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政府委員(愛知揆一君)
只今豫備審査のために上程せられました
臨時資金調整法の止に伴う
措置に關する
法律案の提案の理由を御説明申し上げます。
臨時資金調整法の廃止は豫ねての懸案でございましたので、今次國會にその廢止に関する
法律案を提出いたしたのでございますが、同
法律案におきましては、都合によりまして必要な経過
措置に関する規定は一切掲げてございません。從
つて若しそのまま施行せられまする場合には、
臨時資金調整法に基いて適法に行われておりまする行爲、或いは適法に發行し、又は發賣せられました
證券證票等につきまして、これちがいずれも無効となり、これが處理に關しまして秩序を紊す等の虞がございますので、ここに経過
措置を規定する
法律案を提出いたしました次第でございます。
その要点を申し述べまするならば、第一點は興業債券及び商工債券につきまして、償還期が到來するものにつきましてはこれを借換させる必要がございますので、從
つて借換のための發行だけは今後も引続きこれをできるようにいたしたいという點でございます。
第二點は
臨時資金調整法によりまして金資金特別會計が所有しております興業債券は、今後も引続きこれを所有することができるごとといたした點でございます。それから第三點は、
臨時資金調整法に基きまして農行せられました貯蓄券、福券、貯蓄債券、報國債券及び所謂寶くじ並びに同法に基いて取扱われておりました割増金附貯蓄等につきまして、この際繰上償還や預金契約を變更することは却
つて弊害を伴いまするので、今後もそれぞれのすでに與えられました
條件通りにこれを處理し得るようにいたしますると共に、その中、所謂割増金附貯蓄及び寶くじにつきましては、その取扱又は發賣に關しまして命令が發せられておりますため、一切の
準備がすでに進行しておるものがございまするが、その分に限りまして特に今後の新らたな取扱や發賣をも認めようというのでございます。
最後に
臨時資金調整法に規定せられておりまする罰則に關しまして、同法廃止後もこれを有効とすることが必要と認められまするので、必要な規定を設けることとしようとするものでございます。
以上がこの
法律案の要點でございます。何卒御審議の上速かに御贊成あらむことを希望いたします。
次に同じく
只今豫備審査のために上程せられました
復興金融金庫法の一部を
改正する
法律案につきまして提案の理由を説明申し上げます。御
承知の
通り復興
金融金庫の資本金は去る二月上旬の國會の御可決を得まして、これを七百億圓に増額いたした次第でございますが、當時御説明申し上げました
通り、この資本金は本年度末までに必要とする資金の最少限の金額でございまして、その後當利の計畫に從いまして貸出額は逐次増如いたして參りました。現在すでに資本金の限度一杯に近く達しておりまするので、今回更に本年度第一四半期末までに所要資金を勘案いたしまして、資本金を増加いたすことにいたした次第でございます。
復興
金融金庫の資本金は今回の増資を以ちまして、既に五回に亘りまして増額いたされたわけでございまして、この間國會の御要望に應えまして、貸出に當りましては、努めて嚴格愼重に實行してまい
つたのでありますが、戰後經濟の混亂期に當りまして、産業界の資金需要に即應し、よく経済の復興再建に寄與してまい
つたと
考えるのでございます。即ち石炭、鐵鋼、肥料等の超重點産業は勿論でございまするが、その他の一般産業につきましても、極めて困難な状況下にありながら、よく設備の復奮揆充を實現し、企業の順調の發展を見ましたことは、復興
金融金庫の適切な資金の供給によるところ多大であ
つたと存ずるのであります。
復興
金融金庫を設立いたしました趣旨は、經濟の復興に必要な資金でありまして、且つ一般の
金融機關が融資することの困難な資金のみを供給することにあ
つたのでありますが、再建途上におきます惡
條件によりまして、經濟界の復興
金融金庫依存の傾向が逐次顯著となりまして、加うるに昨年六月以降公團資金をも一手に賄うことに相成りましたために、貸出残高は急速に増加いたしまして、これが通貨面に對する影響が強く指摘されるに
至つたのであります。
政府といたしましては、夙に健全財政の
方針を堅持いたしまして復興
金融金庫の貸出につきましても、努めてこれを壓縮制限いたしまして、苟くも放漫に流れることのないように、特に基礎産業に對しまして重點的な融資を實行してまい
つたのでありまするが、諸般の事情によりまして、今日のごとき巨額の資本金を要するに至
つた次第であります。
現在復興
金融金庫の機構並びに
運營の
方法につきましては、國會初め各
方面より種々の御
意見、御要望を頂いておるのでありまするが、今後
関係各
方面の御協力を得まして、愼重檢討の上、逐次實行に移したい
考えでございます。
政府といたしましては、復金の民主的
運營を期しますために、所要の
措置を講じますと共に、貸出を抑止し、爾後の管理を適切ならしめるようにいたしたいと存じております。これらの
措置のうち法制的處置を要するものにつきましては成案を得次第、法案を提出いたしまして、その御審議を頂く所存でございます。尚復興
金融委員會の改組、復興
金融金庫の人的内容の充實等種々考慮いたしておるのでございますがこれらのためには
金融界及び経済界の格段の援助を切望される次第でございます。
復興
金融金庫の貸出殘高は、二月末現在ですでに五百四十四億圓を突破いたしておりまして、これが所要資金は
政府拂込金竝びに債券發行によ
つて調達してまい
つたのであります。
政府繰込金は、設立當初拂込を得ました四十億圓の外、本年の月及び三月の債券償還のために各十五億圓づつ合計七十億圓に相成
つておるわけであります。一方債券の發行額は三月末現在五百五十九億圓に達する見込でございますが、これが市中消化につきましては、前回増資案御審議の際にも説明いたしましたように、最近かなり好轉して參りまして、一月、二月の平均市中消化率は三八%に達しておりまするが、今後とも一段の努力を傾けまして、通貨面に對する影響を極力阻止いたしまするために萬全の對策を講じたいと
考えておる次第でございます。尚貸出金額の壓縮につきましては、すでに御
承知のように復
金融資の相當部分を占めておりました公團資金を、來期以降におきましては全面的に市中資金を活用することに切替えましたために、復金自體の負擔は著しく軽減せられることとな
つたのでございます。今後更に一般産業資金につきましても、努めて市中
金融機關の活用を圖りますと共に、復金依存の傾向を是正して參りたいと
考えておる次第でございます。今般提出いたしました本
法律案は、以上の諸事情を十分
考えまして、差當り來年度第一四半期末までに必要といたしまする資金の最少限度を見込みまして資本今の増額を實行いたさんとするものでございます。即ち本年度末の資本金の餘裕を考慮いたしまして、この際現在資本金の七百億圓を二百億面増加いたしまして、これを九百億圓とすることを通常と
考えた次第でございます。前にも申上げましたように、現在の資本金は、すでに限度一杯に近く達しておりまする
関係上、本件増資の實行はぜひとも四月早々に實施される必要がある次第でございます。
以上
復興金融金庫法の一部を
改正する
法律案につき提案の理由を御説明いたしたのでございますが、何卒御審議の上速かに御贊成あらんことをお願いいたします。