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1948-03-27 第2回国会 参議院 財政及び金融委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年三月二十七日(土曜日)    午前十時五十二分開會   —————————————   本日の会議に付した事件 ○昭和二十三年の所得税の四月豫定申  告書提出及び第一期の納期特例  に關する法律案内閣提出、衆議院  送付) ○證券取引法改正する法律案内閣  送付)   —————————————
  2. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) これより委員會開會いたします。本日はまず「昭和二十三年の所得税豫定申告所提出及び第一期の納期特例に關する法律案」、この法律案議題にしたしまして御審議を願いたいと思います。まず政府提案理由説明を求めたいと思います。
  3. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 只今議題となりました昭和二十三年の所得税の四月豫定申告所提出及び第一期の納期特例に關する法律案につきまして、提案理由を御説明申し上げます。政府は、最近における賃金物價等經濟諸情勢推移課税實情に照らして、租税負擔の輕減を図る等のため、所得税基礎控除扶養控除勤勞控除税率等につき改正を行う必要があると考え目下検討中であります。これが改正案は、ちかく成案を得て國會提案致したい方針でありますので、本年に限り、所得税の四月豫定申告所提出及び第一期の納期に關し特例を設け、所得税法改正案國會に可決された後、改正規定従つて四月豫定申告所提出し、第一期の納税をするようにいたすことが、負擔の點から見ても、また官民相互手數から見ても適当であると考えられるのであります。從いまして、本年に限り、所得税の四月豫定申告所は、本年五月一日の現況により、これを記載し、五月一日から同月三十一日までに提出することとし、又所得税の第一期の納期も五月一日から同月三十一日までとして、それぞれ一ケ月繰り延べることと致したのであります。何卒御審議の上速やかに御賛成ありまするよう、切望して止まない次第であります。
  4. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 本案につきまして御質疑のおありの方は御質問願いたいと思います。……ちよつと、私からお尋ね致しますが、この減税案はいつ頃お出しになるというお見込みなんですか。これは四月一杯に國會議決がないというと、更にその期間は御延長になるお考えなんですか。
  5. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 目下歳出豫算關係竝びに物價改訂等の問題と關連いたしまして、具體案につきまして検討中でございまして、私共として、議會提案し御協賛を得たいと考えております。で四月の入りまして成るべく早くと、現在のところ考えておる次第でございまするので、今のところといたしましては、四月中にご協賛を得まして、五月からは實施出きるように運びたいという趣旨準備を進めておるような次第でございます。ただ本豫算關係その他がございますので、是非そういたしたいと思つておりまするが、今日のところ、まだいつ幾日までに出すということにつきましては、ここはつきり申し上げることができないような次第であります。
  6. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) そうしますと、萬一四月中に國會議決がない場合には、この期間は更にお延ばしになるというお考えなんですね。
  7. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 今のところは、私共四月中に改正税法提案をいたしましてご協賛を得るということを豫定して仕事を進めておるような次第でございまして、諸般の事情で遅れるということになりますると、その際に更にどうするかは考え直す必要があろうかと考える次第でございます。
  8. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 今のお話の、來月中に提案したいという所得税改正案のその骨子はどういうものですか。
  9. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 改正案につきましては、先程も申上げましたように、目下検討中でございまして、まだ最終的に案の確定を見ておりませんので、具體的に申上げることは差控えたいと思いまするが、大體の考え方といたしましては、現在の實際の負擔の状況、それから賃金物價等が相當上がつて参りましたそういう實情等に照らしまして、所得税等につきましては相當の輕減を圖る必要があるのではなかろうかということを考えております。で、できますならば所得税等につきまして、財政の許す限りの、大幅と申しますか、できる限りの負擔を輕減を圖りたいと考えておるような次第であります。その外、法人税等につきましても、實際の負擔の状況から見まして、或いは外資の導入といつたような見地からいたしまして、税率等につきまして若干の引き下げを行なうべく研究中であります。その他の一般租税つきましても、最近の經濟諸情勢推移に對應いたしまして、實情に即するような改正が必要じやなかろうかと考えておるような次第でございます。ただ所得税法人税等につきまして相當の輕減を圖るということになりました場合におきまして、財政の需要と睨み合せて、その財政財源の一部を、或いは新しい財源で賄うか賄わないかといつたような點につきましても目下検討中であります。考え方といたしましては、所得税法人税等につきましては、できる限りの輕減を圖りたいという趣旨具體案を取纏めて行きたいというように考えておるような次第でございます。
  10. 西川甚五郎

    西川甚五郎君 二十二年度の所得税更正決定の結果は、現在やかましく言われておりますが、實際擔税能力のある者も相當あるのでございますが、ただこの申告制というやつが昨年度おやりになつて果たして十分に……皆知つておらなかつた。勤勞所得税の方はその都度取られておりまするが、實際申告してそのまま放つておかれて、最後に更正決定をせられてそうして直ぐ収めようというので、まあそのために納税思想も相當惡化しておるという關係もありまするが、この二十三年度の申告のやり方でありますが、私共の考えとしましてはもう少し深切りに、その場になつて皆に慌てさすというようなことのないように、例えばこの第一囘のときに直ぐ更正をせられて、そうして本當に皆が滿足して納めるような方法をやるとかなんとかいう、本當に皆が滿足してやれるような方法をお採り頂かねば、ますますこれは納税思想が惡くなります。なにかこれについて今年度はお考えがあるのですか。ちよつとその點をお伺いしたいと思いますが……。
  11. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 只今指摘通り、昨年度におきましては實は申告納税制度最初に施行しました關係もありまして、納税者の各位におかれましてもよく御存じなかつた點がございますのと、それから役所側におきましても思う通り事務が進歩せず、又宣傳等も不十分な點がございまして、最初申告によりましては、納税成績は非常に惡くて、豫定の一割五分にも達しない、こういう状況推移して参つたのでございます。そうなりますると非常に大きな歳入缺陥を生ずる恐れがございますので、やむを得ず確定申告につきましては相當な宣傳をいたしますと同時に、その不足額につきましては更正決定を行ないまして、納税の促進を圖つているような次第でございます。その結果御指摘通り政府といたしましても非常に歳入が遅れる。納税者の方から考えましても非常に一時に負擔をして、負擔し難い點があるというので、お互いに面白くない點が多いということは御指摘通りでございまして、この點につきましては本年度といたしましては、これも只今お話通り申告につきましてできるだけの懇切丁寧な宣傳及びご指導をいたしまして、でき得る限り申告によつて先ず納めて頂く。申告による納税不足につきましては、これも御指摘通り、できますことならば豫定申告につきまして或る程度更正決定を致しまして、それで或る程度納税額を済ませて頂きまして、翌年の一月になつて、その不足確定申告で補い、更に足らない分は更正決定によつて補つて歳入を確保し、納税額を果たして頂くというように今年度としましてはどうしても持つて行きたいと思つておるよう次第ございます。
  12. 西川甚五郎

    西川甚五郎君 そういたしますと、只今仰しやつた通りに、第一囘の申告の後の豫定申告でありますが、それで更正される覺悟があるのですか。
  13. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) そういうことで取計らつて参りたいと考えておる次第でございます。
  14. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 この法案手續というか、簡単なようですから、これに直接關係がないのですが、當局伺つてみたいと思うのは、料理店税金の問題ですが、今御承知通り禁止中なんですが、それに相當の税金をかけておるということを聞くのですが、そうすると課税する方では禁止はしたが、當然つておる。裏口榮業をやつておるという假定の下に課税されるのだろうと思いますが、禁止前のその税金の何割とか、そういうものをお課けになるのか、その根據というものはどういうものですか。
  15. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) 所得税は御承知のように、苟しくも所得があれば課税するという建前に相成つておるのでございまして、そこに一定の行爲が行なわれまして、それによつて或る人が現實に収入があるという場合におきましては、その現實の収入から必要な經費を差引きまして、所得として課税する。これが所得建前に相成つておるのでございます。いま御指摘營業につきましては、表面禁止されておりますが、實際問題としまして、現實に収入があるということが税務官僚にわかりました場合におきましては、それに對しまして應分の負擔をかけるということは、寧ろ負擔の均衡を圖る所以じやなかろうかと考える次第でございまして、その點から考えますと、當然なことと考えておる次第でございます。ただはつきり闇だということが分かりまして、それぞれ不當利得が沒収されるなり、あるいは罰金刑として罰金を課せられるなり、そういうことにかくていをいたしまする場合におきましては、その課税された所得額も沒収によつてなくなるというような場合に置きましては、これは當然決定を修正いたしまして、實際収入だけに課税するということに相成る建前にいたしておるような次第でございます。
  16. 西郷吉之助

    西郷吉之助君 いまの御説明だと、そうすると、實際収入がある者はというのは、その營業をやつてるということを確定して言われるのか。又は本當に眞面目に營業をやつていない者は、それはそうすると、本當に税金を拂う必要がないと思います。
  17. 平田敬一郎

    政府委員平田敬一郎君) その行爲自體が違法であるかどうかにつきましては、これは又それぞれその筋で調べ適當な措置をやろうかと思いますが、税務といたしましては、現實に収入があるかないかということが本位でございますので、その點を調べまして、収入があるかないかによつて課税をする。それから實際問題といたしまして、昨年六月以前に現實に營業をしていたと、こういう事實もあつたのでありまして、そういうようなことと關連いたしまして、實収入課税すると、こういう建前にいたしておるような次第であります。
  18. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 他に御質疑はございませんですか、御質疑がなければこれより討論に入りたいと思います。御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  19. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 御異議ないと認めます。これより討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願いたいと思います。別に御發言もなければ……ないようでありますから直ちに採決に入りたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  20. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 御異議ないと認めます。それではこれより採決に入ります。「昭和二十三年の所得税の四月豫定申告書提出及び第一期の納期特例に關する法律案」、この法案につきまして採決をいたします。本案を可とせられるお方の御舉手を願います。    〔總員舉手
  21. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 全會一致でございます。よつて本案は全會一致を以て可決することに決定いたしました。  尚本會議におきまする委員長口頭報告の内容は豫め數意見者の承認を經なければならんことになつておりまするが、これは委員長におきまして從來の例によりまして報告致すことに對して御承知願いたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  22. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 御異議ないと認めます。  それから本院規則の第七十三條によりまして、委員長が議院に提出する報告書につき多數意見者署名を附することになつておりますから、本案を可とせられました方の順次ご署名を願いたいと思います。    〔多數意見者署名
  23. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) それではこれより證券取引法改正する法律案議題といたしまして、御審議を願いたいと思います。  前囘に引續きまして、本法案につきましての御質疑のおありの方の御質問をお願いいたします。
  24. 松嶋喜作

    松嶋喜作君 今回の證券取引法改正する法律案は、この間政府委員から御説明を伺いましたが、非常に證券民主化、又取引所の改組、設置等、非常に劃期的で、速やかに實施して、この證券民主化の一日も早く實施せられ、明朗なる証券取引活發に行なわれることを期待しまして、私はこの案の非常に速やかに實施されることを望むものであります。併しこの法律案については迅速なる實施を望むと同時に、非常に不明な點、又我々の立場から見て心配すべき點がありますので、若干の質問を試みたいと思います。  先ず第一に、この法律の大眼目である證券民主化について、證券業者という者が免許制を廃して、そうして要件充足主義要件さえ具われば誰で證券業者になれるという登録制になつたのは、誠に結構でありますが、併し免許制の前では、私の知るところでは凡そ二千五百程の業者がありました。免許制になつて六百程に減つたのでありますが、今度又要件充足主義で、自由に證券業者になれろということになりますと、雨後の筍のように證券業者が澤山出て参りまするが、この多くの證券業者が中央、又は大都市では心配はありませんが、小都市におきまして、有價證券業者の看板を掛けてそうして有價證券に無智な大衆に接する。その點非常な間違いが起こりはしないか。で、この濫立する有價證券業者をどうして取締られるかという點が一つであります。  それからそれに關連しまして、この取引委員という者は、取引所定款によつて厳重な資格を具備した者に限られる。この法律の中にも書いてありまするが、資本額についてその最低額の定めがある。併し證券業者の方は資本金については何等拘束していない。こういくことではますます善良な投資家に不測の損害を與える憂がある。この濫立する業者を取り締まることと、そうして資本金についての制限がないというような點につきて心配を持つ者でありますが、その點一つ御説明を願いたい。
  25. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 御質問によりましては、政府委員でありませんが、大藏省理財局岡村君が見えておりまして、立案にずつと長く携わつておつた方あるのでありますが、御質問によつて説明員として説明をされたいという希望がございますが、説明員として説明することに御異議ありませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  26. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 御異議ないと認めます。
  27. 西川甚五郎

    西川甚五郎君 この問題は重大ですが、大臣なんかは出て頂けないのでしようか。
  28. 波多野鼎

    波多野鼎君 總論的な質問には大臣がいて貰つた方がいいと思いますが、各條的な質問のときには必要がないと思います。
  29. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 大臣の方は一つ要求しておきます。
  30. 阪田純雄

    政府委員阪田純雄君) 只今の御質問の、免許制度を廢止いたしまして、登録制度改正致しますことによつて、且その登録制度が、いわば要件充足主義でありまする結果、證券業者の濫立を招來し、とくに大都市はともかく、地方においてはいろいろな弊害が生ずるのではないか。この點に關しましては、當局といたしましてもいろいろの方策をとりたいと考えておりまするが、法制上、改正法案自體におきましては、證券業者最低資本額はこれを定めないことにいたしましたが、別の觀點から證券業者の活動に制約が附されておるのでありまして、たとえば最低資本額は定めませんが、純資本額負債總額との關連において、純資本額が一であつた場合、負債總額は二十を超えてはならない。こういうような、純資本負債との關係において、商賣上の制約をすることになつている次第であります。又實際の商いの關係においても、この改正法案においては、證券業者は客に與える信用の問題、逆ないい方をすれば、いわゆる委託證據金の問題につきまして、少なくとも賣買證據金委託證據金というものを四割五分以上貰わなくてはいけないという規定もある次第であります。尚監督の問題につきましては從來監督はいたしておつたのでありますが、本法に特に規定を設けましてできまする證券取引委員會において直接いたしまするのみならず、財務局その他をして監督せしむるという制度をとることに相成つているわけであります。最近證券民主化の進行するにつれまして、地方でも新たな有價證券業者の進出がありますので、現行の有價證券取締法に基きまする許可の申請が現實に相當出てまいつておるのであります。これを見ますると、地方におきましてはいわば相當信用のありまするその地方におります一流の人が證券業に相當進出されております趣が見えますので、御懸念のような點もあるのと存じますが、差當りの現實の問題といたしましては非常に結構な傾向である。こういうふうに考えておる次第であります。
  31. 松嶋喜作

    松嶋喜作君 次に第六十五條但書に、この間の政府委員の御説明では、信託會社も含むような御説明でありましたが、この本文では「銀行が……」と書いてあつて信託が拔かしてありますが、この但書の適用というのは信託會社にないのですか、あるのですか。信託會社との關係を伺いたい。
  32. 阪田純雄

    政府委員阪田純雄君) 六十五條趣旨は、從來銀行信託會社その他の金融機關が有價證券の募集、引受等をやつておりましたのを、この規定において銀行信託會社等金融機關は有價證券業者を兼營できない、こういう建前にした規定であります。本規定趣旨は勿論、金融機關と有價證券業者と兩々相俟ちまして、金融市場證券市場圓滑なる運營を招來することに相成るのでありまするが、金融機關には金融機關本來目的があり、證券業者には證券業者本來の目的があり、本來のいわば本質的な機能を發揮すると同時に、その各々の職能の分離をすることがいわゆる經濟民主化に重要な関係がある。このような趣旨に基きまして、銀行信託會社等金融機關は有價證券業の兼營はできないことに相成つたわけであります。但しこの條文にあるように、投資目的を以て有價證券の売買をする場合はその限りではないのでありまして、且つ銀行顧客書面による注文を受けて、その計算において有價證券の賣買をすることも、これによつて支障はないわけでありますが、信託會社についてはこれが拔けておるような恰好に相成つておるのであります。信託會社については客との信託契約によつて證券を賣買する、こういうことは差支えないことになつております。實際問題としてはこの信託會社をここに入れない場合においても、大きなその面の不便は生じないではなかろうか、かように考えておる次第であります。
  33. 松嶋喜作

    松嶋喜作君 そうすると、當然そのお客から投資の依頼を受けて信託會社が株の賣買をやるということはできる、かように解してよろしうございますか。
  34. 岡村峻

    説明員岡村峻君) この但書只今も御説明がありましたように、銀行のみにつきまして、顧客書面による註文を受けて顧客計算において有價證券の賣買ができるということにいたしましておりまして、信託會社につきましてはこの業務を排除いたしておりますが、その理由は、銀行當座預金等の非常に短期制の預金を扱つておりましてその當座預金で、お客註文をします有價證券を買つて貰いたいというような場合におきまして、銀行サービスを申しますか、そういう意味において、その程度業務を扱うことはしようがないという趣旨の下に、銀行にはこの業務を認めたのでございますが、信託會社につきましては、信託會社は本來財産の管理ということをいたしますのが業務でありまして、從つてこのここにございますような業務を認めません場合におきましても、例えば金錢信託以外の金錢信託という仕事がございますが、御承知のように例えば或るお客様が一萬圓の範囲内で特定の銘柄の有價證券を買つてもらいたいと、こういう註文を出す場合におきましても、信託會社の撰擇する何れかの銘柄の有價證券を買つてもらいたいと、こういう註文を出しました場合においても、信託契約の履行といたしまして、信託會社が有價證券を買いまして、そしてこれを保管しておくなり、或いは委託者指圖によりましてこれを委託者に返すというふうなことも實際できるわけであります。詰り信託會社には直接的に顧客註文による有價證券の賣買ということを認めておりませんが、信託契約そのもの効果として同じような仕事が十分になし得ると、こういう結果に相成りますので、この條文におきましては、飽くまでも理論的な立場から銀行信託會社、あるいは證券業者のおのおのの職能を分離いたしまして、かような表現なつた次第であります。
  35. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 大臣經濟閣僚懇談會に出席中で、午前中は出席できないということでありますから、又大臣質問は次のときにお願いします。
  36. 松嶋喜作

    松嶋喜作君 そうしますと、銀行と特に書かれたのは、證券業者は大體の營業上の定義においてそういうことができる、株の賣買ができる、併し銀行の方は定款において株の賣買というようなものがないから、特に定款がないが故にここに銀行と書き、又信託の方はそういうことが本來の營業定款においてやるからここに書いたという意味でございますか、特に銀行をお書きになつて信託を省略されたということがどういうことか、根本的の考え方はつきりしないのですが……。
  37. 岡村峻

    説明員岡村峻君) これは別に現行定款にこういうことが書かれておらない、或いは信託業法によつて信託業者には有價證券代理事務というものを認められておるということとは直接的に關係はございません。先程も申上げましたように、銀行短期制當座預金というものを扱つておりますに對しまして、信託會社はそういうものを扱つておりません。その關係銀行當座預金などによつて有價證券を取得して貰いたい、こういう註文がありました場合に、サービスとして、その程度仕事をすることは差支えないということを表現したものでございまして、信託會社信託契約効果としまして、それとほぼ實質的に同じ仕事支障がなくできるものと思われますので、信託業は財産の管理を中心にしてやるという考え方を貫いて、こういう表現を用いたという次第でございます。
  38. 星一

    ○星一君 證券民主化ということはですね、一體民主化ということはなかなかむづかしいので、普通使つてありますが、本法律において民主化ということは設立免許制度を廢して、登録制制度にしたということ、それから設立地域制度を廢したということと、それから資本をきめないでいいということが民主化ですかね、そう考えてようございますか。そうしてそれが民主化であつて本法目的國民經濟の適切なる運營と有價證券の流通を圓滿にさせる。そうして投資者を保護することをするのだといいますか、そうするとどうしても日本の國のこの銀行制度から考えて、たつた七十か、六十か、私は日本はたつた七十しか銀行はないのだ、後は支店だといいますか、こういう支店、こういうことはいわゆる獨占禁止法、あの方から言うても、私は間違つている。いわゆる資本主義というかね、そこの場合と思います。それでアメリカは今の一萬五千も二萬を銀行があるのだ。これを人口率考えてごらんなさい。そこにアメリカ民主化があると言いますか、そうしてアメリカ銀行は御承知の如く支店を持つことができない、國内には支店を持つことができるが、一切國内において支店を持つことできない。併し準備銀行のために少し支店を持つたものがあります。合併の結果、……併し原則としては支店を許さんらかというところに、私は民主化のおもしろいところがあると思う。そこですから、この日本の缺點を補つて行く、そうしてこの國民經濟の適切なる運營をして行く上から言うても、私は少なくと證券取引所は三百くらいは必要だと思うのだ。そうして地方で發行する株券でも社債でもだね、これを圓滿に流通させることがいいと思います。政府は一體三百ぐらいな証券取引所を作るのに何か故障があるか、善いか惡いかと、その意見を聞きたいと思います。
  39. 阪田純雄

    政府委員長(阪田純雄君) 只今質問證券民主化ということにつきましては、これを平たく一言にして言いますならば、有價證券が一部財閥の手に集中することではなく、廣く國民大衆に有價證券を持つて頂く、こういうことに相成ると思うのであります。それに關連いたしまして、この證券取引法改正法律案は、これを扱いまする業者、或いはこれを集團的に売買いたしまする市場等につきまして規定いたしておりますると同時に、有價證券の發行及び募集をなす場合におきましては、その判斷資料を必ず出させる、こういうようなことにいたしますると共に有價證券の売買に從時いたしまする有價證券業者に對しまして、いろいろな取締規定を設けまして、要するに國民大衆が有價證券を安心して、且つ自己の判斷を正常に加えまして持ち得るような制度になつておる次第であります。そういう意味におきまして、いわゆる證券民主化に役立ち得る、こう考える次第であります。取引所を全國三百内外拵えたらいいではないか、こういうお話でございまするが、本法律案によりまして、取引所設立につきましても、これ又從來免許制度を廢止し、且つ地区制度を廢止いたしまして、登録制度になつたのでありまするが、取引所の成立いたしますためには、やはり一番基といたしましてはそこに取引されるところの有價證券というものが相當なくてはいかん、こういうことでありまして、取引所があるから有價証券の取引があるのではなく、有價證券が多くの人に所持せられて、そうしてそこに必然的に有價證券の公正な売価を形成致しまするために、これを扱いまする有價證券業者が相集まつて取引所を拵える、こういうことに相成りまするので、その數等につきましては、申上げましたような經濟事業、更に具體的に申上げますならば、その地方におきまする有價證券の所在、流通、これを扱いまする有價證券業者、こういつたような觀念におきまして、でき得べきところには必然的にできるべき筋合いであります。その數を現在幾つに考えるか、こういうことは御即答申上げるのはむずかしい問題と存じます。現在におきましても、全國に約五百五十の有價證券業者がございますが、東京につきましては、或いは大阪につきましては、つまり都會地におきましては、相當數の有價證券業者があるのでありまするが、比較的田舎になりますると、有價證券業者の數が縣によりましては一つというようなところもあり、そういうところにおきましては、直ちに取引所が出きると、こういつたことは直ぐは考えられない、こういうふうに考えます。
  40. 星一

    ○星一君 すでにそこにいう取引所があつて成立し、それを維持していくだけの豐富な證券がなければならんということは、これは間違つたことだと思う。この證券取引所の設置によつて、そこに大きな證券を製造する、作るという働きをしなかつたら、決してそういつた民主化だなんていうことはできません。それですから作る……すくなくてもやつたらいいんだ。その證券取引所ができて、そこに證券が新たにできて來るので、そうして社債券を何とか盛んにそこで売れて來ることになると思います。そこで五百幾らの證券業者があるんだから、それが皆やめちやつて、そうして證券取引所にすることが本當の私は民主化の、その國民經濟の適切なる運營だと思います。そこでもう一つは大抵取引所ができ、その取引所が惡いことをすることを思える、それが民主化を妨げる虞れがあるということをいひますが、アメリカあたりではそんなことをいう人は一人もいません。皆自己で判斷する能力を持つていると思う。又もたせることであります。だからこの證券取引所はそこでやつて證券の内容をはつきりさせることにこれできております。そうして誤つて損をしたなんということは、アメリカからいえば損をしたことは教育費だ、自分の教育費だからと思うようで、そういうものは放ちて置きます。それがいわゆる民主化だと思います。いつまでも取引所が人に損をかけないようになるということにはできつこありません。だからそういうことはもう民衆の判斷で、そんなことは、心配せずに、私は今の證券業者が五百あるといつたら、わたしはもう三百くらいは少なくても作るべきが當然であると私は信じますがね。どうもその點は私は大臣からも聞いてみたいと思いますがね。それでなかつたら取引所民主化なんてうことをいうことはできないと思うんだが、どうですか、その點……。
  41. 阪田純雄

    政府委員阪田純雄君) 本改正法律案におきましては、取引所というものは政府が固より作るものではありません。有價證券業者が會員になりまして、會員組織でできるものであります。從いまして心要のところには有價證券業者が相寄りまして會員組織の取引を作る。お説のように取引所が出来ますれば、有價證券の流通に對しまして、或いは公正なる価格に對しまして十分なる寄與をする、それが又證券民主化の役に立つ、甲言うことに相成りますが、そういつたような必要がその土地の經濟、その他の關係におきまして必要でありまする場合は、その人達、即ち有價證券業者が相寄りまして會員組織の取引所を作る、その作るためには、この法律案にありまするところによりまして、登録制度によりまして作り得る、こういうことに相成つておるしだいであります。
  42. 星一

    ○星一君 それで分かりました。三百もできる可能性があるということが分かりました。
  43. 松嶋喜作

    松嶋喜作君 法律の第十七條において「有價證券を取得させた者」というのは何をお指しになるのですか、伺いたいのであります。第十七條の二行目の「有價證券を取得させた職」とは誰を指すのかということを伺いたいのです。これは非常に有價證券を取得させた者は損害賠償の責任を負うという條文で、非常に重大な責任を負うことでありますが、この有價證券を取得させた者というのは、これは發行者であるか、或いは引受をする證券業者であるか、その邊が伺いたい。
  44. 岡村峻

    説明員岡村峻君) 第十七條におきまして、有價證券を取得させた者というものについては、別段限定がございません。從つて十七條に書いてありますような違法の目論見書を使いまして、その目論見書によりまして相手方を歡誘いたしまして、有價證券を取得させました場合におきましては、この十七條に規定いたしまする損害賠償の責任に任じなければならない、こういうことになります。
  45. 松嶋喜作

    松嶋喜作君 併し實際問題としては大きな會社の増資とか、或いは新設とか、株を公募する場合においては、當事者というものは先ず第一にその發行する依頼者であり、それを引き受ける有價證券業者である。この二つが大きなものであると思います。そこでこの虚偽の目論見書を作るとかいうようなことについては、或いは會社の調査部長もあり、或いは係員もあるのですが、大眼目としてどこに重點を置くかということぐらいははつきりして置いて頂かんと、見當が付かんのじやないかと思いますが、どうでしようか。
  46. 岡村峻

    説明員岡村峻君) 目論見書作成並びに記載事項に付きましては、十三條に規定がございまして、募集又は賣出をいたします際には、發行者は必ず目論見書をつくらなければいけない。こういうことに第一項で規定されております。それから同じ十三條の第二項におきまして、その目論見書に記載いたしまする事項は、第四條、第五條あたりの規定によりまして、届けられました有價證券の募集、又は賣出の届出書、この中に記載されております事柄と一緒の内容を有しますものを使わなければ行けない、こういう限定に相成つております。尤もこの十三條の第三項及び第四項におきまして、目論見論書の記載事項を或いは追加し、或いは省略することができるということを、別途この委員會規則できめ得ることになつておりますので、アメリカの目論見書などにおきましては、御承知のように非常に浩瀚な目論見書を發行いたしておりますが、我が國の現状といたしましては、募集又は賣出の届出書に書かせましたことを全部網羅して、目論見書の中において繰返すということになりますと、非常に複雑なものになりますので、その邊は委員會規則の定めるところによりまして適當に省略したものを使わすというふうな仕粗を考えてるわけであります。
  47. 波多野鼎

    波多野鼎君 七十一項ですが、有價證券市場における賣買取引という節ですが、子の市場での賣買取引の方法、第百八條に書いてございますが、賣買取引の種類及び期限、これは立案者の方ではどういう種類の賣買取引をやらせるという御趣旨なんですか。
  48. 阪田純雄

    政府委員阪田純雄君) 取引所における賣買取引の態様等につきましては、これは取引所設立される場合におきまして業務規定等に謳いまして、これを證券取引委員會提出することい相成つておる次第であります。證券取引委員會といたしましては、業務規定等につきまして、公衆の利益を保護致しまするため、適當な變更を認める建前になつておる次第でありますが、取引の態様それ自信につきましてはそういう建前になつておりますので、今後本法によりまして成立いたしまする證券取引委員會によつて決められる、こういうことに相成る次第であります。ただそういうことには相成つておりまするが、當局といたしましては、その際におきまして、御承知のようなインフレ化の状態にありますので、いわゆる證券の取引が不健全に流れませんように、でき得る限り實物を基調にいたしました取引にみて頂きますことが必要でなかろうかと、こういう考え方を持つておる次第であります。
  49. 波多野鼎

    波多野鼎君 それでは清算取引の方式は認めない方針なんですか。
  50. 阪田純雄

    政府委員阪田純雄君) それらの點につきましては、結局は、本法律によりまして成立しまする證券取引委員會におきまして決定的に決められる、こういつたような恰好になりまするので、ただ現在といたしましては只今申上げましたように、いわゆる證券民主化が推進いたしますように一般の大衆が健全な投資をいたしますように、從つていわゆる過當投機に相成りませんような工合の取引の方法、こういうことになるべき筋合いである、こういうふうに考えておる次第でありまするが、從いましてそれがどういうような具體的の態様に相成るか、こういうことにつきましては、やはり證券取引委員會におきましてそのことが決まつて参る。現在におきましては、そういうふうに申上げるよりいたし方がない、こう考えておる次第であります。
  51. 波多野鼎

    波多野鼎君 證券取引委員會というのは大藏大臣の指揮監督を受けるのですか。
  52. 阪田純雄

    政府委員阪田純雄君) 證券取引員會につきましては、從來法律におきましては、一つのいわば調査機關的のものでありましたが、本改正法律案におきましては一つの行政官廳になりまして、大藏大臣の所轄には属しまするが、或る程度獨立的に法律を施行するに必要なる行政處分或いは證券取引委員會規則を制定するということに相成つておるわけです。
  53. 波多野鼎

    波多野鼎君 それでは少しおかしいのですが、大體この法律を作る場合に、今の賣買取引の種類については相當はつきりした考え方を大藏省が持つてつて作るべきだと思うのです。特に問題となるのは清算取引の問題だと思うのですが、現在許されておるかどうか知りませんが、實物取引の名の下に清算取引が實は行なわれておるのです。日本の株式の取引の態様としましては清算取引といふものは、長い間慣行的に行なわれて來たやつですが、これを急に禁止してしまつても、實物取引の名の下にそれをやつておるのです。ですからその點などについて十分考え法律を作らないと却つて工合が惡いのですが、そういう點につきて大藏省ではどういう考えを以ておるかということを聞きたいわけです。
  54. 阪田純雄

    政府委員阪田純雄君) 現在清算取引のようなものが行なわれておるじやないか、こういう點につきましては、實は先般御承知のような、いわば株式波瀾があつて當局におきましても相當數の店を検査したのでありまするが、お話のような點が見うけられたのであります。ただ現在におきましては、許されておりまするものは實物の取引でありまして、その點に關しましては證券業會等を通じまして業者に十分な通牒をいたしますると共に、いわゆる清算取引に走りませんように十分な警戒をしておるわけであります。先般のいわゆる株式ブームが發生するまでの間におきましては、その嫌いが多分にあつたのでありますが、あの後におきましては有價證券業者自體も相當自粛されまして、清算取引に亙るといつたようなものは、少なくとも非常に僅少になつた、こういうふうに考えておるのであります。尚時に通牒を發しまして、清算取引になつた、こういうような差金賣買をやるというような場合におきましては、現行の有價證券業取締法によしまして、厳重な處罰をする、こういうようなことを云つており、現實に現在におきましても官吏を派遣いたしまして、検査をしておる次第であります。將來の取引の態様につきましては、これは只今申上げましたような次第でありまして、現在のインフレ化におきまする事情の下におきましては、やはり實物を基調にした物の考え方をして行くべきである。その場合におきまして具體的に實物だけでありますならば現在の場合におきましては、業者間の賣買については少なくとも翌日受渡、こういうふうに相成つておるわけであります。そういたしますると、そこに日本の現在におきまするように、いわゆる貸株制度、その他が十分でありませんところは、例えば大阪から東京に株を持つて参る。その交通機關も十分でないといつたような關係から、非常な不便を業者の方が感じておられる。こういうようなことにもなるわけであります。御承知のようにアメリカにおきましてはレギュレア・ウエーといつたような制度が行なわれておるわけであります。それらの問題をどういうふうに考えておるかという問題につきましては、大藏當局といたしましても今後の經濟自体と相俟つまして十分研究して参り、證券取引委員會において決定されます場合は、十分なる研究の成果をそれに取入れて貰いたい。こういうふうに考えておる次第であります。
  55. 波多野鼎

    波多野鼎君 今、政府委員説明を聞いておりますと、清算取引というものは初めから過當投機になるという前提の下で、議論になるように聞いております。この點につきましては意見の相違というふうに云つてしまわれるかも知れんが、私は清算取引そのものが必ずしも過當投機になるとは限らんと思います。第一條に云つておる取引の公正、或いは有價證券の流通の圓滑という目的を達する上において、清算取引という方法が有效な役割をするというふうに私は思つております。そういう見地から今のような質問をしたわけなんですが、この點については同後で大藏省の責任のある答辯を願いたいと思つております。今日はこれで留保して置きます。
  56. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) それでは本日は、この程度にいたしまして散會いたすことにいたします。    午後零時七分散會  出席者は左の通り    委員長     黒田 英雄君    理事            森下 政一君    委員            下條 恭兵君            波多野 鼎君            玉屋 喜章君            西川甚五郎君            松嶋 喜作君            山田 佐一君            木内 四郎君            深川タマヱ君            星   一君            石川 準吉君            小林米三郎君            西郷吉之助君            高橋龍太郎君   政府委員    大藏事務官    (主税局長)  平田敬一郎君    大藏事務官    (證券設立準    備委員長)   阪田 純雄君   説明員    大藏事務官    (證券設立準    備委員)    岡村  峻君