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1948-03-31 第2回国会 参議院 財政及び金融委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年三月三十一日(水曜日)    午後一時五十二分開會   —————————————   本日の會義に付した事件 ○證券取引法改正する法律案内閣  送付) ○臨時資金調整法を廢止する法律案  (内閣送付) ○大藏省預金部特別會計昭和二十三  年度における歳入不足、補填のため  の一般會計からする繰入金に關する  法律案内閣送付) ○臨時資金調整法の廢止に伴う措置に  關する法律案内閣送付) ○金資金特別會計法の一部を改正する  法律案内閣送付) ○復興金融金庫法の一部を改正する法  律案内閣送付)   —————————————
  2. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) これより委員會開會いたします。本日は先ず證券取引法改正する法律案につきまして前會に引續き御質疑を願いたいと思います。前會先ず逐條で行きまして、第四節がまだ終らないでおつたと記憶いたします。第五章第四節の百七條からであります。前に戻つても結構でありますが。この節について何か御質問ございませんか。
  3. 波多野鼎

    波多野鼎君 證券取引委員會というのが非常に大きな權限をこの法律では持つことになるので、一遍證券取引委員の人にも出て貰つて今後の運營方針などについての大體の輪廓などはここではつきりきして貰いたいと思います。
  4. 阪田純雄

    政府委員阪田純雄君) その點につきましては、御承知のように、現行法によりまして證券取引委員會委員が任命されております。そうして本法律案におきましては、從來におきますより、より以上の重要な役割を務めることに相成ります。お申出の點につきましては一向差支ないと存じます。只今直ぐ連絡をいたすようにいたしたいと思います。
  5. 西川甚五郎

    西川甚五郎君 今の波多野さんの案は、衆議院で二三日前公聽會をやつたのであります。この間から皆さんの質問を聞いておると餘り分つたように思われないのであります。一つ公聽會式にでも事業界から來て頂いて少し話を聞いたらどうでしようか    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) ちよつと速記を止めて……。    午後一時五十六分速記中止    ——————————    午後二時二十六分速記開始
  7. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) それでは速記を始めて……。第四節はよろしうございますか。
  8. 波多野鼎

    波多野鼎君 第四節に問題があるので、これは留保して置いて貰います。
  9. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) それでは留保して置いて頂きまして、第五節はよろしうございますか。第五節について只今質問がなければ、第六節解散。これも別に御質問がございませんければ、第七節の登記。これも御質問がございませんければ、第八節の監督。これも只今質問がございませんければ、第六章に移しまして仲介、第百五十七條から第百六十四條まで。これが別に御質問がございませんければ、第七章に移りまして、證券取引委員會この證券取引委員會に、「所要の職員を置く。」とありまして、これは一級、二級、三級の官吏とする、これは政府官吏、純然たる政府官吏ですか。
  10. 岡村峻

    政府委員岡村峻君) さようでございます。具體的に申しますと大藏事務官が當るわけであります。
  11. 中西功

    中西功君 その證券取引委員會というのと、それから若しこれを證券……何か局とか、そういうふうなものと、實際どこがどう、何故違うかという點なんですが、三人の委員を以て組織しておる、その下に官吏がずつと付いてこれを輔佐しておるわけですが、これが實際いわゆる委員會というような名前に値いするものかどうか、わざわざ委員會という名を付ける必要があるかどうかという點なんですが、これは丁度まあ私よく分らんが、證券取引部なら部というものにしておいて、そうしてそこへ官吏を、通常な專門官吏を置けばそれでよいようなもので、わざわざ委員會という名前をなぜ付けるのかという點が少しよく分らないのですが……。
  12. 岡村峻

    政府委員岡村峻君) この證券取引委員會は、法律にも書いてございますように、委員三人を以上構成いたします会議體でありますところの行政官廳でございまして、それでその下に證券取引委員會事務局が付いておりまして、その事務局職員が、一級、二級、三級の大藏事務官が當るということが豫定されておるわけでございます。それで今日證券局設置準備委員會というものが置かれまして、證券局を作る豫定に今日まで進んで參つてつたのでございますが、この新らしい改正法律ができました場合においては、證券局として豫定されておりましたものは證券取引委員會事務局に乘り變る、こういう形になるわけでございますそれで、この種の委員會組織は他にも例がございまして、御承知公正取引委員會、これはやはり七人の委員を以て組織いたしておりまして、その下に事務局が附置されておりまして、そうして事務局職員内閣事務官が當つております。それと非常によく似た形のものになるわけでございますが、かような委員會を設けます趣旨は、この證券行政というものが、半獨立的に、公正に運營される、そのためには普通の證券局というような形態において運營せずに、委員會の下においてその運營圖つて行く、こういうことが考えられた結果でございます。
  13. 中西功

    中西功君 そうしますと何か政府から離して一つの半獨立性を持たした方が公正であるということになりますと、政府がやつておるということは、何か不公正なことばかりやつておるというふうに聞えるのでありますが、現實にそういうふうに證券取引関係仕事政府から離してやることが何故それ程よいことか、具體的に説明して貰いたい。
  14. 岡村峻

    政府委員岡村峻君) 政府から切離しておるわけでございませんが、この委員會大藏大臣の所轄に属しておるわけでございますが、そこに若干獨立的な性格を持たせまして運營することが、一貫した方針の下に、詰りそのときどきによりまして政策が大なる變更を受けずに一貫した方針の下においてでぎるという長所が、あるということが考えられます。この制度アメリカにおきまして、やはり證券行政をやつておりますのは大統領の直屬機關でありますところの俗にSECと言われておる證券取引並びに證券取引所委員會と言われておりますが、そこで當つております。その形態が、直接この制度を取入れます範になつたわけでございます。
  15. 中西功

    中西功君 そのアメリカ制度を模範にすることを云々するのじやないですが、今獨自的に、成る種の獨自性を持たせるように作られておるという理由として、政策恒久性といいますか、そういうことを考えておる、そのことはもつと別の言葉で言うと、内閣更迭如何に拘わらず、この證券事務は一貫した一つの方向と政策を持つた方がいいと、こういうふうな考え方だと思うのですが、私の言うのはその點なんです。そういう獨自性を持つて貰つちや困ると思うのであります。と申しますのは、内閣迭つて一定方針が立てば、證券關係もそれに應じてやはりその方針を遵奉して行つて貰わなければ困る。でなくて、なんか、こういう獨自的のものがあつて内閣一定政策を持つて、結局この委員會だけは從來通り方法でやつて行くなんと言つては、日本政治はやれないと思う。それ故に私は、そういう點でこの委員會制度というものはもつと我我として考えなければならん。然もその委員會が本當に國民代表を入れる、そして當面の政府擔當者と、そして民間の各般代表者を入れて、そうしてそういうものを作るというのでしたならば、これはまだ私は價値があると思うのであります。ところが實際にこの委員三名は内閣総理大臣が任命することになつておる、内閣総理大臣が任命するというのでしたら、一層はつきりと日本政府責任を取るべきだと思うのです。自分が任命することに對して、そこが非常に曖昧というか、辻褄が合わんと思う。で、こういうことに對してどういう監督をするかということは一見明瞭だと思うのであります。ですからこの取引所委員會制度、これは私非常に問題が存在すると思うのであります。まあ私の言いたい點をはつきり結論的に言いますと、一つは、さつき政府委員から説明されたような獨自性があるというならば、これはとんでもないことだと思う。はつきりと責任政治をやり、責任ある政策を取つて行くという政府の建前からすれば、政府は多少迭つたつて、ここだけは變らんものがあつたのでは絶對困る、そういうふうな獨自性は非常に困る、非常に惡い。ただ國民の意思をもつと廣汎に持つて行くという意味で、この委員會があるならば、総理大臣委員を任命するというのではなくて、もつとやり方がある。本當に國民各般代表者をここに入れるべきだと思うのです。それならば又私は話は別だと思います。併しそうでなくして、こういう内閣総理大臣が任命するというようなものであるならば、はつきりとこれは政府が全的に責任をとつて、このことに關しては、とにかく責任をとつてやるという態勢の方が遙かにいい。辻褄が合つていると私は思うのです。こういうようなことは、實のことを言いますと、非常に大きい問題なので私決定的な回答は勿論求めませんが、若し何か回答がありましたらやつて下さい。
  16. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 只今徳田委員長が見えておりますが、その方を先に一つ質問願つた方がいいと思います。外の點はまだ後から御質問願う機會がありますから、徳田委員長説明員として説明して貰うことに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 御異議ないと認めます。
  18. 松嶋喜作

    松嶋喜作君 大藏大臣は見えないのですか。
  19. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 大藏大臣は要求しておつたのですけれども、どうも見えることは見えるのですけれども豫算の方に行つたものだから……
  20. 松嶋喜作

    松嶋喜作君 じや一つだけお伺いしたいのですが。
  21. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 誰に……今わざわざ徳田さんは御要求があつて來貰つたのですから、成るべく今は徳田さんの答辯を要するようなことを先づやつて頂いて……
  22. 松嶋喜作

    松嶋喜作君 まあ法律に關してですから、政府委員じやないから專門的のことを伺えばいいのですか。どういうことを……結局どちらからお答え願つてもいいのですが、重大なことだと思いますが、新取引所法ができて組合組織ができる、こういうことになつて來ました時に、昔は擔保制度なんかあつて組合取引所の始末というものは或る程度取引所責任を持つて解決したのですが、今度は會員組織になつて獨自責任においてやる、そういつた時に、混亂し、間違いが起つた時に一體どういう救済ができるのかということは、まあ專門の徳田さんでもよろしい、政府の方でもよろしい。その點一つどう考えているのかお伺いしたいのですが。
  23. 徳田昂平

    説明員徳田昂平君) 私は證券取引所委員會委員長徳田昂平でございます。只今お尋ねに相成りました從來取引制度では、昔の取引員の一方が違約した場合に、擔保する責任の場所があつたのであるが、會員組織取引所になると、そういう點がどうなるかという松嶋さんのお尋ねだと思うのです。御説の如く、前には我が國の取引所株式會社取引でございまして、株式會社の業務の中の或る一部分は取引所擔保責任に任じたのであります。これは長期取引取引でありまして、その外に大正十一年の法律改正短期清算取引というものが開始なつ出たのでありますが、これは取引所擔保の責はないのであります。取引員同志共同擔保制度ということでありまして、一方が違約をいたした場合には、共同してその擔保の責に任ずるということであつたのであります。取引所自體にも兩制度が併用して行われておつたのであります。長期清算取引につきましては、取引所擔保いたします。短期清算取引につきましては、取引所擔保の責に任じませんで、取引員同志が共同して擔保する、こういう二つの制度になつてつたのであります。この擔保のことにつきましては、前からいろいろ議論があつたのでありまして、取引所擔保さした方がいいというのと、取引所擔保するということにつきましても、まあ相當弊害があつたのであります。これは取引所といたしまして、擔保の責に任ずることを成るべく避ける意味におきまして、解け合いを強要しておつたというようなことがあつたのでありまして、他の者が擔保するということにつきましても、相當有力なる反對の意見もあつたのであります。それに鑑みまして、大正十一年の法律改正は、大體只今提案になつておりまする取引法精神と同樣に、将來は會員組織にすべきだという方針の下に、大正十一年に法律改正になつたのでありましたが、やはり舊來擔保制度の許可によつて擔保制度を行うことができるという法律改正になつたのでありまして、取引所法の原則は、取引會員組織的になるべきだと、そういう方針の下に、今日に至つたのであります。この擔保につきましては、先程申しました如く、他人擔保するということも一つ方法でありまするが、そういたしますると、どうしても他人に依存するということになりまするために、進歩がどうしても遅れるということであります。どうしても會員組織にいたしまして、お互に相戒めまして、不都合のことのないように、そうして取引員——今回の法律上の改正でありますが——會員地位向上圖つて行くべきだということであります。前のその擔保にいたしましても、これは取引員だけの擔保でありまして、委託者には擔保は及ばないのでありまするから、實際の問題にいたしますると、委託者取引員を過信いたしまして、取引所或いは取引員に迷惑を蒙つたと申しましても、最後の委託者取引所に直接辧償を受けることができないのでありまするから、そういう點から申しますると、擔保というものも、ただ仲買人、いわゆる取引員だけの擔保でありまするから、擔保委託者まで及ばんということでありまするから、むしろその點は會員地位向上圖つて會員委託者に全責任を負うという制度にいたすことの方が理想的であるというのでありまして、それが今日實現したのでありまするから、只今松嶋さんのお尋ねの他の者が擔保を入れるということは、有名無實でありまするから、會員が相戒めて惡い者を排斥し、會員となる者は信用が十分できる、又會員もみずから戒めて地位向上圖つて、苟も委託者に迷惑のかかることのないようにすべきだ、いわゆる會員向上する機會を與え、ますますいい會員を拵えるということが最もいいのではないかと考えまして、私どもといたしましても、こうなるべきものと固く信じておる次第であります。
  24. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 松嶋君、もういいですか。
  25. 松嶋喜作

    松嶋喜作君 結構です。
  26. 波多野鼎

    波多野鼎君 證券取引委員會というのは、この法律によりますと、非常に大きな權限を持つておりまして、いろいろなことについて殆んど最高の決定權を持つておるようであります。從つて委員の方にお伺いしたいのは、今度の新取引法による賣買取引の種類なんですが、まあ政府委員の方から聞いておりますと、レギユラー・ウエイ方法によつて行くということより外に手はないという御意見のようであります。併し私思うのに、レギユラー・ウエイ方法によつて行くということも一つ方針としては良いと思いますが、その方針を貫くためには、この方針が本當に行われるようないろいろな條件を作らなければ駄目だと思うのです。そういう條件がないと、いわゆる現物取引という名前の下に清算取引が行われて行くということになつてしまうと思うのです。レギユラー・ウエイを本當に途行するための條件としてこれは誰でも言うことでございます。貸株の制度コールマネー市場が本當に確立しなければできやしないと思うのですが、それで、お伺いしたいのは、先日來、貸株の問題について何らか貸株制度の萌芽のようなものができつつある。例えば東京證券大阪では大阪代行會社、こういうものが貸株的なことをやりつつあるというようなお話がありましたが、その點について取引員の方からもう少し詳しくお話をお伺いしたいのですが、先ずお伺いした第一點はそれです。
  27. 徳田昂平

    説明員徳田昂平君) 只今波多野博士お尋ねに對してお答えいたしますが、今度の法案には取引所の賣買につきましては詳しくは記載してありませんでして、これは專ら取引所定款等に讓つてあるのでありますから只今考えといたしましては、實物取引の外にアメリカレギユラー・ウエイに倣う方法考えておりますが、波多野さんのお尋ねの如くレギユラー・ウエイを完全なものにいたしまするためには、貸株制度及びコールマネー制度が必要なことは御説の通りであるのであります。アメリカと違いまして、我が國の情勢から申しますと、貸株ということにつきまして、まだアメリカ制度の如く發達しておりませんために、果して貸株制度が、運用がうまく行くかどうかということにつきましては、私共といたしましても多少の懸念を持つておるのであります、我が國には前には限月取引というものがありまして、限月の終りには必ず受渡しができるという我が國獨特制度であつたのでありますが、こういう制度も勿論一面には多少の弊害はあつたのでありますが、又受渡しを履行するという點につきましては、相當いい取引であるというようなことも私共も考えておつて、長くその説を主張しておつた一人であるのであります。證券取引は他の物産の取引と違いまして、そう長い期間を要しないというような意見が有効でありまして、長期に亙る限月は必要ないというような論も行なわれて、参つたのであります。戦時中から限月取引は止めてしまいまして、今日は實物取引一本になつておるのであります。この實物取引にいたしましても、只今の御説の如く實物取引一本にいたしますることは、やはりその蔭に隠れて清算取引類似のことが行われ易いのであります。そういうことがありますことは甚だ遺憾でありますために、これと併行いたしまする清算的の取引が必要のために、レギユラー・ウエイにならつた取引をいたすことが今日の實情から申して必要ではないかと思うのでありますが、それにつきましては御指摘の如く多少の懸念があるのであります。これも會員同志が集まりまして、相當の貸株の準備をいたし、又或いは銀行、保險會社信託會社等と連絡いたしまして、その方面から株の融通を受けるというようなこともできるではないかと思うのであります、信託會社などにおきましても、この制度が行われるならば援助しよう、協力しようということも聞いておるのであります。未だ東京大阪等におきまして會員の間の議が熟しておらないのでありますが、やがてそういうことにつきまして研究をいたしまして、貸株の制度を完全に近いものにすることになり、適當措置ができるのではないか、かように考えております。尤も初めての試みでありますから、最初から果して完全に行われるか否かにつきましては、多少の疑念もあるのでありますが、各自がその心持をもちまして相戒めて不當の取引をしないようなことにいたしますれば、自然的に發達して行くのではないかと考えておりまして、只今のところでは實物取引の外にレギユラー・ウエイ的の取引を行うことがいいではないか、かように考えておる次第であります。
  28. 波多野鼎

    波多野鼎君 現在のところまだ貸株の制度當局の側で干渉して作つて行くとか、或いは貸株制度が或る程度芽生えておるといつたようなことはないのですか。
  29. 徳田昂平

    説明員徳田昂平君) 只今協會側の方ではそれぞれ準備をいたしておりまして、研究いたしておりますという程度でありまして、先程申しました信託會社等につきまして寄り寄りそういう相談をいたしておりますようでありますから、取引所ができまして賣買を開始するということの司令部の認可を得ますれば、そういう運びになりまして、實物の外にレギユラー式のものができるようになるとかように考えております。
  30. 波多野鼎

    波多野鼎君 金融の面はどうなんですか、コールマネー等の問題は。
  31. 徳田昂平

    説明員徳田昂平君) 金融の面につきましては、コールマネーになりますれば結構でありまするが、必しもコールマネーになりませんでも、私先程申し落しましたが、過去の経験によりましても、金融の面につきましては左程心配しなくともいいではないかと思うのであります。會員同志がそれぞれ関係金融業者若しくは客から金を集めるということもございましようし、日歩によつて調節もできるのでありまするから、金が必要の場合には日歩を引上げるということにつきまして、相當金を集めることができると思うのであります。又先程申しました貸株につきましても、又必ずしも自分の持株だけでなくして、會員が自己の委託者から貰つた株を提供させるというような方法もありまするから、會員が相戒しめてこの制度を発達さして行こうという心持がありますれば、貸株の方面金融方面も相當會員の間に有無を通ずることができるのじやないか、かように考えております。併し金融につきましては、私は貸株程困難ではないかと考えておるので無理じやないかと思いますが、この點はどういうお考えを持つていらつしやいますか。
  32. 徳田昂平

    説明員徳田昂平君) 御尤もなお尋ねでありまして、この法の精神から申しましても、債務の公正、流通圓滑ということが最も必要であるのであります。これを餘り窮屈にいたしますることは、價格の公正流通圓滑を缺くということにつきまして、その通りと思うのでありまして、できるならば受渡し等につきましても余り拘束を加えませんで、昨今非常に交通通信が不便でありまするために、日時を相當要するのでありまするから、相當餘裕を置くべきがあります。
  33. 波多野鼎

    波多野鼎君 次にお伺いしますが、現物取引の場合の受渡しは大體翌日になつているという話を先程聞いておりますが、東京とか大阪のような市場の廣いところではそれができると思いますけれども、地方の株の不足しているところではなかなか適當ではないかと思うのであります。併しながら又時間を與えまするために、その間に賣物取引精神を逸脱いたしまして不當な決済が行われると申しますることは、先月の事例に徴しましても明らかであるために、止むを得ず期間を短縮いたしまして、賣方現品、買方現金ということをいたしておるのでありまするが、これは大都市の業者はそれによりまして大した支障はないのでありますが、遠隔の地におきまする取引は、これによりまして非常に阻まれておるのでありまして、その點は甚だ遺憾に思うのでありますが、これも大藏省におきましてもこの點につきまして種々研究考慮いたしておるのであります。やはり證券流通の性質から申しましても、或る時期におきましては、今の現株現金という制度をもう少し緩和すべきではないかと思うのでありまして、これは私といたしますれば、業者の相當自粛自制を待ちまして、業者が違法をしてはならんという心持ちを持ちますれば、これはできないことはないのでありまするから、業者自粛自制を待つて期間は相當延長してやるべきものと思うのであります。若しその間に差金決済に流れるということがありますれば、それは相當の處斷、營業停止、若しくは會員權の取消し、免許の取消し方法によりまして、差金決濟を除くと同時に、證券業者自粛自制によつてそういうような事態の起らんようにいたすのではないかと思うのであります。先月の事態に鑑みまして、證券業者でも相當何と申しますか、大分大蔵省の檢査によりまして營業停止を受けたというものもあるのでありまするから、今後再び先般のごときようなことはないだろうと思うのであります。昨今各都市の業者が集まつていろいろ打合せをいたしておりまするたびに、各自が強い申合せをいたしまして、將來そういうような問題が惹起するならば、幹部として責任を取るというまで申しておりますし、又受渡し仕事につきましては、各協會毎監視委員というようなものを携えてこれを監督するというようなことも研究いたしておるのでありまするから、今後は再び先般のような事態は起らないではないか。又當局といたしましても、もう少し事態の推移を見まして、この期間は延長してやることが證券流通上よろしいことではないか、かように考えております次第であります。
  34. 波多野鼎

    波多野鼎君 もう一つお伺いいたしますが第一條に、證券流通圓滑ならしめるということが出ておりますが、證券取引流通圓滑ならしめるという點、又價格の暴騰暴落を防ぐという點、こういう點に関連して、私は從來から嚴密に行われる清算取引ならば、清算取引の方がむしろ流通圓滑化、或いは價格の暴騰暴落を防ぐのに效果があるということを思つておりますが、そういう點は、そういう清算取引の形を導入するという所は、今の所は考えておられないのかどうか、お伺いいたします。
  35. 徳田昂平

    説明員徳田昂平君) 私は先程申しましたこの證券取引の過去に行われました限月制度取引、御承知のごとく、前には限月は三ケ月でやつたのでありますが、過去の歴史におきまして、これを二ケ月に短縮されましたというようなことが二度あるのでありまして、又それを復活いたしまして、三ケ月制度ということが最後まで殘つたのでありますが、證券につきましては、他の物産と違いますから、それ程の長い期間は要らないじやないかどいう説もありますが、受渡しを確保するという點におきましては私は、限月が果して三ケ月がいいか、或いは二ケ月がいいか、ということについては違いますが、ともかくも日本にありました限月取引長期的の清算取引というものは多年培われた制度でもありまするから、この制度の長を採りますれば、將來こういう制度があつてもいいじやないかというように私は考えておるのであります。レギュラーで一應試みまして、果してそれが實物取引と両々相俟つて圓滑取引ができるということならば、必ずしも限月ということは行われなくてもいいと思うのでありまするが、萬一不幸にしてレギユラーが理想通りに行われなかつたというような事態がないとも言われないと思うのであります、そういうような場合が生じましたときには、やはり從來限月取引に倣うような取引考えるべきではないかと、ひそかに私はそういうふうに思つておるのでありまするが、これもいろいろな關係方面等の意見も参照しなければならんのでありますし、或いは又我が國の限月というような制度アメリカ等にない制度でありますために、十分の理解がして貰えない點があるではないか。十分この限月制度におきまする長所を説明いたしますれば、やがてそういうことの了解を得るというような途も絶無ではないというように考えておるのでありまするが、過去でも、これによつて受渡しが履行されなかつたというようなことは一度もないのでありまして、多年この限月制度に慣れておるのでありますからして、如何様な無理をいたしましても、必らず期日には株を調達するし、金を用意するということでありますから、この受渡しの確保という點につきましては、私はこれは日本獨特のその點はよい制度じやないかということでありまするから、將來につきましてもこれについて尚十分……勿論先程申しましたこれに對しまする弊害もあるのでありまするから、そういう弊害を除去すふというような方法考えますれば、必ずしもこの制度を排斥すべきもあじやないというように考へておるので、從來これは研究すべきものであると考えておる次第であります。
  36. 星一

    ○星一君 世の中は始終變つて行きますから、今できたこの證券取引法も一年後には改正を要するところが來ると思う。そこで今日は徳田委員長さんと島居理事さんが見えたので、あなたがた權威者からこれを見て、特にここに長所があり、ここに缺點があるということ、この法律案について、こうしてあつて欲しかつたということがあるだろうと思う。それを聞かして欲しいと思います。この法律案は今の時代で作つておるのだから一年後には變るかも知れませんが、だが、これはこうあつて欲しいという點があろうと思う。これを民主化というが、果して民主化かどうか知りませんが、これはどこがあなたは今のところで滿足できるか、こうして欲しいということを一つ聞かして欲しい。遠慮なしに言うて欲しいのです。徳田さんと島居さんと別々にお願いします。短かくてよいが。
  37. 徳田昂平

    説明員徳田昂平君) 只今星さんから、この法案に對する感想と申しましようか、よい點と惡い點ということについてのお尋ねでございます。これはすでに政府委員において御説明申上げたことと思うのでありまするが、御承知のごとくこの法案は、改正は昨年の最終の議會で行われたのでありまして、私は當時貴族院議員の一員といたしまして、その法案の審議に携わつた一人でありまして、當時改正の趣意に賛成した一人であります。圖らずもその後證券委員會委員を任命せられたのでありまして、直接この法案にも携わることにもなつたのであります。この法安全體を通じまして、一言にして申しますれば、アメリカ方法に倣う、日本從來取引制度に違つておる點もあるが、主として先進国のアメリカに倣うという點が、この法案に十分織込まれておることと思うのであります。而してこの法案につきましては、私共も又多少日本人には早過ぎるではないかというような點もあるのでありまするが、而しながら理想的に申しますれば、この法案に織込まれた點は、證券取引につきましては最もよい點が多いではないかというのでありまして、私共全面的にこの法案には贊成いたしておるのであります。只今質問のごとく、日本の經濟状態も時々刻々違つておりますために、或いは又將來これを實施いたしまして不利不便な點が發見されるかとも存じまするが、只今のところでは大體この法律でよろしいではないか、若し實施いたしまして著しく不利不便の點がありますれば、更に皆さんの御協贊を得て改正する點がありますれば改正をいたしまするが、今日におきましては、特に法案を提案する今日に當りまして、こういう點を改めるというような點は、今日は考えていないのであります。併し實際行なつて見まして、先程も波多野さんのお尋ねにもありましたレギユラー・ウエイの實施ということにつきましても試みまして、果して我が國の國情に副わないような取引でありましたら、或いは改正する必要が生じて來るかも知れませんが、先ず今日のどころはこの法案で満足すべきではないか、かように考えておりまして、特に缺點として指摘するものもない、こういうふうに考えております。
  38. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 島居さんが見えております。政府委員外でありますが、答辯することに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 御異議ないと認めます。
  40. 島居庄藏

    説明員(島居庄藏君) 私は委員の島居であります。徳田委員長は株式界のことに精通しておられますが、私は多年金融方面に携わつておりまして、その方面から新法律を見ますと、金融方面においては感心いたします。業者が不當な過當な取引ができないように純資本額の約二十倍を超える負債を持つてはいかん。御承知のように證券業者は投機取引に陷り易いのであります。從いまして過當な、不當な取引をいたしますればこの點で抑えてあるのであります。從來はこれはないのであります。それと一般取引におきましてはマージンを高くやる、その二つの點竝びに顧客から委託を受けて保管しておりますところの有價證券を勝手に業者が他に質入れするとか、擔保に入れるとかということについての制限などを設けております。そういう點におきまして、一方には自由でありますが、非常に信用過大に陷る點を抑えてある。この點は先程委員長から申しましたように、一番進歩しておるアメリカ法律に範を採つてあるのでありますから感心すべき點だと思います。現在のところでは、委員長が先程申しましたように、これでやつて行きまして、御承知通り一年間もやりますれば或いは實情に即した更に一層適切なる法律改正があるかも分らないと思います。併し今のところではこれは完全だと了承しております。
  41. 星一

    ○星一君 この證券取引委員會のことですが、民主化といいながら、たつた三人の委員を總理大臣が任命して、それを五ケ年繼續するなんということは民主化じやないと思う。何故かというと、この法律は一年後には改正するところができて來ると思います。アメリカでは大抵の委員會は、殊にプレトン・ウツヅのような委員會においても、委員の半數は交代して行くのだ、三年とすれば半數は一年半で交替して來るのですよ。アメリカでは皆金融機關、銀行でもそうです。然るにこの委員は三人で五年おるのだから、私はこれを四人にして、そうして任期を三年ぐらいにして一年中に替わるというところに私は民主化があると思うのですが、民主化と口に言いながら、政府はこんな、まるでヒツトラーの作るような法律をやつたようなことは、私はこういう取引所なんというものは、もうアメリカの流も何もない、日本日本にいいものができなければ駄目だね。だから、こういうことも、これ一つ見ても、證券取引委員會のこれを見ても私は決してあなたは滿足しないと思うがどうですか。
  42. 徳田昂平

    説明員徳田昂平君) 只今星さんの委員の任期が長過ぎはしないかというお説でありまするが、これは私昨年の參議院におきまして、私は三人の委員では委員の数が少くはないかということを提案した一人であります。當時三人の委員では甚だ人数が少な過ぎはしないか。三人でありますると一人が病氣その他事故のあつた場合に二人になつてしまうから、五人ぐらいにしてはどうかという提案をいたしたのでありましたが、不幸にいたしまして私の提案は贊成を得なかつたのであります。私が委員に任命いたされまして他の島居さん、藤田さんと席を竝べて仕事をするようになりまして、その短かい經驗でありますが、證券界のことは非常に迅速を尊ぶ仕事でありまして、三人でやりますれば會議、打合せ等も極めて迅速に行われるのであります。この法案にも盛り込まれておりまするが、時間的に、三十日の間に處分しなければならんとか十五日に處置しなければならんというような問題が澤山あるのであります。その點から考えますれば、三人で相談しますれば極めて迅速に取り運ばれるのではないかという點におきましては、私は今日においては三人でよかつたと、かように考えております。  任期の點においては、星さんのお尋ねのごとく五年は長過ぎるということもいい得ると思うのでありますが、併しその五年の中の、最初ではありまするが、一人は三年、一人は四年と、これは附則に書いてあると思うのでありますが、私は任期は三年でありまして、島居君が四年になつておるのであります。從いまして三年目には一人又變つて参るのであます。いつも慣れた人が必ず殘るということでありまして、この證券界におきましては、やはり相當多年それに携わりまして經驗というようなことが必要であるのでありまするから、餘り短かくいたしまして、新規に入つて來る人も又始めから勉強しなければなろうというような點がありますと、その間に無駄が生じまするから三年に一人ずつ替つて來る。新らしい人が入つて來るということになますと、古い人が殘るということになりますから、大體それで私はよろしいのではないか。餘り委員が頻繁に替りますことも、却つて仕事に澁滯を來たすのではないかという點でこの制度で私はいいのではないか、かように考えております。
  43. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 私は資料を提出頂きたいと思うのです。
  44. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 徳田さんの方は必要じやないのですか。
  45. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 今は徳田さんに對する質問ですか。
  46. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 取引所委員の方をわざわざ呼びましたから、こちらの質問があればそれを先きに願いたいと思います。
  47. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 それでは後にいたします。
  48. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) それでは證券取引委員の方は大體これでよろしうございますか……。それではどうもありがとうございました。
  49. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 それでは資料を御提出願いたいと思います。實はこの法律は、我々これだけ見たのでは何にも分らんのです。というのは、いろいろな點において非常に澤山疑義があるわけです。それから又大體命令で決めたものが五件ありまして、例えば命令以外で證券取引委員會で決めるものは殆んど委されておる。從つてこういうものの内容が分らなければ、この法律案は分りつこないと思うのです。そこで御請求したいのは、この法案を見ただけのは一體どういうものであるか全然分らん。恐らく今度の取引所機構は、例えば定款、業務規程、それから受託契約準則、そういうものによつて大體機構が分る筈なんです。ですからこういう法律案が出て來る場合には、恐らく政府においてそういう腹案がおありだろうと思うのです。從つてその要綱で結構ですから、その腹案を一應明らかにして頂けませんと、どういう取引所機構になるのだか分りませんので、その腹案を出して頂いて、そうしてそれによつてお尋ねしたい。そうしなければこの法律を審議するとしても分らないのです。その第一に要求したいのは、その取引所機構が大體分るような定款、業務規程、受託契約準則、そういうもので決めるところの大綱でいいのですが、その内容について資料として御提出願いたいと思います。それかもう一つは、證券取引委員会會の規則で決める内容の一覽表、例えばこの各條に皆あるわけです。例えば第二條、五頁にも「銀行、信託會社その他證券取引委員會規則で定める金融機關以外の者……」というようなことが各條にあると思うのです。證券取引委員會規則で定める金融機関以外の者というのは一體何であるか、そういうものが各條にあるわけですから、その一覽表を示して頂きたい。それからこれも資料として出して頂きたいのですが、五頁の「左に掲げる行爲の一をなす營業をいう。」左に掲げる行爲の一つに、一有價證券の賣買、二有價證券の賣買媒介、取次又は代理、三の有價證券市場における賣買取引の委託の媒介、取次又は代理、四の有價證券の引受、それから六の有價證券の募集又は賣出の取扱、この意味です。この語義について文書によつてこれをはつきりとさして頂きたい。例えば二の有價證券の賣買の媒介、取次又は代理ということについては、御承知通りいろいろな學界でも非常に問題があると思うのです。何を以て媒介とし、何を以て取次とし、何を以て代理とするか。又その規定の仕方に上つては、特にこの取次などについては、この規定の仕方如何によつては地方の證券業者がいろいろな惡いことをしたりなんかするような者が出て來ると思うのです。從つてこの語義、言葉の異義をはつきりここで決めて頂かないといろいろな弊害も起つて來る、又届出の問題、届出しないでいいか、していいか、或いは民事責任の問題とかそういうふうな虚僞の届出をしたとか、或いはそういうふうな場合のいろいろな責任の問題が澤山起つて來ると思います。從つて以上申上げた點について文書を以て、一つ資料として提出して頂きたいと思つております。そうしなければ、この法律を読んだだけでは、何にも分らないのでして、随分澤山疑義が至るところにあると思うのです。例えば、四頁に、いても、四行目に「この法律において有價證券の募集とは、不特定且つ多数の者に對し均一の條件で、あらたに發行される有價證券の取得の申込を勧誘することをいう。」といつても、多數とは一體何人を指すのか、恐らく米國の法律では二十名以上というようなふうになつておるように聞いていますが、こつちでは、この法律では何人を多数というのか、或いは均一の條件でも、いろいろの問題があると思います。均一に區切つてつた場合、それでも均一というのか、いろいろ疑義が非常に澤山あると思うのです。從つて、先ずそういう點について資料を提出して頂きたい、少くとも私はそうでないと、この法案を審議するのに、何らの……私は特にこういうのが專門でないから分りませんから、一つ資料を是非御提出願いたい。それからいろいろな御質問をしたいと思います。
  50. 岡村峻

    政府委員岡村峻君) 御要求の資料につきましては、できるだけ調製して至急差上げるように手配いたしたいと思います。ただ豫めお斷り申上げたいと思つておりますことは、取引所の定款とか、或いは業務規程、受託契約準則というものにつきましては、これは取引所が作るものでございまして、私の方から別に標準的なものを示さない。又それが民主的なやり方だというふうに考えておりまして、現在東京の例で申しますと、取引所設立準備研究委員というようなものが、兜町の日證館の中に置かれまして、そこで定款、業務規程等を作成されておるのであります。しかしその作成に當りましても、やはりアメリカの定款とか、そういうものを十分研究した上でということで、まだ案が固まつておりません。從つて、それをお出しできるかどうかちよつと私今ここでお約束できないような状態でございます。
  51. 木村禧八郎

    ○木村禧八郎君 それからその参考案で結構です。どうせ大藏省でもおありと思うのですが、調査されたりなんかするのに…。
  52. 岡村峻

    政府委員岡村峻君) 限定いたします事項は、定款には、こういうことを書けとか、或いは業務規程には、こういうことを書けということは御承知のように、本法に骨だけはございますが、それの細則になるものですから、この點はちよつと受け合い兼ねると思いますが、豫め御了承を願つておく次第です。
  53. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 今日は證券取引法改正する法律案につきましては、この程度で止めたいと思います。次に臨時資金調整法の廢止に伴う措置に關する法律案、これについて、これが豫備審査に附託されておりますから、これを議題にいたしまして、政府の説明を求めたいと思います。それから竝びに復興金融金庫法の一部を改正する法律案につきましても提案理由の説明を求めたいと思います。
  54. 愛知揆一

    政府委員(愛知揆一君) 只今豫備審査のために上程せられました臨時資金調整法の止に伴う措置に關する法律案の提案の理由を御説明申し上げます。  臨時資金調整法の廃止は豫ねての懸案でございましたので、今次國會にその廢止に関する法律案を提出いたしたのでございますが、同法律案におきましては、都合によりまして必要な経過措置に関する規定は一切掲げてございません。從つて若しそのまま施行せられまする場合には、臨時資金調整法に基いて適法に行われておりまする行爲、或いは適法に發行し、又は發賣せられました證券證票等につきまして、これちがいずれも無効となり、これが處理に關しまして秩序を紊す等の虞がございますので、ここに経過措置を規定する法律案を提出いたしました次第でございます。  その要点を申し述べまするならば、第一點は興業債券及び商工債券につきまして、償還期が到來するものにつきましてはこれを借換させる必要がございますので、從つて借換のための發行だけは今後も引続きこれをできるようにいたしたいという點でございます。  第二點は臨時資金調整法によりまして金資金特別會計が所有しております興業債券は、今後も引続きこれを所有することができるごとといたした點でございます。それから第三點は、臨時資金調整法に基きまして農行せられました貯蓄券、福券、貯蓄債券、報國債券及び所謂寶くじ並びに同法に基いて取扱われておりました割増金附貯蓄等につきまして、この際繰上償還や預金契約を變更することは却つて弊害を伴いまするので、今後もそれぞれのすでに與えられました條件通りにこれを處理し得るようにいたしますると共に、その中、所謂割増金附貯蓄及び寶くじにつきましては、その取扱又は發賣に關しまして命令が發せられておりますため、一切の準備がすでに進行しておるものがございまするが、その分に限りまして特に今後の新らたな取扱や發賣をも認めようというのでございます。  最後に臨時資金調整法に規定せられておりまする罰則に關しまして、同法廃止後もこれを有効とすることが必要と認められまするので、必要な規定を設けることとしようとするものでございます。  以上がこの法律案の要點でございます。何卒御審議の上速かに御贊成あらむことを希望いたします。  次に同じく只今豫備審査のために上程せられました復興金融金庫法の一部を改正する法律案につきまして提案の理由を説明申し上げます。御承知通り復興金融金庫の資本金は去る二月上旬の國會の御可決を得まして、これを七百億圓に増額いたした次第でございますが、當時御説明申し上げました通り、この資本金は本年度末までに必要とする資金の最少限の金額でございまして、その後當利の計畫に從いまして貸出額は逐次増如いたして參りました。現在すでに資本金の限度一杯に近く達しておりまするので、今回更に本年度第一四半期末までに所要資金を勘案いたしまして、資本金を増加いたすことにいたした次第でございます。  復興金融金庫の資本金は今回の増資を以ちまして、既に五回に亘りまして増額いたされたわけでございまして、この間國會の御要望に應えまして、貸出に當りましては、努めて嚴格愼重に實行してまいつたのでありますが、戰後經濟の混亂期に當りまして、産業界の資金需要に即應し、よく経済の復興再建に寄與してまいつた考えるのでございます。即ち石炭、鐵鋼、肥料等の超重點産業は勿論でございまするが、その他の一般産業につきましても、極めて困難な状況下にありながら、よく設備の復奮揆充を實現し、企業の順調の發展を見ましたことは、復興金融金庫の適切な資金の供給によるところ多大であつたと存ずるのであります。  復興金融金庫を設立いたしました趣旨は、經濟の復興に必要な資金でありまして、且つ一般の金融機關が融資することの困難な資金のみを供給することにあつたのでありますが、再建途上におきます惡條件によりまして、經濟界の復興金融金庫依存の傾向が逐次顯著となりまして、加うるに昨年六月以降公團資金をも一手に賄うことに相成りましたために、貸出残高は急速に増加いたしまして、これが通貨面に對する影響が強く指摘されるに至つたのであります。政府といたしましては、夙に健全財政の方針を堅持いたしまして復興金融金庫の貸出につきましても、努めてこれを壓縮制限いたしまして、苟くも放漫に流れることのないように、特に基礎産業に對しまして重點的な融資を實行してまいつたのでありまするが、諸般の事情によりまして、今日のごとき巨額の資本金を要するに至つた次第であります。  現在復興金融金庫の機構並びに運營方法につきましては、國會初め各方面より種々の御意見、御要望を頂いておるのでありまするが、今後関係方面の御協力を得まして、愼重檢討の上、逐次實行に移したい考えでございます。政府といたしましては、復金の民主的運營を期しますために、所要の措置を講じますと共に、貸出を抑止し、爾後の管理を適切ならしめるようにいたしたいと存じております。これらの措置のうち法制的處置を要するものにつきましては成案を得次第、法案を提出いたしまして、その御審議を頂く所存でございます。尚復興金融委員會の改組、復興金融金庫の人的内容の充實等種々考慮いたしておるのでございますがこれらのためには金融界及び経済界の格段の援助を切望される次第でございます。  復興金融金庫の貸出殘高は、二月末現在ですでに五百四十四億圓を突破いたしておりまして、これが所要資金は政府拂込金竝びに債券發行によつて調達してまいつたのであります。政府繰込金は、設立當初拂込を得ました四十億圓の外、本年の月及び三月の債券償還のために各十五億圓づつ合計七十億圓に相成つておるわけであります。一方債券の發行額は三月末現在五百五十九億圓に達する見込でございますが、これが市中消化につきましては、前回増資案御審議の際にも説明いたしましたように、最近かなり好轉して參りまして、一月、二月の平均市中消化率は三八%に達しておりまするが、今後とも一段の努力を傾けまして、通貨面に對する影響を極力阻止いたしまするために萬全の對策を講じたいと考えておる次第でございます。尚貸出金額の壓縮につきましては、すでに御承知のように復金融資の相當部分を占めておりました公團資金を、來期以降におきましては全面的に市中資金を活用することに切替えましたために、復金自體の負擔は著しく軽減せられることとなつたのでございます。今後更に一般産業資金につきましても、努めて市中金融機關の活用を圖りますと共に、復金依存の傾向を是正して參りたいと考えておる次第でございます。今般提出いたしました本法律案は、以上の諸事情を十分考えまして、差當り來年度第一四半期末までに必要といたしまする資金の最少限度を見込みまして資本今の増額を實行いたさんとするものでございます。即ち本年度末の資本金の餘裕を考慮いたしまして、この際現在資本金の七百億圓を二百億面増加いたしまして、これを九百億圓とすることを通常と考えた次第でございます。前にも申上げましたように、現在の資本金は、すでに限度一杯に近く達しておりまする関係上、本件増資の實行はぜひとも四月早々に實施される必要がある次第でございます。  以上復興金融金庫法の一部を改正する法律案につき提案の理由を御説明いたしたのでございますが、何卒御審議の上速かに御贊成あらんことをお願いいたします。
  55. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 尚本日豫備審査のために付託されました金資金特別會計法の一部を改正する法律案につきまして提案理由の説明を求めることといたします。
  56. 伊原隆

    政府委員(伊原隆君) 只今豫備審査のため付託せられました金資金特別會計法の一部を改正する法律案につきまして提出の理由を御説明申上げます。金資金特別會計におきましては、資金の運用といたしまして、貴金屬の賣買操作を行なつておるのでございますが、この操作を行うに當りましては、産金法等によりまして新産貴金屬は全部買上げを要しますると共に、買上げ貴金屬の國内消費向の拂下げにつきましては連合國司令部の承認を必要とし、同司令部からは四半期毎に國内消費の必要最少限度の拂下げ数量を指定いたされますので、買上げ貴金屬の全額は、常に手持貴金屬の拂下げ金額を超過いたしておる状況でございます。つきましては、この賣買のアンバランスから生じまする資金の不足を、一般會計からの操入金を以て補填いたしたいと考える次第であります。而して本年三月中におきまする買上と貴金屬の実拂所要額は約千四百六十九萬八千圓ございますのに對し、三月中旬の資金殘高は約四百五十萬圓でございまするので、差引三千十九萬八千圓を四日に繰越すことになり、更に四月中の買上げ貴金屬の代金見込額約六千四百八十三萬圓との合計額約九千五百二萬八千圓の不足を生ずることになるのであります。その不足金額の端数を切り上げまして、一億圓を別途提案いたしました昭和二十三年度一般會計暫定豫算に計上いたしますと共に、法律を以てその趣を規定する必要がございまするので、金資金特別會計法に操入れに關する一條を設けた次第でございます。尚特別會計の性質に鑑みまして、後日本會計の金繰りが樂になりました曉には、その繰入金に相當します金額は本會計から一般會計へ繰入れることにいたしますために、これに關する規定を設けた次第でございます。何卒御審議の上速やかに御贊成下さいますようお願い申上げます。
  57. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 臨時資金調整法を廢止する法律案臨時資金調整法廢止に伴う措置に關する法律案金資金特別會計法の一部を改正する法律案、それから昨日説明を聴きました大藏省預金部特別會計昭和二十三年度における歳入不足補填のための一般會計からする繰入金に關する法律案、これについて御質疑のある方は御質問願いたいと思います。但しこの大藏省の方は……。
  58. 波多野鼎

    波多野鼎君 今の三つの法案は一般豫算に關係しておりますか。
  59. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 豫算に関係しておりますのは、大藏省預金部特別會計の分と、今説明のありました金資金特別會計法の一部改正法、この二つは暫定豫算に關係しております。外のものは豫算には關係しておらないのであります。この廢止する法律案の方は衆議院の方で、すでに委員會で決議したそうでありますから、一つ成るべく急いで御質問を願つて置いた方がよいのではないかと思います。
  60. 波多野鼎

    波多野鼎君 金資金の問題ですが、終戦後、金の買上額はどのくらいなんですか。量にして……。
  61. 伊原隆

    政府委員(伊原隆君) 金の状況につきましてちよつと御説明申上げたいと思いますが、昭和二十二年度の金の買上額でありますか。
  62. 波多野鼎

    波多野鼎君 買上げと賣渡しもどうぞ一つ……。
  63. 伊原隆

    政府委員(伊原隆君) 金資金特別會計におきまして買上げました金地金の額は、昭和二十年度、これも終戰後でありますが、二十年度が〇・〇七九トン、それから昭和二十一年度が一・六四三トンでございます。それから昭和二十二年度は、これは二月までしか分りませんでございますが、二・二八七トン買い上げております。それに對しして賣りました方は二十年度にはございませんで、二十一年度には〇・五〇八トン、二十二年度は二月末までで一・五〇六トン金資金から賣つております。尚産金の量につきましてはこれは新産金だけでございませんで、鑄潰金をも多少含んでおりますが、産金量は御存じのように昭和十四一年、十五年、十六年頃が一番最高でございまして、内地だけで二十五トンづつ程出ましたが、昭和十八年の金鑛整備以來ずつと減りまして、十九年度には五トン、二十年度には三一九トンになり、二十一年度には一・二トンになり、二十二年、これは度でございませんで、二十二年の暦年におきましては二・一五三トンの新産金が出ております。來年の見込は三トンくらい出はしないかという見込でございます。この法律を御審議願いました以上は、只今申上げましたように金を買上げます額と、それから歯科醫師用に司令部の許可を得まして放出いたします額との間に大體大雜把に申しまして買つた額の半分とちよつと賣りますものですから、金が少しづつ金資金に溜まつて參りまして、從つて買上げる金がなくなつてつたというために、四月分として一億圓を、一般会計から入れて頂く、こういう理由のものでございます。
  64. 波多野鼎

    波多野鼎君 併しこういうことがあるのじやないですか。金のマル公もぐんぐん引上げておりますから、以前持つてつたものを高く賣つておる。そういかことから見ると、そう大きな損失が出て來ないというように考えられますが、どうですか。
  65. 伊原隆

    政府委員(伊原隆君) おつしやる通り金の値段は三回に亙りまして引上げられておりまして、現在一グラム百五十圓でございますが、これは御存じのように損失は少しも生じませんでございます。それはむしろ安く買つて高く賣ることがありますので、損失はございませんが、買つておる量の方が賣る量より多いものでありますから、金が溜まる、金をストックする資金が金繰りとして足らなくなるのでありますから、金を繰入れて貰う。金を買う金を繰り入れて貰う、こういう状態でございます。只今昭和二十三年度の三月二十六日現在で金の地金は二・〇六八トンございます。銀は百十五トン持つております。
  66. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) ちよつと速記を止めて。……。    〔速記中止
  67. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 速記を始めて……。如何でしようか、金資金特別會計法の一部を改正する法律案につきましては、御質疑は終了したものとみなして、お差支ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  68. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 御異議ないと認めます。  大蔵省預金部特別會計の昭和二十三年度における歳入不足補填のための一般會計からなる繰入金に關する法律案、本案についても御質問は終了と見て、差支ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  69. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 御異議ないと認めます。  それから臨時資金調整法を廢止する法律案並びに臨時資金調整法の廢止に伴う措置に関する法律案、この兩案につきまして御質問は如何でしようか。  この措置に關する法律案で以て、必要なものは全部網羅されたわけですな。一時的の措置は……。
  70. 伊原隆

    政府委員(伊原隆君) 最小限そうです。
  71. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) そうすると、増資とか新設とかいうようなものについては、これによると廢止で、全部何らの措置は講ぜられておらんわけですね。
  72. 伊原隆

    政府委員(伊原隆君) さようでございます。
  73. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) それではこれについても御質問は終了したものとみなして、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  74. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 御異議ないと認めます。  それではこれで暫時休憩いたしまして、衆議院の様子を見まして、更にこちらへ参りましたらば御決議願わなければならんかも知れませんから、どうぞそのお積もりでお願いたします。これで暫時休憩いたします。    午後四時五分休憩   —————————————    午後七時四十五分開會
  75. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) これより休憩前に引續きまして委員會開會いたします。本日はこれにて散會いたします。明日午前十時から委員會をいたしますから、どうぞ御出席を願います。    午後七時四十六分散會  出席者は左の通り。    委員長     黒田 英雄君    理事            森下 政一君            伊藤 保平君    委員            木村禧八郎君            下條 恭兵君            波多野 鼎君            西川甚五郎君            松嶋 喜作君            山田 佐一君            星   一君            石川 準吉君            小林米三郎君            小宮山常吉君            高瀬荘太郎君            高橋龍太郎君            中西  功君   政府委員    大藏事務官    (銀行局長)  愛知 揆一君    大藏事務官    (理財局長)  伊原  隆君    大藏事務官    (證券局設立準    備委員長)   阪田 純雄君    大藏事務官    (證券局設立準    備委員)    岡村  峻君   説明員    證券取引委員會    委員長     徳田 昂平君    證券取引委員會    委員      島居 庄藏君