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1948-06-28 第2回国会 参議院 財政及び金融委員会 第45号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年六月二十八日(月曜日)    午前二時十七分開会   —————————————   本日の会議に附した事件 ○所得税法の一部を改正する等の法律  案(内閣送付) ○皇室経済法施行法の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付) ○日本国憲法八條規定による議決  案(内閣提出衆議院送付) ○会計法の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付)   —————————————
  2. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) これより委員会を開会いたします。  速記を止めて。    午後二時十八分速記中止    ——————————    午後二時三十五分速記開始
  3. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 速記を始めて下さい。
  4. 波多野鼎

    波多野鼎君 又同じ問題に帰りますが、米麦等主食報奨金などについてその他の農家所得と同一列に取扱つて課税することはよろしくない、何かこれに対しては軽減の方法を講じなければならんということだけは確立した原則なんですか。
  5. 脇阪實

    政府委員脇阪實君) 多少違うのであります。特に軽減するとか何とかいうのではなくて、若しそれによつて課税に不公平が起つておるならば、それは経費の点とか、或いは最前他政府委員から申しましたように、収穫が十分把握できないというようなことがあれば、そういつた点は厳密にこれを行なつて課税の適正を期すべきである、こういう考えでございます。
  6. 波多野鼎

    波多野鼎君 課税に不公平があるということはどういうことでございますか。
  7. 脇阪實

    政府委員脇阪實君) 不公平というのでは実はないのであります。今申しましたように経費が例えば見足りないとか、収穫が実際ないのに一般の標準を適用した関係上多く出ておるというようなことがあれば、これは当然現実に即するようにすべきであるという意味であります。例えば早期供出をした者に対して特に税金を軽減するなんとかいう意味ではないのであります。
  8. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 ちよつとお尋ねしたいのですが、この勤労所得税合算課税、それから扶養親族合算課税を廃止する意思はないかどうか、これについては各方面から非常な要望があるわけでして、御承知現制懇談会でも問題になつたわけでございます。これについて何か考慮をしたかどうか。
  9. 脇阪實

    政府委員脇阪實君) 合算課税の問題については、今御指摘のように、懇談会でも相当問題が実はありました。ありましたが、あすこでもその考え方を申上げて置いたのでありますが、所得税はやはり根本的には合算課税すべきものであると考えておるのでありまして、若しその合算課税によつて非常に負担が適正でないということがあるならばその範囲でできるだけ直すということがよいのではないか、かように考えておるのであります。と申しますのは例えば不動産の貸付による所得とか、配当利子とか営業所得勤労所得を同じ人が持つておるという場合に、これを合算しないということは負担の公正を期するゆえんでないと、かように考えておるのであります。そこで私達考えますのに、現在非常に合算課税が著しくいろいろの批判を受けておりますゆえんのものは、一つ勤労者が同一世帯の中に二人、三人ある、こういう場合と、それから例えばこの間もこの点については一應御説明をしたのでありますが、農家の子供が例えば学校先生をしておる、こういうような場合が多いとかと実は思われるのであります。そこでそれを幾分でも負担を適正ならしめるという措置を今度その範囲においては考えておるのであります。その第一点は同居家族の中に事業所得を有する者と勤労所得を有しておる者とがある。例えば今申したような農家の中の同居親族の一人が農業組合に行つておる、或いは学校先生をしておるこいう場合には、現在は基礎控除一つしか認めていなかつたのてあります。つまり事業と申しますか、事業勤労と合せて一つしか認めていなかつたのでありますが、今度は事業所得についても基礎控除をするし、勤労所得についても基礎控除する、そういうように改めておる訳であります。
  10. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その点は分つております。
  11. 脇阪實

    政府委員脇阪實君) それは税法の十二條に出ております。そうやりますというとどうなりますかというと、現在事業所得が一人あつて仮に五万円の所得といたします。勤労所得の三万六千円の所得者がある。こうしますと所得全部で八万六千円になります。それにつきまして現在課税しております。合算をして而も基礎控除一つしかありませんから、二万八千四百円の課税であります。そうしますと三二%課税になるわけであります。今度は二つ認めますから、勤労所得の方には勤労控除も合せますと二万円を引かれる。事業所得の方が一万五千円、こうなりますので、今度は一万一千百円、割合にすれば二一%、こういうように改正をしましたのであります。そうするとそれは今税率改正とか基礎控除改正がありますので、それを全く止めまして、全然そういう点を見ずに今度の税率で、そうして今度の基礎控除で若し基礎控除一つにした場合にはどうなるかと申しますと、一万五千六百円の課税になる。そうしますとその負担課税は一七%になります。これは基礎控除を一万六千円にしまして、勤労控除は十五万円を今度提案いたしとおりますものの上に立つて基礎控除一つにしたらどうか、その場合には各人について基礎控除を認めますと、それが一万一千百円になります。そうしますと十二%八軽減されて來ます。若しこれを分割課税をいたしますと税額は一万百五十円、その割合は一一%八になりまして、殆んど分割課税したのと近いのになつておる。この程度一つ我慢をして頂きたい、こういう考え方であります。それからもう一つ勤労著が二人以上であります場合につきましては、特にそれについての特別の規定は設けませんでしたが、この点についても從來は御承知のように基礎控除が二つあるのであります。二人の場合は二つ、三人の場合は三つになつておりますが、その基礎控除を大幅に上げましたのと上もう一つ勤労控除の問題が從來はあつたのでありますが、即ち一人で六万円の所得がありますと、五万円までしか勤労控除がありませんから、一万円引つかかるのであります。今度は十五万円にしましたから、二人共勤労基礎控除の利益が受けられる、こういうことになつたのであります。もう一つはこれも一般的でありますが、從來は五万円のところから五十でありましたのを、二十万円のところから五十ということになりましたので、相当その点では軽減されておるのではないか、かように考えましたので、それを数学的に見ますと、勤労所得者が二人ある場合には、各人について基礎控除を認めた場合、即ち現在やつておりますのは、仮にその場合で申しますと、毎月六千円ずつ貰う人が二人あるといたしますと十四万四千円になります。ところが各人について基礎控除が認められますから、その負担割合は二千八百円ということになりまして一四%であります。仮にこれを分割課税をいたしまして、各人が別々だというように計算いたしますとどれだけだと申しますと、一万七千五百円ということになつて、一二・一%ということになるのでございます。二%ぐらい違うのでありますが、一人で課税した場合と全然別個に課税した場合と比べますと、非常に分割課税にした場合に近いものでありまして、この程度ならば一つ我慢して頂けるのではないか、かように考えました次第であります。
  12. 波多野鼎

    波多野鼎君 さつきの問題の結論を得たいと思いますが、農家主食供出に対する報奨金並び超過供出金などに対してこれを課税対象外に置くということはいろいろな関係からできないといたしまして、それならばこういうことはできないでしようか、早期供出奨励金については、早期供出をした農家は数量が平均農家よりも少いというふうに少く見積る。又経費平均農家よりも高く見積る。又超過供出をした農家については、経費平均農家よりも高く見積るという指令税務官吏に発するということはできないのですか。
  13. 忠佐市

    ○政時委員忠佐市君) 所得税法計算の建前が只今お申述べになりましたような趣旨でできておりますので、実際の収入と支出とを正確に計算いたしますればこのような結果に相成ります、先程申上げましたような事情で、或る程度平均的な計算をいたしまして課税するような実情が起つておりますために問題となりますので、只今お申述べになりましたような収穫の問題を実情によつて見る、経費の問題を実情によつて見るというようなことは再三税務署に通達いたしておりますので、重ねて最近の農村の家庭の実情からいたしまして、その点は強調するということは、只今七月の予定申告を控えておりまして、実行に移そうということを考えておる次第でございます。尚この点につきましていろいろ注意がございましたら、それを織込みまして、できるだけ早目に財務局並びに税務署の方に通達したいとかように考えております。
  14. 波多野鼎

    波多野鼎君 実際大藏省の本省で考えておられることが、地方の出先の税務官吏には徹底しない場合が多いし、又中央考えておる趣旨を現地でどういうふうに実際に行つてよいかということが分らないで困つておる税務官吏もあるのであります。でありますから、今の問題についても一片の指令ではなしに、相当具体的な実例を挙げて地方官吏指示をして頂きたい。こういうことを希望するわけであります。
  15. 忠佐市

    政府委員忠佐市君) 税務署に対する指示につきましては、従來は書面を以ちまして指令をいたし、その結果につきまして詳細な指導は比較的採られておらなかつたような実清もございましたが、昨年以来税務実施面における中央指導力というものを強化するような機構を整えまして、只今実行中でございます。昨年の課税につきましては相当準備を進めましたのでございまするが、時期、それから税務官署における執務態勢の問題がございまして、十分私共の意図する結果が現われておらんということを非常に遺憾に存じておりまするが、実施面についての実際の計算のはじき方というような点につきましても、今年は相当立入りまして指導したい。かように考えておりますので、その他尚一層努力いたす。かような所存でございます。
  16. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 先程お話を承わりましたが、今度勤労所得税について政府相当軽減したと言いますけれども、公聽会その他いろいろな専門家意見を聞きましても、実際にはそんな軽減になつていないのであつて、そういう点から見て、合算課税についてもやはり合算課税した方が負担が軽くなるのですから、その点を一つ政府は解決を、する考えがあるかどうか。それからもう一つお伺いいたしたいのは、基礎控除です。基礎控除政府は一万五千円に上げましたが、二万四千円に上げる意思がないか。その二点についてお伺いしたいのです。
  17. 脇阪實

    政府委員脇阪實君) この間の懇談会でも実はお答えいたしましたように、合算課税を止めるということは、例えば農家所得関係であるとか、或い営業所得関係であるとか、或いは乱書利子所得とか、或いは不動産賃貸料、こういつたものについて逋脱が行われるという虞れがありまので、これを根本的に、例えば現在の国家の法制では、いわゆる家族というものはなくなつておるのでありますから、そういうようにするということにつきましては、尚研究しなければならん問題が相当あると思います。尚合算課税を止めるということになりますと、やはり少くとも数十億円の減収になることはこれも想像に難くないのであります。合算というものを根本に変えるかどうか、止めるかどうかということについては、尚愼重に考えなければならん点かあるのではないかと思います。そこで最前申上げましたような一時の……一時と申しますか、その点だけは一時ではありませんが、とにかく一番問題になつておる点について、負担合理化を図りたいという点で、実はそういうような改正をいたす次第であります。  それから第二番目の基礎控除を二万四千円にするということになりますとこれは実は非常な減収を來すことになりますので、今これをやるということは、財政的に見ましても、極めて困難ではないかと考えるのであります。
  18. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) ちよつとあとで御質疑を願うことにいたしまして速記の都合がありますので、この場合この法案に対しまする質疑ちよつと中止いたしまして、皇室経済法施行法の一部を改正する法律案並びに日本國憲法八條規定による議決案、この案につきましては、すでに先日質疑終了の御決議に相なつておりますのでこれについてこれを議題にいたしまして、直ちに討論に入りたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 御異議ないと認めます。それでは只今より討論に入ります。御意見のおありの方はお述べを願いたいと思います。
  20. 中西功

    中西功君 共産黨はこの二法案に反対いたします。その反対の理由は極めて簡単であり、明瞭でありまして、我々日本國民が二千九百二十円ベース、或いはこの度政府は三千七百円ベースを確定しておりますが、こういうようなべースでは到底食えない。食えないことにはつきりしておりますが、ともかくも國民に対してはそういうような極めて食えないようなベースを押付けて來ておるという、こういう実情でありながら、他方においては皇室経費として二千万円も出すというふうなことは、これは絶対あり得べからざることたと思うのです。実際この二千万円を今の皇室家族で若し割つて見たならば、一人当りの経費が出て來ると思います。これだけでなくて皇室経費はもつと沢山あります。少くともこれだけを割つて見たところで、実に相当大きな数が出て來ます。まあこういうふうな意味から見ても、政府としてもつと考えなければならん筈だと思うのです。皇室収入がない、或いは私的な財産がないかと言えば、あると思われます。私が質問して聞いた範囲でも、現金として一千五百万円はあるのです。今これを有償証券にしてどういうふうに運用するかということが考えられておるそうですが、少くとも一千五百万円の金はあるという実情なんであります。國民が赤字々々で竹の子生活をしておるというふうなときに、一千五百万円の現金、その他沢山の資産があります。そういうものに少しも手を付けずに、ただ物價上つたから、これだけに上げるのだというふうなのは、全く我々は怪しからん。又これを出すところの芦田内閣は非常に怪しからんと思うのです。いろいろ理由もありましようが、私はこれに反対したい、こう思うのであります。
  21. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 中西君のは、皇室経済法施行法の一部を改正する法律案だけについてですか、両方についてでありますか。
  22. 中西功

    中西功君 両方についてであります。で、日本憲法八條規定による議決案、これもやはり私これについて、確か質疑をしなかつたので、具体的には聞いておりませんけれども、以前は三十万円に推定されるというふうな規定を、百八十万円に拡大したのではないかと思うのですけれども、これにしても同じであります。今まで皇室経済会議においても実は、或る委員から、こういうふうな使途については、十分指摘されて來ておる。これは余りこういうふうな勝手なことをすべきではないというふうに、指摘されて來ておると思うのでありますが、皇室があちこちにいろいろ見舞とか、奨励と称してお金をばら撒いておるわけなんです。こういうことも実際に現在の國民的な窮迫状態から見たら行わるべきことでないと思うのです。そういう意味において、我々はこの第八條規定による議決案にも反対なんであります。
  23. 木内四郎

    木内四郎君 この皇室経済法施行法の一部を改正する法律案でありますが諸物價の高騰いたしました際におきましては、それがたとえ内廷費であり、皇族費であり、或いは一般行政費でありましようとも、諸物價の高騰に従いまして適当なる改正を加えることは当然であろうと思うのであります。政府委員からいろいろ説明を伺つたところによりましても、この程度改正は妥当であると思いますので、止むを得ざるものであり、且つ妥当であると思いますので、本案に賛成いたしたいと思います。尚日本國憲法八條規定による議決案につきましても、同様の趣旨によりまして賛成いたすものであります。
  24. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 他に御発言もありませんければ、直ちに採決に入ります。皇室経済法施行法の一部を改正する法律案ならびに日本國憲法八條規定による議決案、両案を議題といたします。両案を可とせられる方の御挙手を願います。    〔挙手者多数〕
  25. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 多数であります。よつて案共多数を以て原案通り可決せられました。ちよつと速記を止めて。    〔速記中止
  26. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 速記を始めて次に、会計法の一部を改正する法律案議題にいたします。本案について御質疑がありませんようですから、質疑終了といたすことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  27. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) それでは直ちに討論に入りたいと思いますが御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり]
  28. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 御異議ないと認めます。それでは只今より討論に入ります。御意見のおありの方はお述べを願いたいと思います。  別に御発言もないようでありますから、直ちに採決に入ります。会計法の一部を改正する法律案議題といたします。本法案を可とせらるる方の御挙手を願います。    〔挙手者多数〕
  29. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 多数と認めます。よつて法案は多数を以て可決せられました。本会議におきまする委員長口頭報告の内容は御承認を得ることになつておりまするが、前例によりまして、委員長にお任せ願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  30. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 御異議ないと認めます。それから委員長が議院に提出する報告書につきまして多数意見者の御署名を附することになつておりまするから、本案を可とせられた方は順次御署名を願います。それでは速記を中止します。    〔多数意見者署名〕    午後三時五分速記中止    ——————————    午後三時四十八分速記開始
  31. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 速記を始めて下さい。本日はこれにて散会いたします。    午後三時四十九分散会  出席者は左の通り。    委員長     黒田 英雄君    理事            伊藤 保平君            波多野 鼎君    委員            木村禧八郎君            天田 勝正君            玉屋 喜章君            西川甚五郎君            松嶋 喜作君            石川 準吉君            木内 四郎君            田口政五郎君            深川タマヱ君            星   一君            小林米三郎君            高橋龍太郎君            渡邊 甚吉君            中西  功君            栗山 良夫君   政府委員    大藏事務官    (主税局國税第    一課長)    脇阪  實君    大藏事務官    (主税局官理第    一課長)    忠  佐市君