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1948-06-11 第2回国会 参議院 財政及び金融委員会 第35号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年六月十一日(金曜日)    午後一時三十四分開會   —————————————   本日の會議に付した事件 ○内閣総理大臣等俸給等に關する法  律案内閣提出衆議院送付) ○臨時通貨法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付)   —————————————
  2. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) これより委員會開會いたします。本日は先ず内閣総理大臣等俸給等に関する法律案議題にいたして御審議を願います。これはすでに先日質疑終了ということに相成りましたが、尚御質問のおありの方があるように思われますので御質疑をお許しすることにいたして御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 御異議ないと認めます。それではこの場合御質問をお願いいたしたいと思います。ちよつと私からお尋ねいたしますが、この宮内長官というのがありますね。これは今度宮内廳長官になるわけですね。これは當然何か變るような法律が他にあるのですか。
  4. 今井一男

    政府委員今井一男君) あると承知しておりますが、この外にも幾らもあります。従來の例で言うと、こういう法律は十把一からげに行くものと考えております。ただ今度出ました法律の中で、その點を國家行政組織法によりまして、できるだけ新らしい名前に切替えて出しております分と、まだ行政組織法そのものが通らない、從つて古い名前で行かなければならんという両方の議論があり、衆議院等にも出ておりましたが、最近はむしろ古い名前で出しておる法律の方が多いのでありまして、その間若干統制がとれておらない嫌いはありますが、いずれにいたしましても、新法ができますれば、それによつて切替える途は完全についておる、こう私了解しております。
  5. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 他に御質問ございませんか。
  6. 山田佐一

    山田佐一君 内閣総理大臣俸給でありますが、以前は機密費というようなものがあつたように承つておりまするが、今回又無しになつたということですが、實際はどんな工合になつておるのでしようか。
  7. 今井一男

    政府委員今井一男君) 終戦後全然さようなものはございません。
  8. 山田佐一

    山田佐一君 そういたしますと、総理大臣生活は、この俸給月に二萬五千圓でやつて行くという建前でありますか。
  9. 今井一男

    政府委員今井一男君) さようでございます。
  10. 山田佐一

    山田佐一君 政府職員給與に關する法律案のときにもいろいろ問題になつておりますが、生活を保障しなければならない。やはり食えるだけの俸給は當てがうのが原則であるという建前でありますから、そうしますと、内閣総理大臣體面と、それに相當する生活をいたしますのには、二萬五千圓の俸給では實際はできないと思います。そして所得税を差引きましたときに、實際手取金額というものは、八〇%は取られてしまうものだと考えますが、そういたしまするというと、年收が或いは五萬圓か六萬圓になるのではないかと思います。而して総理大臣體面を保ち、生活維持ができて行くかということになると、今日の物價情勢からいつて到底できない相談である。できないものを、そういう俸給を出して行つて是正を圖るというところに無理があるのではないかと思います。或いは大臣級はいつそのこと月俸萬圓かそこら出して、そして秘法の方も成る程度考慮して貰うということが本當でないかと思いますが、當局のお考え如何ですか。
  11. 今井一男

    政府委員今井一男君) 山田さんの仰せ誠に御尤もな駐もあるかと存じまする次第でありますが、公的な生活につきましては、それによるいろいろな交際等につきましては、極力國費を持ちますと同時に、私的生活につきましては、現在の日本國情から見まして、できるだけ一般國民とそう開きのないようにして行きたい、こういつた閣僚の方々の御意見等もございまして、と申しまして、現在の給與は餘りにも甚だしい少額になつておりまするので、これを一應今の一般官吏給與との権衡の線までは上げるといつた見地からできたのでございましてその點、御趣旨もございますが、閣議におきましても随分議論を重ねた末、先ずこの程度で、この際國民にこれ以上は政府として申上げにくいといつた気持が可なり強く働きまして、こうなつた次第であります。
  12. 山田佐一

    山田佐一君 そういうことが何だか世情と輿論に媚びるという状態があるのではないかと思うのですが、常識的に考えて見て、實收の五千圓や一萬圓で今日の物價高のときにやれるわけがないと思います。月俸二萬五千圓が無税であつても、私はできないと思います。今日街を走つておりますタクシーの運轉手に聞いて見ても、一日千圓の實收は誰に聞いて見てもあると言う。そうすると、二十五日働くとして二萬五千圓、この人は無税ではないが、殆んど無税に近い二萬五千圓である。一國の總理ともあろうものが、一個の盲動車運轉手と同じような俸給を差上げて置くということは、國民としても禮を失することではないか。或いは一般國民との權衡においてのお取扱はあるかも知れないが、一應表面的な生活維持できる俸給を差上げるということが國民としての禮ではないかと思います。ただ安く月給を取るということが、外の組合に對してというような變なところへ気兼ねをするよりは、正々堂々と取るべきものは取る。又國民といたしましても、一國の總理大臣でありまするから、これを月俸萬圓や十五萬圓差上げても、私は決して多過ぎるということはないと思います。當局はもう少しこれを出直して見て、もつと上げて見るというような勇氣はないのですか。
  13. 今井一男

    政府栄町員(今井一男君) 實はこの點につきましては、只今お話のように、こういつた方々給與というものは、單なる技術的な面以外に別な角度から檢討しなければならん問題がございますので、随分決定にも手間取つたのでございますが、特に問題となりましたのは、裁判官等との権衡でございます。その點いろいろと最高裁判所等ともお打合せを願ひまして決りました関係もございますので、最高裁判所裁判官の方の法律は、すでに両院…… 参議院の方も委員會の方は確か御決議濟んだというように伺つておりますし、といつたような關係もございますので、今回は一つ原案通過をお願いいたしたいのであります。
  14. 伊藤保平

    伊藤保平君 ちよつと伺いますけれども、實際この一年の概算はどのくらいになるのですか。
  15. 今井一男

    政府委員今井一男君) 總理大臣がこれで一切合せまして年額三十九萬圓になります。國務大臣が三十一萬二千圓、次官が……。
  16. 伊藤保平

    伊藤保平君 家族を見てですね。
  17. 今井一男

    政府委員今井一男君) 家族手當はございません。
  18. 伊藤保平

    伊藤保平君 次官にはあるのですね。
  19. 今井一男

    政府委員今井一男君) 次官家族三人を見まして十八萬圓
  20. 玉屋喜章

    玉屋喜章君 政務次官はどうなるのです。
  21. 今井一男

    政府委員今井一男君) 同様でございます。
  22. 山田佐一

    山田佐一君 一體アメリカはどのくらい取つておりますか。
  23. 今井一男

    政府委員今井一男君) 大統領十五萬ドルでございますが、普通の大臣は一萬五千ドルでございます。そうして普通の官吏最高が一高ドル乃至九千ドル。
  24. 山田佐一

    山田佐一君 大統領は十倍取つておるわけですね。やはりこれも十倍くらいにしたら如何ですか。平大臣總理大臣……。
  25. 今井一男

    政府委員今井一男君) その點は、實はこれを決めます際に非常に議論のあつたところなのでございます。總理大臣というものの權限が新憲法では強くなつた、從つて總理國務大臣との開きを強くしろ、こういつた意見も十分ございます。と同時に又他との權衡から申しまして、總理大臣衆議院参議院議長及び最高裁判所長官と、三權分立關係から肩を竝べる、一方國務大臣が副議長最高裁判所判事と肩を竝べる、そういつたことからあ權衡問題も起つて参りまして、結局いろいろな角度から議論を重ねた結果こういうたところに落著いたのでございます。
  26. 山田佐一

    山田佐一君 アメリカは、自動車運轉手收入というものがどのくらいになりますか。
  27. 今井一男

    政府委員今井一男君) 自動車運轉手はよく存じませんが、官吏の一番低いところ、小學校教員初任給といつたところが、大體年千ドルから千二百ドルというのが本俸でございます。これは大臣の一高五千ドルに對しますものであります。
  28. 伊藤保平

    伊藤保平君 大臣も年ですか。
  29. 今井一男

    政府委員今井一男君) 皆年であります。一般官吏には最近少し臨時増俸が附いております。
  30. 深川タマヱ

    深川タマヱ君 總理大臣給料がどのくらいが適當かと御相談を頂きましても、大體總理大臣という人はどういう生活費が要るのか、内容がよく分りませんので、見當が立たないのでございますけれども、すべての人の給料を決めますときに、私はいつも、その人は眞面目に働いていたならば暮して行けるかどうかということが、これが標準になるのだろうと思いますけれども、總理大臣は、食費統制の時代でありますから私達とそう變つて食べて貰つてはなりませんし、住宅はただだろうと思いますが、どういうふうになつておるのか。それから被服代は多少私達よりも體面を保たなければならないのですが、その他に一體どんなに私達と生活内容が違うのでどういう方面支出が多いのか、主だつたことを言つて頂かないと審議ができないと思います。
  31. 今井一男

    政府委員今井一男君) 私生活お話通り現在一般國民との間にそう開きもあるまいし又あるべきでないという御説の通りだと考えるのでありますが、ただ公的とも私的とも言いにくいような面、たとえば私宅にいろいろと公用の客が見えるといつたような點からいたしますいろいろの経費が、これを今の國の支出建前から行けば、國で持つわけに行かないというような面が一番問題になるのじやないか、かように考えます。
  32. 星一

    ○星一君 總理大臣給日本最高裁判所長との月給は同じですか、差がありますか、ちよつと伺います。
  33. 今井一男

    政府委員今井一男君) 同じでございます。
  34. 星一

    ○星一君 私は英國のように、裁判長總理大臣よりも多くしたらいいと思います。それについて政府はどういうお考えでありますか。
  35. 今井一男

    政府委員今井一男君) お示しの通りイギリスは確かに大審院長の方が總理よりも高くなつております。併しアメリカでは平大臣よりは高くなつておりますが、大統領よりは低い。これを三權分立建前からどう考えるかということも極めて政治的にむずかしい問題でございまして、いろいろ議論もされたのでありますが、結局現在の日本の新憲法施行勿々の段階においては三權の、三つの國權最高生腦部が肩を並べるというところが先ず常識的であろうといつた結論に、それそろの代表者の御意見が纏つたわけでございまして、議論の餘地は十分ある問題だと考えます。
  36. 山田佐一

    山田佐一君 先刻深川さんの質問に関連するのですが、成る程官邸に入ると家賃はただ、表の方の政治上に使うことと、それから自身の入る所は別に水道ガス電燈料というようなものは個人支出で拂わなければならないように聞いておりますが、それだけでも少からん金額だと思いますが、大凡それがどのくらいあるのでありますか。
  37. 今井一男

    政府委員今井一男君) 實情を申上けますと、總理官邸は一部燒けてしまいましで、自宅に使う分は全然残つておりません。從いまして現在の總理官邸から申しますと、總理大臣は別に自分の家がなければならん。あそこは事務室だけでございます。全然私的に使うことができないのであります。
  38. 山田佐一

    山田佐一君 それで外務大臣官邸に入つておるわけですか。それで自身生活に使う方面も公費で掛かつてしまいますか。
  39. 今井一男

    政府委員今井一男君) 無論そういうわけに参りません。ただ公用に使います特殊なガス電燈とかの維持費でありますとか、或いは官舎というものは、特に留守番のために置いております用員經費だけでありまして、やはり個人の、私生活に使う使用人の經費食費等は全部個人持でございます。
  40. 山田佐一

    山田佐一君 そうすると、理窟基本的人権で同じだと言いますが、實際とは非常に差異があると思うので二千九百圓ベースや三千七百圓ベースでは恐らくいかん。ガス水道代も拂えんのじやないかと思います。理窟で同じようなことを言うだけで、やはり一國の總理大臣は、總理大臣體面を保つてつて貰わなければならん。
  41. 中西功

    中西功君 この附則に、一月一日から支拂うというようなことになつております。勿論これはこの點について別冊に異議はないのでありますが、最近政府の方では一般的にバツク・ペイはしないというような原則があるとかないとかいうふうなことが言われておるのですが、これとこのたび官公吏給與を四月から拂うか拂わないかという問題も絡んで來ると思うのです。そういう一般的な意味で、これからはもうバツク・ぺイはしないのだということを政府として決めておるのか、決めてないのか、これを一つお聞きしたいと思います。
  42. 今井一男

    政府委員今井一男君) バツク・ペイするかしないかという原則は、政府といたしましては臨時給與委員會報告書の中にございますあの原則によりたいと、かように目下のところ考えております。あの報告書に掲げられておりますところは、一番の理想は、バツク・ペイなからしめるような状態原則にする。漫然たる、パツク・ぺイはよろしくない。併しながら豫め必要と認められるときにはこれはバツク・ペイすることは當然である。こういつた甚だ率直に申せば幅のある建前に相成つております。この一月のパツク・ペイの問題は、御承知の通り昨年夏以来の全官公争議に伴う中勞委の調停案が、一月から新らしい給與を支給しろ、こういう勧告案に基きまして臨時給與委員會を設けましたので、その最終結論が三月になされておりますが、これは當然その意味から一月にバツク・ペイすべきものである。こういつた結論に相成りました次第であります。それが同じような水準、同じような意味で改めます今回のこの法律も、その方針によつたわけでございます。如何なる事情があろうとも絶対にバツク、ペイをしないと、そういう原則政府は立つておるわけではございません。その時々の行掛かり、事情によつて決める、かように今考えております。
  43. 中西功

    中西功君 そうすると、今度の總理大臣の二萬五千圓水準と言いますか、新らしい給與はこれはいつを基準にして決めておる給與になるわけでしようか。
  44. 今井一男

    政府委員今井一男君) こういつた特殊な官吏給與というものは、一般官吏とは多少見方を異にしておりますが、大難把に考えますと、二千九百二十圓ペースに引直したという含みでできておりますので、本年の一月からこういつたものに直すと、こういつたふうに法律案でお願いをしておる次第であります。
  45. 中西功

    中西功君 そうすると、この二萬五千圓というのは、いわば二千九百二十圓のベースに對應するものであつて、新らしい物價水準が決まれば、又それにスライドするというふうなことになるわけですか。
  46. 今井一男

    政府委員今井一男君) その點事務的に考えますと、そうするのが順序なのでございますが、從來からの慣例といたしまして、こういつた特殊な職員給與につきましては、そのときの内閣の意向が強く反映いたしまして、一般職員は年に二回、三回とありましても、こういつた高い地位にある者の月給を、始終變えることは面白くないといつた考え方から、相當の間は据置にしたいというような判断になる場合もございますので、この次にべースが上げられた場合に、必ずそれにスライドして何割上げるといつたような形になるかどうかにつきましては、目下のところ、まだはつきりした御返事は申上げにくいと思います。ただ一般官吏も上つて行きまして、一般官吏月給とこういつた職員月給とが非常に不權衡になつてしまうという場合には、常識的に申しまして、手を付けなければならんということに相成ふと思いますが、少々の幅がくつ附いたぐらいでは、恐らく手直しはしないということになるのではなかろうかと、これは想像でございますが、考えております。
  47. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 如何でしよう。他に御質問がありませんければ、質疑は終了いたしたと見て御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  48. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 御質問がなければ、これより討論に入りたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  49. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 御異議ないと認めます。それではこれより討論に入りたいと思ひます。御意見のおありの方はお述べを願いたいと思います。別に御發言もないようでありますから直ちに採決に移ります。内閣総理大臣等俸給等に關する法律案議題といたします。本法案を可とせられる方の御擧手を願います。    〔總員擧手
  50. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 全會一致と認めます。よつて本案は可決されました。  次に臨時通貨法の一部を改正する法律案議題といたします。この法案にづきましては、すでに質疑終了となつておりますので、直ちに討論に入りたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  51. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 御異議ないと認めます。それでは只今より討論に入ります。御意見のおありの方はお述べを願いたいと思います。別に御發言もないようでありますから、直ちに採決に入ります。臨時通貨法の一部を改正する法律案議題といたします。本法案を可とせられる方の御擧手を願います。    〔總員擧手
  52. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 全會一致と認めます。よつて法案は全會一致を以て可決されました。  次に委員長口頭報告につきましては、前例によつてお委せを願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  53. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 御異議ないと認めます。それから委員長が議院に提出する報告書につきましては、多数意見者の御署名を附するごとになつておりますから、両案を可とせられた方は、順次御署名を願います。    〔多數意見者署名
  54. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 次回は月曜日の午後一時から開會いたします。本日はこれにて散會いたします。    午後二時三分散會  出席者は左の通り。    委員長     黒田 英雄君    理事      伊藤 保平君    委員            玉屋 喜章君            西川甚五郎君            松嶋 喜作君            山田 佐一君            木内 四郎君            田口政五郎君            深川タマヱ君            星   一君            赤澤 與仁君            石川 準吉君            小宮山常吉君            高橋龍太郎君            中西  功君            栗山 良夫君   政府委員    大藏事務官    (給與局長)  今井 一男