○
政府委員(
渡邊喜久造君) 私からお答えするのは聊かどうかと思います。
安定本部総務長官でも出ましてお答えした方がいいような御
質問かと思いますが、一應
簡單にお答えだけ申上げますと、おつしやるように
賃金と
物價のいわゆる惡循環と言われておるものをどこにおいて断ち切るかという点につきましては、これは現在
政府或いは日本
経済全体が一番悩んでいる問題ではないかと思います。
安定本部としましては、
基礎的な
考えとしましては、何とかして
実質賃金を
マル公物資によりまして充実することによりまして、名目
賃金の
値上りをしなくても、
実質賃金が結構なんとか、樹立できるような姿というものを、できるだけ早い機会に招來することによりまして名目
賃金が上がる。而も
生活としては何ら樂にならん。名目
賃金が上がるために外の物の値段は上らざるを得ない。こうい
つた惡循環を絶ち切りたいとかように
考えていろいろ目下策も練
つておりますし、又
関係方面ともいろいろな話合をしておるということを一
應申上げて御了承を得たいと思います。
それから
米價の
パリテイ計算の問題でございますが、
パリテイ計算を、外の物は
原價計算にな
つているのに、何故
米價に
パリテイ計算を採
つているかという点につきましては、私直接それの方の専門の者ではありませんので、正確なお答えはできませんが、恐らく今としましては、昔は御
承知のように
米價につきましても一應
原價計算で
計算した時代がございました。ただ
米價の
原價計算となりますと、御
承知のように現在の日本の
農業形態からいたしまして、
農業労働の
賃金計算というのが本当に
一つの仮定的なものになりまして、や
つておりますのは自家労働でや
つている
関係で、必らずしも雇傭労働ではない。そういう特殊事情から
考えまして、なかなか私前に
原價計算を見ておりまして、外の方で
関係したことがございますが、
原價計算的に見まして、なかなか
農業生産の
原價計算とは非常に違
つた要素が入
つて來る、それ自身として非常に問題があるというようなところから恐らく現在としましては
パリテイ計算が採られたのだろうと思います。パリティ
計算につきましてはおつしやるように闇は見込んでおりません。ただこれは工業の方面におきましても、現在において
公定價格を決めますときにおいて、闇を
前提とした
價格形成はしていない。そこにいろいろな問題があろうと思いますが、言うことが
一つあることを
考えて見なければならんと思います。それからもう
一つパリテイ計算の中には生計費も入
つておりまして、結局
賃金というものが生計費で以て
生活必需
物資に置き換えられている。
生活必需
物資の上昇
割合から
賃金というものを見て行きますと、普通の
勤労者の
賃金というものは戰前に比べまして非常に圧縮きれている姿にあるのではないか。
生活必需
物資の價絡をそのまま置き換えて
賃金の姿を見て行くということから言いますと、むしろその辺の見方は
パリテイ計算の場合の方が甘いのではないか、こうい
つたような批評をすることもありまして、又或る
程度そういう
計算も
考えられるわけで、
パリテイ計算そのものにつきましても、いろいろ
批判すべき余地はあろうと思いますが、現在としましては他に適当な
方法が見
当りませんので、一應
パリテイ計算でや
つていると、こういうことだと思います。それから現在の
米價をどう
考えるか、パリティ
計算でや
つて行
つてできた
米價がその後他の
物資がどんどん騰
つているのに、これをどう
考えるか、勿論今度の新麦、新じやがになりますと、おつしやる
計算になりますので、問題のところは要するに昨年の供出された米の問題というところだと思いますが、これにつきましては、過般の議会の御決議もありますし、それからまあいろいろ
関係方面の意見もありますし、
ちよつと私ここで申上げるのは、大体若し必要なら総務長官からお返事した方がよいので、私はここで
ちよつと申しかねるので差控えたいと思います。惡しからず……ただ
政府としてはいろいろ芦田総理が
お話しましたような線でいろいろな努力はしている、いろいろな考慮はしているということは申されますが……