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1948-06-24 第2回国会 参議院 財政及び金融委員会 第42号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年六月二十四日(木曜日)   —————————————   本日の会議に付した事件 ○所得税法の一部を改正する法律案  (内閣送付) ○國有財産法案内閣提出衆議院送  付) ○旧軍用財産の貸付及び讓渡特例等  に関する法律案内閣提出衆議院  送付)   —————————————    午前十時十五分開会
  2. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 只今より委員会開会いたします。速記を止めて。    午前十時十六分速記中止   —————————————    午後零時十四分速記開始
  3. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 速記を始めて。これより休憩に入ります。午後は二時より開会いたします。    午後零時十五分休憩   —————————————    午後二時九分開会
  4. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) これより休憩前に引続き会議を開きます。
  5. 天田勝正

    天田勝正君 第二條の関係でありますが「第九條第四項の次に次の一項を加える。」こういうことになつておりまして、農業協同組合農業協同組合連合会を筆頭といたしまして、從前は特別法人税法によつて規定されました團体がずつと並んでおるわけであります。これらは概していわゆる利益を追求する團体でなくして特に農業協同組合などは利益金を処分するなどというのでない團体のわけであります。必ずしも法人税利益があるなしということではありませんが、併しそういうことは最もこの法人税を適用するか否かの根拠となると思うわけでありますが、どうしてもこれを法人税として取立てなければならない理由をお聽きしたいと思うのでありますが、尚農業協同組合法案をここに持参しておりませんのでその通り條文を申上げることはできませんが、農業協同組合法によりますれば、農業協同組合又はその連合会に、こうした一般税金は賦課できないと私は記憶しておるわけでありますがここにかように規定いたしまして、一般法人と同様に課税するということになつた場合に法律的な解釈がどのようになるか。勿論あとから出た法律が優先するのは当然でありますが併し先の國会において、通過したばかりのものを他の法律に基いて直ちにこれを破壊するようなことになつては、いわゆる朝令暮改になる虞れがあるのでございますが、そういう法律上の解釈、又農民がこうした團体によつて、みずからが次に來たるべき農業恐慌にも対処できるという安心を持つてつたのに、他の一切の商賣と同様にこれを取扱われるということになりますると、精神的な打撃も非常に大きいのでありまして、こういう点について極めて明確にいたしませんと、非常に疑惑が起きるわけであります。こういう点に対する所感を問いたいと存じます。
  6. 脇阪實

    政府委員脇阪實君) ちよつと初めに失礼でございますが、この間お答えしましたのに、ちよつと間違がありましたので、訂正いたして置きます。それはこの間税務職員定員は五月一日で七万一千九百六十五人と申上げましたが、その後よく調査して見ましたら、そうではなくして六万九千六百七十六人でありましたから、その点誤りでありました。  それからもう一つ、この間、税務官吏を殖やす意思はないということを申上げたのでありますが、そのお尋ねを多少私は誤解しておりまして、國税査察官とかそういうものを設けたり、或いは税務署財務局を増設することについて現在の定員を殖やす意志がない、こういうのが本当でありまして、取引高税のためには大体七千人の増員を考えておるのであります。その点この間申上げたのが間違つておりましたから訂正いたして置きます。  それから只今お尋ね特別法人の問題であります。この特別法人君法を今回止めまして、そうして法人税課税することにいたしておるのであります。これは主として税法簡易化、それから課税上の手続の便宜といつたようなものが主たる目的でございます。そこで最前お尋ねのこの特別法人は、いわゆる営利法人でないのであるから、一般法人課税するのはどうも根本的に工合が惡いのではないか、こういうことであると思うのでありますが、その点は十分承知いたしておるのでありますし、その特質はこれを認めざるを得ないのでありまして、そこで最前指摘の九條第四項を入れまして、從来特別法人税課税いたしますにつきましても、事業分量に應じて配当した分配金でありますが、これは損金にいたしまして課税をいたしておらなかつたのでありますが、今回特別法人税課税するにつきましても、それをそのまま認めておるわけであります。それから、もとよりこれらの組合收益目的としておらんのでありますが、実際問題としては或る程度、或る程度でありますが、剰余金を出しまして、これを配当しておるのは事実でありまして、今申しました事業分量應ずる配当を控除したあとの本当に儲つた部分については課税しても差支ないのではないかと考えております。從來課税しておりましたのでありますが、併し今度法人税に合併いたしましても資本税はこれを外しております。超過所得税はこの提案では、從來一割を超えたものを課税しておつたものを、三割を超えたものにしておりますが、特別法人について恐らく三割以上の收益を挙げておるものは事実上ないと思います。その問題は一應掛かる建前にはなつておりますが、ならんのであります。もう一つ問題がありますのは、最前指摘農業協同組合を例にとりますと、現在所得税及び法人税を課さないという規定農業協同組合法にあるわけでありますが、それをあとの方の二十五條以下でずつと直しておるのであります。例えば二十五條農業協同組合法の一部を次のように改正するとしまして非課税規定を取つております。そうなりますとどういうことになりますかと申しますと、法人税は無論掛かるといたしまして、所得税も掛かることになります。所得税は掛かりましても、これは法人税法規定によつて当然その法人税から控除せらるべきものであります。負担は同一であると考えておるのであります。源泉で引かれた所得税は、これを法人税課税する場合に控除せられるわけであります。そうなりますと、例えば農林中金であるとか、或いは商工中央金庫といつたような金融的な業務を扱つておりますものは、有價証券を沢山持つておる。或いは預金を持つております。そうなりますと両方で掛かつた所得税法人税から引くといいましても、もう引き切れないという場合がございます。そういうものにつきましては臨時租税特別措置法登録公社債免税ということが金融機関にございます。或いは金融機関の相互の間の預金免税ということをここに指定いたしまして、実質上今言つたような引けないような場合が起らないようにすることを考えております。税率はどうかと申しますと、税率一般法人は三十五でありますが、特に附則の第八條で当分の間こういう法人については百分の二十五にしてある。前は三十五になつておりますが、指定いたしておりますものは現在の税率と同様にいたしておるのでありまして、負担関係から考えますならば、從來と全く同じであると考えて頂いてよろしいと思います。
  7. 天田勝正

    天田勝正君 先程も質問がございましたが、現在、殊に農民等におきましてこの課税均衡を欠いておるという点が最も強く反対されておる点だと私は聞いておりますが、一体特に闇所得に対しては可なりの部面まで捕捉されておるという御答弁であつたのでありますが、なかなか末端に参りますと、御答弁のようにはなつていない。そこでこれを今度適正に課税をする。又実際に闇所得であろうと、そうした收入のある者から取るということになりますと、一般の民心からいたしましても非常に好ましいことになるのでさようなことにしたいと存じましても、これは全國民が協力するということでなければ、なかなか実効は挙げられません。そこで徴税に対しまする……これは思い付きでありますが、隣組制度のようなことで闇所得を捕捉するということになれば、当然眞面目な働き方をしておる人達の課税される分がそれだけ減つて來る、こういうことになつて來ると思うわけでありますが、そうした特段の徴税機構を、徴税隣組とでも申しますか、そうした機構を作られる御意思があるかどうか、又それに代わるべき何かの特別そうした均衡を保てる徴税ができるという方法をお考えになつておられるのかどうかその点をお伺いして置きます。
  8. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 只今の御質問は、実は私共税務行政の実際問題としては最も重要視し、且つむずかしい部面一つであると考えておる方面でございまして、從つてあらゆる角度から檢討いたしまして、この問題を適切に処理するということが、負担均衡を図り、且つ廣く國民の方々から納税して頂く上において、どうしても必要じやないかという考え方におきましては全く同じ考えでございます。ところで闇と申しましてもいろいろあると思うのでございますが、本來ならば統制経済をしつかりやりまして闇をなくするというのが、これが一番私は理想だと考えるのでございます。併し闇か何か分らんが、とにかくそこに相当な利益を上げておる人がおる、こういう場合におきましては、やはりその部面に対しまして課税充実を図るということは、何としても重要なことである。その中で私共最もやはり注目すべきものは、大口利得者と言いますか、相当大きな利得者方面に対しましては、徹底的にこれは追求して見る必要があるということを考えておるわけでございまするが、或いは本委員会におきましても、他の機会に御披露申上げたかと思いまするが、今回もつぱらその方面だけの調査に從事するような担当員を相当数置きまして、世間で評判になつておる相当儲けたという噂が立つていて、なかなか調査が徹底しないというような方面に対して、徹底的に追求いたしまして、課税充実を図りたい、國税査察官というような制度を新らとく設けまして、もつぱらその方面仕事に從事させるようにいたしたいと考えておる次第でございます。尚隣組制度というお話がございましたが、こういう地域的な組織を作りましてやるということにつきましては、尚慎重考慮を要するのではないかと考えておりまするが、税法は御承知のように、それぞれ第三者通報制という規定が設けてございまして、やはりそれぞれの方面におきまして、そういう方面相当利益があつたということを相当確実に探知しておられる方は、政府に通報して頂きますれば、通報して貰うということは合法的に認められておりまするし、それに対しては一定報奨金まで支給することになつておりますが、こういう制度も余り好ましくないという評判もございまするが、現在のような経済情勢の非常に混乱した時代におきましては、大いに活用を図りまして、課税の適正を図るようにして参りたいと考えておる次第でございます。非常に小さい闇につきましてはなかなかこれ実際問題といたしまして調査は困難でございまするが、私共やはり税務機構全体につきましても、極力今調査能力充実いたしまして負担の公平を期することにつきましては、全力を傾けたいと考えておる次第でございます。
  9. 天田勝正

    天田勝正君 先程の御答弁も、今の御答弁も、皆大口闇所得を捕捉する、こういうお話がございましたが、これは私共から見ると、一体大口闇所得が捕捉できないということ自体が不思議なんであつて從つてそれはもう当然先程の御答弁通り捕捉して貰う、これは別に大口所得を私は放つたらかして置いて、他から小さい細かいことを、隣組のような組織でやるという話をしたのではないのでありまして、それは当然大口闇所得者のごときは直ぐに分らなければならん、これが捕捉できないということの方が私は不思議だと思う。そこでそういうものも捕捉するが、末端においてはそれから更に小さい、いわゆる極端に申しますると、担ぎ屋程度のものと比較いたしましても、どう考えても片方は一日千円或いは少くとも五百円という利潤を上げて來る、一方においてはまじめに何かの職業についておりましても二百円或いは百円、こういうような收入しか得られない。然るに今度はいろいろな一般租税その他、村のつき合い、町のつき合い等からの、いわば名誉税と申しますか、そうした交際に至るまで、悉くまじめに働いておる方が重くかけられる、こういう結果になつておるということで、それに対しましては、別段軍國主義時代隣組制度をそのまま復活するということではないのであります。私の申上げるのは、私の指導しておりまする農民組合の非常に強い村でありますが、ここは全部課税協力委員というようなものを作りまして、そうして大体この農業所得者に対しましても課税されて来るのは、村のそうした委員が一軒々々見て廻りまして、そこで誰が見ても、ここの家はこれだけは妥当である、それに反対すれば、じやお前のところでは実際担ぎ出しをやつておるじやないか、或いは闇賣りをやつておるじやないかということになつて、どうしてもそういう家は余計課税される、こういうような按配でやるわけであります。そこでまじめに働いておる家の人は、決してただ單なる反別割というような課税でなく、それがうまく調整される、こういう方法を取つておるところもあるわけでありまして、そういう観点からして、どうしても闇利得を捕捉しろといつても、遠くの方から税務署の役人が行つて調べるのは、隔靴掻痒の憾みがあるのでありまして、一番闇利得を知つておるのは、近所部落の者であります。從つてそういうことを軍國主義的な活用はいけないが、その村に課税されたものを是正する、その町に課税されたものを是正する、その近所でどうもあつちが非常に收入があるのに、我々の方がまじめに働いておるのに、不当な課税をされる、そういう不平がなくなるわけであります。今のままで行きますと、結局税務署が全然信用されない、こういう結果になつて申告も何もいい加減にやつてしまう、こういう結果になりますので、何らか別段そうした法律に盛り込まなくても、徴税技術の上において、これは税務署の署長ですら多少そういうことは計れる点があるので、大藏当局としては中央からそうした指令でも何でも発して、できるだけそういう民主的な團体活用するとか、何らかそういう処置を取られる御意思があるかどうかということを聞いたわけであります。
  10. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 農村方面には御指摘通り、非常に團体として有効な活躍をしておられる向きが大分あるようでございまして、こういう團体資料なり意見につきましては、税務当局も十分よく尊重してやるようにということで運用して参りたいと考えておる次第でございます。ただこれは併し結局團体員所得なり納税のことについてでございまするが、第三者につきましては、先程から申しましたように、制度といたしまして、やはり不当に税を免れておるものはお互いに。パブリックの敵だというような意味におきまして、第三者通報という制度はつきりした組織として認められておるような次第でございます。お話のような趣旨に自然に動いて行くということは、私共としまして非常に望ましいことであると考えておりましてそういう方面につきましても、よく実情に即しまして、課税充実を図るように努めて参りたいと考えておる次第でございます。
  11. 天田勝正

    天田勝正君 一應いいです。
  12. 中西功

    中西功君 さつきちよつと天田さんの質問の中で、法人税について、超過法人税はこの度は三割以上について大体取るというようになつておるから、事実上は大体取らないというふうなお話でありましたが、そういたしますと、今度の予算に租税收入として載つておる中で、超過法人税の税額は殆んど見積つてないというふうに見ていいかどうか、それをお聞きしたいのであります。
  13. 脇阪實

    政府委員脇阪實君) 最前私が申しましたのは、特別法人でございます。農業協同組合とか、水産会とか、森林組合とか、そういういわゆる何と申しますが、営利目的としないで、その会員が自分の経済的な利益を促進するためにやつておるそういう組合についての問題でございます。
  14. 中西功

    中西功君 いやそれは分りました。実はこの所得税の問題ですが、昨年の暮から今年の初めにかけまして、この所得税が非常に、更正決定が嚴しかつたということもありまして、税金問題は確かに深刻な問題になつたと思うのであります。そういうことから可なりいろいろのことが起つて來ておりますが、農業関係について言いますれば、必要経費税務署が見積るという場合に非常に機械的になされており、十分必要経費が実際には計上されていないというふうなことがあります。で私今日資料を持つておりませんので、一々具体的に言うわけには行きませんが、いろいろの点についてそういう経費が洩れておる。又殊に農業收益の図り方は、大体一反何千円の收益だと、こういうふうに決めて、画一的に一應決定される、こういうところから各人々々の所得分については非常に不公平といいますか、でこぼこが出て來て問題が起つておると思うのであります。今後この必要経費はどういうふうに見積るか、農業所得計算するときにどういうふうに今後改良を加えるつもりなのか。その点税務当局としてどう考えておるかを聞きたいと思います。
  15. 脇阪實

    政府委員脇阪實君) 農業所得計算上、その必要経費算定について、例えば牛馬の償却であるとか、或いは作業衣であるとかいつたようなものは可なり今年問題になりましたのは十分承知いたしておりまして、そこで今年も農業所得計算については、所得税法に詳しく入れてはどうかというような御意見も実はあつたのでありますが、現在の所得税法はそういつた購入費であるとか、肥料であるとか、そういつたようなものがその他必要な経費といたしまして包括的に実は書いておるのであります。それを農業だけに詳しく書きますということは、他との振り合もどうであろう、例えば農業の場合でありますと、今申上げましたようなものが差当つて今年問題になつたのでありますが、その他営業につきましてもいろいろな問題がありますので、今後その法的にはつきりするということは一應研究題目といたしまして、差当つて今年の所得算定する場合につきましては今年議論のありました点は十分一つ考慮して決めて行きたいと、かように考えております。尤もこの所得算定いたします場合に、今中西さんがおつしやつたような画一的になるということは一番避くべきであります。例えば最前指摘のありましたように、闇の所得といつたものを捕捉するという点からも非常にそれでは足りないのでありまして、ただ実際の税務の運営に当りましては、一應の標準的なものを調べまして、そうしてそれの收支計算をやつて、そうしてそれを一應の標準率として実は指導しておるのであります。それを具体的に当嵌めます場合には、無論例えば横流しがあるとか或いは不当に沢山儲けているというような場合には当然それによるわけでありますし、又その標準率によるのはどうしてもひどいというような場合には当然それ以下になるという場合も予定いたしておるのでありますが、実際問題といたしまして、ただ今年は相当急ぎました関係もあり、又数が非常に沢山ございましたので、遺憾な点があつたということは、これはどうも認めざるを得ないのでありまして、そういう方につきましては、現在異議の申出が相当出ておるのでありますが、これをできるだけ早く、大体今月中ぐらいに一應終了する。まあ非常にむずかしい問題にあるものは別といたしまして、直すべきものを直しまして、実情に應じますようなやり方によつてしたいと、そういうふうに進めておる次第でございます。
  16. 中西功

    中西功君 それと実はこの度の、そうすると農業関係所得税税收として見込まれる場合に、大体どういうふうな算定を置かれて見積もられたか、勿論これは見積りに過ぎないのでありますから、嚴密と言つても限度があると思いますが、大体どういうふうな点に見積られたか、それをちよつと聞きたいと思います。
  17. 脇阪實

    政府委員脇阪實君) ちよつと今数字がございませんので、直ぐ調べましてお答えいたします。
  18. 中西功

    中西功君 それはあとから貰うときには、少し詳細にお願いしたいと思います。それで今まで私達農業所得税関係のあれを見ておりまして、痛切に感じますのは、大体当然なことだと思いますが、財務局としても一定の予定がある、目標というものがあつて、それが各税務署單位に割当てられる、こう割当てられますと、その税務署においてやはり又割当的に税が掛かつてそういう結果自然さつき言われた必要経費を十分数えるというふうな氣持はあつたとしても、單位税務署になりますと、それを見ておる暇ができなくて、結局は上から割当て行く。割当て行く場合にさつき申しましたような画一的な、大体上中下ぐらいに分けて一反歩三千円とか四千円という收益見積つて行く。こういうことになると思うのです。ですからそういうことがですね。それと関連してどういうふうな見積りをしておられるかということを聞きたかつたのでありますが、それと実際にはどういうふうにしてこの農業関係所得税の賦課を公平にするかという問題につきましては、私二つの條件が必要だと思うのであります。これは昨年私も自分郷里で実際当面したのです。たびたび税務署に行つていろいろ交渉した結果の結論なのです。一つはさつき申しました農業所得を画一的に親切に把握してやる。特にその点で生産関係経費を十分見積つてやるという問題があると思うのです。これについては昨年の経驗を活かして十分よろしくやるつもりだというお話でありますけれども、私はやはり一應ここで、ここと言いますが今日でなくて結構なのです。政府側が一体昨年の経驗を活かしてどういうふうにこれを見積ろうとしているかということだけは、やはりここで発表して貰う必要があると思うのであります。これについては確か第二回の國会の初め頃に衆議院において、衆議院農林委員会かどつかにおいて一應決議案になつたものが出來ておつた筈です。そこにはこれこれの経費必要経費として先ず算定せよというものが十項目ぐらい入つてつたと思うのであります。でありますから、そういう実際の國会内の動きもあるわけでありますから、そういう点も参考にされて、是非これはここで必要経費見積り方、算定の仕方についてははつきりと出して貰いたい。それを是非私は要請したいと思います。第二番目は、これは徴税の取り方でありまして、先に山田さんが言われたのと同じで私重複するから言いませんが、都市の商工業所得税は、これは極めて複雑であつて、なかなかうまく行かないと思います。むずかしいと思いますが、農村においてはこれは定着しおりますし、いろいろの関係で極めて公平にやるという点では樂だと思うのであります。是非税金委員会とか、或いは税金の民主的な査定委員会というふうなものを作つて貰う、この機能や性格は大体供米における食糧調整委員会というものと同じであつてよろしいと思うのであります。そういうものを民主的に作つて貰う、これは絶対必要だと思うのであります。これをやれば税務署仕事も八割くらいはなくて省けると思う。私は郷里で実際昨年これをやりまして、ともかくも絶対額を負けさせるということはむずかしいと思いますが、その部落或いは村の中で均衡を取るという点においては、この税金委員会というものは十分役立つておる、そうしていわば農民の責任においてやらせるということもありますので、この点は是非つて貰わんといけない、このことを私は以前大藏大臣にも言つたのでありますが、解答が極めて曖昧でありましたが、その点やはり今の大藏省は、若しこの大藏省としては上からは積極的に指示しないが、自発的に下から生れ出て來た場合に、それは怪しからんといつて拒否される、のかされないのか、そういう点をはつきりお聞きして置きたいと思うのであります。
  19. 脇阪實

    政府委員脇阪實君) 從來予算上の見積りというものが税についても毎年あることはこれは当然でありますが、それを実は理屈から申しますれば税務署にどれだけある、それが寄りまして財務局にどれだけある、それから國の收入がどれだけあるということは、一應は理屈であると思うのであります。只今指摘にありましたようないろいろな問題がありますので、実は今まで例えば目標額を指示して各税務署毎これくらいは一應取られるのではないかというような予算的な目標の指示を実はしておらないのであります。ところが去年は御承知のごとく成績が非常に惡かつたのと、いろいろ関係から、どうしてもこの一應の目標を立てて、これを徴税目標を立てて努力せしめるというような必要になつたわけでありまして、昨年初めてその目標額を指示したのでありますが、これは決してそのこれだけを取らなければならんとか、或いは是非これだけがどうあつても徴収すべきものであるというような意味ではなく、割当ではありませんので、我々が予算を見積りましたときを基本とするならば、少くともこの程度税法通り課税したならば徴収できるのではないかと思われる、こういう目標を実は與えられたわけであります。そういつた目標のために今御指摘のような或いは弊害もあつたかも知れませんし、実は考えられるのでありますが、そういつた事情であつたのであります。併しその場合におきましても少くとも租税法律の命ずるところによつてやるべきものでありまして、例えば國法が苛斂誅求するとか何とかいうようなことを勿論要求したわけでも何でもないのであります。その点は一應御了承をお願いしたいと思うのであります。  次に、いわゆる農家の課税の問題でありますが、御指摘のように農家というのは経済が單純でありますので、非常に愼重にやらなければならんわけであります。そうでありませんと直ぐに不公平というものが目につくということは御指摘通りであります。そこで今年も最前申上げましたような一應の標準を作る。それを一應の標準といたしまして、例えばそれ以外に所得のある者は相当見るというようにしてやつたのでありますが、或る場合にはやはりいろいろな関係税務職員が慣れていないとか、或いは人手が足りないとか、或いは年末から年始にかけて非常に急ぎました関係上、遺憾の点があつたことは誠に申訳ないと思つておるのであります。  そこで調査委員会の問題でありますが、実は昨年まで所得調査委員会というものがあつたのは御承知の通りであります。ところが昨年予算申告納税制度になりまして、自分で予算をして、そうして自分計算をして税金を納める、こういう制度になりました関係上、いわゆる民主的な方法に改めました関係上、從來のように税務署が一方的に決めて、そうしてこれを査定するというような必要がありませんでありますから、いわゆる所得調査委員会というものが必要ないんじやないかというので止められたわけでございます。ただこれを今直ちに復活するかどうか、或いはこれに代るべきものを置いてはどうかということになりますと、これは現在の制度としては困難ではないかと実は考えております。実は今のところこれを設ける考えはないのであります。ただ御指摘のような所得状況といつたものは、殊に農村におきましては非常に開放的でありまして、可なり近所或いは一般の人がよく知つておるわけでありますので、現在國税協力委員というものを設けておりますが、こういつたものを十分に活用する。それから又いわゆる農民組合であるとかその他の團体意見も十分参酌して意見徴して、そうしてやつて課税充実適正を図つて行くのが適当ではないか、その方面考えて見たいと、かように考えておる次第でございます。
  20. 中西功

    中西功君 先のお話では、民主的なそういう税金査定委員会とか或いは税金委員会というものは設ける意思はない。現在税金協力委員というふうなものがあるから、まあそれを活用すると、いうふうなお話でしたが、私のお聽きしたのは、実は昨年もこの問題が非常にややこしい問題になつたのでありまして、そうして各地におきまして実際に民主的な團体、納税者團体、そういうふうなものが、税金についての團体交渉権を認めよという要求を出して、そうして税務署に掛合つてつた。或る税務署ではそれを事実上止めたという所もあります。又或る所では言葉の綾でありますが、そういう民主的な團体意見をよく聞いて、そうして税の公正を期す、こういうふうな意味で協力を求めるというふうな状態になつた所もあります。実際にこれは大きな税金が掛けられて来る農村なんかでは、特にこの必要が出て來るのです。それは私がお聽きしたのは、そういうふうに実際には種々の形の民主團体において税務署と協力してやろうとする体制が出て來ると思うのです。そういうものが出て來たときにこれを非合法だと称して潰してしまうという氣なのか、それともそれが効果があるというふうな点が見えたら、効果があるということがはつきりつておる場合には、これを大体既存の事実として一應認めて置くというふうになされるのか、どちらか。要するにそういうことは今後起つて來るのです。起つて來た場合これを結局ぶつこわしてしまうというつもりなのかどうかという点なんです。
  21. 脇阪實

    政府委員脇阪實君) 只今最前お答えいたしましたように、いわゆる從來ありましたような所得調査委員会を設けるという考えは今のところないということは先程申上げた通りであります。ところがそこで、それでは課税の適正を期するのにどうするかということになりますと、最前申しましたように、いわゆる團体意見は十分参酌することにしたいし、又國税協力委員会もありますから、それを拡充して行きたい。こういうふうに考えておるわけであります。課税上の團体の事情については、昨年度の課税に当りまして相当問題のあつたことは十分承知しております。税務当局といたしましては、いわゆる正当な眞面目な團体意見を出されるということは、十分我々はこれを尊重し、これを参考として課税の適正を図つて行くという、そういうように指導をいたしております。ただ納税に関しまして、例えば團体と協定するとか、或いは國体員の一人々々の税額を決めるとか、或いは課税標準を決めてしまうということは、これはどうも申告納税制度、或いは所得税そのものの建前から言つて適当でないと考えます。ただ最前申しましたような團体に対しては積極的に協力を求めまして、そうしてできるだけ公正な課税のできるように運用するということは勿論そういうように考えておる次第であります。
  22. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) ちよつと御交渉ですが……
  23. 中西功

    中西功君 もう一つ……。
  24. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 又何しますから……。
  25. 中西功

    中西功君 序でだからね。
  26. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) ちよつと、採決したら、それから直ぐにあとを続けますから……ちよつと税法の御質問は中止いたしまして、この場合國有財産法案及び旧軍用財産の貸付及び讓渡の特別等に関する法律案につきまして御審議を願いたいのですが、これはすでに質疑終了の御決議に相成つておりますので、直ちに討論に移ります。御意見のおありの方はどうぞ。
  27. 天田勝正

    天田勝正君 両案一括ですか。
  28. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 一括して討論に入ります。御意見のおありのお方はお述べを願いたいと思います。
  29. 天田勝正

    天田勝正君 この両法案につきましては、特に旧軍用財産貸付及び讓渡特例等に関する法律でありますが、これは法律的なこの規定よりもむしろこの運用に当つて非常にやり方によつては弊害が起きるのでありまして、この点についていろいろと質問がございましたが、十分にそれが満足さるべき答弁ばかりではなかつたと私は記憶しております。併しながらかような特例の法律ができませんと、その処置に困難でございますので、この運用に当つては特に格段の御注意をして臨まれんことをば希望いたしまして賛成いたします。
  30. 中西功

    中西功君 私はこの質疑のときに國有財産の中に動産を入れるべきである、こういうふうな意見を申したのでありますが、まあそのことについては政府部内においてもそういう意見があつたというふうなお話でありましたが、ともかくも法案には入つていないということであります。これはいろいろ事情があります。今日不正取引とか或いは不当取引とかいつて、いろいろ、問題になつております中の一部分は、言わば國有財産として一應入つたものがいつの間にかそれがいわば不当に拂下げられた。或いは不当に取得されたりしておるものが大部分だと思うのです。今日國会においてあれ程大きく隠退藏物資問題や、或いは今日の不当取引問題が問題になつておるとき、この國有財産法が出され、而もその中に動産についての何ら規定がないというふうなことはです、実に私達見ておつてこれはいかんじやないかと思うのです。何も私はこの國有財産法でごうやつて出て來る法文全体が惡いとかよいとかいうことは申したくないのでありますが、やはりそうしたものを入れて貰わなければ、今日の世に役に立たんというふうな意味で、まあ本來ならば、実際は動産を入れるという修正案を出したいところなんであります。併し皆様の御意向がどうか知れませんが、私は是非共これは少くとも動産を入れると、これは二條でありますが、入れるということだけはして貰わなければ大体役に立たん國有財産法になりはせんかと思う。そういう意味で私としては一應修正意見を述べるわけであります。
  31. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 速記を止めて。    〔速記中止
  32. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 速記を始めて。
  33. 中西功

    中西功君 私の修正案は國有財産法の第二條第二項に八として、その他主要な動産という字句を加えるということであります。
  34. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 他に御発言もなければ討論は終結したものと見なして、直ちに裁決に入りたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  35. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 御異議ないと認めます。  國有財産法案及び旧軍用財産の貸付及び讓渡特例等に関する法律案につきまして裁決をいたします。先ず中西君提出の修正案を議題といたします。本修正案を当委員会の修正案といたすことに御賛成の方の御挙手を願います。    〔挙手者少数〕
  36. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 少数であります。よつて中西君提出の修正案は否決されました。  次に、原案全部を議題といたします。両案に賛成のお方の御挙手を願います。    〔挙手者多数〕
  37. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 多数と認めます。よつて本案は多数を以て原案通り可決せられました。  次に、委員長の口頭報告の内容は例によつて委員長にお委せを願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  38. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 御異議ないと認めます。それから委員長が議院に提出する報告書について、多数意見者の、御署名をすることになつておりますから、本案を可とせられた方は順次御署名を願います。    〔多数意見者署名〕
  39. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 署名漏れはありませんか。
  40. 中西功

    中西功君 委員長報告の中で私は少数意見なんか別にありませんから。
  41. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 速記を止めて。    〔速記中止
  42. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 速記を始めて。それではこれより再び所得税法の一部を改正する等の法律案を議題といたします。質疑の続行を願います。
  43. 脇阪實

    政府委員脇阪實君) 最前中西さんからお尋ね農業所得税をどういうふうに算定しているかということについてお答えをいたします。昭和二十二年の予算の場合に推定いたしまして、その後予算の実行をして見まして、大体これと近いものでありますが、昨年の所得は大体農業だけで申しますと、一人当りが二万九千円くらいになります。総額におきまして一千四百六十九億円くらいになつております。実際の課税はそれより多少少かつたかもしれませんが、ほぼこれに近いものであります。本年はまだ麦の價格もよく分かつておりません。米の價格もまだ十分に分かつておりませんが、今年は而も今度物價が改訂されるわけでありましてなかなかその見積り困難でありますが、大体今年は肥料も昨年よりは配給が多くなつている筈でありまして、それから米麦なんかにつきましては一割増産ということが努力されております関係上、大体生産の増が五%くらいはあるだろうと見ております。物價はマル公は大体七割ということになつておりますが、併し米ばかりでありませんし、野菜もあります。それから野菜なんかになりますと、この七月から上りましても半年しかございません。そういう事情を考えまして、大体三割四分くらい上る。價格が三割四分くらい去年より平均して殖えるのじやないか。誠に米の値段が決つておりませんので、僣越なことでありますが、大体そう推定いたしました。そういたしますと、大体全体の所得においては二千七十億円くらいになる。これを大体把握できる所得にいたしました。これから基礎控除或いは扶養控除、こういうようにして算定いたしている次第であります。
  44. 天田勝正

    天田勝正君 中西委員質問の点を除きまして極く簡單に質疑いたします。農家に課税する場合におきまして、或る一定の標準を設けるこういうことは必ずしも惡い面ばかりではないのでありまして、いい面もあるのでありますから、かような標準を持たれるということには別に反対はいたしません。ただ御承知の通り農家はその土地土地によつて非常に收穫も違い、所得もえらい違いがあるわけなのでありまして、こうしたことについては極く数多くの細分をいたして地域的に、つまり換言いたしますれば関東地方とか東北地方とか、そうしただけの細分法でなくして、更に関東ならば沖積層の土壤のところはどうであるか、洪積層の土壤のところはどうであるかという工合に、又作付の種類によつて違うとか、いろいろとこうした細かい細分をして標準を設けませんと、その適正が期せられないわけでありますが、この標準を作られる場合にどのくらいの個所について実際に調べて標準を作られたのかどうか。それから農業所得のこの計算の場合におきまして、私は直接税務署に参りませんが、代理の者をやつたところによりますと、中間生産物も悉く所得の中に入れている。中間生産物というのは、勿論藁であるとか桑葉であるとか、こういうものでありますが、農家に取つては藁とか桑葉というものは中間生産物でありまして最終生産物として金が懷ろに入るという筋合のものではないわけであります。こうしたものを一々中間生産物まで所得に加算されますると、厖大な所得ということになつて、それが要するに非常に農家に対する税が重いという声が出る元なんであります。從つて桑を育てるということは、繭を取つてこれを賣つた場合に、これは所得と見る。或いは藁でも、決して全部所得と見るなという意見ではないのでありまするが、これは叺にして賣つたとか、繩にして賣つたとかということであれば、初めて所得になるのでありまして、これがただおいた場合には堆肥の原料になるというだけなんであります。若しこれを中間生産物も今のように所得と見るという場合には、堆肥代というものを、厖大に今度に差引の方に見なければならん、こういうことが起きて参りますので、この中間生産物は絶対に今後は所得と見なして貰いたくない希望でありますが、すでに過ぎたことを咎めるわけではありません。現在これから課税される点については、どのようにお考えになつておられるか。それから農家の所得の中心というのは、何といつても米價であります。勿論今日は関東地方においては、收入総額が、米價が一番重きをなしておるという意味ではありません。農産物を決定する中心が、何といつても米價であるという意味でありますが、そこでこの米價というものは、過日の新聞発表を見ますると、他の物價の改訂に当つては、生産費を基準として、これを改訂するけれども、米價においては依然としてパリティ計算を用いるのだということで、この委員会の御答弁もさような趣旨であつたと思います。このパリテイ計算に対する答弁は私は満足いたしておりませんが、仮に國家の現状からいたしまして、パリティ計算を採用する、といたしましたならば、農家に対して、米の供出を二月末日なら末日という工合に、期限付きでこれを指定いたしております。然らばその基礎となる。パリテイの七十一品目なり、今年は更に数を殖やしてとるそうでありますがそうした基準になつた品物も、やはり農家の米の供出日までに必ず農家の手許に入るという計算でなければ、如何に計算が上手でも成り立たないということになると思うのであります。これは安本の政府委員に質すべき筋合でございますが、私はここでお聞きしたいのは、こうした一方は生産費計算によつて物價が決定され、一方はパリティ計算によつて決定されて、又闇値等は順次高進して行く。そうすると一年一度の收入によりまして値上りの品物を買わなければならないという、農家の家計というものは非常に苦しくなりますし、再生産に非常に苦しみが出て來るわけであります。こういう点について、課税上どのように考えておられるかということであります。もう一点は、先程來私も中西委員も述べた点でありますが、いろいろその衝に当つておりますれば、やはり國家財政として一定の基準までは徴收しなければならない、こういうふうにお考えになるのは尤もでありますが、農民に相当徴税の公平を期するという点でありますが、その公正を期するという扱いを委しても、さしたる間違いは起きないという実例は私はかねての農地調整法に基いた一筆調査の点でも経驗したのでありますが、あれに基いて各町村とも、所によつては一ケ村今までの申告よりも百何十町歩も余計に、要するに闇土地があつたというような所もありますけれども、私共の村では一反一畝もそうした闇土地がなかつた。又去年などのこの米收の調査に当りましても、むしろ食糧事務所の人の査定よりも、村の人にやらした方が余計になつた。こういう例もあるのでありまして、相当責任を持たせれば、まだまだ農村の方達は相当眞面目に、そういう御心配になるような点はないと思うのでありまして、こういう点については、やはり重ねて十分民主的な機関を利用されるようにして貰いたいということを要望し、決して法律を改正しろ云々ではありませんが、この運用にとつて、隣りの家がどうであるとか、こういうところが農村の納税の氣持を非常に阻害するのでありますから、やはり部落單位に、相当廣範囲にお委せ願うというような点を、更に考慮して頂きたい。最後のは別に質問ではございません。以上お伺いいたします。
  45. 脇阪實

    政府委員脇阪實君) 藁であるとか或いは桑であるとかといつたような副産物につきましても、昨年の課税について多少問題があつたことは、承知いたしております。そこで副收入の問題でありますが、從來ずつと前にも、或いは藁なんかを見ておりましたかも知れませんが、大したものでない。副收入というものは必らずしも、ずつと前には見ておらなかつたものもあるように記憶いたしておりますが、最近副收入所得というものは可なり大きいのであります。必らずしも業態によつて同じとは言えませんが、例えば酒屋さんの酒粕でも、昔だつたら本当に些細なものでありましたが、最近はなかなか非常に値打のあるものである。こういつたように、大分副收入のウエートが違つてつておるものが相当ございますので、副收入だからといつて課税の外に置くということは無論できませんし、又そういう御意見ではなかつたように記憶しておりますが、併し例えば堆肥の藁であるとか、或いは養蚕をするところの桑であるとかといつたようなものにつきましては、それは二重の課税になつておるということは私も考えておりますが、尚よく調査して見たいと考えております。若しそれを二重に所得計算しておるというようなことであつたならば、それは私は適当でないと思われます。それから。パリティ計算の問題でありましたが、これはインフレ時代における一つの悩みとでも申しますか、尤も昨年のパリテイ計算の米價の問題が、なかなか決め方が、私詳しくは承知いたしませんが、なかなか復雜な決め方であつたように記憶しております。又最近このパリテイ計算の問題と関連して、例えば今回の値上げに基く米價還元の問題というようなものも起つておる。そういうふうに私聞いておりますが、そういうわけでありますので、例えば或る所得を得てから次の所得が発生するまでに相当の期間があるというような農業なんかにつきましては、その間にあける物價の変動、生活費その他の費用の高騰によりまして、相当困難な面もあると思いますが、現在のところ、課税上これを特に斟酌しておることはございません。尤も農業は、所得税法によりましても、一年に一回しか生じない所得が大部分であるというような場合におきましては、所得税を一回に納めるということを認めておるのであります。そういうわけでありますので、税法上は特別な規定も取扱いもしておりません。  それから査定の問題でありますが、これは最前中西さんのお尋ねに対してお答えいたしましたように、いわゆる税金だけをまけるというようなことでなくて、いわゆる経済的なまじめな團体の御意見なり、或いは國税調査員なんかの意見、そういつたものは本当に参考にして、そうして課税の適正を図つて行くということは最前申上げた通りであります。御指摘のように今申しました國税調査員であるとか、協力員であるとかいつたような團体というものは、いわゆる都市の俸給生活者であるというものには必しも当て嵌りませんことは御指摘通りでありまして、これはやはり農家であるとか、農村方面におきましては私はそれの御意見を参考にする、或いはそれを尊重するということが課税の適正を期するゆえんともなりますし、從つて國税の徴収を確保する面からも極めて大切なことだと考えておるのでありまして、現に昨年の実際を見ましても、そういつた方面の連絡なり予備構作と申しますか、予備的な了解がついておるところは非常に円滑に実は納税もできておるわけでありまして、是非そういつた方については積極的に進めたいと考えております。
  46. 天田勝正

    天田勝正君 第一の質問でありました標準をつける場合に地域を非常に廣汎にとつて、つまり全國を何千というくらい……ここではこうだというふうに取らなければ、その標準が非常に場所によつて重い、或いは場所によつては軽いということができはせんか、その標準を取るというお話があつたから、その標準はどのように区分して取られたかということを先ずお聞きしたのであります。  それから先程の副産物というお答えがありましたが、私は副産物はやはり課税すべきだと私も思つておるのですけれども、縄にし、莚にしたというものは、これは金が入るし、入らなくても買えばそれだけかかるのであるから、これはいいといたしまして藁等は要するにこれは堆肥となるのだ、こういう中間生産物も見積られておる、ないといえばそれまでです。私は実情を知つておるからそういうことを申上げるのであつて、こういうものは絶対に中間生津物、つまり賣つて金に替らないものについては課税の対象にして貰いたくないというのが私の希望であつて、そういうことは元来幾ら幾らを標準にしろということが末端まで行つた場合に、とかく誤まられて、これまでは取らなくちやならないのだからここまで勘定しなくちやならないということにも私は間違えられておりはしないかというふうに、これは好意的に解釈した場合でありますが、そういう点について、もつと大藏当局としては末端に、決してその標準をやつたということは、無理にこれだけ取上げろということではないのだというように、徹底する指令を一つ出して頂きたいということを希望いたして置きます。  パリテイ計算の点は、今ここで方式をお互い論じても仕方がありませんが、これは別の機会にいたしますが、そうした今の中間生産物だけの点は是非御考慮願つてこの機会に、次は、できればこうするということをお答えできれば結構でありますが、それができないとすれば一應の希望だけ述べて置きます。
  47. 脇阪實

    政府委員脇阪實君) 大変失礼いたしました。最前標準率のことを忘れまして失礼いたしました。大体標準率は私の承知いたしております範囲では各税務署が各町村、ことに大体少くとも取つておると思います。それは最前申しました目標額とは違うのでありますが、例えば反当りの普通の收穫があり、普通の経費を使つておればこのくらいであるというその一反当りなら一反当り、或いはまあ、大体一反当りが多いと思いますが、それを例えば單作地帶はこうである二毛件のところは勿論別にしております。みかんはみかん、れんこんはれんこん、ぶどうはぶどうというようにそれは種類ごとに細かく分けております。大体農地につきましても町村としてはAの町村とBの町村とが大体同じであるというのであれば、これは一緒にして置くことも考えられますが、大体町村單位考えております。
  48. 深川タマヱ

    ○深川タマヱ君 法人税のことに関して三つお尋ねがございます。  第一番は、個人の所得の場合は、所得の大小によりまして税率を異にしておりますが、法人の場合は原則につきまして申しますと、法人税の場合はそれぞれ各事業年度の超過所得に対しましては若干税率を異にしておりますが、各事業年度の普通所得の場合には一律に百分の三十五とか二十五とかいうことは決つておりますが、これでは高額の所得のある法人に対して非常に優遇する形になつておると思います。この趣旨をお伺いするのが一つ。  それから第二番目には、内國法人でも外國法人でも今回一應百分の三十五一になつておるのでありますけれども、これは個人の所得の場合は一万円乃至三万円の場合も税率は同じでありますが、法人という形になりますと相当所得は高額なものでありますので、この、個人の所得に比べて相当税率が安いように思います。これは日本の政策といたしまして、個人として資本を蓄積することはできるだけ抑制いたしまして、法人の形で資本を善積することを奬励する方向に向つておるのでありますか。そうだといたしますと、やはり個人が持つておるよりも法人の形で財産を持つておることが税金の掛り方が少ないために、自然そつちに流れて行つて脱税するということにもなりますし、これはこの形が長く行われますと、経済の民主化の手前、集中排除ということとは一体どういう関係になるか。もう一つは、從來法人税が非常に重い。そのために法人税を完全に納めてしまつたならば再生産が困難だというようなことを聞きまして、それ故に今年も税率が大分下つたのだと思いますけれども、ここに現われておる税率は必ずしもそう高くはないようでありますが、これに続いて勿論地方税が掛かかり、寄附金が掛かつたりしますが、そういうようなものは個人の所得の場合でも同じことで、この程度税率でどういう事情で法人税を納めてしまつたら再生産が困難になるという事情になるのか。こういうことについてお伺いしたいと思います。
  49. 脇阪實

    政府委員脇阪實君) 高額所得は個人につきましては累進税率をやつておるのに、法人については累進税率をやつていない。これはその通りでありますが結局これは從來の沿革もございまするし、又本質は法人の企業そのものの本質にあると思うのであります。実は午前中もその点についてちよつとお話し申上げたのでありますが、その法人と個人の所得税を二重に掛けることは二重課税ではないかというような議論さえも実はあるのでありまして、法人を個人並みに課税するということがその法人がその儲けました所得を配当いたします。配当いたしますと、やはり個人の所得税が累進的に掛かるわけでありまして、それは如何にも酷なわけであります。つまり法人で儲けましても、これは当然賞與に出るとか、或いは配当で出るとかいうわけでありますので、その両方にその所得の大小に應じて累進税を掛けるということは法人の性質から見て適当ではないかと考えます。尤もイギリスのように、例えば法人については税金を全然掛けない。個人は原則として掛けるのであつて法人については個人の税金から控除するというような行き方もありますが、それでは法人の独立権利、その点に鑑みて適当でないと思いますが、両方に累進税で課税しますというと、結局法人企業が経済的に見ますならば個人に繋がつておるわけでありまして、その点は酷ではないかと考えられます。ただ御指摘のように非常に配当もしない、賞與もやらない。そうして蓄積をする、こういうものにつきましては問題があるわけでありますが、こういうことをやる者は主として同族会社に多いと思います。いわゆる一流の大きな会社が一銭の配当もしない、一銭の賞與もやらない、專ら会社に蓄積してしまうというようなことは少いと思います。それで同族会社につきましては、特に三十五條であつたと記憶いたしますが、個人に殆んど匹敵する課税といたしまして、そうして個人との間の均衡を取るようにいたしております。今度の改正で法人と個人との関係はどうなるであろうか、ということを計算して見ましたところ、例えば資本金二十万円の会社が仮に五十万円の利益を挙げたといたします。勿論同属会社でありますが、この場合のことを考えて見ますというと、結局まだ法人の方が少し高いようであります。法人企業にした場合が高いやに考えられまして、法人の場合でありますというと、個人の配当所得まで入れまして大体三十四万円程度になりますのに対して、個人が二十万円の資本で五十万円の利益を得たとしますと、地方税も全部合せて三十万円そこそこではないかと思う。法人の方が重いのではないかと考えておりますので、まあこの程度でいいのではないかとかように考えております。そういうわけで、結局まだ法人の方が今申しました資料から見ましても、まだ重いのではないかという議論が実は相当あるのでありまして、今度の改正でも三十にしたらどうかというような御意見は可なり各方面から拜聽いたしておるのでありますが、現在の財政事情として、又勤労所得者その他の人が相当重い負担に任じて貰わなければならん時でありますので、法人税を下げるということはどうかと思いまして三十五は据置いた次第であります。尤も超過所得税だけは変えました。それはどういう点かと申しますと、最近できました会社は別といたしまして、大部分の会社というものは資本金が最近著しく小さくなつております。前の会社だものでありますから……。從いまして、ちよつと実は資産價格としては一千万円なり二千万円なりというものが、実は帳簿價格では五七万円とか或いは百万円とかこうなつておるわけでありまして、今の物價で商賣をいたしますと、非常に儲かる。儲かるが、そうなりますと、一割を超えたときに殆んど税金で取られてしまう、こういうことになりますので、そういつた画も考えまして超過所得を止めるということは、今御指摘のようなどんどん蓄めるというような会社もありますので、止めるということは適当でないと思いましたけれども、例えばそういう特に脱税をする目的で蓄積をするのでない普通の会社であつても、資本金は小さいために、三割なり五割なりの利益が出る。こういうものに現在の超過所得税を掛けるということは余りに負担が多過ぎるのではないかと考えます。で、地方税は一應法人税を掛ける場合の所得からは控除することにはなつておりますが、それが大体営業税が、今度事業税になるのでありますが、最低が一五%であります。東京なんかで申しますと、一五%の外に都市計画税三%、少くとも一八%の課税をいたしております。從いまして例えば今度でも三割を超えて儲けますと三五%の普通税、普通所得に対する税金、そこへ一〇%の超過税、そこへ少くともまあ一五%乃至一八%の税金、それからまあその外に都民税も掛かるわけでありますが、その外に今申しました特に脱税と申しますか、租税逋脱のような目的で留保すると認められる同族会社、それについては個人と同じような最低二五から最高八%の加算税が附いて來るわけであります。でありますから、法人租税負担は可なり重いと実は思つております。殊に今申しますように、結局所得が個人に行くものと考えますならば、やはり軽いとは言えない、かように考えております。從いまして、集中排除といつたような点の御指摘もありましたが、法人税のために集中排除に直ぐに関係があるというようなことは余りないかと思います。尤も法人税を余り安くしますと、今御指摘しました点から、法人になるものが殖えるかと思いますけれども、結局同族会社の加算規定もありますし、そう法人にしたから課税が安くなるというようなことは、実は考えられないと思つております。
  50. 山田佐一

    ○山田佐一君 只今例に挙げられました十八万円の会社で一千万円もあるというのでありまするが、いわゆる脱税を捕捉する意味におきまして、概観的に見て十八万円の会社が今日一千万円ある、こうすれば、一昨年財産税を決定したそれを基準に行きますれば、参闇利得というものは直ちに捕捉できると思うのであります。併し一方政治的に考えますると、十八万円の会社に一千万円のものがあつてこの超過所得をば、百万円を超すものが百分の八十で、今度却つて税率が上つております。これに捕捉の意味を以て罰金……何というか追徴税というかそれを課せられたら、その会社は破産するのは当然だと思います。こういうものに対してはどういう当局は御処置を採りますか。嚴格な意味において、脱税捕捉の意味においてやりましたならば、今日の状態において殆んど私は随分各所に破産、倒産が出ると思いまするが、どのような処置になさるお見込か承わりたいと思います。
  51. 脇阪實

    政府委員脇阪實君) 御指摘のような例えば十八万円の会社が千万円も或いは脱税をしておるというようなことがありますと、これはどうも破産に近いように実はなります。尤も税法から行きまして、そういうことになればこれは致し方ありませんので、なるべく一つ脱税のないようにして頂きたいと思うのでありまして、実際それがそうなつて、見付かつてやればなりますが、これはどうも致し方ないと思つておるのであります。今までの例で見ましても、相当小さい会社でありまして脱税のために全く参るに近いようなものも実はできておるやに聞いておりますが、どうも余り脱税のないように実はして貰わないと……今度超過所得税を軽減いたしましたけれども、併し十八万円の会社が二百万円も三百万円も儲けておりますと、殆んどあの程度では軽減にならないのです。仮に一割を三割、二割を五割にいたしましても、それはもう例えば二十万円の会社が十万円儲けておるとか、八万円儲けておるというようなときには、可なり軽減になると思いますけれども、なかなか資本の何十倍も儲けるというようなときには、響かないのでないかと思つておりますので、そういつた面から見ますと、或いはもつと超過所得税も軽減した方がよいかも知れませんが、又他面最前指摘のような実は脱税というものは、相当これは嚴重に取締らなければならんのであります。尤も今御指摘のような場合には、実は資本是正の問題が大きく根本にあるのでないかと思うのであります。その問題につきましては、今度税制改正をする場合も実はいろいろ考えてみたのでありますが、税務だけで資本是正をするということは実は適当でないのでありまして、この資本の評價換えをいたしますと、どうしても減價償却も殖やさなければなりませんし、それに伴つてその減價償却を物價に入れる、こういうことになりますと、物價全体、経済全体の実は大きな問題になつて來るわけであります。尤もそういつたようなことが、法律上資本是正が正式に取上げられて、資本の是正が行われるということになりますならば、我々といたしましても税務上、税法上のその一時的な処置に対しては、苛酷にならないような特別の措置を考えるということには、やぶさかでないのでありますけれども、今回の改正では各方面意見も交換いたしましたけれども、今直ぐに資本の是正をやるというまでの実は見込みがないのであります。そういう問題がありますので、御指摘のように資本と実際と非常に喰い違つておるものがありますが、今回の超過所得税の改正だけでは、なかなか問題は解決しないことになるのでありますけれども、今回の改正では全体の問題として取上げるまでに実は至らなかつたのであります。
  52. 山田佐一

    ○山田佐一君 大分当局の苦しいところはお察しいたしまするが、今日の時代におきまして脱税を捕捉する、捕えるという意味におきまして困難だとおつしやるが、併し概観的に見て捕まるものはいくらもあると思います。私一つの例を申上げまするというと、三百万円の同族会社が、これが設備拡張をいたしますときに商工省へ申請をいたしまするのに、余り沢山な借入金だと認可が來ない、自己資金でやるというような申請をいたしまして、自己資金で認可を取つたのであります。而して拡張する資金が三百万円の資本金で、実際に要るのが一億円、ところが財産税が一昨年決定を受けておりまするから、今回の一億円が借金なしで行くということになりますると、何千万円という脱税になるのであります。而して復金に金を借りようとしても申請のときに自己資金でやるとしたのだからいけない、非常なジレンマに陷つておりまして、税務署はそれを以て脱税を捕捉いたしますると、その事業は頓挫してしまう。殆んど全部吐き出しても足りんというようなことになるのであります。情において私は忍びないのでありますが、こういうものは何とか秘法の取扱の上においてもう少しどうか考慮して頂きたい。これは儲けた人間だから取るのが当り前ではないかという御議論ですというと、私は今日の経済駅態においては非常にあると思います。闇利得をした、或いは担ぎ屋で行くとか何とかいうものは、あれはできないかも知れませんが、相当の事業家といたしまするというと、儲けた銭は又直ぐに事業に使つてつておるのでありますから、これを調べて見まするというと、同族会社というものは今日設備ができた、何したといつて國の再生産には寄與しておりますけれども、税法の上から行くというと再生産をば止めてしまうような結果になる、何とかこの辺の処置がもう少し合法的に行けるようにしたらどうか、若し税務署の人がこれを捕えるといたしますと、業者はあらゆる方法を以てこれの揉み消し運動をいたします。ここにおいて善良なる税務署員においても法に触れるというようなことが自然に出て來ると私は思うのです。法がすべてそういう方に落ちて行くように作つてあると思うのです。この辺に対して、もう少し善処する御意思があるかどうか。
  53. 脇阪實

    政府委員脇阪實君) どうも脱税ということになればいたし方ないと実は考えております。
  54. 深川タマヱ

    ○深川タマヱ君 昨晩遅くまでかかりまして與党三派の予算に対する協議が行われておりましたけれども、やはり所詮新財源について行き悩みの形でありますけれども、今年は間に合わなくても、私次年度からの予算で非常に着目しなければならないことはお酒の税金だと思うのであります。今までも内地の芋を材料にしてお酒を造ることについてはよく言われた人がありますけれども、それでなく、内地の食糧を減らさないでお酒を造るのです。ジャバあたりに砂糖が沢山余つておるそうでありますので、あの糖蜜を輸入して貰つて、後で酒を造つて沢山飲んで貰えば、相当新財源が入ると思うのですが、それを懇請しなければいけないのですけれども、それの見通しは如何なんでございましよう。これは大きい財源に目を着けませんで、細かい細工をして國民大衆を苦しめても仕方がないと思うのです。その点はどうなんでございましよう。
  55. 脇阪實

    政府委員脇阪實君) 実はこの点については、我々も酒を最近のように減らすということは、密造が殖えるばかりでありますし、又衛生上からも甚だよくありませんので、何とかして酒を殖やしたい。殖やしますれば税率をそう上げなくても、実は國庫收入が、相当値段も安くて、而も收入が殖えるということになりますので、実はこの間も二万トンの糖蜜を入れて二十数億円増收をしたいと考えて、いろいろ研究したのでありますが、いろいろな事情で実は沙汰止みになつたような次第でございますが、併し御指摘のような糖蜜で酒を造るというようなことができますれば、誠に私は、燃料の点から見ましても、いいかと思うのでありまして、御承知のように芋で造る場合と、糖蜜で造る場合とは、遙かに糖蜜の場合が石炭その他の燃料から見ても少いと聞いております。そういつた点もありますので、是非それが実現できるように実は努力したいと考えている次第であります。
  56. 中西功

    中西功君 さつき農業関係所得税について十分民主團体意見は聽くと、こういうふうな話でありましたが、今度の所得税法の一部改正案の中で、國税犯則取締法が追加されておるのであります。これを見ますと、いろいろな点でこれは非常な問題になります。私達この法律があるために非常に善意な、税金の公平を期するという活動や、或いは主張も、結局は不当な彈圧によつて屠られてしまうということを感ずるのでありますが、これについて私は、第一点はなぜこういうふうな取締法を必要としたかという点、それから更に民主團体がこの税金問題についていろいろ動くということは、この取締法と牴触するのかしないのか。更に直接の問題といたしましては、税務署の中に全財という組合があります。この組合は大衆課税に対しても反対しておりますし、又いろいろ税金を民主的に徴収するという点について意見を述べております。或いはそれについての活動もやると思いますが、そうした活動が、それならばこの度の取締法に牴触するのかしないのか、更に我々共産党は、御存じのように昨年納税問題についても、農民や、或いは中小工業者に掛つて來た不当な更正決定というものがあつた場合には、それを是正するために非常な活動をしておるのでありますが、そういう非常に具体的な話であります。我々の党のそういうふうな活動と、今度の取締法とが、どういう関連があつて、それが牴触するのかしないのかということ、その点はつきり述べて頂きたいと思います。
  57. 脇阪實

    政府委員脇阪實君) 最前申しましたのは、眞面目な團体、いわゆる減給とか反税とかいつたようなことばかりを目的とするのではなくして、例えば農業組合、或いは商工会議所とかいつたような、そういう團体意見は十分尊重すると、こう申上げたので、それについてはその通であります。ただ今度間接國秘犯則者処分法を改正いたしまして、調査権限を多少拡張いたしておりますのと、最後に規定を入れましたのは、いわゆる食糧管理法の規定と同じような考え方で、納税或いは申告の阻害されることのないように、実はそういう目的で入れたのでございます。それで具体的に今御指摘のような問題が触れるかどうかという問題になりますと、例えば今申されたような全財が例えば大衆課税というようなものはよくないのだというようなことは、別に触れないと考えます。ここに書いてありますのは、申告を出すなとか、或いは納税をするということを具体的に妨げたことを指すものと考えております。
  58. 中西功

    中西功君 それで私これは非常に大きな問題だと思うのです。これについて私達十分な質疑をしたいと思つております。それでさつき私が頼みました農業所得税務署として把握する場合に、必要経費をどういうふうに見るか、これはもう昨年の経驗で可なりはつきりしたものができなければならんと思うのです。それでその範囲をどういうふうに考えているか、これをやはりはつきり出して貰わなければ、実際に困ると思うのです。この次の機会に私はこれについて詳しく質疑したいと思います。それともう一つ、先の國税犯則取締法については、もつと具体的ないろいろの事例を挙げて私質疑いたしますので、両方の質疑をこの次の機会に延ばしたいと思います。
  59. 山田佐一

    ○山田佐一君 罰則も嚴重になりましたし、脱税と見れば仕方がないという御答弁ですが、一應の理屈から言えばその通りでありますが、併し今度は前年に財産税という一つの基準があるのですから、これは調べるというと非常な問題があるのです。而も告発した者には幾らかの何が來るということで、私は日本の國民性という上においても、人のことを告発するというようなのはよろしくないと思うので、何とかここに過渡的の処置をして頂くわけには行きませんか。過小資本であつた十八万円の人も、今日は資金調整法はとれたのでありますから、ここで増資することはたやすくできるのである。過渡的に何とかして貰わんと、事業をやつている者は、いつ何どき税務署に乘込まれて自分の財産が飛んでしまうか分らない。非常に不安なものでありますから、何とか過渡的な処置というものを講じて貰いませんと、事業家は常に不安な状態にあるのです。  一度誰か惡い人間になり、或いはその社員の中に意見を異にして退職した人間があつて告発する、そうするとその会社は潰れてしまうことになりますから、御当局にしても、分ればやる、いつても、実際はやれないのではなかかと思います。その前におつしやつたように、十八万円の会社で一千万円のものがある。この会社が九百何十万あるとしても、一千万円というものは納まらんということになるので、そういう点もう少し今日の経済状態を考慮して何とかして頂かなければ、業者はいつまでも不安なものを持つていなければならん。或いは一度昨年の所得が決定したものは、それで済むのか、今ままで行くと、その決定したものでも、本年になつても、昨年の決定が不服なりとすれば税務署が取れるのだろうと思いますが、そういたしますと、大体時効が五年間ですか何年間ですか、それが済むまで業者は更に安心できんという状態でありますから、何かその辺に対して善処される御意見はないか、伺いたい。
  60. 脇阪實

    政府委員脇阪實君) 最前申しました、私が十八万円の会社が一千万円持つておるというのは、実は脱税をしておるという意味で申したのではないのでありまして、実は十八万の帳簿價格、帳面についておるものは十八万円しかございませんけれども、今の時價にすれば一千万円の値打がある。從つてこれを運用した場合に一千万円を元とした利益が出て参りますので、そういうような場合になかなか得なことがあるというようなことを実は申上げたのでありまして、十八万円の会社が一千万円の脱税をしておるという意味ではないのであります。尤も今御指摘のような点も、本当に眞面目に案は考えなければならん問題であると思いまして、理財局その他とも相当愼重に考究したのでありますが、まあ一つ考え方としては、或る程度増資をして頂くということも、これは一つ考え方であります。そうなりますと、やはり税金の問題が案は出て参ります。若し資産の評價益をして資本に拂い込むということになりますと、その場合に税金が掛かります。そこで若し現在資本の是正を一般的にやるならば、税法上特別の措置を講ずることは、これは吝かではないのでありますが、今申しました、丁度まだ企業整備の進行中でありますので、債権者その他との関係もありますし、今すぐに資本の是正をするということは、物價の面から見ても非常に問題だというわけでありますから、それで暫く延ばすより仕方がないのではないか、こういうような結論になつた考えます。
  61. 山田佐一

    ○山田佐一君 それは私は遁辞であつて、十八万円の資本金で一千万円の資産があるということは脱税ではないとおつしやるが、今日でこそ資金を調整法の許可がないのでありますが、五万円以上、或いは二十万円以上というものは、必らず資金調整法の許可を受けなければ使えない。十八万円の会社に九百八十二万円ですか、これはどこかの貸主がなければならない。債権者があるか。或いはそれを税務署は本当の資産調査で九百何十万円のものとしておつたか。その前に借りておつたならば、資金調整法の許可なくして、資金調整法の違反だつたと思う。これはどこから突つ込んで行つても、正当なもので十八万円の会社に一千万円のものがあるわけはないと思うのです。その辺は当局は分つておるだろうと思いますけれども、何とか善処の方法を講じて貰わんというと、事業界は本当に安定せんのじやないかと思います。
  62. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) ちよつと速記を止めて。    〔速記中止
  63. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) それでは速記を始めて。
  64. 森下政一

    政府委員(森下政一君) 山田さんのいろいろ実例を挙げての御質問がありましたが、大藏省考え方として、先程から天田さんに主税局の方から答えておりましたが、こういう精神が流れておることを了解して貰いたいと思います。つまり税金を納めるということは個人の問題、そこで何の某の税金が不当であるとか、不当でないかということについての交渉というものは、一対一の個人的な應待によつてどこまでも話をして行こう。ところが或る特定の個人の税金の問題を捉えて、それを納めるなというような、それを阻止するような團体的交渉ということには應じたくない。こういう考え方なのであります。眞面目な團体税金の問題を取り上げて、例えば取引高税というものは惡税である。そんなものは取らないがよいといつたような、こういう意見を述べる。これは眞面目に耳を傾けなければならん。そういう考え方が大藏省の主税局に一貫してある。こう了解して欲しいと思います。
  65. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) それでは本日はこの程度にいたして散会することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  66. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 明日は軍事公債の利子支拂の特例に関する法律案を先ず最初に御審議願いたいと思つておりますから、どうぞそのおつもりで……。それでは本日はこれにて散会いたします。    午後四時六分散会  出席者は左の通り。    委員長     黒田 英雄君    理事      伊藤 保平君    委員            天田 勝正君            西川甚五郎君            松嶋 喜作君            山田 佐一君            石川 準吉君           尾形六郎兵衞君            木内 四郎君            田口政五郎君            深川タマヱ君            星   一君            九鬼紋十郎君            小林米三郎君            小宮山常吉君            西郷吉之助君            高橋龍太郎君            渡邊 甚吉君            中西  功君            栗山 良夫君   政府委員    大藏政務次官  森下 政一君    大藏事務官    (主税局長)  平田敬一郎君    大藏事務官    (主税局國税第    一課長)    脇阪  實君    経済安定本部財    政金融局次長  渡邊喜久造君