成るべくそういう方向に持つて行くように努めたいと、かように考えております。
  112. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 御質問がなければ、これより討論に入りたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  113. 中西功

    中西功君 出て來る案、出て來る案、次々に反対せざるを得ないのを実に私苦痛でありまして、元來がこういう法案が出なければ……
  114. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) ちよつとまだ討論に入つていないのでありますから……御異議がないようでありますから、只より討論に入ります。御意見のおありの方はお述べを願います。
  115. 中西功

    中西功君 以上のようなわけで、(「苦痛でもなさそうだな」と呼ぶ者あり、笑声)実際にこういうものが出なければ非常に日本國民も幸福だろうと思うのであります。同時に私も非常に手間が省けて非常に樂だと思うのでありますが、一應出されて見ますと、やはりこれは正直な態度をせなければいけませんので、そういう意味一つはつきりした我々の意見を申したいと思います。我々國民の生活が安定して、そうしてその上に立つて或る種の射倖的なものが購買力吸收のために利用され、亘りその資金が本当に國民のためになる資金として、建設のために利用されて行くというふうな状態ならば、何も我々はこういう手段に対してそれ程徹底的に反対の意を表明する必要もないのでありますが、今日のような経済状態、特に我々國民大衆が、本当に儀餓線上に喘えでおつて浮動購買力等は一文もないというふうな状態におきまして、而も地方におきましては箪笥預金とか、或いは闇金融とか、或いはいろいろのスベキレイシヨンが汎に行われているというふうな状態、そして又金融機関自身が必ずしも当を得ていないで、それを取扱う場合にお出てはいろいろの流用的な事実も沢山出ておりますし、それを利用していろいろ働けるというふうな状態の下において、こういう措置が許されておるということになりますと、一体結果はどうなるか。勿論浮動購買力を吸收しようとするその浮動購買力の大部分は、ただこれを利用して一儲けしようという意味でしかこれをやりませんし、又そういう大きな資本を持つておれば、或る程度これを利用して結局儲ける、ともできます。で、そういう結果、政府としては一應財政收入として入つて來ますが、その間にその金にいわば釣られた大衆が非常に損な目に合うというようなことが必然的に起つて來わけであります。而も我々から見ますれば、そうしてできた金も決して本当に國民のために使われすに、いろいろ良からぬ方法に使われて行くことをはつきりと私自身熟知しておりますので、結局はこういうことによつて日本國民の道徳を堕落させる以外になく、又大衆を実際に苦しめる以外に何ものもこれから得られないという結論を出すのであります。実際的に浮動購買力の吸牧といいましても、本年慶二十六億が予定されているうち、政府の納入金というものは極めて少いのであります。結局は先も各委員の方から指摘されましたように、我々日本國民、殊に勤労大衆が持つている弱点、非常によからぬ弱点でありますが、そういうものを巧みに利用して、結局そういう人々を堕落させるということが結果として起つて來るのであります。そういう意味で、一私はこういうことは今日の歌態においては是非止めて貰わなければならない。大藏大臣の考え方と私のとは全く逆であります。我々の生活が安定した後においてなら或いはこういうことも許されると思うのです。今日のような状態ではいわば一日も許されない、即時止めるべきだというのが私の見解であります。以上の理由によつて私はこれに反対します。
  116. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 私もこの法案反対であります。と申しますことは、現在街にはとにかく十種類にも余るような街頭賭博、いろいろな射倖心を煽るような行爲が公々然と行われております。そうしてこの好ましからざる行爲を取締るべきところの政府が、殆んど街頭賭博と同じような心理的な考えを以て行爲するところの富くじ的な宝勢を、國民が殆んど同じような場所で買つておるというような事実は、取締るところの政府の行爲が、直ちに取締らなければならない筈の人がやつている行爲と相通ずるという点について國民道徳の昂揚を叫ぶ政府の行爲が却つて國民道徳をこういう面から破壊しつつあるといろ点で反対せざるを得ないのであります。それから特に甚しいのは、過日行われました煙草「新生」の最後の捌け口をこの百万円の宝くじに被せて、そうして政府が行われたところのあの行爲のごときは、断然これは非難さるべき行爲であると私は思うのであります。それから先程大藏大臣が浮動購買力を狙うために、まだ箪笥預金が相当眠つておるとか、待機しておるのがある、そういうのを対象にしておるのだと言われましたが、これは恐らく大藏大臣が、先程西川君が言われましたように、そういう現状を見たことがあるかと仰しやつたのでありますが、そういう現状は余りよく御存じないのじやないかと思うのでありますけれども、賣り捌きのあの場所を一度御覧になれば分りますが、決してそういうふうな人々がそこで買つておるとは思われないのであります。誠に両面から見ましても好ましからない問題でありまして、僅かの金のために大きな國民道徳を破壊して行くという面において、これは反対せざるを得ないのであります。
  117. 深川タマヱ

    ○深川タマヱ君 今年度におきまして、國家の財政收入といたしまして、富くじから得るものは十億四千万円と存じておりますが、先程から諸委員もおつしやつておいでになりますように、國民道義の頽廃の大きな原因になりまして、こういうことを國家自身、政府自身が模範に示しますならば、日本の道義の確立は前途遼遠だと存じます。從つてそれともう一つは、これは浮動購買力の吸收とはいうものの、必ずしもそうではないのであつて、これだけの資本を下したならば、生活はつらいが、これが三倍になつて返りはしないかという、僅かな月給を取つておる人が月給を割いて買つておる部面も相当多いだろうと思いますが、そういう人達が負けたときの苦しい氣持は私は非常に同情いたすのであります。併し今年は間に合わないと存じまするから、仕方なくこれを認めます。併し來年からはこういう方法を止めまして、これに代つた財源として、只今決算委員会で私達が審議いたしておりまするが、元の軍需資材を全部只で持つて帰れと渡しまして、その次に東久邇宮内閣になりましたときに、或る價格で金を回收するようなことをいたしましたけれども、それが完全に回收ができなくて、非常に沢山未納になつております。そういうようなのをもつと所管官廳を激励くださいまして早く收入を取りますならば、十億四千万円くらいの金は容易に取れると思いまするので、そういう正しい方法によつてして頂いて、こういうことは一日も早く改善して頂きたいと思います。討論の時間でありますが、今年のこれに反対するのではないことを念のために申上げます。今年は賛成いたします。    〔「討論終結」と呼ぶ者あり〕
  118. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 他に御発言もないようでありますから直ちに採決に入ります。当せん金附証票法案議題といたします。本法案を可とせられる方の御挙手を願います。    〔挙手者多数〕
  119. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 多数であります。よつて本案は多数を以て可決せられました。
  120. 天田勝正

    ○天田勝正君 この際軍事公債利子支拂特例に関する法律案を直ちに審議せられんことの動議を提出いたします。
  121. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) それは委員長がいろいろ順序を立つておりますから、それは委員長が適当のときに……。    〔天田勝正君「委員長、動議です。先程から何遍も申込んでおります」と述ぶ〕    〔波多野鼎君「動議を諮つたらどうですか」と述ぶ〕
  122. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) それはやることはやりますが、順序を立てておるのです。    〔天田勝正君「何度言つても、否決ならば否決でよろしい」と述ぶ〕    〔波多野鼎君「委員長は動議を無視しますか」と述ぶ〕
  123. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 速記を止めて下さい。    〔速記中止
  124. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 速記を始めて下さい。それでは暫時休憩いたします。    午後四時十六分休憩    ―――――・―――――    午後四時三十一分開会
  125. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 休憩前に引続き委員会を開きます。天田君からこの場合、軍事公債利子支拂特例に関する法律案議題として審議をされたいという動議が提出されたのでありますが、御賛成がありますでしようか。    〔「賛成」「反対」と呼ぶ者あり〕
  126. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 御賛成があるようでありますから……。    〔「決を採つてくれ」、「委員長しつかりしなさい」と呼ぶ者あり〕
  127. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) あるようでありますから、本案につきまして、この動議につきまして採決をいたします。天田君の動議に賛成の方の御起立を願います。    〔起立者少数〕
  128. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 少数であります。よつて天田君の動議は否決されました。    〔「次には九鬼さんの動議」と呼ぶ者あり〕
  129. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 九鬼さんのは速記を止めておるときでしたから、もう一度……。
  130. 九鬼紋十郎

    ○九鬼紋十郎君 私の動議はつまり委員長の意向によつて……。
  131. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) ちよつと起立して言つて下さい。皆に徹底するように……。
  132. 九鬼紋十郎

    ○九鬼紋十郎君 議案についての審議は委員長の意向に委せるという動議であります。
  133. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 次に九鬼委員から、議案の審議の順序は委員長に委せる。という動議が提出されました。これに賛成の方はありますか。    〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
  134. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 賛成がありますから、採決をいたします。九鬼委員の動議に賛成の方の御起立を願います。    〔起立者多数〕
  135. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 多数であります。よつて九鬼委員の動議の通りに決しました。  それでは次に簡易生命保険事業における戰爭危險に因る死亡に基く保険金支拂による損失補てんに関する法律案議題といたしまして御審議を願います。本案について御質問のおありの方は御質問願います。    〔「ちよつと待つて下さい」と呼ぶ者あり)
  136. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 別に御質問ございませんか。    〔「ちよつと待つて下さい」と呼ぶ者あり〕
  137. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 別に御質問がないようでありますが……。    〔「ちよつと待つて下さい」と呼ぶ者あり〕
  138. 中西功

    中西功君 この法案はこの度二百三十六億を政府が交付公債として交付するものの一部なのでありますが、この交付公債がこのような金融機関に渡される場合には、他の公債とどれだけ違うか、即ち金融機関としての取扱いやいろいろの問題についてどれだけ違うかという点を少し説明して頂きたいと思います。
  139. 河野通一

    政府委員(河野通一君) お答えいたします。簡保に対する交付公債の條件は一般公債と同じ條件であります。
  140. 中西功

    中西功君 そういたしますと、この公債を以てこの金融機関は日銀に預け入れて、これを現金に換えるということもできると思うのでありますが、現実の問題としてそういうふうな傾向はどの程度あるか、或いはあり得ないか、そういう点を説明して頂きたいと思います。
  141. 河野通一

    政府委員(河野通一君) 簡保に対する交付公債の交付は、資金繰りをつけるために交付いたすのでありませんで、一簡保自体といたしましては、現在のところ交付された公債を以て日銀から資金化の方法を講じなければならんという問題は、少くとも差当りの問題としては起らない、かように考えております。
  142. 中西功

    中西功君 この度この交付公債の問題と、それから曾て一應一般予算にも挙げられましたところの金融機関へのし補償金、それは昨年の追加予算のときに切捨てられたわけでありますが、その補償との関係はどうなるのでしようか。
  143. 河野通一

    政府委員(河野通一君) 今の御質問趣旨は、金融機関一般に対する補償の問題を申されておるのじやないかと思いますが、この簡保に対しまする交付公債は、簡易保険の特別会計に対する補償でありまして……補償と申しますか、交付公債でありまして、一般金融機関再建整備法に基きまする補償等とは性質を異にいたしております。
  144. 中西功

    中西功君 さつきの答弁なんですが、金融機関べの補償とは全然別だという意味は、これはただ会計上の問題として一應別だという意味なんですか。それとも補償を要する原因が全く違つた意味で別だという意味なんですか。それはどちらなんでしようか。
  145. 河野通一

    政府委員(河野通一君) 性質が異つております。と申しますのは、一般の金融機関におきまする同種の補償は、損害保險会社、生命保険会社等に対しまする中央会その他の戰死保険金等に対する補償が附いておるのでありますが、これと同じ性質のものでありまして、その方は金融機関再建整備法に基く補償といたしておりません。從いまして、それと同じ性質を持つておりまして簡保に対する損失の補填は金融機関再建整備法に基くものとは性質を異にいたしております。
  146. 中西功

    中西功君 それで金融機関については、今まで再建整備法に從つて整備がなされて來ておると思いますが、政府の金融機関であるような、こういう簡易生命保険、こういうようなものについては、たしか金融機関再建整備法では別に除外されておつたと思うのでありますが、この整備については今まで政府はどのようになされたか、簡単に説明して頂きたいと思います。
  147. 岡井彌三郎

    政府委員(岡井彌三郎君) 民間における再建整備法に基く補償と同じ性質のものといたしましては、簡易保険、郵便年金などの損失につきまして、預金部損失特別処理法というのがありまして、それによりまして戦時補償打切その他に伴いまする損害の補填は一般会計からすることになつております。その額は簡易保険におきましては、正確な数字は今持つておりませんが、七億程度であります。これは只今申しました預金部損失特別処理法、この法律によりまして補償されるごとに相成つております。
  148. 中西功

    中西功君 どういうふうな損失を切捨てて、どういうふうにされるのかということなんです。
  149. 岡井彌三郎

    政府委員(岡井彌三郎君) その損失の原因でありますが、これは御承知の通りに戰時補償打切に伴いまする資産の喪失、それから在外資産喪失に伴いまする資産の喪失、これが今まで損失補償の原因となつております。それからその範囲は、第一封鎖に相当する額に見合う額の範囲内においてこれを補償する、かようになつております。
  150. 中西功

    中西功君 その額を聞いているわけなんです。
  151. 岡井彌三郎

    政府委員(岡井彌三郎君) 先程申上げました通り約七億、正確な数字を持つておりませんが、約七億程度となつております。
  152. 中西功

    中西功君 その七億減でなくして、戰時補償打切は大体どれだけあつて、在外補償打切はどれだけあつてそれから特別損失が結局どれだけ出まして、それから一方第一封鎖の額がどれだけあつてというような状況を、概略でいいからお聞かせ願いたいのです。
  153. 西原直廉

    説明員(西原直廉君) 只今お尋ねの点について補足的に御説明さして頂きます。預金部簡易保險と郵便貯金関係は全部大藏省預金部損失特別処理法によりまして、金融機関再建整備法と同様の方法によつて損失の補償をいたしております。損失は、預金部におきましては在外資金の減價等によりまして全体といたしまして六十三億一千万円の損失金が出たのでございます。これを評價益等によりまして二億一千百万円先ず償却いたしました。その次に預金部の積立金が二億六千七百万円ございましたので、それを以て第二段といたしまして償却いたしました。それから郵便貯金等の第二封鎖預金等に属する金額が概ね五億二千万円ございますので、それを差引きまして残額三十三億一千七百万円、これを政府で補償いたす、こういうようなことに大体なつております。尚簡保の関係につきましては確定損が五億三千七百万円ございます。確定益と申しますか、評價益が千三百万円ございます。差引き政府の補償は五億二千四百方円ということに相成つております。
  154. 松嶋喜作

    ○松嶋喜作君 この戰爭による死亡の損と、それから民間における戰災での死亡損の填補の率というものは、大体民間とこの簡易保險と同率でございますか。どんな扱いになつておりますか。
  155. 河野通一

    政府委員(河野通一君) お答え申上げます。填補の率は同じくとは申せませんので、現実に生じました戰死保險金の支拂額から、それに対應する当該保險の責任準備金として積立てられましたものを差引きまして補填いたしております。從つて補填率は一々計算しておりませんが、現実に準備金以上に掛かりましたものを補填いたします。
  156. 松嶋喜作

    ○松嶋喜作君 そうすると、率についてはどうなるのですか。その各会社での平均した率と、簡易保險の率と民間の一般率と……。
  157. 西原直廉

    説明員(西原直廉君) 私もちよつと数字を持つておりませんのではつきりいたしません。ただ今度の戰死簡易保險における戰死保險金の損失補償の方法といたしましては、当時戰死によつて生じた保險金、これに対して全額を補償するという形になつていると思います。民間で先般いたしました戰死保險金の補償と申しますのは、一應國営再保險の時代における再保險の制度によつて補償いたしましたものと、それから先般すでに解散になりました生命保險中央会、これを通じて損失補償をいたしましたものと、この二つだけになつておりまして、その國営再保險前の分につきましては、結局現在御審議頂いております金融機関再建整備法の中に一緒に損失として入つて來ております。それによつて合計して損失が補償される、こういうことになつております。從いまして今のお話のどちらが補償率が多いかということになりますと、両方共戰死によるものは全額補償されておる、こういうことに相成ります。ただ戦時の死亡率がどちらが多いかということになりますと、これはちよつと数字を持つておりませんので分りません。
  158. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 他に御質問がなければ討論に入りたいと思いますが、御異議、ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  159. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 御異議ないと認めます。それでは只今より討論に入ります。御意見のおありの方はお述べを願いたいと思います。
  160. 中西功

    中西功君 この法案に対して私反対であります。その反対の理由は、案はもともとこういうふうな金融機関再建整備法や、或いはその他の何といいますか、これに並行しておる先の預金部整理等の法案に対して、共産党が今まで反対した建前から來るわけでありますが、それをこの度その法案に則つてこれが行われておるわけでありまして、政府関係のこういう仕事に対しては、別にこれに対して交付公債をやるということを、特別にそれだけに対して反対する必要もないのでありますが、この度の予算の問題におきましても我々はこういう形において交付公債の交付というものに対しても反対しております。そういう建前から一應この法案に対しては反対いたします。ただ次に別にある金融機関再建整備法の一部の改正案というのに対しては、もつとはつきりした反対意見があるのでありますが、まあその一連の法案となつておりますので、ここで反対理由を述べて置くわけであります。
  161. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 他に御発言がないようでありますから、直ちに採決に入ります。簡易生命保險事業における戰爭危險に因る死亡に基く保險金の支拂による損失補てんに関する法律案議題といたします。本法案を可とせられる方の御挙手を願います。    〔挙手者多数〕
  162. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 多数と認めます。よつて本案は多数を以て可決せられました。  次に金融機関再建整備法の一部を改正する法律案議題といたします。本案について尚御質疑のおありの方はお述べを願いたいと思います……。別に御質問が……
  163. 中西功

    中西功君 いや、あるのですよ。皆さんから出ないから、出して呉れたらいいと思つてつてつたのです。この前僕は要求して置いたのですがね。金融機関の再建整備の具体的な事情について、最近の状況について報告して貰いたいというふうに要求しておいたのですが、それをまだ聞いておりませんので……。
  164. 三井武夫

    政府委員(三井武夫君) 金融機関最終処理及び再建整備の概況につきまして申上げます。金融機関は御承知のように最終処理を完了いたしまして、それぞれ本年の三月三十一日まで遡りましてその新旧勘定の区分を消滅せしめたわけでございます。その結果を見ますると、実はまだ集計の結果判明しておりません農業会を除いて申上げたいと思いまするのでありまするが、確定損四百四億円に対しまして確定盆六十六億円、これに対しまして積立金十五億・円、整理債務二百二十億円、及び政府の補償九十二億円を以て補償することになつております。最終処理完了後に提出されまする整備計画書につきましては、特殊の異常なるものを除きまして概ね認可が完了しておりまして、現在すでにそれぞれの整備計画に基いて堅実な再建の方向に過程を進めておるのでございます。尚銀行につきまして、各金融機関それぞれあるわけでございまするが、特に銀行につきましてもう少し申述べまするならば、銀行六十四行の確定損の負担状況につきましては、確定損の総額が二百三十九億一千二百万円、これに対しまして確定盆は五十億五千万円、積立金が十二億二千五百万円でありまして資本金が十五億六千五百万円、整理債務百六十億一千七百万円でありまして、政府補償は百七十四万一千円、これは一行でありまするが、これを以て補填されたのであります。即ち本年の三月三十一日現在におきまする銀行の資本金の総額は十九億九千七百万円でありましたから、平均の切捨率は七八%になるわけであります。又整理債務の総額は二百四十六億三千万円でありましたから、平均の切捨率はこの場合は六五%ということに相成つた次第であります。両資本の切捨を要しなかつたものは六行、九割までの切捨でよいものが一行、預金の切捨を行うものは五十七行ということであつたのであります。  次に再建整備にあたりましてはできる限り健全な資本の構成を採用いたしまして、この場合の増資につきましては純資産から國債と手持現金及び日銀預金を控除いたしました、いわゆるリスク・アセツツと申しておりまするが、この額の一〇%を目標といたしまして増資をいたしたい、かような考えであつたのでありまするが、差当りのところは株式の市場その他の状況をも考えまして、このリスク・アセツツの五%以上の相当額を増資するように決定いたしました。更にその應募の結果それ以上の應募がありましたときには、引続き第二回の増資総会を開催いたしまして再増資をする、かような方針によりまして現在再建の計画がそれぞれ進められておるのであります。尚以下各金融機関につきましてそれぞれの状況があるわけでございますが、一應銀行の場合を特に申上げたわけであります。
  165. 中西功

    中西功君 そうしますと、銀行六十四行に対しては政府補償は百七十四万、非常に少いわけですね。この数字は間違いないのですね。
  166. 三井武夫

    政府委員(三井武夫君) 只今申しましたように、銀行の場合には政府補償額は百七十四万一千円であります。
  167. 松嶋喜作

    ○松嶋喜作君 この金融機関整備に関しまして、興業銀行の興業債券でしたか、あれが後になつて新勘定から突如旧勘定に入つたというのはどういうわけなのでありますか。
  168. 愛知揆一

    政府委員(愛知揆一君) 興業債券の問題は、興業債券に限らず金融債券一般の問題でありまして、あの当時これはポツダム政令が出まして、そうして一体金融機関再建整備法の建前から申しますならば、当時の建前から申しますれば、只今仰せの通り金融機関の所有の金融債参は新勘定に属すべきことになつておりましたのが、突如として旧勘定に入ることになつたのであります。その理由は当時も御説明申上げたと思うのでありますが、根本は、一口に申しますと、憲法に違反する疑がある、御承知のごとく金融債券の中には個人所有のものもございますし、又金融機関の所持のものもあるわけでございます。そもそも金融機関の再建整備を企図いたしました当初におきましても、金融機関手持の興業債券も案は旧勘定に入れるべきではないかという議論は実は非常に強かつたわけでございます。当時におきましていろいろ議論をいたしました結果が、併しながらその当時の情勢においてはこれを新勘定に入れることによつて銀行損失をできるだけ少くして、そうして預金者、株主等への損害の波及を止めたいというような氣持も相当濃厚にあつたのではないかと考えわけであります。ところが、率直に申しましてそういう決定があり、それが法制化されました後におきましても、個人の金融債券の所持者からやはりこれに対する論議も相当あつたように承知いたしておるわけであります。それから又等しく金融債参でありながら、所有者が個人であると金融機関であることによつて差別を付けるということは、何と申しますか、エクイティの原則にも反するということも法律的にも非常に理屈のあるところではなかろうかと思うのであります。個人の所有者の間から率直に申しまして相当に論議も起り、改めて政府の補償をできるだけ少くしたいという前々からの論議もあつたところでありますので、最後のところは政府において個人持ちも助け、それから金融機関持ちのものも助けるか、或いは両方とも遺憾ながら旧勘定に移すかという二者の中の一つを選ばざるを得なくたつた次第でありまして、個人持ちであるとか金融機関持ちであるとかによつて差別を付けるということは、諸般の関係からどうしても工合が悪くなつたのであります。それに関しましては当時最終的に関係方面覚書の交付を受けたわけでございまして、いろいろこれにつきましては特に農業界方面に相当の影響を與え、又若しこういう措置がなければ資本金も飛ばさず、或いは飛ばし方を少くし、又預金等について切り方を遥かに少くしたであろう銀行等もあるわけでありまして、そういうところにおきましても既得の損害、特に一旦法律で決まつておりました既得権を侵害されたというような方面に対しましては、誠に何とも政府としてもお詑びの申上げようのない程恐縮したわけでございますが、事さようになりました点は誠にいたし方なかつた事情であるわけでございます。今回のこの改正によりましてもその当時例えば金融再建の処置が旧法によつて行われたそうして、中間処理等が行われたことによりまして例えば第二封鎖預金が中間処理によつて第一封鎖に移り、而もそれがすでに引出されたというようなものについては、これを本当の既成事実として尊重しなければならなかつたわけでありまして、その面におきまして若干の補償が殖えるような仕組になつわけでございますが、全般的にいえば補償の額は差引いたしまして二十億前後新法によりまして減ることになつわけでございます。
  169. 松嶋喜作

    ○松嶋喜作君 それではこの各金融業者の債券が旧勘定に移つたというのは、主として憲法上における平等の原則から來たのであるということを認め、大体その線に沿つて行われたということを認めてよろしいかどうかということが一つ。それからすでに新勘定において償還された資金が相当あると思いますが、これの回收については余程困難じやないかということが察せられますが、その回收状況についてはどう見ておりますか。この二つについて伺いたい。
  170. 愛知揆一

    政府委員(愛知揆一君) いろいろ当時の事情はございますけれども、煎じ詰めて申しますれば、結局憲法に違反するという法理論といたしまして、これは場合によりまして、そのことによる関係者から例えば最高裁判所へ提訴されるというような場合におきましても、法律上の爭がありますと、恐らくは旧法はこのままにして置けばこれは無効の宣言を受けたかも知れない、現在においては最高の法律の判断の権限を持つておると思われるところの基準によりますと、さようなことであつたわけでございます。  それから今の後段の御質問でございますが、成る程非常に困難ではございますけれども、漸次回收をするという建前で処理をいたしておるわけでございます。
  171. 松嶋喜作

    ○松嶋喜作君 その額は大体どのくらいですか。
  172. 愛知揆一

    政府委員(愛知揆一君) ちよつとその額ははつきりいたしません。
  173. 西川甚五郎

    ○西川甚五郎君 この中で債権者審査会というものを設定されるのでありますが、これは事実上審査を意味するものか、或いは監査の程度のものでありますか、どちらでございましようか。
  174. 愛知揆一

    政府委員(愛知揆一君) この正確な法律的な解釈は、こういう処理をすることについての同意をこの会で取決めるということが要件であるわけでございます。でありますから、そこの同音がなければそういう処理の方法ができないということで、普通の諮問よりは余程程度が強いものでございます。併しながら同時に議決かというと議決よりはちよつと程度が軽いものだ、平たく世俗的に申しますと、そういうような感じになります。
  175. 西川甚五郎

    ○西川甚五郎君 そういたしますと、審査会で余りに不当なる決議とか請求をしたいとかいう場合には、これはどこで解決せられるのでございますか。
  176. 愛知揆一

    政府委員(愛知揆一君) さような不当な決議をいたしました場合に、当然に裁判所に提訴し得るというような規定はないわけでございます。
  177. 西川甚五郎

    ○西川甚五郎君 そういたしますと、これはどこで解決を着けておられるのですか。
  178. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 説明員をして説明させて御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  179. 上林英男

    説明員(上林英男君) 債権者審査会の主たる仕事は、一つは調整勘定に生じました利益金を確定損を負担いたしました預金者等に返しますときの、その返す返し方につきまして同意を與えるということが一つでございます。具体的にどういう金額を返すかということは法律はつきり明定されております。法律に從つて返されるわけでございますから、從つてその法定の方式に從つて返されておるかどうかということを見るわけでございます。從いまして、その法定の方法で返されておらないというような場合には罰則の規定もございますし、又罰則に及ばないような程度の場合には民事裁判の方法もおるわけであります。  それからもう一つの債権者審査会の主たる仕事は、調整勘定の利益になつて参りまする旧勘定、これの処分について同意を與えることでございます。その場合に資産が不当に安く賣られたいようにといろために同意を與えるわけでございまして結局その問題は債権者審査会がその旧勘定資産を不当に安く賣らないようという監査をする。結局安く賣れば利益金が生じません。第二封鎖勘定には入れないという建前になつておるわけであります。
  180. 西川甚五郎

    ○西川甚五郎君 そうすると、やはり監査という方が本当じやないんでございましようか。審査会というやつは……。今の御説明によりますと……。
  181. 愛知揆一

    政府委員(愛知揆一君) その点は御指摘の通りでございまして、この審査会の性格等については、実は随分いろいろと論議を重ねたわけでございますが、只今説明いたしましたように、法律的に一つの枠が、枠と申しますか、基準が決まつてあるわけでありまして、その適正な実行をするために事前にやはり審査会を開くわけであります。それから事後の監査的な職務も相当持つておるわけでございます。ですから、先程申しましたように諮問機関的な性質もあり、それから又事後或いは事前における監査機能をも持つものでありまして、或いは名前等が多少不適当かも知れませんでございますが、そういうような複雑と申しますか、のような組織にいたしたわけでございます。
  182. 西川甚五郎

    ○西川甚五郎君 先程申しました不当な請求の方法とかいう場合には、これは主務大臣において同意をしないという程度で解決せられるのでございますか。
  183. 愛知揆一

    政府委員(愛知揆一君) その点については不当な審査その他をいたしましたような場合には、その審査を経て、例えば理事者が不当と思われるようなことをやりました場合には、一般規定でその理事者の解任その他を求めることができるという規定が主務省に留保してあるわけであります。それに掛かるわけでございます。
  184. 西川甚五郎

    ○西川甚五郎君 もう一つこの附則の第五條の中に「引揚者に対する郵便貯金について」云々とありますが、ちよつとこれに関連して伺いたいのでありまするが、現在この引揚者の郵便貯金についてはどういうようになつておりますか。
  185. 愛知揆一

    政府委員(愛知揆一君) 引揚者の郵便貯金につきましては、今後におきましてもずつと引揚げて來られる方がございますので、終戦後からずつとやつております方式に從いまして、一人千五百円を基準にいたしまして、例えば封鎖制度が撤廃されんとしておるときでございますから、その額だけは直ちに自由預金にするという取扱いになつておるわけでおります。
  186. 西川甚五郎

    ○西川甚五郎君 將來郵便貯金について引揚者のやつはそういうような御方針になつておられますか。
  187. 愛知揆一

    政府委員(愛知揆一君) これは今後におきましても引揚者として特別にこの貯金を優遇することはできないのでありますが、すでに一般郵便貯金に対して行いましたと同様なことは少くとも均霑をして行くということでやつて行くつもりでございます。
  188. 中西功

    中西功君 二点ですが、一つは金融債券が切捨てられた結果、旧勘定に繰入れられる結果、興業銀行の、これは特定の問題ですが、損失というものは結局どのくらい増大したかという点と、それから今まで金融再建整備法で、一應整備されて來まして、大体一應終つたわけでありますが、そもそもこの再建整備をやられた結果、一体効果がどれだけあつたか。又いろいろの面に効果があつたかも知れませんが、一体どんな効果があつたのかという点を簡單でよろしうございますから説明しで貰いたいと思います。
  189. 愛知揆一

    政府委員(愛知揆一君) 只今のお尋ねでございますが、金融債券の移換前に、旧勘定に移換したといたします前、つまり旧法の建前によりました場合に政府が補償しなければならんという数字を現在の制度と比べて申しますと、総計におきまして債券を移換しない旧法の場合におきましては百八十七億六千七百万円になります。それが只今のこの改正法によりますと、つまり新法によりますれば百六十二億、先程申しましたように約二十億余り、二十五億程度政府の補償額は減つたわけであります。それから興業銀行について申しますならば、興業銀行に対しては若し債券整理が、金融機関持ちの債券整理が新勘定にあつたであろうといたしますならば、政府は約五十六億の補償を日本興業銀行に対して拂わなければならなかつたわけでありますが、新法によりまして全部旧勘定に入れることによりまして、政府の補償は零で免れたわけであります。
  190. 中西功

    中西功君 金融再建整備法で、大体銀行勘定でいえば十五億というふうに切つて、今後処理なさるということになりますが、その効果が結局あつたのかなかつたのかということをお聞きしたいのですが、と申しますのは漠然として分らないかも知れんけれども、要するに金融機関を整備して効果があるとすれば、大体銀行の信用が増して、その面からいえば、預金が殖えるとか、或いは貸出能力が正しくなるとかいうようないろいろな点があり得ると思うのですが、実際あつたかどうか。
  191. 愛知揆一

    政府委員(愛知揆一君) この点は結論から申しますれば、非常な改善であつて効果が大いにあつたと考えております。それはなぜかと申しますると、何と申しましても日本の金融機関は、戦時中非常な変轉を遂げておりますので、具体的に申せば、自己資本金というものは非常に少かつた。それが今度戰爭中の戰時補償の打切りその他に伴いまする一切の過去の絆をすつかり清算いたしまして、その代りに債権者等に非常な迷惑を掛けたのでありますが、その過去の清算をいたしまして、そうして非常に無理と思われる程度の増收をここに行うということは、銀行の收支の内容からいえば非常な改善でございます。そうして例えば外資の導入等に関する問題にいたしましても、日本の金融機関の改憲された姿、特に資本額が非常に充実したということについては、外資を貸して契れる國々の信用を取り得る所以でなかろうかと思いますので、それらに対しましては非常な改善ではないかと考えるのであります。尚將來の問題として恐らくこの次の通常國会のときに政府案をも御審議願える段取になると思いますが、金融機関全般を通じての大変革を考えなければならない時期だと思うのでありますが、その金融機関全体に通ずる改変の構想をも段々と纏めつつ、それに合致するように増資等も考えわけであり、或いは又特別銀行解散と申しますか、廃止というようなことも考えておるわけでありまして、將來普通銀行が大いに基礎が堅くなりましてそうして貸出力などについても相当の余裕を持つ、或いは又民主的な運営によりまして独占禁止法的な考え方をも加味いたしまして、資本が多いとうことによつてバラエテイに富む貸出力を持つというようなことも、これによつて可能になるのではないかと考えております。それぞれ具体的に申上げますならば、各行とも過去を清算いたしますためには非常な、率直に言つてここまでやらんでもよいじやないかというような声も随分高かつたのでありますが、それを押切つて過去の膿の出そうなところを憎みなく切捨てるということによつて、先ず将來における飛躍の措置を作り、そうして今回の再建整備によつて増資の完了する時期は恐らく今より一ケ月経つて後のことになると思うのでありますが、そこで新しい措置ができるのではないかと思うのであります。ただ併しながら序ででございまするが、まだ一部の從來の大銀行、それから特殊銀行二つ程のものにつきましてはまだ十分に再建整備の大要は決まつておりませんのでありまして、その以外の銀行についてはすでに増資額等も認可をいたしておりまするし、着々と所期の目的に近ずきつつあると申上げて過言でないと思うのであります。
  192. 中西功

    中西功君 実際は私もつと委しく本当に聞きたいのですけれども止めます。ただ先に言われたことで、私の言いたかつたこと、聞きたかつたことは、確かに銀行内容はよくなつた、いわゆる普通の意味銀行内容は確かに旧債参を非常によく切捨てておる。これは結局簡單にいえば、日本政府が出してやつてつたのでは、これだけの整理はできないと思つておるのです。そういう意味では非常によく整備されておると思うのです。銀行自体とじて基礎は堅実になりつつあると思うのですが、併し全体の経済状態が非常に惡いということ、インフレが進んでおるというようなことによつて、折角こういうふうな整備をしてもそれ自身としては何ら役立たないので、結局は銀行資本といいますか、そうしたものを強くした、したが又途端にこの銀行資本というものは、現在のインフレ的な経済危機的なものに巻込まれて行つて元の木阿弥になるのじやないか、又銀行資本の力は殖える、今後も産業に対する支配はどんどん殖えて行くであろうと思うのです。全体の日本の経済的危機を克服するという面からは非常に苛酷にというか、嚴しくよくやられたに拘わらず効果が少い、結局問題は、だからもうすでにこういう整備をすれば銀行の信用が段々よくなるということでなく、もつと別なところに金融政策としての重要なポイントが移つて行きつつあるじやないかというふうな問題を、いろいろ私質問の中で具体的な数字なんか、聞きたかつたのでありますけれども、時間も経ちますから一應止めます。
  193. 玉屋喜章

    ○玉屋喜章君 銀行局長にお伺いしたいのです。先程の勧業債券の話でありますが、これは田舎の余り大きくない銀行でありますが、勧業債券が旧勘定になつたので、資本金も全部なくなり、第二封鎖も全部なくなる、こういう状態になつて非常に困つておる、これを持つたときには大藏省からも日本銀行からも実は非常に褒められた、然るに今こうなつて見て非常に困つております。而も相当償還したものもある状態で、これを返さなければならんが、何か大藏省か日本銀行をしてこれを特に援助する具体的方法はないものか、その点をお聞きしたい。
  194. 愛知揆一

    政府委員(愛知揆一君) その点は只今お話銀行等も私具体的に想像がつきます。非常にお氣の毒な場合がありますので、その当時におきましては何らかの措置を考えたいと思つたのでありますが、そういうことをいたしますと、又それからそれへと限りなくなつて参りますような関係もありまして、遺憾ながら何ともなし得なかつたわけであります。その事情を御了察願いたいと思います。
  195. 松嶋喜作

    ○松嶋喜作君 先程銀行局長の御説明で、興業銀行は五十六億の債券を旧勘定に入れて、これを切捨てたが故に非常にさつぱりして、銀行としては非常によくなつた、こういう御説明でありますが、興業銀行に関する限りのバランス・シートの上の見解は正にその通りでありますと思いますけれども、私は結局は非常にそれと反対であつて、興業銀行には非常にお氣の毒な結果になるじやないか、成る程自分の発行したところの債券は拂わないでいい、旧勘定に行つてしまつたということはさつぱりしていいのでありますけれども、五十六億の興業債券を持つたところの農業会とか地方銀行とか、相当戦時中に強制的に持たされたような事情もありますので、これは爾後興業債券を持つという意思が全然なくなつてしもう、普通銀行であれば経営の堅実と努力によつて預金が又回轉して集まることもありましようけれども、一旦信用を失つたところの興業債券というものの信用を回復するということは容易なことでないと私は思うのですが、この興業債券を若し順調に回轉しない場合においては、興業銀行というものはあれだけの人材を抱き、多くの支店を持つて開店休業になりはしないかという心配があるのですが、この点については政府において深甚の考慮を拂つて頂きたいと思うのですが、銀行局長の見解と私の見解とは將來に対して反対であります。これはどうでございましようか。
  196. 愛知揆一

    政府委員(愛知揆一君) 実は私率直に申しまして、私の今の説明がそういうふうにおとりになられるとすると全く心外であります。私は当時あらゆる点から申しまして、今お話通り考えまして、及ばずながら興業銀行のためというよりは、將來の日本の金融のために、或いは金融政策の信任の確保というためにできるだけ闘いをいたしたつもりであります。それからその努力が功を奏さずして、こうなつたことについては、何とも言いようのない感懐を持つのであります。ただ先程申参しましたのは、恐らくこの点だけをおとりになつたのだろうと思いますが、政府の補償額が減つたということを申しましたこと、それから一般的には、この金融債参の移換問題とは別に、今回の最終処理、殊に最近におきましては最終処理を何遍もやり直すのは、一般的に例えば制限会社に対する貸付であるとか、閉鎖機関に対する貸付であるとかいうようなことを十分にゆとりをとつて、リザーヴを置いて切捨てて行く、そうして新たなる発足をすることに、さつぱりした氣持になつたということを申上げたのでありまして、この興業債参に関する限りにおいては、私は松嶋さんの御意見と全く同様に考えておるのでありまして、この点はどうぞ誤解を解いて頂きたいと思います。
  197. 田口政五郎

    ○田口政五郎君 引続いてお伺いしたいと思います。金融機関の再建整備に関しましては、いろいろとお骨折の結果、今日漸く銀行の信用も回復して参りまして非常に結構と存じますが、この再建整備の施行によりまして、銀行の持つております。金融機関が持つておりまする資産の評價につきましてはいろいろと指示されて、或いは時價であるとか、或いは帳簿價格であるとか、いろいろな評價の指示がありまするが、一番私心配をいたしまするのは、金融機関が持つておる公債に関する点であります。先般銀行の代表行の方の話によりますれば、今問題になつておりまするいわゆる軍事公債、それは時價が六十五、六円だということを伺つたのであります。政府指示で、これは一九十八円で買入れたものであれば、勿論それは帳簿價格九十八円で評價して置いて、資産に見て、法律上はそれでよいかも知れませんが、実際これが六十五、六円に時價に評價を仕直すということになれば、ここにお示しのこの一般の市中金融機関だけでも――五百億の軍事公債を持つておる、これに二百億近いそこに評價損が出て來る、こういうようなことが將來起る虞れはないか。只今問題になつておりまするこの公債の問題も、國民一般は、公債などというものは金融機関がその他の團体が持つておるもので、個人は余り直接この公債を所持していないのが現在の我が國の実情でありますから、國民一般公債というものに対する余り深い関心を持つておらないように思われます。それで例えば軍事公債の問題がこういうふうに一つの政治問題となつて現われて参りましても、一般國民は直接自分に関係がないため余り関心を持つておらん。これが仮に一つの政治問題となつて軍事公債の利拂延期とか或いは利拂停止とかいうようなことが政治問題となりまして世間一般に、或いは選挙でもあるような場合こういう政治問題が取上げられまして、金融機関がこれだけの軍事公債を持つておる、各銀行には一般國民が貯金をしておるというようなこと、國内の到るところにそういう眞相が発表せられて議論の中心となつた場合には、凡そ銀行に対する一般國民の信用が非常に落ちはしないかというような点を心配いたします。そうすれば、実際の時價が今日六十五円或いは六円と言われておるものが、日本銀行へ持つて行けば成る程それは九十八円の借金のかたに取つて貰えるか、或いはそれで金が借りられるか、そういう実際上の手続は別といたしまして、六十五、六円が相場というのが、これが実際の時價でる、價値であると、こう思うのであります。若しそういうような場合に、日本銀行がこれを九十八円で引受ける、その日本銀行損失は何らかの方法で國庫がこれを引受ける、ということになりまするのか、或いは銀行の持つておりまする、金融機関の持つておりまする実際の公債が時價に評價された場合には、又二百億以上の損失が金融機関に現われて参るのか、事実上通りにすれば現在ではそういうふうになるのであります。そういう場合には又再びこの金融機関を助ける整備の方法をお考えになるのですか、その点を予めお伺いいたして置きたいと思います。
  198. 愛知揆一

    政府委員(愛知揆一君) これは率直に申しまして、誠にむずかしい問題でございます。併し今回の軍事公債の問題とは又別に考えましても、現在すでに公債の時價、これは公認された時價とは言えますまいけれども、実際の市場債務というものがこれは私共も十分承知いたしておるところであります。併し一方におきまして、只今お話通り、この金融機関所有公債につきましては、金繰りの必要その他があります場合に日本銀行へ持つて行きますれば、九十八円を基準にした担保價格を持つております。わけでありますし、又方々一公債を賣却しても、資金の援助を求めなければならんというときには、やはり九十八円というものを基礎にするわけでございますので、取敢えず現状においては私はさしたる不便はないと思うのでありまして、理論的には非常に大きな問題がそれに包藏されておるということを私は認めざるを得ないと思います。
  199. 田口政五郎

    ○田口政五郎君 仰せのごとくに、現在では日本銀行が九十八円に買取つて果れるなり、或いは融通をして呉れるということになつておりますから、手続上はそれでよいかも知れません。若しそうだとすれば、この六十四、五円の公債が全部日本銀行に何かの方法で集まつて日本銀行の手持ちになると私は考えるのですが、その点は如何にお考えになつておるか。
  200. 愛知揆一

    政府委員(愛知揆一君) その点につきましては、さようには現在考えておりませんのでありまして、飽くまでも日本銀行の立場は、各金融機関の資金の手許金繰りということを総合的に見まして、そうしてどうしてもこれを担保にして金を融通しなければならんかどうかということを考えるのでありまして、公債の闇価價格が下つたからといつて、各金融機関がこれを全部日本銀行へ持込む、それを日本銀行が無制限に買うというようなことがあつてはならんのではなかろうかと考えるのでございます。
  201. 田口政五郎

    ○田口政五郎君 重ねてお伺いいたしますが、あつてはならんということは事実あるかも知れないということとどういう関係がありますか。
  202. 愛知揆一

    政府委員(愛知揆一君) この点はなかなかむずかしくもあり、相当長時間に亘つてお話をしなければならんと思うのでありますが、只今申しましたように、日本銀行は、その他の問題につきましてもやはり金融機関の手許を総合的に援助をする、又それを通して市中の金融政策を行なつて参るのでございますから、その範囲内において現在のところ支障がないものは運行できる。將來の問題は又別途理論的な問題はあるというふうに御理解願いたいと思います。
  203. 田口政五郎

    ○田口政五郎君 只今の御説明伺つておりますと、あつてはならないとおつしやる政府当局の御意見は、どうも銀行、金融界、金融機関に対しまして、一種の政府の威圧といいますか、自然に放任せずに政府が非常に干渉されるというか、そういう氣持が窺われるのであります。六十五、六円しか時價のないものが九十八円に日本銀行が処理して呉れるというのに、どうしてそれが日本銀行に集まらずに済むか、その点私は非常に今局長の御説明でも納得がまだ行かないのであります。もう少し納得の行くように御説明を願います。
  204. 愛知揆一

    政府委員(愛知揆一君) これは幾ら御説明をいたしても御納得は得にくいかと私は率直に考えるのでありますが、ただ現在金融機関の持つております公債につきましては、最終償還のときまで持つて頂けるものだというふうに政府考えておるわけでありまして、その途中におきまして、それを持つております金融機関の資金繰りが非常な窮屈な場合には、九十八円で以て金が借りられるということでございますから、これは威圧でも何でもございませんと考えわけであります。
  205. 田口政五郎

    ○田口政五郎君 それでは只今の金融機関の手持の状況は、そういう公債日本銀行に持つてつて金融を付けて貰わなくてもいいというような潤沢な手許の状態でございますか。最近の状態は……。
  206. 愛知揆一

    政府委員(愛知揆一君) 現在の状態はこれはいろいろございますので、実は一口に申せば金融機関の手許は決して潤沢ではございません。一面に資金の需要が厖大なときでございますので、とてもそれに、ミートする程の潤沢な資金は持つておりません。併しながら各銀行、々々の立場を仔細に私共眺めておりますと、日本銀行資金の融通をして呉れれば、金を貸そうというような銀行がそう多くあるわけではございません。むしろ資金は一方において非常に枯渇しておりますけれども、同時に金融機関の手持が潤沢であつても貸し得るような対象が現在乏しいのではなかろうか。これは又別個の大きな問題でございますけれども、最近の事例を見ますと、各銀行々々によつて非常に立場も違い、又運営の方法も違いますけれども、相当の数の銀行日本銀行から金を借りてまで融資をいたしたいというような銀行は余りないように見受けられます。
  207. 田口政五郎

    ○田口政五郎君 現在日本銀行におきまして、普通の金融機関に公債を担保にして融通しておる額はどれくらいになつておりますか。
  208. 愛知揆一

    政府委員(愛知揆一君) 只今正確な数字は持つておりませんが、五百億余りが日銀からの借入金になつております。その大部分公債担保であろうかと存じます。
  209. 田口政五郎

    ○田口政五郎君 私の心配いたしまするのは折角今日までいろいろと御苦心をなすつて金融機関の整備が、再建整備が出來上つて金融機関にも迷惑を掛け、一般預金者にも非常な迷惑を掛けて、漸くここに金融機関の再建整備が成らんとし、一般國民銀行に対する信頼をぽつぽつながらまあ回復して参りまして、今後大いに預金の増大も図り得る、人心も段々と安定の方向に参つておるという現在におきまして、尚銀行の中には、如何政府の提出とはいえ、法律の擬制ありと雖も、実際の現在の時價にすべての財産を評價して、いよいよ銀行の資産というものは確実であるということを國民に知らしめなければならないときに、こういう金融機関の持つておる公債、甚だ不安定な形である公債財産の大部分を占めておるというようなことが、一般に若し分りまするならば、非常に金融機関に対する一般國民の信用を失墜する。これは政府がどんなに法律を沢山お作りになつて、どんなに人を沢山、役人をお殖やしになつて、全國津々浦浦まで太鼓を叩いて預金の吸收に努められましても、これはなかなか今日の日本國民一般の知識の程度では、やはり銀行というものに自然信用ができなければ、預金の増強というようなことは期することはできないと思うのであります。貯金は自然に増加しておる傾向であると政府当局は常に楽観的の報告をされますが、結構には違いありませんが、私はそのくらいの現在のような増加の情勢では、一方において財政資金並びに金融資金が巨額に放出せられる今日、とても現在のような預金増加率では、インフレ抑圧などには私余り効果がない、もつともつと預金が蓄積されなければ、インフレはますます進行する虞がある、こういうふうに私は固く信じておりますがために、この金融機関の資産状況については特に私は心配いたしますために、こういう質問をするのであります。決してこういう内容の貧弱なことを宣傳するわけでも何でもありませんが、その点は当局におかれましても、もつと何か徹底した金融機関の資産の整理をおやりになるお考はないか。殊に私が考えまするのに、或る政党からの御意見のように、この際例えば軍事公債のみならず……、軍事公債は特にそうでありまするが、戦争に負けた際でありまするから、こういう際に何か一般の影響を救済する方法を講じまして、この際に元本を全然整理する。銀行の仲間、そういう擬制的によつて價値を保たしめるような、公債によつて資産を膨らしめるよりも、本当にきれいさつぱりとした徹底した私は公債に対する処置をお講じになつてはどうか。それによりまする他への影響につきましては、この度の再建整備に対する補償のような何か別途の方法をお講じになつて、姑息な手段でなしに、徹底したこういう公債の御処理をなすつたらどうか。これが私は実際に國民の信用を博する所以であると信じておるのでありますが、その点は如何でございましよう
  210. 愛知揆一

    政府委員(愛知揆一君) 金融機関の再建整備に関連してだけ、この公債問題の処理ということは、遺憾ながら只今のところ考えておりません。それからもう一つ加えて申上げたいと思いますのは、この軍公問題、軍事公債とその他の同様の條件の公債との間に何か区別を設けてお考えであるといたしますると、その点はちよつと私共の考えと違うのでありまして、今回の軍事公債は、大臣なり他の政府委員から、しばしば申上げておると思うのでありますが、これによつては時價は下らないという建前を理論的に採つておるのでありまして、それに関する限り他の公債一般の問題としての御議論でありまするならば、これは御議論として非常に研究の余地のある御議論と拜聽いたしまするが、軍事公債とそれらの公債との間に区別をしての御議論であるといたしまするならば、私共もいささか違つた考え方を持つておるわけでございます。
  211. 田口政五郎

    ○田口政五郎君 よく分りました。私は別に軍事公債の利拂延期の問題が起つたから、特に軍事公債一般公債と送別をして考えるという考え方はいたしておりません。ただ理論上は今局長のおつしやる通りでありまするが、好んで両公債の区別を考えたいのではありませんが、事実は如何ともすることができないのでありますが、今日やはり事実が区別を付けて、相場の上に区別が現われて來ておるのであります。私は当然そういうものに区別を付けたいというようなことは考えたくもないのでありまするが、今日現実の問題といたしましては、相場の上にそういうことが現われておるということを聞きまして、先程申上げましたような実は心配をいたして、お伺いをいたしたようなわけであります。別に答弁を求めません。
  212. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 他に御質問がなければ討論に入りたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  213. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 御異議ないと認めます。只今より討論に入ります。御意見のおありの方はお述べを願いたいと思います。
  214. 田口政五郎

    ○田口政五郎君 私は先程來お伺いいたしました。折角現在破滅に陷つておつたような金融機関がここに再建整備されまして、今日非常に私は結構なことであると喜んでおりまするが、希くば先程申上げましたように、ただ理論上の整理でなしに、実際に即した整理を金融機関の上に今後お探りになるように、特に私はその点を希望いたしまして、本案に賛成いたします。
  215. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 他に御発言がないようでありますが、直ちに採決に入りたいと思います。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  216. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 御異議ないと認めます。金融機関再建整備法の一部を改正する法律案議題といたします。本案を可とせられる方の御挙手を願います。    〔挙手者多数〕
  217. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 多数と認めます。よつて本案は多数を以て可決せられました。次に、物資割当に関する手数料等の徴收に関する法律案本案議題といたしまする御質問のある方はどうぞ。
  218. 山田佐一

    山田佐一君 只今割当手数料が百分の一でありまするが、これは実情に照しまして、予算より非常な多額な歳入があると思うのであります。大体今回いたしましましたのは、政府割当の実費ができればいいのだろうと思うのでありますから、その辺がカバーができたら百分の一という率を下げて頂きたい。只今向うの方の繊維の方の寄合いで、奥理事長が來ておりまして、これにも確たることは申上げられんと言うておりましたが、綿糸一梱の割当手数料というものは、一梱に対して一円二三十銭だと思うといろ曖昧な返事であつたのでありまするが、これが百分の一といたしますると、約一万九千円の一梱の原價改訂になるのでございます、そういたしますと、百九十円というような非常な高い割当手数料になると思うのでありまするから、その辺を十分当局は御審査を願いたいと思います。資料を請求いたしましたけれども御提出がありませんから、その辺の概略について当局答弁を承つて見て、原案に賛成いたしたいと思います。当局の御答弁を願います。
  219. 村上一

    政府委員村上一君) 山田委員の御質問にお答えを申上げます。先ず政府は二十億円程度の歳入を平年度に見込む、こういうふうに御説明申上げておるのでございますが、もつと相当多額のものが実際入るんじやなかろうか、こういう御意見のように拝承いたしました。この点につきましては或る程度抽象的には部分的にすでに御説明いたしました点もございますが、更にこの機会に繰返して申上げますというと、先ず御質問内容といたしまして、一つは取引高税の当初の收入見込額二百七十億円というものを、一つの何と申しますか、標準にいたしますと、それに比較して余りにも二十億というのは少な過ぎるじやなかろうか。こういうような節も現われておつたかと思うのであります。更に國民所得の中に含まれます工業生産高というような見地から見ても、二十億という数字はもつと多く出るのじやなかろうか、かような御趣旨に拜聽いたしましたので、その点につきましてお答え申上げますと指定生産資材の割当手数量は、御承知のごとく原材料の價格に課税するものでございまして、取引高税がいわば生産品の價格を対象といたしますのと、その点において相違しております。又その範囲につきましても、取引高税は物資以外の分、即ちサービスというような事業面も課税の対象となつております。こういう面からいいましても、相当徴收高に開きが出て來るという点が、一つ考えられる点でございます。次に指定生産資材割当手数料は、或る物資の原料として需要します者に対しまして課税いたすのでありまして、取引高税のごとく流通の過程におきまして、例えば小賣、卸賣というような段階でそれぞれ課税されるというふうな仕組に考えておりません。從いまして、例えば石炭なら石炭というものをとつて参りますと、石炭として課税されます場合はただ一回でございます。同じ石炭につきまして二回以上課税されるというようなことは、途中に販賣業者がたとい介在いたします場合におきましても、本法では予期しておりませんし、又法制上取れる建前になつておりません。それが第二点であります。第三点は、これは実際の割当を受けました数量、その金額の百分の一というふうに考えておりますので、成る年度の生産額というものとは多少実際の割当が時期的にズレるというふうな点から、むしろ現在のごとく生産が逐次上昇過程にあります場合には、例えば二十三年度の生産額というものを標準に考えますと、やや低く目に出て來るという点が考えられると思うのでございます。それから第四点といたしましては、これが相当大きな要素になると存じますが、今回予定しております手数料は需要者から徴收するのでありますが、國が需要者である場合、例えば鉄道会計、通信会計その他各事業会計がございますが、そういつたものが需要します場合には、これは徴收いたしません。両特別調達廳も除外いたす予定にしております。特別調達廳では御承知のように進駐軍関係物資を相当包括的に取扱つております。その関係物資の対象にもよりますが、相当廣範囲のものが本法の対象から除外される、かようなことになります。以上四点ばかり抽象的に申上げましたが、かような点からいたしまして、必ずしもそう多額の收益を挙げるわけに参らないのであります。只今申上げました官廳用としてどれくらいのものが除かれるかという見当でございますが、大体指定生産資材の総額の約四分の一というものは、達観いたしまして官廳用或いは特別調達廳用として除外されるわけであります。そういつた関係で、歳入といたしましては二十億が殆んど、何と申しますか精一ぱいというところでございます。所管廳でございまする安定本部当局、それから商工省当局におきましても、実のところはどうも二十億取れるか取れないか実は心配だというふうなことを率直に申しております。かような状況でございますので、二十億以上に相当巨額のものが徴收できるということは、只今私共としましては到底望み得ないのではなかろうかと、かように考えております。  それから昨年でございましたか、御質問に出ておりましたので、この際併せてお答えいたしたいと存じますが、一%が從來の統制國体その他の取つておりましたものよりも負担が大きくなりはしないか、こういう御質問がございました。この点取調べましたが、大体は從來は通じまして二%、乃至、高いものでございますと五%を徴收しております。中には或いは例外的に一%以下のものもあつたかと存じますが、全体を達観しますれば從來二%乃至五%取つておるのでありますから、今回の一%の負担というものはそれよりも以上の負担になることはない、かように考えておる次第であります。
  220. 山田佐一

    山田佐一君 只今の御説明はいわゆる抽象的でありまして、御当局としては大体基礎を現わして貰うということが私は本当だと思います。二十億の数字は何々に対して幾ら、何々に対して幾らというのが本当であると思うのでありますが、只今の御説明は取引高税の二百七十億というものに対して、こういうものと、こういうものと、こういうものが減るのだからこうだ、こういうお話でありましたが、そのうちの官職が四分の一としたならば、まだ外に……半分といたしましても、二分の一としても百何十億になるのであります。私は今ここで争う意思はありませんけれども、実際においては両方共が予算でありまして、先の見通しであります。もう少し懇切なる資料を出して協賛を求めるようにして頂きたいと思うのでありまするが、今日は当局も見えない、その当局の人からも取れない、ということでありまするから、私は譲りまして原案に賛成いたしまするが、お互いにやつて見なきや分らんことであります。御当局もやつてみて、果してそれが余分が出て参りましたならば下げて頂きたい。私は繊維だけ見ましても二十億やそこらのものは必らずあると思います。百分の一なんというようなことは法外な手数料であります。大体百分の二がある。三があるというのは、本当に物を割当てて配給したものじやないか知らんと思うのであります。割当限度を越すものにそんな百分の一もしているわけがないと私は思うのでありまするから、その辺はよく調査して頂いて、成るべく業者の負担を軽くせしめて、いわゆる生産コストが高くなるのですから、その辺は当局において十分に愼重に考慮して頂きたいということを希望して置きます。
  221. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) では、御質問がなければこれより討論に入りたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  222. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 御異議ないと認めます。それでは只今より討論に入ります。御意見のおありの方はお述べを願います。
  223. 山田佐一

    山田佐一君 原案の割当手数料でありまするが、大体において賛成はいたしますが、今までの統制團体において配給いたしました配給の手数料からみまして、余りにも百分の一というのは高率であると思うのであります。事業團体法によりまして解散をせられましたものが、今回は政府みずからの手で割当をするのだと思うのであります。これに対して今までの事業團体でやつてつたのより非常な高率になるということは当局においても大いに考慮して頂かなければならん。低物價政策、而して又インフレ阻止の上から行きましても、成るべく生産コストの安くなるように努力せなけりやならないのに、事業團体法によつてそれが業者の負担が重くなるようであつてはならんと思うのでありますから、その辺を十分考慮の上に置いて実施されることを希望いたしまして、本案に賛成をいたすものであります。
  224. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) では御発言ないようでありますから、直ちに採決に入ります。物資割当に関する手数料等の徴收に関する法律案議題といたします。本案を可とせられる方の御挙手を願います。    〔挙手者多数〕
  225. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 多数と認めます。よつて本案は多数を以て可決せられました。それでは七時半から開会いたします。暫く休息いたします。    午後六時七分休憩    ―――――・―――――    午後九時十九分開会
  226. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 休憩前に引続き、委員会を開会いたします。先ず所得税法の一部を改正する等の法律案取引高税法案、並びに印紙をもつてする歳入金納付に関する法律案、三案を議題といたしまして御質疑をお願いいたします。会期切迫の際でありますから質問は成るべく簡單に要領よく、政府も簡單にどうぞ要領よく、議員の質問に應ずる御答弁を願います。
  227. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 取引高税の法案について大藏大臣にお伺いいたしますが、この前本会議の私の質問に答えられて、大藏大臣は、これが恐らく所得税全部ガラス箱の中に入るので、これを恐れて、中小企業の人、或いはその他全般に及ぶでありましようが、この税の対象となる人は料理店だけでなくして、すべて裏口営業に轉じて脱税に専念せられるであろう、これを防ぐ方法はどうお考えになるかと質問したのに対して、すべて印紙によつてやるのであるから脱税は防止し得る自信がある、こういう工合におつしやつたのでありますが、こういうような裏口営業、特に大きな営業になればなる程そういうことが盛んに行われるであろうということを想像するのでありますが、そういうものもこの取締によつて果して完全に食止める自信を持つておいでになるかどうか、その点をお伺いいたしたいと思います。
  228. 北村徳太郎

    ○國務大臣(北村徳太郎君) 税の対象になるべきものを完全に一つも漏さずに捕捉するということは、実際問題として可なりむつかしい問題だと思うのです。けれども、我々はその点については、やはり一つの租税倫理を確立するというような観点から考えましても、できるだけそうあらねばならんということを常に考えております。それで取引高税につきましては、いろいろ御異論等も今まで衆議院においても伺つたのでありますが、それは各段階に掛けたということが面倒であるし、むしろ一回のみにした方がどうであろうかという御意見もあつたのであります。併し私の見るところでは、各段階に軽度の税を掛けるということは、このことによつて運用よろしきを得れば、一つのものの流通の秩序を立てるということの効果をもたらすのじやないかというような期待を持つておるわけでありまして、かような面からまあこの税が実施されますれば、十分注意をいたしまして各段階のうち一つでも漏れると全体が直ぐ捕捉できるというところに多少この税の妙味があるのじやないかという考えを持つております。從つて又正確な取引の量というものがこれで把握できるといたしますれば、このことがかねがね皆様のおつしやるところの所得者が、どうも勤労所得者だけが百%取られるけれども、その他の人々の大口が逸脱しておるというような御意見をよく伺うのでありますが、かような面にも相等期待を掛けておりまして、どうかそういうように十分努力したいと思います。無論かようなことから行過ぎ等があつてはいけませず、その他いろいろな注意すべき点はあると思いますが、それは勿論でございます。このことの運用によつてできるだけ正しく正確に所得を捕捉する、正確に取引の量というものを見るということになるのであろう、そうあらしめるように努力したい、かように考えておる次第であります。
  229. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 そういたしますと、大臣の考え方は非常に希望的な氣持を持つて、この税がうまく行くようにお考えになつておるようでありますが、これこそ段々と最終末端の取引に行く程、いわゆる零細になればなる程きびしくなりまして、いわゆる大口の方が恐らく私は脱税の対象として取上げられて來なければならないと思う、そうして正直者が結局は馬鹿を見るような、闇の問題と同じようなことが必らず税の上で起きて來る、私共が取引高税を、中間的な段階を反対するのもここに大きな理由があるわけでありますが、そういつたことによつて、この前の御答弁と今日の御答弁と殆んど同じでありますが、結局具体的なもう少し突込んだ対策はお立てになつていない、こういう工合に承知してよろしうございますか。
  230. 北村徳太郎

    ○國務大臣(北村徳太郎君) これは今日まで日本でやつたことのない例でありまして、これから経験するわけでございますが、外の國でやつてる例等も十分に檢討いたしております。それから又これは例えば末端において初めて非常に多くなるというような御言明でございますけれども、そういう末端であるか或いは最初のところであるか、どこにしても段階の中の一つが脱落すると、全体が直ぐ分るというところに、先程申上げたこの税の妙味がある、存外捕捉ができるというように私共は考えておるのでありまして、かような意味において、これは物の流れ方の秩序というものが立つというような効果が期待できる。又そうしないと、ただもう税を取ればいいといつた考え方ではいけないのでありまして、このことがやはり所得税等と相俟つて全体の適正化を図るというような意味でないと、今回の新らしい税の創設の意義を失う、可なりのものを失う、かように思います。さように努力をする、こういう覚悟を持つておる次第であります。
  231. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 取引高税について一つお伺いしたいのですが、この取引高税は二十三年度の予算の編成の建前と矛盾するのではないかと思うのですが、それは二十三年度予算はいわゆる均衡予算ということを目標にしておるということは政府も夙に言つておることであります。併し段々説明を聞きますと、取引高秘を設置した目的が、インフレ下においての税としては、直接税よりも間接税の方が税が沢山取れ、そうしてより公平である、こういうふうに説明されておつて、インフレを予定したところの、インフレを承認いたすところの税なんであります。取引高税というものは。そうしますと、この予算案と均衡財政というもの、均衡予算というものを全く矛盾しておると思うのです。インフレを予定しておるが、インフレ下であるから、又今後インフレになるから、そういう下では、こういう間接税でなければ税は十分に捕捉できないし、妥当でないという建前になつております。その点は予算の建前では矛盾しておると思うが、この点については、大藏大臣はどういうようにお考えでしようか。
  232. 北村徳太郎

    ○國務大臣(北村徳太郎君) 必ずしもさようには考えておりませんのでありまして、ただどなたかの御質問の中に、大体直接税本位で行くべきじやないかというような御議論もございまして、これは私は極くノーマルの状態のときには当然であると思いますが、今のように不安定の経済の状態のときには、直接税一本ではなかなか税の捕捉が困難であるから、從つて間接税と同時にやはり起り得るの止むを得ないということを申上げたことがある、それだけでございまして、インフレを承認するとか承認せんとかいうことではなくして現実の面においてインフレがあるということは蔽うべからざる事実でございますが、これを取引高税によつて阻止できると無論思いませんが、併し私共は今尚やはりアブノーマルの状態であるということは認めなければなりませんので、かような状態のときに所得税の一本の税体系では不完全であるという意味から、所得を捕捉するには所得全体の適正化を図るということで、直接税、間接税と相俟つて行くということが現下の一つの施策である、かように考えてるということを曾て申上げたことがあるのであります。さように考えておるのであります。
  233. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 その点單に取引高税だけではないのでありますが、今回の税制改革を貫く精神、これは今度の税制改革は結局インフレを容認し、インフレを予見しておる、又今度の予算の建前の均衡予算と言いながら、本当の意味での均衡予算、それからインフレをこれで抑止して行く或いは收束して行くという建前の予算でなければならないに拘わらず、そうでなければ均衡予算とか実質的な健全財政とかいえないわけなんであります。そうしますと、今度の税制改革全体の方針が今度の財政の建前と全く矛盾しておる。本当にインフレを阻止し或いは健全財政を貫いて行くという建前になつていない。これは從つて今度の税制改革というものは画期的なものだと思うのですが、それはむしろインフレを容認し促進ずるという建前になつておると思います。大藏大臣が現在まあインフレがあるから止むを得ないと言いますけれども、それでは今の取引高税というものの設定の根本の趣旨が、インフレを予想して又予定して設定しておりますから、その点はどうも矛盾しておるように思うのですが、そうでなくて、政府は今度の均衡予算、健全財政というものを本当に実質的にこれを貫いて行くという方針であるのか、その点をお伺いしたいのです。
  234. 北村徳太郎

    ○國務大臣(北村徳太郎君) 均衡財政を貫かなければならないということは、これは至上課題であると考えておりますが、その点には間違いないのであります。從いまして國家需要の非常に膨脹しておるときに、これをどうしてバランスさせるかということにおいて、私共は税收というものが基本的なものになる、從つてこれは國民所得との関係においてでございますけれども、今まである所得税一本の大体の体系とこれに相應じて、所得の或いは課税の適正化が図れるような税というものをやはり創設して、これで歳出入の均衡を保つという方向へ持つて行かなければならんのじやないか、それから殊にこのことが結果としてどうなるか分りませんけれども、或いは先程申上げました取引高税等の運用がよろしきを得ますれば、かねて社会党の方々その他の方々が、闇利得をそのままにしておいては惡いじやないか、何とかしてこれを捕捉せよと言われることにも役立つであろう。この点に期待しておるということは先程申上げた通りであります。
  235. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 只今社会党が主張しておるような闇利得、インフレ利得を捕えるのに役立つというお話ですが、これは我々はその言葉は承服できない。それはこの税制を実施してみればよく分ると思うのですが、恐らく大藏大臣の言われるように、これが闇利得、インフレ利得を本当に捕捉し得る程度にこの税が実施されれば、恐らく中小業者その他の営業所得に、或いは事業所得に、そういうものが完全に捕捉されるということになつて、そうしますと、勤労所得税におけるがごとく弾力性がなくなつて來てそういう場合には勤労所得税における勤労控除というものがありますが、そういう控除をしなければやり切れなくなつて來る。実際問題としてこれは死物狂いになつて、必死になつて脱税を図り、その捕捉を困難ならしめて行く、そういうふうに我々は反対考えておる。その点大藏大臣は成る程理論的には、今の所得は営業所得、業主所得に偏在しておるのですから、そういう意味では一應取引高税を掛ければ、本当に捕捉できればそういう闇利得の捕捉に役立ち得る筈ですが、実際においては私は逆ではないか、そういう点を心配しておるのです。我々の主張するごとき闇利得、インフレ利得を本当に捕捉するには今の税務機構では絶対駄目である、もう税務機構は殆んど破綻に瀕しておるのですが、インフレ下においては如何にそういう所得から捕捉しようと思つてもできない、結局最後には本当にこれを捕捉するには、通貨措置を講じなければ私は本当に正確にこれは捕捉できない、そういうふうに考えておるのであります。どうも大藏大臣は余りにその点は楽観されておるんではないか。現実に捕捉し得れば得る程それは非常な多額な税になる、そういうふうに我々は考えられるのですがこの点大蔵大臣は少し楽観し過ぎておるのではないかと思うのですが、御意見如何でしよう。
  236. 北村徳太郎

    ○國務大臣(北村徳太郎君) まあ結局見解の相違ということになると思うのですが、闇利得を徹底的に捕捉するには、成る程通貨措置をやればこれは完全に行く。併しそのことから因つて來たる害と利と併せ考えますと、私はやはり不徹底の嫌いはあつても、この程度の税制を以て運用よろしきを得れば、今までよりも逸脱しておつたものを捕捉する効果があるという点をまあ確信を持つておるのであります。それから税務機構のことにも言及せられたのでありますが、これは度々申上げましたように、非常に量質共にもう少し、増強しなければなりませんので、その方は着々やつております。具体的にはいろいろまあやりつつありますが、その点も御了承願いたいと思うのであります。
  237. 西川甚五郎

    ○西川甚五郎君 先般來この取引税の問題についてよく外國の例を採られておるのでありますが、アメリカの例を採りますと……。
  238. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 西川君、よく聞えないから、立つてつて下さい。
  239. 西川甚五郎

    ○西川甚五郎君 先ず第一にマージンの問題でありますが、これをアメリカにおいて取引高税をやつておるということでありますが、アメリカのマージンというものは最近二割五分から五割五分、大体平均三七%くらいになつておるそうであります。又英國に至つても殆んど同じような率のマージンを取つておるのであります。これは小賣の場合でありますが……。又これと同様にコールセールにおきましてももつとマージンが相当なものがありまして、これを日本の統制品のマル公のものと対照いたしますると、日本におきましては小賣の方において大体一五%から最高が二五%であります。そうして日本の小賣を分解いたしますと、経費が……、いや、ロスとかデッド・ストック、或いは万引の計数を取りますと、四%から五%というような数字が出るのでございます。そういたしますと、これに対して経費がそのスペースの関係で、或いは場所の関係で、一割五分から一割三分というような関係になつております。これだけ実際のマージンが違つておるのでありまするから、この取引高税をアメリカでやつておるから日本でもいいということは、果していえるであろうかということが言えるのであります。その点につきまして、この場合にマージンが少くて、そこにロスのパーセンテージが出て参りまして、結局本当のマージンが少いために、却つてここに價格違反とか或いは横流しとかいうようなものが出て來るのでないかというような懸念があるのでございますが、この点について外國の例をお採りになつたお考え方から見ての、日本における取引高秘に対するお考え方を御説明願いたいと思うのであります。
  240. 北村徳太郎

    ○國務大臣(北村徳太郎君) これはまあ西川さんが却つて御専門かも知れませんが、アメリカの或る州でやつておるというのと、ドイツ、フランスでやつておるのと、これは無論國情が違いますし、多少の参考にする程度でありまして、日本でも経験のないことでありますから、これはまあ実施とてみてどういうふうな結果が來るか分らない、これは提案の際にも申上げたのでありますけれども、私は何と言いますか、これを運用よろしきを得ればそういう効果も期待できるということを申上げたのでありますが、税そのものから申しますと、必ずしも好もしい税とは思つておりません。そのことは率直に申上げた通りであります。ただ運用よろしきを得れば先程申上げましたような効果も期待できないことはない、こういう程度でございます。それからマージンの違い方等は、これは現に必ずそうであると思うのであります。このことは例えばよく例に引かれますイギリスでは、國民所得の四割が租税であるとか、アメリカでは、二十何%が税である、從つて日本のパーセンテージが低いというような考え方は、これは実は内容を無視した話であつて、現に比較的安い消費財が手に入れられて生活ができる國柄と、それからどうしても必要なる消費財の相当高いものの占める割合が多い家計の生活等から考えまして、それと同様でありまして、これは單に参考にするという程度でありまして、どこでこうやつておるから日本でもというふうな考え方は持つておりませんつもりであります。
  241. 西川甚五郎

    ○西川甚五郎君 今のはそのままにいたしまして、その次にこの取引高税に掛かります第二條の四十種類でありまするが、大体見ましてその半数は案は捕捉ができないものであろうと思います。例えばこの中で旅館を先ず例に取つて見ますと、旅館の公定價格というものは現在九十円になつております。それが修学旅行においても二百五十円、普通ですと五百円、高きは千円の旅館料を取るのであります。こういう場合には税務当局としては果して取引高税が取れるかという問題でありまするが、この点について御回答を願いたいと思います。
  242. 平田敬一郎

    政府委員(平田敬一郎君) 只今のお尋ねは、旅館業等公衆が出入りするというよりも、まあ特定の客から一定の料金を受取るような場合におきまして、なかなか励行できないのじやないのか、まあこういうお尋ねでございます。その点は確かになかなか難点だろうと私共考えておりまするが、一方におきましては、印紙を使うということを相当徹底いたしまするということと、それから又印紙だけに依存いたしませんで、他方におきましては旅館の実際の收入、それを帳簿その他によりまして、必要なる場合におきましては更正決定という方法によりまして個々の取引を捕捉するということの外に、或る期間を通じましての全体の賣上金額を捕捉する、かような方法もできることにいたしておるわけであります。そういう点になりますると、所得税の課税と両々相俣ちまして、できるだけ適正を期しまするならば、私は相当行き得るのじやないかと、かように考えておる次第であります。
  243. 西川甚五郎

    ○西川甚五郎君 実は先程申しました捕捉しにくい営業は、私から見まして大体十七、八ありますが、先日主税局長からおつしやいましたこの税務官吏の数について、果してこれがうまく捉えられるかという問題でありますが……。
  244. 平田敬一郎

    政府委員(平田敬一郎君) もう一度捕捉して申上げますが、現在所得税におきましても、年々收入といいますか、賣上げといいますか、それを権衡調査、実額調査、その他いろいろな方法を用いまして取調べております。これがなかなか徹底を欠きまして、所得の調査がうまく行つてないということは、御指摘を受ける程のこともないのでございますが、この点につきましては、先程からも大臣からお話がありましたように、漸次税務官吏も……昨年あたり採用いたしました、或いは一昨年あたり採用いたしました税務官吏も漸次慣れて來るということに相成りまするし、数から申しましても、全國におきましては現在五万人程の税務官吏がおりまするが、そのうち相当な経験を持つた者がやはり一万人は十分いるという統計もございますので、この点は相当惡質な脱税者と申しますか、如何にも明らかに漏れているというような方面につきましては、実額調査等を励行いたしますれば私は相当調査の徹底を期し得るのじやないか。まあ所得税の課税と両々相俟ちまして遺憾なきを期したい、かように考えている次第であります。
  245. 西川甚五郎

    ○西川甚五郎君 印紙をお貼りになるその印紙の御準備はできているのですか。
  246. 平田敬一郎

    政府委員(平田敬一郎君) 目下印紙の型だけを作成いたしまして、法案が通過次第印刷局で輪轉機を廻せば、九月の実施には大体間に合うようにできる見通しであります。
  247. 中西功

    中西功君 以前私はたしか農業所得税について政府が必要経費をどういうふうに見積つているが、その項目についてはつきり出して貰うように申上げて置いたのでありますが、やや詳細に農業所得の経費について項目を少し発表して貰いたい。
  248. 平田敬一郎

    政府委員(平田敬一郎君) 農業所得の計算法につきましては、実は衆議院委員会などにおいても多数の委員からいろいろ御質問もございましたし、それから私共のところで前々から研究しておりましたような事項も合せまて、委員の専門家と協同いたしまして、実は今年度かような方針で行こうという案を衆議院委員会に提出して置いた次第でございます。で、この案を後でお手許に差上げても結構だと思いますが、從來解釈上少しはつきりしなかつた点を相当細かく書きまして、はつきりさせるということで、衆議院の方の専門家の方とも御懇談をいたしまして、円満に協定できたものをお配りしておるような次第でございます。
  249. 中西功

    中西功君 今これを見ている暇はないのですが、私もこれについては資料の提出を要求しておつたのです。今になつて出されても直ぐは見られませんが、ただ併しこういうものが入つておるかどうかということを聞きますから答えて頂きたい。たしか今までは主として脂料とか、飼料とか、苗代とか、労力費とか、農機具であるとかいうようなものがその中に入つておりますが、その自家生産の肥料、これが入つているかどうか、それから農機具、農業施設などの償却費が入つているかどうか、農業上使用いたしまするところの家屋の修理費、そうしたものが入つているかどうか、自家消費の果実とか蔬菜とか、そういうものが收入面から削除されているかどうか、まだ実は外にあるのでありますが、差当りそれだけをお聞きいたします。
  250. 平田敬一郎

    政府委員(平田敬一郎君) 自家生産の肥料と申しますと、その肥料を作るためにいろいろな原材を購入する場合にその購入費は当然差引きます。自家労力費というものは特別に差引きません。これは米を生産するための自家労力を賃金と同様に見ております。それから農機具の償却につきましては、從來はつきりしなかつた点をはつきりさせまして、耐用命数がその年以内のものは購入費をそのまま差引き、二年を超えるような長期の農機具でございますれば、耐用命数に應じまして償却をします。それから修繕費等につきましては、農林畜産に専用いたしまする專ら家屋等の償却費は当然見ることにいたしております。
  251. 中西功

    中西功君 自家消費の果実や蔬菜類など、そうしたものを收入から削除しているのですか。
  252. 平田敬一郎

    政府委員(平田敬一郎君) 只今の点につきましては、非常に零細なものにつきましては強いて見ていないというくらいに解釈して参つております。
  253. 中西功

    中西功君 していないのですね。それから最初の自家生産肥料を算定していないということになるのですが、ここに非常な矛盾があると思う。なぜならば自給肥料というようなものの増産、いわば増産ですが、そうしたものは非常に奨励される必要がある。事実奨励されていると思うのですが、併しそういうものに対しては勿論非常に大きな労力が要るわけです。それが必要経費に算入なさらないということになると、そういうものは作らずに一應配給された肥料だけでやつているという人の方が却つて得をするというようなことになるのです。結局は政府自身が自給肥料の奨励をしているということ自身をも十分に無視しているというようなことになると思うのです。こういう点でこれを算入しないことを政府当局としては矛盾を感じないかどうか、その点をお聞きしたい。
  254. 平田敬一郎

    政府委員(平田敬一郎君) これは勿論所得税の場合には、所得得の性質上、自給肥料のように自分が労力を投下したその部分は、当然作物を作るために投下した労力と変りがない、その外において差別を設けるのは却つて所得の課税上公正を欠く、かように考えております。
  255. 中西功

    中西功君 それはそういうふうに画一的にやれば、実際眞劍になつて自給肥料を拵えてやろうとする氣力もなくなるわけですね。結局一方において農業関係で幾ら増産を奨励しても、税関係でそういう点で何ら効果がなかつたとしたら、農業の増産がその面から抑えられるということは非常に明瞭だと思います。この点について私は大藏大臣に御答弁をお願いしたいと思います。
  256. 北村徳太郎

    ○國務大臣(北村徳太郎君) これは課税の問題ですが、やはり自家肥料を作つて増産に努力すれば効果が挙がるわけでありますが、又配給肥料のようなものに代償を拂うことは、違つた意味においてコストが非常に安くなりますから、課税の対象になるということが増産意欲を減退させるというようなことにならんと、さように考えております。
  257. 中西功

    中西功君 これを必要経費として引かなければ反面に課税の対象になるわけですね。だからどうも課税の対象にならんというのはおかしい、課税政等の方から自給肥料増産の意欲をこの面で減殺することが私はあると思いますが、大藏大臣はどう思いますか。
  258. 北村徳太郎

    ○國務大臣(北村徳太郎君) ないと思います。
  259. 平田敬一郎

    政府委員(平田敬一郎君) 補足的に申しますが、衆議院で問題になりましたのは、自給肥料のために使つた藁、それを農家の副資材として藁を一遍見て置きながら、自給肥料のために使つた藁を経費として見ないというようなことをやつておるところが間々あるが、これはどうかというお尋がありました。そういうものにつきましては二重に見ることはありません。かようなことをはつきり申上げて置きます。
  260. 中西功

    中西功君 一應それは見解の相違ですから、それは止めます。それで実際根本的に本当に考えれば、又現在農民の民主的な團体によつていろいろ研究がなされ、みずから申請書を作つておるというようなところでは非常に詳細な研究がなされております。そういうところでは大藏省がとつておるやり方よりももつと科学的に自家労力費をはつきり計算しております。でありますから、そういう点、或いは自家保有米というものを收入からこれは当然削除しなければならんということになつておりますが、自家労力費の方は別にしまして、自家保有米を收入から削除しておるかどうか。
  261. 平田敬一郎

    政府委員(平田敬一郎君) これも削除すべきでないと考えております。当然所得と見るべきだと思います。それは勿論耕作いたしまして得た收獲物でありますから收入になる、かように考えております。
  262. 中西功

    中西功君 それから供出奨励金に対する免税の問題はどうですか。
  263. 平田敬一郎

    政府委員(平田敬一郎君) 報奨金には二つありまして、一つは早期供出とそれから供出完遂の奨励金、後者につきましては、これは米を作りまして、政府に一定の條件の下に賣つて、代價の一部として奨励的に貰うということは、これは当然收入になるべきだと考えております。ただ早期供出奨励になると経費が余計掛かる、或いは收入が普通より少い、そういう点を加味されて支出されておるようでございますから、この点につきましては收獲物が少く経費が余計掛かるという点を考慮いたしまして、昨年度の額でございますれば、凡そ五〇%程度を普通の場合に比較いたしまして斟酌課税しております。
  264. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) ちよつと速記を止めて。    〔速記中止
  265. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 速記を始めて下さい。
  266. 中西功

    中西功君 現在地方におきまして、この漁業権税の課税標準とかいうことは、地方の裁量に委されておるわけであります。ただ標準を出します場合に、事実上はその水揚高というのですが、即ち漁獲高です、その水揚高を課税標準としておるという結果、これは事実上そういう所得に掛けるということになりまして、國税の所得税と事実上ダブつておるということが問題なんであります。その場合、主税局の解答では、課税標準ということは一應地方の裁量に委せてあるから、この点についてやることは形式的には違法ではないという御見解のようでありますが、問題は形式的には違法ではないといたしましても、事実上内容が水揚高による課税であつて、そうしてそれがこの被課税者の非常な大きな負担になつておる、そういう意味において所得税と全く二重課税的に、事実上取られておる、こういうふうな点が非常に明瞭であります。場合に、一應監督の任におられち大藏当局としてどういう御見解を持たれるか。或いは又地方に対してどういうふうな指示をなされるか。私の希望としては、そういう点に対しては、指定の機関を通じて更に監督して貰いたいと思うのであります。尚序でに申しますれば、この問題については同じことが、以前の大村内務大臣、石橋大藏大臣によつて、こういうふうな課税をするということは拒否されたのであります。それは二重課税であるというので拒否されたのであります。それは最近見逃されておるというような状態なんでありまして、從つて問題が起つておるのでありますが、この点について主税局にいろいろ話してありますので、大藏当局見解と地方財政委員会の御見解を聞かして頂きたいと思います。
  267. 平田敬一郎

    政府委員(平田敬一郎君) 大藏省の見解は、今お話になりました通り、前によく申上げた通りでございまして、これは地方財政委員会事務局長からお答えします。
  268. 荻田保

    政府委員(荻田保君) 只今の御質問にお答えいたします。今までの漁業権税は全然形式的には課税基準がございませんから、何を用いても形式的には適法であります。実際問題としまして、地方に漁業自体に対する課税がありませんので、從來は水揚高等を用いておつたものは止むを得ないと思いますが、今回新たに事業税ができましで、水産業に対しまして事業税を課税いたしますので、今後は漁業権税といたしましては、いわゆる物件税的なやり方をするように指導したいと思います。
  269. 中西功

    中西功君 二重課税の問題は各所にあると思うのですが、一人親方といわれますような大工さん、左官屋さんという人が、いわゆる所得税を拂うと共に営業税を拂うというようなことは沢山あるのであります。この前も私はこの点について質問をしたことがありますが、一般的にこの一人親方と中小工業者の極めて手工業的な人に対する課税が多い。大体どういうふうに政府とし考えておるか。又はいろいろな課税が掛かり得る可能性があるのでありますが、そういう点を詳しい、ややこしいことは申しませんが、政府当局として、そういう特殊な部分に対してどういう課税をしようとするお考えであるか、結論だけを聞かして頂きたい。
  270. 平田敬一郎

    政府委員(平田敬一郎君) 仕事の内容が請負に属すと認められる部分につきましては、営業として課税する。單純に雇われまして、賃金給料だけを取り、それによつて働く場合におきましては、普通の勤労所得として課税する、かように考えております。
  271. 中西功

    中西功君 私は國税反則取締法についてこの前もちよつと討議しまして、そのとき質疑を保留とておつたので、大藏大臣に聞きたいのでありますが、申告税を認めた、又そういう制度にしたという改革が一方になされておりながら、実際においては更正決定という形で天下り的な決定がなされているわけであります。これには政府はいろいろ制限を附けておりますが、昨年の経験から見ましても、これが天下り的な更正決定であつたということは間違いないところであります。それに対しましては、昨年來いろいろ税の問題について研究がなされました。それに應えて今度国税反則取締法という実に恐ろしい法律ができ上つたわけであります。この前の政府当局答弁では、民主團体或いは民主納税国体の好意ある意見は十分容れる建前であるという御意向のようでありますが、併し國税反則取締法というようなものが拡大された意味は、我々から見ると、明らかに昨年の経験から見て、どうしても天下り決定で行く以外がない、即ちそれを貫徹することができないので、こういう法案ができた、結局このことによつて國民大衆、納税する人々が非常に自主的に又民主的に正当な課税をしようとする活動なりを、徹底的に蹂躙するというようなことは明瞭だと思うのです。実際にこの法案があつて、而も他面において民主的な納税團体なり或いは民主的な團体意見を十分に採入れ、協力してやつて行くという政府答弁は両立するかどうか、その点を大藏大臣に伺いたい。
  272. 北村徳太郎

    ○國務大臣(北村徳太郎君) 今のお尋ねは、民主的な納税方法と処罰の関係が矛盾しないかという御質問でありますが、これは矛盾いたしませんと存じております。それから申告制でありながら天下りをやるのではないかというお話でありますが、申告の制度がまだ熟していないためもございましようし、申告によるものにして、実地調査の結果その申告と違うものが相当出たというようなものは、更正決定しなければならないことに相成りますので、かようなことをなからしめるように、漸次税務官吏の訓練もいたしますが、一般納税者に対しても、言葉は惡いかも知れませんが、啓蒙運動的なことをしまして、漸次申告制に習熟して頂くように我々は努力することにいたしたいと思います。それから凡そ正しい租税のために、これを完全に納めさせるために努力するという関係のものにつきましては、私共はこれは感謝しなければならんのでありますから、現に租税完納運動等が行われておる、かような極めて健全且つ民主的な團体に対しては敬意を拂つておるのでありますけれども、中では必ずしもそうでないものがないとはいえない、場合によつては租税の完納に却つて逆な効果を來すようなことを集團的に行おうとするような傾向さえも、場所によつてはないとはいえない、そういうようなことがあつては大変である、それは飽くまでもそういうものは相当取締りをするのは当然である、かような考えから今回処罰規定を御審議願つておる次第であります。
  273. 中西功

    中西功君 それで政府の課税標準なり必要経費の計算が、そういうものが本当に農民や中小工業者の人が納得が行くようにできておれば私共は問題ない。併し最初に申しましたように、この問題については昨年非常な問題があつた、だから衆議院においても問題になつて、いろいろ討議されたと思うのです。これは申すまでもなく昨年なんかは一反歩何千円というふうに掛けられて来たのです。これは事案なのでするそういうふうなことをして置いて、政府自身がそういうやり方をして置いて、そうしてその必要経費の計算なり收益の計算なり心づいていろいろ異議を申込む、或いは又それをお互いが意見を交換しながら、一つ團体として協議するというふうなことは、これは当然に起つて来るのです。現実にさつき私が第一に質問いたしましたように、農業経営の収益においてまだ農民と政府との間に本当の納得がないのです。農民はもつと廣汎なものを正しく計算して呉れということを要求しておるのです。政府は何か歩み寄りによつているので、一つも科学的でないのです。そういうことをしておりながら、そういう農民の組合、特に農民組合でありますが、そういうものがその必要経費の問題、自分自身で正しい課税をするために自主的な活動をすることは当然だと思う。ところが、今の大藏大臣の考え方はそうじやなくて、完納運動というふうなものならいいというが、そうじやないのです。完納じやなくて、実際の問題は税額の公正な課税をするという運動なんです。そういうものまでもこれは完納に妨げがあるからというわけなのです。実際においてはそれは完納に妨げがあるかも知れませんが、そういう意味じやなく、政府が天下り的に決定したものをそれを全部納めなくちやならんというのは民主主義もへつたくれもない。正しいことをやるべきである。そういうふうな必要経費の問題をどう入れるか、こう入れるかということが非常に現実的な問題なのです。それについてとやかく言う者はこれで取締るということになると、これは民主主義もへつたくれもないので、私は一番初めに、七面倒臭いがそういうことをお聞きしたのです。決してこういう問題で農民側との間に十分な納得が行つておりません。だから当然いざこざが起つて來る。その場合に民生的に解決するためにはどうしてもああいうふうな決定的なやり方じやなくて、もつと民主團体、特に農民組合などの要求を廣汎に聴く、そうしてそれを中心にしてやつて行くというふうなことがなければならん、そういう点についてもう一度お聞きしたい。
  274. 北村徳太郎

    ○國務大臣(北村徳太郎君) 我々は納税者の権利を尊重することは勿論でありまして、正しい御主張に対してはどこまでも耳を傾ける、これは当然であります。併しながらいろいろな間答の中には、どうも全体として考えるというと、租税の滑らかな進行を結果としては害するような行動をとる者さえあるのでありまして、さようなものは当然取締らなければならんということを考えているわけであります。或いは納税関係においても團体交渉を許すかどうかというような意味の御質問もございましたが、今のところ團体交渉的なことはやりません。ただ健全なる團体で我々が参考として承わるべきものは十分承わるけれども、團体交渉的なことはやるべきでない、かように考えております。
  275. 石川準吉

    ○石川準吉君 もう時間がありませんから、議事進行を願います。
  276. 中西功

    中西功君 私はいいです。しようがないから、本当は沢山あるのだけれども……。
  277. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 速記を止めて。ちよつと懇談会に入ります。    午後十時十七分懇談会に移る    ―――――・―――――    午後十時十九分懇談会を終る
  278. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) それでは速記を始めて下さい。懇談会を終了いたします。これより委員会に移ります。
  279. 田口政五郎

    ○田口政五郎君 委員長質問をしたい、簡單でありますから……。
  280. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 簡單に願います。
  281. 田口政五郎

    ○田口政五郎君 事務当局の方にお伺いしたいのですが、今度の修正予算の説明のところで所得税の増加が見積つてあるのでありますが、百八十億、その説明に高額所得税率引上が二十億幾ら、課税充実百六十億と、こう説明がしてあるのですが、この課税充実ということはどういう意味か、これについてお伺いしたいのですが……。
  282. 平田敬一郎

    政府委員(平田敬一郎君) 今のお尋ねは、衆議院で修正になりました予算、それに基きまして政府が修正予算を出した部分でございますが、この課税の充実による増というのは、所得税で百六十億程見込んであります。これは衆議院でいろいろな角度から所得税を見積り検討された結果、まだもう少し努力すれば、なかんずく闇所得その他の高額所得の捕捉について努力すれば、まあこの程度徴収し得るのではないかという見解が大多数でございまして、政府といたしましても極力一つ勉強いたしまして、でき得る限り努めたいと、かようなことに相成りまして、結局百六十億の所得税の歳入見込増をいたしまして、これによりまして財源を捻り出して、他の修正財源に充てたいと、かような意味合のことに拝承いたしております。
  283. 田口政五郎

    ○田口政五郎君 それに関連いたしまして課税充実というのは、税務署の方で馬力を掛けて取つて見ようと、そういう意味に解釈していいのですか。
  284. 平田敬一郎

    政府委員(平田敬一郎君) 從來課税漏れになつたと称されておるもの、或いはその他いろいろ徴税能率を挙げまして、できる限り年度内におきまして所得税の徴収をそれだけ増そうということでありまして、今度の税法におきましてもその程度の増収は期し得るのではないか、かような見解によつて見積つたということに相成つておるのであります。
  285. 田口政五郎

    ○田口政五郎君 もう一点、その方面に対する説明はどういう言葉で御説明されたのですか。課税充実ということは……。どうも私共素人にはこの説明だけじやピンと來ないのですが、どういう言葉で説明されたのですか。搾れば搾り取ることができるという、言葉を換えていえば、そういうふうに解釈してもよろしうございますか。苛斂誅求というような意味にこれを解釈してもよろしうございますか。
  286. 平田敬一郎

    政府委員(平田敬一郎君) そういう趣旨でございませんで、恐らく課税から漏れているものを適正に課税するとそれだけ数字が出て來る……。
  287. 田口政五郎

    ○田口政五郎君 それでは初めから、この修正予算を作られる前、原案のときにはそれが分らなかつたのですか、元の原案のときには……。二百億というような大きな金額ですが、元の原案をお出しになる、あの原案を作られたときには、これは分らなかつたのですか。
  288. 平田敬一郎

    政府委員(平田敬一郎君) 各般の見地から更に検討を加え、その程度の歳入は勉強すれば出て來るのじやないか、かような意味におきまして計上されておるものと御了承願いたいと思います。
  289. 田口政五郎

    ○田口政五郎君 それでは最後にお尋ねしますが、いま一段努力されたら十五億や二十億まだ課税充実の見込があるのじやないか、そのお見込は如何がでございましようか。
  290. 平田敬一郎

    政府委員(平田敬一郎君) そこへ來ますと、もともと歳入見積りは極力的確を期しておりまするが、完全な正確性を期するということは、これはなかなかむつかしい問題でございますが、私共といたしましては極力精密を期したつもりでございまするが、いろいろ諸般の見地から検討されました結果、かような修正が加えられたものと解釈しております。これ以上出るか出ないかということにつきましては、私といたしましては如何とも申上げかねるのでございまして、これがまあ最高限度ではなかろうかということで決まつたのではなかろうかと思つております。
  291. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 他に御質問がございませんければ、三案の討論に入りたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  292. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 御異議ないと認めます。それでは只今より討論に入ります。御意見のおありの方はお述べを願います。別に御発言もないようでありますから、直ちに採決に入ります。所得税法の一部を改正する等の法律案取引高税法案、印紙をもつてする歳入金納付に関する法律案、この三案を一括して議題といたします。三案を可とせられる方の御挙手を願います。    〔挙手者多数〕
  293. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 多数と認めます。よつてこの三案は多数を以て可決せられました。  尚只今までに可決せられました法案につきまして、委員長が本会議におきまする口頭報告内容は例によつてお委せを願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  294. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 御異議ないと認めます。報告書に可とせられた方は順次御署名をお願いいたします。    〔多数意見者署名
  295. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 次に昭和二十三年六月以降の政府職員俸給等に関する法律案と、復興金融金庫法の一部を改正する法律案、両案を議題といたします。どちらでもよろしうございますから御質問を願います。復興金融金庫法案につきましてはすでに大体御質疑は終了しておるのではないかと思いますが、御質問のある方はお願いいたします。
  296. 松嶋喜作

    ○松嶋喜作君 復興金融に関しましてはたびたび御質問しましたが、今日は大藏大臣がお見えにかつておりますから、丁度いい機会ですから、大藏大臣に特に関係あることをお伺いいたします。復興金融金庫は、金融に関係の深い方も又浅い一般の者も非常に危惧の念を抱いております。すでに九百億を出して、更に四百五十億を増加しようという厖大な政府の出資になるのであります。これが一つにはインフレの因ともなり、又一つには非常な偏頗な金融になつて、中小工業等には余り廻つていない、こういうような点で非常な不満を持つのでありますが、金融当局においても非常な御苦心をなさつておるようであります。併しながら、この復金の非常な欠陥というものは責任の所在が明らかでない、この復金のやり方についての責任の所在が非常にはつきりしていないということは、二十何人もの偉い委員が並んでおる、そうしてその最後の決というものは委員会において決める、こういうことであります。恐らく大藏大臣、安本長官、商工大臣等はこの復金の大事な委員会にいつも出席しておられないのではないか、こう思うのであります。で、それは出席されないのは、止むを得ざる非常な多忙の状態におられますので事実上そういう委員会に出られないのではないか。併しながら表面上の責任は重要な委員として坐つておられる。そうしてこの重要な大きな融資の採否がこの委員会において決定する。併しながら出ておられないのじやないか。私はこの点を非常に心配いたしまするが、第一この委員会なるものでどこまでもやつて行かれるおつもりか、この点を一つ大藏大臣にお伺いいたします。
  297. 北村徳太郎

    ○國務大臣(北村徳太郎君) 只今の御質問にお答えいたしたいと思います。非常に厖大な金額が偏つて出ておるというような御意見でありますが、これは日本の工場生産の機構が殆んど破壊されまして、これが回復を要するわけであります。これが回復は普通の金融機関ではできませんので、復金本來の目的が一般金融機関でなし得ないことで、而も日本の経済復興のために必要な資金を供給するという点でありまして、日本の生産手段が如何に多く破壊されたかということが、復興の現在の投資額が非常に多いことと一致するわけであります。従いまして普通の金融機関では到底できないことで、併しそれをやらなければ復興ができないということが本來の目的でございますから、中小商工業の面に向う資金が少い、こうおつしやる点は、復金の元來の発生の原因から申しまして止むを得ないのであります。併し中小企業部を設けまして、その方面にも相当努力をいたしております。  それから第二点の現在の委員会をそのまま存置するかどうか。これは委員会が実は復興の運営の一つの大事な機関でございまして、こういう民主的な方法によつてやるというようなことを建前といたしておりますので、委員会は常時開いて重要な問題を全部結了をいたしております。それから私が必ず出るかというようなお尋ねでありますが、出たり出なんだりいたしております。止むを得ないときには出ておりません。但し電氣、石炭等の融資につきましては、別途復金委員会以外に、この炭鉱融資或いは電気関係の融資等の特殊な機関がございまして、これで十分に資料を集めて検討いたしまして、それでも諮り、それからこの委員会でも諮るというような二段構えでやつておりますので、この点は大体今までのところ過ちがなかつたように思うのであります。  それから復興融資につきましては、復興インフレ等のことも出ますのであります。これは一部赤字金融を余儀なくされたのでありますけれども、今回の價格調整等によりまして、この赤字は一時回復して回収せられることになると思います。将来は赤字金融等はできるだけ避けなければならん。ただ生産復興はこれはインフレというよりも、日本の非常に生産を渇望しておるときに、生産への努力に向つて行くという、金融機関が一緒に働くということは重要でございますから、インフレにならない方法において十分の力を入れなければならん。最近は事前の審査に余り頼り過ぎて、事後の監督が不十分であるという非難もございますので、事後の監督についても最近は非常に力を入れております。大藏省といたしましても、復金の融資先の監査の場合に立会いまして、相当に有能の経理、監査等に経験を持つ者を一緒にやりまして、段々検査をやつております。さような方向に向つてつておりますので、これらの事後監査と相俟つて、現在の復興金融委員会というものを一層適切なものに段々なるように、そういう方向に進めで行きたい。この委員会を止めるかどうかというお尋ねでありますが、それは止める考えはございません。大体こういう方向で行きたいと考えております。
  298. 松嶋喜作

    ○松嶋喜作君 委員会を止めない。存続すると、こういう御答弁を得ましたのですが、その委員会には一番大事な復興金融金庫の理事長及び副理事長が入つていない。これは非常な私は……大体この金融をやるにしましても、先ず以てその金融機関の長であり、副長であり、或いはそこの金融機関のボードである者が、全責任を負うてこそ初めて力があるにも拘わらず、この大事な委員会に入つていないということは非常に奇異な感に打たれるのであります。結局段々先般からお尋ねして、この融資の責任と、若し大きな過ちのあつたるところの融資の責任は誰に帰するかということを段々伺つて行くと、結局行政上の大藏大臣に帰すると、こういう御答弁でありました。大藏大臣はそれに御同意かどうか知れませんけれども、果して政府当局のおつしやるように、大藏大臣が行政上の責任だけを持つということであれば、大臣がお辞めになればそれはお終いである。行政上の責任なんということは非常に軽い。私は大衆の金を集めて、そうしてそれを事業に打ち込んで、それが誤りであるというときに、行政上の責任などという形式一片の責任でそれが済むものならば、非常に今後復金の運営というものは無責任になる。こういう意味におきまして、是非とも私は大藏省とか、安本とか、そういう行政の最高峰におらるる方は飽くまでも責任をその当事者に取らせるような機構をおとりになり、そういう行政上の最高の機関はこれを嚴重に監督するという行き方がいいのではないかと思います。  それからもう一つ、復金の融資については、先般段々お伺いしますると、金は還つていない。貸した金は、借りた方ではこれを貰つたつもりでおるということを聞くのであります。それは果して事実かどうかは存じませんけれども、政府のやるところの價格政策というものは非常に時のズレがある、偏頗である、こういう関係上どうしても重点な産業を遂行して行く上には赤字が出る。この赤字を復興金融金庫から借りておる。値を上げると言いながら値を上げないから、又値上げといつても、上げてもその間に非常に時のギャップがある、こういうことで我々の責任ではない、これは政府の責任であるから、この赤字を借りて……借りるのは当然であるというような考えであります。從いまして、又政府が賃金を、價格を上げると言つて、そのようにならなかつたり、又物が上つても予想した程の額が上らないということになれば、政府の與えたる印象、或いは大体において公約したようなことが履行されない、その結果は我々の責任ではない、從つてこれはもう返すことはせんでもよいのだというのでありまして、復興金融金庫というけれども金融という本來の精神でなくて、これはむしろ政府の財政的援助であるとか、或いは政府の價格補償であるとかいつたような意味の金を復金から融資されておる。これ誠に便利でありますけれども、諸外國の例を見ましても、政府或いは政治的に融資をする金融機関というものは必ず没落しております。必ず倒れております。この意味におきまして、戰時中における戰時金融金庫のごとく又今日の復興金融金庫のごときものは、近き將來において倒産するであろうということに私は多分の懸念を持つておるのであります。そこで、ここで政府は止むを得ざる赤字金融をするようなことは、金融というような意味から切離して、別途復金は健全なる金融をやる部門と、財政の補正をやる、財政の援けをさすというような部門については別途御考慮なさらんと、この復興金融金庫というものは、結局この政治的、財政的の負担に耐えかねて倒れるであろう。そのときに非常に健全な分子と不健全な分子と混同して、財界或いは又経済界は非常なシヨックを受けるであろうということを心配します。この意味におきまして、大藏大臣は將來どこまでも財政或いは政府の補給的の金融、或いはその他借りた金を以て健全なる再生産に向う、そういう純金融とをお分けになる御意思はありませんかどうか。その点をお伺いいたします。
  299. 北村徳太郎

    ○國務大臣(北村徳太郎君) お尋ねの第一点は、私は復興金融金庫というものを普通の金融理論に当嵌める正常な機関であるかないかということが第一点、これは私さようなものとは思つておりません。これは臨時の施設でありますし、日本の経済復興のために普通銀行ではやれないことで、而も復興のために必要なものを出すという建前としてできた機関でございますから、一般金融機関のごとく、自己安全のために安全率を先ず考えるということを避けなければならない必要がある。又普通金融機関のごとく自己利潤を求めるというような、利潤などというものを一應放棄しなければならんという場合もある。これは國の復興のために必要である。利子は高いけれども尚やらなければならんというような投資をするためにできた機関でございますから、一般の普通金融理論を行使するというわけには行かない。併しながら債務がある以上は返さなくてもよいという債務があるべき筈はございません。從つて復金においても只今回収については努力いたしております。回轉率が早い遅いというようなことを考えましたのでは普通金融機関と同一になります。さようなことはございませんけれども、これは回収については、苟くも國民の油汗で仕事をして増資に増資を重ねて來たものでありまして、國の復興のために必要なああいうリスクの高い仕事をやつておる場合に回収に努力することは当然であります。これについては衆議院、参議院の財政及び金融委員会等にしばしばいろいろ有力な御意見が出まして、私共も回收の方面に可なり努力いたしております。これは後程或いは必要がございますならば数字を以て申上げてもよろしいのでございますが、回収率は漸次よくなりつつあるという点は、一つ御了承願いたいと思います。  それから第二点は、復興金融金庫の大事な理事長、副理事長が復興金融委員会の委員じやないということはどういうわけだと、こういうような御質問であつたと思うのであります、これは私共の見解では、政府の建前、現在のこの復興金融金庫法の理論から申しますと、復興金融委員会一つの貸出等について意思決定する機関であるが、同時に現在執行機関に対しては監督の地位にある。従つて混肴を避けるために、復金の理事長、副理事長はオブザーバーとして出るけれども、むしろ復興金融委員会の監督下にあるものである、かような関係において成立いたしております。從つて委員にはいたしておりません。併しオブザーバーとして出て、いろいろ必要な発言を求めておる、かような見解に立つております。  それから大藏大臣が行政上の責任だけだというようなお話がございましたけれども、少くとも私共はかような問題については、そういう責任がどこにあつたかというよりも、良心的に最善を盡して、その本来の目的に適うようにしなければならんということを切に考えておるだけでありまして、從つてかような点において行政的な欠陥がございますなら、これは皆さんにお諮りしたしまして改正するに吝かでない、かような考えを持つておる次第であります。  それから赤字金融のことでございますが、これはもうどうしても赤字金融は一應これはインフレの原因になる、私共が生産のために出すものは、時間のズレはありましても、必ずしもこれはインフレになるとは思いませんけれども、赤字金融については嚴にこれは戒めなければならん。併し今の段階においては、價格政策等において俄かに價格を吊上げて、そうして直ぐ持つて行くわけに行きませんから、その場合においてこれを金融させる。併しこれは價格の修正があつたときに決済をさせて、そうして整理を付けて行くというような考え方をいたしておるのでありまして、さような考え方から復金の金は返えさんでもいいのだという印象を與えることは絶対避けたいと思います。その他これについてはいろいろ問題がございますので、できるだけ厳正に監督し、又融資先に対する監督を先程申上げますように極力いたして行きたい。かように考えておるのであります。
  300. 松嶋喜作

    ○松嶋喜作君 もう一言お伺いしたいのですが……。
  301. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 簡單に願います。
  302. 松嶋喜作

    ○松嶋喜作君 極く簡單に……今のお話で理事長、副理事長は委員に入れない。それは先ず執行の機関には大藏省その他の方で監督をするというお話でありまするが、それ以下の部長とがそういう人が委員会幹事会に入つているんですな、これは理事長、副理事長が入らんで、その下の者が入つておるのは徹底を欠いておるのじやないか、かように思いますから、どちらでもいいが、私はむしろ委員の中に理事長、副理事長をお入れになつて、そうして行かれた方がいいじやないか、若し入れられないで、ただ執行のみに置いておくということなら、その理事長、副理事長以下の者をやはりお入れにならんという方炉徹底するのじやないかと思います。  それからもう一つ、無論復興金融金庫は特殊の金融をやるのである。普通の金融とは違う。これは初めのスタートがさようでありましたが、併しながら一朝事あつたときに非常な政府の援助を受けるという政府の特別な金融政策或いは企業政策に協力して無理な金融を仰いでおるというのと尋常に借りているというのとは、若し一朝事があつたときは非常に混同して、その取扱が不公平なことになりはしないか、こういう懸念がありますので、私は財政金融と本当の金融とをお分けになるようなお考えにしたらいいじやないか、こういうことであります。前の点だけでよろしうございます。
  303. 北村徳太郎

    ○國務大臣(北村徳太郎君) 前の点についてお答え申上げます。これは現在の組織では、理事長、副理事長を復興委員会の委員に加えるということは、監査役会、取締役会といつたようなものと混同が起りますので、そういうようなことは今のところはせん方がよい。理事長、副理事長の部下あたりが出ておるじやないか。それは官吏として事務を処理するため出ております。それから復興金融金庫の下に幹事会というものがございまして、これは事務的の書類を調査いたしまして、それでこれは各省が、この融資は出すが、果してこれだけの資材があるかどうかというようなことを、農林省、商工省或いは安本等で檢討しなければなりませんので、さような事務的の処理をいたしますために幹事会がございます。幹事会には主として部長とかそういう連中が出て事務的処理をしております。現在かようになつております。けれども、お話もございますから、尚十分考えまして、是正すべき点があれば取入れて、大いに是正いたしたいと考えております。
  304. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 板谷運輸委員長より発言を求められておりますからお許しいたします。
  305. 板谷順助

    ○委員外議員(板谷順助君) 時間も切迫しておりますから極めて簡単に伺います。私は復興金融金庫が創設された時分に、その衝に当りましていろいろ論議したのであります。只今大臣お話通り、復金の目的は、一般の金融機関から融通の受けられない困難な事情の場合に貸せる、これが目的である。これは大臣の只今お話通りであります。そこでその衝に当る者、或いは委員会に列席する者は清廉潔白の者でなければいけない。恐らくは日本の復興のために困難な事業に充てるということになればいろいろの弊害が起る、弊害が起るからいわゆる人選については十分注意せねばならんということをその際忠告をしておいたのであります。ところが、最近におけるところの委員会が、或いは大臣その他委員でありながら出席をなさらんというようなことで、取決めについて乱雑な点があるように私は考えるのでありますが、これは別問題といたしましても、この度石炭を二倍以上に値上げをなすつた、この点につきまして実は安本長官は運搬費が二〇%掛かるというような意味において、これが値上率の理由になつておる。ところが実際國鉄が負担するのは、三倍半の値上といたしまして五%である。そこで最近炭鉱における状況を調べてみまするというと、中小炭鉱は現在の價格であつても相当の利益を挙げておる、これは確かであります。ところが、大炭鉱が赤字が続いておるというのは、どういうところに原因があるかといえば、即ち企業者側が他力本願で、現に復興金融金庫から殆んど三百億の金を借りておるというような関係において、企業者がみずから進んで創意工夫をして産業の合理化を図るというような意思に欠けておる、これは事実であります。一面又労働者が拘束八時間といつても、実際においては四、五時間より働いておらんというような関係から減産に減産を続けまして、その結果赤字が出る、赤字が出る関係において、或いは又復金が貸金を回収するような目的においてこの二倍以上の値上げをするというその根拠、その根拠がどこにあるか一つ説明を願いたい。
  306. 北村徳太郎

    ○國務大臣(北村徳太郎君) 炭價決定の根拠につきましては、甚だ残念ですけれども今私資料を持ちませんので、これは安本或いは物價廳からお答え申上げることと思いますので、暫く留保いたしたいと思います。
  307. 板谷順助

    ○委員外議員(板谷順助君) 私はとにかく石炭その他の基礎産業が御承知の通り二倍以上の値上げをする、或いは一般の物價が七、八割も上るというような結果、御承知の通りそれで済めばよろしいけれども、或いは物價に非常に影響しておる、恐らくは、例えば米の闇のごときも二百二三十円であつたものが二百五六十円しておる、今日においては三百円になつておる。又政府において必ず物價の改訂をするだろうというところから、手許に持つておるものは賣り惜んでおるというような状態から、従つてこの物價に非常な影響が來ておる。その関係におきまして、いわゆる勤労者は勿論のこと一般國民は、今日インフレの結果物價の高いために賃金の値上げ或いは又非常に生活に困難を來しておるのでありまするが、これに対して大藏大臣は如何なる所見をお持ちになつておるか、この点を伺いたい。
  308. 北村徳太郎

    ○國務大臣(北村徳太郎君) 復金との金融の関係について御答弁を申上げます。今のことについては先程御答弁申上げた中にも申したのでありますが、赤字金融はどうしても避けなければならんという点で極力避けたい。ただ政府の價格政策等のために一時止むを得ざる金融をするということは今まであつたのでありますが、これも價格政策というもののやり方を変えなければならんという只今のお説は私も極めて同感でございますし、さようなことのために復金が負担をするということは極力避けなければならん。それ自体が又インフレの一つの促進になるというような考え方から、財政当局としては只今お説のごとくにそういうものは避けたい、かように考えております。  それから物價面のことでありますが、これは石炭價格の決定の根拠と同様でありまして、この点についてはやはり物價應で専らやつておりますので、只今私ここに資料を持ちませんので、これは適当な機会に物價應方面より資料を以て確実に申上げた方がよいと思いますから、さように御了承を願いたいと思います。
  309. 板谷順助

    ○委員外議員(板谷順助君) 尚伺いたいこともありますが、資料の持合せがないと言われますし、私は委員外でありますから、他の委員諸君に御迷惑と思いますからこれで止めます。
  310. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 復興金融金庫法の一部を改正する法律案についてはもう御質疑はございませんか……。御質疑がなければこれより討論に入りたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  311. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 御異議ないと認めます。これより討論に入ります。御意見のおありの方はお述べを願います。
  312. 松嶋喜作

    ○松嶋喜作君 この原案には賛成いたします。但し運営については現在の形式は無責任に陷り易い弊がありますので、もう少し責任を確立するというような機構に機会を見て変えて頂きたい。それから赤字金融とか、或いは價格補給といつた政府補給に類するようなそういう金融は別個に考えて頂きたい。必ずしも利潤などという贅沢なことは復金に望むところではございませんけれども、千億以上の金を貸して、それが危ないというようなことに陷れば、これは國民全体として由々しき負担になりますから、私はこれははつきりして、借りたものは返すという機構と仕組にやつて頂きたい。それから特殊の金融機関と難も僅か一割七分ぐらいの中小工業でなしに、もう少し大幅に……中小金融というものは、えて社会主義政策的な金融でありますから、復興金融金庫等においてやられるのに最もふさわしい資金の性質であると考えますから、復興金融金庫は中小工業に尚一段の力を入れて頂きたい。かような希望を申しまして、この案に賛成する者であります。
  313. 中西功

    中西功君 僕はこの法案反対いたします。私が復興金融金庫法のこの増資に対して反対しましたのは今だけではないのでありまして、この前も或いはこの前々回からも非常にはつきりした形で、我々は今のような復金融資の仕方に対しては反対をした。その意見は私申しません。併し私達がこういう点について復金の融資の仕方や、その内容について指摘したことは、その後の現実によつてはつきりと証明されて來ておると思います。今日衆議院の不当財産委員会で、この復金の問題が問題になつており、そうしていろいろの事実が事実として出て來ておるのであります。昭和電工の問題が事実上どういうふうになるか、最後の結論は或いはまだ出ていないかも知れませんが、そうしたことを私達が今まで指摘したことを示す大きな事実の一つに数えることができるのではないかと思うのであります。そういう意味におきましても、我々共産党が早くからこの問題に対して反対したときに、多くの人々がまだ殆んどこの問題に十分な注意を集めていないときに、眞つ先にこの問題を大きく取上げて、世間の注意を促したということは完全に正しかつた。その後の事実によつて証明されたと我々は思うのであります。今後この委員会において、復興金融金庫の小委員会がもつと活溌に活動して、本当にインフレ克服のために、單に復金のみならず、日本の全金融機関について徹底的なメスを私は加えることを切に希望したいのであります。そういういろいろの諸点もありますが、時間も追つておると思いますので、反対の理由は省略いたしまして、私の討論をこれで終ります。
  314. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 他に御発言もないようでありますから、直ちに採決に入ります。復興金融金庫法の一部を改正する法律案議題といたします。本法案を可とせられる方の御挙手を願います。    〔挙手者多数〕
  315. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 多数と認めます。よつて本案は多数を以て可決せられました。
  316. 北村徳太郎

    ○國務大臣(北村徳太郎君) 給與を掛けて下さい。給料を拂えないから……。
  317. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 次に、昭和二十三年六月以降の政府職員俸給等に関する法律案議題といたします。御質疑はありませんか。成るべく簡單に明瞭にお願いいたします。
  318. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 靜かにして下さい。(「やれやれ」と呼ぶ者あり)私はこの政府職員俸給等に関する法律案につきまして、数点伺いたいと思うのであります。先ず第一に、この前、五月三十一日に可決になりました政府職員の新給與実施に関する法律案、これを審議する過程におきまして、何度も繰返し繰返し述べられ、且つ政府の方からも強く確約せられましたことは、二千九百二十円は飽くまでも暫定の賃金である、そうして来るべき新給與は給與委員会を開いて、ここで全官公労組と政府との司に国体交渉を持ちまして、そうして新らしい額を決定する、こういうことが言われたのであります。そうして私共は、この二千九百二十円ですら、そのことをなされなければならなかつたことができなかつたという点は了承いたしましたけれども、少くとも新給與については、それが行われるということを確信し、又期待をしておつたのであります。併し新聞の報ずるところによりますと、この全官公労組との間の團体交渉は決裂をいたしまして、そうして政府はこの二千九百二十円ベース案をお作りになつて國会に出したという、かような状況にあるように聞いております。この間の事情を詳しく一つ報告を頂きたいと思うのであります。
  319. 今井一男

    政府委員(今井一男君) これは昨日御報告申上げたんでありますが、組合側との團体交渉は政府といたしまして現在決裂したとは考えておりません。又決裂の通告も受けてはおりません。政府といたしましては、今回の物價改訂の線に沿いまして、新物價ベースとの睨み合せから新賃金ベースを策定ができましたので、一万組合側から新らしい要求が出ましたので、これに基きまして團体交渉を重ねて参つたのでありますが、組合側の方は、途中において全体といたしまして六つの條件、即ち五千二百円は四月分の手取である。第二に物價改訂をしない。第三に大衆課税を撤廃する。第四に紛争処理機関を設けない。第五に首切行政を行わない。第六として最高賃金制を設けない。この六つの前提條件を先に決めて欲しいというような要望であります。政府といたしましてはそのうち三つの條件、即ち物價とか、賃金制度とか、或いは大衆課税の問題等は、團体交渉の目的となるべき筋合のものと考えられない。即ちこれは行政権の主体である政府若しくは國会の審議に俟つべきものであると考えられますので、この面に関しましては国体交渉とすることをお断りしたのであります。そういつた意見が対立いたしまして、具体的な賃金ベースの検討に入るわけに行けなくなりました。日を費している間に國会の会期切迫と相成りましたので、取敢えず政府といたしましては、本予算に盛られましただけの賃金は、直ぐさま支給できるように、取敢えず從來の方式によりましてこの法律案を策定し、一方引続き團体交渉を続けて行つて、速かに妥結点を見出したい、かようにいたして、目下交渉中でございます。
  320. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 そういたしますと、近く團体交渉によつて決定されるであろうところの新給與の問題でありますが、その場合に、この三千七百円の今出されておりまする法案については、政府は十分に責任をお持ちになる、こういうお考えでございますか。
  321. 今井一男

    政府委員(今井一男君) よく政府と組合との間に交渉のときに使います、いわゆる「政府の責任において」というような意味合で、この法律案が出されたものと了解しておるわけであります。
  322. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 そうしますと、更に、先ず個別に伺いますが……。
  323. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 成るべく簡單に。
  324. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 簡單にやります。もう時間がありませんから。これは過日の本会議の席上においても、私は加藤大臣或いは北村大臣にもそれぞれお伺いしたことでありますが、特に加藤大臣にお伺いしたいのであります。それは三千七百円ベースの合理性と申しますか、こういうことについては、私共は政府見解を相違いたしまして、いろいろの資料を以てその非合理性を逆に指摘をしておるのでありますが、その間社会党の政調会で、予算の修正案のうちB案を決定されたときに、そのB案のうちの一部として、三千七百円ベースは一應暫定的に予算單價として計上するが、これを承認するのではなく、追加予算によつて改訂すると、賃金問題に対する社会党の見解は別に発表する、こういうようなことが公にせられておるのでありますが、このことが果して眞実であるかどうか、この点を伺いたいのであります。
  325. 加藤勘十

    ○國務大臣(加藤勘十君) もうすでに三千七百円ベースが予算編成の一標準として選ばれたものであるということは、私はしばしばいろいろな機会に申上げて來ております。その点については今お尋ねの通りであります。社会党が賃金問題について発表しておることも今御説の通りでありまして、これは社会党の方針としては正に違いありません。
  326. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 その社会党の政調会で決定されたB案というものは、三党政策協定の線に沿いまして、過日も予算を與党の間でいろいろと審議をされましたが、その社会党の考え方というものは政府の方でどういう工合に取扱われておるか、その点をお伺いしたいと思います。
  327. 加藤勘十

    ○國務大臣(加藤勘十君) 政府としましては、これ又しばしば申上げて來ておりまする通り、二十三年度の予算編成に当つて、本来ならば、先程おつしやつたように二千九百二十円問題が解決した直後に新給與に関する委員会を開いてそこで組合側との話合いを付けて、それを予算編成の上に取入れるということが最も妥当なことでありましたが、これは遺憾ながらその給與委員会が成立しませんでした。だからといつて二十三年度本予算をいつまでも時間的に待つておるわけに参りませんので、政府が二千九百九十円算定と同じ方式に基いて算出したものを取上げて予算編成の標準としたのでありまして、その点については我々は妥当性があると、こういうふうに信じております。從つて社会党が取入れましたものは、すでに予算編成が終つて、予算が議会に上程された後の問題でありますから、社会党の方針が今政府に取上げられてどうこうという段階にはなつておりません。
  328. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 そういたしますと、過日衆議院で加藤大臣は三千七百円べースに対しては自信がないというような意味のことをおつしやつておりますが、それは加藤大臣個人のお考えでありますか、或いは閣僚の一人としての責任においておつしやつたのか、そういう点を伺いたいと思います。
  329. 加藤勘十

    ○國務大臣(加藤勘十君) 労働大臣としての責任において言つたことであります。
  330. 板谷順助

    ○委員外議員(板谷順助君) 時間が迫つておりますから極めて簡単に承わります、私は他の委員会において三千七百円ベースの根拠を聽いたのでありますけれども、これははつきりしておりません。と申すことは、五月の平均賃金の水準が三千五百円である。その中かち所得税を五百三十一円引いたその残りの二千九百六十九円に、マル公で配給されるものが二四%六、闇で買うものが七五%四、それに毎月物價の値上りが三・六ずつ上つて行く。そこへその七割値上げしたところの物價を見込んであるというような割合、ところが御承知の通り三千五百円の基礎というものは、その当時の一般の民業におきましてはすでに四千五百円出しているところもある。中には五千円出しているところもある。ところが、引合うところは相当のつまり賃金を出している、引合わなくても今日生活に労働者が困る関係から、止むを得ず四千五百円或いは五千円近くの金を出しておる。だからこの三千七百円のベースというものの基準というものは、今申上げまする通りはつきりしておらない。從つて現在のような、政府が物價の値上りをするような政策をとつて、どうしてあなたはこの維持ができますか。私はこの三千七百円のベースというものは、今お話するように、とにかく物價は七割より上らんというような見当でありますけれども、実際において毎日片々やはり、物については物價が相当に高くなつている。だからこの点は恐らくは私は現在の物價が段々高くなるこの情勢から行きましたならば、三千七百円ベースの維持ということは殆んど不可能だと考えるのでありますが、労働大臣は何と見ておいでになりますか。
  331. 加藤勘十

    ○國務大臣(加藤勘十君) 三千七百円ベースの算出につきましては、私は他の予算委員会においても、労働委員会においても、本会議などにおいても申述べておりまする通り、決して曖昧ではないのであります。極めて明確であります。ただ問題は、全國工業平均賃金を取りました点において、今御指摘のように、或る業種によつては四千五百円のところもあり、或る業種によつては五千円というところもありましようが、全國工業平均賃金におきましてはそうではないのでありまして、それは三月の統計の数字が出ておりまして、予算編成当時においては三月までしか分つておらなかつたのであります。從つて四月、五月というものを推定して、五月が三千五百円という推定が出て來たわけでありまして、これに物價の値上りがどういうふうに生活費に影響を來すか、それから勤労所得税の軽減等がどういうふうに影響を來すか、こういう点がすべて考慮されまして三千七百九十一円というものが生れて來たのであります。若し政府の推定に誤りなければ、六月の予算編成当時においてはこれははつきりした根拠を持つておるわけであります。そうして又物價騰貴率が政府の予想しておるような状態であるならばこれが維持されるでありましようけれども、遺憾ながらインフレーシヨンの高進して止まない今日の段階におきまして、これを二十三年の年間全期間を通して維持できるか、こういうことになれば、私は自信がないと率直に申上げる以外にないのであります。況んやすでにその後に量りまして四月の全國工業平均賃金の総計が発表されたところによると、政府の推定したものよりは遥かに上廻つております。從つてもうその点において三千七百円ベースというものは、何といつて政府の算出の同じ基礎において壊れておる、これは率直に認めなければならんと思います。從つて、そうしたものに対しては、本来ならば予算に何らかの考慮が拂わなければなりませんが、時間的に見ましても、技術的に見ましても到底許されないことでありまして、だからといつていつまでも予算が編成されないで予算が通らないということになりますれば、日本の経済界の現状においては、板谷さんの御承知の通りどんな混乱が起るかも分らない状態でありますので、予算の実施を急ぐ必要から、そういう場合においては、殊に一方においては組合との国体交渉が進行しておりますので、團体交渉の妥結がどういうように妥結されるか分りませんが、その機会において適当なる方策が講じられるべく、又過当な措置が講じられるべきである、こういうことを私はかねがね申上げて参つた次第でありまして、今日と雖もこの考え方において変りはございません。
  332. 板谷順助

    ○委員外議員(板谷順助君) 簡單にもう一つ聽きます。私はとにかく三千七百円ベースが維持できるか、できないかということは、要するにこの物價間期は、政府が何のために今回基礎産業二倍以上、或いは消費財を七割上げるということの根拠が分らない。大藏大臣に聽いたけれども、材料がない、ないということでありまするが、つまりこの値上りというものは政府が公式で以て七割というようなことは、実際においてそうは行かない、これが十割になり或いは十五割になるという危險性をそこに持つておるのでありまするが、私はもう意見の相違ですから、これ以上質問いたしません。
  333. 栗山良夫

    ○栗山良夫君 簡單にいたします。結論のようなことだけお聽きいたします。先ず第一に、今度の團体交渉によつてすべてが決せられるということになるわけであります。その場合に実施期日の問題はこれは一つの大きな問題になろうかと思います。全官労は四月の一日ということを主張しております。政府はこの案によりますと六月一日になつておるが、四月一日に若し團体交渉で決まつた場合には、政府はどういう工合になさるおつもりであるか、これが一つ。もう一つは、この前の五月三十一日可決の法案の場合に一番問題になりましたのは第一條の第三項であります。ちよつと速記を止めて頂きたい。
  334. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) ちよつと速記を止めて。    〔速記中止
  335. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 速記を始めて。時間の関係で極く簡單に、五分間ぐらい。
  336. 中西功

    中西功君 私はこの問題について質問するためにわざわざ昨日から労働大臣、大藏大臣、安本長官、それから今井給與局長に來て貰うように通皆をしてあるのであります。そのために何回かそういうふうな連絡もして貰つているのであります。でありまするから、ともかくもこの問題についてはこれは実に由々しき法案なんであります。我我といたしましてはともかくも最少限度必要な政府答弁は是非とも得て置かなければならん立場にあるのであります。私としてはその旨は委員長にも早く話をしてあるのであります。その点一つ御了承願いたいと思います。
  337. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) ちよつと発言中だが、実際時間がなくなると本会議に掛けられなくなりますからそのつもりで。
  338. 中西功

    中西功君 それは分つております。それで実は私はなぜ三大臣の列席を要求したかといえば、それは各大臣の答弁がおのおの食違つている。我々本当に統一した政府の意向を今まで聞くことができなかつたその結果なんであります。ところが、又大藏大臣いなくなつた。非常に私はその点遺憾に思います。でありまするから、私は今井給與局長に私が聞いて、答弁されたものを一應各大臣において異議があつたらそこで申して貰う、そして異議がなかつたら三大臣において了承されたものというふうにはつきりここで決めて貰いたいと思う。そうしないと又討論が非常にじぐざぐになるのであります。それで今大藏大臣がいられなかつたのですが、おのおの大臣の答案が食違つている、そういう点もありまして、私は今日列席を要求していたわけなんであります。おのおの大臣においてその申されることに異議があつたらはつきり申して頂きたい。異議がなかつたら了承したことにいたして貰いたい。今まで各大臣の御答弁において食違つている点が沢山ある。それでともかくも私簡單に質問するので、各大臣に一々聞いているわけに行きませんので、或る人が答弁された場合には、異議があつたら外の人から申し出て貰いたい。異議がなかつたらその答弁政府答弁であるというふうに了承したいと思いますが、異議ありませんですか。
  339. 北村徳太郎

    ○國務大臣(北村徳太郎君) 大藏大臣は過去申した通りであります。
  340. 中西功

    中西功君 そういう点は実際我々が本当に根本的に論じなければならないという立場にある。本会議或いは予算委員会において、大藏及び労働大臣の食違つていることは万人が認めている。第一は政府はこの度毎月勤労統計というものを採用されたわけでありますが、今井局長にお聽きしたい。この毎月勤労統計を採用されたというが、これによつて出て来る数字が妥当性があるかどうか。この問題については、今井給與局長は、全官公の労働組合との交渉の間においてこの勤労統計には種々の欠陷があるということは認めておられるということを聞いておりますが、勤労統計を以て一應算定された、それがさつきからいろいろ質問がありますようにすでに現実に食違つておるという問題であります。この点について加藤労働大臣はそういう点は率直に認める、現実に統計がそういうふうに出ておるわけだから認める、だから政府はこの三千七百九十一円というものを團体交渉の場合に押付けるという勇気はない、そういうふうにお考えになると思うのですが、その点について加藤労働大臣、大藏大臣はどう考えられるか。
  341. 北村徳太郎

    ○國務大臣(北村徳太郎君) 押付けるという言葉は語弊がありますが、團体交渉をやつたその結果はまだ私共には報告が参つておりません。團体交渉の結果適法に違つた結果が現われた場合には、その場合に無論考慮いたします。財政当局として只今問題になつております金額を以て予算の基準として計算しておりますので、私はこれは崩れたいようにいたしたいというので、それにふさわしい裏付けをすることができると、こういうふうに考えております。併し團体交渉の結果によつてこれは考慮すべき点のあることは、この間、中西君に申上げた通りであります。
  342. 中西功

    中西功君 次にこの法案ですが、この法案政府は今まで予算の一應單槽として三千七百九十一円を策定した。これ團体交渉によつていろいろ取決めることになるというようなお話でありますが、この法案は支給するという法案であります。從つて團体交渉がまだ殆んど何もなされていないとぎに、この支給する法案をどうして、どういう見地に基いて出されたか、それをお聽きしたいと思います。
  343. 北村徳太郎

    ○國務大臣(北村徳太郎君) これは私共といたしましては、予算措置としてそれを予算の基礎にいたしました以上、支拂い得る状態に置くことは当然でございますから、團体交渉は團体交渉、團体交渉の結果を待つて決まつてから後、予算を編成する暇がなかつたものですから、止むを得ざる措置として、これは一應お決めを願つて、これによつて支拂の準備をいたしたい、團体交渉の結果についておのずから考えるべき点が起つたら、その場合には考慮する、かように考えております。
  344. 中西功

    中西功君 それならばこの法案が通つたことによつて、後の團体交渉に何らの影響がないかどうか、ないというならばないと言つて貰いたいと思います。加藤労働大臣にお聽きしたいと思います。
  345. 天田勝正

    ○天田勝正君 議事進行について……。
  346. 加藤勘十

    ○國務大臣(加藤勘十君) 今の中西君の御質問は私にはよく意味が取れませんが、團体交渉は團体交渉として進行しておるのでありますから、三千七古九十一円の問題は今大藏大臣がお答えした通り、予算措置としていつでもこれが支拂い得る状態に置くためには、法律を制定しなければ支拂い得ないわけでありますから、そういう意味において本案が提出されたものでありまして、團体交渉は團体交渉として別個に進められつつあるのであります。
  347. 天田勝正

    ○天田勝正君 私は多くは申しません。すでに時間も迫つております。予算に関するところの関係法律案を審議未了に終らせるようなことがありましては重大なことになりますので、この際すでに法案はどなたもよく熟知されておることでございますから……。    〔中西功君「誰が知つておるか、何を言つているのだ」と述ぶ〕
  348. 天田勝正

    ○天田勝正君 僕は発言中じやないか。質疑討論を打切りまして、直ちに採決に入られることの動議を提出いたします。    〔「賛成」を呼ぶ者あり〕
  349. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 昭和二十三年六月以降の政府職員俸給等に関する法律案、これの質疑打切の動議が只今天田委員から……    〔中西功君「とにかく大切なことを聽いてない」と述ぶ〕
  350. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 天田委員から質疑を打切つて討論を省略し、採決に移るという動議の提出がありましたが、御賛成がありますか。    〔「反対」「賛成」と呼ぶ者あり〕
  351. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) それでは採決をいたします。天田委員の動議に賛成の方の御起立を願います。    〔起立者多数〕
  352. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 多数であります。よつて討論は終結いたしました。それではこれより直ちに採決に入ります。昭和二十三年六月以降の政府職員俸給等に関する法律案、これを議題といたします。本法案を可とせられる方の御挙手を願います。    〔挙手者多数〕
  353. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 多数であります。よつて本案は多数を以て可決せられました。尚、只今可決せられました二つ法案につきましても、委員長が本会議においてする口頭報告内容は、例によつてお委せを願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  354. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 御異議ないと認めます。可とせられた方は報告書に順次御署名をお願いいたします。    〔多数意見者署名
  355. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 次に軍事公債利子支拂特例に関する法律案議題といたしまして、御質問を願いたいと思います。
  356. 松嶋喜作

    ○松嶋喜作君 私は事務的の質問が沢山あるのでありまするが、それは後廻しにいたしまして、大藏大臣がお見えになつておりますから、それから安本長官がおいでになつておりますから、それに関連いたしまして一つ二つお伺いいたしたいと思います。この軍公利拂延期は、この間大藏大臣に、この法律は私は百害あつて一利ないように思う、如何なる点を狙つてこの軍公利拂延期をなさるかという質問に対しまして、これは非常に歴史のあるものである、それで三党協定というようなものによつてつて來たというようなお話でありました。経済的には必ずしも非常によい案とは思わんというお話でありましたが、この政府提案の支拂延期に関する理由書を拝見いたしますると、外にまだ狙いがあるようでありまするが、一体この軍公利拂延期は三党協定というのが根幹をなすのでありまするか、それともその外に大きな狙いがあるのか、その辺もう一度お伺いいたしたいと思います。
  357. 北村徳太郎

    ○國務大臣(北村徳太郎君) 今お尋の点は、過日この委員会において詳細申上げたその通り考えております。ちつとも変つておりません。
  358. 松嶋喜作

    ○松嶋喜作君 この通りでありますとおつしやるが、それでは一つお伺いいたしますが、この軍公利拂というものは、三党協定によつて発足したかどうか、その点一つお伺いいたしたいと思います。
  359. 北村徳太郎

    ○國務大臣(北村徳太郎君) 只今お尋ねの通りであります。
  360. 松嶋喜作

    ○松嶋喜作君 それなれば、大藏大臣は、銀行家その他金融業者の集まりにおいて、又過ぐる金融代表者の会合の席上において、これは非常に問題である、軍公利拂問題については停止的措置はとることがない、安心せよ、というような暗示を與えられたのでありますが、これは私の独断ではありませんで、各金融業者から聞いた話でありまするが、若しそういう印象を與えられた話を大藏大臣がされたとすれば、私は三党協定のときと、そのときとにおいてお考えが変つたのではないか、それから又その金融業者に話されたときと、この間大臣にお伺いしたときと又お考えが変つたのではないか、こういうふうに思われるでありますが、その三党協定以來の御心境と今日までの御心境とは一貫して変りのないものかどうかということをお伺いいたします。
  361. 北村徳太郎

    ○國務大臣(北村徳太郎君) これについても財政金融委員会でしばしばお尋ねが出まして、お答え申上げた通りであります。金融機関の諸君にそういうことを申したことは覚えておりません。但しこれはその三党政策協定の当時においては、これは私共は正直に申上げますが、利拂を打切ることはしない方がいいというような見解を持つておりました。ところが、打切るべしという議論もございまして、それがために三党政策協定の線に沿うて委員会が設けられまして、結局委員会に委せることになつたのでありますけれども、委員会の結論は、両案共に出まして、結局総理大臣が決裁することになり、その結果今回のような決定を見たのでございまして、その間に多少の食違いがあつたと思いますけれども、三党政策協定の未解決の問題は、結局委員会の決定においても又未解決でございまして、最後に総理大臣の責任において決定いたしました次第であります。
  362. 波多野鼎

    ○波多野鼎君 議事進行について、もう時間も非常に迫りまして、而も予算案に附随する重要な法案を審議未了に終らすような危険もなきにしもあらずでありますが、これは非常に重大な結果を引起しますので、軍事公債利拂問題につきましては、質疑應答をこの程度に止めて、(「ノーノー」「賛成」と呼ぶ者あり)直ちに採決に入る動議を提出いたします。(「言論抑圧だ」と呼ぶ者あり)
  363. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 只今波田野委員から質疑を終了し、討論を省略して採決に入りたいという動議が提出されたのでありますが、(「反対」「賛成」と呼ぶ者あり)賛成の方がありますので採決をいたします。波多野君の動議に賛成の方の御起立を願います。    〔起立者少数〕
  364. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 少数であります。それでは質疑を続行して頂きます。
  365. 高瀬荘太郎

    ○高瀬荘太郎君 大藏大臣に御質問申上げたいと思いますが、この前委員会で実は御質問いたしたのでありますが、お答えにつきましてはつきり私には納得が行かない点がありますので、先ずその点をお尋ねいたしたいと思います。それはこの法案によります処置と、新ただ財政法第四條の規定との関係につきまして、政府はどういうお考え、御解釈でありますか、それを先ず伺いたいと思います。
  366. 北村徳太郎

    ○國務大臣(北村徳太郎君) 只今の高瀬博士の御質問に関しましては、政府委員より便宜答弁させたいと思います。
  367. 伊原隆

    政府委員(伊原隆君) 御命令でありますので私から御答弁申上げます。今回の軍事公債利拂の延期に関します法案は、あれによりますと新たなる債務を負担したものにならないという法律解釈でございますので、財政法の第四條とは抵触いたさないという法律的の見解をとつております。
  368. 高瀬荘太郎

    ○高瀬荘太郎君 私はこの前の委員会のときに、今度の処置はつまりこの一年間に拂うべき利息を拂わないで、十年先或いは十五年先に拂うということにするわけで、その拂いますときには、その間の利息を加算して拂うと、こういう法律になつておりますので、丁度一年分の支拂うべき利息に相当します金額を、新たに三分半利附の公債を発行して銀行に渡すのと全く同じではないか、こういうことを御質問いたしましたが、大藏大臣は事実上それと同じだ、そういうふうな御答弁だつたと思います。そういたしますと、只今政府委員の御答弁では、これは借金でないと思いますが、それと全く矛盾しはしないかと考えますが、如何でございますか。
  369. 北村徳太郎

    ○國務大臣(北村徳太郎君) 先般、同様の御質問を受けましたときに、理論的には一應そういう考え方もできるということを申上げたと思うのであります。併しこれは支拂が延滞でなくして、支拂期日の変更であつて、従つて延利というような観念ではございません。それから孫利息の観念でもございませんで、三分五厘に該当する金額を加算して最終に拂う、こういう考え方を持つておりますので、只今の財政法との法律的な見解とまあ大体一致する考えを持つております。
  370. 高瀬荘太郎

    ○高瀬荘太郎君 そういう御解釈もあるものと考えますが、つまり支拂うべき期日をこの法律によつて変更したのだ、そうすると、拂うべきものを延したのでないからして借金にならないと、こう御解釈だと思いますが、どうもそれは余り詭弁ではないかと、つまり政府としましても、この法案名前をお変えになつたようでありますが、初めは利拂延期措置というふうに政府自身言つておられたように思うのであります。利拂延期の措置でありましたならば、私が申しましたように、確かに拂うべきものを後で拂うことにする法案であると思うのであります。ですから、それを特に負債でないと言われるのは少しからくりに過ぎやしないかと思うのです。併しそれはそれといたしまして、それならば次にこの法律によりまして利息を加算して拂うといろ点が、只今の大藏大臣のおつしやつたところでは、利息に相当する金額を、利息ではないけれど後で拂うんだ、こういうお話でありますが、これも余り詭弁ではないでありましようか。期日が十年先に來ることにしたというならば、如何なる理由によりまして、今年から拂うときまでの利息に相当する金額をお拂いにならなければならない理由がありますか、お伺いいたします。
  371. 北村徳太郎

    ○國務大臣(北村徳太郎君) 只今のお尋ねの件は、これは政策的にそれだけの金を加算することが妥当であると、かように考えましたからやりましたのであります。
  372. 高瀬荘太郎

    ○高瀬荘太郎君 どうも政策的というのは余り根拠がないと思います。私はやはりそういうことをなさいますのは、つまり借金である、借金であるから利息が附くのだと、こういうのでないかと思います。次に今度の措置によりまして、銀行に対する影響を考慮なさる考えから、利息は拂わないけれども、拂つたと同じように収益勘定にこれを挙げまして、そうして同時に未收利息勘定というものを資産として計上することを認める、こういうことになつております。そうしますと、その点で支拂わなかつたものを収益として認めるということは、これを実際利息であるとするならば差支がないことでありますけれども、利息でないものをそうなさることは余りに不合理である。又未収利息勘定の内容というものは一体何だと考えますと、これは結局政府に対する金融機関の債権に外ならないのであります。金融機関の債権でないものをどうして未収利息勘定として資産に計上することをお認めになりますか、その根拠を伺いたい。
  373. 北村徳太郎

    ○國務大臣(北村徳太郎君) 私共の考えでは、既経過の利息についてこれを未収利息に計上するということを認めるのでありまして、これと同一の金額を拂うという約束の分については、これは未收利息に計上することを認めておらんのであります。
  374. 高瀬荘太郎

    ○高瀬荘太郎君 只今の御答弁でございますと、つまり既経過の利息というのでありますから、つまり利息じやないかと私は思うのであります。既経過の利息に相当するものを認めるというわけであります。それならば利息に……。
  375. 北村徳太郎

    ○國務大臣(北村徳太郎君) 私の申します利息とは公債利息でありまして、それの支拂期日変更による分を支拂うという金額です。それは未收利息に計上することを法律に書いてないのですから、それですから公債利息です。これは解釈も何もない、正当な公債利息で、既経過の分はこれを未収利息に処理するということを認めたのであります。
  376. 高瀬荘太郎

    ○高瀬荘太郎君 只今の大藏大臣の公債というのはどういう公債をお指しになりますか、伺いたいと思います。
  377. 北村徳太郎

    ○國務大臣(北村徳太郎君) 只今問題になつております軍事公債、その利息でございます。
  378. 高瀬荘太郎

    ○高瀬荘太郎君 そういたしますと、つまりその利息をお認めになるのでありますから、拂わないで置いて、後でそれを拂うということにした結果になるのでありませんか。
  379. 北村徳太郎

    ○國務大臣(北村徳太郎君) その点はその通りであります。
  380. 高瀬荘太郎

    ○高瀬荘太郎君 そういたしますと、拂うべきものを後で拂うということにしたら、借金が新らたにできるということは、誰でもどうもそう解釈するよう外ないと私は思います。
  381. 北村徳太郎

    ○國務大臣(北村徳太郎君) これは新たなる債務の負担とは政府は解釈いたしておりません。従つて先程から申しますように処理をいたしたのであります。
  382. 高瀬荘太郎

    ○高瀬荘太郎君 新たなる債務とおつしやいますけれども、その年に拂うべき利息は拂つてしまえば、新たな債務は生じません。それを拂わないので置くのですから、それまでなかつた債務が新らたに生ずるということは明らかだと思います。(「その通り」と呼ぶ者あり)
  383. 北村徳太郎

    ○國務大臣(北村徳太郎君) どうもそうなると結局見解の相違ということになると思います。
  384. 高瀬荘太郎

    ○高瀬荘太郎君 どうもそうなりますと、私共の見解では、財政法権四條におきまして、新らたな第四條の規定では、公債或いは借入金によつて賄い得る支出というものは、公共事業費出資金、貸付金以外はいかんということになつておる点と明らかに抵触すると私は解釈いたします。  次に別の問題で御質問申上げたいと思います。この前質問いたしましたときに、大臣からそう余り詳しくはつきりお答えはありませんでしたが、擬制資本の切捨てというようなこともある、こういうようなことが今度の措置と関連しておるようなお話でありました。そういたしますと、今度の処置によりまして、擬制資本の切捨てが実際に行われるとお考えになりますかどうか、これを伺いたい。
  385. 北村徳太郎

    ○國務大臣(北村徳太郎君) 私申上げたかと思いますが、世間には利息を完全に打切るべしという議論もある。その他に利息を否定するのみならず元本さえ打切るべし、なぜならば、これはこの軍事公債というものの本來の性質から考えて、元本を打切つてよろしいというような意見が可なりございます。それでかような考え方に対して一應これで終止符を打つということになつて、却つて元本の安本を保持するじやないか、こういうふうにも考えられる、こういうことを申上げたかと思いますが、さような意味でございます。
  386. 高瀬荘太郎

    ○高瀬荘太郎君 そういたしますと、元來がこの軍事公債問題というものが提起いたされましたのは、大臣も御承知の通り戰費調達のために使われました公債でありまして、自然擬制資本の発生になつておる、これを切捨てるということが一つの大きな理由でありました。と同時に最近では、公債所有者に対して特殊な犠牲を拂わしめまして、負担の公平を図る、これをはつきり方面でいわれておりますが、そういう意味も入れておられるのでありますか、一言伺いたい。
  387. 北村徳太郎

    ○國務大臣(北村徳太郎君) 公債軍事公債なるが故に、これが元本そのものを否定すべしというような意見が今尚なくなつておらんと思います。從つてこれに対する不安というものは可なり実際においてある。大体かような不安をこの際この処置によつて……、さような目的があつたかどうか知りませんが、結果としては今回の措置によつてそれを一掃したというような考え方もできる。元本についてはこれは支拂を必ずやるというような声明をし、支拂期日の変更によつて生じた実質的な損害については否定の意味かどうか分りませんが、元本償還のときに加算して拂うというような措置によりて、一應軍公債たるが故に、即ち擬制資本なるが故に利息なんか勿論打切るべし、況んや元金についても当然打切るべし、こういう議論が可成り横行したのであります。さような考え方もある際に、この措置をこれによつて再びかようなことをいたしませんと、はつきり言い、且つ一應の支拂期日は変更したけれども、これで元本が先ず安全といいますか、安全を確保したというような結果になる、こういうような考え方もできるということを申上げたかと思います。
  388. 高瀬荘太郎

    ○高瀬荘太郎君 そういたしますと、今度の措置は、つまりこの問題のそもそもの発端の根本の理由でありました擬制資本打切り、切捨て、或いは戰争発生の公平なる負担、そういうものはお考えにならない措置であると解釈してよろしうございますか。
  389. 北村徳太郎

    ○國務大臣(北村徳太郎君) 大体さように考えております。
  390. 高瀬荘太郎

    ○高瀬荘太郎君 私も今度の法案を読みまして、確かに大蔵大臣の考えはそうじやないかと思うのであります。そういたしますと、実はこの法案が最初提案されました根本の理由というのは、この措置によつて何ら貫徹されておらない、全く没却されておると私は考えおります。ですから、その意味からいえば全く筋の通らない法案になつているといつてよかろうと思います。ただ併し今度提案されました理由を見ますと健全財政確立のために、あらゆる動員可能な財源を動員して、災害対策費、教育費、それから貧困者救済費等に充てるというような提案理由の御説明であつたと思います。そうしますと、先程の擬制資本の切捨てでありますとか、公平なる負担ということを除外して考えますれば、結局大藏大臣のお考えはつまり健全財政確立に必要な、新たに確かな財源をここに求めた、こういうことになるじやないかと思いますが、如何でしようか。
  391. 北村徳太郎

    ○國務大臣(北村徳太郎君) これは提案理由にさようなことを書いてございますが、そのことも一つであると考えます。
  392. 高瀬荘太郎

    ○高瀬荘太郎君 私はそれでその点だけに限定してお伺いいたしますが、先程のように今度支拂うべき利息を拂わないで置くということによつて、金の支拂の余裕ができる、これでいろいろの事業をお賄いになるのだ、こういうことじやないかと思います。この点は確かに政府のおつしやる通りだと思うのであります。けれどもそれをその支拂の余裕ができる理由がどこにあるかといえば、結局拂うべき利息を拂わないで延したからそこで余裕ができたわけであります。そうしますと、やはり結局は一方で拂うべきものを拂わないために生じます借金ができまして、その借金の財源によつて金の余裕を作つて事業をやる、こういうことに結局なるじやないかと思いますが、如何でございますか。
  393. 北村徳太郎

    ○國務大臣(北村徳太郎君) これは大体同じようなことを繰返して申上げておりますが、本來の動機は、御承知の通り三党政策協定というものがあつて、そうしてその政策協定の背後には、やはり利息を永久に打切るべしというような考え方もあり一時打切るべしというような考え方もあり、或いはその背後には元本も否定するような思想まで孕んでいるかも知れません点もあります。さような点を勘案いたしまして、結局実際に金融界に與える影響が一番少い方法は何かどいうことを考えたのが実は今回の提案の根本の土台になつております。極く率直に申上げますと、さような点であります。從つて財源を動員することが必ずしも唯一の動機ではなかつた。いろいろ意見がある中でこの方法によることが一番危険或いはその他の実害が少い、而も多少の実益のある方面にこれを振向けることができる、況んや元本或いは利息を否定する考え方もこれで一應終りだということにして、非常に不安感を與えておつた点に対してこれを安定させるというような効果をもたらすようにいたしたい、こういうような希望と三党政策協定とをマッチさして意見を言つた、率直に申上げますと、事実であると思います。
  394. 高瀬荘太郎

    ○高瀬荘太郎君 今のお話で、実際大藏大臣が今度の処置をおやりになりましたお考えはよく分るのでありますが、併しそれがためにこの法案というものを非常にこう矛盾の多い、ごまかしの多いものにしていると思います。つまり結局支拂を停止するがごとくして停止せず、金融機関に負担を負わせるがごとくして……。
  395. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 十二時になりましたから、これで散会いたします。    午後十二時散会  出席者は左の通り。    委員長     黒田 英雄君    理事            波多野 鼎君            伊藤 保平君    委員            天田 勝正君            伊藤  修君            木村禧八郎君            鈴木 清一君            玉屋 喜章君            西川甚五郎君            松嶋 喜作君            山田 佐一君            石川 準吉君           尾形六郎兵衞君            木内 四郎君            紅露 みつ君            田口政五郎君            深川タマヱ君            星   一君            九鬼紋十郎君            小林米三郎君            小宮山常吉君            高瀬荘太郎君            高橋龍太郎君            渡邊 甚吉君            中西  功君            栗山 良夫君   委員外議員    運輸及び交通委    員長      板谷 順助君   國務大臣    大 藏 大 臣 北村徳太郎君    労 働 大 臣 加藤 勘十君   政府委員    総理廳事務官    (地方財政委員    会事務局長)  荻田  保君    大藏事務官    (主計局長)  福田 赳夫君    大蔵事務官    (主計局第二部    長)      河野 通一君    大蔵事務官    (主計局法規課    長)      村上  一君    大藏事務官    (主税局長)  平田敬一郎君    大藏事務官    (理財局長)  伊原  隆君    大藏事務官    (銀行局長)  愛知 揆一君    大藏事務官    (銀行次長)  三井 武夫君    大藏事務官    (給與局長)  今井 一男君    逓信事務官    (簡易保険局    長)      岡井彌三郎君   説明員    大蔵事務官    (銀行局特殊金    融課長)    磁田 好裕君    大藏事務官    (銀行銀行課    長)      西原 直廉君    大蔵事務官    (銀行銀行課    勤務)     上林 英男君