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1948-06-22 第2回国会 参議院 財政及び金融委員会 第41号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年六月二十二日(火曜日)    午後一時四十九分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○所得税法の一部を改正する等の法律  案(内閣送付) ○國有財産法案内閣提出、衆議院送  付) ○旧軍用財産貸付及び讓渡特例等  に関する法律案内閣提出、衆議院  送付) ○地方自治法第百五十六條第四項の規  定に基き、財務局及び税務署の増設  に関し承認を求める件(内閣送付)   —————————————
  2. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) それではこれより委員会を開会いたします。本日は先ず所得税法の一部を改正する等の法律案議題にいたしまして御審議を願いたいと思います。すでに提案理由の説明はあつたのでありますから、御質問のおありの方は御質疑を願いたいと思います。
  3. 西川甚五郎

    西川甚五郎君 先ず最初に伺いたいと思いますのは、今回の改正によりまして、取引税かいろいろの税法もできまして、一相当徴收手数が掛かると思うのでありますが、それにつきまして、現在最近この財務局税務署増加もありまするが、これだけのいろいろな煩雜なる手数を要しまするものに対して、現在の徴税員徴税税務署方々が大変少いという話でありまするが、現在の定員不足数、或いは又將來この所得税改正によつて徴税に要するところの人員はどれくらいであるかということを一應承わりたいと思います。
  4. 脇阪實

    政府委員脇阪實君) お答えいたします。現在五月一日の調べによりますというと、定員が七万一千人でございます。それに対しまして、大体現在充足しておりますのは五万人でありまして、二万一千人ばかり不足をいたしておる状況でございます。で、最近の状況を見ますというと、なかなかその税務の方へ人を寄せるということは、待遇その他の関係或いは仕事性質から見まして、なかなか困難な面もあるかと考えております。できるだけ民間における経驗者であるとかいうような者も採用しております。直ぐに二級官にするというような相当経驗者採用いたしております。又新らしく学校を出ました者につきましても、できるだけ採用努力をいたしておるのでありますが、これは税務職員待遇の問題もありまするので、それらにつきましても、今回の職階制を実施する場合に、税務職員については相当優遇をするという方向になつておることは御承知通りでございます。それで特來の問題であります。るが、今後取引高税ができ、又本年の税政二千大喜億もなかなかその徴収については容易でな。いと思うのでありまして、その点につきましては、我々といたしましては先ず新らしい職員採用について、努力することは勿論でありまするが、同時に私達の見るところによりますというと、優秀なる官吏というものが遺憾ながら少いのでありまして、例えば今から七、八年前のことを考えますと、誠にその点について遺憾な点があると思いますので、御承知のごとく昨年高等財務講習所を設けまして、それが税務において相当の経歴を持つた者を目下訓練しておるのでございますが、それが大体二年間という予定になつておりましたが、それをできれば今年の終り頃には第一線に出て貰つたらどうかというような考えを持つております。それが一つと、それから今度尚今年は税務講習所であるとか、或いは税務講習といつたようなものについて特に力を入れて、或いは通信教育制度を開催いたしますとか、或いは短期講習会を強力に実施するというようにいたしまして、できるだけこの事務に練達な者を養成して行くという方向へ、その方に重点をむしろ置くべきではないかと考えておるのでございます。尤も新らしい職員採用するにつきましても努力はいたしますが、何を申しましても、今申すような訓練制度を強化しまして、優秀な税務官吏を沢山作つて行くという方向に向いて、行くならば、私の考えでは現在の七万一千人という定員をそう少いものでないと考えておるのでございます。目下のどころこの定員だけを増加しようというような考えは持つておりません。むしろ有能な、職務のよく分つた優秀な税務官吏を以てできるだけ充実する、こういう方向考えておる次第でございます。
  5. 西川甚五郎

    西川甚五郎君 ちよつとお伺いしたいですが、昨年から大分財務関係方々の俸給が悪いとか待遇惡いというように申しますが、どういう関係惡いでしようか。
  6. 脇阪實

    政府委員脇阪實君) それは結局税務の特質によるところが相当あるのではないかと考えられます。或いは言葉が過ぎるかも知れませんが、仕事が嫌だと言つて惡いですが、そういつた方面仕事がありますところへ持つて來で、御承知のように、最近給與制度というものは全官吏一体となつておりますので、例えば特に税務官吏だけ早くするとか、或いは職階級をよくする  というようなことはなかなかできかねる状況でございまして、併し昨年以來税務特別手当を御承認願つております。又今度職階制において、例えば一割なり或いは二割なり相当優遇されるということになりますと、必ず集まつて來る、又仕事をして貰えるというように考えておる次第でございます。
  7. 九鬼紋十郎

    九鬼紋十郎君 ちよつと質問したいのですが、今地方税務署には隨分年齢の若い、二十一二というような税務官吏がいるのですが、大体平均年齢とか、或いは二十五才以下の年齢の人がどれくらいあるといつたような調査はできておりませんか。
  8. 脇阪實

    政府委員脇阪實君) 多少資料は古うございますが、昨年の十月一日によりますというと、これは本官だけの三級官、二級官の問題でありますが、そのときは実人員が一万九千人でございました。最前申しました五万人というのは雇員も皆入れましたものでございまして、これは本官だけでございます。いわゆる実際徴税権利を持つてつておる職員でございますが、それが一万九千五十人ありました。その中で二十歳未満の者が千四十七人、二十歳から二十五歳までが七千六百九十六人、三十五歳から三十歳までが三千九百二十四人でありまして、三十歳以下の者が六割六分程に相成つております。
  9. 九鬼紋十郎

    九鬼紋十郎君 その外にいわゆる雇といつたような人があるわけなのですが、非常に年齢が若いので、実際の社会情勢が十分に分つていないというようなところがあつて、非常に態度にしても乱暴なところがあるし、或いは実際の所得といつたようなものが十分に掴めないような嫌いがあるのではないかと思います。そういつたような点については、相当経驗のある年齢相当年齢に達した職員を成るべく沢山使つて貰うようにして、收税の適正を図つて頂きたいと思トつのですが、そういつたようなことについての政府の方の御意見は如何でしようか。
  10. 脇阪實

    政府委員脇阪實君) その点につきましては、私達も常々留意しておるところでございますが、おつしやる通り、どうしても経驗も少く、視野の点についても遺憾な点があり、どうしても今おつしやるような点がありますので、そこで最前申しましたように、新らしい職員を、つまり若い職員ということになりますが、これをどんどん採るということも必ずしも私は税務行政を円滑に執行して行くゆえんではないと考えておるのでございます。最前申しましたように、高等財務講習所であるとか、或いは現在おる職員を優遇して、而も短期講習であるとか、或いは通信教育制度を布くというようにして、できるだけ能率を高く、又摩擦の少いように円滑に執行できるというように、数の充実というよりもむしろ質の充実をして行くということが、私は徴税成績を挙げる上に一番大事ではないかと考えておるのであります。今年は特にその点について留意し努力して見たいと考えておる次第でございます。
  11. 天田勝正

    天田勝正君 第一條の中なのですが、ページ言つた方分り易いからページで申しますが、八ページの最後から三行目に「同居親族」云々とありますが、これが非常にいつも問題になるわけなのですが、一体すべて個人々々が他の法律で、例えば民法とかで認められるようになつて來たのに、この税の適用だけをどうしてこの同居親族を全部一緒に計算しなければならないかたがたによつていろいろ実は弊害が起きなければよろしいのでありますが、例えば地方で今一番困つておる教員などですが、その子弟学校へ出すというと、その子弟給料が全部税金増加によつて消えてしもうというようなことになつて、今頻りと教員が退職しつつあるということになつておるわけなんで、そういう点をなぜこうしなければならないかということと、それを全然一人前の独立した給料を取るようになつた者は、各個人々々で計算するようにした場合に、どれだけ國庫收入が減るのか、そういう点がお分りでしたらお伺いしたいと思います。
  12. 脇阪實

    政府委員脇阪實君) 所得税におきまして合算をするということにつきましては、この間大藏省で官民その他経驗者の方で御審議を願いました税制懇談会におきましても相当な問題がございました。又私達が接しております可なり方面において合算制度を止めてはどうかどいうような声を聞くのであります。又今御指摘のような、例えば農家家族の一人が産業組合に出ているとか或いは学校先生をしておるという場合に、著しく負担が重くなる、こういう声を実は聞いておるのでございます。併し今回の税制改正におきまして、原則として合算制度を止めるということは、外の法律では家族制度というものはなくなつておるのでございますが、税の負担という面から見ますと、やはり原則としては、家族の数が同じであるならば、所得の多い方が負担力はあるのではないか。又例えば配当の所得でありますとか、或いは営業の所得でありますとか、或いは貸家の所得というようなことになりますと、その間合算課税を止めるということになりますと、負担の公正という点から見ても適当ではありませんし、又例えば株式の名義をちよつと書換えれば直ぐに分離課税になつてしもうというような点がありまして、負担公正の面から見ても適当ではない、やはり所得税としては合算をするという建前が当然であるというような考えで今回改めることはしなかつたのであります。併しながら今御指摘のような問題のありますのは、主として勤労所得の問題かと考えておるのでございます。それでありますので、今度改正をいたしました点が二つございます。第一点について申しますと、從來事業所得があります、例えば農家なら農業所得がありまして、その中の家族の一人が学校先生なり或いは産業組合へ出ておるというような勤労所得があつたような場合には、基礎控除は四千八百円しか認めておりませんでした。ところが今度の改正で、その場合におきましても、事業所得について一万五千円、それから勤労所得について一万五千円、合せて三万円基礎控除をするというように改めたのが一つでございます。それからもう一つは、これはこの点だけについて改めたわけではございませんが、基礎控除を御承知のごとく四千八百円から一万五千円に拡張いたしました。そういう関係で、この合算の問題も……全体としては合算を止めるということはいたしませんでしたが、御指摘のような場合は相当軽減になるのではないかと考えております。即ちこれを例を以て考えますと、現在勤労所得が三人、親と子供二人が勤労所得があるというような場合でございますと、勤労控除の二割五分がありますから、一万九千二百円から課税ということになります。それが今度の改正によりますと、六万円から課税ということになりますから、相当その間緩和されたのではないか、こういうように考えております。それからもう一つは、例えば家が農家であつて事業所得があつて、そうして息子さんが一人勤労所得がある、学校先生をしておるというような場合でございますと、現在でございますと、その勤労所得の二割五分控除を入れましても、六千四百円から税金が掛かることになつておりますが、今度の改正案によりますと三万五千円から課税ということになります。從いまして、その三万五千円なり、最前申しました六万円を引いた後に課税される、こういうことになりますので、相当緩和されたのではないか、かように考えておる次第でございます。
  13. 山田佐一

    山田佐一君 船舶取得税というのはどのくらいでございますか。
  14. 脇阪實

    政府委員脇阪實君) 船舶取得税は実は國税ではございませんで、地方税になつておるのでございます。今回の地方税改正では、私の記憶に間違いなければ府縣としては一〇%、それから市町村として一〇%、合せて二〇%ではないかと考えております。
  15. 山田佐一

    山田佐一君 さように私も聞いておるのですけれども、これはやはり國家承認でやるのですか、地方自治でやるのですか。
  16. 脇阪實

    政府委員脇阪實君) 今度は地方税法に規定されると考えております。
  17. 山田佐一

    山田佐一君 地方税の方はこの委員会に掛からんわけでございますね。
  18. 脇阪實

    政府委員脇阪實君) さようでございます。
  19. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) ちよつと速記を止めて。    午後二時十三分速記中止   —————————————    午後二時五十六分速記開始
  20. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 速記を始めて下さい。國有財産法案、旧軍用財産貸付及び讓渡特例等に関する法律案議題にいたしまして、御質疑を伺いたいと思います。
  21. 中西功

    中西功君 國有財産についての基礎的な問題ですが、終戰後國有財産については非常に大きな変化があつたと思うのでありますが、大雜把に見てどのような変化があつたか。ここに國有財産種類別区分別数量及び價格調という資料が來ておりますが、この大体の数字について、終戰後において起つた主なる変化について説明して頂きたいと思います。
  22. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) お手許に大藏省所管雑種財産額調という統計表を差上げてございますが、その中に旧大藏省所管財産といたしまして載つけている分が、いわゆる終戰前までの大藏省所管として管轄しておりました、いわゆる收益財産である雜種財産の総額であります。その後終戰によつて陸海軍所管財産であつて、それが公用廃止によつてつて参りました数量金額は、その第一の欄に載せてあります。元陸海軍所管財産数量價格が入つております。更にその次の欄の元航空局所管財産、それからその次の兵器等製造事業特別助成法に基く財産、それからこの欄には載つけてございませんけれども、更に財産税によりまして物納された財産、これが終戰後入つて來た主だつた大藏省所管財産の大体のものになつております。そうしてその中どれが一番大きな数量金額を占めておるかと申上げますれば、申すまでもなく元陸海軍所管財産であり、その次に続くのが物納財産でございまして、陸海軍所管財産はここに書いてあります通り土地立木竹建物工作物機械器具船舶鉱業権、こういつたものになつておりますが、取分け非常に從來と変化がございましたのは、船舶機械器具、こういつたのが殆んど前の旧大藏省所管にはないものが非常に大きな数量金額となつてつて参つたという点が非常な変化でございます。更に財産税物納によつて入りましたものの中には土地建物もございますけれども、更に物納價証券株式その他の有價証券が可なり金額上つてつて参つた。そこで非常に変つた傾向として大雜把に申上げますれば、終戰前の旧大藏省所管雜種財産としては、若干の土地建物政府出資であるところの株式と、これが大藏省所管のいわゆる雜種財産であつたんでありますが、終戰後は今申した通り数量においては莫大なる土地建物、それから船舶軍工廠等にあります機械器具、更に物納財産によつて物納有價証券というものが非常に沢山入つて参つた金額数量から申上げますれば、旧大藏省所管財産というものは現在大藏省所管しております雜種財産の中でほんの数%を占めるに過ぎない、大部分というものは終戰後大藏省所管になつた雜種財産がその大部分を占めている、こういうことに相成る次第であります。
  23. 中西功

    中西功君 これは実に幼稚な質問なんですが、終戰前にこういうふうに元陸海軍所管財産とか航空局所管財産とか、或いは大藏省所管財産とかいうように分れておつたわけでありますが、これがやはり一應官有財産といいますか、國有財産といいますか、そういう点では一應同じだつたと思うんでありますが、それでこの度終戰後になつてこういう國有財産というふうな統一されたものができた、当然形式上において差はあるわけでありますが、実質的に終戰前のこういうふうな財産の持ち方、それから終戰後の新らしい國有財産というものとの間に、内容の上において、即ちさつきいわれたような意味ではなくして、取扱方とか、或いはそれが持つ経済的な性質とか、そういう点について顯著な差異が現にあるかどうか、又あると自覚されてやつておられるかどうか。その点をお聞きしたいと思います。
  24. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) 只今お尋ね性格的にどういうふうに國有財産終戰前終戰後において変つたかというお尋ねであると思うのでありますが、これは全く一変したと申上げてよろしいと思うんでございまして、元その大部分陸海軍所管財産となつておりますものは、いわゆる旧陸海軍軍事目的その他の公用に使つておりましたいわゆる國有財産の法上の分類で申しますれば公用財産という性格を持つておいたわけであります。從つてこれは國の事業にこれを使うということであつて、それを勝手に処分したり或いは貸付けたりすることができない性格のものであつたわけでございますが、終戰によりまして、これらの財産の大部分というものはいわゆる公用を廃止されまして、國有財産法でいう雜種財産という形になりまして、これはいわゆる收益財産でございまして、この收益財産については、大藏省といたしましては一つ歳入目的にこれを充てて、できるだけ國庫收入にこれを充当して行くという面と、戰後の民生安定或いほ経済復興、こういつた面だけからこれを活用するんじやなくて、もつと廣い見地から自由に処分できる性格のものに相成つたという点が非常な性格上の変化であろうと思うのであります。
  25. 中西功

    中西功君 そういたしますと、國鉄事業或いはその他政府事業相当あると思いますがそういうものはどこに区別されておるのでありますか。
  26. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) 今國鉄或いは逓信或いは專賣、造幣等のいわゆる現業官廳でございますが…これが持つておる財産は現在においてもやはり依然として公用財産ということになつております。但し会計が違いますので、一般会計から特別会計にこういう財産を移すというような場合は、これは原則として有償ということに相成つておりますので、元陸海軍所管財産で一旦大藏省に來ましたものの中で、相当部分これらの現業官廳、殊に運輸省関係においては相当大きな財産が向うに管理換えという形式で行つております。又管理換えの正式の手続までは履まずに、一時使用というような恰好において目下整理中のものもございますが、数量金額において相当厖大なものが、鉄道とか逓信とか現業官廳所管換えされて行つておる雜種財産であつたものが、今度は鉄道逓信等に移りますれば、そちらの公用財産ということに変つて参るわけであります。
  27. 中西功

    中西功君 そうしますと、終戰前と後と比較いたしまして、今性格的の差があつたと言われるのは、國有財産そのものについて大きな変化があつたこと、即ちその取扱ついで変化があつたということじやなくて、元陸海軍所管財産は、公用財産であつたの雜種財産に変つたというふうな点だけだと思われます。私思いますのに、國有財産というふうになつて行くためには、今まで各官廳で、いわば陸軍或いは航空局というふうなところで相当自由に勝手に処分し、或る種のいわば独自性といいますか、勝手なことができたというふうなことが、今度は完全に改められて、一つの共通した國有財産として統一的にこうしたものが包含され、又処分され、運営されて行くというふうな点に終戰後の大きな変化を我々は見出さなければいかんじやないかというような氣がするんですが、そういう点はどうでしようか。
  28. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) 終戰前まで軍が勝手にその所管國有財産をどうにもできたじやないか、今度終戰後になつてそういつた勝手なことができなくなつて大藏省で統一的にやれるようになつたのではないか、こういうお尋ねであると思います。その点はちよつと或いはお考え違いになつているのではないかと思うのですが、例えば軍が軍用地に充てるというようなことで、民間土地建物等相当強制的に買上げたりしたといつた部面もございますので、そういつたふうに民間のものを軍用財産にするためには可なり思い切つて自由にやつた面もございます。一旦公用財産となつたものを、軍だからといつて、勝手にこれを処分するということは、終戰前においてもこれは絶対できない問題でございまして、公用に使つておる面については、或る程度軍そのもの自分財産管理ですから、これを例えば甲の軍事目的から乙の軍事目的に使うというような面は、陸海軍將校独自の見解でできたのでありますが、更にこれを賣飛ばすとか、外に貸付けるということは、公用財産という性格上全然それは許されておりませんので、そういつたものを外に拂下げるとか、貸付けるとかいういわゆる收益目的に使うという場合には、一旦これを雜種財産という恰好に落して、そうしてこれは大藏省に引継いだ上に、大藏省でこれを統一的にやらなくてはならん、これは終戰前においても終戰後においても同じでございます。たたそういつた統一的に大藏省処分するいわゆる雜種財産の量というものが、陸海軍財産公用廃止によつて終戰後非常に沢山な量のものが大藏省に入つで参りましたので、現在においては、終戰前のちつぽけな財産総理大臣として大藏大臣管理処分しておつたのとは非常に違つた、もつと大きな見地から綜合的に管理運用処分することができるようになつた、こういうことは申せると思うのですが、終戰以前において、陸海軍が勝手に何か自分財産だからといつて、どうにでもできたのではないかというお考え方は、お考えちよつと違うのではないかと思います。
  29. 中西功

    中西功君 それならば、新らしい憲法の通り民主的な方向日本が向つているというふうな見地から見て、今國有財産管理しておる人々は以前とは違つたというふうな点をどこに見出して、新らしい方法に副うて行こうとしているのか、そういう点を私は実はお聞きしたかつたのです。
  30. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) その点は、終戰前終戰後財産に対する運用方針その他は全く一変したと申してよろしいと思います。以前におきましては、こういつた軍用財産でございますから、軍事目的一点張りで可なり無理なやり方もやつて來たように私考えておりまするが、終戰後におきましては、これを一括雜種財産として大藏省に引継がれたわけでありますから、大藏省といたしましては、これらの財産を最も刻下の急務である民生安定、或いは経済再建、或いは更に財政收入の確保、こういう面から総轄大臣として綜合的にこれを管理運用或いは処分することができるようになつた。この点は以前とはまるつきり違つた性格を持つようになつた考えられるのであります。
  31. 中西功

    中西功君 少しも違つていないでしよう。ただ軍関係のものを一應大藏省管轄に移したというだけに過ぎない。それならば、以前だつて軍はこれを日本國力発展のために使つておるのだと言つてつたと思うので、そういう言葉だけなら同じだと思います。それで具体的にどういうふうな点が違つておるか、こういうふうな新らしいやり方をしておりますと、こういうものが何かなければならんと思うのです。ただ單に軍関係のものを大藏省関係に移して、それを民生安定のためにとか何とかいうような言葉は幾らでも使える、軍だつてもつとよい言葉使つたかも知れんと思う。それを私はお聞きしたいのです。
  32. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) その点は單に言葉の上だけではございませんで、現に大藏省に引継いだ後の処分は、旧軍用財産であつた國有財産処分は、連合軍側から勝手に処分してはいけないという指令もございましたので、当初の間はこれを正式に貸付けたり正式に賣拂つたりすることが差止められておつたわけでございます。段々向うからそういつた関係も解除せらるることに相成りまして、現在においては、台帳價格において二十万円未滿の財産、それは土地建物立木竹に一應限られておりますが、土地建物立木竹台帳價格が二十万円未滿のものについては、大藏大臣にその処分の権限が委されてございます。二十万円を超えるものにつきましては、一々個別的に連合軍の方に申請を出しまして、その許可を受けた上でこれが貸付なり或いは賣拂いができるどいうことに現在なつておるわけでございます。船舶につきましても大体同様の向うの包括的な承認を得ております。ただ機械と有價証券につきましては、有價証券は又別個の見地からですが、機械につきましては、賠償物件という大部分が賠償指定工場内にある機械であるという見地から、賠償の範囲がまだ決まらんという関係で、今包括的にこれを処分してよいという許可は得ておりません。それから株式につきましても、これは別個の見地から、完全に日本政府に或る程度包括的に任せるということはいけないから、個別的に申請をしろということになつて、これ亦個別的に許可を得る必要が現在でもあるわけでございますが、そういつたふうに一應これを処分するということにつきましては差止められておつた関係もございまして、そうかといつてこれを放擲して置くということは、日本の民生安定の点、経済再建の点からいつても勿論好ましくない。放つて置きますと段々盗難に遭つたり荒されたりするというような面もございまして、この面につきましては逸早く、例えば官廳で使用するというものについては官廳に対して一時使用を與え、或いは引揚者、戰災者等の住宅に困つておるというものにつきましては、公共團体なり或いは引揚者の團体にこれを優先的に使わすということで、旧軍用財産轉活用調というのに大体の項目だけ載せて置きましたが、戰災学校等につきましても、当該学校の申出等によりまして早速戰災学校等にこれを使わすという点で、この包括的承認が來る前におきましても、一時使用許可という行政処分によりまして、厖大な旧軍用財産を遊ばせて置くというようなことのないようにするという面で鋭意努力して参つたような次第であります。幸い現在におきましては、先程申上げた土地建物立木竹、これについては或る程度包括的な権限が大藏大臣に委せられておりますので、最近の國家の財政需要等も考慮に入れまして、國が必ずしも持つておる必要がないものにつきましては、これを処分して財政收入の有力な財源にするという点と、必ずしも財源の見地からのみこれを処分するのは適当でないというものにつきましては、公共團体或いは学校その他の社会事業といつた面に、これが活用を図るという点に意を用いまして、單に言葉の上での民生安定なり或いは経済再建ばかりではございません。その他水産業とか畜産一業とか、或いは紡績とか製塩とか、こういつた方面にも十分活用さしておる状況でございます。
  33. 中西功

    中西功君 それで私はちよつと意見を述べますけれども、終戰後になつて非常に変つた点は二通りあると思うのです。マイナスの面を考えれば、一般に國有財産というふうなものについての扱つておる人々の考え方が極めて無責任だつたと私は思うのです。これを本当に立派に國有財産として保護して行こう、或いは本当に活用して行こうというふうな氣持よりも、むしろこれはどうでもいい、早く民間拂下げてやつてもいいのだとか、或いは早く処分した方がいいとか、或いは一時の財政的な收支にこれを使つた方がいいとかいうふうなもので、無責任な考え方が非常に多いと思う。で、その点私達としましては、國有財産である以上、而もこれは國民の財産であつて、それを大藏省なり政府はとにかく代つて管理しておるのでありますから、その点十分な行届いた氣持で以てこれを管理して行く、或いは運営して行くという点が非常に薄い。これは終戰後いろいろこの問題に絡んで起つて來た事件がよく示しておると思うのであります。で、一つお聞きしますが、大藏省として本当にここに挙げられた目録の國有財産について今まで実際に調査されたことを再調査されたかどうか。特にここに営林財産として森林、土地のあれがありますが、こういうふうなものを台帳の上だけでなくて調べられたかどううか。今普通に言われておることは、台帳の上に一町とあればそれは実際には三町も四町もあるというのが普通の見方です。それからこれは北海道でもどこでも具体的の事実はありますが、これは國有財産だ、國有土地だというのが大体向うじや知つておる。これを拂下げするとか、或いはこれを公共用に向うで使うという場合に、こちらに來て見ると帳簿に載つていない。いわゆる大藏省の帳簿には載つていないというふうな場合が多々あると思うのです。その点、これは昔もあつたのでしようが、併し今は特に拂下げ処分が簡單に可能であるというような事情も手傳つて、非常に乱雜になつておるという点は私顯著に見られると思うのです。その一つの例として、今までにおいて、そういうものについて或る程度再調査して、実際台帳面と十分合せて、台帳と違つていたら訂正するとか、そういうことをなさつておるかどうか、それを聞きたいと思います。
  34. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) 旧軍用財産につきましては、これは御案内だと思いますが、終戰当時の例の軍の指令等もございまして、元はちやんとした台帳等を実測に合して作つてつたものがございましたのですが、それが全部焼煙却されてしまつた、こういつた事情もございまして、その後若干旧軍用財産に携わつてつた者大藏省に迭つて貰いまして、地方の部局等も逐次整理いたしまして、なくなつた台帳の再檢討、実測による再檢討をずつと続けて参つておりますが、未だ所望の完全なところにまでは至つておりませんが、全然なくなつた資料をこの厖大な、而も非常に各地に散在しておるものを完全なものに作り上げるのには、まだ若干の期日掛かるのじやないかと思いますが、大藏省といたしましては、鋭意その点はお示しの通り一日も早く実測と合して立派な台帳を作り上げることに今全力を挙げてやつておるような次第でございます。
  35. 中西功

    中西功君 では、それはやられる氣持はあるかとも思いますけれども、我々が実情を見ますと、現実はそうじやなくして、ますます反対の方向へ行つておるというふうな氣がします。具体的にもう一つ聞きますと、以前の皇室財で今國有財産ということになつておると思いますが、これが一つの例を引きますと、神宮の持つてつた学校土地というふうなものは、これは確か國有財産に編入されたと思うのです。ところが、最近になりまして、その神宮学館の土地建物を再び神宮が持つて、そしてそれを貸すとか、貸してまあいわば賃貸料を取るというふうな事例があると思うのです。これは私赤坂離宮がどういうふうに処置されているか、これはよく知りません。が併し、実際に國有財産に編入されたものがいつの間にか又元の所有主に変つておる。そして而も、それが神宮皇学館のよう場合においては、わざわざ賃貸料を取ろうとするような、取り得るような形態で、元のところへ還りつつあるというふうなことを聞いておるのですが、そういうことは一体どうなのでしようか。
  36. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) 今例に挙げられました神宮皇学館の例でございますが、あれは終戰前といいますか、向うの指令が出るまで、いわゆる政教分離の指令が出るまでは、いわゆる内務省所管公用財産、神宮境内地は内務省所管公用財産という形においてあたわけでございますが、政教分離の指令でもう紳祉の境内地も公用財用の性格にして置いてはいけない、お寺と同じように雜種財産としてこれは大藏省に移すべきだということになりまして、現在大藏省所管雜種財産ということになつておるのでございますが、社寺有の境内地には昨年五月二日に社寺境内地に関する法律が出まして、これにつきましては別個の見地から、つまり以前から社寺有の境内地であつたということが証明付くものについては、一定限度を限つてただで社寺側に返してやる、その証明が付かんものにつきましては半額で賣拂いしてやる、それから一定限度を超えるものにつきましては、これはもう時價で一般並みに賣拂うという法律が昨年の五月二日に出まして、今年の五月一日まで一ケ年間の申請期間を設けられて、この五月一日で申請を締切つたわけでございますが、この神宮皇学館の跡もつまり社寺境内地ということになつておりまして、境内地の」部を神宮皇学館という公用に使つてつた、こういうわけでございますが、あの跡を有償で貸しているのじやないかというのは何か誤解じやないかと考えます。それはこの間例の宇治山田に博覧会がございました際に、市としてはあすこの跡を博覧会の会場に一時使わして呉れということを神宮の方にも申出ました。それから私共の方にも申出ましたので、外に適当な場所もなし、そうだとすれえば博覧会の期間を限つて、而も原状回復が完全にできるという形において、更にこれを全然対價なしに無料で使わすというなら大藏省でも異存はないということで、博覧会の用地には一時使わしてございまするが、それ以外に御宮皇学館の跡地等を有料で貸しておるということについては私は聞いておりませんし、そういつたことを持つて來たといたしましても、大藏省としては全然そういう点について許可を與える意思もございませんし、今まで與えたこともございません。
  37. 中西功

    中西功君 それはもう一遍具体的に言いますと、その神宮皇学館は現実に宇治山田中学校が使つておるのです。それは國有財産として編入されたから、縣立ですが、その中学校が使つていた、ところが、この度その土地が神宮側に戻るというようなことで、中学が追出しを受けておるわけであります。それでこれは御存じのように神社が、社寺地ですか、それと神宮皇学館とはとても離れていて問題にならない。中学が燒けたのですから、これがないとすれば当然中学校に使わしてやつて行くべきだ、ところが、いろいろな策動とか何とかがありまして、それがそういう方向じやなくて、むしろ中学が追出されておる、そういう方向に行つておると聞いておるのであります。これは現実に私もよく知つておるわけではありませんが、今の大藏省の方針としては、國有財産というものがそういうふうに今まで編入されたというものが、そういうふうに使われて行くというのは、一應間違いである、こういうことは大藏省の方針としては言えるのじやないかと思います。それはどうですか。
  38. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) さつき申しました通り、この社寺の境内地につきましては、この五月二日までで一應の申請は締切りまし、社寺境内地処分審査会という審査会の議を経まして、今後どの範囲を社寺側に讓與するか、或いは半額賣拂するか、或いは時價で賣拂するか、或いは全然やらないかという面は、今後について決定されるべき問題でございまして、ただあの神宮皇学館の跡というのは、一應神宮の境内地ということになつておりますので、法的には現在神宮に無償貸付ということに相成つておる関係上、これを一時的にどういうふうに使うかという点につきましては、神宮としても、燒けたけた宇治山田中学校の校舎に当てるということについても、こちらに内意を伺つた上でよかろうということで、現在使わしておるような次第であります。あれが將來御宮の境内地として残るか、そうじやなくて國に存置するようになるかは、今後審査会の議を経て一見なければ分りませんけれども、必ず境内地にやるのだというような約束は大藏省にもやつておりませんので、今後審査会の議を経た上で、公正な処分によりまして、今のその最も有利な、或いは有利なというては語弊があるかも知れませんが、最も有効な使用目的に充てたいというように考えております。
  39. 中西功

    中西功君 第二條ですが、この中に動産が入つていないと思うのでありますが、これはなぜ動産をこの中に入れないのですか。
  40. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) 動産は今物品という法的な扱いをしておりますから、そういつた関係で不動産及びこれに準ずるものというあれで、動産は物品扱いにしておりますから、國有財産法の枠外に外してあるわけであります。
  41. 中西功

    中西功君 その外す結果、どういうことが起つて來るかというと、御存じのように、あの不当取引委員会でわあわあ言つておりますようないろいろな弊害が私は起つて來ると思うのであります。これは或いは國有財産法だけの問題じやなくて、もつと全体の法律体系の問題かも知れませんが、併し実際に終戰後いろいろややこしい問題が起つたのは、結局動産的な物品が、こういうような一定の規格に基いての嚴密な処置がされなかつたというところに相当の原因がありはせんかと思うのであります。こういうふうな動産的なものも、十分一定の法律從つて特に國有財産として処分する、整理する、保護するということがなされなければ、今起つておるようないろいろの不正取引的なものは結局なくならんと思います。そういう点はこれは勿論大きな問題でしようが、政府として今どんな考え方を持つておるか、ちよつとお聞きして置きたいと思います。
  42. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) 今度の國有財産法の全面的改正の際にも、そういつた物品的なものも含めてこの法を制定すべきじやないかというような意見もございましたので、一應は研究いたして見たのでございますが、國有財産法をそこまで廣くやることは、國有財産法本來のあれからいつてどうも適当じやない、現在物品については、物品会計規則というものでその管理処分の適正を期するような法規がございます。必ずしもこれを國有財産法にやつたから適正に行くとも考えられませんので、この次の問題としては、全般的な会計規則或いは会計法、財政法、全部網羅した面で、一應の研究問題として尚進めて参りたいと思いますが、今回の改正法からはそこまで廣くこれを採入れるということは、実益の点、それから余りに廣汎になつてしまつて却りて國有財産本來の面目が薄らいで來る、こういう点で、動産については又新たなる見地から一つこれを研究しようじやないかということに相成つておる次第でございます。
  43. 中西功

    中西功君 そういう点で私は國有財産法自体に不備があると思います。そういう不備が実にいろいろの問題を孕むと思うのであります。この点は実際我々としては眞劍に考えて貰わなければ困る。終戰後國家の所有に帰したものは、ここに採上げられた財産だけじやなくて、もつと厖大なものがあつたと思うのであります。実際には帳簿にさえ載らんみたいな形で、それがなくなつてしまつておるというふうなところに、今まで非常な欠陷があつたと思うのであります。それは大きな問題として今後考えて貰うということにいたしまして、第三條の行政財産と普通財産とに分離された中で、皇室用財産が実は行政財産に入つております。この皇室用財産にはいわゆる行政財産として挙げられ得るものもあらと思います。併しこの中にはそうでなく、やはり普通財産に等しきものも沢山あると思います。これをこの行政財産の中にすべて現在の皇室用財産が入れられておるということは、結果に路いてどういうことになるかといいますと、皇室には皇室用財産ばかりでなくして、その他いわゆる世襲財産的なものと言われます個人的な財産もあると思います。又こういうようなものからは多少の收盆があると思います。これは皇室経済会議なんかにおいても明瞭になつておる点で、皇室の收入は單に予算に載るだけじやなくて、その他にも可なりあるわけであります。で、そういうふうに皇室の費用が二途になつておる、即ち國家予算に載るというふうなことから一定の支給をし、又それからいわば管理しておるというふうな面、個人財産的な收入というもの、実際に收入の面でも二つあるので、それならば皇室財産というので一括しておられるものも、この中で二つに分けて両方に入れるというふうなことの方が、やはり論理的に見て正しいのではないか、まあこういうふうに感ずるのですが、この点政府はどう考えておるか。
  44. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) 現在はこの皇室財産の範囲を決める際は、皇室経済会議の議を経て内閣がこれを決めるということになりまして、現在の皇室財産の範囲はそれによつて決まつておるわけでございますが、今度この法律通りますと、今の皇室財産の範囲をどういうふうにするか、それから將來皇室用財産を取得するような場合、或いは現在の皇室財産からそれを外して一般の財産にするというような面につきましても、一々今後は國会の議を経る、それは第十三條に規定してあります。そういうことになりますと、従来とは大分違つた面が出て來るのじやないかと思います
  45. 中西功

    中西功君 それで皇室用財産についていろいろこれは異つた資料が今まで発表されておると思います。連合軍の方で発表したのを私達見ております。或いは今まで日本政府で発表したものも多少見ております。必ずしも数字が一致してないように思うのです。それで一体日本政府が現に知つておる、又台帳に載つておるところの皇室用財産並びにその他皇室にまだ財産がありますがそういうものがどれだけあるかということをですね、今日でなくても結構なのですが、私成るべく詳細に知りたいと思います。それを是非資料として伺わして頂きたいと思つております。
  46. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) 國有財産であるところの皇室用財産は今手許にございますから、この場で申上げても大した項目にも上つておりません十七ほどございますから申上げて見ましよう。第一番に宮城、第二に赤坂離宮、ちよつとお断り申して置きますがこれは皇室用財産から現実には離れておりますが、最近の機会において正式に皇室用財産から離れることになつておりますが、一應手続が済んでおりませんので、現在皇室用財産になつております。それから次は大宮御所、常盤松御用邸、高輪南町御用邸、葉山御用邸、沼津御用邸、那須御用邸、京都御所、京都御所も表の方は物納になつておりますので、いわゆる内門の中の部分だけでございます。それから次は修学院離宮、これは京都です。それから桂離宮、これも京都です。それから奈良の正倉院、それからこれは建物だけですが、皇太子殿下の東宮御仮寓所、これは小金井にございます。それから下総御料牧場、千葉縣の三里塚にあります。それから新濱鴨場、同じく埼玉鴨場、それから全國に八百五十九ケ所ほどございます御陵墓、これが現在の皇室用財産に相成つております。
  47. 中西功

    中西功君 そういたしますと、実は動産として皇室には相当いろいろあるあるということを聞いておるのですが、そういうふうなのは大藏省の方では全然分つていないわけですね。
  48. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) 一應財産税課税する際に一度調査したことがございますが、これも非常に評價の面で、御物等につきましてはこれをどろ評價するかという問題もございまして、財産税評價の際一應の評價を出して、その上に財産税というものを課税いたしたのですが、実際の金額がどのくらいになるかということは、評價によつて非常にまちまちでございますし、その点で財産税の評價の際は、何が一点について幾らという仮の評價によつてつたというふうに私共聞いております。從つて例えば上野の博物館、それから奈良の博物館等においてすでに物納として納めた相当貴重な物が沢山ございますが、そういつたものを差引いたあとに、どれだけの金額のものが残るかということは、評價によつて非常にまちまちでございますから、金額によつて大藏省で幾らになるかということは把握しておりません。
  49. 中西功

    中西功君 それからさつきの赤坂離宮のいきさつについてちよつと説明して下さい。
  50. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 速記を止めて下さい。    〔速記中止
  51. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 速記を始めて。
  52. 中西功

    中西功君 九條の二なんですが、「特別調達院若しくはその役職員又は地方公共團体若しくはその吏員に取り扱わせることができる。」、こういう二項が挿入されましたのは、どういう理由に基いて挿入されたのでありますか。
  53. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) この二項の方でございますか一項はいわゆる國有財産は各省大臣が各省々々の長がこれを管理処分するということに相成つておりまするが、実際に台帳を整備するとか、諸報告書を出すとか、こういつたことになりますので、大臣みずからがどうこうするということでは都合が悪いので、その点につきましては部局の長に分掌さして諸報告を作らせる、或いは一定の権限を與えて管理処分させるということを認めておるわけであります。ところが、特別調達廳につきましては現在その官廳民間との何か中立的な性格を持つておりまして、厳密に官廳という取扱いにも現在なつておりませんので、その点で特別調達廳を入れましたのと、それから地方公共團体、これは從來は國の機関たる性格も一面持つてつたのでありますが今回地方自治法の成立によりまして、國の機関たる性格はなくなつてしまつたそういつた関係でこれに國有財産事務を取扱わせるのは、やはりこういつた一項目が要るというので規定したのであります。
  54. 中西功

    中西功君 特別調達院が若しこれを取扱うとなると、一体どういうふうな結果が起つて來、又現実にどういうふうに調達廳がタッチしておりますか。
  55. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) これは主として、例の終戰処理費で作りました兵舎であるとか住宅であるとか、或いは府縣をしてその建設なり管理なりをやらしておるわけでございますが、その元締は特別調達廳が現在それをやつておる、こういうことになつております。この特別調達廳に取扱わせるというものは、今言つたような終戰処理費で建てた建物或いは買受けた土地、こういつたものを予定しておるわけでございます。
  56. 中西功

    中西功君 そうなりますと、終戰処理費作つたいろいろの財産ですね、住宅とか兵舎とかそういうものは、これは國有財産として編入するのですか、しないのですか。
  57. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) その点も、ちよつと速記を止めて頂きたいのですが……。
  58. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 速記を止めて。    〔速記中止
  59. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) それでは速記を始めて下さい。國有財産法案並びに旧軍用財産貸付及び讓渡特例等に関する法律案につきましてはこれを以て質疑終了といたして御異議ございませんか。
  60. 天田勝正

    天田勝正君 國有財産法の第十七條ですが、この國有財産調整審議会の構成ですが、これは國会と総理府、法務府、各省、会計検査院、最高裁判所これだけに限定したということは先程いろいろお話になりました。そうして或る場合には一般には数字は発表し難いというような場面で、一言にしていえば秘密主義な点も若干あるという意味からさように限定されたか、むしろ民間から採る、或いはその他の大きな会社等の経理をよく知つておられる方から採つても、そういう人には公有財産については一向分らないというよう観点でこういうふうにお決めになつたか、若し今までに質疑があれば質疑があつたということだけお答え願います。
  61. 今泉兼寛

    政府委員今泉兼寛君) 國有財産調整審議会に民間委員を加えてないようであるが、それはどういつた理由かというお尋ねかと思いますが、実は当初はこの委員の中に國会議員——参議院、衆議院の若干名というものを入れるようにも予定しておつたのでございますが、これはむしろ國会側の方からこういつた行政の内容にまで立入るのは却つて國会側の権威を失墜することになるのだ、こういうことで参議院と衆議院側の議員を委員に加えるということは、むしろ國会側の方から御辞退になつたのです。こういういきさつもございます。それから一般民間の者をこれに加えたらどうか、いわゆる学識経驗者として加えたらどうか、こういう意見も一應はございましたが、大体民間委員としてこれに参画するということは、結局評價の問題であるから、評價の問題であれば、評價だけの問題にこういつた中央の審議会に議員を加えるよりか、実際に処分するところの財務局において、そういつた評價の適正を期すればいい。先般來ちよつと申上げましたが、これには各財務局毎に國有財産評價協議会というものを置きまして、むしろ官側でありませんで、幹事役は勤めますが、民間側が主体となつて、勧銀とか、信託会社とか不動産会枇の役員であるとか、そういつた専門家が集まりまして、そこで評價さすということになつておりまして、從つて官側はこれに加わらない方がよろしい。民間側の仕組によつて政府の責任においてやつた方がよろしいということによりまして、ここには附け加えてないわけであります。
  62. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) それではこれを以て質疑終了と見て御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  63. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 御異議ないと認めます。  次に、地方自治法第百五十六條第四項の規定に基き、財務局及び税務署の増設に関し承認を求めるの件、これを議題にいたしまして、御審議を願いたいと思います。
  64. 山田佐一

    山田佐一君 長野縣の埴科郡屋代に税務署の設置が予定しておられるようでありますが、これは地形上及び納税高から比較して見まして、更級郡の篠ノ井町に設置するのが順当だと思うけれども、当局はどういう観測を持つておられますか、当局の御感想を伺いたいと思います。
  65. 金子一平

    政府委員(金子一平君) 只今の御質問に対してお答えいたします。大藏省といたしましては、更級、埴科の両郡の、丁度交通的には屋代が中心的な地点にございますので、屋代に税務署を設置したいということで御審議をお願いしております。只今篠ノ井の方面からむしろ篠ノ井町の方に置いた方がいいのじやないかというような、要望も出ておりますので、尚愼重に調査いたしますために、東京財務局に連絡いたしまして、目下調査中でございます。御承知置きを願います。
  66. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) それではこの承諾を求むる件につきましては、後日又御審議を願うことにいたします。本日はこの程度を以て散会いたします。    午後四時十分散会  出席者は左の通り。    委員長     黒田 英雄君    理事      伊藤 保平君    委員            天田 勝正君            玉屋 喜章君            西川甚五郎君            山田 佐一君            石川 準吉君           尾形六郎兵衞君            星   一君            九鬼紋十郎君            小林米三郎君            高橋龍太郎君            渡邊 甚吉君            中西  功君            栗山 良夫君   政府委員    大藏事務官    (主税局國税第    一課長)    脇阪  實君    大藏事務官    (主税局経理課    長)      金子 一平君    大藏事務官    (國有財産局総    務課長)    今泉 兼寛君