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政府委員(
森下政一君)
只今議題になりました三案について御
説明申上げます。
先ず第一に
金融機関再建整備法の一部を改正する
法律案の
提案理由を御
説明いたします。
金融機関は、先般
金融機関再建整備法に從いまして、その
最終処理を完了いたし、新旧勘定を併合したのでありますが、それに伴いまして
金融機関再建整備法に若干改正を加える必要が生じましたので、本法案を提出した次第であります。
本
提案における改正の要点は次の五点であります。
第一は、登記期間の延長であります。
金融機関は去る三月末日までに
最終処理を完了し、新旧勘定を併合することにな
つていたのでありますが、三月下旬頃に至り、各般の
情勢から、
金融機関特に
銀行、信託会社及び金庫の
最終処理方法書を再檢討することになりましたため、正式の認可が遅れたのであります。而もその正式の認可が行われましたときは、
金融機関の新旧勘定の併合は三月末日に遡
つて行われたのでありまして、これがため、
金融機関は新旧勘定併合の登記及び減資の登記をそれぞれ法定の期間内に行うことができなく
なつたのであります。從いまして、この登記の法定期間を百二十日延長する
措置を講ずるものであります。
第二は、
金融機関に対する
政府の補償に関する改正であります。
金融機関再建整備法の規定によりまする
金融機関への補償は、
預金評に対する補償金と合計いたしまして百億円を限度とすることにな
つておるのでありますが、企業の
再建整備における
評價が簿價主義を採用いたしましたため、その打切率が増加いたしましたと同時に、
金融機関の
評價におきましても簿價主義を採用し、更にその健全性の確保のために、愼重な
評價を行いましたので、
最終処理の完了の結果判明いたしました
金融機関に対する要補償額は、百億円を超えざるを得なく
なつたのでございまして、その額は、先般
金融債券を旧勘定に移し換えましたのに伴いまして生じた
金融機関経理應急
措置法による損失補償金の額を加えて、百六十三億円を要することになりましたので、その限度を引上げることにいたしたのであります。
第三は、調整勘定に関する規定を設けたことであります。
金融機関の
最終処理は、企業の
再建整備の未完了等によりまする若干の不確定な要素を含んだまま完了いたすことに
なつたのでありますので、特に
將來の業務の健全な運営を考慮いたし、極めてコンサーバテイブな
評價を行
なつたのであります。從いまして、今後
金融機関の旧勘定に属しておりました
資産の処分乃至確定に伴い、これらの
資産につき相当多額の利益金を生ずることが予想されますが、その利益金は、
預金等の切捨てを受けた確定損負担者等に最も公平に返還されなければならないと思われるのであります。よ
つて、確定損を
預金者等の債権者に負担せしめました
金融機関は、新旧勘定併合後におきまして調整勘定を設け、前に旧勘定に属しました
資産及び
負債につき生じました利益金を調整勘定において経理し、その純利益金を、
政府の補償がありましたときは、先ず
政府に返還し、次に、確定損を負担いたしました順序と逆の順序によりまして、指定
債務の債権者及び整理
債務の債権者に返還いたすことにしたのであります。尚その運用につきましては特に公平を期するために、新たに債権者審査会を設け、確定損を負担しました債権者でその
金融機関に
債務を負担していない者からこれを選任することにし、
金融機関が右の利益金を返還するとき及び旧勘定に属しました
資産を処分するときには、債権者審査会の同意を得ることにし、又右の利益金の分配を受ける権利は、投機的賣買を阻止しますために、その讓渡を禁止し、特にその情を知悉しております
金融機関の役職員については、それを讓受け文はその分配を
理由にして手数料その他の報酬を收受することを禁止したのであります。
第四は、封鎖
預金及び封鎖
支拂制度の廃止であります。即ち
金融機関の新旧勘定の併合、
最終処理の完了を機会に、封鎖
預金及び封鎖
支拂制度を廃止し、新円一本建とし、以て
金融機関の業務を簡素に且つ能率化し、同時に新円再封鎖の噂を一掃いたしまして、財蓄増強に資せんとするものであります。尚海外からの引揚者の有しまする郵便貯金につきましては、今後も引揚げて参りましてから、一定期間内に申請があれば、從前
通り第一封鎖
預金となるべき
金額は、これを直ちに自由
預金にすることにいたしております。
第五は、
金融債券の旧勘定移換に伴いまする
政府の補償及び
預金部に対する
政府補償を
國債を以て行うことにいたしましたと同時に、
金融機関の調整勘定と同様の概念を
預金部に対しても採用いたしたことであります。
尚右の五点の外に若干の
條文の整理を行な
つております。
以上が
金融機関再建整備法の改正
法律案を
提案いたしました
理由であります。
次に
割増金附貯蓄の
取扱に関する
法律案につきまして、
提案の
理由を御
説明いたします。
抽せんを以て割増金を附ける各種の
貯蓄の
取扱に関しましては、本年四月廃止せられました臨時
資金調整法中にての根拠規定が設けられていたのでありまして、同法の廃止により、去る三月二十六日以後は新たにこの種
貯蓄を
取扱うことができなく
なつたのであります。而して
貯蓄の増強がインフレーション抑制のための絶対的要請でありますこの際におきまして、
貯蓄増強のためにはあらゆる角度からその手段を講じておる次第でありますが、この
割増金附貯蓄制度は、
金融機関側からも
國民の側からも多大の期待と興味とが寄せられているのでありまして、臨時
資金調整法の廃止後も引続きこれが継続実施の要望が熾烈な実情にあり、通常の方法を以てしてはなかなか
貯蓄増強の効果を期待し難い現状におきまして、この制度は今後十分の成果を発揮するものとの確信が得られますので、ここに必要な根拠
法律としてこの
法律条を提出いたした次第であります。
その概要を申述べますれば、第二にはその
法律は
日本銀行を除く全部の
金融機関に適用せられることであります。第二には、
大藏大臣が
割増金附貯蓄に関して細目を定めた場合には、各
金融機関は任意、自由にその
取扱ができることであります。第三には、割増金に対する所得税と、特定の
預金証書に対する印紙税を課さないこととし、尚必要な罰則を設けることといたしたことであります。以上がこの法案の概要でありまして、一應の御
説明が盡きた次第であります。
最後に
当せん金附証票法案につきまして
提案の
理由を御
説明いたします。いわゆる宝くじの発賣に関する根拠規定は、臨時
資金調整法中に設けられてあ
つたのでありますが、本年四月同法の廃止に伴いまして、三月二十六日以後は新たな発行命令を出すことができなくなり、三月二十五日以前に命令の発せられているもののみが、同法廃止後も発賣せられているに過ぎないのであります。今日、インフレーションの高進を抑制するため、
貯蓄の増強、租税の完納その他あらゆる手段を講じて購賣力の吸收を図る必要があるのでありますが、現下の
國民の射倖的な心理を掴んだ購賣力吸收手段も亦十分に認められるべきものと
考えられますると共に、この方法は
政府の
財源獲得の一助ともなり得るのであります。他面、都道府縣におきましては、
一般財源又は
公債により難い事業の
財源獲得手段として、本制度の再現を期待しております点等に鑑みまして、当分の間、從來に引続いて宝くじ制度を存置する
考えの下に、その根拠
法律としまして、ここに
当せん金附証票法案を提出いたした次第であります。以下その概要を申上げますると、第一は
將來宝くじは命令の定める法人をして発賣させることにな
つていたのでありますが、この
法律案におきましては、その目的に鑑みまして、証票の性格を鮮明にするために、
政府又は都道府縣がみずからこれを発賣することといたしたのであります。尚都道府縣の発賣につきましては、從來
大藏大臣の認可を必要としたのでありますが、これを内閣総理
大臣の許可事項とし、内閣総理
大臣は
大藏大臣に協議することにいたしたのであります。第二は、発賣者たる
政府又は都道府縣は、その発賣、当せん金の
支拂を希望する
銀行に委託することといたしたのであります。第三は、刑法の規定を解除して発賣せられるこの証票の性質に鑑みまして、証票の條件その他の事項は、発賣前に告示することとし、尚当せん金品の最高額を
法律に規定いたしたのであります。第四は、当せん金品の
支拂に関して、当せん証票は完全な引換証券とし、証票を離れて、当やか金品を請求し得ず、又発賣者は当せん金品
支拂の責任をも有しないことを規定の上で明確にいたしたことであります。第五は、この当せん金品の性質に鑑みまして、これに一時所得として所得税及び不動産取得税を課さないことといたしたのであります。第六は
政府又は都道府縣みずからが発賣者となるため、歳入及び
歳出の
処理に必要な規定を設けると共に、発賣等の委託を受けた
銀行の経理については、これを通常の業務と明確に区分せしめ、これを通常の業務に流用するしとを禁止する規定を設けることとし、尚必要な罰則を規定いたしたのであります。
以上、この
法律案の要点につきまして御
説明いたした次第であります。何とぞ御審議の上速かに御賛成あらんことを希望いたします。