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1948-02-20 第2回国会 参議院 財政及び金融委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年二月二十日(金曜日)    午後二時二十八分開會   —————————————   本日の會議に付した事件 ○小委員増加の件 ○復興金融金庫の機構及び業務内容に  關する件 ○政府職員に對する一時手當の支給に  關する法律案内閣送付) ○昭和二十二年法律第百七十號(大藏  省預金部特別會計、國有鐵道事業特  別會計通信事業特別會計並びに簡  易生命保險及び郵便年金特別會計の  保險勘定及び年金勘定昭和二十二  年度における歳入不足補填のための  一般會計からする繰入金に關する法  律)の一部を改正する法律案内閣  送付)   —————————————
  2. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) これより委員會開會いたします。先づ最初に御承認を願いたいと思うのですが前回の委員會におきまして復興金融金庫調査のために小委員會を設けることになりまして、その小委員委員長を加えまして十三人ということに相成つておりまして、その指名委員長に御委託になりまして、各派からそれぞれ出て頂きましてお願いいたしたのでありますが、その後委員長、理事を加えることにして各派において一人づつ増員したらどうかという御意見であつて差し當り三名ということであつたのでありますが、今四名にしたらどうかという御意見も出ておるのであります。四名にいたすことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 御異議ないと認めまして、その委員委員長指名で御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 御異議ないと認めます。それでは順序は不同ですが、自由黨から山田君、社會黨から下條君、民主黨から田口君、緑風會から石川準吉君、この四名の方々にお願いいたしたいと思います。  それではこれより復興金融金庫調査に關しまする會議をいたしたいと思います。先ず本日は復興金融金庫から密田融資部長とそれから石炭金融部長の湊さんがお見えになつているのであります。先ず金融金庫の現在の状況等について御説明を願いまして、それに關して委員方々から御質疑がございますれば御質疑をお願いして、調査を始めたらどうかと思います。それでは只今申上げました復興金融金庫密田部長湊部長説明員として説明を願うことに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 御異議ないものと認めます。それではどちらからでも、どうぞ御説明願いたいと思います。それでは湊さん。
  6. 湊守篤

    説明員湊守篤君) 私は昨年の暮まで融資部長をやつておりました關係で、現在の融資部長密田君でございますが、復金融資の今まで辿つて参りました足取りについてごく簡単にお話し申上げます。復金は御承知のように昨年の一月に設立されたものではございますが、一昨年の八月から興業銀行が、復金の前身であります復興金融勘定という勘定特別融資をいたして参りました。從つて復金の實質的な誕生は一昨年の八月になるわけであります。しかし興業銀行時代ではあまり大した活躍はいたしておりません。この復金設立されました時に、復金勘定引繼ぎましたのでありますが、その時四十一億程度融資をやつておりました。しかし當時政府出資が四十億であつたためにその全額復金勘定引繼ぐことができませんで、一部を興業銀行勘定に残して参りましたために、このパンフレットにも書いておきましたが、數字的には二十八億の融資をやつておることになつております。ともかくも昨年の暮には四百四十億に達しておることでありますから、興業銀行時代は大した融資實績はなかつたことになるわけでありまして、結局復金の正式に設立されました昨年一月以降の復金融資が非常に大きな金額になつて、これが皆さんの問題になつて來たわけであります。そこで一月の設立以來融資經過只今そのパンフレツトをお手持の方は御覧頂きたいと思います。三十二頁に一月から十二月までの月末の残高をそこに書いてございます。月中の増加を取つて参りますと、二月が十四億、三月が十六億、四月が十七億、五月が二十四億、六月が三十三億、七月が四十四億、八月が六十一億、九月が四十六億、十月が四十八億、十一月が四十二億、十二月が六十三億というふうに融資が實行されております。二月、三月、四月まで大體十億臺であつたものが五月から殖え出し、六月、七月と急激に増加しておりますのは、一航的に産業資金需要が多くなつて來たことにも原因がありますが、特に多くなつて参りました原因としましては、六月から例の公團設立されまして、公團に對する融資が六月から始まつたのです。これが七月八月へ参りまして非常に厖大融資を止むなくされたために、八月ひと月の融資額が六十億という額に達しておるのであります。特にこれは公團設立による復金融資の膨脹の經過でございます。  併し今申上げましたように、一般的に七月の新物價改訂以來増加運轉資金その他の問題で、産業は非常に厖大資金需要を訴えておりましたので、それにも相當復金としては引摺られたということがいえると存じます。  ところで、これだけの大きな融資蓄積資金で賄われていれば、これは大した問題はないのであります。御承知のように復金の問題になつておりますことは、結局これだけの資金の殆んど大部分が、日銀の通貨の發行によつて賄われておるということになるわけであります。その驗につきまして復金債消化状況を見て参りますと、復金債は昨年の二月に十五億、三月十五億、四月十五億、五月二十五億、六月四十億、七月五十億、八月四十九億、九月五十億、十月四十五億、十一月四十五億、十二月六十億、大體只今申上げました毎月の融資の額と復金債發行の額と見合つておる、これは最近まで政府の現實の出資は四十億最初出資されただけで、最近十五億出資がありますまで全くなかつたわけであります。從つて復金としては融資に要する資金は全部債券で賄わなければならない、この債券消化状況が問題であるわけであります。昨年の十二月末までの實數で申上げますというと、大體八十七%程度日銀の背負い込みになつております。この點から復金インフレということがいわれ、非常に惡くいわれる場合には、日本インフレの元兇であるともいわれて來た程でございます。  只今申上げましたのが債券發行及び消化状況でございます。ところでこれだけの融資をいたしましたこの融資内容がどうであるかということにつきましては、當委員會におきましても、今までなんとか申上げておりますと存じます。又いろいろ資料もお手許に差上げてあると存じます。併しその資料につきましてそう詳しく御説明申上げたことは今までなかつたと存じますので、極く掻い撮んで概略の御説明を申上げたいと思います。そのパンフレツトの一番終りに十二月の數字を出してございます。これはいずれ手許パンフレツトを差上げますが、前にこれとちよつと組立て方が違いますけれども、十二月末までの業種別の殘高表を差上げてございます。それを御覧頂きますと大體分ると思います。融資額の中で最も大きな部分を占めておりますのは鑛業、これが一般融資總額に對する割合は五十五%に達しております。この一般融資と申しますのは、公團を除くものでございます。この鑛業の中で最も大きいのは石炭でございます。石炭一般融資總額に對しまして四九%という比率を占めております。金額にいたしまして百四十七億、亞炭まで入れますと約百五十億という石炭融資を昨年の暮までに復金がしてきたわけであります。少しこの石炭に對します融資の中を分析して申上げますと、この百五十億に近い融資をその資金使途別に分析いたしますと、設備資金が大體六〇%を占めております。殘りの四〇%が運轉資金。この設備資金一般的な設備資金労務者住宅資金というふうに大掴みに分けられると思います。一般的な設備資金としまするのは、新坑開發をいたします場合、或いは切羽増強をするというような場合、それから炭鑛出炭維持していくために必要な補修費のようなものが、一般的な設備資金として融資の形になつております。これは非常に変態的なものであると思います。平時でございますれば炭鑛維持のために必要な補修費のようなものは、當然に炭代の中に織込まれて、炭代として賣られて、利益となつてつて来る。これを償却という形で落して、それで炭鑛維持していくために必要な補修費を賄つてきたわけです。ところが御承知のような物價抑制政策からいたしまして、今の九百五十六圓という炭鑛の中に占めている、認めている償却費は僅かに三圓八十四錢、これでは現在の炭鑛維持していくということの到底不可能なことは明らかなわけであります。自然炭鑛はその維持のために必要な補修費設備資金という形で借りなければならない。こういう状態になつております。これがあとでいろいろ申上げますが、復金に對する一般産業資金需要の非常に大きいという一つの大きな原因になるわけであります。こういう設備資金というものも、この一般的な設備資金の中に入つております。いま申上げましたのが、一般設備資金でございます。  次が労務者住宅資金であります。労務者住宅資金については大體御承知と思いますが、終戦まで臺灣及び朝鮮勞働者によつて約三分の一が占められておりました炭鑛勞務者連中住宅事情というのは、御承知の通りのもので、これが終戰によつて全然日本人勞働に切替えなければならないという事態に立至つたわけであります。日本人勞働者は彼等のように獨身ではありません。又こういつた情勢下においては、彼等に與えておりましたうな住宅施設を以て日本勞働者を滿足させることは到底できない。これはGHQの方から特段の強い指示もございまして、現在も引續りこの炭鑛勞務者住宅擴充資金が即ちこれであります。現在までに、新設新築で約一万八千戸程度計算いたしております。なお改築、移築、修繕といつたものまで加えますと約十万戸近いものに手をかけておりまして、最近では相當勞務者住宅というものは改善されております。この關係資金が全體の約三〇%を占めております。それから次に運轉資金であります。運轉資金の中の約半分、從つて全體からすれば二〇%に當るものが赤字融資であります。この赤字融資につきましては、いろいろ問題にされているところがございますが、石炭に關する赤字融資は、これは財政のつなぎ的な性格を持つておるものであります。全然ロスとなつてしまう融資ではないのであります。これは昨年の夏頃から炭價原價との間に相當な開きが出ております。これを政府としても認めざるを得なかつたのでありますが、直ちに價格改訂することができ難い事情にあつたために、一時二重價格制をとつて、要するにその足りない部分にいては政府が補償するということを決めたわけでございます。ただこれの予算的措置がどうしても相當長びくことになりまして、現實に政府からその補償金が支拂われるまでに時間的なずれが出てきます。そのずれを埋めるために復金赤字融資をしたわけです。從つて現在殘つております三十億餘りの赤字融資は、この年度末までに税金が豫定通りに取立てられれば、政府から補給金として炭鑛業者の方に拂出される復金融資は、それによつて返却を受けるということになつているわけであります。併し今の政府金繰りからすれば、この年度内にこの全額回收されるということは非常にむずかしいと私共は考えております。併しながら今申上げたような一つの引當てを持つた融資でありまして、全然當てのない融資のように一般に言われておる點は間違いであります。それから殘りの半分、全體の二〇%に當るものが一般的な運轉資金、これのうち大部分増産及び價格上昇に伴うところのいわゆる増加運轉資金になるわけであります。この中には若干坑木關係増加運轉資金も入つておりますが、大體において増加運轉資金と考えて間違いないと存じます。今申上げたような使途に百五十億の金が使われてきたわけでございまして、一番最初に申上げた新坑の開發であるとか、或いは切羽増強であるとかいつたような直接増産に作用する設備資金は、全體の金額からの割合からいたしますと、案外小さなもので、直接には増産に作用しない。併し間接にむろん相當寄與しておる資金が大部分を占めておるということが言えるのだと考えられます。そういう點から、昨年の十一月頃まで金庫石炭に對する厖大融資をしておるに拘わらず、石炭が一向に出ないではないかという非難が相當にあつたのでありますが、これはその點から見れば、我々としては、我々の融資がむしろ直接に直ちに効果を現わすような方向に向つて出されていないで、いろいろな條件が揃つてきたときに相當目覺しい増産をするための基盤を作るという方向融資がなされてきたのであるということを當時言つてつたのであります。果せる哉、十二月に石炭二百九十六萬トン出てきた。このことは新聞に出たように、それだけの基礎ができてきたということから、ああいうGHQ調査団といつたようなものの關渉を契機として、又勞務者生産意欲というものが起つてきたのを契機として、ああいう増産實績を示したのであるということに相成るのだと私共は考えております。終戰直後にあれだけ荒廢しておつた日本炭鑛がとにかく二百九十六萬トン出せるまでに整備をしてきたということに復金の百五十億融資の意義があるのだというふうに考えております。やつとここで我々もいろいろ苦勞して石炭に關する融資をやつてまいりましたのが報いられたような感じを實は持つております。併しながら、だからと言つて、この百五十億も融資しなくても、もつと少ない融資であれだけのものはできたかも知れない。又百五十億もの融資をしたならもつとよい状態ができておるべきであつたという一部の批判に對しては、私共としてはそれを否定するだけの自信はございません。と申しますのは、石炭に對する融資は、戰時中命令融資でさえも、こういう事業への貸出は、こんなルーズな調査に基いて貸出はなされなかつた。この復金のやつておる石炭融資戰時中命令融資以上にルーズな金融であるということは、これはどうしても我々として否定できない事實でございます。と申しますのが、今ちよつと申上げたように全炭鑛融資をしなければならないという事態でございます。併しこの融資は曾てこうゆう目に會つたことはない。戰争中相當資金需要が大きかつたときでさえも、大體炭鑛維持していくための資金はさつき申上げたような徑路で炭代で賄われておつた從つて新しい坑道を起すとか、或いは自然的な災害のために水害があつたとか、それを復舊するとかいつたときに限つて資金需要が出てきた。當時においてはインフレーシヨンもまだそう速度を早めておらなかつたから、價格上昇もそう見るべきものはなかつた從つて炭鑛の恐らくは一〇%ぐらいの金融というものが出てきたおつたと思うのであります。それが現在の状況ではこれは石炭鑛業たけではありませんけれども、全部の炭鑛金融を伴わなければ、出炭維持して行くことができないという實情にあります。そこへ持つて來インフレ速度がだんだん速まるに連れて、價格原價との矛盾が常に追つ掛けになつておるということであります。  從つて炭鑛は常に赤字赤字で追い掛け廻される。これを埋めるための資金を率直に赤字というもので認めて、前にやつたいたような補給金で出すということになれば、まだすつきりした形がとれますが、いろいろ政治的な事情から、なかなかそれを率直に認めて行くことができなくなつて参りますと、これをいろいろな形式で融資をして行かなければならない。要するに石炭に對する融資は、基本的な政策の尻拭い見たような面も、實は持つておるというような關係からしましても、政治的な金融になつて來ております。  これは、金融をやつております私共としては、非常に不滿であるわけでございますが、その點に、復興金融金庫というものが作られた一つ役割もあるのじやないかと考えられます。又復金が、この場合いわゆる健全金融といつたような線に沿つて、非常に適確な審査をしてからでなければ、頑張つてつたつたならば、昨年の暮、二百九十何萬トンという石炭は明かに出なかつたということにもなることから考えて、當然復金のそういう役割は非常に不滿ながらやはり果して行かなければならんじやないかというふうに考えております。  ただ併し、今申上げましたように、全炭鑛に對する融資でありますから、誤りなく、その實體を掴んで行くだけの態勢は遺憾ながら金融の側にはないわけであります。  これは石炭だけでございますれば、何とかやらなければならないと思うのでありますが、先程申上げましたような、價格政策は、全産業に共通しておるものであります。今復金は、恐らくあらゆる産業に殆んど萬遍なく融資をやつております實情からお考えを頂きましても、その點は明らかであると思うのであります。全石炭鑛業の今五百幾つある山を常に間違いなくその實體を把握して行くということはできないような實情にありますために、石炭金融は、とかくルーズに流れまして、從つて一部の石炭融資した金が思わぬ方向へ流れておるというような御批判を受けるのであります。その邊につきましても、我々としても、金の後を追つ掛けて、十分その使途誤りなく、その當初期待せられた使途に使われておるかどうかということを檢討するだけの力というか、餘裕がないということで、私共は誠に遺憾に思つておるわけでございます。  石炭につきましては、少し長くなりましたが、要するに石炭が、今のそういつたいろいろな矛盾を端的に示しておるように考えられますので、特に長く申上げたわけでございます。  次に、この表の順序で言いますと、繊維工業でありますが、これは極めて僅かなパーセンテージしか持つておりません。この繊維工業は、本來日本一般金融が最も金融的な關係を深く持つてつた工業であります。  從つて、今までは一般金融機關が相當、繊維工業については融資をして参つたために、復金が左程融資をしなくても濟んだわけでありますが、これは、だんだん復元資金その他について非常に大きな需要が出て参りますと、これはなかなか一般金融で賄い切れなくなつて、逐次復金の方へ融資を要望する聲が昂まつて來ておるという状態のように考えるのであります。  次に、金属工業の中で最も大きいのは、鐵鋼關係でございます。鐵鋼關係が殆んど大部分を占めておりまして、この鐵鋼關係の大部分運轉資金でございます。設備資金はほんの僅かにあるだけであつて、大部分運轉資金でございます。この運轉資金の中で、赤字融資が約七〇%程度を占めております。これは、石炭の場合と全く同じような財政繋ぎ的性格を持つておるのであります。これは價格平衡資金というものがございますが、この價格平衡資金によつて返却されるものであります。從つて、これも石炭の場合のように、今の國に金繰りの面からいたしまして、この三月までに回收になるということは非常に困難のように考えるのであります。爾餘資金の大部分は、増加運轉資金でございます。  次に機械器具工業というのがございます。この機械器具工業はパーセンテイージで言いますと、一般融資總額の七%を占めております。この機械器具工業の中で最も大きいのは自動車工業であります。自動車工業機械器具工業の約三〇%を占めております。この自動車工業は日産、トヨダ、デイーゼルというあの大會社に對する融資が大部分でございます。この大會社終戰後非常に業務を縮小いたしまして、非常に大きなマス・プロの能力を持つておるにも拘らず、資材の關係が主たる關係非常な低位の生産を續けております。併しこの價格につきましては、昨年の七月、現實には九月になつたのでありますが、その時にはG・H・Qも相當自動車價格について理解して呉れるようになつたのであります。當初基礎的な物資ということでなかなか高い價格を認められませんでした。從つて終戰後ずつと赤字經營を續家ておつたのであります。一時は行き詰まるかと思われたのでありますが、自動車工業というものが日本に殘されました最後の總合工業というふうに、殘された最大の總合工業というふうに我々としては考えておりまして、この大きな總合工業をなんとか維持して行きたいという大方の希望がございまして、政府の方針も大體そういうことであつたと思うのであります。そこでこの三社を一社に縮小してしまうとかいう荒いことを當時としては考えませんので、又これについてはアメリカの有力な自動車會社日本へ進出して來るといつたような形とか、或いは東洋にありますアメリカ自動車修繕を一手にこの三社へ持つて來るというような話とかいろいろ當時つたのであります。その邊を狙いまして、明瞭なる赤字融資をやつたんであります。これが自動車工業融資に對する非常に多くの部分を占めておるのでありますが、昨年の九月に、今の生産基準に合せた價格を決めて頂きましたために、一應理論的には昨年の九月以降赤字の問題はなくなつたことになつております。現實には必ずしもそうなつておりませんが……。それまでの赤字金融が大部分でございます。尚この外に若干小さな自動車工業に對しても融資をしております。  次に自動車工業に次いて大きいのは電氣通信機關係、これは御承知東芝日本電氣沖電氣という例の電氣通信機に對する融資でございます。この中にも若干の赤字融資があつたのであります。例えば東芝の如きは一昨年に爭議をやりまして、その爭議直後相當大きな融資をしたのであります。これは極く一部分赤字融資的な性格を持つてつた。ところがこの九月その生産を見て見ますと、四月以降電力事情その他の好轉によりまして、當時赤字であつたものを四月以降取り返しております。復金赤字融資ということが巷間問題になりますが、この赤字融資はどれくらいの部分を占めておるかということは、今の東芝の例を取つて見ても御説明しにくい點があるのであります。赤字融資だと思つて融資したのが或る一定の期間經ちますと、これはインフレによることもありますが、今の東芝の場合の如きは生産増強によつて恢復してしまつた從つて當初赤字融資つたものが途中で赤字融資でなくなつておるということが出て來るのであります。そういう融資がこの通信機關係では非常に多いのであります。ですから私共は今ここで過去を振返つて見ますと、電氣通信機工業關係に出した運轉資金は、大部分増産及び價格改訂のための増加運轉資金であつたというふうに申上げてよろしいんじやないかと考えております。それに續きまして鑛山用、或いは肥料用紡績用等産業機械が多くございますし、尚輸出關係として自轉車工場、ミシンとか、工学機械とかおうものにも相當の融資をいたしております。  次は窯業でございますが、窯業は殆んど問題になりません。これはセメント關係の若干の赤字融資を含めて運轉資金が出ておるだけであります。その次は化学工業であります。化学工業は全體の十三%を占めております。この中大部分肥料でございます。肥料は全體の九%でございます。この肥料設備資金が相當出ております。これは昭和電工東洋高壓電氣化学日新化学といつたものが主なところでありますが、戰災及び老朽化からの復舊工事復舊のための設備資金がこれの大部分でございます。これは御承知のように、非常にG・H・Qの要請が強くて、終戰直後から取りかかりました。その後物價改訂に伴いまして、豫算がどんどん膨脹して行く。昭和電工がその的確なものでありますが、ああいうことでも、この前たしか御説明があつたと思うのでありますが、經過を經まして、只今設備資金が相當厖大化して参つております。この邊で、併し大體最後の豫算も決まりまして、もう今後この關係設備資金がそう伸びないように、私どもとしては考えておりますが、まだ併し若干の貸増しは引續き起るものと考えております。運轉資金は、一部赤字融資がございますが、これは二つの時期に分かれますが、昨年の價格改訂前の赤字融資がございます。これは財政繋ぎ的性格を持つておるもので、この點については、石炭の場合と同じようなことが言えると思います。ところが、昨年の十一月から始めました赤字融資、これは金額にしては僅かなものでございますが、これは御承知のように、電力制限によりますところの赤字でございます。この赤字は、財政的な措置は全く取られませんで、四月以降において起るべき價格改訂の際に、電力制限のために起つた赤字は、その價格の中に織込むということを、放府當局及びG・H・Qにおいても了解されて、そういう約束の下に、それをまあ引當てとしてといいますか、そういう融資でございますから、これは財政の繋ぎという形ではございません。それが極く僅かございます。殘餘は、大部分増加運轉資金でございます。  その次は電氣業となつております。これは電力關係で、日發の設備資金が大部分でございます。日發の設備資金は、戰爭中からの繼續工事であります。發電所の建設資金、それから火力發電所の復舊資金といつたようなものが大部分でございます。運轉資金は、配電會社及び日發のも若干あります。これは、昨年の三月までに、一部赤字融資として出されてたもので、これは四月の料金の改訂の時に織込んで貰つて、四月以降の收益で返せたのでございます。返せるだけの收益はでておつたのでありますが、四月以降の設備資金の中からこれを引いて、貸したものですから、未回收の儘赤字融資として殘つております。この額は大したものではございません。從つて運轉資金は大した問題になる程の金額ではございません。  その次はガスでありますが、これは殆んど出ておりません。  次の水産業、これが非常に多いのでございます。水産は、全體に對する割合は、農林水産は約七%に當つております。この中、この水産に對する融資の中、九〇%以上が設備資金でございますが、この中約三〇%が捕鯨船に對する設備資金、捕鯨船の建造及び改造資金でございます。この捕鯨船は、御承知のように、ああいう事情で、南氷洋に出漁することになりまして、厖大設備資金を要したわけでございます。一般金融で到底賄なえない性質のものでございますから、復金から貸出しております。運轉資金として、これは出しております。殘餘の約六〇%は、一般漁船の建造資金、この漁船の建造につきましては、政府において、終戰直後に立てました三十三萬七千トン計畫がございます。この計畫に對應いたしまして、大體に戰爭中に滅失いたしました船の代船建造という線に沿つて融資をして参りました。相當の船ができたわけでございますが、併し三十三萬七千トン計畫には、まだ恐らく五十%も進んでおりませんが、段々最近のように、材料も逼迫して、單價も非常に上つて参りました事情から、この新らしい船の建造ということは、一應この邊で反省期に入つたのじやないかというふうに、私どもとしては考えております。最近は若干融資の差控えをいたしております。  水産の次は交通業でございます。交通業は、全體の約四%に當つております。交通業の中、海運關係が約八〇%を占めております。この中大部分設備資金でございますが、これは戰爭中からの、いわゆる續行船の續行工事、それから小型運搬船の新造、補修、それから終戰後に、G・H・Qから特に許可が出た客貨船の新造竝びに港灣施設、倉庫等の設備資金でありまして、交通關係復舊ということに主眼を置いて融資されたものでございます。  次はその他でございますが、その他はパーセンテージからすれば、大したものではありませんが、この内非常に大きなものは、まあ住宅營團といつた閉鎖機關關係のようなものであります。これは、閉鎖機關になるまでに復金融資したものでありまして、現在整理中のものであります。  以上で、大體公團を除く一般融資について、極く概略を申上げました。  公團融資は、昨年末で約百三十五億融資しておりますが、この内譯は、主なものは、配炭公團が四十五億、肥料公團が二十六億、價格調整が三十億、これは、全體で、三公團で約七〇%を占めております。この公團性格なり、事業内容なりについては、御承知のことと思いますから、省略いたします。この公團資金につきましては、大體これは、最近先ず價格改訂が今後引續き起らないということであれば、もう飽和點といいますか、ピークにそろそろ達して來て、ぼつぼつ開店状態に入るというように考えておりましたのであります。又價格改訂が起つたり、新設公團の問題が起つたりすると、又公團融資もやつて行かなければならんというような情勢にあります。尚この點におきましては、最近資金計畫の面からいたしまして、公團融資復金から離すということが考えられており、いろいろこの金融委員會でも御論議されたことと思いますので、その點は省略いたします。  最後に中小工業金融について一言觸れますが、復金は、設立當切から、我が國の經濟再建に占める中小工業の地位ということに鑑みまして、中小工業金融は、相當大きな目標として考えられておつたわけであります。併し何分にも、非常に復金の窓口は僅かでございますし、持つております事務陣容も非常に少い状態でありますので、十分奈ことはとてもできていないと思うのでありますが、併し一般に言われておりますように、全然これは看板だけで、大したことはやつていないということも亦少し誤まつているように考えられるのであります。これはちよつと數字が古いのでありますが、十月末の融資殘高で、ちよつと比率を取つて見ますと、一取引先百萬圓未滿のものが……。失禮しました。五百萬圓以下を中小工業ということがいえるかどうか。これは特に問題でありますが、一つの参考として、五百萬圓未滿の融資額は、一般融資額の約九%に當つている。それから件數で見ると、五百萬圓未滿は、八二%に當つております。このことは、復金が、中小工業金融はさつぱりやらないということに對しては、確かに一つのお答えになることと思うのでありまして、最近の物價の情勢から見ますと、五百萬圓未滿の融資をいたしております企業體を我々の目で見ておりますといわゆる中小工業という性格の中に入るものは非常に多いと思うのでありますが、五百萬で切ることがいろいろ問題がありますが、とにかく少し甘く言いますれば、金額にして九%、件數にして八二%といつたものを出しているということであります。相當金庫としては、中小企業分野について力をいたして來たということが言えるのではないかと考えております。  以上非常に駈足で申上げましたのでありますが、結論的に申上げますと、結局石炭について申上げましたことが全體の産業について當てはまるのでありますが、直接にこの生産増加ということに作用する設備資金というもの、及びこれに伴なう運轉資金というものは、案外全體の融資額の中に占める割合は少いので、先程からいろいろ申上げておりますように、産業維持して行くために必要な、補修資金のようなもの、それから財政の繋ぎといつた考えを持つた赤字融資赤字資金といつたもの、又價格改訂の整理により生ずる一時的な不足、これ又赤字資金ということがいえると思いますがそれから一番多いのは物價上昇に伴う増加運轉資金、こういう方面に振向けられておる部分が非常に多いということでございまして、復金が相當大きな融資をしておるのに案外生産が殖えないという御批判ならば、それはその邊で檢討されなければならないものがあるように考えるのであります。併し復金としては先程石炭について申上げましたように、いろいろ外の事情が好轉して参りました時に相當顯著な増産ができるように、又幸いにして外資が導入されまして日本産業に非常な刺戟が與えられました時に、日本産業がその最後の生命力さえも失つておるような状態に持つて行かないために、或いはもつと積極的な増産ができるための基盤を作るために融資役割を果して來たというふうに、私共としては考えておるわけであります。石炭について屡々申上げましたように、そういう状態が出て來た時に初めて復金の今までやつて來融資が生きて來る、それまでは割合に目立たない金融になつておるかに考えられるわけであります。  以上今までやつて参りました融資の分析を極く概略試みたわけでありますが、尚これとインフレーシヨンとの關係、或は今後の復金の果して行かなければならない役割、又今後の産業金融の見通しとかいつたようなものにつきましては、私のつたない小論で若干觸れております。まあ、今日はそれまで参らなくても良いと思いますが又いずれお讀み頂きまして御批制を頂ければ私としては非常に幸甚と存じます。
  7. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 何か御質問があれば……。
  8. 松嶋喜作

    ○松嶋喜作君 澤山伺いたいことがあるのですが、今湊君の力説された石炭の中で、補修資金を貸した割に目立たないが、荒發しておつた設備を補修したんであつて目に立たんが、これからいよいよ活動期に入る、現に十二月のごときは二百九十六萬トン出た、これは非常に嬉しい、まあこういう御説明です。で、まあその通りなら私は非常に喜ぶんですが、私もそうえらい深い知識でもないが聴いている範囲では、この十二月という月は毎年石炭の澤山出る月だ。それからもう一つ十二月は二百九十六萬トン出たということは、特別調査團、G・H・Qの方の特別調査團ですか、それが行つて非常に激勵した、まあ、この二つが非常な有力な動機をなしておる。そこで今のお話であると二百九十六萬トンがずうとこれから引續いて行き、或はそれ以上にも行くように聞こえるのですが、併し私の心配するのは、そうスムースには行つていない、更に非常な補修資金或は切羽を開くとか、そのほかの設備資金を使わなければ、この二百九十六萬トン増産というものは續き得ないであろうと思うのです、そう補修費を澤山されんでも良い、これまでに十分に注ぎ込んである、これからはレールに乗つたから行くという點は御確信がありますか。
  9. 湊守篤

    説明員湊守篤君) ございません。
  10. 松嶋喜作

    ○松嶋喜作君 それではいかんじやないですか。
  11. 湊守篤

    説明員湊守篤君) これは私の申上げ方が足りなかつたと思うのですが、二百九十六萬トン出た時にガツチヨークさんが新聞に發表されたのは、自分たちが幾ら刺戟してもそれだけの基礎ができてなければ、それだけでは出なかつたのだ、今までここまで官民協力してそういう石炭企業の基盤を作つて來たということは大いに買われてもいい、そういうふうに言われたので、從つてこういうことをされていなかつたら、如何に調査團が派遣されても、如何に十二月という月であつても、二百九十六萬トンは出なかつたであらう。從つて十二月までに復金が出した資金はそういう意味で實は高く評價して頂きたいということを實は申上げたのであります。それで今後引續いて、今松嶋さんも言われたように、相當大きな資金なり、資材なりを繼續的に注ぎ込んでいかなければ、三百萬トンなんという出炭維持していくことはできないというように私共は考えております。既往における復金融資が非常に無駄に出されたというふうな一部の御意見に對して、多少そういう點で買つて頂きたいというような意味で申上げたわけであります。
  12. 松嶋喜作

    ○松嶋喜作君 それも効率次第ですが、十二月の月を以た復金融資が大いに効果が上るという判断は少し甘いじやないかという氣がするのであります。十二月の月は相當無理をして不自然な、炭鑛としての企業の正常な行き方よりも外の原因で無理をして出たのであつて、これが今後復金の力でスムースに行くと判断されると、後で又えらい損が出やしないかと思います。
  13. 湊守篤

    説明員湊守篤君) これはもう全くその通りだと思います。
  14. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 ちよつとお尋ねいたします。これは別に理屈じやないですが、融資の目標とするものについての理念はいろいろ分りましたが、融資の申請書と申しますか、そういつたものが業界團體等から出された場合に、これは生産擴充上に必要であるとか、或いは生産擴充上及び企業の再建或いは復興上必要なものだといつた観點によつて融資をされるのでありますが、その融資の査定の基本観念というものは、こうしたいろいろなことは分つておりますが、實際問題としては、固より良心的に、これは非常に適切な申込みで、適切な金額で、適切なこれが目的を達成するであろうという信念でやられるわけでありましようか、それは實際にその業界に對して、失禮ながら極めて經驗の淺い官吏諸君が査定してこれを決定される、固より委員會その他の懇談會等もあるようでありますが、それも通り一遍のことでありまして、實際の決定をするものは係官だろうと思いますが、こうした經驗と知識と修練に乏しい方がこういう融資の大きな問題の實際のキーを握つておるというが如き制度組織というものは、固より良心的であろうと思います。現在の日本の經濟復興上に、而も國民の膏血を絞つた資金を莫大に融資する上において、實際に誤りなきを期しておられるという確信があられるのかどうかという點を是非當局から伺つておきたいことと、それからこれは非常に卑近なお尋ねでありますが、恐らくその生産擴充、設備復興等に對する計畫書につきましては、闇價格、闇賃金、闇設備というものが盛られてそれが出て來ておると思うのでありますが、政府は一面マル公政策を厳守して流通秩序を確保せんとしておる過程において、融資計畫書なるものの設備擴充費というものは、恐らく闇物資、闇價格というものによつてこれが計上されておると思うのでありますが、それらに對してはやはりこれは當然マル公のものではない。闇のものであろうということを知つて政府融資をやつておるのかどうか、これが二點、それから固より融資先に對する監査、調査のことは、組織の上においても、條文の上においても一通り書いてありますが、實際調査をしたことがありますかどうか、向うからの報告書に基いてそれを調査と称しておられるのかどうか、監査をしておられるのかどうか、監査をしておるのについては、具體的にどういう組織と規定を以てどういう事例を以て監査した事例があるかどうかを伺いたいのが第三點、  第四點は融資後において價格改訂された、或いは賃金が改訂されたといつたようなことについて、融資が當初計畫されておつたことと非常に違つて來たような過程を辿つて來ておる方面も極めて多いと思うのであります。これがために追加融資をしなければ、當初の計畫増産數量、増産年限の達成ができないというふうな部面が當然生じて來ておるようなものに現在追加をしておるのか、或いはそれと逆に現在いろいろの價格も下つたものもあるのでありますが、そういつた場合には拂戻しといいますか、それに對してはどういうことをしておるか、ということが第四點、  それからこれは先程石炭の例に出ましたが、百五十億なり何ぼなり石炭融資したことによつて増産目的が三百萬トン近く出たという説明も理屈もありますれば尤もの點と思いますが、實際こうしたことにまだ將來現れるだろうという見解は分りますが、コストと量の上において、今日まで復金が何百億と融資したものの結果、コストと量の上においてどれほど經濟復興の上に効果を齎らしておるかどうかという見通し。現況等もお尋ねして置きたいと思います。
  15. 密田博孝

    説明員密田博孝君) 今御質問の中の第一點といたしまして、現在復金がやつております融資が果して審査の上で妥當であるかどうか、こういう御趣旨だつたと思うのであります。これにつきましては、松嶋委員も御存じだと思いますが、只今一般融資、それからそれの審査關係の部門、これは主としまして興業銀行から來たものが當つております。興業銀行は御承知のように開設以來長らく産業金融に關しまする事業調査というものに當つて参りました、その間、各業種別事業特に今復金が取り上げております重點産業、鑛山關係肥料、鐵鑛、電氣その他繊維工業にしましても、鐵道にいたしましても、そういつたものについて多數の先輩の知識を受け繼ぎまして、一應事業調査の仕事をする、こういう人を形態的に持つておる、これにつきましては我々非常に手前勝手のことを申すようでございますが、或る程度産業金融調査ということにつきましては、或る程度の自信を持つております。こういつた者が企業經營或いは生産状況、收支状況、それから今後の見通しといつたようなものの調査をやりまして、一應の結論を出します。ところが、これは一金融機關といたしまして、今の經濟情勢の全般的な判斷、例えば生産關係増産、造船などといつたものの全般的の全國の資料というものを遺憾ながら持ち合せておりません。その點につきましては、やはり官廰關係のような御意見を聞く必要が生じて參ります。そういつた意味合におきまして、幹事會に各關係官廰の方々或いは根本的な經濟政策をお立てになる安本の方、資金關係の大藏省、日銀と、こういつた方たちにお寄り願いまして、そういつた方たちの御意見も參考にいたしますし、それから最初に申上げました日銀當局が審査いたしました見解というものも斟酌して頂きまして、その上で融資の方針というものを決めております。その上大口のものは委員會に持出しまして、各委員方の御意見を參照する、そういつた可也り複雑なる手續を取つておりまするので、融資が極まつて行くということは、手續の方ではないのでございます。私らといたしましては、今の融資決定ということには、相當の權威ずけられた結果だと、こういう風に考えております。それから二番目の御質問の事業計畫の中には、資材なり或いは運轉資金の所要量というものが一應闇價格ではいつておるのじやないか、こういう御質問であつたと思います。これは設備關係の色々所要資金と、これは例の資金調整委員會の審査委員會資金調整法關係の審査委員會、これによつて先ずその設備が妥當であるかどうかということを審査する譯でございます。そのときの金額は、原則といたしまして一應マル公でなくちやならんと、こういう建前を取つております。實際今まででてきますものも、大體においてマル公によつての計算ということになつております。所が實際問題といたしましてはマル公で設備するということは到底できません。從いまして所要資金のほかに多額の資金を要しますか、或いはその計畫いたしましたものを或る程度縮小して實行せなくちやならんとか、そういつたような問題がそこに當然起きてくると思います。この點は我々金融いたします者の立場といたしましては、そういう實情を知りながら、而もそういう判断をさせなくちやならんと、こういう甚だ矛盾した立場に立つております。併しながら金融機關の中、少なくとも復金の立場といたしましては、今の政府の堅持しておられます物價體系というもの、これは一應側面的にも支持せなくちやならんという建前で、己むを得ずそういう態度を今でも取つておる次第でございます。これは運轉資金につきましても同様なことが言える譯でございまして、一例を取りますれば、最近の支拂人件費で、非常に各企業とも政府の基準賃金通りに拂つておるものは殆んどございません。從いまして赤字資金或いは増加運轉資金というものの査定を我々がいたします際にも、企業が赤字で經營しておりながら、基準賃金以上のものを支拂うということは、どうしても我々として認められませんので、金繰り全體を査定いたしましときには、一應基準賃金まで落しまして、從つて所要運轉資金というものをかなり削減いたしまして査定いたします。併しながら、所で、三ケ月なり半年なりという將來の生産見込、又金繰りの見通しというものが一應つきまして、現在は赤字であるけれども、併し二ケ月先には増産によつてその赤字を埋めて行く、こういつた見透しができます場合には、基準賃金以上のものでも、これは生産によつて増産によつて裏付けられたものであるということで、一應これは認める、こういう方針を取つております。  それから第三番目の監査の問題でございますが、これはこの前の國會でもいろいろ御注意がありましたし、復金といたしましては、當然にそういう仕事もやらなくちやなりません。御承知のように昨年八月から監査部を設けまして、貸出後の企業の實態について監査いたしております。その方法といたしましては、一應一般的な監査と特定的な監査、こういう二つに分けております。一般的な監査と申しますのは、例えば、六月、十二月、或いは三月、九月といつたような期の事業の決算承認、或いはその當期間における生産實績内容の檢討、こういつたものも地域的にやるのでございます。勿論全取引についてこれをやらなくちやならぬわけでありまして、何分にも今の復金状態から行きまして、到底そこまで手が廻り切れません。監査部といたしましても、只今部長以下二十名見當しかおりません。これで今復金取引先全體といたしまして、取引個數から申し上げますと、六千くらいあつたと思います。それだけはとても眼が届きません。結局今のところでは特定的な監査、或る會社の特定的なその會社資金使途について重點的に監査する。或いは工事の進捗状況について監査いたしますとか、經理内容について監査いたしますとか、とにかくその一つ乃至全部をやるとか、そういつたことで實際的に監査をやつております。今のところ監査の手掛けましたものとしては約五十社ほどございます。先程申上げました自動車會社三社、これも最初から非常に赤字金融が當然續いているものといつたような、金融といたしましては變態的なものでございますので、日産、トヨダ、ヂーゼル三社についていろいろ監査いたしまして、復興金融委員會にも報告しておる状況でございます。もう少し監査部の人員が充實いたしますれば、或る程度監査の實績が挙つて來るのじやないか、こういう見解でいたしております。  それから第四番目のお尋ねの企業が貸出後に物價體系の改訂或いはその後のインフレーシヨンの進行によりまして、設備資金によりますれば値増し、或いは運轉資金關係では増加運轉資金といつたようなこういうものが生じて來るだろうと思うが、それについて實際必要な融資をしておるかどうか、その反對の場合にはどうか、こういうお尋ねでございましたが、これはその通りでございます。例えば漁船建造なんかにいたしましても、インフレーシヨンの進行に從いましてどんどん船價が上つて参ります。これは一應採算船價といつたものを認める範囲内では實情己むを得ないのでございまして、値増しも貸しておりますし、或いはその他の企業における生産増加に伴う運轉資金というものも貸しております。ただ値が下つたもの、或いは運轉資金を縮小してもその企業が維持して行ける、こういつたものは只今のところ餘りございません。例えば土建關係のものにいたしますと、これは運轉資金が小量で宜いからと、こういう意味で引下げておるのではございませんで、例えば安本なんかで立てます資金計畫、この中にも段々資金の所要量が大きくなりますに從つて、業種として選擇して行かなくちや、全般の事業融資できない。そういうような條件もございまして、金庫融資の方針から、今期はこの事業を取上げない、今後運轉資金、そういつたものを融資しない、こういつた方針に基きまして、例えば土建事業なんかには運轉資金回收方向に轉ずる、こういう意味で回收をしておるのでございまして、その實情は、非常に運轉資金増加いたしておりますけれども、止むを得ず新規貸出もやらず、回收に轉ずる、こういうことでございまして、運轉資金が少くても宜いからという意味から回收をしておるのではございません。  第五番目の復金貸出が果して生産コストの上、或いは生産量の上にどのくらい影響しておるか。この點につきましては、私ここでちよつと申上げることができません。或いは調べまして或る程度の影響というものが計數的に出て参りますれば、次會にでも御報告申上げたいと考えます。
  16. 岩木哲夫

    ○岩木哲夫君 まだお尋ねいたしたいこともありますが、ちよつと據ん所ないとこで、又次會に再質問します。
  17. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) まだもう一遍來て頂いて、いろいろお尋ね願いたいと思いますから、一つ御準備を願つて置きまして、何か調べて貰う御注文があれば、この際御注文願つて置けば、便利かと思いますが……。
  18. 尾形六郎兵衞

    ○尾形六郎兵衞君 只今ちよつと漁船建造の話もありましたが、實はこの間、水産常任委員會復金の漁船建造貸付の調べを貰いたいということを言つておる。その大なる理由は、政府の決めました三十三萬トンの漁船計畫で漁船はお蔭様で大分できました。殘念ながら大きい會社とか或いは新興會社等が澤山船を造つてしまつて、全國に點在する長年水産業をやつた人々は船を造り得なかつた。こういう状態になつておる。これは非常に復金から金を借りますのに、書類の整備、手續が非常に面倒で、一般の漁業家というものは金融のスタッフは持つておりませんので、その手續ができ兼ねたということがこういう結果を私は招來したと思います。それで現在の状況では、今日の民主化ということには逆の状態を來しておるのであります。殊に「かつお」船のごときは、船があれば漁業できるものでなく、乗組員が全部「かつお」を釣る技術者でなければ、漁ができない。從つて船のみ持つてつた人は、船價は上つておるかも知れませんが、漁業能率は私は挙つていないと思う。 それで大體私等も復金から融資して貰いましたのですが、これは主として戰前持つておりました漁船が戰爭のために犠牲になつた復活船で、その他の人人も戰爭中犠牲を拂つて、船は沈没したが、船を現在持てないような状態になつております。こういう状態を何とか復活させる方法はないものか。私は水産局も非常に不親切だと思いますが、融資の手續でも教えまする新設備とか何とかいうものを置きまして、漁業家を指導すれば宜かつたと思つておりますが、そういう點につきましても復金の方からも農林省に向つてお話合になつて頂きたいと思います。今後私は、これはお願いでありますが、どうぞ一般の漁業家で戰前に船を持つてつた人のものは特別に取扱をして頂きまして、成るべく復活さして貰いたい、こう思つております。尚このことは水産常任委員會で相當にみんな調べて見たいと言つておりますので、そういうことが今後あると思いますから、その方の御準備をお願いいたしたい。
  19. 玉屋喜章

    ○玉屋喜章君 最前のお話は中小工業には約九%、件數は八十二%、こういうお話でございましたが、これは五百万圓未滿の貸付の九%ですか。又總貸出金の九%でございまようか。
  20. 湊守篤

    説明員湊守篤君) これは一般産業公團を除きますところの、一般産業全體の貸出總額の中で、五百萬圓の中の占める割合が九%というふうに申上げて置きましたが……。
  21. 玉屋喜章

    ○玉屋喜章君 そうしますと、五百萬未滿の貸付は直接本店から貸しましたのが、又興銀、勸銀の各地方の代理店から貸出すのでしようか。
  22. 湊守篤

    説明員湊守篤君) 全部含まつております。
  23. 玉屋喜章

    ○玉屋喜章君 そうすると興銀、勸銀の代理店貸付については、興銀、勸銀を經て貸付けたものは、興銀、勸銀がその支拂についての保證がありますか、ありますまいか。
  24. 湊守篤

    説明員湊守篤君) 興業銀行なり勸業銀行なりが復金に對して取扱つたものに對して保證するということですか。
  25. 玉屋喜章

    ○玉屋喜章君 そうです。
  26. 湊守篤

    説明員湊守篤君) それはございません。それは代理店としてやつておりますから、從つて興銀の支店なり勸銀の支店なりが、それ自身が復金融資を取扱つております。從つて保證という問題はございません。
  27. 玉屋喜章

    ○玉屋喜章君 若し回收不能になつたら、貸付けた興銀、勸銀の支店は責任がなくて、復興金庫の損失に歸するのですか。
  28. 湊守篤

    説明員湊守篤君) さようでございます。
  29. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 今日はこの程度にして頂いて、主計局から説明をして頂きたいのですが、また開きますから、その時にお譲りになつたらとうでしようか。時間がなるなるので……。よろしうございますか。それでは復金の方は今日はこの程度一つこの次にお譲りを願いたいと思うのでございます。御苦勞様でした。  この場合公報には載せていなかつたのでありますが、大分迫つておるようでありまして、こちらに豫備審査のために出ております政府職員に對しまする一時手當にことにつきまして、主計局長が見えておりますから、この場合一應の説明を聞いておいたらどうかと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  30. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 御異議ないと認めます。それでは一つ主計局長から御説明を願いたいと思います。
  31. 福田赳夫

    政府委員(福田赳夫君) 本日お聴き取りをお願いいたしたいのは、政府職員に對する一時手當の支給に關する法律案と、それからもう一つ昭和二十二年法律第百七十號(大藏省預金部特別會計、國有鐵道事業特會計、通信事業特別會計竝びに簡易生命保險及郵便年金特別會計保險勘定及び年金勘定昭和二十二年度における歳入不足補填のための一般會計からする繰入金に關する法律)の一部を改正する法律案、この二つであります、前の方の政府職員に對する一時手當の支給に關する法律案は、先般一月末におきまして、豫算案と同時に議會の方に提出になつておるのであります。それから後の方の昭和二十二年の法律第百七十號の一部を訂正する法律案は、これ又同時に政府はこれを國會に提出いたしておるのでありまするが、これにつきましては、その後の情勢の變化に伴いまして、明日これが修正案を提出する豫定となつておるのであります。この修正案の方につきましては、書類を以ちまして御覧を願うと非常に好都合でありますが、まだその手續がされてないというので、事務局の方でこれが配布を許しませんので誠に恐縮に存じておるのであります。この二つの法律案とも例の〇・八の豫算に關連するのであります。昨年の暮におきまして全遞職員組合の提訴に對しまして、中央勞働委員會におきまして、政府職員の生活補給金は二・八ヶ月を拂うべし、かような裁定があつたのであります。御承知の通りであります。それに對しまして、政府はこの裁定を極力尊重するという趣旨から、昨年末におきまして二ヶ月分を支拂いまして、殘りの〇・八の分につきましては、一月の議會休會明け劈頭に豫算案竝びに法律案を提出するとい計畫でおりましたところ、なかなかその豫算案の方が手間取りまして、豫算案は一月二十九日にこれを國會に提出するというふうに相成つたわけであります。この豫算案におきましては、政府職員の一時手當〇・八ヶ月分の豫算額三十三億九千六百萬圓でありまするが、その外更に船舶運營會補助の不足六億圓、それから復員費の不足一億六千三百萬圓、合計いたしまして四十一億五千九百萬圓というふうになつてつたのであります。その財源といたしまして、鐵道旅客の運賃の引上げ十九億九千四百萬圓、通信料金の引上げ七億圓、その他雑收入を見込みまして、それから節約等も考えまして、四十一億五千九百萬圓の財源を捻出しておつたのでありますが、この中鐵道運賃の引上げ竝びに通信料金の引上げにつきまして、衆議院の方で異論がありまして今日に至つておるわけであります。政府といたしましては、まだ正式に豫算案を提出いたす段階に至つておらないのでありまするが、恐らく明日はこの豫算案を提出し得るというふうに考えておるのであります。その豫算案は只今申上げました四十一億五千九百萬圓の中、三十三億九千六百萬圓、即ち〇・八の生活補給金だけを摘出いたしまして、その財源といたしましては、鐵道運賃、通信料金の兩者の引上げ、これを取止めまして、その他雑收入竝びに歳出の節約を財源といたしましてこれを賄うというふうな恰好に直したものを考えておるのであります。 これを關連いたしまして、只今議會の方に提出になつておりまするところの、先程の昭和二十二年法律第百七十號の一部を改正する法律案、これが若干修正に相成るというわけであります。それから政府職員に對する一時手當の支給に關する法律案、これは先般提出いたしました通りのものであります。先ずこの政府職員に對する一時手當の支給に關する法律案、お手許にあるかと存ずるのでありまするが、ちよつと讀んで見ます。   「政府は、昭和二十二年十二月二十日に現に在職していた官吏、官吏の待遇を受ける  者、嘱託員、雇員、傭人及び工員であつて、常時勤務に服する者に對し、その者の受け  る給與の月額の八割以内に相當する金額を一時手當として支給する。   前項の規定による一時手當の支給の基礎となる給與、支給割合及び同項の一時手當の  支給手續に關し必要な事項は、政令で、これを定める。     附 則   この法律は、公布の日から、これを施行する。」 かようになつておるのであります。即ち〇・八の給與は、昭和二十二年十二月二十日に現に在職しておつた官吏に對して支給するのであります。これ以後において就職いたした官吏に對しては、本給與は支給いたさないのであります。それから給與の月額の八割以内、〇・八と申しますか、八割以内であります。即ち極く最近就職いたしたというような者に對しては多少の割引を考えておるのであります。さような意味合を持ちまして、八割以内というふうにしておるのであります。その八割以内というのをどういうふうにするかというようなことは、政令でこれを定めるというふうに考えておるのであります。大體政令として考えておる豫定のものは、二十二年一月から三月までに採用した者については、〇・八の割の八割、四月から七月までの間に就職いたしました者に對しては〇・八の金額の六割、八月から十月までの間に就職いたしました者に對しては同じく四割、十一月以降に就職した者に對しましては二割、かようなことを考えておるわけであります。地域差等は付けませんで、全國平均一律に計算いたすわけであります。  それから昭和二十二年法律第百七十號の一部を改正する法律案、これは只今申し上げました通り、今回の〇・八の豫算案は合計いたしまして、三十三億九千六百萬圓というふうになるのであります。その三十三億九千六百萬の中、一般會計職員に對する一時手當が四億七千四百萬圓、それから地方公共團體の補助職員に對する分が三千九百餘萬圓地方警察職員に對する分が九千五百餘萬圓、義務教育職員に對する分が二億三千八百萬圓となるのであります。これが一般會計の分でありまするが、その他におきまして大藏省預金部特別會計、厚生保險特別會計、それから農業共濟再保險特別會計國有鐵道事業、特別會計、通信事業、特別會計、簡易生命保險、郵便年金特別會計、この各特別會計につきましては、その特別會計所属の職員の給與を支拂う豫算がないのでありまして、これを一般會計から繰入れしようということにいたすのであります。昭和二十二年法律第百七十號、即ち前回の二ヶ月分の際に同様の措置を採つたのでありまするが、その同様の措置を採つた繰入れの額に對しまして、今回新たに増加繰入れを要する金額を加えまして、この法律第百七十號というものをその額だけ修正せんと、かような計畫となつておるのであります。大體申上げますればさようなことであります。
  32. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) これは貸付けですか。やはり返すようになつておるのですか、特別會計は……。
  33. 福田赳夫

    政府委員(福田赳夫君) これは返還です。元の法律では貸付というわけではないのです。繰り戻しをしなければならないことになつております。
  34. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 會計がよくなれば返す。收支が償つて行くようになればこちらへ返して來るということがあるのですね。
  35. 福田赳夫

    政府委員(福田赳夫君) さようでございます。
  36. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 別にお尋ねございませんか。それでは今日はこれにて閉會いたします。    午後三時五十七分散會  出席者は左の通り。    委員長     黒田 英雄君    理事            森下 政一君            岩木 哲夫君            伊藤 保平君    委員            下條 恭兵君            玉屋 喜章君            松嶋 喜作君            山田 佐一君           尾形六郎兵衞君            田口政五郎君            石川 準吉君            九鬼紋十郎君            小宮山常吉君            高橋龍太郎君            渡邊 甚吉君   政府委員    (主計局長)    大藏事務官   福田 赳夫君   説明員    復興金融金庫融    資部長     密田 博孝君    復興金融金庫石    炭金融部長   湊  守篤君    復興金融金庫總    務部次長    守山 義隆君    復興金融金庫總    務部次長    網野 貞雄君