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1948-04-06 第2回国会 参議院 財政及び金融委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年四月六日(火曜日)    午前十時五十二分開会   —————————————   本日の会議に付した事件 ○証券取引法を改正する法律案内閣  提出、衆議院送付) ○復興金融金庫法の一部を改正する法  律案内閣送付) ○財法第三條の特例に関する法律案  (内閣送付)   —————————————
  2. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) これより委員会を開会いたします。本日は先ず証券取引法を改正する法律案を議題にいたして御審議を願います。この法案につきましては、すでに質疑が終了の御決定に相成つておるのでありますが、木村委員から特に二、三質疑をしたいという御希望があるのであります。木村委員委員会のときに質疑できなかつたので、恐縮であるが、特に質疑を許してもらいたいという御希望があるのでありまするが、成るべく簡單に、短時間にお願いすることにして、これをお許しすることに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 御異議ないと認めます。それでは特に木村委員の御質問をお許しすることにいたします。
  4. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 一應質疑終つたにも拘らず、又私から質疑を行うということは甚だ恐縮なんでありますが、いろいろ委員会がかち合つたりして質疑ができなかつたので、特に皆さんのお許しを得て、ここで質疑させて頂くことになりましたことに対して感謝する次第でございます。この法律は大体証券及び証券業民主化という点と、それからその必然的の結果として、投資家保護というものの建前からまあ立案されていると思うのであります。專ら私はこの証券及証券業民主化投資家保護、この二つの点から重要な問題について質疑をいたしたいと思いますが、或いは他の委員がすでに質疑されて、そうしてすでにもうお答えになつて、問題は解決しているというようなそういう点につきましては、時間の関係上その点は省かれても結構です。そういう点は速記録を私が後で見ますから、成るべく重複しないように御質問したいと思います。先ず重要な條項からお尋ねしたいのでありますが、第六十五條につきまして「銀行信託会社その他証券取引委員会規則で定める金融機関は、第二條第八項各号に掲げる行爲をなすことを営業としてはならない。」この規定なんでありますが、この規定によると、銀行信託会社証券の賣買、引受けということができなくなるということになつておりまして、この場合若し銀行信託会社総額引受けをやりまして、そうしてこれを投資目的を以て有償証券の賣買をなすのはこの限りでないとありますから、この投資目的を以てというのは、恐らく資産運用意味を持つている。資産運用目的を以て、例えばシンジケート総額引受けをやつてあとでこれを希望者があつたら順次分割して賣つてやる、そういうような場合ですね。これは実際問題としてそういうことが今まで行われたものであります。そうしますと銀行信託証券業務の分離というこの精神から見て、それが反して來るのじやないかと思うのです。そういう場合、例えばこの法律が出ると、そうすると銀行シンジケートなどは、これはもう解散にならなければならん。実際問題としてシンジケートが存在する。そうすると総額引受けをやつてつて、そうしてあと農業会その他が分けてくれというような場合分けてやればこれは営業としてはならないとなつておりますが、何回も繰返せばそれは営業とみなし得ると思うのでありますが、そういう点についてはどういうふうに考えておるか、その点をもつと嚴密に、何かそういうこともいけないというようなはつきりした何か規定なりその他運用なりによつてそれを防止するというようなことをお考えになるのでございましようか。
  5. 岡村峻

    政府委員岡村峻君) お答えいたします。第六十五條規定は数回に亘りましてここではいろいろ御質問のございました点でございますが、只今のお尋ねのございました銀行総額引受けをするという場合につきましては、それが投資目的を以てその総額引受けをされる場合でありますならば、この第六十五條但書規定によりまして銀行信託会社も御指摘のようにできるのでございますが、從來つておりましたシンジケート、いわゆる引受團一定引受け手数料を取りまして、そうしてそれを引受けておりまして、直ちに賣出すなり、時期を見て賣出す、こういう機能を営んでおつたのでございます。従いましてこのシンジケート團社債その他を引受けられるということは、ここで言う投資目的を以て引受けるものでないということになりまして、それは言葉を換えて申しますれば、第二條の第八項に証券業の定義がございまして、その第八項の第四号に有償証券引受けというのがございますので、その第四号に該当する行爲ということになりますから、從いまして銀行信託会社はさような業務は営むことができない、こういうことに相成るわけでございます。それでこの第八項の第四号の有償証券引受けと申しますのは、従來の有償証券引受業法の第一條引受けという言葉がございます。或いは商法の三百一條残額引受けという言葉が出て参つておりますが、その三百一條の第十五号の引受け意味でございまして、英語でアンダーライテイングに当るわけでございます。御承知のように商法では引受けという言葉アンダーライテイング意味にも使いますし、又そうでなくて株式引受けとか、或いは社債総額引受けというふうなサブスクリプションの意味にも用いておる場合と、両方ございまして、ここの第二條の第八項第四号に申します引受けというのはアンダーライトの方を申しておるわけでございます。
  6. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 これは條文を離れて実際問題として、この但書の方ですね。投資目的を以て有償証券の賣買をなすことができるとなつていますと、從來の例によると、いわゆる証券業者が下請の形になる恰好になるのじやないかと思う。第六十五條規定では、証券業地位を非常に高めようという精神があると思うのです。併し実際問題として、さつきお話したように、総額引受けをやつてあとで分割して賣るということができると、実際問題としてできるわけですね。そうなるとこの精神に反するのじやないか。從つて本來ならば、これを徹底させるならば、やはり但書以下は、その精神を徹底するならば、これを本当なら削除すべきだと思うのです。その点は非常にここでは徹底していないと思うのです。実際問題としてはどうなんでしよう。
  7. 岡村峻

    政府委員岡村峻君) 銀行信託会社総額引受け資産運用としてやりまして、そうしてあとにこれを処分するという場合におきまして、個々的に勿論処分し、或いはたまには賣出しということもあり得ることでございますが、そういう行爲を継続的にいたしますれば、有償証券の賣出しということを営業としてやつておる、或いは有償証券の賣買を営業としてやつておると、こういうことになりまして、從つて証券業を営むということになりますので、この六十五條本文及び第二條の第八項によりまして、法律違反を犯しでおると、こういう結果に相成るわけでございます。
  8. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 営業というのはどういう意味なんですか。どういう程度を言うのですか。
  9. 岡村峻

    政府委員岡村峻君) 営業と申しますのは、通常学者から言われておりますように、収入の源泉として継続的にその行爲をする、これがまあ大体営業の概念なんではないか、かように考えております。
  10. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 今の御説明でよく分りました。只今の御説明精神をもつとはつきりして運用して頂きたいと思います。そこで実際問題として、御承知のように昭和八年五月でしたか、結城さんの無担保社債を排撃して、それ以來証券業者の元引請けというのは段々なくなつて來ておる。従つてこの條項精神をよく今御説明なつたように生かせば、証券業者地位は高くなる。この営業というものの解釈、それから資産運用というものの解釈、その如何によつては、やはりその証券業者は又実際問題として下請けのような地位になる。その点はよくその運用において有利に御解釈になつて、御説明なつたようにやつて頂きたいと思います。六十五條については、この程度に止めます。  それから次は第二條でございます。第二條八項、これはいろいろ問題のあるところだと思いますが、この「取次又は代理」の問題ですね。これは四十六條、四十七條において、弊害のないような規定がございますが、四十六條で「証券業者は、顧客から有償証券取引に関する注文を受けたときは、予めその者に対し自己がその相手方となつて該賣買を成立せしめるか、又は媒介し、取次し、若しくは代理して当該賣買を成立せしめるかの別を明かにしなければならない。」第四十七條についても「証券業者は、有償証券に関する同一の賣買について、その本人となると同時に、その相手方取次をなす者又は代理人となることができない。」、この二つ規定にで、一應この弊害は防止し、取次及び代理による弊害を防止する建前になつておると思うのです。併しながら実際問題として旧法においては、こういう「取次又は代理」というものはなかつたのであります。又いろいろな判例で見ますと、取次代理は禁止されておる。ところが今度の法律では、これが生きて來ておるわけですね。これが生きて來ると、いろいろな弊害が出て來るのではないかと思うのです。その解釈如何によつて……。それで旧法においては、これはなかつたのを新法においてはそれを生かしたのはどういう意味でございますか。
  11. 岡村峻

    政府委員岡村峻君) 証券業者に対しまして、この改正法におき脅して、取次代理ということを認めましたのは、証券業者業務の形態をできるだけ自由にしようという趣旨からでございまして、只今指摘に相成りましたように、取次代理を自由にいたしますると、いろいろ弊害を生じずる。殊に呑み行爲になり易いという点がございますので、お話のございましたように、第四十六條、第四十七條及び四十八條の、この賣買報告書顧客注文を執行しましたあとにおいて、その顧客に渡すというような規定を設けまして、これによつて十分取締り、監督ができるという態勢にいたしたわけでございます。従つてこういう安全弁を置きまして、その枠内におきましては、証券業者にすべて取次或いは代理というふうな態様の業務を自由に営ませる。こういう趣旨からこの改正案のようになつたわけでございます。
  12. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 御趣旨はよく分りましたが、それならば今お話のように取次媒介、それから取次代理というものによつて許す。この呑み行爲その他の弊害が生ずるから、第四十六條、七條若しくは、八條において防止規定を設けてあると言われたのですが、それならばこの取次媒介代理というものについて、登録の場合、これをはつきりさせた方がいいと思うのですが、登録の場合は別に区別をして登録をして差支ないようでございますが、そうなつておりますか。
  13. 岡村峻

    政府委員岡村峻君) 登録の場合には証券業者ということだけを登録いたすわけでございまして、その取扱います業務媒介であるか、或いは取次代理であるか、或いは又引受けを専門にするかというようなことは登録をいたさないことになつております。これは証券業者という資格を獲得いたしますれば、何れのものにつきましても法律の認めております範囲において自由活溌に活動ができるようにするという趣旨でございまして、別途その証券業者取引所会員となりました場合においては、又取引所会員として種々なる制約を受けるわけでございますが、その場合におきましても、やはり法律範囲内において自由な活動が許される、かような仕組になつておるわけでございます。
  14. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 私は証券業者機能はつきり樹立さしてないと、例えばブローカーディーラーというものをはつきりと分けてないことが、今後実際これを実施した場合いろいろな弊害が出てくるのではないかと思うのです。それでこの法律精神の一つである投資家保護という立場から見た場合、或いはやはり取次代理というものが、これは旧法のように、これは認めない方が私はいいだろうと思う。今後実際問題としてこれを復活というのですか、旧法でないものを新法に取入れて実際の運用においてその弊害余りないという御確信があるのですか。
  15. 岡村峻

    政府委員岡村峻君) 御説御尤もと存じますが、先程も申上げましたように第四十六條の規定によりまして注文を受けました場合に、そのお客に対しまして、必ず自分がお客相手方となりまして、当該賣買を成立せしめる、即ちディーラー立場において賣買をするか、或いは媒介取次代理というような立場、即ちブローカー立場において仕事をするかということを必らず明示することになつておりますが、投資家保護という点においては先ずこれによりまして遺憾の点がないのではないか、かように考えております。
  16. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 実際問題としてこの取次代理、これを許した場合に弊害か生ずるのは、私は末端の方、地方末端において、例えば外務員あたりが証券の商賣をやるような場合に弊害か非常に出てくると思うのです。そうしますと、証券民主化ということが今後非常に重要な問題になつてくるのですが、その時末端においていろいろ外務員等素質余りよくなくて、そうして取次とか代理を認めるためにいろいろな弊害が生じて來ると、証券民主化精神に反して來るのではないか、実際問題としては末端における濫用ですね、これが一番重要だと思うのです。從つて私は先程の四十六條、七條八條規定ばかりでない。第五十六條の「証券業者は、その使用人を、自己営業所以外の場所において有償証券の募集若しくは賣買文有償証券市場における賣買取引の委託の勧誘に従事させようとするときは、その使用人について、左に掲げる事項を証券取引委員会に届け出なければならない。」この場合ですね、この届出について相当これを厳格に、厳重にやりませんと、末端において非常に弊害が生じて來る、証券民主化を害するのはこういうところからではないかと思うのです。今後周知の如く財政資金政府で賄うか、或いは産業資金蓄積資金で賄う場合、税、貯蓄、証券取引この三つが非常に重要なる問題なんです、特に証券取引については証券民主化、これからは大衆が持つておる、それで田舎の末端大衆がこういう取次及び代理を許すことにより、そうして呑み行爲なんかできるような條項を許して置いて、更に外務員素質が悪いということになると、この法律実施の結果、これが非常に悪い弊害が出て來る。折角この法律には私はよい面があると思う。併しながらそういう面から実際においてこれを壊わしてしまう恐れがある。従つて外務員素質の……外務員取次及び代理ということを利用して、濫用して、いろいろ弊害を起す危險がある。この点についてはどういうふうにお考えになつておりますか。殊に第五十六條ですな、五十六條の届出です。
  17. 岡村峻

    政府委員岡村峻君) お示しのように外務員の取締につきましては、今後十分注意をしてやるようにしたい、かように考えております。尚本法全体といたしまして投資家保護、或いは公正なる取引確保ということについては、十分この監督規定を設けておりまして、法令違反或いは法令に基いてする行政官廳処分に違背しましたような場合においては、相手方に対しまして審問を行いまして、営業停止等処分を命じ得るわけでございますが、そういう條項を活用いたしまして、十分厳格なる監督を行いまして、末端における業者の不正行爲につきまして、証券民主化が妨げられるということのないように注意して参りたいとかように考えております。
  18. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その点は今御説明なつたように十分注意してやつて頂きたいと思うのです。次に第四十九條でありますが、この第四十九條の規定は、ここはまあ非常に重要な規定だと思うのですが、この精神は、株式市場資金が流れて來、又流れて來るのを抑えたり、或いは緩めたりする、その調節を行う規定だと思うのです。裏から言えばいわゆる証拠金規定でこの運用如何によつて株式市場への資金調節ができるわけですな。ですからこれは非常に私は重要な規定だと思うのです。そこで先ずこの場合、「証券業者有償証券の賣買その他取引についてその顧客に供與することができる信用の額は」云々とありますが、この場合店頭賣買も含んでおりますのか、或いは市場賣買のみなのですか。その点をちよつとお伺いいたしたいと思います。
  19. 岡村峻

    政府委員岡村峻君) この四十九條で制限しておりますものは、お客の店頭賣買のみならず、有償証券市場における賣買をも含んでおりまして、両方つておるわけでございます。
  20. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 了承しましたが、そうしますと先程述べましたように、これは今後の金融市場との関連において非常に重要な規定だと思う。問題は、この運用が非常に重要だと思うのです。この運用如何によつて非常な誤りが出て來る。例えばこの間のブームみたいなこともこれによつて抑えることもできますし、又調節することもできるのですが、この運用についてはどういう心構えを持つておられますか。これは非常に重要な條項だと思います。
  21. 岡村峻

    政府委員岡村峻君) お示しのようなこの信用供與に関します制限規定は非常に重要なものと考えております。殊にインフレの段階におきましては、ややともいたしますると先般生じましたようなブームのような事態が起りやすいのでありまして、この信用供與を嚴格にいたしますことによつて信用の膨脹を防ぎ、不祥事の勃発を防ぐことができるというふうに考えておりますので、ただ法律規定は先程申されましたように、逆の言い方をいたしますれば、お客は必ず四五%以上の証拠金を持つて來なければいけないということに相成りましたわけでございまして、四五%以上の率を大蔵大臣が定める、こういうことになるわけでございまして、その率の定め方については、インフレ状況その他経済界の諸般の状況考えまして、適当にこれを上げ下げすることによつて調節して参れる仕組になつておりますので、運用については十分考慮して参りたい、かように考えております。
  22. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 その率を決める場合、なにか委員会みたいなものを作つて、そこで公正にお決めになるようなお考えはないのでありますか。
  23. 岡村峻

    政府委員岡村峻君) この率の決め方につきましては、法律に書いてありますように、証券取引委員会の申出によつて大藏大臣がこれを定めるということになつておりますが、証券取引委員会が定めます場合に、只今お話のような委員会を作るというようなことまで只今まだ具体化しておりませんが、十分民主的な方法によりまして委員会ではお定めになるもの、かように考えておる次第であります。
  24. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この條項は、單に証券界だけに影響があるんじやなくて、日本金融界全体即ち経済界全体に率の定め方如何によつて大きな影響が現われて來るのですから、率の決め方については單に証券取引委員会だけの意見に基かずして、その申出によつて定めるのでしようけれども、その場合には十分各界意見を反映してできるように、そうして日本経済全体の立場からそういうものを慎重に一つ決めるように、やはり委員会というようなものを作つて、そこで決めて頂くということを希望いたします。それから次に第九十一條でありますが、この会員営業用資本額最低額決め方、これですが、これは今度儀証券取引所定款において決めるということになつております。これはどうでしようか。旧法においては取引所会員純資産額政府命令によりて決めるということであつたのですが、今度は証券取引所定款において決める。投資家保護という見地からいうと、どうも旧法の方が非常に堅実でよかつたのではないかと思うのですが、証券取引所定款において決めるということになると、前よりもどうも権威がなくなるじやないかと思う。この決め方如何によつてその会員になることができるとかできないとかいうことになるのです。從つてこれは非常に重要な規定だと思うのですが、それを今度は定款においてこれを決めるということにした理由ですね。それをお伺いしたい。
  25. 岡村峻

    政府委員岡村峻君) 現行法におきまして、政府がこれを指定することにいたしておりました純資産というものを、改正法において取引所定款においてこれを定めるということにいたしましたのは、この会員組織取引所自主性と申しますが、できるだけ自治に委ねるという精神から出たのでありまして、今度の改正法においては、証券業者つては第三十四條の規定がございますように、営業用の純資本額最低額というものは定めないで、その代りに証券業者負債総額がその営業用資本額の二十倍を超えてはいけない。かような規定を置きまして、その負債総額営業用資本額との割合を一定の率以下に保たせる。こういうことに一般的にいたしたわけでございます。その三十四條の規定は勿論証券業者全体に適用がありますので、会員となりますところの証券業者にも適用があるわけでございまして、その外に尚取引所取引所定款において、任意的にその地方証券業者状況資産状況等を勘案いたしまして、第九十一條に書いてございますような、会員営業用資本額最低額を定めても差支えない。この程度の軽い意味にいたしたわけでございます。
  26. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 今三十四條の御説明がありましたが、この三十四條においては、証券業者の一人当りの負債総額は、営業用純資産の二十倍となつておりますが、個々の場合には限度がないわけですね。総額においては限度がある。そういう場合、弊害がないのでしようか。個々取引の場合は……。
  27. 岡村峻

    政府委員岡村峻君) 個々取引の場合につきましては、先程もちよつとお話の出ましたその証券業者負債総額に対しまして設定し得る信用限度がございますので、その方でチエツクいたしますと、三十四條の方は、証券業者がその資産に相應わしくない、つまり言葉を換えて申しますれば身分不相應な規模の営業をするということを全般的に制限したこういう趣旨でございます。
  28. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 次にこれは前に小宮山委員からも質疑があつたのでありますが、第七十一條の六にこれは証券業協会規定ですが、聞くところによると証券業協会というのは非常に非民主的である、そこでこの証券協会民主化するために、この七十一條の六に協会役員選任には無記名投票、そうした方が非常に証券業協会民主化に役に立つ、そういう御意見小宮山委員からも述べられ、私もその方がいいと思うのであります。これについてどういう考えを持つておりますか。
  29. 岡村峻

    政府委員岡村峻君) 証券業協会役員、或いは取引所役員等につきましては、この改正法律によりましては、すべてこれを協会なり、或いは取引所自治に委ねまして、その定款の定める方法によりまして選挙をする、こういうことに相成つておるわけでございます。この協会定款につきましては協会登録をいたします際、或いはその後定款を変更いたします際等におきまして、証券取引委員会かその内容を十分審査いたしまして、投資家保護或いは公正な取引確保という点から考えまして十分民主的であるかどうかということを判断いたすわけでございますが、尚必要によりましては定款変更命令を出すこともできるという権能を委員会が持つておりますので、そういう規定の適当なる運用によりまして、若しも協会が非民主的な専横なことをいたします場合には監督いたすことにいたしまして、ここでは飽くまでも協会なり或いは取引所内自主性というものを尊重いたしまして、法律には役員選任の具体的な方法につきましては規定を置かなかつた次第であります。
  30. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 お話を承りますと、いろいろな点で、自主性というものを非常に重きを置いて期待されておるようですが、併し自主性を十分に與える場合には、主体性が確立していなければならん。その主体がはつきり確立していない場合に、余り自主性重きを置きますと却つて弊害が生ずると思うんですが、私はこの協会役員選任は無記名投票をすべきである、そういうふう、に考えておりますが、今の御答弁ですとそうでもない、いろいろな点から監督を加えて行かれるようにするというお話でありましたが、これは見解の相違でこれ以上お伺いしても仕様がないと思いますが、最後に現在の証券取引の問題について御質問したい。  それは本年一月末の取引所の立会停止、あれについてはその後当局においても調査されたことと思いますが、その結果を簡單でよろしいのですが、御報告願いたい。
  31. 阪田純雄

    政府委員(阪田純雄君) 只今お話のありました本年一月の株式ブームの問題につきましては、当局といたしましても一般投資家影響を與える、且ついわゆる証券民主化に関するところ非常に大きいのであります。実は今までにすでに五十九軒の店を檢査いたした次第であります。全國の証券業者は最近には多少殖えまして約五百六十軒になりました。その一割以上を調査いたしたのであります。  当時の模様を申しますと、東京について申上げますると、立会を停止いたしましたのは一月の二十七日でありましたが、その時におきまするいわゆる受渡未済高は、而もその中期日経過をいたしましたものは、三十一万五千株でありまして、問題はこれをはつきり整理してまいる、こういうことに相成る訳であります。幸いに東京の関係におきましては、業者自体の方が非常に受渡しの整理を促進されまして、大体二月の末日までにその整理を終つた次第であります。  ただ大阪、名古屋におきましては、東京ほど実は整理が進捗しなかつた訳であります。その理由は、東京におきまする商賣のやり方とへ大阪、名古屋等におきまする商賣のやり方と、やり方の相違があると申しまするが、御承知のように現在許されておりまする営業は、実物の賣買のみである次第でありまするが、東京はその点につきまして比較的固かつたのでありまするが、大阪、名古屋におきましては、從來の惰勢もあり、いわば清算取引に流れておるものがあつた、従いましてその整理もなかなか捗らなかつた。これに対しまして大藏省としては、このブームが始まりそうな時に、受渡しを励行いたしまするように、嚴重に警告いたしますると共に、大藏大臣談を発表し、且つ申上げましたような檢査もいたしました次第であります。そこで檢査をいたしました店につきましては、只今五十九軒と申し上げましたが、從來の有價証券業取締法によりまして中十五軒を営業停止を命じておる。そうして整理を促進さしておるこういう次第になつております。尚集團賣買の再開につきましては、本当に整理が完了いたしませんならば、これを再開するわけには行かん。その整理と申しますのは、業者間におきます取引の決済が十分に完了せられたのみならずお客さん関係に対しますものも決済が完了しておらなければならんと、こういうことになるのであります、東京はそれが比較的早く済みましたので、集團賣買の再開は二月の十六日からこれを許した次第であります。次いで二月二十七日に名古屋、京都及び福岡につきまして集團賣買を認め、三月の一日に残りの大阪、神戸、廣島、新潟について集團賣買を認め、これで全國従來集国賣買をやつておりましたところは一應集團賣買の再開になつたわけであります。但しこの再開の場合におきましても、業者の方々から整理が完了したと、こういつたようなはつきりした誓約書、且つ今後の取引におきまして法令その他に違背しない。違背いたしました場合は、法令による処分を受けても一向差支ないといつた堅い誓約書を出して頂きまして、再開を認めることになつた次第であります。その後におきましても、先程から御指摘のありまする通り、有價証券業者の商いのやり方というものが証券民主化影響すること多大でありまする故に、いろいろな点につきまして必要な通牒を出しますると共に、尚檢査も励行しておる。こういう次第になつております。從來検査につきましても大藏省のみがこれをやつておつたのでありまするが、手不足であり且つ先程來御指摘のありますように、地方におきます有價証券業者、これが従來におきましても地方の善良な人を惑わしておる。こういつた点もありまするので、財務局或は地方部というものを動員いたしまして、検査できますように法令上の措置を取りまして、今後は大藏本省には限らず、各地方においても必要な檢査を励行する。こういうことで進んでおる次第であります。
  32. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それからこの証券取引関係についての司令部の覚書、この趣旨をちよつと……。
  33. 阪田純雄

    政府委員(阪田純雄君) 証券取引関係に関しまする司令部の覚書は昭和二十年の九月に参つております。日本政府取引所又は同一の施設と申しますか、類似の施設と申しますか、シミラー・インスチチユーシヨンと、こういう言葉を使つております。これを開設し又は再開する場合においては、司令部の事前の許可を要する、こういつたことに相成つております。
  34. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 それでは、これまでのような取引については許可を得たのですか。例えば今までの調査ですと、五十九軒調べて十五軒も営業停止をされたようなものが出て來た。これは明らかに司令部のその精神に反しておるというので、そういうふうになつたのですか。
  35. 阪田純雄

    政府委員(阪田純雄君) 只今の御質問に対しましては、五十九軒のものを処分いたしましたのは、有價証券業取締法に基きまして、差金の目的を以て賣買をするとき、その他種々の規定がありますが、それに基きまして営業停止の処分をする、こういうことに相成つております。
  36. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 最後に、その後やつており、現在もやつておるいろいろな証券の賣買、これは当局のお考えでは、取引所又はその類似の施設を開設してやつておるものとはお認めになつておらないのですか。
  37. 阪田純雄

    政府委員(阪田純雄君) 先刻御承知の通り、有價証券というものがありまする以上、当然それに関しまする取引が出て参るわけでありまして、各有價証券業者がこれを扱う現在のいわゆる集團賣買は、各業者が店頭で賣買をいたしまする延長でありまして、司令部の覚書に言つておりまする取引所又は類似の施設である、こういうふうに解してはおりません。但し御承知のように、こういうものを長く放置しておきますと、それに更にいろいろなものが加わりまして、司令部で言われるところの取引所又は類似の施設となる虞れが増して参りますので、私共といたしましては、只今御審議を願つておりまする証券取引法が成立になりまして、正式に取引所の再開が司令部の許可を得て速かにこれをなされるといつた体制を現在希望しておる次第であります。
  38. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 まだいろいろ御質問したい点が沢山あるのですが、そうして又この法案につきましては疑問の点が多々あるのでありまして、短かい時間で到底質疑を終り得ないと思います。併し時間がありませんし、特に又質疑終つたあとで許されて質問しておるわけであります。余り長く亘るのを却つて御迷惑と存じますから、私の質疑はこれで打切ります。
  39. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) それでは証券取引法を改正する法律案はこの程度にいたしまして、次に復興金融金庫法の一部を改正する法律案を議題にしまして御質疑を願いたいと思います。それでは先程ちよつと申しましたが、財政法の第三條の特例に関する法律案も同時に議題としまして、どちらでもよろしうございますから、御質問を願うことにいたします。
  40. 松嶋喜作

    ○松嶋喜作君 復興金融金庫についてちよつと伺いたいと思います。この復興金融金庫の運営改善に関する試案、大藏省銀行局とありますが、これはどういう意味でお出しになつたのか、御説明を願いたい。
  41. 愛知揆一

    政府委員(愛知揆一君) 復興金融金庫の運営改善に関する試案といたしまして、お手許に配付いたしましたものは、実はこういう経過になつております。復興金融金庫の運営の改善につきましては、三党政策協定の問題にも取り上げられておりまするしいたしまするので、事務当局といたしましても、いろいろ考えてはおつたわけでございまするが、むしろ政治的にお扱いになつて頂くのが筋道ではなかろうかと思いまして、なんと申しますが、寄り寄り案は研究いたしておりましたけれども、これを発表するまでに至つておりませんでしたわけであります。然るところ、数日前衆議院の財政金融委員会におきまして、大体どんなことが考えられるか、事務当局の腹案があつたら、自分の案を作る参考にいたしたいから見せて欲しいという御要望がありましたので、かようなものを御参考に差上げたわけでございます。從いまして、こちらにも参考として御配付申上げましたわけであります。  それから内容につきましては、他にもいろいろあろうかと思うのでありますが、これは主として金庫の運営の改善ということにいたしまして、その第一に取り上げましたのは、融資先の監査その他につきまして、監察を主といたしまする委員会を特設いたして見たら如何であろうかという考えが出たのでございます。このためには、主としてでき得るならば國会側の十分の御監査を頂きたいと思いまするので、そのことを法制上はつきりいたしてみたいと考えたわけでございます。ただ、これは先程申しましたように、事務当局の一試案に過ぎませんので、関係するところも非常に多うございまするし、又政治的な問題かと思いますので、そういうような協議等を進めることにつきまして、こういうことが果して成り立つかどうかということについても、いろいろの御議論があるかと思います。  それから第二点は、復興金融委員会でございまするが、これは融資の根本方針その他を決定して頂く委員会でありますことは、御承知の通りでございます。当局発足いたしました当時の貴衆両院或いは衆参両院議員を以て主たるメンバーとしてあつたのでありまするが、その後立法府、行政府の区別を峻別するというところから、只今議会の方は参加しておられないわけでございます。併しながら現在の顔ぶれなり、或いは機構的にもいろいろ考えるところが更にあろうかと思いまするので、一層民主的な運営を図るということにいたしまして、それから特に現在では委員会の運営がややともすると非常に事務的であり、且つマンネリズムに陥つておりまして、大口融資の審査ということに殆んど没頭しておられるのでありますが、むしろそれよりは、何故に復金の融資というものがかくのごとく多く出なければならんかというような根本的な方針自体を、もつとこの委員会において究明して頂くことが適当であろうかというふうに考えましたので、その点をここに抽象的に掲げたわけでございます。  それから第三は、金庫自体の陣容の拡充でございますが、特に融資後の管理、回収という面につきましては、具体的に、只今融資部の管理課でやつておりますことを、でき得るならば部を新設するというようなことを考えて見たいと思つておりますので、そのことをここに現わしましたわけでございます。  それから第四点では、代理店機構を整備拡充いたします。これは現在興銀、勧銀等になつておるのでありまするが、普通銀行等にも代理店契約を及ぼしまして、直接事業界にも、地方的にも接触の面が廣いところを利用して参りましたならば、融資の適切な実効が期待し得るのではなかろうかというように考えておるわけであります。それから尚復金の融資をできるだけ少くするということのためには、産業金融の円滑化を図りますために、日銀を中心とする融資斡旋の機構を円滑に動かしますることが一層現在において必要になつて参りまするので、このことは直接復金の問題ではございませんかも知れませんが、大いに力を入れたいという決心をここに現わしたものでございます。
  42. 松嶋喜作

    ○松嶋喜作君 只今運営に関する試案について伺いましたが、私は前回にも伺いましたが、復金の運営について責任の帰着が非常に曖昧である。最終の責任者は誰であるかということを伺つたときに、大藏大臣である、大蔵大臣はしよつちゆう迭るじやないか、如何にも迭られた後、責任を追及するわけには行かんが、それは止むを得ん、行政上の処置というものは大藏大臣に帰結しておるのだということでありまして、これはこの金融というような特殊の責任ある仕事を行政上の大藏大臣が負うというだけでは、運営は非常に薄弱であるという感じがいたします。この度復金の増資についてここに改善案なるものが出ましたが、事後の監査、これは別に異議はありません。事後に監査することは結構でありましよう。併しながら私の心配するのは、貸出しの当初において公正、嚴正にやる、又その貸出した以上は誰かが責任を持つという、責任の帰着を明らかにして欲しいという氣が、いたします。そこで第一項の監査は暫く置きまして、第二の復興金融委員会を強化拡充する、これでありまするが、一体從來のすべての政府の政策というものは、名を委員会に籍りて非常にルーズであつたと思います。そこでこの復興金融委員会を強化するということは結構でありまするが、一体どういうように強化されるのか、それを伺いたい。
  43. 愛知揆一

    政府委員(愛知揆一君) 先ずこの責任の問題でございまするが、これは前回にも申上げました通りでございます。復興金融金庫についての最終的な責任の所在は、法律にも明らかでありますように主務大臣でございます。それから復興金融委員会の職責につきましても法律規定されておる通りでございますが、先程申上げましたように、先ず強化拡充という中には、例えば現在の委員会におきましては、或いは多少人選等におきまして、偏しておる点もあろうかと思われますので、そういう点を改善いたしまして、眞に各界を代表される方を以て構成をいたしたいということが第一点でございます。それからその職務の内容は、これ又先程申上げましたように、融資のむしろ根本の方針、例えば赤字金融に対する考え方とか、或いは復興金融金庫の運営の面を通し、融資の面を通して、物價政策をどういうふうに希望するかというような根本的な方針について、十分委員会で御審議を願うということにいたしまして、むしろ個々の融資の大口融資の審査というようなことにつきましては、でき得るならば復興金融金庫の理事長以下理事者側において、眞に責任がとれるような態勢に持つて行くべきではなかろうかというように考えておるわけでございまして、そこのところは運用の妙を発揮するより外はないと思いますが、要は根本の復金の動かし方についての大局的な立場からいろいろの御審議を願うことが復興金融委員会であり、そうして融資それ自体につきましては、できるだけ復金当局の創意工夫を活用し、且つ責任を大幅にとつて頂くというように持つて行くことが、最も改善されるゆえんではなかろうか、こういうように考えておる次第でございます。
  44. 松嶋喜作

    ○松嶋喜作君 一月のこの委員会のメンバーを木村さんからの要求で頂戴いたしましたが、このメンバーが一体何回寄つて協議をしたでしようか。その回数、出席人員の点を一つ……。
  45. 愛知揆一

    政府委員(愛知揆一君) 復興金融委員会は、最近の事例で申しますると、大体週に一回やつております。御承知のように復興金融委員会は大口の融資の審査もしているのでございますが、五千万円以上の貸出しにつきましては、すべて委員会の議を経ることになつておりますので、現在の情勢としては、貸増しの要求も非常にある現状でございますから、従つて大口融資の議案として掛けなければならんものも非常に議案が多くなつております。大体最近におきましては、議案が多くなつておる関係、その他の事情から、大体において週一回、一日から平均をとれば、恐らくは十日に一度くらいの平均になつておりはせんかと考えております。それから出席者の顔触れでございますが、これはお手許に差上げてありますような構成でできておりまして、皆さん非常にお忙しい仕事を持つておられる方々でありまするが、ここに毎回の出席者の出席簿は持つて來ておりませんけれども、少くとも過半数の方は常に御出席になつておると記憶いたします。
  46. 松嶋喜作

    ○松嶋喜作君 私の憂うるのは、これは名目だけの顔触れであつて、本当に出席される方は少いんじやないかと想像しておるのであります。結局この中の復金の事務当局の方が主としてやられるのじやないかと思うのであります。先程政府委員がおつしやつたこれから復金の理事者を入れてやる。そうしてその方に非常に力を入れて頂くということは、私も非常に同感であります。この顔触れを見ると、復金の理事を一人、復金の部長等が入つておりまするが、理事長、副理事長は入つていないのでございますか。その点が少しおかしいじやないかと思うのですが、むしろ復金の最高首脳者である方、理事長、副理事長、又理事の方なんかに非常に重点を入れて頂くことが、むしろ実質上の運営に効果があるのじやないかと思うのですが、その点はどういうわけで理事長、副理事長が抜けておるのでありますか。
  47. 愛知揆一

    政府委員(愛知揆一君) この点は前回にもちよつと申上げたかという記憶がおるのでありますが、実は率直に申上げまして、この復興金融金庫ができましたときの経緯に出発しておる問題でございまして、その当時の考え方は、復興金融委員会は復興金融金庫を監督する立場にある。で、その監督される方の復金当事者はこの委員会に入らないというような考え方、それから又復興金融委員会において決めました方針に基いて実務を処理するのが復興金融金庫のボードである。こういうような考え方がその当時の考え方でございまして、これはどうも何と申しますか、日本的な感覚ではちよつと釈然と理解がしにくいところであると私は率直に考えるわけであります。それで、そういうような状況でなかなかいろいろの方面にもいろいろの議論がございまするので、私共といたしましては、昨年の夏以來何とかしてこの中に委員として復興金融金庫の理事長以下理事者がお入りになるのが当然であり、又入つて頂かなければ、いかんという考え方で、いろいろ手段を盡したのでございまするが、現存のところまた正式に委員にはなつておられません。そのギヤツプを補いますために、現在各会合におきましては、必らず復金の理事長に御出席は願つております。正式な恰好から言えばオブザーバーといつたような恰好でありますが、理事長に必らず御出席を願つておるような次第でございます。私共の考え方といたしましては、先程の試案にもございますが、復興金融委員会の強化拡充のときには、私の意見といたしましては、当然理事長、副理事長にこの委員に入つて頂きたいというように考えておるわけであります。
  48. 松嶋喜作

    ○松嶋喜作君 この復興金融金庫の委員会だけではないのですが、従來の政府のやり方がどうも委員会に名を籍りて責任の帰結が非常に薄いということを私は憂うるのでありますが、その意味におきまして、この復興金融金庫の現存の委員と、それから毎回開かれて出席しておるかどうかということについての……別に人について誉めるわけではありませんが、誰が出席したかどうかというその表を一つ書いて出して頂きたい。これはこの問題でなしにいろいろな意味において参考になりはしないかと思います。
  49. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 速記を止めて。    〔速記中止)
  50. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 速記を始めて。それでは復興金融金庫法の一部を改正する法律案の御審議をこの程度にいたしておきまして、証券取引法を改正する法律案を再び議題にいたしまして御審議を願いたいと思います。この法案につきましてはすでに質疑は終了いたしておるのでありまするから、直ちに討論に入りたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  51. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願いたいと思います。別に御発言もないようでありますから、直ちに採決をいたして御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  52. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) それでは証券取引法を改正する法律案を議題といたしまして、本法案を可とせらるる方の御挙手を願います。    〔挙手者多数〕
  53. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 多数と認めます。よつて本案は多数を以て可決せられました。本会議における委員長の口頭報告につきましては、前例によりまして委員長で適宜いたすことに御了承を願いたいと思います。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  54. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 御異議ないと認めます。それでは念のために申上げます。只今採決になりました法案は衆議院で修正があつたのであります。それは第六十五條の第一項但書中「投資目的を以て」の下に「又は信託契約に基いて信託をなす者の計算において」ということが加わつたのであります。併し先程採決いたしました法律案と申しますのは、これは衆議院において修正されて回付されたものについて御採決を願つたのでありますから、さよう御承知を願いたいと思うのであります。それから本院規則第七十二條によりまして委員長が議院に提出いたします報告書には、多数意見者の御署名を附することになつておりまするから、本案を可とせられた方は順次御署名を願います。    〔多数意見者署名〕
  55. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) それでは午前はこの程度で休憩いたしまして、午後一時半から開会いたします。    午後零時十五分休憩    —————・—————    午後二時五十九分開会
  56. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) これより休憩前に引続いて会議を開きます。復興金融金庫法の一部を改正する法律案、財政法第三條の特例に関する法律案、この両案を議題といたしまして御審議を願います。どちらにでも御質問のおありの方は御質問願いたいと思います。この財政法の第三條の特例に関する法律で、この特例の法律から除外しておるのは、製造煙草の定價というだけであつて、塩とか樟脳については除外しておらんようですが、これはどういう意味ですか。
  57. 松尾俊次

    政府委員(松尾俊次君) 塩と樟脳でございますけれども、塩は御存じのように、只今ではあれによつて財政的の益金を上げるというようなことをやつておりませんので、價格を決めますのは、本当にコストだけでやつておる状態であります。それに加えまして、輸入が殆んど大部分でありますので、價格を決めるにも、なかなか一方的に参らない、こういつたようなことからして、除外してあるようなわけであります。樟脳につきましても、やはり現在ではコスト主義によつておりまして、これは申分以上やはり輸出の方面に向いておりますので、やはりなかなか我々の方だけでは決め得ないと思います。こういつたような状態になつておりますので、この法律から除外した方が取扱上、よいのではないか、こういつたわけで除外したのであります。
  58. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 國の独占に関する事業における事業料金のことでございますが、これは食糧管理法に基く主要食糧の販賣、これが抜けておるのですが、この点について政府委員にお尋ねいたします。
  59. 河野一之

    政府委員(河野一之君) ここに財政法第三條の特例に関する法律案に関する資料といたしまして、プリントを差上げてあるかと思うのでありますが、これにつきまして、一應政府考え方だけ申上げまして木村委員のおつしやいました点につきまして、ちよつと触れて見たいと思います。便宜これを説明さして頂きたいと思うのであります。  御承知の通り、財政法の第三條で、「租税を除く外、國が國権に基いて収納する課徴金及び法律上又は事実上國の独占に属する事業における專賣債務若しくは事業料金については、すべて法律又は國会の議決に基いて定めなければならない。」という根本の規定がありまして、それに対しまして、この三條の特例が出まして、この法律が通りました曉におきましては、両法が同時に施行になる、この特例に関する法律によりまして、一般的のものは國会の議決から当分の間除外されまして、そうしてこの法律にありまする通り、煙草とそれから通信料金、鉄道運賃というものだけについて、法律又は國会の議決によるという仕組みになるわけであります。將來この法律が死にますと、全面的に三條の規定が生きて参るわけでありまして、その場合に、どういうものがこの財政法第三條の規定によつて法律又は國会の議決を経なければ決まらないことになるかということの範囲の問題でありますが、この三條の前段の問題といたしまして、國が國権に基いて収納する課徴金ということでありますが、國権、即ち國家の統治権の作用といたしまして徴収する課徴金という意味でありまするので、ここに書きました代表的なものとしては、先ず負担金、即ち河川法、道路法、都市計画法等によつて、公益のため必要な特定事業に特別の関係を有する者に対して全部又は一部を負担させる。これはすでに法律によつて定まつておるのであります。河川法及び道路法の関係におきましては殆んどそのすべてが公共團体であります。従いましてこの規定は財政法の第十條の規定とも重複いたしますのでありまするが、その問題であるのかも知れないのでありまするが、一般的の問題といたしまして、法律によつて現在もできておりますし、これが課徴金であることは間違いないと存じます。都市計画法につきましては、これは受益者負担の原則で個人に負担させるものもありますので、この意味におきましては個人に対する課徴金になろうかと思うのであります。その次は納付金でありますが、これは物價統制令に基いて制定された價格差益金、それから日本銀行の納付金、競馬会による納付金、地方鉄道及び軌道につきましては、現在やはり一定の納付金を取るという法律がございますが、これがこれに該当するものと思うのであります。それからその次は処罰の収納、処罰の収納は、例えば罰金でありますとか、科料とか、國が一方的に徴収するというものが第三の段階として入るのであります。それから問題となりまするのは、その次の手数料なのでありますが、苟くも國が國権に基いて収納するという意味合から來ますので、一般の私法上の関係というものは課徴金にはならないのではないか、一應こう考えております。例えて申しますならば、学校の受驗料とか、それから図書館の入場料でありますとか、植物園の入場料、病院の入院料、これは私法上の関係でありますので、入らないと考えてよかろうかと思うのであります。その他の公法上の契約に基くものであつて、これは課徴金に該当するかしないかという議論のある点があるのでありますが、例えて申しますると土地台帳の閲覧手数料であるとか、それから各種の試験手数料、そういつたものであります。それからこれは公法上の関係ではありまするが、國が一定の役務を提供いたしまするその代償と申しますか、実費弁償の性質を有するもので、これを國が一方的に徴収する課徴金というのに当らないのではないか。從つてこういうものにつきましては、財政法第三條の規定によつて法律、又は國会の議決によるということを必要としないのではないかというふうに考えるのであります。ただそれ以外の公法上のものにおきましても、國が次に掲げました私法上の手数料、或いは行政権の公の行爲に対する手数料、即ち國が一定の行為をいたしまして、それに対する反対給付として取る実費弁償とは少し性質の違うものでありますが、例えて申しますれば、特許の場合における登録の手数料であるとか、或いは工業所有権を設定した場合の手数料であるとか、或いは民事訴訟法による費用の負担であるとか、こういつたものは、考え方によりますると、一應は課徴金ではないという解釈も成立つのであります。即ち一定の利益を與えることに伴う反射的な作用として、一定の権利を設定して、特定の人が利益を受ける、その反射的な利益に対して國が一應の手数料を取るといつたような関係でありますが、その関係は、権利設定自身は統治権の関係であると思うのでありますが、それに伴つて手数料を取るということは、必ずしも統治権の作用であるのかどうか。むしろ別の、勿論この点につきましては、法律規定は要るのでありますが、財政法第三條のいわゆる課徴金でないという説もあるのでありますが、一應こういう問題につきましては、現在の私共の考えといたしましては、財政法の精神從つて該当させるのも一案ではないかというふうに考えております。ただこの問題につきましては、すでに大体のものは法律規定によつておりまするので、財政法第三條の課徴金として取立てて議論する程の実益に乏しいというふうに考えております。  それから前段の課徴金の問題でありますが、第二段の「國の独占に属する事業における專賣價格」でありますが、これが先ず煙草、煙草用巻紙の販賣價格、粗製樟脳、樟脳油の専賣債務、それから、塩及び苦汁、つまり「にがり」でありますが、その販賣價格、アルコールの販賣價格、木村委員の御指摘になりました問題といたしましては、主要食糧は大部分を國が一手に買取つて配給いたしておるという事情でもあります。薪炭についても同様な事情があるのでありますが、これは私共の考えといたしましては、財政法に言う專賣とは見ておらないのでありまして、食糧について見ますれば、食糧管理法の規定によつて國がこれを買取るという建前になつておるのでありまして、これを專賣というのは少し当らないのじやないか。食糧管理法に基く食糧の配給操作であると、こう考えておるわけなのであります。勿論その價格については、食糧管理法によつてその價格の決定方法が定められておるのでありまするが、國の專賣とは考えておらないのであります。  それからその次に、國の独占に属する事業における事業料金でありますが、これは法律上のものと事実上のものとありますが、法律上のものは郵便法に基く郵便料金、これは現在法律によつておるのでありまして、その料金そのものについても法律によつておるわけであります。電信法に基く電信、電話の料金は、それは金額そのものについての規定はないのでありますが、独占ということにつきましては、法律を以て規定されておるわけなのであります。事実上の問題といたしましては郵便貯金、郵便爲替及び郵便振替貯金の料金、それから國有鉄道につきましては、これは國有鉄道と書きましたのは、或いは適当でないかも知れませんが、これは地方鉄道もありまするので、併し鉄道の大部分は國有鉄道でありますので、この分は大体事実上のまあ政府の独占に属する、こういうふうに考えておるわけであります。これに出しました資料につきまして大体の御説明をいたしたのでありますが、盡しませんところがありますれば又説明いたします。
  60. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 御説明がございましたが、事実上の独占の方で今薪炭のことをお話がありましたが、薪炭も主要食糧の販賣と同じように考えられておるのですか。
  61. 河野一之

    政府委員(河野一之君) これも同様に考えております。これは基礎法規が物資需給調整法でありましたか、そういうものによつた政府による配給操作である。こういうふうに考えておるわけであります。
  62. 伊藤保平

    ○伊藤保平君 そうすると、今度できます公團なんかからの収益なんか予想されますね。そういう場合どうなんですか。
  63. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 公團につきましては、公團の職員の人件費及びその事務費というものは全部政府が支出する。そうして國に対して納付金をするという建前になつておりますが、その他の一般の業務から生じました利益金につきましては、やはり余れば國に納付する。こういう建前になつております。
  64. 伊藤保平

    ○伊藤保平君 この納付金という中に入るのですか。この中でどこで処理されますか。
  65. 河野一之

    政府委員(河野一之君) これはやはり課徴金というふうに、考えております。これも現在法律で、各公團法で規定がございますので、これも一種の課徴金であろうと思います。
  66. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 只今お話ですね。食糧管理法に基く主要食糧の販賣と、それから薪炭需給調節のための薪炭の販賣は、この特例がなくなつた後において同じような考えですか。
  67. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 現在のところといたしましては、財政法第三條に言う專賣價格ではないという解釈でありますので、この法律が失効いたしまして、即ち財政法第三條が全面的に施行されましても、この財政法第三條の規定によつて價格を決めるというふうには考えておりません。ただそういうような事態に至りました場合に主要食糧の價格をどうするか。物價統制令も同時に廃止せられることになるのでありますが、その場合において、どういうふうにするかということについては、こういつた政府事業の民主的な運営という点からやはりこの精神に副つて考えるのが適当ではないかというふうに私見ではありますが考えております。
  68. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 この法律をお出しになつ趣旨ですが、これによつて、これが通れば直ぐこの規定になつておるもの以外の價格料金は変更できるわけですね。例えば物体廳なら物價廳で物價を変更する権限があるわけです。その場合、実際の物價改訂の問題に関連してくるのですが、これが通れば、鉄道運賃とか通信料金は國会の議決を経ることになりますが、こつちはあとに廻して、そうしてこの法律の許される範囲で物價改訂をやつてあと又二段構えで又運賃、通信料金を決めて行く。そういうような物價改訂の構想になつておるのでしようか。
  69. 吉田晴二

    政府委員(吉田晴二君) 物價廳といたしましては、この法律によりまして貨物運賃を國会の方で御審議願いまして、成るべく早く決定を願いまして、それによつて、それを織り込んだ價格改訂をやりたいというふうに考えております。
  70. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 そうしますと、これは新聞で見たのですからそれが本当かどうか分りませんが、物價体系は二段構えの物價改訂と出ておりまして、それで、鉄道、通信料金ですね、これが若し遅れるのでその前に物價改訂をやらなければならんというようになると、鉄道、通信料金はあとにして、先に外の物價改訂ということになるのですか。今のお話ですと、鉄道、通信料金の方が決まつて來ないと、物價改訂の方の問題が実際問題として出て來ない。こういうふうに了解していいのですか。
  71. 吉田晴二

    政府委員(吉田晴二君) その点は結局時間の問題になると思いますが我々としましては成るべく早く、結局國会の方の審議の経過によるわけであります。我々としましてはできるだけ早く御審議を願いたい。それによつて價格の方も早く決めて予算の関係も早く決まるようにということを希望しておる次第でありまして、ただ、ろくの関係によりましてどうしても運賃の方が決まちない場合、或いはそういうことも考えられるのではないかということは勿論考えられるわけでありまして、ただ現在のところにおきましては、できるだけ速かに一つ御審議を願いまして、それによつて全体の改訂を行いたいというふうに考えておるのであります。
  72. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 まあこれは先のことですから、はつきりお答え願えるかどうか知りませんが、若し差支えなかつたら、今後の物價改訂の方針とか構想というようなものを伺いたい。例えば昨年七月にあつたいわゆる全面的改訂ですね、それから賃金と物價との安定帯みたいなことでやるのか、それとも各價格間の凸凹調整というふうなことでやるのか、そういうようなことを……。
  73. 吉田晴二

    政府委員(吉田晴二君) 只今の点につきましては、どうも事務当局の方から御答弁申上げるのはどうかと思うのですが、まあ併し我々の方で考えておりまするところでは、成るべく昨年の七月のような、何と言いますか、まあ全面的な改訂という方に持つていかないで、まあこれは、いろいろ補給金との関係とも睨み合せなければなりませんけれども、なるべくまあ一部補正という程度に止めたいということで、いろいろ立案しておるわけでございます。
  74. 中西功

    ○中西功君 この財政法の特例に関する法律が出された趣旨を、私は説明を聞かなかつたのですが、この煙草や通信料金を除いて、そうしてその他は國会の議決を経なくても決定し得るというふうな法律趣旨になつておるのですが、こういう三つのものを除いたあと、一体政府は何を自分で独自に決定したくつて、こういう特例案を出したのか、まあいわばその狙いですね、具体的に言つて、狙いはどこにあるのかということをお聞きしたいのです。
  75. 河野一之

    政府委員(河野一之君) この特例の法律によりまして、まあ國民生活に最も密接な関係あるものは、大体もう盡しておるというふうになるのであります。これ以外におきましても、この際としては、経済緊急事態の存続する間は、國会の議決を経ずにやつて頂きたいものが、その外いろいろありまするので、例えて申しますれば、この中にも外國煙草とか輸出用製造煙草を除くというように書かれてありまするが、塩の價格でありますとか、アルコールの價格でありますとか、そういつたものがございます。それから先程手数料の点につきまして、該当するか該当しないかという点についてのいろいろな意見を申上げたのでありますが、この中にも現在法律規定によらずにあるものもあると思われますので、その間の調査というものがまだ十分に届かない点もありまするので、一應そういう点をこの際としてはオミットさして頂くと、こういう意味で出したわけであります。
  76. 中西功

    ○中西功君 いや私はこの政府が、今後行う新物價体系と言いますか、或いは又物價改訂というふうな時に、差当りこの特例というようなものが非常に必要になつて出されたんではないかと思つたのですが、そういうふうな場合に、具体的にどういうふうなものが、やはり政府の独自的な見解の下で決めた方がいいんだと、そう考えていられるのか。結局この特例と物價改訂との関連、政府がなそうとしておる改訂との間に非常に密接な関係が、まあ、あるのかないのかという点になるんです。
  77. 吉田晴二

    政府委員(吉田晴二君) 只今の御質問になりました点は先程河野政府委員からも御答弁申上げましたように、いろいろ細かい料金とか各種の專賣價格もありますので、それまで一々御審議を願つておりますというと、その間にいろいろ時間も要しまするし、又種々の点において今後物價の関係等に関連するものも非常に多くなつて参ります。現在一般の物價改訂というものは、御承知の通り非常に時期の問題が重要な関係を持つております。すでに御承知の通り物價の改訂があるというようなことが世間に具体的に言い出されて來ると、そこにいろいろ賣惜みとか思惑とかいうような問題が出て來るわけであります。先ずそれらのことを考え合せますと、現在の財政法の建前から申しましても、又これらは主として財政収入という点に重きを置いて法律ができておるというふうにも考えられるのであります。それらの状況を睨み合せまして現在のところではこの程度法律をお願いしたらどうかというふうに考えられておるわけであります。
  78. 中西功

    ○中西功君 私よく分らないのですがね。この第三條の中で煙草、それから郵便、鉄道料金、この三つは現実の物價に影響するところ非常に大きいものだと思うのです。その他アルコールでありますとか或いは塩というようなものは、その影響は大きいでしようが、さつきそちらから説明がありましたように、政府自身これによつて今財政収入をうんと上げようというふうな考えもないという話もあつたのですが、そういう意味でこれをどんどんあげて物價に影響を與えるということも考えられないわけなので、この三つを除いてしまうと殆んどその他の問題というのは何もないような氣がするのです。まあ少くとも、ないと申しますのは、ないように見えると思うのです。ここに特例に関する資料として出されたものだけを見ておると、ないような氣がするのです。それならば何故こんな特例案を出す必要があるかというふうな点にも疑問が出て來るのですが、併しもつと又突込んで考えて見ると、こういう考え方もできるんじやないかと思うのです。それは一應この三つの問題については財政法にも書いてある関係から國会に諮る。併し物價体系の根本問題或いはその他やはり物價水準を決定して行くもつと基本的な石炭や或いは電力や或いは鉄鋼、そういうふうなもつと基本的な物資があると思うのです。結局そういうものを即ち一つは物價体系という問題と、一つはそういう基本的な、こんなものよりもつと大切なもの、やはり政府が一應独自の見解で決めたい、それに対しては、いわば國会から余り干渉を受けたくない、こういうふうな点があつて特例法ができたんじやなかろうかというふうな氣もするのですが、それはどうでしようか。
  79. 吉田晴二

    政府委員(吉田晴二君) 只今の御質問の点は、物價統制をやつております建前といたしまして、一應物價につきましては政府に委して頂くということが各國の例になつております我が國におきましても、その建前でやつて來ておるわけであります。ただ、そういうわけでありまして、例えば電力であるとか、石炭であるとか、そういう重要物資について國会の議決によるということは、これは若しそうすることが必要であるということになれば、或いはその方のそういう意味法律を作る必要があると思いますが、財政法第三條というものは、そういう関係ではなしに、特に國の財政収入という建前から出來ておるわけでありまして、只今お話のようなものにつきましては、この三條の特例という点から今の問題が出て來ておるというわけのものではないと思います。お手許に資料が配つてありますように、現在のところでは三條の特例に関するものについては種々ございますが、これらの中についてはお話のような点はないように思います。
  80. 中西功

    ○中西功君 それで、さつき木村委員から御質問がありましたように、財政法の第三條の、國の独占に属する事業における專賣價格というようなことの理解が……現在の米は結局國家管理ではないかというふうなことも考えられますし、公国法の配炭公團にいたしましても、その他の問題にいたしましても、結局國家管理だと思うのです。そういうふうに拡げていけば、財政法の規定は現在においては非常に廣汎なものに結局関連して拡がつていくと思う。又必要な場合にはそういうふうに拡げるような理解をするような必要も出て來ると思う。どうも私はこの特例法か出た趣旨が結局よく分らないのです。政府はこれがなければ自分の独自的な物價体系や、或いは統制ができないというふうなものじやなさそうな氣がする。この資料に掲げた範囲では…。けれども、これが是非必要だという中にはもつと何か大切なものがあつてよさそうだ。そう思うのです。そうして結局考えれば今のような状態の下で第三條の規定をもつと、いわば正確にといいますか、或いは嚴格に解釈していけば、殆んどの物價に結局関連して來るというふうなことも言えるわけなんであります。そういう面から一先ずこの三つだけに限定して貰うのだというふうなことならば、非常に趣旨はつきりするような氣がするのですが、そうでなくて、今まで説明されたような調子だというと、何のためにこういう特例が要るのかということが分らないわけなんです。
  81. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 中西さんのおつしやるような点もあろうかと思うのでありますが、要するにこの問題は、財政経済の民主的運営というものが現在の経済緊急事態においてどの程度制限せらるべきものであるかというようなところにかかつて來るように思うのであります。おつしやる通り政府の直接扱つておりまする物資の中、專賣事業或いはその他の事業の中、代表的なものはこの三つのものであろうと思うのでありますが、一般の物價の問題に取りましても、これは物價統制令で以て現在國会の議決を経ることなく決められておる、或いはもつと密接な関係のある食糧の配船の問題が、食糧管理法の規定、或いは物調法の規定等によりまして、國会の議決なしにやられておるというような実情が現在のところあるわけであります。これに即應いたしまして、主として物價行政の立場から、この財政法第三條の問題をどの程度に現在の緊急事態の間止めて置いたらいいかどうかということに、問題がかかつて來るの、だろうと考えるのであります。御指摘の通りこれ以外に大したものがないのじやないかというのも、成る程おつしやる通りだと思うのであります。併しこの特例に書いてあります通り、御覧になりましても、法律又は國会の議決によらなければならんという、よらなければならんやり方がいろいろあると思います。例えて申しますれば、三号の国有鉄道の基本賃率とありますが、これの國会の議決を仰ぎます際に、東京から大阪まで幾らという仰ぎ方もありますし、一キロ当り幾らというような仰ぎ方もありますし、二等は三等の何倍であるというような、ここは物の價格の問題でありますので、非常に細かくなると思うのでありますそれから郵便その他の料金につきましても、一方負担金を取りますのはどうであるとか、いろいろ物資の價格が千差万別でありますと同時に、これらのものについて非常に細かくなる、そういう細かいものを議会に出して御審議を仰ぐのも一案であろうと思うのでありますが、現在の事態においては、これに書きました通り、鉄道で申せば基本賃率一キロに当り幾ら、貨物なら幾ら、これも代表的な物資であれば、それに比率を取つて決めるといういろいろなやり方があると思うのであります。そういつた意味合いも合せまして、現在の物價統制を実施しておる現状において、それとマッチした程度において、この政府の権限をこの法律によつて置きたい、こういう趣旨のように御了解願いたいと思います。
  82. 中西功

    ○中西功君 それで分りましたが、私はこう思うのです。やはりこれが中途半端だと思うのであります。これはこの前、予算委員会においても、ちよつと安本長官に質問したわけなんですが、やはり國会が若しこういう物價問題について関係するとすれば、單なる個々の煙草や國有鉄道というようなものではなくして、その根本原則、或いは物價体系、そういう問題の根本についてやるべきだと思うのであります。そうしてむしろそれが一應國会でやられるならば、こういう個々のものは政府に委した方が統一が付いておつていいではないかという氣がするのでありますところが根本原則が大体において出されないというような傾向にあるようですし、それでいて、この三つの問題だけここで出される、この煙草なんか大して大きな問題ではないとしても、國有鉄道なんかの問題は結局物價体系全体から見れば大きな問題であると思いますし、それにしても鉄道の料金の問題は決定的な問題ではないのであつて、これだけ國会に出されても、これだけのものでは結局大した役に立たんという氣がして、中途半端なような氣がするのです。むしろやられるのでしたら根本原則を、物價体系のプリンシプルを國会に出されるというような、それを法案化された方がいいし、それならば、さつき言つたように個々のものは全部政府に委すというふうにしたら、すつきりしていいのじやないかという氣がいたすのであります。
  83. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 中西議員の御指摘なつた点は御尤もと思う点もあるのであります。いわゆる経済全権委任法というようなものでも御審議頂いてやるということも一案であろうと思うのでありますが、その面につきましては、現存物價統制令とか、或いは臨時物資需給調整法というような法律がありまして、それに殆んど代るようなものがあります。ただ現存の財政法におきましては、それに関連する面としまして、こういうものが現在規定上あるものでありますから、それとの調子を取る意味でこの法律が出ておるというように御了解願いたいと思います。殊にこれは外の方の関連もあるのでありますが、煙草につきましては、その大部分が消費税の性質を有しておりますので、外の間接税については法律によつて議会の御審議を仰いでおる建前から言つても、当然ではあるまいかという氣がいたしますそれから郵便及び国有鉄道につきましては、これは國の二大公企業の一つでありまして、これの價格というものは國民の生活に密接な関係があるのでありまするから、殊に政府事業の運営については特に民主的でなければならんといつたような考え方もあるのでありまするから、そういつた面から、やはりこの料金或いは運賃というものについて、幾ら全部委任すると言つても、とこまで行くのは如何であろうかという意味合で、三つのものが特に選ばれた意味もあるということを御了承願いたいと思うのであります。
  84. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) ちよつと私からお尋ねしますが、いろいろ御質疑、お答えを聞いておりますと、簡單に申しますれば、政府は今財政法第三條というものは少し廣くて、これを何か変えたいような意思があるようにも伺われるのです。それで、この法案の現在の経済緊急事態の存続する限りということも、どうも実ははつきりしないので、何かそういうような少し第三條を持て余しておるというような感じを受けるのですが、これは一つ政府委員又は大藏大臣あたりから又はつきり説明願つたらよいと思うのですが、差当りこの現在の経済緊急事態の存続する限りというのは、一体いつ頃まで、どういう時までというお見込でありますか。
  85. 河野一之

    政府委員(河野一之君) これは具体的には非常にむずかしいのでありますが、この財政法直接の問題といたしましては、物價統制令により物價の統制を実施しておる期間、結局物價統制令の存続期間と運命を共にするというように考えております。
  86. 山田佐一

    ○山田佐一君 只今の点に関連するのですが、大体財政法第三條は未だ公布されておらんのですが、ところで、結局片山内閣の総辞職も仄聞するところ、鉄道運賃の値上げと今の官公職員の給料の値上げと関連するというので、ここに政治的のなにを來たした。現在は第三條は全面的に施行しておらん。只今の御説明によると、この三つのものは國会の承認を経るのが当り前だ。だから、これだけ残してあとはやるのだという御説明でありまするが、本当の腹はこれも成るべく國会の承認に掛けたくないのだ。出せば或いは煙草も賣惜しみをするし、或いは運賃についてはパスの買溜めもやる。すべての問題に影響するから成るべくは掛けたくないのだ。掛けたくないが、情勢によつて仕方がない、掛けるのだ。率直に言うなら、そういうものじやないかと思いますが、当局のお考えを伺いたい。
  87. 河野一之

    政府委員(河野一之君) 前段の方の問題でありますが、これは財政法の第三條はまだ施行しておらないのであります。それですから、この前の〇・八の予算のときのような問題が起つた次第であります。この財政法三條の特例に関する法律が通りますと同時に、財政法第三條を施行いたすわけでありますそうしますと、この特例に関する法律によりまして、財政法の三條が一應適用が制限されまして、この三つのものだけに國会の議決を経る。適用自身が三つのものに限定せられると、こういつた恰好になるわけであります。後段の御指摘の問題は、これはこういう立案の当初から、この三條のような規定を置くがいいかどうかということについて相当御議論もあつたのでありますが、本院においても、旧憲法時代でありましたが、いろいろ御議論もあつたのであります。例えば國会にかけまして……かけるといふことになりますと、その間における賣惜しみ、買溜めというようなことが起るというようなことがございます。それから場合によりましては、イギリスのごとく、消費税のようなものは全院委員会の議決で一旦徴収いたしまして、それから更に本会議でずつと練りまして確定したあとに、これに対する或いは拂い戻しとか或いはそれまでは有効にするとか、若し修正がありました場合には、そういうような措置を講じておるのであります。即ち仮徴収といつたような制度があるのであります。財政法第三條を全面的に施行する場合においては、そういう面も併せて考える必要もあるのではないかということも実は考えられたわけであります。併し現在そういう点につきましては、この配給統制か相当完全に実施されている、煙草につきまして、賣惜み、買溜めということは事実上困難な状況であります。まあ多少はございましようけれども……。そういつた点からいたしまして、直ちにこれをこういうことにいたしましても、まあ現在のところそう大して支障はないではあるまいか、こういう考えなのであります。御指摘のように決してかけたくないという意思でこういうふうに出したのではございませんことを御了承をお願いしたいと思います。
  88. 山田佐一

    ○山田佐一君 御当局はその時その時の御答弁ですから、速記録を御覧になれば、議会でもときどき財政法第三條があるじやないか、政府独自の見地において煙草の値上げをするのはいかんじやないか、運賃の値上げをしてはいかんじやないかということがときどき出ておる。そのときにはこの三條を直ちに施行するといろいろな弊害があるから、除外してやつたということは、今速記録を繰り返して見れば明瞭だと思います。今の御答弁とはまるつきり反対なことが出ておると思います。私は敢えて言質を取るわけじやありませんけれども、もう少しときどき御当局も、大蔵大臣もすでに迭つて行かれたのですが、聴く者は一つに聴いて行くのだから、どうか成るべく趣旨一貫したことの御説明が願いたいと、こう思うのです。
  89. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 復興金融金庫の法案についての御質問はありませんか。
  90. 山田佐一

    ○山田佐一君 説明を聴いても、その時その時の答弁の雄弁を聴くだけで、大藏大臣も、松嶋さんじやないが、本当に責任を持つ人を作らなければいかんですよ。本当に國費の濫費に終りますからね。その場その場の雄弁会ですと……。
  91. 木村禧八郎

    木村禧八郎君 一つお伺いしたいのです。これは衆議院でも問題になつたのですが、昭和電工の問題です。これは稻村さんが一應質問いたしましたから、その内容はお分りと思いますが、昭和電工は二十二年暮に五億円復興金から借りておる。そうして設備資金三億五千万円、一億五千万円を運轉資金として使うことになつておつたのが、五千万円の運轉資金で残りの一億円の行方が分らない。そういうことであるのですが、そうして又これは調べて頂かなければ分りませんが、どうも建設資金や何かで別荘みたいなものを作つたり何かしておる。そういうようなことも仄聞するわけなんです。そうしますと、折角復金から産業資金としてこれを貸出すのは、我々が非常に危惧していたように、若しやこれが事実であるとするならば、それが本当に産業資金に使われていない、こうなればこれは非常に重大な問題だと思う。これは稻村さんが質問しましたので、内容はお分りと思うのですが、何かその後お調べになつたかどうか、お調べになりましたら、そのことをちよつと御報告願いたいのです。
  92. 愛知揆一

    政府委員(愛知揆一君) 只今指摘の点は、おつしやるように衆議院でも御質問があつたのでありますが、私共当局としては、実は昭和電工の問題は、前回の國会でも非常な問題になりまして、衆議院におきましても小委員会を開催されまして、わざわざ速記も取らない非常に細かい質疑應答をいたしまして、尚それが継続中でございます。それから一方復金当局といたしましても、法規に基きまして監査をやつておるわけでございます。只今までのところでは、さような事態は発見されないのでありまして、融資計画で計画いたしましたところへ資金が出ております。  尚運轉資金等につきましては、いわゆる紐付融資をやつておりますが、確実に所要とする向に入つておるというようなことになつておりますが、尚引続きこの監査の問題につきましては、別途監察委員会の設置等も考えておりますようなわけで、非常に入念に調査をいたしております。若しそういうような仮りに疑いのあるような事態が発見できますれば、勿論早速に報告をいたすつもりにしております。先般稻村さんから御質問がありました点については、私共さようなことはないと信じておりますのですが、尚調査中でございますので、そういう事態がございましたら早速報告いたします。
  93. 松嶋喜作

    ○松嶋喜作君 復金に関して一つ伺いたいと思います。先程午前中に、復金については直接の関係ではないが、日銀をして融資の斡旋をせしめるというようの御構想を承りましたが、それはどういうなんでございますか。
  94. 愛知揆一

    政府委員(愛知揆一君) これは復興金融金庫としては、できるだけこの貸出しの額を減らしたいということを念願いたしておるわけでありますが、同時に産業資金の需要は御承知のように非常に多いのでございます。できるだけ或るものは市中でこなして頂く、それから市中金融機関の自分の勘定でむづかしいというものにつきましては、日銀を通じての斡旋によりまして、いろいろその間の事情も詳細に分りますから、場合によつては復金保証ということに持つて行く、成るべく直接の貸出しを減らしたいということで、これも現在日本銀行資金斡旋部というものを御承知の通り設けまし、そこと大蔵省とがいろいろ緊密に連絡をいたしておるのでありますが、尚一層その機能を活発に活用いたしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  95. 松嶋喜作

    ○松嶋喜作君 そういたしますと、復金でも尚、金の借りられないのは、日本銀行の斡旋は、復金以外の金融機関、例えば市中銀行というようなところへ向ける、こういう意味でございますか。
  96. 愛知揆一

    政府委員(愛知揆一君) いや、私の申上げ方が悪かつたかも知れませんが、その逆でございまして、いわゆる復金としては、市中銀行でどうしても貸せないものを復金で見なければならん性質のものだと思うのですが、でき得る限り市中の金融力を先ず使うことを念といたしまして、復金に持つて來るものは、できるだけ少くしたいというような氣持でございます。
  97. 松嶋喜作

    ○松嶋喜作君 それは非常な矛盾じやないのですか。市中銀行で貸せられないものは復金に行くという大原則があるように伺つていますが、その逆に復金で貸せないものを保証で市中銀行が出すと、これは私はそこに大きな弊害が出て來るのじやないかと思う。保証ということは差当り復金の融資等に関係なくて非常に樂にできる、併し一年後には、多分一年だと思いますが、一年以内に肩替りをせにやならんと、こういう保証を以て復金の責任を拡げると、結局保証してしまつたが故に結局は復金に肩替りせにやならんということになると、非常に後日において又復金の責任が過重して來る。こういう意味でこの保証制度というものは、復金の貸出しの堅実性から見て非常に弱点になるのじやないかという氣がするのですが、その点は御見解はどうでしようか。
  98. 愛知揆一

    政府委員(愛知揆一君) それはでき得るならば保証も付けたくないというのが先ず第一でございます。必要な産業資金についてはできる限り早く復金というような存在をなくするということが私は理想だと思うのでありますが、現状を以てしてはそういうことにもなりませんので、でき得る限り市中金融力を活用する、そうして止むを得ざるものについては、保証なり直接貸なりにしたいということでありまして、保証を付けるということは、結局資本の総額範囲内でしかどうしてもできないというような点からしましても、おつしやるような復金の保証ということは非常に重大な問題でもあると思います。ただ直接貸よりはいくらかでも市中の金融力を活用するという点において、味のある行き方ではなかろうかというように考えますので、第一段としては市中金融機関の責任においてやつて貰うことが最も望ましい、そのためには御承知のように、いわゆる枠というものを毎月毎に設定いたしておりますが、仮に五十%の枠を超えるようなものについては、日銀で斡旋をして、甲の一なり甲の二なりの重要産業については、その制度を活用する、それからその次に保証を考える。最後のところで直接貸しを考えるというようなことにして、復金の負担をできるだけ少くするという考え方がよいのではなかろうかと考えております。
  99. 松嶋喜作

    ○松嶋喜作君 これまでに日銀の斡旋というようなもので相当金融ができたのでございますが。
  100. 愛知揆一

    政府委員(愛知揆一君) 日銀の斡旋ということにつきましては、従來も相当の効果を私は挙げておるものと信じておるわけでございます。これは例えば一月中におきまする融資準則の実施の概況に照して見ましても、いわゆる枠外につきましても相当日銀の斡旋は最近進んで來ておるような状況でございます。又同時に復金の保証というものも、市中からの融資につきましても、その額は逐次増加しておるような状況になつております。
  101. 松嶋喜作

    ○松嶋喜作君 私の尋ねんとするところは、その保証でなしに裸で日銀の融資が世話された額、日銀の力を以て保証もなしに融資ができたという額はどれぐらいございますか。
  102. 愛知揆一

    政府委員(愛知揆一君) その正確な具体的な資料は只今持ち合わせておりませんのでありますが、直接それの答えにならんかとも思いますけれども御参考に一月中の全國の銀行の融資準則の実施の状況を申上げますならば、一月中におきましては預金は十二月に比べまして減つたわけでございまして、十二月には新勘定の預金は二百六十一億円増加いたしましたが、一月中では百四十九億円に止まつたわけでありますそれに対しましていわゆる枠は使用の可能の限度が七十二億円でございますが、その枠と同額のものがいわゆる枠外になりますわけで、七十二億円の枠外の金額があるわけでございます。その中で産業融資の関係は枠外で十六億円出ているわけでございます。従つて枠内の産業融資が七十七億円の中六十一億円は産業資金に出ておりまして、枠外の十六億円の比率は相当高い程度になつているわけであります。その他につきましては國債、復金債、地方債といつたようなものについて御承知のように先月中の純資金増加の一割とか五分という基準を設けまして、これの方も日本銀行の斡旋によりまして國債、復金債、地方債を消化しているわけであります。こういうような状況になつております。
  103. 松嶋喜作

    ○松嶋喜作君 今のでは私の答えには当てはまりませんが、私の心配するのは、今、極端でありますが、金融が非常に逼迫している。大きな会社、小さい会社を問わず非常に金融に悩んでいる。こういう時にあらゆる智慧と努力を費やして金を借りようとしている。その時に権力ある、権威ある人の斡旋というようなことが往々弊害を生ずるので、私は責任あり、自主性を持つ金融機関が嚴然と公平に金融をするにおいては、何もそう殊更に斡旋をせんでもいいのじやないか。復金の方でも金が非常に詰つている。これはなかなか又借りにくい点もある。そこで他の金融機関に保証を願つて行くというようなことは、非常に借りる方でも貸す方でも安易に行き易いという弊が多分に私はあると思う。で、日本銀行の斡旋とか或いは役所の斡旋、こういうことは弊害が伴い易いという点について、今度の復興金融金庫運営改善に関する事項の中に考慮して頂きたい。こういう氣持があるのであります。その点は一應これで質問はやめます。
  104. 星一

    ○星一君 松島委員質疑政府委員の答弁を見ると、責任という言葉は金に対する責任を言うているようであります。貸付けるとか何かするということを言うておりますが、一体復興金融金庫を作つた目的は生産第一だと言う、それで産業第一でできた。今日アメリカが日本の産業を援助しようとまで向うの國会で決議して行こうという時に、余り金の貸したことの回収に対しての責任々々を言わないで、産業の生産のできるかできないかということの方に……復興金融金庫の役人たるものは、生産が自分の任務に対する責任だ。その責任は何んだというと生産で、いわゆる産業の発展だろうと思う。それを動もするといわゆる金を放漫に貸してあるとか貸さんとか責めることが多く、生産の成績に対してなぜもつと論議しないかと私は思うのであります。それですから政府の方も余り間違わないで欲しい。又産業発展でなければ國はもう復興できないんだと言いますから、その時期に余り金のことを言われて、その妨害のないように、これは私は政府にもお願いしたいと思いますし、復金の人にもお願いしたいと思います。これは私の希望であつて、感想でもあります。
  105. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 本日はこの程度にいたしまして、明日午前十時から開会いたしたいと思います。どうぞ御出席をお願いいたします。それでは本日はこれで散会いたします。    午後四時十一分散会  出席者は左の通り。    委員長     黒田 英雄君    理事            森下 政一君            伊藤 保平君    委員            木村禧八郎君            下條 恭兵君            波多野 鼎君            西川甚五郎君            松嶋 喜作君            山田 佐一君           尾形六郎兵衞君            木内 四郎君            深川タマヱ君            星   一君            小林米三郎君            小宮山常吉君            西郷吉之助君            高橋龍太郎君            中西  功君   政府委員    総理廳事務官    (物價廳第一部    長)      吉田 晴二君    大藏事務官    (銀行局長)  愛知 揆一君    大藏事務官    (主計局次長) 河野 一之君    大藏事務官    (証券局設立準    備委員)    岡村  峻君    大藏事務官    (専賣局塩脳部    長)      松尾 俊次君