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1948-05-27 第2回国会 参議院 財政及び金融・労働連合委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和二十三年五月二十七日(木曜日)   —————————————   本日の会議に付した事件 ○政府職員の新給與実施に関する法律  案(内閣送付)   —————————————    午後一時四十一分開会
  2. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) これより財政及び金融労働連合委員会を開会いたします。中西功君。
  3. 中西功

    中西功君 今までこの法案については、政府委員の人に詳細な質問をして來たわけでありますが、その結論として大蔵大臣に少し質問しておきたいと思います。第一の点は、この法案はこれは大藏大臣御存じのように、政府職員側といろいろ協定された事項とは相当食い違つておる、詳細な点は申しませんが、兎も角非常に沢山食い違つておる。この食い違つておるということを法案化して、政府がここに出しておるという問題であります。これはいろいろの点から考えられるわけでありますが、全官公という大きな争議がありまして、そういうふうな大きな問題であつて、そうして兎も門も最後に二千九百二十円の問題についての或る種の妥協点ができて、そうしてそれを法律案にして出すということを、政府は約束されて來ておるわけであります。ところが、そういうふうな妥結点に達しておきながら、見られますように非常にその間に食い違いがあるわけであります。これは、こういう点政府自身は一体どんなふうにお考えなのか。曾て実は臨時給與委員会で新ベースを決めて、そうして一回も職員側團体交渉をしなくて、政府法律第十二号という形で議会に出して、それを政府職員側に押付けたというふうなことが、あの官公廳争議を非常に悪化せしめたということは事実だと思うのであります。ところがこの度は折角纏つておりながら、而も纏つておるものを法案化するときに、こういうふうな状態で出して來て、従がつて又その結果非常に廣汎官公廳職員の不満を買つておる。こういうふうな点は一々手違いが起つておるのだと思うのです。これについては政府誠意だけの問題ではなく、もう一つの問題があると思います。でありますから、そういう点についても大蔵大臣はどういうふうにお考えなのか、ここではつきり答弁して頂きたいと思つております。要約いたしますれば、この質問では、第一はこういうふうな食い違いに至つておる政府誠意の問題、これを大藏大臣はどうお考えになつておるか、はつきり答弁して頂きたいと思います。
  4. 北村徳太郎

    國務大臣北村徳太郎君) 中西君にお答え申上げます。食違いがあるというのは、食違いはございません。少しも食違いはございません。ただ一、二項或る條項の中に、必要があつて折衝中に加えることを妥当と考えた点を加えただけでありまして、その他仰しやるような食違いはございません。又政府がこれを押付けたというお言葉がございましたけれども、さようなこともございません。この点御了承願いたいと思います。
  5. 中西功

    中西功君 食い違いはないと言われましたが、ただ小さい点で妥当と思つたものを挿入したというようなお話でありますが、これは食い違いがないと言い切れるような、そういう些少ないわゆる挿入ではないと思います。これは少くとも第一條に関しては非常に大きな差であります。大藏大臣として問題を胡麻化すというふうな二とでないならば、もつと私は誠意を以て答えて貰いたいと思うのであります。この点に関しては今井給與局長が、これははつきりと大きな食い違いであると、この前の委員会答弁しておるのであります。僕はそういう意味で、大藏大臣が言つておる言葉もここではつきりと取消して貰いたいと思います。
  6. 今井一男

    政府委員今井一男君) この一條の二項三項のことをお指しになつておるのだろうと思いますが、これが組合側と團対交渉をいたしました際の要綱の中に入つておらなかつたことは御指摘の通わでございます。ただ國家公務員法というものがすでに國会の議決を経まして公布せられ、施行が本年の七月からと、こう確定せられている建前と結び付けまして、関係方面との折衝の際に、それに関するま意を喚起されまして、その面からの解釈として入れられましたのでありまして、從いまして、その團体交渉の際決まつたことは事実でございますが、國家公務員法建前ということを中心考えますというと、政府もこれを挿入することは適当である、相当であると、かように判断したことを御了承願いたいと思います。
  7. 中西功

    中西功君 今井給與局長説明もありますが、実際においてこの政府職員の新給與実施に関する法律案は、明らかに二千九百二十円ベースにおいての実施なんです。まあ直接には四百二十円の支給なんです。そういうふうなものは、今度新らしい他のベースが來れば、これは又新らしい法律となつて変るということは、これはもう給與局長自身が何回も言つていると思います。而も新らしいベースの問題は、政府自身が今日でもすでにいろいろ新聞にも発表しておるし、決定的なものではないと思いますが、まあ或る種の情報として発表されておる。そうして又これは組合側の意向でもあり、又我々のこの前、法第十二号並びに予算を審議したときの大体の了解におきましても、この二千九百二十円のこの問題は一月から三月までというふうな了解でありました。まあ政府としては、これは二月から新らしい二千九百二十円をオーバーする新ベース実施されるまでと、この両者の間に食い違いはともかくあるといたしましても、そういう共通した理解を持つている、と思うのです。從つてそういうふうな点を考えますれば、これをわざわざ延長して昭和二十三年十二月三十一日というふうなところまで及ぼすということが、全寮これは組合側との協定を遥かに超えるものであるというふうなこともはつきり言えると思うのです。又これには第三項も同じような意において非常にこれは無理に引延ばしておるという点は、もうはつきりしておると思います。その他いろいろありましようけれども、ともかくも、そういう点は政府組合側との協定を超えている。そうして非常にとにかく引延ばされて超えているということが言えると思う。ですから食い違いがないというふうなことは簡單には決して言えない。非常に食い違いがある。食い違いがあるが故に、これは大藏大臣御存じのように、組合側としてはこの法律に対しては異議があるということをはつきり政府側意思表示をしていると思うのです。そういうときに現実政府組合側との間で意見が一致しなくて、この法案上程ということになつているわけです。両者の間に大きなこの食い違いがあるということは、これは認めなければならんと思います。もう一度大藏大臣に聞きますが、これを認めるのか認めないのか。
  8. 北村徳太郎

    國務大臣北村徳太郎君) 大きな食い違いとおつしやるのは國家公務員法に関する事項を挿入したという点だけ私理解しておるのでありまして、これは今井給與局長から申上げましただけの事情でありまして、これは大きいか小さいかということは各々見方の問題でありますけれども、その点だけは必ずしも労働組合側要求ではなかつたと、別の意味において、只今今井給與局長が申上げた通り事情で挿入したのであります。それから二千九百二十円ベースは一月から三月までの暫定的のものであることを未だ曾て政府から申上げたことはございません。これは一應決まりました二千九百二十円ベースが、どこまで実際できるかということは無論分りませんが、新らしい給與ができるまでの間のものでありまして、四月から必ず変るであろうとか、或いはこれは三月までの分であるというようなことを曾て申上げたことはないのでありまして、その点は御了承願いたいと思います。
  9. 中西功

    中西功君 さつき國家公務員法を挿入した云んということがありますが、第一條第二項の「この法律のすべての規定は、昭和二十三年十二月三十一日限り、その効力を失うものとする。」と書いてありますが、十二月三十一日というのは、何かそれじや國家公務員法にこういうことが書いてあるのでしようか。
  10. 今井一男

    政府委員今井一男君) この点は、こういう條文が入ることになりました沿革を申上げた方が御了解願えるのではないかと思うので延あります。この法律全体が御指摘のように二千九百二十円だけを規定したものであることはこれは明瞭であります。併しながらこの中の実体的の規定の中には、或いはその実質が後のベースになりましても生きて行くものもあることは想像されます。で、特に十二月三十一日という日にちを延べました一番の考え方は、新給與実施本部地域給審議会、新粉典苦情処理委員会、こういつたものが、実はベースが変りましても或る程度延べて行かなければなるまい、併しながらこういろ間に合せ的な機関というなのが治そういつまでも間に合せのものが延びることは適当でないといつた見地から、殊にこの三つ機関中心といたしまして、十二月三十一日という文句が入れられたのが眞相でございます。もう少し早く、廃められればこの機関はそれぞれ廃めたい、又廃めるのが相当でありますが、苦情を処理する関係から若干引き延ばされる面がある。まあ半歳ぐらいは掛るのじやないかといつたとろから、半歳ということを目安に置きまして、十二月三十一日ということが出たのが眞相でございます。
  11. 中西功

    中西功君 それで、さつき説明にあります通りに十二月三十一日までということは、勿論國家公務員法云々関係のないことだと思うのです。そういう意味においても、さつき大藏大臣説明は間違つておると思います。そうしてこの問題について結論的なことを聞きますれば、要するに大きいか小さいかという、そういうふうなことは、それはまあ主観的にどうにでもなるでしよう。併し問題は、一縣組合側と今まで協定をして、そうして円満に作り上げたものを法案化する場合に、政府が一方的にこういうふうに変えてしまうというふうなことが、政府の信義として、とにかく誠意を持つた政府のやることかやらないことかということだけをはつきり聞きたいと思います。
  12. 北村徳太郎

    國務大臣北村徳太郎君) これはさつき答弁申上げた通りでありまして、政府は勿論誠意を以てやつておることに間違いはないのでありますが、占領下にあるという事実はこれは御了解を願いたい。この点はさように御理解願うことの外、私より以上の説明を申上げるより外できません。
  13. 中西功

    中西功君 ですから、そういうふうな幾ら誠意を欠いたことをしても、そういう特殊な事情を口実にして、そうして逃げて行くというふうなことになれば、それこそもつと私は誠意を欠くと思うのです。もつと政治を冒涜すると思うのです。そうお思いになりませんですか。
  14. 北村徳太郎

    國務大臣北村徳太郎君) 中西君のお言葉でございますが、誠意を欠いたというような表現で、まあ政府のとつた態度がいけないと、こうおつしやるのですが、誠意を欠いたということは一体具体的にどういうことでありますか。我々はこの法案を作るに当つて誠心誠意これに当りました。ただ占領下にあるという事実から、或る示唆があつてこれに從つたというだけのことでありまして、これを以て誠意を欠いたというような表現をお取りになるということは、私としては甚だ了解に苦しむところであります。
  15. 中西功

    中西功君 それじや別のもう二つの問題をお聽きいたしますが、現在政府は新給與の問題で、新給與委員会官公廳側発足させようとしております。この詳しい経緯を私ここで申述べませんが、その中に調停委員会というものがあつて、その調停委員会性質がどんなものかということを中心にして、この新給與委員会が未だに、正式に発足しない、或いは困難になつておるという状態があると思います。で組合側としては、この調停委員会なるものがいわゆる紛争処理機関ではなかろうかという疑惑があります。從つてそれについての性質を確かめておる。政府側としても今井給與局長有田次官が出て、それはそういうものではない、こう言われておる。又この前、私はここで聽いたときにも、今井給與局長は、紛争処理機関とは違う、こう申されましたが、それならば、そういうふうに文書に書いて呉れ、こういうふうに組合側要求したときに、有田次官は、それは困る治こう言われたのであります。これが一つ。更に宮公聽の新給與問題は、恐らく今の政府が立案されておる予算問題の基本を成す予算ベース人件費ベースの問題だと思うのです。そういう問題は成るべく早く解決して置かなければ、これは予算さえ組めないわけだと思うのです。ところが、この新給與委員会に対しては、どの大臣も出ていなくて、殆んどいわゆる事務系統の人に委せ切つておる。そうして組合側大臣の出席を要求しても殆んど出ていない。こういうふうな状態があつて整備委員会自身も非常に発足が遅れておる。從つてこういうふうに行きますと、結局は組合側としては、このままずるずると二千九百二十円ベースで引きずられてしまう。そうして又あと予算が決まつてしまつてから、再び又あのような労働闘争をしなければならん。こういうふうな状態になると思うのであります。私は大臣が、或いは政府が、実際本当にこの問題で、もつとよくやろうという誠意があれば、当然大臣自身責任のある人がもつと出て、この新給與委員会を早く発足さぜて、少くとも予算上程までには、組合側との間に大体の了解を得るというふうな氣持でなければならんと思うのに、現実はその運であります。こういう事情は、政府はこの問題に対してどんな態度を取つておるかということをお聽きしたいのであります。
  16. 今井一男

    政府委員今井一男君) 事務的な交渉経過だけを前に若干御報告申上げて置きますが、全官公の方から新給與委員会要求がございまして、政府としてもこれを承認と申しますか、受けて立つことに方針が閣議において決出されました。ただその決定に基きまして、一應政府側から三つ條件を提示したのであります。調停委員会もその中の一つでございます。調停委員会はおつしやる通り、決して紛争処理機関ではございません。法律的な拘束力を持つておりません。組合側からはそれを文書の形において一札欲しいという要望があつたのでありますが、その要望自身は勿論筋の通つた要望考えますけれども、そういうことをいたしますと、前の外の二つ條件につきましても、問題をはつきりさせなければならん。そういつたことが却つて委員会発足を遅らすことになりはしないか。組合側の都合の好いことだけは問題をはつきりさして、政府ばかりそういうことをやつて政府側はつきりさして欲しいことは、組合側は書かない、こういう場面の展開される處れが多分にございましたので、そこで、これは議事録に留める程度でやろうじやないか、こういつた話合いをしたところが、組合側の了承を得るに至らず、まだその問題は未解決になつておるのか眞相でございます。
  17. 中西功

    中西功君 今井給與局長に聽きますが、責任ある人が出て、これをもつと早く解決しろというような要求は、組合側は出していませんわけですね、直接には……。
  18. 今井一男

    政府委員今井一男君) 出しておりません。
  19. 中西功

    中西功君 それは出しておつても、出しておらなくともいいのです。私は私として害うわけでありますが、この新給與委員会を急速に発足させるというのが、政府了解事項といいますか、争議解決了解事項の中にも一應約束しておると思います。そうしてもう実際に政府自身の今の理解の仕方では、二千九百二十円ベースは、一月から三月ではなくて、一月一日から新らしいベース決定するまでというわけなんでありまして、新給與委員会が早く発足して、早く新ベースを決めた方が組合側に取つては得であります。或る場合にはぐずぐずして延ばして置いた方が、政府側に得かも知れません。それは二縣別といたしましても、私はそういうふうに、若し組合側理解するように、この二千九百二十円ベースが一月から三月までのベースである、こういうようにはつきり理解して、更に四月以降は、たといこの新ベース決定されても、遡つて新らしいもので給與するということになつておれば、これはもう政府が少た時期を遅らそうど、或いは決定の時期を遅らそうと、それは組合側に取つては大したそういう疑惑も招かないと思うのであります。併し実際には政府自身組合側と全く違つて、そういうような理解をしておる結果、同時に又即ちここについてもいわゆる食い違いがあります結果、そういうような新給與委員会を早く開く開かんということさえも、又紛争の種になつておると思うのであります。そうして我々から見ておると、恰かも政府はそういうちよつとしたことで、即ち文書で書けとかいうことを書かんというふうなことで、これを延ばしておるばかりじやなくて、争議解決のときには相当責任ある大臣が出ておるのに今度の場合には一向出ていない。そろして何かとにかく見比べておるというふうなところがはつきり窺われると思うのであります。こういう点は非常に遺憾に思うわけでありますが、大藏大臣として、今度本予算を出されますが、まあその本予算ベースが幾らか、一悪決まつておると思います。それで今度は一應國会承認を得て置いて、そうして組合側に大体今度はそれを呑ませろという恰好にならざるを得ないだろうと思うのでありますが、こういうふうな仕方で行けば、折角四月から早速新給與委員会を開いて、組合側政府の間で妥結しようとしておるのに、結局再び押しつけざるを得ないような状態になると思うのであります。こういう問題に対して大藏大臣はどう考えておるかお聽きしたいと思います。
  20. 北村徳太郎

    國務大臣北村徳太郎君) 新給與委員会において、給與に関する研究、或いはその他の促進を願つておるのでありますが、予算関係は、その結果を待つてそれから予算を編成するわけには参りませんので、予算予算として、物價情勢その他を勘案いたしまして、大体の見当を付けて人件費を盛つておる、こういう形に相成つておるわけであります。
  21. 中西功

    中西功君 それから最後に、もう一つお聞きしておきたいことは、最近紛争処理機関の問題が非常に紛争しておることは御存じ通りだと思いますので、これを今法的に設立するのではなくして、個々労働争議が起つております場合に、新しい賃金契約の中に、或いは國体契約の中に、紛争処理機関を織り込ませるというのが今非常に流行つております。これは労資双方の間でこれを決める場合ならば、これはまあ私双方の合意でありますから、敢て我々のここで問題にするところではないかとも思いますが、現実にはそうではなくして、この中に政府がこれこそ深く関與して、そうしてその関與の仕方ですね、勿論いろいろの方法がありますが、永谷商工大臣なんかははつきりと、若し組合側がこの紛争処理機関を呑まなければ融資をしない、こういつております。即ち復興金融金庫融資やその他の問題が、政府から支出するものがそういう條件として付けられておる労働組合側は現在この紛争処理機関團体契約賃金契約の中に入れることに対して極力反対しているのでありますが、併しそれでは政府として融資をしてやらんと、こうはつきり申しております。これは確か私はつきりと聞きませんでしたが、一昨日かの労働委員会における水谷商工大臣答弁にも、そういうはつきりした答弁がめつた。政府はそうしておるというような答弁があつたと私は聞いております。ところで、これは第一回國会の話でありますが、私が以前やはり財政金融委員会でこの問題を質問いたしましたときに、政府としては、そういう融資を政治的な目的、或いは又そういう特別の目的のためには絶対に使用しない。即ちそういう條件は付けない、又付けるべき、ものではないというふうな、これは飽く主でも融資はそんなことじやなくして、実際に生産に役立つか役立たぬかというふうな、生産復興に役立つか役立たぬかが、これが基本問題であるというようなことで、絶対そういうことはいたしませんと、これは私ははつきり聞いておる。又速記録にもそう書いてあります。ところが現実には、政府自身が今日は非常にもう公然とそうやつておるわけであります。いつ、こういう方針の変化があつたのか、若し詳しく、例えば復興金融委員会でこういうふうに決定しておるということならば、そういう点を我々に、話して貰いたいのであります。
  22. 北村徳太郎

    國務大臣北村徳太郎君) 紛争処理機関のことについてお話があつたのでありますが、私はこの問題をもう少し本質に触れて考えてみたいと思うのであります。軍にそういう機関が妥当であるとかないとかではなくして、日本現状において紛争がしばしば継続されて、そうしてこういう状態で進むのがいいか悪いかというふうなことについて、政府は非常に憂慮しております。從いまして何とかして紛争をなくしたい。企業労働との関係において、今までのようなときには、どうも非常にはつきりした労働争議と認めにくいような争議さえ起つておる。かような状態を脱却せしめるためには、紛争処理機関は極めて必要である。こういうふうに考えておるのであります。そこで先ず第一に本質的に申したいことは、紛争処理機関に掛けるような紛争をなからしめるということか、実は一番大事な問題であると思うでありますが、このことは私は日本現状において特に重大である、かように考えております。從いまして政府方針として、できれば紛争処理機関において直ちにストに入るということをなからしめて、もう少しゆとりのある、お互いに相談ずくで、纏めるものならば纏めるというようなことになることが、國民全対のために幸福である。恐らくこの点においては共産党の中西君と雅も御反対はなかろうと思うのであります。さような意味のものでありますから、これは成るべくそういうようなものが普及するように、又労働協約においてもそれを入れたい、こういうことを思つておることを率直に申上げておきます。  それから水谷商工大臣がどう申したか存じませんが、私はやはりその心持か分るのであります。ということは、これは例えば今具体的にお話がありましたが、復興金融金庫において融通しないといつたこと、これは復興金融金庫でそういう方法を採つておるかどうか、私全然存じませんけれども、企業に対して、苟くも國民の、政府出資であるところの復興金融金庫が金を出すという以上は、それが有効適切に使われなければならん、日本経済復興のために、適当に使われなければならんということは申すまでもないのであります。然るに個々企業において紛争から紛争へということがあつては、これは折角國民全体の油汗ともいうべき金融を注ぎ込んだものが、これが有効に使われると思えない。さような観点から、これは苟くも金融する以上、私は金融責任としてそういうようなことをなからしめたいというような意味において、水谷君がそういう言葉を使われたのだろうと私は思うのでありまして、この点は本質的な問題として御考慮を願いたい、かように思うのであります。
  23. 中西功

    中西功君 そうしますと、紛争処理機関を今後どしどし設置して行くというのが、政府方針であるということが一つ言い得ることと、更に復興金融委員会とかそういう所で、紛争処理機関を設けたければ融資をしないというふうなことを若し決定しておるとすれば、それは大藏大臣として正しいと思うというふうに言われたと私理解してよろしいでしようか。
  24. 北村徳太郎

    國務大臣北村徳太郎君) 私はそうは申してない、復興金融委員会においてどう決めたか、そういうことは存じませんと申上げた。ただ政府方針としては、紛争をなからしめたり、労働のトラブルを何とか、してなくしたい。かような観点から紛争処理機関というものはできれば願わしい、こういうように思つておるだけで、ただ、それだけでありまして、復興金融金庫は私の方の所管でありますけれども、これは普通の金融機関でなく、政府出資が主として活動の源泉になつておるのでありまして、かような政府出資の金を以て日本経済復興のために当るというような機関において、その投資したものが、これがどうも労働不安の情勢から、所期の目的を達しないということがあつてはならんという観点から、紛争処理機関というもののできることを望むということは当然だし、紛争をなからしめたいという願いを持つことも当然だし、從つてそういう方向に行くことが、妥当であると私は思つております。併しながら政府方針で、今後紛争処理機関を設けなければ金を貸さないとか、そんな乱暴なことを考えておるわけじやなく、私の心持を申し上げたのであります。そういうふうにありたい、こういう私の氣持を申上げたのでありますから、そういう意味で御理解を願いたいと思います。
  25. 中西功

    中西功君 非常に答弁が曖昧になるのでありますが、第一、大藏大臣は、紛争処理機関というものを一体どう考えておられるのかさえ私聽きたい。紛争処理機関が今問題になつておるのは、單に紛争解決するというふうな常識的な意味で問題になつておるならば、或いはこれによつて紛争を本当に処理する、これで解決して行くのだと、そういうものであるならば、私は問題にならんと思う。むしろこの紛争処理機関紛争製造機関なんです。即ち今まで労働者が得ておつた罷業権や或いはその他の種々の特権を剥奪して、從つて労働者側としては、却つてこういう機関を作ろうとする政府や或いは資本家側のこのやり方に対して、それ自身を対してさえも反撥せざるを得ない、而も紛争が起きざるを得ない。これは石炭の現状をよく見られれば分、る。炭労は紛争処理機関を簡單に呑んだ、呑んのでありますけれども、炭労傘下の組合では、現在紛争処理機関に対する反対運動が猛烈に起つて來ておる。これは紛争製造機関である。そういうふうな意味で、紛争を軍に常識的な意味解決するための機関だ、それならば紛争、が、解決されれば、非常にいいではないふというふうな意味ならば問題が起らないのです。そこで、そうじやなくて、こういう機関は実際に今まで労働者が、持つておつた労働者の基本的な権利をなくしてしまう。だから、問題が起つて來るのです。そうして而もそれは今殆んど強制的に入れられておる。そうして又水谷商工大臣は五月五日に全石炭側の、労働組合側の人たにはつきり言つておる。それは文書に書いてあります。即ち紛争処理機関を全石炭労働組合側が呑まなければ政府融資はしない。はつきりこう言つておる。これは行政的に言えば発動されておる。ありたいとか、ありたくないとかいうふうな問題でなくして、現実の事実として私はあると思う。そういう問題を、だから私は政府はつきりとした意図を聽いて置きたかつた。というのは、少くとも復興金融委員会については大蔵大臣責任を持つておられるわけです。大藏大臣が知らん内に商工大臣がそんなことをしておつたというのなら、これは内閣の不統一も甚だしいと思う。私は勿論大所高所から見ましても、今紛争を起しておるのは誰かとか、紛争解決しなければいけないとか、労資の休戰をしなければいけないというふうなことを言つておる連中が実際は紛争を製造しておると思うのですが、その点になつて來ると見解が相当違つて來ると思います。ですから私はそういう点は論争はいたしませんが、現実の事実を知りたい。政府はその紛争処理機関融資をしない。紛争処理機関融資をしないというのは、いや、水谷商工大臣は、はつきりそう言つておられますが、これが大藏大臣として正しいと思うのか、正しくないと思うのか、少くとも第一回の國会におきましては、政府方針として、そんな不合理なことはいたしませんということをはつきり言つておる。それならば芦田内閣になつて、いつ、方針が変つたのか、それを一つお伺いいたしたいと思います。
  26. 北村徳太郎

    國務大臣北村徳太郎君) 中西君の仰うやることは、労働大臣に属すると思いますので、労働大臣がお見えになりましたから、労働大臣からお答えになると思いますが、金融と今の紛争処理機関関係だけは私の関係だと思いますので、それで、これは私は一般論として、金融機関がどうも労働不安の状態企業では、安んじて投資をするわけはないのでありまして、從つて復興金融金庫金融機関である限り、これはどうも注入された資本が有効に運用せられるということを期待しなければ命を出す者はない。さような観点から、今までのような賃金闘争を繰返して、そうして労働争議或いは労働紛議を繰返すために、どうも生産の低下を來したという事実については治これはいずれが悪いというのではない。これはいずれに責任があるというのではない。現実の問題として、さような事実があつたということは、これは認めなければならんと思う。そのような観点から、着くも政府責任において、金融の円滑なるま入によつて生産を促進しなければならんということに責任を負う大臣という立場から申しますと、紛争をなか、らしめるという願いを持つ。そういう意味から私は本質論をしておるのでありまして、小さいところでいろいろ問題を取上げられるというと甚だ困るのでありますが、そういう観点から恐らく水谷君も又私の申上げたような気持が流露したのであろう。但しこれが内閣の方針か、政府方針としてそういうことを言つたかと仰つしやられると、そういうことはございません。併し私も大蔵大臣として紛争をなからしめろという願いにおいては一致しておる。又復興金融機関を通じて、金融日本生産のために、日本の復興のために用いられるようにありたい、こういうことを願う意味であるのであります。紛争処理機関紛争製造機関だと仰つしやいましたけれども、さような方向に持つて行かないようにして頂く。これは一部の指導者にそういう方向に持つて行くという傾向もあることは、これは誠に喜ばしくないことであり、我々としてはどこまでも是正して頂くように努力して頂かなければならない。そういうふうに考えておるだけのことでありますから、さように御了承を願いまして、後は労働大臣からお話があると思います。
  27. 中西功

    中西功君 どうもはつきりしませんから……。一般論をここでお話しようと言つておるのではないのです。そうして且つ紛争をなからしめるということは非常によいことだと思つておるのです。そうじやなく五月五日に全石炭の労働組合に対して商工大臣がこうはつきり言つておる。それは内閣の方針なのか、それとも商工大臣が勝手に言つたのか、或いはこれは又復興金融委員会で決めたのか、そういう点をはつきりしたいと、こう言つておるわけなんであります。
  28. 北村徳太郎

    國務大臣北村徳太郎君) これは復興金融委員会でそういうことを決定したという事実はございません。大藏省に関する限りはそのことだけは申上げて置きます。ただそれに併せて、私の氣持は先程も申上げた通りでありまして、それも併せで御了承願いたいと思います。
  29. 堀末治

    ○堀末治君 実は私前回の委員会に止むを得ない事故がございまして欠席いたしたものでございますから、或いは私お尋ねする中に先にお尋ねがあつたかも知れませんが、その折はあつたということを簡單にお答え願いたいと思います。二、三取り交ぜてお聞き申上げたいのでありますが、大体最初私ども開いておりましたのでは、この法律は先月の中に取り決める、できれば今月の初めに仕上げるようにし、たいと、こういうことで政府も大分お急ぎのようでありましたが、その後ずつと遅れてまだ審議の途中である、こういうことでありますが、一体こういうふうに遅れましたのはどういうことから遅れましたのか、この点について労働大臣からはつきりお答え願いたいと思います。
  30. 加藤勘十

    國務大臣(加藤勘十君) この遅れました理由については、私よりもむしろ組合側と直接政府側を代表して委員として出席しておりまする給與局長の方からお答えいたさせます。
  31. 今井一男

    政府委員今井一男君) 申上げます。法律案の要綱ができましたのは、四月二十七日の日でございまして、早速関係方面の了承を受けて持つて参つたのでありまするが、先程中西委員の指摘されましたような関係の問題が起りまして、結局五月十八日に実際の手続を完了した。その間の事情につきましては懇談会にて詳細を申上げて見たいと思います。
  32. 堀末治

    ○堀末治君 それじや、もう一つお尋ね申上げますが、実はあの政府組合側がしきりと折衝しておつた当時に、組合側の希望としては、或いはその点しきりとそのまま千八百円ベースにふくらまぜて欲しいと、こういう意向が非常に強かつたようであります。政府ではそれに対して飽くまでも職階制を入れようということで突張つておられたようでございまするが、これはどういうところに根拠があつて飽くまでも職階制を入れようという御主張でありましたか。
  33. 今井一男

    政府委員今井一男君) 現在の、今日までの旧官公吏の給與体系が、いわば適当じやないといつたところが重点でありまして、これが臨時給與委員会の報告となつて現れまして、その報告を政府はそのまま採用した一番根本を申上げますと、すべて人というものに食つついた給與でございまして、例えば何歳である、高等小学校を出ておる、從つて何円やるといつたことが給與を決める根本になつておりまして、その人が如何なる仕事をやるか、どういつた時間勤務するかということは殆んど考慮されないで決められておる。而も一旦決められたものがどういう仕事に從事しておりましても同じ速度で昇給して行く、一旦貰つた給與はその後絶対に減らない、と同時に且又非常な、むずかしい仕事に代りましても給與の急激な昇給もない。こういつた現在の体系がとにかく労働の質と量を目標にした給與として望ましいものではないといつた観点から、臨時給與委員会の報告書となりまして、職務に感じた給與をやるといつた建前から、政府側といたしましてその線を固執したわけであります。
  34. 堀末治

    ○堀末治君 実は、私こんなことをお尋ねいたしますのは、いわゆるこの職階一制の問題は去年の國家公務員法案を審議いたしました際にも、当店で大分問題になつたのでありまするが、その漸時は関係方面から、職階制なるものは非常に面倒だ、非常に專門的なものであつて、なかなか今の日本の諸君では容易に分らないものであるから、その中、本國からエキスパートが來てその途をよく教えてやるのだと、こういうようなことで、私どもも引下つたのであります。さようなことで、而もその職階制なるものを含めた國家公務員法なるものがこの七月一日から施行されるということになつて、果して予定の通りにこの職階制が七月一日からこの國家公務員法に盛られるかどうかは分りませんけれども、そういうものが目の先にぶら下つておる際に、特に職階制を織り込んで、そうして今度の法案の中にも随分それがためにややこしい條文を入れてあるということは、私は却つて無駄な手数をしておるのではないか。どうせ職階制が七月一日以降できて、それが國会承認を経るということになれば、法律になつて現われることでございましようから、多少そこに是正されて、或いは増す者もありましようし、殊によつたら減る者もあるかも知れませんが、そこは法律によりて定められることであるから何ともいたし方のないものであると思うのであります。そういうものを前提として置いて、尚且この職階制を作るのに骨を折る。そうして組合との間に徒らに遷延を重ねたということは、どうも私ども側から見ておつて、あまりいい処置ではなかつたのではなかろうか、実はかように思う。從つて法律の中にもそれに関するややこしい條文が入つておる。まあこういうのでございまするが、これは私仄聞したのでございまするが、それがために見えた專門家から、この法案についても随分手嚴しい御批判を蒙つた。それが何分か遅れておるということの……これは噂でございますから本当に眞相か私分りませんけれども、却つてそういうことで組合の感情を害して骨折つてつて面日を潰すということがないか、実はかように思うので心配しながらお尋ねをしておるのですが、実際そういうような所が、矛盾が沢山あるのでありまするが、こんなことに対して政府はどういうお考えでございまするか。
  35. 今井一男

    政府委員今井一男君) 職階制は御指摘通り非常に面倒な手間のかかることでございまして、本來から申しますれば各人別に職務内容を一切調査しまして、一切分析をして、その上で考えなければならん。從いまして二百万に近い政府職員を全部そういつた意味合における米國式の改正をやろうと思つたら、恐らく数年間かかることはこれは異論はございません。七月二日公務員法が布かれましても、その翌日から布かれないこともこれは明瞭であります。今回の改正はそういつたことは全然してもありませんし、又考えてもおりません。ただ官公吏には長い間呼び習わした職名というものがございますので、それらによりまして大体の職務の内容というものが判断できる。それで判断しても大した間違いはない。そこでその職名を基準にして組合側交渉して、職務の價値判断を、ごく大雜把であるけれども、職名で区分のしにくいものは資格とか経験年数とかで計算する。こういつた立場で組みましたものでありまして、從つて米國式な意味から申せば、職階制というものは少し言い過ぎでございます。むしろ職務給、職務本位給というくらいのところがいいところなんでございまして、結局これが公務員法の考えておる職階制の一つの礎石には相成ると思いますが、併しながら本格的な職階制にはまだ相当な踊りがあることは事実でございます。ただ結局公務員法が將來実際的に行なわれますまでの一つのステツプとしては、こういつた段階をどうしても経なければなりませんので、その点から申しまして、現在の仕組というものは決して不適当ではなく、又解決が早ければ早い程、行政の能率化のためにも、又給與の公平化のためにも、適当でなかろうか、そういつた意味合から臨時給與委員会の報告書を全面的に採用した。かような次第であります。
  36. 堀末治

    ○堀末治君 まあこの点は了解いたしまして、この給與が一月から三月までのもので、四月は変るのだということは、只今組合の諸君からも熱烈にお話があつたのでおります。私共どうもその当時の情勢から考えて、四月から変る。これが本当に一月から三月までの間であるというふうに、自分等は印象付けられておるのでありますが、この間その点においては、今井給與局長から、それは決してそうでないと、そういう御答弁なつたのであります。併しこれはどこまで事実か知れませんが、幸い大臣かお見えになつておりますから、大臣にお尋ねいたしますが、三月十八日の朝日に出ておる。「加藤労相は十八日の衆院予算委員会で野坂參三氏の質問に答え、二千九百二十円賃金ベースは、四月の物價改訂を機会に再檢討するとて次のように述べた。二千九百二十円ベースでは、今日不満足なことは認めるが、諸般の情勢からみて、三月まではこれでがまんしてもらうよりほかない。しかし四月に入つて物價改訂の時には新事態に應ずるよう対策を検討する予定である。」こういうふうに言われておる。これはひとり朝日ばかりでなく、日本経済にもやはり同じようなことが出ておりますし、同じく毎日新聞にもそういうようなことが出ておるのでありますが、この点について、具体的な御答弁を願いたい。
  37. 加藤勘十

    國務大臣(加藤勘十君) この点につきまして、給與委員会の報告書が一月一日を基準として三月までのものということは、報告書にも明瞭に記載されておるのであります。私の申しましたのは、その報告書の趣旨に則つて、これは一月から三月までのものである。四月になつたならば直ちに改訂すると、こういう意味ではないのでありまして、物價改訂等その他重要な問題が起つたときに、改めて論議さるべきである。こういうのでありまして、四月になつたら何でもかでも変えると、こういう意味のことの趣旨を述べたのではありません。お示しになりました通り物價改訂等重要な事態の変更があつた場合においては、当然これは変えられる性質のものである。こういう意味であります。
  38. 堀末治

    ○堀末治君 では、この間中から、政府方針として物價を改訂しなければならん。こういうことが頻りと新聞紙上で傳えられておるのでありますが、今の政府といたしましては、何月から物價を改訂して、それに伴うて新賃金を改訂しようというお考えでございますか。
  39. 加藤勘十

    國務大臣(加藤勘十君) その点につきまして、に、大体今の予定は、六月十五日から物價を改訂する。物價を改訂と申しますか、補正と申しますか。とにかく物價の改訂が行われるわけであります。從つて給與の問題も、六月から変えられる段取りになるわけであります。重大な物價改訂である。重大な事態が起つて参ります。
  40. 堀末治

    ○堀末治君 大体六月と諒承して宜しうございますか。
  41. 加藤勘十

    國務大臣(加藤勘十君) 大体そういう方針でございます。
  42. 堀末治

    ○堀末治君 これは前のこの法案を審議するときに、多分前の財政金融委員の諸君から恐らくお尋ねになつたことと思いますが、当時私は連合委員で出席することができませんで、尋ねすることができませんでしたから、この機会にお尋ねいたしますが、政府職員が勤務時間を六・六時間。入時間であるならば三千五百三十一円になるけれども、六・六時間であるから二千九百二十円に抑えて、あの当時報告されておるのでありますが、大体において政府職員の勤務時間は、六・六時間になつておるのでございしましようか。
  43. 今井一男

    政府委員今井一男君) その通りでございます。
  44. 堀末治

    ○堀末治君 それに対して、この間もあなたの御答弁だと思いますが、つまり八時間以上超えた春に対しては、残業手当等は出るけれども、八時間以内の者に対しては、残業手当が出ないというような御答弁が、丁度私の欠席した時に答弁があつたように思いますが、そういうことになつておりますか。
  45. 今井一男

    政府委員今井一男君) そう申上げたことは絶対にない筈でございます。八時間を超えましたならば、労働基準法の規定に從いまして、割増しの、二割五分増しの時間給手当が貰える。その以内の手当におきましては、割増のない時間給手当、これも一種の時間給手当でございます。要するに官廳の、冬ならば九時から四時まで、これが実働博間でございます。それが六時までは六分の一の十割、割増しの附かたいものが貫えまして、八時過ぎますと手当が附くのでございます。八時間過ぎますと割増が付くのであります。
  46. 堀末治

    ○堀末治君 確かあの当時の臨時給與審議会の第一報告か第二報告かにあつたと思うのでありますが、つまり官吏の勤務時間の六・六時間を、できるならば八時間にして、三千五百三十円を貰うようにしたらいい、こういうような意見が謀委員からもあつた。こういうふうな報告を私は見ておるのでありますが、実際において、官吏の勤務時間を八時間とするわけには参りませんのでございましようか。労働大臣はこの点につきまして如何でございましようか。
  47. 加藤勘十

    國務大臣(加藤勘十君) それは長い間の官廳の習慣がありまして、私はまだ労働大臣になつて三月足らずでありまして、そういう点から、どういうふうに変更できるかということは、私よりむしろ長い経驗のある今井給與局長にお答え願いたいと思います。
  48. 今井一男

    政府委員今井一男君) これは現在のような、いろいろ住宅でありますとか、交通とかの関係が十分でない際には、むずかしいじやなかろうかというような意見も、臨時給與審議会で出たことは事実でございますが、併しながら官廳職員が給與が低いということがよく言われますが、勤務時間の短かいことも事実なんでございますので、そこで勤務博間を是非延長するようにして、それで給與も民間とぴたつと行くような給與をやれるようにしたいという意見が、臨時給與審議会では大部分でありますが、併しこの問題は、労働間時の延長という非常に大きな労働條件でございますので、どうしても全せ公廳の労組の諸君と意見を交換しなければならんのでありますが、只今の大勢では、組合側の諸君は概ね喜ばれない、反対される模様でございます。
  49. 堀末治

    ○堀末治君  それじやまあ、そういう問題は別といたしまして、法律について少しお尋ねの申したいと思いますが、この法律の第一條のことですが、この間から大分問題になつておるのであります。これもさつき中西委員から出たのでございますが、この人事という問題がこの間から協定になつておらない。而もこの問題については新聞に出ておるのでございますが、社会党の修正案として、やはりこの人事を除くということになつておりますが、これに対しては、労働大臣はどういうお考えでございますか。
  50. 加藤勘十

    國務大臣(加藤勘十君) お説の通り、ここに政府職員の人事ということが出ておるので、これは私としましては、政府の代表者と組合側の代表者との間にどういう協定ができておるか、その結果を聞いておりません。ただこれを見ただけでありまして、よくその協定の内容なり治経過なりを十分知つておりませんから、その点、今井給與局長から答えて貰うことにいたしますが、社会党側においても、今お示しのような修正案が、まだ出すということを決定したわけではありませんが、出されようといろ意向であることは事実であります。まだ決定をしておるわけではありません。
  51. 今井一男

    政府委員今井一男君) 人事の方針を統一するためと申します意味は、結局職階的な給與を支給いたしますと、自分のところは課を沢山作つて、そうして課長というものを沢山置く、こういつたことが、およそ課長にはどのぐらいの経驗年数、どのくらいの給與を與える、係長はどうだ、何はどうだと、こういうふうに決りつて参りますので、人事がおのずから各省とも歩調が合うというようなことになります意味にお着まして、人事に関する方針の統一を図るためという文字が入つておるわけであります。その意味から、この文字は、政府といたしましては、適当な字句であると、かように考えます。
  52. 堀末治

    ○堀末治君 今井給與局長の意見は、この間も聞いて、大体了承しておるのでありますが、併し今大臣がおつしやつた通り大臣所属の社会党では、とにかくこの「政府職員の人事及び」を削つて、人事を除外するということが、お決まりでないとおつしやればいもかくですが、若しも社会党の御方針がこれに決まつたら、大臣はこれにお從いになる思召でいらつしやいますか。
  53. 加藤勘十

    國務大臣(加藤勘十君) 社会党で決まつて、社会党の方針が統一されれば私も当然社会党の党員として、その党の決定には服します。
  54. 堀末治

    ○堀末治君 そうすると、大臣としてこれを削るに吝かでないという御意見ですか。
  55. 加藤勘十

    國務大臣(加藤勘十君) 社会党で決まればですね。
  56. 堀末治

    ○堀末治君 分りました。  これは給與局長にお尋ねするのですが、第三條に「新給與実施本部は、この法律による俸給の決定に関する総合調整」、こう言うておるのでありますが、これは俸給だけですか。それとも給與全部に亘つてなさる意味でございますか。
  57. 今井一男

    政府委員今井一男君) 二千九百二十円の法律の中で、問題になりますのは俸給だけでございます。あと家族手当、勤務地手当というものは、刷の規定でおのずから決まつて参ります。家族手当は二百二十五円と、ピタツと決められてございます。地域手当の方は、地域給審議会決定しまして、これに基いて大藏大臣が処理することになります。從いまして、結局実際問題として、俸給の切替えだけしかしないということになります。
  58. 堀末治

    ○堀末治君 特殊勤務手当は、給與実施本部に入るのですか、入りませんか。
  59. 今井一男

    政府委員今井一男君) 特殊勤務手当は、今度の二千九百二十円ベースには、関係はございますが、この法律建前といたしましては、実施本部の権限に委しておりません。
  60. 堀末治

    ○堀末治君 そうするというと、特殊勤務手当はどこが決めることになりますか。
  61. 今井一男

    政府委員今井一男君) 普通の建前に基きまして、大藏大臣がこれを定めます。
  62. 堀末治

    ○堀末治君 地域給は大藏大臣が決めるということを、はつきり語つておりますが、特殊勤務手当に対しては、政令で定めることになつておるのですか。
  63. 今井一男

    政府委員今井一男君) さようです。
  64. 堀末治

    ○堀末治君 政令で定めるということになると、これはどこで決めるのですか。
  65. 今井一男

    政府委員今井一男君) 私は大ざつぱに大藏大臣が定めると申しましたが、これは法律的に申しますと、少し大ざつぱ過ぎるのでありまして、各省大臣が表面決定権を持つておるのであります。その総合調整として、後ろでその協議を受けまして、具体的に話を決めるのが大藏大臣でありまして、特殊勤務手当は、それぞれその職種によつて違つたものが出て來ます。表面の決定大臣は各省大臣ということに相成ります。ただ実際は、各省大臣限りで決められないので、大藏大臣に協議しなければならん。地域給の方は各省共通でございますので、これは大藏大臣が直接決める。こういつた建前に相成るのでございます。結局政令によつて決めるということは、そのときにそれぞれ大臣の名前で政令を公布する。こういつたことになります。
  66. 堀末治

    ○堀末治君 地域給だけは大藏大臣が決めるということを、はつきり謳つておるのでありますが、これらも本当ならば、給與実施本部で要するに総合調整する中に入れる方が、妥当ではございませんでしようか。
  67. 今井一男

    政府委員今井一男君) 確かに筋道としましては、御説の方が正しいのではなかろうかと思うのでありますが、ただ実際問題といたしまして、特殊勤務手当だけがそのまま……、今度新たに規定されるようなものは、極めて僅かなものに過ぎないであろうということと、もう一つは初めの予定以上に俸給、本俸に繰入れる割合が多くなりました関係等から、実際問題といたしましては、実施本部が関與することと変らないような仕組にも運営できまするので、実施本部でありますと、実施本部そのものが表面に出て決めるのでありますが、特殊勤務手当のようなものは各省大臣が表面に出て決める。ただ從來の関係もございまするので、今回御説はございますけれども、從來の慣行を尊重したというだけの意味でございます。
  68. 中西功

    中西功君 私は労働大臣にお聞きしたいと思つておつたのは、さつき堀さんから御質問になりました点なのです。で、まあその点では労働大臣の回答は、六月十五日からというふうに、はつきりしておるわけでありますが、これは併し実際今後政府組合側との間に問題が発展して行きまず場合、やはり二つの焦点はあると思うのであります。と申しますのは、四月一日から新船與をやるか、それとも六月十五日からかというのでは非常に大きな相違であります。それで、これは勿論ここで私達がはつきりさせることもできないでしようが、ただこの前二千九百二十円の予算、それから法第十二号を審議したときにおいては、殆んどの人があの臨時給與委員会の報告書にもその書いてあるし、又加藤労働大臣答弁も大体そういうふうな調子であつた。そういうことを酌んで、組合側がやはり一應そう理解しておる。で、この問題で政府としては、はつきりと一月から三月までと、そういうふうにはつきりと言つたことはない、こう言われるのも亦或る程度無理もないかと思いますが、併し又組合側としては、或いは國会の方の大多数の連中がこれをいわゆる六月十五日頃までも延びるのだということは、これは殆んど皆考えていなかつたと思うのです。ですから、これは両方ともに各々理由があると思うのでありますが、大藏大臣の從來からの答弁責任といいますか、責任というとおかしいでずが、答弁の含みのある内容から言つても、將來この六月十五日でなくても、それ以外の遡つた期日にこれがなるのか、ならないのか、これは尚そうじやなくして、ここで明言できなくとも、官公廳との團体交渉の過程でこれは解決するものなのか、そういう点を少しはつきり述べておいて貰いたいと思います。
  69. 加藤勘十

    國務大臣(加藤勘十君) 只今、中西委員のお尋ねになりました点は、先程堀委員の御質問にも答えました通り給與委員会の報告は明かに一月から三月までとしてありましたこと、その通りであります。從つて当時におきましては、私も亦この給與委員会の報告書を是認する政府の立場において、この問題は一月から三月までの問題である。若し四月以後において物價改訂等、その他重要な事態の変更が生じた場合においては、当然これは考慮さるべきものである。こういう意味答弁をこれまで続けて來たわけであります。当時のこうした含みのある言葉は、大体物價改訂の問題が四月の末、五月の初旬には行われるのではないかと、こういうような見透しもあつたわけであります。それが御承知の通り物價改訂そのものが六月十五日以後に行われる、こういうことになりましたので、從つて四月以降においては四、五月の期間において物價改訂等重大な事態の変更は生じておらんわけであります。從つてそういうことを前提とする給與水準の変更ということも亦起らないわけであります。そういう意味で、六月十五日以後に物價改訂が行われまずので、当然給與は本月以後になる、給與水準の改訂も六月以後になる。從つて物價が六月十五日から改訂されるから、給與も亦六月十五日からかということになるわけでありますが、それは私は非常に計算上面倒な技術的な点があるのじやないかと考えますので、私共はできれば当然それは六月一日から給與は半月遡るわけでありますが、私の考えとしては、六月から改訂されることが妥当ではないか、このように考えております。
  70. 中西功

    中西功君 で、まあ、私のお聞きしたかつたのは、そういうふうに三月の時代に加藤労相の答弁も非常に含みがあつたわけでありますが、こういう問題はもつと含みを持たした方がいいのじやないかというので、加藤労働大臣も多少含みを持たれた答弁をされたわけでありますが、これは実際は組合側としては非常に切実な問題なんですけれども、これを一應別にしまして、この法律について、私、加藤労働大臣の立会いの下で今井給與局長からはつきりしたことを聞いて置きたいと思います。と申しますのは、これは実はこの法律が通つてしまいますと、政府は、労働組合側との團体交渉の中で、いつも、もう法律が通つたのだから、それは駄目だ、これは國会が通したのだから駄目だというわけで、いつも押し付けられる それは非常に組合側團体交渉に不利になる。そうして面も今度の場合は、明らかに政府と組合との間で協定した以上のことがはつきりここに出て來ておる。而もこういうものが通つた場合に、いや、これは國会で通つたのだから、君達は無条件にこれに從わなければならんのだという、こういう態度で行かれますと、又今後円満に治まるものさえ治まらないという状況になると思う。それで、この点については、相当政府において、政府自身がこんなものを通したわけでありますから、やはり相当手心を加える必要があると思うのです。それで、一つの問題は、この法律が二千九百二十円の実施に関する法律案であるということははつきりそう言えると思うのですが、これはどうですか。  それから昭和二十三年十二月三十一日を限りその効力を失うものとすと書いてありますが、勿論括弧して、それ以前の期日においても、これは効力を喪失すると思うのでずが、これはこの問題は新らしい給與、二千九百二十円でない新らしい給與が定まり、その実施法律が定まつたときに、恐らくこれは効力を失うと思うのでありますが治そういうふうに了解していいわけですか。
  71. 今井一男

    政府委員今井一男君) 二つとも御解釈の通り結構です。
  72. 中西功

    中西功君 それから新給與実施本部並びに苦情処理委員会、これは、やはりこの二千九百二十円ベース実施に関するものに限るもので、それ以外に絶対に亘らないものだと解していいわけですね。
  73. 今井一男

    政府委員今井一男君) 新給與実施本部並びに新給與苦情処理委員会は、完全に二千九百二十円の問題以外に出ません。ただ地域給審議会は、法律建前から申しますれば、それ以外には出てはいけないわけでありますが、実際國体交渉と同じ性質であつてやりますから、両者の間の関係は、おのずからその枠の以外に出る場合もあり得るという、ふうにころ御解釈願つた方がこれは安全だと思います。
  74. 中西功

    中西功君 それでもう一つ最後労働大臣一つ、実はこれは大蔵大臣に申上げて話せば長くなるのでありますが、新給與委員会が十分発足していないのであります。で新給與委員会発足していない原因をいろいろ考えて見ますと、結局政府がこの法律案を一月から三月までと考えるか、それとも一月から六月までと考えるかということに非常に関係があると私は思うのです。それで、謂わばこれはもうすでに二十九百二十円の問題が問題になつ争議のときから、官公廳側は言つておりました。政府は二千五百円と二十九百二十円とに分けて、四百二十円の問題でぐんぐん揉まして置いて、六月の物價改訂まで持越すのだと、四月に加藤労働大臣が変えるとか何とか言つておるが、そんなことは問題じやない。政府の本当の肚は、成るべく揉まして置いて、そうして六月まで月をずらして持つて行くのだ、こういうことは組合がはつきり当時言われておつた。私はそれを今振り返つて見ますと、組合側考え方が如何に正しかつたかということを痛切に感ずるのであります。で、そういう問題がやはり又今日あの了解事項の中で、新給與委員会は急速に発足させるといつて置きながら、いろいろの事情を拵えて発足しない、そうして結局予算で新ベースが決まるまで組合供との交渉をしない、そうして決つてかちこれを押付けるというふうな状況に來ておると思います。國会側では勿論組合側考えはよくわからない。從つて三千七百円ベースというようなことで安易に國会承認してしまうと、で、そうして、あと組合側でそれを押付けられて又揉めるということになると、又大した争議になると思う。で、政府としては、なぜ了解事項に基いて早急に新給與委員会を始めないのか、で、又政府としては今後急速にやる意図があるのかどうかという点なんでずが、実際はもう予算も大体今日決つたらしいので、恐らく政府としては今日あたりから一生縣命やつてもよいのじやないかという無もするのですが、どうもそういう点は政府が取つて來た今までのやり方は、非常に狹いと思うのであります。で、加藤労働大臣はこういう点の責任者でもあると思うのでありますが、加藤大臣が言つておられるようには、いつも何にも運んでいないように思うのであります。そういう点は、はつきりして貰うと非常に我々は得をするのじやないふと思います。
  75. 加藤勘十

    國務大臣(加藤勘十君) いろいろのことが食違つておりまして甚だ恐縮でありますが、私がしばしば今まで申しておりまする通り、先回も妥結ができたならば直ちに、文字通り直ちに新給與委員会を作つて、そこで審議をして行く、こういう強い希望を持つておりましたし、そのことはしばしばいろいろな必要な機会において述べて來ておるわけであります。政府側から今井給與局長中心とする各省局長がそれぞれ出ておりまして、組合側折衝して來られたのでありまするけれども、私の聞くところによると、この苦情処理委員会というものが最終決定権を持つてつて、この決定権に拘束されるのではないかと、こういう組合側の杞憂がこの委員会の審議を魅行せしめない原因になつておると、こういうように聞いておるわけでありまするが、違つておれば違つておるようにお示しを願えれば結構だと思いますが、それが私の聞いておるところでは、そういうふうで行き悩んでおると聞いておるのであります。勿論苦情処理委員会は、聞きますと、えらい七むずかしく角が立つたように見えますけれども、私共の考えておる苦情処理委員会というものは、今、今井給與局長も答えました通り、二千九百二十円支給に関する限度内においていろいろな苦情が起つた場合に、その苦情をできれば当事者だけに協議決定して、それが協議が調えばそれに從う。若し協議が調わない場合に、もう一つ調停委員会三三これにばそういうことに書いてありませんふら、苦情処理委員会というものが苦情処理とそれから調停と二つの役割を持つておるようでありますけれども、いずれにしても、これが最終的なものである。法律的な意味において拘束力を持つ、そういう性格のものでは私はないと信じております。これは飽くまでも双方の自由なる意思に基く納得、合意によつて成り立つべきものである。從つて両者の合意によつて成り立つた結果に対しては、それぞれその結果に服するということは、当然もう当事者の道義上の義務であり、責任であると思います。それ以上にこれを拘束するという力はありませんが、私は大体話し合いをすればそういう事柄は話が付くのではないか。こういう意味に解しておりまして、組合の方では何かそれを文書にして呉れというような申し出があつたということを聞きましたが、これは私は必ずしも文書にしなくとも、法律案條文を見てみましたたけでも、ここに何も拘束力を持つということは二つ規定してありませんし、大体がそういう、初めから片一方が納得しないのに 一方的な決定だけで加東力を持たせるというような力はどこにもないのでありますから、その点は私は当局、政府側代表者の意見を善意に解されて、そうして、そういう性質のものでないということを組合の諸君が納得されるならば、審議比較的すらすら進んで行くのではないかと、このように考えております。
  76. 中西功

    中西功君 もう二つ、ただ加藤労働大臣はちよつと苦情処理委員会調停委員会現実に間違えておるような気がするのですが、事実は私大して指摘いたしません。ただ組合側調停委員会についていろいろ危惧を感じておるというのは、これは私は非常に当然たりと思うのです。それは全石炭から見ましても、或いは炭労の場合の紛争処理機関にいたしましても、或いは現存全金属鉱山の方になさつておる交渉九らいたしましても、私はそれはもう危惧を持つのは当り前だと思うのです。ですから、私は紛争処理機関についでは今日別に申上げる意図はないのでありますが、そういうふうな点で極めで日本の政治は不明朗である。加藤労働大臣労働組合法を改悪しないと言われますが、実際にはこの点に紛争処理機関が、而も仲裁権を持つ紛争処理機関がどんどんでき上りつつあるというふうな事実だと思うのです。ですから、その点やはり組合側が一札呉れというのは結局理由があると思うのですが、それも、もう一顧別にします。ただ私非常に残念に思いますのは、ただ予算が決完する前に新給與委員会が一度も打たれなかつたということは、これは将来今後の若し官公廳に対して言い分を與えるといいますか、政府の落度だと思います。一應政府は自分の勝手なベースを決めまして、そうして一方的なペースを決めて、今度予算に出します。これは官公廳側一つも打合せが行われていないと思うのです。そういう点、私はここで、はつきりと、そういうこの点を申上げますのは、今後官公廳側が又この團体交渉をいたします場合に、以前は、この法律が通つたから、もうお前達は呑まなければならないのだという態度で呑まされる傾向があつた。今度も又そういうようになり兼ねないと思うのでうすが、以前は臨時給與委員会という民主的な機関決定したのだから、これは正しいと思うというような政府の主張であつた。今度は、実際のことを言つて一つも新ベースはなつていたいと思うのです。ですから、そういう点で私は今後起つて來る問題のあれが前哨戰として一つこういう問題があるということを指摘して、そうして加藤労働大臣には今後それだけに余計紛争すると思われますから、一つよく善処して貰うように願いたいと、そう思うのであります。
  77. 堀末治

    ○堀末治君 地域給の問題でございますが、これは、この間どなたかの御質問に対して、まだ政府ではこの方は手を着けておらないという局長の御答弁であつたそうでございますが、これはなかなか問題が大きいと思うのでございます。あなたも、すでに御承知の通りに、労働委員の方にも各方面から毎日地域給の改正についての請願陳情があつて、それを政府の方にもすでに取り次いであるのでありまして、殊に北海道の如き、昨年の石炭代を三千円か千円か貰つたのが、随分長い間ごてついて非常に労働組合の連中も射つたようた状況がございますから、できるだけ早くこれに手を着けて、そういう問題の起らたいように善処して頂くことを労働大臣並びに給與局長に特に希望しておきます。それからもう一つは、これは最後に、どうも皆財政金融の方がお帰りになつたようでございますから何ですが、特に委員長にお願いいたして置きますが、この政府の配られた法律案参考集というのと、今度の法律のこの中にちよつと違いがある。それは最後の「級別俸給額表」でございますが、十五級は「別に政令で定める額、」こういうことで、もう一つのはただ「別に定める額」と、こうなつておりますが、何れこれは政令で定められることだろうと思いますが、労働委員の方としては、成るべくこういうことは一遍國会承認を得るようなことに改めて貰うことを特に希望いたして置きます。財政融資委員会の方で最後の決を採る時に、どうか一つそういうふうになるように宜しくお願いいたします。
  78. 原虎一

    ○原虎一君 先程中西委員と加藤労働大臣との質疑應答がありましたが、この新給與苦情処理委員会というものは、私の考えからいたしますと、言葉を別に申しますれば、一つのこの二千九古二十円ベースの支給に関して苦情が起きた職員に対する仲裁機関と解釈するのであります。從つて第二十四條の一項、二項、これに対する解釈を給與局長からお伺いしたいのであります。この際、序でに労働大臣にお伺いしたいのは、一般に苦情処理機関と言われているこの法律に関するものと、今世間で問題になつております炭労等におきまする苦情処理機関紛争処理機関とは、非常に趣を異にしていると思うのであります。大体團体協約に基いて、賃金が決められたり、労働條件を決められまして、その團体協約に基く諸條件條項の中から起きて來るいろいろな紛議を紛争処理機関において決定するということ、即ちその決定は仲裁的効果を持つということであります。團体協約以外の問題に対して、紛争処理機関にかけなければならんというようなことは、私共は解釈を持つていないし、考えてもいたいのであります。この点が今社会で紛争処理機関の問題がいろいろ論議されております。一切紛争処理機関にかけなければ争議ができないし、紛争処理機関は仲裁的性格を持つておるのであるから事議はできなくなるんだ、こういう解釈を持つ人もある。私はむしろそうでない、国体協約に基く紛争が起きた時にのみこれが仲裁的効果を打つところの紛争処理委員会であつて調停委員会の問題については、いわゆる今日は経営協議会において成立しない場合におきましては、直ぐストライキをやる場合もあります。公益事業の場合におきましては三十日以前に労働委員会にかけて、その結果争議を行なう、こうなつて來るのであると考えます。これは本法律とは別でありますが、併しそういう点から考えまして、今労働大臣の御答弁から推して行きますと、一体この新給與苦情処理機関というものは如何なる性格を持つものであるかということを、二十四條で十分に御説明願い、局長の御説明を先ず伺つた上でもう一回お聽きしたいと思います。
  79. 今井一男

    政府委員今井一男君) 御指摘通り、この新給與苦情処理委員会は、個別的な問題、即ち二千九百二十円の新らしい本俸への切換えにつきましての各職員別の決定につきましての興蔵を処理する機関でございます。御承知の通り各人に対する給與決定は、これは使用主側の権限に委されておるのが通例でございまして、政府政府職員間におきましてもその点ははつきりいたしております。團体協約にも明白に書いてあります。今回の法律案の要綱でもその点は極めで明瞭に組合側と妥結されております。勿論どういつた職種はどのくらいにするかという一般的な基準を国体交渉目的の中に入りますが、これはそれに基きまして政府に委任されたことを、政府がその責任において実行しました結果に対しまして、各個人別に異議のある者は申出るその救済機関でございます。勿論根拠は團体交渉の結果ではございますが、その意味におきまして、いわゆる仲裁機関とは若干趣きを私は異にしておると思います。今回の新給與委員会政府が申出ております調停委員会の方は、これはそうでございませんで、團体交渉そのものの目的となる問題につきましての調停を頼もうというのでありまして、性質は似ておりますが、実際細かに解釈しますとその点は本質的に違つたところがある。但しその構成、運営におきましては、御指摘のような仲裁機関的な意味合で、三者代表でそれに対して各人承服する、こういう建前で進みたい。從つてこの法文の中の二十四條に本人に通知するという文句もありまして、すべて組合から異議を申立てるという考え方ではございませんで、すべて個人的な問題を扱うのである、かように御了承を願いたいと思います。
  80. 原虎一

    ○原虎一君 この新給與苦情処理委員会は二十四條にも示してありまするように、「前作條第二項の決定に関して苦情のある職員は、新給與苦情処理委員会に対し、再審査の請求をすることができる。」ということになつております。でありますから、職員が前條第二項の決定苦情のある場合のみ、この新給與苦情処理委員会は発動するのだと思うのであります。「前項の請求があつたときは、新給與苦情処理委員会は、これを決定し、これを本人及び関係廳に通知」なければならない。」ということになつております。そこで私は仲裁的機能を持つておると申しますのは、この苦情処理委員会決定したことを職員に通知したときに、それをきかないところの職員は、然らば先程申しまするように、きかないことができろか、或いは労働委員会に提訴することができるのであるか、これは私はできない、苦情処理委員会はそこで決定して行くものであつて、この苦情処理委員会決定に不服のあるときは、どうお考えになつておるかということが問題になつておるのではないか。それはこの法文において明らかになつていないようにも考えられますが、この苦情処理委員会の性格から言えば、この決定に服さなければならないのではないかということであります。
  81. 今井一男

    政府委員今井一男君) 第二十四條は御指摘通りでございます。ただ紛争処理機関と異るところは、紛争処理機関はあくまで組合対使用主の関係でありますが、新給與苦情処理委員会は職員対使用主の関係で、飽くまで個別的な問題を扱い、團体交渉なり團体協約なりと直接繋がる問題は扱わない。こういつたところに差があるのでありまして、その権限につきましては、第八條に記載してありまして、從いまして從來は、こういつたことは政府が一方的に決めた限り、それに対して何らの救済規定もなかつたのでありますが、それが今回はこういつた救済規定を置く。從いましてこれは労働組合の和合としての問題になるものとは性質が違う。かように考えます。
  82. 原虎一

    ○原虎一君 大体それで了解いたしましたが、從つて私は個人が苦情を言い出して委員会に出した以上、その決定というものは八條にあるごとく最終の決定をなすものであるということが、この苦情処理委員会の性格だと、私は解釈しておるのでありますが、それで間違いないのですか。
  83. 今井一男

    政府委員今井一男君) その通りであります。
  84. 原虎一

    ○原虎一君 宜しうございます。
  85. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 如何ですか、連合委員会はこの前もう一回開いて貰いたいという御希望があつて大臣の御出席を求めて今日開いたのですが、これを以て一應連合委員会を閉じるということにして御異議ございせんか。勿論財政委員会は後で開きますから、その際に御質問のおありの方はお出で下さいますれば、委員長は勿論発言できますし、委員長以外の方でも委員会に諮つて御便宜を図りたいと思います。ちよつと速記を止めて。    〔速記中止〕
  86. 黒田英雄

    委員長黒田英雄君) 速記を始めて。それでは連合委員会は、これを以て終了することにいたします。本日はこれにて散会いたします。    午後三時二十五分散会  出席者は左の通り。   財政及び金融委員    委員長     黒田 英雄君    理事            伊藤 保平君    委員            伊藤  修君            木村禧八郎君            玉屋 喜章君            西川甚五郎君            松嶋 喜作君            石川 準吉君           尾形六郎兵衞君            木内 四郎君            深川タマヱ君            小林米三郎君            渡邊 甚吉君            中西  功君            栗山 良夫君   労働委員    委員長     原  虎一君    理事            堀  末治君            小川 久義君    委員            天田 勝正君            千葉  信君            荒井 八郎君            川村 松助君            紅露 みつ君            奥 むめお君            竹下 豐次君            姫井 伊介君            穗積眞六郎君            岩間 正男君   國務大臣    大 藏 大 臣 北村徳太郎君    労 働 大 臣 加藤 勘十君   政府委員    大藏政務次官  森下 政一君    大藏事務官    (給與局長)  今井 一男君